JP4835202B2 - 軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータ - Google Patents

軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータ Download PDF

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Description

本発明は、回転軸を回転可能に支持し、あるいは軸に対し回転体を回転可能に支持する軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いるモータに関する。
従来、回転軸を回転可能に支持する軸受ユニットとして、図22に示すように構成されたものが知られている。
図22に示す軸受ユニット100は、回転軸101を回転可能に支持するものであり、回転軸101の周回り方向の支持を行うラジアル軸受104と、回転軸101のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受110が一体に形成された空間形成部材120と、このラジアル軸受104及び空間形成部材120を収納したハウジング105とを備える。
この軸受ユニット100において、ラジアル軸受104は、ハウジング105に充填される粘性流体である潤滑油と共に動圧流体軸受を構成するものであって、回転軸101が挿通される内周面には、動圧を発生させるための動圧発生溝111が形成されている。
回転軸101のスラスト方向の一端側に設けられた空間形成部材120は、図22に示すように、回転軸101の下部、即ち、閉塞される側の一端を囲むように形成され、例えば合成樹脂により形成されている。この空間形成部材120の内側には、潤滑油が回転軸101の軸受支持部102の周囲に充填される。
空間形成部材120の底面の内面側の中央部には、ラジアル軸受104に支持された回転軸101のスラスト方向の一端側に設けた軸受支持部102を回転可能に支持するスラスト軸受110が一体に形成されている。スラスト軸受110は、空間形成部材120を樹脂により形成し、スラスト軸受110と共用している。
スラスト軸受110は、円弧状若しくは先端先細り状に形成された回転軸101の軸受支持部102を点で支持するピボット軸受として形成されている。
ラジアル軸受104、空間形成部材120を収納したハウジング105は、図22に示すように、円筒状に形成されたラジアル軸受104を収容して囲むような形状を有し、合成樹脂を一体成形して形成された一つの部材である。
ハウジング105は、筒状をなすハウジング本体106と、ハウジング本体106の一端側を閉塞するようにハウジング本体106と一体に形成された一端部側部分を構成する底部閉塞部107と、ハウジング本体106の他端部側を構成するハウジング本体106と一体に形成された上部閉塞部108とからなる。上部閉塞部108の中央部には、ハウジング105に収納されたラジアル軸受104に回転自在に支持された回転軸101が挿通される軸挿通孔109が設けられている。
このように構成されたハウジング105は、筒状をなすラジアル軸受104及び空間形成部材120を取り囲むようにして合成樹脂材料をアウトサート成型することにより、ラジアル軸受104がハウジング本体106の内周側に配されて一体に形成される。
回転軸101は、一端側の軸受支持部102をスラスト軸受110によって支持され、軸部本体103の外周面をラジアル軸受104により支持され、他端側に設けた取付部側をハウジング本体106の上部閉塞部108に設けた軸挿通孔109から突出されてハウジング105に支持される。
また、回転軸101には、軸受支持部102と軸部本体103との間に、軸抜け止め用の溝部116が設けられている。この軸抜け止め用溝部116と対応するように、空間形成部材120には、軸抜け止め部材として平板状で且つ円環状のワッシャ115が設けられている。ワッシャ115は、回転軸101がハウジング105から抜け出てしまうことを防止する。
ところで、軸挿通孔109は、その周面と軸部本体の外周面との間にハウジング内に充填された潤滑油113がハウジング105内から漏れを防止するに足る間隔の空隙112を有するように形成される。
回転軸101の軸挿通孔109の内周面と対向する外周面には、テーパ部114が設けられている。このテーパ部114は、回転軸101の外周面と軸挿通孔109の内周面との間に形成される空隙112に圧力勾配を形成し、ハウジング105内に充填された潤滑油113をハウジング105の内部に引き込む力を発生させて、ハウジング105に充填された潤滑油113の漏洩を防止できる。
図22に示すように構成された軸受ユニット100は、回転軸101の露出が軸挿通孔109側の一端のみで、軸挿通孔109の僅かな間隙以外は、ハウジング部材によりシームレスに覆われている。よって、この軸受ユニット100は、潤滑油113のハウジング105外部への漏出を防止できるものである。すなわち、この軸受ユニット100は、ハウジングを二部材以上のハウジング部品を接着剤等のシール剤により接着して組み立てた場合に比べて、確実な漏洩防止を可能とするものである。また、外部との連通部分も軸挿通孔109の間隔のみであるので、衝撃による潤滑油の飛散を防止できる。
しかしながら、上述した軸受ユニット100では、回転軸101とハウジング105とが相対的に回転し、動圧を発生すると、軸受ユニット100内部の静圧が極端に低下する。ハウジング105内部の圧力が低下することにより、ハウジング105内部に僅かに残っている空気や、潤滑油等の粘性流体中に溶解される空気等の残留空気が膨張される。このハウジング内部の空気や、粘性流体中に溶解された空気が膨張されることにより、粘性流体が軸の露出側へ押し出され、漏洩してしまうおそれがある。この軸受ユニット100において、潤滑油が漏洩し、保持できなくなることにより、良好な潤滑が得られなくなる。
このように、図22に示す軸受ユニット100は、回転軸とハウジングとの相対的な回転による動圧の発生により、ハウジング内部の残留空気が膨張し、潤滑油が漏洩してしまうおそれがある。
かかる問題を解消するために、例えば、特開2005−214239号公報には、上述の軸受ユニットの構成に加えて、ラジアル軸受から突出した軸のスラスト方向の一端側と他端側を連通する通路と、この通路を形成するための通路形成部材の底面部のコーナー部に設けられるコーナー溝からなる空間とを連通することにより形成される流通通路を備える軸受ユニットが記載されており、この流通通路により、非軸開放側の圧力低下を防止するとともに、ハウジング内の残留空気を軸挿通孔から外部に放出することで、潤滑油の漏洩の防止を図ることについて記載されている。
しかしながら、かかる軸受ユニットにおいても、回転軸の軸抜け止め用のワッシャのスラスト軸受側、すなわちワッシャの底面側に残留空気が溜まることがあり、この残留空気の影響で潤滑油が漏洩してしまうことがあった。
特開2005−214239号公報
本発明の目的は、軸とハウジングとの相対的な回転によるハウジング内の圧力の低下を防止するとともに、抜け止め部材よりスラスト軸受側の空間を含めたハウジング内に充填された潤滑油等の粘性流体中の残留空気の排出を良好に行うことを可能とし、ハウジング内の圧力の低下による残留空気の膨張により、ハウジング内部の粘性流体が軸受ユニット外部に押し出されてしまう漏洩現象を防止し、長期間にわたって潤滑油を確実に保持できる軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータを提供することにある。
