JPWO2004070879A1 - アンテナ装置とそれを用いた無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

アンテナ装置(100−116)は、微小ループアンテナ(A3)と、少なくとも1つのアンテナ素子(A1,A2)とを備えて構成される。微小ループアンテナ(A3)は、接地導体(11)を有する誘電体基板(10)に電磁的に近接して設けられ、所定の巻き回数Nで巻回されて所定の微小長さを有し、所定の金属板(30)がアンテナ装置(100−116)に近接したときに磁流アンテナとして動作する一方、金属板(30)がアンテナ装置(100−116)から離隔したときに電流アンテナとして動作する。アンテナ素子(A1,A2)は、微小ループアンテナ(A3)に接続され、電流アンテナとして動作する。アンテナ装置(100−116)において、その一端は給電点(Q)に接続され、その他端は誘電体基板(10)の接地導体(11)に接続される。

Description

本発明は、主として無線通信装置に用いられ、ループアンテナを含むアンテナ装置と、当該アンテナ装置を用いた無線通信装置に関する。
従来、ループアンテナは、特に携帯電話機などの携帯無線通信装置において用いられ、その構成は、例えば、従来技術文献「電子情報通信学会編,“アンテナ光学ハンドブック”,pp.59−63、オーム社,第1版,1980年10月30日発行」において開示されている。ループアンテナの全長は、一般に約1波長で構成され、その電流分布から、半波長ダイポールアンテナを2個並置した構造に近似できて、ループ軸方向の指向特性アンテナとして動作する。
ここで、ループアンテナを小さくし、その全長を0.1波長以下にすると、ループ導線に流れる電流分布はほとんど一定値となる。この状態のループアンテナを特に微小ループアンテナと呼んでいる。この微小ループアンテナは、微小ダイポールアンテナよりも雑音電界に強く、またその実効高を簡単に計算できるために、磁界測定用のアンテナとして利用されている。
この微小ループアンテナは、1回巻きの小型アンテナとして、例えばページャなどの携帯無線通信装置において広く用いられている。ここで、微小ループアンテナの入力抵抗は一般にきわめて小さいので、多巻き構造とし、入力抵抗のステップアップを図った多巻き微小ループアンテナが考案されている。微小ループアンテナは磁流アンテナとして動作し、金属板や人体などが接近したときにも良好なアンテナ利得特性が得られることが知られている。
しかしながら、従来技術の微小ループアンテナでは、金属板や人体などの導体が無線装置やアンテナに接近した場合には良好なアンテナ利得特性を示すが、導体が離れている場合にはアンテナ利得が低下するという問題があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、導体がアンテナ接近していても離れていても、従来技術の微小ループアンテナに比較して高いアンテナ利得を得ることができるアンテナ装置と、それを用いた無線通信装置を提供することにある。
第1の発明に係るアンテナ装置は、接地導体を有する誘電体基板と、
上記誘電体基板に電磁的に近接して設けられ、所定の巻き回数Nで巻回されて所定の微小長さを有し、所定の金属板がアンテナ装置に近接したときに磁流アンテナとして動作する一方、上記金属板がアンテナ装置から離隔したときに電流アンテナとして動作する微小ループアンテナと、
上記微小ループアンテナに接続され、電流アンテナとして動作する少なくとも1本のアンテナ素子とを備えたアンテナ装置であって、
上記アンテナ装置の一端は給電点に接続され、上記アンテナ装置の他端は上記誘電体基板の接地導体に接続されたことを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記少なくとも1本のアンテナ素子は、好ましくは、上記誘電体基板の面と実質的に平行となるように設けられたことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置において、好ましくは、2本のアンテナ素子を備えたことを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、好ましくは、上記2本のアンテナ素子はそれぞれ実質的に直線形状であって、互いに平行となるように設けられたことを特徴とする。
上記アンテナ装置は、好ましくは、上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続され、上記微小ループアンテナのインダクタンスと直列共振するための少なくとも1個の第1のキャパシタをさらに備えたことを特徴とする。
ここで、上記第1のキャパシタは、好ましくは、上記アンテナ素子の実質的な中央点に挿入して接続したことを特徴とする。また、上記第1のキャパシタは、好ましくは、複数個のキャパシタ素子を直列に接続してなることを特徴とする。とって代わって、上記第1のキャパシタは、好ましくは、複数個のキャパシタ素子を直列に接続してなる複数組の回路を互いに並列に接続したことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置は、好ましくは、上記給電点に接続され、上記アンテナ装置の入力インピーダンスと、上記給電点に接続される給電ケーブルの特性インピーダンスとを整合させるインピーダンス整合回路をさらに備えたことを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、上記微小ループアンテナは、好ましくは、そのループ軸方向が上記誘電体基板の面と実質的に直交するように設けられたことを特徴とする。もしくは、上記微小ループアンテナは、好ましくは、そのループ軸方向が上記誘電体基板の面と実質的に平行となるように設けられたことを特徴とする。とって代わって、上記微小ループアンテナは、好ましくは、そのループ軸方向が上記誘電体基板の面に対して所定の傾斜角で傾斜されるように設けられたことを特徴とする。
またさらに、上記アンテナ装置において、上記微小ループアンテナの巻き回数Nは、好ましくは、実質的にN=(n−1)+0.5(ここで、nは自然数である。)に設定されたことを特徴とする。ここで、上記微小ループアンテナの巻き回数Nは、より好ましくは、実質的にN=1.5に設定されたことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置は、好ましくは、上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子に電磁的に近接して設けられた少なくとも1個の浮遊導体と、
上記浮遊導体を上記接地導体と接続し又は接続しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の指向特性又は偏波面を変化させる第1のスイッチ手段とをさらに備えたことを特徴とする。
ここで、上記アンテナ装置は、好ましくは、互いに実質的に直交するように設けられた2個の浮遊導体を備え、
上記第1のスイッチ手段は、上記各浮遊導体を上記接地導体と接続し又は接続しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の指向特性及び偏波面の少なくとも一方を変化させることを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置は、好ましくは、上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続された第1のリアクタンス素子と、
上記第1のリアクタンス素子を短絡し又は短絡しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の共振周波数を変化させる第2のスイッチ手段とをさらに備えたことを特徴とする。
ここで、上記第2のスイッチ手段は、好ましくは、そのオフ時に寄生容量を有する高周波半導体素子を含み、
上記寄生容量を実質的にキャンセルするための第1のインダクタをさらに備えたことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置は、好ましくは、上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続された一端を有する第2のリアクタンス素子と、
上記第2のリアクタンス素子の他端を接地し又は接地しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の共振周波数を変化させる第3のスイッチ手段とをさらに備えたことを特徴とする。
ここで、好ましくは、上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続された第3のリアクタンス素子をさらに備えたことを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、上記第3のスイッチ手段は、好ましくは、そのオフ時に寄生容量を有する高周波半導体素子を含み、
上記寄生容量を実質的にキャンセルするための第2のインダクタをさらに備えたことを特徴とする。
またさらに、好ましくは、上記のアンテナ装置を複数個備え、
上記複数個のアンテナ装置により受信された無線信号に基づいて、複数個のアンテナ装置を選択的に切り換えて、選択したアンテナ装置を給電点に接続する第4のスイッチ手段を備えたことを特徴とする。
ここで、上記第4のスイッチ手段は、好ましくは、上記選択しないアンテナ装置を接地することを特徴とする。
また、上記アンテナ装置において、好ましくは、上記アンテナ素子を、接地導体が形成されていない上記誘電体基板上に形成したことを特徴とする。
ここで、好ましくは、上記微小ループアンテナを別の誘電体基板上に形成したことを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、好ましくは、上記別の誘電体基板は少なくとも1つの凸部を有し、
上記誘電体基板は上記誘電体基板の少なくとも1つの凸部と嵌合する少なくとも1つの穴部を有し、
上記別の誘電体基板の少なくとも1つの凸部を上記誘電体基板の少なくとも1つの穴部に嵌合させることにより、上記別の誘電体基板を上記誘電体基板に連結したことを特徴とする。
とって代わって、上記アンテナ装置において、好ましくは、上記誘電体基板は少なくとも1つの凸部を有し、
上記別の誘電体基板は上記誘電体基板の少なくとも1つの凸部と挿入して嵌合する少なくとも1つの穴部を有し、
上記誘電体基板の少なくとも1つの凸部を上記別の誘電体基板の少なくとも1つの穴部に挿入して嵌合させることにより、上記誘電体基板を上記別の誘電体基板に連結したことを特徴とする。
またさらに、上記アンテナ装置は、好ましくは、
上記誘電体基板上に形成され、上記アンテナ素子に接続された第1の接続導体と、
上記別の誘電体基板上に形成され、上記微小ループアンテナに接続された第2の接続導体とをさらに備え、
上記誘電体基板と上記別の誘電体基板とを連結したとき、上記第1の接続導体と上記第2の接続導体とを電気的に接続したことを特徴とする。
ここで、好ましくは、上記第1の接続導体は、その一部分であって所定の第1の面積を有し、上記第2の接続導体との接続のための半田付けを行う第1の導体露出部を備え、
上記第2の接続導体は、その一部分であって所定の第2の面積を有し、上記第1の接続導体との接続のための半田付けを行う第2の導体露出部を備えたことを特徴とする。
第2の発明に係る無線通信装置は、上記のアンテナ装置と、
上記アンテナ装置に接続された無線通信回路とを備えたことを特徴とする。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置101の構成を示す斜視図である。
図2は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置102の構成を示す斜視図である。
図3は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置103の構成を示す斜視図である。
図4は、図1のアンテナ装置101に金属板30を近接したときの状態を示す斜視図である。
図5は、図1のアンテナ装置101の等価回路を示す回路図である。
図6は、図4の状態で実行した実験のために用いる実験システムを示す正面図である。
図7は、図6の実験結果であって、金属板30からアンテナ装置101までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
図8は、図6の実験のために用いる第2の比較例に係るアンテナ装置192の構成を示す平面図である。
図9は、図6の実験のために用いる第2の実施形態に係るアンテナ装置102の構成を示す平面図である。
図10は、図6の実験のために用いる第1の比較例に係るアンテナ装置191の構成を示す平面図である。
図11は、図6の実験のために用いる第1の実施形態に係るアンテナ装置101の構成を示す平面図である。
図12は、図8乃至図11の各アンテナ装置について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
図13は、図11のアンテナ装置101について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
図14は、図9のアンテナ装置102について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
図15は、図10のアンテナ装置191について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
図16は、図8のアンテナ装置192について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
図17は、図8乃至図11の各アンテナ装置について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対する各アンテナ装置の給電点Qにおける入力電圧定在波比(入力VSWR)を示すグラフである。
図18は、図1のアンテナ装置101について図6の実験を行ったときの実験結果であって、ループアンテナA3の巻き回数Nをパラメータとしたときの、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
図19は、図1のアンテナ装置101において巻き回数N=1.5のときの動作を示すための概略正面図である。
図20は、図19の動作における見かけ上の動作状態を示す概略正面図である。
図21は、図1のアンテナ装置101において巻き回数N=2のときの動作を示すための概略正面図である。
図22は、図21の動作における見かけ上の動作状態を示す概略正面図である。
図23は、図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させたときの効果を示す、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
図24は、図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させたときにおける、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
図25は、図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させないとき、すなわち図1のアンテナ装置101における、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
図26は、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置104の構成を示す斜視図である。
図27は、本発明の第5の実施形態に係るアンテナ装置105の構成を示す斜視図である。
図28は、本発明の第5の実施形態の変形例に係るアンテナ装置105Aの構成を示す斜視図である。
図29は、本発明の第6の実施形態に係るアンテナ装置106の構成を示す斜視図である。
図30は、本発明の第7の実施形態に係るアンテナ装置107の構成を示す斜視図である。
図31は、本発明の第8の実施形態に係るアンテナ装置108の構成を示す斜視図である。
図32は、図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1の中央位置Q0に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。
図33は、図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1の給電点Q側端部Q1に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。
図34は、図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1のループアンテナA3側端部Q2に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。
図35は、本発明の第4の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置104Aの構成を示す斜視図である。
図36は、本発明の第4の実施形態の第2の変形例に係るアンテナ装置104Bの構成を示す斜視図である。
図37は、本発明の第9の実施形態に係るアンテナ装置109の構成を示す斜視図である。
図38は、本発明の第10の実施形態に係るアンテナ装置110の構成を示す斜視図である。
図39は、本発明の第11の実施形態に係るアンテナ装置111の構成を示す斜視図である。
図40は、本発明の第12の実施形態に係るアンテナ装置112の構成を示す斜視図である。
図41は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第1の実施例51−1の電気回路を示す回路図である。
図42は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第2の実施例51−2の電気回路を示す回路図である。
図43は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第3の実施例51−3の電気回路を示す回路図である。
図44は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第4の実施例51−4の電気回路を示す回路図である。
図45は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第1の実施例52−1の電気回路を示す回路図である。
図46は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第2の実施例52−2の電気回路を示す回路図である。
図47は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第3の実施例52−3の電気回路を示す回路図である。
図48は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第4の実施例52−4の電気回路を示す回路図である。
図49は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第5の実施例52−5の電気回路を示す回路図である。
図50は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第6の実施例52−6の電気回路を示す回路図である。
図51は、本発明の第13の実施形態に係るアンテナ装置113の構成を示す斜視図である。
図52は、本発明の第14の実施形態に係るアンテナ装置114の構成を示す平面図である。
図53は、本発明の第15の実施形態に係るアンテナ装置115の構成を示す斜視図である。
図54は、図53のアンテナ装置115の裏側の構造を示す斜視図である。
図55は、図54の基板嵌合連結部の詳細を示す斜視図である。
図56は、本発明の第16の実施形態に係るアンテナ装置116の構成を示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、同様のものについては同一の符号を付し、詳細説明を省略する。
第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置101の構成を示す斜視図である。図1において、第1の実施形態に係るアンテナ装置101は、実質的に直線状であって互いに実質的に平行に配置される2本のアンテナ素子A1,A2と、これらアンテナ素子A1,A2の間に挿入接続されかつアンテナ素子A1,A2に対して垂直な方向で設けられ、巻き回数N=1.5を有する矩形の微小ループアンテナA3と、アンテナ素子A1と給電点Qとの間に挿入接続されたキャパシタC1とを備えて構成されたことを特徴としている。
図1において、裏面全面に接地導体11が形成されてなる誘電体基板10の長手方向の左上側縁端部に給電点Qが設けられ、給電点Qは、微小ループアンテナのインダクタンスとともに直列共振回路を構成するキャパシタC1を介してアンテナ素子A1の一端に接続される。アンテナ素子A1の他端は微小ループアンテナA3を介してアンテナ素子A2の一端に接続され、アンテナ素子A2の他端は、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに充填されたスルーホール導体13を介して接地導体11に接続されて接地される。また、給電点Qは、インピーダンス整合用キャパシタC2及びスルーホール導体12を介して接地導体11に接続されて接地されるとともに、給電点Qは、誘電体基板10上に形成された、例えばマイクロストリップ線路などの給電ケーブル25を介して、誘電体基板10上に形成された無線通信回路20のサーキュレータ23に接続される。ここで、インピーダンス整合用キャパシタC2は、給電点Qにおいてアンテナ装置101を見たときの入力インピーダンスを、給電ケーブル25の特性インピーダンスに整合させるために用いられる。また、スルーホール導体12はスルーホール導体13と同様に、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに充填された導体である。なお、図1に示すように、誘電体基板10の面に対して垂直な方向をX方向とし、誘電体基板10の長手方向であって、誘電体基板10からアンテナ装置101に向う方向をZ方向とし、上記X方向及びZ方向に対して垂直な方向であって、誘電体基板10の幅方向をY方向としている。
なお、誘電体基板10として、ガラスエポキシ基板、テフロン(登録商標)基板、フェノール基板、多層基板などを用いることができる。
図1のアンテナ装置101において、直線状の導線にてなるアンテナ素子A1,A2はそれぞれ長さHを有し、互いに平行であってZ方向に延在するように配置される。また、微小ループアンテナA3は、そのループの軸方向がZ方向と平行であって、微小ループアンテナA3のループ平面がアンテナ素子A1,A2や誘電体基板10の面に対して垂直となるように配置されている。また、微小ループアンテナA3は、巻き回数N=1.5を有しかつ幅w及び高さhを有する矩形形状を有し、これにより所定の全長長さL(=3w+4h)を有する。ここで、全長長さLは、後述する無線通信回路20で使用する無線信号の周波数の波長λに対して、0.01λ以上であって、0.5λ以下、好ましくは0.2λ以下、より好ましくは0.1λ以下に設定され、これにより、微小ループアンテナA3を構成する。なお、微小ループアンテナA3の外径寸法(矩形の一辺の長さ又は円形の直径)は、0.01λ以上であって、0.2λ以下、好ましくは0.1λ以下、より好ましくは0.03λ以下に設定される。
