JP4428364B2 - 軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータ - Google Patents

軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータ Download PDF

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Description

本発明は、回転軸を回転可能に支持し、あるいは軸に対し回転体を回転可能に支持する軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いるモータに関する。
従来、回転軸を回転可能に支持する軸受ユニットとして、図18に示すように構成されたものが知られている。
図18に示す軸受ユニット100は、回転軸101を回転可能に支持するものであり、回転軸101の周回り方向の支持を行うラジアル軸受104と、このラジアル軸受104を収納したハウジング105とを備える。
この軸受ユニット100において、ラジアル軸受104は、ハウジング105に充填される粘性流体である潤滑油と共に動圧流体軸受を構成するものであって、回転軸101が挿通される内周面には、動圧を発生させるための動圧発生溝111が形成されている。
回転軸101を支持したラジアル軸受104を収納したハウジング105は、図18に示すように、円筒状に形成されたラジアル軸受104を収容して囲むような形状を有し、合成樹脂を一体成形して形成された一つの部材である。
ハウジング105は、筒状をなすハウジング本体106と、ハウジング本体106の一端側を閉塞するようにハウジング本体106と一体に形成された一端部側部分を構成する底部閉塞部107と、ハウジング本体106の他端部側を構成するハウジング本体106と一体に形成された上部閉塞部108とからなる。このように構成されたハウジング105は、筒状をなすラジアル軸受104を取り囲むようにして合成樹脂材料をアウトサート成形することにより、ラジアル軸受104がハウジング本体106の内周側に配されて一体に形成される。
上部閉塞部108の中央部には、ハウジング105に収納されたラジアル軸受104に回転自在に支持された回転軸101が挿通される軸挿通孔109が設けられている。底部閉塞部107の内面側の中央部には、ラジアル軸受104に支持された回転軸101のスラスト方向の一端部に設けた軸受支持部102を回転可能に支持するスラスト軸受110が一体に形成されている。
スラスト軸受110は、円弧状若しくは先端先細り状に形成された回転軸101の軸受支持部102を点で支持するピボット軸受として形成されている。
ところで、軸挿通孔109は、その周面と軸部本体の外周面との間にハウジング内に充填された潤滑油113がハウジング105内から漏れを防止するに足る間隔の空隙112を有するように形成される。
回転軸101の軸挿通孔109の内周面と対向する外周面には、テーパ部114が設けられている。このテーパ部114は、回転軸101の外周面と軸挿通孔109の内周面との間に形成される空隙112に圧力勾配を形成し、ハウジング105内に充填された潤滑油113をハウジング105の内部に引き込む力を発生させて、ハウジング105に充填された潤滑油113の漏洩を防止できる。
図18に示すように構成された軸受ユニット100は、回転軸101の露出が軸挿通孔109側の一端のみで、軸挿通孔109の僅かな間隙以外は、ハウジング部材によりシームレスに覆われている。よって、この軸受ユニット100は、潤滑油113のハウジング105外部への漏出を防止できるものである。すなわち、この軸受ユニット100は、ハウジングを二部材以上のハウジング部品を接着剤等のシール剤により接着して組み立てた場合に比べて、確実な漏洩防止を可能とするものである。また、外部との連通部分も軸挿通孔109の間隙のみであるので、衝撃による潤滑油の飛散を防止できる。
しかしながら、上述した軸受ユニット100では、回転軸101とハウジング105とが相対的に回転し、動圧を発生すると、軸受ユニット100内部の静圧が極端に低下する。ハウジング105内部の圧力が低下することにより、ハウジング105内部に僅かに残っている空気や、潤滑油等の粘性流体中に溶解される空気等の残留空気が膨張される。このハウジング内部の空気や、粘性流体中に溶解された空気が膨張されることにより、粘性流体が軸の露出側へ押し出され、漏洩してしまうおそれがある。この軸受ユニット100において、潤滑油が漏洩し、保持できなくなることにより、良好な潤滑が得られなくなる。
このように、図18に示す軸受ユニット100は、回転軸とハウジングとの相対的な回転による動圧の発生により、ハウジング内部の残留空気が膨張し、潤滑油が漏洩してしまうおそれがある。
かかる問題を解消するために、例えば、特開2005−69382号公報には、上述のような軸受ユニットの構成に加えて、ラジアル軸受から突出した回転軸のスラスト方向の一端側と他端側を連通する連通路を備える軸受ユニットが記載されており、この連通路により、非軸開放側の圧力低下を防止するとともに、ハウジング内の残留空気を軸挿通孔から外部に放出することで、潤滑油の漏洩の防止を図ることについて記載されている。
しかしながら、かかる軸受ユニットにおいても、ハウジング内の残留空気が連通路を介して軸挿通孔から外部に放出する際に、残留空気が非軸開放側から軸開放側に向かうにつれて、残留空気の粒が集まって粒径が大きくなって連通路内に留まってしまい、連通路から外部への放出が良好に行えなくなり、この残留空気の影響で潤滑油が漏洩してしまうことがあった。
特開2005−69382号公報
本発明の目的は、軸とハウジングとの相対的な回転によるハウジング内の圧力の低下を防止するとともに、ハウジング内に充填された潤滑油等の粘性流体中の残留空気の排出を良好に行うことを可能とし、ハウジング内の圧力の低下による残留空気の膨張により、ハウジング内部の粘性流体が軸受ユニット外部に押し出されてしまう漏洩現象を防止し、長期間にわたって潤滑油を確実に保持できる軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータを提供することにある。
