JPH08257707A - 高清浄度鋼の溶製方法 - Google Patents
高清浄度鋼の溶製方法Info
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- JPH08257707A JPH08257707A JP9144995A JP9144995A JPH08257707A JP H08257707 A JPH08257707 A JP H08257707A JP 9144995 A JP9144995 A JP 9144995A JP 9144995 A JP9144995 A JP 9144995A JP H08257707 A JPH08257707 A JP H08257707A
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- steel
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- Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 竪型タンディッシュを使用して、定常部,非
定常部に拘らず高度に清浄化された溶鋼を得る。 【構成】 成分調整領域20,強制撹拌領域30,温度
調整領域40及び鎮静整流領域50を縦方向に区分して
設けた竪型タンディッシュを使用し、取鍋交換時,取鍋
内溶鋼注入終了時等の非定常部における撹拌位置及び撹
拌強度を溶鋼1の湯面レベルに応じて調整する。 【効果】 介在物の凝集肥大化及び浮上分離が促進さ
れ、定常部,非定常部に拘らず高度に清浄化された溶鋼
1が連鋳用鋳型4に注湯される。また、大気による汚染
を防止し、成分・温度も高精度でコントロールされる。
定常部に拘らず高度に清浄化された溶鋼を得る。 【構成】 成分調整領域20,強制撹拌領域30,温度
調整領域40及び鎮静整流領域50を縦方向に区分して
設けた竪型タンディッシュを使用し、取鍋交換時,取鍋
内溶鋼注入終了時等の非定常部における撹拌位置及び撹
拌強度を溶鋼1の湯面レベルに応じて調整する。 【効果】 介在物の凝集肥大化及び浮上分離が促進さ
れ、定常部,非定常部に拘らず高度に清浄化された溶鋼
1が連鋳用鋳型4に注湯される。また、大気による汚染
を防止し、成分・温度も高精度でコントロールされる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、精錬機能を備えたタン
ディッシュで不純物を除去し、連鋳用鋳型に注湯される
溶鋼を定常部又は非定常部に拘らず高度に清浄化する溶
製方法に関する。
ディッシュで不純物を除去し、連鋳用鋳型に注湯される
溶鋼を定常部又は非定常部に拘らず高度に清浄化する溶
製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】転炉,電気炉等の精錬炉で溶製された溶
鋼は、取鍋及びタンディッシュを経て連鋳用鋳型に送り
込まれ、連鋳スラブに製造される。スラブの清浄度を高
めるため、精錬炉における操業条件や取鍋内での精錬条
件等に関して種々の改良が施されてきている。取鍋内で
は、各種精錬剤が必要に応じて添加され、溶鋼に含まれ
ている不純物元素が除去される。また、真空処理によっ
て溶鋼を脱ガスする場合もある。このようにして清浄度
が高められた溶鋼は、タンディッシュを介して連鋳用鋳
型に注湯される。しかし、溶鋼は、タンディッシュを通
過する間に雰囲気ガスや耐火物ライニングと接触し、ガ
ス吸収やライニング材の溶出等によって汚染され易い。
また、取鍋からタンディッシュに供給された溶鋼には、
精錬反応によって生成したAl2 O3 等の介在物が溶鋼
から除去されずに残留している。更に、転炉等での精錬
により生じた酸化物等の不純物を含むスラグの一部が取
鍋内の溶鋼表面に残留浮遊している場合もある。
鋼は、取鍋及びタンディッシュを経て連鋳用鋳型に送り
込まれ、連鋳スラブに製造される。スラブの清浄度を高
めるため、精錬炉における操業条件や取鍋内での精錬条
件等に関して種々の改良が施されてきている。取鍋内で
は、各種精錬剤が必要に応じて添加され、溶鋼に含まれ
ている不純物元素が除去される。また、真空処理によっ
て溶鋼を脱ガスする場合もある。このようにして清浄度
が高められた溶鋼は、タンディッシュを介して連鋳用鋳
型に注湯される。しかし、溶鋼は、タンディッシュを通
過する間に雰囲気ガスや耐火物ライニングと接触し、ガ
ス吸収やライニング材の溶出等によって汚染され易い。
また、取鍋からタンディッシュに供給された溶鋼には、
精錬反応によって生成したAl2 O3 等の介在物が溶鋼
から除去されずに残留している。更に、転炉等での精錬
により生じた酸化物等の不純物を含むスラグの一部が取
鍋内の溶鋼表面に残留浮遊している場合もある。
【0003】溶鋼に含まれている介在物は、連鋳時には
浸漬ノズル等を閉塞させる原因となり、鋳造条件を不安
定にする。介在物が連鋳スラブに持ち込まれると、後続
する圧延段階で疵発生原因となり、歩留りを低下させ
る。そこで、タンディッシュ内の溶鋼に含まれている介
在物を除去するため、従来から種々の提案がされてい
る。たとえば、特開平1−224152号公報では、溶
鋼に含まれている介在物の浮上分離を促進させるよう
に、タンディッシュ内で溶鋼の流動方向を強制的に変更
させて上昇流を作る複数の堰を設けたタンディッシュが
紹介されている。特開平1−142651号公報,特開
平3−17221号公報等では、タンディッシュ内部を
堰で上流側と下流側に区分し、真空脱ガス装置を介して
上流側から下流側に溶鋼を送っている。
