JPWO2003099933A1 - 分散体及びそれを用いた成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

熱可塑性樹脂などの樹脂成分(A)と、水溶性助剤成分(B)とを混練して分散体を調製し、この分散体から助剤成分(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体(例えば、多孔体、球状粒子)を製造する。助剤成分(B)は、オリゴ糖(B1)100重量部に対して、オリゴ糖を可塑化するための水溶性可塑化成分(B2)0.5〜100重量部とで構成されてもよい。オリゴ糖(B1)は四糖類で構成してもよく、可塑化成分(B2)は糖類や糖アルコールで構成してもよい。前記分散体によって、幅広い種類の樹脂成分を用いても、所定の形状の成形体を工業的に有利に形成できる。

Description

技術分野
本発明は、樹脂成分及び水溶性助剤成分とで構成され、前記樹脂成分を多孔体や粉粒体などの形態に加工するために有用な分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)、この分散体を用いた成形体の製造方法、及び樹脂と組み合わせて分散体を形成するための水溶性助剤に関する。
背景技術
多孔体や粒子などの所望の形状の樹脂成形体を製造する場合、様々な方法が用いられている。例えば、特開2001−2825号公報には、成形温度で溶融する気孔形成剤と、樹脂などの高分子物質とを溶融混練し、成形した後に、気孔形成剤を含む充実成形体から気孔形成剤を溶媒で洗浄する多孔体の製造方法が開示されている。この文献では、気孔形成剤として、ペンタエリスリトールやL−エリスリトールなどが記載され、助剤成分を溶出するための溶媒として、水やアルコール類などの有機溶剤が記載されている。この方法によれば、微細な気孔が均一に形成された均質な多孔体を製造することができる。
しかし、樹脂組成物中における気孔形成剤(低融点のエリスリトールや高融点のペンタエリスリトール)の割合を高めると、樹脂組成物の溶融混練性が低下し、孔径の均一性を損なう。より詳細には、樹脂とエリスリトールとの混練において、低融点のエリスリトールが溶融すると、急激に樹脂組成物の粘度が低下し、樹脂組成物の溶融混練性が著しく低下する。また、樹脂組成物におけるペンタエリスリトールの割合を高めると、溶融混練できるものの、一部のペンタエリスリトールが不溶なまま残存し、均一な孔径を有する多孔体を得ることができない。
特開平10−176065号号公報には、微粉末化する熱可塑性樹脂(a)に、他の1種類以上の熱可塑性樹脂(b)を溶融混練することにより、樹脂(a)が分散相、樹脂(b)が連続相を構成する樹脂組成物を得て、樹脂(a)は溶解せず、樹脂(b)が溶解するような溶媒で前記樹脂組成物を洗浄することにより、樹脂(a)の球状微粒子を得る方法が開示されている。
しかし、この方法においては、分散相と連続相とがそれぞれ非相溶である必要があるだけでなく、分散相の樹脂の種類によって、連続相の樹脂と溶媒との適正な組み合わせを選択する必要がある。そのため、樹脂同士の組合せが制限されるだけでなく、樹脂及び溶媒の組み合わせについても制限される。さらに、分散体を冷却する過程において、非相溶である樹脂同士は、大きな相分離を起こしがちである。そのため、この分散体を慎重に固化させなければ、一旦生成した分散相が再び集合してしまい、所定形状の球状微粒子を得ることができなくなる。
さらにまた、連続相を形成する樹脂は、製品となる樹脂微粒子にはなんら関与しないため、最終的に回収されるか、あるいは溶解状態のまま廃棄されることになる。しかし、溶液中の樹脂を回収することは、非常に困難であるばかりか、樹脂微粒子の製造コストを上昇させる要因となる。また、樹脂溶液を廃液としてそのまま廃棄した場合、環境への悪影響が懸念される。
特開昭60−13816号公報には、ポリエチレングリコールと熱可塑性樹脂とを溶融撹拌した後に、水中に投入して両ポリマーを凝固させ、その後、水を用いて、ポリエチレングリコールを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が提案されている。特開昭61−9433号公報には、熱可塑性樹脂とポリエチレンオキサイドとを溶融撹拌した後に冷却させ、水を用いて、ポリエチレンオキサイドを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が開示されている。特開平9−165457号公報には、ポリビニルアルコール系樹脂、変性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどの溶融形成可能な水溶性高分子と、熱可塑性樹脂とを混合して溶融成形物を得た後、水を用いて、成形物から水溶性高分子を除去する樹脂微粒子の製造方法が開示されている。
しかし、これらの方法においても、樹脂と水溶性高分子との非相溶性が必要であるため、選択できる樹脂の組合せが限定されるだけでなく、得られる樹脂粒子の粒子径分布の均一性は十分ではない。さらに、これらの水溶性高分子は、水への溶解度が小さいため、溶解させるために大量の水が必要であるとともに、溶解速度が遅いため、生産性を著しく低下させる。さらにまた、このような水溶性高分子は、非天然物由来である場合が多いため、このような水溶性高分子を溶解した廃液は、環境に悪影響を及ぼす。
従って、本発明の目的は、糖類でありながら、樹脂成分と均一に混練可能である水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)、およびこの水溶性助剤成分を用いた分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を提供することにある。
本発明の他の目的は、幅広い種類の樹脂成分を用いても、所定の成形体を工業的に有利に形成できる水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)、およびこの水溶性助剤成分を用いた分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、樹脂成分に対して助剤成分を高い割合で含有させても混練可能であり、かつ均一な相分離構造を形成できる水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)、およびこの水溶性助剤成分を用いた分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を提供することにある。
本発明の別の目的は、水で容易に溶出できるだけでなく、環境への負荷を低減できる水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)と、樹脂成分とで構成された分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を用いた成形体の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、孔径や粒子径が均一な成形体を製造できる方法を提供することにある。
発明の開示
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、少なくともオリゴ糖で構成された助剤成分を、樹脂成分と組み合わせて分散体を形成すると、糖類でありながら、樹脂と均一に混練可能であり、幅広い種類の樹脂成分を用いて、均一な孔径又は粒子径を有する成形体を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の分散体は、樹脂成分(A)及び水溶性助剤成分(B)とで構成された分散体であって、助剤成分(B)が、少なくともオリゴ糖(B)で構成されている。助剤成分(B)は、海島構造における連続相、または共連続相を形成してもよく、樹脂成分(A)は、熱可塑性樹脂[例えば、ポリエステル系樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース誘導体、熱可塑性エラストマーなど]で構成してもよい。オリゴ糖(B)は、樹脂成分(A)の熱変形温度よりも高い温度で融点又は軟化点を示してもよいし、分解してもよい。例えば、オリゴ糖(B)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の熱変形温度よりも高い温度、例えば、90〜290℃程度であってもよい。また、オリゴ糖(B)は樹脂成分(A)の熱変形温度よりも高い温度で明瞭な融点や軟化点を示さず熱分解するオリゴ糖であってもよい。樹脂の熱変形温度は、例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点として測定してもよく、樹脂の熱変形温度(ビカット軟化点)は、例えば、60〜300℃、好ましくは80〜260℃程度であってもよい。オリゴ糖(B)は、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、八糖類、九糖類、十糖類などで構成してもよく、少なくとも四糖類で構成してもよい。オリゴ糖(B)は、マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどの四糖で構成してもよい。また、オリゴ糖(B)は、デンプン糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などのオリゴ糖組成物で構成してもよく、このようなオリゴ糖(B)中の四糖類の含有量は60重量%以上であってもよい。オリゴ糖(B)の50重量%水溶液の粘度は、温度25℃でB型粘度計で測定したとき、1Pa・s以上(例えば、3〜100Pa・s程度)であってもよい。
さらに、助剤成分(B)は、オリゴ糖(B)を可塑化するための水溶性可塑化成分(B)を含んでいてもよい。オリゴ糖(B)と可塑化成分(B)とを組み合わせると、オリゴ糖(B)が熱分解するオリゴ糖であっても有効に可塑化又は軟化できる。可塑化成分(B)の融点又は軟化点は、前記樹脂成分(A)の熱変形温度(前記ビカット軟化点)以下であってもよい。また、樹脂成分(A)の前記熱変形温度より30℃高い温度においてJIS K7210で規定されるメルトフローレートを測定したとき、オリゴ糖(B)と可塑化成分(B)とで構成された助剤成分(B)のメルトフローレートは、例えば、1以上(例えば、1〜40程度)であってもよい。可塑化成分(B)は、糖類(例えば、単糖類、二糖類など)や糖アルコールなどで構成してもよく、このような糖類は、還元糖で構成してもよい。単糖類は、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコース、ドデコースなどで構成してもよく、二糖類は、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類で構成してもよい。糖アルコールは、テトリトール(例えば、エリスリトールなど)、ペンチトール(例えば、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトールなど)、ヘキシトール(例えば、ソルビトール、ズルシトール、マンニトールなど)、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、ドデキトールなどで構成してもよい。また、樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合は、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=99/1〜1/99(重量比)程度であってもよく、助剤成分(B)において、オリゴ糖(B)と可塑化成分(B)との割合は、オリゴ糖(B)/可塑化成分(B)=99/1〜50/50(重量比)程度であってもよい。
本発明には、少なくともオリゴ糖(B)で構成され、かつ樹脂と組み合わせて分散体を形成するための水溶性助剤も含まれる。また、分散体から、助剤成分(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体(例えば、平均孔径が0.1〜100μmで、かつ孔径の変動係数が60以下であるような多孔体、平均粒子径が0.1〜100μmで、かつ粒子径の変動係数が60以下であるような粒子など)を製造する方法も含まれる。
なお、本発明において、分散体は、樹脂成分と助剤成分とで、分散系を形成する樹脂組成物であってもよく、両者を同義に用いる場合がある。また、水溶性助剤成分を、気孔形成剤と称する場合がある。
発明の詳細な説明
[樹脂成分(A)]
樹脂成分を構成する樹脂には、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂(例えば、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂など)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂(例えば、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの縮合系熱可塑性樹脂;ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂など)などのビニル重合系熱可塑性樹脂;セルロース誘導体などの天然物由来樹脂など]、および熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂など)などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。樹脂成分としては、通常、熱可塑性樹脂、非水溶性樹脂(非水溶性熱可塑性樹脂など)が使用される。
(熱可塑性樹脂)
(1)ポリエステル系樹脂
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合により得られるホモポリエステル又はコポリエステル;オキシカルボン酸を重縮合させて得られるホモポリエステル又はコポリエステル;ラクトンを開環重合させて得られるホモポリエステル又はコポリエステルが挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸[例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸;メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸などのアルキル置換フタル酸;ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸など);4,4′−ジフェニルジカルボン酸、3,4′−ジフェニルジカルボン酸などのジフェニルジカルボン酸;4,4′−ジフェノキシエタンジカルボン酸などのジフェノキシエタンジカルボン酸;ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸などのジフェニルエーテルジカルボン酸;ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸などのジフェニルアルカンジカルボン酸;ジフェニルケトンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度の芳香族ジカルボン酸など]、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数2〜40程度の脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭素数8〜12程度の脂環族ジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、ジカルボン酸成分には、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルなどの低級アルキルエステル、酸無水物、酸クロライドなどの酸ハライドなども含まれる。
ジオール成分としては、例えば、脂肪族C2−12ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオールなどのC2−12アルカンジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの(ポリ)オキシC2−4アルキレングリコール等);脂環族C6−12ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等);芳香族C6−20ジオール(例えば、レゾルシノール、ヒドロキノンなどのベンゼンジオール;ナフタレンジオール;ビスフェノールA,F,ADなどのビスフェノール類;ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体など)などが挙げられる。これらのジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
オキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸などの脂肪族C2−6オキシカルボン酸;ヒドロキシ安息香酸、オキシナフトエ酸などの芳香族オキシカルボン酸などが挙げられる。これらのオキシカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ラクトンとしては、例えば、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等のC3−12ラクトンが挙げられる。これらのラクトンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのラクトンのうち、C4−10ラクトン、特にカプロラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなど)が好ましい。
ポリエステル系樹脂には、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂などが含まれる。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度の芳香族ジカルボン酸など)と、前記脂肪族ジオール(好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどの脂肪族C2−12ジオールなど)又は前記脂環族ジオール(好ましくは、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族C6−20ジオールなど)との重縮合により得られたホモポリエステル又はコポリエステルなどが挙げられ、好ましくは、アルキレンテレフタレートやアルキレンナフタレートなどのアルキレンアリレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)とするホモポリエステル又はコポリエステルなどが例示できる。共重合成分には、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2−4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2−4アルキレン)単位を含むグリコールなど]や炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)などが含まれていてもよい。
具体的には、芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリアルキレンテレフタレート[例えば、ポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)(PCT)などのポリシクロアルカンジC1−4アルキレンテレフタレート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2−4アルキレンテレフタレート]、このポリアルキレンテレフタレートに対応するポリC2−4アルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレートなど)、エチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリエチレンテレフタレートコポリエステル、ブチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリブチレンテレフタレートコポリエステルなどが例示できる。芳香族ポリエステル系樹脂は液晶性ポリエステルであってもよい。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、前記脂肪族ジカルボン酸成分(例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸などの炭素数2〜6程度の脂肪族ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸、コハク酸)と、前記脂肪族ジオール成分(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族C2−6ジオール、好ましくはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族C2−4ジオール)との重縮合により得られるホモポリエステル又はコポリエステルや、前記脂肪族オキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸などの脂肪族C2−6オキシカルボン酸、好ましくはグリコール酸や乳酸などの脂肪族C2−4オキシカルボン酸)のホモポリエステル又はコポリエステル、開始剤(2官能や3官能の開始剤、例えば、アルコールなどの活性水素化合物)を用いて前記ラクトン(好ましくは、カプロラクトンなどのC4−10ラクトン)を開環重合して得られるホモポリラクトン又はコポリラクトンが挙げられる。共重合成分には、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2−4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2−4アルキレン)単位を含むグリコールなど]や、炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)などが含まれていてもよい。
具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合から得られるポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンオギザレート、ポリブチレンオギザレート、ポリネオペンチレンオギザレートなどのポリC2−6アルキレンオギザレート;ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリネオペンチレンサクシネートなどのポリC2−6アルキレンサクシネート;ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチレンアジペートなどのポリC2−6アルキレンアジペートなど)、ポリオキシカルボン酸系樹脂(例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸など)、ポリラクトン系樹脂[例えば、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製,PCLH7、PCLH4、PCLH1など)などのポリC3−12ラクトン系樹脂など]などが挙げられる。コポリエステルの具体例としては、例えば、2種類のジカルボン酸成分を用いたコポリエステル(例えば、ポリエチレンサクシネート−アジペート共重合樹脂、ポリブチレンサクシネート−アジペート共重合樹脂などのポリC2−4アルキレンサクシネート−アジペート共重合樹脂など)、ジカルボン酸成分とジオール成分とラクトンとから得られるコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂など)などが例示できる。
本発明で使用するポリエステル系樹脂は、ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂(例えば、ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル系樹脂)であってもよい。ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂は、前記ポリエステル系樹脂(低分子量ポリエステルジオールなど)をジイソシアネート(例えば、脂肪族ジイソシアネート)で高分子量化した樹脂が好ましい。
ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど)等が挙げられる。これらのジイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジイソシアネートのうち、脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましく使用できる。
ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂)としては、昭和高分子(株)製の「ビオノーレ#1000」、「ビオノーレ#3000」、「ビオノーレ#6000」のシリーズなどが挙げられる。
(2)ポリアミド系樹脂
ポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、通常、脂肪族ポリアミド系樹脂が使用される。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
脂肪族ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4−10アルキレンジアミン)と脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4−20アルキレンジカルボン酸など)との縮合物(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212など)、ラクタム(ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのC4−20ラクタムなど)又はアミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸などの炭素数C4−20アミノカルボン酸など)の単独又は共重合体(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12など)、これらのポリアミド成分が共重合したコポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など)などが挙げられる。
さらに、ポリアミド系樹脂は生分解性を有していてもよい。生分解性ポリアミド系樹脂としては、前記脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4−10アルキレンジアミン)と、前記脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4−20アルキレンジカルボン酸など)と、前記脂肪族ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのC2−12アルカンジオールなど)との縮合物であるポリエステルアミドが挙げられる。
(3)ポリウレタン系樹脂
ポリウレタン系樹脂は、ジイソシアネート類とポリオール類(例えばジオール類)と必要により鎖伸長剤との反応により得ることができる。ジイソシアネート類としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類などが例示できる。
ポリオール類としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。ポリオール類の中でも特にジオール類(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなど)が好ましい。これらのポリオール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジオール類としては、ポリエステルジオール(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸などのC4−12脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2−12脂肪族ジオール成分とから得られるポリエステルジオール、ε−カプロラクトンなどのC4−12ラクトン成分から得られるポリエステルジオール、前記脂肪族ジカルボン酸成分及び/又は前記脂肪族ジオール成分と、前記ラクトン成分から得られるポリエステルジオールなど)、ポリエーテルジオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)、ポリエステルエーテルジオール(ジオール成分の一部として上記ポリエーテルジオールを用いたポリエステルジオール)などが利用できる。
さらに、鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2−10アルキレングリコールの他、ジアミン類[脂肪族ジアミン類(エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなど直鎖又は分岐鎖状アルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミンなどの直鎖又は分岐鎖状ポリアルキレンポリアミンなど)、脂環族ジアミン類(イソホロンジアミンなど)、芳香族ジアミン類(フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなど)など]も使用できる。これらのポリウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(4)ポリ(チオ)エーテル系樹脂
