[組成物]
本発明の組成物(有機組成物)は、溶融可能な有機固体成分(A)と、少なくともオリゴ糖(B1)を含む水溶性助剤成分(B)とで構成されている。このような組成物は、混練(溶融混練)などにより、溶融可能な有機固体成分(A)を含む分散相と、前記助剤成分(B)を含むマトリックスとで構成された分散体を生成し、この分散体から助剤成分(B)を溶出して、粒子を得るのに有用である。有機固体成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(A)溶融可能な有機固体成分
溶融可能な有機固体成分(A)としては、通常、水溶性助剤(B)に対して非相溶又は疎水性成分(非水溶性成分)が使用できる。前記有機固体成分(A)は、通常、室温(15〜25℃程度)で固体であり、低分子化合物であってもよく、高分子化合物(又は樹脂)であってもよい。低分子有機固体成分(A)の融点は、40〜280℃(好ましくは50〜270℃、さらに好ましくは70〜260℃)程度であってもよく、100〜260℃程度の比較的高い融点を有する化合物も使用できる。
低分子の有機固体成分(A)としては、例えば、ワックス類又は脂質類、安定化剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系などの酸化防止剤、ベンゾフェノン系、サリチル酸系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などの紫外線吸収剤など)、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、結晶核剤、加硫促進剤、老化防止剤、加硫剤などが例示できる。前記ワックス類又は脂質類としては、脂肪族炭化水素系ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィン系ワックス、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックスなど)、植物性又は動物性ワックス(カルナウバワックス、ミツロウ、セラックワックス、モンタンワックスなど)、高級脂肪酸エステル(グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなど)、脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド、エルカ酸アミドなど)、アルキレンビス脂肪酸アミド(メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドなど)、脂肪酸金属塩(ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの高級脂肪酸多価金属塩など)などが例示できる。なお、上記ワックス類又は脂質類は滑剤としても使用できる。これらの成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明では、このような低分子有機固体成分であっても、前記水溶性助剤(B)と組み合わせることにより、粒子(特に真球状の粒子)として得ることができるので、低分子有機固体成分(A)の取扱い性を向上できる。
有機固体成分(A)としては、高分子化合物(樹脂)を用いる場合が多い。前記樹脂には、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂(例えば、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂など)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂(例えば、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの縮合系熱可塑性樹脂;ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂など)などのビニル重合(付加重合)系熱可塑性樹脂;セルロース誘導体などの天然物由来樹脂;熱可塑性シリコーン樹脂など]、および熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンワニスなども含む)などが含まれる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。有機固体成分(A)としては、通常、熱可塑性樹脂、非水溶性樹脂(非水溶性熱可塑性樹脂など)が使用される。
(熱可塑性樹脂)
(1)ポリエステル系樹脂
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合により得られるホモポリエステル又はコポリエステル;オキシカルボン酸を重縮合させて得られるホモポリエステル又はコポリエステル;ラクトンを開環重合させて得られるホモポリエステル又はコポリエステルが挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸[例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸;メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸などのアルキル置換フタル酸;ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸など);4,4′−ジフェニルジカルボン酸、3,4′−ジフェニルジカルボン酸などのジフェニルジカルボン酸;4,4′−ジフェノキシエタンジカルボン酸などのジフェノキシエタンジカルボン酸;ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸などのジフェニルエーテルジカルボン酸;ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸などのジフェニルアルカンジカルボン酸;ジフェニルケトンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度の芳香族ジカルボン酸など]、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数2〜40程度の脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭素数8〜12程度の脂環族ジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、ジカルボン酸成分には、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルなどの低級アルキルエステル、酸無水物、酸クロライドなどの酸ハライドなども含まれる。
