JP2005147266A - 軸受ユニット、軸受ユニットを有するモータ及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 軸がハウジングから引きあげられたとき、軸受面中の潤滑油がなくなることを防止する。
【解決手段】 軸31と、軸31の周回り方向の支持を行うラジアル軸受33と、軸31のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受34と、ラジアル軸受33とスラスト軸受34とが内部に配設され、軸31が挿通される軸挿通孔を除いて密閉された構造とされるハウジング37と、ハウジング37内に充填される粘性流体38とを有するとともに、ハウジング37の内部であって、ラジアル軸受33のスラスト軸受34が設けられた一端側と対向する他端側に空間40が形成される。
【選択図】 図5
【解決手段】 軸31と、軸31の周回り方向の支持を行うラジアル軸受33と、軸31のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受34と、ラジアル軸受33とスラスト軸受34とが内部に配設され、軸31が挿通される軸挿通孔を除いて密閉された構造とされるハウジング37と、ハウジング37内に充填される粘性流体38とを有するとともに、ハウジング37の内部であって、ラジアル軸受33のスラスト軸受34が設けられた一端側と対向する他端側に空間40が形成される。
【選択図】 図5
Description
本発明は、回転軸を回転可能に支持し、あるいは軸に対し回転体を回転可能に支持する軸受ユニット、軸受ユニットを有するモータ及び電子機器に関する。
従来、回転軸を回転可能に支持する軸受ユニットとして、図24に示すように構成されたものが知られている。
図24に示す軸受ユニット100は、回転軸101を回転可能に支持するものであり、回転軸101の周回り方向の支持を行うラジアル軸受104と、このラジアル軸受104を収納したハウジング105とを備える。
この軸受ユニット100において、ラジアル軸受104は、ハウジング105に充填される粘性流体である潤滑油と共に動圧流体軸受を構成するものであって、回転軸101が挿通される内周面には、動圧を発生させるための動圧発生溝111が形成されている。
回転軸101を支持したラジアル軸受104を収納したハウジング105は、図24に示すように、円筒状に形成されたラジアル軸受104を収容して囲むような形状を有し、合成樹脂を一体成形して形成された一つの部材である。
ハウジング105は、筒状をなすハウジング本体106と、ハウジング本体106の一端側を閉塞するようにハウジング本体106と一体に形成された一端部側部分を構成する底部閉塞部107と、ハウジング本体106の他端部側を構成するハウジング本体106と一体に形成された上部閉塞部108とからなる。このように構成されたハウジング105は、筒状をなすラジアル軸受104を取り囲むようにして合成樹脂材料をアウトサート成型することにより、ラジアル軸受104がハウジング本体106の内周側に配されて一体に形成される。
上部閉塞部108の中央部には、ハウジング105に収納されたラジアル軸受104に回転自在に支持された回転軸101が挿通される軸挿通孔109が設けられている。底部閉塞部107の内面側の中央部には、ラジアル軸受104に支持された回転軸101のスラスト方向の一端部に設けた軸受支持部102を回転可能に支持するスラスト軸受110が一体に形成されている。
スラスト軸受110は、円弧状若しくは先端先細り状に形成された回転軸101の軸受支持部102を点で支持するピボット軸受として形成されている。
軸受支持部102と軸部本体103との間には、ワッシャ等の抜け止め部材115が設けられている。抜け止め部材115は、回転軸101がハウジング105から抜け出てしまうことを防止する。
ところで、軸挿通孔109は、この軸挿通孔109に挿通された回転軸101が軸挿通孔109の内周面に摺接することなく回転するように、軸部本体103の外形よりやや大きな内径をもって形成されている。このとき、軸挿通孔109は、その周面と軸部本体の外周面との間にハウジング内に充填された潤滑油113がハウジング105内から漏れを防止するに足る間隔x5の空隙112を有するように形成される。
回転軸101の軸挿通孔109の内周面と対向する外周面には、テーパ部114が設けられている。このテーパ部114は、回転軸101の外周面と軸挿通孔109の内周面との間に形成される空隙112をハウジング105の外方に向かって拡大させるように傾斜されている。このテーパ部114は、回転軸101の外周面と軸挿通孔109の内周面との間に形成される空隙112に圧力勾配を形成し、ハウジング105内に充填された潤滑油113をハウジング105の内部に引き込む力が発生する。回転軸101の回転時に、潤滑油113がハウジング105の内部に引き込まれるようになるので、動圧流体軸受により構成されたラジアル軸受104の動圧発生溝111に潤滑油113が確実に浸入して動圧を発生させ、回転軸101の安定した支持が実現され、しかもハウジング105に充填された潤滑油113の漏洩を防止できる。
図24に示すように構成された軸受ユニット100は、回転軸101の露出が軸挿通孔109側の一端のみで、軸挿通孔109の僅かな間隙以外は、ハウジング部材によりシームレスに覆われている。よって、この軸受ユニット100は、潤滑油113のハウジング105外部への漏出を防止できるものである。また、外部との連通部分も軸挿通孔109の間隙のみであるので、衝撃による潤滑油の飛散を防止できる。更に、軸受ユニット100は、抜け止め部材115により回転軸101がハウジング105から脱落することを防止できる。
しかしながら、上述した軸受ユニット100は、回転軸101がラジアル軸受104と抜け止め部材115の隙間x3、抜け止め部材115と回転軸101との隙間x4の空間分上下に移動可能な構造となっている。この隙間x3,x4は、回転軸101が回転するとき、ハウジング105側に支持されている抜け止め部材115と接触することで、回転軸101の回転性能に悪影響を及ぼさないように決定されている。
このように、回転軸が隙間x3,x4の空間分だけ上昇すると潤滑油113の液面は、回転軸が潤滑油の液面から移動した体積分だけ下がる。このとき、空気が軸挿通孔109から軸受ユニットの内部に入り込み、ラジアル軸受104と回転軸101の軸部本体103との隙間の潤滑油113がない状態となり、軸受ユニットの回転性能に支障を来したり、入り込んだ空気が温度や気圧の影響により膨張し潤滑油がユニットの外部に漏れてしまうことがある。
このことを防止するために、ラジアル軸受104の上端面からハウジング105の上端面の寸法x6を長くして、潤滑油の量を充分に確保することが考えられるが、軸受ユニットの高さ寸法が大きくなってしまう。また、軸挿通孔109と回転軸101の外形の間隔x5を広くして、潤滑油の量を充分に確保するという方法も考えられるが、間隔x5を広くすることにより、ユニットを横向き姿勢で使用するときや振動衝撃により潤滑油が漏洩してしまうおそれがある。
本発明の目的は、軸がハウジングから引き上げられたとき、ハウジング内部に充填されている潤滑油の液面が低下し、ラジアル軸受と軸との間の潤滑油中に空気が混入したり、ラジアル軸受と軸との間の潤滑油がなくなることを防止し、良好な潤滑を得ることができる軸受ユニット、軸受ユニットを有するモータ及び電子機器を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明に係る軸受ユニットは、軸と、軸の周回り方向の支持を行うラジアル軸受と、軸のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受と、ラジアル軸受とスラスト軸受とが内部に配設され、軸が挿通される軸挿通孔を除いて密閉された構造とされるハウジングと、ハウジング内に充填される粘性流体とを有するとともに、ハウジングの内部であって、ラジアル軸受のスラスト軸受が設けられた一端側と対向する他端側に空間が形成される。
