JPWO2004094848A1 - 流体軸受装置及びディスク回転装置 - Google Patents

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Abstract

軸又はスリーブの内周に動圧発生溝を有するラジアル軸受面を有し、軸とスリーブ間の隙間が潤滑剤で満たされている流体軸受装置において、流体軸受装置の軸受内部に入った空気によって軸受の隙間のオイルが押し出されるなどオイルの流出により軸受の隙間に油膜切れが発生することを防止するために、スリーブのロータハブ側の端面に円環状の凹部を設け、この凹部を覆うためのカバー板を取り付けて潤滑剤又は空気の溜まり部を構成する。スリーブのロータハブと反対の側には段部を設け、この段部と前記溜まり部との間を連通穴で連結する。流体軸受装置の内部の空気は流体軸受装置の動作中にこの連通穴を通って溜まり部に達し、溜まり部から外部へ排出される。

Description

本発明は、高速かつ高精度の回転が必要な回転装置の主軸部に用いられる流体軸受装置及びこれを備えるディスク回転装置に関する。
近年磁気ディスク等を用いた回転型の記録装置では、そのメモリー容量が増大するとともにデータの転送速度が高速化している。そのため、この種の記録装置に用いられるディスク回転装置は高速かつ高精度の回転を必要とするので、回転主軸部には流体軸受装置が用いられている。
以下図18及び図19を参照して従来の流体軸受装置について説明する。図18において、軸31は、ベース35に取り付けられたスリーブ32の軸受穴32Aに回転可能に挿入されている。軸31は、図において下端部に一体に構成されたフランジ33を有している。フランジ33はスリーブ32の段部32Kに収納され、スラスト板34に対向して回転可能に構成されている。軸31には、ロータ磁石38が固定されたロータハブ36が取り付けられている。ロータハブ36には、スペーサ40とクランパー41により保持された複数のディスク39が取り付けられている。ロータ磁石38に対向するモータステータ37がベース35に取り付けられている。スリーブ32の軸受穴32Aの内周面には動圧発生溝32B、32Cが設けられている。フランジ33の、スリーブ32の段部32Kとの対向面には動圧発生溝33Aが設けられている。フランジ33の、スラスト板34との対向面には動圧発生溝33Bが設けられている。動圧発生溝32B、32C、33A及び33Bを含む、軸31及びフランジ33と、スリーブ32との隙間にはオイル42が充填されている。スリーブ32には、スリーブ32の軸心にほぼ平行に1つ又はそれ以上の通気穴32Eが設けられている。通気穴32Eの図において下端は、スリーブ32の下端部の、フランジ33が存在する空間に連通している。通気穴32Eの上端はスリーブ32の上端面に開放されている。
以上のように構成された従来の流体軸受装置の動作を、図18及び図19を用いて説明する。図18において、モータステータ37に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石38、ロータハブ36、軸31及びフランジ33が回転を始める。この時動圧発生溝32B、32C、33A、33Bによりオイルにポンピング圧力が発生する。そのため軸31は浮上しスラスト板33及び軸受穴32Aの内周面に接触せずにオイル42により潤滑されつつ回転する。ディスク39には図示しない磁気ヘッドが当接して電気信号の記録再生を行う。
前記従来例の流体軸受装置では以下に説明する問題があった。
図19は、図18の軸31及びスリーブ32を含む要部断面図である。図19に示すように、軸31はスリーブ32の軸受穴32A内においてオイル42により潤滑されながら回転する。流体軸受装置では、流体軸受装置を組み立てた時、あるいは流体軸受装置の輸送中に、軸受穴32A内のオイルにループ43A、43Bで示すように空気塊又は気泡が入ることがある(以下、空気43A、43Bという)。例えば航空機で輸送中に周囲の気圧が変化した場合などに気泡が入ることがある。二組の動圧発生溝32B、32Cの近傍に入った空気43Aの体積が温度の上昇や気圧の低下で膨張すると、動圧発生溝32Bの一部分が空気で覆われて油膜切れを生じる。また一部のオイルがオイル42Bで示すように、流体軸受装置の外部に漏れてしまうことがあった。またフランジ33の近傍に入った空気43Bが膨張すると、通気穴32E内のハッチングをしたオイル42Aは膨張した空気43Cにより上方に押し上げられ、上部の開放部からオイル42Dで示すように流体軸受装置の外部へ漏れてしまうことがあった。オイル42が外部に漏れると軸受内部でオイル量の不足が生じる。そのため回転中に軸31とスリーブ32が接触して、信頼性を著しく悪化させるおそれがある。
また、図19に示すように、従来の流体軸受装置にG1に示す方向に落下衝撃荷重(加速度)が加わった場合にも、オイル42がオイル42Bに示すように外部へ漏れるおそれがあった。
本発明は、流体軸受装置内に充填したオイル等の潤滑剤が軸受外に漏れ出すのを防止して、信頼性の高い流体軸受装置及びこれを有するディスク回転装置を提供することを目的とする。
本発明の流体軸受装置は、軸が回転可能に挿入される軸受穴を有するスリーブ、前記軸受穴の一方の端部近傍に潤滑剤及び空気が溜まる空間である溜まり部が形成されるように前記スリーブに設けたカバー板を有する。前記軸の一方の端部に、一方の面が前記スリーブの前記軸受穴の他方の端部近傍の端面に対向する略円板状のフランジが固定されている。前記フランジの他方の面に、前記スリーブの前記端面を含む領域を密閉するように設けたスラスト板が対向している。前記溜まり部と、前記フランジ及び前記スリーブの前記端面を含む前記スラスト板により密閉された領域とを連通するように連通路が形成されている。前記スリーブの前記軸受穴の内周面及び前記軸の外周面の少なくとも一方に、ヘリングボーンパターン形状の第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設けている。またフランジとスラスト板のそれぞれの対向面の少なくとも一方、及びフランジと前記スリーブの前記端面とのそれぞれの対向面の少なくとも一方にヘリングボーンパターン形状の第3の動圧発生溝を設けている。前記第1、第2及び第3の動圧発生溝を含む前記軸とスリーブの間の隙間、及び前記フランジとスラスト板の間の隙間は潤滑剤で満たされている。前記スリーブ又は軸のいずれか一方が固定ベースに取り付けられ、他方が回転体に取り付けられる。
本発明によれば、潤滑剤及び空気の溜まり部と、フランジ及びスリーブの端面を含む密閉領域を連通路により連通している。そのため、軸とスリーブの軸受穴との間の隙間に充填されている潤滑剤が、流体軸受装置の動作中に前記連通路を通って循環する。潤滑剤の循環により、潤滑剤中に混入している気泡などの空気も潤滑剤と共に循環する。循環中に、潤滑剤に含まれる気泡が溜まり部に達すると、気泡は潤滑剤から分離されて外部に排出される。溜まり部がカバー板で覆われているので、潤滑剤が外部へ漏れることはない。このようにして、潤滑剤中の空気が流体軸受装置の動作中に自動的に除去されるので、流体軸受装置の組立時に潤滑剤に空気が混入していたとしても次第に除去され、流体軸受装置内には潤滑剤のみが存在することになる。潤滑剤は溜まり部から軸とスリーブの隙間に流入するが、このとき外部へ漏れることがないので、軸とスリーブ間において潤滑剤の不足や潤滑剤の膜切れ(油膜切れ)などが生じることはなく、流体軸受装置は安定して動作する。これにより、長期信頼性の高い流体軸受装置を実現することができる。
本発明の他の観点の流体軸受装置は、一方の端部に軸心に垂直なスラスト軸受面を有する軸、前記軸が回転可能に挿入され、ラジアル軸受として働く軸受穴を有するスリーブを有する。前記軸受穴の一方の端部近傍に潤滑剤及び空気が溜まる空間である溜まり部が形成されるように前記スリーブにカバー板が設けられている。前記スリーブの前記軸受穴の他方の端部を密閉し、かつ前記軸のスラスト軸受面に対向するようにスラスト板が設けられている。前記溜まり部と、前記スラスト板により密閉された前記軸受穴の他方の端部の領域を連通する連通路が形成されている。前記スリーブの前記軸受穴の内周面及び軸の外周面の少なくとも一方に、ヘリングボーンパターン形状の第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設けている。また前記スラスト軸受面とスラスト板の各対向面の少なくとも一方にヘリングボーンパターン形状の第3の動圧発生溝を設けている。前記第1、第2及び第3の動圧発生溝を含む前記軸とスリーブの間の隙間及び前記スラスト軸受面とスラスト板との間の隙間を潤滑剤で満たしている。前記スリーブ又は軸のいずれか一方が固定ベースに取り付けられ、他方が回転体に取り付けられる。
本発明によれば、潤滑剤及び空気の溜まり部と、軸のスラスト軸受面及びスリーブの端面を含む密閉領域を連通路により連通している。従って、流体軸受装置の動作中に、軸とスリーブの軸受穴との間の隙間に充填されている潤滑剤が、前記連通路を通って流体軸受装置内を循環する。潤滑剤の循環により、潤滑剤中に混入している気泡などの空気も潤滑剤と共に循環する。循環中に、潤滑剤に含まれる気泡が溜まり部に達すると、気泡は潤滑剤から分離されて外部に排出される。このようにして、潤滑剤中の空気が流体軸受装置の動作中に自動的に除去されるので、流体軸受装置の組立時に潤滑剤に空気が混入していたとしても次第に除去され、流体軸受装置内には潤滑剤のみが存在することになる。潤滑剤が溜まり部から軸とスリーブの隙間に流入するとき外部へ漏れることがないので、軸とスリーブ間において潤滑剤の不足や潤滑剤の膜切れ(油膜切れ)などが生じることはなく、流体軸受装置は安定して動作する。これにより、長期信頼性の高い流体軸受装置を実現することができる。
本発明では軸のスラスト軸受面に第3の動圧発生溝を設けてスラスト軸受部を形成しているので、フランジを設ける必要がなく、構成が簡単になる。
図1は、本発明の第1実施例の流体軸受装置の断面図である。
図2は、本発明の第1実施例の流体軸受装置の軸及びスリーブを含む要部拡大断面図である。
図3は、本発明の第1実施例の流体軸受装置のフランジ3の平面図である。
図4は、本発明の第1実施例の流体軸受装置のフランジ3の底面図である。
図5は、本発明の第1実施例の流体軸受装置の動作を示す軸及びスリーブを含む要部断面図である。
図6は、本発明の第1実施例の流体軸受装置の他の動作を示す軸及びスリーブを含む要部断面図である。
図7は、本発明の第1実施例の流体軸受装置の他の動作を示す軸及びスリーブを含む要部断面図である。
図8は、本発明の第2実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを含む要部断面図である。
図9は、本発明の第3実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを含む要部断面図である。
図10は、本発明の第4実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを含む要部断面図である。
