JPWO2006112207A1 - 偏光子保護フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
優れた光学的特性を有するとともに、機械的強度にも優れ、生産性やリワーク性が向上した、偏光子保護フィルムを提供すること、そのような偏光子保護フィルムとポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子とを用いた、外観欠点が少ない偏光板を提供すること、そのような偏光板を用いた高品位の画像表示装置を提供すること。本発明の偏光子保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む偏光子保護フィルムであって、縦延伸および/または横延伸によって延伸されてなる。
Description
本発明は、偏光子保護フィルム、それを用いた偏光板、および、その偏光板を少なくとも1枚含む、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に関する。
液晶表示装置には、その画像形成方式から液晶パネル表面を形成するガラス基板の両側に偏光板を配置することが必要不可欠である。偏光板は、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性材料からなる偏光子の両面に、トリアセチルセルロースなどを用いた偏光子保護フィルムをポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せたものが用いられている。
しかしながら、トリアセチルセルロースは耐湿熱性が十分でなく、トリアセチルセルロースフィルムを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板を高温または高湿下において使用すると、偏光度や色相等の偏光板の性能が低下するという欠点がある。またトリアセチルセルロースフィルムは斜め方向の入射光に対して位相差を生じる。かかる位相差は、近年、液晶ディスプレイの大型化が進むにしたがって、顕著に視野角特性に影響を及ぼすようになっている。
耐熱性と光学的透明性に優れた樹脂材料として、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂が良く知られている(特許文献1、2参照)。
しかし、(メタ)アクリル系樹脂は脆くて割れやすく、フィルム搬送時の破断等の搬送性に問題があり、生産性に乏しいといった問題がある。また、リワーク時にフィルムが割れてしまうという問題もある。このため、(メタ)アクリル系樹脂をそのままで偏光子保護フィルムに用いることは困難であった。
特開平9−197128号公報
特開平9−281333号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、(1)優れた光学的特性を有するとともに、機械的強度にも優れ、生産性やリワーク性が向上した、偏光子保護フィルムを提供すること、(2)そのような偏光子保護フィルムとポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子とを用いた、外観欠点が少ない偏光板を提供すること、(3)そのような偏光板を用いた高品位の画像表示装置を提供すること、にある。
本発明の偏光子保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む偏光子保護フィルムであって、縦延伸および/または横延伸によって延伸されてなる。
好ましい実施形態においては、上記(メタ)アクリル系樹脂が、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂である。
好ましい実施形態においては、上記延伸は、縦延伸倍率が1.1〜3.0倍、横延伸倍率が1.1〜3.0倍の、逐次延伸または同時二軸延伸である。好ましい実施形態においては、面内位相差Δndが3.0nm以下、厚み方向位相差Rthが10.0nm以下、引裂き強度が2.0N/mm以上である。
好ましい実施形態においては、上記延伸は、縦延伸倍率が1.1〜3.0倍、横延伸倍率が1.1〜3.0倍の、逐次延伸または同時二軸延伸である。好ましい実施形態においては、面内位相差Δndが3.0nm以下、厚み方向位相差Rthが10.0nm以下、引裂き強度が2.0N/mm以上である。
本発明の別の局面によれば、偏光板が提供される。本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子と本発明の偏光子保護フィルムとを含む偏光板であって、該偏光子が、接着剤層を介して、該偏光子保護フィルムに接着されてなる。好ましい実施形態においては、上記接着剤層が、ポリビニルアルコール系接着剤から形成される層である。好ましい実施形態においては、最外層の少なくとも一方として粘着剤層をさらに有する。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚含む。
本発明によれば、優れた光学的特性を有するとともに、機械的強度にも優れ、生産性やリワーク性が向上した、偏光子保護フィルムを提供することができる。また、そのような偏光子保護フィルムとポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子とを用いた、外観欠点が少ない偏光板を提供することができる。さらに、そのような偏光板を用いた高品位の画像表示装置を提供することができる。
従来の(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む偏光子保護フィルムは、脆くて割れやすく、フィルム搬送時の破断等の搬送性や生産性に乏しいといった問題や、リワーク時にフィルムが割れてしまうという問題があるが、本発明の偏光子保護フィルムは、これらの問題を全て解決することができる。
従来の(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む偏光子保護フィルムは、脆くて割れやすく、フィルム搬送時の破断等の搬送性や生産性に乏しいといった問題や、リワーク時にフィルムが割れてしまうという問題があるが、本発明の偏光子保護フィルムは、これらの問題を全て解決することができる。
10 液晶セル
11、11´ ガラス基板
12 液晶層
13 スペーサー
20、20´ 位相差フィルム
30、30´ 偏光板
31 偏光子
32 接着剤層
33 易接着層
34 偏光子保護フィルム
35 接着剤層
36 偏光子保護フィルム
40 導光板
50 光源
60 リフレクター
100 液晶表示装置
11、11´ ガラス基板
12 液晶層
13 スペーサー
20、20´ 位相差フィルム
30、30´ 偏光板
31 偏光子
32 接着剤層
33 易接着層
34 偏光子保護フィルム
35 接着剤層
36 偏光子保護フィルム
40 導光板
50 光源
60 リフレクター
100 液晶表示装置
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
〔偏光子保護フィルム〕
本発明の偏光子保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含むことが重要である。
本発明の偏光子保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含むことが重要である。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、Tg(ガラス転移温度)が115℃以上のものが好ましく、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tg(ガラス転移温度)が115℃以上である(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含むことにより、例えば、最終的に偏光板に組み入れた場合に、耐久性に優れたものとなり易い。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)などが挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特に好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、三菱レイヨン社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