さらに、無線通信回路20において、アンテナ装置101により受信された無線信号は給電点Qを介してサーキュレータ23に入力された後、無線受信回路21に入力され、高周波増幅、周波数変換及び復調などの処理が施され、音声信号、映像信号又はデータ信号などのデータが取り出される。コントローラ24は無線受信回路21及び無線送信回路22の動作を制御する。無線送信回路22は、送信すべき音声信号、映像信号又はデータ信号などのデータに従って、無線搬送波を変調し、変調された無線搬送波を電力増幅した後、サーキュレータ23及び給電点Qを介してアンテナ装置101に出力し、当該無線信号をアンテナ装置101から放射させる。また、コントローラ24は図示しないインターフェース回路を介して所定の外部装置に接続され、外部装置からのデータを含む無線信号をアンテナ装置101により放射する一方、アンテナ装置101により受信された無線信号に含まれるデータを外部装置に出力する。
以上のように構成されたアンテナ装置101においては、
(a)接地導体11を有する誘電体基板10と、
(b)図4乃至図7などを参照して詳細後述するように、接地導体11と電磁的な結合が生じるように(すなわち、微小ループアンテナA3に高周波信号を流したときに微小ループアンテナA3のコイルにより誘起される電磁界が接地導体11に対して実質的に印加されるように)誘電体基板10と電磁的に近接して設けられ、図4の金属板30がアンテナ装置101に近接したときに、金属板30と垂直な方向に平行な指向特性の主ビームを有する磁流アンテナとして動作する一方、金属板30がアンテナ装置101から離隔したときに電流アンテナとして動作する微小ループアンテナA3と、
(c)アンテナ素子A1,A2の導線の長手方向に対して垂直な方向に指向特性の主ビームを有する電流アンテナ(いわゆる伝送線路アンテナともいう。)として動作する2本のアンテナ素子A1,A2とを備え、
(d)アンテナ素子A1の一端は給電点Qを介して無線通信回路20に接続され、アンテナ素子A2の一端は接続導体11に接続されて接地され、これにより、アンテナ装置101は不平衡型アンテナとなる。
このようにアンテナ装置101を構成することにより、従来技術の微小ループアンテナに比較して、垂直偏波(図4に示すように誘電体基板10を地面に対して垂直となるように立設したときのZ方向の偏波をいい、以下、同様である。)と水平偏波(図4に示すように誘電体基板10を地面に対して垂直となるように立設したときのY方向の偏波をいい、以下同様である。)との合成指向特性において、高いアンテナ利得を得ることができる。特に、図4を参照して後述する金属板30がアンテナ装置101に近接する場合に限らず、金属板30から離隔される場合であっても非常に高いアンテナ利得を得ることができる。
以上のように構成されたアンテナ装置101は、誘電体基板10上の無線通信回路20とともに所定の筐体に収容され、無線通信装置を構成する。当該構成については、以下の実施形態においても同様である。
以上の第1の実施形態において、2本のアンテナ素子A1,A2を用いているが、本発明はこれに限らず、少なくとも1本のアンテナ素子A1又はA2を備えればよい。また、微小ループアンテナA3は矩形形状であるが、本発明はこれに限らず、円形状、楕円形状又は多角形など他の形状であってもよい。ここで、微小ループアンテナA3のループは、螺旋コイル形状であってもよいし、渦巻きコイル形状であってもよい。さらに、微小ループアンテナA3の巻き回数Nは1.5に限らず、詳細後述するように、他の巻き回数Nであってもよい。また、キャパシタC1を用いているが、本発明はこれに限らず、キャパシタC1を用いず、アンテナ装置101を構成してもよい。さらに、インピーダンス整合用キャパシタC2を用いているが、本発明はこれに限らず、これに代えてインピーダンス整合用インダクタ、もしくはキャパシタとインダクタの組み合わせ回路であるインピーダンス整合回路を用いてもよいし、インピーダンス整合回路が不要であるときは設けなくてもよい。以上の変形例は、以下に示す実施形態やその変形例に対しても適用できる。
次いで、アンテナ装置101のキャパシタC1の容量値の決定方法について以下に説明する。
図1のアンテナ装置101において、無線送信回路22又は給電点Qに対して、キャパシタC1と、微小ループアンテナA3のインダクタンスが直列に接続され、当該インダクタンスのリアクタンスをほぼ打ち消すようにキャパシタC1が設定されている。また、微小ループアンテナA3の他端は接地導体11に接続されている。ここで、微小ループアンテナA3のインダクタンスを大きくし、すなわち、そのリアクタンスを大きくし、キャパシタC1の容量を小さくし、すなわちそのリアクタンスを大きく設定しているため、微小ループアンテナA3のインダクタンスと、キャパシタC1との接続点で大きな高周波電圧振幅が発生する。ここで、当該接続点で大きな高周波電圧振幅が発生する理由は、一般にLC共振回路の共振時のインピーダンスZは、Z=L/(R・C)=QωL(ここで、R=Rl+Rc;Rlは放射抵抗であり、Rcは損失抵抗であり、Qは品質係数(Quality Factor)である。)で表され、当該LC共振回路に同一の電力を供給したときに、インダクタンスLに比例して電圧振幅が大きくなり、また、インダクタンスLを大きくしかつキャパシタンスCを小さくすることにより共振インピーダンスが大きくなる。なお、微小ループアンテナA3のインダクタンスは自由空間に対して電界及び磁界で結合しており、自由空間に対して放射抵抗を持っている。そのため、前記接続点で大きな高周波電圧振幅が発生すると、自由空間への放射エネルギーが大きくなり良好なアンテナ利得を得ることができる。
本発明者が試作したある実施例では、429MHz帯のアンテナ装置101として動作し、キャパシタC1の容量は1pFであるので、そのインピーダンスZの絶対値|Z|は371Ωと大きくなっている。概略キャパシタC1のインピーダンスの絶対値|Z|を200Ω以上に設定することにより、高いアンテナ利得を得ることができる。そして、キャパシタC1の容量を決定すると、共振周波数の条件より、微小ループアンテナA3の大きさをほぼ一義的に決定することができる。
なお、キャパシタC1の容量を上記の実施例よりも小さく設計することにより、インピーダンスの絶対値|Z|を非常に大きな値とすることが可能であるが、実際のアンテナ装置101では寄生容量の影響などにより、安定して同一の共振周波数を得ることが困難となってくる。概略、インピーダンスの絶対値|Z|の範囲として200Ω〜2000Ω程度が容易に実現可能と想定されるが、上記範囲を超えて設定しても構わない。また、キャパシタC1のインピーダンスの絶対値|Z|をより大きくすればアンテナ利得が向上するのは、対応する微小ループアンテナA3のインダクタンス値を大きくできるからである。
以上のように構成された第1の実施形態に係るアンテナ装置101は、2本のアンテナ素子A1,A2と、微小ループアンテナA3とを備えて構成されるので、構造がきわめて簡単であり、小型・軽量で製造でき、かつ製造コストが安価である。
第2の実施形態
図2は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置102の構成を示す斜視図である。図2において、第2の実施形態に係るアンテナ装置102は、第1の実施形態に係るアンテナ装置101に比較して、微小ループアンテナA3のループ軸方向をX方向と平行とし、すなわち、微小ループアンテナA3のループ平面を、2本のアンテナ素子A1,A2と実質的に同一の平面に配置したことを特徴としている。以上のように構成されたアンテナ装置102において、微小ループアンテナA3のループ軸方向はX方向と平行となり、詳細後述するように、特に、金属板30を離隔した場合において、微小ループアンテナA3が電流アンテナとして有効的に動作して垂直偏波のアンテナ利得を増大させる(図14参照)。
第3の実施形態
図3は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置103の構成を示す斜視図である。図3において、第3の実施形態に係るアンテナ装置103は、第1の実施形態に係るアンテナ装置101に比較して、微小ループアンテナA3のループ軸方向を、微小ループアンテナA3と各アンテナ素子A1,A2との接続点間の軸を中心として、Z方向から所定の傾斜角θ(0<θ<90°)だけ傾斜するように、微小ループアンテナA3を配置したことを特徴としている。以上のように構成されたアンテナ装置103において、アンテナ装置101と、アンテナ装置102との組み合わせとして動作し、アンテナ装置101の動作特徴と、アンテナ装置102の動作特徴とを有する。従って、これらのアンテナ装置101,102の欠点を補完した指向特性を得ることができ、総合的な垂直偏波及び垂直偏波のアンテナ利得を増大できる。
実施形態に係るアンテナ装置の実験とその実験結果
図4は、図1のアンテナ装置101に金属板30を近接したときの状態を示す斜視図である。図4において、誘電体基板10を地面に対して垂直となるように立設し、誘電体基板10の裏面に形成された接地導体11が金属板30と対向するように誘電体基板10を配置している。ここで、接地導体11と、金属板30との間の距離をDとしている。ここで、アンテナ装置101が金属板30から離れているときは、微小ループアンテナA3のコイル部によりトップローディングされたモノポールアンテナと類似の電流型動作となり、接地導体11に電流I1が励起されることによりX方向への放射の電界偏波面はZ方向のE1となる。一方、金属板30が誘電体基板10に接近したときは、微小ループアンテナA3のコイル部の磁流Mにより、金属板30の表面に磁流M‘が励起された微小ループアンテナと類似した磁流型動作となり、偏波面はY方向のE2となる。すなわち金属板30の有無により電流型動作と磁流型動作が切り換わる特性を示す。
図5は、図1のアンテナ装置101の等価回路を示す回路図である。図5の等価回路において、アンテナ装置101の入力端である給電点Qと接地導体11との間には、インピーダンス整合用キャパシタC2が接続され、給電点Qは以下の回路素子を介して接地導体11に接続される。
(a)直列共振用のキャパシタC1。
(b)アンテナ素子A1の損失抵抗RCA1
(c)アンテナ素子A1の放射抵抗RrA1
(d)アンテナ素子A1のインダクタンスLA1
(e)微小ループアンテナA3の放射抵抗Rrloop
(f)微小ループアンテナA3の損失抵抗RCloop
(g)誘起電圧e。
(h)微小ループアンテナA3のインダクタンスLloop
(i)アンテナ素子A2のインダクタンスLA2
(j)アンテナ素子A2の放射抵抗RrA2
(k)アンテナ素子A2の損失抵抗RCA2
ここで、アンテナ装置101の全体の放射抵抗R及び損失抵抗Rは次式で表される。
=RrA1+RrA2+Rrloop (1)
=RCA1+RCA2+RCloop (2)
図5のアンテナ装置101において流れる電流をIとすると、放射電力Pと損失電力Pは次式で表される。
=(1/2)I (3)
=(1/2)I (4)
ここで、アンテナ装置101に入力される入力電力Pinは次式で表される。
in=P+P (5)
従って、アンテナ装置101の放射効率ηは次式で表される。
η=P/Pin=R/(R+R) (6)
それ故、以上の式を用いてアンテナ装置101の動作及び特性について解析できる。
図6は、図4の状態で実行した実験のために用いる実験システムを示す正面図である。図6に示すように、誘電体基板10上に形成され外部発振器22Aに接続されたアンテナ装置101を金属板30に距離Dで近接させ又は離隔させ、このときの距離Dを変化させたときに、アンテナ装置101からX方向に1.5mの距離にあり、長手方向がZ方向に平行であるスリーブアンテナ31を用いて、半波長ダイポールを基準利得としたときのX方向のアンテナ利得[dBd]を測定した。ここで、測定周波数は429MHzであり、誘電体基板10の寸法は29×63mmであり、アンテナ素子A1,A2の長さH=10mm、微小ループアンテナA3の高さh=8mm、幅w=29mmである。アンテナ装置101の各素子A1,A2,A3は0.8mmφの銅線を折り曲げて作成し、キャパシタC1の容量は1pFである。
図7は、図6の実験結果であって、金属板30からアンテナ装置101までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図7から明らかなように、金属板30がアンテナ装置101から離れているときは、垂直偏波成分(Z軸方向)が大きく、誘電体基板10の接地導体11に流れる電流I1による放射が支配的となっている。次いで、金属板30がD=4cm以下に接近すると、垂直偏波成分が急激に低下し、代わって水平偏波成分(Y軸方向)が大きくなる。このとき、微小ループアンテナA3のコイル部が磁流アンテナとして動作している。このとき、垂直偏波成分と水平偏波成分を合成した合成特性では、金属板30からの距離Dによる利得変化が小さいことがわかる。従って、アンテナ装置101は、金属板30を近接した場合も離隔した場合も所定のアンテナ利得以上のアンテナ利得を得ることができる。
図8は、図6の実験のために用いる第2の比較例に係るアンテナ装置192の構成を示す平面図である。図8に示すように、第2の比較例に係るアンテナ装置192は、アンテナ素子A1,A2を備えず、誘電体基板10の面に平行な微小ループアンテナA3のみで構成される。なお、誘電体基板10の寸法は19mm×27mmであり、図9乃至図11においても同様である。
図9は、図6の実験のために用いる第2の実施形態に係るアンテナ装置102の構成を示す平面図である。図9に示すように、第2の実施形態に係るアンテナ装置102は、図2と同様に、アンテナ素子A1,A2と、誘電体基板10の面に平行な微小ループアンテナA3とで構成される。
図10は、図6の実験のために用いる第1の比較例に係るアンテナ装置191の構成を示す平面図である。図10に示すように、第1の比較例に係るアンテナ装置191は、アンテナ素子A1,A2を備えず、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3のみで構成される。
図11は、図6の実験のために用いる第1の実施形態に係るアンテナ装置101の構成を示す平面図である。図11に示すように、第1の実施形態に係るアンテナ装置101は、図1と同様に、アンテナ素子A1,A2と、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3とで構成される。
なお、図8乃至図11において、実験に用いるアンテナ装置101,102,191,192の寸法は図示の通りである。
図12は、図8乃至図11の各アンテナ装置について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図12から明らかなように、アンテナ素子A1,A2を備えたアンテナ装置101,102は、アンテナ素子A1,A2を備えないアンテナ装置191,192に比較して、金属板30から離隔しているときに、より大きなアンテナ利得を得ることができる。また、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3を備えたアンテナ装置101,191は、誘電体基板10の面に水平な微小ループアンテナA3を備えたアンテナ装置102,192に比較して、金属板30に近接しているときに、より大きなアンテナ利得を得ることができる。従って、アンテナ素子A1,A2を備えるとともに、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3を備えることにより、金属板30から離隔している場合と、金属板30に近接している場合との両方において、より大きなアンテナ利得を得ることができる。
図13は、図11のアンテナ装置101について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図14は、図9のアンテナ装置102について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図15は、図10のアンテナ装置191について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図16は、図8のアンテナ装置192について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
これらの図13乃至図16は、各アンテナ装置101,102,191,192において、アンテナ利得の偏波成分の変化を示すグラフである。図13乃至図16から明らかなように、アンテナ素子A1,A2を備えたアンテナ装置101,102は、アンテナ素子A1,A2を備えないアンテナ装置191,192に比較して、金属板30から離隔しているときに、垂直偏波成分が増大することにより、より大きなアンテナ利得を得ることができる。また、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3を備えたアンテナ装置101,191は、誘電体基板10の面に水平な微小ループアンテナA3を備えたアンテナ装置102,192に比較して、金属板30に近接しているときに、水平偏波成分が増大することにより、より大きなアンテナ利得を得ることができる。
次いで、微小ループアンテナA3のコイル軸方向について以下に説明する。微小ループアンテナA3のコイル軸方向は、図1に示すように、誘電体基板10の長手方向と平行となるように設定することが好ましい。これにより、金属版30が接近したときにも利得低下が小さいという特徴がある。また、微小ループアンテナA3のコイル軸方向を、図2に示すように、誘電体基板10と直交するように設定してもよく、この場合、アンテナ素子A1,A2により接地導体11から微小ループアンテナA3をより遠くに離すことができるために、アンテナ利得をより大きくすることができる。そして、金属板30が接近していない場合にはむしろ図2のアンテナ装置102の方が図1のアンテナ装置101に比較して大きい利得を得ることができる。また、図2のアンテナ装置102において、大きな主ビームの指向特性を有せず、すなわち、無指向性に近い指向特性を得ることができる。また、図2のアンテナ装置102においては、誘電体基板10に対して垂直であって、微小ループアンテナA3の両端部側に金属板30があるときには、金属板30とは反対方向に電波を放射できる。従って、無線通信装置の前方に接近して金属板30があるときでも利得低下が小さいといえる。
図17は、図8乃至図11の各アンテナ装置について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対する各アンテナ装置の給電点Qにおける入力電圧定在波比(以下、入力VSWRという。)を示すグラフである。図17から明らかなように、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3を備えたアンテナ装置101,191において、金属板30を近接したときの入力VSWRの劣化が小さくなり、さらに、アンテナ素子A1,A2を備えたアンテナ装置101では、その劣化がさらに小さくなる。
図18は、図1のアンテナ装置101について図6の実験を行ったときの実験結果であって、ループアンテナA3の巻き回数Nをパラメータとしたときの、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図18から明らかなように、金属板30を近接したときのアンテナ利得は、巻き回数N=1.5のときが最も大きい。この理由について、アンテナ装置101の動作を示す図19乃至図22を参照して以下に考察する。
図19は、図1のアンテナ装置101において巻き回数N=1.5のときの動作を示すための概略正面図である。図20は、図19の動作における見かけ上の動作状態を示す概略正面図である。図21は、図1のアンテナ装置101において巻き回数N=2のときの動作を示すための概略正面図である。図22は、図21の動作における見かけ上の動作状態を示す概略正面図である。
図19においては、微小ループアンテナA3の1.5回巻きコイルに流れる水平方向の高周波電流I11,I12,I13を示している。ここで、電流I12と電流I13は向きが逆でほぼ同じ大きさであり打ち消しあうため、微小ループアンテナA3は、見かけ上、図20に示すような電流I11と磁流の鏡像A3’による見かけ上の電流I11’からなる大きなループを持った磁流アンテナとして動作する。一方、微小ループアンテナA3のコイルを2回巻きとした場合は、図21に示すように、電流I11と電流I13、電流I12と電流I14が互いに打ち消しあうために、図22に示すように見かけ上の電流I11が小さくなりアンテナ利得は大幅に低下する。このように、微小ループアンテナA3のコイルの巻き回数Nを概略1.5回巻きとすることにより、より高いアンテナ利得と小型化を両立することができる。
なお、実施形態では、微小ループアンテナA3の巻き回数Nを概略1.5回巻きとしたが、正確に1.5回巻きでなくともよい。具体的には、1.2回巻き〜1.8回巻きの範囲であれば比較的大きなアンテナ利得を得ることができる。また、微小ループアンテナA3の巻き回数Nを概略0.5回巻き又は概略2.5回巻きなどとしても良好な特性を得られる。特に、概略2.5回巻きでは、概略1.5回巻きに比べてさらにアンテナの小型化を図ることができる。そして、微小ループアンテナA3の巻き回数Nについて、概略N=(n−1)+0.5(ここで、nは自然数である。)とすることにより、大きなアンテナ利得を得ることができる。具体的には、概略0.5回巻き、概略1.5回巻き、概略2.5回巻き、概略3.5回巻き、概略4.5回巻きなどに設定してもよい。
図23は、図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させたとき(この状態でのアンテナ装置を101Gとし、図23において101Gで示す。)の効果を示す、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図24は、図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させたときにおける、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図25は、図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させないとき、すなわち図1のアンテナ装置101における、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
ここで、図23乃至図25の実験は、後述する図30のアンテナ装置107において、アンテナ素子A2のストリップ導体の幅を、誘電体基板10の幅の約半分まで増大させて行った。この状態でのアンテナ装置101Gでは、右側のアンテナ素子A2をほとんど接地導体の状態にしており、アンテナ素子A2を無くしたことに等価であると考えられる。すなわち、図23から明らかなように、アンテナ素子A2を有するアンテナ装置101のアンテナ利得は、アンテナ素子A2を有しない比較例のアンテナ装置101Gのアンテナ利得に比較して非常に高い。
以上説明したように、第1の実施形態に係るアンテナ装置101によれば、金属板30からの距離Dを小さくすると、電流型動作から磁流型動作に切り替わることで、常に良好な放射利得が得られる。本発明者らは、当該アンテナ装置101を適用した無線通信装置の無線モジュールを白物家庭電化製品各機器に内蔵して、特性評価した結果、指向特性測定における最大アンテナ利得として、冷蔵庫において−10dBd、エアコンディショナーにおいて−11dBdの良好なアンテナ利得が得られた。
さらに、微小ループアンテナA3のコイルの大きさ及び巻き回数Nと、アンテナ素子A1,A2の長さとの関係について以下に説明する。これらの関係を適切に調整することにより金属板30の有無によってほとんど入力VSWRが変化しないようになり、これらの関係のバランスがとれる。本発明者らの実験によれば、これは金属板30の接近によりアンテナ素子A1,A2のインダクタンスは減少するが、微小ループアンテナA3のコイルのインダクタンスは増加するためであると考えられる。その根拠としては、微小ループアンテナA3の巻き回数Nが少ない(N=0.5又は1)場合は、金属板30の接近により共振周波数が高い方に変化するのに対して、巻き回数Nが多い(1.5回又は2回)場合は低い方に変化することを測定している。