本発明に係る軸受ユニットは、軸の周回り方向の支持を行うラジアル軸受と、上記軸のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受と、上記ラジアル軸受及び上記スラスト軸受の外側に設けられる通路形成部材と、上記通路形成部材を密閉して収容するように形成されるとともに、上記軸が挿通される軸挿通孔を有するハウジングと、上記ラジアル軸受の上記スラスト軸受が設けられた一端側に設けられ、上記軸が上記ラジアル軸受から抜けることを防止する軸抜け止め部材と、上記ハウジング内に充填された粘性流体と、上記通路形成部材と上記ラジアル軸受との間に形成され、上記ラジアル軸受から突出した軸のスラスト方向の上記一端側と他端側とを連通する連通路とを備え、上記軸は、上記軸抜け止め部材に対応する位置に、該軸抜け止め部材と係合する軸抜け止め用溝部を有し、上記軸抜け止め部材は、平板状且つ円環状に形成され、外周部の上記連通路に対応する位置に複数の切り欠き部が設けられ、上記軸抜け止め部材の内周部は、上記軸のスラスト方向の移動を上記軸抜け止め用溝部と係合することにより規制し、上記軸抜け止め部材の切り欠き部が設けられなかった外周部は、該軸抜け止め部材を支持して、上記軸抜け止め部材の内周部の上記通路形成部材内での位置を規制し、上記軸抜け止め部材の切り欠き部は、上記粘性流体を該軸抜け止め部材のスラスト方向の両側に流通させる。
また、本発明に係るモータは、ステータに対してロータを回転可能に支持する軸受ユニットを備えたモータであり、このモータに用いる軸受ユニットとして、上述したようなものを用いたものである。
本発明に係る軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータは、軸とハウジングとの相対的な回転によるハウジング内の圧力の低下を防止するとともに、抜け止め部材よりスラスト軸受側の空間を含めたハウジング内に充填された潤滑油等の粘性流体中の残留空気の排出を良好に行うことを可能とし、ハウジング内の圧力低下による残留空気の膨張により、ハウジング内部の粘性流体が軸受ユニット外部に押し出されてしまう漏洩現象を防止し、長期間にわたって潤滑油を確実に保持して良好な潤滑性能を維持できる。
以下、本発明が適用された軸受ユニット及びこの軸受ユニットを用いたモータの実施の形態を図面を参照して説明する。
ここでは、各種情報の演算処理等を行う情報処理装置である携帯型コンピュータ等の電子機器に設けられる放熱装置に用いるモータについて説明する。この携帯型コンピュータ等の内部には放熱装置が設けられている。この放熱装置は、金属製のベースと、このベースに取り付けられたモータ1と、このモータ1によって回転操作されるファン3と、ファン3を収納したファンケース4と、ヒートシンクを有している。この放熱装置のファン3を回転駆動するモータ1について詳細に説明する。
本発明を適用した軸受ユニット30を用いたモータ1は、図1に示すように、ロータ11とステータ12とを備える。
ステータ12は、モータ1と共にこのモータ1によって回転操作されるファン3を収納したファンケース4の上面板4a側に一体に設けられている。ステータ12は、ステータヨーク13と、本発明を適用した軸受ユニット30と、コイル14とこのコイル14が巻回されるコア15とを備える。ステータヨーク13は、ファンケース4の上面部4aと一体に形成されたもの、即ち、ファンケース4の一部によって構成したものでもよく、別体に形成したものであってもよい。ステータヨーク13は、例えば鉄により形成されている。軸受ユニット30は、ステータヨーク13の中心部に筒状に形成されたホルダー16中に圧入若しくは接着、更には圧入と共に接着により固定されている。軸受ユニット30が圧入されるホルダー16は、ステータヨーク13と一体に円筒状に形成されている。尚、軸受ユニット30のホルダー16への固定は、上述に限られるものではなく、例えば、カシメによる固定、弾性のある突起部等を係合させることによる固定であってもよい。
ステータヨーク13に一体に固定された軸受ユニット30の外周部には、図1に示すように、駆動電流が供給されるコイル14が巻回されたコア15が取り付けられている。
ステータ12と共にモータ1を構成するロータ11は、軸受ユニット30に回転可能に支持された回転軸31に取り付けられ、回転軸31と一体に回転する。ロータ11は、ロータヨーク17と、このロータヨーク17と一体に回転する複数の羽根19を有するファン3とを有する。ファン3の羽根19は、ロータヨーク17の外周面にアウトサート成形することにより、ロータヨーク17と一体に形成される。
ロータヨーク17の筒状部17aの内周面には、ステータ12のコイル14と対向するように、リング状のロータマグネット20が設けられている。このマグネット20は、周回り方向にS極とN極が交互に着磁されたプラスチックマグネットであり、接着剤によりロータヨーク17の内周面に固定されている。マグネット20は、ゴムマグネット、燒結マグネット等であってもよい。
ロータヨーク17は、軸受ユニット30に支持された回転軸31の先端側に設けた取付部32に、平板部17bの中心部に設けた貫通孔21aが設けられたボス部21を圧入することによって回転軸31と一体に回転可能に取り付けられる。
上述のような構成を備えたモータ1は、ステータ12側のコイル14に、モータ1の外部に設けた駆動回路部から所定の通電パターンにより駆動電流が供給されると、コイル14に発生する磁界とロータ11側のロータマグネット20からの磁界との作用によって、ロータ11が回転軸31と一体に回転する。ロータ11が回転することにより、このロータ11に取り付けられた複数の羽根19を有するファン3もロータ11と一体に回転する。ファン3が回転されることにより、コンピュータを構成する筐体に設けた開口を介して装置外部のエアーを吸引し、更に、筐体内を流通させ、筐体内に設けたヒートシンク中を流通しながら貫通口を介して筐体の外部に排気されることにより、発熱素子から発生する熱をコンピュータ本体の外部に放熱し、コンピュータ本体を冷却する。
次に、このモータ1に用いられる軸受ユニット30を更に詳細に説明する。
上述したモータ1の回転軸31を回転自在に支持する軸受ユニット30は、図1、図2及び図3に示すように、回転軸31の周回り方向の支持を行うラジアル軸受33と、このラジアル軸受33の外側に形成される通路形成部材34と、この通路形成部材34を収納したハウジング37と、通路形成部材34とラジアル軸受33との間に形成される連通路50とを備える。
ラジアル軸受33は、焼結メタルにより円筒状に形成されている。ラジアル軸受33は、ハウジング37に充填される粘性流体である潤滑油42と共に動圧流体軸受を構成するものであって、回転軸31が挿通される内周面には、動圧発生溝43,44が形成されている。
動圧発生溝43,44は、図4に示すように、ラジアル軸受33の内周面にV字状をなす一対の溝43a,44aを周回り方向に複数形成して構成されている。動圧発生溝43,44は、V字状をなす一対の溝43a,44aの先端側が回転軸31の回転方向R1に向くように形成されている。ここでは、動圧発生溝43,44は、円筒状をなすラジアル軸受33の軸方向に上下に並列して形成されていて、動圧発生溝43が軸が開放されている軸露出側、動圧発生溝44が軸が開放されない非軸露出側即ち後述するスラスト軸受側に形成されている。ラジアル軸受33に設けられる動圧発生溝43,44の数や大きさは、ラジアル軸受33の大きさや長さ等により適宜選択される。なお、このラジアル軸受33は、真鍮、ステンレス又は高分子材料でもよい。また、ここでは、動圧発生溝をV字状に複数形成するように構成したが、これに限られるものではなく、内周面にV字状をなす複数の溝を周回り方向に連結溝により連続するように形成される、所謂へリングボーン形状に形成するように構成してもよい。
