JP2003155309A - 耐熱性共重合体およびその製造方法 - Google Patents

耐熱性共重合体およびその製造方法

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JP2003155309A
JP2003155309A JP2002253719A JP2002253719A JP2003155309A JP 2003155309 A JP2003155309 A JP 2003155309A JP 2002253719 A JP2002253719 A JP 2002253719A JP 2002253719 A JP2002253719 A JP 2002253719A JP 2003155309 A JP2003155309 A JP 2003155309A
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heat
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Hideki Matsumoto
英樹 松本
Akiko Tanaka
明子 田中
Toru Yamanaka
亨 山中
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、無色透明性、成形加工性(流動性)
に優れる耐熱性共重合体およびその製造方法を提供せん
とするものである。 【解決手段】本発明の耐熱性共重合体は、下記一般式
(1)で表されるラクトン環構造単位を5重量%以上含
有する共重合体(A)であって、かつ、ガラス転移温度
が120℃以上であることを特徴とするものである。 【化1】 (式中、Rは水素原子、メチル基およびエチル基から選
ばれる基である。)また、かかる耐熱性共重合体の製造
方法は、メタクリル酸エステル成分単位およびカルボン
酸不飽和エステル成分単位を含有する共重合体(B)
を、180〜300℃で加熱処理することにより、前記
一般式(1)で表されるラクトン環構造単位を5重量%
以上形成すると共に、そのガラス転移温度を120℃以
上である共重合体(A)に変性することを特徴とするも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明で高い耐熱性
を有し、溶融成形が可能な耐熱性共重合体およびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】メタクリル酸メチル(MMA)を主成分
とするメタクリル樹脂は、無色透明性、表面光沢、耐候
性に優れ、また機械的性質、熱的性質、表面硬度、成形
加工性のバランスが良好であることから、自動車、家電
製品等における光学関連用途に幅広く使用されている。
【0003】近年、これらの用途においては、デザイン
の自由度、コンパクト化、高性能化を図るため、光源を
樹脂に近接して配置する設計が多く行われている。この
ため、より耐熱性に優れる耐熱樹脂が切望されている。
【0004】しかしながら、一般的なメタクリル樹脂の
ガラス転移温度(Tg)は105℃前後であることか
ら、耐熱性が要求される分野における使用は困難である
とされていた。
【0005】このため、その耐熱性を改良する方法とし
て、N−置換マレイミド単量体あるいは無水マレイン酸
単量体等の環状モノマーをMMAと共重合することによ
り、主鎖に環構造を導入して主鎖の剛直性を高め、耐熱
性を向上する方法が知られている。しかしながら、環状
モノマーは一般的にMMAとの共重合性が悪く、耐熱性
付与成分の導入に限界があり、しかも、重合終了時にも
未反応モノマーとして残存する傾向にある。このような
環状モノマーのポリマー中での残存は、該ポリマーの加
熱成形時における着色や機械物性の低下を引き起こす問
題があった。
【0006】そこで、米国特許第2,146,209号
には、主鎖に環構造を導入する方法として、ポリメタク
リル酸メチル(PMMA)と第一級アルキルアミンとを
反応させることにより主鎖に六員環イミド構造(グルタ
ルイミド環構造)を導入する方法が開示されている。上
記の側鎖反応を利用した主鎖への環構造の導入は、耐熱
性が向上し、さらに機械的強度においてもメタクリル樹
脂以上の性能を付与することができる。しかしながら、
六員環イミド構造の導入は、該構造を有する共重合体の
成形時に未反応遊離アミン等の窒素原子に基づく着色を
引き起こすという問題点を有していた。
【0007】また別の主鎖に環構造を導入する方法とし
て、特開昭52−69492号公報にアクリル系カルボ
ン酸エステル単位とカルボン酸不飽和エステル単位を含
有する共重合体を加熱処理し、主鎖にラクトン環構造を
導入する方法が開示されている。上記の方法は加熱処理
後も着色がなく、また透明性にも優れたポリマーとなる
が、耐熱性が十分ではなく、また加熱処理時の反応が分
子内環化(ラクトン化)だけに止まらず、分子間での反
応も引き起こし、一部の架橋構造を有するとの記載があ
り、溶融加工成形性に課題が残されるものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、無色透明性、成形加工性(流動性)
に優れる耐熱性共重合体およびその製造方法を提供せん
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の耐熱性共重合体は、下記一般式
(1)で表されるラクトン環構造単位を5重量%以上含
有する共重合体(A)であって、かつ、ガラス転移温度
が120℃以上であることを特徴とするものである。
【0010】
【化5】
【0011】(式中、Rは水素原子、メチル基およびエ
チル基から選ばれる基である。)また、かかる耐熱性共
重合体の製造方法は、メタクリル酸エステル成分単位お
よびカルボン酸不飽和エステル成分単位を含有する共重
合体(B)を、180〜300℃で加熱処理することに
