JP2002021844A - 流体軸受装置 - Google Patents

流体軸受装置

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JP2002021844A
JP2002021844A JP2000199977A JP2000199977A JP2002021844A JP 2002021844 A JP2002021844 A JP 2002021844A JP 2000199977 A JP2000199977 A JP 2000199977A JP 2000199977 A JP2000199977 A JP 2000199977A JP 2002021844 A JP2002021844 A JP 2002021844A
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JP
Japan
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shaft
lubricant
peripheral surface
dynamic pressure
sleeve
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JP2000199977A
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English (en)
Inventor
Katsuhiko Tanaka
克彦 田中
Ikunori Sakatani
郁紀 坂谷
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遠心力による潤滑剤の飛散が生じにくく、ま
た、長期にわたる使用においても潤滑剤が枯渇しにく
く、長期信頼性の高い流体軸受装置を提供する。 【解決手段】 一端にスラストプレート15を有する軸
13と、軸13が回転自在に嵌挿されたスリーブ12と
を備え、複数の略くの字状の溝17aからなる動圧発生
用溝17を、軸13の外周面と該外周面に対向するスリ
ーブ12の内周面との少なくとも一方の2箇所に設けて
ラジアル流体軸受Rを形成し、スラストプレート15の
両平面15s,15sとこれに対向するスリーブ12及
びカウンタープレート16との間にスラスト流体軸受S
を形成したスピンドルモータにおいて、2箇所の動圧発
生用溝17のうち外気側の動圧発生用溝のパターンを軸
方向に非対称な形状とし、略くの字状の溝7aの軸方向
の幅のうち屈曲部Pから外気側の端部Eoまでの幅Bo
を、屈曲部Pから逆側の端部Eiまでの幅Biより大と
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報機器,音響・
映像機器,事務機器用の流体軸受装置に係り、特に、高
性能な磁気ディスク装置(HDD)等に最適な流体軸受
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の流体軸受装置としては、
例えば図4に示すようなHDD用スピンドルモータがあ
る。このものは、ベース1に立設した円筒部1aの内側
に底板2aを有する円筒体状のスリーブ2が内挿されて
おり、これらは一体的に固着されている。そして、この
ようなスリーブ2には、上端に逆カップ状のハブ4が一
体的に取り付けられた軸3が回転自在に挿通されてい
て、軸3とスリーブ2との間には動圧流体軸受部が介在
している。
【0003】すなわち、軸3の下端面は、スラスト流体
軸受Sのスラスト受面3sとされている。そして、この
スラスト受面3sには、相手部材であるスリーブ2の底
板2aの上面が対向し、この上面がスラスト流体軸受S
のスラスト軸受面2sとされている。上記スラスト受面
3s及びスラスト軸受面2sのうち少なくとも一方に、
エッチング等により形成されたヘリングボーン状の動圧
発生用の溝(図示せず)を備えて、スラスト流体軸受S
