JP2006274072A - 熱可塑性重合体、その製造方法および成形品 - Google Patents
熱可塑性重合体、その製造方法および成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006274072A JP2006274072A JP2005096081A JP2005096081A JP2006274072A JP 2006274072 A JP2006274072 A JP 2006274072A JP 2005096081 A JP2005096081 A JP 2005096081A JP 2005096081 A JP2005096081 A JP 2005096081A JP 2006274072 A JP2006274072 A JP 2006274072A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copolymer
- weight
- thermoplastic polymer
- polymerization
- carboxylic acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Abstract
Description
本発明は、特定分子量重合体の含有量が精密に制御された耐熱性、無色透明性に優れる熱可塑性共重合体、その製造方法および成形品に関するものである。
ポリメタクリル酸メチル(以下PMMAと称する)やポリカーボネート(以下PCと称する)といった非晶性樹脂は、その透明性や寸法安定性を活かし、光学材料、家庭電気機器、OA機器および自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用されている。
近年、これらの樹脂は、特に光学レンズ、プリズム、ミラー、光ディスク、光ファイバー、液晶ディスプレイ用シート・フィルム、導光板などの、より高性能な光学材料にも幅広く使用されるようになっており、樹脂に要求される光学特性や耐熱性もより高度なものになっている。
しかしながら、PMMA樹脂は、優れた透明性、耐候性を有するものの、耐熱性が十分ではないといった問題があった。一方、PC樹脂は、耐熱性、耐衝撃性に優れるものの、光学的歪みである複屈折率が大きく、成形物に光学的異方性が生じること、耐傷性、耐油性に著しく劣るといった問題があった。
これらの問題点を解決する方法として、不飽和カルボン酸単量体単位を含有する共重合体を、押出機を用いて加熱して環化反応させることにより得られるグルタル酸無水物単位を含有する共重合体が例えば特許文献1に開示されているが、押出機を用いて該共重合体を加熱処理して得られるグルタル酸無水物単位を有する共重合体は著しく着色するという問題があった。
また、不飽和カルボン酸単量体単位を含有する重合体溶液を真空下で加熱することによりグルタル酸無水物単位を含有する共重合体を製造する方法が開示されている(特許文献2参照)。しかし、これら公報に記載されている方法においては、溶媒を完全に真空下で脱溶媒するためには、高温で長時間の熱処理が必要となり、多大な労力とエネルギーが必要になるといった問題点があった。また、不飽和カルボン酸単量体を含有する重合体を溶液中で製造する際、高重合率を得るためには、重合温度を高める必要があり、重合体を溶液のまま真空下で加熱しても、得られるグルタル酸無水物単位を含有する共重合体の着色抑制効果は十分ではなく、近年のより高度な無色性の要求を満たすものではなかった。
そこで、本発明者らは特許文献3の如く、特定の不飽和カルボン酸単位を含有する共重合体を特定の重合条件下で製造し、続いて該共重合体を加熱処理することにより、無色透明性と滞留安定性に優れるグルタル酸無水物含有共重合体の製造方法を提案した。特許文献3提案の技術によれば、得られる共重合体の着色および滞留安定性は大いに改良されたが、光学レンズ、プリズム、ミラー、光ディスク、光ファイバー、液晶ディスプレイ用シート・フィルム、導光板などの、より高性能な光学材料に使用するためには、より高度な無色透明性が望まれていた。
特開昭49−85184号公報(第1−2頁、実施例)
特開昭60−120707号公報(第1−2頁、実施例)
特開2004−002711公報(第1−2頁、実施例)
したがって本発明は、高度な耐熱性を有すると同時に、従来技術における加熱時の着色問題を解決し、加熱によって共重合体中にグルタル酸無水物単位を生成させる際の着色を抑制し、近年要求されている高度な無色透明性を有する熱可塑性重合体およびその製造方法と該熱可塑性重合体からなる成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定分子量重合体の含有量が精密に制御されたグルタル酸無水物含有単位を有する熱可塑性共重合体が、耐熱性、無色透明性に特異的に優れることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
〔1〕重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が1.5%以下で、かつ下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位を含有する熱可塑性重合体、
〔1〕重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が1.5%以下で、かつ下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位を含有する熱可塑性重合体、
(ただし、R1、R2は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す)
〔2〕ガラス転移温度が130℃以上であることを特徴とする上記〔1〕記載の熱可塑性重合体、
〔3〕熱可塑性重合体が、(i)上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位、および(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を有する共重合体であることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の熱可塑性重合体、
〔4〕不飽和カルボン酸単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体を含む単量体混合物を下記重合工程(I)により共重合体(a)を得た後、洗浄工程(II)の2つの工程により共重合体(a’)を得、次いでこの共重合体(a’)を加熱し、(イ)脱水及び/又は(ロ)脱アルコール反応を行い、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性重合体を製造する製造方法、
(I)重合工程
前記単量体混合物を95℃以下の温度で共重合し、共重合体(a)を製造する工程(I)
(II)洗浄工程
前記重合工程(I)で得られた共重合体(a)100重量部に対して、共重合体(a)の溶解度パラメーターとの差の絶対値(ΔSP)が、1.0〜1.7である有機溶媒(B)を10〜2000重量部含む洗浄液で洗浄後、固液分離し、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が1.5%以下である共重合体(a’)を得る洗浄工程(II)
〔5〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の熱可塑性重合体からなる成形品である。
〔2〕ガラス転移温度が130℃以上であることを特徴とする上記〔1〕記載の熱可塑性重合体、
〔3〕熱可塑性重合体が、(i)上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位、および(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を有する共重合体であることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の熱可塑性重合体、
〔4〕不飽和カルボン酸単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体を含む単量体混合物を下記重合工程(I)により共重合体(a)を得た後、洗浄工程(II)の2つの工程により共重合体(a’)を得、次いでこの共重合体(a’)を加熱し、(イ)脱水及び/又は(ロ)脱アルコール反応を行い、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性重合体を製造する製造方法、
(I)重合工程
前記単量体混合物を95℃以下の温度で共重合し、共重合体(a)を製造する工程(I)
(II)洗浄工程
前記重合工程(I)で得られた共重合体(a)100重量部に対して、共重合体(a)の溶解度パラメーターとの差の絶対値(ΔSP)が、1.0〜1.7である有機溶媒(B)を10〜2000重量部含む洗浄液で洗浄後、固液分離し、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が1.5%以下である共重合体(a’)を得る洗浄工程(II)
〔5〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の熱可塑性重合体からなる成形品である。
本発明によれば、優れた耐熱性を有すると同時に、光学材料に要求されている高度な無色透明性を実現することが可能となった。
以下、本発明の熱可塑性重合体(A)の製造方法について具体的に説明する。
本発明の熱可塑性重合体とは、上記のごとく、下記一般式(1)
(上記式中、R1、R2は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
で表されるグルタル酸無水物含有単位を含有する熱可塑性重合体(A)である。中でも(i)上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を有する共重合体であることが好ましく、上記(i)(ii)からなる共重合体であってもよいが、上記単位(i)(ii)に(iii)不飽和カルボン酸単位を有する共重合体又は上記(i)(ii)若しくは上記(i)(ii)(iii)の単位にさらに(iv)その他のビニル系単量体単位を有する共重合体であってもよい。