より、前記一般式(1)で表されるラクトン環構造単位
を5重量%以上形成すると共に、そのガラス転移温度を
120℃以上である共重合体(A)に変性することを特
徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり着色
がなく、透明性、成形加工性(流動性)に優れる耐熱性
共重合体について、鋭意検討し、メタクリル酸エステル
成分単位およびカルボン酸不飽和エステル成分単位を含
有する共重合体(B)を、特定な温度で加熱処理してみ
たところ、驚くべきことに、閉環反応が惹起して下記一
般式(1)で表されるラクトン環構造単位を形成するこ
とを究明し、しかも、かかる課題も一挙に解決すること
を究明したものである。
【0013】
【化6】
【0014】(式中、R1は水素原子、メチル基および
エチル基から選ばれる基である。) かかるラクトン環構造単位を、分子主鎖に5重量%以上
形成させることにより、耐熱性を大幅に向上させること
ができることは、意外な事実である。
【0015】共重合体(A)を構成する上記式(1)で
表されるラクトン環構造単位以外の成分としては、ガラ
ス転移温度120℃以上を満たすものであれば特に制限
はないが、耐熱性、透明性の点から、メタクリル酸エス
テル成分単位、カルボン酸不飽和エステル成分単位、下
記一般式(2)で表される酸無水物環構造単位、不飽和
カルボン酸単位から選ばれる1種以上が好ましい。
【0016】
【化7】
【0017】(上記式中、R2、R3は、同一または相異
なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表
す。) 本発明における共重合体(A)を製造する方法として
は、特に制限はないが、下記方法などが挙げられる。 (1)メタクリル酸エステル単量体およびカルボン酸不
飽和エステル単量体、必要に応じてその他のビニル系単
量体を共重合し原重合体(B)とした後、かかる原重合
体を適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱処理す
ることにより、分子内で隣接するメタクリル酸エステル
成分単位およびカルボン酸不飽和エステル成分単位から
対応するカルボン酸飽和エステルが脱離し(エステル交
換)、分子内環化反応を行わせることにより製造する方
法。 (2)不飽和カルボン酸単量体およびカルボン酸不飽和
エステル単量体を共重合し原重合体(B)とした後、か
かる原重合体を上記と同様に加熱処理することにより、
分子内で隣接する不飽和カルボン酸成分単位およびカル
ボン酸不飽和エステル成分単位から対応するカルボン酸
が脱離し、分子内環化反応を行わせることにより製造す
る方法が挙げられる。この際前記のラクトン環生成だけ
でなく、分子内で隣接する2単位の不飽和カルボン酸単
位のカルボキシル基が脱水されて、上記式(2)で表さ
れる酸無水物環構造単位を生成する。 (3)メタクリル酸エステル単量体、不飽和カルボン酸
単量体およびカルボン酸不飽和エステル単量体を共重合
し原重合体(B)とした場合、かかる原重合体を上記と
同様に加熱処理することにより、前記(1)、(2)の
メタクリル酸エステル単位または不飽和カルボン酸単位
とカルボン酸不飽和エステル成分単位との間での環化反
応(ラクトン環生成)とともに、分子内で隣接する2単
位の不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基が脱水され
て、あるいは、隣接する不飽和カルボン酸単位とメタク
リル酸エステル成分単位からアルコールの脱離により1
単位の上記式(2)で表される酸無水物環構造単位を生
成する。
【0018】いずれも本発明の特定のラクトン環構造を
分子中に導入する有効な方法であるが、中でも不飽和カ
ルボン酸単量体を使用した(2)または(3)の方法
が、耐熱性の面で優れ、特に(3)の方法が良好な透明
性、流動性を有し、とりわけ耐熱性に優れることから好
ましく使用することができる。
【0019】この原重合体(B)を製造する際に用いら
れるメタクリル酸エステル系単量体としては特に制限は
ないが、炭素数1〜6のアルキル基または置換アルキル
基を持つメタクリル酸エステルが好適である。
【0020】メタクリル酸エステル系単量体の具体例と
しては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メ
タクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メ
タクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸クロロメチ
ル、メタクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−
ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピ
ル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキ
シヘキシルおよびメタクリル酸2,3,4,5−テトラ
ヒドロキシペンチルなどが挙げられ、なかでもメタクリ
ル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1
種または2種以上を用いることができる。
【0021】この原重合体(B)を製造する際に用いら
れる不飽和カルボン酸単量体としては特に制限はなく、
他のビニル化合物と共重合させることが可能ないずれの
不飽和カルボン酸単量体も使用可能である。好ましい不
飽和カルボン酸単量体として、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、及びさらには
無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられるが、特に
熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ま
しく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはそ
の1種または2種以上用いることができる。
【0022】またカルボン酸不飽和エステル系単量体の
具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、カプロン酸ビ
ニル、カプリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、クロル
酢酸ビニル、安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン
酸ビニル、酢酸イソプロペニル、酢酸1−ブテニルなど
が挙げられ、なかでも酢酸ビニルが最も好ましく用いら
れる。これらはその1種または2種以上を用いることが
できる。
【0023】また本発明の目的を損なわない範囲でその
他のビニル系単量体を共重合することができる。その他
のビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチ
レン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−
エチルスチレン、p−エチルスチレンおよびp−t−ブ
チルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなど
のシアン化ビニル系単量体、イタコン酸グリシジル、ア
リルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエ
ーテル、p−グリシジルスチレン、無水マレイン酸、マ
レイン酸モノエチルエステル、無水イタコン酸、N−メ
チルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘ
キシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリル
アミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミ
ド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタ
クリルアミド、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエ
チル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル
酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノ
エチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N
−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、
アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルア
ミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキ
サゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル
−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなど
を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用
いることができる。
【0024】本発明の特定のラクトン環を有する耐熱性
に優れた透明共重合体(A)は、分子中の隣接するメタ
クリル酸エステル系単量体単位または不飽和カルボン酸
成分単位とカルボン酸不飽和エステル系単量体単位の間
で環化(ラクトン化)することにより得ることができる
ため、原重合体(B)を製造する際にメタクリル酸エス
テル系単量体単位または不飽和カルボン酸成分単位とカ
ルボン酸不飽和エステル系単量体単位が交互に配列した
構造をとることが好ましい。
【0025】例えば、カルボン酸不飽和エステル系単量
体として酢酸ビニルを使用し、メタクリル酸エステル系
単量体とラジカル共重合し原重合体(B)を製造する場
合、これらのラジカル共重合性の観点から、低重合率で
反応を停止することにより、交互性の高い原重合体
(B)を製造することが可能となる。この交互共重合性
の高い原重合体(B)を加熱環化(ラクトン化)処理す
ることにより、よりラクトン環構造単位含量の多い耐熱
性に優れた共重合体(A)を得ることができるようにな
る。
【0026】ここで、カルボン酸不飽和エステル系単量
体として酢酸ビニルを使用し、メタクリル酸エステル系
単量体とラジカル共重合し原重合体(B)を製造する場
合の好ましい重合率としては70%以下、より好ましく
は50%以下である。重合率が70%を越える場合、共
重合性に劣る酢酸ビニル単位の連鎖が分子中に数多く含
まれるようになり、加熱環化(ラクトン化)処理後も未
反応のまま酢酸ビニル単位が残存し、耐熱性が低下する
傾向にあるため好ましくない。
【0027】また、原重合体(B)製造時に用いられる
単量体として、不飽和カルボン酸を用いることにより、
メタクリル酸エステル系単位または不飽和カルボン酸単
位とカルボン酸不飽和エステル系単量体単位の交互配列
性が高くなる傾向が見られ、加熱環化処理後に残存する
未反応の酢酸ビニルなどのカルボン酸不飽和エステル系
単量体単位含有量を少なくすることが可能となり、より
高い耐熱性を有する共重合体(A)を得ることができ
る。
【0028】また、原重合体(B)製造時に用いられる
単量体混合物の好ましい割合は、上記の製造方法(1)
の場合、メタクリル酸エステル系単量体が20〜95重
量%、より好ましくは30〜80重量%、最も好ましく
は40〜60重量%、カルボン酸不飽和エステル系単量
