JP2004315798A - 熱可塑性共重合体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱性が優れ、かつ高度な無色透明性および滞留安定性を有するグルタル酸無水物単位含有熱可塑性共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】 (i) 不飽和カルボン酸アルキルエステル単位および(ii)不飽和カルボン酸単位を含有する原共重合体を加熱処理し、脱水および/または脱アルコール反応を行うことにより、(iii )グルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性共重合体を製造する際の加熱処理装置として、スクリュー長さ/直径比(L/D)が50以上、110以下の二軸押出機を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性、無色透明性および滞留安定性に優れたグルタル酸無水物単位含有熱可塑性共重合体の製造方法に関するものである。
ポリメタクリル酸メチル(以下、PMMAと称する)やポリカーボネート(以下、PCと称する)といった非晶性樹脂は、その透明性や寸法安定性を活かして、光学材料、家庭電気機器、OA機器および自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用されている。
近年、これらの非晶性樹脂は、特に光学レンズ、プリズム、ミラー、光ディスク、光ファイバー、液晶ディスプレイ用シート・フィルムおよび導光板などのより高性能な光学材料にも幅広く使用されるようになっており、樹脂に要求される光学特性や成形加工性、耐熱性も一層高度なものになっている。
また、これらの非晶性樹脂は、現在ではテールランプやヘッドランプといった自動車などの灯具部材としても使用されているが、近年、車内空間を大きくするためやガソリン燃費を改良するために、テールランプレンズやインナーレンズ、ヘッドランプ、シールドビームなどの各種レンズと光源の間隔を小さくすることや、部品を薄肉化することが図られる傾向にあることから、優れた成形加工性が要求されるようになっている。また、車両は過酷な条件下で使用されるため、高温多湿下での形状変化が小さいことや、優れた耐傷性、耐候性、耐油性なども要求されているのが実状である。
しかしながら、PMMAは、優れた透明性、耐候性を有するものの、耐熱性が十分ではないという問題があった。一方、PCは、耐熱性、耐衝撃性に優れるものの、光学的歪みである複屈折率が大きく、成形物に光学的異方性が生じるばかりか、成形加工性、耐傷性、耐油性に著しく劣るという問題があった。
そのため、PMMAの耐熱性を改良する目的で、耐熱性付与成分としてマレイミド系単量体あるいは無水マレイン酸単量体などを導入した樹脂が開発されている。しかし、マレイミド系単量体は高価であると同時に反応性が低く、無水マレイン酸は熱安定性が悪いという問題があった。
これらの問題点を解決する方法として、不飽和カルボン酸単量体単位を含有する共重合体を、押出機を用いて加熱して環化反応させることにより得られるグルタル酸無水物単位を含有する共重合体(例えば、特許文献1参照)が知られている。しかしながら、この方法の加熱処理装置として、通常の押出機を用いた場合には、極度な剪断発熱を避けることができず、かくして得られるグルタル酸無水物単位を有する共重合体は、著しく着色するという問題があった。また、この方法では、押出機中での滞留時間が短く、十分に環化反応を進行させることができず、未反応の不飽和カルボン酸単量体単位が多量に残存するため、加熱成形加工時にシルバーなどが発生したり、加熱滞留時に著しく着色するという問題点があった。
また、このような問題点を解決するための方法としては、不飽和カルボン酸単量体単位を含有する共重合体を押出機を用いて加熱して環化反応させる際に、特定の反応促進触媒を添加する方法(例えば、特許文献2、3、4、5参照)が知られている。しかしながら、これらの方法で使用されている押出機では、L/Dが小さいことから、十分に環化反応を進行させるために、多量の塩基性無機化合物などの反応促進触媒が必要となり、これに起因した着色が見られること、および重合体中に残存する反応促進触媒が異物として作用するため、高度な透明性が得られないことなどの問題を包含していた。
なお、押出機中での滞留時間を増加させる手法の一つとして、L/Dの大きな押出機を使用する手法がある。例えば、液体シリコーンゴム組成物の製造方法として、L/Dが50を越えた押出機を使用する方法(例えば、特許文献6参照)が知られている。この特許文献6に記載の技術は、L/Dの大きな押出機を使用することにより、原料や添加剤の添加と、揮発分の真空ベントからの除去を1台の押出機で行うことを可能としているものであるが、その他の効果として、反応時間(滞留時間)を増加できることが開示されている。しかしながら、この特許文献6は、そのような押出機を液体シリコーンゴム組成物を製造するために使用することについては開示するものの、その押出機を、グルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性共重合体を製造する際の環化反応に適用することについては何ら言及するものではない。
特開昭49−85184号公報(第1−2頁、実施例) 特開平1−103612号公報(第1−2頁、実施例) 特開昭61−254608号公報(第1−2頁、実施例) 特開昭61−261303号公報(第1−2頁、実施例) 特開平8−301931号公報(第1−2頁、実施例) 特開2002−254427号公報(第1−2頁、実施例)