以上のように、本発明に係る軸受ユニットでは、ハウジングの内部であって、ラジアル軸受のスラスト軸受が設けられた一端側と対向する他端側、即ち、ラジアル軸受の軸挿通孔側に空間が形成され、この空間に粘性流体が充填されている。したがって、軸がハウジングから引き上げられたとき、潤滑油の液面は低下するが、空間部分に充填された潤滑油の存在により、ラジアル軸受と軸との間の軸受面の潤滑油がなくなってしまうことはない。よって、軸が引きあげられたとき、潤滑油内部に空気が混入することもなく、その空気により潤滑油が押し出されて漏洩することはない。
上述したような目的を達成するために提案される本発明に係るモータは、ステータに対してロータを回転可能に支持する軸受ユニットを有するモータであり、このモータに用いる軸受ユニットとして、上述したようなものを用いたものである。
更に、上述したような目的を達成するために提案される本発明に係る電子機器は、ステータに対してロータを回転可能に支持する軸受ユニットを有するモータを備えるものであり、この軸受ユニットとして、上述したようなものを用いたものである。
本発明によれば、ハウジングの内部のラジアル軸受の軸挿通孔側に潤滑油を充填し、貯留するための空間を形成したので、軸がハウジングから引き上げられたとき、潤滑油の液面の低下をその空間部が形成された領域内に抑制することができ、潤滑油の液面がラジアル軸受の軸受面まで低下することを防止できる。よって、ラジアル軸受と軸との間に充填された潤滑油に空気が混入することを防止でき、ラジアル軸受と軸との間の潤滑油を確実に保持することができる。
また、本発明によれば、長時間にわたってラジアル軸受と軸との間の潤滑油を確実に保持することができるので、良好な潤滑性能及び回転性能を維持することができる。
以下、本発明を適用した情報処理装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明を適用した情報処理装置は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、情報処理の結果等を表示する表示部2と、各種の情報の演算処理を行う情報処理部を内蔵したコンピュータ本体3とを備えている。コンピュータ本体3の上面側には、コンピュータ1の動作指令を入力し、あるいは各種の情報の入力するためのキーボード5が設けられ、その内部には放熱装置4が設けられている。放熱装置4は、コンピュータ本体3の内部に配設されたCPU等の情報処理回路やディスク装置等から発生する熱をコンピュータ本体3の外部に放熱し、コンピュータ本体3の内部を冷却する冷却装置としても機能する。
コンピュータ本体3に内蔵される放熱装置4は、図2に示すように、コンピュータ本体を構成する筐体6内に収納されている。放熱装置4は、図3に示すように、金属製のベース7と、このベース7に取り付けられたモータ10と、このモータ10によって回転操作されるファン8と、ファン8を収納したファンケース9と、ヒートシンク11を有している。
ベース7は、図3に示すように、略L字状に形成されている。略L字状に形成されたベース7の一端側の一方の面7aには、CPU(中央処理装置)の如く通電されて駆動することによって発熱する発熱素子12が取り付けられている。発熱素子12は、熱伝達シール12aを介してベース7の一方の面7a側に取り付けられている。
ベース7の一方の面7a側の略中央部には、モータ10が取り付けられると共に、このモータ10によって回転操作されるファン8を収納するファンケース9が取り付けられている。ファンケース9には、モータ10によって回転されるファン8の中央部に対応する位置を開放する円形の吸気口13が設けられている。筐体6の底面側のファンケース9に設けた吸気口13に対向する位置には、この吸気口13に連通するように開口14が設けられている。更に、ファンケース9には、吸気口13から吸引したエアーを外部に排気するするための排気口15が設けられている。
ベース7の他端側の一方の面7aには、ヒートシンク11が固定されている。ヒートシンク11は、コルゲート状若しくはフィン状のヒートシンクであり、放熱性に優れた金属、例えばアルミニウムにより作製されている。ベース7及びファンケース9も、放熱性に優れた金属であるアルミニウムや鉄により作製することが望ましい。
発熱素子12が取り付けられ、この発熱素子12から発生する熱を放熱する放熱装置4及びヒートシンク11を取り付けたベース7には、筐体6内に取り付けられるときに用いられるねじが挿通される複数の取付孔7bが設けられている。ベース7は、取付孔7bに挿通される固定用のねじを、図2に示すように筐体6の内部に設けたボス16に固定することによって、筐体6内に取り付けられる。
ヒートシンク11は、ベース7が筐体6内に取り付けられたとき、図2及び図3に示すように、筐体6の側面に設けた貫通口17に対向する位置に配置される。
上述したように構成された放熱装置4は、モータ10が駆動され、ファン8がモータ10により図3中矢印R1方向に回転されると、筐体6に設けた開口14を介して装置外部のエアーを図2及び図3中矢印D1方向に吸引し、更に吸気口13を介してファンケース9内に吸引する。ファン8の回転によってファンケース9内に吸引されたエアーは、図2及び図3中矢印D2方向に流通し、更にヒートシンク11中を流通するように図3中矢印D3方向に流通し、貫通口17を介して筐体6の外部に排気される。
ところで、ベース7に取り付けられた発熱素子12が駆動されて発生する熱は、放熱性に優れた金属により形成されたベース7を介して、このベース7に取り付けられたヒートシンク11に伝達される。このとき、放熱装置4のファン8がモータ10により回転され筐体6の外部から吸引されたエアーが、ヒートシンク11の複数のフィン中を流通することにより、ヒートシンク11に伝達されている熱をし、貫通口17を介して筐体6の外部に放熱する。
この放熱装置に用いられる本発明を適用したモータ10は、図4に示すように、ロータ18とステータ19とを備える。
ステータ19は、モータ10と共にこのモータ10によって回転されるファン8を収納したファンケース9の上面板9a側に一体に設けられている。ステータ19は、ステータヨーク20と、本発明を適用した軸受ユニット30と、コイル21とこのコイル21が巻回されるコア22とを備える。ステータヨーク20は、ファンケース9の上面部9aと一体に形成されたもの、即ち、ファンケース9の一部によって構成したものでもよく、別体に形成したものであってもよい。ステータヨーク20は、例えば鉄により形成されている。軸受ユニット30は、ステータヨーク20の中心部に筒状に形成されたホルダー23中に圧入若しくは接着、更には圧入と共に接着により固定されている。
なお、軸受ユニット30が圧入されるホルダー23は、ステータヨーク20と一体に円筒状に形成されている。
ステータヨーク20に一体に形成されたホルダー23の外周部には、図4に示すように、駆動電流が供給されるコイル21が巻回されたコア22が取り付けられている。
ステータ19と共にモータ10を構成するロータ18は、軸受ユニット30に回転可能に支持された回転軸31に取り付けられ、回転軸31と一体に回転する。ロータ18は、ロータヨーク24と、このロータヨーク24と一体に回転する複数の羽根25を有するファン8とを有する。ファン8の羽根25は、ロータヨーク24の外周面にアウトサート成型することにより、ロータヨーク24と一体に形成される。
ロータヨーク24の筒状部24aの内周面には、ステータ19のコイル21と対向するように、リング状のロータマグネット26が設けられている。このマグネット26は、周回り方向にS極とN極が交互に着磁されたプラスチックマグネットであり、接着剤によりロータヨーク24の内周面に固定されている。
ロータヨーク24は、軸受ユニット30に支持された回転軸31の先端側に設けた取付部32に、平板部24bの中心部に設けた貫通孔27aが設けられたボス部27を圧入することによって回転軸31と一体に回転可能に取り付けられる。
上述のような構成を備えたモータ10は、ステータ19側のコイル21に、モータ10の外部に設けた駆動回路部から所定の通電パターンにより駆動電流が供給されると、コイル21に発生する磁界とロータ18側のロータマグネット26からの磁界との作用によって、ロータ18が回転軸31と一体に回転する。ロータ18が回転することにより、このロータ18に取り付けられた複数の羽根25を有するファン8もロータ18と一体に回転する。ファン8が回転されることにより、筐体6に設けた開口14を介して装置外部のエアーが図2及び図3中矢印D1方向に吸引され、更に矢印D2方向に流通し、ヒートシンク11中を流通しながら貫通口17を介して筐体6の外部に排気されることにより、発熱素子12から発生する熱をコンピュータ本体3の外部に放熱し、コンピュータ本体3内を冷却する。
