JP2018114549A - 複層鋳片の連続鋳造方法及び連続鋳造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】一つの取鍋とタンディッシュにて連続鋳造用溶鋼を供給し、鋳片表層部の合金元素濃度が内部と比較して異なる複層状の連続鋳造鋳片を鋳造するに際し、タンディッシュ内での添加元素量が多い場合であっても、十分な成分均一性を実現し、鋳造異常や成分逆流が発生することのない、複層鋳片の連続鋳造方法及び連続鋳造装置を提供する。
【解決手段】タンディッシュ2内を、開口を有するタンディッシュ堰4にて区分し、区分された取鍋溶鋼注入側(第1領域11)から内層溶鋼を注入し、その反対側(第2領域12)から表層溶鋼を注入し、第2領域12側のタンディッシュ内溶鋼に対して溶鋼加熱装置34でプラズマ加熱を行うとともにタンディッシュ底部からガス吹き込みを行いつつ、第2領域12側のタンディッシュ内溶鋼に対して成分添加装置7で所定の元素あるいはその合金を連続的に添加し濃度を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋳片表層部と内部の濃度が異なる複層状の鋳片を鋳造する連続鋳造方法および連続鋳造装置に関する。
表層と内層の成分組成が異なる複層状の鋳片を製造する試みは古くから行われている。例えば、特許文献1に開示された方法があげられる。特許文献1には、長さの異なる二本の浸漬ノズルを鋳型内にある溶融金属のプールに挿入し、それぞれの吐出口を深さが異なる位置に設け、さらに異種の溶融金属間に直流磁場を利用して両金属の混合を防止しながら複層鋳片を製造する方法が開示されている。
しかしながら、上記方法では成分組成が異なる二種類の溶鋼を用いるため、二種類の溶鋼を同じタイミングで別々に溶製し、連続鋳造プロセスに搬送し、また、それぞれの溶鋼の中間保持容器として、タンディッシュをそれぞれ準備する必要がある。また、表層溶鋼と内層溶鋼で注入流量が大きく異なるため、1ヒート毎の必要溶鋼量が大きく異なり、通常の製鋼工場で実現するのは困難であった。
そこで、より簡便に鋳片の表層と内層の成分組成が異なる鋳片を鋳造する方法として、大きく分けて2つの方法が検討されている。ひとつは、鋳型内幅方向に一様な磁束密度分布を有する直流磁場を厚み方向に印加することで得られる電磁制動を利用して、その直流磁場帯の上方にワイヤー、あるいは連続鋳造用パウダーに何がしかの合金元素を含有させ連続的に供給することで鋳片表層を改質する方法が検討されている。
鋳型内にワイヤー等で元素を添加する方法を開示したものとして、例えば特許文献2があげられる。この方法では、鋳型内のメニスカス部よりも少なくとも200mm下方に鋳型内溶鋼を遮断する直流磁場を設けるとともに、上方の溶鋼あるいは下部の溶鋼に所定元素を添加するとともに、元素を添加した溶鋼を撹拌することを特徴とする連続鋳造による複層鋼板の製造方法である。
連続鋳造用パウダーになにがしかの元素を含有させ連続的に供給する、あるいは、パウダー層の上方から連続的にパウダーと反応しにくい金属粉あるいは金属粒を供給することによって溶鋼に元素を添加する方法として、例えば、特許文献3に開示された方法があげられる。この方法では、合金元素を含有させた連鋳用パウダーを用い、連続鋳造鋳型内の上部に電磁撹拌装置を設置して鋳型内上部溶鋼の水平断面内で合金元素を溶解・混合する撹拌流を形成し、その下方に幅方向に直流磁場を鋳片の厚み方向に印加して溶鋼中に直流磁場帯を形成し、かつ、その直流磁場帯の下方に浸漬ノズルにより溶鋼を供給して鋳造することで、合金元素の鋳片表層部の濃度が内層に比べて高い複層状の鋳片を製造する方法である。
なお、非特許文献1には、直流磁場として0.2〜0.3Tの磁場を印加することで、表層/内層の分離が図れることが開示されている。
しかしながら、鋳型内では上部にパウダー層が存在し、かつ周囲から冷却され、さらに矩形断面形状となるため、過剰な撹拌を行うことができず、濃度の均一化が図りにくい。また、ストランド上部と下部に供給する溶鋼量を独立に制御しないため、上下プール間での溶鋼混合が避けられず、分離度の高い鋳片を製造しにくいという課題があった。
もうひとつは、鋳造後に鋳片表面を改質する方法として、例えば、特許文献4に、鋳片の表層を誘導加熱、プラズマ加熱のいずれか一方または双方により溶融させ、溶融した鋳片の表層部分に添加元素もしくはその合金を添加することを特徴とする鋳片の表層改質方法が開示されている。しかしながら、溶融プールの体積が小さいため、成分は添加できるものの濃度の均一化を図ることが難しいことや、方法上鋳片全面を一度に溶融されることが困難であり、鋳片表層全周にわたって改質するには複数回の溶融改質を行う必要がある等の課題があった。
特開昭63−108947号公報 特開平3−243245号公報 特開平8−290236号公報 特開2004−195512号公報
E.Takeuchi, M.Zeze, H.Tanaka, H.Harada and S.Mizoguchi: Ironmaking and Steelmaking, 24(1997),257.
一つの取鍋、一つのタンディッシュにて連続鋳造用溶鋼を供給し、鋳片表層部の合金元素濃度が内部と比較して異なる複層状の連続鋳造鋳片を鋳造することにより、上記課題を解決することができる。まず、鋳型部分に鋳型全幅にわたって厚み方向に直流磁場を印加して直流磁場帯を形成し、直流磁場帯の上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとする。その上で、タンディッシュの底部に、内層溶鋼用浸漬ノズルと、さらにその下流側に表層溶鋼用浸漬ノズルを配置し、これら2つの浸漬ノズルの間にタンディッシュ堰を設置する。タンディッシュ堰にて区分された取鍋溶鋼注入側を第1領域、その反対側を第2領域とする。タンディッシュ堰には、第1領域と第2領域との間で溶鋼を流通可能とするように開口を設ける。第2領域側のタンディッシュ内溶鋼に対して所定の元素あるいはその合金を連続的に添加し濃度を調整する。そして、第1領域から内層溶鋼用浸漬ノズルを経由して下側溶鋼プールに取鍋溶鋼と同一成分の溶鋼を供給し、第2領域から表層溶鋼用浸漬ノズルを経由して濃度調整を行った溶鋼を上側溶鋼プールに供給する。これにより、下側溶鋼プールで凝固した鋳片の内層部は取鍋内溶鋼と同一成分となり、上側溶鋼プールで凝固した鋳片表層部はタンディッシュの第2領域で成分が調整された溶鋼の成分となり、複層鋳片を製造することができる。
タンディッシュ内における前記第2領域での成分調整において、元素添加量が少ない場合には、上記のようにタンディッシュ堰によってタンディッシュ内を第1領域と第2領域に分割して第2領域に追加成分を添加することで複層鋳片を製造することができる。一方、元素添加量が第2領域の溶鋼中において0.5質量%以上となると、第2領域内での成分の均一性が不十分となり、また添加した合金が十分に溶解しないなどのトラブルが生じることがあった。また、元素添加量の多寡に関わらず、タンディッシュの第2領域に添加した添加元素が、タンディッシュ内を逆流して第1領域に混入することがあった。
本発明は、一つの取鍋、一つのタンディッシュにて連続鋳造用溶鋼を供給し、鋳片表層部の合金元素濃度が内部と比較して異なる複層状の連続鋳造鋳片を鋳造するに際し、タンディッシュ内での添加元素量が多い場合であっても、十分な成分均一性を実現し、添加した合金が十分に溶解しないなどの鋳造上の問題が発生することなく、さらにタンディッシュ内の第2領域に添加した元素が第1領域に逆流することのない、複層鋳片の連続鋳造方法及び連続鋳造装置を提供することを目的としている。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する方法であって、
タンディッシュの底部に、内層溶鋼用浸漬ノズルと、さらにその下流側に表層溶鋼用浸漬ノズルを配置し、これら2つの浸漬ノズルの間にタンディッシュ堰として上堰と下堰とを設置し、上堰下端と下堰上端との間の距離のタンディッシュ奥行方向平均値が100〜500mmであり、