動圧流体軸受として形成されたラジアル軸受33は、このラジアル軸受33に挿通された回転軸31が、中心軸CLを中心に図4中矢印R1方向に連続して回転すると、ハウジング37内に充填された潤滑油42が動圧発生溝43,44内を流通し、回転軸31の外周面とラジアル軸受33の内周面との間に動圧を発生させて回転する回転軸31を支持する。このとき発生する動圧は、回転軸31の円滑な回転を実現する。
ラジアル軸受33の外側に設けられる通路形成部材34は、図3及び図5に示すように、円筒状に形成されたラジアル軸受33を収容して囲むような形状を有し、例えば合成樹脂により形成されている。
通路形成部材34は、図3及び図5に示すように、ラジアル軸受33の側面部33a及び底面部33bを囲むように形成された通路形成部材本体35と、ラジアル軸受33の上面部33cを囲むように形成された通路形成部材蓋部36とからなる。通路形成部材蓋部36の中央部には、ラジアル軸受33に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔36aが設けられている。
通路形成部材本体35の底面部の内面側の中央部には、ラジアル軸受33に支持された回転軸31の軸方向であるスラスト方向の一端部に設けた軸受支持部31aを回転可能に支持するスラスト軸受46が一体に形成されている。スラスト軸受46は、通路形成部材34を樹脂により形成し、スラスト軸受として共用している。スラスト軸受46は、円弧状若しくは先端先細り状に形成された回転軸31の軸受支持部31aを点で支持するピボット軸受として形成されている。
尚、ここでは、スラスト軸受46を通路形成部材34の一部として形成されているが、スラスト軸受を通路形成部材とは独立して形成して、この通路形成部材の底面部上に配置して構成するようにしてもよい。
通路形成部材本体35の上部には、通路形成部材蓋部36をラジアル軸受33の上面部33cを覆うように固定する爪状の規制爪部35aが円周上に設けられている。
なお、通路形成部材34は、樹脂製としたが、金属製でもよく、更に、樹脂及び金属の組合せでもよく、材質に制限はない。ここで、通路形成部材34を樹脂製とした場合は、ラジアル軸受との位相インデックスなど、形状に工夫を凝らすことができ、しかも安価であるという利点がある。例えば、通路形成部材34に用いられる樹脂材料としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール等のフッ素系の合成樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、ナイロン等の合成樹脂、更には、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等の合成樹脂を用いてもよい。
通路形成部材34とラジアル軸受33の間には連通路50が形成される。この連通路50は、ラジアル軸受33から突出した回転軸31のスラスト方向の一端部と他端部とを連通する。即ち、連通路50は、スラスト軸受46が設けられた底面側である一端側と通路形成部材蓋部36の軸挿通孔36aが形成された上面側である他端側とを連通する。
この連通路50は、図5及び図6に示すように、ラジアル軸受33の外周面33aのスラスト方向に形成された第1の溝51と、ラジアル軸受33のスラスト軸受46側の一端側の面である底面33bに形成された第2の溝52と、ラジアル軸受33の他端側の面である上面33cに形成された第3の溝53とからなり、この第1乃至第3の溝51,52,53により、ラジアル軸受33と通路形成部材34との間にラジアル軸受33の一端側と他端側とを連通するように形成される。尚、ここでは、第1乃至第3の溝51,52,53は、それぞれ略等間隔に2箇所ずつ設けられるように構成したが、これに限られるものではない。
なお、この連通路は、図7,図8に示すように、通路形成部材34側に設けてもよい。即ち、通路形成部材34側に設けた連通路60は、通路形成部材34の通路形成部材本体35の内周面のスラスト方向に形成された第1の溝61と、通路形成部材本体35の底面部の内面側に形成された第2の溝62と、通路形成部材蓋部36の内面側に形成された第3の溝63とからなるようにしてもよい。更に、上述のラジアル軸受側に設けた第1〜第3の溝51〜53と通路形成部材34に設けた第1〜第3の溝61〜63を組み合わせてもよい。
この連通路50,60は、ラジアル軸受33から突出した回転軸31の開放側、非開放側を連通しているため、回転軸31とハウジング37とが相対的に回転し、動圧が発生したときにも、回転軸31が開放されていない側である非軸開放側の軸端の静圧が低下することを防止できる。よって、連通路50,60は、内部の静圧が低下することにより発生するハウジング37内の残留空気や潤滑油中に溶解する空気の膨張による潤滑油の押し出しを防止することができる。また、換言すると、連通路50,60は、ラジアル軸受33に設けられた動圧発生溝43,44の両端の圧力を短絡することができるので、圧力差が生じることがなく、よって軸浮上が発生することもない。
また、この連通路50,60は、動圧流体軸受であるラジアル軸受33により動圧が発生すると、潤滑油42をハウジング37内部で循環させることができる。すなわち、潤滑油42は、ラジアル軸受33の内周側を上面33c側から底面33b側に向けて循環されるとともに、ラジアル軸受33の外周側の連通路50,60を底面33b側から上面33c側に向けて循環される。そして、連通路50,60は、この外周側の潤滑油の循環とともに、潤滑油内の残留空気をスラスト軸受46が配置された非軸開放側から軸挿通孔41が設けられる側である軸開放側に運んで、軸挿通孔41から外部に排出することができる。
通路形成部材34を収納したハウジング37は、図3に示すように、略円筒状の通路形成部材34を収容して囲むような形状を有し、合成樹脂を一体成形して形成された一つの部材である。
ハウジング37は、図3に示すように、筒状をなすハウジング本体38と、ハウジング本体38の一端側を閉塞するようにハウジング本体38と一体に形成された一端部側部分を構成する底部閉塞部39と、ハウジング本体38の他端部側を構成するハウジング本体38と一体に形成された上部閉塞部40とからなる。上部閉塞部40の中央部には、ハウジング37に収納されたラジアル軸受33に回転自在に支持された回転軸31が挿通される軸挿通孔41が設けられている。
上述のように構成されたハウジング37は、略筒状をなす通路形成部材34を包むようにして合成樹脂材料をアウトサート成形することにより、通路形成部材34がハウジング本体38の内周側に配されて一体に形成される。すなわち、ハウジング37は、ラジアル軸受33を収容した通路形成部材34を密閉して収容するように形成されるとともに、回転軸31が挿通される軸挿通孔41を有するように形成される。
ハウジング37を構成する合成樹脂材料は、特に限定されるものではないが、ハウジング37には通路形成部材34が一体に形成されているので、潤滑性に優れた合成樹脂材料を用いることが好ましい。ハウジング37は、例えば、POM(ポリアセタール)等からなるが、ポリイミド、ポリアミド等のフッ素系の合成樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、ナイロン等の合成樹脂を用いて形成してもよい。更には、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、液晶ポリマー等の合成樹脂を用いてもよい。