が構成されている。
【0004】さらに、軸3の外周面には、上下に間隔を
おいて一対のラジアル受面3r,3rが形成されてい
る。また、スリーブ2の内周面には、ラジアル受面3
r,3rに対向してラジアル軸受面2r,2rが形成さ
れている。そして、ラジアル受面3rとラジアル軸受面
2rとの少なくとも一方に、例えばヘリングボーン状の
動圧発生用溝7,7を備えて、ラジアル流体軸受R,R
が構成されている。
【0005】この動圧発生用溝7,7は、図5に示すよ
うに、軸3の円周方向に沿って所定の間隔で並べられた
複数の略くの字状の溝7aで構成されており、そのパタ
ーンは軸方向に対称な形状となっている。すなわち、略
くの字状の溝7aの軸方向の幅のうち屈曲部Pから外気
側の端部Eoまでの幅Boと、屈曲部Pから逆側の端部
Eiまでの幅Biとは同一となっている。
【0006】なお、上記の外気側とは、軸3においてス
ピンドルモータの外気に向いている側(図4においては
上方)、すなわち、スラスト流体軸受Sが設けられてい
る側とは反対側を意味するものである。そして、円筒部
1aの外周面にはステータ8が固定され、ハブ4の内周
面下側に固定されているロータ磁石9とギャップを介し
て周面対向して駆動モータMを形成しており、この駆動
モータMにより軸3とハブ4とが一体的に回転駆動され
る。
【0007】軸3が回転すると、スラスト流体軸受S及
びラジアル流体軸受Rの各動圧発生用溝のポンピング作
用により、各流体軸受S,Rの流体軸受すきまに充填さ
れた微量の潤滑剤に動圧が発生して、軸3はスリーブ2
の内周面及び底板2aの上面と非接触となり支承され
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、HDD用スピン
ドルモータにおいては、高速データ転送の必要性からま
すます高速回転での駆動が求めれれるとともに、高速回
転駆動での長期信頼性の向上が求められている。しかし
ながら、従来の流体軸受装置では、高速回転で駆動する
と遠心力によって潤滑剤が飛散しやすいので、回転中に
焼き付きが生じる恐れがあった。
【0009】また、従来の流体軸受装置は、流体軸受す
きまに充填された微量の潤滑剤により作動している。し
たがって、流体軸受すきまからの潤滑剤の流出がわずか
でも生じると、長期にわたる使用においては軸受すきま
内の潤滑剤が枯渇する恐れがあり、長期信頼性に問題が
あった。そこで本発明は、上記のような従来の流体軸受
装置が有する問題点を解決し、遠心力による潤滑剤の飛
散が生じにくく、また、長期にわたる使用においても潤
滑剤が枯渇しにくく、長期信頼性の高い流体軸受装置を
提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち本発明
の流体軸受装置は、一端にフランジ部を有する軸と、該
軸が回転自在に嵌挿されたスリーブとを備えるととも
に、前記軸の円周方向に沿って並べられた複数の略くの
字状の溝で構成されるヘリングボーン状の動圧発生用溝
を、前記軸の外周面と該外周面に対向する前記スリーブ
の内周面との少なくとも一方の1箇所以上に設けてラジ
アル流体軸受を形成し、前記フランジ部の少なくとも一
方の平面とこれに対向する相手部材との間にスラスト流
体軸受を形成した流体軸受装置において、前記動圧発生
用溝のうち最も外気側に位置する動圧発生用溝のパター
ンを、軸方向に非対称な形状とし、前記略くの字状の溝
の軸方向の幅のうち屈曲部から外気側の端部までの幅
を、前記屈曲部から逆側の端部までの幅より大としたこ
とを特徴とする。
【0011】このような構成であれば、軸方向に非対称
なパターンの動圧発生用溝の作用により、前記軸の回転
に伴って外気側からその逆側へ向かって潤滑剤を押し込
む圧力が働くので、前記軸の回転に伴う遠心力によりラ
ジアル流体軸受すきま内の潤滑剤が外気側に移動するこ
とが抑制される。したがって、前記軸の外周面と該外周
