JP2010089153A - 連続鋳造用タンディッシュ及び連続鋳造方法 - Google Patents

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健彦 藤
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Abstract

【課題】溶鋼を所定の目標温度に調整しつつ、鋼の生産性を向上させる。
【解決手段】タンディッシュ1内の注入ノズル10の下方には、温度調整部20が設けられている。温度調整部20は、上面が開口し、下面に耐火物底部26が設けられた円筒形状の本体21を有している。本体21の側壁22は、スリットにより複数の水冷銅セグメントに分割されている。側壁22の外周には、誘導加熱コイル30が設けられている。注入ノズル10からタンディッシュ1内に流入した溶鋼Mが目標温度より高い場合には、水冷銅セグメントにより溶鋼Mを短時間で目標温度まで冷却し、その後誘導加熱コイル30により溶鋼Mを目標温度に加熱維持する。
【選択図】図1

Description

本発明は、取鍋から鋳型に溶鋼を供給する連続鋳造用タンディッシュ及びそれを用いた連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造においては、精錬工程で成分と温度を調整された溶鋼は、取鍋により連続鋳造工程に輸送される。輸送された溶鋼は、連続鋳造機の鋳型に注入されるが、取鍋から直接鋳型に注入すると、溶鋼の流量の制御が難しい。またその一方で、取鍋を交換しつつ、鋳型に継続的に溶鋼を供給して、鋳造を連続的に行う必要がある。このため、一般的に、取鍋の溶鋼は、注入ノズルなどを通じて一旦タンディッシュと呼ばれる中間容器内に注入され、タンディッシュ内で流量調整された後、鋳型内に供給されている。
上述のタンディッシュは、種々の形のものが存在するが、舟型のものが多く用いられている。注入ノズルからタンディッシュの中央部に溶鋼が供給され、舟の舳先に相当する両端部の流出口から2つの連続鋳造機の鋳型に耐火物のノズルを通じて溶鋼が流出される。タンディッシュの両端部の流出口には、例えば上下に移動して流出口の開口面積を調整する棒状のストッパーが設けられており、このストッパーによりタンディッシュ内の溶鋼の流量制御が行われている。
タンディッシュは、上述のように流量を制御しつつ溶鋼を鋳型に供給する機能を持つほかに、鋼の精錬時に不可避的に混入した酸化物であるスラグや、脱酸のために添加されたアルミから生成されるアルミナなどの非金属介在物を、その比重が鋼の比重よりも小さいことを利用してタンディッシュ内で浮上分離させる機能を有している。これにより、溶鋼中の大量の非金属介在物やスラグがそのまま鋳型内に供給され鋳片に混入することがなく、非金属介在物などが原因で生じる圧延時の疵などを抑制できる。
一方、タンディッシュは上述の機能を有するが、タンディッシュから鋳型に流出した溶鋼の凝固を防止するため、タンディッシュ内では、鋳型内の溶鋼の凝固が始まるいわゆる液相線温度に過熱度(スーパーヒート)と呼称される付加的温度を付与するように溶鋼を加熱している。
このようにタンディッシュ内の溶鋼を加熱するため、例えばタンディッシュ内に円筒形状の溶鋼溜まり部を形成し、当該溶鋼溜まり部の外周を取り囲むように誘導加熱コイルを配置することが提案されている。かかる場合、取鍋から注入ノズルを通じてタンディッシュ内に流入した溶鋼は、一旦溶鋼溜まり部に溜められる。そして、誘導加熱コイルに交流電流を供給することにより、溶鋼溜まり部に溜まった溶鋼が加熱される。その後、加熱された溶鋼は、タンディッシュの流出口から鋳型に流出する(特許文献1)。
特開2008−100248号公報
しかしながら、従来のタンディッシュは、タンディッシュ内に流入した溶鋼を加熱する機能は備えているが、溶鋼を冷却する機能は備えていない。そうすると、例えば取鍋からタンディッシュ内に流入した溶鋼の温度が所定の目標温度、すなわち液相線温度に目標とする過熱度を付加した温度よりも高い場合、溶鋼が放熱して目標温度に冷却されるまで、溶鋼をタンディッシュ内に貯留しておく必要がある。この場合、溶鋼が冷却されるのに時間がかかり、溶鋼の連続鋳造速度が低下するため、鋼の生産性が低下する。