浸漬ノズル等を閉塞させる原因となり、鋳造条件を不安
定にする。介在物が連鋳スラブに持ち込まれると、後続
する圧延段階で疵発生原因となり、歩留りを低下させ
る。そこで、タンディッシュ内の溶鋼に含まれている介
在物を除去するため、従来から種々の提案がされてい
る。たとえば、特開平1−224152号公報では、溶
鋼に含まれている介在物の浮上分離を促進させるよう
に、タンディッシュ内で溶鋼の流動方向を強制的に変更
させて上昇流を作る複数の堰を設けたタンディッシュが
紹介されている。特開平1−142651号公報,特開
平3−17221号公報等では、タンディッシュ内部を
堰で上流側と下流側に区分し、真空脱ガス装置を介して
上流側から下流側に溶鋼を送っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】タンディッシュ内部に
堰を設けると、浮上分離効果によって溶鋼の清浄度は確
かに向上する。しかし、鋼材の清浄度に対する要求が苛
酷になってきている最近、堰による浮上分離作用だけで
は、要求される清浄度まで溶鋼の介在物を除去すること
は困難である。また、一般に定常部と称される取鍋から
溶鋼が安定供給される時期には満足のいく清浄度の鋼が
溶製できても、注湯初期や取鍋交換時,注湯末期等の非
定常部では、大気による再酸化で生成した介在物や取鍋
上部に残留していたスラグを巻き込んで鋳型に流入する
汚染された溶鋼が増加するため、要求清浄度をもつ鋼材
の生産歩留りが低下する。しかも、非定常部では、タン
ディッシュ内の溶鋼レベルが一次的に低下するため、介
在物の浮上促進に必要な浴深の確保が困難になる。
堰を設けると、浮上分離効果によって溶鋼の清浄度は確
かに向上する。しかし、鋼材の清浄度に対する要求が苛
酷になってきている最近、堰による浮上分離作用だけで
は、要求される清浄度まで溶鋼の介在物を除去すること
は困難である。また、一般に定常部と称される取鍋から
溶鋼が安定供給される時期には満足のいく清浄度の鋼が
溶製できても、注湯初期や取鍋交換時,注湯末期等の非
定常部では、大気による再酸化で生成した介在物や取鍋
上部に残留していたスラグを巻き込んで鋳型に流入する
汚染された溶鋼が増加するため、要求清浄度をもつ鋼材
の生産歩留りが低下する。しかも、非定常部では、タン
ディッシュ内の溶鋼レベルが一次的に低下するため、介
在物の浮上促進に必要な浴深の確保が困難になる。
【0005】清浄度を高めるために複数の堰を設けたタ
ンディッシュでは、タンディッシュの保守管理が面倒に
なり、結果として製造コストを上昇させる原因になる。
しかも、浮上分離を促進させるために溶鋼の表面積を十
分に確保する必要があるが、表面積が大きな場合には雰
囲気からガス成分が吸収され易く、溶鋼の[O],
[N]等が高くなる。堰によってタンディッシュ内部を
区分した上流側と下流側とを真空脱ガス装置で連絡する
方法では、設備構成が複雑になる。また、タンディッシ
ュが大気に開放されていると、下流側で溶鋼が大気から
ガス成分を吸収し、真空脱ガスの処理効果が損なわれ
る。ガス成分の吸収は、タンディッシュ全体を密閉雰囲
気に保持することによって防止できる。しかし、それに
よって設備構成が一層複雑化し、タンディッシュの占有
スペースも大きくなるため、実際的な解決策ではない。
ンディッシュでは、タンディッシュの保守管理が面倒に
なり、結果として製造コストを上昇させる原因になる。
しかも、浮上分離を促進させるために溶鋼の表面積を十
分に確保する必要があるが、表面積が大きな場合には雰
囲気からガス成分が吸収され易く、溶鋼の[O],
[N]等が高くなる。堰によってタンディッシュ内部を
区分した上流側と下流側とを真空脱ガス装置で連絡する
方法では、設備構成が複雑になる。また、タンディッシ
ュが大気に開放されていると、下流側で溶鋼が大気から
ガス成分を吸収し、真空脱ガスの処理効果が損なわれ
る。ガス成分の吸収は、タンディッシュ全体を密閉雰囲
気に保持することによって防止できる。しかし、それに
よって設備構成が一層複雑化し、タンディッシュの占有
スペースも大きくなるため、実際的な解決策ではない。
【0006】本発明者等は、このような問題を解決する
ものとして、竪型タンディッシュを特願平7−3012
3号で提案した。この竪型タンディッシュでは、内部を
上から下に向かって流れる溶鋼に対し成分調整,介在物
浮上分離,温度調整,鎮静整流化等の処理が順次施さ
れ、高度に清浄化された溶鋼が連鋳用鋳型に送り出され
る。また、竪型であることから、雰囲気に開放された開
口面積も従来の舟型タンディッシュに比較して小さく、
雰囲気ガスの吸収も抑制される。本発明は、この舟型タ
ンディッシュを更に改良したものであり、連鋳操業時に
おける溶鋼の清浄度変化やタンディッシュ内溶鋼のレベ
ル変動に応じて介在物凝集機構を適正な位置で適度に作
用させることにより、定常部又は非定常部に拘らず高清
浄度の溶鋼を整流化して連鋳用鋳型に注湯し、清浄度の
高い連鋳片を得ることを目的とする。
ものとして、竪型タンディッシュを特願平7−3012
3号で提案した。この竪型タンディッシュでは、内部を
上から下に向かって流れる溶鋼に対し成分調整,介在物
浮上分離,温度調整,鎮静整流化等の処理が順次施さ
れ、高度に清浄化された溶鋼が連鋳用鋳型に送り出され
る。また、竪型であることから、雰囲気に開放された開
口面積も従来の舟型タンディッシュに比較して小さく、
雰囲気ガスの吸収も抑制される。本発明は、この舟型タ
ンディッシュを更に改良したものであり、連鋳操業時に
おける溶鋼の清浄度変化やタンディッシュ内溶鋼のレベ