本発明に係る軸受ユニットは、軸の周回り方向の支持を行うラジアル軸受と、上記軸のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受と、上記ラジアル軸受及び上記スラスト軸受の外側に設けられる通路形成部材と、上記通路形成部材が内部に配設され、上記軸が挿通される軸挿通孔を除いて密閉された構造とされるハウジングと、上記ハウジング内に充填された粘性流体と、上記通路形成部材と上記ラジアル軸受との間に形成され、上記ラジアル軸受から突出した軸のスラスト方向の上記一端側と他端側とを連通する連通路とを備え、上記連通路は、上記ラジアル軸受の周面に軸方向に形成される軸方向通路と、上記ラジアル軸受の上記一端側の面に形成される一端側通路と、上記ラジアル軸受の上記他端側の面に形成される他端側通路とを有し、上記軸のスラスト方向の上記一端側の部分を、上記軸方向通路及び上記他端側通路を介して上記軸挿通孔に連通させ、上記一端側通路、上記軸方向通路及び上記他端側通路は、上記軸のスラスト方向の上記一端側の部分の粘性流体中の残留空気を、上記一端側通路、上記軸方向通路及び上記他端側通路を経由させるとともに、上記軸挿通孔を介して外部に排出させるように、形成され、上記他端側通路は、上記ラジアル軸受の上記他端側の面又は上記ハウジングの上記ラジアル軸受の上記他端側の面に対向する面の何れか一方に設けられた突起部により形成され、上記他端側通路の断面は、上記軸方向通路の断面よりも断面積が大きく形成され、上記軸方向通路の断面は、上記一端側通路の断面よりも断面積が大きく形成され、上記軸方向通路は、その溝幅及び溝深さのうち小さい方の寸法が、上記他端側通路の溝幅及び溝深さより小さくなるように形成され、上記軸方向通路は、その溝深さが、上記一端側通路の溝深さより大きくなるように形成される。
本発明に係るモータは、ステータに対してロータを回転可能に支持する軸受ユニットを備えたモータであり、このモータに用いる軸受ユニットとして、上述したようなものを用いたものである。
本発明に係る軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータは、軸とハウジングとの相対的な回転によるハウジング内の圧力の低下を防止するとともに、ハウジング内に充填された潤滑油等の粘性流体中の残留空気の排出を良好に行うことを可能とし、ハウジング内の圧力低下による残留空気の膨張により、ハウジング内部の粘性流体が軸受ユニット外部に押し出されてしまう漏洩現象を防止し、長期間にわたって潤滑油を確実に保持して良好な潤滑性能を維持できる。
以下、本発明が適用された軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータの実施の形態を図面を参照して説明する。
ここでは、各種情報の演算処理等を行う情報処理装置である携帯型コンピュータ等の電子機器に設けられる放熱装置に用いるモータについて説明する。この携帯型コンピュータ等の内部には放熱装置が設けられている。この放熱装置は、金属製のベースと、このベースに取り付けられたモータ1と、このモータ1によって回転操作されるファン3と、ファン3を収納したファンケース4と、ヒートシンクを有している。この放熱装置のファン3を回転駆動するモータ1について詳細に説明する。
本発明を適用した軸受ユニット30を用いたモータ1は、図1に示すように、ロータ11とステータ12とを備える。
ステータ12は、モータ1と共にこのモータ1によって回転操作されるファン3を収納したファンケース4の上面板4a側に一体に設けられている。ステータ12は、ステータヨーク13と、本発明を適用した軸受ユニット30と、コイル14とこのコイル14が巻回されるコア15とを備える。ステータヨーク13は、ファンケース4の上面部4aと一体に形成されたもの、即ち、ファンケース4の一部によって構成したものでもよく、別体に形成したものであってもよい。ステータヨーク13は、例えば鉄により形成されている。軸受ユニット30は、ステータヨーク13の中心部に筒状に形成されたホルダー16中に圧入若しくは接着、更には圧入と共に接着により固定されている。軸受ユニット30が圧入されるホルダー16は、ステータヨーク13と一体に円筒状に形成されている。尚、軸受ユニット30のホルダー16への固定は、上述に限られるものではなく、例えば、カシメによる固定、弾性のある突起部等を係合させることによる固定であってもよい。
ステータヨーク13に一体に固定された軸受ユニット30の外周部には、図1に示すように、駆動電流が供給されるコイル14が巻回されたコア15が取り付けられている。
ステータ12と共にモータ1を構成するロータ11は、軸受ユニット30に回転可能に支持された回転軸31に取り付けられ、回転軸31と一体に回転する。ロータ11は、ロータヨーク17と、このロータヨーク17と一体に回転する複数の羽根19を有するファン3とを有する。ファン3の羽根19は、ロータヨーク17の外周面にアウトサート成形することにより、ロータヨーク17と一体に形成される。
ロータヨーク17の筒状部17aの内周面には、ステータ12のコイル14と対向するように、リング状のロータマグネット20が設けられている。このマグネット20は、周回り方向にS極とN極が交互に着磁されたプラスチックマグネットであり、接着剤によりロータヨーク17の内周面に固定されている。尚、マグネット20は、ゴムマグネット、燒結マグネット等であってもよい。
ロータヨーク17は、軸受ユニット30に支持された回転軸31の先端側に設けた取付部32に、平板部17bの中心部に設けた貫通孔21aが設けられたボス部21を圧入することによって回転軸31と一体に回転可能に取り付けられる。