上述したモータ10の回転軸31を回転自在に支持する軸受ユニット30は、図4及び図5に示すように、回転軸31の周回り方向の支持を行うラジアル軸受33と、回転軸31のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受34が一体に形成された第1の空間形成部材35と、ラジアル軸受33のスラスト軸受34が設けられた一端側33aと対向する他端側33bに設けられる第2の空間形成部材36と、このラジアル軸受33、第1の空間形成部材35及び第2の空間形成部材36を収納したハウジング37とを備える。
ラジアル軸受33は、焼結メタルにより円筒状に形成されている。ラジアル軸受33は、ハウジング37に充填される粘性流体である潤滑油38と共に動圧流体軸受を構成するものであって、回転軸31が挿通される内周面には、動圧発生溝39が形成されている。
動圧発生溝39は、図6に示すように、ラジアル軸受33の内周面にV字状をなす一対の溝39aを周回り方向に連結溝39bにより連続するように形成して構成されている。動圧発生溝39は、V字状をなす一対の溝39aの先端側が回転軸31の回転方向R2に向くように形成されている。本例にあっては、動圧発生溝39は、円筒状をなすラジアル軸受33の軸方向に上下に並列して一対形成されている。ラジアル軸受33に設けられる動圧発生溝の数や大きさは、ラジアル軸受33の大きさや長さ等により適宜選択される。なお、このラジアル軸受33は、真鍮、ステンレス又は高分子材料でもよい。
動圧流体軸受として形成されたラジアル軸受33は、このラジアル軸受33に挿通された回転軸31が、中心軸CLを中心に図6中矢印R2方向に連続して回転すると、ハウジング37内に充填された潤滑油38が動圧発生溝39内を流通し、回転軸31の外周面とラジアル軸受33の内周面との間に動圧を発生させて回転する回転軸31を支持する。このとき発生する動圧は、回転軸31とラジアル軸受33との間の摩擦係数を極めて小さくするものであって、回転軸31の円滑な回転を実現する。
回転軸31のスラスト方向の一端側に設けられた第1の空間形成部材35は、図5に示すように、回転軸31の下部、即ち、閉塞される側の一端を囲むように形成され、例えば合成樹脂により形成されている。この第1の空間形成部材35の内側には、潤滑油が回転軸31の軸受支持部31aの周囲に充填される。
第1の空間形成部材35の底面部の内面側の中央部には、ラジアル軸受33に支持された回転軸31のスラスト方向の一端側に設けた軸受支持部31aを回転可能に支持するスラスト軸受34が一体に形成されている。スラスト軸受34は、第1の空間形成部材35を樹脂により形成し、スラスト軸受34として共用している。スラスト軸受34は、円弧状若しくは先端先細り状に形成された回転軸31の軸受支持部31aを点で支持するピボット軸受として形成されている。
第2の空間形成部材36は、ラジアル軸受33のスラスト軸受34が設けられた一端側33aと対向するラジアル軸受33の他端側33bを囲むように形成され、例えば合成樹脂により形成されている。即ち、第2の空間形成部材36は、ラジアル軸受33の上部、即ち、ラジアル軸受33の回転軸31が開放される側に形成される。第2の空間形成部材36は、段部36aを有しており、ラジアル軸受33の他端側33bとの間に潤滑油38を充填可能で、貯留可能な空間40を形成する。また、第2の空間形成部材36の中央部には、ラジアル軸受33に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔41が設けられている。
空間40は、回転軸31がハウジング内部から引きあげられたときにラジアル軸受33と回転軸31との間の軸受面に充填された潤滑油がなくなることを防止する体積とされる。換言すると、空間40の容積は、回転軸31がハウジング37に対してスラスト方向に移動可能な距離だけ移動したときの、回転軸31がハウジング37内部の潤滑油38中から引きあげられ移動する体積分より大きい体積とされる。
即ち、軸受ユニット30には、回転軸31がハウジング37から飛び出すことを防止するために、後述する軸抜け止め部材であるワッシャ46が設けられている。軸受ユニット30は、回転中にラジアル軸受33とワッシャ46又は回転軸31とワッシャ46とが接触してしまうと、軸受ユニットの運転性能、即ち、回転性能に支障を来すため、この軸受ユニット30には、ラジアル軸受33とワッシャ46との間に間隙x1及び回転軸31とワッシャ46との間に間隙x2が設けられている。この軸受ユニット30は、組立時にこの回転軸31を持ち上げること又は、衝撃等により回転軸が上方に持ち上がってしまうことにより、回転軸31がハウジング37からx1とx2とを加えた分だけ引きあげられることがある。このとき、回転軸31がハウジング37中の潤滑油38から引きあげられた分だけ、潤滑油38の液面が下がる。すなわち、潤滑油38中に浸漬されていた回転軸31の移動した部分に潤滑油38が流れこむことにより、潤滑油38の液面が低下する。従来の軸受ユニットでは、回転軸がハウジングから引きあげられたとき、この潤滑油の液面がラジアル軸受と回転軸の軸受面まで又は軸受面より下まで下がってしまう、若しくは、潤滑油の液面が下がったときに、ラジアル軸受と回転軸の軸受面に空気が混入してしまう等の問題が発生し、また、このことにより動圧粒体軸受としての性能を発揮できない問題が発生していた。更に、ラジアル軸受と回転軸の軸受面に混入した空気は、運転中に、膨張し、潤滑油を押し出してしまう等の問題が発生するおそれがある。
ここで、空間40は、ラジアル軸受33より上方に設けられているので、回転軸31が持ち上げられた潤滑油38の液面が低下されたときに、図7に示すように、潤滑油38の液面をこの空間内の範囲に抑えることができるので、ラジアル軸受33と回転軸31の軸受面の潤滑油がなくなってしまうことや、この軸受面の潤滑油中に空気が混入することを防止することができる。
なお、第1の空間形成部材35及び第2の空間形成部材36は、樹脂製としたが、金属製でもよく、更に、樹脂及び金属の組合せでもよく、材質に制限はない。例えば、空間形成部材に用いられる樹脂材料としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール等のフッ素系の合成樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、ナイロン等の合成樹脂、更には、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)などの合成樹脂を用いてもよい。
ラジアル軸受33、第1の空間形成部材35及び第2の空間形成部材36を収納したハウジング37は、図5に示すように、ラジアル軸受33、第1の空間形成部材35及び第2の空間形成部材36を収容して囲むような形状を有し、合成樹脂を一体成形して形成された一つの部材である。
ハウジング37は、図5に示すように、筒状をなすハウジング本体42と、ハウジング本体42の一端側を閉塞するようにハウジング本体42と一体に形成された一端部側部分を構成する底部閉塞部43と、ハウジング本体42の他端部側を構成するハウジング本体42と一体に形成された上部閉塞部44とからなる。上部閉塞部44の中央部には、ハウジング37に収納されたラジアル軸受33に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔45が設けられている。
上述のように構成されたハウジング37は、ラジアル軸受33、第1の空間形成部材35及び第2の空間形成部材36を包むようにして合成樹脂材料をアウトサート成型することにより、ラジアル軸受33、第1の空間形成部材35及び第2の空間形成部材36がハウジング本体42の内周側に配されて一体に形成される。
このとき、ラジアル軸受33の外周面の一部は、第1の空間形成部材35と第2の空間形成部材36との間で、外部に臨まされているので、アウトサート成型されるハウジング37と一体化される。