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決、すなわちグルタル酸無水物単位への反応を促進するとともに、着色を抑制した熱可塑性共重合体の製造方法の創出を課題として検討した結果、達成されたものである。
したがって、本発明の目的は、高度な耐熱性を有すると同時に、近年要求されている高度な無色透明性および滞留安定性を有するグルタル酸無水物単位含有熱可塑性共重合体を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する反応装置を使用することにより、着色を顕著に抑制することができ、従来の知見では成し得ることができなかった高度な無色透明性を達成し、かつ耐熱性および滞留安定性に優れたグルタル酸無水物単位含有熱可塑性共重合体を製造可能であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
(i) 不飽和カルボン酸アルキルエステル単位および(ii)不飽和カルボン酸単位を含有する原共重合体(A)を加熱処理し、(イ)脱水反応および/または(ロ)脱アルコール反応を行うことにより、下記一般式(1)で表される(iii )グルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性共重合体(B)を製造する際に、加熱処理装置として、スクリュー長さ/直径比(L/D)が50以上、110以下の二軸押出機を用いることを特徴とする熱可塑性共重合体の製造方法を提供するものである。
Figure 2004315798
(上記式中、R1 、R2 は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
なお、本発明の熱可塑性共重合体の製造方法においては、
前記熱可塑性共重合体(B)が、上記一般式(1)で表される(iii )グルタル酸無水物単位25〜50重量%と、(i)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位50〜75重量%とを有する共重合体であること、
前記熱可塑性共重合体(B)のガラス転移温度が130℃以上であること、
前記(ii)不飽和カルボン酸単位が、下記一般式(2)で表される構造を有すること、
Figure 2004315798
(ただし、R3 は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)
前記(i)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位が、下記一般式(3)で表される構造を有すること、および
Figure 2004315798
(ただし、R4 は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R5 は炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は1個以上炭素数以下の数の水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基を示す)
前記原共重合体(A)が95℃以下の重合温度で得られたものであること
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。
本発明によれば、耐熱性、無色透明性および滞留安定性に優れた熱可塑性共重合体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の熱可塑性共重合体の製造方法について具体的に説明する。
まず、本発明の熱可塑性共重合体(B)とは、下記一般式(1)
Figure 2004315798
(上記式中、R1 、R2 は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
で表されるグルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性共重合体である。なかでも上記一般式(1)で表される(iii )グルタル酸無水物単位および(i )不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を有する共重合体もしくは上記単位に(ii)不飽和カルボン酸単位を有する共重合体、または上記(i) 、(iii) もしくは上記(i) 、(ii)、(iii) の単位にさらに(iv)その他のビニル系単量体単位を有する共重合体であることが好ましい。
このような上記一般式(1)で表される(iii )グルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性共重合体(B)は、基本的には以下に示す方法により製造することができる。
すなわち、後の加熱工程により上記一般式(1)で表される(iii )グルタル酸無水物単位を与える不飽和カルボン酸単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体と、上記(iv )その他のビニル系単量体単位とを含む場合には、その単位を与えるビニル系単量体とを共重合させ、原共重合体(A)とした後、かかる原共重合体(A)を適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱し、(イ)脱アルコール反応および/または(ロ)脱水反応による分子内環化反応を行わせることにより製造することができる。この場合、典型的には、原共重合体(A)を加熱することにより2単位の(ii)不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基より脱水されて、あるいは、隣接する(ii)不飽和カルボン酸単位と(i )不飽和カルボン酸アルキルエステル単位からアルコールが脱離されて、1単位の上記(iii )グルタル酸無水物単位が生成される。