図11は、本発明の第5実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを含む要部断面図である。
図12aは、本発明の第5実施例の流体軸受装置のカバー板の斜視図である。
図12bは、本発明の第5実施例の流体軸受装置のカバー板の断面図である。
図13は、本発明の第6実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを示す要部断面図である。
図14aは、本発明の第6実施例の流体軸受装置のカバー板の斜視図である。
図14bは、本発明の第6実施例の流体軸受装置のカバー板の断面図である。
図15は、本発明の第6実施例の流体軸受装置の別のカバー板の斜視図である。
図16は、本発明の第7実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを含む要部断面図である。
図17は、本発明の第7実施例の流体軸受装置のラジアル軸受の隙間を示す断面図である。
図18は、従来の流体軸受装置の断面図である。
図19は、従来の流体軸受装置における軸とスリーブを含む要部断面図である。
以下本発明の流体軸受装置及びこれを有するディスク回転装置の好適な実施例について、図1から図17を参照して説明する。
《第1実施例》
本発明の第1実施例の流体軸受装置について、図1から図7を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例の流体軸受装置の断面図であり、図2は軸1及びスリーブ2を拡大して示す要部断面図である。図1において、スリーブ2は軸受穴2Aを有し、この軸受穴2Aに円柱状の軸1が回転可能に挿入されている。軸1の外周面とスリーブ2の軸受穴2Aの内周面との間には微少な隙間がある。軸1の外周面及びスリーブ2の軸受穴2Aの内周面の少なくとも一方に、溝を屈曲部で折曲げた既知のヘリングボーンパターン形状の動圧発生溝1B、1Cが形成されて「ラジアル軸受部」を形成している。ラジアル軸受部は、軸1の軸心から半径方向(ラジアル方向)において軸1を支持する。図1の例では、動圧発生溝1B、1Cは軸受穴2Aの内周面に形成されている。動圧発生溝1B、1Cは、いずれも魚骨形状(ヘリングボーンパターン形状)を有している。図1において、動圧発生溝1B及び1Cの少なくとも一方(図1の例では1B)は、図2に示すように屈曲部1Kから下側の溝1Mの長さが、屈曲部1Kから上側の溝1Lの長さより短くなされている。
図1において、軸1の上端にはロータ磁石8を有するロータハブ12が取り付けられている。軸1の下端には、軸1の軸心に直角な面を有し軸1より大きな直径を有するフランジ3が一体に設けられている。フランジ3の下面のスラスト軸受面3Fは、スリーブ2に固定されたスラスト板4に対向している。スラスト板4はフランジ3を含む、スリーブ2の軸受穴2Aの端部領域を密閉している。フランジ3の下面またはスラスト板4の上面のいずれか一方(図1ではフランジ3の下面)には螺旋状または魚骨状(ヘリングボーンパターン)の動圧発生溝3Bが形成されて「スラスト軸受部」が構成されている。フランジ3の上面の外周部又は前記上面の外周部に対向するスリーブ2の段部2Dのいずれか一方(図1ではフランジ3の上面)には動圧発生溝3Aが形成されている。スリーブ2の軸受穴2Aには、図の上下方向の中間部に、内径を部分的に大きくした既知の隙間大部2Bが設けられているが、本発明に直接関係がないので説明は省略する。フランジ3はスリーブ2の段部2Dに収納されている。フランジ3の下面にはオイルを溜めるための隙間または凹所3Cが設けられている。
スリーブ2の図において上端面には、軸受穴2Aを囲む円環状の溝である上部凹所2Cが設けられている。上部凹所2Cを覆うようにリング状のカバー板5がスリーブ2に取り付けられている。カバー板5はその外周部がスリーブ2の外周部に「かしめ」法などで固定されている。カバー板5の内周部は、スリーブ2の軸受穴2Aの上端部との間に、後で詳しく説明するように、小さな隙間15Aを保つように取り付けられている。上部凹所2Cとカバー板5で形成される空間(隙間)を「上部溜まり部」15という。上部溜まり部15には必要に応じてオイルが蓄えられる。上部溜まり部15において、カバー板5とスリーブ2で挟まれる隙間の寸法はラジアル方向で一定でない。すなわち軸1の外周面に対向する開口15A(即ち上部溜まり部15の内周部分)では充分小さくなされており、溜まり部15の外周部分では大きくなされている。
スリーブ2には軸受穴2Aの軸心にほぼ平行に第1連通穴2Eが設けられている。第1連通穴2Eの上端はスリーブ2の上部溜まり部15に連通し、下端はスリーブ2の段部2Dを含む空間に連通して連通路を形成している。スリーブ2は、モータステータ7が取り付けられたベース6に固定されている。軸1とスリーブ2の間の隙間及びフランジ3とスラスト板4の間の隙間を含む軸1とスリーブ2の軸受穴2Aの間は、オイル等の潤滑剤13(以下、オイルという)で満たされている。オイル13はある程度粘性を有するので、図2に示すように軸1と軸受穴2Aとの間に気泡14が入ることがある。第1連通穴2E及び上部溜まり部15にもオイルが入るが若干の空気(気泡)14が存在している。ロータハブ12には、図1に示すように複数のディスク9がスペーサ10及びクランパー11により取り付けられてディスク回転装置が構成される。
以上のように構成された流体軸受装置の動作を、図1から図7を用いて説明する。図1において、開示を省略した電源からモータステータ7に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石8を取り付けたロータハブ12が軸1、フランジ3、ディスク9、クランパー11及びスペーサ10と共に回転を始める。回転が始まると動圧発生溝1B、1C、3A及び3Bはオイル13を所定部位にかき集め既知のポンピング圧力を発生する。そのため軸1は浮上しスリーブ2及びスラスト板4に接触せずに高精度で回転する。図2は、流体軸受装置が回転しているとき、オイル13の中に空気14が混入している状態を示す。
図3は、スリーブ2の段部2Dに対向するフランジ3の上面に設けられた既知の動圧発生溝3Aの例を示す平面図である。図4は、フランジ3の下面に設けられた既知の動圧発生溝3Bの例を示す平面図である。図3及び図4に示す屈曲した放射状の動圧発生溝3A、3Bがオイルをかき集めて軸1の軸心に平行なスラスト方向の力を発生する。
図5は、本実施例の流体軸受装置の軸1とスリーブ2を拡大して示す要部断面図である。図5において、S1は動圧発生溝1B部の半径隙間の寸法を示し、S2は軸1の外周とカバー板5との間の半径隙間の寸法を示す。スリーブ2の軸受穴2Aの上端部2Hは、その直径が軸受穴2Aの直径より大きくなされている。「半径隙間の寸法」とは、軸1の軸心と、スリーブ2の軸受穴2Aの中心軸とが一致している時の、軸1の外周と軸受穴2Aの内周との間の隙間の寸法で定義される。S3は上部溜まり部15の軸1に対向する部分、即ち内周部の隙間15Aの寸法を示す。S4は上部溜まり部15の内部すなわち外周部における隙間の寸法を示す。本実施例では、半径隙間の寸法S1及びS2及び隙間の寸法S3及びS4を以下の関係になるように設定する。
S1<S2、S1<S3及びS3<S4
このように各隙間を設定することにより、上部溜まり部15に溜まっているオイルはその表面張力により隙間寸法S4より小さい隙間寸法S3の開口15Aの近傍に移動する。オイル13は隙間寸法S3の開口15Aから更に隙間の小さい、半径隙間の寸法S1の軸1と軸受穴2Aの間に入り、矢印13Aで示すようにラジアル軸受部である動圧発生溝1Bのある部分に流入してゆく。
ラジアル軸受の動圧発生溝1B、1Cの内、上部溜まり部15に近い動圧発生溝1Bは、図5に示すように、動圧発生溝1Bの屈曲部1Kから上部の溝1Lの長さ(寸法Lに対応する)が、下部の溝1Mの長さ(寸法Mに対応する)より長くなされ(L>M)、上下非対称のヘリングボーンパターンになされている。そのため、半径隙間の寸法S2の軸1と軸受穴2Aの上端部2Hとの隙間に流入したオイルは流体軸受装置の起動時及び回転中のポンピング作用により動圧発生溝1B及びその下方の動圧発生溝1Cを含む軸1と軸受穴2Aとの間のラジアル軸受内に吸引される。このようにして上部溜まり部15にあるオイルは矢印13Aで示すようにラジアル軸受内部に流入してゆく。その結果、軸1と軸受穴2Aとの間の隙間に矢印13Cで示す方向にオイルの流れが生じる。そのためフランジ3の近傍にあるオイルは押されて連通穴2Eに流入し上部溜まり部15に至る。そしてオイルは再びカバー板5とスリーブ2の間の開口15Aから軸1と軸受穴2Aの間のラジアル軸受部に流入して流体軸受装置内を循環する。オイルの循環によって、オイル中の気泡14もオイルと共に連通穴2Eを通って上部溜まり部15に到達する。上部溜まり部15に到達した気泡14はカバー板5とスリーブ2の隙間から外部へ排出される。
空気の排出について図6を用いて更に詳しく説明する。図6は流体軸受装置内のオイルに入った空気の状態を示す要部断面図である。図において、流体軸受装置内に存在する気泡や空気塊などである空気14Aは、その量が多くなったり、周囲の温度が上昇して内部圧力が上昇したり、気圧の低下により膨張すると体積が大きくなる。このような場合空気14Aは第1連通穴2Eの下部入口2Fから第1連通穴2Eに入り、その中をオイルの移動とともに空気14Dに示すように下から上へ向かって移動する。第1連通穴2Eの上端2Gに達した空気14Dは上部溜まり部15に入り、カバー板5とスリーブ2の間の小さな隙間から矢印Cに示すように外部に排出される。第1連通穴2E内においては、空気14Dと共にオイル13も一緒に下から上へ移動するが、オイル13は上部溜まり部15に運ばれた後その表面張力により上部溜まり部15内に残る。そのため空気14Dのみが排出される。このようにオイル13が流体軸受装置の外へ押し出されたり漏れたりしないので、流体軸受装置内でオイル不足が生じて油膜切れを生じることはなく、流体軸受装置は安定して回転する。
図5に示す本実施例の具体例では、軸1の直径は1〜20ミリメートルである。隙間寸法S3は30〜150ミクロンメータ、ラジアル軸受の半径隙間の寸法S1は1〜10ミクロンメータである。第1連通穴2Eの直径は0.3〜1.0ミリメートルの範囲にある。発明者の実験によれば、軸1の直径、隙間寸法S3、半径隙間の寸法S1及び第1連通穴2Eの直径が前記の範囲にあれば、オイル13は流体軸受装置内に保持されて外部へ漏れず、空気14のみが外部へ排出されることが確認された。
図6と類似の図7の要部断面図に示すように、発明者等は矢印G2の方向に落下衝撃荷重や、振動を加えて種々の試験を行った。その結果上部溜まり部15に溜まっているオイル13は表面張力により上部溜まり部15内に保持されており流体軸受装置の外部へ流出しないことが確認された。この実験では、隙間寸法S2とS3を共に50ミクロンメータ程度に設定することにより、流体軸受装置に加速度2500G(作用時間は1〜10ミリ秒)を加えた場合においてもオイル13が流出しないことが確認された。