上述のような構成を備えたモータ1は、ステータ12側のコイル14に、モータ1の外部に設けた駆動回路部から所定の通電パターンにより駆動電流が供給されると、コイル14に発生する磁界とロータ11側のロータマグネット20からの磁界との作用によって、ロータ11が回転軸31と一体に回転する。ロータ11が回転することにより、このロータ11に取り付けられた複数の羽根19を有するファン3もロータ11と一体に回転する。ファン3が回転されることにより、コンピュータを構成する筐体に設けた開口を介して装置外部のエアーを吸引し、更に、筐体内を流通させ、筐体内に設けたヒートシンク中を流通しながら貫通口を介して筐体の外部に排気されることにより、発熱素子から発生する熱をコンピュータ本体の外部に放熱し、コンピュータ本体を冷却する。
次に、このモータ1に用いられる軸受ユニット30を更に詳細に説明する。
上述したモータ1の回転軸31を回転自在に支持する軸受ユニット30は、図1、図2及び図3に示すように、回転軸31の周回り方向の支持を行うラジアル軸受33と、このラジアル軸受33の外側に形成される通路形成部材34と、この通路形成部材34を収納したハウジング37と、通路形成部材34とラジアル軸受33との間に形成される連通路50とを備える。
ラジアル軸受33は、焼結メタルにより円筒状に形成されている。ラジアル軸受33は、ハウジング37に充填される粘性流体である潤滑油42と共に動圧流体軸受を構成するものであって、回転軸31が挿通される内周面には、動圧発生溝43,44が形成されている。
動圧発生溝43,44は、図4に示すように、ラジアル軸受33の内周面にV字状をなす一対の溝43a,44aを周回り方向に複数形成して構成されている。動圧発生溝43,44は、V字状をなす一対の溝43a,44aの先端側が回転軸31の回転方向R1に向くように形成されている。ここでは、動圧発生溝43,44は、円筒状をなすラジアル軸受33の軸方向に上下に並列して形成されていて、動圧発生溝43が軸が開放されている軸露出側、動圧発生溝44が軸が開放されない非軸露出側即ち後述するスラスト軸受側に形成されている。ラジアル軸受33に設けられる動圧発生溝43,44の数や大きさは、ラジアル軸受33の大きさや長さ等により適宜選択される。なお、このラジアル軸受33は、真鍮、ステンレス又は高分子材料でもよい。また、ここでは、動圧発生溝をV字状に複数形成するように構成したが、これに限られるものではなく、内周面にV字状をなす複数の溝を周回り方向に連結溝により連続するように形成される、所謂ヘリングボーン形状に形成するように構成してもよい。
動圧流体軸受として形成されたラジアル軸受33は、このラジアル軸受33に挿通された回転軸31が、中心軸CLを中心に図4中矢印R1方向に連続して回転すると、ハウジング37内に充填された潤滑油42が動圧発生溝43,44内を流通し、回転軸31の外周面とラジアル軸受33の内周面との間に動圧を発生させて回転する回転軸31を支持する。このとき発生する動圧は、回転軸31の円滑な回転を実現する。
ラジアル軸受33の外側に設けられる通路形成部材34は、図3及び図5に示すように、円筒状に形成されたラジアル軸受33を収容して囲むような形状を有し、例えば合成樹脂により形成されている。
通路形成部材34は、図3及び図5に示すように、ラジアル軸受33の側面部33a及び底面部33bを囲むように形成された通路形成部材本体35と、ラジアル軸受33の上面部33cを囲むように形成された通路形成部材蓋部36とからなる。通路形成部材蓋部36の中央部には、ラジアル軸受33に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔36aが設けられている。
通路形成部材本体35の底面部の内面側の中央部には、ラジアル軸受33に支持された回転軸31の軸方向であるスラスト方向の一端部に設けた軸受支持部31aを回転可能に支持するスラスト軸受46が一体に形成されている。スラスト軸受46は、通路形成部材34を樹脂により形成し、スラスト軸受として共用している。スラスト軸受46は、円弧状若しくは先端先細り状に形成された回転軸31の軸受支持部31aを点で支持するピボット軸受として形成されている。
尚、ここでは、スラスト軸受46を通路形成部材34の一部として形成されているが、スラスト軸受を通路形成部材とは独立して形成して、この通路形成部材の底面部上に配置して構成するようにしてもよい。
通路形成部材本体35の上部には、通路形成部材蓋部36をラジアル軸受33の上面部33cを覆うように固定する爪状の規制部35aが円周上に設けられている。
なお、通路形成部材34は、樹脂製としたが、金属製でもよく、更に、樹脂及び金属の組合せでもよく、材質に制限はない。ここで、通路形成部材34を樹脂製とした場合は、ラジアル軸受との位相インデックスなど、形状に工夫を凝らすことができ、しかも安価であるという利点がある。例えば、通路形成部材34に用いられる樹脂材料としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール等のフッ素系の合成樹脂、ポリテトラフルオロエチレンテフロン(登録商標)、ナイロン等の合成樹脂、更には、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等の合成樹脂を用いてもよい。
通路形成部材34とラジアル軸受33の間には連通路50が形成される。この連通路50は、ラジアル軸受33から突出した回転軸31のスラスト方向の一端部と他端部とを連通する。即ち、連通路50は、スラスト軸受46が設けられた底面側である一端側と通路形成部材蓋部36の軸挿通孔36aが形成された上面側である他端側とを連通する。
この連通路50は、図5、図6、図7、図8及び図9に示すように、通路形成部材34の通路形成部材本体35の内周面のスラスト方向に形成された第1の溝51と、通路形成部材本体35の底面部の内面側に形成された第2の溝52と、通路形成部材蓋部36の内面36b側に形成された複数の通路形成突起部53とにより、ラジアル軸受33と通路形成部材34との間にラジアル軸受33の一端側と他端側とを連通するように形成される。