第4の実施形態
図26は、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置104の構成を示す斜視図である。図26において、第4の実施形態に係るアンテナ装置104は、図1の第1の実施形態に係るアンテナ装置101に比較して以下の点が異なる。
(1)アンテナ素子A1,A2をそれぞれ誘電体基板10上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、アンテナ素子A1,A2が形成されている誘電体基板10の奥側縁端部の裏面において接地導体11は形成されていない。
(2)誘電体基板10の長手方向の奥側縁端部において、誘電体基板10と垂直であって誘電体基板10と実質的に同一の幅を有する誘電体基板14を、例えば接着剤による貼り付けなどにより立設した。
(3)微小ループアンテナA3を上記誘電体基板14上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、微小ループアンテナA3の接地側近傍の端部において、誘電体基板14を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体15を形成し、微小ループアンテナA3の接地側近傍の端部はスルーホール導体15を介して、誘電体基板14の裏面に形成されたストリップ導体15sを介してアンテナ素子A2に接続される。
(4)キャパシタC1は、給電点Q近傍ではなく、好ましくは、図26に示すように、アンテナ素子A1の概略中央点に接続される。なお、作用効果については図32乃至図34を参照して詳細後述する。
ここで、誘電体基板10,14としては、例えば、ガラスエポキシ基板、テフロン(登録商標)基板、セラミック基板、紙フェノール基板、多層基板など任意の基板を用いることができる。
本実施形態では、ストリップ導体を用いてアンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3を形成しているので、プリント配線法を用いて高い寸法精度で製作することが可能である。一般的なガラスエポキシ基板上の銅箔のストリップ導体では、量産時のストリップ導体幅のばらつきとして±30μm以内程度が得られる。そのため、ストリップ導体を用いたアンテナ装置のインピーダンスのばらつきを小さくすることができる。また、キャパシタC1は例えばチップコンデンサで構成でき、これも高精度品が市販されている。例えば、容量が数pFの高精度品では容量誤差±0.1pFとなっている。
従って、アンテナ装置104のこれらストリップ導体と、チップコンデンサのキャパシタC1を用いることにより、アンテナ装置104の共振周波数のばらつきを抑えることができる。また、無線通信回路20を実装するプリント配線基板である誘電体基板10上にアンテナ構造を組み込めるため、組立て箇所がほとんど無く寸法精度を上げることができる。そして、アンテナ装置104の共振周波数のばらつきが小さいので、製造時の共振周波数の調整行程を省略することができる。また、アンテナ装置104として、誘電体基板10,14以外の構造物が不要なため装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
また、比較的幅の広い(例えば、ストリップ導体幅0.5〜2mm程度)銅箔のストリップ導体は、高周波抵抗が小さく、微小ループアンテナA3のコイルのQ値として100前後あるいはそれ以上を得ることができる。また、キャパシタC1のチップコンデンサでは、容量0.5〜10pF程度のものでQ値が100以上のものを容易に入手可能である。そのため、損失が小さく、高い利得のアンテナ装置104を実現できる。また、このアンテナ装置104では、プリント配線基板である誘電体基板14上に、微小ループアンテナA3のストリップ導体を形成したために、これに実装するキャパシタC1の挿入位置に自由度があるという利点がある。
以上の実施形態においては、微小ループアンテナA3のストリップ導体を誘電体基板14上に形成しているが、本発明はこれに限らず、例えば図1に示すように、微小ループアンテナA3のコイル状の導線を用いてもよい。
第5の実施形態
図27は、本発明の第5の実施形態に係るアンテナ装置105の構成を示す斜視図である。図27において、第5の実施形態に係るアンテナ装置105は、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、以下の点が異なる。
(1)アンテナ素子A1,A2が形成されている誘電体基板10の奥側縁端部の裏面において、接地導体11とは、誘電体基板10の長手方向の所定の間隔dをおいて、接続導体11と電気的に絶縁されるように、浮遊導体11Aが形成される。ここで、浮遊導体11Aは、アンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3とは電磁的に結合するように近接して形成されている。
(2)接地導体11と浮遊導体11Aとの間に、例えば機械的な接点スイッチであるスイッチSW1が接続される。
以上のように構成されたアンテナ素子105において、スイッチSW1をオン又はオフに切り換えることにより、アンテナ素子A1,A2の誘電体基板10を介した接地状態を変化させている。すなわち、スイッチSW1がオフのときには、浮遊導体11Aが接地されておらず、接地電位から電気的に浮いている状態であるため、アンテナ装置105を構成する微小ループアンテナA3のストリップ導体及びアンテナ素子A1,A2のストリップ導体の電位変化に与える影響は小さい。このとき、図7において垂直偏波成分として示す特性に近いアンテナ利得特性となる。一方、スイッチSW1がオンのときは、浮遊導体11AがスイッチSW1を介して接地導体11に接続されて接地されるために、図7において、誘電体基板10の裏面側に金属板30が接近した場合に相当する水平偏波成分に近いアンテナ利得特性となる。すなわち、スイッチSW1のオン・オフによりアンテナ装置105の放射方向の指向特性及び偏波面の方向を切り換えることができる。特に、偏波面はほぼ90度変化し、これにより、ダイバーシチ効果を得ることができ、無線通信回路20の通信性能を大幅に改善することができる。
以上の第5の実施形態に係るアンテナ装置105において、浮遊導体11Aはアンテナ素子A1,A2のうちの一部のみに近接して形成してもよい。また、浮遊導体11Aを、多層基板にてなる誘電体基板10内の内層面に形成してもよい。さらに、アンテナ装置105を構成するアンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3を誘電体基板10,14上のストリップ導体ではなく、導線で形成してもよい。
図28は、本発明の第5の実施形態の変形例に係るアンテナ装置105Aの構成を示す斜視図である。図28において、第5の実施形態の変形例に係るアンテナ装置105Aは、第5の実施形態に係るアンテナ装置105に比較して以下の点が異なる。
(1)スイッチSW1を、高周波半導体ダイオードD1で構成した。
(2)高周波半導体ダイオードD1の両端はそれぞれ、高周波阻止用インダクタ41,42を介してスイッチコントローラ40に接続される。
ここで、スイッチコントローラ40は、高周波半導体ダイオードD1をオン及びオフにそれぞれ切り換えるための所定の2つの逆バイアス電圧を高周波半導体ダイオードD1に印加し、これにより、アンテナ装置105の放射方向の指向特性及び偏波面の方向を切り換えることができる。本実施形態によれば、アンテナ装置105Aを非常に簡単な構造で構成でき、小型・軽量であり製造コストを安価にできる。
第6の実施形態
図29は、本発明の第6の実施形態に係るアンテナ装置106の構成を示す斜視図である。図29において、第6の実施形態に係るアンテナ装置106は、第5の実施形態に係るアンテナ装置105に比較して以下の点が異なる。
(1)誘電体基板10の左側側面のアンテナ素子A1近傍の奥側であって、誘電体基板10,14とは直交するように、浮遊導体30Aを形成してなる誘電体基板14bを、誘電体基板10の左側側面に貼付して設ける。ここで、浮遊導体30Aは、アンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3とは電磁的に結合するように近接して形成されている。
(2)浮遊導体30Aは、例えば、機械的な接点スイッチ又は高周波半導体ダイオードにてなるスイッチSW2を介して接地導体11などに接続されて接地される。
本実施形態によれば、2つの浮遊導体11A,30Aが設けられ、各浮遊導体11A,30のうち少なくとも1つを接地するように、スイッチSW1,SW2をそれぞれオン・オフすることにより、送受信される無線信号の電波の指向特性や偏波面を切り換えることができる。例えば、スイッチSW1をオンすることにより、図7の金属板30の近接時に示すようにY方向の水平偏波成分が支配的になり、金属板30の離隔時において水平偏波成分(Y方向)のX方向への放射が支配的になる。また、スイッチSW2をオンすることにより、接地導体となる浮遊導体30Aが反射板となり、水平偏波成分(X方向)のY方向への放射が増大することになる。従って、金属板30の離隔時においては、2つの浮遊導体11A,30Aは互いに直交しているので、主ビーム方向を90度程度変化させることが可能である。
以上の実施形態において、浮遊導体11AとスイッチSW1との第1の組の回路と、浮遊導体30AとスイッチSW2との第2の組の回路とをともに備えているが、本発明はこれに限らず、少なくとも一方の組の回路を備えてもよい。
第7の実施形態
図30は、本発明の第7の実施形態に係るアンテナ装置107の構成を示す斜視図である。図30において、第7の実施形態に係るアンテナ装置107は、図2の第2の実施形態に係るアンテナ装置102に比較して以下の点が異なる。
(1)アンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3をそれぞれ誘電体基板10上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、これらアンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3が形成されている誘電体基板10の奥側縁端部の裏面において接地導体11は形成されていない。
(2)微小ループアンテナA3の接地側近傍の端部において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体16を形成し、微小ループアンテナA3の接地側近傍の端部はスルーホール導体16を介して、誘電体基板10の裏面に形成されたストリップ導体16sに接続される。スルーホール導体16近傍であって、スルーホール導体16から微小ループアンテナA3のストリップ導体を挟設した位置において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体17を形成し、ストリップ導体16sは当該スルーホール導体17を介してアンテナ素子A2のストリップ導体の一端に接続される。
(3)キャパシタC1を、アンテナ素子A1の実質的な中央点Q0に接続していており、その作用効果については、図32乃至図34を参照して詳細後述する。
本実施形態では、ストリップ導体を用いてアンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3を形成しているので、プリント配線法を用いて高い寸法精度で製作することが可能であり、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104と同様の効果を有するが、アンテナ装置としての基本動作は図2の第2の実施形態に係るアンテナ装置102と同様である。
第8の実施形態
図31は、本発明の第8の実施形態に係るアンテナ装置108の構成を示す斜視図である。図31において、第8の実施形態に係るアンテナ装置108は、図1の第1の実施形態に係るアンテナ装置101に比較して、キャパシタC1をアンテナ素子A1の実質的な中央点Q0に接続したことを特徴としている。以下において、キャパシタC1のアンテナ素子A1上の最適な挿入位置について説明する。
図32は、図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1の中央位置Q0に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。図33は、図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1の給電点Q側端部Q1に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。図34は、図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1のループアンテナA3側端部Q2に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。
図32から明らかなように、キャパシタC1をアンテナ素子A1の中央点Q0に接続したときに、金属板30が離れているときは、アンテナ素子08はモノポールアンテナに類似した放射特性を有し、金属板30が接近すると一般的な磁流アンテナのループアンテナに類似した放射特性を有するため、金属板30の距離Dに依らず良好なアンテナ利得特性を得ることができる。また、図33に示すように、キャパシタC1を給電点Q近傍に接続したときは、水平偏波成分が比較的小さくなるため、特に金属板30が接近したときにアンテナ利得の低下が生じてしまう。さらに、図34に示すように、キャパシタC1を微小ループアンテナA3側の一端に接続したときは、垂直偏波成分が比較的小さくなり、金属板30から離れているときアンテナ利得の低下が生じてしまう。従って、キャパシタC1をアンテナ素子A1の実質的な中央点Q0付近に挿入接続することにより、金属板30の位置に依らず常に良好なアンテナ利得を保持することができる。
以上の実施形態においては、キャパシタC1をアンテナ素子A1の中央点Q0、その両端部Q1,Q2に挿入接続しているが、本発明はこれに限らず、アンテナ素子A1の任意の途中の位置に挿入してもよい。また、キャパシタC1を、アンテナ素子A2又は微小ループアンテナA3の任意の位置に挿入接続してもよい。さらに、キャパシタC1を複数のキャパシタで分散し、分散した複数のキャパシタを、アンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3のうちの少なくとも1つの任意の複数の位置に分散して挿入接続してもよい。
第4の実施形態の変形例
図35は、本発明の第4の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置104Aの構成を示す斜視図である。図35において、第4の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置104Aは、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、図26のキャパシタC1に代えて、直列に接続した2個のキャパシタC1−1,C1−2をアンテナ素子A1に接続したことを特徴としている。これにより、以下に示すように、アンテナ装置104Aの共振周波数の製造ばらつきを小さくすることができる。
本実施形態に係るアンテナ装置104Aでは、例えば1pFである比較的小さな容量のキャパシタC1−1,C1−2を用いている。容量が0.5pF〜10pFである市販の高精度セラミック積層チップコンデンサでは、容量誤差が割合ではなく絶対値で規定されている。例えば1pFのコンデンサでは、±0.1pFの誤差を持っている。これは容量ばらつきが±10%に相当する。ここで容量が10%ばらつくとアンテナ装置104Aの共振周波数は、±4.9%ばらつく。本実施形態に係るアンテナ装置104Aで、VSWR<2が得られる比帯域幅は10%程度であるため、製造余裕がほとんどなくなってしまう。そこで、本実施形態では、例えば2pFのキャパシタC1−1,C1−2を2個直列に接続して合成容量1pFを得ている。2pFのキャパシタC1−1,C1−2の容量誤差は±0.1pFであるため、合成容量の誤差は±5%となり、共振周波数は±2.5%のばらつきに抑えられる。これにより製造時に共振周波数の調整を行わなくても製品歩留まりを向上することができる。
以上の実施形態においては、2個のキャパシタC1−1,C1−2を直接に接続しているが、本発明はこれに限らず、複数個のキャパシタを直列に接続してもよい。
図36は、本発明の第4の実施形態の第2の変形例に係るアンテナ装置104Bの構成を示す斜視図である。図36において、第4の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置104Bは、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、図26のキャパシタC1に代えて、直列に接続した2個のキャパシタC1−1,C1−2と、直列に接続した2個のキャパシタC1−3,C1−4とを並列に接続し、この並列素子回路をアンテナ素子A1に接続したことを特徴としている。これにより、以下に示すように、アンテナ装置104Bの共振周波数の製造ばらつきを小さくし、キャパシタによる高周波信号の損失を低減することができる。
2つのキャパシタを直列に接続した場合、キャパシタ部品の高周波抵抗成分が直列に接続された形となるため、損失が増大しアンテナ利得が低下する場合がある。そこで、本実施形態では、例えば1pFのキャパシタC1−1乃至C1−4を4個用い、2個ずつ直列に接続したものを2組並列に接続する構成をとっている。ここで、仮に各キャパシタC1−1乃至C1−4の高周波抵抗成分を1Ωとすると、キャパシタを2個直列に接続したときの合成抵抗は2Ωであるが、上記のようにキャパシタを4個接続したときの合成抵抗は1Ωとなる。従って、キャパシタを2個直列に接続したときの半分の損失になる。
次いで、容量誤差について考える。例えば容量2pF±0.1pFのキャパシタを2個直列とすると、容量ばらつきは±5%である。一方、容量1pF±0.1pFのキャパシタを上記のような構成で4個接続すると容量ばらつきは±10%となり2個直列の場合よりも一見悪化しているように思われる。しかしながら、実際には各キャパシタC1−1乃至C1−4のばらつきの分布は中央値を中心とした正規分布に類似した分布を示し、互いに相関がないため、キャパシタを4個で構成したときにはばらつき幅がほぼ±5%以内に収まり、キャパシタ2個で構成した場合とほぼ同じばらつき幅となる。すなわち、キャパシタ4個構成では容量ばらつきを2個構成とほぼ同等に抑えながら、損失成分を半分に抑えることができる。
以上の実施形態においては、キャパシタを2個ずつ直列に接続したものを2組並列に接続しているが、本発明はこれに限らず、キャパシタを複数個直列に接続したものを複数組並列に接続してもよい。
第9の実施形態
図37は、本発明の第9の実施形態に係るアンテナ装置109の構成を示す斜視図である。図37において、第9の実施形態に係るアンテナ装置109は、図30の第7の実施形態に係るアンテナ装置107に比較して、アンテナ素子A2の接地側の一端において周波数切り換え回路51を接続したことを特徴としており、当該周波数切り換え回路51の詳細については、図41乃至図44を参照して詳細後述する。
第10の実施形態
図38は、本発明の第10の実施形態に係るアンテナ装置110の構成を示す斜視図である。図38において、第10の実施形態に係るアンテナ装置110は、図30の第7の実施形態に係るアンテナ装置107に比較して、アンテナ素子A2の接地側の一端及びアンテナ素子A2の実質的な中央点A2mに、周波数切り換え回路52を接続したことを特徴としており、当該周波数切り換え回路52の詳細については、図45乃至図50を参照して詳細後述する。
第11の実施形態
図39は、本発明の第11の実施形態に係るアンテナ装置111の構成を示す斜視図である。図39において、第11の実施形態に係るアンテナ装置111は、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、アンテナ素子A2の接地側の一端において周波数切り換え回路51を接続したことを特徴としており、当該周波数切り換え回路51の詳細については、図41乃至図44を参照して詳細後述する。
第12の実施形態
図40は、本発明の第12の実施形態に係るアンテナ装置112の構成を示す斜視図である。図40において、第12の実施形態に係るアンテナ装置112は、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、アンテナ素子A2の接地側の一端及びアンテナ素子A2の実質的な中央点A2mに、周波数切り換え回路52を接続したことを特徴としており、当該周波数切り換え回路52の詳細については、図45乃至図50を参照して詳細後述する。
周波数切り換え回路の実施例
図41は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第1の実施例51−1の電気回路を示す回路図である。図41において、アンテナ素子A2の接地側の一端は、キャパシタC3を介して接地されるとともに、スイッチSW3を介して接地される。ここで、アンテナ素子A1に接続されるキャパシタC1の容量を例えば約10pFとし、キャパシタC3の容量を例えば約1pFとしたとき、スイッチSW3をオフとしたときのキャパシタC1,C3の合成容量は、キャパシタC3の容量より小さい。そのため、スイッチSW3をオンとしたときに、アンテナ装置の共振周波数が例えば約5%低下させることができる。すなわち、スイッチSW3をオン・オフすることにより、アンテナ装置の共振周波数を選択的に切り換えることができる。
図42は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第2の実施例51−2の電気回路を示す回路図である。図42においては、図41のキャパシタC3に代えてインダクタL1を用いており、図41及び図42のいずれの場合においてもリアクタンス素子を挿入している。本実施例では、スイッチSW3をオンすることによりインダクタL1を短絡することにより、アンテナ装置のインダクタンス値が小さくなり、共振周波数を上げることができる。例えば、インダクタL1のインダクタンス値を、微小ループアンテナA3のインダクタンス値の10%に設定した場合、スイッチSW3の切り替えにより、共振周波数をおよそ5%だけ可変できる。
図43は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第3の実施例51−3の電気回路を示す回路図である。図43においては、図41の回路において、スイッチSW3と並列にインダクタL2を接続したことを特徴としている。ここで、インダクタL2のインダクタンス値は、スイッチSW3がオフのときであって、スイッチSW3を高周波半導体ダイオードで構成したときのその寄生容量を並列共振でキャンセルするように設定することが好ましい。本実施例では、スイッチSW3の寄生容量は例えば約2pFであり、インダクタL2のインダクタンス値として約68nHを用いる。これにより、例えば429MHz帯において、スイッチSW3の寄生容量の影響をキャンセルすることができる。これにより、スイッチSW3がオフのときに、その寄生容量のために共振周波数が設計値よりずれてしまう問題点を解決できる。
図44は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第4の実施例51−4の電気回路を示す回路図である。図44では、図42の回路にインダクタL2を追加したことを特徴としており、上述の第3の実施例51−3と同様の作用効果を有する。