鋳型幅方向全幅にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を配置し、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、前記表層溶鋼用浸漬ノズルから上側溶鋼プールに溶鋼を供給し、内層溶鋼用浸漬ノズルから下側溶鋼プールに溶鋼を供給し、
前記タンディッシュ内のタンディッシュ堰にて区分された取鍋溶鋼注入側を第1領域、その反対側を第2領域とし、第2領域側のタンディッシュ内溶鋼に対してプラズマ加熱を行い、かつ第2領域のタンディッシュ底部からガス吹き込みを行いつつ、第2領域側のタンディッシュ内溶鋼に対して所定の元素あるいはその合金を連続的に添加し濃度を調整することで、取鍋溶鋼ならびに取鍋溶鋼とは異なる成分組成からなる2種類の溶鋼をタンディッシュ内で保持しつつ、
第1領域に収容された溶鋼を内層溶鋼用浸漬ノズルから下側溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼量(以下「G1(kg/s)」という。)を鋳型内の下側溶鋼プールに供給し、第2領域に収容された溶鋼を表層溶鋼用浸漬ノズルから上側溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼量(以下「G2(kg/s)」という。)を鋳型内の上側溶鋼プールに供給し、
前記タンディッシュ内の溶鋼表面について、第1領域の溶鋼表面積をST1(m2)、第2領域の溶鋼表面積をST2(m2)とし、G1、G2、ST1、ST2の関係が下記(1)式を満たすことを特徴とする複層鋳片の連続鋳造方法。
(G1/ST1)≦(G2/ST2) ・・・(1)
(2)表層溶鋼用浸漬ノズルと内層溶鋼用浸漬ノズルのうちの少なくとも一方に浸漬ノズル内の溶鋼流量を測定する溶鋼流量測定装置を設け、前記溶鋼流量測定装置を設けた一方の側の浸漬ノズルから溶鋼プールに供給する溶鋼量については、当該溶鋼プール内で凝固によって消費される溶鋼量にみあった溶鋼流量になるように調整し、他方の側の浸漬ノズルから溶鋼プールに供給する供給量については、鋳型内湯面レベルが一定となるように制御することを特徴とする(1)に記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
(3)前記直流磁場帯の上方の鋳型内湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成することを特徴とする(1)又は(2)に記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
(4)鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する装置であって、
取鍋からの溶鋼を保持するタンディッシュの底部に、内層溶鋼用浸漬ノズルと、さらにその下流側に表層溶鋼用浸漬ノズルが鋳造幅よりも短い間隔で併設され、その間にタンディッシュ堰として上堰と下堰とを設置し、上堰下端と下堰上端との間の距離のタンディッシュ奥行方向平均値が100〜500mmであり、
タンディッシュ堰で区分された取鍋溶鋼注入反対側の領域の溶鋼を加熱する溶鋼加熱装置、当該領域の底部にガス吹き込み装置、当該領域の溶鋼に成分を添加する成分添加装置を有し、
表層溶鋼用浸漬ノズルと内層溶鋼用浸漬ノズルのうちの少なくとも一方に浸漬ノズル内の溶鋼流量を測定する溶鋼流量測定装置を有するとともに鋳型内の湯面レベル計を有し、
鋳型内では湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成する電磁撹拌装置と、その下方に鋳型幅方向全体にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を備え、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、前記表層溶鋼用浸漬ノズルから上側溶鋼プールに溶鋼を供給し、内層溶鋼用浸漬ノズルから下側溶鋼プールに溶鋼を供給する構造とすることを特徴とする複層鋳片の連続鋳造装置。
本発明により、取鍋は1つ、タンディッシュは1つで連続鋳造用溶鋼を供給し、タンディッシュで溶鋼の領域を2つに分け、一方の領域への成分添加により取鍋から供給される母溶鋼とは異なる成分組成の溶鋼に成分調整することにより、複層鋳片を連続鋳造するに際し、タンディッシュ内での添加元素量が多い場合であっても、十分な成分均一性を実現し、添加した合金が十分に溶解しないなどの鋳造上の問題が発生することなく、さらにタンディッシュ内の2つの領域間で添加した元素が逆流することのない、複層鋳片の連続鋳造方法及び連続鋳造装置が可能となる。
本方法は添加する成分についての制約は少なく、NiやCだけでなく、Si,Mn,P,S,B,Nb,Ti,Al,Cu,Mo,Cr,Sn,W等に加えて、強脱酸、強脱硫元素であるCa,Mg,REM等、鋼中に含有する元素を添加することができ、鋳片の表層成分を変えることで鋼材の新たな機能を比較的簡便な方法で可能となった。
本発明の装置ならびに方法を模式的に示した図である。 浸漬ノズルが2本で間にタンディッシュ堰を有するタンディッシュを示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。 タンディッシュ堰の開口形状の例を示す図であり、(A)(C)はタンディッシュ長手方向から見た断面図、(B)(D)はタンディッシュ幅方向から見た断面図であり、(A)は(B)のA−A矢視断面図である。 1/ST1、Q2/ST2と、タンディッシュ内の溶鋼混合状況との関係を示す図である。 直流磁場帯により、ストランドが2つに分割された際の凝固シェル形成、表層と内層の界面がどのように形成されるかを模式的に示した図である。 タンディッシュ堰開口の開口距離と(A)表層分離度、(B)表層濃度均一性の関係について調査した結果である。 表層厚みの鋳片幅方向分布に及ぼす電磁撹拌装置による旋回流の影響を示した図である。
以下に本発明の好ましい実施の形態を図1、5に基づいて説明する。まず、特許文献1にあるように、メニスカス(湯面17)の下方の所定位置に直流磁場発生装置8を配置し、直流磁場帯14を形成する。直流磁場帯14においては、磁力線が鋳片の厚み方向に向かう直流磁場を印加し、磁束密度は鋳型幅方向にほぼ均一とする。このような直流磁場帯を形成することにより、直流磁場帯14を通過しようとする溶鋼には電磁ブレーキがかかり、直流磁場帯14上方の上側溶鋼プール15と下方の下側溶鋼プール16とが事実上遮断されることとなる。上側溶鋼プール15で凝固した凝固シェルが鋳片の表層部(上側溶鋼プール凝固部分24)を形成し、下側溶鋼プールで凝固した凝固シェルが鋳片の内層部(下側溶鋼プール凝固部分25)を形成する。そして、直流磁場帯14部分における凝固シェルの厚さDが、鋳片の表層部の厚さに該当する。従って、直流磁場帯14を配置するメニスカスからの高さHは、目標とする表層部の厚さD、鋳型内における凝固係数K、鋳造速度VCに基づいて定めることとなる。
そのうえで、その直流磁場帯の上下それぞれに溶鋼を供給するために2本の浸漬ノズルを設置し、それぞれの溶鋼プールにおいて凝固する溶鋼量だけ、各浸漬ノズルから溶鋼を供給することで、表層と内層の成分組成が異なる鋳片が鋳造できる。ここで直流磁場帯とは直流磁場発生装置のコア高さと同じ範囲とする。理由はこの範囲内であれば均一な磁束密度の直流磁場が印加される。
直流磁場帯の磁束密度は、上側溶鋼プールと下側溶鋼プールとの間の溶鋼の入れ替わりを最小限にすることのできる磁束密度を選択する。鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造するにあたり、それぞれの溶鋼量比を計算すると、鋳造速度、直流磁場帯の位置によって規定される表層厚みや鋳造幅によって変化するものの、スラブ鋳造の条件であれば、内層/表層=3〜8と圧倒的に内層の流量が多い。従って、下側溶鋼プールへ溶鋼を供給する浸漬ノズルの吐出孔から流出した溶鋼流が、鋳型内溶鋼流動現象の大きな比率を占める。この吐出流は短辺凝固シェルに衝突して下側反転流と上側反転流を形成する。この上側反転流を抑制して直流磁場帯の通過を抑止できれば、上側溶鋼プールと下側溶鋼プールの溶鋼入れ替わりを最小限とできる。直流磁場帯の磁束密度が0.3T(テスラ)以上であれば、十分に溶鋼の入れ替わりを抑止することができる。この点は、前記非特許文献1にも記載のとおりである。