ポリ(チオ)エーテル系樹脂には、ポリオキシアルキレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂(ポリチオエーテル系樹脂)が含まれる。ポリオキシアルキレン系樹脂としては、ポリオキシメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのポリオキシC −4アルキレングリコールなどが含まれる。これらのポリ(チオ)エーテル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(5)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。これらのポリカーボネート系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(6)ポリスルホン系樹脂
ポリスルホン系樹脂には、ジハロゲノジフェニルスルホン(ジクロロジフェニルスルホンなど)とビスフェノール類(ビスフェノールA又はその金属塩など)との重縮合により得られるポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂などが例示できる。これらのポリスルホン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(7)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂には、α−C2−6オレフィンの単独又は共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)などのオレフィンの単独又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(8)(メタ)アクリル系樹脂
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど]の単独又は共重合体、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂には、ポリ(メタ)アクリル酸C1−5アルキル、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが含まれる。これらの(メタ)アクリル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(9)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体[スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などの共重合体など;アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS樹脂)、アクリロニトリル−酢酸ビニル−スチレン共重合体(AXS樹脂)などのスチレン系グラフト共重合体;ゴム成分の存在下、少なくともスチレン系単量体をグラフト重合したグラフト重合体、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS、又はゴムグラフトポリスチレン系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)など]などが挙げられる。これらのスチレン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(10)ビニル系樹脂
ビニル系樹脂には、ビニル系単量体の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能なモノマーとの共重合体などが含まれる。ビニル系単量体としては、例えば、ハロゲン含有ビニル単量体[例えば、塩素含有ビニル単量体(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレンなど)、フッ素含有ビニル単量体(例えば、フルオロエチレンなど)など]、カルボン酸ビニルエステル[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステルなど]などが挙げられる。これらのビニル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体など)、フッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体など)、ビニルエステル系樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)などが挙げられる。
前記ビニルエステル系樹脂の誘導体[例えば、ビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)など]も使用できる。これらのビニルアルコール系樹脂のうち、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体を使用する場合、エチレン含量が高すぎると、樹脂の親水性が低下して助剤成分(B)との相互作用が低減するため、エチレン含量は10〜40重量%であることが好ましい。
(11)セルロース誘導体
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(セルロースアセテート、セルロースフタレートなど)、セルロースカーバメート類(セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(シアノエチルセルロースなど)が挙げられる。これらのセルロース誘導体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
セルロースエステルとしては、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の有機酸エステル(又はアシルセルロース);硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル等が挙げられる。
セルロースエーテルとしては、例えば、アルキルセルロース(例えば、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのC2−6アルキルセルロース)、アラルキルセルロース(例えば、ベンジルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシブチルセルロースなどのヒドロキシC4−6アルキルセルロース)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシエチルセルロースなどのカルボキシC2−6アルキルセルロース)、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
生分解性の点からは、セルロース誘導体の置換度は低いのが好ましく、例えば、平均置換度2.5以下、好ましくは2以下(例えば、0.1〜2程度)、さらに好ましくは1.5以下(例えば、0.1〜1.5程度)である。
(12)熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーには、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性エラストマーがブロック共重合体であるとき、ブロック構造は特に制限されず、トリブロック構造、マルチブロック構造、星形ブロック構造などであってもよい。
樹脂成分の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)は、60〜300℃の範囲から選択でき、例えば、80〜260℃、好ましくは100〜240℃(例えば110〜240℃)、さらに好ましくは120〜230℃(例えば130〜220℃)程度である。好ましい樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂など)、生分解性樹脂[例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(例えば、ポリ乳酸系樹脂やポリC3−12ラクトン系樹脂など)、ポリエステルアミドなどの生分解性ポリエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、前記セルロース誘導体]などが挙げられる。なお、助剤成分(B)との溶融混練を容易にするために、アミノ基、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有する樹脂を使用してもよい。
前記生分解性樹脂で構成された成形体は、生分解性に優れるため、例えば、自然環境中で使用される分野(農林水産業用資材、土木資材、建設資材、野外レジャー製品など)、使用後の回収及び再利用が困難な分野(食品包装用フィルム、食品包装用容器、衛生用品、日用品)、樹脂の特殊な機能を生かした分野(生体内分解吸収性を必要とする医用素材、徐放性を必要とする被覆材など)などで有用に使用できる。
[水溶性助剤]
水溶性助剤は、少なくともオリゴ糖(B)で構成された水溶性助剤成分(B)で構成され、樹脂と組み合わせて分散体を形成する。さらに、オリゴ糖の熱溶融特性を調整するために、水溶性助剤は可塑化成分(B)をさらに含むのが好ましい。
(B)オリゴ糖
オリゴ糖(B)は、2〜10分子の単糖類が、グリコシド結合を介して脱水縮合したホモオリゴ糖と、少なくとも2種類以上の単糖類及び/又は糖アルコールが、2〜10分子グリコシド結合を介して脱水縮合したヘテロオリゴ糖とに大別される。オリゴ糖(B)としては、例えば、二糖類〜十糖類が挙げられ、通常、二糖類〜六糖類のオリゴ糖が使用される。オリゴ糖は、通常、常温で固体である。なお、これらのオリゴ糖は、無水物でもよい。また、オリゴ糖において、単糖類と糖アルコールとが結合していてもよい。これらのオリゴ糖は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、オリゴ糖は複数の糖成分で構成されたオリゴ糖組成物であってもよい。このようなオリゴ糖組成物であっても単にオリゴ糖という場合がある。
二糖類としては、トレハロース(例えば、α,α−トレハロース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロースなど)、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオースなどのホモオリゴ糖;ラクトース、スクロース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
三糖類としては、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオースなどのホモオリゴ糖;マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトスクロース、ラフィノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
四糖類としては、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなどのホモオリゴ糖;スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
これらの四糖類のうち、パノースの還元末端に単糖類又は糖アルコールが結合したテトラオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなどの単糖類や、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが結合したテトラオースが例示できる。
五糖類としては、マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどのホモオリゴ糖;パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースも、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、スクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類が結合したペンタオースが例示できる。
六糖類としては、マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどのホモオリゴ糖などが挙げられる。
オリゴ糖は、樹脂成分との溶融混練性の観点から、少なくとも四糖類で構成されているのが好ましい。
オリゴ糖は、多糖類の分解により生成するオリゴ糖組成物であってもよい。オリゴ糖組成物は、通常、四糖類を含んでいる。オリゴ糖組成物としては、例えば、デンプン糖(デンプン糖化物)、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などが挙げられる。これらのオリゴ糖組成物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
例えば、デンプン糖は、デンプンに酸又はグルコアミラーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、複数個のグルコースが結合したオリゴ糖の混合物であってもよい。デンプン糖としては、例えば、東和化成(株)製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の含有量90重量%以上)などが挙げられる。
ガラクトオリゴ糖は、ラクトースにβ−ガラクトシダーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、ガラクトシルラクトースとガラクトース−(グルコース)の混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
カップリングシュガーは、デンプンとスクロースにシクロデキストリン合成酵素(CGTase)を作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、(グルコース)−スクロースの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
フルクトオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)は、砂糖(スクロース)にフルクトフラノシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、スクロース−(フルクトース)の混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
これらのオリゴ糖組成物において、溶融混練での急激な粘度低下を防止するため、オリゴ糖組成物中の三糖類、四糖類(特に四糖類)の含有量は、例えば、60重量%以上(60〜100重量%)、好ましくは70重量%以上(70〜100重量%)、さらに好ましくは80重量%以上(80〜100重量%)、特に90重量%以上(90〜100重量%)である。
オリゴ糖は還元型(マルトース型)であってもよく、非還元型(トレハロース型)であってもよいが、還元型のオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。
還元型のオリゴ糖としては、遊離のアルデヒド基又はケトン基を有し、還元性を示す糖であれば、特に限定されず、例えば、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどの二糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオースなどの三糖類;マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、セロテトラオース、リキノースなどの四糖類;マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどの五糖類;マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどの六糖類などが挙げられる。
一般的に、前記オリゴ糖は、天然物である多糖類の誘導体あるいはそれらの還元によって製造される天然物由来の製造物であるため、環境への負荷を低減できる。
混練により、効果的に樹脂成分と助剤成分とを分散させるためには、オリゴ糖の粘度は高いのが望ましい。具体的には、B型粘度計を用いて温度25℃で測定したとき、オリゴ糖の50重量%水溶液の粘度は、1Pa・s以上(例えば、1〜500Pa・s程度)、好ましくは2Pa・s以上(例えば、2〜250Pa・s、特に3〜100Pa・s程度)、さらに好ましくは4Pa・s以上(例えば、4〜50Pa・s程度)、特に6Pa・s以上(例えば、6〜50Pa・s程度)であり、高粘度オリゴ糖を用いることが望ましい。
また、オリゴ糖(B)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)より高いのが好ましい。なお、オリゴ糖の種類(例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など)によっては、融点又は軟化点を示さず、熱分解する場合がある。このような場合、分解温度をオリゴ糖(B)の「融点又は軟化点」としてもよい。
オリゴ糖(B)の融点又は軟化点と、樹脂成分(A)の熱変形温度との温度差は、例えば、1℃以上(例えば、1〜80℃程度)、好ましくは10℃以上(例えば、10〜70℃程度)、さらに好ましくは15℃以上(例えば、15〜60℃程度)である。オリゴ糖(B)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。なお、一般にオリゴ糖の無水物は、高い融点又は軟化点を示す。例えば、トレハロースの場合、二水化物の融点は97℃であるが、無水物の融点は203℃である。オリゴ糖の融点又は軟化点が樹脂成分(A)の熱変形温度より高いと、溶融混練でのオリゴ糖の急激な粘度低下を防止できるだけでなく、オリゴ糖の熱劣化も抑制できる。
更に、本発明では、水溶性助剤成分(B)において、オリゴ糖(B)と、オリゴ糖(B)を可塑化するための水溶性可塑化成分(B)とを組み合わせることにより、樹脂成分(A)との混練において、水溶性助剤成分(B)の粘度を調整できる。
(B)可塑化成分
可塑化成分(B)としては、オリゴ糖(B)が水和して水飴状態となる現象を発現できるものであればよく、例えば、糖類、糖アルコールなどが挙げられる。これらの可塑化成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(糖類)
糖類としては、オリゴ糖(B)を有効に可塑化するために、通常、単糖類及び/又は二糖類が使用される。これらの糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
単糖類としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコースなどが挙げられる。これらの化合物は、アルドースやケトースであってもよく、ジアルドース(糖の誘導体であって炭素鎖両末端がアルデヒド基である化合物、例えば、テトラアセチルガラクトヘキソジアルドース、イドヘキソジアルドース、キシロペントドアルドース等)、複数のカルボニル基を有する単糖類(オソン、オノース等のアルドアルコケトース等)、メチル基を有する単糖類(アルトロメチロースなどのメチル糖等)、アシル基(特にアセチル基などのC2−4アシル基等)を有する単糖類(前記アルドースのアセチル化物、例えば、アルデヒドグルコースペンタアセチル化物などのアセチル化物など)、カルボキシル基が導入された糖類(糖酸またはウロン酸等)、チオ糖、アミノ糖、デオキシ糖などであってもよい。
このような単糖類の具体例としては、例えば、テトロース(エリトロース、トレオロース等)、ペントース(アラビノース、リボース、リキソース、デオキシリボース、キシロース等)、ヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、フコース、ラムノース、タロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン等)などが例示できる。
また、単糖類は、ヘミアセタール結合により環状構造を形成した環状異性体であってもよい。単糖類は、旋光性を有している必要はないが、D形、L形、DL形のいずれであってもよい。これらの単糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
二糖類としては、オリゴ糖(B)を可塑化できるものであれば、特に制限されず、例えば、前記二糖類のうち、低融点または低軟化点を有する二糖類(例えば、ゲンチビオース、メリビオース、トレハロース(二水化物)など)、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類に相当する二糖類(例えば、グルクロン酸とグルコースとがα−1,6グリコシド結合したグルクロノグルコースなどのアルドビオウロン酸など)が例示できる。
糖類は、熱安定性の点から、還元糖[例えば、遊離の単糖類の他、前記二糖類のうち、低融点又は低軟化点の還元糖(例えば、ゲンチビオース、メリビオースなど)など]が好ましい。
(糖アルコール)
糖アルコール(又は水溶性多価アルコール)としては、アルジトール(グリシトール)などの鎖状糖アルコールであってもよく、イノシットなどの環式糖アルコールであってもよいが、通常は、鎖状糖アルコールが使用される。これらの糖アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状糖アルコールとしては、テトリトール(トレイトール、エリスリトールなど)、ペンチトール[ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール、リキシトールなど]、ヘキシトール[ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、アロズルシトール(アリトール)、アルスリトールなど]、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、及びドデキトールなどが挙げられる。
これらの糖アルコールのうち、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールなどが好ましい。糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトールから選択された少なくとも1つの糖アルコールを含む場合が多い。
可塑化成分(B)は、常温(例えば、15〜20℃程度)で液体(シロップ状)であってもよいが、取扱い性などの点から、通常、固体である場合が多い。助剤成分(B)をオリゴ糖(B)と可塑化成分(B)とで構成すると、オリゴ糖(B)が明瞭な融点や軟化点を示さない熱分解性オリゴ糖であっても、有効に可塑化又は軟化できる。
可塑化成分(B)の融点又は軟化点は、通常、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)以下である。なお、可塑化成分の中には、高融点(例えば200℃以上)を有するにも拘わらず、オリゴ糖と共存すると、実際の融点よりも低い温度で融解する物質が存在する。例えば、ペンタエリスリトールは、実際の融点(260℃)より低温(例えば160〜180℃程度)でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮するとともに、自身も融解状態となる。このような高融点の可塑化成分は、単独では樹脂成分の熱変形温度において融解しないため利用できないが、オリゴ糖と組み合わせることによって有効に利用できる。なお、実際の融点より低温でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮する可塑化成分(例えば、ペンタエリスリトールなど)においては、オリゴ糖に対して可塑化効果を発揮する温度を、可塑化成分(B)の「融点又は軟化点」としてもよい。
助剤成分(B)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の熱変形温度以上であってもよく、以下であってもよい。樹脂成分(A)及び助剤成分(B)は、少なくとも混練温度(又は成形加工温度)において溶融又は軟化すればよい。例えば、助剤成分(B)の融点又は軟化点と、樹脂成分(A)の熱変形温度との温度差は、0〜100℃の範囲で選択してもよく、例えば、3〜80℃(例えば3〜55℃)、好ましくは5〜60℃(例えば、5〜45℃)、さらに好ましくは5〜40℃(例えば、10〜35℃)程度であってもよい。なお、助剤成分(B)の融点又は軟化点と、樹脂成分(A)の熱変形温度との温度差が小さい場合(例えば前記温度差が0〜20℃程度である場合)、固化速度の高い助剤成分(B)(例えば、糖成分)により短時間で分散形態を固定化できるという利点がある。
さらに、助剤成分(B)(例えば、オリゴ糖(B)と可塑化成分(B)とを含む助剤成分)のメルトフローレートは、例えば、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、前記ビカット軟化点)より30℃高い温度でJIS K 7210で規定されるメルトフローレートを測定したとき、1以上(例えば、1〜40程度)、好ましくは5以上(例えば、5〜30程度)、さらに好ましくは10以上(例えば、10〜20程度)であってもよい。
助剤成分(B)において、可塑化成分(B)の割合(重量比)は、溶融混練に伴って、可塑化成分が凝集などにより局在化せず、オリゴ糖(B)を効率的に可塑化できる量、例えば、オリゴ糖(B)/可塑化成分(B)=99/1〜50/50から選択でき、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは90/10〜70/30程度である。
樹脂成分(A)と助剤成分(B)との相溶性は、特に制限されず、非相溶性であってもよく、相溶性であってもよい。樹脂成分と助剤成分とが相溶する場合、樹脂成分と助剤成分とが混練温度において均一な単一相を形成しても、混練後の冷却過程において、両者の表面張力と固化速度の相違により、樹脂成分と助剤成分とを相分離できる。樹脂成分と助剤成分とが相溶する場合においても、樹脂成分と助剤成分とを相分離できる理由としては、本発明の助剤成分が、低い表面張力を有するとともに、樹脂成分との混練温度においても比較的高粘度を保持でき、さらに低分子量であるために冷却時の固化速度が樹脂成分に比して極端に速いという特異な物性を有していることが挙げられる。
樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、樹脂成分及び助剤成分の種類や粘度、樹脂成分と助剤成分との相溶性などに応じて選択でき、特に制限されないが、通常、成形性を損なわない量、例えば、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=99/1〜1/99程度の広い範囲から選択でき、例えば、90/10〜5/95、好ましくは80/20〜10/90(例えば、80/20〜15/85)、さらに好ましくは75/25〜25/75(特に、60/40〜25/75)程度である。
なお、分散体から得られる成形体(樹脂成形体)が多孔質である場合、樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=75/25〜10/90の範囲から選択でき、例えば、多孔度及び機械的強度のバランスの観点から、好ましくは60/40〜15/85(例えば、50/50〜15/85)、さらに好ましくは40/60〜25/75程度である。例えば、(A)/(B)(重量比)=40/60〜25/75程度であるとき、多孔質の樹脂成形体は、分離膜として有用である。
また、分散体から得られる成形体(樹脂成形体)が粉粒体である場合、樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、通常、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=55/45〜1/99、好ましくは50/50〜5/95、さらに好ましくは45/55〜10/90程度である。
[他の添加剤]
前記分散体又は樹脂組成物には、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、フィラー、可塑剤又は軟化剤、滑剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、増粘剤、着色剤(酸化チタン、カーボンブラックなど)、分散剤、難燃剤、帯電防止剤などを配合してもよい。
前記フィラー(又は補強剤)には、例えば、粉粒状フィラー又は補強剤(マイカ、クレー、タルク、ケイ酸類、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、フェライトなど)、繊維状フィラー又は補強剤(レーヨン、ナイロン、ビニロン、アラミドなどの有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホイスカーなどの無機繊維)などが含まれる。
これらの添加剤は、それぞれ有効量であればよく、例えば、樹脂100重量部に対して、添加剤の総量は、0〜50重量部程度、好ましくは0.1〜20重量部程度、さらに好ましくは0.5〜10重量部程度であってもよい。また、樹脂100重量部に対して、各添加剤は、0〜30重量部程度、好ましくは0.05〜20重量部程度、さらに好ましくは0.1〜10重量部程度であってもよい。
本発明の分散体又は樹脂組成物において、相分離構造や分散構造などは特に制限されず、樹脂成分と助剤成分とが、海島構造又は複合分散相構造を形成してもよく、両成分が、連続相を形成してもよい。助剤成分(B)が、海島構造における連続相(樹脂相が独立した相分離構造)、又は共連続相を形成している場合、助剤成分を速やかに溶出できる。