で表されるグルタル酸無水物含有単位を含有する熱可塑性重合体(A)である。中でも(i)上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を有する共重合体であることが好ましく、上記(i)(ii)からなる共重合体であってもよいが、上記単位(i)(ii)に(iii)不飽和カルボン酸単位を有する共重合体又は上記(i)(ii)若しくは上記(i)(ii)(iii)の単位にさらに(iv)その他のビニル系単量体単位を有する共重合体であってもよい。
本発明の熱可塑性重合体(A)中の前記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位(i)の含有量は、好ましくは共重合体(A)100重量%中に25〜50重量%、より好ましくは30〜45重量%である。グルタル酸無水物含有単位が25重量%未満である場合、耐熱性向上効果が小さくなるだけでなく、複屈折特性や耐溶剤性が低下する傾向がある。
また、本発明の熱可塑性重合体(A)中の不飽和カルボン酸アルキルエステル単位(ii)の含有量は、熱可塑性重合体(A)100重量%中に好ましくは50〜75重量%、より好ましくは55〜70重量%である。
本発明の熱可塑性重合体(A)における各成分単位の定量には、一般に赤外分光光度計やプロトン核磁気共鳴(1H−NMR)測定機が用いられる。赤外分光法では、グルタル酸無水物含有単位は、1800cm−1および1760cm−1の吸収が特徴的であり、不飽和カルボン酸単位や不飽和カルボン酸アルキルエステル単位から区別することができる。また、1H−NMR法では、スペクトルの積分比から共重合体組成を決定することができる。例えば、グルタル酸無水物含有単位、メタクリル酸単位、およびメタクリル酸メチル単位からなる共重合体の場合、ジメチルスルホキシド重溶媒中で測定されたスペクトルの帰属は、0.5〜1.5ppmのピークはメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH3)の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素である。また、上記に加えて、他の共重合成分としてスチレンを含有する共重合体の場合、6.5〜7.5ppmにスチレンの芳香環の水素が見られ、同様にスペクトル比から共重合体組成を決定することができる。
また、本発明の熱可塑性重合体(A)は、上記(i)、(ii)の単位に加えて、さらに(iii)不飽和カルボン酸単位および/または、(iv)その他のビニル単量体単位を含有することができる。ここで、(iv)その他のビニル単量体単位とは、上記(i)〜(iii)のいずれにも属さない共重合可能なビニル単量体単位である。
本発明の熱可塑性重合体(A)100重量%中に含有される不飽和カルボン酸単位(iii)の含有量は10重量%以下、すなわち0〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0〜5重量%、最も好ましくは0〜1重量%である。不飽和カルボン酸単位(iii)が10重量%を超える場合には、吸湿による寸法安定性が低下する傾向がある。
また、その他のビニル単量体単位(iv)の含有量は、熱可塑性重合体(A)100重量%中、10重量%以下、すなわち0〜10重量%の範囲であることが好ましい。また、その他のビニル単量体単位(iv)としては、芳香環を含まないビニル単量体単位が好ましい。スチレンなどの芳香族ビニル単量体単位の場合、含有量が高いと、無色透明性、耐溶剤性が低下する傾向があるので、含有量は5重量%以下、すなわち0〜5重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0〜3重量%である。
前記不飽和カルボン酸単位(iii)としては、下記一般式(2)で表される構造を有するものが好ましい。
(ただし、R3は水素または炭素数1〜5のアルキル基を表す)
前記不飽和カルボン酸アルキルエステル単位(ii)としては、下記一般式(3)で表される構造を有するものが好ましい。
前記不飽和カルボン酸アルキルエステル単位(ii)としては、下記一般式(3)で表される構造を有するものが好ましい。
(ただし、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、または1個以上炭素数以下の数の水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基を示す)
また本発明の熱可塑性重合体(A)は、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が1.5%以下であることが必要であり、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.6%以下、とりわけ検出限界(0.1%)以下であることが好ましい。尚、本発明でいう重量平均分子量が1万以下の重合体含有量とは、下記方法およびカラムを使用して測定された値である。すなわち、熱可塑性重合体をジメチルホルムアミドに溶解して、0.3重量%の測定サンプル溶液とし、ジメチルホルムアミドを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製、流速:0.8ml/分)を用いて測定した絶対分子量分布曲線の重量平均分子量が1万以下のピーク面積の合計の全ピーク面積に対する割合を%で表したものである。重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が、1.5%を越える場合には、黄色化するため、好ましくない。また、その黄色化は、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が多くなるほど、顕著になる傾向がある。
本発明の熱可塑性重合体(A)は、重量平均分子量(以下Mwとも言う)が、好ましくは、7万〜20万、より好ましくは、9万〜18万であることが望ましい。尚、本発明でいう重量平均分子量とは、多角度光散乱ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC−MALLS)で測定した絶対分子量での重量平均分子量を示す。
かくして得られる本発明の熱可塑性重合体(A)は、ガラス転移温度が120℃以上と優れた耐熱性を有し、実用耐熱性の面で好ましい。また、好ましい態様においてはガラス転移温度が130℃以上の極めて優れた耐熱性を有する。また、上限としては、通常160℃程度である。なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて昇温速度20℃/分で測定したガラス転移温度である。
また、本発明の熱可塑性重合体(A)は、好ましい態様において、黄色度(Yellowness Index)の値が2.0以下と着色が抑制され、さらに好ましい態様においては1.5以下と極めて高度な無色透明性を有する。上記において黄色度はガラス転移温度+140℃で射出成形した厚さ5mm成形品のYI値をJIS−K7103に従い、測定した値である。黄色度の下限は、特に制限はなく、低いほど好ましいが、通常1程度である。
このような本発明の上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性重合体は、基本的には以下に示す方法により製造することができる。すなわち、後の加熱工程により上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位(i)を与える不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体と、前記その他のビニル系単量体単位(iv)を含む場合には該単位を与えるビニル系単量体とを共重合し、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量を1.5%以下に精密に制御した後、かかる共重合体を適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱し(イ)脱アルコール及び/又は(ロ)脱水による分子内環化反応を行わせることにより製造することができる。この場合、典型的には、共重合体を加熱することにより2単位の不飽和カルボン酸単位(iii)のカルボキシル基が脱水されて、あるいは、隣接する不飽和カルボン酸単位(iii)と不飽和カルボン酸アルキルエステル単位(ii)からアルコールの脱離により1単位の前記グルタル酸含有無水物単位が生成される。
この際に用いられる不飽和カルボン酸単量体としては特に制限はなく、他のビニル化合物と共重合させることが可能ないずれの不飽和カルボン酸単量体も使用可能である。好ましい不飽和カルボン酸単量体として、下記一般式(4)
(ただし、R3は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)
で表される化合物、マレイン酸、及びさらには無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられるが、特に熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上用いることができる。なお、上記一般式(4)で表される不飽和カルボン酸単量体は、共重合すると上記一般式(2)で表される構造の不飽和カルボン酸単位を与える。
で表される化合物、マレイン酸、及びさらには無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられるが、特に熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上用いることができる。なお、上記一般式(4)で表される不飽和カルボン酸単量体は、共重合すると上記一般式(2)で表される構造の不飽和カルボン酸単位を与える。
また不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては特に制限はないが、好ましい例として、下記一般式(5)で表されるものを挙げることができる。
(ただし、R4は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は1個以上炭素数以下の数の水酸基若しくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基を示す)