面に対向する前記スリーブの内周面との間に形成される
すきまからその外部に、潤滑剤が飛散することが防止さ
れる。
【0012】なお、上記の外気側とは、前記軸において
流体軸受装置の外気に向いている側、すなわち、前記ス
ラスト流体軸受が設けられている側とは反対側を意味す
るものである。前記略くの字状の溝の軸方向の幅のうち
屈曲部から外気側の端部までの幅と、前記屈曲部から逆
側の端部までの幅との差は、0.2mm以上とすること
が好ましい。
【0013】0.2mm未満であると、10000rp
m以上の高速回転において、前記軸の外周面と該外周面
に対向する前記スリーブの内周面との間に形成されるす
きまからその外部に、遠心力により潤滑剤が飛散する場
合がある。前記スリーブの加工精度にばらつきがあって
も10000rpm以上の高速回転において潤滑剤の飛
散を確実に防止するためには、前記差は0.3mm以上
とすることがより好ましい。
【0014】なお、本発明の流体軸受装置には、前記フ
ランジ部の外周面と該外周面に対向する部材との間に形
成される環状すきまに向かってすきまが徐々に狭くなる
形状の(すなわち、テーパ面を有する)潤滑剤溜まりを
設けることが好ましい。そうすれば、流体軸受装置に注
入された潤滑剤は表面張力によって流体軸受すきま内に
充填されるが、前記潤滑剤溜まりの形状が上記のように
テーパ状となっているので、余分な潤滑剤は前記潤滑剤
溜まりに保持される。このとき、潤滑剤に気泡が残留し
ていたとしても、表面張力によって前記潤滑剤溜まりの
狭い方に潤滑剤が集まり、前記気泡は前記潤滑剤溜まり
の広い方に集まって外気に排出される。
【0015】さらに、前記潤滑剤溜まり内の潤滑剤が前
記環状すきまに向かって自動的に給油されるので、前記
環状すきまに連通する前記スラスト流体軸受及び前記ラ
ジアル流体軸受の軸受すきま内の潤滑剤が枯渇すること
を、長期にわたって防止できる。また、前記軸は、該軸
の両端面に開ロする貫通孔を有する中空軸とすることが
好ましい。そうすれば、流体軸受装置の組み立て時に前
記貫通孔から潤滑剤を注入することができるので、流体
軸受装置の内部へ潤滑剤を注入する操作が容易となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係る流体軸受装置の実施
の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1
は、本発明に係る流体軸受装置の一実施形態であるスピ
ンドルモータの断面図である。また、図2は、図1のス
ピンドルモータの動圧発生用溝を拡大して示した概念図
であり、図3は、図1のA部分を拡大して示した部分拡
大断面図である。
【0017】ベース11の中央部に立設された円筒部1
1aの内側に、フランジ付円筒体状のスリーブ12が内
挿されていて、前記フランジが円筒部11aの上端に一
体的に固着されている。本実施形態においては、スリー
ブ12と円筒部11aとの固着は、スリーブ12の内周
面のラジアル軸受面12r(詳細は後述する)が圧入に
より変形することを防止するために、スリーブ12の外
周面が円筒部11aの内周面と直接接触しないようにし
ている。なお、スリーブ12と後述するカウンタープレ
ート16とが、本発明の構成要件たる相手部材に相当す
る。
【0018】スリーブ12には軸13が回転自在に挿通
されていて、この軸13は、軸13の両端面に開ロする
貫通孔13aを有する中空軸とされている。スピンドル
モータの組み立て時には、この貫通孔13aから潤滑剤
を内部に注入することができる。この軸13の上端に
は、浅い逆カップ状のハブ14が取り付けられていて、
ハブ14の中央部に設けられた穴に軸13の上端を圧入
することにより、軸13とハブ14とが一体に固着され
ている。
【0019】ベース11の円筒部11aの外周面にはス
テータ18が固定され、ハブ14の内周面に固定された
ロータ磁石19とギャップを介して周面対向して駆動モ