助剤成分(B)が、海島構造における連続相を形成している場合、樹脂成分で構成される分散相の形状は、粒子状(例えば、球状、楕円体状、多角体状、角柱状、円柱状、棒状、不定形状など)などであってもよい。好ましい分散相の形状は、球状である。なお、分散相の平均粒子径は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜800μm(例えば0.1〜500μm)、好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.5〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜50μm(例えば、1〜40μm)程度である。
助剤成分(B)が、樹脂成分(A)と共連続相を形成している場合、助剤成分(気孔形成剤)で構成される連続相の形状は、ラメラ構造、OBDD(Ordered Bicontinuous Double Diamond)構造、シリンダー構造などであってもよい。このような構造を有する連続相の大きさを測定する場合、独立した粒子などの単位が存在しないため、従来の円換算などの測定方法を用いることができない。このような場合、例えば、分散体の一断面において、1つの連続した相(又はテトラポット状の基本単位)の中で、相の幅方向における最小長さ(X)を測定することによって、助剤成分で構成される連続相の大きさを測定できる。さらに、無作為に抽出した複数の相(又は基本単位)において、長さ(X)を測定すると、長さ(X)の平均値を算出できる。平均の長さ(X)は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜800μm(例えば0.1〜500μm)、好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.5〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜50μm(例えば、1〜40μm)程度である。
[成形体の製造方法]
本発明は、前記分散体から、助剤成分(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体(例えば、多孔体や粒子)を製造する方法も含む。
分散体は、樹脂成分(A)と助剤成分(B)とを混練することにより調製でき、通常、混練した組成物を成形し、予備成形体を調製する場合が多い。混練は、慣用の混練機(例えば、単軸もしくは二軸スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロールなど)を用いて行なうことができる。混練時間は、例えば、10秒〜1時間の範囲から選択してもよく、通常30秒〜45分、好ましくは1〜30分(例えば、1〜10分)程度である。また混練に先立ち、樹脂成分および助剤成分は、予め凍結粉砕機などで粉体状に予備加工したり、ヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、ボールミルなどで予備混練してもよい。
成形法としては、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などが挙げられ、通常、生産性や加工の容易さの点から、押出成形又は射出成形が使用される。予備成形体の形状は、特に制限されず、0次元的形状(粒状、ペレット状など)、1次元的形状(ストランド状、棒状など)、2次元的形状(板状、シート状、フィルム状など)、3次元的形状(管状、ブロック状など)などであってもよい。助剤成分の溶出性を考慮すると、ストランド状、棒状、シート状、又はフィルム状に加工することが望ましい。また、予備成形体は、成形過程において、他の基材を積層して加工してもよい。
なお、混練温度や成形加工温度は、使用される原材料(例えば、樹脂成分及び助剤成分)に応じて適宜設定することが可能であり、例えば、90〜300℃、好ましくは110〜260℃、さらに好ましくは140〜240℃(例えば、170〜240℃)、特に170〜230℃(例えば、180〜220℃)程度である。助剤成分(オリゴ糖および可塑化成分)の熱分解を避けるため、混練温度や成形加工温度を230℃以下にしてもよい。
分散系(樹脂成分と助剤成分とが分散した形態)は、混練及び/又は成形加工後、溶融物(例えば、混練物、予備成形体)を、適宜冷却することにより形成してもよい。例えば、冷却温度は、樹脂成分の熱変形温度、又は助剤成分の融点若しくは軟化点よりも少なくとも10℃程度低い温度であればよく、例えば、上記温度(樹脂成分の熱変形温度、又は助剤成分の融点若しくは軟化点)より10〜100℃程度低い温度、好ましくは前記温度より15〜80℃程度低い温度、さらに好ましくは前記温度より20〜60℃程度低い温度であってもよい。具体的には、例えば、冷却温度は、樹脂成分又は助剤成分の種類に応じて5〜150℃の範囲から選択でき、例えば、10〜120℃(例えば、10〜60℃)、好ましくは15〜100℃(例えば、15〜50℃)、さらに好ましくは20〜80℃(例えば、20〜40℃)程度であってもよい。冷却時間は、樹脂成分や助剤成分の種類、冷却温度等に応じて適宜設定でき、例えば、30秒〜20時間の広い範囲から選択してもよく、例えば、45秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間(例えば、1分〜1時間)、さらに好ましくは1.5〜30分程度であってもよい。冷却によって、樹脂成分と助剤成分とが相溶であっても、冷却工程において、表面張力、結晶化などの固化速度の相違などによって、分散系を形成でき、分散体を得られる。
例えば、多孔体又は粒子を製造する場合、樹脂成分と助剤成分との相溶性、樹脂成分及び助剤成分の溶融粘度、混練条件(例えば、混練時間、混練温度など)、成形加工温度並びに冷却条件(例えば、冷却時間、冷却温度など)を調整することにより、多孔体の平均孔径又は粒子の平均粒子径を変化させることができ、空隙率が高いだけでなく、孔径均一性が非常に高い多孔体(特に連続通孔を有する多孔体)や、粒度分布幅が狭く、均一な粒子径を有する粒子を簡便に得ることができる。また、前記条件(例えば、粘度や冷却条件など)を調整することにより、目的物の形態も変化させることができ、例えば、樹脂成分と助剤成分とが同じ割合であっても、条件によって多孔体と粒子とを選択し得る。
多孔体の平均孔径又は粒子の平均粒子径は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜800μm(例えば0.1〜500μm)、好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.5〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜50μm(例えば、1〜40μm)程度である。
また、孔径の変動係数([孔径の標準偏差/平均孔径]×100)又は粒子径の変動係数([粒子径の標準偏差/平均粒子径]×100)は、60以下(例えば5〜60程度)、さらに好ましくは50以下(例えば、10〜50程度)である。
上記のようにして得られた予備成形体(又は分散体)は、溶媒[水、水溶性溶媒(例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エーテル類(セロソルブ、ブチルセロソルブなど)など)など]中に浸漬して、助剤成分を溶出または洗浄し、成形体を得ることができる。環境への負荷が少なく、工業コストを低減できるため、溶媒は水が好ましい。助剤成分の溶出は、慣用の方法を用いて、例えば、常圧下(例えば、1atm又は10万Pa程度)、減圧下、又は加圧下でできる。助剤成分の溶出温度は、樹脂成分及び助剤成分に応じて、適宜設定することができ、例えば10〜100℃、好ましくは25〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃(例えば、40〜80℃)程度である。本発明の水溶性助剤成分は、水に易溶であるため、大量の水を必要としない。
成形体は、濾過、遠心分離などの回収方法を用いて回収できる。得られた成形体中には、助剤成分が残留していないことが望ましいが、例えば、洗浄過程のコスト削減などの点から、助剤成分が成形体に少量残存していても、助剤成分が天然物由来の化合物であるため、成形体に与える悪影響は少ない。
なお、溶媒で抽出された助剤成分は、慣用の分離手段(例えば、蒸留、濃縮、再結晶など)を用いて簡便に回収できる。
上記の成形体としては、樹脂成分から助剤成分を溶出して得られるものであれば、特に限定されず、例えば、多孔体(シート状、フィルム状などの二次元的構造の多孔体など)や粒子(例えば、球状、真球状などの粒子)が挙げられる。なお、得られた成形体は、熱融着などにより他の基材を積層して加工してもよい。
本発明によると、糖類でありながら、樹脂と均一に混練可能な水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)を用いるので、水溶性助剤成分と樹脂成分とで構成された分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を製造できる。また、幅広い種類の樹脂成分を用いても、所定の形状の成形体を工業的に有利に形成できるだけでなく、樹脂成分に対して助剤成分を高い割合で含有させても混練可能であり、かつ均一な相分離構造を有する分散体を形成できる。さらに、この水溶性助剤成分は、分散体から水で容易に溶出できるだけでなく、その溶出液を廃液とする場合でも、天然物由来の成分であるため、環境へ悪影響を及ぼさない。
産業上の利用可能性
本発明の製造方法で得られた成形体は、得られた形状に応じて、様々な用途に使用できる。例えば、多孔体は、液体用の分離膜、フィルタ、吸湿剤、吸着剤、保湿剤、又は記録用シートの受像層(又は受像体)(例えば、インクの受像体)として利用できる。
また、粒子は、広範囲にわたる種類の樹脂が適用できるため、他の微粒子(例えば、無機微粒子など)との混合適性を改良するために使用できるほか、塗料やコート剤(例えば、粉体塗料)、ブロッキング防止剤(例えば、成形体のブロッキング防止剤)、スペーサー、トナーなどとして使用できる。さらに、化粧品等の日用品への添加剤、シート又はフィルム用添加剤などとしても使用できる。
実施例
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜5及び比較例1〜3
表1に示す組成の樹脂成分と助剤成分とで構成された樹脂組成物を、ブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)により設定温度200℃で5分間溶融混練した後、30℃で10分間放置し、その後プレス機にて200℃、200kg/cm(約20MPa)、3分間の条件で、厚さ1mmの板状の分散体を作製した。分散体は、200kg/cm(約20MPa)の加圧下、30℃、3分間の条件で速やかに冷却し、その後60℃の湯水中に浸漬した。助剤成分が当初の含有量の5重量%程度に減少するまで、分散体を放置し、最終的に多孔体を作製した。なお、用いた各成分及び得られた多孔体の評価方法は以下の通りである。結果を表1に示す。
(樹脂成分)
樹脂−1:エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(クラレ(株)製、EP−L101B、エチレン含量19.8重量%)
樹脂−2:ポリスチレン樹脂(東洋スチレン(株)製、GPPSHRM63C)
樹脂−3:ポリプロピレン樹脂(グランドポリマー(株)製、F219D)
(助剤成分)
助剤成分−1(オリゴ糖):デンプン糖(東和化成(株)製、還元デンプン糖化物PO−10、25℃においてB型粘度計で測定した50重量%水溶液の粘度:6.5Pa・s)
助剤成分−2(可塑化成分):糖アルコール(和光純薬(株)製、ペンタエリスリトール)
助剤成分−3(可塑化成分):糖アルコール(三菱化学フーズ(株)製、エリスリトール)
(孔径の測定方法)
図1に実施例2で得られた多孔体断面のSEM写真を示す。図1に示すように、多孔体の断面構造が、三次元的に連続通孔性を有する孔構造である場合、独立した孔が存在せず、従来の円換算などによる孔径測定法が採用できない。そのため、走査型電子顕微鏡(SEM:日本電子(株)製)を用いて100〜10000倍で撮影された多孔体断面の写真を用いて、一個の孔を形成している領域の中で、孔の幅方向における最小長さを孔径とした。得られた多孔体について、無作為に抽出した100個の孔に対して孔径測定を行い、平均孔径、標準偏差、及び変動係数を算出した。さらに、孔径100μmを超える穴の有無を調べた。
Figure 2003099933
表1から明らかなように、実施例1〜5の多孔体では、いずれも変動係数が60以下であり、高い孔径の均一性を有する多孔体が得られた。
比較例1及び3では、溶融混練後の樹脂成形体に、塊状に凝集したペンタエリスリトールの存在が目視で明らかに認められ、得られた多孔体には100μmを超える孔が散在した。また、比較例2では、溶融混練時に溶融したエリスリトールが、樹脂成分から完全に分離してしまった。そのため、均一な混合状態を得ることができず、多孔体を得ることができなかった。
実施例6〜19及び比較例4,5
表2に示す組成の樹脂成分、助剤成分を用いて、実施例1と同様の方法で分散体を作製した。得られた分散体は、速やかに30℃、200kg/cm(約20MPa)、3分間の条件で冷却し、その後60℃の湯水中に浸漬し、樹脂粒子の懸濁溶液を得た。孔径0.45μmのポリビニリデンフルオライド製のメンブレン膜を用いて、この懸濁溶液より不溶分を分離することにより樹脂の微粒子を回収した。なお、用いた各成分や、相溶性及び得られた微粒子の評価方法は以下の通りである。結果を表2に示す。
(樹脂成分)
樹脂−4:ナイロン12(ポリアミド12)樹脂(ダイセルデグサ(株)製、ダイアミドL1600)
樹脂−5:ポリスチレン樹脂(東洋スチレン(株)製、GPPSHRM63C)
樹脂−6:セルロースアセテートブチレート樹脂(イーストマン(株)製、CAB171−15S)
樹脂−7:スチレン−ブタジエン共重合樹脂(フィリップス石油(株)製、KレジンKK38)
樹脂−8:ポリビニリデンフルオライド樹脂(ソルベイアドバンスドポリマー(株)製、PVDF6008)
樹脂−9:ポリ乳酸(三井化学(株)製、レイシア H−100PL)
樹脂−10:ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂(ダイセル化学工業(株)製、セルグリーン CBS201)
樹脂−11:エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(クラレ(株)製、EP−L101B、エチレン含量19.8重量%)
(助剤成分)
助剤成分−4(オリゴ糖):デンプン糖(東和化成(株)製、還元デンプン糖化物PO−10、25℃においてB型粘度計で測定した50重量%水溶液の粘度:6.5Pa・s)
助剤成分−5(a)(可塑化成分):糖アルコール(和光純薬(株)製、ペンタエリスリトール)
助剤成分−5(b)(可塑化成分):糖アルコール(和光純薬(株)製、D(−)ソルビトール)
(樹脂成分と助剤成分の相溶性の評価)
樹脂成分と助剤成分が混練温度で相溶状態であるか否かの判定には示差走査熱量測定(DSC)による熱分析法を用いた。以下にその方法を詳しく述べる。
測定装置は、示差走査熱量測定装置(DSC:島津製作所(株)製、DSC600E)を用いた。表2に示す配合比の樹脂成分と助剤成分とを、予めブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)を用いて、混練温度(200℃)で5分間混練し、サンプルとした。このサンプルを測定装置に供し、一旦、200℃まで加熱して5分間放置後、JIS K7121に準拠して、降温速度10℃/分で、樹脂成分の結晶化に伴う発熱ピークのピークトップ位置から温度を読み取ることにより、結晶化温度を測定した。また樹脂成分単独での結晶化温度は、同様の操作を樹脂成分に対して行い、結晶化温度を測定した。
結晶性の樹脂成分では、樹脂成分単独の結晶化温度と、樹脂成分と助剤成分との混合体を用いて測定した樹脂成分の結晶化温度とを比較して、両者の温度差が1℃以内であった場合は、樹脂成分と助剤成分との間に相溶性があると判断した。
樹脂成分が非晶性樹脂である場合、樹脂成分の結晶化温度が測定できないため、助剤成分について前記の手順で測定したオリゴ糖の結晶化温度と、樹脂成分と助剤成分の混合体について測定したオリゴ糖の結晶化温度とを比較し、両者の温度差が1℃以内であった場合は、樹脂成分と助剤成分との間に相溶性があると判断した。
(樹脂粒子の数平均粒子径)
回収された樹脂微粒子を乾燥した後、走査型電子顕微鏡を用いて微粒子の形状観察を行った。また、乾燥した樹脂微粒子の適当量を純水中に再び分散させることにより懸濁液を調製し、レーザー回折型粒度分布計(島津製作所(株)製、SALD−2000J)を用いて数平均粒子径を測定した。また、樹脂微粒子の中で、無作為に抽出した100個の粒子に対して標準偏差及び変動係数を算出した。
(環境性)
環境への影響は、下記基準に従って評価した。
A:助剤成分が、天然物由来の化合物だけで構成される
B:助剤成分が、天然物由来の化合物及び低分子量工業製品で構成される
Figure 2003099933
実施例6〜19では、樹脂成分と助剤成分とが、相溶系又は非相溶系のいずれにおいても、真球状の球状樹脂微粒子を得ることができた。参考のため、実施例13で得られたセルロースアセテートブチレート樹脂の球状微粒子の電子顕微鏡写真を図2に示す。
また、助剤成分として、樹脂成分の熱変形温度で完全に可塑化しない糖アルコールであるペンタエリスリトールを用いた比較例4では、溶融混練により得られた分散体を水に浸漬して助剤成分を除去しても樹脂成分は微粒子化せず、孔径100μmを超える孔が存在するスポンジ状の塊状物が得られた。
さらに、助剤成分として、融点が樹脂成分の熱変形温度より低い糖アルコールであるソルビトールを用いた比較例5では、溶融混練時に助剤成分の粘度が低すぎるために樹脂成分との混練を行うことができなかった。
【図面の簡単な説明】
図1は実施例2で得られた多孔体断面の走査型電子顕微鏡写真である。
図2は実施例13で得られた粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
本発明は、樹脂成分及び水溶性助剤成分とで構成され、前記樹脂成分を多孔体や粉粒体などの形態に加工するために有用な分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)、この分散体を用いた成形体の製造方法、及び樹脂と組み合わせて分散体を形成するための水溶性助剤に関する。
多孔体や粒子などの所望の形状の樹脂成形体を製造する場合、様々な方法が用いられている。例えば、特開2001−2825号公報(特許文献1)には、成形温度で溶融する気孔形成剤と、樹脂などの高分子物質とを溶融混練し、成形した後に、気孔形成剤を含む充実成形体から気孔形成剤を溶媒で洗浄する多孔体の製造方法が開示されている。この文献では、気孔形成剤として、ペンタエリスリトールやL−エリスリトールなどが記載され、助剤成分を溶出するための溶媒として、水やアルコール類などの有機溶剤が記載されている。この方法によれば、微細な気孔が均一に形成された均質な多孔体を製造することができる。
しかし、樹脂組成物中における気孔形成剤(低融点のエリスリトールや高融点のペンタエリスリトール)の割合を高めると、樹脂組成物の溶融混練性が低下し、孔径の均一性を損なう。より詳細には、樹脂とエリスリトールとの混練において、低融点のエリスリトールが溶融すると、急激に樹脂組成物の粘度が低下し、樹脂組成物の溶融混練性が著しく低下する。また、樹脂組成物におけるペンタエリスリトールの割合を高めると、溶融混練できるものの、一部のペンタエリスリトールが不溶なまま残存し、均一な孔径を有する多孔体を得ることができない。
特開平10−176065公報(特許文献2)には、微粉末化する熱可塑性樹脂(a)に、他の1種類以上の熱可塑性樹脂(b)を溶融混練することにより、樹脂(a)が分散相、樹脂(b)が連続相を構成する樹脂組成物を得て、樹脂(a)は溶解せず、樹脂(b)が溶解するような溶媒で前記樹脂組成物を洗浄することにより、樹脂(a)の球状微粒子を得る方法が開示されている。
しかし、この方法においては、分散相と連続相とがそれぞれ非相溶である必要があるだけでなく、分散相の樹脂の種類によって、連続相の樹脂と溶媒との適正な組み合わせを選択する必要がある。そのため、樹脂同士の組合せが制限されるだけでなく、樹脂及び溶媒の組み合わせについても制限される。さらに、分散体を冷却する過程において、非相溶である樹脂同士は、大きな相分離を起こしがちである。そのため、この分散体を慎重に固化させなければ、一旦生成した分散相が再び集合してしまい、所定形状の球状微粒子を得ることができなくなる。
さらにまた、連続相を形成する樹脂は、製品となる樹脂微粒子にはなんら関与しないため、最終的に回収されるか、あるいは溶解状態のまま廃棄されることになる。しかし、溶液中の樹脂を回収することは、非常に困難であるばかりか、樹脂微粒子の製造コストを上昇させる要因となる。また、樹脂溶液を廃液としてそのまま廃棄した場合、環境への悪影響が懸念される。
特開昭60−13816号公報(特許文献3)には、ポリエチレングリコールと熱可塑性樹脂とを溶融撹拌した後に、水中に投入して両ポリマーを凝固させ、その後、水を用いて、ポリエチレングリコールを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が提案されている。特開昭61−9433号公報(特許文献4)には、熱可塑性樹脂とポリエチレンオキサイドとを溶融撹拌した後に冷却させ、水を用いて、ポリエチレンオキサイドを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が開示されている。特開平9−165457号公報(特許文献5)には、ポリビニルアルコール系樹脂、変性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどの溶融形成可能な水溶性高分子と、熱可塑性樹脂とを混合して溶融成形物を得た後、水を用いて、成形物から水溶性高分子を除去する樹脂微粒子の製造方法が開示されている。
しかし、これらの方法においても、樹脂と水溶性高分子との非相溶性が必要であるため、選択できる樹脂の組合せが限定されるだけでなく、得られる樹脂粒子の粒子径分布の均一性は十分ではない。さらに、これらの水溶性高分子は、水への溶解度が小さいため、溶解させるために大量の水が必要であるとともに、溶解速度が遅いため、生産性を著しく低下させる。さらにまた、このような水溶性高分子は、非天然物由来である場合が多いため、このような水溶性高分子を溶解した廃液は、環境に悪影響を及ぼす。
特開2001−2825号公報 特開平10−176065号公報 特開昭60−13816号公報 特開昭61−9433号公報 特開平9−165457号公報
従って、本発明の目的は、糖類でありながら、樹脂成分と均一に混練可能である水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)、およびこの水溶性助剤成分を用いた分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を提供することにある。
本発明の他の目的は、幅広い種類の樹脂成分を用いても、所定の成形体を工業的に有利に形成できる水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)、およびこの水溶性助剤成分を用いた分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、樹脂成分に対して助剤成分を高い割合で含有させても混練可能であり、かつ均一な相分離構造を形成できる水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)、およびこの水溶性助剤成分を用いた分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を提供することにある。
本発明の別の目的は、水で容易に溶出できるだけでなく、環境への負荷を低減できる水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)と、樹脂成分とで構成された分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を用いた成形体の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、孔径や粒子径が均一な成形体を製造できる方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、少なくともオリゴ糖で構成された助剤成分を、樹脂成分と組み合わせて分散体を形成すると、糖類でありながら、樹脂と均一に混練可能であり、幅広い種類の樹脂成分を用いて、均一な孔径又は粒子径を有する成形体を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の分散体は、樹脂成分(A)及び水溶性助剤成分(B)とで構成された分散体であって、助剤成分(B)が、少なくともオリゴ糖(B1)で構成されている。助剤成分(B)は、海島構造における連続相、または共連続相を形成してもよく、樹脂成分(A)は、熱可塑性樹脂[例えば、ポリエステル系樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース誘導体、熱可塑性エラストマーなど]で構成してもよい。オリゴ糖(B1)は、樹脂成分(A)の熱変形温度よりも高い温度で融点又は軟化点を示してもよいし、分解してもよい。例えば、オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の熱変形温度よりも高い温度、例えば、90〜290℃程度であってもよい。また、オリゴ糖(B1)は樹脂成分(A)の熱変形温度よりも高い温度で明瞭な融点や軟化点を示さず熱分解するオリゴ糖であってもよい。樹脂の熱変形温度は、例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点として測定してもよく、樹脂の熱変形温度(ビカット軟化点)は、例えば、60〜300℃、好ましくは80〜260℃程度であってもよい。オリゴ糖(B1)は、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、八糖類、九糖類、十糖類などで構成してもよく、少なくとも四糖類で構成してもよい。オリゴ糖(B1)は、マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどの四糖で構成してもよい。また、オリゴ糖(B1)は、デンプン糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などのオリゴ糖組成物で構成してもよく、このようなオリゴ糖(B1)中の四糖類の含有量は60重量%以上であってもよい。オリゴ糖(B1)の50重量%水溶液の粘度は、温度25℃でB型粘度計で測定したとき、1Pa・s以上(例えば、3〜100Pa・s程度)であってもよい。
さらに、助剤成分(B)は、オリゴ糖(B1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(B2)を含んでいてもよい。オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とを組み合わせると、オリゴ糖(B1)が熱分解するオリゴ糖であっても有効に可塑化又は軟化できる。可塑化成分(B2)の融点又は軟化点は、前記樹脂成分(A)の熱変形温度(前記ビカット軟化点)以下であってもよい。また、樹脂成分(A)の前記熱変形温度より30℃高い温度においてJIS K 7210で規定されるメルトフローレートを測定したとき、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とで構成された助剤成分(B)のメルトフローレートは、例えば、1以上(例えば、1〜40程度)であってもよい。可塑化成分(B2)は、糖類(例えば、単糖類、二糖類など)や糖アルコールなどで構成してもよく、このような糖類は、還元糖で構成してもよい。単糖類は、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコース、ドデコースなどで構成してもよく、二糖類は、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類で構成してもよい。糖アルコールは、テトリトール(例えば、エリスリトールなど)、ペンチトール(例えば、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトールなど)、ヘキシトール(例えば、ソルビトール、ズルシトール、マンニトールなど)、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、ドデキトールなどで構成してもよい。また、樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合は、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=99/1〜1/99(重量比)程度であってもよく、助剤成分(B)において、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)との割合は、オリゴ糖(B1)/可塑化成分(B2)=99/1〜50/50(重量比)程度であってもよい。
本発明には、少なくともオリゴ糖(B1)で構成され、かつ樹脂と組み合わせて分散体を形成するための水溶性助剤も含まれる。また、分散体から、助剤成分(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体(例えば、平均孔径が0.1〜100μmで、かつ孔径の変動係数が60以下であるような多孔体、平均粒子径が0.1〜100μmで、かつ粒子径の変動係数が60以下であるような粒子など)を製造する方法も含まれる。