これらのうち、炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は置換基を有する該炭化水素基を持つアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが特に好適である。なお、上記一般式(5)で表される不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体は、共重合すると上記一般式(3)で表される構造の不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を与える。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
また、本発明で用いる共重合体(a)の製造においては、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のビニル系単量体を用いてもかまわない。その他のビニル系単量体の好ましい具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンおよびp−t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、無水マレイン酸、無水イタコン酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを挙げることができるが、透明性、複屈折率、耐薬品性の点で芳香環を含まない単量体がより好ましく使用できる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明において、共重合体(a)の製造時に用いられるこれらの単量体混合物の好ましい割合は、該単量体混合物を100重量%として、不飽和カルボン酸系単量体が15〜50重量%、より好ましくは20〜45重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体は好ましくは50〜85重量%、より好ましくは55〜80重量%、これらに共重合可能な他のビニル系単量体を用いる場合、その好ましい割合は0〜35重量%であり、より好ましい割合は0〜10重量%である。
不飽和カルボン酸系単量体量が15重量%未満の場合には、加熱による上記一般式(1)で表されるグルタル酸含有無水物単位の生成量が少なくなり、耐熱性向上効果が小さくなる傾向がある。一方、不飽和カルボン酸系単量体量が50重量%を超える場合には、加熱による環化反応後に、不飽和カルボン酸単位が多量に残存する傾向があり、無色透明性、滞留安定性が低下する傾向がある。
また、これらの単量体混合物は、重合初期に一括で仕込んで共重合しても良く、分割添加、逐次添加しながら共重合しても良い。より好ましくは、生成する共重合体(a)を構成する単量体単位の組成分布を低減する目的で、単量体混合物中の重量組成比を任意に設定して、分割添加あるいは逐次添加する方法が挙げられる。
共重合体(a)の重合方法については、基本的にはラジカル重合による、塊状重合、溶液重合、沈殿重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法を用いることができるが、重合時の重合液粘度特性、ハンドリング性および不純物がより少ない点で溶液重合、沈殿重合、懸濁重合が好ましく、とりわけ沈殿重合が好ましい。
沈殿重合法においては、重合開始剤の存在下あるいは非存在下で、原料である単量体混合物は溶解し、かつ共重合体(a)の溶解度が1g/100g以下である有機溶媒を用いることが好ましい。尚、ここで、「共重合体(a)の溶解度」とは、共重合体(a)の有機溶媒100gに対する、23℃で24時間、攪拌した後の溶解量を意味する。
この場合、各成分の溶解度パラメーターを考慮し、共重合種、共重合組成、反応溶媒等重合条件の設計を行うことが好ましい。
共重合体(a)の溶解度パラメーターδpは、7.0〜12.0の範囲にあることが好ましく、7.5〜10.5であることがより好ましい。δpが7.0未満の場合には、後工程での加熱による分子内環化反応で製造される本発明の上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性重合体の耐熱性が十分ではなく、実用上多くの制限を受ける場合がある。δpが12.0を超える場合には、ポリマーの凝集力が強くなりすぎ、沈殿重合時に固着し取り扱い性が悪化する傾向にある。
ここで言う溶解度パラメーターは、「塗料用合成樹脂入門」、北岡協三著、p23−p31、高分子刊行会(1986)、表2−8、表2−9を参考に、Smallの方法で算出したものである。
すなわち、smallの方法により与えられた特定の原子及び原子団の凝集エネルギー定数F(cal1/2cc1/2/mol)、密度をs(g/cc)、基本分子量をMとし、δ=(sΣF)/Mで算出される値を溶解度パラメーターδとする。なお、本発明において凝集エネルギーFはsmallの数値を用いるものとする。
(1)単量体の溶解度パラメーター
一例として、メタクリル酸メチル(密度 0.944 g/cc)の算出例を示す。
一例として、メタクリル酸メチル(密度 0.944 g/cc)の算出例を示す。
メタクリル酸メチルを構成する各成分のFは
となる。したがって、メタクリル酸メチルの溶解度パラメーターδmは、
δm=0.944×947÷100=8.94
となる。
δm=0.944×947÷100=8.94
となる。
本算出方法により求めた代表的な単量体の溶解度パラメーターは
である。
(2)共重合体(a)の溶解度パラメーターδp
本発明では、共重合体(a)の溶解度パラメーターδpを以下の式に従い算出した。すなわち、共重合体(a)中の各単量体のモル分率Xi(%)、各単量体の溶解度パラメーターδiから、下記式により、算出されるものである。
δp=Σ(δi × Xi/100)
本発明では、共重合体(a)の溶解度パラメーターδpを以下の式に従い算出した。すなわち、共重合体(a)中の各単量体のモル分率Xi(%)、各単量体の溶解度パラメーターδiから、下記式により、算出されるものである。
δp=Σ(δi × Xi/100)
従って、共重合体(a)の溶解度パラメーターδpを上記範囲にするためには、使用する単量体の溶解度パラメーターを考慮して組成を調整すればよい。
(3)有機溶媒の溶解度パラメーターδs
有機溶媒の溶解度パラメーターδsは、前記共重合体(a)の溶解度パラメーターδpの算出方法と同様にして求められる。n−ヘプタンの例を以下に示す。
有機溶媒の溶解度パラメーターδsは、前記共重合体(a)の溶解度パラメーターδpの算出方法と同様にして求められる。n−ヘプタンの例を以下に示す。
δs=0.676×1093÷100=7.39
また、有機溶媒が2種類以上の混合物である場合の溶解度パラメーターδsは、混合有機溶媒中の各溶媒成分のモル分率Xi(%)、各溶媒成分の溶解度パラメーターδiから、下記式により算出されるものである。
δp=Σ(δi × Xi/100)
δp=Σ(δi × Xi/100)
本発明においては、上記の共重合体(a)の溶解度パラメーターと有機溶媒の溶解度パラメーターの差の絶対値(ΔSP)が、1.0以上となるような共重合組成、溶媒種を選択することが好ましい。より好ましくは1.1以上であり、特に1.2以上の条件で重合を行うことが、重合中の重合槽壁面への付着がなく、さらに生成する共重合体を粉体として容易に取り出す上で好ましい。また、上記のΔSPが1.0〜1.9の範囲、より好ましくは、1.2〜1.8の範囲、さらに好ましくは1.5〜1.7の範囲で重合条件を設計することにより、重合開始前の仕込み単量体混合物組成と生成する共重合体の共重合組成に大きなずれを生じさせない精密な制御を行うこと、および分子量分布のより狭い、均一性の高い分子量制御を行うことができる点でより望ましい。
本発明において、沈殿重合法に使用される有機溶媒としては、具体的には、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、アルコール類から選ばれる1種以上などを挙げることができる。中でも、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステル、ケトンから選ばれる1種以上が好ましい。特に、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステルから選ばれる1種以上が好ましい。
本発明に使用される脂肪族炭化水素としては、炭素数が5〜10の直鎖状、側鎖を有するもの、脂環式のものを挙げることができる。具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカンおよびそれらの種々の異性体を挙げることができる。
本発明に好ましく使用されるカルボン酸エステルとしては、飽和脂肪族カルボン酸および飽和アルコールからなるエステルであり、飽和カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などを、また飽和アルコールとしては炭素数1〜10で直鎖状および分岐状のものを挙げることができる。好ましいカルボン酸エステルとしては、ギ酸−n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸−n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸−n−ペンチル、ギ酸−n−ヘキシル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−ペンチル、酢酸−n−ヘキシル、酢酸−n−ヘプチル、酢酸−n−オクチル、酢酸−n−ノニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−n−ペンチル、プロピオン酸−n−ヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、酪酸イソブチル、酪酸−n−ペンチル、酪酸−n−ヘキシルなどの種々の異性体を挙げることができる。
本発明に使用されるケトンとは、炭素数1〜10で直鎖状および分岐状の飽和脂肪族基からなるケトンであり、具体例としては、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトンなどを挙げることができる。