磁束密度の上限は高いほど好ましいが、超電導磁石によらず直流磁場を形成するうえではおよそ1.0Tが上限となる。鋳造条件に応じて0.3T〜1Tの範囲内で適正な磁束密度の磁場を印加すればよい。
本発明では基本的に、タンディッシュ2にて取鍋1から注入された溶鋼(以下、第1溶鋼21)の一部を成分調整することで新たな溶鋼(以下、第2溶鋼22)を作り出すとともに、1つのタンディッシュ内で2種類の溶鋼:第1溶鋼21、第2溶鋼22を保持し、第1溶鋼21、第2溶鋼22をそれぞれ、ストランド内の下側溶鋼プール16、上側溶鋼プール15それぞれの位置で凝固によって消費される量だけ鋳型内に安定して供給することが必要となる。
先ず、本発明では、タンディッシュ2で第1溶鋼21と成分組成の異なる第2溶鋼22をつくるに際し、タンディッシュ2にタンディッシュ堰4を設けてタンディッシュ内を2つの領域に分割する。前述のとおり、鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造するにあたり、それぞれの溶鋼量比を計算すると、鋳造速度、直流磁場帯の位置によって規定される表層厚みや鋳造幅によって変化するものの、スラブ鋳造の条件であれば、内層/表層=3〜8と圧倒的に内層の流量が多い。そこで、図1、図2に示すように、タンディッシュ底部に浸漬ノズルを配置する順番を、取鍋注入流13側から内層溶鋼用浸漬ノズル5を配置し、その下流側に表層溶鋼用浸漬ノズル6を配置し、加えて、この両者の浸漬ノズルの間にタンディッシュ堰4であって溶鋼浸漬部に開口10を有する堰を設ける。図1、図2に示したように、タンディッシュ堰4によってタンディッシュを複数領域に、すなわち、取鍋からの第1溶鋼21を受ける第1領域11と、第1溶鋼21にワイヤー等によって所定元素あるいはその合金を添加し成分調整を行う第2領域12の2つの領域にわける。第1領域11には、取鍋注入流13位置と内層溶鋼用浸漬ノズル5が配置され、第2領域12には表層溶鋼用浸漬ノズル6が配置される。内層溶鋼用浸漬ノズル5からは第1溶鋼21を下側溶鋼プール16へ注入する。表層溶鋼用浸漬ノズル6からは第2溶鋼22を上側溶鋼プール15へ注入する。
本発明では、第1溶鋼と第2溶鋼のタンディッシュ内での混合を防止し、2つの溶鋼を1つのタンディッシュで安定的に保持する。そのため本発明では、タンディッシュ堰4の湯面18より下部の溶鋼浸漬部分には開口10を設け、この開口10を通して第1領域11と第2領域12の溶鋼が流通可能となる。
このようにすることで、タンディッシュ内の第1領域11では取鍋注入流13から内層溶鋼用浸漬ノズル5への溶鋼流が形成されるのに対し、タンディッシュ堰4で区画した第2領域12は図2に示すように第1領域11から区画された領域となり、第2領域12に前述したように成分添加装置7によって所定の元素あるいは合金をワイヤー等によって連続的に添加して含有成分を調整し、第2溶鋼22をつくる。その結果、1つのタンディッシュ内で2種類の溶鋼:第1溶鋼21、第2溶鋼22を保持することが可能となる。なお、第2溶鋼22への成分添加量を第2領域12内に供給される溶鋼量に応じて調整することで、第2溶鋼の添加元素濃度を調整することができる。
本発明では、図5に模式的に示すように、鋳型幅全体にわたって形成される直流磁場帯14によってストランドを上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール16の2つに分割し、上側溶鋼プール15には表層溶鋼用浸漬ノズル6から第2溶鋼22を注入し、下側溶鋼プール16には内層溶鋼用浸漬ノズル5から第1溶鋼21を注入する。直流磁場帯14の位置において、鋳片の表面側には第1溶鋼プールの溶鋼が凝固した凝固シェル(上側溶鋼プール凝固部分24)が形成されている。直流磁場帯位置における凝固シェル断面積をS2とする。この凝固シェル断面積S2が、鋳造後鋳片の表層部面積S2となる。鋳片断面積のうちの表層部面積S2以外の部分が内層部面積S1であり、S1とS2を足した値が鋳片断面積となる。上側溶鋼プールから凝固シェルとして下方に輸送される上側溶鋼プール凝固部分24の単位時間輸送量G2は、鋳造速度をVCとして、第1溶鋼、第2溶鋼の密度をρ1、ρ2とすると、
2=ρ22C (2a)
また、下側溶鋼プールで凝固して下方に輸送される下側溶鋼プール凝固部分25の単位時間輸送量G1は、
1=ρ11C (2b)
となる。合計鋳造量をGとすると、
G=G1+G2 (2c)
となる。
次に、内層溶鋼用浸漬ノズル5から下側溶鋼プール16に供給する溶鋼量をQ1、表層溶鋼用浸漬ノズル6から上側溶鋼プール15に供給する溶鋼量をQ2とする。合計溶鋼量Qを
Q=Q1+Q2 (3)
とおく。タンディッシュから鋳型への溶鋼供給量合計(Q)については、メニスカス位置が一定を保持するように湯面レベル制御によって調整するので、
Q=G (4a)
が確保される。本発明では、各浸漬ノズルから各溶鋼プールに供給する溶鋼量について、
1=G1 (4b)
2=G2 (4c)
とすることにより、直流磁場帯を経由しての溶鋼の混合を防止し、タンディッシュの第2領域で形成した第2溶鋼の成分のままで鋳片の表層部を形成し、第1領域における第1溶鋼の成分のままで鋳片の内層部を形成することができる。
そこで本発明では、これら3者の溶鋼量Q、Q1、Q2、を制御し、第1溶鋼と第2溶鋼とが直流磁場帯を通過して混合することのないように制御する。
具体的な制御方法について、図1、図5を用いて説明する。
予め、適用する連続鋳造装置における鋳型内での凝固係数K(mm/min0.5)を確認しておく。メニスカス(湯面17)から直流磁場帯14までの高さH、鋳造速度VCを定めることにより、直流磁場帯14における凝固シェル厚さDが
D=K√(H/VC) (5)
として求まる。求まった直流磁場帯における凝固シェル厚さDを用いて、直流磁場帯における凝固シェル断面積S2が定まり、前述の
2=ρ22C (2a)
によってG2が定まるので、
2=G2 (4c)
となるように、表層溶鋼用浸漬ノズルからの溶鋼注入量Q2を定めればよい。
連続鋳造においては、一つのタンディッシュ2を用い、取鍋1を取り替えながら連続して次々と鋳造することが行われる。連々鋳と呼ばれる。一つの取鍋1からの溶鋼注入が終了すると、取鍋1からの注入を停止して当該取鍋1を取り外し、タンディッシュ2の上部に別の取鍋1を設置して、新たに取鍋1からタンディッシュ2への溶鋼注入を開始する。このような取鍋交換の際、タンディッシュ2への溶鋼注入が途絶えることになる。一方、取鍋交換中にも鋳片の引き抜きは継続するので、タンディッシュ2から鋳型3への溶鋼注入は継続する。従って、取鍋交換で取鍋1からの溶鋼注入が中断している間は、タンディッシュ2内の溶鋼量が減少し、タンディッシュ2の湯面18位置(タンディッシュヘッド)が時間とともに低下することとなる。また、取鍋交換時以外の定常鋳造中においても、取鍋からの溶鋼供給量と、浸漬ノズルを経由しての鋳型への溶鋼排出量が同一でないときには、やはりタンディッシュヘッドが時間とともに低下することとなる。
タンディッシュヘッドが低下する際に、タンディッシュ2の第2領域12の溶鋼が第1領域11に逆流することがあると、成分添加によって溶鋼成分が増大している第2領域12の溶鋼(第2溶鋼22)が第1領域11において第1溶鋼21と混合してしまい、不都合である。