本実施例によれば、流体軸受装置のオイル中に入った気泡等の空気は、流体軸受装置の動作中に第1連通穴2Eを通ってスリーブ2の上部溜まり部15へ移動し、そこから流体軸受装置の外部へ排出される。しかしオイルは上部溜まり部15に留まり外部へ漏れることはない。例えば流体軸受装置の製造時にオイルの中に入った空気も流体軸受装置の使用中に除去されるので、流体軸受装置の長期の信頼性が向上する。なお図1では、スリーブ2に1つの第1連通穴2Eが図示されているが、スリーブ2に複数の第1連通穴2Eを設けてもよい。前記連通穴2Eの代わりに、図6に点線で示すようにスリーブ2の外周とベース板6との間に、上部溜まり部15と段部2Dの空間とを連通する連通穴2Qを設けてもよい。この場合連通穴2Qのスリーブ2の外周部に沿う部分は、スリーブ2の外周に上下方向の溝を設ければよい。
《第2実施例》
図8は本発明における第2実施例の流体軸受装置の軸1とスリーブ20の要部断面図である。図において、スリーブ20の中央部分に、第1連通穴2Eと隙間大部20Bとを連通する第2連通穴20Jが設けられている。その他の構成は、図1に示す前記第1実施例の流体軸受装置と同じである。
第2連通穴20Jを形成する方法としては、例えば図8に示すように、矢印20Hで示す方向からドリルでスリーブ20に穴をあける方法がある。穴をあけた後、スリーブ20の外周の穴20Kを栓17で封止する。
本実施例の流体軸受装置では、第1連通穴2Eが第2連通穴20Jを経てラジアル軸受の2組の動圧発生溝1B、1Cの間の空間に連通している。これにより動圧発生溝1Bを有する部分には、矢印13Aで示すように上部溜まり部15からオイル13が流入するとともに、矢印13Dに示すように第2連通穴20Jからもオイルが流入する。矢印13Dの方向に流入したオイルは、矢印13Aの方向に流入したオイルと合流して、動圧発生溝1B及び1Cを含む、軸1と軸受穴20Aとの間の隙間を通って、下部入口20Fから第1連通穴20Eに戻る。オイル中に混入している空気は、オイルが矢印13Gに示すように第2連通穴20Jに流入するときオイルから分離される。分離された空気14は矢印14Fに示す方向に移動して上部溜まり部15を経て外部へ排出される。
本実施例では、第2連通穴20Jを設けたことによりオイルの移動が盛んになるので、オイル中の空気の除去も効率よく行われる。その結果として、流体軸受装置の信頼性が更に高くなる。また動作中に何らかの理由で流体軸受装置のオイル中に空気が入った場合でも速やかに排出されるので信頼性が高くなる。
《第3実施例》
図9は本発明の第3実施例の流体軸受装置の軸30とスリーブ2を示す要部断面図である。図において、軸30の、ロータリーハブ12に連結される端部近傍に、軸30の直径より細い直径を有する細径部30Aが設けられている。リング状のカバー板25の内周端25Aの直径は、前記細径部30Aの直径より大きいが軸30の直径より小さくなされいる。すなわちカバー板25は、その内周端5Aが軸30とスリーブ2の間の隙間を覆うように構成されている。その他の構成は図1に示す前記第1実施例と同様である。この構成により、軸30とカバー板25との隙間から外部へオイル13が漏れるのを更に確実に防止することができる。また、カバー板25の内周端25Aの直径が軸30の直径より小さいので、軸30がスリーブ2の軸受穴2Aから抜けることはない。すなわちカバー板25は軸30の抜け止め効果を有する。
図9において、動圧発生溝1B近傍の半径隙間の寸法をS1とし、軸30とスリーブ2の上端部との半径隙間の寸法をS2とする。スリーブ2の軸受穴2Aの上端部2Hは、その直径が軸受穴2Aの直径より大きくなされている。カバー板25と、スリーブ2の上部凹所2Cとで形成される上部溜まり部15において、内周部の隙間の寸法をS3、カバー板25と軸30の上端との軸方向の隙間の寸法をS5とする。軸30の細径部30Aとカバー板25の内周部25Aとの間の半径隙間の寸法をS6とする。本実施例では上記の半径隙間の寸法S1が、各隙間の寸法S2、S3、S5、S6より小さくなるように設定する(S1<S2、S1<S3、S1<S5、S1<S6)。オイルはその表面張力により最も隙間が小さい部分に流入する性質を有するので、上記のように設定すると、上部溜まり部15に溜まっているオイルは、隙間の寸法がS1で最も小さい軸30と軸受穴2Aとの隙間に流入する。その結果、ラジアル軸受の動圧発生溝1B、1Cの領域にはオイルが十分に流入するので油膜切れが生じることはない。また、各隙間の寸法S2、S3、S5、S6の関係を、隙間の寸法S2が隙間の寸法S6より小さく(S2<S6)、隙間の寸法S3が隙間の寸法S6より小さく(S3<S6)、かつ隙間の寸法S5が隙間の寸法S6より小さく(S5<S6)なるように設定する。このように設定すると、最も大きい隙間の寸法S6を有する細径部30Aとカバー板25の内周端25Aとの間からオイルが流れ出すことはない。
本実施例の流体軸受装置では、カバー板25に排気孔25Bを設けている。排気孔25Bと、第1の連通穴2Eの上部溜まり部15への開口とは、カバー板25を含む面内でずらしてある(図1では180度)。排気孔25Bと第1連通穴2Eの開口とが一致していると、第1連通孔2Eを通って上昇してきた空気が排気孔25Bから排出されるときオイルも外へ飛び出すことがある。このオイルの飛び出しは、排気孔25Bと第1連通穴2Eの開口部とを上記のようにずらすことにより防止することができる。第1の連通穴2Eの上端から出た空気は、上部溜まり部15内をカバー板25に沿って回り排気孔25Bへ達したとき外部へ出てゆく。
《第4実施例》
図10は、本発明の第4実施例の流体軸受装置の軸35とスリーブ2を示す要部断面図である。軸35は図において下端面35Cに動圧発生溝35Dが形成されている。従って軸35には、図9に示す前記第3実施例の流体軸受装置のようなフランジ3を備えていない。その他の構成は図9に示すものと実質的に同様である。軸35はロータハブ12が取り付けられる軸端部に細径部35Aを有している。カバー板25の内周端25Aの内径は前記細径部35Aの外径より大きくかつ軸35の外径より小さくなされている。すなわちカバー板25は内周端25Aが軸30とスリーブ2の軸受穴2Aとの間の隙間を覆うように構成している。これによって軸35とスリーブ2の、図において上部の隙間からのオイル漏れを確実に防止することができる。
軸35の下端面35Cとスラスト板4の対向面の少なくとも一方に形成された動圧発生溝35Dは(図10では下端面35C)、スラスト板4に対向し、スラスト板4との間でスラスト軸受を構成している。スリーブ2の図において下部に段部2Dが形成されている。スリーブ2の段部2Dを含む軸受穴2Aの端部はスラスト板4によって密封されている。段部2Dとスラスト板4との間の空間は下部入口2Fで第1の連通穴2Eに連通している。第1の連通穴2Eはこの段部2Dと上部溜まり部15との間を連通する連通路を形成している。
本実施例の流体軸受装置では、軸35にフランジを設けておらず、軸35の下端面35Cに動圧発生溝35Dを設けている。そのため前記の各実施例のものに比べて構造が簡単であり従って安価になる。
本実施例の流体軸受装置においても前記の各実施例と同様に、軸35の外周面またはスリーブ2の内周面の少なくとも一方(図10ではスリーブ2の内周面)にヘリングパターン状の浅溝からなる動圧発生溝2B、2Cを設け、軸35とスリーブ2の隙間にはオイルなどの潤滑剤を満たしている。スリーブ2の上端面近傍に上部溜まり部15を設け、上記溜まり部15は第1連通穴2Eを経て軸35の下端面35Cの近傍の空間に連通している。これにより、オイル13は上部溜まり部15から軸35とスリーブ2の隙間へ流入し、スリーブ2の下部から第1連通穴2Eを経て上部溜まり部15へ戻る経路で循環する。オイル中に混入している空気はこの流体軸受装置の動作中にカバー板25に設けられた排気孔25Bから外部へ排出されるので、オイル中の空気はなくなり、軸35の回りの隙間において油膜切れが生じることはない。これにより本実施例の流体軸受装置は長期間にわたり高信頼性を保つことができる。また本実施例の流体軸受装置を用いたディスク回転装置は長期の高い信頼性を有する。
本実施例の流体軸受装置においても、流体軸受内のオイルに混入した空気は容易に外部へ排出されるので流体軸受装置に生じがちであった油膜切れが防止され、長寿命かつ長期の高信頼性が得られる。
《第5実施例》
図11は本発明の第5実施例の流体軸受装置の軸35とスリーブ2を示す要部断面図である。図において、本実施例の流体軸受装置は、カバー板27が図10に示す前記第4実施例のカバー板25と異なっている点を除いて図10に示す前記第4実施例の流体軸受装置と同様の構成を有する。
本実施例におけるカバー板27を図12aの斜視図及び図12bのX11b−X11b断面図に示す。カバー板27は、図12a及び図12bに示すように、下面に少なくとも1つの凹部27Eを有する。凹部27Eの反対側の上面には凸部27Hが形成される。凹部27Eの略中央部に排気孔27Fを備えている。カバー板27は、凹部27Eが溜まり部15に対向するようにスリーブ2に取り付けられている。
本実施例では、カバー板27の凹部27Eの部分において、カバー板27と上部溜まり部15との間の隙間が大きくなる。上部溜まり部15内のオイルは、その表面張力により凹部27Eの下方の隙間の大きい部分には入りにくいので、凹部27E周辺の隙間の小さい部分に留まる。そのため凹部27Eの中央部の排気孔27Fがオイルでふさがれることがなく、溜まり部15内の空気は排気孔27Fからスムーズに排気される。
本実施例の流体軸受装置では、図11に示すように、S1を動圧発生溝1B部の軸受穴2Aと軸35との半径隙間の寸法、S2を軸1の外周とスリーブ2の上端部2Hの内周との間の半径隙間の寸法、S3をカバー板27と軸1の端部との隙間の寸法、S4を溜まり部15の内部すなわち外周部における隙間の寸法とした場合、半径隙間の寸法S2及び隙間の寸法S3を半径隙間の寸法S1より大きくしている(S1<S2、S1<S3)。また隙間の寸法S4を隙間の寸法S3より大きく設定する(S4>S3)。その結果、上部溜まり部15内のオイルはその表面張力により寸法S3の小さい隙間の開口27Aの近傍に集まり、次に寸法S1を有する軸35と軸受穴2Aとの間のさらに小さい隙間(ラジアル軸受部)に流入する。
動圧発生溝1Bは、屈曲部1Kから上方の溝1Lの長さ(寸法Lに対応する)が、下方の溝1M(寸法Mに対応する)より長い(1L>1M)。そのため、隙間寸法S2のスリーブ2の上端部2Hと軸35の間に流入したオイルは、流体軸受装置の動作開始時及び動作中に動圧発生溝1Bのポンピング作用により、半径隙間の寸法S1の軸35とスリーブ2の軸受穴2Aとの隙間に引き込まれる。この動作により、上部溜まり部15内のオイルは確実にラジアル軸受内に流入する。
