JP5112186B2 - 負荷制御装置 - Google Patents

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本発明は、照明装置や空調装置などの電気機器(負荷)のオン・オフやレベル調節を行う負荷制御装置、特に制御信号の送受信を電波による無線通信装置を介して行う負荷制御装置に関する。
従来から、照明装置や空調装置など、装置のオン・オフやレベル調節をリモコン装置によって行う電気機器では、リモコン装置と電気機器本体との間で、赤外線を用いて信号の送受信が行われている。一方、人体感知センサを利用して、人の存在を検知すると自動的に照明装置をオンし、人の存在が検知されなくなると自動的に照明装置をオフする照明装置の負荷制御装置も実用化されている。このような人体感知センサを利用した照明装置の負荷制御装置では、人体感知センサと負荷制御装置本体が離れた場所に設置されるため、配線工事を簡略化するために、人体感知センサと無線通信装置の送信部を一体化すると共に、無線通信装置の受信部を負荷制御装置本体に組み込み、赤外線を用いて制御信号の送受信を行うことが提案されている。
ところが、周知のように、赤外線を用いた無線通信装置では、壁面や天井による反射波を利用できるものの、LED発光部と受信部との間に障害物が存在すると、制御信号が正しく送受信されないという問題点を有している。特に、人体感知センサを利用した照明装置の負荷制御装置では、人体感知センサと負荷制御装置本体が壁や扉を隔てて設置される場合もあり、その場合は赤外線を用いて制御信号の送受信は不可能である。そのため、近年、特定小電力無線通信方式の規格(STD−T67)などを用いた電波による無線通信装置も提案されている。
特定小電力無線通信方式の規格などを用いた電波による無線通信装置では、送信機及び受信機の小型化を目的として、送受信用アンテナとして微小ループアンテナが用いられている。微小ループアンテナは、ループアンテナの全長を送信波長の1/10以下程度にまで小さくしたものであり、微小ダイポールアンテナよりも雑音電界に強い特徴をもっている(非特許文献1参照)。
微小ループアンテナを用いた無線通信装置では、無線通信の周波数fに対して送信ロスが最も少なくなるようにループアンテナが設計されているが、金属板や人体などの導電体がアンテナ装置に、ある一定の距離よりも接近した場合には、微小ループアンテナの共振周波数がずれて、微小ループアンテナと無線回路部のインピーダンス整合が外れ、無線通信装置の送信能力が低下するという問題点を有している。例えば、微小ループアンテナを用いた送信機を電気機器のリモコン装置に組み込んだ場合、リモコン装置は様々な状況、例えば金属製品のすぐそばで使用されることもある。また、照明装置の負荷制御装置において、無線通信装置の送信機又は受信機が壁面に設置される場合、壁裏の電気配線用の金属ボックス内に設置される。そのため、導電体によるアンテナの共振周波数ずれ、無線通信装置の送信能力が安定しない。
なお、特許文献1には、開ループの微小ループアンテナのアンテナ利得の低下を抑制するために、キャパシタの使用及び微小ループアンテナを接地することが開示されている。
電子情報通信学会編 "アンテナ工学ハンドブック" PP.62-63 オーム社 第1版 1980年10月30日発行 特許第3735635号
本発明は、上記の従来例の問題点を解決するためになされたものであり、電波を用いた無線通信装置を備えた負荷制御装置において、導電体とアンテナとが近接している場合でも、導電体によるアンテナの共振周波数ずれの影響を小さくして、無線通信装置の送信能力の低下を小さくし又は一定レベルの送信能力を維持しうることにある。言い換えると、微小ループアンテナを備えた無線通信装置(少なくとも無線受信機)の配置される場所及びその近傍に金属体が存在するか否かは予め知りえないものの、そのような金属体が存在していても存在していなくても、無線通信の性能(少なくとも無線受信の性能)を大きく狂わせるような事態を避けることの可能な無線通信装置を備えた負荷制御装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、送信機と受信機で構成される電波を用いた無線通信装置と、前記送信機に接続され、負荷のオン及びオフ、又は負荷レベル調節のための制御信号を発生する制御信号発生部と、前記受信機に接続され、前記送信機から前記受信機に向けて送信された制御信号に応じて負荷を制御する負荷制御部を備えた負荷制御装置であって、前記送信機及び前記受信機の少なくとも一方は、回路基板の実装面に対して略垂直となるように形成された微小ループアンテナと、前記回路基板の実装面に形成され、ダイポールアンテナとして機能するグランドパターンと、前記回路基板上に実装された無線回路部を備え、前記無線回路部は、前記微小ループアンテナを構成する導電路上に直列接続されたキャパシタンス成分をさらに備え、前記微小ループアンテナへの給電点及び前記微小ループアンテナの前記グランドパターンへの接地点との間の導電路距離と、前記微小ループアンテナの前記グランドパターンへの接地点と前記キャパシタンス成分を直列接続する導電路上の接続点との間の導電路距離が、前記微小ループアンテナを構成する導電路に沿って流れ、微小ループアンテナとしての放射に寄与する電流(微小ループモード電流)と、前記グランドパターンを前記回路基板の長手方向に流れ、ダイポールアンテナとしての放射に寄与する電流(ダイポールモード電流)が、近接導電体による前記微小ループアンテナの共振周波数の上昇量と前記ダイポールアンテナの共振周波数の低下量とが相殺するような割合になるように設定されており、導電体が近接している場合に、その導電体による前記微小ループアンテナの共振周波数の上昇を、前記ダイポールアンテナの共振周波数の低下により補償し、それにより、前記微小ループアンテナ及び前記ダイポールアンテナと前記無線回路部のインピーダンス不整合を防止又は低減したことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記微小ループアンテナは、前記回路基板に実装され、所定の断面形状を有する金属導体により形成されたアンテナ素子を含み、前記アンテナ素子にスリットを形成したことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記微小ループアンテナは、前記回路基板の両面にそれぞれ実装され、所定の断面形状を有する金属導体により形成された2つのアンテナ素子を含むことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記微小ループアンテナは、前記回路基板の少なくとも一方の面に取り付けられた補助基板に形成された導体パターンを含むことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記微小ループアンテナ及び前記回路基板を収容する非金属製の外郭ケースをさらに備え、前記外郭ケースの内面のうち、少なくとも前記微小ループアンテナ対向する箇所に、導電体をインサートし、導電性ペーストを塗布又は印刷し、あるいは導電性テープを貼り付けたことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知したときに負荷をオンさせる制御信号を送信し、該センサがその検知対象物を検知しなくなったとき又は検知しなくなってから所定時間経過したときに負荷をオフさせる制御信号を送信することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知している状態では負荷をオンさせる制御信号を定期的に送信し、検知していない状態では制御信号を送信しない状態を保ち、前記負荷制御部は、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信した場合は負荷をオンした状態を継続し、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を所定時間受信しない場合は負荷をオフさせることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記制御信号発生部は、ユーザによって操作される1又は複数の操作部材を含み、操作された操作部材に割り当てられた制御信号又は操作された複数の操作部材の組み合わせに対応する制御信号を送信することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知したときに負荷をオンさせる制御信号を送信し、該センサがその検知対象物を検知しなくなったとき又は検知しなくなってから所定時間経過したときに負荷をオフさせる制御信号を送信し、前記負荷制御部はユーザによって操作される1又は複数の操作部材を含み、前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信すると負荷をオンさせ、その後、負荷をオンさせる制御信号を受信するまでの間に前記操作部材が操作されたとしても前記操作部材の操作を無効にすることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知している状態では負荷をオンさせる制御信号を定期的に送信し、検知していない状態では制御信号を送信しない状態を保ち、前記負荷制御部はユーザによって操作される1又は複数の操作部材を含み、負荷がオフの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信すると負荷をオンさせ、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信した場合は負荷をオンした状態を継続し、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信しない状態が所定時間経過するまで前記操作部材が操作されたとしても前記操作部材の操作を無効にし、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信しない状態が所定時間経過すると負荷をオフさせることを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、
前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知したときに負荷をオンさせる制御信号を送信し、該センサがその検知対象物を検知しなくなったとき又は検知しなくなってから所定時間経過したときに負荷をオフさせる制御信号を送信し、
前記負荷制御部はユーザによって操作される1又は複数の操作部材を含み、前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信すると負荷をオンさせ、その後、負荷をオフさせる制御信号を受信するまでの間に前記操作部材が操作されたときは、操作された操作部材に割り当てられた制御信号又は操作された複数の操作部材の組み合わせに対応して負荷を制御することを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知している状態では負荷をオンさせる制御信号を定期的に送信し、検知していない状態では制御信号を送信しない状態を保ち、前記負荷制御部はユーザによって操作される1又は複数の操作部材を含み、負荷がオフの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信すると負荷をオンさせ、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信した場合は負荷をオンした状態を継続し、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信しない状態が所定時間経過するまでの間に前記操作部材が操作されたときは、操作された操作部材に割り当てられた制御信号又は操作された複数の操作部材の組み合わせに対応して負荷を制御することを特徴とする。
請求項1乃至に係る発明によれば、負荷のオン及びオフ、又は負荷レベル調節のための制御信号を、送信機と受信機で構成される電波を用いた無線通信装置を用いて行うので、送信機を操作スイッチやセンサの近傍に設け、受信機を負荷である電気機器の近傍に設置することにより、電気機器本体と操作スイッチやセンサなどを、それらの間の配線工事を行うことなしに、様々な場所、例えば壁を挟んで部屋の内側と外側などに設置することができる。そして、送信機及び受信機の少なくとも一方において、微小ループモード電流とダイポールモード電流が合成された電流が流れるため、導電体を接近させた際に、微小ループアンテナの共振周波数が上昇する効果と、ダイポールアンテナの共振周波数が低下する効果が互いに打ち消しあう。その結果、共振周波数の変化が極めて小さく、アンテナ(微小ループアンテナ及びダイポールアンテナとして機能するグランドパターン)に接続される無線回路部との不整合を防止又は低減することができる。その結果、送信機及び/又は受信機の配置される場所及びその近傍に金属体が存在するか否かに関わりなく、安定した無線通信性能が得られる。
請求項6又は7に係る発明によれば、例えば人体感知センサなどのセンサによる検知対象物の検知結果(人の存否など)に応じて負荷のオン及びオフを制御することができる。
請求項に係る発明によれば、例えばユーザによって操作される操作スイッチやリモコン装置などに応じて、負荷のオン及びオフや、負荷のレベル調節などを行うことができる。特に、負荷制御信号の送受信を電波による無線通信を用いて行うので、送信機と受信機の間に人などの遮蔽物が立ち塞がっていても、送信機からの信号は遮蔽物を回りこんで受信機によって受信されるため、速やかに負荷のオン・オフやレベル調節などを行うことができる。
請求項9又は10に係る発明によれば、操作スイッチやリモコン装置などの操作部材の操作にかかわらず、センサによる検知対象物の検知結果に基づいて負荷のオン及びオフが制御されるため、ユーザによる操作部材の操作の操作が検知対象物の検知結果と矛盾している場合、例えばトイレ内に人がいるにもかかわらず照明装置を消灯しようとする動作が行われた場合でも消灯を阻止するなど、負荷の適正な制御を行うことができる。
請求項11又は12に係る発明によれば、検知対象物の検知結果(人の存否など)に応じて負荷のオン及びオフを制御する場合において、負荷の自動オフよりも先にユーザによる操作部材の操作によって負荷をオフすることができ、負荷のオン時間を短縮して省電力化を図ることができる。