ここでは、タンディッシュの第1領域11の湯面レベルの溶鋼表面積をST1、第2領域12の湯面レベルの溶鋼表面積をST2と定める。それぞれの領域から各溶鋼プールへの溶鋼供給量はQ1、Q2である。取鍋1からタンディッシュ2への溶鋼注入が行われていない場合、第1領域11と第2領域12が遮断されているのであれば、第1領域11、第2領域12それぞれにおけるタンディッシュヘッドの低下速度は、それぞれQ1/ST1、Q2/ST2となる。実際には第1領域11と第2領域12を隔てるタンディッシュ堰4は開口10を有し、タンディッシュヘッド低下時においても、両領域のタンディッシュヘッドが常に一定になるように、両領域間を溶鋼が移動する。Q1/ST1>Q2/ST2であると、第1領域11の溶鋼低減が速いので、タンディッシュヘッド低下時に第2領域12から第1領域11に溶鋼が移動することになり、第1領域11で成分の混合が発生する。それに対して、Q1/ST1<Q2/ST2であれば、タンディッシュヘッド低下時に第1領域11から第2領域12への溶鋼移動が発生するのみであり、第1領域11における成分混合は発生しないはずである。
以上のような考え方のもとで、タンディッシュを2つの領域に分割するにあたり、タンディッシュ形状が具備すべき条件について簡単な水モデル実験を行い検討した。実験に用いた容器の概要を図2に示す。容器(タンディッシュ2)底面にコックをつけたノズル(浸漬ノズル)を2本配置し、その間に堰(タンディッシュ堰4)を設けてタンディッシュを第1領域11と第2領域12に区画し、その堰には水が流通できる開口部を設けた。取鍋1からの注入流が第1領域11に流入する。実験では、第1領域11の底部からは内層溶鋼用浸漬ノズル5を経由して流量Q1,第2領域12の底部からは表層溶鋼用浸漬ノズル6を経由して流量Q2一定で流出する系において、取鍋1からの注入流量QをQ=Q1+Q2として、タンディッシュヘッドを一定に保持する。底部からの流量Q1,Q2、堰の左右のタンディッシュ溶鋼表面積ST1,ST2を種々の値に変化させた。
第2領域12に着色水を添加するとともに、取鍋1からの注入流量QをQ<Q1+Q2として、タンディッシュヘッドが時間とともに低下する状況を実現し、その際の溶湯混合挙動を調査した。得られた結果を図4に示す。図4中に示す●、×の判定はタンディッシュ内の第2領域12から第1領域11側へ着色水が混入するか否かによって判定した。その結果、タンディッシュ内流動を一方向の流動として混合を防止するには、堰で区切られた下流側の領域のヘッドの変化量が上流側のヘッドの変化量より大とすればよく、流量Qと各領域のタンディッシュの表面積Sの大小関係から2つの領域間で混合が進行するか否かを整理できることがわかった。即ち、上述のとおり、Q1/ST1>Q2/ST2であると第1領域11で成分の混合が発生するのに対して、Q1/ST1≦Q2/ST2であれば、第1領域11における成分混合は発生しなかった。
前述の(4b)式、(4c)式に示したように、Q1=G1、Q2=G2 として浸漬ノズル注入量制御を行うので、
(G1/ST1)≦(G2/ST2) ・・・(1)
を実現するような位置にタンディッシュ堰を設けることとすればよい。
なお、前述したように、スラブ鋳造の条件であれば、内層/表層=3〜8ということを考慮すると、(1)式を変形して(G/G)≦(ST1/ST2)であってG/G=3〜8であるから、(ST1/ST2)は大抵3以上ということになる。
従来、1つのタンディッシュで2種類の成分組成の溶鋼を形成して複層鋳片を製造するに当たり、タンディッシュ内の第2領域12で添加する成分としては、せいぜい0.5質量%未満の成分添加量であった。それに対して、0.5%以上、さらには1%前後の成分を、タンディッシュ内の第2領域12で添加するような用途が拡大している。
タンディッシュ2内の第2領域12において0.5%以上の成分を添加しようとすると、新たに2つの問題が発生することがわかった。第1に、添加成分が増えたことによってタンディッシュ2の第2領域12での溶鋼熱量が不足し、溶鋼温度が低下して、添加した合金が十分に溶解しない現象が発生するようになった。第2に、タンディッシュ内での添加成分の均一混合が難しくなり、複層鋳片における成分不均一が発生することがあった。
前述のとおり、鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造するにあたり、それぞれの溶鋼量比を計算すると、鋳造速度、直流磁場帯の位置によって規定される表層厚みや鋳造幅によって変化するものの、スラブ鋳造の条件であれば、内層/表層=G1/G2=3〜8と圧倒的に内層の流量が多い。そのため、上記(1)式を満足するためには、第1領域11の湯面レベル面積ST1に対して、第2領域12の湯面レベル面積ST2を小さくする必要があり、第2領域12はその容量が小さくなる。第2領域12の容量が小さいことに起因して、第2領域12内の溶鋼温度低下が激しくなり、溶鋼温度低下に起因して添加した合金が十分に溶解しない問題が発生することがあった。
以上のように、タンディッシュの第2領域12での成分添加量が0.5%以上と増大し、かつ(1)式を満たすように第1領域11と第2領域12の容量比を実現しようとすると、その両者の影響が重畳し、溶鋼温度低下に起因して添加した合金が十分に溶解しない問題が発生することがあった。本発明では、第2領域12における溶鋼の熱源不足を解消するため、第2領域12側のタンディッシュ内溶鋼に対してプラズマ加熱を行うことを特徴とする。プラズマ加熱を行うための溶鋼加熱装置34としては、図1に示すように第2領域12の溶鋼表面、のぞましくは添加するワイヤーをプラズマ加熱することで添加物の溶融促進をはかる。図1はトーチをカソードとし、アノード電極として鉄板をタンディッシュ耐火物内に埋め込み、その表面が溶鋼と接触するように配置している。トーチは把持装置を介して、アノード電極と直流電源(図1には図示していない)と接続する。直流電源の出力はプラズマ加熱を行う通常の装置の電源として使用されるものでよく、2MW程度でよい。なお、ここで加熱手段としてプラズマ加熱を用いるのは、元素添加を行う湯面近傍に加熱ができること、さらにプラズマ加熱の輻射熱を利用することで溶鋼温度よりも融点の高い金属の溶融促進を図ることができるためである。また、図1にはシングルトーチの例を示したが、トーチを2本併設するツイントーチ方式でもよい。
次に、タンディッシュの第2領域12での成分添加量が0.5%以上と増大したとき、タンディッシュ内での添加成分の均一混合が難しくなり、複層鋳片における成分不均一が発生する課題について検討した。そこで本発明では、取鍋からの溶鋼(第1溶鋼21)に、所定の元素あるいはその合金をワイヤー等によって連続的に添加し成分調整を行う第2領域12については、タンディッシュ底部からArバブリングにより撹拌を付与することで均一混合を図ることとした。さらに好ましくは、ワイヤーを添加し撹拌を付与する領域とその後方に溶鋼を鎮静化する領域を設けることができればワイヤー添加時に巻き込まれた介在物等を浮上除去することが好ましい。このようにして、鋳型上部の上側溶鋼プール15に供給する第2溶鋼22が第2領域12においてつくられる。プラズマ加熱トーチの直下が高温領域となるため、その下方のタンディッシュ底部にポーラスプラグを埋め込みArガス等を不活性ガスを吹き込めばよい。あるいは第2領域の体積が少ない場合には浸漬ノズルの羽口周囲にポーラスプラグを埋め込み、Arガスを吹き込むことも可能である。ガス吹込み量は添加濃度に応じて調整すればよく、1NL/分から10NL/分の範囲で適宜選択すればよい。