なお、本発明において、分散体は、樹脂成分と助剤成分とで、分散系を形成する樹脂組成物であってもよく、両者を同義に用いる場合がある。また、水溶性助剤成分を、気孔形成剤と称する場合がある。
本発明によると、糖類でありながら、樹脂と均一に混練可能な水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)を用いるので、水溶性助剤成分と樹脂成分とで構成された分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を製造できる。また、幅広い種類の樹脂成分を用いても、所定の形状の成形体を工業的に有利に形成できるだけでなく、樹脂成分に対して助剤成分を高い割合で含有させても混練可能であり、かつ均一な相分離構造を有する分散体を形成できる。さらに、この水溶性助剤成分は、分散体から水で容易に溶出できるだけでなく、その溶出液を廃液とする場合でも、天然物由来の成分であるため、環境へ悪影響を及ぼさない。
[樹脂成分(A)]
樹脂成分を構成する樹脂には、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂(例えば、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂など)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂(例えば、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの縮合系熱可塑性樹脂;ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂など)などのビニル重合系熱可塑性樹脂;セルロース誘導体などの天然物由来樹脂など]、および熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂など)などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。樹脂成分としては、通常、熱可塑性樹脂、非水溶性樹脂(非水溶性熱可塑性樹脂など)が使用される。
(熱可塑性樹脂)
(1)ポリエステル系樹脂
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合により得られるホモポリエステル又はコポリエステル;オキシカルボン酸を重縮合させて得られるホモポリエステル又はコポリエステル;ラクトンを開環重合させて得られるホモポリエステル又はコポリエステルが挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸[例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸;メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸などのアルキル置換フタル酸;ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸など);4,4′−ジフェニルジカルボン酸、3,4′−ジフェニルジカルボン酸などのジフェニルジカルボン酸;4,4′−ジフェノキシエタンジカルボン酸などのジフェノキシエタンジカルボン酸;ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸などのジフェニルエーテルジカルボン酸;ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸などのジフェニルアルカンジカルボン酸;ジフェニルケトンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度の芳香族ジカルボン酸など]、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数2〜40程度の脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭素数8〜12程度の脂環族ジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、ジカルボン酸成分には、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルなどの低級アルキルエステル、酸無水物、酸クロライドなどの酸ハライドなども含まれる。
ジオール成分としては、例えば、脂肪族C2-12ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオールなどのC2-12アルカンジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコール等);脂環族C6-12ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等);芳香族C6-20ジオール(例えば、レゾルシノール、ヒドロキノンなどのベンゼンジオール;ナフタレンジオール;ビスフェノールA,F,ADなどのビスフェノール類;ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体など)などが挙げられる。これらのジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
オキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸などの脂肪族C2-6オキシカルボン酸;ヒドロキシ安息香酸、オキシナフトエ酸などの芳香族オキシカルボン酸などが挙げられる。これらのオキシカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ラクトンとしては、例えば、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等のC3-12ラクトンが挙げられる。これらのラクトンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのラクトンのうち、C4-10ラクトン、特にカプロラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなど)が好ましい。
ポリエステル系樹脂には、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂などが含まれる。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度の芳香族ジカルボン酸など)と、前記脂肪族ジオール(好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどの脂肪族C2-12ジオールなど)又は前記脂環族ジオール(好ましくは、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族C6-20ジオールなど)との重縮合により得られたホモポリエステル又はコポリエステルなどが挙げられ、好ましくは、アルキレンテレフタレートやアルキレンナフタレートなどのアルキレンアリレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)とするホモポリエステル又はコポリエステルなどが例示できる。共重合成分には、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2-4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールなど]や炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)などが含まれていてもよい。
具体的には、芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリアルキレンテレフタレート[例えば、ポリ(1,4−シクロへキシルジメチレンテレフタレート)(PCT)などのポリシクロアルカンジC1-4アルキレンテレフタレート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレート]、このポリアルキレンテレフタレートに対応するポリC2-4アルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレートなど)、エチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリエチレンテレフタレートコポリエステル、ブチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリブチレンテレフタレートコポリエステルなどが例示できる。芳香族ポリエステル系樹脂は液晶性ポリエステルであってもよい。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、前記脂肪族ジカルボン酸成分(例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸などの炭素数2〜6程度の脂肪族ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸、コハク酸)と、前記脂肪族ジオール成分(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族C2-6ジオール、好ましくはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族C2-4ジオール)との重縮合により得られるホモポリエステル又はコポリエステルや、前記脂肪族オキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸などの脂肪族C2-6オキシカルボン酸、好ましくはグリコール酸や乳酸などの脂肪族C2-4オキシカルボン酸)のホモポリエステル又はコポリエステル、開始剤(2官能や3官能の開始剤、例えば、アルコールなどの活性水素化合物)を用いて前記ラクトン(好ましくは、カプロラクトンなどのC4-10ラクトン)を開環重合して得られるホモポリラクトン又はコポリラクトンが挙げられる。共重合成分には、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2-4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールなど]や、炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)などが含まれていてもよい。
具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合から得られるポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンオギザレート、ポリブチレンオギザレート、ポリネオペンチレンオギザレートなどのポリC2-6アルキレンオギザレート;ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリネオペンチレンサクシネートなどのポリC2-6アルキレンサクシネート;ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチレンアジペートなどのポリC2-6アルキレンアジペートなど)、ポリオキシカルボン酸系樹脂(例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸など)、ポリラクトン系樹脂[例えば、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製,PCLH7、PCLH4、PCLH1など)などのポリC3-12ラクトン系樹脂など]などが挙げられる。コポリエステルの具体例としては、例えば、2種類のジカルボン酸成分を用いたコポリエステル(例えば、ポリエチレンサクシネート−アジペート共重合樹脂、ポリブチレンサクシネート−アジペート共重合樹脂などのポリC2-4アルキレンサクシネート−アジペート共重合樹脂など)、ジカルボン酸成分とジオール成分とラクトンとから得られるコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂など)などが例示できる。
本発明で使用するポリエステル系樹脂は、ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂(例えば、ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル系樹脂)であってもよい。ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂は、前記ポリエステル系樹脂(低分子量ポリエステルジオールなど)をジイソシアネート(例えば、脂肪族ジイソシアネート)で高分子量化した樹脂が好ましい。
ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど)等が挙げられる。これらのジイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジイソシアネートのうち、脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましく使用できる。
ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂)としては、昭和高分子(株)製の「ビオノーレ♯1000」、「ビオノーレ♯3000」、「ビオノーレ♯6000」のシリーズなどが挙げられる。
(2)ポリアミド系樹脂
ポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、通常、脂肪族ポリアミド系樹脂が使用される。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
脂肪族ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4-10アルキレンジアミン)と脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4-20アルキレンジカルボン酸など)との縮合物(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212など)、ラクタム(ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのC4-20ラクタムなど)又はアミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸などの炭素数C4-20アミノカルボン酸など)の単独又は共重合体(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12など)、これらのポリアミド成分が共重合したコポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など)などが挙げられる。
さらに、ポリアミド系樹脂は生分解性を有していてもよい。生分解性ポリアミド系樹脂としては、前記脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4-10アルキレンジアミン)と、前記脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4-20アルキレンジカルボン酸など)と、前記脂肪族ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのC2-12アルカンジオールなど)との縮合物であるポリエステルアミドが挙げられる。
(3)ポリウレタン系樹脂
ポリウレタン系樹脂は、ジイソシアネート類とポリオール類(例えばジオール類)と必要により鎖伸長剤との反応により得ることができる。ジイソシアネート類としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類などが例示できる。
ポリオール類としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。ポリオール類の中でも特にジオール類(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなど)が好ましい。これらのポリオール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジオール類としては、ポリエステルジオール(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸などのC4-12脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2-12脂肪族ジオール成分とから得られるポリエステルジオール、ε−カプロラクトンなどのC4-12ラクトン成分から得られるポリエステルジオール、前記脂肪族ジカルボン酸成分及び/又は前記脂肪族ジオール成分と、前記ラクトン成分から得られるポリエステルジオールなど)、ポリエーテルジオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)、ポリエステルエーテルジオール(ジオール成分の一部として上記ポリエーテルジオールを用いたポリエステルジオール)などが利用できる。
さらに、鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2-10アルキレングリコールの他、ジアミン類[脂肪族ジアミン類(エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなど直鎖又は分岐鎖状アルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミンなどの直鎖又は分岐鎖状ポリアルキレンポリアミンなど)、脂環族ジアミン類(イソホロンジアミンなど)、芳香族ジアミン類(フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなど)など]も使用できる。これらのポリウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(4)ポリ(チオ)エーテル系樹脂
ポリ(チオ)エーテル系樹脂には、ポリオキシアルキレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂(ポリチオエーテル系樹脂)が含まれる。ポリオキシアルキレン系樹脂としては、ポリオキシメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのポリオキシC1-4アルキレングリコールなどが含まれる。これらのポリ(チオ)エーテル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(5)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。これらのポリカーボネート系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(6)ポリスルホン系樹脂
ポリスルホン系樹脂には、ジハロゲノジフェニルスルホン(ジクロロジフェニルスルホンなど)とビスフェノール類(ビスフェノールA又はその金属塩など)との重縮合により得られるポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂などが例示できる。これらのポリスルホン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(7)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂には、α−C2-6オレフィンの単独又は共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)などのオレフィンの単独又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(8)(メタ)アクリル系樹脂
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど]の単独又は共重合体、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂には、ポリ(メタ)アクリル酸C1-5アルキル、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが含まれる。これらの(メタ)アクリル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(9)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体[スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などの共重合体など;アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS樹脂)、アクリロニトリル−酢酸ビニル−スチレン共重合体(AXS樹脂)などのスチレン系グラフト共重合体;ゴム成分の存在下、少なくともスチレン系単量体をグラフト重合したグラフト重合体、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS、又はゴムグラフトポリスチレン系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)など]などが挙げられる。これらのスチレン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(10)ビニル系樹脂
ビニル系樹脂には、ビニル系単量体の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能なモノマーとの共重合体などが含まれる。ビニル系単量体としては、例えば、ハロゲン含有ビニル単量体[例えば、塩素含有ビニル単量体(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレンなど)、フッ素含有ビニル単量体(例えば、フルオロエチレンなど)など]、カルボン酸ビニルエステル[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステルなど]などが挙げられる。これらのビニル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体など)、フッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体など)、ビニルエステル系樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)などが挙げられる。
前記ビニルエステル系樹脂の誘導体[例えば、ビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)など]も使用できる。これらのビニルアルコール系樹脂のうち、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体を使用する場合、エチレン含量が高すぎると、樹脂の親水性が低下して助剤成分(B)との相互作用が低減するため、エチレン含量は10〜40重量%であることが好ましい。
(11)セルロース誘導体
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(セルロースアセテート、セルロースフタレートなど)、セルロースカーバメート類(セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(シアノエチルセルロースなど)が挙げられる。これらのセルロース誘導体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
セルロースエステルとしては、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の有機酸エステル(又はアシルセルロース);硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル等が挙げられる。
セルロースエーテルとしては、例えば、アルキルセルロース(例えば、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのC2-6アルキルセルロース)、アラルキルセルロース(例えば、ベンジルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシブチルセルロースなどのヒドロキシC4-6アルキルセルロース)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシエチルセルロースなどのカルボキシC2-6アルキルセルロース)、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
生分解性の点からは、セルロース誘導体の置換度は低いのが好ましく、例えば、平均置換度2.5以下、好ましくは2以下(例えば、0.1〜2程度)、さらに好ましくは1.5以下(例えば、0.1〜1.5程度)である。
(12)熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーには、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性エラストマーがブロック共重合体であるとき、ブロック構造は特に制限されず、トリブロック構造、マルチブロック構造、星形ブロック構造などであってもよい。
樹脂成分の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)は、60〜300℃の範囲から選択でき、例えば、80〜260℃、好ましくは100〜240℃(例えば110〜240℃)、さらに好ましくは120〜230℃(例えば130〜220℃)程度である。好ましい樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂など)、生分解性樹脂[例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(例えば、ポリ乳酸系樹脂やポリC3-12ラクトン系樹脂など)、ポリエステルアミドなどの生分解性ポリエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、前記セルロース誘導体]などが挙げられる。なお、助剤成分(B)との溶融混練を容易にするために、アミノ基、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有する樹脂を使用してもよい。
前記生分解性樹脂で構成された成形体は、生分解性に優れるため、例えば、自然環境中で使用される分野(農林水産業用資材、土木資材、建設資材、野外レジャー製品など)、使用後の回収及び再利用が困難な分野(食品包装用フィルム、食品包装用容器、衛生用品、日用品)、樹脂の特殊な機能を生かした分野(生体内分解吸収性を必要とする医用素材、徐放性を必要とする被覆材など)などで有用に使用できる。
[水溶性助剤]
水溶性助剤は、少なくともオリゴ糖(B1)で構成された水溶性助剤成分(B)で構成され、樹脂と組み合わせて分散体を形成する。さらに、オリゴ糖の熱溶融特性を調整するために、水溶性助剤は可塑化成分(B2)をさらに含むのが好ましい。
(B1)オリゴ糖
オリゴ糖(B1)は、2〜10分子の単糖類が、グリコシド結合を介して脱水縮合したホモオリゴ糖と、少なくとも2種類以上の単糖類及び/又は糖アルコールが、2〜10分子グリコシド結合を介して脱水縮合したヘテロオリゴ糖とに大別される。オリゴ糖(B1)としては、例えば、二糖類〜十糖類が挙げられ、通常、二糖類〜六糖類のオリゴ糖が使用される。オリゴ糖は、通常、常温で固体である。なお、これらのオリゴ糖は、無水物でもよい。また、オリゴ糖において、単糖類と糖アルコールとが結合していてもよい。これらのオリゴ糖は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、オリゴ糖は複数の糖成分で構成されたオリゴ糖組成物であってもよい。このようなオリゴ糖組成物であっても単にオリゴ糖という場合がある。
二糖類としては、トレハロース(例えば、α,α−トレハロース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロースなど)、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオースなどのホモオリゴ糖;ラクトース、スクロース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
三糖類としては、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオースなどのホモオリゴ糖;マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトスクロース、ラフィノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
四糖類としては、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなどのホモオリゴ糖;スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
これらの四糖類のうち、パノースの還元末端に単糖類又は糖アルコールが結合したテトラオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなどの単糖類や、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが結合したテトラオースが例示できる。