中でも、本発明では、脂肪族炭化水素およびカルボン酸エステルの混合物が好ましく使用することができる。この場合、脂肪族炭化水素とカルボン酸エステルの好ましい混合比は、特に制限はないが、重量比で5/95〜70/30の範囲が好ましく、10/90〜50/50の範囲がより好ましく、とりわけ20/80〜40/60の範囲が好ましい。混合比が5/95より小さいと、重合中に生成した共重合体が反応槽へ固着する傾向が見られる。また、混合比が70/30より大きいと、共重合組成を精密に制御しにくくなる傾向が見られる。
なお、本発明の製造方法において沈殿重合する際、その重合反応系に水を用いると共重合組成の精密に制御しにくくなる場合があり、水は共重合組成の制御が可能な範囲にとどめるべきであり、有機溶媒等重合反応系に用いる成分が不純物として水を極く少量含む場合を除き、水は積極的に添加しないことが最も好ましい。
また、重合液中の溶存酸素濃度を5ppm以下に制御することが、熱可塑性重合体(A)の熱安定性を向上させる点で好ましい。さらに好ましい溶存酸素濃度の範囲は0.01〜3ppmであり、さらに好ましくは0.01〜1ppmである。ここで、本発明における、溶存酸素濃度は、重合液中の溶存酸素を溶存酸素計(例えばガルバニ式酸素センサである飯島電子工業株式会社製、DOメーターB−505)を用いて測定した値である。溶存酸素濃度を5ppm以下にする方法については、重合容器中に窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを通じる方法、重合液に直接不活性ガスをバブリングする方法、重合開始前に不活性ガスを重合容器に加圧充填した後、放圧を行う操作を1回若しくは2回以上行う方法、単量体混合物を仕込む前に密閉重合容器内を脱気した後、不活性ガスを充填する方法、重合容器中に不活性ガスを通じる方法を例示することができる。
重合温度については、分子量の精密制御および色調の観点から、不飽和カルボン酸単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体を含む単量体混合物を95℃以下の重合温度で重合する。さらに加熱処理後の着色をより抑制するために好ましい重合温度は85℃以下であり、特に好ましくは75℃以下である。また、重合温度の下限は、重合が進行する温度であれば、特に制限はないが、重合速度を考慮した生産性の面から、通常50℃以上、好ましくは60℃以上である。重合収率あるいは重合速度を向上させる目的で、重合進行に従い重合温度を昇温することも可能であるが、この場合も昇温する上限温度は95℃以下に制御することが好ましく、重合開始温度も75℃以下の比較的低温で行うことが好ましい。また重合時間は、必要な重合度を得るのに十分な時間であれば特に制限はないが、生産効率の点から60〜360分間の範囲が好ましく、90〜180分間の範囲が特に好ましい。
また、本発明の熱可塑性重合体(A)は、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が本発明範囲内であれば、特に制限はないが、重量平均分子量7万〜20万であることが好ましく、より好ましくは9万〜18万が好ましい。このような分子量を有する熱可塑性重合体は、共重合体(a)の製造時に、共重合体(a)を所望の分子量に予め制御しておくことにより、達成することができる。重量平均分子量が、20万を越える場合、後工程の加熱脱気時に着色する傾向が見られる。一方、重量平均分子量が、7万未満の場合、本発明の成形品の機械的強度が低下する傾向見られる。
共重合体(a)の分子量制御方法については、特に制限はなく、例えば通常公知の技術を適用することができる。例えば、アゾ化合物、過酸化物等のラジカル重合開始剤の添加量、あるいはアルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤の添加量等により、制御することができる。特に、重合の安定性、取り扱いの容易さ等から、連鎖移動剤であるアルキルメルカプタンの添加量を制御する方法が好ましく使用することができる。アルキルメルカプタンの添加量を増すと、分子量は小さくなり、添加量を減ずると分子量は大きくなる傾向にある。さらに、本発明では、重合温度も併せて制御することにより、分子量のみならず、その多分散度を含め、より高度な分子量制御が可能となり、その効果として、加熱脱気後の成形品の無色透明性、および成形品中の異物量低減が可能であることを見出した。重合温度を95℃以下に制御すると、多分散度は小さくなり、95℃を越える温度にすると、多分散度は大きくなる傾向にある。
本発明に使用されるアルキルメルカプタンとしては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等が挙げられ、なかでもt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
これらアルキルメルカプタンの添加量としては、本発明の特定の分子量に制御するものであれば、特に制限はなく、共重合する単量体種により、その添加量は異なるいが、通常、単量体混合物の全量100重量部に対して、0.3〜5.0重量部であり、好ましくは、0.8〜5.0重量部であり、さらに好ましくは0.9〜4.0重量部、より好ましくは1.0〜3.0重量部である。例えば、t−ドデシルメルカプタンを使用する場合には、1.0〜3.0重量部の範囲で特に有効であり、n−ドデシルメルカプタンを使用する場合には、0.6〜2.0重量部の範囲で特に有効である。
本発明においては、上記の(I)重合工程において得られた共重合体(a)を、次いで行われる以下の(II)洗浄工程において精製し、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量を1.5%以下にする方法が好ましく使用できる。この段階で、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量を1.5%以下に制御しておくことにより、第二工程を経て得られる熱可塑性重合体(A)の無色透明性および熱安定性を大幅に向上させる効果が発現することを見出した。
洗浄工程(II)を経て得られた共重合体(a’)中に含まれる、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量は、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.6%以下、とりわけ検出限界(0.1%)以下であることが好ましい。尚、ここでいう重量平均分子量が1万以下の重合体含有量とは、下記方法およびカラムを使用して測定された値である。すなわち、熱可塑性重合体をジメチルホルムアミドに溶解して、0.3重量%の測定サンプル溶液とし、ジメチルホルムアミドを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製、流速:0.8ml/分)を用いて測定した絶対分子量分布曲線の重量平均分子量が1万以下のピーク面積の合計の全ピーク面積に対する割合である。重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が、1.5%を越える場合には、第二工程を経て得られる熱可塑性重合体(A)が黄色化するため、好ましくない。また、その黄色化は、共重合体(a’)中の重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が多くなるほど、顕著になる傾向がある。
本発明で言う洗浄工程(II)とは、前記重合工程(I)で得られた共重合体(a)100重量部に対して、共重合体(a)の溶解度パラメーターとの差の絶対値(ΔSP)が、1.0〜1.7である有機溶媒(B)を10〜2000重量部含む洗浄液で抽出洗浄後、固液分離し、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が上記範囲内である共重合体(a’)を得る工程を言う。
本発明においては、上記の共重合体(a)の溶解度パラメーターと有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値(ΔSP)が、より好ましくは、上記のΔSPが1.1〜1.7の範囲、さらに好ましくは、1.2〜1.6の範囲で洗浄条件を設計することにより、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量を本発明で定める範囲に低減することができること、および洗浄後の共重合体(a’)を粉体として容易に取り出すことができる点で望ましい。
ここで、共重合体(a)および有機溶媒(B)の溶解度パラメーターは、前述した、「塗料用合成樹脂入門」、北岡協三著、p23−p31、高分子刊行会(1986)、表2−8、表2−9を参考に、Smallの方法で算出したものである。
本発明に使用される有機溶媒(B)としては、具体的には、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、アルコール類から選ばれる1種以上などを挙げることができる。中でも、カルボン酸エステル、ケトンから選ばれる1種以上が好ましい。特に、カルボン酸エステルから選ばれる1種以上が好ましい。
本発明に好ましく使用されるカルボン酸エステルとは、飽和脂肪族カルボン酸および飽和アルコールからなるエステルであり、飽和カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などを、また飽和アルコールとしては炭素数1〜10で直鎖状および分岐状のものを挙げることができる。好ましいカルボン酸エステルとしては、ギ酸−n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸−n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸−n−ペンチル、ギ酸−n−ヘキシル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−ペンチル、酢酸−n−ヘキシル、酢酸−n−ヘプチル、酢酸−n−オクチル、酢酸−n−ノニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−n−ペンチル、プロピオン酸−n−ヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、酪酸イソブチル、酪酸−n−ペンチル、酪酸−n−ヘキシルなどの種々の異性体を挙げることができる。
本発明に好ましく使用されるケトンとは、炭素数1〜10で直鎖状および分岐状の飽和脂肪族基からなるケトンであり、具体例としては、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトンなどを挙げることができる。