本発明においては、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有する点で、上記(メタ)アクリル系樹脂としては、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が特に好ましい。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは、下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有する。
(一般式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいても良い。)
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合が5重量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になるおそれがある。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合が90重量%よりも多いと、成形加工性に乏しくなるおそれがある。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、質量平均分子量(重量平均分子量と称することもある)が、好ましくは1000〜2000000、より好ましくは5000〜1000000、さらに好ましくは10000〜500000、特に好ましくは50000〜500000である。質量平均分子量が上記範囲から外れると、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがある。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは135℃、最も好ましくは140℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、例えば、最終的に偏光板に組み入れた場合に、耐久性に優れたものとなり易い。上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、射出成形により得られる成形品の、ASTM−D−1003に準じた方法で測定される全光線透過率が、高ければ高いほど好ましく、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は透明性の目安であり、全光線透過率が85%未満であると、透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないおそれがある。
上記(メタ)アクリル系樹脂は、高光透過率、面内位相差Δndや厚み方向位相差Rthが低いものが好ましい。
本発明の偏光子保護フィルム中の上記(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、好ましくは50〜99重量%、より好ましくは60〜98重量%、さらに好ましくは70〜97重量%である。本発明の偏光子保護フィルム中の上記(メタ)アクリル系樹脂の含有量が50重量%未満の場合には、(メタ)アクリル系樹脂が本来有する高耐熱性、高透明性が十分に反映できないおそれがあり、99重量%を超える場合には、機械的強度に劣るおそれがある。
本発明の偏光子保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む偏光子保護フィルムであって、縦延伸および/または横延伸によって延伸されてなる。
上記延伸は、縦延伸のみによる延伸(自由端一軸延伸)でも良いし、横延伸のみによる延伸(固定端一軸延伸)でも良いが、縦延伸倍率が1.1〜3.0倍、横延伸倍率が1.1〜3.0倍の、逐次延伸または同時二軸延伸であることが好ましい。縦延伸のみによる延伸(自由端一軸延伸)や横延伸のみによる延伸(固定端一軸延伸)では、延伸方向にのみフィルム強度が上がり、延伸方向に対して直角方向には強度がアップせず、フィルム全体として十分なフィルム強度が得られないおそれがある。上記縦延伸倍率は、より好ましくは1.2〜2.5倍、さらに好ましくは1.3〜2.0倍である。上記横延伸倍率は、より好ましくは1.2〜2.5倍、さらに好ましくは1.4〜2.0倍である。縦延伸倍率、横延伸倍率が1.1倍未満の場合、延伸倍率が低すぎて、延伸の効果がほとんどないおそれがある。縦延伸倍率、横延伸倍率が3.0倍を超えると、フィルム端面の平滑性の問題により、延伸切れが生じやすい。
上記延伸温度は、延伸させるフィルムのTg〜(Tg+30℃)が好ましい。上記延伸温度がTgより低いと、フィルムが破断してしまうおそれがある。上記延伸温度が(Tg+30℃)を超えると、フィルムが溶融し始めて通紙が困難になるおそれがある。
本発明の偏光子保護フィルムは、縦延伸および/または横延伸によって延伸されてなることにより、優れた光学的特性を有するとともに、機械的強度にも優れ、生産性やリワーク性が向上する。
本発明の偏光子保護フィルムは、面内位相差Δndが3.0nm以下、厚み方向位相差Rthが10.0nm以下、引裂き強度が2.0N/mm以上であることが好ましい。面内位相差Δnd、厚み方向位相差Rth、引裂き強度が、これらの範囲にあることによって、優れた光学的特性と優れた機械的強度とを両立できる。
本発明の偏光子保護フィルムにおいては、面内位相差Δndは、好ましくは2.0nm以下、より好ましくは1.5nm以下、さらに好ましくは1.0nm以下である。上記面内位相差Δndが3.0nmを超えると、本発明の効果、特に、優れた光学的特性が発揮されないおそれがある。厚み方向位相差Rthは、好ましくは7.0nm以下、より好ましくは5.0nm以下、さらに好ましくは3.0nm以下である。上記厚み方向位相差Rthが10.0nmを超えると、本発明の効果、特に、優れた光学的特性が発揮されないおそれがある。
本発明の偏光子保護フィルムは、好ましくは、優れた機械的強度を有する。引裂き強度は、好ましくは2.1N/mm以上、より好ましくは2.2N/mm以上、さらに好ましくは2.3N/mm以上、特に好ましくは2.4N/mm以上であり、最も好ましくは2.5N/mm以上である。引裂き強度が上記範囲を外れる場合は、優れた機械的強度が発揮されないおそれがある。
本発明の偏光子保護フィルムにおいては、透湿度が、好ましくは100g/m2・24hr以下、より好ましくは60g/m2・24hr以下である。上記透湿度が100g/m2・24hrを超えると、耐湿性に劣るおそれがある。
本発明の偏光子保護フィルムは、光学的透明性を表すヘイズが、低ければ低いほど良く、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1%以下である。ヘイズが5%以下であると、フィルムに良好なクリヤー感を視覚的に与えることができ、さらに1.5%以下とすると、窓等の採光部材として使用した時でも、視認性と採光性がともに得られるため、また、表示装置の前面板として使用した時でも、表示内容が良好に視認できるため、工業的利用価値が高い。
本発明の偏光子保護フィルムの厚みは、好ましくは20〜200μmであり、より好ましくは25〜180μmであり、さらに好ましくは30〜140μmであり、特に好ましくは40〜140μmである。偏光子保護フィルムの厚みが20μm以上であると、適度な強度、剛性を有し、ラミネートや印刷等の二次加工時に取扱性が良好となる。また引取り時の応力により発生する位相差も制御が容易で、安定かつ容易にフィルム製造を行うことが可能である。偏光子保護フィルムの厚みが200μm以下であると、フィルム巻き取りが容易になるほか、ライン速度、生産性、そしてコントロール性が容易になる。
本発明の偏光子保護フィルムは、どのような方法で製造しても良いが、延伸前のフィルムを形成する樹脂組成物を、押出し成形(Tダイ法やインフレーション法などの溶融押出法)、キャスト成形(溶融流延法など)、カレンダー成形によって製造されたフィルムを延伸する方法が好ましい。
