以下、本発明が適用された軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータの実施の形態を図面を参照して説明する。
ここでは、各種情報の演算処理等を行う情報処理装置である携帯型コンピュータ等の電子機器に設けられる放熱装置に用いるモータについて説明する。この携帯型コンピュータ等の内部には放熱装置が設けられている。この放熱装置は、金属製のベースと、このベースに取り付けられたモータ1と、このモータ1によって回転操作されるファン3と、ファン3を収納したファンケース4と、ヒートシンクを有している。この放熱装置のファン3を回転駆動するモータ1について詳細に説明する。
本発明を適用した軸受ユニット30を用いたモータ1は、図1に示すように、ロータ11とステータ12とを備える。
ステータ12は、モータ1と共にこのモータ1によって回転操作されるファン3を収納したファンケース4の上面板4a側に一体に設けられている。ステータ12は、ステータヨーク13と、本発明を適用した軸受ユニット30と、コイル14とこのコイル14が巻回されるコア15とを備える。ステータヨーク13は、ファンケース4の上面部4aと一体に形成されたもの、即ち、ファンケース4の一部によって構成したものでもよく、別体に形成したものであってもよい。ステータヨーク13は、例えば鉄により形成されている。軸受ユニット30は、ステータヨーク13の中心部に筒状に形成されたホルダー16中に圧入若しくは接着、更には圧入と共に接着により固定されている。尚、軸受ユニット30が圧入されるホルダー16は、ステータヨーク13と一体に円筒状に形成されている。
ステータヨーク13に一体に固定された軸受ユニット30の外周部には、図1に示すように、駆動電流が供給されるコイル14が巻回されたコア15が取り付けられている。
ステータ12と共にモータ1を構成するロータ11は、軸受ユニット30に回転可能に支持された回転軸31に取り付けられ、回転軸31と一体に回転する。ロータ11は、ロータヨーク17と、このロータヨーク17と一体に回転する複数の羽根19を有するファン3とを有する。ファン3の羽根19は、ロータヨーク17の外周面にアウトサート成形することにより、ロータヨーク17と一体に形成される。
ロータヨーク17の筒状部17aの内周面には、ステータ12のコイル14と対向するように、リング状のロータマグネット20が設けられている。このマグネット20は、周回り方向にS極とN極が交互に着磁されたプラスチックマグネットであり、接着剤によりロータヨーク17の内周面に固定されている。
ロータヨーク17は、軸受ユニット30に支持された回転軸31の先端側に設けた取付部32に、平板部17bの中心部に設けた貫通孔21aが設けられたボス部21を圧入することによって回転軸31と一体に回転可能に取り付けられる。
上述のような構成を備えたモータ1は、ステータ12側のコイル14に、モータ1の外部に設けた駆動回路部から所定の通電パターンにより駆動電流が供給されると、コイル14に発生する磁界とロータ11側のロータマグネット20からの磁界との作用によって、ロータ11が回転軸31と一体に回転する。ロータ11が回転することにより、このロータ11に取り付けられた複数の羽根19を有するファン3もロータ11と一体に回転する。ファン3が回転されることにより、コンピュータを構成する筐体に設けた開口を介して装置外部のエアーを吸引し、更に、筐体内を流通させ、筐体内に設けたヒートシンク中を流通しながら貫通口を介して筐体の外部に排気されることにより、発熱素子から発生する熱をコンピュータ本体の外部に放熱し、コンピュータ本体を冷却する。
次に、このモータ1に用いられる軸受ユニット30を更に詳細に説明する。
上述したモータ1の回転軸31を回転自在に支持する軸受ユニット30は、図1、図2及び図3に示すように、回転軸31の周回り方向の支持を行うラジアル軸受33と、このラジアル軸受33の外周側及び軸方向の一端側である上面側に設けられ、ラジアル軸受33を保持する第1のハウジング部材として軸受ホルダ部材34と、この軸受ホルダ部材34の外周側及びラジアル軸受33の軸方向の他端側である底面側に設けられる第2のハウジング部材としてケース部材35と、一体化された軸受ホルダ部材34及びケース部材35内に充填される粘性流体である潤滑油42と、軸受ホルダ部材34とケース部材35との間に設けられ、潤滑油42をシールするためのシール部材36とを備える。
ラジアル軸受33は、回転軸31の周回り方向の支持を行う滑り軸受である。尚、ここでは、ラジアル軸受33を滑り軸受としたが、これに限られるものではなく、例えば、燒結含油軸受、動圧流体軸受であってもよい。
第1のハウジング部材である軸受ホルダ部材34は、ラジアル軸受33を収容して、ラジアル軸受33の外周面を囲むように円筒状に形成される側面部分と、ラジアル軸受33の上面側を後述する軸挿通孔41を除いて囲むような形状に形成される上面側部分とを有する部材であり、その円筒状の外周面に雄ネジ部34aを有している。軸受ホルダ部材34は、例えば、金属から切削されることにより形成される。
第2のハウジング部材であるケース部材35は、軸受ホルダ34の外周面を囲むように円筒状に形成される側面部分と、ラジアル軸受33の底面側を囲むような形状に形成される底面側部分とを有する部材であり、その円筒状の内周面に、軸受ホルダ部材34の雄ネジ部34aに対応した雌ネジ部35aを有している。ケース部材35は、例えば、金属から切削されることにより形成される。
尚、ここでは、第1のハウジング部材となる軸受ホルダ部材34と、第2のハウジング部材となるケース部材35とは、金属から切削されることで形成されるように構成したが、それぞれ、プレス部材にネジ部を転造により形成するように構成してもよく、また、合成樹脂により形成され、成型時にネジ部を形成するように構成してもよく、さらには、それぞれが異なる材質、製造方法により形成するように構成してもよい。軸受ホルダ部材34及びケース部材35は、合成樹脂により形成するように構成することで、製造工程を簡素化するとともに、低コスト化を実現する。また、ケース部材35を、例えばナイロン等の合成樹脂により形成するようにした場合には、密閉性が優れていることから、後述するシール部材36として共用することも可能である。
また、軸受ユニット30では、軸受ホルダ部材34とケース部材35とを個別に成型し、後述するように、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aの締結により一体化して組み立てるように構成したが、第2のハウジング部材であるケース部材35を合成樹脂により形成する場合には、軸受ホルダ部材34に対してアウトサート成型により形成するように構成してもよい。
軸受ホルダ部材34及びケース部材35は、軸受ホルダ部材34の外周面に形成された雄ネジ部34aと、ケース部材35の内周面に形成された雌ネジ部35aとを締結することにより、一体化されるとともに、この雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aとにより締結されて軸受ホルダ部材34に設けられた軸挿通孔41を除いて密閉された構造とされたハウジング37を構成する。このハウジング37は、ラジアル軸受33を収容して、その内部には、上述したように潤滑油42が充填される。
すなわち、軸受ホルダ部材34及びケース部材35は、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aにより一体化されて、ラジアル軸受33を密閉して収容するとともに、軸方向の一端側である上面側に回転軸31が挿通される軸挿通孔41を有するハウジング37を構成して、その内部に潤滑油42が充填される。