有機溶媒(B)の添加量については、特に制限はないが、洗浄後に得られる共重合体(a’)中に含まれる重量平均分子量が1万以下の重合体含有量を1%以下まで抽出洗浄可能な添加量であることが好ましく、具体的には、共重合体(a)100重量部に対して、10〜2000重量部、より好ましくは50〜1500重量部、さらに好ましくは100〜1000重量部である。
なお、上記有機溶媒(B)を含む洗浄液には、上記有機溶媒(B)に加えて、水を用いることもできる。
ここで共重合体(a’)および洗浄液からなるスラリーの固液分離の方法については、特に制限はなく、通常の遠心分離機、加圧ろ過機、吸引ろ過機、ベルトフィルターなどを好ましく用いることができる。
洗浄温度および、それに続く固液分離時の温度を20〜120℃、好ましくは30〜100℃、より好ましくは60〜90℃の範囲で行うことが好ましい。洗浄温度およびそれに続く固液分離時の温度が20℃以下の温度の場合は、重量平均分子量が1万以下の重合体を洗浄除去する効果が十分でなく、得られる熱可塑性重合体(A)の無色透明性、熱安定性が低下する傾向にあり、好ましくない。また、120℃以上の場合、共重合体粒子同士が合着し、塊状となる傾向が見られるため、粒子としての取り出しが困難となり、好ましくない。
さらに必要であれば、上記の洗浄工程(II)を複数回繰り返し行うこともできる。
本発明においては、上記の共重合体(a’)を用いて、適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱し(イ)脱水及び/又は(ロ)脱アルコールによる分子内環化反応を行わせる工程(第二工程)を経ることにより、無色透明性と熱安定性に優れるグルタル酸無水物単位含有共重合体(A)を製造することが可能であることを見出した。
本発明における第二工程、すなわち共重合体(A)を加熱し、(イ)脱水および/または(ロ)脱アルコールにより分子内環化反応を行いグルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性共重合体を製造する方法は、特に制限はないが、ベントを有する加熱した押出機に通して製造する方法や窒素気流中などの不活性ガス雰囲気で、または真空下で加熱脱揮できる装置内で製造する方法が好ましい。中でも、酸素存在下で加熱による分子内環化反応を行うと、黄色度が悪化する傾向が見られるため、十分に系内を窒素などの不活性ガスで置換することが好ましい。特に好ましい装置として、例えば、”ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機、連続式またはバッチ式ニーダータイプの混練機などを用いることができ、とりわけ二軸押出機が好ましく使用することができる。
なお、上記の方法により加熱脱揮する温度は、(イ)脱水および/または(ロ)脱アルコールにより分子内環化反応が生じる温度であれば特に限定されないが、好ましくは180〜320℃の範囲、特に200〜310℃の範囲が好ましい。
また、この際の加熱脱揮する時間も特に限定されず、所望する共重合組成に応じて適宜設定可能であるが、通常、1分間〜60分間、好ましくは2分間〜30分間、とりわけ3〜20分間の範囲が好ましい。特に、押出機を用いて、十分な分子内環化反応を進行させるための加熱時間を確保するため、押出機のスクリュー直径(D)とスクリューの長さ(L)の比(L/D)が40以上であることが好ましい。L/Dの短い押出機を使用した場合、未反応の不飽和カルボン酸単位が多量に残存するため、加熱成形加工時に反応が再進行し、成形品にシルバーや気泡が見られる傾向や成形滞留時に色調が大幅に悪化する傾向がある。
また、押出機の中でも、二軸・単軸複合型連続混練押出機を用いることにより、極めて無色透明性、機械特性に優れる熱可塑性共重合体が得られる傾向があるため、好ましく使用することができる。ここで、二軸・単軸複合型連続混練押出機とは、押出機ケーシング内に、スクリュー部を形成した第1軸および第2軸が並列に配置された二軸スクリュー部、および二軸スクリュー部より延長された第1軸が配置された単軸スクリュー部を有し、かつ前記二軸スクリュー部と単軸スクリュー部の連通部に流量調節機構を備え、前記ケーシングに二軸スクリュー部に連通する原料供給口を備えるとともに、前記延長された第1軸の端部に連通する吐出口を備えた二軸・単軸複合型連続混練押出機を言い、市販されているこのタイプの押出機としては、CTE社製の「HTM型押出機」が挙げられる。原料となる共重合体(A)を、連続式で加熱処理し環化反応を進行させる際、反応の進行に従い、溶融粘度が高くなることに起因し、押出装置のせん断による発熱が大きくなり、分子主鎖の熱分解による着色が大きくなる傾向が見られる。また、該せん断発熱は、単軸スクリューよりも二軸スクリューで溶融混練した場合に大きくなる。一方、反応速度の観点からは、二軸スクリューで溶融混練することが好ましい。以上のことから、特定の二軸・単軸複合型連続混練押出機を用いることにより、溶融粘度が比較的低い反応初期段階では、二軸スクリューで、十分な反応速度を確保しながら、溶融粘度が比較的高くなる反応後期段階では、せん断発熱を抑制した単軸スクリュー部で加熱処理することにより、分子主鎖の熱分解が抑制されるため、得られるグルタル酸無水物含有単位を含有する熱可塑性共重合体(A)は特に色調、機械特性に優れるものと推察される。
押出機を用いて共重合体(A)を加熱する際の押出機のシリンダー温度は200〜320℃に設定することが好ましく、220〜310℃に設定することが好ましい。
さらに本発明では、共重合体(A)を上記方法等により加熱する際にグルタル酸無水物への環化反応を促進させる触媒として、酸、アルカリ、塩化合物の1種以上を添加することができる。その添加量は特に制限はなく、共重合体(A)100重量部に対し、0.01〜1重量部程度が適当である。また、これら酸、アルカリ、塩化合物の種類についても特に制限はなく、酸触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸、リン酸メチル等が挙げられる。塩基性触媒としては、金属水酸化物、アミン類、イミン類、アルカリ金属誘導体、アルコキシド類等が挙げられる。さらに、塩系触媒としては、酢酸金属塩、ステアリン酸金属塩、炭酸金属塩、各種アルキルアンモニウム塩を含むアンモニウム塩等が挙げられる。ただし、その触媒保有の色が熱可塑性共重合体の着色に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加する必要がある。中でも、アルカリ金属を含有する化合物(アルカリ金属化合物)が、比較的少量の添加量で、優れた反応促進効果を示すため、好ましく使用することができる。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムフェノキシド等のアルコキシド化合物、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩等が挙げられ、とりわけ、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、酢酸リチウム、酢酸ナトリウムを好ましく使用することができる。
さらに、本発明の熱可塑性重合体(A)の製造時には、本発明の目的を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤および酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ハロゲン系難燃剤、リン系やシリコーン系の非ハロゲン系難燃剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を任意に含有させてもよい。ただし、その添加剤保有の色が本発明の熱可塑性重合体(A)に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加する必要がある。
本発明により製造された熱可塑性重合体(A)は、その優れた耐熱性、無色透明性および滞留安定性を活かして、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類、一般雑貨など種々の用途に用いることができる。
本発明により製造された熱可塑性共重合体(B)からなる成形品の具体的用途としては、例えば、電気機器のハウジング、OA機器のハウジング、各種カバー、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ、レーザーディスク(登録商標)、コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルターおよび点火装置ケースなどが挙げられる。また、透明性、耐熱性に優れている点から、映像機器関連部品として、カメラ、VTR、プロジェクションTVなどの撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなど、光記録・光通信関連部品として各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LDなど)基板、各種ディスク基板保護フィルム、光ディスクプレイヤーピックアップレンズ、光ファイバー、光スイッチ、光コネクターなど、情報機器関連部品として、液晶ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイの導光板、フレネルレンズ、偏光板、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、ピックアップレンズ、タッチパネル用導光フィルム、カバーなど、自動車などの輸送機器関連部品として、テールランプレンズ、ヘッドランプレンズ、インナーレンズ、アンバーキャップ、リフレクター、エクステンション、サイドミラー、ルームミラー、サイドバイザー、計器針、計器カバー、窓ガラスに代表されるグレージングなど、医療機器関連部品として、眼鏡レンズ、眼鏡フレーム、コンタクトレンズ、内視鏡、分析用光学セルなど、建材関連部品として、採光窓、道路透光板、照明カバー、看板、透光性遮音壁、バスタブ用材料などにも適用することができ、これら各種の用途にとって極めて有用である。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、各測定および評価は次の方法で行った。