押出し成形は、ドライラミネーション法のように、加工時に使用される接着剤中の溶媒、例えば、ドライラミネーション用の接着剤中の有機溶剤を乾燥、飛散させる必要がなく、溶媒乾燥工程が不要であり、生産性に優れる。具体的には、Tダイに連結した押出し機に原料となる樹脂組成物を供給し、溶融混練後、押出し、水冷して引き取り、フィルムを成形する方法を例示できる。押出し機のスクリュータイプは単軸または2軸であってもよく、可塑剤または酸化防止剤などの添加剤を添加してもよい。
押出し成形温度は適宜設定できるが、原料となる樹脂組成物のガラス転移温度をTg(℃)とした場合、(Tg+80)℃〜(Tg+180)℃が好ましく、(Tg+100)℃〜(Tg+150)℃がより好ましい。押出し成形温度が低すぎると、樹脂の流動性がなく、成形できなくなるおそれがある。押出し成形温度が高すぎると、樹脂粘度が低くなり、成形物の厚み不均一等の生産安定性に問題が生じるおそれがある。
上記延伸前のフィルムを形成する樹脂組成物中には、主成分として含まれる(メタ)アクリル系樹脂の他に、一般的な配合剤、例えば、紫外線吸収剤、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、位相差低減剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび剤、発泡抑制剤等が含まれていても良い。
偏光子基材および液晶パネルの保護の点において、耐候性を付与するために、上記延伸前のフィルムを形成する樹脂組成物中には、紫外線吸収剤が含まれていることが好ましい。紫外線吸収剤の融点は、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。紫外線吸収剤の融点が130℃以上であれば、加熱溶融加工時の揮発が少なく、フィルム製造時のロール汚れを発生し難い。紫外線吸収剤の種類は、特に限定されないが、分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤が特に好ましい。市販品としては、例えば、「チヌビン1577」(チバスペシャリティーケミカルズ社製)、「アデカスタブLA−31」(旭電化工業社製)等が挙げられる。
偏光子基材の光学特性として、正面および厚み方向の位相差の大きさが問題となる。そのため、上記延伸前のフィルムを形成する樹脂組成物中には、位相差低減剤が含まれていることが好ましい。位相差低減剤としては、例えば、アクリロニトリル−スチレン系共重合体など、スチレン含有ポリマーが好ましい。位相差低減剤の添加量としては、(メタ)アクリル系樹脂に対し、30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。この範囲を超えて添加した場合、可視光線を散乱させたり、透明性を損なったりするため、偏光子保護フィルムとしての特性に欠けてしまうおそれがある。
本発明の偏光子保護フィルムは、他の基材に積層して用いることができる。例えば、ガラス、ポリオレフィン樹脂、ハイバリア層となるエチレンビニリデン共重合体、ポリエステル等の基材に対して、接着性樹脂層を含めた多層押出成型や多層インフレーション成型によって、積層成形することもできる。熱融着性が高い場合には、接着層を省略することもある。
本発明の偏光子保護フィルムは、偏光子保護の用途以外にも、例えば、窓やカーポート屋根材等の建築用採光部材、窓等の車輌用採光部材、温室等の農業用採光部材、照明部材、前面フィルター等のディスプレイ部材等に積層して用いることができ、また、従来から(メタ)アクリル系樹脂フィルムが被覆されていた家電の筐体、車輌内装部材、内装用建築材料、壁紙、化粧板、玄関ドア、窓枠、巾木等にも積層して用いることができる。
〔偏光板〕
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子と本発明の偏光子保護フィルムとを含む偏光板であって、該偏光子が、接着剤層を介して、該偏光子保護フィルムに接着されてなる。本発明の偏光板の好ましい実施形態の1つは、図1に示すように、偏光子31の一方の面が、接着剤層32および易接着層33を介して本発明の偏光子保護フィルム34に接着されてなり、偏光子31のもう一方の面が、接着剤層35を介して偏光子保護フィルム36に接着されてなる形態である。偏光子保護フィルム36は本発明の偏光子保護フィルムであってもよいし、別の任意の適切な偏光子保護フィルムであってもよい。
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子と本発明の偏光子保護フィルムとを含む偏光板であって、該偏光子が、接着剤層を介して、該偏光子保護フィルムに接着されてなる。本発明の偏光板の好ましい実施形態の1つは、図1に示すように、偏光子31の一方の面が、接着剤層32および易接着層33を介して本発明の偏光子保護フィルム34に接着されてなり、偏光子31のもう一方の面が、接着剤層35を介して偏光子保護フィルム36に接着されてなる形態である。偏光子保護フィルム36は本発明の偏光子保護フィルムであってもよいし、別の任意の適切な偏光子保護フィルムであってもよい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性物質(代表的には、ヨウ素、二色性染料)で染色して一軸延伸したものが用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、好ましくは100〜5000、さらに好ましくは1400〜4000である。偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、任意の適切な方法(例えば、樹脂を水または有機溶媒に溶解した溶液を流延成膜する流延法、キャスト法、押出法)で成形され得る。偏光子の厚みは、偏光板が用いられるLCDの目的や用途に応じて適宜設定され得るが、代表的には5〜80μmである。
偏光子の製造方法としては、目的、使用材料および条件等に応じて任意の適切な方法が採用され得る。代表的には、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、膨潤、染色、架橋、延伸、水洗、および乾燥工程からなる一連の製造工程に供する方法が採用される。乾燥工程を除く各処理工程においては、それぞれの工程に用いられる溶液を含む浴中にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することにより処理を行う。膨潤、染色、架橋、延伸、水洗、および乾燥の各処理の順番、回数および実施の有無は、目的、使用材料および条件等に応じて適宜設定され得る。例えば、いくつかの処理を1つの工程で同時に行ってもよく、特定の処理を省略してもよい。より詳細には、例えば延伸処理は、染色処理の後に行ってもよく、染色処理の前に行ってもよく、膨潤処理、染色処理および架橋処理と同時に行ってもよい。また例えば、架橋処理を延伸処理の前後に行うことが、好適に採用され得る。また例えば、水洗処理は、すべての処理の後に行ってもよく、特定の処理の後のみに行ってもよい。
膨潤工程は、代表的には、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水で満たした処理浴(膨潤浴)中に浸漬することにより行われる。この処理により、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄するとともに、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させることで染色ムラ等の不均一性を防止し得る。膨潤浴には、グリセリンやヨウ化カリウム等が適宜添加され得る。膨潤浴の温度は、代表的には20〜60℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、代表的には0.1〜10分程度である。
染色工程は、代表的には、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素等の二色性物質を含む処理浴(染色浴)中に浸漬することにより行われる。染色浴の溶液に用いられる溶媒は、水が一般的に使用されるが、水と相溶性を有する有機溶媒が適量添加されていてもよい。二色性物質は、溶媒100重量部に対して、代表的には0.1〜1.0重量部の割合で用いられる。二色性物質としてヨウ素を用いる場合には、染色浴の溶液は、ヨウ化物等の助剤をさらに含有することが好ましい。染色効率が改善されるからである。助剤は、溶媒100重量部に対して、好ましくは0.02〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部の割合で用いられる。ヨウ化物の具体例としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンが挙げられる。染色浴の温度は、代表的には20〜70℃程度であり、染色浴への浸漬時間は、代表的には1〜20分程度である。