五糖類としては、マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどのホモオリゴ糖;パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースも、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、スクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類が結合したペンタオースが例示できる。
六糖類としては、マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどのホモオリゴ糖などが挙げられる。
オリゴ糖は、樹脂成分との溶融混練性の観点から、少なくとも四糖類で構成されているのが好ましい。
オリゴ糖は、多糖類の分解により生成するオリゴ糖組成物であってもよい。オリゴ糖組成物は、通常、四糖類を含んでいる。オリゴ糖組成物としては、例えば、デンプン糖(デンプン糖化物)、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などが挙げられる。これらのオリゴ糖組成物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
例えば、デンプン糖は、デンプンに酸又はグルコアミラーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、複数個のグルコースが結合したオリゴ糖の混合物であってもよい。デンプン糖としては、例えば、東和化成(株)製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の含有量90重量%以上)などが挙げられる。
ガラクトオリゴ糖は、ラクトースにβ−ガラクトシダーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、ガラクトシルラクトースとガラクトース−(グルコース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
カップリングシュガーは、デンプンとスクロースにシクロデキストリン合成酵素(CGTase)を作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、(グルコース)n−スクロースの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
フルクトオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)は、砂糖(スクロース)にフルクトフラノシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、スクロース−(フルクトース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
これらのオリゴ糖組成物において、溶融混練での急激な粘度低下を防止するため、オリゴ糖組成物中の三糖類、四糖類(特に四糖類)の含有量は、例えば、60重量%以上(60〜100重量%)、好ましくは70重量%以上(70〜100重量%)、さらに好ましくは80重量%以上(80〜100重量%)、特に90重量%以上(90〜100重量%)である。
オリゴ糖は還元型(マルトース型)であってもよく、非還元型(トレハロース型)であってもよいが、還元型のオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。
還元型のオリゴ糖としては、遊離のアルデヒド基又はケトン基を有し、還元性を示す糖であれば、特に限定されず、例えば、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどの二糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオースなどの三糖類;マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、セロテトラオース、リキノースなどの四糖類;マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどの五糖類;マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどの六糖類などが挙げられる。
一般的に、前記オリゴ糖は、天然物である多糖類の誘導体あるいはそれらの還元によって製造される天然物由来の製造物であるため、環境への負荷を低減できる。
混練により、効果的に樹脂成分と助剤成分とを分散させるためには、オリゴ糖の粘度は高いのが望ましい。具体的には、B型粘度計を用いて温度25℃で測定したとき、オリゴ糖の50重量%水溶液の粘度は、1Pa・s以上(例えば、1〜500Pa・s程度)、好ましくは2Pa・s以上(例えば、2〜250Pa・s、特に3〜100Pa・s程度)、さらに好ましくは4Pa・s以上(例えば、4〜50Pa・s程度)、特に6Pa・s以上(例えば、6〜50Pa・s程度)であり、高粘度オリゴ糖を用いることが望ましい。
また、オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)より高いのが好ましい。なお、オリゴ糖の種類(例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など)によっては、融点又は軟化点を示さず、熱分解する場合がある。このような場合、分解温度をオリゴ糖(B1)の「融点又は軟化点」としてもよい。
オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点と、樹脂成分(A)の熱変形温度との温度差は、例えば、1℃以上(例えば、1〜80℃程度)、好ましくは10℃以上(例えば、10〜70℃程度)、さらに好ましくは15℃以上(例えば、15〜60℃程度)である。オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。なお、一般にオリゴ糖の無水物は、高い融点又は軟化点を示す。例えば、トレハロースの場合、二水化物の融点は97℃であるが、無水物の融点は203℃である。オリゴ糖の融点又は軟化点が樹脂成分(A)の熱変形温度より高いと、溶融混練でのオリゴ糖の急激な粘度低下を防止できるだけでなく、オリゴ糖の熱劣化も抑制できる。
更に、本発明では、水溶性助剤成分(B)において、オリゴ糖(B1)と、オリゴ糖(B1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(B2)とを組み合わせることにより、樹脂成分(A)との混練において、水溶性助剤成分(B)の粘度を調整できる。
(B2)可塑化成分
可塑化成分(B2)としては、オリゴ糖(B1)が水和して水飴状態となる現象を発現できるものであればよく、例えば、糖類、糖アルコールなどが挙げられる。これらの可塑化成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(糖類)
糖類としては、オリゴ糖(B1)を有効に可塑化するために、通常、単糖類及び/又は二糖類が使用される。これらの糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
単糖類としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコースなどが挙げられる。これらの化合物は、アルドースやケトースであってもよく、ジアルドース(糖の誘導体であって炭素鎖両末端がアルデヒド基である化合物、例えば、テトラアセチルガラクトヘキソジアルドース、イドヘキソジアルドース、キシロペントアルドース等)、複数のカルボニル基を有する単糖類(オソン、オノース等のアルドアルコケトース等)、メチル基を有する単糖類(アルトロメチロースなどのメチル糖等)、アシル基(特にアセチル基などのC2-4アシル基等)を有する単糖類(前記アルドースのアセチル化物、例えば、アルデヒドグルコースペンタアセチル化物などのアセチル化物など)、カルボキシル基が導入された糖類(糖酸またはウロン酸等)、チオ糖、アミノ糖、デオキシ糖などであってもよい。
このような単糖類の具体例としては、例えば、テトロース(エリトロース、トレオロース等)、ペントース(アラビノース、リボース、リキソース、デオキシリボース、キシロース等)、ヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、フコース、ラムノース、タロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン等)などが例示できる。
また、単糖類は、ヘミアセタール結合により環状構造を形成した環状異性体であってもよい。単糖類は、旋光性を有している必要はないが、D形、L形、DL形のいずれであってもよい。これらの単糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
二糖類としては、オリゴ糖(B1)を可塑化できるものであれば、特に制限されず、例えば、前記二糖類のうち、低融点または低軟化点を有する二糖類(例えば、ゲンチビオース、メリビオース、トレハロース(二水化物)など)、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類に相当する二糖類(例えば、グルクロン酸とグルコースとがα−1,6グリコシド結合したグルクロノグルコースなどのアルドビオウロン酸など)が例示できる。
糖類は、熱安定性の点から、還元糖[例えば、遊離の単糖類の他、前記二糖類のうち、低融点又は低軟化点の還元糖(例えば、ゲンチビオース、メリビオースなど)など]が好ましい。
(糖アルコール)
糖アルコール(又は水溶性多価アルコール)としては、アルジトール(グリシトール)などの鎖状糖アルコールであってもよく、イノシットなどの環式糖アルコールであってもよいが、通常は、鎖状糖アルコールが使用される。これらの糖アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状糖アルコールとしては、テトリトール(トレイトール、エリスリトールなど)、ペンチトール[ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール、リキシトールなど]、ヘキシトール[ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、アロズルシトール(アリトール)、アルリトールなど]、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、及びドデキトールなどが挙げられる。
これらの糖アルコールのうち、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールなどが好ましい。糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトールから選択された少なくとも1つの糖アルコールを含む場合が多い。
可塑化成分(B2)は、常温(例えば、15〜20℃程度)で液体(シロップ状)であってもよいが、取扱い性などの点から、通常、固体である場合が多い。助剤成分(B)をオリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とで構成すると、オリゴ糖(B1)が明瞭な融点や軟化点を示さない熱分解性オリゴ糖であっても、有効に可塑化又は軟化できる。
可塑化成分(B2)の融点又は軟化点は、通常、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)以下である。なお、可塑化成分の中には、高融点(例えば200℃以上)を有するにも拘わらず、オリゴ糖と共存すると、実際の融点よりも低い温度で融解する物質が存在する。例えば、ペンタエリスリトールは、実際の融点(260℃)より低温(例えば160〜180℃程度)でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮するとともに、自身も融解状態となる。このような高融点の可塑化成分は、単独では樹脂成分の熱変形温度において融解しないため利用できないが、オリゴ糖と組み合わせることによって有効に利用できる。なお、実際の融点より低温でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮する可塑化成分(例えば、ペンタエリスリトールなど)においては、オリゴ糖に対して可塑化効果を発揮する温度を、可塑化成分(B2)の「融点又は軟化点」としてもよい。
助剤成分(B)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の熱変形温度以上であってもよく、以下であってもよい。樹脂成分(A)及び助剤成分(B)は、少なくとも混練温度(又は成形加工温度)において溶融又は軟化すればよい。例えば、助剤成分(B)の融点又は軟化点と、樹脂成分(A)の熱変形温度との温度差は、0〜100℃の範囲で選択してもよく、例えば、3〜80℃(例えば3〜55℃)、好ましくは5〜60℃(例えば、5〜45℃)、さらに好ましくは5〜40℃(例えば、10〜35℃)程度であってもよい。なお、助剤成分(B)の融点又は軟化点と、樹脂成分(A)の熱変形温度との温度差が小さい場合(例えば前記温度差が0〜20℃程度である場合)、固化速度の高い助剤成分(B)(例えば、糖成分)により短時間で分散形態を固定化できるという利点がある。
さらに、助剤成分(B)(例えば、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とを含む助剤成分)のメルトフローレートは、例えば、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、前記ビカット軟化点)より30℃高い温度でJIS K 7210で規定されるメルトフローレートを測定したとき、1以上(例えば、1〜40程度)、好ましくは5以上(例えば、5〜30程度)、さらに好ましくは10以上(例えば、10〜20程度)であってもよい。
助剤成分(B)において、可塑化成分(B2)の割合(重量比)は、溶融混練に伴って、可塑化成分が凝集などにより局在化せず、オリゴ糖(B1)を効率的に可塑化できる量、例えば、オリゴ糖(B1)/可塑化成分(B2)=99/1〜50/50から選択でき、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは90/10〜70/30程度である。
樹脂成分(A)と助剤成分(B)との相溶性は、特に制限されず、非相溶性であってもよく、相溶性であってもよい。樹脂成分と助剤成分とが相溶する場合、樹脂成分と助剤成分とが混練温度において均一な単一相を形成しても、混練後の冷却過程において、両者の表面張力と固化速度の相違により、樹脂成分と助剤成分とを相分離できる。樹脂成分と助剤成分とが相溶する場合においても、樹脂成分と助剤成分とを相分離できる理由としては、本発明の助剤成分が、低い表面張力を有するとともに、樹脂成分との混練温度においても比較的高粘度を保持でき、さらに低分子量であるために冷却時の固化速度が樹脂成分に比して極端に速いという特異な物性を有していることが挙げられる。
樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、樹脂成分及び助剤成分の種類や粘度、樹脂成分と助剤成分との相溶性などに応じて選択でき、特に制限されないが、通常、成形性を損なわない量、例えば、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=99/1〜1/99程度の広い範囲から選択でき、例えば、90/10〜5/95、好ましくは80/20〜10/90(例えば、80/20〜15/85)、さらに好ましくは75/25〜25/75(特に、60/40〜25/75)程度である。
なお、分散体から得られる成形体(樹脂成形体)が多孔質である場合、樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=75/25〜10/90の範囲から選択でき、例えば、多孔度及び機械的強度のバランスの観点から、好ましくは60/40〜15/85(例えば、50/50〜15/85)、さらに好ましくは40/60〜25/75程度である。例えば、(A)/(B)(重量比)=40/60〜25/75程度であるとき、多孔質の樹脂成形体は、分離膜として有用である。
また、分散体から得られる成形体(樹脂成形体)が粉粒体である場合、樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、通常、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=55/45〜1/99、好ましくは50/50〜5/95、さらに好ましくは45/55〜10/90程度である。
[他の添加剤]
前記分散体又は樹脂組成物には、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、フィラー、可塑剤又は軟化剤、滑剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、増粘剤、着色剤(酸化チタン、カーボンブラックなど)、分散剤、難燃剤、帯電防止剤などを配合してもよい。
前記フィラー(又は補強剤)には、例えば、粉粒状フィラー又は補強剤(マイカ、クレー、タルク、ケイ酸類、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、フェライトなど)、繊維状フィラー又は補強剤(レーヨン、ナイロン、ビニロン、アラミドなどの有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホイスカーなどの無機繊維)などが含まれる。
これらの添加剤は、それぞれ有効量であればよく、例えば、樹脂100重量部に対して、添加剤の総量は、0〜50重量部程度、好ましくは0.1〜20重量部程度、さらに好ましくは0.5〜10重量部程度であってもよい。また、樹脂100重量部に対して、各添加剤は、0〜30重量部程度、好ましくは0.05〜20重量部程度、さらに好ましくは0.1〜10重量部程度であってもよい。
本発明の分散体又は樹脂組成物において、相分離構造や分散構造などは特に制限されず、樹脂成分と助剤成分とが、海島構造又は複合分散相構造を形成してもよく、両成分が、連続相を形成してもよい。助剤成分(B)が、海島構造における連続相(樹脂相が独立した相分離構造)、又は共連続相を形成している場合、助剤成分を速やかに溶出できる。
助剤成分(B)が、海島構造における連続相を形成している場合、樹脂成分で構成される分散相の形状は、粒子状(例えば、球状、楕円体状、多角体状、角柱状、円柱状、棒状、不定形状など)などであってもよい。好ましい分散相の形状は、球状である。なお、分散相の平均粒子径は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜800μm(例えば0.1〜500μm)、好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.5〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜50μm(例えば、1〜40μm)程度である。
助剤成分(B)が、樹脂成分(A)と共連続相を形成している場合、助剤成分(気孔形成剤)で構成される連続相の形状は、ラメラ構造、OBDD(Ordered Bicontinuous Double Diamond)構造、シリンダー構造などであってもよい。このような構造を有する連続相の大きさを測定する場合、独立した粒子などの単位が存在しないため、従来の円換算などの測定方法を用いることができない。このような場合、例えば、分散体の一断面において、1つの連続した相(又はテトラポット状の基本単位)の中で、相の幅方向における最小長さ(X)を測定することによって、助剤成分で構成される連続相の大きさを測定できる。さらに、無作為に抽出した複数の相(又は基本単位)において、長さ(X)を測定すると、長さ(X)の平均値を算出できる。平均の長さ(X)は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜800μm(例えば0.1〜500μm)、好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.5〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜50μm(例えば、1〜40μm)程度である。
[成形体の製造方法]
本発明は、前記分散体から、助剤成分(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体(例えば、多孔体や粒子)を製造する方法も含む。
分散体は、樹脂成分(A)と助剤成分(B)とを混練することにより調製でき、通常、混練した組成物を成形し、予備成形体を調製する場合が多い。混練は、慣用の混練機(例えば、単軸もしくは二軸スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロールなど)を用いて行なうことができる。混練時間は、例えば、10秒〜1時間の範囲から選択してもよく、通常30秒〜45分、好ましくは1〜30分(例えば、1〜10分)程度である。また混練に先立ち、樹脂成分および助剤成分は、予め凍結粉砕機などで粉体状に予備加工したり、ヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、ボールミルなどで予備混練してもよい。
成形法としては、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などが挙げられ、通常、生産性や加工の容易さの点から、押出成形又は射出成形が使用される。予備成形体の形状は、特に制限されず、0次元的形状(粒状、ペレット状など)、1次元的形状(ストランド状、棒状など)、2次元的形状(板状、シート状、フィルム状など)、3次元的形状(管状、ブロック状など)などであってもよい。助剤成分の溶出性を考慮すると、ストランド状、棒状、シート状、又はフィルム状に加工することが望ましい。また、予備成形体は、成形過程において、他の基材を積層して加工してもよい。
なお、混練温度や成形加工温度は、使用される原材料(例えば、樹脂成分及び助剤成分)に応じて適宜設定することが可能であり、例えば、90〜300℃、好ましくは110〜260℃、さらに好ましくは140〜240℃(例えば、170〜240℃)、特に170〜230℃(例えば、180〜220℃)程度である。助剤成分(オリゴ糖および可塑化成分)の熱分解を避けるため、混練温度や成形加工温度を230℃以下にしてもよい。
分散系(樹脂成分と助剤成分とが分散した形態)は、混練及び/又は成形加工後、溶融物(例えば、混練物、予備成形体)を、適宜冷却することにより形成してもよい。例えば、冷却温度は、樹脂成分の熱変形温度、又は助剤成分の融点若しくは軟化点よりも少なくとも10℃程度低い温度であればよく、例えば、上記温度(樹脂成分の熱変形温度、又は助剤成分の融点若しくは軟化点)より10〜100℃程度低い温度、好ましくは前記温度より15〜80℃程度低い温度、さらに好ましくは前記温度より20〜60℃程度低い温度であってもよい。具体的には、例えば、冷却温度は、樹脂成分又は助剤成分の種類に応じて5〜150℃の範囲から選択でき、例えば、10〜120℃(例えば、10〜60℃)、好ましくは15〜100℃(例えば、15〜50℃)、さらに好ましくは20〜80℃(例えば、20〜40℃)程度であってもよい。冷却時間は、樹脂成分や助剤成分の種類、冷却温度等に応じて適宜設定でき、例えば、30秒〜20時間の広い範囲から選択してもよく、例えば、45秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間(例えば、1分〜1時間)、さらに好ましくは1.5〜30分程度であってもよい。冷却によって、樹脂成分と助剤成分とが相溶であっても、冷却工程において、表面張力、結晶化などの固化速度の相違などによって、分散系を形成でき、分散体を得られる。
例えば、多孔体又は粒子を製造する場合、樹脂成分と助剤成分との相溶性、樹脂成分及び助剤成分の溶融粘度、混練条件(例えば、混練時間、混練温度など)、成形加工温度並びに冷却条件(例えば、冷却時間、冷却温度など)を調整することにより、多孔体の平均孔径又は粒子の平均粒子径を変化させることができ、空隙率が高いだけでなく、孔径均一性が非常に高い多孔体(特に連続通孔を有する多孔体)や、粒度分布幅が狭く、均一な粒子径を有する粒子を簡便に得ることができる。また、前記条件(例えば、粘度や冷却条件など)を調整することにより、目的物の形態も変化させることができ、例えば、樹脂成分と助剤成分とが同じ割合であっても、条件によって多孔体と粒子とを選択し得る。
多孔体の平均孔径又は粒子の平均粒子径は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜800μm(例えば0.1〜500μm)、好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.5〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜50μm(例えば、1〜40μm)程度である。
また、孔径の変動係数([孔径の標準偏差/平均孔径]×100)又は粒子径の変動係数([粒子径の標準偏差/平均粒子径]×100)は、60以下(例えば5〜60程度)、さらに好ましくは50以下(例えば、10〜50程度)である。
上記のようにして得られた予備成形体(又は分散体)は、溶媒[水、水溶性溶媒(例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エーテル類(セロソルブ、ブチルセロソルブなど)など)など]中に浸漬して、助剤成分を溶出または洗浄し、成形体を得ることができる。環境への負荷が少なく、工業コストを低減できるため、溶媒は水が好ましい。助剤成分の溶出は、慣用の方法を用いて、例えば、常圧下(例えば、1atm又は10万Pa程度)、減圧下、又は加圧下でできる。助剤成分の溶出温度は、樹脂成分及び助剤成分に応じて、適宜設定することができ、例えば10〜100℃、好ましくは25〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃(例えば、40〜80℃)程度である。本発明の水溶性助剤成分は、水に易溶であるため、大量の水を必要としない。
成形体は、濾過、遠心分離などの回収方法を用いて回収できる。得られた成形体中には、助剤成分が残留していないことが望ましいが、例えば、洗浄過程のコスト削減などの点から、助剤成分が成形体に少量残存していても、助剤成分が天然物由来の化合物であるため、成形体に与える悪影響は少ない。
なお、溶媒で抽出された助剤成分は、慣用の分離手段(例えば、蒸留、濃縮、再結晶など)を用いて簡便に回収できる。
上記の成形体としては、樹脂成分から助剤成分を溶出して得られるものであれば、特に限定されず、例えば、多孔体(シート状、フィルム状などの二次元的構造の多孔体など)や粒子(例えば、球状、真球状などの粒子)が挙げられる。なお、得られた成形体は、熱融着などにより他の基材を積層して加工してもよい。
本発明の製造方法で得られた成形体は、得られた形状に応じて、様々な用途に使用できる。例えば、多孔体は、液体用の分離膜、フィルタ、吸湿剤、吸着剤、保湿剤、又は記録用シートの受像層(又は受像体)(例えば、インクの受像体)として利用できる。
また、粒子は、広範囲にわたる種類の樹脂が適用できるため、他の微粒子(例えば、無機微粒子など)との混合適性を改良するために使用できるほか、塗料やコート剤(例えば、粉体塗料)、ブロッキング防止剤(例えば、成形体のブロッキング防止剤)、スペーサー、トナーなどとして使用できる。さらに、化粧品等の日用品への添加剤、シート又はフィルム用添加剤などとしても使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜5及び比較例1〜3
表1に示す組成の樹脂成分と助剤成分とで構成された樹脂組成物を、ブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)により設定温度200℃で5分間溶融混練した後、30℃で10分間放置し、その後プレス機にて200℃、200kg/cm2(約20MPa)、3分間の条件で、厚さ1mmの板状の分散体を作製した。分散体は、200kg/cm2(約20MPa)の加圧下、30℃、3分間の条件で速やかに冷却し、その後60℃の湯水中に浸漬した。助剤成分が当初の含有量の5重量%程度に減少するまで、分散体を放置し、最終的に多孔体を作製した。なお、用いた各成分及び得られた多孔体の評価方法は以下の通りである。結果を表1に示す。
(樹脂成分)
樹脂−1:エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(クラレ(株)製、EP−L101B、エチレン含量19.8重量%)
樹脂−2:ポリスチレン樹脂(東洋スチレン(株)製、GPPS HRM63C)
樹脂−3:ポリプロピレン樹脂(グランドポリマー(株)製、F219D)
(助剤成分)
助剤成分−1(オリゴ糖):デンプン糖(東和化成(株)製、還元デンプン糖化物PO−10、25℃においてB型粘度計で測定した50重量%水溶液の粘度:6.5Pa・s)
助剤成分−2(可塑化成分):糖アルコール(和光純薬(株)製、ペンタエリスリトール)
助剤成分−3(可塑化成分):糖アルコール(三菱化学フーズ(株)製、エリスリトール)
(孔径の測定方法)
図1に実施例2で得られた多孔体断面のSEM写真を示す。図1に示すように、多孔体の断面構造が、三次元的に連続通孔性を有する孔構造である場合、独立した孔が存在せず、従来の円換算などによる孔径測定法が採用できない。そのため、走査型電子顕微鏡(SEM:日本電子(株)製)を用いて100〜10000倍で撮影された多孔体断面の写真を用いて、一個の孔を形成している領域の中で、孔の幅方向における最小長さを孔径とした。得られた多孔体について、無作為に抽出した100個の孔に対して孔径測定を行い、平均孔径、標準偏差、及び変動係数を算出した。さらに、孔径100μmを超える穴の有無を調べた。
