JP2009235249A - 熱可塑性共重合体、熱可塑性樹脂組成物およびそれらからなる成形品 - Google Patents

熱可塑性共重合体、熱可塑性樹脂組成物およびそれらからなる成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】高度な耐熱性、透明性を有すると同時に、位相差制御能および耐湿熱特性に極めて優れる熱可塑性共重合体およびこれを含有してなる熱可塑性樹脂組成物、さらにはこれらからなる成形品およびフィルムを提供する。
【解決手段】 本発明は、(i)グルタル酸無水物単位、グルタルイミド単位などの環構造単位5〜60重量%、(ii)芳香族基を有する不飽和カルボン酸エステル単位1〜50重量%、(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位5〜94重量%を含有することを特徴とする熱可塑性共重合体およびこれを含む組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性、透明性に優れるとともに、位相差制御能および耐湿熱特性に極めて優れ、特に光学フィルム、とりわけ偏光子保護フィルムや位相差フィルムとして好適な熱可塑性共重合体および熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
近年、光学技術の発展に伴い、従来のブラウン管に変わり、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機/無機ELディスプレイ(ELD)など種々の方式のディスプレイの開発が盛んになっており、その中で使用されるプラスチックフィルムの要求特性も高度化されている現状である。例えばLCDの場合、偏光子およびその保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、反射防止フィルム等の種々のプラスチックフィルムが使用されており、要求特性の高度化に伴い、その性能・機能を向上させるべく開発が活発化している。
中でも、位相差フィルムは、液晶の光学異方性を補償し、視認性を向上させるためのキーデバイスとなっており、種々のポリマーに関して、延伸を施す等の手法により、位相差機能を付与したフィルムの開発が進んでおり、例えば、ポリカーボネート(PC)を使用した位相差フィルム(特許文献1)や環状ポリオレフィン(COP)を使用した位相差フィルム(特許文献2)等が挙げられる。
しかしながら、PCを使用した位相差フィルムの場合、位相差の絶対値が大きく、位相差フィルムとしての要求特性を満たすものの、光弾性係数が大きく、わずかな応力で位相差が大きく変化するため、他のフィルムとの張り合わせ時や位相差を付与するための延伸時などに、フィルムの位相差ムラが大きくなるという課題があった。また、COPを使用したフィルムの場合、位相差の絶対値が大きく、位相差フィルムとしての要求特性を満たすものの、他のフィルムとの接着性に劣るという課題があった。
一方、PMMAに代表されるアクリル系樹脂は、透明性などの光学特性に優れるものの、偏光子保護フィルムや位相差フィルム等のLCD用光学フィルムにおいては、耐熱性に劣るという課題があった。このアクリル系樹脂の耐熱性を向上させるため、種々の環構造を主鎖中に導入する検討が活発に進められている。例えば、特許文献3には、耐熱性を向上させるため、主鎖にグルタル酸無水物環構造を導入した共重合体からなる光透過用材料が開示されている。また、特許文献4には、耐熱性を向上させるため、主鎖にグルタルイミド環構造を導入した共重合体からなる位相差板が開示されている。特許文献3や特許文献4の手法では、確かに透明性を維持しながら、耐熱性を向上させることが可能であるが、環構造の化学構造的な観点から、LCDの位相差フィルムとして十分な位相差機能を発現することが困難であるという課題があった。
本課題を解決すべく、例えば、グルタル酸無水物環構造を含有する共重合体に、2つ以上の芳香環を含有する低分子化合物を添加し、位相差を上昇させる手法が開示されている(特許文献5)。しかしながら、該手法では、確かに位相差は上昇するものの、Tgの低下をまねかない程度の微量添加では、その位相差上昇効果は十分ではなく、耐熱性と位相差発現性の両立が困難であるという課題があった。
特開平4−84107号公報(第1−2頁、実施例) 特開2001−350017号公報(第1−2頁、実施例) 特開2004−51928号公報(第1−2頁、実施例) 特開平6−11615号公報(第1−2頁、実施例) 特開2006−241197号公報(第1−2頁、実施例)
したがって本発明は、高度な耐熱性、透明性を有すると同時に、位相差制御能に極めて優れ、かつ耐湿熱特性にも極めて優れる熱可塑性共重合体およびこれを含有してなる熱可塑性樹脂組成物、さらにはこれらからなる成形品およびフィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の不飽和カルボン酸エステル単位を共重合させることにより、高度な耐熱性と透明性を有し、さらには、位相差制御能および耐湿熱特性に極めて優れ、光学用フィルムとりわけ位相差フィルムや偏光子保護フィルムとして好適な熱可塑性共重合体を製造可能であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1](i)下記一般式(1)で表される環構造単位5〜60重量%、(ii)下記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位1〜50重量%、(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位5〜94重量%を含有することを特徴とする熱可塑性共重合体。
Figure 2009235249
(ただし、R、Rは同一または相異なるものであり、水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Xは、酸素原子またはNRを表し、Rは、水素原子および炭素数1〜20の有機残基から選ばれるいずれかを表す)
Figure 2009235249
(ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Rは直接結合および炭素数1〜10のアルキル鎖から選ばれるいずれかを表し、Yは直接結合および下記一般式(3)で表される基から選ばれるいずれかを表し、Arは無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの芳香族基を表す)
Figure 2009235249
[2]前記(ii)不飽和カルボン酸エステル単位が、下記一般式(4)〜(6)のいずれかで表されることを特徴とする上記[1]記載の熱可塑性共重合体。
Figure 2009235249
(ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表す)
Figure 2009235249
(ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Arは無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの芳香族基を表す)
Figure 2009235249
(ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、nは1〜10の整数を表し、Arは無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの芳香族基を表す)
[3]前記(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位が、下記一般式(7)で表されることを特徴とする上記[1]あるいは[2]記載の熱可塑性共重合体。
Figure 2009235249
(ただし、Rは水素および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、R10は無置換または水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基および炭素数3〜6の脂環式炭化水素基から選ばれるいずれかを表す)
[4](A)と(B)の合計を100重量%として、(A)上記[1]〜[3]のいずれか記載の熱可塑性共重合体50〜99重量%および(B)ゴム質含有重合体1〜50重量%を配合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[5]上記[1]〜[3]いずれか記載の熱可塑性共重合体または上記[4]記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
[6]成形品がフィルムである上記[5]記載の成形品。
[7]フィルムが光学用フィルムであることを特徴とする上記[6]記載の成形品。
[8]光学用フィルムが偏光子保護フィルムまたは位相差フィルムであることを特徴とする上記[7]記載の成形品。
本発明により、高度な耐熱性、透明性を有すると同時に、位相差制御能および耐湿熱特性に極めて優れる熱可塑性共重合体および熱可塑性樹脂組成物を得ることが可能となる。従って、成形品やフィルム、中でも偏光子保護フィルムや位相差フィルムといった光学用フィルムに好適な熱可塑性共重合体および熱可塑性樹脂組成物を提供することが可能となる。
本発明の熱可塑性共重合体について具体的に説明する。
本発明の熱可塑性共重合体(A)は、(i)下記一般式(1)で表される環構造単位5〜60重量%、(ii)下記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位1〜50重量%、(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位5〜94重量%を含有することを特徴とする熱可塑性共重合体である。
Figure 2009235249
(ただし、R、Rは同一または相異なるものであり、水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Xは、酸素原子またはNRを表し、Rは、水素原子および炭素数1〜20の有機残基から選ばれるいずれかを表す)
Figure 2009235249
(ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Rは直接結合および炭素数1〜10のアルキル鎖から選ばれるいずれかを表し、Yは直接結合および下記一般式(3)で表される基から選ばれるいずれかを表し、Arは無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの芳香族基を表す)
Figure 2009235249
本発明の熱可塑性共重合体(A)中の(i)上記一般式(1)で表される環構造単位としては、Xが酸素原子で、R、Rが同一または相異なるものであり、水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかであるグルタル酸無水物単位、XがNRであり、Rが水素原子および炭素数1〜20の有機残基から選ばれるいずれかであるグルタルイミド単位が挙げられる。前記炭素数1〜20の有機残基としては特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、構造中にヘテロ原子を含んでもよい。Rとして好ましくは水素原子、無置換またはハロゲンで置換された炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、無置換またはハロゲンあるいは脂肪族炭化水素基で置換された炭素数5〜20の芳香族基、無置換またはハロゲンあるいは脂肪族炭化水素基で置換された炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であることが好ましく、より好ましくは水素原子、無置換またはハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルキル基、無置換またはハロゲンあるいはアルキル基で置換されたフェニル基、無置換またはハロゲンあるいはアルキル基で置換されたナフチル基、無置換またはハロゲンあるいはアルキル基で置換されたベンジル基、無置換またはハロゲンあるいはアルキル基で置換されたシクロアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、更に好ましくは水素原子、シクロヘキシル基、無置換またはハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる基であり、特に好ましくは水素原子またはメチル基であり、例えば、少ない環構造単位含有量で耐熱性を向上させる観点から、水素が最も好ましい。