ル変動に応じて介在物凝集機構を適正な位置で適度に作
用させることにより、定常部又は非定常部に拘らず高清
浄度の溶鋼を整流化して連鋳用鋳型に注湯し、清浄度の
高い連鋳片を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、その目的を達
成するため、ロングノズルを介して取鍋から送り込まれ
た溶鋼を下降流として連鋳用鋳型に送り出す竪型の炉体
をもち、該炉体の上方から下方に向けて成分調整機構,
介在物凝集機構,温度調整機構及び鎮静整流機構が設け
られているタンディッシュを用いて高清浄度鋼を溶製す
る際、前記タンディッシュ内の溶鋼湯面高さを検出し、
検出された湯面高さに応じて介在物凝集機構の導入位置
及びその撹拌動力を制御することを特徴とする。本発明
で使用される竪型タンディッシュは、内部の溶鋼下降流
に対して各種作用を効果的に付与するため、直径に対す
る軸方向長さの比率が1.0以上の円筒形炉殻を持つこ
とが好ましい。
成するため、ロングノズルを介して取鍋から送り込まれ
た溶鋼を下降流として連鋳用鋳型に送り出す竪型の炉体
をもち、該炉体の上方から下方に向けて成分調整機構,
介在物凝集機構,温度調整機構及び鎮静整流機構が設け
られているタンディッシュを用いて高清浄度鋼を溶製す
る際、前記タンディッシュ内の溶鋼湯面高さを検出し、
検出された湯面高さに応じて介在物凝集機構の導入位置
及びその撹拌動力を制御することを特徴とする。本発明
で使用される竪型タンディッシュは、内部の溶鋼下降流
に対して各種作用を効果的に付与するため、直径に対す
る軸方向長さの比率が1.0以上の円筒形炉殻を持つこ
とが好ましい。
【0008】介在物凝集機構としては、溶鋼に不活性ガ
スを吹き込む多孔質ノズルを炉壁の縦方向に少なくとも
二段以上設けたものが使用される。この場合、検出され
た湯面高さに応じて不活性ガスを吹き込む多孔質ノズル
を選択し、且つ不活性ガスの吹込み流量を調整する。或
いは、炉体を取り囲む電磁撹拌装置を備えた介在物凝集
機構を使用することもできる。この場合には、検出され
た湯面高さに応じて撹拌用磁極の位置を変更し、且つ磁
場強度を調整する。成分調整機構としては、ワイヤ状,
粉末状,顆粒状,ペレット状等の成分調整材を溶鋼の表
層部に供給する機構を備えたものが使用される。なかで
も、効果的な成分調整をする手段としては、ワイヤフィ
ーダが効果的である。温度調節機構としては、誘導コイ
ルへの電流印加による誘導加熱方式が好適である。ま
た、鎮静整流機構としては、溶鋼に静磁場を印加して整
流化させるコイルが炉体を取り囲むように設けられる。
スを吹き込む多孔質ノズルを炉壁の縦方向に少なくとも
二段以上設けたものが使用される。この場合、検出され
た湯面高さに応じて不活性ガスを吹き込む多孔質ノズル
を選択し、且つ不活性ガスの吹込み流量を調整する。或
いは、炉体を取り囲む電磁撹拌装置を備えた介在物凝集
機構を使用することもできる。この場合には、検出され
た湯面高さに応じて撹拌用磁極の位置を変更し、且つ磁
場強度を調整する。成分調整機構としては、ワイヤ状,
粉末状,顆粒状,ペレット状等の成分調整材を溶鋼の表
層部に供給する機構を備えたものが使用される。なかで
も、効果的な成分調整をする手段としては、ワイヤフィ
ーダが効果的である。温度調節機構としては、誘導コイ
ルへの電流印加による誘導加熱方式が好適である。ま
た、鎮静整流機構としては、溶鋼に静磁場を印加して整
流化させるコイルが炉体を取り囲むように設けられる。
【0009】
【作用】以下、図面を参照しながら、本発明をその作用
と共に具体的に説明する。定常部の溶鋼に対して本発明
が適用されている状態を図1に示す。本発明で使用する
タンディッシュは、図1に示すように垂直方向に長い炉
体10をもっている。炉体10は、上方から成分調整機
構20,介在物凝集機構30,温度調整機構40及び鎮
静整流機構50が区分して設けられるように、垂直方向
に長い形状になっている。たとえば、直径Dに対する軸
方向長さHの比H/Dが1.0以上の円筒状の炉殻をも
つことが好ましい。円筒状の炉内空間は、収容した溶鋼
1を均等に流動させ、滞留部分を作らない上でも有効で
ある。溶鋼1は、たとえば取鍋5に装着しているロング
ノズル2から炉体10の内部に送り込まれ、タンディッ
シュ内部を下降する過程で成分調整,介在物除去,温度
調整,鎮静化等の処理を受ける。そして、底壁11に設
けられている浸漬ノズル3から連鋳用鋳型4に送り出さ
れ、スラブ等として鋳造される。
と共に具体的に説明する。定常部の溶鋼に対して本発明
が適用されている状態を図1に示す。本発明で使用する
タンディッシュは、図1に示すように垂直方向に長い炉
体10をもっている。炉体10は、上方から成分調整機
構20,介在物凝集機構30,温度調整機構40及び鎮
静整流機構50が区分して設けられるように、垂直方向
に長い形状になっている。たとえば、直径Dに対する軸
方向長さHの比H/Dが1.0以上の円筒状の炉殻をも
つことが好ましい。円筒状の炉内空間は、収容した溶鋼
1を均等に流動させ、滞留部分を作らない上でも有効で
ある。溶鋼1は、たとえば取鍋5に装着しているロング
ノズル2から炉体10の内部に送り込まれ、タンディッ
シュ内部を下降する過程で成分調整,介在物除去,温度
調整,鎮静化等の処理を受ける。そして、底壁11に設
けられている浸漬ノズル3から連鋳用鋳型4に送り出さ
れ、スラブ等として鋳造される。
【0010】成分調整機構は20は、フェロアロイ等の
成分調整材を溶鋼1の上層部に送り込む。図1に示した
例では、成分調整用ワイヤ21をリール22から巻き出
し、適宜のガイド(図示せず)によって溶鋼1の上層部