(1)重量平均分子量、重量平均分子量が1万以下の重合体の含有量
重合体をジメチルホルムアミドに溶解して、0.3重量%の測定サンプル溶液とし、ジメチルホルムアミドを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製、流速:0.8ml/分)を用いて、絶対分子量として重量平均分子量を測定した。また、この絶対分子量分布曲線の重量平均分子量が1万以下のピーク面積の合計の全ピーク面積に対する割合を含有量(%)として求めた。
重合体をジメチルホルムアミドに溶解して、0.3重量%の測定サンプル溶液とし、ジメチルホルムアミドを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製、流速:0.8ml/分)を用いて、絶対分子量として重量平均分子量を測定した。また、この絶対分子量分布曲線の重量平均分子量が1万以下のピーク面積の合計の全ピーク面積に対する割合を含有量(%)として求めた。
(2)各成分組成
重ジメチルスルフォキシド中、30℃で1H−NMRを測定し、各共重合単位の組成決定を行った。
重ジメチルスルフォキシド中、30℃で1H−NMRを測定し、各共重合単位の組成決定を行った。
(3)溶解度パラメータ差(ΔSP値)
「塗料用合成樹脂入門」、北岡協三著、p23−p31、高分子刊行会(1986)、表2−8、表2−9を参考に、Smallの方法で、下記(a)、(b)に従い、共重合体(A)の溶解度パラメーターδpおよび有機溶媒の溶解度パラメーターδs算出し、その差の絶対値を溶解度パラメータ差として求めた。
(a)共重合体(a)の溶解度パラメーターδp
共重合体(A)中の各単量体単位のモル分率Xi、各単量体の溶解度パラメーターδiから、下記式により、算出した。
δp=Σ(δi × Xi/100)
(b)有機溶媒の溶解度パラメーターδs
前記共重合体(a)の溶解度パラメーターδpの算出方法と同様にして算出した。
「塗料用合成樹脂入門」、北岡協三著、p23−p31、高分子刊行会(1986)、表2−8、表2−9を参考に、Smallの方法で、下記(a)、(b)に従い、共重合体(A)の溶解度パラメーターδpおよび有機溶媒の溶解度パラメーターδs算出し、その差の絶対値を溶解度パラメータ差として求めた。
(a)共重合体(a)の溶解度パラメーターδp
共重合体(A)中の各単量体単位のモル分率Xi、各単量体の溶解度パラメーターδiから、下記式により、算出した。
δp=Σ(δi × Xi/100)
(b)有機溶媒の溶解度パラメーターδs
前記共重合体(a)の溶解度パラメーターδpの算出方法と同様にして算出した。
(4)溶解度
得られた共重合体(A)を共重合に使用した有機溶媒(B)100gに添加し、23℃で24時間攪拌して溶解試験を行った後の溶解した共重合体(A)の重量を評価した。
得られた共重合体(A)を共重合に使用した有機溶媒(B)100gに添加し、23℃で24時間攪拌して溶解試験を行った後の溶解した共重合体(A)の重量を評価した。
(5)黄色度(Yellowness Index)
得られた熱可塑性共重合体を、ガラス転移温度+140℃で射出成形し、得た厚さ5mm成形品のYI値をJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定した。
得られた熱可塑性共重合体を、ガラス転移温度+140℃で射出成形し、得た厚さ5mm成形品のYI値をJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定した。
(6)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度で測定した。
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度で測定した。
(7)透明性(全光線透過率、ヘイズ)
得られた熱可塑性共重合体を、シリンダー温度ガラス転移温度+140℃、金型温度 ℃で射出成形し、得た mm× mm×厚さ5mm成形品の23℃での全光線透過率(%)、ヘイズ(曇度)(%)を東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを用いて測定し、透明性を評価した。
得られた熱可塑性共重合体を、シリンダー温度ガラス転移温度+140℃、金型温度 ℃で射出成形し、得た mm× mm×厚さ5mm成形品の23℃での全光線透過率(%)、ヘイズ(曇度)(%)を東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを用いて測定し、透明性を評価した。
参考例(1)共重合体(a)の製造(第一工程)
(a−1):沈殿重合法
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、下記混合物質を供給し、250rpmで撹拌しながら、系内を10L/分の窒素ガスで15分間バブリングした。次に、窒素ガスを5L/分の流量でフローし、反応系を撹拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点を重合開始とし、内温を80℃に90分間保ち、95℃に昇温した後、さらに90分間保ち、重合を終了した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、乾燥を行い、粉末状の共重合体(a−1)を得た。尚、共重合体(a−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であった。また、共重合体(a−1)の重合溶媒として使用した有機溶媒(酢酸ブチル)に対する溶解度は1g/100g以下であり、共重合体(a−1)と重合に使用した有機溶媒の溶解度パラメーターの差の絶対値は、1.60であった。重合は、重合初期から共重合体が分散質としてスラリー状に分散した不均一系で、重合槽壁面への付着なども見られず、良好に重合が進行し、重合率は75%であった。重量平均分子量は14万であり、重量平均分子量が1万以下の重合体の含有量は、2.8%であった。
メタクリル酸 25重量部
メタクリル酸メチル 75重量部
酢酸ブチル 900重量部
ラウロリルパーオキサイド 0.8重量部。
(a−1):沈殿重合法
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、下記混合物質を供給し、250rpmで撹拌しながら、系内を10L/分の窒素ガスで15分間バブリングした。次に、窒素ガスを5L/分の流量でフローし、反応系を撹拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点を重合開始とし、内温を80℃に90分間保ち、95℃に昇温した後、さらに90分間保ち、重合を終了した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、乾燥を行い、粉末状の共重合体(a−1)を得た。尚、共重合体(a−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であった。また、共重合体(a−1)の重合溶媒として使用した有機溶媒(酢酸ブチル)に対する溶解度は1g/100g以下であり、共重合体(a−1)と重合に使用した有機溶媒の溶解度パラメーターの差の絶対値は、1.60であった。重合は、重合初期から共重合体が分散質としてスラリー状に分散した不均一系で、重合槽壁面への付着なども見られず、良好に重合が進行し、重合率は75%であった。重量平均分子量は14万であり、重量平均分子量が1万以下の重合体の含有量は、2.8%であった。
メタクリル酸 25重量部
メタクリル酸メチル 75重量部
酢酸ブチル 900重量部
ラウロリルパーオキサイド 0.8重量部。
(a−2):沈殿重合
重合溶媒をn−ヘプタン25重量%および酢酸ブチル75重量%の混合物に変更した以外は、(a−1)と同様の製造方法で共重合体(a−2)を得た。尚、共重合体(a−2)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であった。また、共重合体(a−2)の重合溶媒として使用した有機溶媒(酢酸ブチル)に対する溶解度は1g/100g以下であり、共重合体(a−1)と重合に使用した有機溶媒の溶解度パラメーターの差の絶対値は、1.65であった。重合は、重合初期から共重合体が分散質としてスラリー状に分散した不均一系で、重合槽壁面への付着なども見られず、良好に重合が進行し、重合率は77%であった。重量平均分子量は13万であり、重量平均分子量が1万以下の重合体の含有量は、2.7%であった。
メタクリル酸 25重量部
メタクリル酸メチル 75重量部
n−ヘプタン 225重量部
酢酸ブチル 675重量部
ラウロリルパーオキサイド 0.8重量部。
重合溶媒をn−ヘプタン25重量%および酢酸ブチル75重量%の混合物に変更した以外は、(a−1)と同様の製造方法で共重合体(a−2)を得た。尚、共重合体(a−2)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であった。また、共重合体(a−2)の重合溶媒として使用した有機溶媒(酢酸ブチル)に対する溶解度は1g/100g以下であり、共重合体(a−1)と重合に使用した有機溶媒の溶解度パラメーターの差の絶対値は、1.65であった。重合は、重合初期から共重合体が分散質としてスラリー状に分散した不均一系で、重合槽壁面への付着なども見られず、良好に重合が進行し、重合率は77%であった。重量平均分子量は13万であり、重量平均分子量が1万以下の重合体の含有量は、2.7%であった。
メタクリル酸 25重量部
メタクリル酸メチル 75重量部
n−ヘプタン 225重量部
酢酸ブチル 675重量部
ラウロリルパーオキサイド 0.8重量部。
(a−3):懸濁重合法
容量が5リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体系懸濁剤(以下の方法で調整した。メタクリル酸メチル20重量部、アクリルアミド80重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み反応器中を窒素ガスで置換しながら70℃に保つ。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続け、アクリル酸メチルとアクリルアミド共重合体の水溶液として得る。得られた水溶液を懸濁剤として使用した)0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を供給し、400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、70℃に昇温した。内温が70℃に達した時点を重合開始として、180分間保ち、重合を終了した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体(a−3)を得た。この共重合体(a−3)の重合率は98%であった。重量平均分子量は13万であり、重量平均分子量が1万以下の重合体の含有量は、2.9%であった。