本発明の熱可塑性共重合体(A)中の(i)上記一般式(1)で表される環構造単位の含有量は、熱可塑性共重合体(A)100重量%中に5〜60重量%であり、より好ましくは5〜55重量%、最も好ましくは5〜50重量%である。環構造単位が5重量%未満である場合、耐熱性向上効果が小さくなる傾向がある。また、環構造単位が60重量%を越える場合、ガラス転移温度(Tg)の上昇に伴う大幅な増粘の傾向にあり、成形加工性に劣るという課題がある。
本発明の熱可塑性共重合体(A)中の(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位として、下記一般式(4)、(5)、(6)いずれか一つ以上の不飽和カルボン酸エステル単位であることが好ましい。
Figure 2009235249
(ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表す)
Figure 2009235249
(ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Arは無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの芳香族基を表す)
Figure 2009235249
(ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、nは1〜10の整数を表し、Arは無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの芳香族基を表す)
上記一般式(4)で表される不飽和カルボン酸エステル単位の中では、Rが水素原子あるいはメチル基である単位すなわちアクリル酸ベンジルあるいはメタクリル酸ベンジルがより好ましく、基も好ましくはRがメチル基であるメタクリル酸ベンジル単位である。
上記一般式(5)で表される不飽和カルボン酸エステル単位の中では、Rは水素原子あるいはメチル基である単位が好ましく、最も好ましくはRがメチル基である単位である。Arは、無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの基であれば特に制限はないが、好ましくは、無置換のビフェニル基、ターフェニル基あるいは一つ以上の水素原子が、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかである。
上記一般式(6)で表される不飽和カルボン酸エステル単位の中では、Rは水素原子あるいはメチル基である単位が好ましく、最も好ましくはRがメチル基である単位である。nは1〜10の整数を表すが、耐熱性の観点から、好ましくは1〜8、最も好ましくは1〜6の整数である。Arは、無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの基であれば特に制限はないが、好ましくは、無置換のビフェニル基、ターフェニル基あるいは一つ以上の水素原子が、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかである。
本発明の熱可塑性共重合体(A)中の(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位の含有量は、熱可塑性共重合体(A)100重量%中に1〜50重量%であり、より好ましくは1〜45重量%、最も好ましくは1〜40重量%である。
(ii)不飽和カルボン酸エステル単位は、本発明の効果である位相差制御能および耐湿熱特性の向上の観点から必要不可欠であり、(ii)不飽和カルボン酸エステル単位が1重量%未満である場合、本発明の効果である位相差制御能および耐湿熱特性が小さくなる傾向がある。
本発明の熱可塑性共重合体(A)中の(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位としては、下記一般式(7)で表される構造を有するものが好ましい。
Figure 2009235249
(ただし、Rは水素および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、R10は無置換または水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基および炭素数3〜6の脂環式炭化水素基から選ばれるいずれかを表す)
本発明の熱可塑性共重合体(A)中の(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の含有量は、熱可塑性共重合体(A)100重量%中に5〜94重量%であり、より好ましくは10〜94重量%、最も好ましくは15〜94重量%である。
本発明の熱可塑性共重合体(A)は、特に制限はないが、基本的には以下に示す方法により製造することができる。例えば、(i)上記一般式(1)で表される環構造単位が、グルタル酸無水物単位である場合、後の加熱工程により、グルタル酸無水物単位を与える不飽和カルボン酸単量体、共重合後に(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を与える不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体および共重合後に(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位を与える不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合させ、共重合体(a1)を得る。その際、得られた共重合体(a1)を適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱し、脱水反応および/または脱アルコール反応による分子内環化反応を行わせることにより、グルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性共重合体(A)を製造することができる。この場合、典型的には、共重合体(a1)を加熱することにより、隣接する2単位の不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基の間の脱水反応により、あるいは、隣接する不飽和カルボン酸単位と(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の間の脱アルコール反応および/または隣接する不飽和カルボン酸単位と(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位の間の脱アルコール反応により、1単位の前記グルタル酸無水物単位が生成される。
また、例えば、(i)上記一般式(1)で表される環構造単位が、グルタルイミド単位である場合、後の加熱工程により、グルタルイミド単位を与えるアミド基含有ビニル系単量体、共重合後に(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を与える不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体および共重合後に(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位を与える不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合させ、共重合体(a2)を得る。その際、得られた共重合体(a2)を適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱し、脱アンモニア反応および/または脱第一級アミンおよび/または脱アルコール反応による分子内環化反応を行わせることにより、グルタルイミド単位を含有する熱可塑性共重合体(A)を製造することができる。この場合、典型的には、共重合体(a2)を加熱することにより、隣接する2単位のアミド基含有ビニル系単量体単位の間の脱アンモニア反応および/または脱第一級アミン反応により、あるいは、隣接するアミド基含有ビニル系単量体単位と(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の間の脱アルコール反応および/または隣接するアミド基含有ビニル系単量体単位と(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位の間の脱アルコール反応により、1単位の前記グルタルイミド単位が生成される。
前記不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の好ましい例として、下記一般式(8)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2009235249
(ただし、R11は水素および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、R12は無置換または水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基および炭素数3〜6の脂環式炭化水素基から選ばれるいずれかを表す)
これらのうち、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが特に好適である。なお、上記一般式(8)で表される不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体は、共重合すると上記一般式(7)で表される構造の(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を与える。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の好ましい具体例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−へキシル、メタクリル酸n−へキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸クロロメチル、メタクリル酸クロロメチル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルおよびメタクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
また、共重合後に(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位を与える不飽和カルボン酸エステル単量体として、下記一般式(9)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2009235249
(ただし、R13は水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、R14は直接結合および炭素数1〜10のアルキル鎖から選ばれるいずれかを表し、Zは直接結合および上記一般式(3)で表される基から選ばれるいずれかを表し、Arは無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの芳香族基を表す)
前記不飽和カルボン酸エステル単量体の好ましい具体例としては、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、および下記構造の不飽和カルボン酸エステル単位などを挙げることができるが、上記一般式(9)を満たす化合物であれば、これに限定されない。
Figure 2009235249
Figure 2009235249
Figure 2009235249
本発明の熱可塑性共重合体(A)中の(i)上記一般式(1)で表される環構造単位が、グルタル酸無水物単位である場合、前記共重合体(a1)中の共重合成分として、前記不飽和カルボン酸単量体が挙げられる。共重合可能な不飽和カルボン酸単量体であれば特に制限はないが、好ましい不飽和カルボン酸単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、および無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられる。特に熱安定性が優れる点でアクリル酸またはメタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上を用いることができる。なお、不飽和カルボン酸単量体は、共重合すると不飽和カルボン酸単位を与える。