に送り込んでいる。しかし、これに拘束されることな
く、粉末状,顆粒状,ペレット状等の成分調整材を適宜
のホッパーから溶鋼1に供給する手段を採用することも
できる。ワイヤーフィーダを採用するとき、合金添加歩
留りが一定で且つワイヤ21の投入量を細かく調整でき
るため、成分の微調整が可能になる。また、装置そのも
のがコンパクトであることから、タンディッシュに付帯
させることも容易になる。更に、鋳造速度の変化に伴っ
て溶鋼通過速度も変わるが、ワイヤフィーダの場合、溶
鋼通過速度に応じてワイヤ供給速度を増減することによ
って、成分を一定に調整することも容易である。
成分調整材を溶鋼1の上層部に送り込む。図1に示した
例では、成分調整用ワイヤ21をリール22から巻き出
し、適宜のガイド(図示せず)によって溶鋼1の上層部
に送り込んでいる。しかし、これに拘束されることな
く、粉末状,顆粒状,ペレット状等の成分調整材を適宜
のホッパーから溶鋼1に供給する手段を採用することも
できる。ワイヤーフィーダを採用するとき、合金添加歩
留りが一定で且つワイヤ21の投入量を細かく調整でき
るため、成分の微調整が可能になる。また、装置そのも
のがコンパクトであることから、タンディッシュに付帯
させることも容易になる。更に、鋳造速度の変化に伴っ
て溶鋼通過速度も変わるが、ワイヤフィーダの場合、溶
鋼通過速度に応じてワイヤ供給速度を増減することによ
って、成分を一定に調整することも容易である。
【0011】介在物凝集機構30は、不活性ガス31を
溶鋼1の内部に吹き込むように、複数個の多孔質ノズル
32を縦方向に少なくとも二段以上重ねて炉体10の内
周面に沿って埋設している。多孔質ノズル32から吹き
込まれた不活性ガス31は、溶鋼1の内部で微細な気泡
33となって上昇する。溶鋼1中に浮遊しているAl2
O3 等の介在物は、上昇中の気泡33に捕捉されて凝集
し、気泡33と共に溶鋼1の表面に浮上する。介在物を
効率よく捕捉するためには、溶鋼1の内部に生じた気泡
33をできるだけ微細にし、且つ溶鋼1の表面までの浮
上距離を大きくすることが好ましい。この点、本発明で
使用するタンディッシュは、炉体10が竪型になってい
るため、従来の舟型タンディッシュに比較して浴深を十
分に大きくとることができる。したがって、微細な気泡
33によって介在物を効率よく凝集させると共に、浮上
促進に必要な気泡33の合体を行わせる距離も十分にと
れる。
溶鋼1の内部に吹き込むように、複数個の多孔質ノズル
32を縦方向に少なくとも二段以上重ねて炉体10の内
周面に沿って埋設している。多孔質ノズル32から吹き
込まれた不活性ガス31は、溶鋼1の内部で微細な気泡
33となって上昇する。溶鋼1中に浮遊しているAl2
O3 等の介在物は、上昇中の気泡33に捕捉されて凝集
し、気泡33と共に溶鋼1の表面に浮上する。介在物を
効率よく捕捉するためには、溶鋼1の内部に生じた気泡
33をできるだけ微細にし、且つ溶鋼1の表面までの浮
上距離を大きくすることが好ましい。この点、本発明で
使用するタンディッシュは、炉体10が竪型になってい
るため、従来の舟型タンディッシュに比較して浴深を十
分に大きくとることができる。したがって、微細な気泡
33によって介在物を効率よく凝集させると共に、浮上
促進に必要な気泡33の合体を行わせる距離も十分にと
れる。
【0012】注湯終了時には、図2に示すような非定常
状態になる。このときの溶鋼1は、前述したように介在
物や巻込みスラグの増加によって汚染度が高くなってい
る。そこで、図1に示した定常部の場合よりも不活性ガ
ス31の吹込み量を増量することにより、介在物等の凝
集・浮上が促進され、定常部と同等の高い清浄度を確保
できる。取鍋交換時には、図3に示すような非定常状態
になる。この場合、溶鋼の供給が一時的に停止するた
め、タンディッシュ内溶鋼1の湯面高さが時間と共に低
下する。そのため、不活性ガス31の吹込み位置を固定
したままにしておくと、タンディッシュ内溶鋼1の湯面
に近い位置から不活性ガス31が吹き込まれるようにな
り、介在物の凝集。浮上分離に必要な距離が確保できな
くなる。そこで、タンディッシュ内溶鋼1の湯面高さを
検知しながら、その変動に応じて不活性ガス31を吹き
込む多孔質ノズル32を変更する。これにより、溶鋼湯
面と不活性ガス吹込み位置との間の距離を常に一定に保
つことができ、取鍋交換時にも定常部と同様な介在物凝
集分離効果が得られる。
状態になる。このときの溶鋼1は、前述したように介在
物や巻込みスラグの増加によって汚染度が高くなってい
る。そこで、図1に示した定常部の場合よりも不活性ガ
ス31の吹込み量を増量することにより、介在物等の凝
集・浮上が促進され、定常部と同等の高い清浄度を確保
できる。取鍋交換時には、図3に示すような非定常状態
になる。この場合、溶鋼の供給が一時的に停止するた
め、タンディッシュ内溶鋼1の湯面高さが時間と共に低
下する。そのため、不活性ガス31の吹込み位置を固定
したままにしておくと、タンディッシュ内溶鋼1の湯面
に近い位置から不活性ガス31が吹き込まれるようにな
り、介在物の凝集。浮上分離に必要な距離が確保できな
くなる。そこで、タンディッシュ内溶鋼1の湯面高さを
検知しながら、その変動に応じて不活性ガス31を吹き
込む多孔質ノズル32を変更する。これにより、溶鋼湯
面と不活性ガス吹込み位置との間の距離を常に一定に保
つことができ、取鍋交換時にも定常部と同様な介在物凝
集分離効果が得られる。
【0013】気泡33による介在物の凝集分離は、炉体
10を取り囲んで設けた電磁撹拌装置35で溶鋼1を撹