体は5〜80重量%、より好ましくは30〜70重量
%、最も好ましくは40〜60重量%、共重合可能な他
のビニル系単量体は0〜30重量%である。メタクリル
酸エステル系単量体量が20重量%未満またはカルボン
酸不飽和エステル系単量体量が5重量%未満の場合には
原重合体(B)の加熱処理によるラクトン環構造単位導
入量が少なくなるため、共重合体(A)の耐熱性が十分
でなく好ましくない。
【0029】上記の製造方法(2)の場合、不飽和カル
ボン酸単量体は10〜50重量%、より好ましくは20
〜45重量%、最も好ましくは30〜40重量%、カル
ボン酸不飽和エステル系単量体は50〜90重量%、よ
り好ましくは55〜80重量%、最も好ましくは60〜
70重量%、共重合可能な他のビニル系単量体は0〜3
0重量%である。不飽和カルボン酸単量体が50重量%
を越える場合は、共重合体(A)の透明性、色調が損な
われる傾向があり、好ましくない。
【0030】上記の製造方法(3)の場合、メタクリル
酸エステル系単量体が20〜70重量%、より好ましく
は30〜60重量%、最も好ましくは40〜50重量
%、不飽和カルボン酸単量体は1〜50重量%、より好
ましくは2〜30重量%、最も好ましくは3〜20重量
%、カルボン酸不飽和エステル系単量体は20〜70重
量%、より好ましくは40〜80重量%、最も好ましく
は45〜60重量%、共重合可能な他のビニル系単量体
は0〜30重量%である。
【0031】本発明における原重合体の加熱による共重
合体(A)の製造方法は、特に制限はないが、分子内環
化反応の際に副成するカルボン酸飽和エステル、または
これとともにカルボン酸、水、アルコールを減圧などの
操作により、系外に除去することが好ましい。たとえば
上記原重合体を減圧装置の備わった加熱器内において加
熱処理し環化反応を行う方法、または上記原重合体をベ
ントを有する昇温した押出機に通して加熱脱気すること
により、環化反応を行う方法等が好ましく用いることが
できる。
【0032】この加熱処理を行う際の温度としては、1
80〜300℃が好ましく、特に200〜280℃で好
ましく行うことができる。すなわち、加熱処理温度が1
80℃未満の場合は、分子内環化反応が十分に完結しな
いため、耐熱性の向上効果が不十分となるだけでなく、
再加熱成形時に成形品が発泡する傾向があり好ましくな
い。また、加熱処理温度が300℃を越える場合、ポリ
マーが分解し始め、着色するようになるため好ましくな
い。
【0033】また、原重合体を加熱処理する際に、分子
内環化反応を促進させる触媒として、原重合体(B)1
00重量部に対し、酸、アルカリ、塩化合物の1種以上
を0.01〜1重量部添加することが好ましい。これら
酸、アルカリ、塩化合物については特に制限はなく、酸
触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、
リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸等を使用するこ
とができる。塩基性触媒としては、金属水酸化物、アミ
ン類、イミン類、アルカリ金属誘導体アルコキシド類等
を使用することができる。さらに、塩系触媒としては、
酢酸金属塩、ステアリン酸金属塩、炭酸金属塩等を使用
することができ、特に水和物である塩が好ましく用いら
れる。
【0034】本発明におけるラクトン環構造単位を含有
する共重合体(A)100重量%中に含まれるラクトン
環構造単位は、共重合体中に5重量%以上、より好まし
くは10重量%以上、最も好ましくは15重量%以上で
ある。上限に特に制限はないが、通常、70重量%以下
であり、50重量%以下が好ましい。ラクトン環構造単
位が5重量%未満の場合、耐熱性向上効果が十分でない
ため好ましくない。また、メタクリル酸エステル系単位
は、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは30
〜90重量%、最も好ましくは40〜80重量%であ
る。カルボン酸不飽和エステル系単位は、好ましくは0
〜5重量%、より好ましくは0〜3重量%、最も好まし
くは0〜2重量%である。カルボン酸不飽和エステル系
単位が5重量%を越える場合、耐熱性が低下する傾向に
あり好ましくない。また不飽和カルボン酸単位は好まし
くは0〜10重量%、最も好ましくは0〜5重量%であ
る。不飽和カルボン酸単位が10重量%を越える場合、
色調および滞留安定性が低下する傾向があり好ましくな
い。また酸無水物環構造単位は、好ましくは0〜30重
量%、最も好ましくは1〜20重量%である。酸無水物
環単位が30重量%を越える場合、透明性が低下する傾
向が見られるため好ましくない。また共重合可能なその
他のビニル系単量体は好ましくは0〜35重量%であ
る。
【0035】本発明におけるラクトン環構造単位を含有
する共重合体(A)のガラス転移温度は、120℃以上
であり、好ましくは130℃以上、より好ましくは15
0℃以上のものが、耐熱性の面で好ましく使用すること
ができる。上限に特に制限はないが、通常、180℃以
下であり、170℃以下であることが好ましい。ガラス
転移温度の高い共重合体は、ラクトン環構造単位、もし
くは同単位と酸無水物単位の合計量を高くすることによ
り得ることができる。
【0036】また、本発明におけるラクトン環構造単位
を含有する共重合体(A)は、メルトフローレート(温
度:共重合体(A)のガラス転移温度+100℃、荷
重:98N)は5g/10分以上であるものが好まし
く、さらには10g/10分以上、とりわけ15g/1
0分以上のものが、溶融成形加工性の面で好ましく使用
することができる。上限に特に制限はないが、通常40
g/10分以下であることが好ましい。
【0037】本発明におけるラクトン環構造単位を含有
する共重合体(A)のクロロホルム溶媒、30℃で測定
した極限粘度には、特に制限はないが、好ましくは0.