本発明の第1実施形態に係る負荷制御装置としての照明装置のオン・オフ制御を行う負荷制御装置の構成を示す図。 (a)は本発明の第2実施形態に係る負荷制御装置として、照明装置のオン・オフ制御を行う負荷制御装置の構成を示す断面図、(b)はその斜視図。 本発明の第3実施形態に係る負荷制御装置としての照明装置のオン・オフ及び光量調節を行う負荷制御装置の構成を示す図。 本発明の第4実施形態としての負荷制御装置の送信機及び受信機に適するアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 上記アンテナ装置における微小ループモード電流及びダイポールモード電流の方向と、それらのアンテナによる水平偏向成分及び垂直偏向成分の関係を示す斜視図である。 (a)は、一般的なアンテナの送信周波数と反射係数(S11)の特性を示すグラフであり、(b)は上記アンテナ装置の原理を説明するグラフであり、実線は部品誤差などがないと仮定した場合のアンテナ特性、一点鎖線は導電体がアンテナ装置に接近したときの微小ループアンテナのアンテナ特性、二点鎖線は導電体がアンテナ装置に接近したときのダイポールアンテナの特性を示す。 (a)は、第4実施形態における具体的な設計寸法例を示す斜視図であり、(b)は、アンテナ装置を導電体に近づけた状態を示す側面図である。 アンテナ装置を導電体に近接させた場合について有限要素法により数値計算を行った結果を示すグラフである。 第4実施形態におけるアンテナ装置を設計するためのフローチャートである。 第4実施形態におけるアンテナ装置の変形例の構成を示す斜視図である。 図10に示す変形例におけるスリットの効果を示すグラフである。 本発明の第5実施形態としての負荷制御装置の送信機及び受信機に適するアンテナ装置の他の構成を示す斜視図である。 本発明の第6実施形態としての負荷制御装置の送信機及び受信機に適するアンテナ装置のさらに他の構成を示す斜視図である。 第6実施形態におけるアンテナ装置の変形例の構成を示す斜視図である。 (a)は、本発明の第7実施形態としての負荷制御装置の送信機及び受信機に適するアンテナ装置の他の構成を示す側部断面図であり、(b)は、第7実施形態のアンテナ装置の変形例の構成を示す側部断面図である。 本発明の第8実施形態としての負荷制御装置の送信機及び受信機に適するアンテナ装置のさらに他の構成を示す斜視図である。 本発明の第9実施形態としての負荷制御装置の送信機及び受信機に適するアンテナ装置のさらに他の構成を示す斜視図である。
(第1実施形態)
本発明に係る負荷制御装置の第1実施形態ついて説明する。図1は、本発明に係る負荷制御装置の第1実施形態として、人体感知センサにより玄関の照明装置のオン及びオフを行う照明制御装置の構成を示す。この照明制御装置は、送信機51と受信機52で構成される電波を用いた無線通信装置と、送信機51に接続され、負荷のオン及びオフ、又は負荷レベル調節のための制御信号を発生する制御信号発生部53と、受信機52に接続され、送信機51から受信機52に向けて送信された制御信号に応じて負荷を制御する負荷制御部54を備えている。
無線通信装置を構成する送信機51及び受信機52は、それぞれ壁面に設けられており、受信機52は負荷制御部54を介して照明装置50に接続されている。送信機51は、例えば玄関に設けられた人体感知センサ55及びCPUなどで構成された制御信号発生部53と一体的に設けられており、人体感知センサ55が人の存在を検知すると、制御信号発生部53は照明装置50をオン(点灯)させるための制御信号を発生し、送信機51から受信機52に向けてその制御信号を無線電波信号として送信する。また、人体感知センサ55が人の存在を検知しなくなると、制御信号発生部53は直ちに又は所定時間経過後照明装置50をオフ(消灯)させるための制御信号を発生し、送信機51から受信機52に向けてその制御信号を送信する。なお、本実施形態では、人体感知センサとCPUなどが同一基板上に実装されたものを想定しており、概念上人体感知センサ55は制御信号発生部53に含まれているものとしているが、構成上、個別に構成された人体感知センサとCPUなどで構成された回路基板を接続しても等価であることは言うまでもない。
受信機52は、例えば壁面に設けられた照明装置50のスイッチ(操作部材)56及びCPUなどで構成された負荷制御部54などと一体的に設けられており、送信機51からの制御信号を受信すると、負荷制御部54は、壁の裏側に設けられた配線を介して照明装置50をオン及びオフさせる。
入室時に、人が送信機51と受信機52の間に立ち塞がったままその場にとどまることがあり、このとき、ドアが室内側に開くなどして、LED光にとって遮蔽性の強い障害物(面積が広いもの)が存在していれば、赤外線を用いた無線通信では、送信機51からの信号が受信機52によってうまく受信されず、照明装置50の点灯が遅れる可能性がある。それに対して、電波による無線通信では、送信機51と受信機52の間に人が立ち塞がっていても、送信機51からの信号は人などの遮蔽物を回りこんで受信機52によって受信されるため、速やかに照明装置50を点灯させることができる。
一般的に、人体感知センサを用いた照明制御装置では、人体感知センサが人の存在を検知しなくなったとしても、すぐには照明装置50をオフせず、所定時間経過後に照明装置50をオフするように構成されている。しかしながら、節電のために、人が入室後、壁面に設けられたスイッチ56を操作することにより、人体感知センサ55が人を検知しているにもかかわらず、負荷制御部54が照明装置50をオフするように構成してもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る負荷制御装置の第2実施形態について説明する。図2は、本発明に係る負荷制御装置の第2実施形態としての人体感知センサによりトイレの照明装置のオン及びオフを行う照明制御装置の構成を示す。図2(a)は、トイレを横から見た断面側面図であり、図2(b)は、トイレを向かって右斜め上から透かしてみた透視斜視図である。
第2実施形態では、送信機51はトイレ室内の壁面に設けられており、受信機52はトイレ入り口の外側の壁面に設けられている。また、受信機52は、照明装置50に有線接続されて照明器具50をオン・オフする操作ハンドル(操作部材)を備えた照明操作スイッチと一体化されている。受信機52は、例えば、日本のJIS規格のJIS C8304 で規定された外形寸法(ワイドハンドル形連用スイッチの2個モジュール寸法)に形成されている。一方、送信機51は、熱線式の人体感知センサ(不図示)などと一体的に設けられている。なお、人体感知センサ、制御信号発生部、操作部材及び負荷制御部は、図1に示す第1実施形態の場合と同様であるため、図示を省略する。
送信機51に設けられた人体感知センサが人の存在を検知すると、送信機51から受信機52に向けて照明装置50を点灯させるための制御信号を無線電波信号として送信する。受信機52は、送信機51からの制御信号を受信すると、負荷制御部は、壁の裏側に設けられた配線を通じて照明装置50を点灯させる。ここで、送信機51と受信機52との間の無線送受信を赤外線光による送受信だと仮定すると、図2(a)及び図2(b)に示すように、トイレのドア及び側壁により送信機51と受信機52との間の直線光路が断ち切られてしまうような配置位置であるので、人体感知センサが人の入室直後にその存在を検知し、制御信号発生部が生業信号を発生し、さらに送信機が制御信号を送信したとしても、ドアが閉じられる前に受信機52が制御信号を受信することはほとんど不可能である。本実施形態では、この赤外線光路遮断による不具合を解決すべく、赤外線の代わりに電波を採用している。電波による無線通信では、送信機51と受信機52との無線送受信の直線光路上に赤外線光にとっての障害物が存在していても、送信機51からの無線電波による制御信号は人などの遮蔽物を回りこんで受信機52によって受信されるため、速やかに照明装置50を点灯させることができる。