この際に用いられる不飽和カルボン酸単量体としては特に制限はなく、他のビニル化合物と共重合させることが可能ないずれの不飽和カルボン酸単量体も使用可能である。好ましい不飽和カルボン酸単量体として、下記一般式(4)
Figure 2004315798
(ただし、R3 は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)
で表される化合物、マレイン酸、およびさらには無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられるが、特に熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上用いることができる。なお、上記一般式(4)で表される不飽和カルボン酸単量体は、共重合すると上記一般式(2)で表される構造の不飽和カルボン酸単位を与える。
また、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては特に制限はないが、好ましい例としては、下記一般式(5)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2004315798
(ただし、R4 は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R5 は炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または1個以上炭素数以下の数の水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基を示す)
これらのうち、炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または置換基を有する該炭化水素基を持つアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが特に好適である。なお、上記一般式(5)で表される不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体は、共重合すると上記一般式(3)で表される構造の不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を与える。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
また、本発明で用いる原共重合体(A)の製造においては、本発明の効果を損なわない範囲で、(iv)その他のビニル系単量体を用いてもかまわない。(iv)その他のビニル系単量体の好ましい具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、無水マレイン酸、無水イタコン酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを挙げることができるが、無色透明性の点で芳香環を含まない単量体がより好ましく使用できる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
原共重合体(A)の重合方法については、基本的にはラジカル重合による塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合などの公知の重合方法を用いることができるが、不純物がより少ない点では、溶液重合、塊状重合および懸濁重合が特に好ましい。
この場合の重合温度については、特に制限はないが、色調の観点から、不飽和カルボン酸単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体を含む単量体混合物を、95℃以下の重合温度で重合することことが好ましい。さらに、加熱処理後の着色をより抑制するために好ましい重合温度は85℃以下であり、特に好ましくは75℃以下である。また、重合温度の下限は、重合が進行する温度であれば特に制限はないが、重合速度を考慮した生産性の面から、通常50℃以上、好ましくは60℃以上である。重合収率あるいは重合速度を向上させる目的で、重合進行に従い重合温度を昇温することも可能であるが、この場合も昇温する上限温度は95℃以下に制御することが好ましく、重合開始温度も75℃以下の比較的低温で行うことが好ましい。また、重合時間は、必要な重合度を得るのに十分な時間であれば特に制限はないが、生産効率の点から60〜360分間の範囲が好ましく、90〜180分間の範囲が特に好ましい。
本発明において、原共重合体(A)の製造時に用いられるこれらの単量体混合物の好ましい割合は、単量体混合物を100重量%として、不飽和カルボン酸系単量体が15〜50重量%、より好ましくは20〜45重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体が好ましくは50〜85重量%、より好ましくは55〜80重量%、これらに共重合可能な他のビニル系単量体を用いる場合、その好ましい割合は0〜35重量%であり、より好ましい範囲は0〜10重量%である。
不飽和カルボン酸系単量体量が15重量%未満の場合には、原共重合体(A)の加熱による上記一般式(1)で表される(iii )グルタル酸無水物単位の生成量が少なくなる傾向が生じる。一方、不飽和カルボン酸系単量体量が50重量%を超える場合には、原共重合体(A)の加熱による環化反応後に、(ii)不飽和カルボン酸単位が多量に残存する傾向があり、無色透明性および滞留安定性が低下する傾向が生じる。