2〜1.0dl/g、より好ましくは0.3〜0.7d
l/gのものが、機械特性と溶融成形加工性とのバラン
スの観点から好ましく用いられる。また、N,N−ジメ
チルホルムアミドを溶媒として用いた場合は、30℃で
測定した極限粘度[η]が、0.35〜0.85dl/g
のものが好ましく、0.45〜0.7dl/gのものが
特に好ましい。
【0038】さらに、本発明の共重合体(A)には、ヒ
ンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾ
フェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート
系の紫外線吸収剤および酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エ
ステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなど
の滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエ
ステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、
ステラアマイドおよびエチレンワックスなどの離型剤、
亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ハロゲン
系難燃剤、燐系やシリコーン系の非ハロゲン系難燃剤、
核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの
帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有させ
てもよい。ただし、本発明の共重合体(A)の特徴であ
る透明性にも優れる点を維持するためには、その透明性
が低下しない範囲で添加する必要がある。
【0039】本発明の共重合体(A)は、機械的特性、
成形加工性にも優れており、溶融成形可能であるため、
押出成形、射出成形およびプレス成形などが可能であ
り、フィルム、管、ロッドや、希望する任意の形状と大
きさを有する成形品に成形して使用することができる。
【0040】そして、本発明の共重合体(A)は、その
優れた耐熱性を活かして、電気・電子部品、自動車部
品、機械機構部品、光学機器部品、OA機器、家電機器
などのハウジングおよびそれらの部品類、一般雑貨など
種々の用途に用いることができる。
【0041】本発明の共重合体(A)からなる成形品の
具体的用途としては、例えば、電気機器のハウジング、
OA機器のハウジング、各種カバー、各種ギヤー、各種
ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケッ
ト、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、
コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振
子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チ
ューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォ
ン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュー
ル、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、F
DDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラ
アンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電
気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘ
アードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部
品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コン
パクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫
部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロ
セッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部
品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部
品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治
具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種
軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに
代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時
計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オル
タネーターターミナル、オルタネーターコネクター、I
Cレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、
燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテー
クノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポ
ンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメイン
ボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサ
ー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウ
ェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クラ
ンクシャフトポジションセンサー、エアーフローメータ
ー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フロー
コントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシ
ュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべ
イン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュタ
ー、スタータースィッチ、スターターリレー、トランス
ミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャー
ノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気
弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナ
ル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ラン
プソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、
ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイル
フィルターおよび点火装置ケースなどが挙げられ、これ
ら各種の用途にとって極めて有用である。また、透明
性、耐熱性に優れている点から、映像機器関連部品とし
てカメラ、VTR、プロジェクションTV等の撮影用レ
ンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネル
レンズ等、光記録・光通信関連部品として各種光ディス
ク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板、各種デ
ィスク基板保護フィルム、光ディスクプレイヤーピック
アップレンズ、光ファイバー、光スイッチ、光コネクタ
ー等、情報機器関連部品として、液晶ディスプレイ、フ
ラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイの導
光板、フレネルレンズ、偏光板、偏光板保護フィルム、
位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィル
ム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、
輝度向上フィルム、プリズムシート、ピックアップレン
ズ、タッチパネル用導光フィルム、カバー等、自動車等
の輸送機器関連部品として、テールランプレンズ、ヘッ
ドランプレンズ、インナーレンズ、アンバーキャップ、
リフレクター、エクステンション、サイドミラー、ルー
ムミラー、サイドバイザー、計器針、計器カバー、グレ
ージング等、医療機器関連部品として、眼鏡レンズ、眼
鏡フレーム、コンタクトレンズ、内視鏡、分析用光学セ
ル等、建材関連部品として、採光窓、道路透光板、照明
カバー、看板、透光性遮音壁、バスタブ用材料等、これ
ら各種の用途にとって極めて有用である。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明の構成、効果をさ
らに詳細に説明する。
【0043】[実施例1]窒素吹き込み管、冷却管、撹
拌装置、滴下漏斗、および水浴を備えた1リットルの四
つ口フラスコに、窒素パージを行いながら、酢酸ビニル
20重量部、溶媒としてベンゼン200重量部、および
重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル0.5部を仕
込んだ。次いで浴温を60℃にて攪拌しながら、メタク
リル酸メチル80重量部を滴下漏斗より連続的に2時間
で添加した。続いて、この重合反応液を室温まで冷却し
た後、この重合反応液に対して過剰のn−ヘキサン中に
投入して、重合物を沈殿させ、これを濾過して分別し
た。
【0044】次いで、得られた重合物を80℃にて熱風
乾燥させることにより、この原共重合体<B−1>を白
色粉末として得た。このとき重合率は67%であった。
【0045】次いで、この<B−1>を、スクリュウ径
30mm、L/Dが25のベント付き同方向回転2軸押
出機(池貝鉄工製 PCM−30)のホッパー口より供
給して、樹脂温度250℃、スクリュウ回転数100r
pmで溶融押出し、ペレット状のラクトン環構造単位を
含有する共重合体<A−1>を得た。
【0046】得られた<A−1>について、1H−NM
Rスペクトルを測定し、0.8〜1.1ppmのピーク
がメタクリル酸メチル単位およびラクトン環構造単位の
α−メチル基の水素、1.6〜1.9ppmのピークは
ポリマー主鎖のメチレン基の水素、2.0〜2.1pp
mのピークは酢酸ビニル単位のメチル基の水素、3.6
ppmのピークはメタクリル酸メチル単位のカルボン酸
エステル(−COOCH3)の水素、4.8〜5.1p
pmのピークは酢酸ビニル単位およびラクトン環構造単
位のα−水素と帰属し、スペクトルの積分比から各共重
合単位の組成を計算した結果、下記のとおりであった。
【0047】メタクリル酸メチル単位:88.0重量% ラクトン環構造単位:12.0重量% 酢酸ビニル単位:0.0重量% [実施例2]酢酸ビニルを50重量部、メタクリル酸メ
チルを50重量部とした以外は<B−1>と同様にして
共重合を行い、実施例1と同様にして原共重合体<B−
2>を白色粉末として得た。このとき重合率は38%で
あった。
【0048】得られた<B−2>について、真空下22
0℃で5時間熱処理することにより、固形状のラクトン
環構造単位を含有する共重合体<A−2>を得た。
【0049】得られた<A−2>について、1H−NM
Rスペクトルを測定し、その積分比から各共重合単位の
組成を計算した結果、下記のとおりであった。
【0050】メタクリル酸メチル単位:55.8重量% ラクトン環構造単位:42.0重量% 酢酸ビニル単位:2.2重量% [実施例3]窒素吹き込み管、冷却管、撹拌装置、滴下
漏斗、および水浴を備えた1リットルの四つ口フラスコ
に、窒素パージを行いながら、酢酸ビニル50重量部、
溶媒としてベンゼン200重量部、および重合開始剤と
してアゾイソブチロニトリル0.5部を仕込んだ。次い
で浴温を60℃にて攪拌しながら、メタクリル酸メチル
50重量部を滴下漏斗より連続的に2時間で添加し、さ
らに60℃で5時間攪拌を行った。続いて、この重合反
応液を室温まで冷却した後、この重合反応液に対して過
剰のn−ヘキサン中に投入して、重合物を沈殿させ、こ
れを濾過して分別した。
【0051】次いで、得られた重合物を80℃にて熱風
乾燥させることにより、この原共重合体<B−3>を白
色粉末として得た。このとき重合率は87%であった。
【0052】得られた<B−3>について、真空下22
0℃で5時間熱処理することにより、固形状のラクトン
環構造単位を含有する共重合体<A−3>を得た。得ら
れた<A−3>について、1H−NMRスペクトルを測
定し、その積分比から各共重合単位の組成を計算した結
果、下記のとおりであった。
【0053】メタクリル酸メチル単位:53.8重量% ラクトン環構造単位:22.0重量% 酢酸ビニル単位:24.2重量% [実施例4]窒素吹き込み管、冷却管、撹拌装置、滴下
漏斗、および水浴を備えた1リットルの四つ口フラスコ
に、窒素パージを行いながら、メタクリル酸35重量
部、酢酸ビニル65重量部、溶媒としてN,N−ジメチ
ルホルムアミド200重量部、および重合開始剤として
アゾイソブチロニトリル0.5部を仕込んだ。次いで浴
温を60℃にて攪拌しながら、2時間重合を行った。続
いて、この重合反応液を室温まで冷却した後、この重合
反応液に対して過剰のn−ヘキサン中に投入して、重合
