JP2007186660A - 水溶性糖組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融粘度特性が安定し、樹脂の分散状態を高い精度で制御でき、球状樹脂粒子を高い再現性で製造するのに有用なる水溶性糖組成物及びその用途を提供する
【解決手段】オリゴ糖、環状構造を有する多糖類などの水溶性多糖類(A1)と、糖アルコールなどの水溶性可塑化成分(A2)とを、有機固体成分(熱可塑性樹脂など)との混練温度T以上の温度(例えば、180〜250℃)で、予め溶融混練し水溶性糖組成物を得る。この水溶性糖組成物を有機固体成分と溶融混練すると、有機固体成分との溶融混練における溶融粘度の変化を抑制できる。有機固体成分との溶融混練により、水溶性糖組成物で構成された媒体中に有機固体成分の分散相が分散した分散体を生成させ、この分散体から水溶性糖組成物を溶出することにより、分散相に対応する成形体(球状粒子など)を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂などの溶融可能な有機固体成分と組み合わせて用いることにより、有機固体成分の粒子(樹脂粒子など)や多孔体を得るのに有用な水溶性糖組成物(又は加工助剤)とその用途に関する。
従来、樹脂粒子を製造する方法としては、機械的な粉砕法、例えば、樹脂や樹脂組成物を、クラッシャーなどで粗粉砕した後、ジェットミルなどを用いて微粉砕した後、風力分級機などにより分級する方法が利用されている。しかし、このような方法では、製造機器が高価であることに加え、得られた粒子も不定形で、粒子サイズにばらつきがある。樹脂粒子のサイズを揃えるためには、分級する必要があり、分級により、利用できないサイズの樹脂粒子が大量に生成するため、経済的にも不利である。また、粒子同士のブロッキング、分散性、流動性などの観点から、球状の粒子が好ましいものの、機械的粉砕法で、球状の微粒子を得ることは不可能である。
特開平10−176065号公報(特許文献1)には、微粉末化する熱可塑性樹脂(a)に、他の1種類以上の熱可塑性樹脂(b)を溶融混練することにより、樹脂(a)が分散相、樹脂(b)が連続相を構成する樹脂組成物を得て、樹脂(a)は溶解せず、樹脂(b)が溶解するような溶媒で前記樹脂組成物を洗浄することにより、樹脂(a)の球状微粒子を得る方法が開示されている。しかし、この方法では、分散相と連続相とがそれぞれ非相溶である必要があるだけでなく、分散相の樹脂の種類によって、連続相の樹脂と溶媒との適正な組み合わせを選択する必要があるため、樹脂同士の組合せが制限されるだけでなく、樹脂及び溶媒の組み合わせについても制限される。また、連続相を形成する樹脂は、製品となる樹脂微粒子にはなんら関与しないため、最終的に回収されるか、あるいは溶解状態のまま廃棄されることになる。しかし、溶液中の樹脂を回収することは、非常に困難であるばかりか、樹脂微粒子の製造コストを上昇させる要因となる。また、樹脂溶液を廃液としてそのまま廃棄した場合、環境への悪影響も懸念される。
特開昭60−13816号公報(特許文献2)には、ポリエチレングリコールと熱可塑性樹脂とを溶融撹拌した後に、水中に投入して両ポリマーを凝固させ、その後、水を用いて、ポリエチレングリコールを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が提案されている。特開昭61−9433号公報(特許文献3)には、熱可塑性樹脂とポリエチレンオキサイドとを溶融撹拌した後に冷却させ、水を用いて、ポリエチレンオキサイドを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が開示されている。特開平9−165457号公報(特許文献4)には、ポリビニルアルコール系樹脂、変性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどの溶融形成可能な水溶性高分子と、熱可塑性樹脂とを混合して溶融成形物を得た後、水を用いて、成形物から水溶性高分子を除去する樹脂微粒子の製造方法が開示されている。
しかし、これらの方法においても、樹脂と水溶性高分子との非相溶性が必要であるため、選択できる樹脂の組合せが限定されるだけでなく、得られる樹脂粒子の粒子径分布の均一性は十分ではない。特に、溶融状態での剪断粘度を高めて樹脂との溶融混練性を高めると、水溶性高分子の水への溶解度が小さいため、溶解させるために大量の水が必要であるとともに、溶解速度が遅いため、生産性を著しく低下させる。また、水溶性高分子の水溶液の粘度が高いため、樹脂粒子の回収をさらに困難にする。一方、水に対する水溶性高分子の溶解性を高めると、溶融状態での剪断粘度が低下するため、樹脂と均一に溶融混練できず、樹脂を粒子状などの形態に成形できなくなる。さらに、このような水溶性高分子は、非天然物由来である場合が多いため、このような水溶性高分子を溶解した廃液は、環境に悪影響を及ぼす。
これらの問題点を解決する手段として、例えば、特開2003−023536号公報(特許文献5)、特開2005−162841号公報(特許文献6)には、オリゴ糖を必須成分とする水溶性助剤成分を熱可塑性樹脂と溶融混練し、熱可塑性樹脂を分散相、水溶性助剤成分を連続相とする分散体を得た後に、水溶性助剤成分を水により除去して、熱可塑性樹脂の粒子を得る方法が開示されている。この方法において、オリゴ糖を可塑化するためには、糖アルコールなどの可塑化成分を用いるのが有利であるが、可塑化後の糖組成物の溶融粘度を制御することが困難な場合がある。そのため、生成した樹脂粒子の特性(平均粒子径、粒度分布など)が変動する。すなわち、この方法では、昇温又は可塑化過程で糖組成物の溶融粘度が著しく低下すると、せん断力が可塑化された樹脂に有効に伝達されなくなる。そのため、樹脂粒子の特性を高い精度で制御できず、所定の特性を有する樹脂粒子を安定に製造できない。
特開平10−176065号公報 特開昭60−13816号公報 特開昭61−9433号公報 特開平9−165457号公報 特開2003−023536号公報 特開2005−162841号公報
従って、本発明の目的は、樹脂などの有機固体成分の分散状態又は分散形態を高い精度で制御できる水溶性糖組成物及びその用途を提供することにある。
本発明の他の目的は、溶融混練により、樹脂などの有機固体成分で構成され、かつ所定の特性を有する粒子(球状粒子など)を高い再現性で製造するのに有用な水溶性糖組成物及びその用途を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、溶融粘度特性が安定した水溶性糖組成物及びその用途を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、単に固体状(例えば、粉体状)の水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを混練しながら昇温すると、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とで構成された溶融媒体の溶融粘度特性が変動するのに対して、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを予め所定の温度で溶融混練した後、樹脂成分と溶融混練すると、混練温度での溶融媒体の溶融粘度特性が安定化し、樹脂成分の分散状態を高い精度で制御できるとともに、樹脂成分で構成された粒子の特性を高い再現性で精度よくコントロールできることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明の水溶性糖組成物は、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とで構成され、溶融可能な有機固体成分と溶融混練するための水溶性糖組成物である。この組成物は、有機固体成分との混練温度T以上の温度で混練された溶融混練物で構成されている。前記溶融混練物は、有機固体成分との混練温度T以上の温度、例えば、180〜250℃程度の温度で混練してもよい。このような水溶性糖組成物は、溶融粘度特性が安定しており、昇温して温度150℃、周波数10Hzで測定した剪断粘度(η)と、150℃を越える温度から降温して温度150℃、周波数10Hzで測定した剪断粘度(η)とが、関係式1≦η/η<7.5およびη≧10Pa・secを満たしてもよい。水溶性多糖類(A1)の50重量%水溶液の粘度は、温度25℃において5Pa・sec以下であってもよく、水溶性可塑化成分(A2)の融点は140℃以下であってもよい。前記有機固体成分は熱可塑性樹脂であってもよい。
前記水溶性多糖類(A1)は、オリゴ糖および少なくとも1つの環状構造を有する多糖類から選択された少なくとも一種で構成してもよく、オリゴ糖は、デンプン糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖から選択された少なくとも一種で構成してもよい。前記少なくとも1つの環状構造を有する多糖類において、環状構造を形成するグリコース単位の平均重合度は、1つの環状構造あたり10以上であってもよく、環状構造は、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とを有する環状構造であってもよい。また、環状構造を有する多糖類は、α−1,4−グルコシド結合およびα−1,6−グルコシド結合を有し、1つの環状構造あたりグリコース単位の平均重合度が10以上である環状構造と、この環状構造に結合した非環状構造とを有し、かつ平均重合度50以上である多糖類で構成してもよい。
可塑化成分(A2)は、糖類及び糖アルコールから選択された少なくとも一種で構成してもよく、糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールから選択された少なくとも一種であってもよい。水溶性多糖類(A1)と可塑化成分(A2)との割合(重量比)は、水溶性多糖類(A1)/可塑化成分(A2)=99/1〜50/50程度であってもよい。