タンディッシュ内の溶鋼を短時間で冷却することのみを考慮すると、タンディッシュ内に冷却剤を投入することが考えられる。しかしながら、この方法では、冷却剤の投入量の調整が難しく、溶鋼を目標温度に調整する精度も良くない。また、冷却剤を含む溶鋼が鋳型に流れてしまい、鋼の品質が低下するおそれもある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、連続鋳造用のタンディッシュにおいて、溶鋼を所定の目標温度に調整しつつ、鋼の生産性を向上させることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、鋼の連続鋳造用のタンディッシュであって、取鍋からの溶鋼の流入部と、溶鋼を所定の温度に調整する温度調整部とを有し、前記温度調整部は、前記流入部の下方に配置され、上面が開口し、側壁がスリットにより複数の水冷銅セグメントに分割された円筒形状の本体と、前記本体の側壁外周に配置された誘導加熱コイルと、を有することを特徴としている。
本発明によれば、流入部の下方に、水冷銅セグメントの本体と誘導加熱コイルとを有する温度調整部が設けられているので、例えば取鍋からタンディッシュ内に流入した溶鋼が目標温度よりも高い場合でも、温度調整部において、水冷銅セグメントを流通する冷却水により溶鋼を目標温度まで短時間で冷却することができる。その後、誘導加熱コイルに通電する電流を調整して、溶鋼を目標温度に維持することができる。また、例えば取鍋からタンディッシュ内に流入した溶鋼が目標温度よりも低い場合には、温度調整部において、誘導加熱コイルにより溶鋼を目標温度まで短時間で加熱して目標温度に維持することができる。したがって、タンディッシュ内に流入した溶鋼の温度に関わらず、溶鋼を短時間で目標温度に調整することができる。この結果、溶鋼の連続鋳造速度を低下させることなく、鋼の生産性を向上させることができる。
前記本体の側壁高さに対する側壁内径の比は、1以上であってもよい。
前記本体の側壁上方には堰が設けられ、前記側壁と前記堰との間には開口部が形成されていてもよい。
前記堰の流入部側の側面が、前記本体の側壁の内側面よりも流入部側に張り出していてもよい。
別の観点による本発明は、前記連続鋳造用タンディッシュを用いた鋼の連続鋳造方法であって、少なくとも前記本体の水冷銅セグメントを流通する冷却水の調整、又は前記誘導加熱コイルを通電する電流の調整、のいずれか一方又は両方を行い、前記流入部から前記本体内に流入した溶鋼を所定の温度に調整することを特徴としている。
本発明によれば、溶鋼を所定の目標温度に調整しつつ、鋼の生産性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるタンディッシュ1の構成の概略を示す縦断面の説明図である。図2は、タンディッシュ1の横断面の説明図である。
例えばタンディッシュ1は、図1及び図2に示すように外形が水平方向(図1及び図2中のY方向)に長い細長形状に形成され、内部に溶鋼Mを貯留できる。なお、本実施の形態において、図1及び図2中のX方向をタンディッシュ1の幅方向といい、Y方向をタンディッシュ1の長さ方向という。
例えばタンディッシュ1の中央付近の天井面1aには、流入部としての注入ノズル10が下方向に向けて挿入されている。この注入ノズル10により、上方の取鍋11からタンディッシュ1内に溶鋼Mを流入させることができる。タンディッシュ1の端部付近の底面1bには、流出口12が形成されている。流出口12には、図示しない連続鋳造機の鋳型に連通するノズル13が接続されている。この流出口12とノズル13により、タンディッシュ1内の溶鋼Mを鋳型に供給できる。そして、タンディッシュ1内には、注入ノズル10から溶鋼Mが流入され、流出口12から排出されるので、注入ノズル10側から流出口12側に向かって溶鋼の流れが形成される。
流出口12の上方には、流量調節棒14が設けられている。流量調節棒14は、上下動して流出口12の開口面積を変えて、タンディッシュ1内の溶鋼Mの流量を調整できる。