尚、軸受ホルダ部材34及び/又はケース部材35には、図4及び図5に示すように、締結する際に用いられる滑り防止機構が設けられるように構成してもよい。すなわち、軸受ユニット30を構成する軸受ホルダ部材は、例えば、図4(a)に示すように、上面側の外周面に締め付け用のレンチ、マイナスドライバ等の工具に係合するための係合部49a1を1箇所設けた所謂Dカットされた形状の滑り防止機構49aを有する軸受ホルダ部材34Aであってもよく、図4(b)に示すように、上面側の外周面に係合部49b2を2箇所設けた形状の滑り防止機構49bを有する軸受ホルダ部材34Bであってもよく、さらに、図4(c)に示すように、上面に係合溝49c1を設けた形状の滑り防止機構49cを有する軸受ホルダ部材34Cであってもよい。また、軸受ユニット30を構成するケース部材35は、例えば、図5に示すように、底面側の外周面に締め付け用の工具に係合するための係合部49d1を1箇所設けた所謂Dカットされた形状の滑り防止機構49dを有するケース部材35Aであってもよく、また、底面側の外周面に係合部を2箇所設けた形状の滑り防止機構を有するケース部材であってもよく、さらに、底面に係合溝を設けた形状の滑り防止機構を有するケース部材であってもよい。このように、軸受ホルダ部材及び/又はケース部材に、滑り防止機構を設けることにより、組立が容易になり、組立工程を簡素化できる。
軸受ホルダ部材34及びケース部材35が一体化されてなるハウジング37は、図2に示すように、筒状をなすハウジング本体38と、ハウジング本体38の底面側を閉塞するようにケース部材35と一体に形成された他端側部分を構成する底部閉塞部39と、ハウジング本体38の上面側を構成する軸受ホルダ部材34と一体に形成された上部閉塞部40とからなる。上部閉塞部40の中央部には、ハウジング37に収納されたラジアル軸受33に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔41が設けられている。
シール部材36は、軸受ホルダ部材34とケース部材35との間に設けられ、一体化された軸受ホルダ部材34及びケース部材35の隙間から潤滑油42が漏洩することを防止する。すなわち、シール部材36は、ケース部材35の底部閉塞部39の内面側に配置され、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aの締め付け力により、ラジアル軸受33を収容した軸受ホルダ部材34の円筒状に形成された部分の底面側の端部と、ケース部材35の底部閉塞部39との間で押さえ付けられ、ハウジング37に充填された潤滑油42の漏洩を確実に防止することを可能とする。換言すると、シール部材36は、軸受ホルダ部材34の当接部となる端部と、ケース部材35の当接部となる底部閉塞部39とにより挟み込まれることで、潤滑油42の漏洩を防止することができる。
シール部材36を構成する材料としては、例えば、ナイロン、ゴム等の高分子材料を用いてもよく、銅等の柔らかい金属を用いてもよい。また、ここでは、シール部材36を構成する材料として、摺動部材となるナイロンを用いることにより、後述のようにピボット型のスラスト軸受36aとして共用している。
軸受ユニット30は、軸受ホルダ部材34とケース部材35とを一体化する際にシール部材36を押さえ付ける構成により、構成及び組立工程を簡素化するとともに、この軸受ホルダ部材34とケース部材35との締め付け面からの漏洩を防止して、この軸受ホルダ部材34とケース部材35とを一体化することにより構成されるハウジング37を軸挿通孔41を除いて密閉することができるので、潤滑油等の粘性流体の漏洩を防止することが可能となる。
また、軸受ユニット30では、シール部材36を設けるように構成したが、上述したように軸受ホルダ部材34又はケース部材35を合成樹脂等により構成することで、シール部材と同等の効果を得ることができる。すなわち、シール部材を設けない構成とした軸受ユニットは、軸受ホルダ部材34とケース部材35とが一体化される際に、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aの締め付け力により、ラジアル軸受33を収納した軸受ホルダ部材34の円筒状に形成された部分の底面側の端部と、ケース部材35の底部閉塞部39とが当接して互いに押さえ付けられ、ハウジング37に充填された潤滑油42の漏洩を確実に防止することを可能とする。換言すると、軸受ホルダ部材34又はケース部材35の合成樹脂等により構成された側の当接面がシール部材としての機能を発揮する。
また、軸受ユニット30において、シール部材36を設ける場合も設けない場合においても、上述したように軸受ホルダ部材34又はケース部材35を合成樹脂又は柔らかい金属等により構成した場合においては、その雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aの締結面自体が高いシール機能を有することになり、軸受ホルダ部材34とケース部材35とが一体化される際に、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aの締結部、すなわち、ネジ部の締結面により、ハウジング37に充填された潤滑油42の漏洩を確実に防止することができる。
ハウジング37の底部閉塞部39上に配置されたシール部材36の内面側の中央部には、ラジアル軸受33に支持された回転軸31のスラスト方向の一端部に設けた軸受支持部31aを回転可能に支持するスラスト軸受36aが一体に形成されている。すなわち、スラスト軸受36aは、シール部材36を摺動部材となるナイロン等により形成されることでシール部材と共用している。スラスト軸受36aは、円弧状若しくは先端先細り状に形成された回転軸31の軸受支持部31aを点で支持するピボット軸受として形成されている。
尚、ここでは、シール部材36を構成する材料としてナイロンを用いることで、スラスト軸受36aをシール部材36の一部として形成されるよう構成したが、スラスト軸受を独立して形成してシール部材上に配置するように構成してもよいし、底部閉塞部39と一体にスラスト軸受を設けるように構成し、このスラスト軸受により回転軸31を支持できるようにシール部材に略円形状の開口部を設けるように構成してもよい。
シール部材36と一体に設けられたスラスト軸受36aによって回転自在に支持される回転軸31は、軸部本体31bのスラスト軸受36aによって支持される軸受支持部31aを円弧状若しくは先端先細り状に形成し、他端側に回転体である例えばモータ1のロータ11が取り付けられる取付部32が設けられている。ここで、軸部本体31bと取付部32は、同径に形成されている。
回転軸31は、図2に示すように、一端側の軸受支持部31aをスラスト軸受36aによって支持され、軸部本体31bの外周面をラジアル軸受33により支持され、他端側に設けた取付部32側をハウジング本体38の上部閉塞部40に設けた軸挿通孔41から突出されてハウジング37に支持されている。
軸挿通孔41は、この軸挿通孔41に挿通された回転軸31が軸挿通孔41の内周面に摺接することなく回転するように、軸部本体31bの外径よりやや大きな内径をもって形成されている。このとき、軸挿通孔41は、その内周面と軸部本体31bの外周面との間にハウジング37内に充填された潤滑油42がハウジング37内から漏れを防止するに足る間隔の空隙45を有するように形成される。このように、回転軸31との間にハウジング37内に充填された潤滑油42の漏れを防止するようにした空隙45が形成されるように軸挿通孔41を形成した上部閉塞部40は、オイルシール部を構成している。
回転軸31の軸挿通孔41の内周面と対向する外周面には、テーパ部47が設けられている。テーパ部47は、回転軸31の外周面と軸挿通孔41の内周面との間に形成される空隙45をハウジング37の外方に向かって拡大させるように傾斜されている。このテーパ部47は、回転軸31の外周面と軸挿通孔41の内周面とによって形成される空隙45に圧力勾配を形成し、ハウジング37内に充填された潤滑油42をハウジング37の内部に引き込む力を発生させて、潤滑油42の漏洩を防止する。
尚、上述した軸受ユニット30は、テーパ部47を回転軸31側に設けているが、ハウジング37側の軸挿通孔41の内周面にテーパ部を設けるように構成してもよい。
上述したように構成される軸受ユニット30は、図3に示すように、ケース部材35の底部閉塞部39上にシール部材36を配置し、軸受ホルダ部材34にラジアル軸受33を取り付けた上で、この軸受ホルダ部材34とケース部材35とを雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aを締結することで一体となったハウジング37が形成され、このハウジング37の軸挿通孔41から回転軸31をラジアル軸受33に挿通させ、潤滑油42が充填されることで組み立てられる。このとき、軸受ホルダ部材34及びケース部材35は、上述のように、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aの締結により一体化されるとともに、このハウジング37の内部を軸挿通孔41を除いて密閉する。