スリーブ2と軸35の間の隙間に充填しているオイル等の潤滑剤には微細な気泡の形で空気が混入している。オイルに混入している空気はその量が多い場合、周囲の温度が上昇して気泡の内部圧力が上昇し膨張した場合及び低圧の環境下で気泡が膨張した場合など体積が増大する。体積が増えた空気は第1連通穴2Eの下部入口2Fから空気14で示すように第1連通穴2Eの中に入る。空気14は更に図中の下から上に向かって移動し、上部溜まり部15内に入る。上部溜まり部15に入った空気は上部溜まり部15内を回り、凹部27Eに達すると矢印Cに示すように穴27Fから外部に排出される。このとき第1連通穴2E内においては、空気14とともにオイル13も上方に移動する。しかしオイル13は溜まり部15に運ばれた後は空気と分離され、オイル13だけがオイルの表面張力により上部溜まり部15に残り、空気14は矢印Cのように排気孔27Fから排出される。このためオイル13が流体軸受装置の外へ押し出されたり、漏れたりすることはない。これにより流体軸受装置は油膜切れを生じる事なく安定して回転できる。
本実施例において、軸1の直径は1〜20ミリメートルであり、隙間の寸法S3は30〜150ミクロンメータである。ラジアル軸受の半径隙間の寸法S1は1〜10ミクロンメータであり、第1連通穴2Eの直径は0.3〜1.0ミリメートルである。上記の各寸法範囲にある流体軸受装置ではオイル13は流体軸受装置の各隙間に良好に保持されるとともに、空気14は良好に排出されることが確認された。
図11において矢印G2の方向に落下衝撃荷重や振動が加わった場合においても、溜まり部15に溜まっているオイル13は表面張力により内部に保持され外部へ流出することはなかった。
発明者等の実験によると、図11における隙間寸法S2と隙間寸法S3を、それぞれ50マイクロメータ程度に設定すると、軸受は2500Gの加速度(作用時間は1〜10ミリ秒)が加わった場合においてもオイルの流出が起こらないことが確認され、流体軸受装置は軸35とスリーブ2が非接触の状態を保ちつつ回転を続けることができた。
《第6実施例》
図13は本発明の第6実施例の流体軸受装置の軸35とスリーブ2を示す要部断面図である。本実施例では、カバー板28が図12に示す第5実施例の流体軸受装置のカバー板27と異なる。その他の構成は図11に示すものと同様である。本実施例のカバー板28は、図14aの斜視図及び図14bの断面図に示すように、リング状の板の内周部の一部分を板の面から盛り上がるように曲げて「盛り上がり部」28Dを形成している。カバー板28の盛り上がり部28Dの反対面には凹部28Eが形成される。カバー板28Dは、凹部28Eがスリーブ2の端面の直径の大きい上端部2Hに対向するようにスリーブ2に取り付けられる。凹部28Eとスリーブ2の端面の対向部では凹部28Eの凹み分だけ隙間が大きくなる。従って、オイルの表面張力により凹部28E近傍にはオイルが集まらない。そのため第1の連通穴2Eを通って上部溜まり部15に達した空気は環状の上部溜まり部15を回り凹部28Eに達するとそこからスムーズに外部へ排出される。オイルは表面張力により隙間の小さい部分に移動し、隙間の広い凹部28E近傍には集まらないので、凹部28Eから外部へオイルが漏れることはない。
本実施例によればカバー板28の内周部を凹ませるという簡単な加工で凹部28Eを形成することができる。
図15は本実施例の流体軸受装置のカバー板28の他の例のカバー板40の斜視図である。カバー板40を除く他の構成は図13と同様である。図15において、リング状のカバー板40は内周部に切欠き部40Eを有している。スリーブ2の内周部の上端部2Hの一部分が切欠き部40Eによって外部につながるので、空気は切欠き部40Eを経てスムーズに排出される。切欠き部40Eは、カバー板40をプレス加工等により製作するとき同時に形成できるなど、簡単な加工を加えることで出来る。加工が容易なことからコストも低減される。
《第7実施例》
図16は本発明の第7実施例の流体軸受装置の軸35とスリーブ2を示す要部断面図である。図17は図16のXVII−XVII断面図である。本実施例ではカバー板41の構成が、前記第6実施例と異なっており、その他の構成は第6実施例と同様である。
本実施例のカバー板41は、一体に形成された円板状部41Aと円筒状部41Bを有している。円筒状部41Bには、スリーブ2の上部が圧入されるのが望ましい。スリーブ2を円筒状部41Bに挿入し、接着してもよい。
前記各実施例の流体軸受装置では、軸35は剛性が高い鉄系材料で構成される。またスリーブ2は切削加工性が非常によく、高い加工精度が容易に得られる快削黄銅等の銅系材料で構成される。カバー板41は少なくともスリーブ2の材料よりも線膨張係数が小さい材料で作られる。一例としてカバー板41を軸35と同じような剛性が高い鉄系材料で作るのが望ましい。
しかしながら本実施例の流体軸受装置の軸35及びスリーブ2をそれぞれ前記の材料で作ると、各材料の線膨張係数の違いから流体軸受装置が高温になると、スリーブ2が膨張する。その結果図17に示すように、軸35とスリーブ2との間の半径隙間の寸法S1が大きくなってしまう。そのため流体軸受の発生圧力が低下するとともに油膜の剛性が低下してしまうことがある。
そこで本実施例では軸1を鉄系材料のフェライト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼(線膨張係数は1.03×10−5/℃)で構成する。またスリーブ2を銅合金(線膨張係数は2.05×10−5/℃)で構成する。またカバー板5をマルテンサイト系ステンレス鋼(線膨張係数は1.03×10−5/℃)で構成する。このように各材料を選択すると、流体軸受装置の温度が上昇したとき、カバー板41の円筒状部41Bの膨張量は少なく内径はあまり広がらない。これに対してスリーブ2はカバー板41の材料より線膨張係数の大きい材料で作られているので、温度が上昇したときスリーブ2の外径の膨張量はカバー板41の円筒状部41Bの内径の膨張量より大きい。しかしスリーブ2の外周に膨張量の少ないカバー板41の円筒状部41Bがあるため、スリーブ2の外周の熱膨張が抑制される。すなわち、スリーブ2に外周から圧力をかけてスリーブ2の内外径の拡大を抑制することができる。
本実施例によれば高温時でもスリーブ2の内外径の熱膨張量が少なく、軸1の膨張量と大差がなくなる。そのためラジアル軸受の半径隙間の寸法S1が温度変化によって大きく変化しないようにできる。その結果、流体軸受装置の温度による性能変化が抑制される。またカバー板41の円筒状部41Bをスリーブ2の外周に固定するため、カバー板41がスリーブ2に強固に取り付けられ、軸1がスリーブ2から抜け出すおそれがなくなる。
本実施例によれば、流体軸受装置のオイルに混入した空気が容易に排出され、従来の軸受に生じがちであった油膜切れが防止されるとともに、流体軸受装置の温度が変化したときの、軸35とスリーブ2の間の半径隙間の変化を最小限に抑制することができる。これにより温度変化のある使用環境でも高精度かつ長寿命の流体軸受装置を実現でき、この流体軸受装置を用いることで高精度かつ長寿命のディスク回転装置が得られる。
本発明は潤滑剤の漏出を防止し、長寿命かつ高信頼を保つ流体軸受装置及びこの流体軸受装置を有するディスク回転装置に利用可能である。
【書類名】明細書
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速かつ高精度の回転が必要な回転装置の主軸部に用いられる流体軸受装置及びこれを備えるディスク回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年磁気ディスク等を用いた回転型の記録装置では、そのメモリー容量が増大するとともにデータの転送速度が高速化している。そのため、この種の記録装置に用いられるディスク回転装置は高速かつ高精度の回転を必要とするので、回転主軸部には流体軸受装置が用いられている。
【0003】
以下図18及び図19を参照して従来の流体軸受装置について説明する。図18において、軸31は、ベース35に取り付けられたスリーブ32の軸受穴32Aに回転可能に挿入されている。軸31は、図において下端部に一体に構成されたフランジ33を有している。フランジ33はスリーブ32の段部32Kに収納され、スラスト板34に対向して回転可能に構成されている。軸31には、ロータ磁石38が固定されたロータハブ36が取り付けられている。ロータハブ36には、スペーサ40とクランパー41により保持された複数のディスク39が取り付けられている。ロータ磁石38に対向するモータステータ37がベース35に取り付けられている。スリーブ32の軸受穴32Aの内周面には動圧発生溝32B、32Cが設けられている。フランジ33の、スリーブ32の段部32Kとの対向面には動圧発生溝33Aが設けられている。フランジ33の、スラスト板34との対向面には動圧発生溝33Bが設けられている。動圧発生溝32B、32C、33A及び33Bを含む、軸31及びフランジ33と、スリーブ32との隙間にはオイル42が充填されている。スリーブ32には、スリーブ32の軸心にほぼ平行に1つ又はそれ以上の通気穴32Eが設けられている。通気穴32Eの図において下端は、スリーブ32の下端部の、フランジ33が存在する空間に連通している。通気穴32Eの上端はスリーブ32の上端面に開放されている。
【0004】
以上のように構成された従来の流体軸受装置の動作を、図18及び図19を用いて説明する。図18において、モータステータ37に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石38、ロータハブ36、軸31及びフランジ33が回転を始める。この時動圧発生溝32B、32C、33A、33Bによりオイルにポンピング圧力が発生する。そのため軸31は浮上しスラスト板33及び軸受穴32Aの内周面に接触せずにオイル42により潤滑されつつ回転する。ディスク39には図示しない磁気ヘッドが当接して電気信号の記録再生を行う。
【0005】
前記従来例の流体軸受装置では以下に説明する問題があった。
図19は、図18の軸31及びスリーブ32を含む要部断面図である。図19に示すように、軸31はスリーブ32の軸受穴32A内においてオイル42により潤滑されながら回転する。流体軸受装置では、流体軸受装置を組み立てた時、あるいは流体軸受装置の輸送中に、軸受穴32A内のオイルにループ43A、43Bで示すように空気塊又は気泡が入ることがある(以下、空気43A、43Bという)。例えば航空機で輸送中に周囲の気圧が変化した場合などに気泡が入ることがある。二組の動圧発生溝32B、32Cの近傍に入った空気43Aの体積が温度の上昇や気圧の低下で膨張すると、動圧発生溝32Bの一部分が空気で覆われて油膜切れを生じる。また一部のオイルがオイル42Bで示すように、流体軸受装置の外部に漏れてしまうことがあった。またフランジ33の近傍に入った空気43Bが膨張すると、通気穴32E内のハッチングをしたオイル42Aは膨張した空気43Cにより上方に押し上げられ、上部の開放部からオイル42Dで示すように流体軸受装置の外部へ漏れてしまうことがあった。オイル42が外部に漏れると軸受内部でオイル量の不足が生じる。そのため回転中に軸31とスリーブ32が接触して、信頼性を著しく悪化させるおそれがある。
【0006】