ハウジング37を構成する合成樹脂材料は、特に限定されるものではないが、ハウジング37内に充填される潤滑油38を弾く潤滑油38に対する接触角を大きくするような材料を用いることが望ましい。ハウジング37には、潤滑性に優れた合成樹脂材料を用いることが好ましい。例えば、ハウジング37は、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール等のフッ素系の合成樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、ナイロン等の合成樹脂を用いて形成することが好ましい。更には、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)などの合成樹脂を用いてもよい。更にまた、極めて高精度の成形が可能な液晶ポリマーによって形成する。特に、ハウジング37として液晶ポリマーを使用する場合は、潤滑油を保持し、耐摩耗性に優れる。
ハウジング37内に配設されたラジアル軸受33及びハウジング37と一体に設けられたスラスト軸受34によって回転自在に支持される回転軸31は、軸部本体31bのスラスト軸受34によって支持される軸受支持部31aを円弧状若しくは先端先細り状に形成し、他端側に回転体である例えばモータ10のロータ18が取り付けられる取付部32が設けられている。ここで、軸部本体31bと取付部32は、同径に形成されている。
回転軸31は、図5に示すように、一端側の軸受支持部31aをスラスト軸受34によって支持され、軸部本体31bの外周面をラジアル軸受33により支持され、他端側に設けた取付部32側をハウジング本体42の上部閉塞部44に設けた軸挿通孔45から突出されてハウジング37に支持されている。
また、回転軸31には、軸受支持部31aと軸部本体31bの間に、軸抜け止め用の溝部31cが設けられている。この軸抜け止め用溝部31cと対応するように、第1の空間形成部材35には、軸抜け止め部材としてワッシャ46が設けられている。軸抜け止め用溝部31cとワッシャ46とを係合させることにより、組み付け時のハンドリングが向上する。このワッシャ46は、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド材等の高分子材料や、ステンレス、りん青銅などの金属からなる。
ところで、軸挿通孔45は、この軸挿通孔45に挿通された回転軸31が軸挿通孔45の内周面に摺接することなく回転するように、軸部本体31bの外径よりやや大きな内径をもって形成されている。このとき、軸挿通孔45は、その内周面と軸部本体31bの外周面との間にハウジング37内に充填された潤滑油38がハウジング37内から漏れを防止するに足る間隔cの空隙47を有するように形成される。このように、回転軸31との間にハウジング37内に充填された潤滑油38の漏れを防止するようにした空隙47が形成されるように軸挿通孔45を形成した上部閉塞部44は、オイルシール部を構成している。
ハウジング37に一体に形成された上部閉塞部44は、ポリイミド、ポリアミドあるいはナイロンなどの合成樹脂により形成されているので、軸挿通孔45の内周面の潤滑油38に対する接触角として60度程度が確保できる。本発明を適用した軸受ユニット30は、オイルシール部を構成する軸挿通孔45の内周面を含んで上部閉塞部44に、界面活性剤を塗布することなく潤滑油38の上部閉塞部44に対する接触角を大きくすることができるので、回転軸31が回転することによって発生する遠心力により潤滑油38が軸挿通孔45を介してハウジング37の外部へ移動することを防止できる。
更に、回転軸31の軸挿通孔45の内周面と対向する外周面には、テーパ部48が設けられている。テーパ部48は、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間に形成される空隙47をハウジング37の外方に向かって拡大させるように傾斜されている。このテーパ部48は、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面とによって形成される空隙47に圧力勾配を形成し、ハウジング37内に充填された潤滑油38をハウジング37の内部に引き込む力が発生する。回転軸31の回転時に、潤滑油38がハウジング37の内部に引き込まれるようになるので、動圧流体軸受により構成されたラジアル軸受33の動圧発生溝39に潤滑油38が確実に浸入して動圧を発生させ、回転軸31の安定した支持が実現され、しかもハウジング37に充填された潤滑油38の漏洩を防止できる。
本発明を適用した軸受ユニット30において、動圧流体軸受を構成するラジアル軸受33に設けた動圧発生溝39に浸入して動圧を発生させる潤滑油38は、図5及び図8に示すように、ハウジング37内から回転軸31に形成されたテーパ部48と軸挿通孔45の内周面とによって形成された空隙47に臨むように充填される。即ち、潤滑油38は、ハウジング37内の隙間に充填され、更に燒結金属からなるラジアル軸受33に含浸される。
ここで、回転軸31に形成されたテーパ部48と軸挿通孔45の内周面との間に間に形成された空隙47について説明する。この空隙47の最小の間隔は、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面とに間に形成される間隔cに相当し、この間隔cは20μm〜200μmが好ましく、100μm程度が最も好ましい。間隔cが20μmよりも小さいと、軸受ユニット30のハウジング37を合成樹脂により一体成形で作る際の成形精度を確保することが難しい。空隙47の間隔cが200μmよりも大きいと、軸受ユニット30に衝撃が加えられたとき、ハウジング37に充填された潤滑油38がハウジング37の外部に飛散してしまう耐衝撃性が低下してしまう。
ハウジング37に充填された潤滑油38が衝撃によりハウジング37の外部に飛散する耐衝撃性Gに関しては、下記の式(1)に示すように、
G=(12γcosβ/2ρc2)/g ・・・(1)
で表される。
G=(12γcosβ/2ρc2)/g ・・・(1)
で表される。
ここで、γ:潤滑油の表面張力
β:潤滑油の接触角
ρ:潤滑油の密度
c:回転軸と軸挿通孔との間の間隔
g:自然落下加速度
である。
β:潤滑油の接触角
ρ:潤滑油の密度
c:回転軸と軸挿通孔との間の間隔
g:自然落下加速度
である。
式(1)より、耐衝撃性Gは、空隙47の間隔cの2乗に反比例する。
また、熱膨張による油面上昇量hは、下記の式(2)式に示すように、
h=VαΔt/2πRc ・・・(2)
で示される。
h=VαΔt/2πRc ・・・(2)
で示される。
ここで、V :潤滑油充填量、
α :熱膨張係数
Δt:温度変化量
R :軸半径
である。
α :熱膨張係数
Δt:温度変化量
R :軸半径
である。
式(2)より、油面上昇量hは、間隔cの大きさに反比例するので、間隔cを狭くすれば、耐衝撃性Gは向上するが、温度の上昇による潤滑油38の油面高さhの上昇は激しくなり、軸挿通孔45の軸方向の厚さが必要になってしまう。
計算によれば、直径2mm〜直径3mmの軸径の回転軸31を有する軸受ユニット30では、回転軸31と軸挿通孔45との間に形成される空隙47の間隔cを100μm程度とし、軸挿通孔45の高さH1、即ちハウジング37の上部閉塞部44の厚みが1mm程度であると、耐衝撃性は1000G以上であり、耐温度特性80℃に耐えることができ、ハウジング37内に充填した潤滑油38の飛散を防止した信頼性の高い軸受ユニット30を構成できる。
更に、本発明を適用した軸受ユニット30は、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面とに間に形成される空隙47の間隔cをハウジング37の外方に向かって拡大させるように傾斜させたテーパ部48が設けられるので、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面とによって形成される空隙47の間隔cに圧力勾配が形成され、回転軸31が回転したときに発生する遠心力により、ハウジング37内に充填された潤滑油38をハウジング37の内部に引き込む力が発生する。