ータMを形成している。また、スリーブ12の下端より
突出した軸13の下端には、円板状のスラストプレート
15が圧入により固定されている。ただし、スラストプ
レート15を軸13に取り付ける方法としては、圧入の
他、ねじ止め,接着,溶接等の慣用の固着方法が採用可
能である。あるいは、軸13とスラストプレート15と
が一体的に形成された部材を用いてもよい。なお、この
スラストプレート15が、本発明の構成要件たるフラン
ジ部に相当する。
【0020】そして、スラストプレート15の下面は、
ベース11の中心部に取り付けたカウンタープレート1
6の上面と対向していて、停止時には両対向面同士が当
接している。スラストプレート15の上下の両平面はス
ラスト受面15sとされる。そして、上面側のスラスト
受面15sに対向する一方の相手部材であるスリーブ1
2の下端面と、下面側のスラスト受面15sに対向する
他方の相手部材であるカウンタープレート16の上面と
が、それぞれスラスト軸受面12s及び16sとされ
て、相対するスラスト受面15s,15s及びスラスト
軸受面12s,16sのうち少なくとも一方に、例えば
ヘリングボーン状の動圧発生用溝(図示せず)を備えて
スラスト流体軸受Sを構成している。
【0021】スラストプレート15の両平面(スラスト
受面15s,15s)へ前記動圧発生用溝を設ける加工
方法は特に限定されるものではなく、塑性加工,切削加
工,エッチング等があげられる。一方、軸13の外周面
には、軸方向に間隔をおいて上下に一対のラジアル受面
13r,13rが形成されるとともに、このラジアル受
面13r,13rに対向するラジアル軸受面12r,1
2rがスリーブ12の内周面に形成されており、ラジア
ル受面13r及びラジアル軸受面12rのうち少なくと
も一方に、ヘリングボーン状の動圧発生用溝17を備え
て、ラジアル流体軸受Rが構成されている。なお、この
動圧発生用溝17を設ける加工方法は特に限定されるも
のではなく、前述と同様の慣用の方法が採用される。
【0022】このラジアル流体軸受Rの動圧発生用溝1
7の構成を、図2を参照しながらさらに詳細に説明す
る。この動圧発生用溝17,17は、軸13の円周方向
に沿って所定の間隔で並べられた複数の略くの字状の溝
17aで構成されている。2カ所に設けられた動圧発生
用溝17,17のうち、外気側に位置する動圧発生用溝
17(図1においては上方の動圧発生用溝17)は、そ
のパターンは軸方向に非対称な形状となっている。そし
て、他方の動圧発生用溝17(図1においては下方の動
圧発生用溝17)のパターンは、前述の従来例(図5)
と同様に軸方向に対称な形状となっている。
【0023】すなわち、外気側に位置する動圧発生用溝
17においては、図5のように、略くの字状の溝17a
の軸方向の幅のうち屈曲部Pから外気側の端部Eoまで
の幅Boは、屈曲部Pから逆側の端部Eiまでの幅Bi
より大となっていて、その幅の差Dは0.2mm以上と
されている。なお、上記の外気側とは、軸13において
スピンドルモータの外気に向いている側(図1において
は上方)、すなわち、スラスト流体軸受Sが設けられて
いる側とは反対側を意味するものである。
【0024】動圧発生用溝17がこのような構成であれ
ば、軸方向に非対称なパターンの動圧発生用溝17の作
用により、軸13の回転に伴って外気側からその逆側へ
向かって潤滑剤を押し込む圧力が働くので(ポンプイ
ン)、軸13の回転に伴う遠心力によりラジアル軸受す
きま内の潤滑剤が外気側に移動することが抑制される。
したがって、軸13の外周面と該外周面に対向するスリ
ーブ12の内周面との間に形成されるすきまからその外
部に、潤滑剤が飛散することが防止される。
【0025】この動圧発生用溝17が軸方向に対称なパ
ターンであると、スリーブ12を量産した際の内径の円
筒度や動圧発生用溝17の深さのばらつき等のために、
動圧発生用溝17の作用により外気側に向かって潤滑剤
を押し出す方向に圧力が働くことがある。また、動圧発