また、本発明の無色透明性および滞留安定性に優れた熱可塑性共重合体(B)は、重量平均分子量が5万〜15万であることが好ましい。このような分子量を有する熱可塑性共重合体(B)は、原共重合体(A)の製造時に、原共重合体(A)を所望の分子量、すなわち重量平均分子量で5万〜15万に予め制御しておくことにより達成することができる。重量平均分子量が、15万を越える場合は、後工程の加熱脱気時に着色する傾向が見られる。一方、重量平均分子量が、5万未満の場合は、成形品の機械的強度が低下する傾向見られる。また、本発明の熱可塑性共重合体(B)の重量平均分子量は、好ましくは7万〜13万、特に好ましくは8万〜11万である。なお、本発明でいう重量平均分子量とは、多角度光散乱ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC−MALLS)で測定した絶対分子量での重量平均分子量を示す。
原共重合体(A)の分子量制御方法については、特に制限はなく、例えば通常公知の技術を適用することができる。例えば、アゾ化合物、過酸化物などのラジカル重合開始剤の添加量、あるいはアルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミンなどの連鎖移動剤の添加量などにより制御することができる。特に、重合の安定性、取り扱いの容易さなどからは、連鎖移動剤であるアルキルメルカプタンの添加量を制御する方法を好ましく使用することができる。
本発明に使用されるアルキルメルカプタンとしては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタンおよびn−オクタデシルメルカプタンなどが挙げられ、なかでもt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
これらアルキルメルカプタンの添加量としては、特定の分子量に制御するものであれば特に制限はないが、通常、単量体混合物の全量100重量%に対して、添加量の下限は0.2、0.3、0.4、0.8、0.9、1.0重量%がこの順に好ましく、上限は5.0、4.0、3.0重量%がこの順に好ましい。
本発明における原共重合体(A)を加熱し、(イ)脱水反応および/または(ロ)脱アルコールにより分子内環化反応を行いグルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性共重合体を製造する方法は、加熱処理装置として、押出機スクリューの長さ/直径比(L/D)が50以上、110未満の二軸押出機を用いることを特徴とする。
すなわち、L/Dが50を越えた押出機を使用することにより、十分な反応時間(滞留時間)の大幅な増加が可能となり、未反応の(ii)不飽和カルボン酸単位を減少して、それによる成形滞留時の色調悪化を大幅に改善することができるのである。
一方、市販の通常二軸押出機は、L/Dの値が20〜45程度の比較的小さいものであり、これらの押出機を、本発明の分子内環化反応による(iii )グルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性共重合体(B)の製造に使用した場合には、未反応の(ii)不飽和カルボン酸単位が多量に残存するため、加熱成形加工時に反応が再進行し、成形品にシルバーや気泡が見られる傾向や成形滞留時に色調が大幅に悪化する傾向となる。
したがって、本発明においては、十分な分子内環化反応を進行させるための加熱時間(滞留時間)を確保することが重要となる。より好ましくは、押出機のL/Dを60以上、105以下、さらに好ましくは、L/Dが70以上、100以下とすることが望ましい。押出機のL/Dが110より大きい場合、押出機の機械的強度や構造上の問題のため、現実的な利点が小さくなるため好ましくない。
また、これら特定のL/Dの値を有する二軸押出機は、窒素などの不活性ガスを導入可能な構造を有することがより好ましい。例えば、窒素などの不活性ガスを導入する方法としては、ホッパー上部および/または下部より、10〜100リットル/分程度の不活性ガス気流の配管を繋ぐ方法などが挙げられる。
なお、本発明の原共重合体(A)を加熱処理し、熱可塑性共重合体(B)を製造する温度は、(イ)脱水反応および/または(ロ)脱アルコールにより分子内環化反応が生じる温度であれば特に限定されないが、好ましくは下限が180℃、さらに好ましくは200℃であり、上限は好ましくは320℃、より好ましくは310℃、さらに好ましくは300℃、さらに好ましくは280℃である。
また、この際の加熱脱揮する時間も特に限定されず、所望する共重合組成に応じて適宜設定可能であるが、通常は3分間〜60分間、好ましくは5分間〜30分間、とりわけ8〜20分間の範囲であることが好ましい。