即ち、本発明を適用した軸受ユニット30において、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面とに間に形成される空隙47は、表面張力シールにより、潤滑油38の飛散を防止している。
ここで表面張力シールについて説明する。表面張力シールは、流体の毛細管現象を利用したシール方法である。図9に示すような毛細管による液体の上昇高さh1は、下記のように求められる。
2πrγcosθ=mg ・・・(3)
mは、下記の式(4)で表される。
mは、下記の式(4)で表される。
m=πr2hρ ・・・(4)
ここで、m:管内のhの範囲の流体質量
r:毛細管半径
γ:粘性流体の表面張力
θ:粘性流体の接触角
ρ:粘性流体の密度
g:重力加速度
である。
ここで、m:管内のhの範囲の流体質量
r:毛細管半径
γ:粘性流体の表面張力
θ:粘性流体の接触角
ρ:粘性流体の密度
g:重力加速度
である。
式(3)、式(4)より下記の式(5)が導き出される。
h=2γcosθ/rρg ・・・(5)
一般的に、圧力Pと流体高さとの関係は下記の式(6)で表される。
一般的に、圧力Pと流体高さとの関係は下記の式(6)で表される。
P=ρgh ・・・(6)
ここで式(5)、式(6)から圧力Pは、式(7)のように得ることができる。
ここで式(5)、式(6)から圧力Pは、式(7)のように得ることができる。
P=2γcosθ/r ・・・(7)
式(7)において、圧力Pは流体を引き込む引き込み圧力を意味する。式(7)より引き込み圧力Pは、毛細管が細い程大きくなる。
式(7)において、圧力Pは流体を引き込む引き込み圧力を意味する。式(7)より引き込み圧力Pは、毛細管が細い程大きくなる。
上述した説明は、毛細管の断面形状が円形のときの式であるが、本発明を適用した軸受ユニット30は、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面とに間に形成される空隙47に浸入した潤滑油38は、図10に示す円環状となっている。この場合の液体としての潤滑油38の上昇高さh1は、下記の式(8)に示すように求められる。
2π(R+r)γcosθ=mg ・・・(8)
mは、下記の式(9)で表される。
mは、下記の式(9)で表される。
m=π(R2−r2)hρ ・・・(9)
式(8)、式(9)から下記の式(10)が得られる。
式(8)、式(9)から下記の式(10)が得られる。
h1=(2γcosθ)/((R−r)ρg) ・・・(10)
(R−r)を回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面とに間に形成される空隙47の間隔cとすると、式(10)は式(11)に示すようになる。
(R−r)を回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面とに間に形成される空隙47の間隔cとすると、式(10)は式(11)に示すようになる。
h=(2γcosθ)/(cρg) ・・・(11)
よって、潤滑油38の断面形状が円環状であった場合は、引き込み圧力は式(12)に示すように表される。
よって、潤滑油38の断面形状が円環状であった場合は、引き込み圧力は式(12)に示すように表される。
P=2γcosθ/c ・・・(12)
ここで、具体的な計算例を示す。
ここで、具体的な計算例を示す。
回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面とに間に形成される空隙47の間隔cを0.02cm(0.2mm)、粘性流体の表面張力γを30dyn/cm2、潤滑油38の接触角θを15°としたとき、引き込み圧力は式(13)より2.86×10−3気圧(atm)となる。
P=2×30×cos15°/0.02=3.00×103dyn/cm2
=2.86×10−3気圧(atm) ・・・(13)
上記式(12)により、引き込み圧力Pは、空隙47の間隔cが狭いほど増大する。よって、回転軸31にテーパ部48を設けることは、粘性流体としての潤滑油38を空隙47の間隔cが狭い方向、即ちハウジング37の内部方向へと引き込むことを可能とする。
=2.86×10−3気圧(atm) ・・・(13)
上記式(12)により、引き込み圧力Pは、空隙47の間隔cが狭いほど増大する。よって、回転軸31にテーパ部48を設けることは、粘性流体としての潤滑油38を空隙47の間隔cが狭い方向、即ちハウジング37の内部方向へと引き込むことを可能とする。
例えば、図11のように、回転軸31に設けたテーパ部48の径の異なる部分t1及びt2での引き込み圧力P1、P2は、t1の部分における回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間隔c1とt2の部分における回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間隔c2の関係が、c1<c2であるので、式(12)により、P1>P2であり、潤滑油38のハウジング37内部への引き込み圧力Pは、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間に形成される空隙47の間隔cが狭い程増大することがわかる。
このように、ハウジング37に充填した潤滑油38のハウジング37外部への漏れを防止するシール部を構成する回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間に形成される空隙47の間隔cがハウジング37の内方に向かって小さくなるようなテーパ部48を設けることにより、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面とによって形成される空隙47に位置する潤滑油38に圧力勾配を生じさせる。即ち、潤滑油38に付与される圧力勾配は、空隙47の間隔cが小さくなるハウジング37の内方に向かって大きくなる。潤滑油38にこのような圧力勾配が発生することにより、潤滑油38は、常時ハウジング37の内方に引き込まれる圧力Pが作用してしているので、回転軸31が回転した場合であっても、空隙47に存在する潤滑油38中に空気を巻き込むようなことがない。
上述したようなテーパ部48を設けない場合、即ち、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間の空隙47の間隔cが、図12に示すように、軸挿通孔45の高さ方向で一定である場合には、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間の空隙47に浸入した潤滑油38に圧力勾配が発生しないので、潤滑油38は空隙47中に均一に存在する。即ち、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間の間隔cを狭めることによってシール部として機能する空隙47に浸入した潤滑油38は、回転軸31の回転によって空隙47内を移動して空気Eを巻き込んでしまうことがある。このように、潤滑油38中に空気Eを巻き込むと、温度変化、気圧変化等により空気が膨張し、潤滑油38をシール部を構成する空隙47からハウジング37の外部に飛散してしまう。
これに対して、本発明を適用した軸受ユニット30のように、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間に形成される空隙47の間隔cがハウジング37の内方に向かって小さくなるようなテーパ部48を設けることにより、空隙47に浸入した潤滑油38に、ハウジング37の内方に向かって圧力が大きくなるに圧力勾配が発生するので、回転軸31が回転したとき、潤滑油38中に空気Eを巻き込むことを防止できる。
更に、上述したようなテーパ部48を設けることは、ハウジング37に設けた軸挿通孔45に対し回転軸31が偏芯した際にも、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間に形成される空隙47に浸入した潤滑油38のハウジング37の外方への飛散を防止できるばかりか、回転軸31の全周に亘って潤滑油38を浸入させることができ、回転軸31周囲の潤滑油38が切れることを防止でき、回転軸31の安定した回転を保証できる。