メタクリル酸 27重量部
メタクリル酸メチル 73重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.4重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.2重量部。
容量が5リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体系懸濁剤(以下の方法で調整した。メタクリル酸メチル20重量部、アクリルアミド80重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み反応器中を窒素ガスで置換しながら70℃に保つ。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続け、アクリル酸メチルとアクリルアミド共重合体の水溶液として得る。得られた水溶液を懸濁剤として使用した)0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を供給し、400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、70℃に昇温した。内温が70℃に達した時点を重合開始として、180分間保ち、重合を終了した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体(a−3)を得た。この共重合体(a−3)の重合率は98%であった。重量平均分子量は13万であり、重量平均分子量が1万以下の重合体の含有量は、2.9%であった。
メタクリル酸 27重量部
メタクリル酸メチル 73重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.4重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.2重量部。
(a−4):溶液重合法
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、下記混合物質を供給し、250rpmで撹拌しながら、系内を10L/分の窒素ガスで15分間バブリングした。次に、窒素ガスを5L/分の流量でフローし、反応系を撹拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点を重合開始とし、内温を80℃に90分間保ち、90℃に昇温した後、さらに90分間保ち、重合を終了した。反応系を室温まで冷却し、不溶な沈殿物のないポリマー溶液を得た。該ポリマー溶液を多量のイオン交換水に滴下し得られたパウダーを乾燥し、共重合体(a−4)を得た。この共重合体(a−4)の重合率は91%であった。重量平均分子量は10万であり、重量平均分子量が1万以下の重合体の含有量は、2.9%であった。
メタクリル酸 27重量部
メタクリル酸メチル 73重量部
エチレングリコールモノエチルエーテル 200重量部
2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル 0.3重量部。
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、下記混合物質を供給し、250rpmで撹拌しながら、系内を10L/分の窒素ガスで15分間バブリングした。次に、窒素ガスを5L/分の流量でフローし、反応系を撹拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点を重合開始とし、内温を80℃に90分間保ち、90℃に昇温した後、さらに90分間保ち、重合を終了した。反応系を室温まで冷却し、不溶な沈殿物のないポリマー溶液を得た。該ポリマー溶液を多量のイオン交換水に滴下し得られたパウダーを乾燥し、共重合体(a−4)を得た。この共重合体(a−4)の重合率は91%であった。重量平均分子量は10万であり、重量平均分子量が1万以下の重合体の含有量は、2.9%であった。
メタクリル酸 27重量部
メタクリル酸メチル 73重量部
エチレングリコールモノエチルエーテル 200重量部
2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル 0.3重量部。
(b)洗浄工程
製造例(1):(a’−1−1)
参考例1で得られた共重合体(a−1)100重量部、酢酸ブチル1000重量部をバッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製の洗浄槽に供給し、25℃、回転速度250rpmにて攪拌を開始した。この混合物を引き続き250rpmにて攪拌しながら、60分間かけて80℃に昇温し、内温が80℃に到達した時点から60分間洗浄操作を行った。続いて、得られたスラリーを80℃に保ったまま、加圧ろ過機に移送し、80℃にて固液分離し、さらに80℃で12時間乾燥を行い、粉末状の共重合体(a’−1−1)を得た。共重合体(a’−1−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
製造例(1):(a’−1−1)
参考例1で得られた共重合体(a−1)100重量部、酢酸ブチル1000重量部をバッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製の洗浄槽に供給し、25℃、回転速度250rpmにて攪拌を開始した。この混合物を引き続き250rpmにて攪拌しながら、60分間かけて80℃に昇温し、内温が80℃に到達した時点から60分間洗浄操作を行った。続いて、得られたスラリーを80℃に保ったまま、加圧ろ過機に移送し、80℃にて固液分離し、さらに80℃で12時間乾燥を行い、粉末状の共重合体(a’−1−1)を得た。共重合体(a’−1−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
製造例(2):(a’−2−1)
参考例1で得られた共重合体(a−2)を用いた以外は、製造例(1)と同様にして、粉末状の共重合体(a’−2−1)を得た。共重合体(a’−2−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
参考例1で得られた共重合体(a−2)を用いた以外は、製造例(1)と同様にして、粉末状の共重合体(a’−2−1)を得た。共重合体(a’−2−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
製造例(3):(a’−2−2)
参考例1で得られた共重合体(a−2)100重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)1000重量部をバッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製の洗浄槽に供給し、25℃、回転速度250rpmにて攪拌を開始した。この混合物を引き続き250rpmにて攪拌しながら、60分間かけて80℃に昇温し、内温が80℃に到達した時点から60分間洗浄操作を行った。続いて、得られたスラリーを80℃に保ったまま、加圧ろ過機に移送し、80℃にて固液分離し、さらに80℃で12時間乾燥を行い、粉末状の共重合体(a’−2−2)を得た。共重合体(a’−2−2)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
参考例1で得られた共重合体(a−2)100重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)1000重量部をバッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製の洗浄槽に供給し、25℃、回転速度250rpmにて攪拌を開始した。この混合物を引き続き250rpmにて攪拌しながら、60分間かけて80℃に昇温し、内温が80℃に到達した時点から60分間洗浄操作を行った。続いて、得られたスラリーを80℃に保ったまま、加圧ろ過機に移送し、80℃にて固液分離し、さらに80℃で12時間乾燥を行い、粉末状の共重合体(a’−2−2)を得た。共重合体(a’−2−2)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
製造例(4):(a’−2−3)
参考例1で得られた共重合体(a−2)100重量部、n−ヘプタン1000重量部をバッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製の洗浄槽に供給し、25℃、回転速度250rpmにて攪拌を開始した。この混合物を引き続き250rpmにて攪拌しながら、60分間かけて80℃に昇温し、内温が80℃に到達した時点から60分間洗浄操作を行った。続いて、得られたスラリーを80℃に保ったまま、加圧ろ過機に移送し、80℃にて固液分離し、さらに80℃で12時間乾燥を行い、粉末状の共重合体(a’−2−3)を得た。共重合体(a’−2−3)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
参考例1で得られた共重合体(a−2)100重量部、n−ヘプタン1000重量部をバッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製の洗浄槽に供給し、25℃、回転速度250rpmにて攪拌を開始した。この混合物を引き続き250rpmにて攪拌しながら、60分間かけて80℃に昇温し、内温が80℃に到達した時点から60分間洗浄操作を行った。続いて、得られたスラリーを80℃に保ったまま、加圧ろ過機に移送し、80℃にて固液分離し、さらに80℃で12時間乾燥を行い、粉末状の共重合体(a’−2−3)を得た。共重合体(a’−2−3)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