また、図19に示すように、従来の流体軸受装置にG1に示す方向に落下衝撃荷重(加速度)が加わった場合にも、オイル42がオイル42Bに示すように外部へ漏れるおそれがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、流体軸受装置内に充填したオイル等の潤滑剤が軸受外に漏れ出すのを防止して、信頼性の高い流体軸受装置及びこれを有するディスク回転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の流体軸受装置は、軸が回転可能に挿入される軸受穴を有するスリーブ、前記軸受穴の一方の端部近傍に潤滑剤及び空気が溜まる空間である溜まり部が形成されるように前記スリーブに設けたカバー板を有する。前記軸の一方の端部に、一方の面が前記スリーブの前記軸受穴の他方の端部近傍の端面に対向する略円板状のフランジが固定されている。前記フランジの他方の面に、前記スリーブの前記端面を含む領域を密閉するように設けたスラスト板が対向している。前記溜まり部と、前記フランジ及び前記スリーブの前記端面を含む前記スラスト板により密閉された領域とを連通するように連通路が形成されている。前記スリーブの前記軸受穴の内周面及び前記軸の外周面の少なくとも一方に、ヘリングボーンパターン形状の第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設けている。またフランジとスラスト板のそれぞれの対向面の少なくとも一方、及びフランジと前記スリーブの前記端面とのそれぞれの対向面の少なくとも一方にヘリングボーンパターン形状の第3の動圧発生溝を設けている。前記第1、第2及び第3の動圧発生溝を含む前記軸とスリーブの間の隙間、及び前記フランジとスラスト板の間の隙間は潤滑剤で満たされている。前記スリーブ又は軸のいずれか一方が固定ベースに取り付けられ、他方が回転体に取り付けられる。
【0009】
本発明によれば、潤滑剤及び空気の溜まり部と、フランジ及びスリーブの端面を含む密閉領域を連通路により連通している。そのため、軸とスリーブの軸受穴との間の隙間に充填されている潤滑剤が、流体軸受装置の動作中に前記連通路を通って循環する。潤滑剤の循環により、潤滑剤中に混入している気泡などの空気も潤滑剤と共に循環する。循環中に、潤滑剤に含まれる気泡が溜まり部に達すると、気泡は潤滑剤から分離されて外部に排出される。溜まり部がカバー板で覆われているので、潤滑剤が外部へ漏れることはない。このようにして、潤滑剤中の空気が流体軸受装置の動作中に自動的に除去されるので、流体軸受装置の組立時に潤滑剤に空気が混入していたとしても次第に除去され、流体軸受装置内には潤滑剤のみが存在することになる。潤滑剤は溜まり部から軸とスリーブの隙間に流入するが、このとき外部へ漏れることがないので、軸とスリーブ間において潤滑剤の不足や潤滑剤の膜切れ(油膜切れ)などが生じることはなく、流体軸受装置は安定して動作する。これにより、長期信頼性の高い流体軸受装置を実現することができる。
【0010】
本発明の他の観点の流体軸受装置は、一方の端部に軸心に垂直なスラスト軸受面を有する軸、前記軸が回転可能に挿入され、ラジアル軸受として働く軸受穴を有するスリーブを有する。前記軸受穴の一方の端部近傍に潤滑剤及び空気が溜まる空間である溜まり部が形成されるように前記スリーブにカバー板が設けられている。前記スリーブの前記軸受穴の他方の端部を密閉し、かつ前記軸のスラスト軸受面に対向するようにスラスト板が設けられている。前記溜まり部と、前記スラスト板により密閉された前記軸受穴の他方の端部の領域を連通する連通路が形成されている。前記スリーブの前記軸受穴の内周面及び軸の外周面の少なくとも一方に、ヘリングボーンパターン形状の第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設けている。また前記スラスト軸受面とスラスト板の各対向面の少なくとも一方にヘリングボーンパターン形状の第3の動圧発生溝を設けている。前記第1、第2及び第3の動圧発生溝を含む前記軸とスリーブの間の隙間及び前記スラスト軸受面とスラスト板との間の隙間を潤滑剤で満たしている。前記スリーブ又は軸のいずれか一方が固定ベースに取り付けられ、他方が回転体に取り付けられる。
【0011】
本発明によれば、潤滑剤及び空気の溜まり部と、軸のスラスト軸受面及びスリーブの端面を含む密閉領域を連通路により連通している。従って、流体軸受装置の動作中に、軸とスリーブの軸受穴との間の隙間に充填されている潤滑剤が、前記連通路を通って流体軸受装置内を循環する。潤滑剤の循環により、潤滑剤中に混入している気泡などの空気も潤滑剤と共に循環する。循環中に、潤滑剤に含まれる気泡が溜まり部に達すると、気泡は潤滑剤から分離されて外部に排出される。このようにして、潤滑剤中の空気が流体軸受装置の動作中に自動的に除去されるので、流体軸受装置の組立時に潤滑剤に空気が混入していたとしても次第に除去され、流体軸受装置内には潤滑剤のみが存在することになる。潤滑剤が溜まり部から軸とスリーブの隙間に流入するとき外部へ漏れることがないので、軸とスリーブ間において潤滑剤の不足や潤滑剤の膜切れ(油膜切れ)などが生じることはなく、流体軸受装置は安定して動作する。これにより、長期信頼性の高い流体軸受装置を実現することができる。
【0012】
本発明では軸のスラスト軸受面に第3の動圧発生溝を設けてスラスト軸受部を形成しているので、フランジを設ける必要がなく、構成が簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の流体軸受装置及びこれを有するディスク回転装置の好適な実施例について、図1から図17を参照して説明する。
【0014】
(第1実施例)
本発明の第1実施例の流体軸受装置について、図1から図7を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例の流体軸受装置の断面図であり、図2は軸1及びスリーブ2を拡大して示す要部断面図である。図1において、スリーブ2は軸受穴2Aを有し、この軸受穴2Aに円柱状の軸1が回転可能に挿入されている。軸1の外周面とスリーブ2の軸受穴2Aの内周面との間には微少な隙間がある。軸1の外周面及びスリーブ2の軸受穴2Aの内周面の少なくとも一方に、溝を屈曲部で折曲げた既知のヘリングボーンパターン形状の動圧発生溝1B、1Cが形成されて「ラジアル軸受部」を形成している。ラジアル軸受部は、軸1の軸心から半径方向(ラジアル方向)において軸1を支持する。図1の例では、動圧発生溝1B、1Cは軸受穴2Aの内周面に形成されている。動圧発生溝1B、1Cは、いずれも魚骨形状(ヘリングボーンパターン形状)を有している。図1において、動圧発生溝1B及び1Cの少なくとも一方(図1の例では1B)は、図2に示すように屈曲部1Kから下側の溝1Mの長さが、屈曲部1Kから上側の溝1Lの長さより短くなされている。
【0015】
図1において、軸1の上端にはロータ磁石8を有するロータハブ12が取り付けられている。軸1の下端には、軸1の軸心に直角な面を有し軸1より大きな直径を有するフランジ3が一体に設けられている。フランジ3の下面のスラスト軸受面3Fは、スリーブ2に固定されたスラスト板4に対向している。スラスト板4はフランジ3を含む、スリーブ2の軸受穴2Aの端部領域を密閉している。フランジ3の下面またはスラスト板4の上面のいずれか一方(図1ではフランジ3の下面)には螺旋状または魚骨状(ヘリングボーンパターン)の動圧発生溝3Bが形成されて「スラスト軸受部」が構成されている。フランジ3の上面の外周部又は前記上面の外周部に対向するスリーブ2の段部2Dのいずれか一方(図1ではフランジ3の上面)には動圧発生溝3Aが形成されている。スリーブ2の軸受穴2Aには、図の上下方向の中間部に、内径を部分的に大きくした既知の隙間大部2Bが設けられているが、本発明に直接関係がないので説明は省略する。フランジ3はスリーブ2の段部2Dに収納されている。フランジ3の下面にはオイルを溜めるための隙間または凹所3Cが設けられている。
【0016】
スリーブ2の図において上端面には、軸受穴2Aを囲む円環状の溝である上部凹所2Cが設けられている。上部凹所2Cを覆うようにリング状のカバー板5がスリーブ2に取り付けられている。カバー板5はその外周部がスリーブ2の外周部に「かしめ」法などで固定されている。カバー板5の内周部は、スリーブ2の軸受穴2Aの上端部との間に、後で詳しく説明するように、小さな隙間15Aを保つように取り付けられている。上部凹所2Cとカバー板5で形成される空間(隙間)を「上部溜まり部」15という。上部溜まり部15には必要に応じてオイルが蓄えられる。上部溜まり部15において、カバー板5とスリーブ2で挟まれる隙間の寸法はラジアル方向で一定でない。すなわち軸1の外周面に対向する開口15A(即ち上部溜まり部15の内周部分)では充分小さくなされており、溜まり部15の外周部分では大きくなされている。
【0017】
スリーブ2には軸受穴2Aの軸心にほぼ平行に第1連通穴2Eが設けられている。第1連通穴2Eの上端はスリーブ2の上部溜まり部15に連通し、下端はスリーブ2の段部2Dを含む空間に連通して連通路を形成している。スリーブ2は、モータステータ7が取り付けられたベース6に固定されている。軸1とスリーブ2の間の隙間及びフランジ3とスラスト板4の間の隙間を含む軸1とスリーブ2の軸受穴2Aの間は、オイル等の潤滑剤13(以下、オイルという)で満たされている。オイル13はある程度粘性を有するので、図2に示すように軸1と軸受穴2Aとの間に気泡14が入ることがある。第1連通穴2E及び上部溜まり部15にもオイルが入るが若干の空気(気泡)14が存在している。ロータハブ12には、図1に示すように複数のディスク9がスペーサ10及びクランパー11により取り付けられてディスク回転装置が構成される。
【0018】
以上のように構成された流体軸受装置の動作を、図1から図7を用いて説明する。図1において、開示を省略した電源からモータステータ7に通電すると回転磁界が発生し、ロータ磁石8を取り付けたロータハブ12が軸1、フランジ3、ディスク9、クランパー11及びスペーサ10と共に回転を始める。回転が始まると動圧発生溝1B、1C、3A及び3Bはオイル13を所定部位にかき集め既知のポンピング圧力を発生する。そのため軸1は浮上しスリーブ2及びスラスト板4に接触せずに高精度で回転する。図2は、流体軸受装置が回転しているとき、オイル13の中に空気14が混入している状態を示す。
図3は、スリーブ2の段部2Dに対向するフランジ3の上面に設けられた既知の動圧発生溝3Aの例を示す平面図である。図4は、フランジ3の下面に設けられた既知の動圧発生溝3Bの例を示す平面図である。図3及び図4に示す屈曲した放射状の動圧発生溝3A、3Bがオイルをかき集めて軸1の軸心に平行なスラスト方向の力を発生する。
【0019】
図5は、本実施例の流体軸受装置の軸1とスリーブ2を拡大して示す要部断面図である。図5において、S1は動圧発生溝1B部の半径隙間の寸法を示し、S2は軸1の外周とカバー板5との間の半径隙間の寸法を示す。スリーブ2の軸受穴2Aの上端部2Hは、その直径が軸受穴2Aの直径より大きくなされている。「半径隙間の寸法」とは、軸1の軸心と、スリーブ2の軸受穴2Aの中心軸とが一致している時の、軸1の外周と軸受穴2Aの内周との間の隙間の寸法で定義される。S3は上部溜まり部15の軸1に対向する部分、即ち内周部の隙間15Aの寸法を示す。S4は上部溜まり部15の内部すなわち外周部における隙間の寸法を示す。本実施例では、半径隙間の寸法S1及びS2及び隙間の寸法S3及びS4を以下の関係になるように設定する。