生用溝17が非対称なパターンであっても前記幅の差D
が0.2mm未満であると、10000rpm以上の高
速回転において、軸13の回転に伴う遠心力により潤滑
剤が外気側に向かって押し出され、回転中に潤滑剤が外
部に飛散するという不具合が多発することがある。幅の
差Dを0.2mm以上、好ましくは0.3mm以上とす
れば、スリーブ12の加工精度にばらつきがあっても、
10000rpm以上の高速回転においても潤滑剤の飛
散を確実に防止できる。
【0026】なお、スリーブ12の内周面の上端(外気
側)は、図1及び図3のように面取りされている。この
面取り部分の傾斜面12aと軸13とが形成する傾斜角
θmは、後述する潤滑剤溜まり22のテーパ面24の傾
斜角θt(スリーブ12の外周面と円筒部11aの内周
面とがなす角)よりも大となっている。このようにすれ
ば、表面張力はすきまの狭い方に強く作用するから、潤
滑剤は潤滑剤溜まり22の方に吸引されることとなり、
前記面取り部分の潤滑剤の液面を低くできる。
【0027】運搬時等のスピンドルモータの静止時に、
この面取り部分に位置する潤滑剤の液面を低く保つため
には、傾斜角θmを30°以上とすることが好ましい。
傾斜角θmを45°以上とすれば、運搬時や取り扱い時
に800G(加速度)程度の外部衝撃が作用しても、前
記面取り部分を越えて潤滑剤が外気に飛散することが防
止できるので、さらに好ましい。
【0028】なお、スリーブ12の面取り部分の傾斜面
12aと、軸13の外周面のうち傾斜面12aと対向す
る部分とに、撥油剤(潤滑剤をはじく性質を有するも
の)を塗布しておくと、静止時及び回転時に潤滑剤が前
記面取り部分を越えて外部に漏出することを、より効果
的に防止することができる。本実施形態においては、動
圧発生用溝17は軸方向に間隔をおいて2カ所に設けた
が、3カ所以上に設けてもよいし、1カ所でもよい。そ
の中の最も外気側の動圧発生用溝17のパターンを前述
のような非対称な形状とすればよい。
【0029】なお、本実施形態のスピンドルモータにお
いては省略したが、スピンドルモータのトルクを小さく
するために、上下2つのラジアル流体軸受R,Rに挟ま
れたスリーブ12の内周面(又は軸13の外周面あるい
はスリーブ12の内周面と軸13の外周面との双方でも
よい)に、ラジアル流体軸受Rの流体軸受すきまに向か
ってすきまが狭くなるテーパ状の周溝からなる逃げ溝を
設けてもよい。
【0030】さらに、スリーブ12の外周面と円筒部1
1aの内周面との間には円環状のすきまが介在してい
て、該円環状のすきまが潤滑剤溜まり22を形成してい
る。この潤滑剤溜まり22の上部には、外気と連通する
通気穴23が開口している。通気穴23は潤滑剤溜まり
22の最上部から上方に伸び、スリーブ12の上端面に
開口している。もちろん、潤滑剤溜まり22の最上部か
ら水平に伸び、スリーブ12の外周面に開口するように
設けてもよい。
【0031】また、潤滑剤溜まり22の下端には、スラ
ストプレート15の外周面15aとそれに対向する部材
であるベース11の円筒部11aの内周面との間に形成
される環状すきまCに向かって開口している潤滑剤供給
路25が設けられている。そして、スラスト流体軸受S
の流体軸受すきまに近接して連通する潤滑剤供給路25
の開口部は、前記流体軸受すきまとほぼ等しいか、又は
僅かに大きくなっていて、表面張力に基づく毛管現象に
より潤滑剤が潤滑剤供給路25から前記流体軸受すきま
に導入されやすいようになっている。
【0032】また、潤滑剤溜まり22の内面を形成する
円筒部11aの内周面はテーパ面24とされていて、こ
れにより潤滑剤溜まり22は潤滑剤供給路25に向かっ
てすきまが徐々に狭くなる形状となっている。もっと
も、テーパ面24は必ずしも円筒部11aの内周面に形
成するとは限らず、スリーブ12の外周面に形成しても
よく、あるいはスリーブ12の外周面と円筒部11aの
内周面との双方に形成してもよい。
【0033】本実施形態においては、円環状のすきまか