本発明の熱可塑性共重合体(A)中に不飽和カルボン酸単位が含まれる場合、不飽和カルボン酸単位の含有量は、熱可塑性共重合体(A)100重量%中に、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、最も好ましくは0〜3重量%である。
本発明の熱可塑性共重合体(A)中の(i)上記一般式(1)で表される環構造単位が、グルタルイミド単位である場合、前記共重合体(a2)中の共重合成分として、前記アミド基含有ビニル系単量体が挙げられる。共重合可能なアミド基含有ビニル系単量体であれば特に制限はないが、好ましいアミド基含有ビニル系単量体として、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、ブトキシメチルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−イソブチルアクリルアミド、N−イソブチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−n−ペンチルアクリルアミド、N−n−ペンチルメタクリルアミド、N−n−へキシルアクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−クロロフェニルアクリルアミド、N−クロロフェニルメタクリルアミド、N−ジクロロフェニルアクリルアミド、N−ジクロロフェニルメタクリルアミド、N−トリクロロフェニルアクリルアミド、N−トリクロロフェニルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができ、特にN−メチルメタクリルアミド、メタクリルアミドが好ましく、最も好ましくはメタクリルアミドである。これらはその1種または2種以上を用いることができる。なお、アミド基含有ビニル系単量体は、共重合するとアミド基含有ビニル系単量体単位を与える。
本発明の熱可塑性共重合体(A)中にアミド基含有ビニル系単量体単位が含まれる場合、アミド基含有ビニル系単量体単位の含有量は、熱可塑性共重合体(A)100重量%中に、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、最も好ましくは0〜3重量%である。
また、本発明の熱可塑性重合体(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のビニル系単量体単位を含むことができる。この際のビニル系単量体単位の種類の好ましい具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アリルグリシジルエーテル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンなどを挙げることができる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
また、熱可塑性重合体(A)中にその他のビニル系単量体単位が含まれる場合、その含有量は、本発明の効果を損ねない範囲内であれば特に制限はないが、熱可塑性共重合体(A)100重量%中に好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%、最も好ましくは0〜5重量%である。
熱可塑性共重合体(A)における各成分単位の定量には、一般に赤外分光光度計やプロトン核磁気共鳴(H−NMR)測定機、カーボン核磁気共鳴(13C−NMR)測定機が用いられる。例えば、(i)上記一般式(1)で表される環構造単位が、グルタル酸無水物単位である場合、赤外分光法では、グルタル酸無水物単位は、1800cm−1および1760cm−1の吸収が特徴的であり、不飽和カルボン酸単位や(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位から区別することができる。また、H−NMR法では、スペクトルの積分比から共重合体組成を決定することができる。例えば、グルタル酸無水物単位、メタクリル酸単位、メタクリル酸メチル単位およびメタクリル酸ベンジル単位からなる共重合体の場合、ジメチルスルホキシド重溶媒中で測定されたスペクトルの帰属は、0.5〜1.5ppmのピークはメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジルおよびグルタル酸無水物単位のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素、7.2ppmのピークはメタクリル酸ベンジルのベンゼン環の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素である。
熱可塑性共重合体(A)の13C−NMRスペクトルにおいて、例えば、グルタル酸無水物単位、メタクリル酸単位、メタクリル酸メチル単位およびメタクリル酸ベンジル単位からなる共重合体の場合、グルタル酸無水物含有単位の酸無水物のカルボニル基のピークは化学シフト170.50〜174.40ppmの範囲に分裂して観測され、メタクリル酸メチル単位およびメタクリル酸ベンジル単位のカルボニル基のピークは、そのシーケンスとタクティシティーによって、化学シフト174.60〜179.43ppmの範囲に分裂して観測され、メタクリル酸単位のカルボニル基のピークは、そのシーケンスとタクティシティーによって、化学シフト179.15〜182.00ppmの範囲に分裂して観測され、メタクリル酸メチル単位およびメタクリル酸ベンジル単位のカルボニル基のピークとメタクリル酸単位のカルボニル基のピークが一部重なって観察されるが、メタクリル酸メチル単位およびメタクリル酸ベンジル単位のカルボニル基のピークとメタクリル酸単位のカルボニル基のピークが重なった部分において、メタクリル酸メチル単位およびメタクリル酸ベンジル単位のカルボニル基のピークが占める割合はメタクリル酸単位のカルボニル基のピークが占める割合と比較して無視できるほど小さいため、本発明では、メタクリル酸メチル単位およびメタクリル酸ベンジル単位のカルボニル基のピークは、化学シフト174.60〜179.14ppmの範囲、メタクリル酸単位のカルボニル基のピークは、化学シフト179.15〜182.00ppmの範囲とできる。また、メタクリル酸ベンジルのベンゼン環のピークは、128.23〜135.93ppmの範囲に分裂して観測され、これらの積分値から各々の組成を決定できる。
前記共重合体(a1)あるいは(a2)の重合方法については、基本的にはラジカル重合による、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合、沈殿重合等の重合法、および塊状懸濁重合のように公知の重合法の組み合わせが好ましく用いられるが、特に本発明の共重合体中の異物、特に未溶融ポリマー等を減少し、光学用フィルム用途で求められる低異物を達成するという観点から溶液重合、沈殿重合およびこれら重合法の組み合わせが好ましく、最も好ましくは溶液重合である。
溶液重合により前記共重合体(a1)あるいは(a2)を製造する場合、使用される溶媒としては、単量体および共重合体が溶解する溶媒であれば特に制限はないが、ケトン、エーテル、アミド、アルコールから選ばれる1種以上などを好ましく用いることができ、具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシ−2−プロパノール、テトラグライム、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコールなどの公知の溶媒を使用することができる。本発明の効果である耐湿熱特性の顕著な向上の観点から、好ましくはアルコールおよびアルコールを含む混合溶媒であり、特に好ましくは、メタノール、2−プロパノールおよびこれらを含む混合溶媒である。
前記共重合体(a1)あるいは(a2)の重合温度については、任意に設定することが可能であるが、中でも、60℃〜160℃の範囲であることが好ましい。重合温度を、上記範囲に制御することによりゲル効果による重合速度の加速現象を抑制し、かつ、高温重合時に生成する二量体生成を抑制できることから、熱安定性に優れる熱可塑性共重合体(A)を効率よく製造することができる。
前記共重合体(a1)あるいは(a2)の重合時間は、目標とする重合率、重合温度、開始剤の種類・使用量によって決定されるが、1〜7時間の範囲が好ましく、より好ましくは1〜6時間である。この範囲にすることにより、重合制御が安定するとともに、品質の高い熱可塑性共重合体(A)を製造することができる。滞在時間が1時間より短いと、ラジカル重合開始剤の使用量を増加させる必要があり、重合反応の制御が困難になる傾向があり、好ましくは2時間以上である。7時間を超えると生産性が低下するので、より好ましくは6時間以下である。
前記共重合体(a1)あるいは(a2)の製造時に用いられる単量体混合物の割合は、熱可塑性共重合体(A)の各共重合単位の割合になれば特に制限はないが、単量体混合物全体を100重量%として、不飽和カルボン酸単量体あるいはアミド基含有ビニル系単量体が好ましくは5〜60重量%、より好ましくは5〜55重量%、最も好ましくは5〜50重量%、共重合後に(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を与える不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましくは5〜95重量%、より好ましくは10〜95重量%、最も好ましくは15〜95重量%、共重合後に(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位を与える不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜45重量%、最も好ましくは1〜40重量%である。これらに共重合可能なその他のビニル系単量体が含まれる場合、その割合は、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%、最も好ましくは0〜5重量%である。
本発明の熱可塑性共重合体(A)は、重量平均分子量が3万〜18万であることが好ましい。このような分子量を有する熱可塑性共重合体(A)は、共重合体(a1)あるいは(a2)の製造時に、共重合体(a1)あるいは(a2)を重量平均分子量で3万〜18万に予め制御しておくことにより、達成することができる。
共重合体(a1)あるいは(a2)の分子量制御方法については、例えば、アゾ化合物、過酸化物等のラジカル重合開始剤の添加量、あるいはアルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤の添加量等により、制御することができる。特に、重合の安定性、取り扱いの容易さ等から、連鎖移動剤であるアルキルメルカプタンの添加量を制御する方法が好ましく使用することができる。
前記アルキルメルカプタンとしては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、なかでもt−ドデシルメルカプタンまたはn−ドデシルメルカプタン、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルが好ましく用いられる。
前記アルキルメルカプタンの添加量としては、好ましい分子量に制御するために、単量体混合物の全量100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜4.0重量部、さらに好ましくは0.3〜3.0重量部である。