S1<S2、S1<S3及びS3<S4
【0020】
このように各隙間を設定することにより、上部溜まり部15に溜まっているオイルはその表面張力により隙間寸法S4より小さい隙間寸法S3の開口15Aの近傍に移動する。オイル13は隙間寸法S3の開口15Aから更に隙間の小さい、半径隙間の寸法S1の軸1と軸受穴2Aの間に入り、矢印13Aで示すようにラジアル軸受部である動圧発生溝1Bのある部分に流入してゆく。
【0021】
ラジアル軸受の動圧発生溝1B、1Cの内、上部溜まり部15に近い動圧発生溝1Bは、図5に示すように、動圧発生溝1Bの屈曲部1Kから上部の溝1Lの長さ(寸法Lに対応する)が、下部の溝1Mの長さ(寸法Mに対応する)より長くなされ(L>M)、上下非対称のヘリングボーンパターンになされている。そのため、半径隙間の寸法S2の軸1と軸受穴2Aの上端部2Hとの隙間に流入したオイルは流体軸受装置の起動時及び回転中のポンピング作用により動圧発生溝1B及びその下方の動圧発生溝1Cを含む軸1と軸受穴2Aとの間のラジアル軸受内に吸引される。このようにして上部溜まり部15にあるオイルは矢印13Aで示すようにラジアル軸受内部に流入してゆく。その結果、軸1と軸受穴2Aとの間の隙間に矢印13Cで示す方向にオイルの流れが生じる。そのためフランジ3の近傍にあるオイルは押されて連通穴2Eに流入し上部溜まり部15に至る。そしてオイルは再びカバー板5とスリーブ2の間の開口15Aから軸1と軸受穴2Aの間のラジアル軸受部に流入して流体軸受装置内を循環する。オイルの循環によって、オイル中の気泡14もオイルと共に連通穴2Eを通って上部溜まり部15に到達する。上部溜まり部15に到達した気泡14はカバー板5とスリーブ2の隙間から外部へ排出される。
【0022】
空気の排出について図6を用いて更に詳しく説明する。図6は流体軸受装置内のオイルに入った空気の状態を示す要部断面図である。図において、流体軸受装置内に存在する気泡や空気塊などである空気14Aは、その量が多くなったり、周囲の温度が上昇して内部圧力が上昇したり、気圧の低下により膨張すると体積が大きくなる。このような場合空気14Aは第1連通穴2Eの下部入口2Fから第1連通穴2Eに入り、その中をオイルの移動とともに空気14Dに示すように下から上へ向かって移動する。第1連通穴2Eの上端2Gに達した空気14Dは上部溜まり部15に入り、カバー板5とスリーブ2の間の小さな隙間から矢印Cに示すように外部に排出される。第1連通穴2E内においては、空気14Dと共にオイル13も一緒に下から上へ移動するが、オイル13は上部溜まり部15に運ばれた後その表面張力により上部溜まり部15内に残る。そのため空気14Dのみが排出される。このようにオイル13が流体軸受装置の外へ押し出されたり漏れたりしないので、流体軸受装置内でオイル不足が生じて油膜切れを生じることはなく、流体軸受装置は安定して回転する。
【0023】
図5に示す本実施例の具体例では、軸1の直径は1〜20ミリメートルである。隙間寸法S3は30〜150ミクロンメータ、ラジアル軸受の半径隙間の寸法S1は1〜10ミクロンメータである。第1連通穴2Eの直径は0.3〜1.0ミリメートルの範囲にある。発明者の実験によれば、軸1の直径、隙間寸法S3、半径隙間の寸法S1及び第1連通穴2Eの直径が前記の範囲にあれば、オイル13は流体軸受装置内に保持されて外部へ漏れず、空気14のみが外部へ排出されることが確認された。
【0024】
図6と類似の図7の要部断面図に示すように、発明者等は矢印G2の方向に落下衝撃荷重や、振動を加えて種々の試験を行った。その結果上部溜まり部15に溜まっているオイル13は表面張力により上部溜まり部15内に保持されており流体軸受装置の外部へ流出しないことが確認された。この実験では、隙間寸法S2とS3を共に50ミクロンメータ程度に設定することにより、流体軸受装置に加速度2500G(作用時間は1〜10ミリ秒)を加えた場合においてもオイル13が流出しないことが確認された。
【0025】
本実施例によれば、流体軸受装置のオイル中に入った気泡等の空気は、流体軸受装置の動作中に第1連通穴2Eを通ってスリーブ2の上部溜まり部15へ移動し、そこから流体軸受装置の外部へ排出される。しかしオイルは上部溜まり部15に留まり外部へ漏れることはない。例えば流体軸受装置の製造時にオイルの中に入った空気も流体軸受装置の使用中に除去されるので、流体軸受装置の長期の信頼性が向上する。なお図1では、スリーブ2に1つの第1連通穴2Eが図示されているが、スリーブ2に複数の第1連通穴2Eを設けてもよい。前記連通穴2Eの代わりに、図6に点線で示すようにスリーブ2の外周とベース板6との間に、上部溜まり部15と段部2Dの空間とを連通する連通穴2Qを設けてもよい。この場合連通穴2Qのスリーブ2の外周部に沿う部分は、スリーブ2の外周に上下方向の溝を設ければよい。
【0026】
(第2実施例)
図8は本発明における第2実施例の流体軸受装置の軸1とスリーブ20の要部断面図である。図において、スリーブ20の中央部分に、第1連通穴2Eと隙間大部20Bとを連通する第2連通穴20Jが設けられている。その他の構成は、図1に示す前記第1実施例の流体軸受装置と同じである。
【0027】
第2連通穴20Jを形成する方法としては、例えば図8に示すように、矢印20Hで示す方向からドリルでスリーブ20に穴をあける方法がある。穴をあけた後、スリーブ20の外周の穴20Kを栓17で封止する。
【0028】
本実施例の流体軸受装置では、第1連通穴2Eが第2連通穴20Jを経てラジアル軸受の2組の動圧発生溝1B、1Cの間の空間に連通している。これにより動圧発生溝1Bを有する部分には、矢印13Aで示すように上部溜まり部15からオイル13が流入するとともに、矢印13Dに示すように第2連通穴20Jからもオイルが流入する。矢印13Dの方向に流入したオイルは、矢印13Aの方向に流入したオイルと合流して、動圧発生溝1B及び1Cを含む、軸1と軸受穴20Aとの間の隙間を通って、下部入口20Fから第1連通穴20Eに戻る。オイル中に混入している空気は、オイルが矢印13Gに示すように第2連通穴20Jに流入するときオイルから分離される。分離された空気14は矢印14Fに示す方向に移動して上部溜まり部15を経て外部へ排出される。
【0029】
本実施例では、第2連通穴20Jを設けたことによりオイルの移動が盛んになるので、オイル中の空気の除去も効率よく行われる。その結果として、流体軸受装置の信頼性が更に高くなる。また動作中に何らかの理由で流体軸受装置のオイル中に空気が入った場合でも速やかに排出されるので信頼性が高くなる。
【0030】
(第3実施例)
図9は本発明の第3実施例の流体軸受装置の軸30とスリーブ2を示す要部断面図である。図において、軸30の、ロータリーハブ12に連結される端部近傍に、軸30の直径より細い直径を有する細径部30Aが設けられている。リング状のカバー板25の内周端25Aの直径は、前記細径部30Aの直径より大きいが軸30の直径より小さくなされている。すなわちカバー板25は、その内周端5Aが軸30とスリーブ2の間の隙間を覆うように構成されている。その他の構成は図1に示す前記第1実施例と同様である。この構成により、軸30とカバー板25との隙間から外部へオイル13が漏れるのを更に確実に防止することができる。また、カバー板25の内周端25Aの直径が軸30の直径より小さいので、軸30がスリーブ2の軸受穴2Aから抜けることはない。すなわちカバー板25は軸30の抜け止め効果を有する。
【0031】
図9において、動圧発生溝1B近傍の半径隙間の寸法をS1とし、軸30とスリーブ2の上端部との半径隙間の寸法をS2とする。スリーブ2の軸受穴2Aの上端部2Hは、その直径が軸受穴2Aの直径より大きくなされている。カバー板25と、スリーブ2の上部凹所2Cとで形成される上部溜まり部15において、内周部の隙間の寸法をS3、カバー板25と軸30の上端との軸方向の隙間の寸法をS5とする。軸30の細径部30Aとカバー板25の内周部25Aとの間の半径隙間の寸法をS6とする。本実施例では上記の半径隙間の寸法S1が、各隙間の寸法S2、S3、S5、S6より小さくなるように設定する(S1<S2、S1<S3、S1<S5、S1<S6)。オイルはその表面張力により最も隙間が小さい部分に流入する性質を有するので、上記のように設定すると、上部溜まり部15に溜まっているオイルは、隙間の寸法がS1で最も小さい軸30と軸受穴2Aとの隙間に流入する。その結果、ラジアル軸受の動圧発生溝1B、1Cの領域にはオイルが十分に流入するので油膜切れが生じることはない。また、各隙間の寸法S2、S3、S5、S6の関係を、隙間の寸法S2が隙間の寸法S6より小さく(S2<S6)、隙間の寸法S3が隙間の寸法S6より小さく(S3<S6)、かつ隙間の寸法S5が隙間の寸法S6より小さく(S5<S6)なるように設定する。このように設定すると、最も大きい隙間の寸法S6を有する細径部30Aとカバー板25の内周端25Aとの間からオイルが流れ出すことはない。
【0032】
本実施例の流体軸受装置では、カバー板25に排気孔25Bを設けている。排気孔25Bと、第1の連通穴2Eの上部溜まり部15への開口とは、カバー板25を含む面内でずらしてある(図1では180度)。排気孔25Bと第1連通穴2Eの開口とが一致していると、第1連通孔2Eを通って上昇してきた空気が排気孔25Bから排出されるときオイルも外へ飛び出すことがある。このオイルの飛び出しは、排気孔25Bと第1連通穴2Eの開口部とを上記のようにずらすことにより防止することができる。第1の連通穴2Eの上端から出た空気は、上部溜まり部15内をカバー板25に沿って回り排気孔25Bへ達したとき外部へ出てゆく。
【0033】
(第4実施例)
図10は、本発明の第4実施例の流体軸受装置の軸35とスリーブ2を示す要部断面図である。軸35は図において下端面35Cに動圧発生溝35Dが形成されている。従って軸35には、図9に示す前記第3実施例の流体軸受装置のようなフランジ3を備えていない。その他の構成は図9に示すものと実質的に同様である。軸35はロータハブ12が取り付けられる軸端部に細径部35Aを有している。カバー板25の内周端25Aの内径は前記細径部35Aの外径より大きくかつ軸35の外径より小さくなされている。すなわちカバー板25は内周端25Aが軸30とスリーブ2の軸受穴2Aとの間の隙間を覆うように構成している。これによって軸35とスリーブ2の、図において上部の隙間からのオイル漏れを確実に防止することができる。
【0034】
軸35の下端面35Cとスラスト板4の対向面の少なくとも一方に形成された動圧発生溝35Dは(図10では下端面35C)、スラスト板4に対向し、スラスト板4との間でスラスト軸受を構成している。スリーブ2の図において下部に段部2Dが形成されている。スリーブ2の段部2Dを含む軸受穴2Aの端部はスラスト板4によって密封されている。段部2Dとスラスト板4との間の空間は下部入口2Fで第1の連通穴2Eに連通している。第1の連通穴2Eはこの段部2Dと上部溜まり部15との間を連通する連通路を形成している。
【0035】
本実施例の流体軸受装置では、軸35にフランジを設けておらず、軸35の下端面35Cに動圧発生溝35Dを設けている。そのため前記の各実施例のものに比べて構造が簡単であり従って安価になる。