図45は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第1の実施例52−1の電気回路を示す回路図である。図45において、アンテナ素子A2の一端は接地され、アンテナ素子A2の実質的な中央点A2mは、キャパシタC4及びスイッチSW4を介して接地される。ここで、アンテナ素子A2は高周波的なインダクタンス成分を含む。スイッチSW4をオンすると、アンテナ装置の共振周波数が変化するが、キャパシタC4の容量によって周波数変化の方向が異なる。
本発明者らが試作したアンテナ装置では、キャパシタC1の容量を約1pFとし、キャパシタC4の容量を約10pFとした場合、429MHzと426MHzに共振周波数を切り換えている。ここで、スイッチSW4をオンすると共振周波数が高くなる。これは、キャパシタC4によりアンテナ素子A2の中央点A2mが短絡接地された形になり、微小ループアンテナA3のインダクタンス値が実質的に小さくなるためである。
ここで、アンテナ素子A2での接続点A2mの位置及びキャパシタC4の容量値を適当に選択することによりスイッチSW4をオンしたときの共振周波数の変化量を調整することができる。すなわち、アンテナ素子A2での接続点A2mを微小ループアンテナA3から離れた位置(すなわち、接地に近い位置)に配置すると当該アンテナ装置のインダクタンス成分が大きくなり、スイッチSW4をオンしたときの共振周波数変化が大きい。また、キャパシタC4の容量値を大きくすると、スイッチSW4をオンしたときの共振周波数変化が大きい。
図46は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第2の実施例52−2の電気回路を示す回路図である。図46において、図45のキャパシタC4に代えて、インダクタL2を接続したことを特徴としており、図45及び図46のいずれの場合もリアクタンス素子を挿入している。本実施例において、アンテナ素子A2は高周波的なインダクタンス成分を含み、スイッチSW4をオンすると、共振周波数が大きくなる場合を示している。これは、アンテナ素子A2のインダクタンス成分に並列に、インダクタL2が接続されており、スイッチSW4がオフのときの上記インダクタンス成分に比べて、オンしたときのインダクタ成分とインダクタL2との合成インダクタンス値は小さくなるためである。そして、例えば上記インダクタ成分のインダクタンス値に比べて、インダクタL2のインダクタンス値を10倍程度に選べば、共振周波数を少しだけ変化させることが可能になる。
図47は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第3の実施例52−3の電気回路を示す回路図である。図47においては、図45の回路のアンテナ素子A2の接地側一端をキャパシタC5を介して接地したことを特徴としている。本実施例では、スイッチSW4のオフ時の共振周波数は、アンテナ素子A1,A2の各インダクタンス値と、キャパシタC1及びC5の各容量値、並びに微小ループアンテナA3のインダクタンス値により決まるが、スイッチSW4のオン時の共振周波数は、これらに加えてキャパシタC4の容量値で決まる。ここで、スイッチSW4をオン・オフすることにより、アンテナ装置の共振周波数を変化させることができる。
図48は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第4の実施例52−4の電気回路を示す回路図である。図48においては、図46の回路のアンテナ素子A2の接地側一端をインダクタL3を介して接地したことを特徴としており、図47及び図48のいずれの場合もリアクタンス素子を挿入している。本実施例では、スイッチSW4のオフ時の共振周波数は、アンテナ素子A1,A2の各インダクタンス値と、キャパシタC1の容量値、インダクタL3のインダクタンス値、並びに微小ループアンテナA3のインダクタンス値により決まるが、スイッチSW4のオン時の共振周波数は、これらに加えてキャパシタC4の容量値で決まる。ここで、スイッチSW4をオン・オフすることにより、アンテナ装置の共振周波数を変化させることができる。
図49は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第5の実施例52−5の電気回路を示す回路図である。図49においては、図47の回路のスイッチSW4と並列にインダクタL2を接続したことを特徴としている。ここで、インダクタL2のインダクタンス値は、スイッチSW4がオフのときであって、スイッチSW4を高周波半導体ダイオードで構成したときのその寄生容量を並列共振でキャンセルするように設定することが好ましい。本実施例では、スイッチSW4の寄生容量は例えば約2pFであり、インダクタL2のインダクタンス値として約68nHを用いる。これにより、例えば429MHz帯において、スイッチSW4の寄生容量の影響を実質的にキャンセルすることができる。これにより、スイッチSW4がオフのときに、その寄生容量のために共振周波数が設計値よりずれてしまう問題点を解決できる。
図50は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第6の実施例52−6の電気回路を示す回路図である。図50においては、図48の回路のスイッチSW4と並列にインダクタL2を接続したことを特徴としている。これにより、図49の実施例と同様に、スイッチSW4のオフ時の寄生容量の影響を実質的にキャンセルできる。
なお、図45及び図46の回路においても、スイッチSW4に対して並列に、スイッチSW4のオフ時の寄生容量の影響をキャンセルするためのインダクタL2を接続してもよい。
以上の実施形態における周波数切り換え回路51,52を使用する周波数帯域の拡大の目的で用いたが、共振周波数ばらつきが多い場合に、共振周波数を所望の周波数に合わせるための、周波数調整の目的で用いてもよい。
以上の実施形態において、周波数切り換え回路51を、アンテナ素子A2と接地との間に挿入しているが、本発明はこれに限らず、微小ループアンテナA3とアンテナ素子A1,A2の少なくとも1つに接続し、追加挿入したリアクタンス素子を並列に短絡するスイッチSW3を接続すればよい。
以上の実施形態において、周波数切り換え回路52で各リアクタンス素子を接続する点は、アンテナ素子A2の中央点A2m又はアンテナ素子A2の接地側端部であるが、本発明はこれに限らず、微小ループアンテナA3とアンテナ素子A1,A2の少なくとも1つに接続し、追加挿入したリアクタンス素子を接地短絡するスイッチSW4を接続すればよい。
第13の実施形態
図51は、本発明の第13の実施形態に係るアンテナ装置113の構成を示す斜視図である。第13の実施形態に係るアンテナ装置113は、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して以下の点が異なる。
(1)誘電体基板10の左奥側のおもて面上に、プリント配線法を用いて、アンテナ素子A1,A2とは直交するように、それぞれ実質的に直線形状の銅箔のストリップ導体にてなるアンテナ素子A1a,A2aを形成した。なお、アンテナ素子A1a,A2aが形成されている誘電体基板10の左奥側部の裏面において接地導体11は形成されていない。また、アンテナ素子A2aの接地側端部は、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに充填されたスルーホール導体13aを介して接地導体11に接続されて接地される。
(2)誘電体基板10の長手方向の左奥側部において、誘電体基板10及び14に対して垂直であって誘電体基板14と実質的に同一の幅を有する誘電体基板14aを立設した。ここで、誘電体基板14aの幅方向は、誘電体基板10の長手方向と平行である。
(3)微小ループアンテナA3aを上記誘電体基板14a上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、微小ループアンテナA3aの接地側近傍の端部において、誘電体基板14aを厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体15aを形成し、微小ループアンテナA3aの接地側近傍の端部はスルーホール導体15a、並びに、誘電体基板14aの裏面に形成されたストリップ導体15asを介してアンテナ素子A2aに接続される。
(4)キャパシタC1aは、給電点Q近傍ではなく、好ましくは、図51に示すように、アンテナ素子A1aの概略中央点に接続される。
(5)アンテナ素子A1の給電点Q側端部はスイッチSW5の接点a及びスイッチSW6の接点bに接続され、アンテナ素子A1aの給電点Q側端部は、スイッチSW5の接点b及びスイッチSW6の接点aに接続される。スイッチSW5の共通端子は給電点Qに接続され、スイッチSW6の共通端子は接地される。これらスイッチSW5及びSW6は連動して例えば無線通信回路20内のコントローラ24(図1参照)により制御される。
以上のように構成されたアンテナ装置113において、互いにループ軸方向が直交する微小ループアンテナA3及びA3aと、互いに直交するアンテナ素子A1,A2及びA1a,A2aとをそれぞれ有する2つのアンテナ113A、113Bを備えており、コントローラ24(図1参照)により、例えばアンテナ113Aにより受信される無線信号のレベルがアンテナ113Bにより受信される無線信号のレベルよりも大きいとき、スイッチSW5を接点a側に切り換えるとともにスイッチSW6を接点b側に切り換える一方、その逆の場合は、スイッチSW5を接点b側に切り換えるとともに、スイッチSW6を接点a側に切り換える。これにより、より大きな受信レベルを有するアンテナを選択して無線通信回路20に接続し(当該アンテナを使用中のアンテナという。)、かつ無線通信回路20に接続していない未使用のアンテナを接地している。ここで、未使用のアンテナを接地することにより当該未使用のアンテナの影響で使用中のアンテナの動作特性に対して劣化させることを防止できる。
これら2つのアンテナ113A,113Bは互いに直交する指向特性及び偏波特性を有しているので、ルートダイバーシチ効果及び偏波ダイバーシチ効果を得ることができる。例えば、家庭内のように壁等が多い環境においては、マルチパスにより複数の方向より受信があるため指向特性を切り換えることによりルートダイバーシチ効果が得られる。また、金属板30に接近している場合には、互いに直交する偏波特性を有する2つのアンテナ113A,113Bを用いて、偏波ダイバーシチ効果を得ることができる。さらに、金属板30からの距離Dによって指向特性及び偏波面が変化するが、各アンテナ113A,113Bの指向特性や偏波面が互いに直交するように変化するため、ダイバーシチ効果を常に保持することができる。
以上の実施形態においては、2個のアンテナ113A,113Bを備えてアンテナ装置113を構成しているが、複数個の同様のアンテナを備えて、スイッチSW5を用いて選択的に切り換えてもよい。
第14の実施形態
図52は、本発明の第14の実施形態に係るアンテナ装置114の構成を示す平面図である。第14の実施形態に係るアンテナ装置114は、図30の第7の実施形態に係るアンテナ装置107に比較して以下の点が異なる。
(1)誘電体基板10の左側のおもて面上に、プリント配線法を用いて、アンテナ素子A1,A2とは直交するように、それぞれ実質的に直線形状の銅箔のストリップ導体にてなるアンテナ素子A1a,A2aを形成した。なお、アンテナ素子A1a,A2aが形成されている誘電体基板10の左側部の裏面において接地導体11は形成されていない。また、アンテナ素子A2aの接地側端部は、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに充填されたスルーホール導体13aを介して接地導体11に接続されて接地される。
(2)微小ループアンテナA3aを上記誘電体基板10の左側縁端部のおもて面上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、微小ループアンテナA3aの接地側近傍の端部において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体16aを形成し、また、スルーホール導体16aの近傍であって、スルーホール導体16aから微小ループアンテナA4aのストリップ導体を挟設した位置に、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体17aを形成した。ここで、微小ループアンテナA3aの接地側近傍の端部は、スルーホール導体16a、誘電体基板10の裏面に形成されたストリップ導体16as、スルーホール導体17aを介してアンテナ素子A2aに接続される。
(3)キャパシタC1aは、給電点Q近傍ではなく、好ましくは、図52に示すように、アンテナ素子A1aの概略中央点に接続される。
(4)アンテナ素子A1の給電点Q側端部はスイッチSW5の接点aに接続され、アンテナ素子A1aの給電点Q側端部は、スイッチSW5の接点bに接続される。スイッチSW5の共通端子は給電点Qに接続される。
以上のように構成されたアンテナ装置114において、互いにループ軸方向が平行な微小ループアンテナA3及びA3aと、互いに直交するアンテナ素子A1,A2及びA1a,A2aとをそれぞれ有する2つのアンテナ114A、114Bを備えており、例えば無線通信回路20内のコントローラ24(図1参照)により制御されるスイッチSW5により、例えばアンテナ114Aにより受信される無線信号のレベルがアンテナ114Bにより受信される無線信号のレベルよりも大きいとき、スイッチSW5を接点a側に切り換える一方、その逆の場合は、スイッチSW5を接点b側に切り換える。これら2つのアンテナ114A,114Bは互いに異なる指向特性及び偏波特性を有しているので、ルートダイバーシチ効果及び偏波ダイバーシチ効果を得ることができる。
本実施形態においては、特に、誘電体基板10に金属板30が近接した場合にはアンテナ利得が低下するが、1枚の誘電体基板10上に、2つのアンテナ114A,114Bを備えたダイバーシチアンテナを構成できるため、アンテナ装置114を備えた無線通信装置の薄型化、小型化に有利な構成を有する。携帯無線通信装置への適用、もしくは金属板30が対向して配置されない無線通信装置への適用に向いている。
以上の実施形態においては、2個のアンテナ114A,114Bを備えてアンテナ装置114を構成しているが、複数個の同様のアンテナを備えて、スイッチSW5を用いて選択的に切り換えてもよい。
第15の実施形態
図53は、本発明の第15の実施形態に係るアンテナ装置115の構成を示す斜視図である。図54は、図53のアンテナ装置115の裏側の構造を示す斜視図である。図55は、図54の基板嵌合連結部の詳細を示す斜視図である。
第15の実施形態に係るアンテナ装置115は、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、誘電体基板14を誘電体基板10に立設するとき、誘電体基板14の下端面に高さ方向に突出するように形成した凸部61,62をそれぞれ、誘電体基板10の奥側縁端部に形成した穴部71,72に嵌合させる基板嵌合連結部を備えたことを特徴としており、以下これについて詳述する。
図53及び図54において、誘電体基板10の奥側縁端部には、誘電体基板10を厚さ方向に貫通する矩形の穴部71,72が形成される一方、誘電体基板14の下端面には、上記穴部71,72にそれぞれ嵌合する矩形柱形状の凸部61,62が形成される。
ここで、誘電体基板10の穴部71の近傍位置までアンテナ素子A1のストリップ導体が延在して形成され、当該穴部71の近傍位置において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体73を形成し、アンテナ素子A1の端部は当該スルーホール導体73を介して誘電体基板10の裏面の接続導体81に接続される。当該接続導体81は穴部71を間に挟み、誘電体基板10の長手方向での穴部71の両側において形成される。接続導体81において、穴部71を挟むその中央部で所定の面積を有する導体露出部81pのみその導体が露出するように、その他の部分はレジスト(図示せず。)を形成し、各導体露出部81pのみで半田付け可能にしている。
また、誘電体基板10の穴部72の近傍位置までアンテナ素子A2のストリップ導体が延在して形成され、当該穴部72の近傍位置において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体74を形成し、アンテナ素子A1の端部は当該スルーホール導体74を介して誘電体基板10の裏面の接続導体82に接続される。当該接続導体82は穴部72を間に挟み、誘電体基板10の長手方向での穴部72の両側において形成される。接続導体82において、穴部72を挟むその中央部で所定の面積を有する導体露出部82pのみその導体が露出するように、その他の部分はレジスト(図示せず。)を形成し、各導体露出部82pのみで半田付け可能にしている。
一方、誘電体基板14のアンテナ素子A1,A2側の第1の面(なお、第1の面に平行な反対側の面を誘電体基板14の第2の面という。)において、微小ループアンテナA3のストリップ導体15Atが形成され、その一端は、凸部61のアンテナ素子A1,A2側の第1の面(なお、第1の面に平行な反対側の面を凸部61の第2の面という。また、凸部62についても、同様に第1と第2の面を定義する。)に形成された矩形の接続導体63に接続される一方、その他端は、誘電体基板14の厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することにより形成されたスルーホール導体15Aを介して、誘電体基板14の第2の面に形成された微小ループアンテナA3のストリップ導体15Asに接続される。そのストリップ導体15Asの端部は、凸部62の第2の面まで延在した後、当該凸部62の第2の面に形成された接続導体64に接続される。
さらに、矩形の接続導体63は凸部61の第1と第2の面の両方に形成され、これら両方に形成された接続導体63は、当該接続導体63の形成領域において、誘電体基板14を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填して形成されたスルーホール導体63cを介して互いに接続されるとともに、その一部分の中央部で所定の面積を有する導体露出部63pのみその導体が露出するように、その他の部分はレジスト(図示せず。)を形成し、各導体露出部63pのみで半田付け可能にしている。また、矩形の接続導体64は凸部62の第1と第2の面の両方に形成され、これら両方に形成された接続導体64は、当該接続導体64の形成領域において、誘電体基板14を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填して形成されたスルーホール導体64cを介して互いに接続されるとともに、その一部分の中央部で所定の面積を有する導体露出部64pのみその導体が露出するように、その他の部分はレジスト(図示せず。)を形成し、各導体露出部64pのみで半田付け可能にしている。
そして、誘電体基板14の凸部61,62をそれぞれ、誘電体基板10の穴部71,72に嵌合させた後、凸部61,62の導体露出部63p,64pをそれぞれ、誘電体基板10側の導体露出部81p,82pに、例えば半田82ph(図55参照)を用いて半田付けにより電気的に接続する。これにより、誘電体基板10と誘電体基板14とが固定連結される。
なお、誘電体基板10,14としては、例えば、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、セラミック基板、テフロン(登録商標)基板など任意の基板材料を用いてもよい。また、2つの誘電体基板10,14で基板材料を変えてもよい。例えば、誘電体基板10は微細パターンが形成できるガラスエポキシ基板(FR4)を用い、誘電体基板14は安価な紙フェノール基板などを用いることができる。
以上の実施形態においては、誘電体基板10,14は所定の厚さを有し、凸部61,62と、穴部71,72との間の基板嵌合連結部の構造により、互いに強固に固定することができる。また、凸部61,62と穴部71,72は誘電体基板10,14のデュータ加工法又は型抜き加工法で容易に製作することができ、寸法誤差を小さくできる。そして、アンテナ装置115の構成要素をストリップ導体により形成しているので、各電気回路要素値のばらつきを抑えることができるため、アンテナ装置115の共振周波数のばらつきを抑えることができ、製造時の周波数調整工程を省略することができる。
さらに、接続導体63,64,81,82においてそれぞれその中央部において所定の面積を有する導体露出部63p,64p,81p,82pを形成して半田付けしている。ここで、接続導体63,64,81,82において高周波信号を流したとき、表皮効果により各周辺部に、より大きな高周波電流が流れるが、当該各周辺部を導体露出部とせず、半田付けしない領域とすることにより、半田の付着量によるキャパシタンス及びインダクタンスの変化量を極力小さくする抑えることにより、アンテナ装置の共振周波数のばらつきを抑えることができる。
以上の実施形態においては、2つの凸部61,62をそれぞれ、2つの穴部71,72に嵌合させているが、本発明はこれに限らず、少なくとも1つの凸部をそれに対応する少なくとも1つの穴部に嵌合させてもよい。
第16の実施形態
図56は、本発明の第16の実施形態に係るアンテナ装置116の構成を示す斜視図である。第16の実施形態に係るアンテナ装置116は、図53の第15の実施形態に係るアンテナ装置115に比較して、基板嵌合連結構造が以下のように異なることを特徴としている。
図56において、誘電体基板10はその長手方向の端面から長手方向で突出する矩形柱形状の凸部201,202を有する一方、誘電体基板14はその厚さ方向に貫通する矩形の穴部211,212を有する。ここで、凸部201,202の厚さ方向の両面にそれぞれ、矩形の接続導体203,204を形成し、両面の各接続導体203,204はそれぞれスルーホール導体203c,204cにより電気的に接続される。また、両面の各接続導体203,204の端面側の中央部においてそれぞれ、第15の実施形態における導体露出部63p,64p,81p,82pと同様の導体露出部203p,204pを形成した。
一方、誘電体基板14の一方の面において、微小ループアンテナA3のストリップ導体15Asが形成され、その一端は穴部211の近傍に形成された接続導体213に接続され、その他端は穴部212の近傍に形成された接続導体214に接続される。ここで、接続導体213,214はそれぞれ穴部211,212を間に挟んで、誘電体基板14の高さ方向の両側に形成され、かつ第15の実施形態における導体露出部63p,64p,81p,82pと同様の導体露出部213p,214pを有する。
以上の実施形態においては、誘電体基板10の凸部201,202をそれぞれ誘電体基板14の穴部211,212に挿入して導体露出部203p,204pをそれぞれ導体露出部213p,214pに半田付けにより接続することにより、誘電体基板10を誘電体基板14に強固に連結して固定できる。本実施形態に係るアンテナ装置116は、第15の実施形態に係るアンテナ装置115と同様の作用効果を有する。
また、本実施形態によれば、誘電体基板14を誘電体基板10に挿入する構成としたために、微小ループアンテナA3のストリップ導体の形状を、第15の実施形態に比較して大きくすることができる。特に、本実施形態に係るアンテナ装置116を樹脂ケースなどに格納して使用する場合には樹脂ケースの厚さ方向一杯まで誘電体基板14を大きくすることができるという利点がある。
以上の実施形態においては、2つの凸部201,202をそれぞれ、2つの穴部211,212に嵌合させているが、本発明はこれに限らず、少なくとも1つの凸部をそれに対応する少なくとも1つの穴部に嵌合させてもよい。
産業上の利用の可能性
以上説明したように、本発明によれば、導体がアンテナ接近していても離れていても、従来技術の微小ループアンテナに比較して高いアンテナ利得を得ることができるアンテナ装置と、それを用いた無線通信装置を提供することができる。従って、本発明に係るアンテナ装置を、ページャ、携帯電話機などの移動体無線通信装置や白物家庭電化製品などに内蔵又は装着される無線通信装置のアンテナ装置として幅広く適用できる。また、ガスメータ、電気メータ、水道メータなどに設置される自動検針装置のアンテナ装置としても用いることができる。