ハウジング37に設けた軸挿通孔45に対し回転軸31が偏芯した際に、上述したようなテーパ部48が設けられていない場合には、図13に示すように、潤滑油38は、回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間の間隔cが狭い方へと集中し、その反対側の間隔cの広い部分では潤滑油38が切断され、空気Eを巻き込んでしまう。潤滑油38中に空気Eが巻き込まれると、温度変化、気圧変化等により空気Eが膨張し、潤滑油38をシール部を構成する空隙47からハウジング37の外部に飛散してしまう。
これに対し、本発明を適用した軸受ユニット30のように、回転軸31にテーパ部48を設けることにより、ハウジング37に設けた軸挿通孔45に対し回転軸31が偏芯した際にも、図14に示すように、偏心した回転軸31が回転する楕円軌道上に必ず同じ間隔cの空隙47が存在し、その楕円軌道上での回転軸31の外周面と軸挿通孔45の内周面との間に形成される空隙47の間隔cは、図15に示すように回転軸31の全周に亘って一定となるので、潤滑油38が間隔cの狭い方へと集中するような現象が発生しないので、潤滑油38の空隙47、ひいてはハウジング37内からの放出を防止することが可能となる。
上述した軸受ユニット30は、テーパ部48を回転軸31側に設けているが、図16に示すように、ハウジング37側の軸挿通孔45の内周面にテーパ部48を設けるようにしてもよい。
上述したように構成された本発明を適用した軸受ユニット30を製造する工程を説明する。
本発明を適用した軸受ユニット30を製造するには、ラジアル軸受33の外側の一端側に第1の空間形成部材35、他端側に第2の空間形成部材36を取り付けることで仮組立をする。ラジアル軸受33及び第1の空間形成部材35は、仮組立するとき、図17に示すように、第1の空間形成部材35に、回転軸31の軸抜け止め手段であるワッシャ46を取り付ける。次に、動圧流体軸受であるラジアル軸受33に、第1の空間形成部材35及び第2の空間形成部材36を取り付ける。
次に、仮組立したラジアル軸受33、第1の空間形成部材35及び第2の空間形成部材36を金型に取り付け、図18に示すように、この仮組立したラジアル軸受33、第1の空間形成部材35及び第2の空間形成部材36の外周囲に上述した何れかの合成樹脂をアウトサート成型してハウジング37を形成する。このとき、第1の空間形成部材35及び第2の空間形成部材36は、ハウジング37がアウトサート成型されるとき、ハウジング37の内部に一体化され、筒状のハウジング本体42の上下に一体的に形成された上部閉塞部44と底部閉塞部43とによって挟持され、その取付位置が固定される。また、ラジアル軸受33は、ハウジング37がアウトサート成型されるとき、第1の空間形成部材35と第2の空間形成部材36との間の部分で、ハウジング37に一体化され、筒状のハウジング本体42の上下に一体的に形成された上部閉塞部44と底部閉塞部43とによって挟持され、その取付位置が固定される。
このとき、第2の空間形成部材36とラジアル軸受33との間の空間40には、ハウジング37がアウトサート成型されるとき、第2の空間形成部材36に遮断されているので、合成樹脂が流入することはない。更に、第1の空間形成部材35とラジアル軸受33との間の空間には、ハウジング37がアウトサート成型されるとき、第1の空間形成部材36に遮断されているので、合成樹脂が流入することはない。
次に、図19に示すように、回転軸31を上部閉塞部44に設けた軸挿通孔45に挿通してハウジング37内に挿入する。このとき、回転軸31は、軸受支持部31aをスラスト軸受34に当接させてラジアル軸受33に挿通させてハウジング37内に挿入される。スラスト軸受34及びラジアル軸受33によって支持された回転軸31は、ハウジング37内で回転可能に支持される。回転軸31がハウジング37内に挿入されるとき、第1の空間形成部材35に配置されたワッシャ46は、軸受支持部31aに押圧され、スラスト方向に撓むことにより、軸受支持部31aを挿入させる。回転軸31は、軸受支持部31aがワッシャ46を挿通し、軸抜け止め用溝部31cがワッシャ46の内側に位置したところで、ハウジング37内に取り付けられる。このとき、ワッシャ46の撓みはなくなり、通常の形状となる。ワッシャ46は、回転軸31がハウジング内部から飛び出すことを防止する、抜け止め部材として機能する。
回転軸31をハウジング37に挿入したところで、ハウジング37に潤滑油38を充填する。潤滑油38の充填は、潤滑油が収容されている図示しない充填槽に回転軸31を挿入したハウジング37を投入する。次に、ハウジングが投入された充填槽を真空装置により真空吸引する。その後、真空吸引された充填槽を大気中に取り出すことにより、ハウジング37内に潤滑油38が充填される。
このとき、潤滑油38は、温度変化により膨張した場合に、軸挿通孔45内からハウジング37の外部に漏洩することを防止し、また温度変化により収縮した場合には、回転軸31と軸挿通孔45との間に形成された空隙47への充填不足が発生しないように充填される。即ち、温度変化による潤滑油38の油面高さの変化は、軸挿通孔45内の範囲にあるように設定される。
潤滑油38のハウジング37への充填を真空装置を用いて真空吸引して行うことにより、ハウジング37の内部の圧力が外部より低い状態になる。その結果、潤滑油38は、容易にハウジング37から漏洩することが防止される。
本発明を適用した軸受ユニット30は、ラジアル軸受33を焼結メタルにより形成しているので、このラジアル軸受33に潤滑油38が充填され、更に、回転軸31の回転により動圧を発生させる動圧発生溝39中にも潤滑油38が充填される。即ち、潤滑油38は、ハウジング37内の全ての空隙に充填される。
上述した軸受ユニットは、ハウジングを合成樹脂の成型体により形成しているが、合成樹脂に限られず、金型装置を用いて成形可能な金属材料を混合した合成樹脂やその他の成形材料を用いて形成したものであってもよい。なお、ハウジングを合成樹脂以外の材料により形成したとき、ハウジングに充填された潤滑油の軸挿通孔内周面との接触角が十分に維持できなくなる場合がある、このように潤滑油の接触角を大きく維持できなくなるおそれがある場合には、軸挿通孔の内周面、更には軸挿通孔の内周面を含んで上部閉塞部の外周面に、界面活性剤を塗布して接触角を大きくするようにすればよい。
上述した軸受ユニットは、スラスト軸受をハウジングの一部として形成されているが、スラスト軸受を設けた底部閉塞部又は上部閉塞部をハウジング本体とは独立して形成し、この底部閉塞部又は上部閉塞部をハウジング本体に熱融着又は超音波融着等の手法を用いて一体化するようにしてもよい。
以上のように構成された軸受ユニット30は、回転軸がハウジングから持ち上げられた際に、ハウジング内の潤滑油の液面の低下を、ラジアル軸受の開放端側に設けられた空間が設けられた範囲内に抑えることができるため、回転軸とラジアル軸受との軸受面の潤滑油が欠乏したり、この軸受面の潤滑油中に空気が混入したりすることを防止することができる。その結果、この軸受ユニット30は、従来の軸受ユニットの問題を解決し、長時間にわたって良好な潤滑性能を維持することができる。
また、第2の空間形成部材の形状が異なる軸受ユニットは、図20に示すように構成してもよい。なお、以下の説明において、図5に示す軸受ユニット30と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図20に示す軸受ユニット60は、図5に示す軸受ユニット30と第1の空間形成部材、第2の空間形成部材及びハウジングの形状が異なるものである。この軸受ユニット60において、第2の空間形成部とハウジングは共用とされている。
軸受ユニット60は、回転軸31と、回転軸31のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受34が一体に形成された第1の空間形成部材61と、ラジアル軸受33のスラスト軸受34が設けられた一端側33aと対向する他端側33bに設けられるとともに、このラジアル軸受33と第1の空間形成部材61を収納したハウジング62とを備える。