【0036】
本実施例の流体軸受装置においても前記の各実施例と同様に、軸35の外周面またはスリーブ2の内周面の少なくとも一方(図10ではスリーブ2の内周面)にヘリングパターン状の浅溝からなる動圧発生溝2B、2Cを設け、軸35とスリーブ2の隙間にはオイルなどの潤滑剤を満たしている。スリーブ2の上端面近傍に上部溜まり部15を設け、上記溜まり部15は第1連通穴2Eを経て軸35の下端面35Cの近傍の空間に連通している。これにより、オイル13は上部溜まり部15から軸35とスリーブ2の隙間へ流入し、スリーブ2の下部から第1連通穴2Eを経て上部溜まり部15へ戻る経路で循環する。オイル中に混入している空気はこの流体軸受装置の動作中にカバー板25に設けられた排気孔25Bから外部へ排出されるので、オイル中の空気はなくなり、軸35の回りの隙間において油膜切れが生じることはない。これにより本実施例の流体軸受装置は長期間にわたり高信頼性を保つことができる。また本実施例の流体軸受装置を用いたディスク回転装置は長期の高い信頼性を有する。
【0037】
本実施例の流体軸受装置においても、流体軸受内のオイルに混入した空気は容易に外部へ排出されるので流体軸受装置に生じがちであった油膜切れが防止され、長寿命かつ長期の高信頼性が得られる。
【0038】
(第5実施例)
図11は本発明の第5実施例の流体軸受装置の軸35とスリーブ2を示す要部断面図である。図において、本実施例の流体軸受装置は、カバー板27が図10に示す前記第4実施例のカバー板25と異なっている点を除いて図10に示す前記第4実施例の流体軸受装置と同様の構成を有する。
【0039】
本実施例におけるカバー板27を図12aの斜視図及び図12bのX11b−X11b断面図に示す。カバー板27は、図12a及び図12bに示すように、下面に少なくとも1つの凹部27Eを有する。凹部27Eの反対側の上面には凸部27Hが形成される。凹部27Eの略中央部に排気孔27Fを備えている。カバー板27は、凹部27Eが溜まり部15に対向するようにスリーブ2に取り付けられている。
【0040】
本実施例では、カバー板27の凹部27Eの部分において、カバー板27と上部溜まり部15との間の隙間が大きくなる。上部溜まり部15内のオイルは、その表面張力により凹部27Eの下方の隙間の大きい部分には入りにくいので、凹部27E周辺の隙間の小さい部分に留まる。そのため凹部27Eの中央部の排気孔27Fがオイルでふさがれることがなく、溜まり部15内の空気は排気孔27Fからスムーズに排気される。
【0041】
本実施例の流体軸受装置では、図11に示すように、S1を動圧発生溝1B部の軸受穴2Aと軸35との半径隙間の寸法、S2を軸1の外周とスリーブ2の上端部2Hの内周との間の半径隙間の寸法、S3をカバー板27と軸1の端部との隙間の寸法、S4を溜まり部15の内部すなわち外周部における隙間の寸法とした場合、半径隙間の寸法S2及び隙間の寸法S3を半径隙間の寸法S1より大きくしている(S1<S2、S1<S3)。また隙間の寸法S4を隙間の寸法S3より大きく設定する(S4>S3)。その結果、上部溜まり部15内のオイルはその表面張力により寸法S3の小さい隙間の開口27Aの近傍に集まり、次に寸法S1を有する軸35と軸受穴2Aとの間のさらに小さい隙間(ラジアル軸受部)に流入する。
【0042】
動圧発生溝1Bは、屈曲部1Kから上方の溝1Lの長さ(寸法Lに対応する)が、下方の溝1M(寸法Mに対応する)より長い(1L>1M)。そのため、隙間寸法S2のスリーブ2の上端部2Hと軸35の間に流入したオイルは、流体軸受装置の動作開始時及び動作中に動圧発生溝1Bのポンピング作用により、半径隙間の寸法S1の軸35とスリーブ2の軸受穴2Aとの隙間に引き込まれる。この動作により、上部溜まり部15内のオイルは確実にラジアル軸受内に流入する。
【0043】
スリーブ2と軸35の間の隙間に充填しているオイル等の潤滑剤には微細な気泡の形で空気が混入している。オイルに混入している空気はその量が多い場合、周囲の温度が上昇して気泡の内部圧力が上昇し膨張した場合及び低圧の環境下で気泡が膨張した場合など体積が増大する。体積が増えた空気は第1連通穴2Eの下部入口2Fから空気14で示すように第1連通穴2Eの中に入る。空気14は更に図中の下から上に向かって移動し、上部溜まり部15内に入る。上部溜まり部15に入った空気は上部溜まり部15内を回り、凹部27Eに達すると矢印Cに示すように穴27Fから外部に排出される。このとき第1連通穴2E内においては、空気14とともにオイル13も上方に移動する。しかしオイル13は溜まり部15に運ばれた後は空気と分離され、オイル13だけがオイルの表面張力により上部溜まり部15に残り、空気14は矢印Cのように排気孔27Fから排出される。このためオイル13が流体軸受装置の外へ押し出されたり、漏れたりすることはない。これにより流体軸受装置は油膜切れを生じる事なく安定して回転できる。
【0044】
本実施例において、軸1の直径は1〜20ミリメートルであり、隙間の寸法S3は30〜150ミクロンメータである。ラジアル軸受の半径隙間の寸法S1は1〜10ミクロンメータであり、第1連通穴2Eの直径は0.3〜1.0ミリメートルである。上記の各寸法範囲にある流体軸受装置ではオイル13は流体軸受装置の各隙間に良好に保持されるとともに、空気14は良好に排出されることが確認された。
【0045】
図11において矢印G2の方向に落下衝撃荷重や振動が加わった場合においても、溜まり部15に溜まっているオイル13は表面張力により内部に保持され外部へ流出することはなかった。
【0046】
発明者等の実験によると、図11における隙間寸法S2と隙間寸法S3を、それぞれ50マイクロメータ程度に設定すると、軸受は2500Gの加速度(作用時間は1〜10ミリ秒)が加わった場合においてもオイルの流出が起こらないことが確認され、流体軸受装置は軸35とスリーブ2が非接触の状態を保ちつつ回転を続けることができた。
【0047】
(第6実施例)
図13は本発明の第6実施例の流体軸受装置の軸35とスリーブ2を示す要部断面図である。本実施例では、カバー板28が図12に示す第5実施例の流体軸受装置のカバー板27と異なる。その他の構成は図11に示すものと同様である。本実施例のカバー板28は、図14aの斜視図及び図14bの断面図に示すように、リング状の板の内周部の一部分を板の面から盛り上がるように曲げて「盛り上がり部」28Dを形成している。カバー板28の盛り上がり部28Dの反対面には凹部28Eが形成される。カバー板28Dは、凹部28Eがスリーブ2の端面の直径の大きい上端部2Hに対向するようにスリーブ2に取り付けられる。凹部28Eとスリーブ2の端面の対向部では凹部28Eの凹み分だけ隙間が大きくなる。従って、オイルの表面張力により凹部28E近傍にはオイルが集まらない。そのため第1の連通穴2Eを通って上部溜まり部15に達した空気は環状の上部溜まり部15を回り凹部28Eに達するとそこからスムーズに外部へ排出される。オイルは表面張力により隙間の小さい部分に移動し、隙間の広い凹部28E近傍には集まらないので、凹部28Eから外部へオイルが漏れることはない。
【0048】
本実施例によればカバー板28の内周部を凹ませるという簡単な加工で凹部28Eを形成することができる。
【0049】
図15は本実施例の流体軸受装置のカバー板28の他の例のカバー板40の斜視図である。カバー板40を除く他の構成は図13と同様である。図15において、リング状のカバー板40は内周部に切欠き部40Eを有している。スリーブ2の内周部の上端部2Hの一部分が切欠き部40Eによって外部につながるので、空気は切欠き部40Eを経てスムーズに排出される。切欠き部40Eは、カバー板40をプレス加工等により製作するとき同時に形成できるなど、簡単な加工を加えることで出来る。加工が容易なことからコストも低減される。
【0050】
(第7実施例)
図16は本発明の第7実施例の流体軸受装置の軸35とスリーブ2を示す要部断面図である。図17は図16のXVII−XVII断面図である。本実施例ではカバー板41の構成が、前記第6実施例と異なっており、その他の構成は第6実施例と同様である。
【0051】
本実施例のカバー板41は、一体に形成された円板状部41Aと円筒状部41Bを有している。円筒状部41Bには、スリーブ2の上部が圧入されるのが望ましい。スリーブ2を円筒状部41Bに挿入し、接着してもよい。
【0052】
前記各実施例の流体軸受装置では、軸35は剛性が高い鉄系材料で構成される。またスリーブ2は切削加工性が非常によく、高い加工精度が容易に得られる快削黄銅等の銅系材料で構成される。カバー板41は少なくともスリーブ2の材料よりも線膨張係数が小さい材料で作られる。一例としてカバー板41を軸35と同じような剛性が高い鉄系材料で作るのが望ましい。
【0053】
しかしながら本実施例の流体軸受装置の軸35及びスリーブ2をそれぞれ前記の材料で作ると、各材料の線膨張係数の違いから流体軸受装置が高温になると、スリーブ2が膨張する。その結果図17に示すように、軸35とスリーブ2との間の半径隙間の寸法S1が大きくなってしまう。そのため流体軸受の発生圧力が低下するとともに油膜の剛性が低下してしまうことがある。
【0054】
そこで本実施例では軸1を鉄系材料のフェライト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼(線膨張係数は1.03×10−5/℃)で構成する。またスリーブ2を銅合金(線膨張係数は2.05×10−5/℃)で構成する。またカバー板5をマルテンサイト系ステンレス鋼(線膨張係数は1.03×10−5/℃)で構成する。このように各材料を選択すると、流体軸受装置の温度が上昇したとき、カバー板41の円筒状部41Bの膨張量は少なく内径はあまり広がらない。これに対してスリーブ2はカバー板41の材料より線膨張係数の大きい材料で作られているので、温度が上昇したときスリーブ2の外径の膨張量はカバー板41の円筒状部41Bの内径の膨張量より大きい。しかしスリーブ2の外周に膨張量の少ないカバー板41の円筒状部41Bがあるため、スリーブ2の外周の熱膨張が抑制される。すなわち、スリーブ2に外周から圧力をかけてスリーブ2の内外径の拡大を抑制することができる。
【0055】
本実施例によれば高温時でもスリーブ2の内外径の熱膨張量が少なく、軸1の膨張量と大差がなくなる。そのためラジアル軸受の半径隙間の寸法S1が温度変化によって大きく変化しないようにできる。その結果、流体軸受装置の温度による性能変化が抑制される。またカバー板41の円筒状部41Bをスリーブ2の外周に固定するため、カバー板41がスリーブ2に強固に取り付けられ、軸1がスリーブ2から抜け出すおそれがなくなる。
【0056】
本実施例によれば、流体軸受装置のオイルに混入した空気が容易に排出され、従来の軸受に生じがちであった油膜切れが防止されるとともに、流体軸受装置の温度が変化したときの、軸35とスリーブ2の間の半径隙間の変化を最小限に抑制することができる。これにより温度変化のある使用環境でも高精度かつ長寿命の流体軸受装置を実現でき、この流体軸受装置を用いることで高精度かつ長寿命のディスク回転装置が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は潤滑剤の漏出を防止し、長寿命かつ高信頼を保つ流体軸受装置及びこの流体軸受装置を有するディスク回転装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【符号の説明】