トイレの照明制御装置の場合、一般的にその操作スイッチはトイレ入り口の外側の壁面に設けられている。そのため、トイレ内に人がいるにもかかわらず、誤って操作スイッチが操作されることにより、照明装置50がオフされてしまう虞がある。そこで、人体感知センサがトイレ内の人の存在を検知し、受信機52が照明装置50をオンさせるための制御信号を受信した後は、人体感知センサがトイレ内の人の存在を検知しなくなり、受信機52が照明装置50をオフさせるための制御信号を受信するまでの間、操作スイッチの操作を無効、すなわち、仮に操作スイッチが操作されても、負荷制御部がそれに応じて照明装置50をオフしないように構成してもよい。
なお、第2実施形態によれば、照明装置50のオン・オフ制御を、送信機51側に設けられた人体感知センサと受信機52側に設けられた操作スイッチのいずれによっても制御可能であるため、トイレの使用後、人体感知センサ及び制御信号発生部によって発生された制御信号により一旦照明装置50がオフされた後、ユーザが操作スイッチを操作すると、ユーザは照明装置50を消灯したつもりであっても、実際には照明装置50が再点灯される可能性がある。そこで、操作スイッチにより照明装置50がオンされた後一定時間経過しても人体感知センサが人の存在を検知しないときは、強制的に照明装置50をオフするように、負荷制御部を構成してもよい。
または、制御信号発生部は、一定間隔で人体感知センサの出力をモニタし、人体感知センサがその検知対象物である人の存在を検知している状態では負荷である照明装置50をオンさせる制御信号を間欠的(必ずしも定期的である必要はない)に送信し、検知していない状態では制御信号を送信しない状態を保ち、負荷制御部は、照明装置50がオンの状態(点灯状態)で受信機52が負荷をオンさせる制御信号を受信した場合は照明装置50がオンした状態を継続し、照明装置50がオンの状態で受信機52が負荷をオンさせる制御信号を所定時間(制御信号の間欠的送信における最大間欠時間を最小監視時間として、その最小監視時間を経過するまでの間)受信しない場合は負荷をオフさせるように構成してもよい。なお、負荷制御部は、常時制御信号を受信する状態にある必要はなく、制御信号発生部から制御信号が送信されてくる可能性がある時間、すなわち最大間欠時間よりも若干長い時間だけ受信可能状態にあればよい。
このような構成によれば、制御信号発生部はオフさせるための制御信号を発生させる必要がなくなり、且つ操作スイッチを省略することができる。あるいは、操作部材と組み合わせて、照明装置50がオンの状態で受信機52が負荷をオンさせる制御信号を受信しない状態が所定時間経過するまでの間、操作スイッチが操作されたとしても操作スイッチの操作を無効にするように構成してもよい。さらに、照明装置50がオンの状態で受信機52が負荷をオンさせる制御信号を受信しない状態が所定時間経過するまでの間に操作スイッチが操作されたときは、操作スイッチの操作に対応して照明装置をオフするように構成してもよい。
なお、本実施形態では、人体感知センサ及び操作スイッチがそれぞれとCPUなどが同一基板上に実装されたものを想定しており、概念上人体感知センサは制御信号発生部に含まれ、同様に、操作スイッチも負荷制御部に含まれるものとしている。しかしながら、構成上、個別に構成された人体感知センサ又は操作スイッチとCPUなどで構成された回路基板をそれぞれ接続しても等価であることは言うまでもない。
このような適用例は、トイレに限らず、クローゼット等に適用することも可能である。衣類を収容するクローゼットの仕切り部材の内外に送信機51と受信機52とが各別に配置され、送信機51と受信機52との無線送受信の直線光路上に赤外線光にとっての障害物が存在してしまう場合が起こりうる。そのため、トイレと同様、本願発明のアンテナ装置の使用が適している。
さらに、第2実施形態の構成によれば、トイレ内に人がいるときは必ず照明装置が点灯するので、不特定多数の人が利用するパブリックスペースのトイレやそこに至る通路などに適用することによって、犯罪抑止効果が得られる。一般的に、これらパブリックスペースのトイレや通路などは、外部からトイレ内部が直接内部が見えないように通路が曲げられて形成されており、且つ距離が長い。そのため、一定間隔で人体感知センサを配置すると共に、人体感知センサに接続された複数の送信機と負荷制御部に接続された1つの受信機との間を電波による無線通信装置で接続することにより、広い範囲での照明装置のオン・オフ制御が可能となる。
(第3実施形態)
本発明に係る負荷制御装置の第3実施形態ついて説明する。図3は、本発明に係る負荷制御装置の第3実施形態としてのリビングルームの照明装置のオン及びオフ及び明るさ調節を行う照明制御装置の構成を示す。
第3実施形態では、送信機51はユーザによって操作されるリモコン装置60に設けられており、リモコン装置60の操作ボタン(操作部材)61及びCPUなどで構成された制御回路(制御信号発生部)53に接続されている。なお、リモコン装置60の構成は自明につき図示を省略する。受信機52は、例えば壁面に設けられた照明装置50の操作スイッチ56及びCPUなどで構成された負荷制御部54などと一体的に設けられていてもよいし、あるいは、照明装置50に直接設けられていてもよい。後者の場合、負荷制御部は、照明装置50の点灯制御回路(インバータ回路)の一部として構成されている。
ユーザは、リモコン装置60のボタン61を操作して、照明装置50をオン・オフさせると共に、調光レベル(明るさ)を好みのレベルに調節することができる。この図3では、送信機51は無線信号を電波で発するため、赤外線による指向性の強い旧来のリモコンに比べて、送信機51の送信部をわざわざ意識的に受信機52へ向ける必要がなく、送信機51をどちらへ向けても受信機52へ無線リモコン信号を届けやすいので、送信機51の操作性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、操作ボタン(操作部材)とCPUなどが同一基板上に実装されたものを想定しており、概念上操作ボタン61は制御信号発生部53に含まれているものとしているが、構成上、個別に構成された操作ボタンとCPUなどで構成された回路基板を接続しても等価であることは言うまでもない。
ところで、壁面に設けられる人体感知センサや操作スイッチなどは、壁面からの突出をなるべく小さくすることが求められている。また、リモコン装置においても、できるだけ小さく、かつ薄くすることが求められている。ところが、上述したように金属体が接近すると、無線電波通信の周波数がシフトして周波数ズレを起こしてしまい、無線電波送受信がうまくいかないことになり、これを克服するために、微小ループアンテナなど電波アンテナの径を大きく設計することで無線電波通信を成立させようと設計する傾向が一般に多く、そうすると結果的に壁面からの突出長が長くなって出っ張ってしまうことになる。この問題点を解決するために、無線通信装置のアンテナとして、上記のような微小ループアンテナを用いたアンテナ装置を用いることにより、人体感知センサやスイッチなどの壁面からの突出量を小さくすることができると共に、リモコン装置も小型化及び薄型化することができる。