本発明は、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)と溶融可能な有機固体成分とを溶融混練する方法であって、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを前記有機固体成分との混練温度T以上の温度で溶融混練した後、溶融可能な有機固体成分と溶融混練し、有機固体成分との溶融混練における溶融粘度の変化を抑制する方法も包含する。また、本発明は、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)と溶融可能な有機固体成分とを溶融混練し、有機固体成分が分散した分散体を製造する方法であって、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを前記有機固体成分との混練温度T以上の温度で溶融混練した後、有機固体成分と溶融混練する方法も含む。分散体において、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とで構成された溶融可能な媒体中に有機固体成分が分散している。
本発明の水溶性糖組成物は溶融可能な有機固体成分の成形体を製造するのに有用である。そのため、本発明は、さらに、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)と溶融可能な有機固体成分とを溶融混練し、有機固体成分の成形体が分散した分散体を生成させ、この分散体を水性溶媒で溶出し、前記有機固体成分の成形体を製造する方法であって、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを前記有機固体成分との混練温度T以上の温度で溶融混練した後、有機固体成分と溶融混練する方法も包含する。この方法では、球状の成形体を製造できる。
なお、本明細書において、「有機固体成分」とは、室温(例えば、15〜25℃)で固体である限り、炭素原子を含む有機化合物に限らず、ケイ素化合物(シリコーン樹脂など)なども含む意味に用い、低分子化合物であってもよく、重合体(又は樹脂)であってもよい。
本発明では、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを予め有機固体成分との混練温度T以上の温度で溶融混練した水溶性糖組成物を用いるため、水溶性糖組成物の溶融粘度特性を安定化でき、樹脂などの有機固体成分の分散状態又は分散形態を高い精度で制御できる。そのため、樹脂などの有機固体成分との溶融混練により、有機固体成分で構成され、かつ所定の特性を有する粒子(球状粒子など)を高い再現性で製造できる。
本発明の水溶性糖組成物(水溶性助剤)は、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とで構成されており、溶融可能な有機固体成分との溶融混練用に適している。特に、水溶性糖組成物(水溶性助剤)は、溶融混練により有機固体成分の成形体を生成させるのに有用である。
[水溶性多糖類(A1)]
水溶性多糖類(A1)は、オリゴ糖および少なくとも1つの環状構造を有する多糖類(環状構造を有する水溶性多糖類)から選択された少なくとも一種で構成でき、両者を組み合わせて使用してもよい。オリゴ糖と環状構造を有する多糖類とを組み合わせると、溶融粘度を調整でき、有機固体成分との組み合わせにより成形体の粒子径や孔径などを幅広くコントロールできる。
[オリゴ糖]
オリゴ糖は、ホモオリゴ糖とヘテロオリゴ糖とに大別され、これらのオリゴ糖は無水物でもよい。また、オリゴ糖において、単糖類と糖アルコールとが結合していてもよい。また、オリゴ糖は複数の糖成分で構成されたオリゴ糖組成物であってもよい。このようなオリゴ糖組成物であっても単にオリゴ糖という場合がある。オリゴ糖(又はオリゴ糖組成物)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。オリゴ糖には、二糖類〜十糖類などが含まれる。
二糖類としては、トレハロース、マルトース、イソマルトース、セロビオースなどのホモオリゴ糖;ラクトース、スクロース、パラチノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
三糖類としては、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオースなどのホモオリゴ糖;マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトスクロース、ラフィノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
四糖類としては、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなどのホモオリゴ糖;スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
これらの四糖類のうち、パノースの還元末端に単糖類又は糖アルコールが結合したテトラオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなどの単糖類や、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが結合したテトラオースが例示できる。
五糖類としては、マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどのホモオリゴ糖;パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、スクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類が結合したペンタオースが例示できる。
六糖類としては、マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどのホモオリゴ糖などが挙げられる。
オリゴ糖は、多糖類の分解により生成するオリゴ糖組成物であってもよい。オリゴ糖組成物としては、例えば、デンプン糖(デンプン糖化物)、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などが挙げられ、これらの成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。例えば、デンプン糖は、複数個のグルコースが結合したオリゴ糖の混合物であってもよい。デンプン糖としては、例えば、東和化成工業(株)製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の含有量90重量%以上)などが挙げられる。
これらのオリゴ糖組成物において、オリゴ糖組成物中の三糖類、四糖類(特に四糖類)の含有量は、例えば、60重量%以上(例えば、60〜100重量%程度)、好ましくは70重量%以上(例えば、70〜100重量%程度)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、80〜100重量%程度)、特に90重量%以上(例えば、90〜100重量%程度)であってもよい。
オリゴ糖は、非還元型(トレハロース型)であってもよいが、還元型(マルトース型)のオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。還元型のオリゴ糖としては、遊離のアルデヒド基又はケトン基を有し、還元性を示す糖(二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類など)であれば、特に限定されない。
なお、オリゴ糖の種類[例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など]によっては、融点又は軟化点を示さず、分解(熱分解)する場合がある。このような場合、分解温度をオリゴ糖の「融点又は軟化点」としてもよい。
オリゴ糖の融点又は軟化点と、樹脂成分などの前記有機固体成分の熱変形温度との温度差は、例えば、1℃以上(例えば、1〜80℃程度)、好ましくは10℃以上(例えば、10〜70℃程度)、さらに好ましくは15℃以上(例えば、15〜60℃程度)である。オリゴ糖の融点又は軟化点は、樹脂成分などの前記有機固体成分の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。
水溶性糖組成物はオリゴ糖で構成してもよいが、溶融粘度を高めるには限界があり、有機固体成分の種類(例えば、溶融粘度が大きな樹脂や融点又は溶融温度が高い樹脂など)によっては、溶融混練により所望の成形体(例えば、樹脂粒子)を得ることが困難な場合がある。
このような場合、環状構造を有する多糖類(水溶性多糖類)を単独で又はオリゴ糖と組み合わせて使用するのが有利である。
[環状多糖類]
環状構造を有する水溶性多糖類(単に環状多糖類という場合がある)において、環状構造(環状骨格、環状ユニット、環状部位)は、多糖類を構成する複数のグリコース単位[通常、グルコース単位(特にD−グルコース)]がグルコシド結合(又はグルコシル化)して形成された環であればよい。すなわち、本明細書において、環状構造とは、複数のグリコース単位(およびグルコシド結合)で形成された環を意味し、グルコース環などの単糖類の環を意味するものではない。