本発明における共重合体(a1)を加熱処理し、脱水反応および/または脱アルコール反応により分子内環化反応を行い、グルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性重合体(A)を製造する方法および共重合体(a2)を加熱処理し、脱アンモニア反応および/または脱第一級アミンおよび/または脱アルコール反応により分子内環化反応を行い、グルタルイミド単位を含有する熱可塑性重合体(A)を製造する方法は、特に制限はないが、共重合体(a1)あるいは(a2)をベントを有する加熱した押出機に通す方法や不活性ガス雰囲気または真空下で加熱脱揮する方法が好ましい。酸素存在下で加熱による分子内環化反応を行うと、黄色度が悪化する傾向が見られるため、系内を窒素などの不活性ガスで十分に置換することが好ましい。特に好ましい加熱処理装置として、例えば、”ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸押出機、二軸・単軸複合型連続混練押出装置、三軸押出機その他の押出機、連続式またはバッチ式ニーダータイプの混練機などを用いることができ、とりわけ二軸・単軸複合型連続混練押出装置が色調の面から好ましく使用することができる。上記二軸・単軸複合型連続混練押出装置としては、例えば、CTE社製「HTM50」、「HTM38」を好ましく使用することができる。
また、窒素などの不活性ガスが導入可能な構造を有した装置が、より好ましい。例えば、二軸押出機に、窒素などの不活性ガスを導入する方法としては、ホッパー上部および/または下部より、10〜100リットル/分程度の不活性ガス気流の配管を繋ぐ方法などが挙げられる。
なお、上記の方法により加熱脱揮する温度は、分子内環化反応が生じる温度であれば特に限定されないが、好ましくは180〜370℃の範囲、特に好ましくは200〜360℃の範囲である。
また、この際の加熱脱揮する時間は、所望する共重合組成に応じて適宜設定可能であるが、通常、1分間〜60分間が好ましく、より好ましくは2分間〜30分間、とりわけ好ましくは3〜20分間の範囲である。押出機を用いて、十分な分子内環化反応を進行させるための加熱時間を確保するため、押出機スクリューの長さをL、直径をDとすると、L/Dが40以上110以下であることが好ましい。L/Dの短い押出機を使用した場合、未反応の不飽和カルボン酸単位あるいはアミド基含有ビニル系単量体単位が多量に残存するため、加熱成形加工時に反応が再進行し、成形品にシルバーや気泡が見られる傾向や成形滞留時に色調が悪化する傾向がある。押出機のL/Dが110より大きい場合、押出機の機械的強度や構造上の問題のため、現実的な利点が小さくなるため好ましくない。
さらに前記共重合体(a1)あるいは(a2)を上記方法等により加熱する際に、グルタル酸無水物あるいはグルタルイミドへの分子内環化反応を促進させる触媒として、酸、アルカリおよび塩化合物から選ばれた1種以上を添加することができる。その添加量は、共重合体(a1)あるいは(a2)100重量部に対し、0.01〜1重量部程度が好ましい。酸触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸、リン酸メチル等が挙げられる。塩基性触媒としては、金属水酸化物、アミン類、イミン類、アルカリ金属誘導体、アルコキシド類、水酸化アンモニウム等が挙げられる。さらに、塩系触媒としては、酢酸金属塩、ステアリン酸金属塩、炭酸金属塩、各種アルキルアンモニウム塩を含むアンモニウム塩等が挙げられる。ただし、その触媒の色が熱可塑性重合体の着色に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加することが好ましい。中でも、アルカリ金属を含有する化合物が、比較的少量の添加量で、優れた反応促進効果を示すため、好ましく使用することができる。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムフェノキシド等のアルコキシド化合物、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩等が挙げられる。とりわけ、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、酢酸リチウム、および酢酸ナトリウムが好ましく使用することができる。
また熱可塑性共重合体(A)は、重量平均分子量が3万〜18万であることが好ましく、より好ましくは5万〜18万、特に7万〜18万が好ましい。重量平均分子量が、この範囲にあることにより、後工程の加熱脱気時の着色を低減でき、黄色度の小さい重合体を得ることができるとともに、成形品の機械的強度も高くすることができる。なお、本発明でいう重量平均分子量とは、多角度光散乱ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC−MALLS)で測定した絶対分子量での重量平均分子量を示す。
また、熱可塑性共重合体(A)はガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることが耐熱性の面で好ましい。ガラス転移温度は、115℃以上がより好ましく、120℃以上が特に好ましい。また、上限としては、通常、170℃程度である。なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定したガラス転移温度(Tg)である。
本発明で用いる熱可塑性共重合体(A)の黄色度(Yellowness Index)の値が5以下が好ましく、さらに好ましい態様においては4以下、最も好ましい態様においては、3以下である。これにより、極めて優れた無色性を有する成形品やフィルムを得ることができるため好ましい。なお、ここでいう黄色度(Yellowness Index)とは、熱可塑性共重合体(A)を射出成形し、得られた厚さ1mm成形品をJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定した値である。
さらに、本発明の熱可塑性共重合体(A)の製造時には、本発明の目的を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤および酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ハロゲン系難燃剤、リン系やシリコーン系の非ハロゲン系難燃剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を任意に含有させてもよい。ただし、その添加剤保有の色が本発明の熱可塑性共重合体に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加する必要がある。
また、本発明においては、熱可塑性共重合体(A)にゴム質含有重合体(B)を含有することにより、熱可塑性共重合体(A)の優れた特性を大きく損なうことなく優れた耐衝撃性を付与することができる。
本発明で用いるゴム質含有重合体(B)は、1以上のゴム質重合体を含む層と、それとは異種の重合体から構成される1以上の層から構成され、かつ、内部に1層以上のゴム質重合体を含む層を有する構造の、いわゆるコアシェル型と呼ばれる多層構造重合体や、ゴム質重合体の存在下に、ビニル単量体などからなる単量体混合物を共重合せしめたグラフト共重合体等が好ましく使用できるが、特に多層構造重合体が透明性・着色の少なさの点で優れており、好ましい。
前記多層構造重合体を構成する層の数は、2層以上であればよく、3層以上または4層以上であってもよいが、内部に1層以上のゴム層(コア層)を有する多層構造重合体であることが好ましい。多層構造重合体において、ゴム層の種類は、特に限定されるものではなく、ゴム弾性を有する重合体成分から構成されるものであればよい。例えば、アクリル系単量体、シリコーン系単量体、スチレン系単量体、ニトリル系単量体、共役ジエン系単量体、ウレタン結合を生成する単量体、エチレン系単量体、プロピレン系単量体、イソブテン系単量体などを重合させたものから構成されるゴムが挙げられる。好ましいゴムとしては、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル系単位、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン系単位、スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン系単位、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル系単位およびブタジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン系単位から構成されるゴムである。また、これらの成分を2種以上組み合わせたものから構成されるゴムも好ましい。例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル系単位およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン系単位から構成されるゴム、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル系単位およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン系単位から構成されるゴム、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル系単位およびブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン系単位から構成されるゴム、およびアクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル系位体、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン系単位およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン系単位から構成されるゴムなどが挙げられる。これらのうち、アクリル酸アルキルエステル単位、および、置換または無置換のスチレン単位を含有する重位であるゴムが、透明性および機械特性の点から、最も好ましい。また、これらの成分の他に、ジビニルベンゼン単位、アリルアクリレート単位、アリルメタクリレート単位およびブチレングリコールジアクリレート単位などの架橋性成分から構成される共重合体を架橋させたゴムも好ましい。
前記多層構造重合体において、ゴム層以外の層の種類は、熱可塑性を有する重合体成分から構成されるものであれば特に限定されるものではないが、ゴム層よりもガラス転移温度が高い重合体成分であることが好ましい。熱可塑性を有する重合体としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、不飽和カルボン酸単位、アミド基含有ビニル系単量体単位、不飽和グリシジル基含有単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、脂肪族ビニル単位、芳香族ビニル単位、シアン化ビニル単位、マレイミド単位、不飽和ジカルボン酸単位およびその他のビニル単位などから選ばれる1種以上の単位を含有する重合体が挙げられる。
中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を含有する重合体が好ましく、それに加えて、不飽和カルボン酸単位、アミド基含有ビニル系単量体単位から選ばれる1種以上の単位を含有する重合体がより好ましい。
前記不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の原料となる単量体としては、特に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−へキシル、メタクリル酸n−へキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸クロロメチル、メタクリル酸クロロメチル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルおよびメタクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
前記不飽和カルボン酸単位の原料となる単量体としては特に制限はなく、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およびさらには無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられる。特に熱安定性が優れる点でアクリル酸およびメタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上用いることができる。