製造例(5):(a’−3−1)
参考例1で得られた共重合体(a−3)を用いた以外は、製造例(1)と同様にして、粉末状の共重合体(a’−3−1)を得た。共重合体(a’−3−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
参考例1で得られた共重合体(a−3)を用いた以外は、製造例(1)と同様にして、粉末状の共重合体(a’−3−1)を得た。共重合体(a’−3−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
製造例(6):(a’−4−1)
参考例1で得られた共重合体(a−4)を用いた以外は、製造例(1)と同様にして、粉末状の共重合体(a’−4−1)を得た。共重合体(a’−4−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
参考例1で得られた共重合体(a−4)を用いた以外は、製造例(1)と同様にして、粉末状の共重合体(a’−4−1)を得た。共重合体(a’−4−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
製造例(1)〜(6)で得られた共重合体(a’)について、纏めたものを表4に示す。
実施例1〜5、比較例1〜6
参考例および製造例で得られた共重合体について、それぞれ100重量部に、触媒として酢酸リチウム0.2重量部を配合し、を38mmφ二軸・単軸複合型連続混練押出機(HTM38(CTE社製、L/D=47.5、ベント部:2箇所)に供給した。ホッパー部より窒素を10L/分の量でパージしながら、スクリュー回転数75rpm、原料供給量10kg/h、シリンダ温度290℃で分子内環化反応を行い、ペレット状のグルタル酸無水物単位含有熱可塑性重合体(A)を得た。
参考例および製造例で得られた共重合体について、それぞれ100重量部に、触媒として酢酸リチウム0.2重量部を配合し、を38mmφ二軸・単軸複合型連続混練押出機(HTM38(CTE社製、L/D=47.5、ベント部:2箇所)に供給した。ホッパー部より窒素を10L/分の量でパージしながら、スクリュー回転数75rpm、原料供給量10kg/h、シリンダ温度290℃で分子内環化反応を行い、ペレット状のグルタル酸無水物単位含有熱可塑性重合体(A)を得た。
実施例1〜5および比較例1〜6の結果を纏めたものを表5に示す。
実施例1〜5および比較例1〜6から、特定分子量重合体の含有量が精密に制御されたグルタル酸無水物含有単位を有する熱可塑性共重合体が、耐熱性、無色透明性に特異的に優れることがわかる。
Claims (5)
- ガラス転移温度が130℃以上であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性重合体。
- 熱可塑性重合体が、(i)上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位、および(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の熱可塑性重合体。
- 不飽和カルボン酸単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体を含む単量体混合物を下記重合工程(I)により共重合体(a)を得た後、洗浄工程(II)の2つの工程により共重合体(a’)を得、次いでこの共重合体(a’)を加熱し、(イ)脱水及び/又は(ロ)脱アルコール反応を行い、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性重合体を製造する製造方法。
(I)重合工程
前記単量体混合物を95℃以下の温度で共重合し、共重合体(a)を製造する工程(I)
(II)洗浄工程
前記重合工程(I)で得られた共重合体(a)100重量部に対して、共重合体(a)の溶解度パラメーターとの差の絶対値(ΔSP)が、1.0〜1.7である有機溶媒(B)を10〜2000重量部含む洗浄液で洗浄後、固液分離し、重量平均分子量が1万以下の重合体含有量が1.5%以下である共重合体(a’)を得る洗浄工程(II) - 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性重合体からなる成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005096081A JP2006274072A (ja) | 2005-03-29 | 2005-03-29 | 熱可塑性重合体、その製造方法および成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005096081A JP2006274072A (ja) | 2005-03-29 | 2005-03-29 | 熱可塑性重合体、その製造方法および成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006274072A true JP2006274072A (ja) | 2006-10-12 |
JP2006274072A5 JP2006274072A5 (ja) | 2008-03-27 |
Family
ID=37209125
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005096081A Withdrawn JP2006274072A (ja) | 2005-03-29 | 2005-03-29 | 熱可塑性重合体、その製造方法および成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006274072A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017179103A (ja) * | 2016-03-30 | 2017-10-05 | 株式会社クラレ | 変性メタクリル樹脂および成形体 |
-
2005
- 2005-03-29 JP JP2005096081A patent/JP2006274072A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017179103A (ja) * | 2016-03-30 | 2017-10-05 | 株式会社クラレ | 変性メタクリル樹脂および成形体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2008035601A1 (fr) | Procédé destiné à produire un copolymère thermoplastique | |
JP2007191706A (ja) | 熱可塑性共重合体、その製造方法、およびそれから成る熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2008255175A (ja) | 熱可塑性重合体およびその製造方法 | |
US7348387B2 (en) | Thermoplastic polymer, process for producing the same, and molded article | |
JP2009235249A (ja) | 熱可塑性共重合体、熱可塑性樹脂組成物およびそれらからなる成形品 | |
JP2008163187A (ja) | 熱可塑性重合体およびその製造方法 | |
JP2003155309A (ja) | 耐熱性共重合体およびその製造方法 | |
JP4273794B2 (ja) | 熱可塑性重合体、その製造方法および成形品 | |
JP4329578B2 (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法 | |
JP2008081539A (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法 | |
JP2006274072A (ja) | 熱可塑性重合体、その製造方法および成形品 | |
JP2008308567A (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法 | |
JP2006274072A5 (ja) | ||
JP4337378B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物、製造方法および成形品 | |
JP2008308565A (ja) | 熱可塑性共重合の製造方法 | |
JP2006265543A (ja) | 共重合体の製造方法 | |
JP2009227973A (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法および熱可塑性共重合体 | |
JP5374849B2 (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法 | |
JP2004315798A (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法 | |
JP2005272821A (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法 | |
JP2004315796A (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法 | |
JP2006124438A (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法 | |
JPWO2008143245A1 (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法および熱可塑性共重合体 | |
JP2010077348A (ja) | 熱可塑性共重合体の製造方法 | |
JP2006124438A5 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080208 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080208 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20091002 |