軸受ユニット30は、軸受ホルダ部材34の外周に設けた雄ネジ部34aと、ケース部材35の内周に設けた雌ネジ部35aとで、ラジアル軸受33を挟んで保持し、煩雑なシーリング工程を設けることなく、潤滑油の漏洩を防止できるように密閉することが可能となり、安価で信頼性に優れ、良好な潤滑を得ることができる。また、軸受ユニット30は、この雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aを外周面、内周面に設ける構成から、ハウジング37の軸方向の寸法を増加させることなく、薄型化及び小型化を実現するとともに、簡素な締結をすることが可能となる。
上述のように、本発明を適用した軸受ユニット30は、ラジアル軸受33の外周側及び軸方向の一端側に設けられ、ラジアル軸受33を保持する軸受ホルダ部材34と、軸受ホルダ部材34の外周側及びラジアル軸受33の軸方向の他端側に設けられるケース部材35とを軸受ホルダ部材34の外周側に設けられた雄ネジ部34aと、ケース部材35の内周側に設けられた雌ネジ部35aとにより締結することで一体化してハウジング37を構成すると同時に、ハウジング37内部を軸方向の一端側に設けられる軸挿通孔41を除いて密閉することができるので、潤滑油の漏洩を防止できるとともに、構成を簡素化し、組立を容易に行うことを可能とする。
また、本発明を適用した軸受ユニット30は、軸受ホルダ部材34とケース部材35との間にシール部材36を設けたことにより、このシール部材36により確実なパッキングを行うことを可能とし、軸受ホルダ部材34及びケース部材35を、その雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aにより締結することで一体化すると同時に、このパッキングを行い、ハウジング37内部を軸挿通孔41を除いて密閉することができるので、構成を簡素化及び小型化でき、組立工程を簡素化できるとともに、粘性流体である潤滑油の漏れをより確実に防止してさらに信頼性を高めることができる。
尚、上述の軸受ユニット30では、ラジアル軸受33として滑り軸受を用いるように構成したが、軸受ユニットを構成するラジアル軸受として、上述したように、動圧流体軸受を用いるように構成してもよい。ラジアル軸受として動圧流体軸受を用いた軸受ユニットは、例えば、図6に示すように構成してもよい。尚、以下の説明において、図2に示す軸受ユニット30と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図6に示す軸受ユニット50は、回転軸51の周回り方向の支持を行うラジアル軸受53と、このラジアル軸受53の外周側及び軸方向の上面側に設けられ、ラジアル軸受53を保持する軸受ホルダ部材54と、この軸受ホルダ部材54の外周側及びラジアル軸受53の軸方向の底面側に設けられるケース部材35と、軸受ホルダ部材54及びケース部材35が一体化されることにより構成されるハウジング57内に充填される潤滑油42と、軸受ホルダ部材54とケース部材35との間に設けられるシール部材36とを備える。
ラジアル軸受53は、焼結メタルにより円筒状に形成されている。ラジアル軸受53は、ハウジング57に充填される粘性流体である潤滑油42と共に動圧流体軸受を構成するものであって、回転軸51が挿通される内周面には、動圧発生溝63が形成されている。
動圧発生溝63は、図7に示すように、ラジアル軸受53の内周面にV字状をなす一対の溝63aを周回り方向に複数形成して構成されている。動圧発生溝63は、V字状をなす一対の溝63aの先端側が回転軸51の回転方向R1に向くように形成されている。ここでは、動圧発生溝63は、円筒状をなすラジアル軸受53の軸方向に上下に並列して形成されている。ラジアル軸受53に設けられる動圧発生溝63の数や大きさは、ラジアル軸受53の大きさや長さ等により適宜選択される。なお、このラジアル軸受53は、真鍮、ステンレス又は高分子材料でもよい。
動圧流体軸受として形成されたラジアル軸受53は、このラジアル軸受53に挿通された回転軸51が、中心軸CLを中心に図7中矢印R1方向に連続して回転すると、ハウジング57内に充填された潤滑油42が動圧発生溝63内を流通し、回転軸51の外周面とラジアル軸受53の内周面との間に動圧を発生させて回転する回転軸51を支持する。このとき発生する動圧は、回転軸51の円滑な回転を実現する。
第1のハウジング部材である軸受ホルダ部材54は、ラジアル軸受53を収容して、ラジアル軸受53の外周面を囲むように円筒状に形成される側面部分と、ラジアル軸受53の上面側を後述する軸挿通孔61を除いて囲むような形状に形成される上面側部分とを有する部材であり、その円筒状の外周面に上述した軸受ホルダ部材34と同様に雄ネジ部34aを有している。尚、軸受ホルダ部材54は、上述した軸受ホルダ部材34と同様の材質、製造方法により形成されている。
軸受ホルダ部材54及びケース部材35は、雄ネジ部34aと、雌ネジ部35aとを締結することにより、一体化されるとともに、軸受ホルダ部材54に設けられた軸挿通孔61を除いて密閉された構造とされたハウジング57を構成する。このハウジング57は、ラジアル軸受53を収容して、その内部には、上述したように潤滑油42が充填される。
すなわち、軸受ホルダ部材54及びケース部材35は、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aにより一体化されて、ラジアル軸受53を密閉して収容するとともに、軸方向の一端側である上面側に回転軸51が挿通される軸挿通孔61を有するハウジング57を構成して、その内部に潤滑油42が充填される。
尚、軸受ホルダ部材54についても、上述した軸受ホルダ部材34と同様に、図4に示すような滑り防止機構を設けるように構成してもよい。
軸受ホルダ部材54及びケース部材35が一体化されてなるハウジング57は、図6に示すように、ハウジング本体38と、ハウジング本体38の底面側を閉塞する底部閉塞部39と、ハウジング本体38の上面側を構成する軸受ホルダ部材54と一体に形成される上部閉塞部60とからなる。上部閉塞部60の中央部には、ハウジング57に収納されたラジアル軸受53に回転自在に支持された回転軸51が挿通される軸挿通孔61が設けられている。
シール部材36は、軸受ホルダ部材54とケース部材35との間に設けられ、一体化された軸受ホルダ部材54及びケース部材35の隙間から潤滑油42が漏洩することを防止する。すなわち、シール部材36は、ケース部材35の底部閉塞部39の内面側に配置され、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aの締め付け力により、ラジアル軸受53を収容した軸受ホルダ部材54の円筒状に形成された部分の底面側の端部と、ケース部材35の底部閉塞部39との間で押さえ付けられ、ハウジング57に充填された潤滑油42の漏洩を確実に防止することを可能とする。
軸受ユニット50は、軸受ホルダ部材54とケース部材35とを一体化する際にシール部材36を押さえ付ける構成により、構成及び組立工程を簡素化するとともに、この軸受ホルダ部材54とケース部材35との締め付け面からの漏洩を防止して、この軸受ホルダ部材54とケース部材35とを一体化することにより構成されるハウジング57を軸挿通孔61を除いて密閉することができるので、潤滑油等の粘性流体の漏洩を防止することが可能となる。
また、軸受ユニット50において、シール部材を設けないように構成した場合、及び、軸受ホルダ部材又はケース部材を合成樹脂又は比較的柔らかい金属等により構成した場合の機能、効果については、上述した軸受ユニット30の場合において説明したのと同様であるのでここでは、詳細な説明は省略する。
シール部材36と一体に設けられたスラスト軸受36aによって回転自在に支持される回転軸51は、軸部本体51bのスラスト軸受36aによって支持される軸受支持部51aを円弧状若しくは先端先細り状に形成し、他端側に回転体である例えばモータ1のロータ11が取り付けられる取付部32が設けられている。ここで、軸部本体51bと取付部32は、同径に形成されている。