拌することによっても促進される。溶鋼1は、気泡33
によっても撹拌されるが、電磁撹拌装置35を組み合わ
せるとき、撹拌効果が一層向上する。また、この帯域で
溶鋼1が撹拌されるため、上方帯域で添加された成分調
整材21が溶鋼1の内部に均等に分散され、溶鋼1の均
質化が進行する。或いは、不活性ガス31の吹込みに替
え、電磁撹拌装置35だけで溶鋼1を撹拌することも可
能である。非定常部においては、不活性ガス31の吹込
みの場合と同様に、タンディッシュ内溶鋼の湯面高さに
応じて電磁撹拌装置35の磁場印加位置や磁場強度を変
更することにより、適度な撹拌を溶鋼1に与えることが
できる。その結果、定常部,非定常部に拘らず、高い清
浄度をもつ溶鋼1を連鋳用鋳型4に供給することができ
る。
10を取り囲んで設けた電磁撹拌装置35で溶鋼1を撹
拌することによっても促進される。溶鋼1は、気泡33
によっても撹拌されるが、電磁撹拌装置35を組み合わ
せるとき、撹拌効果が一層向上する。また、この帯域で
溶鋼1が撹拌されるため、上方帯域で添加された成分調
整材21が溶鋼1の内部に均等に分散され、溶鋼1の均
質化が進行する。或いは、不活性ガス31の吹込みに替
え、電磁撹拌装置35だけで溶鋼1を撹拌することも可
能である。非定常部においては、不活性ガス31の吹込
みの場合と同様に、タンディッシュ内溶鋼の湯面高さに
応じて電磁撹拌装置35の磁場印加位置や磁場強度を変
更することにより、適度な撹拌を溶鋼1に与えることが
できる。その結果、定常部,非定常部に拘らず、高い清
浄度をもつ溶鋼1を連鋳用鋳型4に供給することができ
る。
【0014】非金属介在物が除去された溶鋼1は、鋳造
に必要な温度を補償するため、温度調整機構40で必要
温度に加熱される。温度調節機構40としては、たとえ
ば炉体10を取り囲むように配置された誘導コイル41
が使用される。誘導コイル41によって溶鋼1の内部に
誘導電流を発生させ、ジュール熱により溶鋼1を昇温さ
せる。このとき、炉体10が円筒形状であるので、誘導
コイル41による作用が溶鋼1に万遍なく働き、溶鋼1
が効率よく誘導加熱される。また、炉体10の上流側に
ある溶鋼1の温度を連続的に測定しながら、その測定結
果を加熱装置にフィードフォワードし、出力電流の調整
を行うとき、目標とする鋳造温度に精度良くコントロー
ルできる。温度を調整された溶鋼1は、必要に応じて鎮
静化され、整流状態で浸漬ノズル3から連鋳用鋳型4に
送り出される。そのため、温度調整機構40の下方に、
鎮静整流機構50を設けている。鎮静整流機構50とし
ては、炉内を下降している溶鋼1に上向きの力となる静
磁場をかけるように、炉体10を取り囲んで配置された
コイル51が使用される。これにより、溶鋼1中に残る
介在物の浮上促進を図ることができ、上流側の強制撹拌
領域で凝集肥大化した介在物は、ここでほぼ全量が浮上
分離される。鎮静整流化は、浸漬ノズル3を介して連鋳
用鋳型4に溶鋼1を供給する際、浸漬ノズル3内に偏流
を生じさせない上でも有効である。
に必要な温度を補償するため、温度調整機構40で必要
温度に加熱される。温度調節機構40としては、たとえ
ば炉体10を取り囲むように配置された誘導コイル41
が使用される。誘導コイル41によって溶鋼1の内部に
誘導電流を発生させ、ジュール熱により溶鋼1を昇温さ
せる。このとき、炉体10が円筒形状であるので、誘導
コイル41による作用が溶鋼1に万遍なく働き、溶鋼1
が効率よく誘導加熱される。また、炉体10の上流側に
ある溶鋼1の温度を連続的に測定しながら、その測定結
果を加熱装置にフィードフォワードし、出力電流の調整
を行うとき、目標とする鋳造温度に精度良くコントロー
ルできる。温度を調整された溶鋼1は、必要に応じて鎮
静化され、整流状態で浸漬ノズル3から連鋳用鋳型4に
送り出される。そのため、温度調整機構40の下方に、
鎮静整流機構50を設けている。鎮静整流機構50とし
ては、炉内を下降している溶鋼1に上向きの力となる静
磁場をかけるように、炉体10を取り囲んで配置された
コイル51が使用される。これにより、溶鋼1中に残る
介在物の浮上促進を図ることができ、上流側の強制撹拌
領域で凝集肥大化した介在物は、ここでほぼ全量が浮上
分離される。鎮静整流化は、浸漬ノズル3を介して連鋳
用鋳型4に溶鋼1を供給する際、浸漬ノズル3内に偏流
を生じさせない上でも有効である。
【0015】このようにして、竪型の炉体10を基本と
し、垂直方向に沿って上方から成分調整機構20,介在
物凝集機構30,温度調整機構40及び鎮静整流機構5
0を設けているので、ロングノズル2を介して取鍋5か
ら送り込まれた溶鋼1は、それぞれの帯域で処理された
後、清浄度の高い溶鋼として連鋳用鋳型4に送り込まれ
る。このとき、溶鋼1が大気と接触する面積が従来の舟
型タンディッシュに比較して大幅に少なくなっているの
で、大気からガス成分を吸収することが防止される。し
かも、成分調整された溶鋼1は、下流側で介在物除去,
温度調整等の処理が施されるため、大気との接触に起因
した再酸化や吸窒が抑制される。その結果、清浄度が高
く、目標とする成分及び温度をもつ溶鋼1が安定して連
鋳用鋳型4に送り込まれる。大気との接触を避けるため
に、炉体10の開口部を覆う蓋体を装着する場合でも、
開口面積が小さいことから、使用する蓋体が小型のもの
でよく、封止機構も簡単になる。また、円筒形状の炉体
10を使用する場合には、各種コイル35,41,51
の電磁力が効率よく溶鋼1に作用すると共に、内部に生
じた撹拌流に取り残される滞留部分がなくなる。したが
って、浸漬ノズル3から送り出される溶鋼1は、品質安
定性に優れたものとなる。