タンディッシュの第1領域11と第2領域12を画するタンディッシュ堰4には、溶鋼を流通させるための開口10が設けられている。本発明では上記のように、第2領域12の成分均一性を確保するため、第2領域12の底部にガス吹き込み装置35を設けて溶鋼をArバブリングによって攪拌する。ここで、タンディッシュ堰4は式(1)を満たすように設けられているので、第2領域12の容量は小さなものになることから、第2領域12のArバブリングによって、溶鋼がタンディッシュ堰4の開口10を経由して第2領域12から第1領域11に逆流することが懸念される。そこで、第2領域12と第1領域11を区分するタンディッシュ堰4の開口形状を変えた条件で、第2領域12のタンディッシュ底部からArバブリングを行う条件で解析を行い、タンディッシュ内での濃度変化を調査した。タンディッシュ内溶鋼ヘッド高さは一般的な高さである1000mmの場合を例に取った。タンディッシュ堰4は上堰4aと下堰4bとで構成され、上堰4a下端と下堰4b上端との間の距離を開口距離19と定義し、開口距離19のタンディッシュ奥行方向平均値(平均開口距離)を100〜500mmの間で変化させた。その結果、平均開口距離によって濃度の混合が変化し、平均開口距離を500mm以下にすることが好ましいことがわかった。一方、平均開口距離が小さすぎると逆に成分不均一を生じることがあるが、平均開口距離が100mm以上であれば問題なく鋳造を行うことができる。以上より、タンディッシュを内部が開口したタンディッシュ堰4を用いて上流側と下流側に分割し、その下流側において溶鋼表面をプラズマ加熱にて加熱しつつ、元素添加し、タンディッシュ底部からガス撹拌することで1つのタンディッシュにおいて成分組成が異なる2種類の溶鋼を保持することができる。また、下堰4bの最低高さは鋳造条件にもよるが、第2領域12でAr吹き込みを行う場合については、100mmよりも高さが低い条件では堰としての作用をはたさない。そのため、下堰4bの高さの下限値は100mmとする。
図3(A)(C)において、ドットハッチング部分がタンディッシュ堰4の溶鋼浸漬部分26のうちの堰存在部分であり、ドットハッチング部の間の空白部分が開口10を示している。開口10の設け方としては、図3(A)(B)に示すように上堰4aと下堰4bとの組み合わせとする。また、上堰4aの下端と下堰4bの上端は、図3(A)に示すように直線とすることが好ましいが、図3(C)に示すように曲線としても良い。また、タンディッシュ堰4の上堰4aと下堰4bは、図3(B)に示すように同一の垂直断面内に配置することが好ましいが、図3(D)に示すように異なった垂直断面内に配置することとしても良い。異なった垂直断面内に配置した場合でも、開口距離19については上記定義した距離として定まる。
直流磁場帯の磁場形成範囲は、湯面からの高さHを中心として上下に幅を有している。そのため、Q1とQ2のバランスが若干変動しても、上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール16の境界(溶鋼界面27)が直流磁場帯14の磁場範囲内に収まるのであれば、溶鋼界面位置を直流磁場帯内に制御でき、本発明の効果を十分に発揮することができる。湯面17から直流磁場帯上限までの距離をHH、直流磁場帯下限までの距離をHLとおく。上側と下側の溶鋼プール境界(溶鋼界面27)がHH又はHLにあるとき、凝固シェル厚さはそれぞれ
H=K√(HH/VC) (6a)
L=K√(HL/VC) (6b)
となる。上側溶鋼プールでの凝固量G2について、溶鋼プール境界がHH又はHLにあるときの値をそれぞれG2H、G2Lとすると、
2H/G2≒DH/D=√(HH/H) (7a)
2L/G2≒DL/D=√(HL/H) (7b)
となる。そして、上側溶鋼プールへの溶鋼供給量Q2が、G2H〜G2Lの範囲に入っていれば、溶鋼界面27位置を直流磁場帯内に制御でき、上側溶鋼プールと下側溶鋼プールとの溶鋼混合を抑えて十分に良好な品質とすることができる。
一定鋳造速度VC(単位時間鋳造量=G)にて引き抜きを行い、タンディッシュから鋳型内へ供給する溶鋼量がQ(=G)である状況で、まず、取鍋からタンディッシュに供給する溶鋼量がQで一定となるように制御する。タンディッシュに供給する溶鋼量をQとするための注入制御方法としては、取鍋重量を測定して時間当たり重量変化量が0となるように注入制御を行う方法、あるいはタンディッシュ内溶鋼ヘッドが目視できる状況であれば当該溶鋼ヘッドが一定となるように注入制御を行う方法のいずれかを用いることができる。その結果、タンディッシュ内溶鋼ヘッドは一定の高さで保持される。この状態で、下側溶鋼プール16に供給される第1溶鋼の流量Q1を、
1=Q−Q2=Q−G2 (8)
となるように一定に制御する。具体的には、タンディッシュ内ヘッドを一定に保持しながら、あらかじめ定めた、スライディングノズル33b開度と流量のテーブルを用いて、規定開度を一定に保持することでQ1を一定に制御する。これだけでは、鋳型内全体に供給する溶鋼量Qに対して不足しているため、成分調整された第2溶鋼22を上側溶鋼プール15に供給する表層溶鋼用浸漬ノズル6のスライディングノズル33c流量調整において、鋳型内湯面レベルが一定となるように溶鋼量Q2を制御する。その結果、合計流量Qとストランド上下で消費される溶鋼量Q1、Q2それぞれを制御することができ、
2=G2 (4c)
とすることができる。これにより、鋳型内の上側溶鋼プール15では、供給される溶鋼量(Q2)と、凝固シェルとして排出される時間あたり輸送量(G2)がバランスするとともに、下側溶鋼プール16では、供給される溶鋼量(Q1)と凝固シェルとして排出される時間あたり輸送量(G1)がバランスする。そのため、直流磁場帯を通過して混合する溶鋼流が生じないので、図1の第1溶鋼と第2溶鋼の界面を安定的に維持することができる。Q1とQ2のバランスによって決まる第1溶鋼と第2溶鋼の界面を直流磁場帯の範囲内に制御する。
この際、内層溶鋼用浸漬ノズル5の流量調整に用いるスライディングノズル33b開度と流量との関係が毎回一定ではない等の課題が考えられる。そこで、鋳造スタート時を活用して、スライディングノズル33bの開度と流量特性の関係を把握し、特性を補正すればよい。鋳造スタート時には第2溶鋼の成分調整はまだできていないため、内層溶鋼用浸漬ノズルを経由しての第1溶鋼のみで鋳造を行う。その際においても、タンディッシュ内ヘッドを一定とし、かつ、鋳型内湯面レベルを一定に制御し、スライディングノズル33bの開度と流量との関係を調整することで、流量補正が可能となる。
本発明において好ましくは、溶鋼量Q1、溶鋼量Q2の一方について、溶鋼流量測定装置30を用いて溶鋼流量を実測し、溶鋼流量制御を行う。ここではまず、上側溶鋼プール15に供給される第2溶鋼の溶鋼量Q2について、本発明の溶鋼流量測定装置30を用いて溶鋼流量制御を行う場合について説明する。
前述のように、直流磁場帯14における凝固シェル厚さDが
D=K√(H/VC) (5)
として求まる。求まった直流磁場帯における凝固シェル厚さDを用いて、直流磁場帯における凝固シェル断面積S2が定まり、前述の
2=ρ22C (2a)
によってG2が定まるので、
2=G2 (4c)
となるように、表層溶鋼用浸漬ノズルからの溶鋼注入量Q2を定めればよい。表層溶鋼用浸漬ノズル6上部の上ノズルに本発明の溶鋼流量測定装置30を設置し、計測した溶鋼流量実績値が上記溶鋼量Q2に一致するように流量制御する。
その上で、第1溶鋼41を下側溶鋼プール36に供給する内層溶鋼用浸漬ノズル5の流量調整において、湯面レベル計46で計測した鋳型内湯面レベルが一定となるように溶鋼量Q1を制御する。これにより、鋳型内の下側溶鋼プール36では、供給される溶鋼量(Q1)と、凝固シェルとして排出される時間あたり輸送量(G1)がバランスするとともに、上側溶鋼プール15では、供給される溶鋼量(Q2)と凝固シェルとして排出される時間あたり輸送量(G2)がバランスする。そのため、直流磁場帯を通過して混合する溶鋼流が生じないので、図1の上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール36の界面を安定的に維持することができる。Q1とQ2のバランスによって決まる上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール36の界面を直流磁場帯の範囲内に制御する。
鋳型内への溶鋼供給量制御方法としてあるいは、内層溶鋼用浸漬ノズル5上部の上ノズルに溶鋼流量測定装置30を設置し、内層溶鋼用浸漬ノズル5からの溶鋼量Q1が下側溶鋼プール凝固量G1となるように溶鋼流量制御を行い、表層溶鋼用浸漬ノズル6の溶鋼流量制御については、鋳型内の湯面レベルが一定になるように制御することとしても良い。また、図1に示す例と異なり、タンディッシュ2の第1領域11には取鍋注入流33位置と表層溶鋼用浸漬ノズル6が配置され、第2領域32に内層溶鋼用浸漬ノズル5が配置される形態としても良い。