尚、第1の溝51は、通路形成部材本体35の内周面に、円周上に略等間隔な位置に3箇所設けられており、それぞれスラスト方向に形成されている。また、第2の溝52は、通路形成部材本体35のラジアル軸受33を載せる面に、略等間隔な位置に3箇所設けられており、それぞれ回転軸31の円周方向に形成されている。そして、通路形成突起部53は、通路形成部材蓋部36の内面36bとなる側に円周上に等間隔な位置で、且つ円周方向には略同一の位置に3箇所設けられており、それぞれ回転軸31の軸方向に突出して形成されている。
すなわち、連通路50は、図3に示すように、第1の溝51の部分に形成され、ラジアル軸受33の周面に軸方向に形成される軸方向通路として第1の通路51aと、第2の溝52の部分に形成され、ラジアル軸受33の一端側(底面側)の面に形成される一端側通路として第2の通路52aと、複数の通路形成突起部53のそれぞれの間に形成され、ラジアル軸受33の他端側(上面側)の面に形成される他端側通路として第3の通路53aとを有する。
ここで、第3の通路53aは、複数の通路形成突起部53によりラジアル軸受33の上面33cと、通路形成蓋部36の下面である内面36b側との間に形成される空間で、且つ上述のように複数の通路形成突起部53のそれぞれの間に形成される空間であり、この部分が第3の通路53aとして機能する。
尚、ここでは、第1及び第2の溝51,52により形成される第1及び第2の通路51a,52a、並びに、通路形成突起部53により形成される第3の通路53aは、それぞれ略等間隔に3箇所ずつ設けられるように構成したが、これに限られるものではない。
図10及び図11に示すように、第3の通路53aの通路が形成される方向に直交する断面S3(以下、「第3の通路53aの断面S3」という。)の断面積は、第1の通路51aの通路が形成される方向に直交する断面S1(以下、「第1の通路51aの断面S1」という。)の断面積よりも大きく形成されている。
ここで、第3の通路53aの断面S3は、第3の通路53aのラジアル軸受33に支持される回転軸31の半径方向に直交する断面であり、また、第1の通路51aの断面S1は、第1の通路51aのラジアル軸受33に支持される回転軸31の軸方向に平行な方向に直交する断面である。
よって、断面S1より大きな断面S3を有する第3の通路53aは、第1の通路51を通過可能な気泡の粒径よりも大きな粒径の気泡を通過させることができる。
尚、第3の通路53aの断面S3は、通路形成突起部53の軸方向に高さにより決定される溝深さL3と、隣接する通路形成突起部53の距離により決定される溝幅W3とを有して形成される。
また、第1の通路51aの断面S1は、略台形状に形成されており、第1の溝51aの(回転軸31の)半径方向の寸法である溝幅W1と、第1の溝51のラジアル軸受33の外周面からの深さである溝深さL1とを有して形成されている。ここで、溝幅W1は、各深さでの溝幅の平均値を意味するとともに、溝深さの中心部分の深さで溝幅を意味するものである。そして、例えば、製作上の都合から溝幅W1は、溝深さL1よりも大きく形成されている。溝幅W1及び溝深さL1の小さく形成されたものの寸法は、ここでは、溝深さL1の寸法は、通過可能な気泡の粒径を決定する寸法となる。
また、第3の通路53aの溝深さL3を、第1の通路51aの溝深さL1よりも大きく形成するようにしてもよく、その場合には、上述の場合に比べてさらに気泡の外部への放出が円滑となる。
そして、ラジアル軸受33の底面側に設けられる第2の通路52aは、例えば、通路が形成される方向に直交する断面が、第1の通路51aの断面S1よりも小さくなるように形成され、第2の通路52aの溝深さが、第1の通路の溝深さL1よりも小さくなるように形成されている。
以上のように構成された連通路50は、ラジアル軸受33から突出した回転軸31の開放側、非開放側を連通して両領域の圧力を短絡することで非開放側の静圧低下を緩和している。ここで、回転軸31の開放側(以下、「軸開放側」という。)は、ラジアル軸受33の上面側、すなわち、軸挿通孔41が設けられた側をいい、回転軸31の非開放側(以下、「非軸開放側」という。)は、ラジアル軸受33の底面側、すなわち、スラスト軸受46が配置された側をいう。そして、連通路50は、非軸開放側から、軸開放側に向けて、順に、第2の通路52a、第1の通路51a、第3の通路53aが設けられているが、非軸開放側から軸開放側に近づくにつれて、通路の断面の大きさが大きくなっており、よって、潤滑油42が非軸開放側から軸開放側に向かって循環するときに残留空気の粒が集まって徐々に、この残留空気の気泡の粒が大きくなったとしても、軸開放側に残留空気を流すことが可能である。
尚、上述のように、ラジアル軸受33の底面側に設けられる第2の通路52aは、通路が形成される方向に直交する断面が、第1の通路51aの断面S1よりも小さくなるように形成され、すなわち、第2の通路52aの溝深さが、第1の通路の溝深さL1よりも小さくなるように形成されてもよいし、また、製作上の都合から、第1の通路51aの断面及び溝深さと同程度に形成されてもよい。
この連通路50は、ラジアル軸受33から突出した回転軸31の開放側、非開放側を連通しているため、回転軸31とハウジング37とが相対的に回転し、動圧が発生したときにも、回転軸31が開放されていない側である非軸開放側の軸端の静圧が低下することを防止できる。よって、連通路50は、内部の静圧が低下することにより発生するハウジング37内の残留空気や潤滑油中に溶解する空気の膨張による潤滑油の押し出しを防止することができる。また、換言すると、連通路50は、ラジアル軸受33に設けられた動圧発生溝43,44の両端の圧力を短絡することができるので、圧力差が生じることがなく、よって軸浮上が発生することもない。
また、この連通路50は、動圧流体軸受であるラジアル軸受33により動圧が発生すると、潤滑油42をハウジング37内部で循環させることができる。すなわち、潤滑油42は、ラジアル軸受33の内周側を上面33c側から底面33b側に向けて循環されるとともに、ラジアル軸受33の外周側の連通路50を底面33b側から上面33c側に向けて循環される。そして、連通路50は、この外周側の潤滑油の循環とともに、潤滑油内の残留空気をスラスト軸受が配置された非軸開放側から軸挿通孔が設けられる側である軸開放側に運んで、軸挿通孔41から外部に排出することができる。