ところで、この軸受ユニット30では、ハウジング37がラジアル軸受33及び通路形成部材34共に軸挿通孔41を除いて密閉したシームレス構造とするので、回転軸31のラジアル軸受33から突出した軸開放側及び非軸開放側が連通路50により連通されているが、外部からはハウジング37に設けられた軸挿通孔41以外は密閉されている。即ち、この軸受ユニット30は、連通路50がシームレスに形成され外部から密閉されたハウジング37内に設けられたものであるので、衝撃による潤滑油の飛散等が発生することを防止することができる。
ハウジング37内に配設されたラジアル軸受33及びハウジング37と一体に設けられたスラスト軸受46によって回転自在に支持される回転軸31は、軸部本体31bのスラスト軸受46によって支持される軸受支持部31aを円弧状若しくは先端先細り状に形成し、他端側に回転体である例えばモータ1のロータ11が取り付けられる取付部32が設けられている。ここで、軸部本体31bと取付部32は、同径に形成されている。
回転軸31は、図3に示すように、一端側の軸受支持部31aをスラスト軸受46によって支持され、軸部本体31bの外周面をラジアル軸受33により支持され、他端側に設けた取付部32側をハウジング本体38の上部閉塞部40に設けた軸挿通孔41から突出されてハウジング37に支持されている。
また、回転軸31には、図3に示すように、ラジアル軸受33のスラスト軸受46が設けられた一端側に、すなわち、軸受支持部31aと軸部本体31bとの間に、軸抜け止め用の溝部31cが設けられている。この軸抜け止め用溝部31cに対応する位置であって、通路形成部材34内には、その底面部付近に、回転軸31がラジアル軸受33及びハウジング37から引き上げられることを防止する、抜け止め機構として、軸抜け止め部材48が設けられている。
すなわち、図9及び図10に示すように、通路形成部材34には、そのスラスト軸受46が形成された底面部34aからスラスト方向に所定間隔を有して、軸抜け止め用溝部31cに対応する位置に形成される段部34bと、この段部34bの周囲に形成される壁面部34cとが形成されており、この壁面部34cの内側且つ段部34bの上面側に軸抜け止め部材48が配置される。
この軸抜け止め部材48は、回転軸31がスラスト方向に引き上げられたときに軸抜け止め用溝部31cに係合することで、回転軸31がラジアル軸受33及びハウジング37から抜けることを防止するとともに、ハウジング37内部の潤滑油42、残留空気等の内部流体がこの軸抜け止め部材48のスラスト方向の両側に流通可能な構造とされている。
軸抜け止め部材48は、図9及び図10に示すように、回転軸31の軸方向の移動を軸抜け止め用溝部31cと係合することにより規制する規制部48bと、この規制部48bを支持して軸抜け止め部材48のハウジング37と一体に形成された通路形成部材34内での位置を規制する支持部48aと、規制部48bの外側に内部流体を軸抜け止め部材48のスラスト方向の両側に流通させる流通部48cとを有する。
この軸抜け止め部材48は、図9及び図11に示すように、平板状且つ円環状の外周部に複数の切り欠き部48dが設けられた形状を有している。そして、軸抜け止め部材48の内周部は、上述の規制部48bとして機能して、回転軸31の軸方向の移動を軸抜け止め用溝部31cと係合することにより規制する。また、軸抜け止め部材48の外周部は、その切り欠きが設けられなかった部分が、上述の支持部48aとして機能して、軸抜け止め部材48を支持して内周部である規制部48bのハウジング37内での位置を規制する。複数の切り欠き部48dは、抜け止め部材48をスラスト方向に貫通する切り欠きであり、上述の流通部48cとして機能して、内部流体を軸抜け止め部材48のスラスト方向の両側に流通させる。
この支持部48aは、ハウジング37と一体にされた通路形成部材34に設けられたこの軸抜け止め部材48を配置するための段部34b上に載置され、壁部34cに当接することにより、軸抜け止め部材48の通路形成部材34内での位置を規制し、軸抜け止め用溝部31cと軸抜け止め部材の規制部48bを適正な位置関係に保つ。
ここで、この軸抜け止め部材48は、軸抜け止め用溝部31cと規制部48bとが係合したときに、規制部48bを支持できる強度に形成されており、この強度が保持できる程度に、流通部48cとなる切り欠き部48dが形成される。
規制部48bは、回転軸31がスラスト方向に引き上げられたとき軸抜け止め用溝部31cに係合することで、回転軸31のラジアル軸受33から抜ける方向への移動を規制する。
流通部48cは、上述のように、回転軸31に対して規制部48bの外側に設けられており、換言すると、規制部48bに対して回転軸31と反対側に形成されている。この流通部48cは、内部流体を軸抜け止め部材48のスラスト方向の両側、すなわち、スラスト軸受46が形成される空間において、軸抜け止め部材48の上下を流通させることを可能とする。流通部48cは、この軸抜け止め部材48と、回転軸31の軸抜け止め用溝部31cとの間の隙間以外に内部流体が軸抜け止め部材48の上下に流通できる領域となる。
尚、この軸抜け止め部材48は、上述のように外周部の4箇所に切り欠き部48dを設けるように構成したが、これに限られるものではなく、平板状且つ円環状の外周部に1又は複数の切り欠き部を設けられた形状を有するように構成すればよく、例えば、図12に示すような軸抜け止め部材49であってもよい。尚、以下の説明において、図9、図10及び図11に示す軸抜け止め部材48と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図12に示す軸抜け止め部材49も上述した軸抜け止め部材48と同様に、回転軸31の軸方向の移動を軸抜け止め用溝部31cと係合することにより規制する規制部48bと、この規制部48bを支持して軸抜け止め部材49の通路形成部材34内での位置を規制する支持部48aと、規制部48bの外側に内部流体を軸抜け止め部材49のスラスト方向の両側に流通させる流通部48cとを有する。
この軸抜け止め部材49は、上述した軸抜け止め部材48と同様に、平板状且つ円環状の外周部に複数の切り欠き部48dが設けられた形状を有している。そして、軸抜け止め部材48の内周部は、上述の規制部48bとして機能する。また、外周部は、その切り欠きが設けられなかった部分が、上述の支持部48aとして機能する。複数の切り欠き部48dは、抜け止め部材49をスラスト方向に貫通する切り欠きであり、上述の流通部48cとして機能する。
軸抜け止め部材48,49は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)等の熱変形温度の高い材料からなるワッシャ等の外周部に、上述した流通部48cとなる切り欠き部を設けることで形成される。尚、軸抜け止め部材48,49は、ナイロンやステンレス等の金属により形成するように構成してもよい。
軸抜け止め部材48,49は、回転軸31をハウジング37内に挿入する際には、軸方向に撓ませられることで回転軸31が挿入され、上述のように、軸抜け止め用溝部31cと軸抜け止め手段48,49とを係合させることにより、組み付け時のハンドリングが向上する。
以上のように構成された軸抜け止め部材48,49は、回転軸31がスラスト方向に引き上げられたとき軸抜け止め用溝部31cに規制部48bを係合させることで、回転軸31のラジアル軸受33から抜けることを防止するとともに、軸抜け止め部材48,49の底面側の空間、すなわち軸抜け止め部材48,49と通路形成部材34のスラスト軸受46が形成された底面部34aとの間の空間の潤滑油42中の残留空気を軸抜け止め部材48,49の下部に留めることなく軸抜け止め部材48,49の上部側に流通させて、上述した連通路50を経由して軸挿通孔41からハウジング37外部へ排出することを可能とする。