Figure 2003099933
表1から明らかなように、実施例1〜5の多孔体では、いずれも変動係数が60以下であり、高い孔径の均一性を有する多孔体が得られた。
比較例1及び3では、溶融混練後の樹脂成形体に、塊状に凝集したペンタエリスリトールの存在が目視で明らかに認められ、得られた多孔体には100μmを超える孔が散在した。また、比較例2では、溶融混練時に溶融したエリスリトールが、樹脂成分から完全に分離してしまった。そのため、均一な混合状態を得ることができず、多孔体を得ることができなかった。
実施例6〜19及び比較例4,5
表2に示す組成の樹脂成分、助剤成分を用いて、実施例1と同様の方法で分散体を作製した。得られた分散体は、速やかに30℃、200kg/cm2(約20MPa)、3分間の条件で冷却し、その後60℃の湯水中に浸漬し、樹脂粒子の懸濁溶液を得た。孔径0.45μmのポリビニリデンフルオライド製のメンブレン膜を用いて、この懸濁溶液より不溶分を分離することにより樹脂の微粒子を回収した。なお、用いた各成分や、相溶性及び得られた微粒子の評価方法は以下の通りである。結果を表2に示す。
(樹脂成分)
樹脂−4:ナイロン12(ポリアミド12)樹脂(ダイセルデグサ(株)製、ダイアミドL1600)
樹脂−5:ポリスチレン樹脂(東洋スチレン(株)製、GPPS HRM63C)
樹脂−6:セルロースアセテートブチレート樹脂(イーストマン(株)製、CAB171−15S)
樹脂−7:スチレン−ブタジエン共重合樹脂(フィリップス石油(株)製、KレジンKK38)
樹脂−8:ポリビニリデンフルオライド樹脂(ソルベイアドバンスドポリマー(株)製、PVDF6008)
樹脂−9:ポリ乳酸(三井化学(株)製、レイシア H−100PL)
樹脂−10:ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂(ダイセル化学工業(株)製、セルグリーン CBS201)
樹脂−11:エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(クラレ(株)製、EP−L101B、エチレン含量19.8重量%)
(助剤成分)
助剤成分−4(オリゴ糖):デンプン糖(東和化成(株)製、還元デンプン糖化物PO−10、25℃においてB型粘度計で測定した50重量%水溶液の粘度:6.5Pa・s)
助剤成分−5(a)(可塑化成分):糖アルコール(和光純薬(株)製、ペンタエリスリトール)
助剤成分−5(b)(可塑化成分):糖アルコール(和光純薬(株)製、D(−)ソルビトール)
(樹脂成分と助剤成分の相溶性の評価)
樹脂成分と助剤成分が混練温度で相溶状態であるか否かの判定には示差走査熱量測定(DSC)による熱分析法を用いた。以下にその方法を詳しく述べる。
測定装置は、示差走査熱量測定装置(DSC:島津製作所(株)製、DSC600E)を用いた。表2に示す配合比の樹脂成分と助剤成分とを、予めブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)を用いて、混練温度(200℃)で5分間混練し、サンプルとした。このサンプルを測定装置に供し、一旦、200℃まで加熱して5分間放置後、JIS K7121に準拠して、降温速度10℃/分で、樹脂成分の結晶化に伴う発熱ピークのピークトップ位置から温度を読み取ることにより、結晶化温度を測定した。また樹脂成分単独での結晶化温度は、同様の操作を樹脂成分に対して行い、結晶化温度を測定した。
結晶性の樹脂成分では、樹脂成分単独の結晶化温度と、樹脂成分と助剤成分との混合体を用いて測定した樹脂成分の結晶化温度とを比較して、両者の温度差が1℃以内であった場合は、樹脂成分と助剤成分との間に相溶性があると判断した。
樹脂成分が非晶性樹脂である場合、樹脂成分の結晶化温度が測定できないため、助剤成分について前記の手順で測定したオリゴ糖の結晶化温度と、樹脂成分と助剤成分の混合体について測定したオリゴ糖の結晶化温度とを比較し、両者の温度差が1℃以内であった場合は、樹脂成分と助剤成分との間に相溶性があると判断した。
(樹脂粒子の数平均粒子径)
回収された樹脂微粒子を乾燥した後、走査型電子顕微鏡を用いて微粒子の形状観察を行った。また、乾燥した樹脂微粒子の適当量を純水中に再び分散させることにより懸濁液を調製し、レーザー回折型粒度分布計(島津製作所(株)製、SALD−2000J)を用いて数平均粒子径を測定した。また、樹脂微粒子の中で、無作為に抽出した100個の粒子に対して標準偏差及び変動係数を算出した。
(環境性)
環境への影響は、下記基準に従って評価した。
A:助剤成分が、天然物由来の化合物だけで構成される
B:助剤成分が、天然物由来の化合物及び低分子量工業製品で構成される
Figure 2003099933
実施例6〜19では、樹脂成分と助剤成分とが、相溶系又は非相溶系のいずれにおいても、真球状の球状樹脂微粒子を得ることができた。参考のため、実施例13で得られたセルロースアセテートブチレート樹脂の球状微粒子の電子顕微鏡写真を図2に示す。
また、助剤成分として、樹脂成分の熱変形温度で完全に可塑化しない糖アルコールであるペンタエリスリトールを用いた比較例4では、溶融混練により得られた分散体を水に浸漬して助剤成分を除去しても樹脂成分は微粒子化せず、孔径100μmを超える孔が存在するスポンジ状の塊状物が得られた。
さらに、助剤成分として、融点が樹脂成分の熱変形温度より低い糖アルコールであるソルビトールを用いた比較例5では、溶融混練時に助剤成分の粘度が低すぎるために樹脂成分との混練を行うことができなかった。
図1は実施例2で得られた多孔体断面の走査型電子顕微鏡写真である。
図2は実施例13で得られた粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
本発明は、樹脂成分及び水溶性助剤成分とで構成され、前記樹脂成分を多孔体や粉粒体などの形態に加工するために有用な分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)、この分散体を用いた成形体の製造方法、及び樹脂と組み合わせて分散体を形成するための水溶性助剤に関する。
多孔体や粒子などの所望の形状の樹脂成形体を製造する場合、様々な方法が用いられている。例えば、特開2001−2825号公報(特許文献1)には、成形温度で溶融する気孔形成剤と、樹脂などの高分子物質とを溶融混練し、成形した後に、気孔形成剤を含む充実成形体から気孔形成剤を溶媒で洗浄する多孔体の製造方法が開示されている。この文献では、気孔形成剤として、ペンタエリスリトールやL−エリスリトールなどが記載され、助剤成分を溶出するための溶媒として、水やアルコール類などの有機溶剤が記載されている。この方法によれば、微細な気孔が均一に形成された均質な多孔体を製造することができる。
しかし、樹脂組成物中における気孔形成剤(低融点のエリスリトールや高融点のペンタエリスリトール)の割合を高めると、樹脂組成物の溶融混練性が低下し、孔径の均一性を損なう。より詳細には、樹脂とエリスリトールとの混練において、低融点のエリスリトールが溶融すると、急激に樹脂組成物の粘度が低下し、樹脂組成物の溶融混練性が著しく低下する。また、樹脂組成物におけるペンタエリスリトールの割合を高めると、溶融混練できるものの、一部のペンタエリスリトールが不溶なまま残存し、均一な孔径を有する多孔体を得ることができない。
特開平10−176065公報(特許文献2)には、微粉末化する熱可塑性樹脂(a)に、他の1種類以上の熱可塑性樹脂(b)を溶融混練することにより、樹脂(a)が分散相、樹脂(b)が連続相を構成する樹脂組成物を得て、樹脂(a)は溶解せず、樹脂(b)が溶解するような溶媒で前記樹脂組成物を洗浄することにより、樹脂(a)の球状微粒子を得る方法が開示されている。
しかし、この方法においては、分散相と連続相とがそれぞれ非相溶である必要があるだけでなく、分散相の樹脂の種類によって、連続相の樹脂と溶媒との適正な組み合わせを選択する必要がある。そのため、樹脂同士の組合せが制限されるだけでなく、樹脂及び溶媒の組み合わせについても制限される。さらに、分散体を冷却する過程において、非相溶である樹脂同士は、大きな相分離を起こしがちである。そのため、この分散体を慎重に固化させなければ、一旦生成した分散相が再び集合してしまい、所定形状の球状微粒子を得ることができなくなる。
さらにまた、連続相を形成する樹脂は、製品となる樹脂微粒子にはなんら関与しないため、最終的に回収されるか、あるいは溶解状態のまま廃棄されることになる。しかし、溶液中の樹脂を回収することは、非常に困難であるばかりか、樹脂微粒子の製造コストを上昇させる要因となる。また、樹脂溶液を廃液としてそのまま廃棄した場合、環境への悪影響が懸念される。
特開昭60−13816号公報(特許文献3)には、ポリエチレングリコールと熱可塑性樹脂とを溶融撹拌した後に、水中に投入して両ポリマーを凝固させ、その後、水を用いて、ポリエチレングリコールを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が提案されている。特開昭61−9433号公報(特許文献4)には、熱可塑性樹脂とポリエチレンオキサイドとを溶融撹拌した後に冷却させ、水を用いて、ポリエチレンオキサイドを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が開示されている。特開平9−165457号公報(特許文献5)には、ポリビニルアルコール系樹脂、変性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどの溶融形成可能な水溶性高分子と、熱可塑性樹脂とを混合して溶融成形物を得た後、水を用いて、成形物から水溶性高分子を除去する樹脂微粒子の製造方法が開示されている。
しかし、これらの方法においても、樹脂と水溶性高分子との非相溶性が必要であるため、選択できる樹脂の組合せが限定されるだけでなく、得られる樹脂粒子の粒子径分布の均一性は十分ではない。さらに、これらの水溶性高分子は、水への溶解度が小さいため、溶解させるために大量の水が必要であるとともに、溶解速度が遅いため、生産性を著しく低下させる。さらにまた、このような水溶性高分子は、非天然物由来である場合が多いため、このような水溶性高分子を溶解した廃液は、環境に悪影響を及ぼす。
特開2001−2825号公報 特開平10−176065号公報 特開昭60−13816号公報 特開昭61−9433号公報 特開平9−165457号公報
従って、本発明の目的は、糖類でありながら、樹脂成分と均一に混練可能である水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)、およびこの水溶性助剤成分を用いた分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を提供することにある。
本発明の他の目的は、幅広い種類の樹脂成分を用いても、所定の成形体を工業的に有利に形成できる水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)、およびこの水溶性助剤成分を用いた分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、樹脂成分に対して助剤成分を高い割合で含有させても混練可能であり、かつ均一な相分離構造を形成できる水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)、およびこの水溶性助剤成分を用いた分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を提供することにある。
本発明の別の目的は、水で容易に溶出できるだけでなく、環境への負荷を低減できる水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)と、樹脂成分とで構成された分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を用いた成形体の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、孔径や粒子径が均一な成形体を製造できる方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、少なくともオリゴ糖で構成された助剤成分を、樹脂成分と組み合わせて分散体を形成すると、糖類でありながら、樹脂と均一に混練可能であり、幅広い種類の樹脂成分を用いて、均一な孔径又は粒子径を有する成形体を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の分散体は、樹脂成分(A)及び水溶性助剤成分(B)とで構成された分散体であって、助剤成分(B)が、少なくともオリゴ糖(B1)で構成されている。助剤成分(B)は、海島構造における連続相、または共連続相を形成してもよく、樹脂成分(A)は、熱可塑性樹脂[例えば、ポリエステル系樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース誘導体、熱可塑性エラストマーなど]で構成してもよい。オリゴ糖(B1)は、樹脂成分(A)の熱変形温度よりも高い温度で融点又は軟化点を示してもよいし、分解してもよい。例えば、オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の熱変形温度よりも高い温度、例えば、90〜290℃程度であってもよい。また、オリゴ糖(B1)は樹脂成分(A)の熱変形温度よりも高い温度で明瞭な融点や軟化点を示さず熱分解するオリゴ糖であってもよい。樹脂の熱変形温度は、例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点として測定してもよく、樹脂の熱変形温度(ビカット軟化点)は、例えば、60〜300℃、好ましくは80〜260℃程度であってもよい。オリゴ糖(B1)は、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、八糖類、九糖類、十糖類などで構成してもよく、少なくとも四糖類で構成してもよい。オリゴ糖(B1)は、マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどの四糖で構成してもよい。また、オリゴ糖(B1)は、デンプン糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などのオリゴ糖組成物で構成してもよく、このようなオリゴ糖(B1)中の四糖類の含有量は60重量%以上であってもよい。オリゴ糖(B1)の50重量%水溶液の粘度は、温度25℃でB型粘度計で測定したとき、1Pa・s以上(例えば、3〜100Pa・s程度)であってもよい。
さらに、助剤成分(B)は、オリゴ糖(B1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(B2)を含んでいてもよい。オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とを組み合わせると、オリゴ糖(B1)が熱分解するオリゴ糖であっても有効に可塑化又は軟化できる。可塑化成分(B2)の融点又は軟化点は、前記樹脂成分(A)の熱変形温度(前記ビカット軟化点)以下であってもよい。また、樹脂成分(A)の前記熱変形温度より30℃高い温度においてJIS K 7210で規定されるメルトフローレートを測定したとき、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とで構成された助剤成分(B)のメルトフローレートは、例えば、1以上(例えば、1〜40程度)であってもよい。可塑化成分(B2)は、糖類(例えば、単糖類、二糖類など)や糖アルコールなどで構成してもよく、このような糖類は、還元糖で構成してもよい。単糖類は、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコース、ドデコースなどで構成してもよく、二糖類は、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類で構成してもよい。糖アルコールは、テトリトール(例えば、エリスリトールなど)、ペンチトール(例えば、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトールなど)、ヘキシトール(例えば、ソルビトール、ズルシトール、マンニトールなど)、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、ドデキトールなどで構成してもよい。また、樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合は、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=99/1〜1/99(重量比)程度であってもよく、助剤成分(B)において、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)との割合は、オリゴ糖(B1)/可塑化成分(B2)=99/1〜50/50(重量比)程度であってもよい。
本発明には、少なくともオリゴ糖(B1)で構成され、かつ樹脂と組み合わせて分散体を形成するための水溶性助剤も含まれる。また、分散体から、助剤成分(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体(例えば、平均孔径が0.1〜100μmで、かつ孔径の変動係数が60以下であるような多孔体、平均粒子径が0.1〜100μmで、かつ粒子径の変動係数が60以下であるような粒子など)を製造する方法も含まれる。
なお、本発明において、分散体は、樹脂成分と助剤成分とで、分散系を形成する樹脂組成物であってもよく、両者を同義に用いる場合がある。また、水溶性助剤成分を、気孔形成剤と称する場合がある。
本発明によると、糖類でありながら、樹脂と均一に混練可能な水溶性助剤成分(又は水溶性助剤)を用いるので、水溶性助剤成分と樹脂成分とで構成された分散体(又は分散系を形成する樹脂組成物)を製造できる。また、幅広い種類の樹脂成分を用いても、所定の形状の成形体を工業的に有利に形成できるだけでなく、樹脂成分に対して助剤成分を高い割合で含有させても混練可能であり、かつ均一な相分離構造を有する分散体を形成できる。さらに、この水溶性助剤成分は、分散体から水で容易に溶出できるだけでなく、その溶出液を廃液とする場合でも、天然物由来の成分であるため、環境へ悪影響を及ぼさない。
[樹脂成分(A)]
樹脂成分を構成する樹脂には、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂(例えば、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂など)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂(例えば、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの縮合系熱可塑性樹脂;ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂など)などのビニル重合系熱可塑性樹脂;セルロース誘導体などの天然物由来樹脂など]、および熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂など)などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。樹脂成分としては、通常、熱可塑性樹脂、非水溶性樹脂(非水溶性熱可塑性樹脂など)が使用される。
(熱可塑性樹脂)
(1)ポリエステル系樹脂
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合により得られるホモポリエステル又はコポリエステル;オキシカルボン酸を重縮合させて得られるホモポリエステル又はコポリエステル;ラクトンを開環重合させて得られるホモポリエステル又はコポリエステルが挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸[例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸;メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸などのアルキル置換フタル酸;ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸など);4,4′−ジフェニルジカルボン酸、3,4′−ジフェニルジカルボン酸などのジフェニルジカルボン酸;4,4′−ジフェノキシエタンジカルボン酸などのジフェノキシエタンジカルボン酸;ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸などのジフェニルエーテルジカルボン酸;ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸などのジフェニルアルカンジカルボン酸;ジフェニルケトンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度の芳香族ジカルボン酸など]、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数2〜40程度の脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭素数8〜12程度の脂環族ジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、ジカルボン酸成分には、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルなどの低級アルキルエステル、酸無水物、酸クロライドなどの酸ハライドなども含まれる。
ジオール成分としては、例えば、脂肪族C2-12ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオールなどのC2-12アルカンジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコール等);脂環族C6-12ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等);芳香族C6-20ジオール(例えば、レゾルシノール、ヒドロキノンなどのベンゼンジオール;ナフタレンジオール;ビスフェノールA,F,ADなどのビスフェノール類;ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体など)などが挙げられる。これらのジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
オキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸などの脂肪族C2-6オキシカルボン酸;ヒドロキシ安息香酸、オキシナフトエ酸などの芳香族オキシカルボン酸などが挙げられる。これらのオキシカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ラクトンとしては、例えば、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等のC3-12ラクトンが挙げられる。これらのラクトンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのラクトンのうち、C4-10ラクトン、特にカプロラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなど)が好ましい。
ポリエステル系樹脂には、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂などが含まれる。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度の芳香族ジカルボン酸など)と、前記脂肪族ジオール(好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどの脂肪族C2-12ジオールなど)又は前記脂環族ジオール(好ましくは、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族C6-20ジオールなど)との重縮合により得られたホモポリエステル又はコポリエステルなどが挙げられ、好ましくは、アルキレンテレフタレートやアルキレンナフタレートなどのアルキレンアリレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)とするホモポリエステル又はコポリエステルなどが例示できる。共重合成分には、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2-4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールなど]や炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)などが含まれていてもよい。
具体的には、芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリアルキレンテレフタレート[例えば、ポリ(1,4−シクロへキシルジメチレンテレフタレート)(PCT)などのポリシクロアルカンジC1-4アルキレンテレフタレート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレート]、このポリアルキレンテレフタレートに対応するポリC2-4アルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレートなど)、エチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリエチレンテレフタレートコポリエステル、ブチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリブチレンテレフタレートコポリエステルなどが例示できる。芳香族ポリエステル系樹脂は液晶性ポリエステルであってもよい。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、前記脂肪族ジカルボン酸成分(例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸などの炭素数2〜6程度の脂肪族ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸、コハク酸)と、前記脂肪族ジオール成分(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族C2-6ジオール、好ましくはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族C2-4ジオール)との重縮合により得られるホモポリエステル又はコポリエステルや、前記脂肪族オキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸などの脂肪族C2-6オキシカルボン酸、好ましくはグリコール酸や乳酸などの脂肪族C2-4オキシカルボン酸)のホモポリエステル又はコポリエステル、開始剤(2官能や3官能の開始剤、例えば、アルコールなどの活性水素化合物)を用いて前記ラクトン(好ましくは、カプロラクトンなどのC4-10ラクトン)を開環重合して得られるホモポリラクトン又はコポリラクトンが挙げられる。共重合成分には、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2-4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールなど]や、炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)などが含まれていてもよい。
具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合から得られるポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンオギザレート、ポリブチレンオギザレート、ポリネオペンチレンオギザレートなどのポリC2-6アルキレンオギザレート;ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリネオペンチレンサクシネートなどのポリC2-6アルキレンサクシネート;ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチレンアジペートなどのポリC2-6アルキレンアジペートなど)、ポリオキシカルボン酸系樹脂(例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸など)、ポリラクトン系樹脂[例えば、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製,PCLH7、PCLH4、PCLH1など)などのポリC3-12ラクトン系樹脂など]などが挙げられる。コポリエステルの具体例としては、例えば、2種類のジカルボン酸成分を用いたコポリエステル(例えば、ポリエチレンサクシネート−アジペート共重合樹脂、ポリブチレンサクシネート−アジペート共重合樹脂などのポリC2-4アルキレンサクシネート−アジペート共重合樹脂など)、ジカルボン酸成分とジオール成分とラクトンとから得られるコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂など)などが例示できる。