タンディッシュ1内には、注入ノズル10からタンディッシュ1内に流入した溶鋼Mを所定の目標温度に調整する温度調整部20が設けられている。温度調整部20は、上面が開口した円筒形状の本体21を有し、本体21は、注入ノズル10の下方に配置されている。本体21内には、注入ノズル10からの溶鋼Mが流入して溶鋼溜まり部Sが形成されている。本体21の側壁22は、図3に示すように、その高さHに対する内径Dの比が1以上になるように設けられている。側壁22は、スリット23により、鉛直方向に複数、例えば8つの水冷銅セグメント24に分割されている。スリット23には例えば雲母が充填され、スリット23は、当該スリット23から溶鋼Mが流入出しないように例えば0.1mm幅に形成されている。水冷銅セグメント24の内部には、冷却水が流通する冷却水路25が形成されている。水冷銅セグメント24は、この冷却水により本体21内の溶鋼Mを冷却することができる。また、本体21の下面には、耐火物底部26が設けられている。耐火物底部26は、例えばタンディッシュ1の底面1bと同じ高さに設けられている。
本体21の側壁22の外周には、誘導加熱コイル30が設けられている。誘導加熱コイル30は、コイルに交流電流を通電することにより、本体21内の溶鋼Mを誘電加熱することができる。この誘導加熱について詳述すると、先ず、誘導加熱コイル30に電流が流れると、水冷銅セグメント24に誘電起電力が発生する。ここで、水冷銅セグメント24はスリット23により相互に隔てられているために、各水冷銅セグメント24内の誘導電流は、隣接する他の水冷銅セグメント24には流れない。そうすると、この水冷銅セグメント24内の誘導電流によって、本体21内の溶鋼Mに渦電流が流れ、溶鋼Mが加熱される。そして、この誘導加熱コイル30による溶鋼Mの加熱において、例えばコイル内の電流や電圧を調整して溶鋼Mへの入熱を調整することにより、溶鋼Mの加熱温度を調整することができる。なお、このように溶鋼Mが加熱されるのは、側壁22がスリット23によって水冷銅セグメント24に分割されているためであり、例えば側壁にスリットが設けられていない場合には、誘導電流は側壁内を円周に沿って流れ、上述したような渦電流が溶鋼に発生せず、溶鋼がほとんど加熱されない。
本体21の側壁22の上面には、図1及び図3に示すように、誘導加熱コイル30を覆うように耐火物リング31が設けられている。耐火物リング31の中央部分は、本体21の上面の開口部と同一形状に開口している。耐火物リング31において、タンディッシュ1の幅方向(図1及び図3中のX方向)に延伸する外周部は、誘導加熱コイル30の外側に設けられた耐火物側壁32に支持されている。耐火物側壁32は、タンディッシュ1の底面1bに固定され、底面1bから上方向に向けて立設している。したがって、これら側壁22、耐火物リング31及び耐火物側壁32は、誘導加熱コイル30を囲うように設けられている。
一方、図4に示すように、耐火物リング31において、タンディッシュ1の長さ方向(図4中のY方向)に延伸する外周部は、タンディッシュ1の長手側壁1cに固定されている。すなわち、長手側壁1cの下部に切欠き部33が形成され、誘導加熱コイル30が露出している。なお、切欠き部33には、例えば誘導加熱コイル30を覆うようにステンレス鉄皮が設けられていてもよい。
次に、以上のように構成されたタンディッシュ1の作用について説明する。図5は、温度調整部20における溶鋼Mの過熱度と、誘導加熱コイル30による溶鋼Mへの入熱とを経時的に示した説明図である。なお、図5における温度調整時間の長さや誘導加熱コイル30による入熱は、技術の理解の容易さを優先させるため、必ずしも実値に対応していない。また、本実施の形態において、図5は溶鋼Mの目標温度である過熱度(スーパーヒート)を20℃とした場合を示している。
先ず、図6に示すように、取鍋11から注入ノズル10を介してタンディッシュ1内に溶鋼Mが供給される。注入ノズル10から供給された溶鋼Mは、温度調整部20の本体21内に流入する。本体21内において、溶鋼Mは、耐火物底部26に衝突し、側壁22に向かって拡散する。その後、溶鋼Mは、側壁22に沿って湯面Mに向かって上昇する。