らなる潤滑剤溜まり22の下部の全体が潤滑剤供給路2
5を形成している(すなわち、潤滑剤供給路25が環状
すきま状である)が、潤滑剤溜まり22の下部のうち一
カ所にスリット状の潤滑剤供給路25を設けてもよいし
(つまり、その他の部分は、スリーブ12の外周面と円
筒部11aの内周面とが接触していて閉口している)、
複数箇所にスリット状の潤滑剤供給路25を設けてもよ
い。
【0034】当該スピンドルモータへの潤滑剤の注入
は、全体を組み立てた後に、中空状の軸13が有する貫
通孔13aからディスペンサ等を用いて行う。このよう
に軸13の貫通孔13aから潤滑剤を注入できるので、
潤滑剤の注入操作が容易で、また、その際に装置の内部
に気泡が巻き込まれる恐れが少ない。仮に、潤滑剤中に
気泡が残留したとしても、軸13の上部の外周面に開口
していて貫通孔13aと外気とを連通する空気抜き穴2
1から、前記気泡が排出できるようになっている。な
お、気泡の脱気をより確実にするために、必要により、
あらかじめ真空脱気した潤滑剤を用いたり、潤滑剤を注
入後にスピンドルモータを真空槽に入れ脱気するように
してもよい。
【0035】そして、スピンドルモータへの潤滑剤の注
入が終了したら、スピンドルモータの駆動時や運搬時に
おける貫通孔13aからの潤滑剤の流出や飛散を防止す
るために、軸13の上端にシート板26を取り付けて、
貫通孔13aの開口部を覆い密封する。なお、シート板
26の代わりに、通気可能な多孔質フィルタを取り付け
てもよい。その場合は、空気抜き穴21は設けなくても
よい。
【0036】注入された潤滑剤は、表面張力によりスラ
スト流体軸受S及びラジアル流体軸受Rの各流体軸受す
きまを満たすとともに、余分な潤滑剤は潤滑剤供給路2
5を経て潤滑剤溜まり22に溜まって、表面張力に基づ
く毛管現象によりテーパ面24に保持される。したがっ
て、潤滑剤の注入量が過剰であっても、余分な潤滑剤が
潤滑剤溜まり22に貯蔵されるので問題ない。
【0037】また、運搬時や取り扱い時にスピンドルモ
ータが倒置されたとしても、潤滑剤溜まり22内の潤滑
剤が外部に流出することはない。また、潤滑剤溜まり2
2のすきまの大きさが、テーパ面24により下方の潤滑
剤供給路25に向かって狭くなっているため、外部衝撃
で飛散した潤滑剤も、外部に流出しない限りは潤滑剤溜
まり22のすきまの狭い潤滑剤供給路25の方に自然に
集められる。そして、潤滑剤溜まり22の上部(すきま
の広い方)に集まった気泡は、通気穴23を通って外部
に排出される。
【0038】駆動モータMにより、被回転体である図示
しない磁気ディスクを外周部に搭載するハブ14と軸1
3とを一体的に回転駆動させると、スラスト流体軸受S
及びラジアル流体軸受Rの各動圧発生用溝のポンピング
作用により、各流体軸受S,Rの流体軸受すきまに充填
されている潤滑剤に動圧が発生して、軸13はスリーブ
12及びカウンタープレート16と非接触となり支承さ
れる。
【0039】運転が長期に及んで、流体軸受すきまに保
持されている潤滑剤が次第に蒸発したり飛散したりして
不足してくると、潤滑剤溜まり22内に表面張力に基づ
く毛管現象で保持されている潤滑剤が、その不足分に応
じてテーパ面24に案内されつつすきまの狭い方に吸引
され、流体軸受すきま内に潤滑剤が満たされるまで補給
される。すなわち、流体軸受すきま内の潤滑剤の減少に
伴い、潤滑剤供給路25を経由してすきまの狭い流体軸
受すきまに毛管現象で吸引され、潤滑剤溜まり22のテ
ーパ面24の表面張力が釣り合う位置で安定する。こう
して、潤滑剤の減少分だけ自動的に潤滑剤が補給され
る。
【0040】このように本実施形態のスピンドルモータ
は、潤滑剤溜まり22の円環状のすきまがテーパ状であ
るから、潤滑剤は表面張力ですきまの狭い方に吸引さ
れ、一方、組み立て時に巻き込んだ残留気泡は、すきま
の広い方に分離され排出される。したがって、各流体軸
受すきまには気泡のない潤滑剤が自動的に確実に補給さ