本発明で使用するポリエステル系樹脂は、ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂(例えば、ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル系樹脂)であってもよい。ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂は、前記ポリエステル系樹脂(低分子量ポリエステルジオールなど)をジイソシアネート(例えば、脂肪族ジイソシアネート)で高分子量化した樹脂が好ましい。
ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど)等が挙げられる。これらのジイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジイソシアネートのうち、脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましく使用できる。
ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂)としては、昭和高分子(株)製の「ビオノーレ♯1000」、「ビオノーレ♯3000」、「ビオノーレ♯6000」のシリーズなどが挙げられる。
(2)ポリアミド系樹脂
ポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、通常、脂肪族ポリアミド系樹脂が使用される。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
脂肪族ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4-10アルキレンジアミン)と脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4-20アルキレンジカルボン酸など)との縮合物(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212など)、ラクタム(ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのC4-20ラクタムなど)又はアミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸などの炭素数C4-20アミノカルボン酸など)の単独又は共重合体(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12など)、これらのポリアミド成分が共重合したコポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など)などが挙げられる。
さらに、ポリアミド系樹脂は生分解性を有していてもよい。生分解性ポリアミド系樹脂としては、前記脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4-10アルキレンジアミン)と、前記脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4-20アルキレンジカルボン酸など)と、前記脂肪族ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのC2-12アルカンジオールなど)との縮合物であるポリエステルアミドが挙げられる。
(3)ポリウレタン系樹脂
ポリウレタン系樹脂は、ジイソシアネート類とポリオール類(例えばジオール類)と必要により鎖伸長剤との反応により得ることができる。ジイソシアネート類としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類などが例示できる。
ポリオール類としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。ポリオール類の中でも特にジオール類(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなど)が好ましい。これらのポリオール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジオール類としては、ポリエステルジオール(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸などのC4-12脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2-12脂肪族ジオール成分とから得られるポリエステルジオール、ε−カプロラクトンなどのC4-12ラクトン成分から得られるポリエステルジオール、前記脂肪族ジカルボン酸成分及び/又は前記脂肪族ジオール成分と、前記ラクトン成分から得られるポリエステルジオールなど)、ポリエーテルジオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)、ポリエステルエーテルジオール(ジオール成分の一部として上記ポリエーテルジオールを用いたポリエステルジオール)などが利用できる。
さらに、鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2-10アルキレングリコールの他、ジアミン類[脂肪族ジアミン類(エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなど直鎖又は分岐鎖状アルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミンなどの直鎖又は分岐鎖状ポリアルキレンポリアミンなど)、脂環族ジアミン類(イソホロンジアミンなど)、芳香族ジアミン類(フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなど)など]も使用できる。これらのポリウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(4)ポリ(チオ)エーテル系樹脂
ポリ(チオ)エーテル系樹脂には、ポリオキシアルキレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂(ポリチオエーテル系樹脂)が含まれる。ポリオキシアルキレン系樹脂としては、ポリオキシメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのポリオキシC1-4アルキレングリコールなどが含まれる。これらのポリ(チオ)エーテル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(5)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。これらのポリカーボネート系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(6)ポリスルホン系樹脂
ポリスルホン系樹脂には、ジハロゲノジフェニルスルホン(ジクロロジフェニルスルホンなど)とビスフェノール類(ビスフェノールA又はその金属塩など)との重縮合により得られるポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂などが例示できる。これらのポリスルホン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(7)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂には、α−C2-6オレフィンの単独又は共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)などのオレフィンの単独又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(8)(メタ)アクリル系樹脂
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど]の単独又は共重合体、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂には、ポリ(メタ)アクリル酸C1-5アルキル、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが含まれる。これらの(メタ)アクリル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(9)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体[スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などの共重合体など;アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS樹脂)、アクリロニトリル−酢酸ビニル−スチレン共重合体(AXS樹脂)などのスチレン系グラフト共重合体;ゴム成分の存在下、少なくともスチレン系単量体をグラフト重合したグラフト重合体、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS、又はゴムグラフトポリスチレン系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)など]などが挙げられる。これらのスチレン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(10)ビニル系樹脂
ビニル系樹脂には、ビニル系単量体の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能なモノマーとの共重合体などが含まれる。ビニル系単量体としては、例えば、ハロゲン含有ビニル単量体[例えば、塩素含有ビニル単量体(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレンなど)、フッ素含有ビニル単量体(例えば、フルオロエチレンなど)など]、カルボン酸ビニルエステル[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステルなど]などが挙げられる。これらのビニル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体など)、フッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体など)、ビニルエステル系樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)などが挙げられる。
前記ビニルエステル系樹脂の誘導体[例えば、ビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)など]も使用できる。これらのビニルアルコール系樹脂のうち、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体を使用する場合、エチレン含量が高すぎると、樹脂の親水性が低下して助剤成分(B)との相互作用が低減するため、エチレン含量は10〜40重量%であることが好ましい。
(11)セルロース誘導体
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(セルロースアセテート、セルロースフタレートなど)、セルロースカーバメート類(セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(シアノエチルセルロースなど)が挙げられる。これらのセルロース誘導体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
セルロースエステルとしては、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の有機酸エステル(又はアシルセルロース);硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル等が挙げられる。
セルロースエーテルとしては、例えば、アルキルセルロース(例えば、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのC2-6アルキルセルロース)、アラルキルセルロース(例えば、ベンジルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシブチルセルロースなどのヒドロキシC4-6アルキルセルロース)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシエチルセルロースなどのカルボキシC2-6アルキルセルロース)、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
生分解性の点からは、セルロース誘導体の置換度は低いのが好ましく、例えば、平均置換度2.5以下、好ましくは2以下(例えば、0.1〜2程度)、さらに好ましくは1.5以下(例えば、0.1〜1.5程度)である。
(12)熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーには、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性エラストマーがブロック共重合体であるとき、ブロック構造は特に制限されず、トリブロック構造、マルチブロック構造、星形ブロック構造などであってもよい。
樹脂成分の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)は、60〜300℃の範囲から選択でき、例えば、80〜260℃、好ましくは100〜240℃(例えば110〜240℃)、さらに好ましくは120〜230℃(例えば130〜220℃)程度である。好ましい樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂など)、生分解性樹脂[例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(例えば、ポリ乳酸系樹脂やポリC3-12ラクトン系樹脂など)、ポリエステルアミドなどの生分解性ポリエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、前記セルロース誘導体]などが挙げられる。なお、助剤成分(B)との溶融混練を容易にするために、アミノ基、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有する樹脂を使用してもよい。
前記生分解性樹脂で構成された成形体は、生分解性に優れるため、例えば、自然環境中で使用される分野(農林水産業用資材、土木資材、建設資材、野外レジャー製品など)、使用後の回収及び再利用が困難な分野(食品包装用フィルム、食品包装用容器、衛生用品、日用品)、樹脂の特殊な機能を生かした分野(生体内分解吸収性を必要とする医用素材、徐放性を必要とする被覆材など)などで有用に使用できる。
[水溶性助剤]
水溶性助剤は、少なくともオリゴ糖(B1)で構成された水溶性助剤成分(B)で構成され、樹脂と組み合わせて分散体を形成する。さらに、オリゴ糖の熱溶融特性を調整するために、水溶性助剤は可塑化成分(B2)をさらに含むのが好ましい。
(B1)オリゴ糖
オリゴ糖(B1)は、2〜10分子の単糖類が、グリコシド結合を介して脱水縮合したホモオリゴ糖と、少なくとも2種類以上の単糖類及び/又は糖アルコールが、2〜10分子グリコシド結合を介して脱水縮合したヘテロオリゴ糖とに大別される。オリゴ糖(B1)としては、例えば、二糖類〜十糖類が挙げられ、通常、二糖類〜六糖類のオリゴ糖が使用される。オリゴ糖は、通常、常温で固体である。なお、これらのオリゴ糖は、無水物でもよい。また、オリゴ糖において、単糖類と糖アルコールとが結合していてもよい。これらのオリゴ糖は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、オリゴ糖は複数の糖成分で構成されたオリゴ糖組成物であってもよい。このようなオリゴ糖組成物であっても単にオリゴ糖という場合がある。
二糖類としては、トレハロース(例えば、α,α−トレハロース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロースなど)、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオースなどのホモオリゴ糖;ラクトース、スクロース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
三糖類としては、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオースなどのホモオリゴ糖;マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトスクロース、ラフィノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
四糖類としては、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなどのホモオリゴ糖;スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
これらの四糖類のうち、パノースの還元末端に単糖類又は糖アルコールが結合したテトラオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなどの単糖類や、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが結合したテトラオースが例示できる。
五糖類としては、マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどのホモオリゴ糖;パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースも、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、スクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類が結合したペンタオースが例示できる。
六糖類としては、マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどのホモオリゴ糖などが挙げられる。
オリゴ糖は、樹脂成分との溶融混練性の観点から、少なくとも四糖類で構成されているのが好ましい。
オリゴ糖は、多糖類の分解により生成するオリゴ糖組成物であってもよい。オリゴ糖組成物は、通常、四糖類を含んでいる。オリゴ糖組成物としては、例えば、デンプン糖(デンプン糖化物)、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などが挙げられる。これらのオリゴ糖組成物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
例えば、デンプン糖は、デンプンに酸又はグルコアミラーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、複数個のグルコースが結合したオリゴ糖の混合物であってもよい。デンプン糖としては、例えば、東和化成(株)製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の含有量90重量%以上)などが挙げられる。
ガラクトオリゴ糖は、ラクトースにβ−ガラクトシダーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、ガラクトシルラクトースとガラクトース−(グルコース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
カップリングシュガーは、デンプンとスクロースにシクロデキストリン合成酵素(CGTase)を作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、(グルコース)n−スクロースの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
フルクトオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)は、砂糖(スクロース)にフルクトフラノシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、スクロース−(フルクトース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
これらのオリゴ糖組成物において、溶融混練での急激な粘度低下を防止するため、オリゴ糖組成物中の三糖類、四糖類(特に四糖類)の含有量は、例えば、60重量%以上(60〜100重量%)、好ましくは70重量%以上(70〜100重量%)、さらに好ましくは80重量%以上(80〜100重量%)、特に90重量%以上(90〜100重量%)である。
オリゴ糖は還元型(マルトース型)であってもよく、非還元型(トレハロース型)であってもよいが、還元型のオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。
還元型のオリゴ糖としては、遊離のアルデヒド基又はケトン基を有し、還元性を示す糖であれば、特に限定されず、例えば、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどの二糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオースなどの三糖類;マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、セロテトラオース、リキノースなどの四糖類;マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどの五糖類;マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどの六糖類などが挙げられる。
一般的に、前記オリゴ糖は、天然物である多糖類の誘導体あるいはそれらの還元によって製造される天然物由来の製造物であるため、環境への負荷を低減できる。
混練により、効果的に樹脂成分と助剤成分とを分散させるためには、オリゴ糖の粘度は高いのが望ましい。具体的には、B型粘度計を用いて温度25℃で測定したとき、オリゴ糖の50重量%水溶液の粘度は、1Pa・s以上(例えば、1〜500Pa・s程度)、好ましくは2Pa・s以上(例えば、2〜250Pa・s、特に3〜100Pa・s程度)、さらに好ましくは4Pa・s以上(例えば、4〜50Pa・s程度)、特に6Pa・s以上(例えば、6〜50Pa・s程度)であり、高粘度オリゴ糖を用いることが望ましい。
また、オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)より高いのが好ましい。なお、オリゴ糖の種類(例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など)によっては、融点又は軟化点を示さず、熱分解する場合がある。このような場合、分解温度をオリゴ糖(B1)の「融点又は軟化点」としてもよい。
オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点と、樹脂成分(A)の熱変形温度との温度差は、例えば、1℃以上(例えば、1〜80℃程度)、好ましくは10℃以上(例えば、10〜70℃程度)、さらに好ましくは15℃以上(例えば、15〜60℃程度)である。オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。なお、一般にオリゴ糖の無水物は、高い融点又は軟化点を示す。例えば、トレハロースの場合、二水化物の融点は97℃であるが、無水物の融点は203℃である。オリゴ糖の融点又は軟化点が樹脂成分(A)の熱変形温度より高いと、溶融混練でのオリゴ糖の急激な粘度低下を防止できるだけでなく、オリゴ糖の熱劣化も抑制できる。
更に、本発明では、水溶性助剤成分(B)において、オリゴ糖(B1)と、オリゴ糖(B1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(B2)とを組み合わせることにより、樹脂成分(A)との混練において、水溶性助剤成分(B)の粘度を調整できる。
(B2)可塑化成分
可塑化成分(B2)としては、オリゴ糖(B1)が水和して水飴状態となる現象を発現できるものであればよく、例えば、糖類、糖アルコールなどが挙げられる。これらの可塑化成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(糖類)
糖類としては、オリゴ糖(B1)を有効に可塑化するために、通常、単糖類及び/又は二糖類が使用される。これらの糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
単糖類としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコースなどが挙げられる。これらの化合物は、アルドースやケトースであってもよく、ジアルドース(糖の誘導体であって炭素鎖両末端がアルデヒド基である化合物、例えば、テトラアセチルガラクトヘキソジアルドース、イドヘキソジアルドース、キシロペントアルドース等)、複数のカルボニル基を有する単糖類(オソン、オノース等のアルドアルコケトース等)、メチル基を有する単糖類(アルトロメチロースなどのメチル糖等)、アシル基(特にアセチル基などのC2-4アシル基等)を有する単糖類(前記アルドースのアセチル化物、例えば、アルデヒドグルコースペンタアセチル化物などのアセチル化物など)、カルボキシル基が導入された糖類(糖酸またはウロン酸等)、チオ糖、アミノ糖、デオキシ糖などであってもよい。
このような単糖類の具体例としては、例えば、テトロース(エリトロース、トレオロース等)、ペントース(アラビノース、リボース、リキソース、デオキシリボース、キシロース等)、ヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、フコース、ラムノース、タロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン等)などが例示できる。
また、単糖類は、ヘミアセタール結合により環状構造を形成した環状異性体であってもよい。単糖類は、旋光性を有している必要はないが、D形、L形、DL形のいずれであってもよい。これらの単糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
二糖類としては、オリゴ糖(B1)を可塑化できるものであれば、特に制限されず、例えば、前記二糖類のうち、低融点または低軟化点を有する二糖類(例えば、ゲンチビオース、メリビオース、トレハロース(二水化物)など)、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類に相当する二糖類(例えば、グルクロン酸とグルコースとがα−1,6グリコシド結合したグルクロノグルコースなどのアルドビオウロン酸など)が例示できる。
糖類は、熱安定性の点から、還元糖[例えば、遊離の単糖類の他、前記二糖類のうち、低融点又は低軟化点の還元糖(例えば、ゲンチビオース、メリビオースなど)など]が好ましい。
(糖アルコール)
糖アルコール(又は水溶性多価アルコール)としては、アルジトール(グリシトール)などの鎖状糖アルコールであってもよく、イノシットなどの環式糖アルコールであってもよいが、通常は、鎖状糖アルコールが使用される。これらの糖アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状糖アルコールとしては、テトリトール(トレイトール、エリスリトールなど)、ペンチトール[ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール、リキシトールなど]、ヘキシトール[ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、アロズルシトール(アリトール)、アルリトールなど]、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、及びドデキトールなどが挙げられる。
これらの糖アルコールのうち、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールなどが好ましい。糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトールから選択された少なくとも1つの糖アルコールを含む場合が多い。
可塑化成分(B2)は、常温(例えば、15〜20℃程度)で液体(シロップ状)であってもよいが、取扱い性などの点から、通常、固体である場合が多い。助剤成分(B)をオリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とで構成すると、オリゴ糖(B1)が明瞭な融点や軟化点を示さない熱分解性オリゴ糖であっても、有効に可塑化又は軟化できる。
可塑化成分(B2)の融点又は軟化点は、通常、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)以下である。なお、可塑化成分の中には、高融点(例えば200℃以上)を有するにも拘わらず、オリゴ糖と共存すると、実際の融点よりも低い温度で融解する物質が存在する。例えば、ペンタエリスリトールは、実際の融点(260℃)より低温(例えば160〜180℃程度)でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮するとともに、自身も融解状態となる。このような高融点の可塑化成分は、単独では樹脂成分の熱変形温度において融解しないため利用できないが、オリゴ糖と組み合わせることによって有効に利用できる。なお、実際の融点より低温でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮する可塑化成分(例えば、ペンタエリスリトールなど)においては、オリゴ糖に対して可塑化効果を発揮する温度を、可塑化成分(B2)の「融点又は軟化点」としてもよい。