回転軸51は、図6に示すように、一端側の軸受支持部51aをスラスト軸受36aによって支持され、軸部本体51bの外周面をラジアル軸受53により支持され、他端側に設けた取付部32側をハウジング本体38の上部閉塞部60に設けた軸挿通孔61から突出されてハウジング57に支持されている。
軸挿通孔61は、この軸挿通孔61に挿通された回転軸51が軸挿通孔61の内周面に摺接することなく回転するように、軸部本体51bの外径よりやや大きな内径をもって形成されている。このとき、軸挿通孔61は、その内周面と軸部本体51bの外周面との間にハウジング57内に充填された潤滑油42がハウジング57内から漏れを防止するに足る間隔の空隙65を有するように形成される。このように、回転軸51との間にハウジング57内に充填された潤滑油42の漏れを防止するようにした空隙65が形成されるように軸挿通孔61を形成した上部閉塞部60は、オイルシール部を構成している。
軸挿通孔61の回転軸51の外周面と対向する内周面には、テーパ部67が設けられている。テーパ部67は、回転軸51の外周面と軸挿通孔61の内周面との間に形成される空隙65をハウジング57の外方に向かって拡大させるように傾斜されている。このテーパ部67は、回転軸51の外周面と軸挿通孔61の内周面とによって形成される空隙65に圧力勾配を形成し、ハウジング57内に充填された潤滑油42をハウジング57の内部に引き込む力が発生する。回転軸51の回転時に、潤滑油42がハウジング57の内部に引き込まれるようになるので、動圧流体軸受により構成されたラジアル軸受53の動圧発生溝63に潤滑油42が確実に浸入して動圧を発生させ、回転軸51の安定した支持が実現され、しかもハウジング57に充填された潤滑油42の漏洩を防止できる。
軸受ユニット50において、動圧流体軸受を構成するラジアル軸受53に設けた動圧発生溝63に浸入して動圧を発生させる潤滑油42は、図6に示すように、ハウジング57内から回転軸51に形成されたテーパ部67と軸挿通孔61の内周面とによって形成された空隙65に臨むように充填される。即ち、潤滑油42は、ハウジング57内の隙間に充填され、更に燒結金属からなるラジアル軸受53に含浸される。
本発明を適用した軸受ユニット50は、ラジアル軸受53の外周側及び軸方向の一端側に設けられ、ラジアル軸受53を保持する軸受ホルダ部材54と、軸受ホルダ部材54の外周側及びラジアル軸受53の軸方向の他端側に設けられるケース部材35とを軸受ホルダ部材54の外周側に設けられた雄ネジ部34aと、ケース部材35の内周側に設けられた雌ネジ部35aとにより締結することで一体化してハウジング57を構成すると同時に、ハウジング57内部を軸挿通孔61を除いて密閉することができるので、潤滑油の漏洩を防止できるとともに、構成を簡素化し、組立を容易に行うことを可能とする。
さらに、本発明を適用した軸受ユニット50は、動圧流体軸受として形成されたラジアル軸受53を用いることで、さらに円滑な回転性能を実現するとともに、上述した滑り軸受からなるラジアル軸受33に比べて潤滑油の保持が重要となる動圧流体軸受であるラジアル軸受53に対しても潤滑油を確実且つ十分に保持することができ、長時間にわたり良好な回転性能を得るとともに、構成の簡素化及び組立工程の簡素化を得ることができる。
また、本発明を適用した軸受ユニット50は、軸受ホルダ部材54とケース部材35との間にシール部材36を設けたことにより、このシール部材36により確実なパッキングを行うことを可能とし、軸受ホルダ部材54及びケース部材35を、その雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aにより締結することで一体化すると同時に、このパッキングを行い、ハウジング57内部を軸挿通孔61を除いて密閉することができるので、構成を簡素化及び小型化でき、組立工程を簡素化できるとともに、粘性流体である潤滑油の漏れをより確実に防止してさらに信頼性を高めることができる。
尚、本発明が適用された軸受ユニットは、上述した軸受ユニット30,50に限られるものではなく、例えば、図8(a)に示すようにラジアル軸受から突出した回転軸のスラスト方向の一端側と他端側とを連通する連通通路を設けるように構成してもよい。尚、以下の説明において、図2、図6に示す軸受ユニット30、50と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図8(a)に示す軸受ユニット70は、回転軸31の周回り方向の支持を行うラジアル軸受73と、このラジアル軸受73の外周側及び軸方向の上面側に設けられ、ラジアル軸受73を保持する軸受ホルダ部材34と、この軸受ホルダ部材34の外周側及びラジアル軸受73の軸方向の底面側に設けられるケース部材35と、軸受ホルダ部材34及びケース部材35が一体化されることにより構成されるハウジング37内に充填される潤滑油42と、シール部材36と、ハウジング37とラジアル軸受73との間に形成される連通通路79とを備える。
ラジアル軸受73は、上述したラジアル軸受53と同様に、燒結メタルにより形成され、ハウジング37に充填される潤滑油42と共に動圧流体軸受を構成するものであって、回転軸31が挿通される内周面には、上述したラジアル軸受53と同様の動圧発生溝63が形成されている。
動圧流体軸受として形成されたラジアル軸受73は、このラジアル軸受73に挿通された回転軸31が、回転すると、ハウジング37内に充填された潤滑油42が動圧発生溝63内を流通し、回転軸31の外周面とラジアル軸受73の内周面との間に動圧を発生させて回転する回転軸31を支持する。このとき発生する動圧は、回転軸31の円滑な回転を実現する。
尚、ここでは、動圧発生溝を有する所謂動圧流体軸受としてラジアル軸受73を形成するように構成したが、本発明を適用する軸受ユニットを構成するラジアル軸受は、これに限られるものではなく、回転軸の周回り方向の支持を行うものであればよく、例えば、滑り軸受、燒結含油軸受等であってもよい。
連通通路79は、図8(b)に示すように、ラジアル軸受73の外周面のスラスト方向に形成された第1の溝79aと、ラジアル軸受73のスラスト軸受36a側の一端面に形成された第2の溝79bと、ラジアル軸受73の他端面に形成された第3の溝79cとからなる。
このように、ハウジング37を構成する軸受ホルダ部材34と、ハウジング37を構成するケース部材35とは、ラジアル軸受73とハウジング37との間に連通通路79を形成するための通路形成部材としての機能も有する。
この連通通路79は、ラジアル軸受73から突出した回転軸31の開放側、非開放側を連通しているため、回転軸31とハウジング37とが相対的に回転し、動圧が発生したときにも、回転軸31が開放されていない側である非軸露出側の軸端の静圧が低下することを防止できる。よって、連通通路79は、内部の静圧が低下することにより発生するハウジング37内の残留空気や潤滑油中に溶解する空気の膨張による潤滑油の押し出しを防止することができる。また、換言すると、連通通路79は、ラジアル軸受73の両端の圧力を短絡することができるので、圧力差が生じることがなく、よって圧力差により軸浮上が発生することもない。
この軸受ユニット70では、連通通路79を設けることにより、ラジアル軸受73から突出した回転軸71の両端を連通した、いわゆる軸両端開放型である。従来の軸両端開放型の軸受ユニットでは、衝撃による潤滑油の飛散が発生しやすくなるという問題があった。この軸受ユニット70では、ハウジング37が軸挿通孔41を除いて密閉した構造とするので、回転軸31のラジアル軸受73から突出した軸開放側及び非軸開放側が連通通路79により連通されているが、外部からはハウジング37に設けられた軸挿通孔41以外は密閉されている。すなわち、この軸受ユニット70は、連通通路79が外部から密閉されたハウジング37内に設けられたものであるので、衝撃による潤滑油の飛散を防止することができる。