そして、連通路50は、このように、残留空気を外部に排出することができるとともに、上述したように各通路51a,52a,53aの断面積が非軸開放側から軸開放側に近づくにつれて大きくなっていることから、これにより形成される通路の断面の大きさも軸開放側に向かうにつれて大きくなるように構成されていることから、残留空気の粒が軸開放側に向かうにつれて集まって大きくなったとしても連通路の途中で留まり、詰りが発生する等の問題が発生することなく、この残留空気を確実に軸挿通孔から排出することができ、潤滑油中の残留空気を少なくすることができる。
また、連通路50は、一番大きな断面積とする必要がある第3の通路を、通路形成部材蓋部36の内面側に形成された複数の通路形成突起部53により形成するように構成したため、軸開放側に位置する第3の通路の断面積を第1の通路の断面積より大きくすることを簡易な構成で、製造工程等を複雑にすることなく実現する。
通路形成部材34を収納したハウジング37は、図3に示すように、略円筒状の通路形成部材34を収容して囲むような形状を有し、合成樹脂を一体成形して形成された一つの部材である。
ハウジング37は、図3に示すように、筒状をなすハウジング本体38と、ハウジング本体38の一端側を閉塞するようにハウジング本体38と一体に形成された一端部側部分を構成する底部閉塞部39と、ハウジング本体38の他端部側を構成するハウジング本体38と一体に形成された上部閉塞部40とからなる。上部閉塞部40の中央部には、ハウジング37に収納されたラジアル軸受33に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔41が設けられている。
上述のように構成されたハウジング37は、略筒状をなす通路形成部材34を包むようにして合成樹脂材料をアウトサート成形することにより、通路形成部材34がハウジング本体38の内周側に配されて一体に形成される。すなわち、ハウジング37は、ラジアル軸受33を収容した通路形成部材34を密閉して収容するように形成されるとともに、回転軸31が挿通される軸挿通孔41を有するように形成される。
ハウジング37を構成する合成樹脂材料は、特に限定されるものではないが、ハウジング37には通路形成部材34が一体に形成されているので、潤滑性に優れた合成樹脂材料を用いることが好ましい。例えば、ハウジング37は、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール等のフッ素系の合成樹脂、ポリテトラフルオロエチレンテフロン、ナイロン等の合成樹脂を用いて形成することが好ましい。更には、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、液晶ポリマー等の合成樹脂を用いてもよい。
ところで、この軸受ユニット30では、ハウジング37がラジアル軸受33及び通路形成部材34と共に軸挿通孔36aを除いて密閉したシームレス構造とするので、回転軸31のラジアル軸受33から突出した軸開放側及び非軸開放側が連通路50により連通されているが、外部からはハウジング37に設けられた軸挿通孔36a以外は密閉されている。即ち、この軸受ユニット30は、連通路50がシームレスに形成され外部から密閉されたハウジング37内に設けられたものであるので、衝撃による潤滑油の飛散等が発生することを防止することができる。
ハウジング37内に配設されたラジアル軸受33及びハウジング37と一体に設けられたスラスト軸受46によって回転自在に支持される回転軸31は、軸部本体31bのスラスト軸受46によって支持される軸受支持部31aを円弧状若しくは先端先細り状に形成し、他端側に回転体である例えばモータ1のロータ11が取り付けられる取付部32が設けられている。ここで、軸部本体31bと取付部32は、同径に形成されている。
回転軸31は、図3に示すように、一端側の軸受支持部31aをスラスト軸受46によって支持され、軸部本体31bの外周面をラジアル軸受33により支持され、他端側に設けた取付部32側をハウジング本体38の上部閉塞部40に設けた軸挿通孔41から突出されてハウジング37に支持されている。
また、回転軸31には、軸受支持部31aと軸部本体31bの間に、軸抜け止め用の溝部31cが設けられている。この軸抜け止め用溝部31cと対応するように、通路形成部材34には、軸抜け止め用手段としてワッシャ49が設けられている。軸抜け止め用溝部31cとワッシャ49とを係合させることにより、組み付け時のハンドリングが向上する。このワッシャ49は、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド材等の高分子材料や、ステンレス、りん青銅などの金属からなる。
ところで、軸挿通孔41は、この軸挿通孔41に挿通された回転軸31が軸挿通孔41の内周面に摺接することなく回転するように、軸部本体31bの外径よりやや大きな内径をもって形成されている。このとき、軸挿通孔41は、その内周面と軸部本体31bの外周面との間にハウジング37内に充填された潤滑油42がハウジング37内から漏れを防止するに足る間隔の空隙45を有するように形成される。このように、回転軸31との間にハウジング37内に充填された潤滑油42の漏れを防止するようにした空隙45が形成されるように軸挿通孔41を形成した上部閉塞部40は、オイルシール部を構成している。
回転軸31の軸挿通孔41の内周面と対向する外周面には、テーパ部47が設けられている。テーパ部47は、回転軸31の外周面と軸挿通孔41の内周面との間に形成される空隙45をハウジング37の外方に向かって拡大させるように傾斜されている。このテーパ部47は、回転軸31の外周面と軸挿通孔41の内周面とによって形成される空隙45に圧力勾配を形成し、ハウジング37内に充填された潤滑油42をハウジング37の内部に引き込む力が発生する。回転軸31の回転時に、潤滑油42がハウジング37の内部に引き込まれるようになるので、動圧流体軸受により構成されたラジアル軸受33の動圧発生溝43,44に潤滑油42が確実に浸入して動圧を発生させ、回転軸31の安定した支持が実現され、しかもハウジング37に充填された潤滑油42の漏洩を防止できる。