ジオール成分としては、例えば、脂肪族C2-12ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコール等)、脂環族C6-12ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族C6-20ジオール(例えば、レゾルシノール、ヒドロキノン、ナフタレンジオール、ビスフェノールA,F,ADなどのビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体など)などが挙げられる。これらのジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
オキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸などの脂肪族C2-6オキシカルボン酸;ヒドロキシ安息香酸、オキシナフトエ酸などの芳香族オキシカルボン酸などが挙げられる。これらのオキシカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ラクトンとしては、例えば、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等のC3-12ラクトンが挙げられる。これらのラクトンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのラクトンのうち、C4-10ラクトン、特にカプロラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなど)が好ましい。
ポリエステル系樹脂には、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂などが含まれる。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度の芳香族ジカルボン酸など)と、前記脂肪族ジオール(好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどの脂肪族C2-12ジオールなど)又は前記脂環族ジオール(好ましくは、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族C6-20ジオールなど)との重縮合により得られたホモポリエステル又はコポリエステルなどが挙げられ、好ましくは、アルキレンテレフタレートやアルキレンナフタレートなどのアルキレンアリレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)とするホモポリエステル又はコポリエステルなどが例示できる。共重合成分には、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2-4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールなど]や炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)などが含まれていてもよい。
具体的には、芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリアルキレンテレフタレート[例えば、ポリ(1,4−シクロへキシルジメチレンテレフタレート)(PCT)などのポリシクロアルカンジC1-4アルキレンテレフタレート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレート]、このポリアルキレンテレフタレートに対応するポリC2-4アルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレートなど)、エチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリエチレンテレフタレートコポリエステル、ブチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリブチレンテレフタレートコポリエステルなどが例示できる。芳香族ポリエステル系樹脂は液晶性ポリエステルであってもよい。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、前記脂肪族ジカルボン酸成分(例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸などの炭素数2〜6程度の脂肪族ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸、コハク酸などの炭素数2〜4程度の脂肪族ジカルボン酸など)と、前記脂肪族ジオール成分(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族C2-6ジオール、好ましくはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族C2-4ジオール)との重縮合により得られるホモポリエステル又はコポリエステルや、前記脂肪族オキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸などの脂肪族C2-6オキシカルボン酸、好ましくはグリコール酸や乳酸などの脂肪族C2-4オキシカルボン酸)のホモポリエステル又はコポリエステル、開始剤(2官能や3官能の開始剤、例えば、アルコールなどの活性水素化合物)を用いて前記ラクトン(好ましくは、カプロラクトンなどのC4-10ラクトン)を開環重合して得られるホモポリラクトン又はコポリラクトンが挙げられる。共重合成分には、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2-4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールなど]や、炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)などが含まれていてもよい。