本発明は、主として無線通信装置に用いられ、ループアンテナを含むアンテナ装置と、当該アンテナ装置を用いた無線通信装置に関する。
従来、ループアンテナは、特に携帯電話機などの携帯無線通信装置において用いられ、その構成は、例えば、非特許文献1において開示されている。ループアンテナの全長は、一般に約1波長で構成され、その電流分布から、半波長ダイポールアンテナを2個並置した構造に近似できて、ループ軸方向の指向特性アンテナとして動作する。
ここで、ループアンテナを小さくし、その全長を0.1波長以下にすると、ループ導線に流れる電流分布はほとんど一定値となる。この状態のループアンテナを特に微小ループアンテナと呼んでいる。この微小ループアンテナは、微小ダイポールアンテナよりも雑音電界に強く、またその実効高を簡単に計算できるために、磁界測定用のアンテナとして利用されている。
この微小ループアンテナは、1回巻きの小型アンテナとして、例えばページャなどの携帯無線通信装置において広く用いられている。ここで、微小ループアンテナの入力抵抗は一般にきわめて小さいので、多巻き構造とし、入力抵抗のステップアップを図った多巻き微小ループアンテナが考案されている。微小ループアンテナは磁流アンテナとして動作し、金属板や人体などが接近したときにも良好なアンテナ利得特性が得られることが知られている。
特開2001−326514号公報。 特開2002−204114号公報。 特開平10−126141号公報。 特公平7−44492号公報。 特開2001−127540号公報。 特開平9−130132号公報。 電子情報通信学会編,"アンテナ工学ハンドブック",pp.59−63、オーム社,第1版,1980年10月30日発行。
しかしながら、従来技術の微小ループアンテナでは、金属板や人体などの導体が無線装置やアンテナに接近した場合には良好なアンテナ利得特性を示すが、導体が離れている場合にはアンテナ利得が低下するという問題があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、導体がアンテナ接近していても離れていても、従来技術の微小ループアンテナに比較して高いアンテナ利得を得ることができるアンテナ装置と、それを用いた無線通信装置を提供することにある。
第1の発明に係るアンテナ装置は、接地導体を有する誘電体基板と、
上記誘電体基板に電磁的に近接して設けられ、所定の巻き回数Nで巻回されて所定の微小長さを有し、所定の金属板がアンテナ装置に近接したときに磁流アンテナとして動作する一方、上記金属板がアンテナ装置から離隔したときに電流アンテナとして動作する微小ループアンテナと、
上記微小ループアンテナに接続され、電流アンテナとして動作する少なくとも1本のアンテナ素子とを備えたアンテナ装置であって、
上記アンテナ装置の一端は給電点に接続され、上記アンテナ装置の他端は上記誘電体基板の接地導体に接続されたことを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記少なくとも1本のアンテナ素子は、好ましくは、上記誘電体基板の面と実質的に平行となるように設けられたことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置において、好ましくは、2本のアンテナ素子を備えたことを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、好ましくは、上記2本のアンテナ素子はそれぞれ実質的に直線形状であって、互いに平行となるように設けられたことを特徴とする。
上記アンテナ装置は、好ましくは、上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続され、上記微小ループアンテナのインダクタンスと直列共振するための少なくとも1個の第1のキャパシタをさらに備えたことを特徴とする。
ここで、上記第1のキャパシタは、好ましくは、上記アンテナ素子の実質的な中央点に挿入して接続したことを特徴とする。また、上記第1のキャパシタは、好ましくは、複数個のキャパシタ素子を直列に接続してなることを特徴とする。とって代わって、上記第1のキャパシタは、好ましくは、複数個のキャパシタ素子を直列に接続してなる複数組の回路を互いに並列に接続したことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置は、好ましくは、上記給電点に接続され、上記アンテナ装置の入力インピーダンスと、上記給電点に接続される給電ケーブルの特性インピーダンスとを整合させるインピーダンス整合回路をさらに備えたことを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、上記微小ループアンテナは、好ましくは、そのループ軸方向が上記誘電体基板の面と実質的に直交するように設けられたことを特徴とする。もしくは、上記微小ループアンテナは、好ましくは、そのループ軸方向が上記誘電体基板の面と実質的に平行となるように設けられたことを特徴とする。とって代わって、上記微小ループアンテナは、好ましくは、そのループ軸方向が上記誘電体基板の面に対して所定の傾斜角で傾斜されるように設けられたことを特徴とする。
またさらに、上記アンテナ装置において、上記微小ループアンテナの巻き回数Nは、好ましくは、実質的にN=(n−1)+0.5(ここで、nは自然数である。)に設定されたことを特徴とする。ここで、上記微小ループアンテナの巻き回数Nは、より好ましくは、実質的にN=1.5に設定されたことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置は、好ましくは、上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子に電磁的に近接して設けられた少なくとも1個の浮遊導体と、
上記浮遊導体を上記接地導体と接続し又は接続しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の指向特性又は偏波面を変化させる第1のスイッチ手段とをさらに備えたことを特徴とする。
ここで、上記アンテナ装置は、好ましくは、互いに実質的に直交するように設けられた2個の浮遊導体を備え、
上記第1のスイッチ手段は、上記各浮遊導体を上記接地導体と接続し又は接続しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の指向特性及び偏波面の少なくとも一方を変化させることを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置は、好ましくは、上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続された第1のリアクタンス素子と、
上記第1のリアクタンス素子を短絡し又は短絡しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の共振周波数を変化させる第2のスイッチ手段とをさらに備えたことを特徴とする。
ここで、上記第2のスイッチ手段は、好ましくは、そのオフ時に寄生容量を有する高周波半導体素子を含み、
上記寄生容量を実質的にキャンセルするための第1のインダクタをさらに備えたことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置は、好ましくは、上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続された一端を有する第2のリアクタンス素子と、
上記第2のリアクタンス素子の他端を接地し又は接地しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の共振周波数を変化させる第3のスイッチ手段とをさらに備えたことを特徴とする。
ここで、好ましくは、上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続された第3のリアクタンス素子をさらに備えたことを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、上記第3のスイッチ手段は、好ましくは、そのオフ時に寄生容量を有する高周波半導体素子を含み、
上記寄生容量を実質的にキャンセルするための第2のインダクタをさらに備えたことを特徴とする。
またさらに、好ましくは、上記のアンテナ装置を複数個備え、
上記複数個のアンテナ装置により受信された無線信号に基づいて、複数個のアンテナ装置を選択的に切り換えて、選択したアンテナ装置を給電点に接続する第4のスイッチ手段を備えたことを特徴とする。
ここで、上記第4のスイッチ手段は、好ましくは、上記選択しないアンテナ装置を接地することを特徴とする。
また、上記アンテナ装置において、好ましくは、上記アンテナ素子を、接地導体が形成されていない上記誘電体基板上に形成したことを特徴とする。
ここで、好ましくは、上記微小ループアンテナを別の誘電体基板上に形成したことを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、好ましくは、上記別の誘電体基板は少なくとも1つの凸部を有し、
上記誘電体基板は上記誘電体基板の少なくとも1つの凸部と嵌合する少なくとも1つの穴部を有し、
上記別の誘電体基板の少なくとも1つの凸部を上記誘電体基板の少なくとも1つの穴部に嵌合させることにより、上記別の誘電体基板を上記誘電体基板に連結したことを特徴とする。
とって代わって、上記アンテナ装置において、好ましくは、上記誘電体基板は少なくとも1つの凸部を有し、
上記別の誘電体基板は上記誘電体基板の少なくとも1つの凸部と挿入して嵌合する少なくとも1つの穴部を有し、
上記誘電体基板の少なくとも1つの凸部を上記別の誘電体基板の少なくとも1つの穴部に挿入して嵌合させることにより、上記誘電体基板を上記別の誘電体基板に連結したことを特徴とする。
またさらに、上記アンテナ装置は、好ましくは、
上記誘電体基板上に形成され、上記アンテナ素子に接続された第1の接続導体と、
上記別の誘電体基板上に形成され、上記微小ループアンテナに接続された第2の接続導体とをさらに備え、
上記誘電体基板と上記別の誘電体基板とを連結したとき、上記第1の接続導体と上記第2の接続導体とを電気的に接続したことを特徴とする。
ここで、好ましくは、上記第1の接続導体は、その一部分であって所定の第1の面積を有し、上記第2の接続導体との接続のための半田付けを行う第1の導体露出部を備え、
上記第2の接続導体は、その一部分であって所定の第2の面積を有し、上記第1の接続導体との接続のための半田付けを行う第2の導体露出部を備えたことを特徴とする。
第2の発明に係る無線通信装置は、上記のアンテナ装置と、
上記アンテナ装置に接続された無線通信回路とを備えたことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、導体がアンテナ接近していても離れていても、従来技術の微小ループアンテナに比較して高いアンテナ利得を得ることができるアンテナ装置と、それを用いた無線通信装置を提供することができる。従って、本発明に係るアンテナ装置を、ページャ、携帯電話機などの移動体無線通信装置や白物家庭電化製品などに内蔵又は装着される無線通信装置のアンテナ装置として幅広く適用できる。また、ガスメータ、電気メータ、水道メータなどに設置される自動検針装置のアンテナ装置としても用いることができる。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、同様のものについては同一の符号を付し、詳細説明を省略する。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置101の構成を示す斜視図である。図1において、第1の実施形態に係るアンテナ装置101は、実質的に直線状であって互いに実質的に平行に配置される2本のアンテナ素子A1,A2と、これらアンテナ素子A1,A2の間に挿入接続されかつアンテナ素子A1,A2に対して垂直な方向で設けられ、巻き回数N=1.5を有する矩形の微小ループアンテナA3と、アンテナ素子A1と給電点Qとの間に挿入接続されたキャパシタC1とを備えて構成されたことを特徴としている。
図1において、裏面全面に接地導体11が形成されてなる誘電体基板10の長手方向の左上側縁端部に給電点Qが設けられ、給電点Qは、微小ループアンテナのインダクタンスとともに直列共振回路を構成するキャパシタC1を介してアンテナ素子A1の一端に接続される。アンテナ素子A1の他端は微小ループアンテナA3を介してアンテナ素子A2の一端に接続され、アンテナ素子A2の他端は、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに充填されたスルーホール導体13を介して接地導体11に接続されて接地される。また、給電点Qは、インピーダンス整合用キャパシタC2及びスルーホール導体12を介して接地導体11に接続されて接地されるとともに、給電点Qは、誘電体基板10上に形成された、例えばマイクロストリップ線路などの給電ケーブル25を介して、誘電体基板10上に形成された無線通信回路20のサーキュレータ23に接続される。ここで、インピーダンス整合用キャパシタC2は、給電点Qにおいてアンテナ装置101を見たときの入力インピーダンスを、給電ケーブル25の特性インピーダンスに整合させるために用いられる。また、スルーホール導体12はスルーホール導体13と同様に、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに充填された導体である。なお、図1に示すように、誘電体基板10の面に対して垂直な方向をX方向とし、誘電体基板10の長手方向であって、誘電体基板10からアンテナ装置101に向う方向をZ方向とし、上記X方向及びZ方向に対して垂直な方向であって、誘電体基板10の幅方向をY方向としている。
なお、誘電体基板10として、ガラスエポキシ基板、テフロン(登録商標)基板、フェノール基板、多層基板などを用いることができる。
図1のアンテナ装置101において、直線状の導線にてなるアンテナ素子A1,A2はそれぞれ長さHを有し、互いに平行であってZ方向に延在するように配置される。また、微小ループアンテナA3は、そのループの軸方向がZ方向と平行であって、微小ループアンテナA3のループ平面がアンテナ素子A1,A2や誘電体基板10の面に対して垂直となるように配置されている。また、微小ループアンテナA3は、巻き回数N=1.5を有しかつ幅w及び高さhを有する矩形形状を有し、これにより所定の全長長さL(=3w+4h)を有する。ここで、全長長さLは、後述する無線通信回路20で使用する無線信号の周波数の波長λに対して、0.01λ以上であって、0.5λ以下、好ましくは0.2λ以下、より好ましくは0.1λ以下に設定され、これにより、微小ループアンテナA3を構成する。なお、微小ループアンテナA3の外径寸法(矩形の一辺の長さ又は円形の直径)は、0.01λ以上であって、0.2λ以下、好ましくは0.1λ以下、より好ましくは0.03λ以下に設定される。
さらに、無線通信回路20において、アンテナ装置101により受信された無線信号は給電点Qを介してサーキュレータ23に入力された後、無線受信回路21に入力され、高周波増幅、周波数変換及び復調などの処理が施され、音声信号、映像信号又はデータ信号などのデータが取り出される。コントローラ24は無線受信回路21及び無線送信回路22の動作を制御する。無線送信回路22は、送信すべき音声信号、映像信号又はデータ信号などのデータに従って、無線搬送波を変調し、変調された無線搬送波を電力増幅した後、サーキュレータ23及び給電点Qを介してアンテナ装置101に出力し、当該無線信号をアンテナ装置101から放射させる。また、コントローラ24は図示しないインターフェース回路を介して所定の外部装置に接続され、外部装置からのデータを含む無線信号をアンテナ装置101により放射する一方、アンテナ装置101により受信された無線信号に含まれるデータを外部装置に出力する。
以上のように構成されたアンテナ装置101においては、
(a)接地導体11を有する誘電体基板10と、
(b)図4乃至図7などを参照して詳細後述するように、接地導体11と電磁的な結合が生じるように(すなわち、微小ループアンテナA3に高周波信号を流したときに微小ループアンテナA3のコイルにより誘起される電磁界が接地導体11に対して実質的に印加されるように)誘電体基板10と電磁的に近接して設けられ、図4の金属板30がアンテナ装置101に近接したときに、金属板30と垂直な方向に平行な指向特性の主ビームを有する磁流アンテナとして動作する一方、金属板30がアンテナ装置101から離隔したときに電流アンテナとして動作する微小ループアンテナA3と、
(c)アンテナ素子A1,A2の導線の長手方向に対して垂直な方向に指向特性の主ビームを有する電流アンテナ(いわゆる伝送線路アンテナともいう。)として動作する2本のアンテナ素子A1,A2とを備え、
(d)アンテナ素子A1の一端は給電点Qを介して無線通信回路20に接続され、アンテナ素子A2の一端は接続導体11に接続されて接地され、これにより、アンテナ装置101は不平衡型アンテナとなる。
このようにアンテナ装置101を構成することにより、従来技術の微小ループアンテナに比較して、垂直偏波(図4に示すように誘電体基板10を地面に対して垂直となるように立設したときのZ方向の偏波をいい、以下、同様である。)と水平偏波(図4に示すように誘電体基板10を地面に対して垂直となるように立設したときのY方向の偏波をいい、以下同様である。)との合成指向特性において、高いアンテナ利得を得ることができる。特に、図4を参照して後述する金属板30がアンテナ装置101に近接する場合に限らず、金属板30から離隔される場合であっても非常に高いアンテナ利得を得ることができる。
以上のように構成されたアンテナ装置101は、誘電体基板10上の無線通信回路20とともに所定の筐体に収容され、無線通信装置を構成する。当該構成については、以下の実施形態においても同様である。
以上の第1の実施形態において、2本のアンテナ素子A1,A2を用いているが、本発明はこれに限らず、少なくとも1本のアンテナ素子A1又はA2を備えればよい。また、微小ループアンテナA3は矩形形状であるが、本発明はこれに限らず、円形状、楕円形状又は多角形など他の形状であってもよい。ここで、微小ループアンテナA3のループは、螺旋コイル形状であってもよいし、渦巻きコイル形状であってもよい。さらに、微小ループアンテナA3の巻き回数Nは1.5に限らず、詳細後述するように、他の巻き回数Nであってもよい。また、キャパシタC1を用いているが、本発明はこれに限らず、キャパシタC1を用いず、アンテナ装置101を構成してもよい。さらに、インピーダンス整合用キャパシタC2を用いているが、本発明はこれに限らず、これに代えてインピーダンス整合用インダクタ、もしくはキャパシタとインダクタの組み合わせ回路であるインピーダンス整合回路を用いてもよいし、インピーダンス整合回路が不要であるときは設けなくてもよい。以上の変形例は、以下に示す実施形態やその変形例に対しても適用できる。
次いで、アンテナ装置101のキャパシタC1の容量値の決定方法について以下に説明する。
図1のアンテナ装置101において、無線送信回路22又は給電点Qに対して、キャパシタC1と、微小ループアンテナA3のインダクタンスが直列に接続され、当該インダクタンスのリアクタンスをほぼ打ち消すようにキャパシタC1が設定されている。また、微小ループアンテナA3の他端は接地導体11に接続されている。ここで、微小ループアンテナA3のインダクタンスを大きくし、すなわち、そのリアクタンスを大きくし、キャパシタC1の容量を小さくし、すなわちそのリアクタンスを大きく設定しているため、微小ループアンテナA3のインダクタンスと、キャパシタC1との接続点で大きな高周波電圧振幅が発生する。ここで、当該接続点で大きな高周波電圧振幅が発生する理由は、一般にLC共振回路の共振時のインピーダンスZは、Z=L/(R・C)=QωL(ここで、R=Rl+Rc;Rlは放射抵抗であり、Rcは損失抵抗であり、Qは品質係数(Quality Factor)である。)で表され、当該LC共振回路に同一の電力を供給したときに、インダクタンスLに比例して電圧振幅が大きくなり、また、インダクタンスLを大きくしかつキャパシタンスCを小さくすることにより共振インピーダンスが大きくなる。なお、微小ループアンテナA3のインダクタンスは自由空間に対して電界及び磁界で結合しており、自由空間に対して放射抵抗を持っている。そのため、前記接続点で大きな高周波電圧振幅が発生すると、自由空間への放射エネルギーが大きくなり良好なアンテナ利得を得ることができる。
本発明者が試作したある実施例では、429MHz帯のアンテナ装置101として動作し、キャパシタC1の容量は1pFであるので、そのインピーダンスZの絶対値|Z|は371Ωと大きくなっている。概略キャパシタC1のインピーダンスの絶対値|Z|を200Ω以上に設定することにより、高いアンテナ利得を得ることができる。そして、キャパシタC1の容量を決定すると、共振周波数の条件より、微小ループアンテナA3の大きさをほぼ一義的に決定することができる。
なお、キャパシタC1の容量を上記の実施例よりも小さく設計することにより、インピーダンスの絶対値|Z|を非常に大きな値とすることが可能であるが、実際のアンテナ装置101では寄生容量の影響などにより、安定して同一の共振周波数を得ることが困難となってくる。概略、インピーダンスの絶対値|Z|の範囲として200Ω〜2000Ω程度が容易に実現可能と想定されるが、上記範囲を超えて設定しても構わない。また、キャパシタC1のインピーダンスの絶対値|Z|をより大きくすればアンテナ利得が向上するのは、対応する微小ループアンテナA3のインダクタンス値を大きくできるからである。
以上のように構成された第1の実施形態に係るアンテナ装置101は、2本のアンテナ素子A1,A2と、微小ループアンテナA3とを備えて構成されるので、構造がきわめて簡単であり、小型・軽量で製造でき、かつ製造コストが安価である。
第2の実施形態.
図2は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置102の構成を示す斜視図である。図2において、第2の実施形態に係るアンテナ装置102は、第1の実施形態に係るアンテナ装置101に比較して、微小ループアンテナA3のループ軸方向をX方向と平行とし、すなわち、微小ループアンテナA3のループ平面を、2本のアンテナ素子A1,A2と実質的に同一の平面に配置したことを特徴としている。以上のように構成されたアンテナ装置102において、微小ループアンテナA3のループ軸方向はX方向と平行となり、詳細後述するように、特に、金属板30を離隔した場合において、微小ループアンテナA3が電流アンテナとして有効的に動作して垂直偏波のアンテナ利得を増大させる(図14参照)。
第3の実施形態.
図3は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置103の構成を示す斜視図である。図3において、第3の実施形態に係るアンテナ装置103は、第1の実施形態に係るアンテナ装置101に比較して、微小ループアンテナA3のループ軸方向を、微小ループアンテナA3と各アンテナ素子A1,A2との接続点間の軸を中心として、Z方向から所定の傾斜角θ(0<θ<90゜)だけ傾斜するように、微小ループアンテナA3を配置したことを特徴としている。以上のように構成されたアンテナ装置103において、アンテナ装置101と、アンテナ装置102との組み合わせとして動作し、アンテナ装置101の動作特徴と、アンテナ装置102の動作特徴とを有する。従って、これらのアンテナ装置101,102の欠点を補完した指向特性を得ることができ、総合的な垂直偏波及び垂直偏波のアンテナ利得を増大できる。
実施形態に係るアンテナ装置の実験とその実験結果.