また、人体感知センサやスイッチと一体化されて用いられる電波送受信モジュールユニットは、壁面に埋め込まれた金属ボックス内に配設されることが多いため、誘電体である金属ボックスの影響を受けやすい。同様に、リモコン装置は、周囲にどのような物体が存在している状況で使用されるのか予測不可能であり、金属など導電体に近接して使用される場合、その近接した導電体から周波数特性をシフトされてしまうおそれがある。そこで、以下に述べる第4乃至第9実施形態に係るアンテナ装置によれば、導電体によるアンテナの共振周波数ずれの影響が小さいので、一定レベルの通信能力を維持することができる。
なお、上記送信機51及び受信機52に設けられるアンテナ装置は、必ずしも同じ構成を有する必要はなく、必要に応じて異なる構成のものを使用することができる。すなわち、送信機51や受信機52の使用環境の近傍に金属体が存在しないことが予めわかっている場合には、旧来のアンテナを採用すればよく、使用環境の近傍に金属体が存在するおそれがあることが予めわかっている場合には、送信機51や受信機52を、本発明のアンテナ装置を搭載したものに設計すればよい。
なお、送信機51と受信機52とが1対1とは限らず、送信機51を追加増設して、受信機52が1台に対して送信機51が複数台存在する使い方もありうる。また、送信機51として人体感知センサを開示したが、プライベート情報を守秘できるのであれば、PIRなど熱線式に限らず、カメラ撮影機能を有する画像処理式の人体感知センサを採用してもよい。また、送信機51の一種として、計時機能を備え、所定時間経過後又は所定時刻に無線電波送信するタイマーを用いてもよい。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態は、上記第1乃至第3実施形態に係る負荷制御装置の送信機及び受信機のいずれか一方、より好ましくは両方に適するアンテナ装置に関する。以下の実施形態においても同様である。
図4は、第4実施形態に係る微小ループアンテナを用いたアンテナ装置1Aの基本的な構成を示す。アンテナ装置1Aは、回路基板2と、回路基板2上に形成された第1導体パターン3及び第2導体パターン4、第1導体パターン3と第2導体パターン4の間に挿入されたキャパシタ(コンデンサ)5及び回路基板2上に実装された略コの字状のアンテナ素子10で構成された微小ループアンテナ11と、回路基板2上に実装された無線回路部12及び制御回路部13などで構成されている。また、回路基板2上にはグランドパターン6、第1導体パターン3とグランドパターン6を接続する接地線7、微小ループアンテナ11に信号を供給する給電線8などが設けられている。
無線通信の周波数をfとすると、無線回路部12からは周波数fの信号が出力され、微小ループアンテナ11は、ループ1周の全長が送信波長λの1/10になるように、その幅及び高さが設計されており、周波数f(=2π/λ)でロスが最も少なくなる(アンテナ利得の低下を小さくする)ようにインピーダンス調整されている。具体的には、キャパシタ5の静電容量を適宜選択することにより、微小ループアンテナ11の共振周波数を調整している。また、アンテナの共振周波数が所望する周波数であると仮定して、給電線8と第1導体パターン3の接続点P1から、接地線7と第1導体パターン3の接続点P2までの距離Xを変化させることで、アンテナの反射係数S11を調整することができる。
無線回路部12から高周波信号が出力されると、アンテナ装置1Aに高周波電流が励起される。図5に示すように、この高周波電流は、微小ループアンテナ11を構成する導電路に沿って流れ微小ループアンテナ11としての放射に寄与する電流(微小ループモード電流)Iと、回路基板2の長手方向に流れ、回路基板2の長手方向のダイポールアンテナとしての放射に寄与する電流(ダイポールモード電流)Iの2つに分けて考えることができる。微小ループモード電流Iは、微小ループアンテナ11によって構成される矩形と平行な方向に、微小ループ面と平行な偏波の電波(水平偏波成分)を励起する。一方、ダイポールモード電流Iは、グランドパターン6の長手方向と垂直な方向に、グランドパターン6の長手方向と平行な偏波の電波(垂直偏波成分)を励起する。
従来、微小ループアンテナを用いたアンテナ装置では、微小ループアンテナに流れる微小ループモード電流Iによって励起される水平偏波成分のみに注目し、この水平偏波成分の振幅が最大になるように微小ループアンテナのインピーダンス調整が行われており、ダイポールモード電流Iによって励起される垂直偏波成分は無視され、あるいはなるべく小さくなるように調整されていた。
図6(a)に一般的なアンテナの送信周波数fと反射係数S11の特性を示す。図6(a)において、実線は送信周波数fに対して理想的なアンテナ特性を示す。設計段階では、送信周波数fに対して最もアンテナ利得が高くなるように、アンテナ特性が設定されている。実際には、部品誤差やその他の原因により、図中破線で示すように、アンテナ特性はこのグラフの上下及び/又は左右方向にシフトする。アンテナ特性が実際には破線で示すようなものであったとすると、送信周波数fでは、アンテナ利得は設計基準値からかなり低下したものとなる。
ところで、導電体とアンテナ装置とが近接している場合、微小ループアンテナとダイポールアンテナでは、逆の特性を示すことが知られている。図6(b)において、実線は、部品誤差などがないと仮定した場合のアンテナ特性を示す。その状態で、微小ループアンテナのアンテナ特性は、導電体がアンテナ装置に接近すると、一点鎖線で示すように、このグラフの右方にシフトする(共振周波数が上昇する)性質を有している。一方、グランドパターン6によるダイポールアンテナは、導電体がアンテナ装置に接近すると、二点鎖線で示すように、このグラフの左方にシフトする(共振周波数が低下する)性質を有している。本発明では、この近接する導電体に対する微小ループアンテナとダイポールアンテナの逆の性質を利用して、アンテナ装置全体としてのアンテナ利得、すなわち送信能力の低下を小さくし又は一定レベルのアンテナ利得を維持しようとするものである。
図4に示す第4実施形態に係るアンテナ装置1Aにおいては、前述のような微小ループモード電流とダイポールモード電流が合成された電流が流れるため、導電体を接近させた際に、微小ループアンテナの共振周波数が上昇する効果と、ダイポールアンテナの共振周波数が低下する効果が互いに打ち消しあう。その結果、共振周波数の変化が極めて小さく、アンテナ(微小ループアンテナ11及びダイポールアンテナとして機能するグランドパターン6)に接続される無線回路部12との不整合を防止又は低減することができる。
次に、図4に示すアンテナ装置1Aに対して具体的な寸法を、図7(a)に示すように設定し、図7(b)に示すように導電体20に接近させた場合について、有限要素法により数値計算を行った。図8は、回路基板2と導電体20の距離Dに対するアンテナの共振周波数の変化を示すグラフである。
アンテナ素子10は、高さ10mm、幅23mm、断面が1mm×1mmの銅(導電率5.8×10Simens/m)製である。回路基板2は、長手方向が120mm、幅25mm、厚みが0.8mm、材質はFR−4(比誘電率4.4、誘電正接0.02)である。グランドパターン6は、回路基板2上の銅箔パターンであり、長手方向が113mm、幅23mmである。給電線8、接地線7、第1導体パターン3及び第2導体パターン4は、グランドパターン6と同様に、回路基板2上の銅箔パターンである。給電線8と第1導体パターン3の接続点P1から、接地線7と第1導体パターン3の接続点P2までの距離は2.5mmである。キャパシタ5の静電容量は4.1pFである。