さらに、本発明では、原共重合体(A)を上記の方法により加熱する際に、グルタル酸無水物への環化反応を促進させる触媒として、酸、アルカリおよび塩化合物から選ばれた1種以上を添加することができる。その添加量については特に制限はなく、原共重合体(A)100重量部に対し、0.01〜1重量部程度が適当であるが、異物として熱可塑性共重合体(B)中に残存する傾向が見られるため、添加量は極力減量することが好ましい。また、これら酸、アルカリおよび塩化合物の種類についても特に制限はなく、酸触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸およびリン酸メチルなどが挙げられる。塩基性触媒としては、金属水酸化物、アミン類、イミン類、アルカリ金属誘導体、アルコキシド類および水酸化アンモニウム塩などが挙げられる。さらに、塩系触媒としては、酢酸金属塩、ステアリン酸金属塩および炭酸金属塩などが挙げられる。ただし、その触媒保有の色が熱可塑性共重合体(B)の着色に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加する必要がある。中でも、アルカリ金属を含有する化合物が、比較的少量の添加量で、優れた反応促進効果を示すため、好ましく使用することができる。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムフェノキシドなどのアルコキシド化合物、および酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウムなどの有機カルボン酸塩などが挙げられ、とりわけ、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、酢酸リチウムおよび酢酸ナトリウムを好ましく使用することができる。
本発明の熱可塑性共重合体(B)中の前記一般式(1)で表される(iii )グルタル酸無水物単位の含有量については特に制限はないが、好ましくは熱可塑性共重合体(B)100重量%中に25〜50重量%、より好ましくは30〜45重量%である。
また、本発明の熱可塑性共重合体(B)としては、上記(iii )グルタル酸無水物単位と(i)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位とからなる共重合体が好ましく使用することができる。(i)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位量は、熱可塑性共重合体(B)100重量%中に好ましくは50〜75重量%、より好ましくは55〜70重量%である。
また、本発明の熱可塑性共重合体(B)における各成分単位の定量には、赤外分光光度計やプロトン核磁気共鳴(1 H−NMR)測定機が使用可能である。赤外分光法では、グルタル酸無水物単位は、1800cm-1および1760cm-1の吸収が特徴的であり、不飽和カルボン酸単位や不飽和カルボン酸アルキルエステル単位から区別することができる。また、1 H−NMR法では、例えば、グルタル酸無水物、メタクリル酸、メタクリル酸メチルからなる共重合体の場合、ジメチルスルホキシド重溶媒中でのスペクトルの帰属を、0.5〜1.5ppmのピークがメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークがポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH3 )の水素、12.4ppmのピークがメタクリル酸のカルボン酸の水素と、スペクトルの積分比から共重合体組成を決定することができる。また、上記に加えて、他の共重合成分としてスチレンを含有する共重合体の場合には、6.5〜7.5ppmにスチレンの芳香族環の水素が見られ、同様にスペクトル比から共重合体組成を決定することができる。
より好ましい本発明の熱可塑性共重合体(B)中に含有される(ii)不飽和カルボン酸単位量は0〜5重量%、最も好ましくは0〜1重量%である。(ii)不飽和カルボン酸単位が5重量%を超える場合には、無色透明性および滞留安定性が低下する傾向を生じる。
また、より好ましい共重合可能な(iv)その他のビニル系単量体単位量は好ましくは0〜10重量%である。特に、スチレンなどの芳香族ビニル系単量体単位を含有する場合、含有量が上記範囲を超えると、無色透明性が低下する傾向を生じる。
また、本発明の熱可塑性共重合体(B)は、ガラス転移温度(Tg)が130℃以上であることが耐熱性の面で好ましい。より好ましい態様においては140℃以上、特に好ましい態様においては150℃以上と極めて優れた耐熱性を有する。また、上限としては通常、170℃程度である。なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/分で測定したガラス転移温度(Tg)である。
また、本発明の製造方法により得られる熱可塑性共重合体(B)は、成形品の色調が大幅に改良され、黄色度(Yellowness Index)の値が3以下の色調に優れた成形品が得られる。さらに好ましい態様においては2以下、最も好ましい態様においては、1以下と極めて優れた無色性を有する。なお、ここでいう黄色度(Yellowness Index)とは、上記熱可塑性共重合体(B)のガラス転移温度+140℃で射出成形し得た厚さ3mm成形品をJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定したYI値である。
さらに、本発明の熱可塑性共重合体(B)には、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤および酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ハロゲン系難燃剤、リン系やシリコーン系の非ハロゲン系難燃剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を任意に含有させてもよい。ただし、その添加剤保有の色が熱可塑性共重合体に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加する必要がある。
本発明の熱可塑性共重合体(B)は、機械的特性および成形加工性にも優れており、溶融成形可能であるため、押出成形、射出成形およびプレス成形などが可能であり、フィルム、シート、管、ロッドや希望する任意の形状と大きさを有する成形品に成形して使用することができる。