架橋工程は、代表的には、上記染色処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、架橋剤を含む処理浴(架橋浴)中に浸漬することにより行われる。架橋剤としては、任意の適切な架橋剤が採用され得る。架橋剤の具体例としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。これらは、単独で、または組み合わせて使用され得る。架橋浴の溶液に用いられる溶媒は、水が一般的に使用されるが、水と相溶性を有する有機溶媒が適量添加されていてもよい。架橋剤は、溶媒100重量部に対して、代表的には1〜10重量部の割合で用いられる。架橋剤の濃度が1重量部未満の場合には、十分な光学特性を得ることができない場合が多い。架橋剤の濃度が10重量部を超える場合には、延伸時にフィルムに発生する延伸力が大きくなり、得られる偏光板が収縮してしまう場合がある。架橋浴の溶液は、ヨウ化物等の助剤をさらに含有することが好ましい。面内に均一な特性が得られやすいからである。助剤の濃度は、好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜8重量%である。ヨウ化物の具体例は、染色工程の場合と同様である。架橋浴の温度は、代表的には20〜70℃程度、好ましくは40〜60℃である。架橋浴への浸漬時間は、代表的には1秒〜15分程度、好ましくは5秒〜10分である。
延伸工程は、上記のように、いずれの段階で行ってもよい。具体的には、染色処理の後に行ってもよく、染色処理の前に行ってもよく、膨潤処理、染色処理および架橋処理と同時に行ってもよく、架橋処理の後に行ってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの累積延伸倍率は、5倍以上にすることが必要であり、好ましくは5〜7倍、さらに好ましくは5〜6.5倍である。累積延伸倍率が5倍未満である場合には、高偏光度の偏光板を得ることが困難となる場合がある。累積延伸倍率が7倍を超える場合には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(偏光子)が破断しやすくなる場合がある。延伸の具体的な方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、湿式延伸法を採用した場合には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、処理浴(延伸浴)中で所定の倍率に延伸する。延伸浴の溶液としては、水または有機溶媒(例えば、エタノール)などの溶媒中に、各種金属塩、ヨウ素、ホウ素または亜鉛の化合物を添加した溶液が好適に用いられる。
水洗工程は、代表的には、上記各種処理を施されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、処理浴(水洗浴)中に浸漬することにより行われる。水洗工程により、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの不要残存物を洗い流すことができる。水洗浴は、純水であってもよく、ヨウ化物(例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム)の水溶液であってもよい。ヨウ化物水溶液の濃度は、好ましくは0.1〜10質量%である。ヨウ化物水溶液には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛などの助剤を添加してもよい。水洗浴の温度は、好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは30〜40℃である。浸漬時間は、代表的には1秒〜1分である。水洗工程は1回だけ行ってもよく、必要に応じて複数回行ってもよい。複数回実施する場合、各処理に用いられる水洗浴に含まれる添加剤の種類や濃度は適宜調整され得る。例えば、水洗工程は、ポリマーフィルムをヨウ化カリウム水溶液(0.1〜10質量%、10〜60℃)に1秒〜1分浸漬する工程と、純水ですすぐ工程とを含む。
乾燥工程としては、任意の適切な乾燥方法(例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)が採用され得る。例えば、加熱乾燥の場合には、乾燥温度は代表的には20〜80℃であり、乾燥時間は代表的には1〜10分である。以上のようにして、偏光子が得られる。
本発明の偏光板においては、上記偏光子が、接着剤層を介して、本発明の偏光子保護フィルムに接着されてなる。
本発明において、偏光子保護フィルムと偏光子との接着は、接着剤から形成される接着剤層を介して行われる。この接着剤層は、より強い接着性を発現するために、ポリビニルアルコール系接着剤から形成される層が好ましい。ポリビニルアルコール系接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂と架橋剤を含有する。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコール;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコール;などが挙げられる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は1種のみ用いても良いし2種以上を併用しても良い。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、接着性の点からは、平均重合度が好ましくは100〜3000、より好ましくは500〜3000であり、平均ケン化度が好ましくは85〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂は、反応性の高い官能基を有するポリビニルアルコール系接着剤であり、偏光板の耐久性が向上する点で好ましい。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを公知の方法で反応して得られる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を酢酸等の溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコール系樹脂をジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法等が挙げられる。また、ポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法が挙げられる。
アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であれば特に制限はない。0.1モル%未満では接着剤層の耐水性が不十分であり不適当である。アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは1〜20モル%である。アセトアセチル基変性度が40モル%を超えると架橋剤との反応点が少なくなり、耐水性の向上効果が小さい。アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
上記架橋剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤に用いられているものを特に制限なく使用できる。架橋剤は、ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物を使用できる。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類(なかでもヘキサメチレンジアミンが好ましい);トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチレンプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物;などが挙げられる。架橋剤としては、メラミン系架橋剤が好ましく、特にメチロールメラミンが好適である。