軸受ユニット70は、軸受ホルダ部材34とケース部材35とを一体化する際にシール部材36を押さえ付ける構成により、構成及び組立工程を簡素化するとともに、この軸受ホルダ部材34とケース部材35との締め付け面からの漏洩を防止して、この軸受ホルダ部材34とケース部材35とを一体化することにより構成されるハウジング37を軸挿通孔41を除いて密閉することができるので、潤滑油等の粘性流体の漏洩を防止することが可能となる。
また、軸受ユニット70において、シール部材を設けないように構成した場合、及び、軸受ホルダ部材又はケース部材を合成樹脂又は比較的柔らかい金属等により構成した場合の機能、効果については、上述した軸受ユニット30の場合において説明したのと同様であるのでここでは、詳細な説明は省略する。
本発明を適用された軸受ユニット70は、ラジアル軸受73の外周側及び軸方向の一端側に設けられ、ラジアル軸受73を保持する軸受ホルダ部材34と、軸受ホルダ部材34の外周側及びラジアル軸受73の軸方向の他端側に設けられるケース部材35とを軸受ホルダ部材34の外周側に設けられた雄ネジ部34aと、ケース部材35の内周側に設けられた雌ネジ部35aとにより締結することで一体化してハウジング37を構成すると同時に、ハウジング37内部を軸挿通孔41を除いて密閉することができるので、潤滑油の漏洩を防止できるとともに、構成を簡素化し、組立を容易に行うことを可能とする。
また、本発明を適用した軸受ユニット70は、軸受ホルダ部材34とケース部材35との間にシール部材36を設けたことにより、このシール部材36により確実なパッキングを行うことを可能とし、軸受ホルダ部材34及びケース部材35を、その雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aにより締結することで一体化すると同時に、このパッキングを行い、ハウジング37内部を軸挿通孔41を除いて密閉することができるので、構成を簡素化及び小型化でき、組立工程を簡素化できるとともに、粘性流体である潤滑油の漏れをより確実に防止してさらに信頼性を高めることができる。
さらに、本発明を適用した軸受ユニット70は、上述のように、軸受ホルダ部材34及びケース部材35を一体化してハウジング37を構成し、軸受ホルダ部材34とラジアル軸受73との間に形成され、ラジアル軸受73から突出した回転軸31のスラスト方向の一端側と他端側とを連通する連通通路79を備えることにより、回転軸31とハウジング37とが相対的に回転し、動圧が発生したときにも内部の静圧が低下することを防止し、ハウジング37内の残留空気や潤滑油中に溶解する空気の膨張による潤滑油の押し出されてしまう漏洩現象を防止し、良好な潤滑性能を保持することができる。よって、軸受ホルダ部材34及びケース部材35の一体化の際に、ハウジング37内部の密閉及び連通通路79の形成を同時に行うことができるので、潤滑油の漏洩防止を図りつつ、工程の簡素化を実現する。
尚、上述の軸受ユニット70では、連通通路79をラジアル軸受33側に設けた第1乃至第3の溝からなるように構成したが、連通通路を構成する溝をハウジングを構成する軸受ホルダ部材側に設けるように構成してもよい。軸受ホルダ部材側に連通通路を有する軸受ユニットは、例えば、図9(a)に示すように構成してもよい。尚、以下の説明において、図2、図6、図8に示す軸受ユニット30,50,70と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図9(a)に示す軸受ユニット80は、回転軸31の周回り方向の支持を行うラジアル軸受53と、このラジアル軸受53の外周側及び軸方向の上面側に設けられ、ラジアル軸受53を保持する第1のハウジング部材として軸受ホルダ部材84と、この軸受ホルダ部材84の外周側及びラジアル軸受53の軸方向の底面側に設けられるケース部材35と、軸受ホルダ部材84及びケース部材35が一体化されることにより構成されるハウジング87内に充填される潤滑油42と、潤滑油42をシールするためのシール部材86と、ハウジング87とラジアル軸受53との間に形成される連通通路89とを備える。
ラジアル軸受53は、上述したように、潤滑油42と共に動圧流体軸受を構成するものであって、回転軸31が挿通される内周面には、動圧発生溝が形成されている。動圧流体軸受として形成されたラジアル軸受53は、回転軸31が回転すると、ハウジング87内に充填された潤滑油42が動圧発生溝63内を流通し、回転軸31の外周面とラジアル軸受53の内周面との間に動圧を発生させて回転する回転軸31を支持する。このとき発生する動圧は、回転軸31の円滑な回転を実現する。
第1のハウジング部材である軸受ホルダ部材84は、ラジアル軸受53を収容して、ラジアル軸受53の外周面を囲むように円筒状に形成される側面部分と、ラジアル軸受53の上面側を後述する軸挿通孔41を除いて囲むような形状に形成される上面側部分とを有する部材であり、その円筒状の外周面に上述した軸受ホルダ部材34と同様に雄ネジ部34aを有している。尚、軸受ホルダ部材84は、上述した軸受ホルダ部材34と同様の材質、製造方法により形成されている。
軸受ホルダ部材84及びケース部材35は、雄ネジ部34aと、雌ネジ部35aとを締結することにより、一体化されるとともに、軸受ホルダ部材84に設けられた軸挿通孔41を除いて密閉された構造とされたハウジング87を構成する。このハウジング87は、ラジアル軸受53を収容して、その内部には、上述したように潤滑油42が充填される。
すなわち、軸受ホルダ部材84及びケース部材35は、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aにより一体化されて、ラジアル軸受53を密閉して収容するとともに、軸方向の一端側である上面側に回転軸31が挿通される軸挿通孔41を有するハウジング87を構成して、その内部に潤滑油42が充填される。
尚、軸受ホルダ部材84についても、上述した軸受ホルダ部材34と同様に、図4に示すような滑り防止機構を設けるように構成してもよい。
軸受ホルダ部材84及びケース部材35が一体化されてなるハウジング87は、図9(a)に示すように、ハウジング本体38と、ハウジング本体38の底面側を閉塞する底部閉塞部39と、ハウジング本体38の上面側を構成する軸受ホルダ部材84と一体に形成される上部閉塞部40とからなる。上部閉塞部40の中央部には、ハウジング87に収納されたラジアル軸受53に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔41が設けられている。
連通通路89は、図9(b)、図9(c)及び図9(d)に示すように、軸受ホルダ部材84の円筒状に形成される側面部分の内周面に形成された第1の溝89aと、シール部材86のラジアル軸受53側に形成された第2の溝89bと、軸受ホルダ部材84の上面の内面側に形成された第3の溝89cとからなる。尚、ここでは、第2の溝89bは、シール部材86に設けるように構成したが、シール部材を設けない場合には、第2のハウジング部材であるケース部材35の底部閉塞部39の内面に設けるように構成してもよい。また、連通通路は、上述のラジアル軸受73側に設けた第1の溝79aと、軸受ホルダ部材84及びシール部材86側に設けた第2乃至第3の溝89b,89cを組み合わせて構成するようにしてもよい。
このように、ハウジング87を構成する軸受ホルダ部材84と、ハウジング87を構成するケース部材35上に配置されたシール部材86とは、ラジアル軸受53とハウジング87との間に連通通路89を形成するための通路形成部材としての機能も有する。
この連通通路89は、ラジアル軸受53から突出した回転軸31の開放側、非開放側を連通しているため、回転軸31とハウジング87とが相対的に回転し、動圧が発生したときにも、回転軸31が開放されていない側である非軸露出側の軸端の静圧が低下することを防止できる。よって、連通通路89は、内部の静圧が低下することにより発生するハウジング87内の残留空気や潤滑油中に溶解する空気の膨張による潤滑油の押し出しを防止することができる。また、換言すると、連通通路89は、ラジアル軸受53の両端の圧力を短絡することができるので、圧力差が生じることがなく、よって圧力差により軸浮上が発生することもない。