このような環状多糖類は、オリゴ糖などに比べて比較的高分子量であり溶融粘度が高く、しかも、その環状構造によるためか、水溶性を示す。環状多糖類を使用すると、溶融混練において高い剪断粘度を保持できるため、溶融混練性を損なうことなく溶融混練でき、しかも水溶性であるため、水などにより容易に除去可能である。
前記多糖類において、環状構造は、複数のグルコシド結合で構成されていればよく、α−グルコシド結合又はβ−グルコシド結合で構成されていてもよく、通常、α−グルコシド結合で構成されていてもよい。
環状構造(1つの環状構造あたり)の平均重合度(数平均重合度、環状構造を形成する平均グルコシド結合数、環状構造を形成するグリコース単位の平均重合度)は、例えば、10以上(例えば、10〜500程度)、好ましくは12以上(例えば、12〜300程度)、さらに好ましくは14以上(例えば、14〜100程度)であってもよい。
また、環状構造を構成するグルコシド結合は、通常、少なくとも1,4−グルコシド結合(特に、α−1,4−グルコシド結合)で形成された環であればよく、1,4−グルコシド結合(特に、α−1,4−グルコシド結合)と1,6−グルコシド結合(特に、α−1,6−グルコシド結合)とで形成された環であってもよい。
このような1,6−グルコシド結合を含む環において、環状構造(1つの環状構造あたり)における1,6−グルコシド結合の平均数は、1以上(例えば、1〜700程度)であればよく、例えば、1〜300(例えば、1〜200)、好ましくは1〜100(例えば、1〜50)、さらに好ましくは1〜20(例えば、1〜10)であってもよい。
また、環状多糖類は、少なくとも1つの環状構造(環状ユニット)を有していればよく、複数の環状構造を有していてもよい。
なお、環状多糖類の平均重合度(数平均重合度、総平均重合度、多糖類全体の平均重合度)は、例えば、14以上(例えば、14〜15000)、好ましくは17以上(例えば、17〜10000)、さらに好ましくは20以上(例えば、20〜8000)程度であってもよい。
なお、環状多糖類は、誘導体化(又は変性)されていてもよい。例えば、環状多糖類は、ヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)が誘導体化[例えば、エーテル化(例えば、メチルエーテル化などのアルキルエーテル化;ヒドロキシエチルエーテル化、ヒドロキシプロピルエーテル化などのヒドロキシアルキルエーテル化;グリセリル化など)、エステル化、グラフト化、架橋化など]された誘導体であってもよい。
これらの環状多糖類は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
代表的な環状構造を有する水溶性多糖類には、(1)環状構造(又は環状ユニット)とこの環状構造に結合した非環状構造(非環状骨格、非環状ユニット非環状部位)とを有し、かつ平均重合度50以上である多糖類、(2)14以上のα−1,4−グルコシド結合で形成された環状構造を分子内に一つ有する多糖類などが挙げられる。
(環状多糖類(1))
前記多糖類(1)において、環状構造は、通常、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成された環であってもよい。また、環状構造(1つの環状構造あたり)の平均重合度(数平均重合度)は、例えば、10〜500、好ましくは12〜300、さらに好ましくは14〜100であってもよい。環状構造がα−1,6−グルコシド結合を有する場合、環状構造(1つの環状構造あたり)におけるα−1,6−グルコシド結合の平均数は、例えば、1以上(例えば、1〜200)、好ましくは1〜100、さらに好ましくは1〜50程度であってもよい。
なお、多糖類(1)の平均重合度(数平均重合度)は、50以上であればよく、例えば、50〜10000、好ましくは60〜7000、さらに好ましくは70〜5000程度であってもよい。
なお、多糖類(1)は、1又は複数の非環状構造を有していてもよく、通常、複数(例えば、2〜1000、好ましくは3〜500程度)の非環状構造を有していてもよい。このような非環状部位(又は多糖類(1)の環状構造以外の部位)1つあたりの平均重合度(数平均重合度)は、例えば、10以上(例えば、10〜30)、好ましくは10〜20程度であってもよい。また、非環状部位全体の平均重合度(数平均重合度)は、10以上であればよく、例えば、40以上(例えば、50〜5000程度)、好ましくは100〜3000程度であってもよい。なお、非環状部位は、特に、α−1,6−グルコシド結合のグリコース(特にグルコース)単位から分岐している場合が多い。
なお、多糖類(1)において、ヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)は、誘導体化(例えば、エーテル化、エステル化、グラフト化など)されていてもよい。
このような多糖類(1)には、いわゆる「クラスターデキストリン」と称される多糖類が含まれる。このような多糖類(1)は、例えば、糖類(例えば、澱粉、澱粉の部分分解物、アミロペクチン、グリコーゲン、ワキシー澱粉、ハイアミロース澱粉、可溶性澱粉、デキストリン、澱粉加水分解物、およびホスホリラーゼによる酵素合成アミロペクチンから選択された少なくとも1種の基質など)に、糖類に作用して環状構造を形成可能な酵素(枝作り酵素、D酵素、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼなど)を反応させることにより得てもよい。このようなクラスターデキストリンおよびその製造方法についての詳細は、特開平8−134104号公報などを参照できる。
(環状多糖類(2))
前記多糖類(2)において、環状構造は、少なくともα−1,4−グルコシド結合で形成された環であればよく、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成された環であってもよい。また、多糖類(2)において、環状構造の平均重合度(数平均重合度)は、14以上であればよく、例えば、14〜5000、好ましくは15以上(例えば、15〜3000程度)、さらに好ましくは17以上(例えば、17〜1000程度)であってもよい。環状構造がα−1,6−グルコシド結合を有する場合、環状構造におけるα−1,6−グルコシド結合の平均数は、例えば、1〜500、好ましくは1〜300、さらに好ましくは1〜100程度であってもよい。
多糖類(2)は、前記環状構造を有している限り、非環状構造(例えば、直鎖状構造)を有していてもよいが、通常、前記環状構造だけで構成(又は形成)された環状多糖類であってもよい。
なお、多糖類(2)において、ヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)は、誘導体化(例えば、エーテル化、エステル化、グラフト化、架橋化など)されていてもよい。
このような多糖類(2)には、いわゆる「シクロアミロース(又はサイクロアミロース)」と称される多糖類が含まれる。このような多糖類(2)は、例えば、直鎖状のα−1,4−グルカン又はこのグルカンを含む糖類(例えば、マルトオリゴ糖、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、澱粉、ワキシー澱粉、ハイアミロース澱粉、可溶性澱粉、デキストリン、澱粉枝切り物、澱粉部分加水分解物、ホルホリラーゼによる酵素合成アミロース、およびこれらの誘導体から選択された少なくとも1種など)と、多糖類(2)を形成可能な酵素(例えば、D酵素など)とを、必要に応じて、ホスホリラーゼおよびグルコース1−リン酸の存在下で反応させることにより得ることができる。また、前記反応は、基質としてα−1,6−グルコシド結合を有する基質を用いる場合には、α−1,6−グルコシド結合を切断可能な酵素(例えば、イソアミラーゼ、プルラナーゼなど)の存在下で行ってもよい。このようなサイクロアミロースおよびその製造方法についての詳細は、特開平8−311103号公報などを参照できる。
これらの多糖類は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。例えば、前記多糖類(1)と多糖類(2)とを組み合わせて使用でき、特に、少なくとも前記環状多糖類(1)(又はクラスターデキストリン)を好適に用いることができる。
前記環状多糖類とオリゴ糖との割合は、有機固体成分の所望する粒径などに応じて、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜5/95、好ましくは95/5〜10/90、さらに好ましくは90/10〜20/80(例えば、85/15〜25/75)、特に80/20〜30/70(例えば、70/30〜40/60)程度であってもよく、通常99/1〜50/50程度であってもよい。
[水溶性可塑化成分(A2)]
水溶性可塑化成分としては、前記多糖類を可塑化できる限り特に限定されず、例えば、糖類、糖アルコールなどが使用できる。このような糖類や糖アルコールは、前記多糖類だけでなく、オリゴ糖を可塑化(すなわち、オリゴ糖が水和して水飴状態となる現象を発現)する成分としても作用する。これらの可塑化成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(a)糖類
糖類としては、通常、単糖類及び/又は二糖類が使用される。なお、二糖類は、オリゴ糖に分類されるが、オリゴ糖と組み合わせる場合には、三糖類以上のオリゴ糖と組み合わせる限り使用することができる。これらの糖類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
単糖類としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコースなどが挙げられる。これらの化合物は、アルドースやケトースであってもよく、ジアルドース、複数のカルボニル基を有する単糖類、メチル基を有する単糖類、アシル基を有する単糖類、カルボキシル基が導入された糖類、チオ糖、アミノ糖、デオキシ糖などであってもよい。