上記架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜35重量部、より好ましくは10〜25重量部である。一方、耐久性をより向上させるには、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、架橋剤を30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することができる。特に、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合には、架橋剤の使用量を30重量部を超えて用いるのが好ましい。架橋剤を30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することにより、耐水性が向上する。
なお、上記ポリビニルアルコール系接着剤には、さらにシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を配合することもできる。
本発明の偏光子保護フィルムは、偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
上記アンカー層としては、例えば、反応性官能基を有するシリコーン層が挙げられる。反応性官能基を有するシリコーン層の材料は、特に制限されないが、例えば、イソシアネート基含有のアルコキシシラノール類、アミノ基含有アルコキシシラノール類、メルカプト基含有アルコキシシラノール類、カルボキシ含有アルコキシシラノール類、エポキシ基含有アルコキシシラノール類、ビニル型不飽和基含有アルコキシシラノール類、ハロゲン基含有アルコキシラノール類、イソシアネート基含有アルコキシシラノール類が挙げられ、アミノ系シラノールが好ましい。さらに上記シラノールを効率よく反応させるためのチタン系触媒や錫系触媒を添加することにより、接着力を強固にすることができる。また上記反応性官能基を有するシリコーンに他の添加剤を加えてもよい。具体的にはさらにはテルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂などの粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤等を用いても良い。
上記反応性官能基を有するシリコーン層は公知の技術により塗工、乾燥して形成される。シリコーン層の厚みは、乾燥後で、好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは10〜50nmである。塗工の際、反応性官能基を有するシリコーンを溶剤で希釈してもよい。希釈溶剤は特に制限はされないが、アルコール類があげられる。希釈濃度は特に制限されないが、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
上記接着剤層の形成は、上記接着剤を偏光子保護フィルムのいずれかの側または両側、偏光子のいずれかの側または両側に塗布することにより行う。偏光子保護フィルムと偏光子とを貼り合せた後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着剤層を形成する。接着剤層を形成した後にこれを貼り合わせることもできる。偏光子と偏光子保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
接着剤層の厚みは、乾燥後の厚みで厚くなりすぎると、偏光子保護フィルムの接着性の点で好ましくないことから、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
偏光子への偏光子保護フィルムの貼り合わせは、偏光子の両面に、前記偏光子保護フィルムの一方の側で接着することができる。
また、偏光子の偏光子保護フィルムの貼り合わせは、偏光子の片面に前記偏光子保護フィルムの一方の側で接着し、もう一方の片面にセルロース系樹脂を貼り合わせることができる。
上記セルロール系樹脂は特には限定されないが、トリアセチルセルロールが透明性、接着性の点で好ましい。セルロース系樹脂の厚さは、好ましくは30〜100μm、より好ましくは40〜80μmである。厚さが30μmより薄いとフィルム強度が低下し作業性が劣り、100μmより厚いと耐久性において光透過率の低下が著しくなる。
本発明にかかる偏光板は、最外層の少なくとも一方として粘着剤層を有していても良い(このような偏光板を粘着型偏光板と称することがある)。特に好ましい形態として、上記偏光子保護フィルムの偏光子が接着されていない側に、他の光学フィルムや液晶セル等の他部材と接着するための粘着剤層を設けることができる。
上記粘着剤層を形成する粘着剤は、特に限定されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用い得る。特に、炭素数が4〜12のアクリル系ポリマーよりなるアクリル系粘着剤が好ましい。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層が好ましい。
上記粘着剤層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着剤層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。
また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などであってもよい。
上記粘着剤層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着剤層を形成してそれを偏光子保護フィルム面に移着する方式などがあげられる。
粘着剤層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板の片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板の表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着剤層とすることもできる。
粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、好ましくは1〜40μmであり、より好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは10〜25μmである。1μmより薄いと耐久性が悪くなり、また、40μmより厚くなると発泡などによる浮きや剥がれが生じやすく外観不良となる。
上記偏光子保護フィルムと上記粘着剤層との間の密着性を向上させるために、その層間にアンカー層を設けることも可能である。
上記アンカー層としては、好ましくは、ポリウレタン、ポリエステル、分子中にアミノ基を含むポリマー類から選ばれるアンカー層が用いられ、特に好ましくは分子中にアミノ基を含んだポリマー類が使用される。分子中にアミノ基を含んだポリマーは、分子中のアミノ基が、粘着剤中のカルボキシル基や、導電性ポリマー中の極性基と反応もしくはイオン性相互作用などの相互作用を示すため、良好な密着性が確保される。
分子中にアミノ基を含むポリマー類としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリジン、前述アクリル系粘着剤の共重合モノマーで示したジメチルアミノエチルアクリレート等の含アミノ基含有モノマーの重合体などを挙げることができる。