具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合から得られるポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンオギザレート、ポリブチレンオギザレート、ポリネオペンチレンオギザレートなどのポリC2-6アルキレンオギザレート;ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリネオペンチレンサクシネートなどのポリC2-6アルキレンサクシネート;ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチレンアジペートなどのポリC2-6アルキレンアジペートなど)、ポリオキシカルボン酸系樹脂(例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸など)、ポリラクトン系樹脂[例えば、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製,PCLH7、PCLH4、PCLH1など)などのポリC3-12ラクトン系樹脂など]などが挙げられる。コポリエステルの具体例としては、例えば、2種類のジカルボン酸成分を用いたコポリエステル(例えば、ポリエチレンサクシネート−アジペート共重合樹脂、ポリブチレンサクシネート−アジペート共重合樹脂などのポリC2-4アルキレンサクシネート−アジペート共重合樹脂など)、ジカルボン酸成分とジオール成分とラクトンとから得られるコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂など)などが例示できる。
本発明で使用するポリエステル系樹脂は、ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂(例えば、ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル系樹脂)であってもよい。ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂は、前記ポリエステル系樹脂(低分子量ポリエステルジオールなど)をジイソシアネート(例えば、脂肪族ジイソシアネート)で高分子量化した樹脂が好ましい。
ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど)等が挙げられる。これらのジイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジイソシアネートのうち、脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートが使用できる。
ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂)としては、昭和高分子(株)製の「ビオノーレ♯1000」、「ビオノーレ♯3000」、「ビオノーレ♯6000」のシリーズなどが挙げられる。
(2)ポリアミド系樹脂
ポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、通常、脂肪族ポリアミド系樹脂が使用される。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
脂肪族ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4-10アルキレンジアミン)と脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4-20アルカンジカルボン酸など)との縮合物(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212など)、ラクタム(ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのC4-20ラクタムなど)又はアミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸などの炭素数C4-20アミノカルボン酸など)の単独又は共重合体(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12など)、これらのポリアミド成分が共重合したコポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など)などが挙げられる。
さらに、ポリアミド系樹脂は生分解性を有していてもよい。生分解性ポリアミド系樹脂としては、前記脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4-10アルキレンジアミン)と前記脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4-20アルカンジカルボン酸など)、前記脂肪族ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのC2-12アルキレングリコールなど)との縮合物であるポリエステルアミドが挙げられる。
(3)ポリウレタン系樹脂
ポリウレタン系樹脂は、ジイソシアネート類とポリオール類(例えばジオール類)と必要により鎖伸長剤との反応により得ることができる。ジイソシアネート類としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類などが例示できる。
ポリオール類としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。ポリオール類の中でも特にジオール類(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなど)が好ましい。これらのポリオール成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジオール類としては、ポリエステルジオール(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸などのC4-12脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2-12脂肪族ジオール成分とから得られるポリエステルジオール、ε−カプロラクトンなどのC4-12ラクトン成分から得られるポリエステルジオール、前記脂肪族ジカルボン酸成分及び/又は前記脂肪族ジオール成分と、前記ラクトン成分から得られるポリエステルジオールなど)、ポリエーテルジオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)、ポリエステルエーテルジオール(ジオール成分の一部として上記ポリエーテルジオールを用いたポリエステルジオール)などが利用できる。