この軸受ユニット80では、連通通路89を設けることにより、ラジアル軸受53から突出した回転軸31の両端を連通した、いわゆる軸両開放型である。上述のように、この軸受ユニット80では、ハウジング87が軸挿通孔41を除いて密閉した構造とするので、回転軸31のラジアル軸受53から突出した軸開放側及び非軸開放側が連通通路89により連通されているが、外部からはハウジング87に設けられた軸挿通孔41以外は密閉されている。すなわち、この軸受ユニット80は、連通通路89が外部から密閉されたハウジング87内に設けられたものであるので、衝撃による潤滑油の飛散を防止することができる。
シール部材86は、連通通路89を構成する第2の溝89bが構成されていることを除いて、上述したシール部材36と同様の構成を有している。すなわち、シール部材86は、シール部材36と同様の材料により形成され、スラスト軸受36aが設けられている。
シール部材86は、軸受ホルダ部材84とケース部材35との間に設けられ、一体化された軸受ホルダ部材84及びケース部材35の隙間から潤滑油42が漏洩することを防止する。すなわち、シール部材86は、ケース部材35の底部閉塞部39の内面側に配置され、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aの締め付け力により、ラジアル軸受53を収容した軸受ホルダ部材84の円筒状に形成された部分の底面側の端部と、ケース部材35の底部閉塞部30との間で押さえ付けられ、ハウジング87に充填された潤滑油42の漏洩を確実に防止することを可能とする。
軸受ユニット80は、軸受ホルダ部材84とケース部材35とを一体化する際にシール部材36を押さえ付ける構成により、構成及び組立工程を簡素化するとともに、この軸受ホルダ部材84とケース部材35との締め付け面からの漏洩を防止して、この軸受ホルダ部材84とケース部材35とを一体化することにより構成されるハウジング87を軸挿通孔41を除いて密閉することができるので、潤滑油等の粘性流体の漏洩を防止することが可能となる。
また、軸受ユニット80において、シール部材を設けないように構成した場合、及び、軸受ホルダ部材又はケース部材を合成樹脂又は比較的柔らかい金属等により構成した場合の機能、効果については、上述した軸受ユニット30の場合において説明したのと同様であるのでここでは、詳細な説明は省略する。
本発明が適用された軸受ユニット80は、ラジアル軸受53の外周側及び軸方向の一端側に設けられ、ラジアル軸受53を保持する軸受ホルダ部材84と、軸受ホルダ部材84の外周側及びラジアル軸受53の軸方向の他端側に設けられるケース部材35とを軸受ホルダ部材84の外周側に設けられた雄ネジ部34aと、ケース部材35の内周側に設けられた雌ネジ部35aとにより締結することで一体化してハウジング87を構成すると同時に、ハウジング87内部を軸挿通孔41を除いて密閉することができるので、潤滑油の漏洩を防止できるとともに、構成を簡素化し、組立を容易に行うことを可能とする。
また、本発明を適用した軸受ユニット80は、軸受ホルダ部材84とケース部材35との間にシール部材86を設けたことにより、このシール部材86により確実なパッキングを行うことを可能とし、軸受ホルダ部材84及びケース部材35を、その雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aにより締結することで一体化すると同時に、このパッキングを行い、ハウジング87内部を軸挿通孔41を除いて密閉することができるので、構成を簡素化及び小型化でき、組立工程を簡素化できるとともに、粘性流体である潤滑油の漏れをより確実に防止してさらに信頼性を高めることができる。
さらに、本発明を適用した軸受ユニット80は、上述のように、軸受ホルダ部材84及びケース部材35を一体化してハウジング87を構成し、軸受ホルダ部材84とラジアル軸受53との間に形成され、ラジアル軸受53から突出した回転軸31のスラスト方向の一端側と他端側とを連通する連通通路89を備えることにより、回転軸31とハウジング87とが相対的に回転し、動圧が発生したときにも内部の静圧が低下することを防止し、ハウジング87内の残留空気や潤滑油中に溶解する空気の膨張による潤滑油の押し出されてしまう漏洩現象を防止し、良好な潤滑性能を保持することができる。よって、軸受ホルダ部材84及びケース部材35の一体化の際に、ハウジング87内部の密閉及び連通通路89の形成を同時に行うことができるので、潤滑油の漏洩防止を図りつつ、工程の簡素化を実現する。
さらに、本発明が適用される軸受ユニットは、上述した軸受ユニット30,50,70,80に限られるものではなく、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材との締結時の軸方向を調整する軸調整手段を設けるように構成してもよい。軸調整手段を有する軸受ユニットは、例えば、図10に示すように構成してもよい。尚、以下の説明において、図2、図6に示す軸受ユニット30,50と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図10に示す軸受ユニット90は、回転軸51の周回り方向の支持を行うラジアル軸受53と、このラジアル軸受53の外周側及び軸方向の上面側に設けられ、ラジアル軸受53を保持する軸受ホルダ部材94と、この軸受ホルダ部材94の外周側及びラジアル軸受53の軸方向の底面側に設けられるケース部材95と、軸受ホルダ部材94及びケース部材95が一体化されることにより構成されるハウジング97内に充填される潤滑油42と、軸受ホルダ部材94とケース部材95との間に設けられるシール部材36とを備える。
第1のハウジング部材である軸受ホルダ部材94は、ラジアル軸受53を収容して、ラジアル軸受53の外周面を囲むように円筒状に形成される側面部分と、ラジアル軸受53の上面側を後述する軸挿通孔61を除いて囲むような形状に形成される上面側部分とを有する部材であり、その円筒状の外周面のケース部材95に挿入する側の端部側に設けられる雄ネジ部94aと、その円筒状の外周面の基部側に設けられる取付基準面となる軸合わせ部94bとを有している。
第2のハウジング部材であるケース部材95は、軸受ホルダ94の外周面を囲むように円筒状に形成される側面部分と、ラジアル軸受53の底面側を囲むような形状に形成される底面側部分とを有する部材であり、その円筒状の内周面の底部側に設けられる軸受ホルダ部材94の雄ネジ部94aに対応した雌ネジ部95aと、その円筒状の内周面の上面部側に設けられる取付基準面となる軸合わせ部95bとを有している。
尚、軸受ホルダ部材94及びケース部材95は、上述した軸受ホルダ部材34及びケース部材35と同様の材質、製造方法により形成されている。
取付基準面となる軸合わせ部94b,95bは、互いに対応した大きさに形成されるとともに、滑らかな周面状に形成されている。軸合わせ部94b,95bは、軸受ホルダ部材94及びケース部材95の軸方向、すなわち、締結する際の同軸度を調整する軸調整手段として機能する。すなわち、軸合わせ部94b,95bからなる軸調整手段は、取り付け基準となるケース部材95に対して、軸受ホルダ部材94に保持されたラジアル軸受53に支持される回転軸51の軸方向が適切な状態となるように、ケース部材95及び軸受ホルダ部材95を取り付けることができる。
軸受ホルダ部材94及びケース部材95は、雄ネジ部94aと、雌ネジ部95aとを締結することにより、一体化されるとともに、軸受ホルダ部材94に設けられた軸挿通孔61を除いて密閉された構造とされたハウジング97を構成する。このハウジング97は、ラジアル軸受53を収容して、その内部には、上述したように潤滑油42が充填される。
すなわち、軸受ホルダ部材94及びケース部材95は、雄ネジ部94a及び雌ネジ部95aにより一体化されて、ラジアル軸受53を密閉して収容するとともに、軸方向の一端側である上面側に回転軸51が挿通される軸挿通孔61を有するハウジング97を構成して、その内部に潤滑油42が充填される。
尚、軸受ホルダ部材94及びケース部材95についても、上述した軸受ホルダ部材34及びケース部材35と同様に、図4及び図5に示すような滑り防止機構を設けるように構成してもよい。
軸受ホルダ部材94及びケース部材95が一体化されてなるハウジング97は、図10に示すように、ハウジング本体38と、ハウジング本体38の底面側を閉塞する底部閉塞部39と、ハウジング本体38の上面側を構成する軸受ホルダ部材54と一体に形成される上部閉塞部60とからなる。上部閉塞部60の中央部には、ハウジング57に収納されたラジアル軸受53に回転自在に支持された回転軸51が挿通される軸挿通孔61が設けられている。