前記アミド基含有ビニル系単量体単位の原料となる単量体であれば特に制限はないが、好ましい具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、ブトキシメチルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−イソブチルアクリルアミド、N−イソブチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−n−ペンチルアクリルアミド、N−n−ペンチルメタクリルアミド、N−n−へキシルアクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−クロロフェニルアクリルアミド、N−クロロフェニルメタクリルアミド、N−ジクロロフェニルアクリルアミド、N−ジクロロフェニルメタクリルアミド、N−トリクロロフェニルアクリルアミド、N−トリクロロフェニルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができ、特にN−メチルメタクリルアミド、メタクリルアミドが好ましく、最も好ましくはメタクリルアミドである。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
ゴム質重合体(B)は、その多層構造において、最外層(シェル層)の種類は、上述のとおり不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、不飽和カルボン酸単位、アミド基含有ビニル系単量体単位、不飽和グリシジル基含有単位、脂肪族ビニル単位、芳香族ビニル単位、シアン化ビニル単位、マレイミド単位、不飽和ジカルボン酸単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位およびその他のビニル単位などの1種類以上の単位を含有する重合体などから選ばれた少なくとも1種が挙げられる。中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を含有する重合体が好ましく、それに加えて、不飽和カルボン酸単位、アミド基含有ビニル系単量体単位から選ばれる1種以上の単位を含有する重合体がより好ましい。
本発明の熱可塑性共重合体(A)との溶融混練に供するゴム質重合体としては、(i)上記一般式(1)で表される環構造単位がグルタル酸無水物単位である場合、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位および不飽和カルボン酸単位を含有する重合体を最外層とする多層構造重合体を用いることが最も好ましく、また、(i)上記一般式(1)で表される環構造単位がグルタルイミド単位である場合、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位およびアミド基含有ビニル系単量体単位を含有する重合体を最外層とする多層構造重合体を用いることが最も好ましい。
多層構造重合体の平均粒子径については、0.01μm以上、1000μm以下であることが好ましい。平均粒子径は、0.02μm以上、100μm以下がより好ましく、0.05μm以上、10μm以下がさらに好ましく、0.05μm以上、1μm以下が最も好ましい。上記の範囲未満では得られる熱可塑性組成物の衝撃強度が低下する傾向を生じ、上記の範囲を越えると透明性が低下する場合がある。なお、多層構造重合体の平均粒子径は、小角光散乱測定によるギニエプロットあるいは透過型電子顕微鏡写真から算出することができる。
本発明の多層構造重合体において、コアとシェルの重量比は、多層構造重合体全体に対して、コア層が30重量%以上、90重量%以下であることが好ましく、コア層が40重量%以上、80重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の多層構造重合体としては、上述した条件を満たす市販品を用いてもよく、また公知の方法により作製して用いることもできる。
多層構造重合体の市販品としては、例えば、三菱レイヨン社製”メタブレン(登録商標)”、鐘淵化学工業社製”カネエース(登録商標)”、呉羽化学工業社製”パラロイド(登録商標)”、ロームアンドハース社製”アクリロイド(登録商標)”、ガンツ化成工業社製”スタフィロイド(登録商標)”およびクラレ社製”パラペット(登録商標)SA”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
また、ゴム質含有重合体として使用されるゴム質含有グラフト共重合体の具体例としては、ゴム質重合体の存在下に、不飽和カルボン酸エステル単量体(その具体例は前述と同様である)、不飽和カルボン酸単量体(その具体例は前述と同様である)、アミド基含有ビニル系単量体(その具体例は前述と同様である)、芳香族ビニル単量体(その具体例は前述と同様である)、および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体(その具体例は前述と同様である)の1種以上から選択される単量体(混合物)を(共)重合せしめたグラフト共重合体が挙げられる。
グラフト共重合体に用いられるゴム質重合体としては、ジエンゴム、アクリルゴムおよびエチレンゴムなどが使用できる。具体例としては、ポリブタジエン、ポリアクリル酸ブチル、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−イソプレン共重合体、およびエチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらのゴム質重合体は、1種または2種以上の混合物で使用することが可能である。
本発明におけるグラフト共重合体を構成するゴム質重合体の重量平均粒子径は、0.1〜0.5μm、特に0.15〜0.4μmの範囲が好ましい。上記の範囲未満では得られる熱可塑性組成物の衝撃強度が低下する傾向を生じ、上記の範囲を越えると透明性が低下する場合がある。なお、ゴム質重合体の重量平均粒子径は「Rubber Age, Vol.88, p.484−490 (1960), by E.Schmidt, P.H.Biddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法、つまりアルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める方法により測定することができる。
本発明におけるグラフト共重合体は、ゴム質重合体10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%の存在下に、上記の単量体(混合物)20〜90重量%、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%を共重合することによって得られる。ゴム質重合体の割合が上記の範囲未満、または上記の範囲を越える場合には、衝撃強度や表面外観が低下する場合がある。
なお、グラフト共重合体は、ゴム質重合体に単量体混合物をグラフト共重合させる際に生成する、グラフトしていない共重合体を含んでいてもよい。衝撃強度の観点からは、グラフト率は10〜100%であることが好ましい。ここで、グラフト率とは、ゴム質重合体に対するグラフトした単量体混合物の重量割合である。また、グラフトしていない共重合体のメチルエチルケトン溶媒、30℃で測定した極限粘度は、0.1〜0.6dl/gのものが、衝撃強度と成形加工性とのバランスの観点から好ましく用いられる。
本発明におけるグラフト共重合体のメチルエチルケトン溶媒、30℃で測定した極限粘度には、特に制限はないが、0.2〜1.0dl/gのものが、衝撃強度と成形加工性とのバランスの観点から好ましく用いられ、より好ましくは0.3〜0.7dl/gのものである。
本発明におけるグラフト共重合体の製造方法には、特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合などの公知の重合法および塊状懸濁重合のようにこれら重合法の組み合わせにより得ることができる。
また、本発明の熱可塑性共重合体(A)およびゴム質含有重合体(B)のそれぞれの屈折率が近似している場合、透明性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができるため、好ましい。具体的には、両者の屈折率の差が0.05以下であることが好ましく、より好ましくは0.02以下、とりわけ0.01以下であることが好ましい。このような屈折率条件を満たすためには、本発明の熱可塑性共重合体(A)の各単量体単位組成を調整する方法、および/またはゴム質含有重合体(B)に使用されるゴム質重合体あるいは単量体の組成を調製する方法などが挙げられる。
なお、ここで言う屈折率差とは、以下に示す方法で測定した値である。本発明の共重合体が可溶な溶媒に、本発明の熱可塑性樹脂組成物を適当な条件で十分に溶解させ白濁溶液とし、これを遠心分離等の操作により、溶媒可溶部分と不溶部分に分離する。この可溶部分(本発明の共重合体を含む部分)と不溶部分(ゴム質含有重合体を含む部分)をそれぞれ精製した後、測定した屈折率(23℃、測定波長:550nm)の差を屈折率差と定義する。
また、樹脂組成物中での本発明の熱可塑性共重合体(A)とゴム質含有重合体(B)の共重合組成および分子量分布については、上記の溶媒による可溶成分と不溶成分の分離操作の後に、各成分を個別に分析する。
本発明において、本発明の熱可塑性共重合体(A)とゴム質含有重合体(B)を配合する際の重量比は、熱可塑性共重合体(A)とゴム質含有重合体(B)の合計を100重量%として、熱可塑性共重合体(A)が50〜99重量%、ゴム質含有重合体(B)1〜50重量%が好ましい。さらに好ましくは、熱可塑性共重合体(A)が60〜99重量%、ゴム質含有重合体(B)1〜40重量%、とくに好ましくは熱可塑性共重合体(A)が70〜99重量%、ゴム質含有重合体(B)1〜30重量%である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する際には、本発明の熱可塑性共重合体(A)とゴム質含有重合体(B)とを、適度な剪断場の下で加熱溶融混合する方法を用いる。製造する熱可塑性樹脂組成物中のゴム質含有重合体粒子の凝集を抑制するためには、比較的低温、かつ回転数を低めにして剪断力があまりかからないように溶融混練することが好ましい。具体的にはニーディングゾーンにおける樹脂温度をTとすると、(本発明の共重合体のTg+100℃)≦T≦(ゴム質含有重合体の1%分解温度)の範囲に制御することが好ましく、さらには、(本発明の共重合体のTg+120℃)≦T≦(ゴム質含有重合体の0.5%分解温度)の範囲に制御することが一層好ましい。ここで、ゴム質含有重合体の1%分解温度とは、窒素中での示差熱重量同時測定装置(セイコー電子工業社製、TG/DTA−200)を用いて、100〜450℃の温度領域を20℃/分の昇温速度で行った加熱試験により、加熱前の重量を100%とした時の重量減少率が1%に達した時の温度である。樹脂温度が上記範囲より低い場合、溶融粘度が極めて高くなり、溶融混練が事実上不可能となり好ましくない。また、樹脂温度が上記範囲より高い場合、ゴム質含有重合体(B)の再凝集および着色が著しくなり、好ましくない。
また、本発明の熱可塑性共重合体(A)、および更にゴム質含有重合体(B)を含む熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなど、熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など、から選ばれた一種以上をさらに含有させることができる。また高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、高級アルコールなどの滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ハロゲン系難燃剤、リン系やシリコーン系の非ハロゲン系難燃剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、顔料、染料、蛍光増白剤などの着色剤などの添加剤を任意に含有させてもよい。ただし、適用する用途が要求する特性に照らし、その添加剤保有の色が熱可塑性共重合体に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加することが好ましい。本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物は、機械的特性、成形加工性にも優れており、溶融成形可能であるため、押出成形、射出成形、プレス成形などが可能であり、フィルム、シート、管、ロッド、その他の希望する任意の形状と大きさを有する成形品に成形して使用することができる。