ところで、図3に示すように、軸挿通孔41は、この軸挿通孔41に挿通された回転軸31が軸挿通孔41の内周面に摺接することなく回転するように、軸部本体31bの外径よりやや大きな内径をもって形成されている。このとき、軸挿通孔41は、その内周面と軸部本体31bの外周面との間にハウジング37内に充填された潤滑油42がハウジング37内から漏れを防止するに足る間隔の空隙45を有するように形成される。このように、回転軸31との間にハウジング37内に充填された潤滑油42の漏れを防止するようにした空隙45が形成されるように軸挿通孔41を形成した上部閉塞部40は、オイルシール部を構成している。
回転軸31の軸挿通孔41の内周面と対向する外周面には、テーパ部47が設けられている。テーパ部47は、回転軸31の外周面と軸挿通孔41の内周面との間に形成される空隙45をハウジング37の外方に向かって拡大させるように傾斜されている。このテーパ部47は、回転軸31の外周面と軸挿通孔41の内周面とによって形成される空隙45に圧力勾配を形成し、ハウジング37内に充填された潤滑油42をハウジング37の内部に引き込む力が発生する。回転軸31の回転時に、潤滑油42がハウジング37の内部に引き込まれるようになるので、動圧流体軸受により構成されたラジアル軸受33の動圧発生溝43,44に潤滑油42が確実に浸入して動圧を発生させ、回転軸31の安定した支持が実現され、しかもハウジング37に充填された潤滑油42の漏洩を防止できる。
本発明に係る軸受ユニット30において、動圧流体軸受を構成するラジアル軸受33に設けた動圧発生溝43,44に浸入して動圧を発生させる潤滑油42は、図3に示すように、ハウジング37内から回転軸31に形成されたテーパ部47と軸挿通孔41の内周面とによって形成された空隙45に臨むように充填される。即ち、潤滑油42は、ハウジング37内の隙間に充填され、更に燒結金属からなるラジアル軸受33に含浸される。
本発明が適用された軸受ユニット30において、動圧流体軸受を構成するラジアル軸受33に設けた動圧発生溝43,44に浸入して動圧を発生させる潤滑油42は、図3に示すように、ハウジング37内から回転軸31に形成されたテーパ部47と軸挿通孔41の内周面とによって形成された空隙45に臨むように充填される。即ち、潤滑油42は、ハウジング37内の隙間に充填され、更に燒結金属からなるラジアル軸受33に含浸される。
軸受ユニット30は、空隙45の間隔c及び軸挿通孔41の高さHを調整することで表面張力シールにより潤滑油42の飛散を防止でき、テーパ部47を設けることで空隙45に位置する潤滑油42に圧力勾配を発生させて潤滑油42をハウジング37の内部に引き込む力を発生でき、潤滑油42中に空気を巻き込むことを防止するとともに潤滑油42の漏洩を防止して、さらに回転軸31の安定した回転を保証できる。上述した軸受ユニット30は、テーパ部47を回転軸31側に設けているが、ハウジング37の軸挿通孔41の内周面にテーパ部を設けるようにしてもよい。
上述したように構成された本発明が適用された軸受ユニット30を製造する工程を説明する。
本発明に係る軸受ユニット30を製造するには、ラジアル軸受33の外側に、通路形成部材34を取り付けることで仮組立をする。ラジアル軸受33及び通路形成部材34は、仮組立するとき、図13に示すように、通路形成部材本体35の段部34bの上面側及び壁面部34cの内側に、回転軸31の軸抜け止め手段である軸抜け止め部材48を取り付ける。次に、動圧流体軸受であるラジアル軸受33に、通路形成部材本体35及び通路形成部材蓋部36を取り付ける。このとき、通路形成部材本体35の内部にはスラスト軸受46が一体に形成されている。また、通路形成部材34とラジアル軸受33の間には、連通路50が形成される。
次に、仮組立したラジアル軸受33及び通路形成部材34を金型に取り付け、図14に示すように、この仮組立したラジアル軸受33及び通路形成部材34の外周囲に上述した何れかの合成樹脂をアウトサート成形してハウジング37を形成する。このとき、通路形成部材34は、ハウジング37がアウトサート成形されるとき、ハウジング37の内部に一体化され、筒状のハウジング本体38の上下に一体的に形成された上部閉塞部40と底部閉塞部39とによって挟持され、その取付位置が固定される。また、通路形成部材34とラジアル軸受33との間の連通路50には、ハウジング37がアウトサート成形されるとき、通路形成部材34に遮断されているので、合成樹脂が流入することはない。
ハウジング37がポリアセタール(POM)等をアウトサート成形される際に発生する熱がラジアル軸受33及び通路形成部材34を介して軸抜け止め部材48に伝導し、この軸抜け止め部材48の温度は上昇する。ここで、軸抜け止め部材48は、この成型温度により軸抜け止め部材48に加わる温度よりも高い熱変形温度を有する材料、即ち、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)等が用いられているので、熱変形することがない。
次に、回転軸31を上部閉塞部40に設けた軸挿通孔41に挿通してハウジング37内に挿入する。このとき、回転軸31は、軸受支持部31aをスラスト軸受46に当接させてラジアル軸受33に挿通させてハウジング37内に挿入される。スラスト軸受46及びラジアル軸受33によって支持された回転軸31は、ハウジング37内で回転可能に支持される。
回転軸31をハウジング37に挿入したところで、ハウジング37に潤滑油42を充填する。潤滑油42の充填は、潤滑油が収容されている充填槽に回転軸31を挿入したハウジング37を投入する。次に、ハウジングが投入された充填槽を真空装置により真空吸引する。その後、真空吸引された充填槽を大気中に取り出すことにより、ハウジング37内に潤滑油42が充填される。
このとき、潤滑油42は、温度変化により膨張した場合に、軸挿通孔41内からハウジング37の外部に漏洩することを防止し、また温度変化により収縮した場合には、回転軸31と軸挿通孔41との間に形成された空隙45への充填不足が発生しないように充填される。即ち、温度変化による潤滑油42の油面高さの変化は、軸挿通孔41内の範囲にあるように設定される。
潤滑油42のハウジング37への充填を真空装置を用いて真空吸引して行うことにより、ハウジング37の内部の圧力が外部より低い状態になる。その結果、潤滑油42は、容易にハウジング37から漏洩することが防止される。
本発明に係る軸受ユニット30は、ラジアル軸受33を焼結メタルにより形成しているので、このラジアル軸受33に潤滑油42が充填され、更に、回転軸31の回転により動圧を発生させる動圧発生溝43,44中にも潤滑油42が充填される。即ち、潤滑油42は、ハウジング37内の全ての空隙に充填される。
上述した軸受ユニット30は、ハウジング37を合成樹脂の成型体により形成しているが、合成樹脂に限られず、金型装置を用いて成形可能な金属材料を混合した合成樹脂やその他の成形材料を用いて形成したものであってもよい。
以上のように構成された軸受ユニット30は、潤滑油の漏洩防止に非常に有用であるが軸が回転すると同時に発生する、潤滑油中の残留空気や溶解された空気の膨張による潤滑油の押し出しが生じやすいという欠点をもつ、シームレスな樹脂製ハウジングを備えた、所謂軸片開放型動圧流体軸受ユニットの問題を解決する。
すなわち、この軸受ユニット30は、ラジアル軸受の両端の圧力を短絡する連通路50を設けるとともに、この通路が非軸開放側−通路−ハウジング外部−軸開放側とすることなく、通路を非軸開放側−連通路−軸開放側とし、この連通路50を形成した通路形成部材34をシームレスなハウジング37により周囲を覆う構造としたものである。