し、垂直方向に沿って上方から成分調整機構20,介在
物凝集機構30,温度調整機構40及び鎮静整流機構5
0を設けているので、ロングノズル2を介して取鍋5か
ら送り込まれた溶鋼1は、それぞれの帯域で処理された
後、清浄度の高い溶鋼として連鋳用鋳型4に送り込まれ
る。このとき、溶鋼1が大気と接触する面積が従来の舟
型タンディッシュに比較して大幅に少なくなっているの
で、大気からガス成分を吸収することが防止される。し
かも、成分調整された溶鋼1は、下流側で介在物除去,
温度調整等の処理が施されるため、大気との接触に起因
した再酸化や吸窒が抑制される。その結果、清浄度が高
く、目標とする成分及び温度をもつ溶鋼1が安定して連
鋳用鋳型4に送り込まれる。大気との接触を避けるため
に、炉体10の開口部を覆う蓋体を装着する場合でも、
開口面積が小さいことから、使用する蓋体が小型のもの
でよく、封止機構も簡単になる。また、円筒形状の炉体
10を使用する場合には、各種コイル35,41,51
の電磁力が効率よく溶鋼1に作用すると共に、内部に生
じた撹拌流に取り残される滞留部分がなくなる。したが
って、浸漬ノズル3から送り出される溶鋼1は、品質安
定性に優れたものとなる。
【0016】
【実施例】転炉−RH脱ガス工程で溶製した低炭素Al
キルド鋼を、図1の竪型タンディッシュを経由して連続
鋳造した。竪型タンディッシュは、浴深3m,内径1m
及び容量16トンであった。介在物凝集領域では、タン
ディッシュ内溶鋼1の湯面高さを渦流式レベル計で測定
しながら、溶鋼湯面から0.8〜1.2mの範囲に設置
されている多孔質ノズル32を湯面高さの変化に応じて
自動的に選択し、選択された多孔質ノズル32から不活
性ガス31としてArを溶鋼1内に吹き込んだ。Arガ
スの吹込み量は、定常部では80Nl/分とし、取鍋交
換時等の非定常部では120Nl/分に増量した。電磁
撹拌用の磁極も、湯面の下方0.6mの位置に磁極の中
心がくるように、溶鋼1の湯面高さに応じて変更しなが
ら撹拌用の磁場を印加した。電磁撹拌パワーは、定常部
では磁界の回転速度が60rpmとなるように磁場を印
加し、非定常部では90rpmまで回転数を増加させ
た。温度調整領域では、電力容量1MWの誘導コイル5
1を使用した。上層域の溶鋼温度を連続的に測定し、溶
鋼温度に応じて流動コイル51の出力を調整しながら、
溶鋼1を誘導加熱した。また、鎮静整流領域では、最大
磁束密度0.2テスラの静磁場を印加した。タンディッ
シュから連鋳用鋳型4にかけては、不活性ガスの導入を
一切行わずに、85トン/鍋の溶鋼1を8鍋分連続鋳造
した。
キルド鋼を、図1の竪型タンディッシュを経由して連続
鋳造した。竪型タンディッシュは、浴深3m,内径1m
及び容量16トンであった。介在物凝集領域では、タン
ディッシュ内溶鋼1の湯面高さを渦流式レベル計で測定
しながら、溶鋼湯面から0.8〜1.2mの範囲に設置
されている多孔質ノズル32を湯面高さの変化に応じて
自動的に選択し、選択された多孔質ノズル32から不活
性ガス31としてArを溶鋼1内に吹き込んだ。Arガ
スの吹込み量は、定常部では80Nl/分とし、取鍋交
換時等の非定常部では120Nl/分に増量した。電磁
撹拌用の磁極も、湯面の下方0.6mの位置に磁極の中
心がくるように、溶鋼1の湯面高さに応じて変更しなが
ら撹拌用の磁場を印加した。電磁撹拌パワーは、定常部
では磁界の回転速度が60rpmとなるように磁場を印
加し、非定常部では90rpmまで回転数を増加させ
た。温度調整領域では、電力容量1MWの誘導コイル5
1を使用した。上層域の溶鋼温度を連続的に測定し、溶
鋼温度に応じて流動コイル51の出力を調整しながら、
溶鋼1を誘導加熱した。また、鎮静整流領域では、最大
磁束密度0.2テスラの静磁場を印加した。タンディッ
シュから連鋳用鋳型4にかけては、不活性ガスの導入を
一切行わずに、85トン/鍋の溶鋼1を8鍋分連続鋳造
した。
【0017】比較のため、同様な精錬工程で溶製した低
炭素Alキルド溶鋼を、従来の舟型タンディッシュを経
由して連続鋳造した。この場合に使用した舟型タンディ
ッシュは、浴深が0.9m,容量が30トンであった。
また、鋳造中に浸漬ノズル上部からArガスを10Nl
/分の流量で吹込んだ。鋳造量は、実施例と同様に85
トン/鍋の溶鋼8鍋分とした。タンディッシュ出口で溶
鋼を適宜サンプリングし、分析により溶鋼中全酸素量
T.[O]TDを求めた。この溶鋼中全酸素量T.[O]
TDとRH真空脱ガス処理後の溶鋼中全酸素量T.[O]
RHとの比を、介在物排出率ηとして算出した。実施例と
比較例との算出結果を比較して図4に示す。なお、RH
真空脱ガス処理後の溶鋼中全酸素量T.[O]RHは、実
施例及び比較例共に全く同一であった。
炭素Alキルド溶鋼を、従来の舟型タンディッシュを経
由して連続鋳造した。この場合に使用した舟型タンディ
ッシュは、浴深が0.9m,容量が30トンであった。
また、鋳造中に浸漬ノズル上部からArガスを10Nl
/分の流量で吹込んだ。鋳造量は、実施例と同様に85
トン/鍋の溶鋼8鍋分とした。タンディッシュ出口で溶
鋼を適宜サンプリングし、分析により溶鋼中全酸素量
T.[O]TDを求めた。この溶鋼中全酸素量T.[O]
TDとRH真空脱ガス処理後の溶鋼中全酸素量T.[O]
RHとの比を、介在物排出率ηとして算出した。実施例と
比較例との算出結果を比較して図4に示す。なお、RH
真空脱ガス処理後の溶鋼中全酸素量T.[O]RHは、実
施例及び比較例共に全く同一であった。
【0018】図4にみられるように、実施例では、介在
物排出率η=0.2が得られ、比較例の定常部η=0.