回転軸31のスラスト方向の一端側に設けられた第1の空間形成部材61は、図20に示すように、回転軸31の下部、即ち、閉塞される側の一端を囲むように形成されるとともに、ハウジング62の一端側を閉塞する底部閉塞部43として機能する。第1の空間形成部材61は、例えば合成樹脂により形成されている。この第1の空間形成部材61の内側には、潤滑油が回転軸31の軸受支持部31aの周囲に充填される。
また、第1の空間形成部材61の底面部の内面側の中央部には、ラジアル軸受33に支持された回転軸31のスラスト方向の一端側に設けた軸受支持部31aを回転可能に支持するスラスト軸受34が一体に形成されている。スラスト軸受34は、第1の空間形成部材61を樹脂により形成し、スラスト軸受34と共用している。
ハウジング62は、ラジアル軸受33のスラスト軸受34が設けられた一端側33aと対向するラジアル軸受33の他端側33bを囲むと共に、ラジアル軸受及び第1の空間形成部材61を収納するように形成され、例えば合成樹脂により形成されている。即ち、ハウジング62は、ラジアル軸受33の上部、即ち、ラジアル軸受33の回転軸31が開放される側に形成される。ハウジング62は、軸受ユニット30における第2の空間形成部材36と同様の機能を有し、ラジアル軸受33の他端側33bとの間に潤滑油38を充填可能な空間40を形成する。
また、ハウジング62は、筒状をなすハウジング本体42と、底部閉塞部と対向する他端部側を構成するハウジング本体42と一体に形成された上部閉塞部44とからなる。上部閉塞部44の中央部には、ハウジング62に収納されたラジアル軸受33に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔45が設けられている。
図20に示す軸受ユニット60は、ラジアル軸受33を収納して成型された合成樹脂製のハウジング62のハウジング本体42の底面部側に第1の空間形成部材61をハウジング本体42に融着することによって組み立てられる。
以上のように構成された軸受ユニット60は、軸受ユニット30と同様に、回転軸31がハウジング62から持ち上げられた際に、ハウジング62内の潤滑油38の液面の低下を、ラジアル軸受の開放端側に設けられた空間が設けられた範囲内に抑えることができるため、回転軸とラジアル軸受との軸受面の潤滑油が欠乏したり、この軸受面の潤滑油中に空気が混入したりすることを防止することができる。その結果、この軸受ユニット70は、従来の軸受ユニットの問題を解決し、長時間にわたって良好な潤滑性能を維持することができる。
更に、第2の空間形成部材の形状が異なる軸受ユニットは、図21に示すように構成してもよい。なお、以下の説明において、図5に示す軸受ユニット30と共通する部分については、共通の符号を付して説明は省略する。
図21に示す軸受ユニット70は、図5に示す軸受ユニット30と第1の空間形成部材、第2の空間形成部材及びハウジングの形状が異なるものである。この軸受ユニット70において、第1の空間形成部材とハウジングは共用とされている。
軸受ユニット70は、回転軸31と、回転軸31のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受34が設けられる一端側33aと対向する他端側33bに設けられる第2の空間形成部材72と、回転軸31のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受34が一体に形成されるとともに、このラジアル軸受33と第2の空間形成部材72を収納したハウジング71とを備える。
ハウジング71は、軸受ユニット30における第1の空間形成部材35と同様の機能を有し、図21に示すように、回転軸31の下部、即ち、閉塞される側の一端を囲むように形成され、例えば合成樹脂により形成されている。このハウジング71の内側には、潤滑油が回転軸31の軸受支持部31aの周囲に充填される。
ハウジング71の底面部の内面側の中央部には、ラジアル軸受33に支持された回転軸31のスラスト方向の一端側に設けた軸受支持部31aを回転可能に支持するスラスト軸受34が一体に形成されている。スラスト軸受34は、ハウジング71を樹脂により形成し、スラスト軸受34と共用している。
第2の空間形成部材72は、ラジアル軸受33のスラスト軸受34が設けられた一端側33aと対向するラジアル軸受33の他端側33bを囲むように形成され、例えば合成樹脂により形成されている。即ち、第2の空間形成部材72は、ラジアル軸受33の上部、即ち、ラジアル軸受33の回転軸31が開放される側に形成される。第2の空間形成部材72は、ラジアル軸受33の他端側33bとの間に潤滑油38を充填可能な空間40を形成する。
ハウジング71は、図21に示すように、筒状をなすハウジング本体42と、ハウジング本体42の一端側を閉塞するようにハウジング本体42と一体に形成された一端部側部材を構成する底部閉塞部43とからなる。また、第2の空間形成部材72は、底部閉塞部43と対向する上部閉塞部44を形成する。上部閉塞部44の中央部には、ハウジング71に収納されたラジアル軸受33に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔45が設けられている。
図21に示す軸受ユニット70は、ラジアル軸受33を収納して成型された合成樹脂製のハウジング71のハウジング本体42の上面部側に第2の空間形成部材72をハウジング本体42に融着することによって組み立てられる。
以上のように構成された軸受ユニット70は、軸受ユニット30と同様に、回転軸31がハウジング71から持ち上げられた際に、ハウジング内の潤滑油38の液面の低下を、ラジアル軸受33の開放端側に設けられた空間40が設けられた範囲内に抑えることができるため、回転軸31とラジアル軸受33との軸受面の潤滑油が欠乏したり、この軸受面の潤滑油中に空気が混入したりすることを防止することができる。その結果、この軸受ユニット70は、従来の軸受ユニットの問題を解決し、長時間にわたって良好な潤滑性能を維持することができる。
このように、本発明を適用した軸受ユニットにおいて、第2の空間形成部材の形状は、ラジアル軸受の軸挿通孔側の端部に潤滑油を充填可能な空間を形成するような形状であればよく、その他の形状に関する制限はない。
上述した軸受ユニットは、軸のスラスト方向の支持を行うスラスト軸受は、軸の一端部側に形成した円弧状又は先端先細り状の軸受支持部を支持するピボット軸受として形成されているが、本発明を適用した軸受ユニットは、上述したピボット軸受を用いたものに限られるものではなく、軸の一端部を面で支持するようにした軸受で支持するようにしたものであってもよい。
軸のスラスト方向の支持を面により行うスラスト軸受を用いた軸受ユニットの例を図22を用いて説明する。上述した図5に示す軸受ユニット30と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図22に示す軸受ユニット80は、回転軸31と、回転軸31の周回り方向の支持を行うラジアル軸受33と、このラジアル軸受33を収納したハウジング81とを備える。
この軸受ユニット80は、回転軸31の一端側に、この回転軸31の一端部を面の広い大径部を形成するように突出片82が設けられている。突出片82は、円盤状に形成され、回転軸31に一体に形成されている。突出片82は、回転軸31とは別体に形成し、回転軸31の一端部に圧入して一体化してもよい。この場合、回転軸31及び突出片82は、金属により形成される。
一方、回転軸31の周回り方向の支持を行うラジアル軸受33を収納したハウジング81の底部側には、回転軸31の一端部側に設けた突出片82を支持するスラスト軸受83が配設されている。スラスト軸受83は、突出片82より大径の円盤状に形成され、ハウジング本体の底面部に形成した開口部を閉塞するように配設される。スラスト軸受83は、ハウジング本体42に取り付けられるとき、ハウジング本体42の底面部に形成した位置決め段部84に周縁を当接させ、ハウジング本体42に対する取付位置が位置決めされて取り付けられる。ここで用いられるスラスト軸受83は、金属、例えばステンレス鋼により形成されている。
ハウジング本体42のスラスト軸受83が配設された側には、底部閉塞部材85が取り付けられている。底部閉塞部材85は、合成樹脂を成型して形成され、超音波融着や熱融着により合成樹脂により形成されたハウジング本体42に一体的に取り付けられる。