図8からわかるように、接地線7と第1導体パターン3の接続点P2からキャパシタ5までの距離Yが短いときは、印で示すように、前述の微小ループモード電流に対して、ダイポールモード電流が支配的になり、アンテナ装置1Aを導電体20に接近させたときに共振周波数が低下する。逆に、接地線7と第1導体パターン3の接続点P2からキャパシタ5までの距離Yが長いときは、△印で示すように、ダイポールモード電流に対して、微小ループモード電流が支配的になり、アンテナ装置1Aを導電体20に接近させたときに共振周波数が上昇する。例えば、アルミサッシの窓枠にこのアンテナ装置1Aを両面テープで貼り付けて使用する場合を想定すると、回路基板2と導電体20の距離は1mm程度と考えられる。この例では、■印で示すように、Y=7.5mmのときに微小ループモード電流とダイポールモード電流のバランスがとれて、導電体20に接近させたときの共振周波数の変化が小さくなる。
図9は、アンテナ装置1Aを設計する際のフローチャートである。このフローチャートに従って設計することにより、図7(a)に示す寸法とは異なる寸法のアンテナ装置についても、導電体が近接している場合における共振周波数の変化が小さくなるように設計することができる。
まず、回路基板2、グランドパターン6、アンテナ素子10などの各部の位置及び寸法を定め、給電線8の位置を決定する(#1)。次に、接地線7及びキャパシタ5の位置を仮決めし(#2)、キャパシタ5の静電容量を仮決めする(#3)。このようにして、仮に組み立てられたアンテナ装置1Aの反射係数S11を測定する(#4)。そして、測定した反射係数S11の値をスミスチャート上にプロットし、反射係数S11の軌跡がスミスチャートの中央を通るか否か判断する(#5)。反射係数S11の軌跡がスミスチャートの中央を通らないときは(#5でNo)、接地線7の位置、すなわち、接地線7と第1導体パターン3の接続点P2までの距離Xを変更し(#6)、上記ステップを繰り返す。
反射係数S11の軌跡がスミスチャートの中央を通るときは(#5でYes)、次に、アンテナ装置1Aのアンテナ(微小ループアンテナ11及びダイポールアンテナとして機能するグランドパターン6)の共振周波数が所望する送信周波数fに一致しているか否かを判断する(#7)。微小ループアンテナ11の共振周波数が所望する送信周波数fに一致していないときは、キャパシタ5の静電容量を変更して、上記ステップを繰り返す。微小ループアンテナ11の共振周波数が所望する送信周波数fに一致しているときは、例えば、導電体20をアンテナ装置1Aに対して想定している最接近距離に位置させた状態で、アンテナ装置1Aの反射係数S11を測定する(#9)。測定した反射係数S11から、アンテナ装置1Aのアンテナの共振周波数が、所望する周波数からずれていないかどうか、あるいはずれていても許容できる範囲であるか否かを判断する(#10)。アンテナ装置1Aのアンテナの共振周波数が、所望する周波数から大きくずれているときは(#10でNo)、キャパシタ5の位置を変更して、すなわち、接地線7と第1導体パターン3の接続点P2からキャパシタ5までの距離Yを変更して(#11)、上記ステップを繰り返す。このように構成された第1実施形態に係るアンテナ装置1Aによれば、導電体近接時にも共振周波数の変化が小さくなり、所望する送信周波数fにおいて利得低下を小さくすることができる。
なお、図4では給電線8とキャパシタ5の間に接地線7が配置されているが、給電線8と接地線7の位置を入れ替え、接地線7とキャパシタ5の間に給電線8を配置してもよい。また、トリマコンデンサをキャパシタ5と並列に挿入してもよい。その場合、部品性能のばらつき、部品の寸法誤差、実装位置誤差などに起因する共振周波数のずれを、トリマコンデンサの容量を調整することにより補正することができる。
また、微小ループアンテナ11の利得を上げるには、ループの面積を広くすることが一般的であるが、デザイン性、携帯性、施工性、その他の制約により、ループの面積を広くすることできない場合もある。図7(a)に示す具体例では、アンテナ素子10の断面を1mm×1mmの正方形としたが、これに限定されるものではなく、必要に応じてアンテナ素子10の断面寸法を変更(例えば、厚さよりも幅を広く)してもよい。それにより、ループの面積を広くすることなく、利得を上げることができる。
あるいは、図10に示すように、アンテナ素子10の断面における幅を広くすると共に、アンテナ素子10にスリット10aを設けてもよい。なお、図10では、アンテナ素子10を構成する面のうち回路基板2と平行な面にのみスリット10aが設けられているが、回路基板2と垂直な面にスリットを設けてもよい。このように、アンテナ素子10にスリット10aを設けると、アンテナ素子10の抵抗値が増加し、共振のQ値が下がる。そのため、図11において、破線で示す図6(a)に示す場合の特性と比較して、実線で示すようにアンテナ特性がなだらかになり、帯域幅が広くなる。その結果、微小ループアンテナの共振周波数がずれたとしても、アンテナ特性の劣化を小さくすることができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係るアンテナ装置について説明する。図12は、第5実施形態に係るアンテナ装置1Bの構成を示す。図4に示す第4実施形態に係るアンテナ装置1Aと比較して、第5実施形態に係るアンテナ装置1Bでは、回路基板2が両面実装基板であり、第1のアンテナ素子10を回路基板2の第1面(例えば表面)に、第2のアンテナ素子10’を回路基板2の第2面(例えば裏面)に、それぞれ設けている。回路基板2の第1面側のランド2aと第2面側のランド2bは、それぞれスルーホールで電気的に接続されている。
このように、回路基板2として両面実装基板を用い、微小ループアンテナ11を回路基板2と交差するように構成することにより、回路基板2の実装密度を高くして、アンテナ装置1Bの小型化を図ることができる。また、回路基板2の第1面又は第2面のいずれか(例えば第2面とする)に背の高い部品が実装される場合には、その背の高い部品が実装される面(第2面)側のアンテナ素子10’の高さを、他方の面(第1面)側のアンテナ素子10の高さよりも高くしてもよい。それにより、アンテナ装置1Bの全体的な高さを抑制することができる。このように、第2実施形態によれば、背の高い部品によって生じるスペースを有効活用し、アンテナ装置1Bを薄型化することができる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態に係るアンテナ装置について説明する。図13は、第6実施形態に係るアンテナ装置1Cの構成を示す。図4に示す第4実施形態に係るアンテナ装置1Aと比較して、第6実施形態に係るアンテナ装置1Cでは、アンテナ素子10の代わりに、補助基板21を使用し、回路基板2上に形成された導体パターン2cと、補助基板21の一方の面(外面)に形成された導体パターン21a、21b及び端面スルーホール21cなどを利用して微小ループアンテナ11を構成している。