【図1】本発明の第1実施例の流体軸受装置の断面図である。
【図2】本発明の第1実施例の流体軸受装置の軸及びスリーブを含む要部拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施例の流体軸受装置のフランジ3の平面図である。
【図4】本発明の第1実施例の流体軸受装置のフランジ3の底面図である。
【図5】本発明の第1実施例の流体軸受装置の動作を示す軸及びスリーブを含む要部断面図である。
【図6】本発明の第1実施例の流体軸受装置の他の動作を示す軸及びスリーブを含む要部断面図である。
【図7】本発明の第1実施例の流体軸受装置の他の動作を示す軸及びスリーブを含む要部断面図である。
【図8】本発明の第2実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを含む要部断面図である。
【図9】本発明の第3実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを含む要部断面図である。
【図10】本発明の第4実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを含む要部断面図である。
【図11】本発明の第5実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを含む要部断面図である。
【図12a】本発明の第5実施例の流体軸受装置のカバー板の斜視図である。
【図12b】本発明の第5実施例の流体軸受装置のカバー板の断面図である。
【図13】本発明の第6実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを示す要部断面図である。
【図14a】本発明の第6実施例の流体軸受装置のカバー板の斜視図である。
【図14b】本発明の第6実施例の流体軸受装置のカバー板の断面図である。
【図15】本発明の第6実施例の流体軸受装置の別のカバー板の斜視図である。
【図16】本発明の第7実施例の流体軸受装置の軸とスリーブを含む要部断面図である。
【図17】本発明の第7実施例の流体軸受装置のラジアル軸受の隙間を示す断面図である。
【図18】従来の流体軸受装置の断面図である。
【図19】従来の流体軸受装置における軸とスリーブを含む要部断面図である。
【0059】
1 軸
2 スリーブ
3 フランジ
4 スラスト板
5 カバー板
6 ベース
7 モータステータ
9 ディスク
10 スペーサ
11 クランパー
20 スリーブ
30 軸
35 軸

Claims (21)

  1. 軸が回転可能に挿入される軸受穴を有するスリーブ、
    前記軸受穴の一方の端部近傍に潤滑剤及び空気が溜まる空間である溜まり部が形成されるように前記スリーブに設けたカバー板、
    前記軸の一方の端部に固定された、一方の面が前記スリーブの前記軸受穴の他方の端部近傍の端面に対向する略円板状のフランジ、
    前記フランジの他方の面に対向し、前記スリーブの前記端面を含む領域を密閉するように設けたスラスト板、及び
    前記溜まり部と、前記フランジ及び前記スリーブの前記端面を含む前記スラスト板により密閉された領域とを連通する連通路を備え、
    前記スリーブの前記軸受穴の内周面及び前記軸の外周面の少なくとも一方に、ヘリングボーンパターン形状の第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設け、
    フランジとスラスト板のそれぞれの対向面の少なくとも一方にヘリングパターン形状の第3の動圧発生溝を設け、かつフランジと前記スリーブの前記端面とのそれぞれの対向面の少なくとも一方にヘリングボーンパターン形状の第4の動圧発生溝を設け、
    前記第1、第2、第3及び第4の動圧発生溝を含む前記軸とスリーブの間の隙間、及び前記フランジとスラスト板の間の隙間を潤滑剤で満たし、
    前記スリーブ又は軸のいずれか一方が固定ベースに取り付けられ、他方が回転体に取り付けられる
    ことを特徴とする流体軸受装置。
  2. 一方の端部に軸心に垂直なスラスト軸受面を有する軸、
    前記軸が回転可能に挿入される軸受穴を有するスリーブ、
    前記軸受穴の一方の端部近傍に潤滑剤及び空気が溜まる空間である溜まり部が形成されるように前記スリーブに設けたカバー板、及び
    前記スリーブの前記軸受穴の他方の端部を密閉し、かつ前記軸のスラスト軸受面に対向するように設けたスラスト板、及び
    前記溜まり部と、前記スラスト板により密閉された前記軸受穴の他方の端部の領域を連通する連通路を備え、
    前記スリーブの前記軸受穴の内周面及び軸の外周面の少なくとも一方に、ヘリングボーンパターン形状の第1及び第2の動圧発生溝を前記軸の軸心に沿う方向に並べて設け、
    前記スラスト軸受面とスラスト板の各対向面の少なくとも一方にヘリングボーンパターン形状の第3の動圧発生溝を設け、
    前記第1、第2及び第3の動圧発生溝を含む前記軸とスリーブの間の隙間及び前記スラスト軸受面とスラスト板との間の隙間を潤滑剤で満たし、
    前記スリーブ又は軸のいずれか一方が固定ベースに取り付けられ、他方が回転体に取り付けられる
    ことを特徴とする流体軸受装置。
  3. 前記スリーブは、前記フランジの近傍の前記スリーブの端部に形成した、直径が前記軸受穴の内径より大きい段部、及び
    前記段部を含む空間と、前記溜まり部とを連通する連通路としての連通穴を有する請求項1記載の流体軸受装置。
  4. 前記スリーブは、前記軸のスラスト軸受面の近傍の前記スリーブの端部に形成した、直径が前記軸受穴の内径より大きい段部、及び
    前記段部を含む空間と、前記溜まり部とを連通する連通路としての連通穴を有する請求項2記載の流体軸受装置。
  5. 前記軸は、他方の端部に前記軸の外径より小さい直径の細径部を有し、前記カバー板はその内径が前記細径部の直径より大きく、かつ前記軸の直径より小さいことを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  6. 前記軸は、他方の端部に前記軸の外径より小さい直径の細径部を有し、前記カバー板はその内径が前記細径部の直径より大きく、かつ前記軸の直径より小さいことを特徴とする請求項2記載の流体軸受装置。
  7. 前記第1及び第2の動圧発生溝のうち、少なくとも前記カバー板に近い方の動圧発生溝は、前記軸と前記軸受穴との間の隙間にある潤滑剤を、前記カバー板から前記フランジに向う方向に移動させるように、前記軸の軸心に垂直な面に対して非対称のヘリングボーンパターン形状になされていることを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  8. 前記第1及び第2の動圧発生溝のうち、少なくとも前記カバー板に近い方の動圧発生溝は、前記軸と前記軸受穴との間の隙間にある潤滑剤を、前記カバー板から前記スラスト軸受面に向う方向に移動させるように、前記軸の軸心に垂直な面に対して非対称のヘリングボーンパターン形状になされていることを特徴とする請求項2記載の流体軸受装置。
  9. 前記軸の軸心と、前記スリーブの軸受穴の中心軸とが一致している状態における前記軸とスリーブとの隙間で定義される半径隙間の寸法をS1で表し、前記軸とカバー板の内周との隙間の寸法をS2で表し、前記カバー板の内周端と前記スリーブの端面との隙間の寸法をS3で表し、及び前記カバー板の内周端を除く部分と前記スリーブの端面との隙間の寸法をS4で表すとき、
    隙間の寸法S1が隙間の寸法S2及びS3より小さく、かつ隙間の寸法S3が隙間の寸法S4より小さくなされていることを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  10. 前記軸の軸心と、前記スリーブの軸受穴の中心軸とが一致している状態における前記軸とスリーブとの隙間で定義される半径隙間の寸法をS1で表し、前記軸とカバー板の内周との隙間の寸法をS2で表し、前記カバー板の内周端と前記スリーブの端面との隙間の寸法をS3で表し、及び前記カバー板の内周端を除く部分と前記スリーブの端面との隙間の寸法をS4で表すとき、
    隙間の寸法S1が隙間の寸法S2及びS3より小さく、かつ隙間の寸法S3が隙間の寸法S4より小さくなされていることを特徴とする請求項2記載の流体軸受装置。
  11. 前記軸の細径部の外周と前記カバー板の内周との間の隙間の寸法をS6で表すとき、前記隙間の寸法S3が前記隙間の寸法S6より小さくなされていることを特徴とする請求項10記載の流体軸受装置。
  12. 前記カバー板は、前記潤滑剤及び空気の溜まり部と外部とを連通する少なくとも1つの通気孔を有する請求項1記載の流体軸受装置。
  13. 前記通気孔は、前記潤滑剤及び空気の溜まり部となる空間側の面に凹部を有することを特徴とする請求項12記載の流体軸受装置。
  14. 前記通気孔は、前記カバー板の円周の一部分を隆起させて、前記潤滑剤及び空気の溜まり部となる空間側の面に凹部を形成したことを特徴とする請求項12記載の流体軸受装置。
  15. 前記通気孔は、前記カバー板の内周端に設けた切欠き部であることを特徴とする請求項12記載の流体軸受装置。
  16. 前記溜まり部は、前記軸に対向する部分の隙間が、他の部分の隙間より小さくなされていることを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  17. 前記溜まり部は、前記スリーブの軸受穴の一方の端部の周囲に環状に形成した凹部、及び前記凹部を覆うカバー板により形成されることを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  18. スリーブの端部とカバー板により形成された溜まり部の前記軸に対向する部分に、空気を排出するための隙間の大きい部分を設けたことを特徴とする請求項16記載の流体軸受装置。
  19. 前記カバー板は、前記スリーブの端面及び側面を覆うように形成され、前記軸が鉄系の材料で構成され、前記スリーブが銅合金材料で構成されるとき、前記カバー板を前記スリーブを構成する銅合金材料より線膨張係数の小さい材料で構成したことを特徴とする請求項1記載の流体軸受装置。
  20. 前記連通穴が、スリーブの外周部に設けられた溝を含み、前記溝とスリーブの外周に設けられるベース板とにより前記連通穴が形成されることを特徴とする請求項3記載の流体軸受装置。
  21. 請求項1から請求項17に記載の流体軸受装置の前記軸の一方の端部に、ロータ磁石を有するロータハブを取付け、前記ロータハブに記録再生用の少なくとも1つのディスクをクランパーにより取付けたディスク回転装置。
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