助剤成分(B)の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の熱変形温度以上であってもよく、以下であってもよい。樹脂成分(A)及び助剤成分(B)は、少なくとも混練温度(又は成形加工温度)において溶融又は軟化すればよい。例えば、助剤成分(B)の融点又は軟化点と、樹脂成分(A)の熱変形温度との温度差は、0〜100℃の範囲で選択してもよく、例えば、3〜80℃(例えば3〜55℃)、好ましくは5〜60℃(例えば、5〜45℃)、さらに好ましくは5〜40℃(例えば、10〜35℃)程度であってもよい。なお、助剤成分(B)の融点又は軟化点と、樹脂成分(A)の熱変形温度との温度差が小さい場合(例えば前記温度差が0〜20℃程度である場合)、固化速度の高い助剤成分(B)(例えば、糖成分)により短時間で分散形態を固定化できるという利点がある。
さらに、助剤成分(B)(例えば、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とを含む助剤成分)のメルトフローレートは、例えば、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、前記ビカット軟化点)より30℃高い温度でJIS K 7210で規定されるメルトフローレートを測定したとき、1以上(例えば、1〜40程度)、好ましくは5以上(例えば、5〜30程度)、さらに好ましくは10以上(例えば、10〜20程度)であってもよい。
助剤成分(B)において、可塑化成分(B2)の割合(重量比)は、溶融混練に伴って、可塑化成分が凝集などにより局在化せず、オリゴ糖(B1)を効率的に可塑化できる量、例えば、オリゴ糖(B1)/可塑化成分(B2)=99/1〜50/50から選択でき、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは90/10〜70/30程度である。
樹脂成分(A)と助剤成分(B)との相溶性は、特に制限されず、非相溶性であってもよく、相溶性であってもよい。樹脂成分と助剤成分とが相溶する場合、樹脂成分と助剤成分とが混練温度において均一な単一相を形成しても、混練後の冷却過程において、両者の表面張力と固化速度の相違により、樹脂成分と助剤成分とを相分離できる。樹脂成分と助剤成分とが相溶する場合においても、樹脂成分と助剤成分とを相分離できる理由としては、本発明の助剤成分が、低い表面張力を有するとともに、樹脂成分との混練温度においても比較的高粘度を保持でき、さらに低分子量であるために冷却時の固化速度が樹脂成分に比して極端に速いという特異な物性を有していることが挙げられる。
樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、樹脂成分及び助剤成分の種類や粘度、樹脂成分と助剤成分との相溶性などに応じて選択でき、特に制限されないが、通常、成形性を損なわない量、例えば、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=99/1〜1/99程度の広い範囲から選択でき、例えば、90/10〜5/95、好ましくは80/20〜10/90(例えば、80/20〜15/85)、さらに好ましくは75/25〜25/75(特に、60/40〜25/75)程度である。
なお、分散体から得られる成形体(樹脂成形体)が多孔質である場合、樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=75/25〜10/90の範囲から選択でき、例えば、多孔度及び機械的強度のバランスの観点から、好ましくは60/40〜15/85(例えば、50/50〜15/85)、さらに好ましくは40/60〜25/75程度である。例えば、(A)/(B)(重量比)=40/60〜25/75程度であるとき、多孔質の樹脂成形体は、分離膜として有用である。
また、分散体から得られる成形体(樹脂成形体)が粉粒体である場合、樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、通常、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=55/45〜1/99、好ましくは50/50〜5/95、さらに好ましくは45/55〜10/90程度である。
[他の添加剤]
前記分散体又は樹脂組成物には、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、フィラー、可塑剤又は軟化剤、滑剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、増粘剤、着色剤(酸化チタン、カーボンブラックなど)、分散剤、難燃剤、帯電防止剤などを配合してもよい。
前記フィラー(又は補強剤)には、例えば、粉粒状フィラー又は補強剤(マイカ、クレー、タルク、ケイ酸類、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、フェライトなど)、繊維状フィラー又は補強剤(レーヨン、ナイロン、ビニロン、アラミドなどの有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホイスカーなどの無機繊維)などが含まれる。
これらの添加剤は、それぞれ有効量であればよく、例えば、樹脂100重量部に対して、添加剤の総量は、0〜50重量部程度、好ましくは0.1〜20重量部程度、さらに好ましくは0.5〜10重量部程度であってもよい。また、樹脂100重量部に対して、各添加剤は、0〜30重量部程度、好ましくは0.05〜20重量部程度、さらに好ましくは0.1〜10重量部程度であってもよい。
本発明の分散体又は樹脂組成物において、相分離構造や分散構造などは特に制限されず、樹脂成分と助剤成分とが、海島構造又は複合分散相構造を形成してもよく、両成分が、連続相を形成してもよい。助剤成分(B)が、海島構造における連続相(樹脂相が独立した相分離構造)、又は共連続相を形成している場合、助剤成分を速やかに溶出できる。
助剤成分(B)が、海島構造における連続相を形成している場合、樹脂成分で構成される分散相の形状は、粒子状(例えば、球状、楕円体状、多角体状、角柱状、円柱状、棒状、不定形状など)などであってもよい。好ましい分散相の形状は、球状である。なお、分散相の平均粒子径は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜800μm(例えば0.1〜500μm)、好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.5〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜50μm(例えば、1〜40μm)程度である。
助剤成分(B)が、樹脂成分(A)と共連続相を形成している場合、助剤成分(気孔形成剤)で構成される連続相の形状は、ラメラ構造、OBDD(Ordered Bicontinuous Double Diamond)構造、シリンダー構造などであってもよい。このような構造を有する連続相の大きさを測定する場合、独立した粒子などの単位が存在しないため、従来の円換算などの測定方法を用いることができない。このような場合、例えば、分散体の一断面において、1つの連続した相(又はテトラポット状の基本単位)の中で、相の幅方向における最小長さ(X)を測定することによって、助剤成分で構成される連続相の大きさを測定できる。さらに、無作為に抽出した複数の相(又は基本単位)において、長さ(X)を測定すると、長さ(X)の平均値を算出できる。平均の長さ(X)は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜800μm(例えば0.1〜500μm)、好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.5〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜50μm(例えば、1〜40μm)程度である。
[成形体の製造方法]
本発明は、前記分散体から、助剤成分(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体(例えば、多孔体や粒子)を製造する方法も含む。
分散体は、樹脂成分(A)と助剤成分(B)とを混練することにより調製でき、通常、混練した組成物を成形し、予備成形体を調製する場合が多い。混練は、慣用の混練機(例えば、単軸もしくは二軸スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロールなど)を用いて行なうことができる。混練時間は、例えば、10秒〜1時間の範囲から選択してもよく、通常30秒〜45分、好ましくは1〜30分(例えば、1〜10分)程度である。また混練に先立ち、樹脂成分および助剤成分は、予め凍結粉砕機などで粉体状に予備加工したり、ヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、ボールミルなどで予備混練してもよい。
成形法としては、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などが挙げられ、通常、生産性や加工の容易さの点から、押出成形又は射出成形が使用される。予備成形体の形状は、特に制限されず、0次元的形状(粒状、ペレット状など)、1次元的形状(ストランド状、棒状など)、2次元的形状(板状、シート状、フィルム状など)、3次元的形状(管状、ブロック状など)などであってもよい。助剤成分の溶出性を考慮すると、ストランド状、棒状、シート状、又はフィルム状に加工することが望ましい。また、予備成形体は、成形過程において、他の基材を積層して加工してもよい。
なお、混練温度や成形加工温度は、使用される原材料(例えば、樹脂成分及び助剤成分)に応じて適宜設定することが可能であり、例えば、90〜300℃、好ましくは110〜260℃、さらに好ましくは140〜240℃(例えば、170〜240℃)、特に170〜230℃(例えば、180〜220℃)程度である。助剤成分(オリゴ糖および可塑化成分)の熱分解を避けるため、混練温度や成形加工温度を230℃以下にしてもよい。
分散系(樹脂成分と助剤成分とが分散した形態)は、混練及び/又は成形加工後、溶融物(例えば、混練物、予備成形体)を、適宜冷却することにより形成してもよい。例えば、冷却温度は、樹脂成分の熱変形温度、又は助剤成分の融点若しくは軟化点よりも少なくとも10℃程度低い温度であればよく、例えば、上記温度(樹脂成分の熱変形温度、又は助剤成分の融点若しくは軟化点)より10〜100℃程度低い温度、好ましくは前記温度より15〜80℃程度低い温度、さらに好ましくは前記温度より20〜60℃程度低い温度であってもよい。具体的には、例えば、冷却温度は、樹脂成分又は助剤成分の種類に応じて5〜150℃の範囲から選択でき、例えば、10〜120℃(例えば、10〜60℃)、好ましくは15〜100℃(例えば、15〜50℃)、さらに好ましくは20〜80℃(例えば、20〜40℃)程度であってもよい。冷却時間は、樹脂成分や助剤成分の種類、冷却温度等に応じて適宜設定でき、例えば、30秒〜20時間の広い範囲から選択してもよく、例えば、45秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間(例えば、1分〜1時間)、さらに好ましくは1.5〜30分程度であってもよい。冷却によって、樹脂成分と助剤成分とが相溶であっても、冷却工程において、表面張力、結晶化などの固化速度の相違などによって、分散系を形成でき、分散体を得られる。
例えば、多孔体又は粒子を製造する場合、樹脂成分と助剤成分との相溶性、樹脂成分及び助剤成分の溶融粘度、混練条件(例えば、混練時間、混練温度など)、成形加工温度並びに冷却条件(例えば、冷却時間、冷却温度など)を調整することにより、多孔体の平均孔径又は粒子の平均粒子径を変化させることができ、空隙率が高いだけでなく、孔径均一性が非常に高い多孔体(特に連続通孔を有する多孔体)や、粒度分布幅が狭く、均一な粒子径を有する粒子を簡便に得ることができる。また、前記条件(例えば、粘度や冷却条件など)を調整することにより、目的物の形態も変化させることができ、例えば、樹脂成分と助剤成分とが同じ割合であっても、条件によって多孔体と粒子とを選択し得る。
多孔体の平均孔径又は粒子の平均粒子径は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜800μm(例えば0.1〜500μm)、好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.5〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜50μm(例えば、1〜40μm)程度である。
また、孔径の変動係数([孔径の標準偏差/平均孔径]×100)又は粒子径の変動係数([粒子径の標準偏差/平均粒子径]×100)は、60以下(例えば5〜60程度)、さらに好ましくは50以下(例えば、10〜50程度)である。
上記のようにして得られた予備成形体(又は分散体)は、溶媒[水、水溶性溶媒(例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エーテル類(セロソルブ、ブチルセロソルブなど)など)など]中に浸漬して、助剤成分を溶出または洗浄し、成形体を得ることができる。環境への負荷が少なく、工業コストを低減できるため、溶媒は水が好ましい。助剤成分の溶出は、慣用の方法を用いて、例えば、常圧下(例えば、1atm又は10万Pa程度)、減圧下、又は加圧下でできる。助剤成分の溶出温度は、樹脂成分及び助剤成分に応じて、適宜設定することができ、例えば10〜100℃、好ましくは25〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃(例えば、40〜80℃)程度である。本発明の水溶性助剤成分は、水に易溶であるため、大量の水を必要としない。
成形体は、濾過、遠心分離などの回収方法を用いて回収できる。得られた成形体中には、助剤成分が残留していないことが望ましいが、例えば、洗浄過程のコスト削減などの点から、助剤成分が成形体に少量残存していても、助剤成分が天然物由来の化合物であるため、成形体に与える悪影響は少ない。
なお、溶媒で抽出された助剤成分は、慣用の分離手段(例えば、蒸留、濃縮、再結晶など)を用いて簡便に回収できる。
上記の成形体としては、樹脂成分から助剤成分を溶出して得られるものであれば、特に限定されず、例えば、多孔体(シート状、フィルム状などの二次元的構造の多孔体など)や粒子(例えば、球状、真球状などの粒子)が挙げられる。なお、得られた成形体は、熱融着などにより他の基材を積層して加工してもよい。
本発明の製造方法で得られた成形体は、得られた形状に応じて、様々な用途に使用できる。例えば、多孔体は、液体用の分離膜、フィルタ、吸湿剤、吸着剤、保湿剤、又は記録用シートの受像層(又は受像体)(例えば、インクの受像体)として利用できる。
また、粒子は、広範囲にわたる種類の樹脂が適用できるため、他の微粒子(例えば、無機微粒子など)との混合適性を改良するために使用できるほか、塗料やコート剤(例えば、粉体塗料)、ブロッキング防止剤(例えば、成形体のブロッキング防止剤)、スペーサー、トナーなどとして使用できる。さらに、化粧品等の日用品への添加剤、シート又はフィルム用添加剤などとしても使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜5及び比較例1〜3
表1に示す組成の樹脂成分と助剤成分とで構成された樹脂組成物を、ブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)により設定温度200℃で5分間溶融混練した後、30℃で10分間放置し、その後プレス機にて200℃、200kg/cm2(約20MPa)、3分間の条件で、厚さ1mmの板状の分散体を作製した。分散体は、200kg/cm2(約20MPa)の加圧下、30℃、3分間の条件で速やかに冷却し、その後60℃の湯水中に浸漬した。助剤成分が当初の含有量の5重量%程度に減少するまで、分散体を放置し、最終的に多孔体を作製した。なお、用いた各成分及び得られた多孔体の評価方法は以下の通りである。結果を表1に示す。
(樹脂成分)
樹脂−1:エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(クラレ(株)製、EP−L101B、エチレン含量19.8重量%)
樹脂−2:ポリスチレン樹脂(東洋スチレン(株)製、GPPS HRM63C)
樹脂−3:ポリプロピレン樹脂(グランドポリマー(株)製、F219D)
(助剤成分)
助剤成分−1(オリゴ糖):デンプン糖(東和化成(株)製、還元デンプン糖化物PO−10、25℃においてB型粘度計で測定した50重量%水溶液の粘度:6.5Pa・s)
助剤成分−2(可塑化成分):糖アルコール(和光純薬(株)製、ペンタエリスリトール)
助剤成分−3(可塑化成分):糖アルコール(三菱化学フーズ(株)製、エリスリトール)
(孔径の測定方法)
図1に実施例2で得られた多孔体断面のSEM写真を示す。図1に示すように、多孔体の断面構造が、三次元的に連続通孔性を有する孔構造である場合、独立した孔が存在せず、従来の円換算などによる孔径測定法が採用できない。そのため、走査型電子顕微鏡(SEM:日本電子(株)製)を用いて100〜10000倍で撮影された多孔体断面の写真を用いて、一個の孔を形成している領域の中で、孔の幅方向における最小長さを孔径とした。得られた多孔体について、無作為に抽出した100個の孔に対して孔径測定を行い、平均孔径、標準偏差、及び変動係数を算出した。さらに、孔径100μmを超える穴の有無を調べた。
Figure 2003099933
表1から明らかなように、実施例1〜5の多孔体では、いずれも変動係数が60以下であり、高い孔径の均一性を有する多孔体が得られた。
比較例1及び3では、溶融混練後の樹脂成形体に、塊状に凝集したペンタエリスリトールの存在が目視で明らかに認められ、得られた多孔体には100μmを超える孔が散在した。また、比較例2では、溶融混練時に溶融したエリスリトールが、樹脂成分から完全に分離してしまった。そのため、均一な混合状態を得ることができず、多孔体を得ることができなかった。
実施例6〜19及び比較例4,5
表2に示す組成の樹脂成分、助剤成分を用いて、実施例1と同様の方法で分散体を作製した。得られた分散体は、速やかに30℃、200kg/cm2(約20MPa)、3分間の条件で冷却し、その後60℃の湯水中に浸漬し、樹脂粒子の懸濁溶液を得た。孔径0.45μmのポリビニリデンフルオライド製のメンブレン膜を用いて、この懸濁溶液より不溶分を分離することにより樹脂の微粒子を回収した。なお、用いた各成分や、相溶性及び得られた微粒子の評価方法は以下の通りである。結果を表2に示す。
(樹脂成分)
樹脂−4:ナイロン12(ポリアミド12)樹脂(ダイセルデグサ(株)製、ダイアミドL1600)
樹脂−5:ポリスチレン樹脂(東洋スチレン(株)製、GPPS HRM63C)
樹脂−6:セルロースアセテートブチレート樹脂(イーストマン(株)製、CAB171−15S)
樹脂−7:スチレン−ブタジエン共重合樹脂(フィリップス石油(株)製、KレジンKK38)
樹脂−8:ポリビニリデンフルオライド樹脂(ソルベイアドバンスドポリマー(株)製、PVDF6008)
樹脂−9:ポリ乳酸(三井化学(株)製、レイシア H−100PL)
樹脂−10:ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂(ダイセル化学工業(株)製、セルグリーン CBS201)
樹脂−11:エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(クラレ(株)製、EP−L101B、エチレン含量19.8重量%)
(助剤成分)
助剤成分−4(オリゴ糖):デンプン糖(東和化成(株)製、還元デンプン糖化物PO−10、25℃においてB型粘度計で測定した50重量%水溶液の粘度:6.5Pa・s)
助剤成分−5(a)(可塑化成分):糖アルコール(和光純薬(株)製、ペンタエリスリトール)
助剤成分−5(b)(可塑化成分):糖アルコール(和光純薬(株)製、D(−)ソルビトール)
(樹脂成分と助剤成分の相溶性の評価)
樹脂成分と助剤成分が混練温度で相溶状態であるか否かの判定には示差走査熱量測定(DSC)による熱分析法を用いた。以下にその方法を詳しく述べる。
測定装置は、示差走査熱量測定装置(DSC:島津製作所(株)製、DSC600E)を用いた。表2に示す配合比の樹脂成分と助剤成分とを、予めブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)を用いて、混練温度(200℃)で5分間混練し、サンプルとした。このサンプルを測定装置に供し、一旦、200℃まで加熱して5分間放置後、JIS K7121に準拠して、降温速度10℃/分で、樹脂成分の結晶化に伴う発熱ピークのピークトップ位置から温度を読み取ることにより、結晶化温度を測定した。また樹脂成分単独での結晶化温度は、同様の操作を樹脂成分に対して行い、結晶化温度を測定した。
結晶性の樹脂成分では、樹脂成分単独の結晶化温度と、樹脂成分と助剤成分との混合体を用いて測定した樹脂成分の結晶化温度とを比較して、両者の温度差が1℃以内であった場合は、樹脂成分と助剤成分との間に相溶性があると判断した。
樹脂成分が非晶性樹脂である場合、樹脂成分の結晶化温度が測定できないため、助剤成分について前記の手順で測定したオリゴ糖の結晶化温度と、樹脂成分と助剤成分の混合体について測定したオリゴ糖の結晶化温度とを比較し、両者の温度差が1℃以内であった場合は、樹脂成分と助剤成分との間に相溶性があると判断した。
(樹脂粒子の数平均粒子径)
回収された樹脂微粒子を乾燥した後、走査型電子顕微鏡を用いて微粒子の形状観察を行った。また、乾燥した樹脂微粒子の適当量を純水中に再び分散させることにより懸濁液を調製し、レーザー回折型粒度分布計(島津製作所(株)製、SALD−2000J)を用いて数平均粒子径を測定した。また、樹脂微粒子の中で、無作為に抽出した100個の粒子に対して標準偏差及び変動係数を算出した。
(環境性)
環境への影響は、下記基準に従って評価した。
A:助剤成分が、天然物由来の化合物だけで構成される
B:助剤成分が、天然物由来の化合物及び低分子量工業製品で構成される
Figure 2003099933
実施例6〜19では、樹脂成分と助剤成分とが、相溶系又は非相溶系のいずれにおいても、真球状の球状樹脂微粒子を得ることができた。参考のため、実施例13で得られたセルロースアセテートブチレート樹脂の球状微粒子の電子顕微鏡写真を図2に示す。
また、助剤成分として、樹脂成分の熱変形温度で完全に可塑化しない糖アルコールであるペンタエリスリトールを用いた比較例4では、溶融混練により得られた分散体を水に浸漬して助剤成分を除去しても樹脂成分は微粒子化せず、孔径100μmを超える孔が存在するスポンジ状の塊状物が得られた。
さらに、助剤成分として、融点が樹脂成分の熱変形温度より低い糖アルコールであるソルビトールを用いた比較例5では、溶融混練時に助剤成分の粘度が低すぎるために樹脂成分との混練を行うことができなかった。
図1は実施例2で得られた多孔体断面の走査型電子顕微鏡写真である。
図2は実施例13で得られた粒子の走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (28)

  1. 樹脂成分(A)及び水溶性助剤成分(B)で構成された分散体であって、助剤成分(B)が、少なくともオリゴ糖(B)で構成されている分散体。
  2. 助剤成分(B)が、海島構造における連続相、または共連続相を形成する請求項1記載の分散体。
  3. 樹脂成分(A)が熱可塑性樹脂で構成されている請求項1記載の分散体。
  4. 樹脂成分(A)が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース誘導体、及び熱可塑性エラストマーから選択された少なくとも一種で構成されている請求項1記載の分散体。
  5. オリゴ糖(B)が、樹脂成分(A)の熱変形温度よりも高い温度で融点又は軟化点を示すか、若しくは分解する請求項1記載の分散体。
  6. オリゴ糖(B)が、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、八糖類、九糖類、及び十糖類から選択された少なくとも一種で構成されている請求項1記載の分散体。
  7. オリゴ糖(B)が、少なくとも四糖類で構成されている請求項1記載の分散体。
  8. オリゴ糖(B)が、(1)マルトテトラオース、(2)イソマルトテトラオース、(3)スタキオース、(4)セロテトラオース、(5)スコロドース、(6)リキノース、及び(7)パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースから選択された少なくとも一種の四糖類で構成されている請求項1記載の分散体。
  9. オリゴ糖(B)が、デンプン糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖から選択された少なくとも一種で構成されている請求項1記載の分散体。
  10. オリゴ糖(B)が四糖類を60重量%以上の割合で含有する請求項9記載の分散体。
  11. オリゴ糖(B)の50重量%水溶液の粘度が、温度25℃でB型粘度計で測定したとき、1Pa・s以上である請求項1記載の分散体。
  12. 助剤成分(B)が、さらに、オリゴ糖(B)を可塑化するための水溶性可塑化成分(B)を含む請求項1記載の分散体。
  13. 可塑化成分(B)の融点又は軟化点が、樹脂成分(A)の熱変形温度以下である請求項12記載の分散体。
  14. 可塑化成分(B)が、糖類及び糖アルコールから選択された少なくとも一種で構成されている請求項12記載の分散体。
  15. 糖類が、単糖類及び二糖類から選択された少なくとも一種で構成されている請求項14記載の分散体。
  16. 糖類が還元糖で構成されている請求項14記載の分散体。
  17. 単糖類が、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコース、及びドデコースから選択された少なくとも一種で構成され、二糖類が、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類から選択された少なくとも一種で構成されている請求項15記載の分散体。
  18. 糖アルコールが、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、及びドデキトールから選択された少なくとも一種で構成されている請求項14記載の分散体。
  19. 糖アルコールが、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールから選択された少なくとも一種で構成されている請求項14記載の分散体。
  20. 樹脂成分(A)が、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点60〜300℃を有し、温度25℃でB型粘度計で測定したとき、オリゴ糖(B)の50重量%水溶液の粘度が3〜100Pa・sであり、前記ビカット軟化点より30℃高い温度でJIS K 7210で規定されるメルトフローレートを測定したとき、オリゴ糖(B)と可塑化成分(B)とで構成された助剤成分(B)のメルトフローレートが1以上である請求項12記載の分散体。
  21. 樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)が、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=99/1〜1/99である請求項1記載の分散体。
  22. オリゴ糖(B)と可塑化成分(B)との割合(重量比)が、オリゴ糖(B)/可塑化成分(B)=99/1〜50/50である請求項12記載の分散体。
  23. 樹脂成分(A)が、ポリアミド系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、セルロース誘導体、ハロゲン含有樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、及び熱可塑性エラストマーから選択された少なくとも一種で構成され、助剤成分(B)を構成するオリゴ糖(B)が、デンプン糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖から選択された少なくとも一種で構成され、可塑化成分(B)が、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、及びソルビトールから選択された少なくとも一種で構成され、樹脂成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)が、樹脂成分(A)/助剤成分(B)=90/10〜5/95であり、オリゴ糖(B)と可塑化成分(B)との割合(重量比)が、オリゴ糖(B)/可塑化成分(B)=95/5〜60/40である請求項12記載の分散体。
  24. 少なくともオリゴ糖(B)で構成され、かつ樹脂と組み合わせて分散体を形成するための水溶性助剤。
  25. 請求項1記載の分散体から、助剤成分(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体を製造する方法。
  26. 成形体が、多孔体又は粒子である請求項25記載の製造方法。
  27. 多孔体の平均孔径が0.1〜100μmで、かつ孔径の変動係数が60以下である請求項26記載の製造方法。
  28. 粒子の平均粒子径が0.1〜100μmで、かつ粒子径の変動係数が60以下である請求項26記載の製造方法。
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