そして、本発明の熱可塑性共重合体からなる成形品は、その優れた耐熱性を活かして、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類、一般雑貨など種々の用途に用いることができる。
本発明の熱可塑性共重合体からなる成形品の具体的用途としては、例えば、電気機器のハウジング、OA機器のハウジング、各種カバー、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルターおよび点火装置ケースなどが挙げられる。また、透明性、耐熱性に優れている点から、映像機器関連部品としてカメラ、VTR、プロジェクションTVなどの撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなど、光記録・光通信関連部品として各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LDなど)基板、各種ディスク基板保護フィルム、光ディスクプレイヤーピックアップレンズ、光ファイバー、光スイッチ、光コネクターなど、情報機器関連部品として、液晶ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイの導光板、フレネルレンズ、偏光板、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、ピックアップレンズ、タッチパネル用導光フィルム、カバーなど、自動車などの輸送機器関連部品として、テールランプレンズ、ヘッドランプレンズ、インナーレンズ、アンバーキャップ、リフレクター、エクステンション、サイドミラー、ルームミラー、サイドバイザー、計器針、計器カバー、窓ガラスに代表されるグレージングなど、医療機器関連部品として、眼鏡レンズ、眼鏡フレーム、コンタクトレンズ、内視鏡、分析用光学セルなど、建材関連部品として、採光窓、道路透光板、照明カバー、看板、透光性遮音壁、バスタブ用材料などにも適用することができ、これら各種の用途にとって極めて有用である。
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、実施例で採用した各種物性の測定方法を記載する。
[重量平均分子量(絶対分子量)]
ジメチルホルムアミドを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製)を用いて、重量平均分子量(絶対分子量)を測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度で測定した。
[黄色度(Yellowness Index)]
得られた熱可塑性共重合体を、ガラス転移温度+140℃で射出成形して得た厚さ70mm×70mm×3mm成形品のYI値を、JIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定した。
[透明性(全光線透過率、ヘイズ)]
東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを用いて、熱可塑性共重合体をガラス転移温度+140℃で射出成形して得た70mm×70mm×3mmの成形品の23℃での全光線透過率(%)、ヘイズ(曇度)(%)を測定し、透明性を評価した。
[滞留安定性]
射出成形機シリンダ中、ガラス転移温度+140℃で20分間滞留させた後、射出成形して得た70mm×70mm×3mmの成形品中の気泡の有無を目視で観察した。
[参考例]原共重合体(A)の製造
(A−1)
まず、メタクリル酸メチル20重量部、アクリルアミド80重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み、反応器中を窒素ガスで置換しながら70℃に保った。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続け、メタクリル酸メチルとアクリルアミド共重合体の水溶液として得た。得られた水溶液を以下の懸濁剤として使用した。
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、上記懸濁剤0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を供給し、380rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、70℃に昇温した。内温が70℃に達した時点を重合開始として、110分間保ち、重合を終了した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行うことにより、ビーズ状の原共重合体(A−1)を得た。この原共重合体(A−1)の重合率は95%であり、重量平均分子量は11万であった。
メタクリル酸 30重量部
メタクリル酸メチル 70重量部
t−ドデシルメルカプタン 1.2重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.32重量部
(A−2)
重合温度、時間を70℃で20分間保った後、90℃に昇温して、この温度で180分間重合に変更した以外は、(A−1)と同様の製造方法により原共重合体(A−2)を98%の重合率で得た。この原共重合体(A−2)の重量平均分子量は11万であった。
(A−3)
単量体混合物および連鎖移動剤の仕込み組成を下記に変更した以外は、(A−1)と同様の製造方法により原共重合体(A−3)を95%の重合率で得た。この原共重合体(A−3)の重量平均分子量は10万であった。