シール部材36は、軸受ホルダ部材94とケース部材95との間に設けられ、一体化された軸受ホルダ部材94及びケース部材95の隙間から潤滑油42が漏洩することを防止する。すなわち、シール部材36は、ケース部材95の底部閉塞部39の内面側に配置され、雄ネジ部94a及び雌ネジ部95aの締め付け力により、ラジアル軸受53を収容した軸受ホルダ部材94の円筒状に形成された部分の底面側の端部と、ケース部材95の底部閉塞部39との間で押さえ付けられ、ハウジング97に充填された潤滑油42の漏洩を確実に防止することを可能とする。
軸受ユニット90は、軸受ホルダ部材94とケース部材95とを一体化する際にシール部材36を押さえ付ける構成により、構成及び組立工程を簡素化するとともに、この軸受ホルダ部材94とケース部材95との締め付け面からの漏洩を防止して、この軸受ホルダ部材94とケース部材95とを一体化することにより構成されるハウジング97を軸挿通孔61を除いて密閉することができるので、潤滑油等の粘性流体の漏洩を防止することが可能となる。
また、軸受ユニット90において、シール部材を設けないように構成した場合、及び、軸受ホルダ部材又はケース部材を合成樹脂又は比較的柔らかい金属等により構成した場合の機能、効果については、上述した軸受ユニット30の場合において説明したのと同様であるのでここでは、詳細な説明は省略する。
本発明を適用した軸受ユニット90は、ラジアル軸受93の外周側及び軸方向の一端側に設けられ、ラジアル軸受93を保持する軸受ホルダ部材94と、軸受ホルダ部材94の外周側及びラジアル軸受93の軸方向の他端側に設けられるケース部材95とを軸受ホルダ部材94の外周側に設けられた雄ネジ部94aと、ケース部材95の内周側に設けられた雌ネジ部95aとにより締結することで一体化してハウジング97を構成すると同時に、ハウジング97内部を軸挿通孔61を除いて密閉することができるので、潤滑油の漏洩を防止できるとともに、構成を簡素化し、組立を容易に行うことを可能とする。
また、本発明を適用した軸受ユニット90は、軸受ホルダ部材94とケース部材95との間にシール部材36を設けたことにより、このシール部材36により確実なパッキングを行うことを可能とし、軸受ホルダ部材94及びケース部材95を、その雄ネジ部94a及び雌ネジ部95aにより締結することで一体化すると同時に、このパッキングを行い、ハウジング97内部を軸挿通孔61を除いて密閉することができるので、構成を簡素化及び小型化でき、組立工程を簡素化できるとともに、粘性流体である潤滑油の漏れをより確実に防止してさらに信頼性を高めることができる。
さらに、本発明を適用した軸受ユニット90は、軸受ホルダ部材94の外周面に設けた軸合わせ部94bと、ケース部材95の内周面に設けた軸合わせ部95bとからなる軸調整手段により、軸受ホルダ部材94及びケース部材95の一体化の際に、それぞれの軸を適正な状態に合わせて締結することが可能となり、軸受ホルダ部材94の軸方向により決定されるラジアル軸受53に支持される回転軸51の軸方向を、ケース部材95の外周面すなわちハウジング97の外周面に対して適正な状態で組み立て、同軸度を高精度に保持することが容易となり、組立工程を簡素化するとともに信頼性を高めることができる。また、本発明を適用した軸受ユニット90は、例えばモータ等に取り付けられる場合に、ロータ部及びステータ部に、それぞれ取り付けられる回転軸51とハウジング97との同軸度を適正なものとすることができ、良好な回転性能及び軸受ユニットのモータ等への取り付けの際の軸調整等の工程を簡素化することが可能となる。
さらに、本発明が適用される軸受ユニットは、上述した軸受ユニット30,50,70,80,90に限られるものではなく、例えば、図11に示すように構成してもよい。尚、以下の説明において、図2、図6に示す軸受ユニット30,50と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図11に示す軸受ユニット110は、回転軸51の周回り方向の支持を行うラジアル軸受53と、このラジアル軸受53の外周側及び軸方向の一端側である底面側に設けられ、ラジアル軸受53を保持する軸受ホルダ部材114と、この軸受ホルダ部材114の外周側及びラジアル軸受53の軸方向の他端側である上面側に設けられるケース部材115と、軸受ホルダ部材114及びケース部材115が一体化されることにより構成されるハウジング117内に充填される潤滑油42と、軸受ホルダ部材114とケース部材115との間に設けられるシール部材116とを備える。
第1のハウジング部材である軸受ホルダ部材114は、ラジアル軸受53を収容して、ラジアル軸受53の外周面を囲むように円筒状に形成される側面部分と、ラジアル軸受53の底面側を囲むような形状に形成される底面側部分とを有する部材であり、その円筒状の外周面に上述した軸受ホルダ部材34と同様に雄ネジ部34aを有している。
第2のハウジング部材であるケース部材115は、軸受ホルダ114の外周面を囲むように円筒状に形成される側面部分と、ラジアル軸受53の上面側を後述する軸挿通孔61を除いて囲むような形状に形成される上面側部分とを有する部材であり、その円筒状の内周面に上述したケース部材35と同様に雄ネジ部35aを有している。
尚、軸受ホルダ部材114及びケース部材115は、上述した軸受ホルダ部材34及びケース部材35と同様の材質、製造方法により形成されている。
軸受ホルダ部材114及びケース部材115は、雄ネジ部34aと、雌ネジ部35aとを締結することにより、一体化されるとともに、ケース部材115に設けられた軸挿通孔61を除いて密閉された構造とされたハウジング117を構成する。このハウジング117は、ラジアル軸受53を収容して、その内部には、上述したように潤滑油42が充填される。
すなわち、軸受ホルダ部材114及びケース部材115は、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aにより一体化されて、ラジアル軸受53を密閉して収容するとともに、軸方向の他端側である上面側に回転軸51が挿通される軸挿通孔61を有するハウジング117を構成して、その内部に潤滑油42が充填される。
尚、軸受ホルダ部材114及びケース部材115についても、上述した軸受ホルダ部材34及びケース部材35と同様に、図4及び図5に示すような滑り防止機構を設けるように構成してもよい。
軸受ホルダ部材114及びケース部材115が一体化されてなるハウジング117は、図11に示すように、ハウジング本体38と、ハウジング本体38の底面側を閉塞するように軸受ホルダ部材114と一体に形成された底部閉塞部39と、ハウジング本体38の上面側を構成するケース部材115と一体に形成される上部閉塞部60とからなる。上部閉塞部60の中央部には、ハウジング117に収納されたラジアル軸受53に回転自在に支持された回転軸51が挿通される軸挿通孔61が設けられている。
シール部材116は、軸受ホルダ部材114とケース部材115との間に設けられ、一体化された軸受ホルダ部材114及びケース部材115の隙間から潤滑油42が漏洩することを防止する。すなわち、シール部材116は、略円環状に形成され、ケース部材115の上部閉塞部60の内面側に配置され、雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aの締め付け力により、ラジアル軸受53を収容した軸受ホルダ部材114の円筒状に形成された部分の上面側の端部と、ケース部材115の上部閉塞部60との間で押さえ付けられ、ハウジング117に充填された潤滑油42の漏洩を確実に防止することを可能とする。尚、シール部材116は、上述したシール部材36と同様の材料により形成されている。
軸受ユニット110は、軸受ホルダ部材114とケース部材115とを一体化する際にシール部材116を押さえ付ける構成により、構成及び組立工程を簡素化するとともに、この軸受ホルダ部材114とケース部材115との締め付け面からの漏洩を防止して、この軸受ホルダ部材114とケース部材115とを一体化することにより構成されるハウジング117を軸挿通孔61を除いて密閉することができるので、潤滑油等の粘性流体の漏洩を防止することが可能となる。