このような単糖類の具体例としては、例えば、テトロース(エリトロース、トレオロース等)、ペントース(アラビノース、リボース、リキソース、デオキシリボース、キシロース等)、ヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、フコース、ラムノース、タロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン等)などが例示できる。
また、単糖類は、ヘミアセタール結合により環状構造を形成した環状異性体であってもよい。単糖類は、旋光性を有している必要はないが、D形、L形、DL形のいずれであってもよい。これらの単糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
二糖類としては、例えば、前記二糖類のうち、低融点または低軟化点を有する二糖類(例えば、ゲンチオビオース、メリビオース、トレハロース(二水化物)など)、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類に相当する二糖類(例えば、グルクロン酸とグルコースとがα−1,6グリコシド結合したグルクロノグルコースなどのアルドビオウロン酸など)が例示できる。
糖類は、熱安定性に優れるため、還元糖が好ましく、そのような糖類としては、遊離の単糖類の他、前記二糖類のうち、低融点又は低軟化点の還元糖(例えば、ゲンチオビオース、メリビオースなど)が挙げられる。
(b)糖アルコール
糖アルコールは、アルジトール(グリシトール)などの鎖状糖アルコールであってもよく、イノシットなどの環式糖アルコールであってもよいが、通常は、鎖状糖アルコールが使用される。これらの糖アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状糖アルコールとしては、テトリトール(トレイトール、エリスリトールなど)、ペンチトール[ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール、リキシトールなど]、ヘキシトール[ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、アロズルシトール(アリトール)、アルスリトールなど]、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、及びドデキトールなどが挙げられる。
これらの糖アルコールのうち、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールが好ましい。糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトールから選択された少なくとも1つの糖アルコールを含む場合が多い。
水溶性可塑化成分(A2)の融点は、通常、140℃以下(例えば、50〜135℃、好ましくは70〜130℃、さらに好ましくは80〜125℃程度)である。
水溶性糖組成物において、多糖類(A1)と可塑化成分(A2)との割合(重量比)は、多糖類が効率的に可塑化できる範囲であれば特に限定されず、例えば、(A1)/(A2)=99/1〜50/50、好ましくは90/10〜60/40(例えば、85/15〜65/35)、さらに好ましくは80/20〜65/35(例えば、80/20〜70/30)程度であり、通常、85/15〜75/25程度である。可塑化成分(A2)の割合が高くなると、水溶性糖組成物の粘度が低下し、低い溶融粘度の樹脂との混練に適しており、可塑化成分(A2)の割合が小さくなると、水溶性糖組成物の粘度が上昇し、高い溶融粘度の樹脂との混練に適している。
また、水溶性可塑化成分とオリゴ糖とを併用する場合、オリゴ糖と水溶性可塑化成分との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜60/40、好ましくは90/10〜65/35、さらに好ましくは80/20〜70/30程度であってもよい。
さらに、環状多糖類とオリゴ糖とを併用する場合、多糖類及びオリゴ糖の総量と水溶性可塑化成分との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜50/50、好ましくは90/10〜55/45、さらに好ましくは85/15〜60/40(例えば、80/20〜65/35)程度であってもよい。
[水溶性糖組成物又は溶融混練物]
本発明の水溶性糖組成物は、樹脂などの有機固体成分との溶融混練において有機固体成分の成形体に対する分散媒体又は乳化媒体として機能し、有機固体成分を成形体に加工するための加工助剤として有用である。このような水溶性糖組成物と有機固体成分とを単に溶融混合すると、水溶性糖組成物の溶融粘度特性が混練温度によって大きく変動するため、有機固体成分の成形体を高い再現性で得ることが困難となる。すなわち、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを単に混合した粉末状混合物は、昇温過程と降温過程とで溶融粘度が大きく変動し、昇温過程での溶融粘度が低い。すなわち、同一の混練温度であっても温度が所定の温度に到達するまでの昇温過程と、所定の温度に到達した後、降温する過程とでは、溶融粘度が異なる。そして、可塑化又は溶融した有機固体成分に混練に伴うせん断力を有効に伝達させるためには溶融粘度が高い方が好ましいものの、昇温過程での溶融粘度が低く、降温過程での溶融粘度が10倍以上も高くなる。そのため、水溶性糖組成物と有機固体成分とを溶融混練しても、有機固体成分の粒径及び粒度分布を制御することが困難である。また、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを溶融混合したとしても、溶融混合温度が有機固体成分との溶融混練温度よりもかなり低いと、昇温過程と高温過程とで溶融粘度が大きく変動する。そのため、有機固体成分と水溶性糖組成物とを溶融混練すると、分散媒体の溶融粘度の変動に伴って、樹脂などの有機固体成分との分散体の構造を制御できなくなり、有機固体成分の成形体の特性(粒子径、粒度分布など)も変動し、所定の特性を有する成形体を高い再現性で製造できなくなる。
これに対して、有機固体成分との溶融混練温度をTとしたとき、有機固体成分との溶融混練に先立って、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを、温度T以上の温度で、予め溶融混合(又は溶融混練)した水溶性糖組成物を用いると、昇温過程と高温過程とでの水溶性糖組成物の溶融粘度の変動を抑制又は低減できる。そのため、本発明は、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを溶融混練した後、水溶性糖組成物〜冷却するか又は冷却することなく、溶融可能な有機固体成分と溶融混練し、有機固体成分との溶融混練における溶融粘度の変化を抑制する方法も提供する。この方法では、昇温過程及び高温過程での熱履歴によって水溶性糖組成物の溶融粘度が変動するのを大きく低減できる。
水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)との溶融混合温度Tと、有機固体成分との溶融混練温度Tとの温度差T−Tは、0〜+50℃(例えば、0〜+30℃)、好ましくは0〜25℃(例えば、5〜20℃)程度、特に0〜10℃程度であってもよい。
水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)との予備的な溶融混合又は混練温度は、有機固体成分の種類などに応じて選択でき、例えば、170〜250℃(例えば、180〜250℃)、好ましくは185〜230℃(例えば、190〜225℃)程度であってもよい。
このような予備的溶融混練物で構成された水溶性糖組成物は、昇温及び降温過程での溶融粘度特性が安定化している。例えば、25℃から昇温して温度150℃、周波数10Hzでの動的粘弾性測定による剪断粘度(η)と、150℃を越える温度(例えば、200℃)から降温して温度150℃、周波数10Hzでの動的粘弾性測定による剪断粘度(η)との比率は、1≦η/η<7.5、好ましくは1≦η/η≦5(例えば、1≦η/η≦4)、さらに好ましくは1≦η/η≦3(例えば、1≦η/η≦2)である。
昇温させて150℃で測定した剪断粘度(η)は、有機固体成分との混練温度(例えば、200℃)から降温させて150℃で測定した剪断粘度(η)よりも遥かに小さい値をとるが、予備混練した水溶性糖組成物では、剪断粘度(η)と剪断粘度(η)との間に大きな差はない。すなわち、樹脂などの有機固体成分との混練において、押出機の内部には温度勾配が形成されているが、温度履歴の差によって水溶性糖組成物自体の溶融粘度が大きく変化しない。なお、前記比率η/ηが1未満となるのは、熱履歴により水溶性糖組成物の分子量低下が生じている可能性があり。
さらに、有機固体成分との溶融混練性を向上させるためには、降温させて150℃で測定した剪断粘度(η)は、例えば、10Pa・sec以上(例えば、30〜50000Pa・sec)、好ましくは50〜45000Pa・sec(例えば、100〜40000Pa・sec)、さらに好ましくは200〜35000Pa・sec(例えば、500〜30000Pa・sec)程度であり、750〜25000Pa・sec(例えば、1000〜20000Pa・sec)程度である場合が多い。
本発明の水溶性糖組成物(又は溶融混合物、溶融混練物)は有機固体成分との混練に先立って溶融混合されていればよく、粉末状、顆粒状、ペレット状やビーズ状などの形態であってもよく、水溶性糖組成物を溶融混合又は溶融混練した後、引き続き溶融状態で有機固体成分と溶融混練してもよい。また、本発明の水溶性糖組成物は、有機固体成分と組み合わせて混練することにより、水溶性糖組成物の媒体中に有機固体成分が所定形状(粒子状、多孔体状など)に成形されて分散した分散体、又は有機固体成分の成形体(粒子、多孔体など)を得るための助剤として有用である。