なお、回路基板2及び補助基板21として多層基板を用いてもよく、その場合、微小ループアンテナ11を構成する導体パターン2c,21a、21bなどは、必ずしも各基板の表面の表面に形成されている必要はなく、内層に形成されていてもよい。また、図13に示す構成例では、キャパシタ5を補助基板21上に配置しているが、キャパシタ5を回路基板2上に配置してもよい。さらに、給電線8及び接地線7は、端面スルーホール2dを介して補助基板21の導体パターン21aに接続されているが、給電線8及び接地線7を回路基板2上の導体パターン2cに接続するようにしてもよい。
このように、変形しやすいアンテナ素子10の代わりに補助基板21を用いて微小ループアンテナ11を構成することにより、外力に対するアンテナ装置1Cの耐久性が向上する。そのため、建造物の窓に取り付けられる防犯センサのような用途だけでなく、加速度や衝撃が加えられるような移動体の内部での無線通信などにも使用することができる。
また、図14に示すアンテナ装置1C’ように、回路基板2の両面に補助基板21及び22を設け、これら補助基板21及び21上の導体パターン21a、21b、22a及び端面スルーホール21c、22cなどを利用して微小ループアンテナ11を構成してもよい。この構成は、回路基板2が両面実装基板である場合に、特に有効である。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態に係るアンテナ装置について説明する。図15(A)は、第7実施形態に係るアンテナ装置1Dの概略構成を示す。アンテナ装置1Dは、状規格実施形態におけるアンテナ装置1A、1B、1C及び1C’のいずれかの構成に、さらに、そのアンテナ装置を収容する非金属製の外郭ケース30を備え、この外郭ケース30の内面のうち、少なくとも微小ループアンテナ11に対向する箇所に、導電体31をインサートしたものである。
アンテナ装置1Dが、窓ガラスや机などに貼り付けられ、あるいは壁面に埋め込まれた状態で使用されることがあらかじめ予想される場合、外郭ケース30の面のうち、窓ガラス、机、壁などに取り付けられると予想される面30aのうち微小ループアンテナ11に対向する箇所に、導電体31をインサートしておき、この状態で所望の共振周波数において整合がとれるようにアンテナ装置1Dの設計を行う。このような構成により、上記第1乃至第3実施形態の効果に加えて、アンテナ装置1Dが、窓ガラス、机、壁などに取り付けられたとしても、微小ループアンテナ11から導電体31の裏側は電気的に見えないため、取り付けられる面の材質によらず、共振周波数の変化を小さくすることができ、所望する送信周波数においてアンテナ利得の低下をより小さくすることができる。
なお、導電体31をインサートする代わりに、図15(B)に示すように、外郭ケース30の内面のうち微小ループアンテナ11に対向する箇所に、導電性ペースト32を塗布又は印刷し、あるいは導電性テープを貼り付けても、同様の効果が得られる。また、これら導電体31、導電性ペースト32あるいは導電性テープは、回路基板2の前面、すなわち、ダイポールアンテナとして機能するグランドパターン6に対向する部分にも設けられていてもよい。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態に係るアンテナ装置について説明する。図16は、第8実施形態に係るアンテナ装置1Dの概略構成を示す。第8実施形態では、アンテナ装置1Eが両面テープによって窓ガラス40に貼り付けられた状態で使用される場合を想定している。
窓ガラス40の外面、すなわちアンテナ装置1Eが貼り付けられていない面には、アンテナ装置1Eが取り付けられていることが外部から視認できないようにするために、目隠しシール41が貼り付けられている。そして、この目隠しシール41のうち少なくとも微小ループアンテナ11と対向する箇所、より好ましくはアンテナ装置1Eの回路基板2に対向する箇所は、導電性材料で形成されている。なお、アンテナ装置1Eの外郭ケース30の面のうち微小ループアンテナ11に対向する箇所には、導電体、導電性ペースト、あるいは導電性テープは設けられていない。
このように構成により、隣り合う他の窓ガラスのサッシ、網戸、雨戸など42がこの窓ガラス40と重なり合ったとしても、微小ループアンテナ11から目隠しシール41の裏側は電気的に見えないため、アンテナ装置1Eの共振周波数の変化を小さくすることができ、所望する送信周波数においてアンテナ利得の低下をより小さくすることができる。
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態に係るアンテナ装置について説明する。図17は、第9実施形態に係るアンテナ装置1Gの概略構成を示す。アンテナ装置1Gでは、微小ループアンテナ11のループに直列挿入されるキャパシタ5に対して並列に可変キャパシタ14を接続すると共に、回路基板2上に温度センサ15を実装したものである。
あらかじめ、制御回路部13のメモリ内に、キャパシタ5の温度特性を元にして、周囲温度に対応した補正キャパシタンス量のデータテーブルを記憶させておき、温度センサ15による温度計測値に応じてデータテーブルを参照して、可変キャパシタ14の補正キャパシタンス量を制御する。このような構成によれば、周囲温度の変化に関わらず、アンテナ装置1G共振周波数の変化を小さくすることができ、所望する送信周波数においてアンテナ利得の低下をさらに小さくすることができる。
なお、上記実施形態では、本発明に係る負荷制御装置の一例として照明装置の制御装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、負荷、すなわち電気機器のオン及びオフやレベル調節などを行いうる負荷制御装置であればよく、その制御対象は限定されない。また、負荷制御装置による制御は、負荷のオン及びオフやレベル調節だけに限られず、例えば空調装置においては、冷房、暖房、乾燥及び送風の切り替えなど、機能の切り替えも含む。
また、本発明は、添付した図面を参照した実施の形態により十分に記載されているけれども、さまざまな変更や変形が可能であることは、この分野の通常の知識を有するものにとって明らかであろう。それゆえ、そのような変更及び変形は、本願発明の範囲を逸脱するものではなく、本願発明の範囲に含まれると解釈されるべきである。

Claims (12)

  1. 送信機と受信機で構成される電波を用いた無線通信装置と、前記送信機に接続され、負荷のオン及びオフ、又は負荷レベル調節のための制御信号を発生する制御信号発生部と、前記受信機に接続され、前記送信機から前記受信機に向けて送信された制御信号に応じて負荷を制御する負荷制御部を備えた負荷制御装置であって、
    前記送信機及び前記受信機の少なくとも一方は、回路基板の実装面に対して略垂直となるように形成された微小ループアンテナと、前記回路基板の実装面に形成され、ダイポールアンテナとして機能するグランドパターンと、前記回路基板上に実装された無線回路部を備え、
    前記無線回路部は、前記微小ループアンテナを構成する導電路上に直列接続されたキャパシタンス成分をさらに備え、
    前記微小ループアンテナへの給電点及び前記微小ループアンテナの前記グランドパターンへの接地点との間の導電路距離と、前記微小ループアンテナの前記グランドパターンへの接地点と前記キャパシタンス成分を直列接続する導電路上の接続点との間の導電路距離が、前記微小ループアンテナを構成する導電路に沿って流れ、微小ループアンテナとしての放射に寄与する電流(微小ループモード電流)と、前記グランドパターンを前記回路基板の長手方向に流れ、ダイポールアンテナとしての放射に寄与する電流(ダイポールモード電流)が、近接導電体による前記微小ループアンテナの共振周波数の上昇量と前記ダイポールアンテナの共振周波数の低下量とが相殺するような割合になるように設定されており、