溶鋼流量測定装置30としては、電磁流量計を用いることができる。浸漬ノズル内を流れる溶鋼流は導電性流体であるため、浸漬ノズルの外側から励磁コイルによって浸漬ノズルの流路内に磁場を励磁すると、励磁磁場を横切る溶鋼流によって誘導電流が形成されるので、誘導電流に起因する誘導磁場を浸漬ノズルの外側で計測することにより、浸漬ノズル内の溶鋼流量を測定することができる。
これらの方法を今回新たに導入することで、取鍋は1つ、タンディッシュは1つであるが、タンディッシュでの成分添加により取鍋から供給される第1溶鋼とは異なる成分組成の第2溶鋼に成分調整しつつ、タンディッシュ内での第1溶鋼との混合を防止することができ、これら2つの溶鋼を鋳型内の異なる深さの位置に長さの異なる2つの浸漬ノズルを介してそれぞれの溶鋼量を供給しつつ、鋳型内においても2つの溶鋼の混合を防止することで、鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片の製造が可能となる。
なお、直流磁場帯14によってストランドを上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール16に分割するが、前述したように直流磁場帯よりも上の上側溶鋼プールに供給される溶鋼量は、直流磁場帯よりも下の下側溶鋼プールに供給される溶鋼量と比較して少ない。そのため、上側溶鋼プール15では、十分な溶鋼攪拌ができないことがある。本発明では、鋳型内周方向全体にわたっての凝固を均一化する手段として、上側溶鋼プール15における鋳型内湯面近傍に電磁撹拌装置9を設置し、水平断面内で旋回流を付与し、溶鋼流動ならびに凝固を周方向に均一化すると好ましい。
以上、述べた本発明の原理を検証するため、試験連鋳機を用いて鋳造試験を行った。試験連鋳機では、幅800mm×厚170mmの鋳片の鋳造が可能である。図1に示すように、鋳型内の湯面17レベルから75mm下方に電磁撹拌装置9のコア中心を設置し、鋳型内湯面近傍の水平断面内で最大0.6m/sの旋回流を付与した。加えて、湯面レベルからH=400mm下方を中心に幅方向に均一な磁束密度分布を有する直流磁場を鋳片の厚み方向に印加することができる直流磁場発生装置8を設けた。この直流磁場発生装置8のコア厚みが200mmのため、湯面レベルからの高さがHH=300mmからHL=500mmの範囲内にわたってほぼ同じ磁束密度の直流磁場を最大0.5T印加することができる。従って、第2溶鋼供給量Q2とG2との比(Q2/G2)が、G2H/G2≒√(HH/H)=0.87からG2L/G2≒√(HL/H)=1.12の範囲内であれば、溶鋼界面位置を直流磁場帯内に制御できるので、本発明の効果を発揮することができる。
鋳型3の上方に設けるタンディッシュ2の仕様は以下の通りである。容量は10t、タンディッシュヘッド(湯面18から底部までの距離)は1000mmで、タンディッシュ2は、内層溶鋼用浸漬ノズル5と表層溶鋼用浸漬ノズル6の2つの浸漬ノズルを有し、2つの浸漬ノズルの間隔は400mmである。タンディッシュ内において、2つの浸漬ノズルの中間位置にタンディッシュ堰4を設置し、タンディッシュ堰4として図3(A)(B)に示すような上堰と下堰を用い、下堰高さを150mmに固定して開口距離を条件によって変えた。タンディッシュ堰をはさんで上流側、第1領域11の湯面レベルの面積ST1と、下流側、第2領域12の湯面レベルの面積ST2の比率、ST1/ST2=7とした。第2領域12の上方にプラズマ加熱を行うため、出力500KWの溶鋼加熱装置34を設置した。第2領域12のタンディッシュ底部にガス吹き込み装置35としてポーラス羽口を設け、Arガスを5NL/分吹き込めるようにした。
鋳型内に溶鋼を供給する2つの浸漬ノズルの吐出孔位置は、鋳片幅方向には幅中心をはさんでそれぞれ1/4幅位置とした。また、深さ方向には、直流磁場発生装置8によって形成される直流磁場帯14の上方に表層溶鋼用浸漬ノズル6の吐出口を設け、下方に内層溶鋼用浸漬ノズル5の吐出口を設置した。具体的には、表層溶鋼用浸漬ノズル6の吐出孔位置は湯面レベルから150mmとし、内層溶鋼用浸漬ノズル5の吐出孔位置は湯面レベルから550mmとした。ここで、鋳型内の凝固係数K値はおよそ25mm/min0.5であることを確認しており、鋳造速度VC=1m/分で鋳造した際の直流磁場発生装置8の中心までで形成される表層厚Dは約16mmである。この表層厚みから、直流磁場帯位置における凝固シェル断面積(鋳造後鋳片の表層部面積)S2が定まり、この表層部面積S2と鋳造速度から、下側溶鋼プールと上側溶鋼プールから下方に輸送される単位時間鋳造量がそれぞれG1、G2として定まり、G1、G2に等しくなるように第1溶鋼と第2溶鋼の流量(Q1、Q2)を規定することができる。
第1溶鋼21と第2溶鋼22の流量制御については、表層溶鋼用浸漬ノズル6の周囲に設けた電磁流量計を溶鋼流量測定装置30として用いて、浸漬ノズル内の流量を測定しながら、その測定値が一定値(Q2=G2)となるようにスライディングノズル33c開度調整を行った。さらに、湯面レベルが一定となるように内層溶鋼用浸漬ノズル5の流量を調整した。
取鍋1から供給する溶鋼成分が第1溶鋼21成分であり、第1溶鋼21は低炭Alキルド鋼である。取鍋から供給する第1溶鋼21はタンディッシュ2の第1領域11に供給され、その一部はタンディッシュ堰4の開口10を経由して第2領域12に供給される。第2領域内の第2溶鋼22は第1溶鋼21に対して、第2領域内に0.3mm厚の軟鋼板でかしめた鉄製ワイヤー(内部にNi粒を含有:420g/m)をワイヤーフィーダーにて添加した。Q2=G2となる鋳造においては添加速度3m/分で添加した。なお、この条件で上記Ni含有ワイヤーを添加すると、第1溶鋼に0.5%Niを添加することに相当する。
鋳片内Ni濃度分布を調査するため、表層については表面から8mm位置(表層厚みの中心)、内層については表面から40mm位置(鋳片1/4厚)について、両短辺中央、1/4幅位置の表裏面、1/2幅位置の表裏面、のそれぞれ8箇所、表層、内層あわせて合計16箇所から分析試料を採取し濃度を調査した。また、表層厚については、分析試料を採取した部位について、表面から40mmまでの領域を対象に、分析試料を採取したほぼ同じ位置でサンプルを切り出し、EPMAにて厚み方向の濃度分布を調査した。添加した元素の濃度が高くなっている厚みを求めた。
得られた分析結果については以下の指標で表内層の分離度、表層濃度の均一性を評価した。鋳片表層濃度CO、鋳片内層濃度CI、取鍋内濃度CLとタンディッシュ内に添加した濃度CTから決まる表層分離度XOと鋳片表層厚み内の周方向平均値CMと標準偏差σから求められる濃度均一度Yを以下の式を用いて求めた。
O=(CO −CI)/(CT −CL ) −−−−(9)
Y=σ/CM −−−−(10)
具体的な実験方法について説明する。前述した本発明の原理を検証するため、以下、3つの実験を行った。
まず、実験1として、タンディッシュ堰4の開口距離19を変化させる実験を行い、表層分離度XO、濃度均一度Yに及ぼす影響を調査した。なお、鋳型内の直流磁場帯14に印加する磁束密度を0.4Tとし、Q2=G2として直流磁場帯14を通過する溶鋼の発生を抑止し、鋳型内電磁撹拌装置9による撹拌流速は0.4m/sの条件とした。結果を図6に示すが、開口距離が100mm未満では溶鋼温度が低い場合には、濃度の均一性の点で課題があった。一方、開口距離が500mmを超えると分離度が低下し、濃度の均一性も低下した。タンディッシュ2の第1領域11と第2領域12の間で第1溶鋼21と第2溶鋼22の混合が生じたことによる。逆に、タンディッシュ堰の開口距離を調整し、開口距離が100mm以上500mm以下とすると、表層分離度XOは0.9以上1以下、濃度均一度Yは0.1以下となり、表層分離度、濃度均一度ともに良好な鋳片をえることができた。
次に、実験2として、鋳型内に印加する磁束密度を0.4T、表内層界面(溶鋼界面27)位置を制動域内の450mm、タンディッシュ堰の開口は開口距離が200mmとなるように調整した条件で、上側溶鋼プール15における鋳型内電磁撹拌装置9の撹拌流速を変えて鋳造した。表層ノズル側短辺部の表層厚み、内層ノズル側短辺部の厚み、幅中央部の表層部の厚みを調査し、撹拌条件との関係を調査した。