本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの製造方法には、公知の方法を使用することができる。すなわち、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルション法、ホットプレス法等の製造方法が使用できる。好ましくは、インフレーション法、T−ダイ法、キャスト法またはホットプレス法が使用できる。インフレーション法やT−ダイ法による製造法の場合、単軸あるいは二軸押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。本発明のフィルムを製造するための溶融押出温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。
また、流延法によりフィルムを製造する場合、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の溶剤が使用可能である。好ましい溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン等である。該フィルムは、本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物を前記の1種以上の溶剤に溶かし、その溶液をバーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ダイ・コートなどを用いて、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱フィルム、スチールベルト、金属箔などの平板または曲板(ロール)上に流延し、溶剤を蒸発除去する乾式法、あるいは溶液を凝固液で固化する湿式法等を用いることにより製造できる。
本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムは、位相差制御および靱性向上の点から、延伸処理を施すことが好ましい。ここでいう延伸処理とは、一軸方向あるいは二軸方向にフィルムを延伸する手法である。一軸延伸は縦延伸あるいは横延伸いずれかを行う手法であり、二軸延伸は、フィルムに対して縦延伸および横延伸を行う手法であり、逐次二軸延伸または同時二軸延伸が好ましく用いられる。
好ましい延伸倍率は、フィルムに望む位相差に応じて適宜調整可能であるが、好ましくは、1.01〜20.00倍であり、より好ましくは、1.05〜15.00倍、最も好ましくは1.10〜10.00倍である。好ましい延伸温度は、本発明のフィルムのTg−20℃〜Tg+30℃の範囲が好ましい。延伸温度がTg−20℃未満であると、延伸時フィルムへの応力が大きくなり破断しやすい傾向がある。また、Tg+30℃を超えると、フィルムが軟化・溶融する傾向があり、熱可塑性共重合体(A)の分子鎖が配向されず、望む位相差および靭性が発現しない傾向がある。
本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの厚さは、好ましくは10〜200μm、より好ましくは15〜190μm、最も好ましくは20〜180μmである。ここでいうフィルムの厚さは、JIS K 7130−1999に従い測定した値である。フィルムの厚さ測定には、例えば、(株)テクロック社製ダイヤルシックネスゲージ「SM1201」などが使用される。
本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを、位相差フィルムとして使用する場合、波長580nmの光に対するフィルムの面内位相差(Re)は、50μmフィルム厚み換算値として、好ましくは120nm以上、より好ましくは130nm以上、最も好ましくは140nm以上である。また、波長580nmの光に対するフィルムの厚み位相差(Rth)は、50μmフィルム厚み換算値として、好ましくは±80nm以上、より好ましくは±90nm以上、最も好ましくは±100nm以上である。ここでいう波長580nmの光に対するReおよびRthの値とは、楕円偏光測定装置(王子計測機器(株)製 製品名「KOBRA−WPR」)を用いて、平行ニコル回転法により、サンプル(40mm×40mm)中央の値を測定したものであり、下記式で表される。
Re=(nx−ny)×d ・・・(イ)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d ・・・(ロ)
ここで、
nx:平面の屈折率が最大となる方向(x軸)の屈折率
ny:x軸と垂直方向(y軸)の屈折率
nz:厚さ方向(z軸)の屈折率
d :フィルム厚さ(nm)
なお、50μmフィルム厚み換算値とは、上記(イ)式および(ロ)式で測定したフィルムサンプルのReおよびRthに、50(μm)/フィルム厚さ(μm)を掛けた値として算出される。
本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを、偏光子保護フィルムとして使用する場合、波長580nmの光に対するフィルムの面内位相差(Re)は、50μmフィルム厚み換算値として、好ましくは5nm以下、より好ましくは4nm以下、最も好ましくは3nm以下である。また、波長580nmの光に対するフィルムの厚み位相差(Rth)は、50μmフィルム厚み換算値として、好ましくは±5nm以下、より好ましくは±4nm以下、最も好ましくは±3nm以下である。
本発明の熱可塑性共重合体(A)は、(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位を含有することにより、位相差制御能に優れるだけではなく、耐湿熱特性にも優れる。共重合後に(ii)上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位を与える不飽和カルボン酸単量体を共重合させることにより、その後の加熱工程による分子内環化反応の反応率が向上する傾向があり、これにより耐湿熱特性に優れる傾向がある。このため、本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムに関しても、耐湿熱特性が向上する傾向がある。
本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの耐湿熱特性は、湿熱処理後の波長580nmの光に対するフィルムの面内位相差(Re)、厚み位相差(Rth)の変化率あるいは変化量および湿熱処理後の寸法変化率により評価可能である。
本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを、位相差フィルムとして使用する場合、60℃、90%RH、500h湿熱処理後の波長580nmの光に対するフィルムの面内位相差(Re)、厚み位相差(Rth)の変化率は、好ましくは、20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である。ここでいう60℃、90%RH、500h湿熱処理後の波長580nmの光に対するフィルムの面内位相差(Re)、厚み位相差(Rth)の変化率とは、フィルムを60℃、90%RHの恒温恒湿槽(タバイ社製LHL−112)に供し、500時間湿熱処理を実施し、その後、前記と同様の手法で、500時間湿熱処理後のReおよびRthを測定し(それぞれRe1、Rth1とする)、次式でRe変化率およびRth変化率を算出する(湿熱処理前のReおよびRthをそれぞれRe0およびRth0とする)。
Re変化率=|Re1−Re0|/Re0×100 ・・・(ハ)
Rth変化率=|Rth1−Rth0|/Rth0×100 ・・・(ニ)
また、本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを、偏光子保護フィルムとして使用する場合、60℃、90%RH、500h湿熱処理後の波長580nmの光に対するフィルムの面内位相差(Re)の変化量は、好ましくは1.5nm以下、最も好ましくは1nm以下であり、厚み位相差(Rth)の変化量は、好ましくは2.5nm以下、最も好ましくは2nm以下である。ここでいう60℃、90%RH、500h湿熱処理後の波長580nmの光に対するフィルムの面内位相差(Re)、厚み位相差(Rth)の変化量とは、60℃、90%RHの恒温恒湿槽(タバイ社製LHL−112)に供し、500時間湿熱処理を実施し、その後、前期と同様の手法で、500時間湿熱処理後のReおよびRthを測定し(それぞれRe1、Rth1とする)、次式でRe変化量およびRth変化量を算出する(湿熱処理前のReおよびRthをそれぞれRe0およびRth0とする)。
Re変化量=|Re1−Re0| ・・・(ホ)
Rth変化量=|Rth1−Rth0| ・・・(ヘ)
本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの60℃、90%RH下での500時間湿熱処理後の寸法変化率は、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.3%以下、最も好ましくは1.0%以下である。湿熱処理後の寸法変化率をこのような範囲とすることで、高温多湿時の光学特性の変化を小さく抑えることができるので好ましい。ここでいう寸法変化率とは、フィルムに30mm×30mmの正方形を描き、万能投影機(ニコン社製V−12)で湿熱処理前の4辺の正確な長さを測定し、その平均値を算出する(D)。そのフィルムを60℃×90%RHの恒温恒湿槽(タバイ社製LHL−112)中に入れ、500時間処理後、再度万能投影機により、正方形の4辺の正確な長さを測定し、その平均値を算出し(D)、寸法変化率を次式で算出する。
寸法変化率(%)=(D−D)/D×100 ・・・(ト)
本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの引張試験における破断伸度は、好ましくは10%以上、より好ましくは12%以上である。ここでいう破断伸度とは、引張試験機(オリエンテック(株)社製 製品名「RTA−1T」)を用いて、サンプル(20mm×50mm)をチャックに取り付け、チャック間距離20mm、引張速度200mm/minで引張試験を実施した際の、5本ずつの破断伸度の平均値のことである。破断伸度が10%以上であると、フィルムの成形加工時に破壊するおそれがほとんどないため、製造工程上好ましい。
本発明の熱可塑性共重合体(A)あるいは熱可塑性樹脂組成物は、その優れた耐熱性、無色透明性および滞留安定性を活かして、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類、一般雑貨など種々の用途に用いることができる。
本発明の熱可塑性共重合体(A)および熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の具体的用途としては、例えば、電気機器のハウジング、OA機器のハウジング、各種カバー、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルターおよび点火装置ケースなどが挙げられる。また、透明性、耐熱性に優れている点から、映像機器関連部品として、カメラ、VTR、プロジェクションTVなどの撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなど、光記録・光通信関連部品として各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LDなど)基板、光ディスクプレイヤーピックアップレンズ、光ファイバー、光スイッチ、光コネクターなど、情報機器関連部品として、液晶ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイの導光板、フレネルレンズ、ピックアップレンズ、カバーなど、自動車などの輸送機器関連部品として、テールランプレンズ、ヘッドランプレンズ、インナーレンズ、アンバーキャップ、リフレクター、エクステンション、サイドミラー、ルームミラー、サイドバイザー、計器針、計器カバー、窓ガラスに代表されるグレージングなど、医療機器関連部品として、眼鏡レンズ、眼鏡フレーム、コンタクトレンズ、内視鏡、分析用光学セルなど、建材関連部品として、採光窓、道路透光板、照明カバー、看板、透光性遮音壁、バスタブ用材料などにも適用することができ、これら各種の用途にとって極めて有用である。