ここで、図5に示すように、注入ノズル10から流入した溶鋼Mが、目標温度よりも高い場合、水冷銅セグメント24の冷却流路25に、例えば一定温度の冷却水を一定流量で流通させて、本体21内の溶鋼Mを目標温度まで冷却する。このとき、溶鋼Mが過度に冷却されるのを防止するため、誘電加熱コイル30に電流を流し、溶鋼Mへの入熱を経時的に増加させてもよい。本体21内の溶鋼Mが目標温度に達すると、その後、溶鋼Mが放熱して冷却されるのを防止するため、誘導加熱コイル30による入熱をさらに増加させ、溶鋼Mの温度を目標温度に維持する。
一方、注入ノズル10から流入した溶鋼Mが、所定の目標温度よりも低い場合、誘電加熱コイル30によって溶鋼Mを目標温度まで加熱する。その後、誘導加熱コイル30による溶鋼Mへの入熱を調整して、溶鋼Mの温度を目標温度に維持する。
このように温度調整部20において目標温度に調整された溶鋼Mは、図6に示すように、耐火物リング31の上方から流出口12に向かって流れる。このとき、溶鋼M中に含まれる介在物やスラグが湯面Mに浮上し除去される。
その後、目標温度に調整され、介在物やスラグが除去された溶鋼Mは、流出口12から流出し、ノズル13を通じて連続鋳造機の鋳型に供給される。
以上の実施の形態によれば、タンディッシュ1の注入ノズル10の下方に、水冷銅セグメント24と誘導加熱コイル30とを有する温度調整部20が設けられたので、例えば注入ノズル10から流入した溶鋼Mが目標温度よりも高い場合でも、温度調整部20において、水冷銅セグメント24を流通する冷却水により溶鋼Mを目標温度まで短時間で冷却することができる。その後、誘導加熱コイル30による溶鋼Mへの入熱を調整して、溶鋼Mを目標温度に維持することができる。また、例えば注入ノズル10から流入した溶鋼Mが目標温度よりも低い場合には、温度調整部20において、誘導加熱コイル30により溶鋼Mを目標温度まで短時間で加熱して目標温度に維持することができる。したがって、タンディッシュ1内に流入した溶鋼Mの温度に関わらず、溶鋼Mを短時間で目標温度に調整することができる。この結果、溶鋼Mの連続鋳造速度を低下させることなく、鋼の生産性を向上させることができる。
また、本体21の側壁22の上部には注入ノズル10があるため、その高さHを大きくすることには制限があることから、本体21の側壁22の高さHに対する内径Dの比が1以上とすることで、本体21内に溶鋼Mを十分に溜めることができ、本体21内の溶鋼Mを確実に目標温度に調整することができるため、好ましい。なお、本実施の形態では、耐火物底部26は、タンディッシュ1の底面1bと同じ高さに設けられていたが、底面1bより低く設けられていてもよい。かかる場合、本体21内にさらに多量の溶鋼Mを溜めることができ、本体21内の溶鋼Mをより確実に目標温度に調整することができる。
なお、以上の実施の形態では、水冷銅セグメント24の冷却流路25には、一定温度の冷却水を一定流量で流通させていたが、注入ノズル10からタンディッシュ1内に流入する溶鋼Mの温度に応じて、冷却水の温度あるいは流量の一方又は両方を調整して本体21内の溶鋼Mを冷却してもよい。
以上の実施の形態のタンディッシュ1において、図7及び図8に示すように、側壁22の上方に堰40を設けてもよい。堰40は、タンディッシュ1の幅方向(図7及び図8中のX方向)に延伸している。堰40と耐火物リング31の間には、開口部41が形成されている。かかる場合、本体21内で側壁22に沿って上昇する溶鋼Mは、湯面Mに向かって流れ、堰40の注入ノズル10側で上下方向に対流し攪拌される。このように本体21内で溶鋼Mが攪拌されるので、溶鋼Mを均一に効率よく温度調整することができる。また、堰40の注入ノズル10側で溶鋼M中の介在物やスラグを浮上させて、堰40で捕集することができる。さらにこのとき、溶鋼Mの攪拌流により、これら介在物やスラグが相互に凝集して粗大化するため、粗大化した介在物やスラグは浮上しやすくなり、堰40に捕集されやすくなる。
なお、以上の実施の形態において、堰40の注入ノズル10側の側面は、図9に示すように側壁22の内側面よりも注入ノズル10側に張り出していてもよい。かかる場合、本体21内で側壁22に沿って上昇する溶鋼Mは、堰40の下面に衝突し、衝突した溶鋼Mは、注入ノズル10側に向かって流れて対流する。このように溶鋼Mの上昇流が弱められるので、例えば注入ノズル10から溶鋼Mが高速供給された場合にも、湯面Mを穏やかな状態に保ち、上昇流による湯面M付近のスラグの巻き込みを抑制できる。