本発明が適用された軸受ユニット30において、動圧流体軸受を構成するラジアル軸受33に設けた動圧発生溝43,44に浸入して動圧を発生させる潤滑油42は、図3に示すように、ハウジング37内から回転軸31に形成されたテーパ部47と軸挿通孔41の内周面とによって形成された空隙45に臨むように充填される。即ち、潤滑油42は、ハウジング37内の隙間に充填され、更に燒結金属からなるラジアル軸受33に含浸される。
軸受ユニット30は、空隙45の間隔c及び軸挿通孔41の高さHを調整することで表面張力シールにより潤滑油42の飛散を防止でき、テーパ部47を設けることで空隙45に位置する潤滑油42に圧力勾配を発生させて潤滑油42をハウジング37の内部に引き込む力を発生でき、潤滑油42中に空気を巻き込むことを防止するとともに潤滑油42の漏洩を防止して、さらに回転軸31の安定した回転を保証できる。上述した軸受ユニット30は、テーパ部47を回転軸31側に設けているが、ハウジング37の軸挿通孔41の内周面にテーパ部を設けるようにしてもよい。
上述したように構成された本発明が適用された軸受ユニット30を製造する工程を説明する。
本発明に係る軸受ユニット30を製造するには、ラジアル軸受33の外側に、通路形成部材34を取り付けることで仮組立をする。ラジアル軸受33及び通路形成部材34は、仮組立するとき、図12に示すように、通路形成部材本体35に、回転軸31の軸抜け止め手段であるワッシャ49を取り付ける。次に、動圧流体軸受であるラジアル軸受33に、通路形成部材本体35及び通路形成部材蓋部36を取り付ける。このとき、通路形成部材本体35の内部にはスラスト軸受46が一体に形成されている。また、通路形成部材34とラジアル軸受33の間には、連通路50が形成される。
次に、仮組立したラジアル軸受33及び通路形成部材34を金型に取り付け、図13に示すように、この仮組立したラジアル軸受33及び通路形成部材34の外周囲に上述した何れかの合成樹脂をアウトサート成形してハウジング37を形成する。このとき、通路形成部材34は、ハウジング37がアウトサート成形されるとき、ハウジング37の内部に一体化され、筒状のハウジング本体38の上下に一体的に形成された上部閉塞部40と底部閉塞部39とによって挟持され、その取付位置が固定される。また、通路形成部材34とラジアル軸受33との間の連通路50には、ハウジング37がアウトサート成形されるとき、通路形成部材34に遮断されているので、合成樹脂が流入することはない。
次に、回転軸31を上部閉塞部40に設けた軸挿通孔41に挿通してハウジング37内に挿入する。このとき、回転軸31は、軸受支持部31aをスラスト軸受46に当接させてラジアル軸受33に挿通させてハウジング37内に挿入される。スラスト軸受46及びラジアル軸受33によって支持された回転軸31は、ハウジング37内で回転可能に支持される。
回転軸31をハウジング37に挿入したところで、ハウジング37に潤滑油42を充填する。潤滑油42の充填は、潤滑油が収容されている充填槽に回転軸31を挿入したハウジング37を投入する。次に、ハウジングが投入された充填槽を真空装置により真空吸引する。その後、真空吸引された充填槽を大気中に取り出すことにより、ハウジング37内に潤滑油42が充填される。
このとき、潤滑油42は、温度変化により膨張した場合に、軸挿通孔41内からハウジング37の外部に漏洩することを防止し、また温度変化により収縮した場合には、回転軸31と軸挿通孔41との間に形成された空隙45への充填不足が発生しないように充填される。即ち、温度変化による潤滑油42の油面高さの変化は、軸挿通孔41内の範囲にあるように設定される。
潤滑油42のハウジング37への充填を真空装置を用いて真空吸引して行うことにより、ハウジング37の内部の圧力が外部より低い状態になる。その結果、潤滑油42は、容易にハウジング37から漏洩することが防止される。
本発明に係る軸受ユニット30は、ラジアル軸受33を焼結メタルにより形成しているので、このラジアル軸受33に潤滑油42が充填され、更に、回転軸31の回転により動圧を発生させる動圧発生溝43,44中にも潤滑油42が充填される。即ち、潤滑油42は、ハウジング37内の全ての空隙に充填される。
上述した軸受ユニットは、ハウジングを合成樹脂の成型体により形成しているが、合成樹脂に限られず、金型装置を用いて成形可能な金属材料を混合した合成樹脂やその他の成形材料を用いて形成したものであってもよい。
以上のように構成された軸受ユニット30は、潤滑油の漏洩防止に非常に有用であるが軸が回転すると同時に発生する、潤滑油中の残留空気や溶解された空気の膨張による潤滑油の押し出しが生じやすいという欠点をもつ、シームレスな樹脂製ハウジングを備えた、所謂軸片開放型動圧流体軸受ユニットの問題を解決する。
すなわち、この軸受ユニット30は、ラジアル軸受の両端の圧力を短絡する連通路50を設けるとともに、この通路が非軸開放側−通路−ハウジング外部−軸開放側とすることなく、通路を非軸開放側−連通路−軸開放側とし、この連通路50を形成した通路形成部材34をシームレスなハウジング37により周囲を覆う構造としたものである。
即ち、この軸受ユニット30は、通路形成部材34を設けて、ラジアル軸受33の上端と下端に、経路が軸受下端−通路−軸受上端となる連通路50を設け、密閉された側の下端である非軸開放側の静圧低下を緩和することができるので残留空気の押し上げによる潤滑油の漏洩を防止できる。
また、軸受ユニット30は、連通路50の軸開放側に設けられた第3の通路53aの断面を第1の通路51aの断面よりも大きくし、軸開放側に向かって通路の断面が大きくなるように形成されていることから、ハウジング37内に充填された潤滑油42に混入した残留空気をこの連通路50から軸挿通孔が設けられた軸開放側に送って、軸挿通孔からハウジング37外部へ良好に排出することができる。