6に比べて鋳型への排出量が1/3に激減していること
が判った。更に、比較例の取鍋交換時にはη=0.8〜
1.0と介在物排出率が定常部よりも一層悪化していた
が、実施例では、定常部或いは非定常部に拘らずη=
0.2と介在物排出率が低位で安定していた。実施例で
介在物の鋳型への排出量が比較例に比べて著しく減少し
たことは、本実施例で使用した竪型タンディッシュ内で
の強制撹拌領域における介在物の凝集肥大化及び鎮静整
流域における介在物の浮上促進が効率よく行われている
ことを示すものである。また、実施例で取鍋交換時に定
常部並みの清浄度が確保できたことは、タンディッシュ
内溶鋼のレベル変動に応じて撹拌位置を変更し、且つ溶
鋼の清浄度が高いことから撹拌強度を増したことに依っ
ている。
物排出率η=0.2が得られ、比較例の定常部η=0.
6に比べて鋳型への排出量が1/3に激減していること
が判った。更に、比較例の取鍋交換時にはη=0.8〜
1.0と介在物排出率が定常部よりも一層悪化していた
が、実施例では、定常部或いは非定常部に拘らずη=
0.2と介在物排出率が低位で安定していた。実施例で
介在物の鋳型への排出量が比較例に比べて著しく減少し
たことは、本実施例で使用した竪型タンディッシュ内で
の強制撹拌領域における介在物の凝集肥大化及び鎮静整
流域における介在物の浮上促進が効率よく行われている
ことを示すものである。また、実施例で取鍋交換時に定
常部並みの清浄度が確保できたことは、タンディッシュ
内溶鋼のレベル変動に応じて撹拌位置を変更し、且つ溶
鋼の清浄度が高いことから撹拌強度を増したことに依っ
ている。
【0019】連続鋳造した鋳片の断面を顕微鏡観察し、
鋳片中のピンホールの量を測定した。測定結果を、ピン
ホール指数として図5に示す。比較例の定常部における
ピンホール指数を基準値1.0として、実施例及び比較
例の定常部及び非定常部におけるピンホール指数を対比
した。定常部を比較すると、実施例では比較例に比べて
鋳片内のピンホールを80%も低減できた。これは、比
較例ではノズル閉塞防止のためにArガスを吹き込んで
いるのに対し、実施例ではタンディッシュ内での介在物
低減効果を見越して不活性ガスを一切導入しなかったこ
とに起因するものと考えられる。非定常部においても、
同様な効果がみられたが、これは強制撹拌領域における
撹拌力の増大に伴い気泡の凝集肥大化が促進されたこと
に起因するものと考えられる。また、実施例で8鍋分の
鋳造を終えた浸漬ノズルには、Al2 O3 等の付着が検
出されなかった。鋳造中の溶鋼温度は、変動幅が比較例
では15℃であったのに対し、実施例では5℃と1/3
の温度変動に抑えることができた。また、RH真空処理
後からタンディッシュ出口までの間の溶鋼中窒素の変化
量は、比較例の8ppmに対し実施例では1ppmとな
り、吸窒量も1/8に低減することができた。
鋳片中のピンホールの量を測定した。測定結果を、ピン
ホール指数として図5に示す。比較例の定常部における
ピンホール指数を基準値1.0として、実施例及び比較
例の定常部及び非定常部におけるピンホール指数を対比
した。定常部を比較すると、実施例では比較例に比べて
鋳片内のピンホールを80%も低減できた。これは、比
較例ではノズル閉塞防止のためにArガスを吹き込んで
いるのに対し、実施例ではタンディッシュ内での介在物
低減効果を見越して不活性ガスを一切導入しなかったこ
とに起因するものと考えられる。非定常部においても、
同様な効果がみられたが、これは強制撹拌領域における
撹拌力の増大に伴い気泡の凝集肥大化が促進されたこと
に起因するものと考えられる。また、実施例で8鍋分の
鋳造を終えた浸漬ノズルには、Al2 O3 等の付着が検
出されなかった。鋳造中の溶鋼温度は、変動幅が比較例
では15℃であったのに対し、実施例では5℃と1/3
の温度変動に抑えることができた。また、RH真空処理
後からタンディッシュ出口までの間の溶鋼中窒素の変化
量は、比較例の8ppmに対し実施例では1ppmとな
り、吸窒量も1/8に低減することができた。
【0020】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、上方から下方に向けて成分調整機構,介在物凝集機
構,温度調整機構等を配置している竪型タンディッシュ
を使用し、非定常部における溶鋼の汚染度,タンディッ
シュ内溶鋼のレベル変動に応じて最適な撹拌処理を行っ
ている。そのため、非定常部でも、定常部と同様に高度
に清浄化された溶鋼を得ることができる。また、従来の
舟型タンディッシュに比較して大気と接触する表面が大
幅に少なくなり、しかも非金属介在物の浮上分離に必要
な浴深が十分に取れるため、吸窒,再酸化等を防止しな
がら、高度の処理効果を上げることができる。円筒形の
炉体を使用したものでは、溶鋼に対して電磁効果が均等
に作用し、品質安定性に優れた高清浄度鋼が得られる。
更に、密閉用の蓋体を装着する場合でも、炉体上部の開
口面積が小さいことから、小型の蓋体が使用でき、封止
機構も簡単な構造になる。このようにして、本発明によ
るとき、清浄度が高い高品質の溶鋼が連鋳用鋳型に注湯
され、健全で且つ品質が常に高位に安定した連鋳スラブ
が得られる。
は、上方から下方に向けて成分調整機構,介在物凝集機
構,温度調整機構等を配置している竪型タンディッシュ
を使用し、非定常部における溶鋼の汚染度,タンディッ
シュ内溶鋼のレベル変動に応じて最適な撹拌処理を行っ
ている。そのため、非定常部でも、定常部と同様に高度
に清浄化された溶鋼を得ることができる。また、従来の
舟型タンディッシュに比較して大気と接触する表面が大
幅に少なくなり、しかも非金属介在物の浮上分離に必要
な浴深が十分に取れるため、吸窒,再酸化等を防止しな
がら、高度の処理効果を上げることができる。円筒形の