また、軸受ユニット110において、シール部材を設けないように構成した場合、及び、軸受ホルダ部材又はケース部材を合成樹脂又は比較的柔らかい金属等により構成した場合の機能、効果については、上述した軸受ユニット30の場合において説明したのと同様であるのでここでは、詳細な説明は省略する。
ハウジング117の底部閉塞部39上には、ラジアル軸受53に支持された回転軸31のスラスト方向の一端部に設けた軸受支持部51aを回転可能に支持するスラスト軸受119が配置されている。すなわち、スラスト軸受119は、摺動部材となるナイロン等により形成され、円弧状若しくは先端先細り状に形成された回転軸51の軸受支持部51aを点で支持するピボット軸受として形成されている。尚、スラスト軸受は、底部閉塞部39と一体に設けるように構成してもよい。
スラスト軸受119によって回転自在に支持される回転軸51は、軸部本体51bのスラスト軸受119によって支持される軸受支持部51aを円弧状若しくは先端先細り状に形成し、他端側に回転体である例えばモータ1のロータ11が取り付けられる取付部32が設けられている。
回転軸51は、図11に示すように、一端側の軸受支持部51aをスラスト軸受119によって支持され、軸部本体51bの外周面をラジアル軸受53により支持され、他端側に設けた取付部32側をハウジング本体38の上部閉塞部60に設けた軸挿通孔61から突出されてハウジング117に支持されている。
本発明を適用した軸受ユニット110は、ラジアル軸受53の外周側及び軸方向の一端側に設けられ、ラジアル軸受53を保持する軸受ホルダ部材114と、軸受ホルダ部材114の外周側及びラジアル軸受53の軸方向の他端側に設けられるケース部材115とを軸受ホルダ部材114の外周側に設けられた雄ネジ部34aと、ケース部材115の内周側に設けられた雌ネジ部35aとにより締結することで一体化してハウジング117を構成すると同時に、ハウジング117内部を軸方向の他端側に設けられる軸挿通孔61を除いて密閉することができるので、潤滑油の漏洩を防止できるとともに、構成を簡素化し、組立を容易に行うことを可能とする。
また、本発明を適用した軸受ユニット110は、軸受ホルダ部材114とケース部材115との間にシール部材116を設けたことにより、このシール部材116により確実なパッキングを行うことを可能とし、軸受ホルダ部材114及びケース部材115を、その雄ネジ部34a及び雌ネジ部35aにより締結することで一体化すると同時に、このパッキングを行い、ハウジング117内部を軸挿通孔61を除いて密閉することができるので、構成を簡素化及び小型化でき、組立工程を簡素化できるとともに、粘性流体である潤滑油の漏れをより確実に防止してさらに信頼性を高めることができる。
上述したように、本発明を適用した軸受ユニット30,50,70、80,90,110は、安価で信頼性に優れるので、潤滑油の漏洩を極めて押さえることが必要なハードディスクドライブ(HDD)用や、長寿命が要求されるファンモータ等に用いられる軸受ユニットに適するものである。
本発明を適用したモータ1は、上述した軸受ユニット30,50,70、80,90,110を備えることにより、構成を簡素化及び小型化でき、組立工程を簡素化できるとともに、潤滑油等の粘性流体の漏洩を防止して、高い回転性能を長期間にわたって保持することができ、信頼性を高めることができる。
尚、本発明を適用した軸受ユニット及びモータは、軸受ユニットを構成する軸受ホルダ部材又はケース部材が、モータのステータ又はロータに一体に形成されるように構成してもよい。例えば、軸受ユニットのケース部材がモータのステータに一体化されたモータは、図12に示すように構成してもよい。尚、図12に示すモータは、上述の図6に示す軸受ユニット50のケース部材35を、図1に示すモータのステータに一体化したものであり、以下の説明において、図1に示すモータ1及び図6に示す軸受ユニット50と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図12に示すモータ120は、ロータ11とステータ12Aとを備える。ステータ12Aは、ステータヨーク13Aと、上述した本発明を適用した軸受ユニット50と、コイル14とこのコイル14が巻回されるコア15とを備える。軸受ユニット50は、その構成部品である上述したケース部材35が、ステータヨーク13Aの中心部に筒状に形成されたホルダー16Aに一体に形成されているステータヨーク13Aに一体に固定された軸受ユニット50の外周部には、図12に示すように、駆動電流が供給されるコイル14が巻回されたコア15が取り付けられている。
以上のように、本発明が適用されたモータ120は、上述した軸受ユニット50を備えることにより、構成を簡素化及び小型化でき、組立工程を簡素化できるとともに、潤滑油の漏洩を防止して、高い回転性能を長期間にわたって保持することができ、信頼性を高めることができる。
さらに、本発明が適用されたモータ120は、軸受ユニット50とステータ12Aとの締結工程を簡素化できるとともに、軸受ユニットのケース部材35をステータヨーク13Aに一体に形成することで、部品点数を削減することが可能となる。また、モータ120は、ステータ12Aを合成樹脂で構成し、成型と同時に雌ネジ部35aを形成すれば、さらに製造工程を簡素化して安価にすることができる。
尚、本発明が適用されたモータ120においては、例えば、ロータヨーク17の筒状部17aの内周面に、潤滑油42が気化されて発生したミスト等を吸収する吸収手段121を設けてもよく、この吸収手段121を設けた場合には、さらに、潤滑油42の飛散による他の部品に対する悪影響を防止することができる。
また、本発明を適用した軸受ユニット及びモータは、軸受ユニットの軸受ホルダ部材がモータのステータに一体化されるように構成してもよく、例えば、図13に示すように構成してもよい。尚、図13に示すモータは、上述の図11に示す軸受ユニット110の軸受ホルダ部材114を、図1に示すモータのステータに一体化したものであり、以下の説明において、図1に示すモータ1及び図11に示す軸受ユニット110と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図13に示すモータ130は、ロータ11とステータ12Bとを備える。ステータ12Bは、ステータヨーク13Bと、上述した本発明を適用した軸受ユニット110と、コイル14とこのコイル14が巻回されるコア15とを備える。軸受ユニット110は、その構成部品である上述した軸受ホルダ部材114が、ステータヨーク13Bの中心部に筒状に形成されたホルダー16Bに一体に形成されている。ステータヨーク13Bに一体に固定された軸受ユニット110の外周部には、図13に示すように、駆動電流が供給されるコイル14が巻回されたコア15が取り付けられている。
以上のように、本発明が適用されたモータ130は、上述した軸受ユニット110を備えることにより、構成を簡素化及び小型化でき、組立工程を簡素化できるとともに、潤滑油の漏洩を防止して、高い回転性能を長時間にわたって保持することができ、信頼性を高めることができる。
さらに、本発明が適用されたモータ130は、軸受ユニット110とステータ12Bとの締結工程を簡素化できるとともに、軸受ユニットの軸受ホルダ部材114をステータヨーク13Bに一体に形成することで、部品点数を削減することが可能となる。また、モータ130は、ステータ12Bを合成樹脂で構成し、成型と同時に雄ネジ部34aを形成すれば、さらに製造工程を簡素化して安価にすることができる。
尚、本発明を適用した軸受ユニット及びモータは、軸受ユニットのケース部材又は軸受ホルダ部材がモータのロータ11側に一体化して構成してもよい。
1 モータ、 11 ロータ、 12 ステータ、 13 ステータヨーク、 17 ロータヨーク、 30 軸受ユニット、 31 回転軸、 33 ラジアル軸受、 34 軸受ホルダ部材、 34a 雄ネジ部、 35 ケース部材、 35a 雌ネジ部、 36 シール部材、 36a スラスト軸受、 37 ハウジング、 38 ハウジング本体、 39 底部閉塞部、 40 上部閉塞部、 41 軸挿通孔、 42 潤滑油、 45 空隙、 47 テーパ部