また、軸受ユニット30は、第3の通路53aの断面を第1の通路51aの断面より大きくされた連通路50を、通路形成部材蓋部36の内面36b側に形成された複数の通路形成突起部53を設けることにより、簡易な構成で、複雑な製造工程等を要することなく実現し、上述のように、残留空気を良好に排出できる。
さらに、軸受ユニット30は、回転軸31の露出を軸挿通孔41側の一端のみとし、この軸挿通孔41の僅かな間隙以外は、ハウジング37によりシームレスに覆われている構成とし、ハウジング外部への経路を、回転軸31とハウジング37との僅かな空隙のみである状態を維持しているので、潤滑油42を充填する部材を接合した場合の接合部から潤滑油が滲み出す等により漏出するおそれを防止でき、衝撃による潤滑油の飛散を防止して、良好な潤滑性能を得ることができる。
本発明が適用された軸受ユニット30は、回転軸31とハウジング37との相対的な回転によるハウジング37内の圧力の低下を防止できるとともに、ハウジング37内に充填された潤滑油42等の粘性流体に混入した残留空気の排出を良好に行うことができるので、ハウジング37内の圧力の低下により残留空気が膨張してしまうことによるハウジング37内部の潤滑油42が軸受ユニット外部に押し出されてしまう漏洩現象の発生を防止し、長期間にわたり潤滑油を確実に保持でき、良好な潤滑性能を維持できる。
さらに、本発明が適用された軸受ユニット30は、ラジアル軸受33としてポーラスを有する焼結金属を用いた場合にも、従来ではこの焼結金属の周囲に充填される潤滑油中に溶解する残留空気を完全に排出することは困難であったのに対し、このラジアル軸受33の周囲に充填される潤滑油中に溶解する残留空気を良好に排出することを可能とし、上述したような潤滑油の漏洩現象を防止できるので、ポーラスを有する焼結金属等を用いても良好な潤滑性能を長期間にわたって維持することを可能とし、安価な構成にすることを可能とする。
尚、上述の軸受ユニット30では、通路形成部材蓋部36の内面側に形成される通路形成突起部53を3箇所設けるように構成したが、これに限られるものではなく、ラジアル軸受33の上面33cと通路形成部材蓋部36との間に通路を形成できるように複数箇所設けられていればよい。例えば、図14及び図15に示すように、円周上の略等間隔な位置に5箇所設けるように構成してもよい。
すなわち、図14及び図15に示す通路形成突起部63は、通路形成部材蓋部66の内面66bとなる側に円周上に等間隔な位置で、且つ円周方向には略同一な位置に5箇所設けられており、それぞれ回転軸31の軸方向に突出して形成されている。
また、通路形成部材蓋部の内面側に形成される通路形成突起部は、上述のような円柱状のものに限らず、例えば、図16及び図17に示すように半径方向を長手方向とする断面略長方形の角柱状に形成して設けられるように構成してもよい。
すなわち、図16及び図17に示す通路形成突起部73は、通路形成部材蓋部76の内面76bとなる側に円周上に等間隔な位置で、3箇所に、それぞれ回転軸31の軸方向に突出して角柱状に形成されており、それぞれの軸方向に直交する断面の断面形状が略長方形であり、半径方向の寸法が通路形成部材蓋部76と略同じ寸法となるように形成されている。
図14乃至図17に示す通路形成突起部63,73を形成した場合においても、上述した図8及び図9に示す通路形成突起部53を設けて第3の通路53aを形成した場合と同様に、ラジアル軸受33の上面33cと、通路形成蓋部63,73の下面63b,73bとの間で、且つ通路形成突起部63,73のそれぞれの間に第3の通路が形成される。この第3の通路の断面積も、上述したのと同様に、第1の通路51aの断面積よりも大きく形成されている。
また、上述の軸受ユニット30では、連通路50を通路形成部材34側に設けた第1及び第2の溝51,52並びに通路形成突起部53により形成されるように構成したが、連通路を構成する溝及び突起部をラジアル軸受33側に設けてもよい。
すなわち、ラジアル軸受の外周面のスラスト方向に形成された第1の溝と、ラジアル軸受33のスラスト軸受46が設けられた側の一端側の面である底面33bに形成された第2の溝と、ラジアル軸受33の一端側の面と反対側の他端側の面である上面に33cに形成された複数の通路形成突起部とにより、ラジアル軸受33と通路形成部材34との間にラジアル軸受33の一端側と他端側とを連通する連通路を形成するようにしてもよい。この場合においても、上述と同様に、通路形成突起部により形成される通路の断面が、第1の溝により形成される通路の断面より大きくされる。
更に、軸受ユニット30を構成する連通路は、上述の通路形成部材34側に設けた第1及び第2の溝51,52並びに通路形成突起部53,63,73と、ラジアル軸受33に設けた第1及び第2の溝並びに通路形成突起部とを組み合わせたものにより形成されるように構成してもよい。
本発明を適用したモータ1は、ステータ12に対してロータ11を回転可能に支持する軸受ユニット30を備えることにより、潤滑油の漏洩を防止して良好な潤滑性能を長期間にわたって維持することを可能とする。
本発明に係る軸受ユニットは、放熱装置の冷却ファンモータやディスクドライブのスピンドルモータの軸受として用いられるのみならず、各種のモータの軸受として用いることができる。
更に、本発明に係る軸受ユニットは、モータに限らず、回転軸を備える機構や軸に対し回転する部品を支持する機構に広く用いることができる。