また、本発明の熱可塑性共重合体(A)および熱可塑性樹脂組成物からなる具体的なフィルム用途としては、特に限定されないが、液晶ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイの偏光板、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、タッチパネル用導光フィルム、各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)の基板保護フィルム等の光学用フィルム用途に有用である。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
参考例1 (ii)不飽和カルボン酸エステルの合成
メタクリル酸2−(4−シアノビフェニルオキシ)エチル(CBEMA)の合成
4−シアノ−4‘−ヒドロキシビフェニル50重量部を溶解したエタノール溶液に対し、70重量部の水酸化カリウムを溶解した水溶液を室温で滴下した。その混合溶液に、2−クロロエタノール50重量部、ヨウ化カリウム1重量部、テトラブチルアンモニウムブロミド10重量部を添加し、還流させながら、100℃で80h反応させた。反応後、反応溶液を濃縮し、塩酸水溶液に投入し、沈殿物を得た。その沈殿物を水洗した後、エタノールで再結晶化させ、4−シアノ−4’−(2−ヒドロキシエチルオキシ)ビフェニルを得た。収率は35%であった。
その後、得られた4−シアノ−4’−(2−ヒドロキシエチルオキシ)ビフェニル50重量部、メタクリル酸50重量部、ハイドロキノン0.1重量部、p−トルエンスルホン酸1重量部、クロロホルム200重量部からなる混合溶液を、73℃で24h反応させ、反応副生成物である水を除去した。反応混合物を濃縮した後、得られた反応物を水洗し、エタノールで再結晶化させ、メタクリル酸2−(4−シアノビフェニルオキシ)エチル(CBEMA)を得た。収率は、98%であった。
参考例2 熱可塑性共重合体(A−1)の製造
容量が20リットルで、ダブルヘリカル型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、下記処方の単量体混合物を供給し、50rpmで撹拌しながら、20L/分の窒素ガスで15分間バブリングした後、内温を80℃に制御し、5時間にわたり溶液重合を行った。その後、得られた共重合体溶液を、n−ヘキサンにより再沈殿させ、沈殿した共重合体を80℃で12時間真空乾燥することにより、共重合体(a−1)を得た。
メタクリル酸ベンジル 15重量部
メタクリル酸 30重量部
メタクリル酸メチル 55重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
次いで、得られた共重合体(a−1)を流量調節バルブを備えた非噛合異方向回転の二軸・単軸複合型連続混練押出装置であるHTM38(シリンダー径38mm、二軸部分L/D=34、単軸部分L/D=14、CTE社製)を用いて、酢酸リチウム0.2部を添加し、原料供給速度10kg/h、スクリュー回転数:100rpm、シリンダ温度300℃で分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−1)を得た。なお、ホッパー部より窒素を10L/分の量でパージしながら反応を行った。
熱可塑性共重合体(A−1)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表1に示す通りであった。
参考例3 熱可塑性共重合体(A−2)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−2)を得た。
メタクリル酸2−(4−シアノビフェニルオキシ)エチル 15重量部
メタクリル酸 30重量部
メタクリル酸メチル 55重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−2)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表1に示す通りであった。
参考例4 熱可塑性共重合体(A−3)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−3)を得た。
メタクリル酸ベンジル 25重量部
メタクリル酸 12重量部
メタクリル酸メチル 63重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−3)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表1に示す通りであった。
参考例5 熱可塑性共重合体(A−4)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−4)を得た。
メタクリル酸ベンジル 3重量部
メタクリル酸 12重量部
メタクリル酸メチル 85重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−4)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表2に示す通りであった。
参考例6 熱可塑性共重合体(A−5)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−5)を得た。
メタクリル酸2−(4−シアノビフェニルオキシ)エチル 3重量部
メタクリル酸 12重量部
メタクリル酸メチル 85重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−5)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表2に示す通りであった。
参考例7 熱可塑性共重合体(A−6)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−6)を得た。
メタクリル酸ベンジル 15重量部
メタクリルアミド 22重量部
メタクリル酸メチル 63重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−6)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表1に示す通りであった。
参考例8 熱可塑性共重合体(A−7)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−7)を得た。
メタクリル酸ベンジル 3重量部
メタクリルアミド 5重量部
メタクリル酸メチル 92重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−7)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表2に示す通りであった。
参考例9 熱可塑性共重合体(A−8)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−8)を得た。
メタクリル酸ベンジル 15重量部
メタクリル酸 30重量部
メタクリル酸メチル 55重量部
メチルエチルケトン 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−8)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表1に示す通りであった。
参考例10 熱可塑性共重合体(A−9)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−9)を得た。
メタクリル酸 30重量部
メタクリル酸メチル 70重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−9)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表1に示す通りであった。
参考例11 熱可塑性共重合体(A−10)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−10)を得た。
メタクリル酸 12重量部
メタクリル酸メチル 88重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−10)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表2に示す通りであった。
参考例12 熱可塑性共重合体(A−11)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−10)を得た。
メタクリルアミド 22重量部
メタクリル酸メチル 78重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−11)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表1に示す通りであった。
参考例13 熱可塑性共重合体(A−12)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−12)を得た。
メタクリルアミド 5重量部
メタクリル酸メチル 95重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−12)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表2に示す通りであった。
参考例14 熱可塑性共重合体(A−13)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−13)を得た。
メタクリル酸 64重量部
メタクリル酸メチル 36重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−13)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表1に示す通りであった。
参考例15 熱可塑性共重合体(A−14)の製造
単量体混合物を下記処方に変更した以外は、参考例2と同様の条件で重合および分子内環化反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合体(A−14)を得た。
メタクリル酸 17重量部
メタクリル酸メチル 83重量部
2−プロパノール 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部
熱可塑性共重合体(A−14)の13C−NMRによる組成分析結果、GPC測定による重量平均分子量およびガラス転移温度は表1に示す通りであった。
参考例16
ゴム質含有重合体(B−1)の作成
冷却器付きのガラス容器(容量5リットル)内に脱イオン水120重量部、炭酸カリウム0.5重量部、スルフォコハク酸ジオクチル0.5重量部および過硫酸カリウム0.005重量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌後、アクリル酸ブチル53重量部、スチレン17重量部およびメタクリル酸アリル(架橋剤)1重量部を仕込んだ。これら混合物を70℃で30分間反応させて、コア層重合体を得た。次いで、メタクリル酸メチル21重量部、メタクリル酸9重量部および過硫酸カリウム0.005重量部の混合物を90分かけて連続的に添加し、さらに90分間保持して、シェル層を重合させた。この重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥して、2層構造のゴム質含有重合体(B−1)を得た。
実施例1〜5
参考例2、3、4、7、9で得られたペレット状の熱可塑性共重合体(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−6)、(A−8)を、リップ間隔0.6mmに調整したT−ダイ付き二軸溶融混練機HK−25D(パーカーコーポレーション社製)に供し、Tg+130℃の温度で溶融製膜を実施した。ドラム温度を130℃とし、巻き取り速度を調整することにより、約100μm厚のフィルムを得た。得られたフィルムをフィルム自動二軸延伸装置IMC−11A9型(井元製作所製)に供し、Tg+10℃の温度で、横(フィルム流れ方向と垂直方向)に1.1倍延伸した後、縦(フィルム流れ方向)に2.0倍 逐次二軸延伸を実施し、表1の厚さのフィルムを得た。