炉体を使用したものでは、溶鋼に対して電磁効果が均等
に作用し、品質安定性に優れた高清浄度鋼が得られる。
更に、密閉用の蓋体を装着する場合でも、炉体上部の開
口面積が小さいことから、小型の蓋体が使用でき、封止
機構も簡単な構造になる。このようにして、本発明によ
るとき、清浄度が高い高品質の溶鋼が連鋳用鋳型に注湯
され、健全で且つ品質が常に高位に安定した連鋳スラブ
が得られる。
【図1】 竪型タンディッシュを使用した定常部での操
業状態
業状態
【図2】 竪型タンディッシュを使用した取鍋内溶鋼注
入終了時の操業状態
入終了時の操業状態
【図3】 竪型タンディッシュを使用した取鍋交換時の
操業状態
操業状態
【図4】 介在物排出率を実施例と比較例で対比したグ
ラフ
ラフ
【図5】 連鋳によって得られた鋳片内のピンホール指
数を実施例と比較例で対比したグラフ
数を実施例と比較例で対比したグラフ
1:溶鋼 2:ロングノズル 3:浸漬ノズル
4:連鋳鋳型 5:取鍋 10:炉体 11:底
壁 20:成分調整機構 21:ワイヤ状の成分調
整材 22:リール 30:介在物凝集機構 3
1:不活性ガス 32:多孔質ノズル 33:気泡 35:電磁撹拌
装置 40:温度調整機構 41:誘導コイル
50:鎮静整流機構 51:コイル
4:連鋳鋳型 5:取鍋 10:炉体 11:底
壁 20:成分調整機構 21:ワイヤ状の成分調
整材 22:リール 30:介在物凝集機構 3
1:不活性ガス 32:多孔質ノズル 33:気泡 35:電磁撹拌
装置 40:温度調整機構 41:誘導コイル
50:鎮静整流機構 51:コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B22D 11/16 B22D 11/16 Z 104 104F 41/62 41/62 43/00 8414−4K 43/00 A C21C 7/00 C21C 7/00 H
Claims (3)
- 【請求項1】 ロングノズルを介して取鍋から送り込ま
れた溶鋼を下降流として連鋳用鋳型に送り出す竪型の炉
体をもち、該炉体の上方から下方に向けて成分調整機
構,介在物凝集機構,温度調整機構及び鎮静整流機構が
設けられているタンディッシュを用いて高清浄度鋼を溶
製する際、前記タンディッシュ内の溶鋼の湯面高さを検
出し、検出された湯面高さに応じて介在物凝集機構の導
入位置及びその撹拌動力を制御することを特徴とする高
清浄度鋼の溶製方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の介在物凝集機構は、溶鋼
に不活性ガスを吹き込む多孔質ノズルを炉壁の縦方向に
少なくとも二段以上設けており、検出された湯面高さに
応じて不活性ガスを吹き込む多孔質ノズルを選択し、且
つ不活性ガスの吹込み流量を調整することを特徴とする
高清浄度鋼の溶製方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の介在物凝集機構は、炉体
を取り囲む電磁撹拌装置を備えており、検出された湯面
高さに応じて撹拌用磁極の位置を変更し、且つ磁場強度
を調整することを特徴とする高清浄度鋼の溶製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9144995A JPH08257707A (ja) | 1995-03-24 | 1995-03-24 | 高清浄度鋼の溶製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9144995A JPH08257707A (ja) | 1995-03-24 | 1995-03-24 | 高清浄度鋼の溶製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08257707A true JPH08257707A (ja) | 1996-10-08 |
Family
ID=14026681
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9144995A Withdrawn JPH08257707A (ja) | 1995-03-24 | 1995-03-24 | 高清浄度鋼の溶製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08257707A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007044731A (ja) * | 2005-08-10 | 2007-02-22 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 溶融金属の注入管および注入方法 |
CN105710329A (zh) * | 2014-12-01 | 2016-06-29 | 鞍钢股份有限公司 | 一种抑制中高碳钢浇注絮流的方法 |
-
1995
- 1995-03-24 JP JP9144995A patent/JPH08257707A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007044731A (ja) * | 2005-08-10 | 2007-02-22 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 溶融金属の注入管および注入方法 |
CN105710329A (zh) * | 2014-12-01 | 2016-06-29 | 鞍钢股份有限公司 | 一种抑制中高碳钢浇注絮流的方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020604 |