図4は、図1のアンテナ装置101に金属板30を近接したときの状態を示す斜視図である。図4において、誘電体基板10を地面に対して垂直となるように立設し、誘電体基板10の裏面に形成された接地導体11が金属板30と対向するように誘電体基板10を配置している。ここで、接地導体11と、金属板30との間の距離をDとしている。ここで、アンテナ装置101が金属板30から離れているときは、微小ループアンテナA3のコイル部によりトップローディングされたモノポールアンテナと類似の電流型動作となり、接地導体11に電流I1が励起されることによりX方向への放射の電界偏波面はZ方向のE1となる。一方、金属板30が誘電体基板10に接近したときは、微小ループアンテナA3のコイル部の磁流Mにより、金属板30の表面に磁流M‘が励起された微小ループアンテナと類似した磁流型動作となり、偏波面はY方向のE2となる。すなわち金属板30の有無により電流型動作と磁流型動作が切り換わる特性を示す。
図5は、図1のアンテナ装置101の等価回路を示す回路図である。図5の等価回路において、アンテナ装置101の入力端である給電点Qと接地導体11との間には、インピーダンス整合用キャパシタC2が接続され、給電点Qは以下の回路素子を介して接地導体11に接続される。
(a)直列共振用のキャパシタC1。
(b)アンテナ素子A1の損失抵抗RCA1
(c)アンテナ素子A1の放射抵抗RrA1
(d)アンテナ素子A1のインダクタンスLA1
(e)微小ループアンテナA3の放射抵抗Rrloop
(f)微小ループアンテナA3の損失抵抗RCloop
(g)誘起電圧e。
(h)微小ループアンテナA3のインダクタンスLloop
(i)アンテナ素子A2のインダクタンスLA2
(j)アンテナ素子A2の放射抵抗RrA2
(k)アンテナ素子A2の損失抵抗RCA2
ここで、アンテナ装置101の全体の放射抵抗R及び損失抵抗Rは次式で表される。
[数1]
=RrA1+RrA2+Rrloop (1)
[数2]
=RCA1+RCA2+RCloop (2)
図5のアンテナ装置101において流れる電流をIとすると、放射電力Pと損失電力Pは次式で表される。
[数3]
=(1/2)I (3)
[数4]
=(1/2)I (4)
ここで、アンテナ装置101に入力される入力電力Pinは次式で表される。
[数5]
in=P+P (5)
従って、アンテナ装置101の放射効率ηは次式で表される。
[数6]
η=P/Pin=R/(R+R) (6)
それ故、以上の式を用いてアンテナ装置101の動作及び特性について解析できる。
図6は、図4の状態で実行した実験のために用いる実験システムを示す正面図である。図6に示すように、誘電体基板10上に形成され外部発振器22Aに接続されたアンテナ装置101を金属板30に距離Dで近接させ又は離隔させ、このときの距離Dを変化させたときに、アンテナ装置101からX方向に1.5mの距離にあり、長手方向がZ方向に平行であるスリーブアンテナ31を用いて、半波長ダイポールを基準利得としたときのX方向のアンテナ利得[dBd]を測定した。ここで、測定周波数は429MHzであり、誘電体基板10の寸法は29×63mmであり、アンテナ素子A1,A2の長さH=10mm、微小ループアンテナA3の高さh=8mm、幅w=29mmである。アンテナ装置101の各素子A1,A2,A3は0.8mmφの銅線を折り曲げて作成し、キャパシタC1の容量は1pFである。
図7は、図6の実験結果であって、金属板30からアンテナ装置101までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図7から明らかなように、金属板30がアンテナ装置101から離れているときは、垂直偏波成分(Z軸方向)が大きく、誘電体基板10の接地導体11に流れる電流I1による放射が支配的となっている。次いで、金属板30がD=4cm以下に接近すると、垂直偏波成分が急激に低下し、代わって水平偏波成分(Y軸方向)が大きくなる。このとき、微小ループアンテナA3のコイル部が磁流アンテナとして動作している。このとき、垂直偏波成分と水平偏波成分を合成した合成特性では、金属板30からの距離Dによる利得変化が小さいことがわかる。従って、アンテナ装置101は、金属板30を近接した場合も離隔した場合も所定のアンテナ利得以上のアンテナ利得を得ることができる。
図8は、図6の実験のために用いる第2の比較例に係るアンテナ装置192の構成を示す平面図である。図8に示すように、第2の比較例に係るアンテナ装置192は、アンテナ素子A1,A2を備えず、誘電体基板10の面に平行な微小ループアンテナA3のみで構成される。なお、誘電体基板10の寸法は19mm×27mmであり、図9乃至図11においても同様である。
図9は、図6の実験のために用いる第2の実施形態に係るアンテナ装置102の構成を示す平面図である。図9に示すように、第2の実施形態に係るアンテナ装置102は、図2と同様に、アンテナ素子A1,A2と、誘電体基板10の面に平行な微小ループアンテナA3とで構成される。
図10は、図6の実験のために用いる第1の比較例に係るアンテナ装置191の構成を示す平面図である。図10に示すように、第1の比較例に係るアンテナ装置191は、アンテナ素子A1,A2を備えず、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3のみで構成される。
図11は、図6の実験のために用いる第1の実施形態に係るアンテナ装置101の構成を示す平面図である。図11に示すように、第1の実施形態に係るアンテナ装置101は、図1と同様に、アンテナ素子A1,A2と、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3とで構成される。
なお、図8乃至図11において、実験に用いるアンテナ装置101,102,191,192の寸法は図示の通りである。
図12は、図8乃至図11の各アンテナ装置について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図12から明らかなように、アンテナ素子A1,A2を備えたアンテナ装置101,102は、アンテナ素子A1,A2を備えないアンテナ装置191,192に比較して、金属板30から離隔しているときに、より大きなアンテナ利得を得ることができる。また、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3を備えたアンテナ装置101,191は、誘電体基板10の面に水平な微小ループアンテナA3を備えたアンテナ装置102,192に比較して、金属板30に近接しているときに、より大きなアンテナ利得を得ることができる。従って、アンテナ素子A1,A2を備えるとともに、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3を備えることにより、金属板30から離隔している場合と、金属板30に近接している場合との両方において、より大きなアンテナ利得を得ることができる。
図13は、図11のアンテナ装置101について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図14は、図9のアンテナ装置102について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図15は、図10のアンテナ装置191について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図16は、図8のアンテナ装置192について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
これらの図13乃至図16は、各アンテナ装置101,102,191,192において、アンテナ利得の偏波成分の変化を示すグラフである。図13乃至図16から明らかなように、アンテナ素子A1,A2を備えたアンテナ装置101,102は、アンテナ素子A1,A2を備えないアンテナ装置191,192に比較して、金属板30から離隔しているときに、垂直偏波成分が増大することにより、より大きなアンテナ利得を得ることができる。また、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3を備えたアンテナ装置101,191は、誘電体基板10の面に水平な微小ループアンテナA3を備えたアンテナ装置102,192に比較して、金属板30に近接しているときに、水平偏波成分が増大することにより、より大きなアンテナ利得を得ることができる。
次いで、微小ループアンテナA3のコイル軸方向について以下に説明する。微小ループアンテナA3のコイル軸方向は、図1に示すように、誘電体基板10の長手方向と平行となるように設定することが好ましい。これにより、金属版30が接近したときにも利得低下が小さいという特徴がある。また、微小ループアンテナA3のコイル軸方向を、図2に示すように、誘電体基板10と直交するように設定してもよく、この場合、アンテナ素子A1,A2により接地導体11から微小ループアンテナA3をより遠くに離すことができるために、アンテナ利得をより大きくすることができる。そして、金属板30が接近していない場合にはむしろ図2のアンテナ装置102の方が図1のアンテナ装置101に比較して大きい利得を得ることができる。また、図2のアンテナ装置102において、大きな主ビームの指向特性を有せず、すなわち、無指向性に近い指向特性を得ることができる。また、図2のアンテナ装置102においては、誘電体基板10に対して垂直であって、微小ループアンテナA3の両端部側に金属板30があるときには、金属板30とは反対方向に電波を放射できる。従って、無線通信装置の前方に接近して金属板30があるときでも利得低下が小さいといえる。
図17は、図8乃至図11の各アンテナ装置について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対する各アンテナ装置の給電点Qにおける入力電圧定在波比(以下、入力VSWRという。)を示すグラフである。図17から明らかなように、誘電体基板10の面に垂直な微小ループアンテナA3を備えたアンテナ装置101,191において、金属板30を近接したときの入力VSWRの劣化が小さくなり、さらに、アンテナ素子A1,A2を備えたアンテナ装置101では、その劣化がさらに小さくなる。
図18は、図1のアンテナ装置101について図6の実験を行ったときの実験結果であって、ループアンテナA3の巻き回数Nをパラメータとしたときの、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図18から明らかなように、金属板30を近接したときのアンテナ利得は、巻き回数N=1.5のときが最も大きい。この理由について、アンテナ装置101の動作を示す図19乃至図22を参照して以下に考察する。
図19は、図1のアンテナ装置101において巻き回数N=1.5のときの動作を示すための概略正面図である。図20は、図19の動作における見かけ上の動作状態を示す概略正面図である。図21は、図1のアンテナ装置101において巻き回数N=2のときの動作を示すための概略正面図である。図22は、図21の動作における見かけ上の動作状態を示す概略正面図である。
図19においては、微小ループアンテナA3の1.5回巻きコイルに流れる水平方向の高周波電流I11,I12,I13を示している。ここで、電流I12と電流I13は向きが逆でほぼ同じ大きさであり打ち消しあうため、微小ループアンテナA3は、見かけ上、図20に示すような電流I11と磁流の鏡像A3’による見かけ上の電流I11’からなる大きなループを持った磁流アンテナとして動作する。一方、微小ループアンテナA3のコイルを2回巻きとした場合は、図21に示すように、電流I11と電流I13、電流I12と電流I14が互いに打ち消しあうために、図22に示すように見かけ上の電流I11が小さくなりアンテナ利得は大幅に低下する。このように、微小ループアンテナA3のコイルの巻き回数Nを概略1.5回巻きとすることにより、より高いアンテナ利得と小型化を両立することができる。
なお、実施形態では、微小ループアンテナA3の巻き回数Nを概略1.5回巻きとしたが、正確に1.5回巻きでなくともよい。具体的には、1.2回巻き〜1.8回巻きの範囲であれば比較的大きなアンテナ利得を得ることができる。また、微小ループアンテナA3の巻き回数Nを概略0.5回巻き又は概略2.5回巻きなどとしても良好な特性を得られる。特に、概略2.5回巻きでは、概略1.5回巻きに比べてさらにアンテナの小型化を図ることができる。そして、微小ループアンテナA3の巻き回数Nについて、概略N=(n−1)+0.5(ここで、nは自然数である。)とすることにより、大きなアンテナ利得を得ることができる。具体的には、概略0.5回巻き、概略1.5回巻き、概略2.5回巻き、概略3.5回巻き、概略4.5回巻きなどに設定してもよい。
図23は、図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させたとき(この状態でのアンテナ装置を101Gとし、図23において101Gで示す。)の効果を示す、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図24は、図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させたときにおける、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。図25は、図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させないとき、すなわち図1のアンテナ装置101における、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。
ここで、図23乃至図25の実験は、後述する図30のアンテナ装置107において、アンテナ素子A2のストリップ導体の幅を、誘電体基板10の幅の約半分まで増大させて行った。この状態でのアンテナ装置101Gでは、右側のアンテナ素子A2をほとんど接地導体の状態にしており、アンテナ素子A2を無くしたことに等価であると考えられる。すなわち、図23から明らかなように、アンテナ素子A2を有するアンテナ装置101のアンテナ利得は、アンテナ素子A2を有しない比較例のアンテナ装置101Gのアンテナ利得に比較して非常に高い。
以上説明したように、第1の実施形態に係るアンテナ装置101によれば、金属板30からの距離Dを小さくすると、電流型動作から磁流型動作に切り替わることで、常に良好な放射利得が得られる。本発明者らは、当該アンテナ装置101を適用した無線通信装置の無線モジュールを白物家庭電化製品各機器に内蔵して、特性評価した結果、指向特性測定における最大アンテナ利得として、冷蔵庫において−10dBd、エアコンディショナーにおいて−11dBdの良好なアンテナ利得が得られた。
さらに、微小ループアンテナA3のコイルの大きさ及び巻き回数Nと、アンテナ素子A1,A2の長さとの関係について以下に説明する。これらの関係を適切に調整することにより金属板30の有無によってほとんど入力VSWRが変化しないようになり、これらの関係のバランスがとれる。本発明者らの実験によれば、これは金属板30の接近によりアンテナ素子A1,A2のインダクタンスは減少するが、微小ループアンテナA3のコイルのインダクタンスは増加するためであると考えられる。その根拠としては、微小ループアンテナA3の巻き回数Nが少ない(N=0.5又は1)場合は、金属板30の接近により共振周波数が高い方に変化するのに対して、巻き回数Nが多い(1.5回又は2回)場合は低い方に変化することを測定している。
第4の実施形態.
図26は、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置104の構成を示す斜視図である。図26において、第4の実施形態に係るアンテナ装置104は、図1の第1の実施形態に係るアンテナ装置101に比較して以下の点が異なる。
(1)アンテナ素子A1,A2をそれぞれ誘電体基板10上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、アンテナ素子A1,A2が形成されている誘電体基板10の奥側縁端部の裏面において接地導体11は形成されていない。
(2)誘電体基板10の長手方向の奧側縁端部において、誘電体基板10と垂直であって誘電体基板10と実質的に同一の幅を有する誘電体基板14を、例えば接着剤による貼り付けなどにより立設した。
(3)微小ループアンテナA3を上記誘電体基板14上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、微小ループアンテナA3の接地側近傍の端部において、誘電体基板14を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体15を形成し、微小ループアンテナA3の接地側近傍の端部はスルーホール導体15を介して、誘電体基板14の裏面に形成されたストリップ導体15sを介してアンテナ素子A2に接続される。
(4)キャパシタC1は、給電点Q近傍ではなく、好ましくは、図26に示すように、アンテナ素子A1の概略中央点に接続される。なお、作用効果については図32乃至図34を参照して詳細後述する。
ここで、誘電体基板10,14としては、例えば、ガラスエポキシ基板、テフロン(登録商標)基板、セラミック基板、紙フェノール基板、多層基板など任意の基板を用いることができる。
本実施形態では、ストリップ導体を用いてアンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3を形成しているので、プリント配線法を用いて高い寸法精度で製作することが可能である。一般的なガラスエポキシ基板上の銅箔のストリップ導体では、量産時のストリップ導体幅のばらつきとして±30μm以内程度が得られる。そのため、ストリップ導体を用いたアンテナ装置のインピーダンスのばらつきを小さくすることができる。また、キャパシタC1は例えばチップコンデンサで構成でき、これも高精度品が市販されている。例えば、容量が数pFの高精度品では容量誤差±0.1pFとなっている。
従って、アンテナ装置104のこれらストリップ導体と、チップコンデンサのキャパシタC1を用いることにより、アンテナ装置104の共振周波数のばらつきを抑えることができる。また、無線通信回路20を実装するプリント配線基板である誘電体基板10上にアンテナ構造を組み込めるため、組立て箇所がほとんど無く寸法精度を上げることができる。そして、アンテナ装置104の共振周波数のばらつきが小さいので、製造時の共振周波数の調整行程を省略することができる。また、アンテナ装置104として、誘電体基板10,14以外の構造物が不要なため装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
また、比較的幅の広い(例えば、ストリップ導体幅0.5〜2mm程度)銅箔のストリップ導体は、高周波抵抗が小さく、微小ループアンテナA3のコイルのQ値として100前後あるいはそれ以上を得ることができる。また、キャパシタC1のチップコンデンサでは、容量0.5〜10pF程度のものでQ値が100以上のものを容易に入手可能である。そのため、損失が小さく、高い利得のアンテナ装置104を実現できる。また、このアンテナ装置104では、プリント配線基板である誘電体基板14上に、微小ループアンテナA3のストリップ導体を形成したために、これに実装するキャパシタC1の挿入位置に自由度があるという利点がある。
以上の実施形態においては、微小ループアンテナA3のストリップ導体を誘電体基板14上に形成しているが、本発明はこれに限らず、例えば図1に示すように、微小ループアンテナA3のコイル状の導線を用いてもよい。
第5の実施形態.
図27は、本発明の第5の実施形態に係るアンテナ装置105の構成を示す斜視図である。図27において、第5の実施形態に係るアンテナ装置105は、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、以下の点が異なる。
(1)アンテナ素子A1,A2が形成されている誘電体基板10の奥側縁端部の裏面において、接地導体11とは、誘電体基板10の長手方向の所定の間隔dをおいて、接続導体11と電気的に絶縁されるように、浮遊導体11Aが形成される。ここで、浮遊導体11Aは、アンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3とは電磁的に結合するように近接して形成されている。
(2)接地導体11と浮遊導体11Aとの間に、例えば機械的な接点スイッチであるスイッチSW1が接続される。
以上のように構成されたアンテナ素子105において、スイッチSW1をオン又はオフに切り換えることにより、アンテナ素子A1,A2の誘電体基板10を介した接地状態を変化させている。すなわち、スイッチSW1がオフのときには、浮遊導体11Aが接地されておらず、接地電位から電気的に浮いている状態であるため、アンテナ装置105を構成する微小ループアンテナA3のストリップ導体及びアンテナ素子A1,A2のストリップ導体の電位変化に与える影響は小さい。このとき、図7において垂直偏波成分として示す特性に近いアンテナ利得特性となる。一方、スイッチSW1がオンのときは、浮遊導体11AがスイッチSW1を介して接地導体11に接続されて接地されるために、図7において、誘電体基板10の裏面側に金属板30が接近した場合に相当する水平偏波成分に近いアンテナ利得特性となる。すなわち、スイッチSW1のオン・オフによりアンテナ装置105の放射方向の指向特性及び偏波面の方向を切り換えることができる。特に、偏波面はほぼ90度変化し、これにより、ダイバーシチ効果を得ることができ、無線通信回路20の通信性能を大幅に改善することができる。
以上の第5の実施形態に係るアンテナ装置105において、浮遊導体11Aはアンテナ素子A1,A2のうちの一部のみに近接して形成してもよい。また、浮遊導体11Aを、多層基板にてなる誘電体基板10内の内層面に形成してもよい。さらに、アンテナ装置105を構成するアンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3を誘電体基板10,14上のストリップ導体ではなく、導線で形成してもよい。
図28は、本発明の第5の実施形態の変形例に係るアンテナ装置105Aの構成を示す斜視図である。図28において、第5の実施形態の変形例に係るアンテナ装置105Aは、第5の実施形態に係るアンテナ装置105に比較して以下の点が異なる。
(1)スイッチSW1を、高周波半導体ダイオードD1で構成した。
(2)高周波半導体ダイオードD1の両端はそれぞれ、高周波阻止用インダクタ41,42を介してスイッチコントローラ40に接続される。
ここで、スイッチコントローラ40は、高周波半導体ダイオードD1をオン及びオフにそれぞれ切り換えるための所定の2つの逆バイアス電圧を高周波半導体ダイオードD1に印加し、これにより、アンテナ装置105の放射方向の指向特性及び偏波面の方向を切り換えることができる。本実施形態によれば、アンテナ装置105Aを非常に簡単な構造で構成でき、小型・軽量であり製造コストを安価にできる。
第6の実施形態.
図29は、本発明の第6の実施形態に係るアンテナ装置106の構成を示す斜視図である。図29において、第6の実施形態に係るアンテナ装置106は、第5の実施形態に係るアンテナ装置105に比較して以下の点が異なる。
(1)誘電体基板10の左側側面のアンテナ素子A1近傍の奥側であって、誘電体基板10,14とは直交するように、浮遊導体30Aを形成してなる誘電体基板14bを、誘電体基板10の左側側面に貼付して設ける。ここで、浮遊導体30Aは、アンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3とは電磁的に結合するように近接して形成されている。
(2)浮遊導体30Aは、例えば、機械的な接点スイッチ又は高周波半導体ダイオードにてなるスイッチSW2を介して接地導体11などに接続されて接地される。
本実施形態によれば、2つの浮遊導体11A,30Aが設けられ、各浮遊導体11A,30のうち少なくとも1つを接地するように、スイッチSW1,SW2をそれぞれオン・オフすることにより、送受信される無線信号の電波の指向特性や偏波面を切り換えることができる。例えば、スイッチSW1をオンすることにより、図7の金属板30の近接時に示すようにY方向の水平偏波成分が支配的になり、金属板30の離隔時において水平偏波成分(Y方向)のX方向への放射が支配的になる。また、スイッチSW2をオンすることにより、接地導体となる浮遊導体30Aが反射板となり、水平偏波成分(X方向)のY方向への放射が増大することになる。従って、金属板30の離隔時においては、2つの浮遊導体11A,30Aは互いに直交しているので、主ビーム方向を90度程度変化させることが可能である。
以上の実施形態において、浮遊導体11AとスイッチSW1との第1の組の回路と、浮遊導体30AとスイッチSW2との第2の組の回路とをともに備えているが、本発明はこれに限らず、少なくとも一方の組の回路を備えてもよい。
第7の実施形態.
図30は、本発明の第7の実施形態に係るアンテナ装置107の構成を示す斜視図である。図30において、第7の実施形態に係るアンテナ装置107は、図2の第2の実施形態に係るアンテナ装置102に比較して以下の点が異なる。
(1)アンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3をそれぞれ誘電体基板10上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、これらアンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3が形成されている誘電体基板10の奥側縁端部の裏面において接地導体11は形成されていない。
(2)微小ループアンテナA3の接地側近傍の端部において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体16を形成し、微小ループアンテナA3の接地側近傍の端部はスルーホール導体16を介して、誘電体基板10の裏面に形成されたストリップ導体16sに接続される。スルーホール導体16近傍であって、スルーホール導体16から微小ループアンテナA3のストリップ導体を挟設した位置において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体17を形成し、ストリップ導体16sは当該スルーホール導体17を介してアンテナ素子A2のストリップ導体の一端に接続される。
(3)キャパシタC1を、アンテナ素子A1の実質的な中央点Q0に接続していており、その作用効果については、図32乃至図34を参照して詳細後述する。
本実施形態では、ストリップ導体を用いてアンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3を形成しているので、プリント配線法を用いて高い寸法精度で製作することが可能であり、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104と同様の効果を有するが、アンテナ装置としての基本動作は図2の第2の実施形態に係るアンテナ装置102と同様である。
第8の実施形態.
図31は、本発明の第8の実施形態に係るアンテナ装置108の構成を示す斜視図である。図31において、第8の実施形態に係るアンテナ装置108は、図1の第1の実施形態に係るアンテナ装置101に比較して、キャパシタC1をアンテナ素子A1の実質的な中央点Q0に接続したことを特徴としている。以下において、キャパシタC1のアンテナ素子A1上の最適な挿入位置について説明する。
図32は、図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1の中央位置Q0に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。図33は、図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1の給電点Q側端部Q1に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。図34は、図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1のループアンテナA3側端部Q2に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。
図32から明らかなように、キャパシタC1をアンテナ素子A1の中央点Q0に接続したときに、金属板30が離れているときは、アンテナ装置108はモノポールアンテナに類似した放射特性を有し、金属板30が接近すると一般的な磁流アンテナのループアンテナに類似した放射特性を有するため、金属板30の距離Dに依らず良好なアンテナ利得特性を得ることができる。また、図33に示すように、キャパシタC1を給電点Q近傍に接続したときは、水平偏波成分が比較的小さくなるため、特に金属板30が接近したときにアンテナ利得の低下が生じてしまう。さらに、図34に示すように、キャパシタC1を微小ループアンテナA3側の一端に接続したときは、垂直偏波成分が比較的小さくなり、金属板30から離れているときアンテナ利得の低下が生じてしまう。従って、キャパシタC1をアンテナ素子A1の実質的な中央点Q0付近に挿入接続することにより、金属板30の位置に依らず常に良好なアンテナ利得を保持することができる。
以上の実施形態においては、キャパシタC1をアンテナ素子A1の中央点Q0、その両端部Q1,Q2に挿入接続しているが、本発明はこれに限らず、アンテナ素子A1の任意の途中の位置に挿入してもよい。また、キャパシタC1を、アンテナ素子A2又は微小ループアンテナA3の任意の位置に挿入接続してもよい。さらに、キャパシタC1を複数のキャパシタで分散し、分散した複数のキャパシタを、アンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3のうちの少なくとも1つの任意の複数の位置に分散して挿入接続してもよい。
第4の実施形態の変形例.
図35は、本発明の第4の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置104Aの構成を示す斜視図である。図35において、第4の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置104Aは、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、図26のキャパシタC1に代えて、直列に接続した2個のキャパシタC1−1,C1−2をアンテナ素子A1に接続したことを特徴としている。これにより、以下に示すように、アンテナ装置104Aの共振周波数の製造ばらつきを小さくすることができる。
本実施形態に係るアンテナ装置104Aでは、例えば1pFである比較的小さな容量のキャパシタC1−1,C1−2を用いている。容量が0.5pF〜10pFである市販の高精度セラミック積層チップコンデンサでは、容量誤差が割合ではなく絶対値で規定されている。例えば1pFのコンデンサでは、±0.1pFの誤差を持っている。これは容量ばらつきが±10%に相当する。ここで容量が10%ばらつくとアンテナ装置104Aの共振周波数は、±4.9%ばらつく。本実施形態に係るアンテナ装置104Aで、VSWR<2が得られる比帯域幅は10%程度であるため、製造余裕がほとんどなくなってしまう。そこで、本実施形態では、例えば2pFのキャパシタC1−1,C1−2を2個直列に接続して合成容量1pFを得ている。2pFのキャパシタC1−1,C1−2の容量誤差は±0.1pFであるため、合成容量の誤差は±5%となり、共振周波数は±2.5%のばらつきに抑えられる。これにより製造時に共振周波数の調整を行わなくても製品歩留まりを向上することができる。
以上の実施形態においては、2個のキャパシタC1−1,C1−2を直接に接続しているが、本発明はこれに限らず、複数個のキャパシタを直列に接続してもよい。
図36は、本発明の第4の実施形態の第2の変形例に係るアンテナ装置104Bの構成を示す斜視図である。図36において、第4の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置104Bは、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、図26のキャパシタC1に代えて、直列に接続した2個のキャパシタC1−1,C1−2と、直列に接続した2個のキャパシタC1−3,C1−4とを並列に接続し、この並列素子回路をアンテナ素子A1に接続したことを特徴としている。これにより、以下に示すように、アンテナ装置104Bの共振周波数の製造ばらつきを小さくし、キャパシタによる高周波信号の損失を低減することができる。
2つのキャパシタを直列に接続した場合、キャパシタ部品の高周波抵抗成分が直列に接続された形となるため、損失が増大しアンテナ利得が低下する場合がある。そこで、本実施形態では、例えば1pFのキャパシタC1−1乃至C1−4を4個用い、2個ずつ直列に接続したものを2組並列に接続する構成をとっている。ここで、仮に各キャパシタC1−1乃至C1−4の高周波抵抗成分を1Ωとすると、キャパシタを2個直列に接続したときの合成抵抗は2Ωであるが、上記のようにキャパシタを4個接続したときの合成抵抗は1Ωとなる。従って、キャパシタを2個直列に接続したときの半分の損失になる。
次いで、容量誤差について考える。例えば容量2pF±0.1pFのキャパシタを2個直列とすると、容量ばらつきは±5%である。一方、容量1pF±0.1pFのキャパシタを上記のような構成で4個接続すると容量ばらつきは±10%となり2個直列の場合よりも一見悪化しているように思われる。しかしながら、実際には各キャパシタC1−1乃至C1−4のばらつきの分布は中央値を中心とした正規分布に類似した分布を示し、互いに相関がないため、キャパシタを4個で構成したときにはばらつき幅がほぼ±5%以内に収まり、キャパシタ2個で構成した場合とほぼ同じばらつき幅となる。すなわち、キャパシタ4個構成では容量ばらつきを2個構成とほぼ同等に抑えながら、損失成分を半分に抑えることができる。
以上の実施形態においては、キャパシタを2個ずつ直列に接続したものを2組並列に接続しているが、本発明はこれに限らず、キャパシタを複数個直列に接続したものを複数組並列に接続してもよい。
第9の実施形態.