そのため、本発明は、前記水溶性糖組成物と溶融可能な有機固体成分(単に有機固体成分ということがある)とを含む溶融成形可能な組成物(又は溶融成形性組成物)も提供する。また、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを溶融混練又は溶融混合した後、有機固体成分と溶融混練する分散体の製造方法とともに、前記水溶性糖組成物で構成されたマトリックス(溶融可能な媒体)と、このマトリックス中に分散し、かつ溶融可能な有機固体成分(樹脂成分など)で構成された分散相(粒子状分散相、多孔状相分離構造など)とで構成されている分散体も提供する。
[有機固体成分]
溶融可能な有機固体成分としては、通常、水溶性糖組成物に対して非相溶の成分又は疎水性の成分(非水溶性成分)が使用できる。前記有機固体成分は、通常、室温(15〜25℃程度)で固体であり、低分子化合物[例えば、後述する改質剤又は添加剤のうち溶融可能な化合物、例えば、高級脂肪酸又はその誘導体(脂肪酸塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、アルキレンビス(飽和脂肪酸アミド)、オレフィン系ワックスなどのワックス類など)]であってもよく、高分子化合物(又は樹脂)であってもよい。有機固体成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
有機固体成分は、少なくとも高分子化合物(樹脂)で構成する場合が多い。樹脂の融点は、例えば、50〜350℃(例えば、75〜300℃)、好ましくは100〜290℃(例えば、150〜280℃)程度であってもよく、175〜300℃(例えば、200〜280℃)程度であってもよい。また、樹脂のガラス転移温度は、50〜280℃(好ましくは70〜270℃、さらに好ましくは80〜260℃)程度であってもよく、100〜260℃程度であってもよい。樹脂は、通常、水溶性助剤に対して非相溶の樹脂である。
前記樹脂には、例えば、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂(例えば、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂など)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂[例えば、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂、ポリ(チオ)エーテルケトン系樹脂(ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケトンなど)など]、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂(例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなど)などの縮合系熱可塑性樹脂;ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有ビニル系樹脂、ビニルエステル系樹脂又はその誘導体など)などのビニル重合系熱可塑性樹脂;セルロース誘導体などの天然物由来樹脂、熱可塑性シリコーン樹脂、熱可塑性エラストマーなど]、および熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンワニスなども含む)など)、ゴムなどが挙げられる。これらの樹脂は、生分解性樹脂[例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(例えば、ポリ乳酸系樹脂やポリC3−12ラクトン系樹脂など)、ポリエステルアミドなどの生分解性ポリエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、前記セルロース誘導体]であってもよい。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。有機固体成分としては、通常、熱可塑性樹脂、非水溶性樹脂(又は疎水性樹脂、非水溶性熱可塑性樹脂など)が使用される。
好ましい樹脂は、熱可塑性樹脂(水不溶性熱可塑性樹脂、又は疎水性熱可塑性樹脂)であり、例えば、ポリオレフィン系樹脂(特に、環状ポリオレフィン系樹脂)、ポリアミド系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂(特に、芳香族ポリエステル系樹脂)、ポリアセタール樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。なお、水溶性助剤との溶融混練を容易にするために、アミノ基、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有する樹脂を使用してもよい。
以下に、代表的な熱可塑性樹脂を例示する。
(熱可塑性樹脂)
(1)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂には、例えば、α−C2−6オレフィンの単独又は共重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)など)、α−C2−6オレフィンと共重合性単量体との共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はその塩、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、環状オレフィン系樹脂などが挙げられる。環状オレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)は、環状オレフィン(単環式オレフィン及び/又は多環式オレフィン)を少なくとも重合成分とする樹脂であればよく、多環式オレフィンには、例えば、二乃至六環式オレフィン、特にノルボルネン系単量体(又はノルボルネン骨格を有する単量体、例えば、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類など)などが挙げられる。環状オレフィンは、置換基を有していてもよい。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンの単独又は共重合体であってもよく、環状オレフィンと共重合性単量体(鎖状オレフィン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル系単量体(例えば、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸など)、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(無水マレイン酸など))との共重合体であってもよい。共重合性単量体は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。共重合体において、多環式オレフィン(ノルボルネン系単量体など)の割合は、単量体全体の30重量%以上(例えば、45〜99重量%程度)、好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは60〜95重量%程度であってもよい。
なお、環状オレフィン系樹脂は、付加重合により得られた樹脂であってもよく、開環重合(開環メタセシス重合など)により得られた樹脂であってもよい。環状オレフィン系樹脂は、水素添加された水添樹脂であってもよい。また、環状オレフィン系樹脂は、結晶性又は非晶性樹脂であってもよく、通常、非晶性樹脂であってもよい。
なお、環状オレフィン系樹脂は、慣用の重合方法(例えば、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合など)により調製してもよく、市販品を使用してもよい。例えば、環状オレフィン系樹脂は、日本ゼオン(株)から商品名「ZEONEX」「ゼオノア」、JSR(株)から商品名「ARTON」、三井化学(株)から商品名「アペル」などとして入手することもできる。
(2)ポリエステル系樹脂
ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合、オキシカルボン酸成分(例えば、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシフェニル酢酸、グリコール酸、乳酸、オキシカプロン酸およびこれらの誘導体)又はラクトン成分(ε−カプロラクトンなどのC3−12ラクトンなど)の重縮合、またはこれらの成分の重縮合などにより得られるホモ又はコポリエステルなどが挙げられる。ポリエステル系樹脂は、脂肪族ポリエステル、脂環族ポリエステル、芳香族ポリエステルや全芳香族ポリエステルであってもよい。