図7には鋳型内電磁撹拌の有無による表層厚みの周方向分布の違いについて調査した結果を示した。電磁撹拌を印加しない条件では下部に溶鋼を供給するノズル側(内層ノズル側)で溶鋼が停滞しやすく、表層厚みが厚くなる傾向がみられたが、0.3m/s以上の旋回流を湯面近傍で付与することで表層厚みの周方向分布を均一化することができ、好ましい。
本方法は以上のような方法で第2溶鋼の成分調整を行うので、第2溶鋼に添加する成分についての制約は少なく、NiやCだけでなく、Si,Mn,P,S,B,Nb,Ti,Al,Cu,Mo,Cr,Sn,W等に加えて、強脱酸、強脱硫元素であるCa,Mg,REM等、鋼中に含有する元素を添加することができる。このため、鋳片の表層成分を変えることで鋼材の新たな機能を比較的簡便な方法で可能となる。
図1に模式的に示した鋳造装置で低炭Alキルド鋼を鋳造する実験を行った。溶鋼の溶製は、転炉出鋼後、二次精錬にて脱ガス、成分調整した。取鍋溶鋼は250tであった。
容量50t、タンディッシュヘッド(湯面18から底部までの距離)は1000mmのタンディッシュ2底部に内層溶鋼用浸漬ノズル5と表層溶鋼用浸漬ノズル6の2つの浸漬ノズルを設けた。2つの浸漬ノズルの間隔は600mmである。その中間位置にタンディッシュ堰4を設置し、開口部の形状と開口距離は条件によって変更した。堰をはさんで上流側、第1領域11の湯面レベル18aの面積ST1と、下流側、第2領域12の湯面レベル18bの面積ST2の比率、ST1/ST2=7とした。ただし一部の条件では浸漬ノズルを設置する位置や、タンディッシュ形状を変化させた。下流の第2領域12の上方に溶鋼加熱装置34としてトーチ34aを設けカソードとし、タンディッシュ壁に鉄板を埋め込みアノード電極34bとし、出力1MWのプラズマ加熱を行った。第2領域12のタンディッシュ底部にガス吹き込み装置35としてポーラス羽口を設け、Arガスを10NL/分吹き込めるようにした。表層溶鋼用浸漬ノズル6内の溶鋼流量を測定するため、溶鋼流量測定装置30を設置した。なお、鋳造中、取鍋1からの溶鋼供給量は必ずしも一定ではなかったが、タンディッシュ内溶鋼量は平均値が50tとなるように調整した。
鋳型内の湯面17レベルから100mm下方に電磁撹拌装置9のコア中心を設置し、鋳型内の上部溶鋼プール中に水平断面内で最大0.6m/sの旋回流を形成した。かつ湯面レベルから450mm下方に幅方向に均一な磁束密度分布を有する直流磁場を鋳片の厚み方向に印加することができる直流磁場発生装置8を設けた。最大0.5Tの直流磁場が印加できる。この直流磁場発生装置8のコア厚みが200mmのため、湯面レベルから350〜550mmの範囲内にわたってほぼ同じ磁束密度の直流磁場を最大0.5T印加することができる。そのため、直流磁場帯14の範囲は湯面レベルからの高さがHH=350mmからHL=550mmの範囲となる。従って、第2溶鋼供給量Q2とG2との比(Q2/G2)が、G2H/G2≒√(HH/H)=0.88からG2L/G2≒√(HL/H)=1.11の範囲内であれば、溶鋼界面27位置を直流磁場帯14内に制御できるので、本発明の効果を発揮することができる。
鋳型内に溶鋼を供給する浸漬ノズルの位置については、まず、鋳片幅方向には幅中心をはさんでそれぞれ1/4幅位置とした。また、浸漬ノズルの吐出孔位置については、深さ方向には直流磁場発生装置によって形成される制動領域(直流磁場帯14)の上側(表層溶鋼用浸漬ノズル6)部と、下側(内層溶鋼用浸漬ノズル5)にそれぞれ設置した。具体的には、表層溶鋼用浸漬ノズル6の吐出孔位置は湯面レベルから200mmとし、内層溶鋼用浸漬ノズル5の吐出孔位置は湯面レベルから600mmとした。
鋳造条件は、1200mm幅、250mm厚、鋳造速度1.5m/分で鋳造した。ここで、鋳型内の凝固係数K値はおよそ25mm/min0.5であることを確認しており、鋳型内直流磁場発生装置8の中心までで形成される表層厚は約14mmである。この表層厚みから、直流磁場帯位置における凝固シェル断面積(鋳造後鋳片の表層部面積)S2が定まり、この表層部面積S2と鋳造速度から、下側溶鋼プールと上側溶鋼プールから下方に輸送される単位時間鋳造量がそれぞれG1、G2として定まり、G1、G2に等しくなるように第1溶鋼と第2溶鋼の流量(Q1、Q2)を規定することができる。溶鋼密度が7500kg/m3とすると、第1溶鋼の流量Q1は48.8kg/s、第2溶鋼の流量Q2は7.5kg/sである。
第2溶鋼の流量Q2については前述したように表層溶鋼用浸漬ノズル6内の溶鋼流量を溶鋼流量測定装置30によって測定し、その流量が一定(Q2=G2)となるように制御し、第1溶鋼の流量Q1については、湯面レベル計31で計測した湯面レベルが一定となるように制御した。
タンディッシュでの成分調整について説明する。前述したタンディッシュの第2領域12内に0.3mm厚の軟鋼板でかしめた鉄製ワイヤー(外径12mm、Ni粉含有量:452g/m)を添加速度12m/分で添加した。なお、この条件で上記Ni含有ワイヤーを添加すると、第2溶鋼22に1.2%Niを添加することに相当する。
鋳片内Ni濃度分布を調査するため、表層については表面から7mm位置(表層厚みの中心)、内層については表面から60mm位置(鋳片1/4厚)について、両短辺中央、1/4幅位置の表裏面、1/2幅位置の表裏面、のそれぞれ8箇所、表層、内層あわせて合計16箇所から分析試料を採取し濃度を調査した。また、表層厚DRについては、分析試料を採取した部位について、表面から60mmまでの領域を対象に、分析試料を採取したほぼ同じ位置でサンプルを切り出し、EPMAにて厚み方向の濃度分布を調査した。添加した元素の濃度が高くなっている厚みを求めた。
得られた分析結果については以下の指標で表内層の分離度、表層濃度の均一性を評価した。鋳片表層濃度CO、鋳片内層濃度CI、取鍋内濃度CLとタンディッシュ内に添加した濃度CTから決まる表層分離度XOと鋳片表層厚み内の周方向平均値CMと標準偏差σから求められる濃度均一度Yを以下の式を用いて求める。
O=(CO −CI)/(CT −CL ) −−−−(9)
Y=σ/CM −−−−(10)
次に、本発明の原理を検証するために行った実験内容について説明する。
◆実験3:タンディッシュ形状、堰形状を変化させ、表/内層分離度、表層濃度の均一性に及ぼす影響を調査する。
◆実験4:プラズマ加熱を行う溶鋼加熱装置34の出力とガス吹き込み装置35を用いたArガス吹込み量を変化させ、タンディッシュ2での元素添加が安定的に行えるか、表/内層分離度、表層濃度の均一性に及ぼす影響を調査する。
◆実験5:タンディッシュ堰4の開口の開口距離19を変えて鋳造を行い、表/内層分離度、表層濃度の均一性に及ぼす影響を調査する。
◆実験6:鋳型内電磁撹拌装置の撹拌流速を変えて鋳造を行い、表層厚の鋳片周方向均一性に及ぼす影響を調査する。
実験3の結果を表1、表2に、実験4、実験5、実験6それぞれの結果を表3、表4、表5に示した。表1〜表4において、本発明範囲から外れる数値にアンダーラインを付している。
Figure 2018114549
表1ではタンディッシュ堰を設ける位置の影響を調査した。堰の開口距離19を250mm、鋳型内に印加する直流磁場の磁束密度は0.5T、鋳型内電磁撹拌装置9による撹拌流速は0.4m/s、溶鋼加熱装置34のプラズマ加熱は1MW、Arガス吹き込み量は6NL/分の条件で、タンディッシュ堰4を設ける位置を変化した。鋳型への注入流量Gを一定に保持しつつ、取鍋1からタンディッシュ2への溶鋼注入量については、流量Gを中心として増減させ、タンディッシュ内湯面高さが上下に変動する条件を発生させた。その結果、G1/ST1とG2/ST2の大小で表/内層分離度ならびに表層濃度の均一性が変化し、G1/ST1≦G2/ST2の本発明条件では良好な分離度、表層濃度均一な鋳片が得られた。
Figure 2018114549