以下、タンディッシュ内に供給される溶鋼が所定の目標温度よりも高い場合に、本発明のタンディッシュを用いて溶鋼を温度調整する効果について説明する。本発明のタンディッシュとしては、先に図1に示した2ストランド用のタンディッシュ1を用いた。
溶鋼は、5ton/分/ストランドの速度で、2ストランドの合計で10(ton/分)=167(kg/秒)の速度でタンディッシュ1内に供給される。溶鋼は、図10に示すように30分間供給され、合計300ton供給される。溶鋼の比熱は、750J/kg・Kである。なお、本実施例において、所定の目標温度である過熱度は20℃であり、タンディッシュ1内に供給される溶鋼の過熱度は、鋳造開始時には30℃であって、その後徐々に低下し、鋳造終了時には20℃になっている。
タンディッシュ1において、誘導加熱コイル30による溶鋼への最大入熱は3(MW)=3×10(J/秒)である。また、この誘導加熱コイル30の入熱による溶鋼温度上昇への寄与率は0.7であることを操業実績の測定値により確認している。そうすると、誘導加熱コイル30の最大加熱能力、すなわち誘導加熱分の最大の過熱度は、3×10(J/秒)×0.7/{167(kg/秒)×750(J/kg・K)}=17(K)になる。
また、タンディッシュ1において、本体21の側壁22の内径は、0.5mであり、側壁22の高さは、0.5mである。側壁22の水冷銅セグメント24を流れる冷却水の流量は、側壁22の周長1mあたり2m/分である。また、単位流量あたりの側壁22による溶鋼の抜熱は、0.65(MW/m)=6.5×10(J/m・秒)であることを操業実績の測定値により確認している。したがって、側壁22の周長は2π×0.5=3.14(m)で、側壁22の高さが0.5mであるから、側壁22による溶鋼の冷却、すなわち抜熱は、6.5×10(J/m・秒)×3.14(m)×0.5(m)=1.02×10(J/秒)になる。そうすると、側壁22の冷却能力、すなわち冷却水の抜熱分の過熱度は一定で、1.02×10(J/秒)/{167(kg/秒)×750(J/kg・K)}=8(K)になる。
タンディッシュ1の底面及び側壁による溶鋼の抜熱は5600W/mであり、湯面からの放熱は24000W/mであることを操業実績の測定値により確認している。本実施例において、溶鋼と接触しているタンディッシュ1の底面及び側壁の耐火物の伝熱面積は30mであり、湯面の面積は10mである。そうすると、タンディッシュ1内の耐火物及び湯面からの抜熱は、(5600(W/m)×30(m)+24000(W/m)×10(m))/1000000=0.408(MW)となる。そして、上記の算出式より、抜熱1MWに対する抜熱分の過熱度は8Kであるので、耐火物及び湯面からの抜熱によるタンディッシュ1内の溶鋼の温度低下、すなわち耐火物等抜熱分の過熱度は、8(K)×0.408(MW)/1.02(MW)=3.2(K)となる。
そして、タンディッシュ1の溶鋼の温度調整効果を調査するため、タンディッシュ1の入側の溶鋼の過熱度(以下、「入側温度」という。)として、注入ノズル10付近の溶鋼の温度を測定し、タンディッシュ1の出側の溶鋼の過熱度(以下、「出側温度」という。)として、流出口12付近の溶鋼の温度を測定した。
以上の条件で溶鋼の鋳造を行った結果を図10及び表1に示す。なお、参考例として、温度調整を行わない従来のタンディッシュを用いて溶鋼を鋳造した場合のタンディッシュの出側温度の変化を図10に示す。この場合の溶鋼等の条件は、上述した条件と同じである。かかる場合、上述したように耐火物及び湯面からの抜熱によるタンディッシュ内の溶鋼の温度低下は3.2Kであるため、タンディッシュの出側温度は入側温度より3.2K低くなる。したがって、本参考例においては、タンディッシュの入側温度が30℃から20℃に時系列的に変化するので、溶鋼を目標温度に調整することができない。