さらに、鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2-10アルキレングリコールの他、ジアミン類[脂肪族ジアミン類(エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなど直鎖又は分岐鎖状アルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミンなどの直鎖又は分岐鎖状ポリアルキレンポリアミンなど)、脂環族ジアミン類(イソホロンジアミンなど)、芳香族ジアミン類(フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなど)など]も使用できる。これらのポリウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(4)ポリ(チオ)エーテル系樹脂
ポリ(チオ)エーテル系樹脂には、ポリアルキレングリコール、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂(ポリチオエーテル系樹脂)が含まれる。ポリアルキレングリコールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのアルキレングリコールの単独又は共重合体(ポリC2-4アルキレングリコールなど)などが含まれる。これらのポリ(チオ)エーテル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(5)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。これらのポリカーボネート系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(6)ポリスルホン系樹脂
ポリスルホン系樹脂には、ジハロゲノジフェニルスルホン(ジクロロジフェニルスルホンなど)とビスフェノール類(ビスフェノールA又はその金属塩など)との重縮合により得られるポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂(商品名:RADEL)などが例示できる。これらのポリスルホン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(7)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂には、α−C2-6オレフィンの単独又は共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)などのオレフィンの単独又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(8)(メタ)アクリル系樹脂
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど)の単独又は共重合体、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂には、ポリ(メタ)アクリル酸C1-5アルキル、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが含まれる。これらの(メタ)アクリル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(9)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などの共重合体など;アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS樹脂)、アクリロニトリル−酢酸ビニル−スチレン共重合体(AXS樹脂)などのスチレン系グラフト共重合体;ゴム成分の存在下、少なくともスチレン系単量体をグラフト重合したグラフト重合体、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS、又はゴムグラフトポリスチレン系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)など)などが挙げられる。これらのスチレン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(10)ビニル系樹脂
ビニル系樹脂には、ビニル系単量体の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能なモノマーとの共重合体などが含まれる。ビニル系単量体としては、例えば、ハロゲン含有ビニル単量体[例えば、塩素含有ビニル単量体(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレンなど)、フッ素含有ビニル単量体(例えば、フルオロエチレンなど)など]、カルボン酸ビニルエステル[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステルなど]などが挙げられる。これらのビニル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体など)、フッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体など)、ビニルエステル系樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)などが挙げられる。
また、ビニル系樹脂には、前記ビニルエステル系樹脂の誘導体、例えば、ビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール;前記酢酸ビニル系共重合体のケン化物、例えば、エチレンービニルアルコール共重合体など)なども含まれる。これらのビニルアルコール系樹脂のうち、酢酸ビニル系共重合体のケン化物、特に、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。酢酸ビニル系共重合体のケン化物において、疎水性コモノマーユニット(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体におけるエチレンユニットなど)の割合を調整することにより、親水性の程度を調整してもよい。酢酸ビニル系共重合体のケン化物を親水性樹脂として用いる場合には、助剤成分(B)に対する親和性の点から、疎水性コモノマーユニットの割合を、例えば、10〜40重量%程度に調整してもよい。
(11)セルロース誘導体