なお、底部閉塞部材85は、ハウジング本体42に対し、アウトサート成型等の樹脂成形法を用いて一体に形成するようにしてもよい。ハウジング本体42に底部閉塞部材85が取り付けられることにより、軸挿通孔45以外を密閉したハウジング81が形成される。このとき、円盤状のスラスト軸受83は、位置決め段部84に当接させ、底部閉塞部材85により支持されてハウジング本体42に取り付けられる。
スラスト軸受83の突出片82と対向する面には、図23に示すように、動圧発生溝86が設けられ、動圧軸受として構成されている。動圧発生溝86は、スラスト軸受83の突出片82と対向する面にV字状をなす一対の溝86aを周回り方向に連結溝86bにより連続するように形成して構成されている。動圧発生溝86は、V字状をなす一対の溝86aの先端側が回転軸31の回転方向R3に向くように形成されている。
動圧流体軸受として形成されたスラスト軸受83は、回転軸31が回転すると、ハウジング81内に充填された潤滑油38が動圧発生溝86内を流通し、回転軸31の外周面とラジアル軸受33の内周面との間に動圧を発生させて回転する回転軸31の一端部に設けた突出片82を支持する。このとき発生する動圧は、回転軸31とスラスト軸受83との間の摩擦係数を極めて小さくするものであって、回転軸31の円滑な回転を実現する。特に、本例においては、ラジアル軸受33及びスラスト軸受83を動圧流体軸受により形成しているので、回転軸31は潤滑油38が介在された状態でラジアル軸受33及びスラスト軸受83に支持されて回転するので、軸受と摺接することによって発生する摺動音の発生や振動を抑えることができ、極めて騒音の低い軸受ユニット80を構成することができる。また、スラスト軸受83は、回転軸31に設けられる突出片82より大径に形成されているので、回転軸31の安定した支持を実現できる。
ハウジング81は、ラジアル軸受33のスラスト軸受83が設けられた一端側33aと対向するラジアル軸受33の他端側33bを囲むと共に、ラジアル軸受33を囲むように形成され、例えば合成樹脂により形成されている。即ち、ハウジング81は、ラジアル軸受33の上部、即ち、ラジアル軸受33の回転軸31が開放される側に形成される。ハウジング81は、軸受ユニット30における第2の空間形成部材36と同様の機能を有し、ラジアル軸受33の他端側33bとの間に潤滑油38を充填可能な空間40を形成する。
また、ハウジング81は、筒状をなすハウジング本体42と、底部閉塞部と対向する他端側を構成するハウジング本体42と一体に形成された上部閉塞部44とからなる。上部閉塞部44の中央部には、ハウジング81に収納されたラジアル軸受33に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔45が設けられている。
図22に示す軸受ユニット80は、ラジアル軸受33を収納して成型された合成樹脂製のハウジング本体42に突出片82を設けた回転軸31を挿通し、その後、ハウジング本体42の底面部側にスラスト軸受83を配し、その後、底部閉塞部材85をハウジング本体42に融着することによって組み立てられる。
以上のように構成された軸受ユニット80は、軸受ユニット30と同様に、回転軸31がハウジング81から持ち上げられた際に、ハウジング81内の潤滑油38の液面の低下を、ラジアル軸受33の開放端側に設けられた空間40が設けられた範囲内に抑えることができるため、回転軸31とラジアル軸受33との軸受面の潤滑油が欠乏したり、この軸受面の潤滑油中に空気が混入したりすることを防止することができる。その結果、この軸受ユニット80は、従来の軸受ユニットの問題を解決し、長時間にわたって良好な潤滑性能を維持することができる。
更に、動圧発生溝は、回転軸31の突出片82と対向するラジアル軸受33の端面に設けるようにしてもよい。このように、動圧発生溝を設けることにより、一層確実に軸受と摺接することによって発生する摺動音の発生を抑えることができ、極めて騒音の低い軸受ユニット80を構成することができる。
上述した軸受ユニットは、ハウジングに充填される粘性流体として潤滑油を用いているが、一定の粘性を有し、一定の表面張力が得られるものであれば、各種の粘性流体を適宜選択することができる。
本発明を適用した軸受ユニットは、放熱装置のモータやディスクドライブのスピンドルモータの軸受として用いられるのみならず、各種のモータの軸受として用いることができる。
更に、本発明を適用した軸受ユニットは、モータに限らず、回転軸を備える機構や軸に対し回転する部品を支持する機構に広く用いることができる。
1 モータ、18 ロータ、19 ステータ、20 ステータヨーク、24 ロータヨーク、30 軸受ユニット、31 回転軸、33 ラジアル軸受、34 スラスト軸受、35 第1の空間形成部材、36 第2の空間形成部材、37 ハウジング、38 潤滑油、39 動圧発生溝、40 空間、41 軸挿通孔、42 ハウジング本体、43 底部閉塞部、44 上部閉塞部、45 軸挿通孔、46 ワッシャ、47 空隙、48 テーパ部
Claims (7)
- 軸と、
上記軸の周回り方向の支持を行うラジアル軸受と、
上記軸のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受と、
上記ラジアル軸受と上記スラスト軸受とが内部に配設され、上記軸が挿通される軸挿通孔を除いて密閉された構造とされるハウジングと、
上記ハウジング内に充填される粘性流体とを有するとともに、上記ハウジングの内部であって、上記ラジアル軸受の上記スラスト軸受が設けられた一端側と対向する他端側に空間が形成される軸受ユニット。 - 上記ハウジングの内部に形成され、上記ラジアル軸受の上記他端側に設けられる空間形成部材を有し、
上記空間は、上記ラジアル軸受の上記他端側と上記空間形成部材との間に形成されることを特徴とする請求項1記載の軸受ユニット。 - 上記空間の容積は、上記軸がスラスト方向へ移動可能な距離だけ移動したときに、上記軸が上記粘性流体から引きあげられる体積よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の軸受ユニット。
- 上記ハウジングは、合成樹脂の成型体によって一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の軸受ユニット。
- 上記スラスト軸受は、上記軸の一端部に設けた上記軸より大径に形成された突出片を支持する軸受であることを特徴とする請求項1記載の軸受ユニット。
- ステータに対してロータを回転可能に支持する軸受ユニットを有するモータにおいて、
上記軸受ユニットは、軸と、上記軸の周回り方向の支持を行うラジアル軸受と、上記軸のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受と、上記ラジアル軸受と上記スラスト軸受とが内部に配設され、上記軸が挿通される軸挿通孔を除いて密閉された構造とされるハウジングと、上記ハウジング内に充填される粘性流体とを有するとともに、上記ハウジングの内部であって、上記ラジアル軸受の上記スラスト軸受が設けられた一端側と対向する他端側に空間が形成されることを特徴とするモータ。 - ステータに対してロータを回転可能に支持する軸受ユニットを有するモータを備える電子機器であり、
上記軸受ユニットは、軸と、上記軸の周回り方向の支持を行うラジアル軸受と、上記軸のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受と、上記ラジアル軸受と上記スラスト軸受とが内部に配設され、上記軸が挿通される軸挿通孔を除いて密閉された構造とされるハウジングと、上記ハウジング内に充填される粘性流体とを有するとともに、上記ハウジングの内部であって、上記ラジアル軸受の上記スラスト軸受が設けられた一端側と対向する他端側に空間が形成されることを特徴とする電子機器。
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-
2003
- 2003-11-14 JP JP2003385548A patent/JP2005147266A/ja active Pending
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