    導電体が近接している場合に、その導電体による前記微小ループアンテナの共振周波数の上昇を、前記ダイポールアンテナの共振周波数の低下により補償し、それにより、前記微小ループアンテナ及び前記ダイポールアンテナと前記無線回路部のインピーダンス不整合を防止又は低減したことを特徴とする負荷制御装置。
  2. 前記微小ループアンテナは、前記回路基板に実装され、所定の断面形状を有する金属導体により形成されたアンテナ素子を含み、前記アンテナ素子にスリットを形成したことを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
  3. 前記微小ループアンテナは、前記回路基板の両面にそれぞれ実装され、所定の断面形状を有する金属導体により形成された2つのアンテナ素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
  4. 前記微小ループアンテナは、前記回路基板の少なくとも一方の面に取り付けられた補助基板に形成された導体パターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
  5. 前記微小ループアンテナ及び前記回路基板を収容する非金属製の外郭ケースをさらに備え、前記外郭ケースの内面のうち、少なくとも前記微小ループアンテナ対向する箇所に、導電体をインサートし、導電性ペーストを塗布又は印刷し、あるいは導電性テープを貼り付けたことを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
  6. 前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知したときに負荷をオンさせる制御信号を送信し、該センサがその検知対象物を検知しなくなったとき又は検知しなくなってから所定時間経過したときに負荷をオフさせる制御信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
  7. 前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知している状態では負荷をオンさせる制御信号を定期的に送信し、検知していない状態では制御信号を送信しない状態を保ち、
    前記負荷制御部は、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信した場合は負荷をオンした状態を継続し、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を所定時間受信しない場合は負荷をオフさせることを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
  8. 前記制御信号発生部は、ユーザによって操作される1又は複数の操作部材を含み、操作された操作部材に割り当てられた制御信号又は操作された複数の操作部材の組み合わせに対応する制御信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
  9. 前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知したときに負荷をオンさせる制御信号を送信し、該センサがその検知対象物を検知しなくなったとき又は検知しなくなってから所定時間経過したときに負荷をオフさせる制御信号を送信し、
    前記負荷制御部はユーザによって操作される1又は複数の操作部材を含み、前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信すると負荷をオンさせ、その後、負荷をオンさせる制御信号を受信するまでの間に前記操作部材が操作されたとしても前記操作部材の操作を無効にすることを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
  10. 前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知している状態では負荷をオンさせる制御信号を定期的に送信し、検知していない状態では制御信号を送信しない状態を保ち、
    前記負荷制御部はユーザによって操作される1又は複数の操作部材を含み、負荷がオフの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信すると負荷をオンさせ、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信した場合は負荷をオンした状態を継続し、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信しない状態が所定時間経過するまで前記操作部材が操作されたとしても前記操作部材の操作を無効にし、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信しない状態が所定時間経過すると負荷をオフさせることを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
  11. 前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知したときに負荷をオンさせる制御信号を送信し、該センサがその検知対象物を検知しなくなったとき又は検知しなくなってから所定時間経過したときに負荷をオフさせる制御信号を送信し、
    前記負荷制御部はユーザによって操作される1又は複数の操作部材を含み、前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信すると負荷をオンさせ、その後、負荷をオフさせる制御信号を受信するまでの間に前記操作部材が操作されたときは、操作された操作部材に割り当てられた制御信号又は操作された複数の操作部材の組み合わせに対応して負荷を制御することを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
  12. 前記制御信号発生部はセンサを含み、該センサがその検知対象物を検知している状態では負荷をオンさせる制御信号を定期的に送信し、検知していない状態では制御信号を送信しない状態を保ち、
    前記負荷制御部はユーザによって操作される1又は複数の操作部材を含み、負荷がオフの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信すると負荷をオンさせ、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信した場合は負荷をオンした状態を継続し、負荷がオンの状態で前記受信機が負荷をオンさせる制御信号を受信しない状態が所定時間経過するまでの間に前記操作部材が操作されたときは、操作された操作部材に割り当てられた制御信号又は操作された複数の操作部材の組み合わせに対応して負荷を制御することを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
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