上記アンカー層に帯電防止性を付与するために、帯電防止剤を添加することもできる。帯電防止性付与のための帯電防止剤としては、イオン性界面活性剤系、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリキノキサリン等の導電ポリマー系、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム等の金属酸化物系などが挙げられるが、特に光学特性、外観、帯電防止効果、および帯電防止効果の熱時、加湿時での安定性という観点から、導電性ポリマー系が好ましく使用される。この中でも、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの水溶性導電性ポリマー、もしくは水分散性導電性ポリマーが特に好ましく使用される。これは、帯電防止層の形成材料として水溶性導電性ポリマーや水分散性導電性ポリマーを用いた場合、塗布工程に際して有機溶剤による光学フィルム基材の変質を抑える事が出来るためである。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や偏光子保護フィルム等、また粘着剤層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の偏光板は、液晶セルの視認側、バックライト側のどちらか片側に設けても、両側に設けてもよく、限定されない。
次に、本発明の画像表示装置について説明する。本発明の画像表示装置は本発明の偏光板を少なくとも1枚含む。ここでは一例として液晶表示装置について説明するが、本発明が偏光板を必要とするあらゆる表示装置に適用され得ることはいうまでもない。本発明の偏光板が適用可能な画像表示装置の具体例としては、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)のような自発光型表示装置が挙げられる。図2は、本発明の好ましい実施形態による液晶表示装置の概略断面図である。図示例では透過型液晶表示装置について説明するが、本発明が反射型液晶表示装置等にも適用されることはいうまでもない。
液晶表示装置100は、液晶セル10と、液晶セル10を挟んで配された位相差フィルム20、20’と、位相差フィルム20、20’の外側に配された偏光板30、30’と、導光板40と、光源50と、リフレクター60とを備える。偏光板30、30’は、その偏光軸が互いに直交するようにして配置されている。液晶セル10は、一対のガラス基板11、11’と、該基板間に配された表示媒体としての液晶層12とを有する。一方の基板11には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)と、このアクティブ素子にゲート信号を与える走査線およびソース信号を与える信号線とが設けられている(いずれも図示せず)。他方のガラス基板11’には、カラーフィルターを構成するカラー層と遮光層(ブラックマトリックス層)とが設けられている(いずれも図示せず)。基板11、11’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー13によって制御されている。本発明の液晶表示装置においては、偏光板30、30’の少なくとも1つとして、上記記載の本発明の偏光板が採用される。
例えば、TN方式の場合には、このような液晶表示装置100は、電圧無印加時には液晶層12の液晶分子が、偏光軸を90度ずらすような状態で配列している。そのような状態においては、偏光板によって一方向の光のみが透過した入射光は、液晶分子によって90度ねじられる。上記のように、偏光板はその偏光軸が互いに直交するようにして配置されているので、他方の偏光板に到達した光(偏光)は、当該偏光板を透過する。したがって、電圧無印加時には、液晶表示装置100は白表示を行う(ノーマリホワイト方式)。一方、このような液晶表示装置100に電圧を印加すると、液晶層12内の液晶分子の配列が変化する。その結果、他方の偏光板に到達した光(偏光)は、当該偏光板を透過できず、黒表示となる。このような表示の切り替えを、アクティブ素子を用いて画素ごとに行うことにより、画像が形成される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。なお、特に示さない限り、実施例中の部およびパーセントは重量基準である。評価は以下のようにして行った。
〈質量平均分子量〉
昭和電工(株)製のShodex GPC system−21Hを用い、ポリスチレン換算で測定した。
昭和電工(株)製のShodex GPC system−21Hを用い、ポリスチレン換算で測定した。
〈Tg(ガラス転移温度、TGと称することもある)〉
重合体を一旦テトラヒドロフランに溶解し、過剰のヘキサンもしくはトルエンへ投入して再沈殿を行い、ろ過して取り出した沈殿物を減圧乾燥(1mmHg(1.33hPa)、3時間以上)することによって揮発成分を除去し、得られた樹脂についてDSC装置(リガク(株)製、DSC8230)を用いて測定した。
重合体を一旦テトラヒドロフランに溶解し、過剰のヘキサンもしくはトルエンへ投入して再沈殿を行い、ろ過して取り出した沈殿物を減圧乾燥(1mmHg(1.33hPa)、3時間以上)することによって揮発成分を除去し、得られた樹脂についてDSC装置(リガク(株)製、DSC8230)を用いて測定した。
〈脱アルコール反応率(ラクトン環化率)〉
脱アルコール反応率を、重合で得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において重量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有した重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の重量減少率の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の理論重量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を(Y)とする。なお、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における前記原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値(X、Y)を脱アルコール計算式:
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率(ラクトン環化率)が得られる。
脱アルコール反応率を、重合で得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において重量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有した重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の重量減少率の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の理論重量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を(Y)とする。なお、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における前記原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値(X、Y)を脱アルコール計算式:
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率(ラクトン環化率)が得られる。
〈メルトフローレート〉
メルトフローレートは、JIS−K6874に基づき、試験温度240℃、荷重10kgで測定した。
メルトフローレートは、JIS−K6874に基づき、試験温度240℃、荷重10kgで測定した。
〈位相差の測定〉
試料フィルムの屈折率nx、nyおよびnzを、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA21−ADH)により計測し、面内位相差Δndおよび厚み方向位相差Rthを算出した。測定温度は23℃、測定波長は590nmであった。
試料フィルムの屈折率nx、nyおよびnzを、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA21−ADH)により計測し、面内位相差Δndおよび厚み方向位相差Rthを算出した。測定温度は23℃、測定波長は590nmであった。
〈引裂き強度の測定〉
島津製作所(株)製のオートグラフAG−1(商品名)を用い、幅5cm×長さ15cmのサンプルについて、引張り速度200mm/min(室温)で測定した。