物を沈殿させ、これを濾過して分別した。
【0054】次いで、得られた重合物を80℃にて熱風
乾燥させることにより、この原共重合体<B−4>を白
色粉末として得た。このとき重合率は64%であった。
【0055】得られた<B−4>について、真空下22
0℃で5時間熱処理することにより、固形状のラクトン
環構造単位を含有する共重合体<A−4>を得た。得ら
れた<A−4>について、1H−NMRスペクトルを測
定し、0.8〜1.1ppmのピークがメタクリル酸単
位、ラクトン環構造単位、酸無水物環構造単位のα−メ
チル基の水素、1.6〜1.9ppmのピークはポリマ
ー主鎖のメチレン基の水素、2.0〜2.1ppmのピ
ークは酢酸ビニル単位のメチル基の水素、4.8〜5.
1ppmのピークは酢酸ビニル単位およびラクトン環構
造単位のα−水素、12.4ppmのピークはメタクリ
ル酸のカルボン酸の水素と帰属し、スペクトルの積分比
から各共重合単位の組成を計算した結果、下記のとおり
であった。
【0056】メタクリル酸単位:9.2重量% ラクトン環構造単位:41.5重量% 酢酸ビニル単位:18.0重量% 酸無水物環構造単位:31.3重量% [実施例5]窒素吹き込み管、冷却管、撹拌装置、滴下
漏斗、および水浴を備えた1リットルの四つ口フラスコ
に、窒素パージを行いながら、メタクリル酸メチル45
重量部、メタクリル酸5重量部、酢酸ビニル50重量
部、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド200重
量部、および重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル
0.5部を仕込んだ。次いで浴温を60℃にて攪拌しな
がら、2時間重合を行った。続いて、この重合反応液を
室温まで冷却した後、この重合反応液に対して過剰のn
−ヘキサン中に投入して、重合物を沈殿させ、これを濾
過して分別した。
【0057】次いで、得られた重合物を80℃にて熱風
乾燥させることにより、この原共重合体<B−5>を白
色粉末として得た。このとき重合率は68%であった。
【0058】得られた<B−5>について、真空下22
0℃で5時間熱処理することにより、固形状のラクトン
環構造単位を含有する共重合体<A−4>を得た。得ら
れた<A−4>について、1H−NMRスペクトルを測
定し、0.8〜1.1ppmのピークがメタクリル酸メ
チル単位、ラクトン環構造単位、酸無水物環構造単位お
よびメタクリル酸単位のα−メチル基の水素、1.6〜
1.9ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水
素、2.0〜2.1ppmのピークは酢酸ビニル単位の
メチル基の水素、3.6ppmのピークはメタクリル酸
メチル単位のカルボン酸エステル(−COOCH3)の
水素、4.8〜5.1ppmのピークは酢酸ビニル単位
およびラクトン環構造単位のα−水素、12.4ppm
のピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素と帰属し、
スペクトルの積分比から各共重合単位の組成を計算した
結果、下記のとおりであった。
【0059】メタクリル酸メチル単位:47.5重量% ラクトン環構造単位:41.5重量% 酢酸ビニル単位:1.0重量% 酸無水物環構造単位:10.0重量% メタクリル酸単位:0.0重量% 〔比較例1〕 <ポリメタクリル酸メチル(PMMA)>窒素吹き込み
管、冷却管、撹拌装置、滴下漏斗、および水浴を備えた
1リットルの四つ口フラスコに、窒素パージを行いなが
ら、メタクリル酸メチル100重量部、溶媒としてベン
ゼン200重量部、および重合開始剤としてアゾイソブ
チロニトリル0.5部を仕込んだ。次いで浴温を60℃
にて攪拌しながら、2時間重合した。続いて、この重合
反応液を室温まで冷却した後、この重合反応液に対して
過剰のn−ヘキサン中に投入して、重合物を沈殿させ、
これを濾過して分別した。
【0060】次いで、得られた重合物を80℃にて熱風
乾燥させることにより、ポリメタクリル酸メチルを白色
粉末として得た。
【0061】〔比較例2〕 <マレイミド共重合PMMA>容量が20リットルで、
バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス
製オートクレーブに、メタクリル酸メチル/アクリルア
ミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載の懸
濁安定剤)0.05部をイオン交換水165部に溶解し
た溶液を供給し、400rpmで撹拌し、系内を窒素ガ
スで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しな
がら添加し、60℃に昇温し懸濁重合を開始した。
【0062】 メタクリル酸メチル 80重量部 N−フェニルマレイミド 20重量部 アゾビスイソブチロニトリル 0.4重量部 15分かけて反応温度を65℃まで昇温した後、120
分かけて100℃まで昇温し100℃を120分間保ち
重合を終了した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷
却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビーズ状の
マレイミド共重合PMMAを得た。
【0063】〔比較例3〕 <メチルアクリレート/酢酸ビニル共重合体の加熱処理
品>窒素吹き込み管、冷却管、撹拌装置、滴下漏斗、お
よび水浴を備えた1リットルの四つ口フラスコに、窒素
パージを行いながら、酢酸ビニル50重量部、溶媒とし
てベンゼン200重量部、および重合開始剤としてアゾ
イソブチロニトリル0.5部を仕込んだ。次いで浴温を
60℃にて攪拌しながら、アクリル酸メチル50重量部
を滴下漏斗より連続的に2時間で添加した。続いて、こ
の重合反応液を室温まで冷却した後、この重合反応液に
対して過剰のn−ヘキサン中に投入して、重合物を沈殿
させ、これを濾過して分別した。次いで得られた重合物
を80℃にて熱風乾燥させることにより、メチルアクリ
レート/酢酸ビニル共重合体を白色粉末として得た。
【0064】次いで、これを真空下200℃で2時間熱
処理することにより、固形状の樹脂<A−6>を得た。
【0065】この樹脂はクロロホルムなどの有機溶剤に
不溶であり、また250〜300℃でも溶融加工成形で
きないゲル体であった。
【0066】各樹脂について、以下の測定方法により実
施した結果を表1に示した。 (1)ガラス転移温度(Tg) 示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製D
SC−7型)を用いて測定した。 (2)透明性 250℃でプレス成形し得られた厚さ1mmの成形品に
ついて、東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用し
て、23℃で全光線透過率(%)を測定し、透明性を評
価した。 (3)黄色度(Yellow Index) 上記の厚さ1mmの成形品についてJIS−K7103