表2ではST1/ST2=7とし、タンディッシュ堰4の開口距離19の影響と下堰有無の影響を調査した。下堰の上端は直線状で、その高さはタンディッシュの底から150mmとした。鋳型内に印加する直流磁場の磁束密度は0.5T、鋳型内電磁撹拌装置9による撹拌流速は0.4m/s、プラズマ加熱は1MW、Arガス吹き込み量は6NL/分の条件で、タンディッシュ堰4の開口距離19を変化した。その結果、下堰有りの条件(本発明3〜5、比較例3、4)では、開口距離19によって表/内層分離度ならびに表層濃度の均一性が変化し、開口距離19が100mm以上500mm以下の本発明条件では良好な分離度、表層濃度均一な鋳片が得られた。一方、下堰無しの条件(比較例5)では、開口距離が本発明5と同じであっても、表層分離度、濃度均一度ともに、不良であった。
Figure 2018114549
表3ではタンディッシュ堰の開口距離19を200mm、鋳型内に印加する直流磁場の磁束密度は0.5T、鋳型内電磁撹拌装置9による撹拌流速は0.4m/sの条件で、プラズマ加熱の出力、Arガス吹き込み量を変化して鋳造した。プラズマ加熱を行わない条件では、鋳造の中期以降で添加したワイヤー溶解が不良となり合金添加を安定して行うことができなかった。プラズマ加熱した条件でArガス吹き込みを行わない条件では表層濃度の均一性が不十分であった。プラズマ加熱を行い、Arガス吹き込みを行った条件では分離度、均一度ともに良好な結果が得られた。
Figure 2018114549
表4ではプラズマ加熱の出力が1MW、Arガス吹込み量を6NL/分、鋳型内に印加する直流磁場の磁束密度は0.5T、鋳型内電磁撹拌装置による撹拌流速は0.4m/sの条件で、タンディッシュ堰の開口距離19を変化して鋳造した。開口距離19が100mm〜500mmに調整した本発明9〜11では分離度、均一度ともに良好な結果が得られたが、開口距離19が大きい比較例10では分離度、均一性ともに不十分であった。また、開口距離19が小さい比較例11では均一性におとる条件もあり、不適であった。
Figure 2018114549
表5ではプラズマ加熱の出力が1MW、Arガス吹込み量を6NL/分、鋳型内に印加する直流磁場の磁束密度は0.5T、タンディッシュ堰の開口距離19を300mmの条件で、鋳型内電磁撹拌装置の撹拌流速を変えて鋳造した。表層溶鋼用浸漬ノズル6側短辺部の表層厚み、内層溶鋼用浸漬ノズル5側短辺部の厚み、幅中央部の表層部の厚みを調査し、撹拌条件との関係を調査した。鋳型内電磁撹拌による撹拌流を付与しない本発明14では品質上問題にはならないものの表層厚みの不均一がみられた。一方、鋳型内電磁撹拌装置による撹拌流を付与した本発明12,13ではいずれも表層溶鋼用浸漬ノズル6側短辺厚、内層溶鋼用浸漬ノズル5側短辺厚と幅中央部の表層厚みがほぼ同じであった。そのため、鋳型内電磁撹拌による撹拌流を付与することで表層厚みが鋳片周方向に均一になるため、好ましい。
1 取鍋
2 タンディッシュ
3 鋳型
4 タンディッシュ堰
4a 上堰
4b 下堰
5 内層溶鋼用浸漬ノズル
6 表層溶鋼用浸漬ノズル
7 成分添加装置
8 直流磁場発生装置
9 電磁攪拌装置
10 開口
11 第1領域
12 第2領域
13 取鍋注入流
14 直流磁場帯
15 上側溶鋼プール
16 下側溶鋼プール
17 メニスカス(湯面)
18 湯面
19 開口距離
20 溶鋼
21 第1溶鋼
22 第2溶鋼
23 凝固シェル
24 上側溶鋼プール凝固部分(表層部)
25 下側溶鋼プール凝固部分(内層部)
26 溶鋼浸漬部分
27 界面
29 鋳片
30 溶鋼流量測定装置
31 湯面レベル計
32 制御装置
33 流量調整装置
34 溶鋼加熱装置
34a トーチ
34b アノード電極
35 ガス吹き込み装置

Claims (4)

  1. 鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する方法であって、
    タンディッシュの底部に、内層溶鋼用浸漬ノズルと、さらにその下流側に表層溶鋼用浸漬ノズルを配置し、これら2つの浸漬ノズルの間にタンディッシュ堰として上堰と下堰とを設置し、上堰下端と下堰上端との間の距離のタンディッシュ奥行方向平均値が100〜500mmであり、
    鋳型幅方向全幅にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を配置し、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、前記表層溶鋼用浸漬ノズルから上側溶鋼プールに溶鋼を供給し、内層溶鋼用浸漬ノズルから下側溶鋼プールに溶鋼を供給し、
    前記タンディッシュ内のタンディッシュ堰にて区分された取鍋溶鋼注入側を第1領域、その反対側を第2領域とし、第2領域側のタンディッシュ内溶鋼に対してプラズマ加熱を行い、かつ第2領域のタンディッシュ底部からガス吹き込みを行いつつ、第2領域側のタンディッシュ内溶鋼に対して所定の元素あるいはその合金を連続的に添加し濃度を調整することで、取鍋溶鋼ならびに取鍋溶鋼とは異なる成分組成からなる2種類の溶鋼をタンディッシュ内で保持しつつ、
    第1領域に収容された溶鋼を内層溶鋼用浸漬ノズルから下側溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼量(以下「G1(kg/s)」という。)を鋳型内の下側溶鋼プールに供給し、第2領域に収容された溶鋼を表層溶鋼用浸漬ノズルから上側溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼量(以下「G2(kg/s)」という。)を鋳型内の上側溶鋼プールに供給し、
    前記タンディッシュ内の溶鋼表面について、第1領域の溶鋼表面積をST1(m2)、第2領域の溶鋼表面積をST2(m2)とし、G1、G2、ST1、ST2の関係が下記(1)式を満たすことを特徴とする複層鋳片の連続鋳造方法。
    (G1/ST1)≦(G2/ST2) ・・・(1)
  2. 表層溶鋼用浸漬ノズルと内層溶鋼用浸漬ノズルのうちの少なくとも一方に浸漬ノズル内の溶鋼流量を測定する溶鋼流量測定装置を設け、前記溶鋼流量測定装置を設けた一方の側の浸漬ノズルから溶鋼プールに供給する溶鋼量については、当該溶鋼プール内で凝固によって消費される溶鋼量にみあった溶鋼流量になるように調整し、他方の側の浸漬ノズルから溶鋼プールに供給する供給量については、鋳型内湯面レベルが一定となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
  3. 前記直流磁場帯の上方の鋳型内湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
  4. 鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する装置であって、
    取鍋からの溶鋼を保持するタンディッシュの底部に、内層溶鋼用浸漬ノズルと、さらにその下流側に表層溶鋼用浸漬ノズルが鋳造幅よりも短い間隔で併設され、その間にタンディッシュ堰として上堰と下堰とを設置し、上堰下端と下堰上端との間の距離のタンディッシュ奥行方向平均値が100〜500mmであり、
    タンディッシュ堰で区分された取鍋溶鋼注入反対側の領域の溶鋼を加熱する溶鋼加熱装置、当該領域の底部にガス吹き込み装置、当該領域の溶鋼に成分を添加する成分添加装置を有し、
    表層溶鋼用浸漬ノズルと内層溶鋼用浸漬ノズルのうちの少なくとも一方に浸漬ノズル内の溶鋼流量を測定する溶鋼流量測定装置を有するとともに鋳型内の湯面レベル計を有し、
    鋳型内では湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成する電磁撹拌装置と、その下方に鋳型幅方向全体にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を備え、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、前記表層溶鋼用浸漬ノズルから上側溶鋼プールに溶鋼を供給し、内層溶鋼用浸漬ノズルから下側溶鋼プールに溶鋼を供給する構造とすることを特徴とする複層鋳片の連続鋳造装置。
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