これに対し、本発明のタンディッシュ1を用いた場合には、図10に示すように側壁22の水冷銅セグメント24によって溶鋼を冷却すると共に、タンディッシュ1の入側温度の変化に伴い、誘導加熱コイル30による溶鋼への入熱を調整した。すなわち、入側温度が高い場合には、誘導加熱コイル30による入熱を抑え、入側温度が低い場合には、誘導加熱コイル30による入熱を増加させた。その結果、表1に示すように、例えば入側温度が30Kである鋳造開始時において、誘導加熱コイル30による入熱を0.18MWに抑えて誘導加熱分の過熱度を1Kとすると、出側温度を目標温度の20Kにすることができた。また、例えば入側温度が20Kである鋳造終了時において、誘導加熱コイル30による入熱を1.9MWに増加させて誘導加熱分の加熱温度を11Kとすると、出側温度を目標温度の20Kにすることができた。このように誘導加熱コイル30の入熱を調整して、図10に示すように出側温度を常に目標温度の20Kに維持することができた。したがって、本発明のタンディッシュ1を用いれば、タンディッシュ1内に供給される溶鋼の温度に関わらず、溶鋼を所定の目標温度に調整できることが分かった。
Figure 2010089153
本発明は、連続鋳造用のタンディッシュを用いて、取鍋から鋳型に溶鋼を供給する際に有用であり、特にタンディッシュ内の溶鋼の温度調整に有用である。
本実施の形態にかかるタンディッシュの構成の概略を示す縦断面の説明図である。 本実施の形態にかかるタンディッシュの横断面の説明図である。 温度調整部の縦断面の斜視図である。 温度調整部及び注入ノズルを側方から見たタンディッシュの縦断面の説明図である。 温度調整部における溶鋼の過熱度と誘導加熱コイルによる溶鋼への入熱とを経時的に示した説明図である。 タンディッシュ内の溶鋼の流れの様子を示すタンディッシュの縦断面の説明図である。 本体の側壁の上方に堰を設けた場合のタンディッシュの構成の概略を示す縦断面の説明図である。 温度調整部及び堰を側方から見たタンディッシュの縦断面の説明図である。 堰の注入ノズル側の側面を注入ノズル側に張り出させた場合のタンディッシュの縦断面の説明図である。 実施例において、タンディッシュ内の溶鋼の過熱度と誘導加熱コイルによる溶鋼への入熱とを経時的に示した説明図である。
符号の説明
1 タンディッシュ
10 注入ノズル
11 取鍋
12 流出口
13 ノズル
14 流量調節棒
20 温度調整部
21 本体
22 側壁
23 スリット
24 水冷銅セグメント
25 冷却水路
26 耐火物底部
30 誘導加熱コイル
31 耐火物リング
32 耐火物側壁
33 切欠き部
40 堰
41 開口部
M 溶鋼
S 溶鋼溜まり部

Claims (5)

  1. 鋼の連続鋳造用のタンディッシュであって、
    取鍋からの溶鋼の流入部と、溶鋼を所定の温度に調整する温度調整部とを有し、
    前記温度調整部は、
    前記流入部の下方に配置され、上面が開口し、側壁がスリットにより複数の水冷銅セグメントに分割された円筒形状の本体と、
    前記本体の側壁外周に配置された誘導加熱コイルと、を有することを特徴とする、連続鋳造用タンディッシュ。
  2. 前記本体の側壁高さに対する側壁内径の比は、1以上であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ。
  3. 前記本体の側壁上方には堰が設けられ、
    前記側壁と前記堰との間には開口部が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の連続鋳造用タンディッシュ。
  4. 前記堰の流入部側の側面が、前記本体の側壁の内側面よりも流入部側に張り出していることを特徴とする、請求項3に記載の連続鋳造用タンディッシュ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の連続鋳造用タンディッシュを用いた鋼の連続鋳造方法であって、
    少なくとも前記本体の水冷銅セグメントを流通する冷却水の調整、又は前記誘導加熱コイルを通電する電流の調整、のいずれか一方又は両方を行い、前記流入部から前記本体内に流入した溶鋼を所定の温度に調整することを特徴とする、連続鋳造方法。
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