代表的なポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロへキシルジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2−6アルキレン−アリレート系樹脂、C2−6アルキレン−アリレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステル(例えば、ジオール成分の一部として(ポリ)オキシC2−4アルキレングリコール(ジエチレングリコールなど)を使用したコポリエステル、ジカルボン酸成分の一部としてC6−12脂環族ジカルボン酸(例えば、ヘキサヒドロテレフタル酸など)やイソフタル酸、フタル酸などの非対称性芳香族ジカルボン酸を使用したコポリエステルなど)、ポリアリレート系樹脂、液晶性ポリエステルなどの芳香族ポリエステル系樹脂;ポリC2−6アルキレン−オギザレート、ポリC2−6アルキレン−サクシネート、ポリC2−6アルキレン−アジペートなどのポリ(C2−6アルキレングリコール−C2−10脂肪族ジカルボン酸エステル)、ポリオキシカルボン酸系樹脂(例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸、グリコール酸−乳酸共重合体など)、ポリラクトン系樹脂(例えば、ポリカプロラクトンなどのポリC3−12ラクトン系樹脂など)、これらのコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂など)などが挙げられる。ポリエステル系樹脂はウレタン結合を含んでいてもよい。さらに、ポリエステル系樹脂は生分解性を有していてもよい。
(3)ポリアミド系樹脂
ポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、通常、脂肪族ポリアミド系樹脂が使用される。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
脂肪族ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6/11、ポリアミド6/12、これらのポリアミド成分が共重合したコポリアミド(例えば、ポリアミド66/11、ポリアミド66/12、ポリアミド6/66/12など)などが挙げられる。ポリアミド系樹脂のジカルボン酸成分はダイマー酸単位を含んでいてもよい。さらに、ポリアミド系樹脂は生分解性を有していてもよい。
(4)ポリ(チオ)エーテル系樹脂
ポリ(チオ)エーテル系樹脂としては、例えば、ポリオキシアルキレン系樹脂(安定化されたポリオキシメチレングリコール又はホモ又はコポリアセタール系樹脂、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのポリオキシC2−4アルキレングリコール)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンエーテルケトン系樹脂、ポリスルフィド系樹脂(ポリフェニレンスルフィド又はその共重合体などのポリチオエーテル系樹脂)、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン系樹脂を含む)などが含まれる。
(5)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂などのビスフェノール類をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
(6)ポリスルホン系樹脂
ポリスルホン系樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリールスルホン樹脂などが例示できる。
(7)セルロース誘導体
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのアシルセルロース;セルロースの無機酸エステルなど)、セルロースエーテル類(例えば、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのアルキルセルロース;ベンジルセルロースなどのアラルキルセルロース;シアノエチルセルロースなど)、セルロースカーバメート類(セルロースフェニルカーバメートなど)などが挙げられる。
(8)熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーには、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性エラストマーがブロック共重合体であるとき、ブロック構造は特に制限されず、トリブロック構造、マルチブロック構造、星形ブロック構造などであってもよい。
(9)(メタ)アクリル系樹脂
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど)の単独又は共重合体、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。
(10)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体など;スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのブロック共重合体など;ゴム成分の存在下、少なくともスチレン系単量体をグラフト重合したグラフト重合体、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS、又はゴムグラフトポリスチレン系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、このABS樹脂のブタジエンゴムBに代えて、エチレンプロピレンゴムE、アクリルゴムA、塩素化ポリエチレンC、酢酸ビニル重合体などのゴム成分を用いたグラフト共重合体(AES樹脂,AAS樹脂,ACS樹脂などのAXS樹脂)、アクリロニトリルに代えて(メタ)アクリル系単量体(メタクリル酸メチルなど)を用いたグラフト共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体(MBS樹脂)など)などが挙げられる。
(11)ハロゲン含有ビニル系樹脂
ハロゲン含有ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系樹脂、フッ素樹脂などが例示できる。
(12)ビニルエステル系樹脂又はその誘導体
ビニルエステル系樹脂又はその誘導体としては、例えば、カルボン酸ビニルエステルの単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、これらのケン化物(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂)、ケン化物(ビニルアルコール系樹脂)からの誘導体(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂など)などが例示できる。エチレン−ビニルアルコール共重合体において、エチレン含量は5〜40重量%程度であってもよい。
(13)ポリウレタン系樹脂
ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ジイソシアネート類(ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類又はその水添ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類又はその水添ジイソシアネート類など)と、ポリオール類(例えば、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなど)と、必要により鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン系樹脂が例示できる。
なお、樹脂成分の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)は、60〜300℃の範囲から選択でき、例えば、80〜260℃、好ましくは100〜240℃(例えば110〜240℃)、さらに好ましくは120〜230℃(例えば130〜220℃)程度である。
樹脂成分(熱可塑性樹脂など)のメルトフローレートは、JIS K 7210に準拠して、温度210℃および荷重2.16kgf(21.2N)の条件において、例えば、20g/10分以下(例えば、0.1〜20g/10分程度)、好ましくは0.5〜15g/10分、さらに好ましくは1〜10g/分程度であってもよい。
水溶性糖組成物と樹脂成分などの有機固体成分との割合は、例えば、水溶性糖組成物/有機固体成分(重量比)=99/1〜45/55、好ましくは95/5〜50/50、さらに好ましくは90/10〜55/45程度であってもよい。なお、マトリックスを有機固体成分で構成する場合[又は成形体(樹脂成形体など)が多孔質である場合]、水溶性糖組成物と樹脂成分などの有機固体成分との割合(重量比)は、前者/後者=90/10〜25/75の範囲から選択でき、好ましくは85/15〜40/60(85/15〜50/50)、さらに好ましくは75/25〜60/40程度であってもよい。多孔質の樹脂成形体は、例えば、分離膜などとして有用である。
[改質剤]