実施例6
参考例2で得られたペレット状の熱可塑性共重合体(A−1)90重量%および参考例15で得られたゴム質含有重合体(B−1)10重量部を、二軸溶融混練機TEX−30α(日本製鋼所製)に供し、シリンダー温度:280℃、スクリュー回転数:200rpm、10kg/hの供給量で溶融混練し、ペレタイズした。得られたペレットをリップ間隔0.6mmに調整したT−ダイ付き二軸溶融混練機HK−25D(パーカーコーポレーション社製)に供し、熱可塑性共重合体(A−1)のTg+130℃の温度で溶融製膜を実施した。ドラム温度を130℃とし、巻き取り速度を調整することにより、約100μm厚のフィルムを得た。得られたフィルムをフィルム自動二軸延伸装置IMC−11A9型(井元製作所製)に供し、熱可塑性共重合体(A−1)のTg+10℃の温度で、横(フィルム流れ方向と垂直方向)に1.1倍延伸した後、縦(フィルム流れ方向)に2.0倍逐次二軸延伸を実施し、表1の厚さのフィルムを得た。
比較例1〜4
参考例10、11、12、14で得られた熱可塑性共重合体(A−9)、(A−10)、(A−11)、(A−13)を使用した以外は、実施例1〜5と同様にして、表1の厚さのフィルムを得た。
実施例7〜9
参考例5、6、8で得られたペレット状の熱可塑性共重合体(A−4)、(A−5)、(A−7)を、リップ間隔0.6mmに調整したT−ダイ付き二軸溶融混練機HK−25D(パーカーコーポレーション社製)に供し、Tg+130℃の温度で溶融製膜を実施した。ドラム温度を130℃とし、巻き取り速度を調整することにより、約100μm厚のフィルムを得た。得られたフィルムをフィルム自動二軸延伸装置IMC−11A9型(井元製作所製)に供し、Tg+10℃の温度で、横(フィルム流れ方向と垂直方向)に1.5倍延伸した後、縦(フィルム流れ方向)に1.5倍逐次二軸延伸を実施し、表2の厚さのフィルムを得た。
比較例5〜7
参考例11、13、15で得られたペレット状の熱可塑性共重合体(A−10)、(A−12)、(A−14)を使用した以外は、実施例7〜9と同様にして、表2の厚さのフィルムを得た。
上記により得られたペレット状の熱可塑性共重合体およびフィルムの各種物性の測定方法を以下に記載する。
(1)共重合体組成
得られたペレット状の熱可塑性共重合体600mgを、凍結粉砕し粉末状とし、重水素化ピリジン3gに溶解させ、Varian社製、UNITY INOVA500型NMR測定機を用いて、測定核13C、基準としてTMSを用い、観測周波数125.7MHz、積算回数30000回として、25℃にて測定を行い、共重合体組成を導出した。
(2)重量平均分子量
得られたペレット状の熱可塑性共重合体10mgをテトラヒドロフラン2gに溶解して、測定サンプルとした。テトラヒドロフランを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製)を用いて、重量平均分子量(絶対分子量)を測定した。
(3)ガラス転移温度
得られたペレット状の熱可塑性共重合体を、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)に供し、昇温速度20℃/分でガラス転移温度(Tg)を測定した。
(4)透明性(全光線透過率およびヘイズ)
得られたフィルムを、東洋精機社製直読ヘイズメーターに供し、23℃での全光線透過率(%)、ヘイズ(曇度)(%)を測定し、透明性を評価した。
(5)耐熱性(ガラス転移温度(Tg))
得られたフィルムを、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)に供し、昇温速度20℃/分でガラス転移温度(Tg)を測定した。
(6)光学特性(面内位相差および厚み位相差)
得られたフィルムを、40mm×40mmの大きさに切削し、楕円偏光測定装置(王子計測機器(株)製 製品名「KOBRA−WPR」)に供し、平行ニコル回転法により、波長580nmに対する面内位相差(Re)および厚み位相差(Rth)について、フィルム中央の値を測定した。測定値に、50(μm)/延伸後フィルム厚さ(μm)を掛けて、50μm厚換算値とした。
(7)−1 実施例1〜5、比較例1〜3の耐湿熱特性(湿熱処理後のRe変化率、Rth変化率および寸法変化率)
上記(6)項によりReおよびRthを測定したフィルムを、60℃、90%RHの恒温恒湿槽(タバイ社製LHL−112)に供し、500時間湿熱処理を実施した。その後、上記(6)項と同様にして、500時間湿熱処理後のReおよびRthを測定し(それぞれRe1、Rth1とする)、次式でRe変化率およびRth変化率を算出した(上記(6)項で測定したReおよびRthをそれぞれRe0およびRth0とする)。
Re変化率=|Re1−Re0|/Re0×100
Rth変化率=|Rth1−Rth0|/Rth0×100
また、得られたフィルムに30mm×30mmの正方形を描き、万能投影機(ニコン社製V−12)で処理前の4辺の正確な長さを測定し、その平均値を算出しDとした。そのフィルムを60℃、90%RHの恒温恒湿槽(タバイ社製LHL−112)に供し、500時間湿熱処理を実施した。500時間湿熱処理後のフィルムを万能投影機に供し、正方形の4辺の正確な長さを測定し、その平均値を算出し(D)、寸法変化率を次式で算出した。
寸法変化率(%)=(D−D)/D×100
(7)−2 実施例6〜8および比較例4〜6の耐湿熱特性(湿熱処理後のRe変化量、Rth変化量および寸法変化率)
上記(6)項によりReおよびRthを測定したフィルムを、60℃、90%RHの恒温恒湿槽(タバイ社製LHL−112)に供し、500時間湿熱処理を実施した。その後、上記(6)項と同様にして、500時間湿熱処理後のReおよびRthを測定し(それぞれRe1、Rth1とする)、次式でRe変化量およびRth変化量を算出した(上記(6)項で測定したReおよびRthをそれぞれRe0およびRth0とする)。
Re変化量=|Re1−Re0|
Rth変化量=|Rth1−Rth0|
また、上記(7)−1項と同様にして、湿熱処理後の寸法変化率を測定した。
(8)靱性(引張破断伸度)
得られたフィルムを、20mm×100mmに切削し、引張試験機(オリエンテック(株)社製 製品名「RTA−1T」)に供し、チャック間距離20mm、引張速度200mm/minで引張試験を実施した際の、5本ずつの破断伸度を測定し、平均値を算出した。
Figure 2009235249
Figure 2009235249
Figure 2009235249
Figure 2009235249
実施例1〜5に示すように、特定の構造の不飽和カルボン酸エステル単位を共重合した共重合体からなるフィルムは、比較例1〜4と比較し、高度な透明性、耐熱性を維持しつつ、面内位相差および厚み位相差を大きく上昇させることが可能であると共に、耐湿熱特性に大きく優れることが分かる。また、溶液重合の重合溶媒として、アルコール系の溶媒を使用することにより(実施例1〜4)、ケトン系の溶媒を使用した系(実施例5)よりも、顕著に耐湿熱特性に優れる共重合体を得ることが可能となる。また、実施例6で分かるように、ゴム質含有重合体を添加することにより、透明性、耐熱性、光学特性、耐湿熱特性を維持したまま、靭性を向上することが可能となる。これらのことから、実施例1〜6記載の共重合体からなるフィルムは、位相差フィルムとして有用であることが分かる。
また、実施例7〜9に示すように、特定の構造の不飽和カルボン酸エステル単位を共重合した共重合体からなるフィルムは、比較例5および6と比較し、高度な透明性、耐熱性を維持しつつ、面内位相差および厚み位相差をゼロに近づけることが可能であると共に、耐湿熱特性に大きく優れることが分かる。また、特定の構造の不飽和カルボン酸エステル単位を共重合せず、厚み位相差および面内位相差をゼロに近づけた比較例7と比較しても、顕著に耐湿熱特性に優れることが分かる。これらのことから、実施例7〜9記載の共重合体からなるフィルムは、偏光子保護フィルムとして有用であることが分かる。

Claims (8)

  1. (i)下記一般式(1)で表される環構造単位5〜60重量%、(ii)下記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル単位1〜50重量%、(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位5〜94重量%を含有することを特徴とする熱可塑性共重合体。
    Figure 2009235249
    (ただし、R、Rは同一または相異なるものであり、水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Xは、酸素原子またはNRを表し、Rは、水素原子および炭素数1〜20の有機残基から選ばれるいずれかを表す)
    Figure 2009235249
    (ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Rは直接結合および炭素数1〜10のアルキル鎖から選ばれるいずれかを表し、Yは直接結合および下記一般式(3)で表される基から選ばれるいずれかを表し、Arは無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの芳香族基を表す)
    Figure 2009235249
  2. 前記(ii)不飽和カルボン酸エステル単位が、下記一般式(4)〜(6)のいずれかで表されることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性共重合体。
    Figure 2009235249
    (ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表す)
    Figure 2009235249
    (ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Arは無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの芳香族基を表す)
    Figure 2009235249
    (ただし、Rは水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、nは1〜10の整数を表し、Arは無置換または1つ以上の水素原子が、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、および炭素数1〜10のアルコキシル基から選ばれるいずれかの基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基から選ばれるいずれかの芳香族基を表す)
  3. 前記(iii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位が、下記一般式(7)で表されることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性共重合体。
    Figure 2009235249
    (ただし、Rは水素および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、R10は無置換または水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基および炭素数3〜6の脂環式炭化水素基から選ばれるいずれかを表す)
  4. (A)と(B)の合計を100重量%として、(A)請求項1〜3のいずれか記載の熱可塑性共重合体50〜99重量%および(B)ゴム質含有重合体1〜50重量%を配合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜3いずれか記載の熱可塑性共重合体または請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
  6. 成形品がフィルムである請求項5記載の成形品。
  7. フィルムが光学用フィルムである請求項6記載の成形品。
  8. 光学用フィルムが偏光子保護フィルムまたは位相差フィルムである請求項7記載の成形品。
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