メタクリル酸 15重量部
メタクリル酸メチル 75重量部
スチレン 10重量部
t−ドデシルメルカプタン 0.8重量部
[実施例1〜4、比較例1〜5]
本実施例では、L/Dが77である二軸押出機TEX44α(日本製鋼所社製)を使用した。上記で得られた各種原共重合体(A)、あるいはこれに表1に示した添加剤を配合して、ホッパー口から窒素を10L/分の量でブローしながら、該二軸押出機に20kg/hで連続供給し、スクリュー回転数:100rpm、シリンダ温度:280℃の条件で加熱処理(環化反応)を行った。この際、滞留時間(原料である共重合体(A)をホッパー部より投入してから、吐出されるまでの時間)は15分であった。
また、比較のために、加熱処理として、L/Dが44.5の2軸押出機TEX44α(日本製鋼所社製)を用いて、ホッパー口から窒素を10L/分の量でブローしながら、この二軸押出機に20kg/hで連続供給し、スクリュー回転数:40rpm、シリンダ温度:280℃の条件で加熱処理(環化反応)を行った。この際、滞留時間(原料である共重合体(A)をホッパー部より投入してから、吐出されるまでの時間)は5分であった。
次いで、100℃で3時間乾燥したペレットを、射出成形機(名機製作所社製M−50AII−SJ)に供して、各試験片を成形した。成形条件は、成形温度:ガラス転移温度+140℃、金型温度:80℃、射出速度:90cm3 /秒、射出時間:10秒、冷却時間:30秒、成形圧力:金型に樹脂が全て充填される圧力(成形下限圧力)+1MPaとして行った。
1H−NMRにより、定量した各共重合成分組成および各種特性評価結果を表1に示す。
Figure 2004315798
実施例1〜4および比較例1〜5の結果からは、本発明の特定の加熱処理装置を用いることにより、得られるグルタル酸無水物構造単位を有する熱可塑性共重合体は、耐熱性に優れ、かつ高度な無色透明性および滞留安定性を有していることがわかる。
一方、通常のL/D長である二軸押出機を用いた場合は、未反応の不飽和カルボン酸(メタクリル酸)単位がより多く残存する傾向が見られ、成形機中での滞留により環化反応が再進行し、成形品中に気泡が見られるようになることがわかる。また、この問題点を解消するには、多量の塩基性無機化合物(NaOCH3 )の添加が必要となり、そのために成形品のヘイズが上昇し、高度な透明性が得られないことがわかる。
本発明により製造される熱可塑性共重合体は、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類、一般雑貨など種々の用途に用いることができる。

Claims (6)

  1. (i) 不飽和カルボン酸アルキルエステル単位および(ii)不飽和カルボン酸単位を含有する原共重合体(A)を加熱処理し、(イ)脱水反応および/または(ロ)脱アルコール反応を行うことにより、下記一般式(1)で表される(iii )グルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性共重合体(B)を製造する際に、加熱処理装置として、スクリュー長さ/直径比(L/D)が50以上、110以下の二軸押出機を用いることを特徴とする熱可塑性共重合体の製造方法。
    Figure 2004315798
    (上記式中、R1 、R2 は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
  2. 前記熱可塑性共重合体(B)が、上記一般式(1)で表される(iii )グルタル酸無水物単位25〜50重量%と、(i)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位50〜75重量%とを有する共重合体であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
  3. 前記熱可塑性共重合体(B)のガラス転移温度が130℃以上であることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
  4. 前記(ii)不飽和カルボン酸単位が、下記一般式(2)で表される構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
    Figure 2004315798
    (ただし、R3 は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)
  5. 前記(i)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位が、下記一般式(3)で表される構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
    Figure 2004315798
    (ただし、R4 は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R5 は炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は1個以上炭素数以下の数の水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基を示す)
  6. 前記原共重合体(A)が95℃以下の重合温度で得られたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
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