本発明において、前記混練系(又は分散体)は、必要に応じて、さらに改質剤(又は添加剤)を含んでいてもよい。改質剤(又は添加剤)としては、前記有機固体成分を改質可能な成分、例えば、可塑剤(又は軟化剤)、充填剤(粉粒状フィラーなど)、光分解性付与剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、滑剤[例えば、高級脂肪酸又はその誘導体(脂肪酸塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、アルキレンビス(飽和脂肪酸アミド)など)、オレフィン系ワックスなどのワックス類、シリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン(又はジメチルシリコーンオイル)、ポリメチルフェニルシロキサンなどのポリアルキルアリールシロキサンなど)]、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候(光)安定剤、加工安定剤など)、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物の粉末など)、分散剤、難燃剤、帯電防止剤[アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯電防止剤、ノニオン性帯電防止剤、両性帯電防止剤などの低分子型帯電防止剤や、高分子型帯電防止剤など]、着色剤[例えば、染料又は顔料[油溶性染料(ソルベント染料など)、分散染料、バット染料、硫化染料、アゾイック染料(ナフトール染料)、無機顔料(二酸化チタンなどの白色顔料;炭酸カルシウムなどの体質顔料;カーボンブラックなどの黒色顔料;赤色顔料;黄色顔料;群青などの青色顔料;強磁性金属粉末など)、有機顔料(アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリノン・ペリレン系顔料、スレン系顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン系顔料、インジゴ又はチオインジゴ系顔料、ピロール系顔料、ベンズイミダゾロン化合物など)、蛍光顔料又は染料、蓄光顔料など]、電荷制御剤(ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミン系化合物などの正電荷制御剤;サリチル酸金属錯体、アゾ染料金属錯体、銅フタロシアニン染料、ニトロイミダゾール誘導体、尿素誘導体などの負電荷制御剤など)、離型剤、光沢剤、濡れ性改良剤、流動化剤、架橋剤[重合性化合物、硬化剤、重合開始剤(例えば、有機過酸化物、アゾ化合物など)、光重合開始剤など]、抗菌剤、防腐剤、反応性基を有する化合物[例えば、エポキシ基を有する化合物、酸基を有する化合物(例えば、カルボキシル基を有する化合物、スルホン酸基を有する化合物、無水マレイン酸などの酸無水物基を有する化合物など)などが例示できる。前記混練系(又は分散体)は、これらの改質剤を単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
添加剤の総量は、例えば、有機固体成分(特に樹脂)100重量部に対して、0〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.01〜50重量部(例えば、0.03〜30重量部)、好ましくは0.05〜20重量部(例えば、0.1〜20重量部)程度、さらに好ましくは0.2〜10重量部(例えば、0.5〜10重量部)程度であってもよい。
なお、改質剤(添加剤)は、混練系に存在していればよく、分散体の分散相(樹脂成分などの有機固体成分など)及びマトリックス(連続相)のいずれに含有させてもよい。特に、有機固体成分と改質剤とで構成された分散相を有する分散体は、予め改質剤を含む有機固体成分と、水溶性糖組成物とを混合(特に、溶融混合又は溶融混練)することにより効率よくかつ確実に得ることができる。
本発明の分散体は、通常、溶融成形可能な組成物(水溶性糖組成物と有機固体成分と必要により改質剤などを含んでいてもよい組成物)を混練することにより調製できる。溶融混練温度Tは、前記水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)との予備的混練温度と同様である。また、混練時間は、例えば、10秒〜1時間の範囲から選択してもよく、通常、30秒〜45分、好ましくは1〜30分(例えば、1〜10分)程度である。混練は、慣用の混練機(例えば、スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロールなど)を用いて行うことができる。また、混練に先立ち、各成分は、ヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、ボールミルなどで予備混合してもよい。混練した組成物は、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などにより予備的に成形してもよい。予備成形体(又は分散体)の形状は、特に制限されず、例えば、粒状、ペレット状、ストランド状、シート状などであってもよい。
混練及び/又は成形加工により得られた溶融物(例えば、混練物、予備成形体)を冷却することにより、表面張力、結晶化などの固化速度の相違などにより分散相を形成でき、分散体を得ることもできる。冷却温度は、有機固体成分の熱変形温度、又は水溶性助剤の融点若しくは軟化点よりも少なくとも10℃程度低い温度(例えば、10〜100℃程度低い温度、好ましくは15〜80℃程度低い温度、さらに好ましくは20〜60℃程度低い温度)であってもよい。具体的には、冷却温度は、例えば、10〜120℃(例えば、15〜100℃)、好ましくは15〜80℃(例えば、20〜60℃)、さらに好ましくは20〜50℃程度であってもよい。冷却時間は、30秒〜20時間の広い範囲から選択してもよく、例えば、45秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間(例えば、1分〜1時間)、さらに好ましくは1.5〜30分程度であってもよい。
なお、混練条件(例えば、混練時間、混練温度など)や冷却条件(例えば、冷却時間、冷却温度など)により、分散相(又は樹脂粒子など)の平均粒子径、粒度分布幅を調整することができる。
このようにして得られた分散体から水溶性糖組成物を溶出すると、前記有機固体成分で構成された成形体(粒子又は多孔体など)を製造できる。特に、水に対する溶解性の高い水溶性糖組成物を速やかに溶出又は抽出でき、前記有機固体成分の成形体を効率よく得ることができる。すなわち、分散体において、水溶性糖組成物で構成されたマトリックス(連続相)中に、有機固体成分で構成された分散相が独立した相分離構造(海島構造)を有する場合には、水溶性糖組成物の溶出により分散相に対応する有機固体粒子(有機固体成分で構成された粒子)を得ることができ、有機固体成分のマトリックス中に水溶性糖組成物で構成された分散相が分散した構造を有する場合には、水溶性糖組成物の溶出により多孔体を得ることができる。
水溶性糖組成物(水溶性助剤)の溶出(又は洗浄)は、水性溶媒、例えば、水、水溶性溶媒(例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エーテル類(セロソルブなど)など)などを用いることにより行うことができる。これらの水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。環境への負荷が少なく、工業コストを低減できるため、溶出溶媒として水(特に水単独)を用いるのが好ましい。
水溶性助剤の溶出は、慣用の方法、例えば、前記分散体(又は予備成形体)を、前記水性媒体中に浸漬、分散して、水溶性糖組成物を溶出または洗浄(水性溶媒に移行)することに行うことができる。なお、水溶性糖組成物の分散及び溶出を促進するため、撹拌してもよい。水溶性糖組成物は、例えば、加圧下において、溶出させてもよいが、通常、常圧下(例えば、10万Pa程度)又は減圧下において溶出できる。また、水溶性糖組成物の溶出温度は、通常、樹脂成分の融点又は軟化点未満の温度、例えば10〜100℃、好ましくは25〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃(例えば、40〜80℃)程度である。
有機固体成分で構成された成形体は、慣用の分離(回収)方法、例えば、濾過、遠心分離などを用いて回収できる。なお、多孔体の平均孔径は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜800μm(例えば、0.1〜500μm)、好ましくは0.2〜100μm(例えば、0.3〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜50μm(例えば、1〜40μm)程度であってもよい。また、孔径の変動係数([孔径の標準偏差/平均孔径]×100)は、60%以下(例えば5〜60%程度)、さらに好ましくは50%以下(例えば、10〜50%程度)であってもよい。
得られた成形体(有機固体粒子など)中には、水溶性糖組成物が実質的に残留していないことが望ましいが、例えば、水溶性糖組成物が成形体(樹脂粒子など)に少量残存していても、水溶性糖組成物が天然物由来の化合物(食品又は食品添加物なども含む)であるため、得られた成形体に与える悪影響は小さく、安全性も高い。なお、成形体(有機固体粒子など)における水溶性糖組成物の残存割合は、例えば、3重量%以下(例えば0〜3重量%)、好ましくは0〜1重量%、さらに好ましくは0.001〜0.5重量%であってもよい。本発明では、水溶性糖組成物の溶出性が高いため、成形体(有機固体粒子など)における水溶性糖組成物の含有量を大きく低減できる。前記水溶性糖組成物の含有量は、成形体(有機固体粒子など)全体に対して、重量基準で、0〜10,000ppm、好ましくは0〜3,000ppm、さらに好ましくは0〜1,000ppm、特に0〜500ppm程度であり、300ppm以下(例えば、1〜300ppm程度)に容易に低減させることもできる。また、前記水溶性糖組成物の含有量は、通常、検出限界以下の濃度であってもよい。
なお、溶媒で溶出又は抽出された水溶性糖組成物は、慣用の分離手段(例えば、蒸留、濃縮、再結晶、乾燥(フリーズドライ)など)を用いて簡便に回収できる。
本発明には、前記製造方法により得られる成形体も含まれる。成形体としては、多孔体(シート状、フィルム状などの二次元的構造の多孔体など)や粒子状成形体(球状、真球状の成形体)が挙げられる。なお、得られた成形体は、熱融着などにより他の基材を積層して加工してもよい。