即ち、この軸受ユニット30は、通路形成部材34を設けて、ラジアル軸受33の上端と下端に、経路が軸受下端−通路−軸受上端となる連通路50を設け、密閉された側の下端である非軸開放側の静圧低下を緩和することができるので残留空気の押し上げによる潤滑油の漏洩を防止できる。
また、軸受ユニット30は、回転軸31の抜け止めを防止する軸抜け止め部材48,49が、内部流体が軸抜け止め部材48,49のスラスト方向の両側に流通可能な構造、すなわち、軸抜け止め部材48,49が、その内周部に軸抜け止め用溝部31cと係合する規制部48bが設けられ、その外周部に規制部48bを支持する支持部48aと、内部流体を流通させる流通部48cとが設けられる構成とすることで、軸抜け止め部材48,49の底面側、すなわち、軸抜け止め部材48,49と通路形成部材34の底面部34aとの間の空間に残留空気が留まることを防止して、残留空気を流通部48cから連通路50を経由して排出することができるので、この軸抜け止め部材48,49の底面側の空間を含めたハウジング37内に充填された潤滑油42に混入した残留空気をこの連通路50から軸挿通孔41が設けられた軸開放側に送って、軸挿通孔41からハウジング37外部へ良好に排出することができる。
さらに、軸受ユニット30は、回転軸31の露出を軸挿通孔41側の一端のみとし、この軸挿通孔41の僅かな間隙以外は、ハウジング37によりシームレスに覆われている構成とし、ハウジング外部への経路を、回転軸31とハウジング37との僅かな空隙のみである状態を維持しているので、潤滑油42を充填する部材を接合した場合の接合部から潤滑油が滲み出す等により漏出するおそれを防止でき、衝撃による潤滑油の飛散を防止して、良好な潤滑性能を得ることができる。
本発明が適用された軸受ユニット30は、回転軸31とハウジング37との相対的な回転によるハウジング37内の圧力の低下を防止できるとともに、軸抜け止め部材48,49よりスラスト軸受46側、すなわち底面側の空間を含めたハウジング37内に充填された潤滑油42等の粘性流体に混入した残留空気の排出を良好に行うことができるので、ハウジング37内の圧力の低下により残留空気が膨張してしまうことによるハウジング37内部の潤滑油42が軸受ユニット外部に押し出されてしまう漏洩現象の発生を防止し、長期間にわたり潤滑油を確実に保持でき、良好な潤滑性能を維持できる。
さらに、本発明が適用された軸受ユニット30は、ラジアル軸受33としてポーラスを有する焼結金属を用いた場合にも、従来ではこの焼結金属の周囲に充填される潤滑油中に溶解する残留空気を完全に排出することは困難であったのに対し、このラジアル軸受33の周囲に充填される潤滑油中に溶解する残留空気を良好に排出することを可能とし、上述したような潤滑油の漏洩現象を防止できるので、ポーラスを有する焼結金属等を用いても良好な潤滑性能を長期間にわたって維持することを可能とし、安価な構成にすることを可能とする。
尚、上述の軸受ユニット30では、軸抜け止め部材48,49を平板状且つ円環状の外周部に複数の切り欠き部48dが設けられた形状を有するように構成したが、本発明が適用される軸受ユニット30を構成する軸抜け止め部材として、図15に示す軸抜け止め部材78を用いても良い。
図15に示すように、軸抜け止め部材78は、回転軸31の軸方向の移動を軸抜け止め用溝部31cと係合することにより規制するとともに、軸抜け止め部材78が軸円周方向に回転することを規制する移動方向規制部78bと、この移動方向規制部78bを支持して軸抜け止め部材78のハウジング37内での位置を規制する支持部78aとからなる。この軸抜け止め部材78は、支持部78aが略円弧状に形成され、移動方向規制部78bが、弾性を有しこの支持部78aの一方の端部から連続して直線状に形成されるいわゆるD型形状とされる。また、軸抜け止め部材78は、回転軸31をハウジング37内に挿入する際回転軸31の径方向にのみ弾性変形し、軸方向には変形が困難とされた弾性部材よりなる。
そして、軸抜け止め部材78の移動方向規制部78bの外側の領域、すなわち、移動方向規制部78bに対して回転軸31と反対側の領域は、内部流体をこの軸抜け止め部材78のスラスト方向の両側に流通させる流通部として機能する。さらに、軸抜け止め部材78の支持部78aの内側の領域、すなわち、支持部78aと回転軸31の軸抜け止め溝部31cとの間の領域は、内部流体をこの軸抜け止め部材78のスラスト方向の両側に流通させる流通部として機能する。
このように、軸抜け止め部材78は、上述した軸抜け止め部材48,49と同様に、通路形成部材34の壁面部34cの内側且つ段部34bの上面側に配置され、回転軸31がスラスト方向に引き上げられたときに軸抜け止め用溝部31cに係合することで、回転軸31がラジアル軸受33及びハウジング37から抜けることを防止するとともに、ハウジング37内部の潤滑油42、残留空気等の内部流体がこの軸抜け止め部材78のスラスト方向の両側に流通可能な構造とされている。
この軸抜け止め部材78が配置される通路形成部材34の底面部34aの内面側から段差を有して形成された段部34bには、図17及び図18に示すように、軸抜け止め部材78の軸円周方向の回転を規制するとともに、軸抜け止め部材78のハウジング37と一体に形成された通路形成部材34内の位置を規制する規制突部73が設けられている。
この支持部78aは、ハウジング37と一体にされた通路形成部材34に設けられた規制突部73と係合しY方向に当接することにより、軸抜け止め部材78の通路形成部材34内での位置を規制し、軸抜け止め用溝部31cと軸抜け止め部材78の移動方向規制部78bを適正な位置関係に保つ。
また、移動方向規制部78bは、図15に示すように、規制突部73とY方向に当接することにより、回転軸31が回転することにより発生する粘性流体の流れにより、移動方向規制部78bが回転軸31に接近する側に弾性変位して、移動方向規制部78bと回転軸31が接触することを防止し、軸受ユニットの回転性能が低下することを防止する。
軸抜け止め部材78は、例えば、断面丸形の丸鋼等の弾性を備える鋼材を折り曲げることにより、支持部78a及び移動方向規制部78bを形成して、一連のリング状に形成される。軸抜け止め部材78の断面形状を円形にしたことにより、軸受支持部31aと滑らか且つ確実に摺接できる。この軸抜け止め部材78の断面形状は、軸受支持部31aと摺接する際に滑らか且つ確実に摺接できるような構造であればよく、楕円形状としても良く、また、矩形状のものを用いる場合には、滑らかに摺接できるように、角部に適度な面取りを行えば問題ない。尚、ここでは、軸抜け止め部材78の断面形状を円形にしたことにより、軸受支持部31aと滑らか且つ確実に摺接できると共に、加工が容易となる。
軸抜け止め部材78は、回転軸31をハウジング37内に挿入する際には、図16に示すように、回転軸31の軸受支持部31aに移動方向規制部78bが摺接されて軸の径方向の外側に弾性変形し、回転軸31がハウジング37に挿入された後には移動方向規制部78bが元の位置に戻り、回転軸31が軸方向に移動してハウジング37から引き上げられることを防止する。ここで、軸抜け止め部材78の断面形状は、円形とされているので、軸受支持部31aの略円弧状部と滑らか且つ確実に摺接し、確実に軸径方向の外側に弾性変形される。
軸抜け止め部材78が、従来のように、軸方向に撓ませられることにより、回転軸31が挿通される構造ではないので、上述の通路形成部材34の段部34bとラジアル軸受33の底面部33bとの間の空間の軸方向の高さは、移動方向規制部78bが軸受支持部31a摺接時に開閉できるたけの隙間ですみ、軸抜け止め部材78の軸方向の厚みと略同じ大きさにすることができる。