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(セルロースアセテート、セルロースフタレートなど)、セルロースカーバメート類(セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(シアノエチルセルロースなど)が挙げられる。これらのセルロース誘導体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
セルロースエステルとしては、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の有機酸エステル(又はアシルセルロース);硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル等が挙げられる。
セルロースエーテルとしては、例えば、アルキルセルロース(例えば、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのC2-6アルキルセルロースなど)、アラルキルセルロース(例えば、ベンジルセルロースなど)、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
生分解性の点からは、セルロース誘導体の置換度は低いのが好ましく、例えば、平均置換度2.5以下、好ましくは2以下(例えば、0.1〜2程度)、さらに好ましくは1.5以下(例えば、0.1〜1.5程度)である。
(12)熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーには、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性エラストマーがブロック共重合体であるとき、ブロック構造は特に制限されず、トリブロック構造、マルチブロック構造、星形ブロック構造などであってもよい。
樹脂成分の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)は、60〜300℃の範囲から選択でき、例えば、80〜260℃、好ましくは100〜240℃(例えば110〜240℃)、さらに好ましくは120〜230℃(例えば130〜220℃)程度である。
好ましい樹脂としては、水不溶性熱可塑性樹脂(又は疎水性熱可塑性樹脂)、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂など)、生分解性樹脂[例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(例えば、ポリ乳酸系樹脂やポリC3-12ラクトン系樹脂など)、ポリエステルアミドなどの生分解性ポリエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、前記セルロース誘導体]などが挙げられる。なお、助剤成分(B)との溶融混練を容易にするために、アミノ基、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有する樹脂を使用してもよい。また、有機固体成分(A)を前記生分解性樹脂で構成すると、生分解性に優れる樹脂粒子を得ることもできる。
また、本発明では、樹脂の重合方法の種類に限られず、付加重合反応可能な単量体を用いた樹脂を用いても分散体や樹脂粒子を得ることができるが、乳化重合や懸濁重合などでは得られない非付加重合反応により得られるような樹脂であっても、樹脂粒子(特に、球状樹脂粒子)を得ることができる。
樹脂成分(熱可塑性樹脂など)の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量、又は粘度平均分子量で、例えば、500,000以下(例えば、10,000〜500,000程度)、好ましくは50,000〜400,000程度、さらに好ましくは10,000〜350,000程度であってもよい。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量の測定が困難なセルロース誘導体などの熱可塑性樹脂については、粘度平均分子量を採用できる。なお、樹脂成分の重量平均分子量は、樹脂成分の混練時間や混練温度などによっても調節できる。
(B)水溶性助剤成分
水溶性助剤成分は、少なくともオリゴ糖(B1)を含んでいる。また、オリゴ糖の熱溶融特性を調整するため、水溶性助剤成分は、さらに前記オリゴ糖を可塑化するための可塑化成分(B2)を含んでいてもよい。オリゴ糖(B1)と水溶性可塑化成分(B2)とを組み合わせると、有機固体成分(A)との混練において、水溶性助剤成分(B)の粘度を調整できる。なお、水溶性助剤成分は、有機固体成分と組み合わせて分散体を形成した後、適宜溶出又は洗浄することにより有機固体粒子(樹脂粒子など)を形成できる。
(B1)オリゴ糖
オリゴ糖(B1)は、2〜10分子の単糖類が、グリコシド結合を介して脱水縮合したホモオリゴ糖と、少なくとも2種類以上の単糖類及び/又は糖アルコールが、2〜10分子グリコシド結合を介して脱水縮合したヘテロオリゴ糖とに大別される。オリゴ糖(B1)としては、例えば、二糖類〜十糖類が挙げられ、通常、二糖類〜六糖類のオリゴ糖が使用される。オリゴ糖は、通常、常温で固体である。なお、これらのオリゴ糖は、無水物でもよい。また、オリゴ糖において、単糖類と糖アルコールとが結合していてもよい。なお、オリゴ糖は複数の糖成分で構成されたオリゴ糖組成物であってもよい。このようなオリゴ糖組成物であっても単にオリゴ糖という場合がある。オリゴ糖(又はオリゴ糖組成物)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
二糖類としては、トレハロース(例えば、α,α−トレハロース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロースなど)、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオースなどのホモオリゴ糖;ラクトース、スクロース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
三糖類としては、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオースなどのホモオリゴ糖;マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトスクロース、ラフィノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