特に、本発明では、水溶性糖組成物の剪断粘度を適度に保持できるため、溶融可能な有機固体成分で構成された粒子(すなわち、有機固体粒子、特に、樹脂粒子)を効率よく得ることができる。有機固体粒子(特に樹脂粒子)の形状、平均粒子径は、前記分散相と同様の範囲から選択できる。また、有機固体粒子(特に樹脂粒子)の長径と短径との比も前記分散相と同様の範囲から選択できる。なお、有機固体粒子(特に樹脂粒子)の形状やサイズは、前記溶出溶媒(水性溶媒)に樹脂成分などの有機固体成分が溶出しない限り、前記分散相の形状やサイズがそのまま維持される。なお、有機固体粒子(特に樹脂粒子)は、必要に応じて、分級などの手段により、粒子サイズを揃えてもよい。
分散相(又は有機固体粒子)の形状は、粒子状であればよく、例えば、球状、楕円体状、多角体状、角柱状、円柱状、棒状、不定形状などであってもよい。分散相(又は有機固体粒子)の平均粒子径(又は体積平均粒子径)は、特に制限されず、用途に応じて0.05μm〜1mm程度の範囲から選択でき、0.1〜800μm、好ましくは0.2〜100μm(例えば、0.3〜50μm)、さらに好ましくは0.5〜40μm(例えば、1〜30μm)、特に1.5〜20μm(例えば、2〜10μm、好ましくは2〜6μm)程度であってもよい。
なお、球状分散体(又は球状粒子)には、真球状に限らず、例えば、長径と短径との長さ比が、例えば、長径/短径=1.5/1〜1/1程度である形状も含まれる。長径と短径との長さ比は、好ましくは長径/短径=1.3/1〜1/1(例えば、1.2/1〜1/1)、さらに好ましくは1.1/1〜1/1程度であってもよい。
本発明の水溶性糖組成物と有機固体成分(熱可塑性樹脂など)とを混練することにより、有機固体成分で構成された多孔体や粒子を得ることができる。得られた多孔体は、衝撃吸収材や防音材、分離膜や機能性物質の担持体などとして使用できる。また、得られた樹脂粒子は、トナーやインクなどの画像形成材料、塗料やコート剤(例えば、粉体塗料)、ブロッキング防止剤(例えば、成形体のブロッキング防止剤)、スペーサー、導電性微粒子などの二次加工粒子の母粒子、化粧品用材料、圧縮成形やレーザー造型などの粉体を用いた成形加工用の原料として使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[糖組成物の動的粘弾性測定によるせん断粘度]
η(150):サンプルを室温(25℃)から150℃に加温し、下記条件でせん断粘度を測定した。
η(150):室温(25℃)から150℃を越える温度(T)にサンプルを加熱した後、150℃まで降温させ、下記条件でせん断粘度を測定した。なお、温度(T)として、160℃、190℃、200℃を採用した。
測定装置:回転式レオメーター(Perr Physica社製、UDS200)
プレート:パラレルプレート(25φmm)
プレート間ギャップ:1mm
測定モード:動的測定(歪量10%、周波数1Hz)。
[水溶性多糖類の50重量%水溶液の粘度]
B型粘度計(BROOKFIELD社製、LV Viscometer、スピンドルタイプ1)により、25℃で、水溶性多糖類の50重量%水溶液の粘度を測定した。
[水溶性可塑化成分の融点]
示差走査熱量計(DSC)を用い、水溶性可塑化成分の昇温時に観測された吸熱ピークのピークトップ温度を、水溶性可塑化成分の融点とした。
使用機器:セイコーインスツル(株)製DSC6200R
昇温速度:20℃/分
測定温度域:23〜220℃
窒素還流:40ml/分
なお、実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
(A1)水溶性多糖類
(A1-1)オリゴ糖 デンプン糖(東和化成工業(株)製、還元デンプン糖化物PO−10、50%水溶液粘度0.55Pa・sec)
(A1-2)クラスターデキストリン(日本食品化工(株)製、50%水溶液粘度3.7Pa・sec)
(A2)水溶性可塑化成分
(A2-1)糖アルコール ソルビトール(東和化成工業(株)製、ソルビット、融点103℃)。
実施例1〜3及び比較例1
表1に示す組成で、水溶性多糖類、水溶性可塑化成分をドライブレンドし、ブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)により表1に示す温度で5分間、50rpmで溶融混練して糖組成物を調製した。なお、溶融混練温度(T)として、160℃、190℃及び200℃を選択した。そして、溶融混練温度(T)と剪断粘度との関係を調べたところ、表1に示す結果を得た。また、実施例1及び比較例1の糖組成物について、昇温過程と降温過程とにおいて、温度とせん断粘度との関係を調べたところ、図1に示す結果を得た。
Figure 2007186660
η(150)の測定において、初期温度(T)は糖組成物と熱可塑性樹脂との溶融混練温度を想定して選択した。糖組成物の混練温度Tが、熱可塑性樹脂との混練温度T以上であると、η/ηが小さく、温度履歴に対する糖組成物の溶融粘度の安定性が高い。これに対して、糖組成物の混練温度Tが、熱可塑性樹脂との混練温度Tよりも低い比較例では、η/ηが10を超える大きな値を示し、熱履歴により溶融粘度が大きく変化する。
図1は昇温過程と降温過程とでの実施例1及び比較例1の糖組成物の温度と剪断粘度との関係を示すグラフである。

Claims (17)

  1. 溶融可能な有機固体成分と溶融混練するための水溶性糖組成物であって、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とが、有機固体成分との混練温度T以上の温度で混練された水溶性糖組成物。
  2. 昇温して温度150℃、周波数10Hzで測定した剪断粘度(η)と、150℃を越える温度から降温して温度150℃、周波数10Hzで測定した剪断粘度(η)とが、関係式1≦η/η<7.5およびη≧10Pa・secを満たす請求項1記載の水溶性糖組成物。
  3. 水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを180〜250℃で混練された請求項1記載の水溶性糖組成物。
  4. 水溶性多糖類(A1)の50重量%水溶液の粘度が25℃において5Pa・sec以下であり、水溶性可塑化成分(A2)の融点が140℃以下である請求項1記載の水溶性糖組成物。
  5. 水溶性多糖類(A1)が、オリゴ糖および少なくとも1つの環状構造を有する多糖類から選択された少なくとも一種で構成されている請求項1記載の水溶性糖組成物。
  6. オリゴ糖が、デンプン糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖から選択された少なくとも一種で構成されている請求項5記載の水溶性糖組成物。
  7. 少なくとも1つの環状構造を有する多糖類において、環状構造を形成するグリコース単位の平均重合度が、1つの環状構造あたり10以上である請求項5記載の水溶性糖組成物。
  8. 環状構造が、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とを有する環状構造である請求項5記載の水溶性糖組成物。
  9. 環状構造を有する多糖類が、α−1,4−グルコシド結合およびα−1,6−グルコシド結合を有し、1つの環状構造あたりグリコース単位の平均重合度が10以上である環状構造と、この環状構造に結合した非環状構造とを有し、かつ平均重合度50以上である多糖類で構成されている請求項5記載の水溶性糖組成物。
  10. 可塑化成分(A2)が、糖類及び糖アルコールから選択された少なくとも一種で構成されている請求項1記載の水溶性糖組成物。
  11. 糖アルコールが、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールから選択された少なくとも一種である請求項10記載の水溶性糖組成物。
  12. 水溶性多糖類(A1)と可塑化成分(A2)との割合(重量比)が、水溶性多糖類(A1)/可塑化成分(A2)=99/1〜50/50である請求項1記載の水溶性糖組成物。
  13. 水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)と溶融可能な有機固体成分とを溶融混練する方法であって、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを前記有機固体成分との混練温度T以上の温度で溶融混練した後、溶融可能な有機固体成分と溶融混練し、有機固体成分との溶融混練における溶融粘度の変化を抑制する方法。
  14. 水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)と溶融可能な有機固体成分とを溶融混練し、有機固体成分が分散した分散体を製造する方法であって、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを前記有機固体成分との混練温度T以上の温度で溶融混練した後、有機固体成分と溶融混練する方法。
  15. 水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とで構成された溶融可能な媒体中に有機固体成分が分散している請求項14記載の方法。
  16. 水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)と溶融可能な有機固体成分とを溶融混練し、有機固体成分の成形体が分散した分散体を生成させ、この分散体を水性溶媒で溶出し、前記有機固体成分の成形体を製造する方法であって、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを前記有機固体成分との混練温度T以上の温度で溶融混練した後、有機固体成分と溶融混練する方法。
  17. 球状の成形体を製造する請求項16記載の方法。
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