この軸抜け止め部材78では、図19に示すように、通路形成部材34の段部34bとラジアル軸受33の底面部33bとの間の空間の高さ方向の隙間を小さくでき、すなわち軸抜け止め部材78とラジアル軸受33との隙間x1、及び、軸抜け止め部材78と軸抜け止め用溝部31cとの隙間x2を極小にできるので、回転軸31がハウジング37から引き上げられる方向に力が働いたときも、回転軸31が軸抜け止め部材78に係合し、回転軸31が引き上げられることを防止するので、回転軸31がハウジング37中の潤滑油42から引き上げられた分だけ潤滑油42の液面が下がることを防止して、ラジアル軸受33と回転軸31の軸受面の潤滑油がなくなってしまうことや、この軸受面の潤滑油中に空気が混入すること等の問題が発生するおそれを防止することができる。
また、この軸受ユニット30に用いられる軸抜け止め部材として、図15に示すような、支持部78aと一つの移動方向規制部78bからなるD型形状のものについて説明したが、軸抜け止め部材の形状としては図20に示すような、支持部と二つの移動方向規制部からなるU型形状のものでもよい。
図20に示す軸抜け止め部材79は、回転軸31の軸方向の移動を軸抜け止め用溝部31cと係合することにより規制するとともに、軸抜け止め部材79が軸円周方向に回転することを規制する移動方向規制部79b、79cと、この移動方向規制部79b、79cを連結して支持して軸抜け止め部材79のハウジング37内での位置を規制する支持部79aとからなる。この抜け止め部材79は、支持部79aが略円弧状に形成され、移動方向規制部79b、79cが弾性を有しこの支持部79aの両端部から連続して一対に形成され、一対の移動方向規制部79b、79cが回転軸31の軸抜け止め用溝部31cを間にして相対向する位置に直線状に形成される、いわゆるU型形状とされる。また、軸抜け止め部材79は、回転軸31がハウジング37内に挿入する際回転軸31の径方向にのみ弾性変形し、軸方向には変形が困難とされた弾性部材よりなる。
そして、軸抜け止め部材79の移動方向規制部79b、79cのそれぞれの外側の領域、すなわち、移動方向規制部79b、79cのそれぞれに対して回転軸31と反対側の領域は、内部流体をこの軸抜け止め部材79のスラスト方向の両側に流通させる流通部として機能する。
このように、軸抜け止め部材79は、上述した軸抜け止め部材48,49,78と同様に、通路形成部材34の壁面部34cの内側且つ段部34bの上面側に配置され、回転軸31がスラスト方向に引き上げられたときに軸抜け止め用溝部31cに係合することで、回転軸31がラジアル軸受33及びハウジング37から抜けることを防止するとともに、ハウジング37内部の潤滑油42、残留空気等の内部流体がこの軸抜け止め部材79のスラスト方向の両側に流通可能な構造とされている。
この支持部79aは、支持部78aと同様に、ハウジングと一体にされた通路形成部材34に設けられた規制突部73と係合してY方向に当接することにより、軸抜け止め部材79の通路形成部材34内での位置を規制し軸抜け止め用溝部31cと軸抜け止め部材79の移動方向規制部79b、79cを適正な位置関係に保つ。
また、移動方向規制部79b、79cは、規制突部73にY方向に当接することにより、回転軸31が回転することにより発生する粘性流体の流れにより、移動方向規制部79b、79cが回転軸31に接近する側に弾性変位して、移動方向規制部79b、79cと回転軸31が接触することを防止し、軸受ユニットの回転性能が低下することを防止する。この軸抜け止め部材79は、例えば、断面丸形の丸鋼等の弾性を備える鋼材を折り曲げることにより、支持部79a及び移動方向規制部79b、79cを形成する。
軸抜け止め部材79は、回転軸31をハウジング37に挿入する際には、図21に示すように、移動方向規制部79b、79cが軸の径方向にのみ弾性変形し、回転軸31がハウジング37に挿入された後には移動方向規制部79b、79cが元の位置に戻り、回転軸31が軸方向に移動してハウジング37から引き上げられることを防止する。
この軸抜け止め部材79では、上述の軸抜け止め部材78と同様に、通路形成部材34の段部34bとラジアル軸受33の底面部33bとの間の空間の高さ方向の隙間を小さくでき、すなわち軸抜け止め部材79とラジアル軸受33との隙間、及び、軸抜け止め部材79と軸抜け止め用溝部31cとの隙間を極小にできるので、回転軸31がハウジング37から引き上げられる方向に力が働いたときも、回転軸31が軸抜け止め部材79に係合し、回転軸31が引き上げられることを防止するので、回転軸31がハウジング37中の潤滑油42から引き上げられた分だけ潤滑油42の液面が下がることを防止して、ラジアル軸受33と回転軸31の軸受面の潤滑油がなくなってしまうことや、この軸受面の潤滑油中に空気が混入すること等の問題が発生するおそれを防止することができる。
さらに、U型形状とされた軸抜け止め部材79では、2箇所に移動方向規制部79b、79cが設けられているので、上述の移動方向規制部が1箇所に設けられたD型形状のものに比べ、回転軸31に衝撃等で軸方向の負荷がかかった際、抜け止め部材の変形や破断を低減することができる。
以上のような軸抜け止め部材78,79を有する軸受ユニット30は、上述した軸抜け止め部材48,49を有する場合と同様に、回転軸31の抜け止めを防止する軸抜け止め部材78,79が、内部流体が軸抜け止め部材78,79のスラスト方向の両側に流通可能な構造、すなわち、軸抜け止め部材78,79が、軸抜け止め用溝部31cと係合する移動方向規制部78b,79b,79cと、この移動方向規制部を支持する支持部78a,79aとを有し、移動方向規制部78b,79b,79cの外側の領域と、支持部78aの内側の領域とが内部流体を流通させる流通部として機能する構成とすることで、軸抜け止め部材78,79の底面側、すなわち、軸抜け止め部材78,79と通路形成部材34の底面部34aとの間の空間に残留空気が留まることを防止して、残留空気を流通部から連通路50を経由して排出することができるので、この軸抜け止め部材78,79の底面側の空間を含めたハウジング37内に充填された潤滑油42に混入した残留空気をこの連通路50から軸挿通孔41が設けられた軸開放側に送って、軸挿通孔41からハウジング37外部へ良好に排出することができる。
また、軸抜け止め部材は、上述の軸抜け止め部材48,49、並びに、上述のU型形状、D型形状の軸抜け止め部材78,79に限られるものではなく、例えば、U型形状の軸抜け止め部材79の円弧状の支持部79aを直線状に形成するようにしたようなU型形状の変形例であるいわゆるコ字型の形状でもよい。このU型形状の変形例である軸抜け止め部材では、上述のU型の軸抜け止め部材79と同様の効果が得られるとともに、さらに、支持部及び移動方向規制部を形成する際、円弧状に形成する加工が省略できる。尚、この軸抜け止め部材を使用する際には、規制突部73の形状を支持部の形状に対応するように変更することで、軸抜け止め部材の通路形成部材内での位置を規制し軸抜け止め用溝部と軸抜け止め部材の抜け止め規制部かつ回転規制部を適正な位置関係に保つ。
さらに、軸抜け止め部材は、折り曲げ箇所を1箇所だけ設けたV型形状のものでもよい。このV型形状の軸抜け止め部材では、V型形状の支持部と、その両端から連続して形成される一対の直線状の移動方向規制部からなり、その一対の移動方向規制部のそれぞれの外側の領域が流通部として機能する。V型形状の軸抜け止め部材では、上述のU型の軸抜け止め部材79と同様の効果が得られるとともに、さらに、支持部及び移動方向規制部を形成する際の加工工程が短縮できる。尚、この軸抜け止め部材を使用する際には、規制突部73の形状を支持部の形状に対応するように変更することで、軸抜け止め部材が軸円周方向に回転することを防止できる。