図37は、本発明の第9の実施形態に係るアンテナ装置109の構成を示す斜視図である。図37において、第9の実施形態に係るアンテナ装置109は、図30の第7の実施形態に係るアンテナ装置107に比較して、アンテナ素子A2の接地側の一端において周波数切り換え回路51を接続したことを特徴としており、当該周波数切り換え回路51の詳細については、図41乃至図44を参照して詳細後述する。
第10の実施形態.
図38は、本発明の第10の実施形態に係るアンテナ装置110の構成を示す斜視図である。図38において、第10の実施形態に係るアンテナ装置110は、図30の第7の実施形態に係るアンテナ装置107に比較して、アンテナ素子A2の接地側の一端及びアンテナ素子A2の実質的な中央点A2mに、周波数切り換え回路52を接続したことを特徴としており、当該周波数切り換え回路52の詳細については、図45乃至図50を参照して詳細後述する。
第11の実施形態.
図39は、本発明の第11の実施形態に係るアンテナ装置111の構成を示す斜視図である。図39において、第11の実施形態に係るアンテナ装置111は、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、アンテナ素子A2の接地側の一端において周波数切り換え回路51を接続したことを特徴としており、当該周波数切り換え回路51の詳細については、図41乃至図44を参照して詳細後述する。
第12の実施形態.
図40は、本発明の第12の実施形態に係るアンテナ装置112の構成を示す斜視図である。図40において、第12の実施形態に係るアンテナ装置112は、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、アンテナ素子A2の接地側の一端及びアンテナ素子A2の実質的な中央点A2mに、周波数切り換え回路52を接続したことを特徴としており、当該周波数切り換え回路52の詳細については、図45乃至図50を参照して詳細後述する。
周波数切り換え回路の実施例
図41は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第1の実施例51−1の電気回路を示す回路図である。図41において、アンテナ素子A2の接地側の一端は、キャパシタC3を介して接地されるとともに、スイッチSW3を介して接地される。ここで、アンテナ素子A1に接続されるキャパシタC1の容量を例えば約10pFとし、キャパシタC3の容量を例えば約1pFとしたとき、スイッチSW3をオフとしたときのキャパシタC1,C3の合成容量は、キャパシタC3の容量より小さい。そのため、スイッチSW3をオンとしたときに、アンテナ装置の共振周波数が例えば約5%低下させることができる。すなわち、スイッチSW3をオン・オフすることにより、アンテナ装置の共振周波数を選択的に切り換えることができる。
図42は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第2の実施例51−2の電気回路を示す回路図である。図42においては、図41のキャパシタC3に代えてインダクタL1を用いており、図41及び図42のいずれの場合においてもリアクタンス素子を挿入している。本実施例では、スイッチSW3をオンすることによりインダクタL1を短絡することにより、アンテナ装置のインダクタンス値が小さくなり、共振周波数を上げることができる。例えば、インダクタL1のインダクタンス値を、微小ループアンテナA3のインダクタンス値の10%に設定した場合、スイッチSW3の切り替えにより、共振周波数をおよそ5%だけ可変できる。
図43は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第3の実施例51−3の電気回路を示す回路図である。図43においては、図41の回路において、スイッチSW3と並列にインダクタL2を接続したことを特徴としている。ここで、インダクタL2のインダクタンス値は、スイッチSW3がオフのときであって、スイッチSW3を高周波半導体ダイオードで構成したときのその寄生容量を並列共振でキャンセルするように設定することが好ましい。本実施例では、スイッチSW3の寄生容量は例えば約2pFであり、インダクタL2のインダクタンス値として約68nHを用いる。これにより、例えば429MHz帯において、スイッチSW3の寄生容量の影響をキャンセルすることができる。これにより、スイッチSW3がオフのときに、その寄生容量のために共振周波数が設計値よりずれてしまう問題点を解決できる。
図44は、図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第4の実施例51−4の電気回路を示す回路図である。図44では、図42の回路にインダクタL2を追加したことを特徴としており、上述の第3の実施例51−3と同様の作用効果を有する。
図45は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第1の実施例52−1の電気回路を示す回路図である。図45において、アンテナ素子A2の一端は接地され、アンテナ素子A2の実質的な中央点A2mは、キャパシタC4及びスイッチSW4を介して接地される。ここで、アンテナ素子A2は高周波的なインダクタンス成分を含む。スイッチSW4をオンすると、アンテナ装置の共振周波数が変化するが、キャパシタC4の容量によって周波数変化の方向が異なる。
本発明者らが試作したアンテナ装置では、キャパシタC1の容量を約1pFとし、キャパシタC4の容量を約10pFとした場合、429MHzと426MHzに共振周波数を切り換えている。ここで、スイッチSW4をオンすると共振周波数が高くなる。これは、キャパシタC4によりアンテナ素子A2の中央点A2mが短絡接地された形になり、微小ループアンテナA3のインダクタンス値が実質的に小さくなるためである。
ここで、アンテナ素子A2での接続点A2mの位置及びキャパシタC4の容量値を適当に選択することによりスイッチSW4をオンしたときの共振周波数の変化量を調整することができる。すなわち、アンテナ素子A2での接続点A2mを微小ループアンテナA3から離れた位置(すなわち、接地に近い位置)に配置すると当該アンテナ装置のインダクタンス成分が大きくなり、スイッチSW4をオンしたときの共振周波数変化が大きい。また、キャパシタC4の容量値を大きくすると、スイッチSW4をオンしたときの共振周波数変化が大きい。
図46は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第2の実施例52−2の電気回路を示す回路図である。図46において、図45のキャパシタC4に代えて、インダクタL2を接続したことを特徴としており、図45及び図46のいずれの場合もリアクタンス素子を挿入している。本実施例において、アンテナ素子A2は高周波的なインダクタンス成分を含み、スイッチSW4をオンすると、共振周波数が大きくなる場合を示している。これは、アンテナ素子A2のインダクタンス成分に並列に、インダクタL2が接続されており、スイッチSW4がオフのときの上記インダクタンス成分に比べて、オンしたときのインダクタ成分とインダクタL2との合成インダクタンス値は小さくなるためである。そして、例えば上記インダクタ成分のインダクタンス値に比べて、インダクタL2のインダクタンス値を10倍程度に選べば、共振周波数を少しだけ変化させることが可能になる。
図47は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第3の実施例52−3の電気回路を示す回路図である。図47においては、図45の回路のアンテナ素子A2の接地側一端をキャパシタC5を介して接地したことを特徴としている。本実施例では、スイッチSW4のオフ時の共振周波数は、アンテナ素子A1,A2の各インダクタンス値と、キャパシタC1及びC5の各容量値、並びに微小ループアンテナA3のインダクタンス値により決まるが、スイッチSW4のオン時の共振周波数は、これらに加えてキャパシタC4の容量値で決まる。ここで、スイッチSW4をオン・オフすることにより、アンテナ装置の共振周波数を変化させることができる。
図48は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第4の実施例52−4の電気回路を示す回路図である。図48においては、図46の回路のアンテナ素子A2の接地側一端をインダクタL3を介して接地したことを特徴としており、図47及び図48のいずれの場合もリアクタンス素子を挿入している。本実施例では、スイッチSW4のオフ時の共振周波数は、アンテナ素子A1,A2の各インダクタンス値と、キャパシタC1の容量値、インダクタL3のインダクタンス値、並びに微小ループアンテナA3のインダクタンス値により決まるが、スイッチSW4のオン時の共振周波数は、これらに加えてキャパシタC4の容量値で決まる。ここで、スイッチSW4をオン・オフすることにより、アンテナ装置の共振周波数を変化させることができる。
図49は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第5の実施例52−5の電気回路を示す回路図である。図49においては、図47の回路のスイッチSW4と並列にインダクタL2を接続したことを特徴としている。ここで、インダクタL2のインダクタンス値は、スイッチSW4がオフのときであって、スイッチSW4を高周波半導体ダイオードで構成したときのその寄生容量を並列共振でキャンセルするように設定することが好ましい。本実施例では、スイッチSW4の寄生容量は例えば約2pFであり、インダクタL2のインダクタンス値として約68nHを用いる。これにより、例えば429MHz帯において、スイッチSW4の寄生容量の影響を実質的にキャンセルすることができる。これにより、スイッチSW4がオフのときに、その寄生容量のために共振周波数が設計値よりずれてしまう問題点を解決できる。
図50は、図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第6の実施例52−6の電気回路を示す回路図である。図50においては、図48の回路のスイッチSW4と並列にインダクタL2を接続したことを特徴としている。これにより、図49の実施例と同様に、スイッチSW4のオフ時の寄生容量の影響を実質的にキャンセルできる。
なお、図45及び図46の回路においても、スイッチSW4に対して並列に、スイッチSW4のオフ時の寄生容量の影響をキャンセルするためのインダクタL2を接続してもよい。
以上の実施形態における周波数切り換え回路51,52を使用する周波数帯域の拡大の目的で用いたが、共振周波数ばらつきが多い場合に、共振周波数を所望の周波数に合わせるための、周波数調整の目的で用いてもよい。
以上の実施形態において、周波数切り換え回路51を、アンテナ素子A2と接地との間に挿入しているが、本発明はこれに限らず、微小ループアンテナA3とアンテナ素子A1,A2の少なくとも1つに接続し、追加挿入したリアクタンス素子を並列に短絡するスイッチSW3を接続すればよい。
以上の実施形態において、周波数切り換え回路52で各リアクタンス素子を接続する点は、アンテナ素子A2の中央点A2m又はアンテナ素子A2の接地側端部であるが、本発明はこれに限らず、微小ループアンテナA3とアンテナ素子A1,A2の少なくとも1つに接続し、追加挿入したリアクタンス素子を接地短絡するスイッチSW4を接続すればよい。
第13の実施形態.
図51は、本発明の第13の実施形態に係るアンテナ装置113の構成を示す斜視図である。第13の実施形態に係るアンテナ装置113は、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して以下の点が異なる。
(1)誘電体基板10の左奥側のおもて面上に、プリント配線法を用いて、アンテナ素子A1,A2とは直交するように、それぞれ実質的に直線形状の銅箔のストリップ導体にてなるアンテナ素子A1a,A2aを形成した。なお、アンテナ素子A1a,A2aが形成されている誘電体基板10の左奥側部の裏面において接地導体11は形成されていない。また、アンテナ素子A2aの接地側端部は、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに充填されたスルーホール導体13aを介して接地導体11に接続されて接地される。
(2)誘電体基板10の長手方向の左奧側部において、誘電体基板10及び14に対して垂直であって誘電体基板14と実質的に同一の幅を有する誘電体基板14aを立設した。ここで、誘電体基板14aの幅方向は、誘電体基板10の長手方向と平行である。
(3)微小ループアンテナA3aを上記誘電体基板14a上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、微小ループアンテナA3aの接地側近傍の端部において、誘電体基板14aを厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体15aを形成し、微小ループアンテナA3aの接地側近傍の端部はスルーホール導体15a、並びに、誘電体基板14aの裏面に形成されたストリップ導体15asを介してアンテナ素子A2aに接続される。
(4)キャパシタC1aは、給電点Q近傍ではなく、好ましくは、図51に示すように、アンテナ素子A1aの概略中央点に接続される。
(5)アンテナ素子A1の給電点Q側端部はスイッチSW5の接点a及びスイッチSW6の接点bに接続され、アンテナ素子A1aの給電点Q側端部は、スイッチSW5の接点b及びスイッチSW6の接点aに接続される。スイッチSW5の共通端子は給電点Qに接続され、スイッチSW6の共通端子は接地される。これらスイッチSW5及びSW6は連動して例えば無線通信回路20内のコントローラ24(図1参照)により制御される。
以上のように構成されたアンテナ装置113において、互いにループ軸方向が直交する微小ループアンテナA3及びA3aと、互いに直交するアンテナ素子A1,A2及びA1a,A2aとをそれぞれ有する2つのアンテナ113A、113Bを備えており、コントローラ24(図1参照)により、例えばアンテナ113Aにより受信される無線信号のレベルがアンテナ113Bにより受信される無線信号のレベルよりも大きいとき、スイッチSW5を接点a側に切り換えるとともにスイッチSW6を接点b側に切り換える一方、その逆の場合は、スイッチSW5を接点b側に切り換えるとともに、スイッチSW6を接点a側に切り換える。これにより、より大きな受信レベルを有するアンテナを選択して無線通信回路20に接続し(当該アンテナを使用中のアンテナという。)、かつ無線通信回路20に接続していない未使用のアンテナを接地している。ここで、未使用のアンテナを接地することにより当該未使用のアンテナの影響で使用中のアンテナの動作特性に対して劣化させることを防止できる。
これら2つのアンテナ113A,113Bは互いに直交する指向特性及び偏波特性を有しているので、ルートダイバーシチ効果及び偏波ダイバーシチ効果を得ることができる。例えば、家庭内のように壁等が多い環境においては、マルチパスにより複数の方向より受信があるため指向特性を切り換えることによりルートダイバーシチ効果が得られる。また、金属板30に接近している場合には、互いに直交する偏波特性を有する2つのアンテナ113A,113Bを用いて、偏波ダイバーシチ効果を得ることができる。さらに、金属板30からの距離Dによって指向特性及び偏波面が変化するが、各アンテナ113A,113Bの指向特性や偏波面が互いに直交するように変化するため、ダイバーシチ効果を常に保持することができる。
以上の実施形態においては、2個のアンテナ113A,113Bを備えてアンテナ装置113を構成しているが、複数個の同様のアンテナを備えて、スイッチSW5を用いて選択的に切り換えてもよい。
第14の実施形態.
図52は、本発明の第14の実施形態に係るアンテナ装置114の構成を示す平面図である。第14の実施形態に係るアンテナ装置114は、図30の第7の実施形態に係るアンテナ装置107に比較して以下の点が異なる。
(1)誘電体基板10の左側のおもて面上に、プリント配線法を用いて、アンテナ素子A1,A2とは直交するように、それぞれ実質的に直線形状の銅箔のストリップ導体にてなるアンテナ素子A1a,A2aを形成した。なお、アンテナ素子A1a,A2aが形成されている誘電体基板10の左側部の裏面において接地導体11は形成されていない。また、アンテナ素子A2aの接地側端部は、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに充填されたスルーホール導体13aを介して接地導体11に接続されて接地される。
(2)微小ループアンテナA3aを上記誘電体基板10の左側縁端部のおもて面上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、微小ループアンテナA3aの接地側近傍の端部において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体16aを形成し、また、スルーホール導体16aの近傍であって、スルーホール導体16aから微小ループアンテナA4aのストリップ導体を挟設した位置に、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体17aを形成した。ここで、微小ループアンテナA3aの接地側近傍の端部は、スルーホール導体16a、誘電体基板10の裏面に形成されたストリップ導体16as、スルーホール導体17aを介してアンテナ素子A2aに接続される。
(3)キャパシタC1aは、給電点Q近傍ではなく、好ましくは、図52に示すように、アンテナ素子A1aの概略中央点に接続される。
(4)アンテナ素子A1の給電点Q側端部はスイッチSW5の接点aに接続され、アンテナ素子A1aの給電点Q側端部は、スイッチSW5の接点bに接続される。スイッチSW5の共通端子は給電点Qに接続される。
以上のように構成されたアンテナ装置114において、互いにループ軸方向が平行な微小ループアンテナA3及びA3aと、互いに直交するアンテナ素子A1,A2及びA1a,A2aとをそれぞれ有する2つのアンテナ114A、114Bを備えており、例えば無線通信回路20内のコントローラ24(図1参照)により制御されるスイッチSW5により、例えばアンテナ114Aにより受信される無線信号のレベルがアンテナ114Bにより受信される無線信号のレベルよりも大きいとき、スイッチSW5を接点a側に切り換える一方、その逆の場合は、スイッチSW5を接点b側に切り換える。これら2つのアンテナ114A,114Bは互いに異なる指向特性及び偏波特性を有しているので、ルートダイバーシチ効果及び偏波ダイバーシチ効果を得ることができる。
本実施形態においては、特に、誘電体基板10に金属板30が近接した場合にはアンテナ利得が低下するが、1枚の誘電体基板10上に、2つのアンテナ114A,114Bを備えたダイバーシチアンテナを構成できるため、アンテナ装置114を備えた無線通信装置の薄型化、小型化に有利な構成を有する。携帯無線通信装置への適用、もしくは金属板30が対向して配置されない無線通信装置への適用に向いている。
以上の実施形態においては、2個のアンテナ114A,114Bを備えてアンテナ装置114を構成しているが、複数個の同様のアンテナを備えて、スイッチSW5を用いて選択的に切り換えてもよい。
第15の実施形態.
図53は、本発明の第15の実施形態に係るアンテナ装置115の構成を示す斜視図である。図54は、図53のアンテナ装置115の裏側の構造を示す斜視図である。図55は、図54の基板嵌合連結部の詳細を示す斜視図である。
第15の実施形態に係るアンテナ装置115は、図26の第4の実施形態に係るアンテナ装置104に比較して、誘電体基板14を誘電体基板10に立設するとき、誘電体基板14の下端面に高さ方向に突出するように形成した凸部61,62をそれぞれ、誘電体基板10の奥側縁端部に形成した穴部71,72に嵌合させる基板嵌合連結部を備えたことを特徴としており、以下これについて詳述する。
図53及び図54において、誘電体基板10の奥側縁端部には、誘電体基板10を厚さ方向に貫通する矩形の穴部71,72が形成される一方、誘電体基板14の下端面には、上記穴部71,72にそれぞれ嵌合する矩形柱形状の凸部61,62が形成される。
ここで、誘電体基板10の穴部71の近傍位置までアンテナ素子A1のストリップ導体が延在して形成され、当該穴部71の近傍位置において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体73を形成し、アンテナ素子A1の端部は当該スルーホール導体73を介して誘電体基板10の裏面の接続導体81に接続される。当該接続導体81は穴部71を間に挟み、誘電体基板10の長手方向での穴部71の両側において形成される。接続導体81において、穴部71を挟むその中央部で所定の面積を有する導体露出部81pのみその導体が露出するように、その他の部分はレジスト(図示せず。)を形成し、各導体露出部81pのみで半田付け可能にしている。
また、誘電体基板10の穴部72の近傍位置までアンテナ素子A2のストリップ導体が延在して形成され、当該穴部72の近傍位置において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体74を形成し、アンテナ素子A1の端部は当該スルーホール導体74を介して誘電体基板10の裏面の接続導体82に接続される。当該接続導体82は穴部72を間に挟み、誘電体基板10の長手方向での穴部72の両側において形成される。接続導体82において、穴部72を挟むその中央部で所定の面積を有する導体露出部82pのみその導体が露出するように、その他の部分はレジスト(図示せず。)を形成し、各導体露出部82pのみで半田付け可能にしている。
一方、誘電体基板14のアンテナ素子A1,A2側の第1の面(なお、第1の面に平行な反対側の面を誘電体基板14の第2の面という。)において、微小ループアンテナA3のストリップ導体15Atが形成され、その一端は、凸部61のアンテナ素子A1,A2側の第1の面(なお、第1の面に平行な反対側の面を凸部61の第2の面という。また、凸部62についても、同様に第1と第2の面を定義する。)に形成された矩形の接続導体63に接続される一方、その他端は、誘電体基板14の厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することにより形成されたスルーホール導体15Aを介して、誘電体基板14の第2の面に形成された微小ループアンテナA3のストリップ導体15Asに接続される。そのストリップ導体15Asの端部は、凸部62の第2の面まで延在した後、当該凸部62の第2の面に形成された接続導体64に接続される。
さらに、矩形の接続導体63は凸部61の第1と第2の面の両方に形成され、これら両方に形成された接続導体63は、当該接続導体63の形成領域において、誘電体基板14を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填して形成されたスルーホール導体63cを介して互いに接続されるとともに、その一部分の中央部で所定の面積を有する導体露出部63pのみその導体が露出するように、その他の部分はレジスト(図示せず。)を形成し、各導体露出部63pのみで半田付け可能にしている。また、矩形の接続導体64は凸部62の第1と第2の面の両方に形成され、これら両方に形成された接続導体64は、当該接続導体64の形成領域において、誘電体基板14を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填して形成されたスルーホール導体64cを介して互いに接続されるとともに、その一部分の中央部で所定の面積を有する導体露出部64pのみその導体が露出するように、その他の部分はレジスト(図示せず。)を形成し、各導体露出部64pのみで半田付け可能にしている。
そして、誘電体基板14の凸部61,62をそれぞれ、誘電体基板10の穴部71,72に嵌合させた後、凸部61,62の導体露出部63p,64pをそれぞれ、誘電体基板10側の導体露出部81p,82pに、例えば半田82ph(図55参照)を用いて半田付けにより電気的に接続する。これにより、誘電体基板10と誘電体基板14とが固定連結される。
なお、誘電体基板10,14としては、例えば、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、セラミック基板、テフロン(登録商標)基板など任意の基板材料を用いてもよい。また、2つの誘電体基板10,14で基板材料を変えてもよい。例えば、誘電体基板10は微細パターンが形成できるガラスエポキシ基板(FR4)を用い、誘電体基板14は安価な紙フェノール基板などを用いることができる。
以上の実施形態においては、誘電体基板10,14は所定の厚さを有し、凸部61,62と、穴部71,72との間の基板嵌合連結部の構造により、互いに強固に固定することができる。また、凸部61,62と穴部71,72は誘電体基板10,14のデュータ加工法又は型抜き加工法で容易に製作することができ、寸法誤差を小さくできる。そして、アンテナ装置115の構成要素をストリップ導体により形成しているので、各電気回路要素値のばらつきを抑えることができるため、アンテナ装置115の共振周波数のばらつきを抑えることができ、製造時の周波数調整工程を省略することができる。
さらに、接続導体63,64,81,82においてそれぞれその中央部において所定の面積を有する導体露出部63p,64p,81p,82pを形成して半田付けしている。ここで、接続導体63,64,81,82において高周波信号を流したとき、表皮効果により各周辺部に、より大きな高周波電流が流れるが、当該各周辺部を導体露出部とせず、半田付けしない領域とすることにより、半田の付着量によるキャパシタンス及びインダクタンスの変化量を極力小さくする抑えることにより、アンテナ装置の共振周波数のばらつきを抑えることができる。
以上の実施形態においては、2つの凸部61,62をそれぞれ、2つの穴部71,72に嵌合させているが、本発明はこれに限らず、少なくとも1つの凸部をそれに対応する少なくとも1つの穴部に嵌合させてもよい。
第16の実施形態.