四糖類としては、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなどのホモオリゴ糖;スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
これらの四糖類のうち、パノースの還元末端に単糖類又は糖アルコールが結合したテトラオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなどの単糖類や、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが結合したテトラオースが例示できる。
五糖類としては、マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどのホモオリゴ糖;パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、スクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類が結合したペンタオースが例示できる。
六糖類としては、マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどのホモオリゴ糖などが挙げられる。
オリゴ糖は、有機固体成分との溶融混練性の観点から、少なくとも四糖類で構成されているのが好ましい。
オリゴ糖は、多糖類の分解により生成するオリゴ糖組成物であってもよい。オリゴ糖組成物は、通常、四糖類を含んでいる。オリゴ糖組成物としては、例えば、デンプン糖(デンプン糖化物)、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などが挙げられる。
例えば、デンプン糖は、デンプンに酸又はグルコアミラーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、複数個のグルコースが結合したオリゴ糖の混合物であってもよい。デンプン糖としては、例えば、東和化成工業(株)製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の含有量90重量%以上)などが挙げられる。
ガラクトオリゴ糖は、ラクトースにβ−ガラクトシダーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、ガラクトシルラクトースとガラクトース−(グルコース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
カップリングシュガーは、デンプンとスクロースにシクロデキストリン合成酵素(CGTase)を作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、(グルコース)n−スクロースの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
フルクトオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)は、砂糖にフルクトフラノシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、スクロース−(フルクトース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
これらのオリゴ糖組成物において、溶融混練での急激な粘度低下を防止するため、オリゴ糖組成物中の三糖類、四糖類(特に四糖類)の含有量は、例えば、60重量%以上(例えば、60〜100重量%程度)、好ましくは70重量%以上(例えば、70〜100重量%程度)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、80〜100重量%程度)、特に90重量%以上(例えば、90〜100重量%程度)であってもよい。
オリゴ糖は還元型(マルトース型)であってもよく、非還元型(トレハロース型)であってもよいが、還元型のオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。
還元型のオリゴ糖としては、遊離のアルデヒド基又はケトン基を有し、還元性を示す糖であれば、特に限定されず、例えば、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどの二糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオースなどの三糖類;マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、セロテトラオース、リキノースなどの四糖類;マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどの五糖類;マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどの六糖類などが挙げられる。
一般的に、前記オリゴ糖は、天然物である多糖類の誘導体あるいはそれらの還元によって製造される天然物由来の製造物であるため、環境への負荷を低減できる。
混練により、効果的に有機固体成分と助剤成分とを分散させるためには、オリゴ糖の粘度は高いのが望ましい。具体的には、B型粘度計を用いて温度25℃で測定したとき、オリゴ糖の50重量%水溶液の粘度は、1Pa・s以上(例えば、1〜500Pa・s程度)、好ましくは2Pa・s以上(例えば、2〜250Pa・s、特に3〜100Pa・s程度)、さらに好ましくは4Pa・s以上(例えば、4〜50Pa・s程度)、特に6Pa・s以上(例えば、6〜50Pa・s程度)であり、高粘度オリゴ糖を用いることが望ましい。
また、オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点は、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度(例えば、有機固体成分(A)の融点又は軟化点、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)より高いのが好ましい。なお、オリゴ糖の種類[例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など]によっては、融点又は軟化点を示さず、分解(熱分解)する場合がある。このような場合、分解温度をオリゴ糖(B1)の「融点又は軟化点」としてもよい。
オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点と、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度との温度差は、例えば、1℃以上(例えば、1〜80℃程度)、好ましくは10℃以上(例えば、10〜70℃程度)、さらに好ましくは15℃以上(例えば、15〜60℃程度)である。オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点は、有機固体成分(A)の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。なお、一般にオリゴ糖の無水物は、高い融点又は軟化点を示す。例えば、トレハロースの場合、二水化物の融点は97℃であるが、無水物の融点は203℃である。オリゴ糖の融点又は軟化点が有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度より高いと、溶融混練でのオリゴ糖の急激な粘度低下を防止できるだけでなく、オリゴ糖の熱劣化も抑制できる。
(B2)水溶性可塑化成分
水溶性可塑化成分(B2)としては、オリゴ糖(B1)が水和して水飴状態となる現象を発現できるものであればよく、例えば、糖類、糖アルコールなどが使用できる。これらの可塑化成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(a)糖類
糖類としては、オリゴ糖(B1)を有効に可塑化するために、通常、単糖類及び/又は二糖類が使用される。これらの糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
単糖類としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコースなどが挙げられる。これらの化合物は、アルドースやケトースであってもよく、ジアルドース(糖の誘導体であって炭素鎖両末端がアルデヒド基である化合物、例えば、テトラアセチルガラクトヘキソジアルドース、イドヘキソジアルドース、キシロペントドアルドース等)、複数のカルボニル基を有する単糖類(オソン、オノース等のアルドアルコケトース等)、メチル基を有する単糖類(アルトロメチロースなどのメチル糖等)、アシル基(特にアセチル基などのC2-4アシル基等)を有する単糖類(前記アルドースのアセチル体、例えば、アルデヒドグルコースペンタアセチル化合物などのアセチル体など)、カルボキシル基が導入された糖類(糖酸またはウロン酸等)、チオ糖、アミノ糖、デオキシ糖などであってもよい。
このような単糖類の具体例としては、例えば、テトロース(エリトロース、トレオロース等)、ペントース(アラビノース、リボース、リキソース、デオキシリボース、キシロース等)、ヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、フコース、ラムノース、タロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン等)などが例示できる。
また、単糖類は、ヘミアセタール結合により環状構造を形成した環状異性体であってもよい。単糖類は、旋光性を有している必要はないが、D形、L形、DL形のいずれであってもよい。これらの単糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
二糖類としては、オリゴ糖(B1)を可塑化できるものであれば、特に制限されず、例えば、前記二糖類のうち、低融点または低軟化点を有する二糖類(例えば、ゲンチビオース、メリビオース、トレハロース(二水化物)など)、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類に相当する二糖類(例えば、グルクロン酸とグルコースとがα−1,6グリコシド結合したグルクロノグルコースなどのアルドビオウロン酸など)が例示できる。
糖類は、熱安定性に優れるため、還元糖が好ましく、そのような糖類としては、遊離の単糖類の他、前記二糖類のうち、低融点又は低軟化点の還元糖(例えば、ゲンチビオース、メリビオースなど)が挙げられる。
(b)糖アルコール
糖アルコールとしては、アルジトール(グリシトール)などの鎖状糖アルコールであってもよく、イノシットなどの環式糖アルコールであってもよいが、通常は、鎖状糖アルコールが使用される。これらの糖アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状糖アルコールとしては、テトリトール(トレイトール、エリスリトールなど)、ペンチトール[ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール、リキシトールなど]、ヘキシトール[ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、アロズルシトール(アリトール)、アルスリトールなど]、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、及びドデキトールなどが挙げられる。
これらの糖アルコールのうち、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールが好ましい。糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトールから選択された少なくとも1つの糖アルコールを含む場合が多い。
可塑化成分(B2)は、常温(例えば、15〜20℃程度)で液体(シロップ状)であってもよいが、取扱い性などの点から、通常、固体である場合が多い。助剤成分(B)をオリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とで構成すると、オリゴ糖(B1)が明瞭な融点や軟化点を示さない熱分解性オリゴ糖であっても、有効に可塑化又は軟化できる。
可塑化成分(B2)の融点又は軟化点は、通常、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度(例えば、有機固体成分(A)の融点又は軟化点、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)以下である。なお、可塑化成分の中には、高融点(例えば200℃以上)を有するにも拘わらず、オリゴ糖と共存すると、実際の融点よりも低い温度で融解する物質が存在する。例えば、ペンタエリスリトールは、実際の融点(260℃)より低温(例えば160〜180℃程度)でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮するとともに、自身も融解状態となる。このような高融点の可塑化成分は、単独では有機固体成分(樹脂成分など)の熱変形温度において融解しないため利用できないが、オリゴ糖と組み合わせることによって有効に利用できる。なお、実際の融点より低温でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮する可塑化成分(例えば、ペンタエリスリトールなど)においては、オリゴ糖に対して可塑化効果を発揮する温度を、可塑化成分(B2)の「融点又は軟化点」としてもよい。