以上のような軸抜け止め部材を設けるように構成した軸受ユニットは、回転軸31とハウジング37との相対的な回転によるハウジング37内の圧力の低下を防止できるとともに、軸抜け止め部材よりスラスト軸受46側、すなわち底面側の空間を含めたハウジング37内に充填された潤滑油42等の粘性流体に混入した残留空気の排出を良好に行うことができるので、ハウジング37内の圧力の低下により残留空気が膨張してしまうことによるハウジング37内部の潤滑油42が軸受ユニット外部に押し出されてしまう漏洩現象の発生を防止し、長期間にわたり潤滑油を確実に保持でき、良好な潤滑性能を維持できる。
また、本発明を適用したモータ1は、ステータ12に対してロータ11を回転可能に支持する軸受ユニット30を備えることにより、潤滑油の漏洩を防止して良好な潤滑性能を長期間にわたって維持することを可能とする。
本発明に係る軸受ユニットは、放熱装置の冷却ファンモータやディスクドライブのスピンドルモータの軸受として用いられるのみならず、各種のモータの軸受として用いることができる。
更に、本発明に係る軸受ユニットは、モータに限らず、回転軸を備える機構や軸に対し回転する部品を支持する機構に広く用いることができる。
本発明を適用したモータの構成を示す断面図である。 本発明を適用した軸受ユニットの図3に示すY−Y’断面図である。 本発明を適用した軸受ユニットの図2に示すX−X’断面図である。 ラジアル軸受の内周面に形成された動圧発生溝を示す斜視図である。 通路形成部材とラジアル軸受との間に形成された連通路を説明するための分解斜視図である。 ラジアル軸受の底面部に形成された連通路となる第2の溝を示す図であり、ラジアル軸受の底面図である。 通路形成部材とラジアル軸受との間に形成される連通路の他の形状を示す図であり、通路形成部材及びラジアル軸受の斜視図である。 通路形成部材の底面側に設けられた連通路となる第2の溝を示す図であり、通路形成部材の平面図である。 本発明を適用した軸受ユニットを構成する通路形成部材及び軸抜け止め部材を示す断面図であり、図3に示すY’’−Y’’’断面図である。 本発明を適用した軸受ユニットを構成する通路形成部材及び軸抜け止め部材を示す拡大断面図であり、図9に示すX−X’断面図である。 本発明を適用した軸受ユニットを構成する軸抜け止め部材を示す平面図である。 本発明を適用した軸受ユニットを構成する軸抜け止め部材の他の例を示す平面図である。 本発明に係る軸受ユニットを製造する工程において、仮組立をする工程を説明する図である。 本発明に係る軸受ユニットを製造する工程において、ハウジングをアウトサート成形する工程を説明する図である。 本発明を適用した軸受ユニットを構成する軸抜け止め部材の更に他の例を示す断面図である。 図15に示す軸抜け止め部材を用いた軸受ユニットの回転軸が挿入されたとき、軸抜け止め部材の移動方向規制部が軸の径方向に弾性変形する状態を示す図である。 図15に示す軸抜け止め部材を用いた軸受ユニットの通路形成部材に設けられた規制突部を示す図であり、通路形成部材の平面図である。 図17に示す通路形成部材の図17に示すA−A’断面図である。 図15に示す軸抜け止め部材を用いた軸受ユニットの軸抜け止め部材とラジアル軸受との隙間、及び、軸抜け止め部材と軸抜け止め用溝部との隙間を示す図である。 本発明を適用した軸受ユニットを構成する軸抜け止め部材の更に他の例を示す断面図である。 図20に示す軸抜け止め部材を用いた軸受ユニットの回転軸が挿入されたとき、軸抜け止め部材の移動方向規制部が軸の径方向に弾性変形する状態を示す図である。 従来用いられている軸受ユニットを示す断面図である。
符号の説明
1 モータ、 11 ロータ、 12 ステータ、 13 ステータヨーク、 17 ロータヨーク、 30 軸受ユニット、 31 回転軸、 33 ラジアル軸受、 34 通路形成部材、 37 ハウジング、 38 ハウジング本体、 39 底部閉塞部、 40 上部閉塞部、 41 軸挿通孔、 42 潤滑油、 43,44 動圧発生溝、 45 空隙、 46 スラスト軸受、 47 テーパ部、 48 軸抜け止め部材、 48a 支持部、 48b 規制部、 48c 流通部、 48d 切り欠き部、 50 連通路、 51 第1の溝、 52 第2の溝、 53 第3の溝

Claims (2)

  1. 軸の周回り方向の支持を行うラジアル軸受と、
    上記軸のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受と、
    上記ラジアル軸受及び上記スラスト軸受の外側に設けられる通路形成部材と、
    上記通路形成部材を密閉して収容するように形成されるとともに、上記軸が挿通される軸挿通孔を有するハウジングと、
    上記ラジアル軸受の上記スラスト軸受が設けられた一端側に設けられ、上記軸が上記ラジアル軸受から抜けることを防止する軸抜け止め部材と、
    上記ハウジング内に充填された粘性流体と、
    上記通路形成部材と上記ラジアル軸受との間に形成され、上記ラジアル軸受から突出した軸のスラスト方向の上記一端側と他端側とを連通する連通路とを備え、
    上記軸は、上記軸抜け止め部材に対応する位置に、該軸抜け止め部材と係合する軸抜け止め用溝部を有し、
    上記軸抜け止め部材は、平板状且つ円環状に形成され、外周部の上記連通路に対応する位置に複数の切り欠き部が設けられ、
    上記軸抜け止め部材の内周部は、上記軸のスラスト方向の移動を上記軸抜け止め用溝部と係合することにより規制し、
    上記軸抜け止め部材の切り欠き部が設けられなかった外周部は、該軸抜け止め部材を支持して、上記軸抜け止め部材の内周部の上記通路形成部材内での位置を規制し、
    上記軸抜け止め部材の切り欠き部は、上記粘性流体を該軸抜け止め部材のスラスト方向の両側に流通させる軸受ユニット。
  2. ステータに対してロータを回転可能に支持する軸受ユニットを備えたモータにおいて、
    上記軸受ユニットは、軸の周回り方向の支持を行うラジアル軸受と、
    上記軸のスラスト方向の一端を支持するスラスト軸受と、
    上記ラジアル軸受及び上記スラスト軸受の外側に設けられる通路形成部材と、
    上記通路形成部材を密閉して収容するように形成されるとともに、上記軸が挿通される軸挿通孔を有するハウジングと、
    上記ラジアル軸受の上記スラスト軸受が設けられた一端側に設けられ、上記軸が上記ラジアル軸受から抜けることを防止する軸抜け止め部材と、
    上記ハウジング内に充填された粘性流体と、
    上記通路形成部材と上記ラジアル軸受との間に形成され、上記ラジアル軸受から突出した軸のスラスト方向の上記一端側と他端側とを連通する連通路とを備え、
    上記軸は、上記軸抜け止め部材に対応する位置に、該軸抜け止め部材と係合する軸抜け止め用溝部を有し、
    上記軸抜け止め部材は、平板状且つ円環状に形成され、外周部の上記連通路に対応する位置に複数の切り欠き部が設けられ、
    上記軸抜け止め部材の内周部は、上記軸のスラスト方向の移動を上記軸抜け止め用溝部と係合することにより規制し、
    上記軸抜け止め部材の切り欠き部が設けられなかった外周部は、該軸抜け止め部材を支持して、上記軸抜け止め部材の内周部の上記通路形成部材内での位置を規制し、
    上記軸抜け止め部材の切り欠き部は、上記粘性流体を該軸抜け止め部材のスラスト方向の両側に流通させる軸受ユニットであるモータ。
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