に従い黄色度を評価した。 (4)流動性 ISO−R1133に従い、温度:各樹脂のガラス転移
温度+100℃、荷重:98Nの条件でメルトフローレ
ート(g/10分)を測定し、流動性を評価した。この
メルトフローレート値が大きいほど、高い流動性を示
し、成形加工性が優れる。
【0067】
【表1】
【0068】表1の実施例、比較例より以下のことが明
らかである。
【0069】実施例1〜5と比較例1〜2との比較か
ら、本発明の特定のラクトン環構造単位を含有する共重
合体は、耐熱性、無色透明性、流動性に優れた樹脂であ
ることがわかる。
【0070】また実施例2、3の比較から、より低重合
率で取り出した原重合体<B−2>を加熱処理したラク
トン環含有共重合体<A−2>がラクトン環含量が高
く、より高い耐熱性(ガラス転移温度)を有することが
わかる。
【0071】また実施例4、5では、不飽和カルボン酸
単位を共重合した原重合体<B−4>、<B−5>を加
熱処理した共重合体<A−4>、<A−5>は、ラクト
ン環構造単位含有量の増加とともに酸無水物環構造単位
を含有することにより、耐熱性に優れ、中でも<A−5
>は、高度な無色透明性、流動性を保持していることが
わかる。
【0072】一方、ポリメタクリル酸メチル(PMM
A)は透明性、流動性に優れるが、ガラス転移温度が低
く耐熱性に劣る。またN−フェニルマレイミド共重合体
は耐熱性に優れるが、樹脂の着色が著しいことがわか
る。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、特定のラクトン環構造
単位を含有する共重合体は、着色もなく、耐熱性、透明
性、流動性に優れた耐熱樹脂を安定して提供することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AG04Q AJ02R AL03P BA11H BC53H BC55H CA04 CA05 CA31 DA22 DA25 HA17 HA42 HA61 HE35 HE44 JA28 JA32 JA43

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で表されるラクトン環構
    造単位を5重量%以上含有する共重合体(A)であっ
    て、かつ、ガラス転移温度が120℃以上であることを
    特徴とする耐熱性共重合体。 【化1】 (式中、R1は水素原子、メチル基およびエチル基から
    選ばれる基である。)
  2. 【請求項2】該共重合体(A)が、メタクリル酸エステ
    ル成分単位およびカルボン酸不飽和エステル成分単位か
    ら選ばれた少なくとも1種を含むものである請求項1に
    記載の耐熱性共重合体。
  3. 【請求項3】該共重合体(A)が、メタクリル酸エステ
    ル成分単位20〜95重量%、カルボン酸不飽和エステ
    ル成分単位0〜5重量%および上記式(1)で表される
    ラクトン環構造単位5〜80重量%を含有するものであ
    る請求項1または2に記載の耐熱性共重合体。
  4. 【請求項4】該共重合体(A)が、下記一般式(2)で
    表される酸無水物環構造単位を含有するものである請求
    項1〜3のいずれかに記載の耐熱性共重合体。 【化2】 (上記式中、R2、R3は、同一または相異なる水素原子
    または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
  5. 【請求項5】該共重合体(A)が、他のビニル系単位を
    含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の耐
    熱性共重合体。
  6. 【請求項6】該共重合体(A)が下記a〜eから選択さ
    れるものである請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱性
    共重合体。 a.(i)一般式(1)で表されるラクトン環構造単位、
    (ii)メタクリル酸エステル成分単位を有する共重合体 b.上記(i)、(ii)の単位および(iii)カルボン酸不飽和
    エステル成分単位を有する共重合体、 c.上記(i)、(ii)の単位、(i)、(iii)の単位または
    (i)、(ii)、(iii)の単位および(iv)一般式(2)で表さ
    れる酸無水物環構造単位を有する共重合体、 d.上記(i)、(ii)の単位、(i)、(iii)の単位、(i)、(i
    v)の単位、(i)、(ii)、(iii)の単位、(i)、(ii)、(iv)
    の単位、(i)、(iii)、(iv)の単位または(i)、(ii)、(ii
    i)、(iv)の単位および(v)不飽和カルボン酸単量体単位
    を有する共重合体、 e.上記a〜dに加えて(vi)その他のビニル系単位を有
    する共重合体
  7. 【請求項7】該共重合体(A)のメルトフローレート
    (温度:共重合体(A)のガラス転移温度+100℃、
    荷重:98N)が5g/10分以上である請求項1〜6
    のいずれかに記載の耐熱性共重合体。
  8. 【請求項8】メタクリル酸エステル成分単位およびカル
    ボン酸不飽和エステル成分単位を含有する共重合体
    (B)を、180〜300℃で加熱処理することによ
    り、下記一般式(1)で表されるラクトン環構造単位を
    5重量%以上形成すると共に、ガラス転移温度が120
    ℃以上である共重合体(A)に変性することを特徴とす
    る耐熱性共重合体の製造方法。 【化3】 (式中、Rは水素原子、メチル基およびエチル基から選
    ばれる基である。)
  9. 【請求項9】メタクリル酸エステル成分単位、不飽和カ
    ルボン酸成分単位から選ばれる1種以上およびカルボン
    酸不飽和エステル成分単位を含有する共重合体(B)
    を、180〜300℃で加熱処理することにより、下記
    一般式(1)で表されるラクトン環構造単位を5重量%
    以上形成すると共に、ガラス転移温度が120℃以上で
    ある共重合体(A)に変性することを特徴とする耐熱性
    共重合体の製造方法。 【化4】 (式中、Rは水素原子、メチル基およびエチル基から選
    ばれる基である。)
  10. 【請求項10】該共重合体(B)が、メタクリル酸エス
    テル及びカルボン酸不飽和エステルを重合率70%以下
    の範囲でラジカル重合したものであることを特徴とする
    請求項8に記載の耐熱性共重合体の製造方法。
  11. 【請求項11】該共重合体(B)が、メタクリル酸エス
    テル、不飽和カルボン酸成分単位から選ばれる1種以上
    及びカルボン酸不飽和エステルを重合率70%以下の範
    囲でラジカル重合したものであることを特徴とする請求
    項10に記載の耐熱性共重合体の製造方法。
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