れて潤滑剤溜まり22と連通し、常時潤滑剤で満たされ
た状態となり、長期にわたり使用しても信頼性が高く耐
久性に優れている。
【0041】なお、本実施形態は、本発明の一例を示し
たものであって、本発明はこれらの実施形態に限定され
るものではない。例えば、ベース11とカウンタープレ
ート16とを一体構造としてもよいし、スリーブ12と
カウンタープレート16とを一体構造としてもよい。ま
た、流体軸受の構造,空気抜き穴21,通気穴23,潤
滑剤溜まり22,潤滑剤供給路25の構造、動圧発生用
溝のパターン、スピンドルモータの細部の構造等に関し
ては、本実施形態に限定されるものではなく、必要に応
じて適宜変更可能である。
【0042】また、軸13,スリーブ12等のスピンド
ルモータを構成する部材の材質は、特に限定されるもの
ではなく、スピンドルモータを構成する部材に通常使用
されるステンレス鋼,銅合金,焼結金属,プラスチッ
ク,セラミック等の材料であれば問題なく使用できる。
さらに、本実施形態においては、流体軸受装置としてス
ピンドルモータを例示して説明したが、本発明は他の種
々の流体軸受装置に対して適用することができる。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明の流体軸受装置
は、ラジアル流体軸受を構成する動圧発生用溝のうち最
も外気側に位置する動圧発生用溝のパターンを非対称な
形状とし、略くの字状の溝の軸方向の幅のうち屈曲部か
ら外気側の端部までの幅を、前記屈曲部から逆側の端部
までの幅より大としたので、外気側からその逆側へ向か
って潤滑剤を押し込む圧力が働く。
【0044】そのため、軸の回転に伴う遠心力により、
軸の外周面と該外周面に対向するスリーブの内周面との
間に形成されるすきまからその外部に、潤滑剤が飛散す
ることが防止される。その結果、長期にわたる使用にお
いても潤滑剤が枯渇しにくく、長期信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流体軸受装置の一実施形態である
スピンドルモータを示す断面図である。
【図2】図1のスピンドルモータの動圧発生用溝を拡大
して示した概念図である。
【図3】図1のA部分を拡大して示した部分拡大断面図
である。
【図4】従来のスピンドルモータの断面図である。
【図5】図4のスピンドルモータの動圧発生用溝を拡大
して示した概念図である。
【符号の説明】
11 ベース 11a 円筒部 12 スリーブ 13 軸 15 スラストプレート 16 カウンタープレート 17 動圧発生用溝 17a 略くの字状の溝 Bo 屈曲部から外気側の端部までの幅 Bi 屈曲部から逆側の端部までの幅 Eo 外気側の端部 Ei 逆側の端部 D 幅の差 P 屈曲部 R ラジアル流体軸受 S スラスト流体軸受

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端にフランジ部を有する軸と、該軸が
    回転自在に嵌挿されたスリーブとを備えるとともに、前
    記軸の円周方向に沿って並べられた複数の略くの字状の
    溝で構成されるヘリングボーン状の動圧発生用溝を、前
    記軸の外周面と該外周面に対向する前記スリーブの内周
    面との少なくとも一方の1箇所以上に設けてラジアル流
    体軸受を形成し、前記フランジ部の少なくとも一方の平
    面とこれに対向する相手部材との間にスラスト流体軸受
    を形成した流体軸受装置において、 前記動圧発生用溝のうち最も外気側に位置する動圧発生
    用溝のパターンを、軸方向に非対称な形状とし、前記略
    くの字状の溝の軸方向の幅のうち屈曲部から外気側の端
    部までの幅を、前記屈曲部から逆側の端部までの幅より
    大としたことを特徴とする流体軸受装置。
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