島津製作所(株)製のオートグラフAG−1(商品名)を用い、幅5cm×長さ15cmのサンプルについて、引張り速度200mm/min(室温)で測定した。
〈屈折率の測定〉
アッベ屈折計((株)アタゴ製、アッベ屈折計2−T)により測定した。
アッベ屈折計((株)アタゴ製、アッベ屈折計2−T)により測定した。
〈偏光子保護フィルムと偏光子の接着性〉
偏光板(100mm×100mm)に手でひねりを加えてねじ切ったときの状態を以下の基準で評価した。
○:偏光子と偏光子保護フィルムとが一体化して剥がれが生じない。
△:偏光子と偏光子保護フィルムと端部に剥がれが認められる。
×:偏光子と偏光子保護フィルムとの間に剥がれが認められる。
偏光板(100mm×100mm)に手でひねりを加えてねじ切ったときの状態を以下の基準で評価した。
○:偏光子と偏光子保護フィルムとが一体化して剥がれが生じない。
△:偏光子と偏光子保護フィルムと端部に剥がれが認められる。
×:偏光子と偏光子保護フィルムとの間に剥がれが認められる。
〈偏光板外観〉
得られた偏光板の外観を評価した。評価は、50mm×50mmの偏光板に対して下記基準で目視により行った。
○:浮きやスジなどが一ヶ所もない。
×:浮きやスジが見られない。
浮きとは偏光子−偏光子保護フィルム間が密着していない状態であり、スジとは偏光子保護フィルム、または偏光子がごく少量面積ではあるが、自身で接着していることを意味する。
得られた偏光板の外観を評価した。評価は、50mm×50mmの偏光板に対して下記基準で目視により行った。
○:浮きやスジなどが一ヶ所もない。
×:浮きやスジが見られない。
浮きとは偏光子−偏光子保護フィルム間が密着していない状態であり、スジとは偏光子保護フィルム、または偏光子がごく少量面積ではあるが、自身で接着していることを意味する。
(偏光子)
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、5重量%(重量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム=1/10)のヨウ素水溶液中で染色した。次いで、3重量%のホウ酸および2重量%ヨウ化カリウムを含む水溶液に浸漬し、さらに4重量%のホウ酸および3重量%のヨウ化カリウムを含む水溶液中で5.5倍まで延伸した後、5重量%のヨウ化カリウム水溶液に浸漬した。その後、40℃のオーブンで3分間乾燥を行い、厚さ30μmの偏光子を得た。
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、5重量%(重量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム=1/10)のヨウ素水溶液中で染色した。次いで、3重量%のホウ酸および2重量%ヨウ化カリウムを含む水溶液に浸漬し、さらに4重量%のホウ酸および3重量%のヨウ化カリウムを含む水溶液中で5.5倍まで延伸した後、5重量%のヨウ化カリウム水溶液に浸漬した。その後、40℃のオーブンで3分間乾燥を行い、厚さ30μmの偏光子を得た。
(ラクトン環含有アクリル系樹脂の製造)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた30L反応釜に、8000gのメタクリル酸メチル(MMA)、2000gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、10000gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として10.0gのターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、20.0gの開始剤と100gのトルエンからなる溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、10gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(Φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なラクトン環含有アクリル系樹脂ペレット(1A)を得た。
ラクトン環含有アクリル系樹脂ペレット(1A)のラクトン環化率は97.0%、質量平均分子量は147700、メルトフローレートは11.0g/10分、Tg(ガラス転移温度)は130℃であった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた30L反応釜に、8000gのメタクリル酸メチル(MMA)、2000gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、10000gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として10.0gのターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、20.0gの開始剤と100gのトルエンからなる溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、10gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(Φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なラクトン環含有アクリル系樹脂ペレット(1A)を得た。
ラクトン環含有アクリル系樹脂ペレット(1A)のラクトン環化率は97.0%、質量平均分子量は147700、メルトフローレートは11.0g/10分、Tg(ガラス転移温度)は130℃であった。
(偏光子保護フィルムの作製)
ラクトン環含有アクリル系樹脂ペレット(1A)100部に対し、TINUVIN1577(チバスペシャルティーケミカルズ社製)を1部、アデカスタブLA−31(旭電化工業社製)を1部、アクリロニトリル−スチレン共重合体を10部、発泡抑制剤として酢酸亜鉛を0.12部、混合し、単軸押出機にてダイス温度250℃でTダイから押出し、120μmの偏光子保護フィルム(延伸前)を得た。このフィルムを縦方向に145℃で1.5倍延伸したのち、横方向に145℃で1.8倍延伸し、60μm厚の偏光子保護フィルム(延伸後)を得た。この後、フィルムの片面に放電量133w・min/m2にてコロナ処理を施した。
ラクトン環含有アクリル系樹脂ペレット(1A)100部に対し、TINUVIN1577(チバスペシャルティーケミカルズ社製)を1部、アデカスタブLA−31(旭電化工業社製)を1部、アクリロニトリル−スチレン共重合体を10部、発泡抑制剤として酢酸亜鉛を0.12部、混合し、単軸押出機にてダイス温度250℃でTダイから押出し、120μmの偏光子保護フィルム(延伸前)を得た。このフィルムを縦方向に145℃で1.5倍延伸したのち、横方向に145℃で1.8倍延伸し、60μm厚の偏光子保護フィルム(延伸後)を得た。この後、フィルムの片面に放電量133w・min/m2にてコロナ処理を施した。
(易接着層)
シランカップリング剤APZ−6601(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)100部に対しイソプロピルアルコールを66.7部加えることにより調製した溶液を、上記で得られたフィルムのコロナ処理面にワイヤーバー♯5で塗布し揮発分を蒸発させた。蒸発後のアンカー層の厚みは100nmである。
シランカップリング剤APZ−6601(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)100部に対しイソプロピルアルコールを66.7部加えることにより調製した溶液を、上記で得られたフィルムのコロナ処理面にワイヤーバー♯5で塗布し揮発分を蒸発させた。蒸発後のアンカー層の厚みは100nmである。
(接着剤)
アセトアセチル基変性したポリビニルアルコール樹脂100重量部(アセチル化度13%)に対してメチロールメラミン20重量部を含む水溶液を、濃度0.5重量%になるように調整したポリビニルアルコール系接着剤水溶液を調整した。
アセトアセチル基変性したポリビニルアルコール樹脂100重量部(アセチル化度13%)に対してメチロールメラミン20重量部を含む水溶液を、濃度0.5重量%になるように調整したポリビニルアルコール系接着剤水溶液を調整した。
(偏光板の作製)