本発明を適用したモータの構成を示す断面図である。 本発明を適用した軸受ユニットの図3に示すY−Y断面図である。 本発明を適用した軸受ユニットの図2に示すX−X断面図である。 ラジアル軸受の内周面に形成された動圧発生溝を示す斜視図である。 通路形成部材とラジアル軸受との間に形成された連通路を説明するための分解斜視図である。 通路形成部材に形成された第1及び第2の溝を示す図であり、通路形成部材の図7に示すY’−Y’断面図である。 通路形成部材に形成された第1及び第2の溝を示す図であり、通路形成部材の縦断面図である。 通路形成部材蓋部に形成された通路形成突起部を示す図であり、通路形成部材蓋部の断面図である。 通路形成部材蓋部に形成された通路形成突起部を示す図であり、通路形成部材蓋部の底面図である。 連通路を構成するための通路形成部材蓋部の底面に形成される通路形成突起部及びこれにより形成される第3の通路を示す図であり、図2に示すI−I断面図である。 連通路を構成するための通路形成部材本体の内周面に形成される第1の溝及びこれにより形成される第1の通路を示す図であり、図7に示すII−II断面図である。 本発明に係る軸受ユニットを製造する工程において、仮組立をする工程を説明する図である。 本発明に係る軸受ユニットを製造する工程において、ハウジングをアウトサート成形する工程を説明する図である。 通路形成部材蓋部に形成される通路形成突起部の他の例を示す図であり、通路形成部材蓋部の断面図である。 図14に示す通路形成部材蓋部の底面図である。 通路形成部材蓋部に形成される通路形成突起部の更に他の例を示す図であり、通路形成部材蓋部の断面図である。 図16に示す通路形成部材蓋部の底面図である。 従来用いられている軸受ユニットを示す断面図である。
符号の説明
1 モータ、 11 ロータ、 12 ステータ、 13 ステータヨーク、 17 ロータヨーク、 30 軸受ユニット、 31 回転軸、 33 ラジアル軸受、 34 通路形成部材、 37 ハウジング、 38 ハウジング本体、 39 底部閉塞部、 40 上部閉塞部、 41 軸挿通孔、 42 潤滑油、 43,44 動圧発生溝、 45 空隙、 46 スラスト軸受、 47 テーパ部、 50 連通路、 51 第1の溝、 52 第2の溝、 53 通路形成突起部、 51a 第1の通路、 52a 第2の通路、 53a 第3の通路

Claims (2)

  1. 軸の周回り方向の支持を行うラジアル軸受と、
    上記軸のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受と、
    上記ラジアル軸受及び上記スラスト軸受の外側に設けられる通路形成部材と、
    上記通路形成部材が内部に配設され、上記軸が挿通される軸挿通孔を除いて密閉された構造とされるハウジングと、
    上記ハウジング内に充填された粘性流体と、
    上記通路形成部材と上記ラジアル軸受との間に形成され、上記ラジアル軸受から突出した軸のスラスト方向の上記一端側と他端側とを連通する連通路とを備え、
    上記連通路は、上記ラジアル軸受の周面に軸方向に形成される軸方向通路と、上記ラジアル軸受の上記一端側の面に形成される一端側通路と、上記ラジアル軸受の上記他端側の面に形成される他端側通路とを有し、上記軸のスラスト方向の上記一端側の部分を、上記軸方向通路及び上記他端側通路を介して上記軸挿通孔に連通させ、
    上記一端側通路、上記軸方向通路及び上記他端側通路は、上記軸のスラスト方向の上記一端側の部分の粘性流体中の残留空気を、上記一端側通路、上記軸方向通路及び上記他端側通路を経由させるとともに、上記軸挿通孔を介して外部に排出させるように、形成され、
    上記他端側通路は、上記ラジアル軸受の上記他端側の面又は上記ハウジングの上記ラジアル軸受の上記他端側の面に対向する面の何れか一方に設けられた突起部により形成され、
    上記他端側通路の断面は、上記軸方向通路の断面よりも断面積が大きく形成され、
    上記軸方向通路の断面は、上記一端側通路の断面よりも断面積が大きく形成され、
    上記軸方向通路は、その溝幅及び溝深さのうち小さい方の寸法が、上記他端側通路の溝幅及び溝深さより小さくなるように形成され、
    上記軸方向通路は、その溝深さが、上記一端側通路の溝深さより大きくなるように形成される軸受ユニット。
  2. ステータに対してロータを回転可能に支持する軸受ユニットを備え、
    上記軸受ユニットは、軸の周回り方向の支持を行うラジアル軸受と、
    上記軸のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受と、
    上記ラジアル軸受及び上記スラスト軸受の外側に設けられる通路形成部材と、
    上記通路形成部材が内部に配設され、上記軸が挿通される軸挿通孔を除いて密閉された構造とされるハウジングと、
    上記ハウジング内に充填された粘性流体と、
    上記通路形成部材と上記ラジアル軸受との間に形成され、上記ラジアル軸受から突出した軸のスラスト方向の上記一端側と他端側とを連通する連通路とを備え、
    上記連通路は、上記ラジアル軸受の周面に軸方向に形成される軸方向通路と、上記ラジアル軸受の上記一端側の面に形成される一端側通路と、上記ラジアル軸受の上記他端側の面に形成される他端側通路とを有し、上記軸のスラスト方向の上記一端側の部分を、上記軸方向通路及び上記他端側通路を介して上記軸挿通孔に連通させ、
    上記一端側通路、上記軸方向通路及び上記他端側通路は、上記軸のスラスト方向の上記一端側の部分の粘性流体中の残留空気を、上記一端側通路、上記軸方向通路及び上記他端側通路を経由させるとともに、上記軸挿通孔を介して外部に排出させるように、形成され、
    上記他端側通路は、上記ラジアル軸受の上記他端側の面又は上記ハウジングの上記ラジアル軸受の上記他端側の面に対向する面の何れか一方に設けられた突起部により形成され、
    上記他端側通路の断面は、上記軸方向通路の断面よりも断面積が大きく形成され、
    上記軸方向通路の断面は、上記一端側通路の断面よりも断面積が大きく形成され、
    上記軸方向通路は、その溝幅及び溝深さのうち小さい方の寸法が、上記他端側通路の溝幅及び溝深さより小さくなるように形成され、
    上記軸方向通路は、その溝深さが、上記一端側通路の溝深さより大きくなるように形成される軸受ユニットであるモータ。
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