図56は、本発明の第16の実施形態に係るアンテナ装置116の構成を示す斜視図である。第16の実施形態に係るアンテナ装置116は、図53の第15の実施形態に係るアンテナ装置115に比較して、基板嵌合連結構造が以下のように異なることを特徴としている。
図56において、誘電体基板10はその長手方向の端面から長手方向で突出する矩形柱形状の凸部201,202を有する一方、誘電体基板14はその厚さ方向に貫通する矩形の穴部211,212を有する。ここで、凸部201,202の厚さ方向の両面にそれぞれ、矩形の接続導体203,204を形成し、両面の各接続導体203,204はそれぞれスルーホール導体203c,204cにより電気的に接続される。また、両面の各接続導体203,204の端面側の中央部においてそれぞれ、第15の実施形態における導体露出部63p,64p,81p,82pと同様の導体露出部203p,204pを形成した。
一方、誘電体基板14の一方の面において、微小ループアンテナA3のストリップ導体15Asが形成され、その一端は穴部211の近傍に形成された接続導体213に接続され、その他端は穴部212の近傍に形成された接続導体214に接続される。ここで、接続導体213,214はそれぞれ穴部211,212を間に挟んで、誘電体基板14の高さ方向の両側に形成され、かつ第15の実施形態における導体露出部63p,64p,81p,82pと同様の導体露出部213p,214pを有する。
以上の実施形態においては、誘電体基板10の凸部201,202をそれぞれ誘電体基板14の穴部211,212に挿入して導体露出部203p,204pをそれぞれ導体露出部213p,214pに半田付けにより接続することにより、誘電体基板10を誘電体基板14に強固に連結して固定できる。本実施形態に係るアンテナ装置116は、第15の実施形態に係るアンテナ装置115と同様の作用効果を有する。
また、本実施形態によれば、誘電体基板14を誘電体基板10に挿入する構成としたために、微小ループアンテナA3のストリップ導体の形状を、第15の実施形態に比較して大きくすることができる。特に、本実施形態に係るアンテナ装置116を樹脂ケースなどに格納して使用する場合には樹脂ケースの厚さ方向一杯まで誘電体基板14を大きくすることができるという利点がある。
以上の実施形態においては、2つの凸部201,202をそれぞれ、2つの穴部211,212に嵌合させているが、本発明はこれに限らず、少なくとも1つの凸部をそれに対応する少なくとも1つの穴部に嵌合させてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、導体がアンテナ接近していても離れていても、従来技術の微小ループアンテナに比較して高いアンテナ利得を得ることができるアンテナ装置と、それを用いた無線通信装置を提供することができる。従って、本発明に係るアンテナ装置を、ページャ、携帯電話機などの移動体無線通信装置や白物家庭電化製品などに内蔵又は装着される無線通信装置のアンテナ装置として幅広く適用できる。また、ガスメータ、電気メータ、水道メータなどに設置される自動検針装置のアンテナ装置としても用いることができる。
本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置101の構成を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置102の構成を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置103の構成を示す斜視図である。 図1のアンテナ装置101に金属板30を近接したときの状態を示す斜視図である。 図1のアンテナ装置101の等価回路を示す回路図である。 図4の状態で実行した実験のために用いる実験システムを示す正面図である。 図6の実験結果であって、金属板30からアンテナ装置101までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。 図6の実験のために用いる第2の比較例に係るアンテナ装置192の構成を示す平面図である。 図6の実験のために用いる第2の実施形態に係るアンテナ装置102の構成を示す平面図である。 図6の実験のために用いる第1の比較例に係るアンテナ装置191の構成を示す平面図である。 図6の実験のために用いる第1の実施形態に係るアンテナ装置101の構成を示す平面図である。 図8乃至図11の各アンテナ装置について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。 図11のアンテナ装置101について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。 図9のアンテナ装置102について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。 図10のアンテナ装置191について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。 図8のアンテナ装置192について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。 図8乃至図11の各アンテナ装置について図6の実験を行ったときの実験結果であって、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対する各アンテナ装置の給電点Qにおける入力電圧定在波比(入力VSWR)を示すグラフである。 図1のアンテナ装置101について図6の実験を行ったときの実験結果であって、ループアンテナA3の巻き回数Nをパラメータとしたときの、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。 図1のアンテナ装置101において巻き回数N=1.5のときの動作を示すための概略正面図である。 図19の動作における見かけ上の動作状態を示す概略正面図である。 図1のアンテナ装置101において巻き回数N=2のときの動作を示すための概略正面図である。 図21の動作における見かけ上の動作状態を示す概略正面図である。 図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させたときの効果を示す、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。 図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させたときにおける、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。 図1のアンテナ装置101のアンテナ素子A2の素子幅を増大させないとき、すなわち図1のアンテナ装置101における、金属板30から各アンテナ装置までの距離Dに対するX方向のアンテナ利得を示すグラフである。 本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置104の構成を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係るアンテナ装置105の構成を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態の変形例に係るアンテナ装置105Aの構成を示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態に係るアンテナ装置106の構成を示す斜視図である。 本発明の第7の実施形態に係るアンテナ装置107の構成を示す斜視図である。 本発明の第8の実施形態に係るアンテナ装置108の構成を示す斜視図である。 図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1の中央位置Q0に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。 図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1の給電点Q側端部Q1に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。 図31のアンテナ装置108において、キャパシタC1をアンテナ素子A1のループアンテナA3側端部Q2に接続したときの、金属板30からアンテナ装置108までの距離Dに対するアンテナ利得を示すグラフである。 本発明の第4の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置104Aの構成を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態の第2の変形例に係るアンテナ装置104Bの構成を示す斜視図である。 本発明の第9の実施形態に係るアンテナ装置109の構成を示す斜視図である。 本発明の第10の実施形態に係るアンテナ装置110の構成を示す斜視図である。 本発明の第11の実施形態に係るアンテナ装置111の構成を示す斜視図である。 本発明の第12の実施形態に係るアンテナ装置112の構成を示す斜視図である。 図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第1の実施例51−1の電気回路を示す回路図である。 図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第2の実施例51−2の電気回路を示す回路図である。 図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第3の実施例51−3の電気回路を示す回路図である。 図37及び図39のアンテナ装置109,111の周波数切り換え回路51の第4の実施例51−4の電気回路を示す回路図である。 図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第1の実施例52−1の電気回路を示す回路図である。 図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第2の実施例52−2の電気回路を示す回路図である。 図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第3の実施例52−3の電気回路を示す回路図である。 図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第4の実施例52−4の電気回路を示す回路図である。 図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第5の実施例52−5の電気回路を示す回路図である。 図38及び図40のアンテナ装置110,112の周波数切り換え回路52の第6の実施例52−6の電気回路を示す回路図である。 本発明の第13の実施形態に係るアンテナ装置113の構成を示す斜視図である。 本発明の第14の実施形態に係るアンテナ装置114の構成を示す平面図である。 本発明の第15の実施形態に係るアンテナ装置115の構成を示す斜視図である。 図53のアンテナ装置115の裏側の構造を示す斜視図である。 図54の基板嵌合連結部の詳細を示す斜視図である。 本発明の第16の実施形態に係るアンテナ装置116の構成を示す斜視図である。
(1)アンテナ素子A1,A2が形成されている誘電体基板10の奥側縁端部の裏面において、接地導体11とは、誘電体基板10の長手方向の所定の間隔dをおいて、接導体11と電気的に絶縁されるように、浮遊導体11Aが形成される。ここで、浮遊導体11Aは、アンテナ素子A1,A2及び微小ループアンテナA3とは電磁的に結合するように近接して形成されている。
(2)接地導体11と浮遊導体11Aとの間に、例えば機械的な接点スイッチであるスイッチSW1が接続される。
以上のように構成されたアンテナ装置105において、スイッチSW1をオン又はオフに切り換えることにより、アンテナ素子A1,A2の誘電体基板10を介した接地状態を変化させている。すなわち、スイッチSW1がオフのときには、浮遊導体11Aが接地されておらず、接地電位から電気的に浮いている状態であるため、アンテナ装置105を構成する微小ループアンテナA3のストリップ導体及びアンテナ素子A1,A2のストリップ導体の電位変化に与える影響は小さい。このとき、図7において垂直偏波成分として示す特性に近いアンテナ利得特性となる。一方、スイッチSW1がオンのときは、浮遊導体11AがスイッチSW1を介して接地導体11に接続されて接地されるために、図7において、誘電体基板10の裏面側に金属板30が接近した場合に相当する水平偏波成分に近いアンテナ利得特性となる。すなわち、スイッチSW1のオン・オフによりアンテナ装置105の放射方向の指向特性及び偏波面の方向を切り換えることができる。特に、偏波面はほぼ90度変化し、これにより、ダイバーシチ効果を得ることができ、無線通信回路20の通信性能を大幅に改善することができる。
本実施形態によれば、2つの浮遊導体11A,30Aが設けられ、各浮遊導体11A,30のうち少なくとも1つを接地するように、スイッチSW1,SW2をそれぞれオン・オフすることにより、送受信される無線信号の電波の指向特性や偏波面を切り換えることができる。例えば、スイッチSW1をオンすることにより、図7の金属板30の近接時に示すようにY方向の水平偏波成分が支配的になり、金属板30の離隔時において水平偏波成分(Y方向)のX方向への放射が支配的になる。また、スイッチSW2をオンすることにより、接地導体となる浮遊導体30Aが反射板となり、水平偏波成分(X方向)のY方向への放射が増大することになる。従って、金属板30の離隔時においては、2つの浮遊導体11A,30Aは互いに直交しているので、主ビーム方向を90度程度変化させることが可能である。
(1)誘電体基板10の左側のおもて面上に、プリント配線法を用いて、アンテナ素子A1,A2とは直交するように、それぞれ実質的に直線形状の銅箔のストリップ導体にてなるアンテナ素子A1a,A2aを形成した。なお、アンテナ素子A1a,A2aが形成されている誘電体基板10の左側部の裏面において接地導体11は形成されていない。また、アンテナ素子A2aの接地側端部は、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに充填されたスルーホール導体13aを介して接地導体11に接続されて接地される。
(2)微小ループアンテナA3aを上記誘電体基板10の左側縁端部のおもて面上に、プリント配線法を用いて、銅箔のストリップ導体を形成することにより構成した。なお、微小ループアンテナA3aの接地側近傍の端部において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体16aを形成し、また、スルーホール導体16aの近傍であって、スルーホール導体16aから微小ループアンテナAaのストリップ導体を挟設した位置に、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体17aを形成した。ここで、微小ループアンテナA3aの接地側近傍の端部は、スルーホール導体16a、誘電体基板10の裏面に形成されたストリップ導体16as、スルーホール導体17aを介してアンテナ素子A2aに接続される。
(3)キャパシタC1aは、給電点Q近傍ではなく、好ましくは、図52に示すように、アンテナ素子A1aの概略中央点に接続される。
(4)アンテナ素子A1の給電点Q側端部はスイッチSW5の接点aに接続され、アンテナ素子A1aの給電点Q側端部は、スイッチSW5の接点bに接続される。スイッチSW5の共通端子は給電点Qに接続される。
また、誘電体基板10の穴部72の近傍位置までアンテナ素子A2のストリップ導体が延在して形成され、当該穴部72の近傍位置において、誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホールに導体を充填することによりスルーホール導体74を形成し、アンテナ素子Aの端部は当該スルーホール導体74を介して誘電体基板10の裏面の接続導体82に接続される。当該接続導体82は穴部72を間に挟み、誘電体基板10の長手方向での穴部72の両側において形成される。接続導体82において、穴部72を挟むその中央部で所定の面積を有する導体露出部82pのみその導体が露出するように、その他の部分はレジスト(図示せず。)を形成し、各導体露出部82pのみで半田付け可能にしている。

Claims (30)

  1. 接地導体を有する誘電体基板と、
    上記誘電体基板に電磁的に近接して設けられ、所定の巻き回数Nで巻回されて所定の微小長さを有し、所定の金属板がアンテナ装置に近接したときに磁流アンテナとして動作する一方、上記金属板がアンテナ装置から離隔したときに電流アンテナとして動作する微小ループアンテナと、
    上記微小ループアンテナに接続され、電流アンテナとして動作する少なくとも1本のアンテナ素子とを備えたアンテナ装置であって、
    上記アンテナ装置の一端は給電点に接続され、上記アンテナ装置の他端は上記誘電体基板の接地導体に接続されたことを特徴とするアンテナ装置。
  2. 上記少なくとも1本のアンテナ素子は、上記誘電体基板の面と実質的に平行となるように設けられたことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  3. 2本のアンテナ素子を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
  4. 上記2本のアンテナ素子はそれぞれ実質的に直線形状であって、互いに平行となるように設けられたことを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
  5. 上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続され、上記微小ループアンテナのインダクタンスと直列共振するための少なくとも1個の第1のキャパシタをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  6. 上記第1のキャパシタは、上記アンテナ素子の実質的な中央点に挿入して接続したことを特徴とする請求項5記載のアンテナ装置。
  7. 上記第1のキャパシタは、複数個のキャパシタ素子を直列に接続してなることを特徴とする請求項5又は6記載のアンテナ装置。
  8. 上記第1のキャパシタは、複数個のキャパシタ素子を直列に接続してなる複数組の回路を互いに並列に接続したことを特徴とする請求項5又は6記載のアンテナ装置。
  9. 上記給電点に接続され、上記アンテナ装置の入力インピーダンスと、上記給電点に接続される給電ケーブルの特性インピーダンスとを整合させるインピーダンス整合回路をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至8のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  10. 上記微小ループアンテナは、そのループ軸方向が上記誘電体基板の面と実質的に直交するように設けられたことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  11. 上記微小ループアンテナは、そのループ軸方向が上記誘電体基板の面と実質的に平行となるように設けられたことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  12. 上記微小ループアンテナは、そのループ軸方向が上記誘電体基板の面に対して所定の傾斜角で傾斜されるように設けられたことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  13. 上記微小ループアンテナの巻き回数Nは実質的に、N=(n−1)+0.5(ここで、nは自然数である。)に設定されたことを特徴とする請求項1乃至12のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  14. 上記微小ループアンテナの巻き回数Nは実質的に、N=1.5に設定されたことを特徴とする請求項13記載のアンテナ装置。
  15. 上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子に電磁的に近接して設けられた少なくとも1個の浮遊導体と、
    上記浮遊導体を上記接地導体と接続し又は接続しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の指向特性又は偏波面を変化させる第1のスイッチ手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至14のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  16. 互いに実質的に直交するように設けられた2個の浮遊導体を備え、
    上記第1のスイッチ手段は、上記各浮遊導体を上記接地導体と接続し又は接続しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の指向特性及び偏波面の少なくとも一方を変化させることを特徴とする請求項15記載のアンテナ装置。
  17. 上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続された第1のリアクタンス素子と、
    上記第1のリアクタンス素子を短絡し又は短絡しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の共振周波数を変化させる第2のスイッチ手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至16のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  18. 上記第2のスイッチ手段は、そのオフ時に寄生容量を有する高周波半導体素子を含み、
    上記寄生容量を実質的にキャンセルするための第1のインダクタをさらに備えたことを特徴とする請求項17記載のアンテナ装置。
  19. 上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続された一端を有する第2のリアクタンス素子と、
    上記第2のリアクタンス素子の他端を接地し又は接地しないように選択的に切り換えることにより上記アンテナ装置の共振周波数を変化させる第3のスイッチ手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至16のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  20. 上記微小ループアンテナ及び上記アンテナ素子の少なくとも一方に接続された第3のリアクタンス素子をさらに備えたことを特徴とする請求項19記載のアンテナ装置。
  21. 上記第3のスイッチ手段は、そのオフ時に寄生容量を有する高周波半導体素子を含み、
    上記寄生容量を実質的にキャンセルするための第2のインダクタをさらに備えたことを特徴とする請求項19又は20記載のアンテナ装置。
  22. 請求項1乃至21のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置を複数個備え、
    上記複数個のアンテナ装置により受信された無線信号に基づいて、複数個のアンテナ装置を選択的に切り換えて、選択したアンテナ装置を給電点に接続する第4のスイッチ手段を備えたことを特徴とするアンテナ装置。
  23. 上記第4のスイッチ手段は、上記選択しないアンテナ装置を接地することを特徴とする請求項22記載のアンテナ装置。
  24. 上記アンテナ素子を、接地導体が形成されていない上記誘電体基板上に形成したことを特徴とする請求項1乃至23のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  25. 上記微小ループアンテナを別の誘電体基板上に形成したことを特徴とする請求項24記載のアンテナ装置。
  26. 上記別の誘電体基板は少なくとも1つの凸部を有し、
    上記誘電体基板は上記誘電体基板の少なくとも1つの凸部と嵌合する少なくとも1つの穴部を有し、
    上記別の誘電体基板の少なくとも1つの凸部を上記誘電体基板の少なくとも1つの穴部に嵌合させることにより、上記別の誘電体基板を上記誘電体基板に連結したことを特徴とする請求項25記載のアンテナ装置。
  27. 上記誘電体基板は少なくとも1つの凸部を有し、
    上記別の誘電体基板は上記誘電体基板の少なくとも1つの凸部と挿入して嵌合する少なくとも1つの穴部を有し、
    上記誘電体基板の少なくとも1つの凸部を上記別の誘電体基板の少なくとも1つの穴部に挿入して嵌合させることにより、上記誘電体基板を上記別の誘電体基板に連結したことを特徴とする請求項25記載のアンテナ装置。
  28. 上記誘電体基板上に形成され、上記アンテナ素子に接続された第1の接続導体と、
    上記別の誘電体基板上に形成され、上記微小ループアンテナに接続された第2の接続導体とをさらに備え、
    上記誘電体基板と上記別の誘電体基板とを連結したとき、上記第1の接続導体と上記第2の接続導体とを電気的に接続したことを特徴とする請求項26又は27記載のアンテナ装置。
  29. 上記第1の接続導体は、その一部分であって所定の第1の面積を有し、上記第2の接続導体との接続のための半田付けを行う第1の導体露出部を備え、
    上記第2の接続導体は、その一部分であって所定の第2の面積を有し、上記第1の接続導体との接続のための半田付けを行う第2の導体露出部を備えたことを特徴とする請求項28記載のアンテナ装置。
  30. 請求項1乃至29のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置と、
    上記アンテナ装置に接続された無線通信回路とを備えたことを特徴とする無線通信装置。
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