偏光子の両面に上記偏光子保護フィルムを、上記偏光子保護フィルムの易接着層側が接するようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。ポリビニルアルコール系接着剤は、それぞれアクリル樹脂面側に塗布し、70℃で10分間乾燥させて偏光板を得た。
偏光子の両面に上記偏光子保護フィルムを、上記偏光子保護フィルムの易接着層側が接するようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。ポリビニルアルコール系接着剤は、それぞれアクリル樹脂面側に塗布し、70℃で10分間乾燥させて偏光板を得た。
(粘着剤)
ベースポリマーとして、ブチルアクリレート:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルアクリレート=100:5:0.1(重量比)の共重合体からなる重量平均分子量200万のアクリル系ポリマーを含有する溶液(固形分30%)を用いた。上記アクリル系ポリマー溶液にイソシアネート系多官能性化合物である日本ポリウレタン社製コロネートLをポリマー固形分100部に対して4部、および添加剤(KBM403、信越シリコーン製)を0.5部、粘度調整のための溶剤(酢酸エチル)を加え、粘着剤溶液(固形分12%)を調製した。当該粘着剤溶液を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、離型フィルム(ポリエチレンテレフタレート基材:ダイヤホイルMRF38、三菱化学ポリエステル製)上に塗布した後、熱風循環式オーブンで乾燥して、粘着剤層を形成した。
ベースポリマーとして、ブチルアクリレート:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルアクリレート=100:5:0.1(重量比)の共重合体からなる重量平均分子量200万のアクリル系ポリマーを含有する溶液(固形分30%)を用いた。上記アクリル系ポリマー溶液にイソシアネート系多官能性化合物である日本ポリウレタン社製コロネートLをポリマー固形分100部に対して4部、および添加剤(KBM403、信越シリコーン製)を0.5部、粘度調整のための溶剤(酢酸エチル)を加え、粘着剤溶液(固形分12%)を調製した。当該粘着剤溶液を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、離型フィルム(ポリエチレンテレフタレート基材:ダイヤホイルMRF38、三菱化学ポリエステル製)上に塗布した後、熱風循環式オーブンで乾燥して、粘着剤層を形成した。
(偏光板アンカー層)
ポリアクリル酸エステルのポリエチレンイミン付加物(日本触媒社製、商品名ポリメントNK380)をメチルイソブチルケトンで50倍に希釈した。これを偏光板のナイロン樹脂側に、ワイヤーバー(#5)を用いて乾燥後の厚みが50nmとなるように塗布乾燥した。
ポリアクリル酸エステルのポリエチレンイミン付加物(日本触媒社製、商品名ポリメントNK380)をメチルイソブチルケトンで50倍に希釈した。これを偏光板のナイロン樹脂側に、ワイヤーバー(#5)を用いて乾燥後の厚みが50nmとなるように塗布乾燥した。
(粘着型偏光板の作製)
上記偏光板のアンカー層に、上記粘着剤層を形成した離型フィルムを貼り合わせ、粘着剤型偏光板を作製した。
上記偏光板のアンカー層に、上記粘着剤層を形成した離型フィルムを貼り合わせ、粘着剤型偏光板を作製した。
(偏光子保護フィルムの評価)
得られた偏光子保護フィルム(延伸前および延伸後のそれぞれ)について、引裂き強度、面内位相差Δnd、厚み方向位相差Rth、屈折率を測定した。結果を表1に示す。
得られた偏光子保護フィルム(延伸前および延伸後のそれぞれ)について、引裂き強度、面内位相差Δnd、厚み方向位相差Rth、屈折率を測定した。結果を表1に示す。
(偏光板の評価)
得られた偏光板における偏光子保護フィルムと偏光子の接着性、および外観を評価したところ、偏光子保護フィルムと偏光子の接着性は○(偏光子と偏光子保護フィルムとが一体化して剥がれが生じない)であり、外観は○(浮きやスジなどが一ヶ所もない)であった。
得られた偏光板における偏光子保護フィルムと偏光子の接着性、および外観を評価したところ、偏光子保護フィルムと偏光子の接着性は○(偏光子と偏光子保護フィルムとが一体化して剥がれが生じない)であり、外観は○(浮きやスジなどが一ヶ所もない)であった。
〔比較例1〕
実施例1の偏光子保護フィルム(延伸後)の作製において、TACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム)(富士写真フィルム社製、商品名:TD−TAC)を縦方向に150℃で1.2倍延伸したのち、横方向に150℃で1.3倍延伸した以外は、実施例1と同様にし、55μm厚の偏光子保護フィルム(延伸後)を得た。
得られた偏光子保護フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1の偏光子保護フィルム(延伸後)の作製において、TACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム)(富士写真フィルム社製、商品名:TD−TAC)を縦方向に150℃で1.2倍延伸したのち、横方向に150℃で1.3倍延伸した以外は、実施例1と同様にし、55μm厚の偏光子保護フィルム(延伸後)を得た。
得られた偏光子保護フィルムの評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1の偏光子保護フィルム(延伸後)の作製において、ノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名:ゼオノア)を縦方向に140℃で1.2倍延伸したのち、横方向に140℃で1.3倍延伸した以外は、実施例1と同様にし、70μm厚の偏光子保護フィルム(延伸後)を得た。
得られた偏光子保護フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1の偏光子保護フィルム(延伸後)の作製において、ノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名:ゼオノア)を縦方向に140℃で1.2倍延伸したのち、横方向に140℃で1.3倍延伸した以外は、実施例1と同様にし、70μm厚の偏光子保護フィルム(延伸後)を得た。
得られた偏光子保護フィルムの評価結果を表1に示す。
本発明の偏光子保護フィルムおよび偏光板は、各種画像表示装置(液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等)に好適に用いることができる。
Claims (8)
- (メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む偏光子保護フィルムであって、
縦延伸および/または横延伸によって延伸されてなる、偏光子保護フィルム。 - 前記(メタ)アクリル系樹脂が、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂である、請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
- 前記延伸は、縦延伸倍率が1.1〜3.0倍、横延伸倍率が1.1〜3.0倍の、逐次延伸または同時二軸延伸である、請求項1または2に記載の偏光子保護フィルム。
- 面内位相差Δndが3.0nm以下、厚み方向位相差Rthが10.0nm以下、引裂き強度が2.0N/mm以上である、請求項1から3までのいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子と請求項1から4までのいずれかに記載の偏光子保護フィルムとを含む偏光板であって、
該偏光子が、接着剤層を介して、該偏光子保護フィルムに接着されてなる、偏光板。 - 前記接着剤層が、ポリビニルアルコール系接着剤から形成される層である、請求項5に記載の偏光板。
- 最外層の少なくとも一方として粘着剤層をさらに有する、請求項5または6に記載の偏光板。
- 請求項5から7までのいずれかに記載の偏光板を少なくとも1枚含む、画像表示装置。
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