また、オリゴ糖(B1)は、可塑化成分(B2)の融点又は軟化点より高い温度で融点又は軟化点を示すか、若しくは分解してもよい。
助剤成分(B)の融点又は軟化点は、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度以上であってもよく、熱変形温度以下であってもよい。有機固体成分(A)及び助剤成分(B)は、少なくとも混練温度(又は成形加工温度)において溶融又は軟化すればよい。例えば、助剤成分(B)の融点又は軟化点と、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度との温度差は、0〜100℃の範囲で選択してもよく、例えば、3〜80℃(例えば3〜55℃)、好ましくは5〜60℃(例えば、5〜45℃)、さらに好ましくは5〜40℃(例えば、10〜35℃)程度であってもよい。なお、助剤成分(B)の融点又は軟化点と、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度との温度差が小さい場合(例えば前記温度差が0〜20℃程度である場合)、固化速度の高い助剤成分(B)(例えば、糖成分)により短時間で分散形態を固定化できるという利点がある。
さらに、助剤成分(B)(例えば、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とを含む助剤成分)のメルトフローレートは、例えば、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度(例えば、有機固体成分(A)の融点又は軟化点、前記ビカット軟化点)より30℃高い温度でJIS K 7210で規定されるメルトフローレートを測定したとき、1以上(例えば、1〜40程度)、好ましくは5以上(例えば、5〜30程度)、さらに好ましくは10以上(例えば、10〜20程度)であってもよい。
助剤成分(B)において、可塑化成分(B2)の割合(重量比)は、溶融混練に伴って、可塑化成分が凝集などにより局在化せず、オリゴ糖(B1)を効率的に可塑化できる量、例えば、オリゴ糖(B1)/可塑化成分(B2)=99/1〜50/50から選択でき、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは90/10〜70/30程度である。なお、溶融混練温度(加工温度)に応じて、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)との割合を適宜調整することにより、有機固体成分(A)と助剤成分(B)との混練の効率をコントロールしてもよい。例えば、比較的低温(例えば、90〜180℃程度)で溶融混練する場合などには、可塑化成分の割合を大きくすると、成分(A)及び(B)を効率よく混練することもできる。
水溶性助剤成分(B)は、下記(I-1)乃至(I-3)の特性を備えている。
(I-1)孔径1mm及び長さ40mmのキャピラリーを用いて、温度180℃及びせん断速度126sec-1で測定したとき、水溶性助剤成分(B)のせん断粘度は、例えば、5Pa・s以上(例えば、5〜250Pa・s程度)の範囲から選択でき、通常、8Pa・s以上(例えば、8〜200Pa・s程度)、好ましくは10Pa・s以上(例えば、10〜150Pa・s程度)、さらに好ましくは12Pa・s以上(例えば、15〜150Pa・s程度)であり、20〜150Pa・s(例えば、40〜130Pa・s)程度であってもよい。このような溶融粘度特性を有する水溶性助剤成分(B)を用いると、助剤成分(B)の分離を防止しつつ樹脂成分などの有機固体成分(A)との組成物を均一に溶融混練可能であり、前記有機固体成分(A)を粒子状に形成できる。さらに、成形装置において、ベント部やフィードブロック、ダイスなどの継ぎ目部から水溶性助剤成分(B)が流出することがなく、スクリューの空転を防止しつつ、混練力を前記組成物に有効に作用させることができる。なお、樹脂などの成形加工温度は、通常、140〜240℃であり、押出機などの代表的な加工機のせん断速度は、通常、50〜200sec-1程度であると思われる。そのため、本発明では、代表的な条件として、前記温度180℃及びせん断速度126sec-1を採用している。
(I-2)25mm×25mm×3mmの板状成形体を25℃の蒸留水500ml中に600秒間浸漬したとき、下記式
W1/(W1−W2)×600×0.5
(式中、W1は浸漬前の板状成形体の重量、W2は板状成形体の600秒間浸漬した後、乾燥により水分を除去した後の重量を示す)
で表される水中での重量半減時間は、1500秒以下(例えば、10〜1500秒)、好ましくは1200秒以下(例えば、20〜1200秒)、さらに好ましくは1000秒以下(例えば、20〜1000秒)であってもよい。好ましい態様において、水溶性助剤成分(B)の重量半減時間は、800秒以下(例えば、10〜800秒)、好ましくは780秒以下(例えば、10〜750秒)、特に720秒以下(例えば、10〜720秒)である。このような特性を有するため、水溶性助剤成分(B)は、水に対する溶解速度が大きく、溶解性または溶出性が高い。そのため、水溶性高分子を溶出する方法と異なり、多量の水を用いることなく、撹拌のためのエネルギー負荷を低減しつつ、必要最小限の水で水溶性成分(B)を溶出でき、有機固体成分(A)で構成された成形体(粒子や多孔体など)の生産性を大きく向上できる。
さらに、(I-3)水溶性助剤成分(B)は、B型粘度計で測定した10重量%水溶液の粘度が25℃で10mPa・sec以下(例えば、2〜10mPa・sec)、好ましくは7mPa・sec以下(例えば、2〜7mPa・sec)、さらに好ましくは5mPa・sec以下(例えば、2〜5mPa・sec)であり、通常、3〜7mPa・sec程度である。このように水溶性助剤成分(B)の水溶液粘度が小さいため、水による溶出操作により、有機固体成分(A)で構成された粒子との分離効率(又は濾過効率)を大きく向上できる。そのため、水溶性高分子を溶出する方法と異なり、水溶液の粘度を低減でき、遠心分離においては、回転数を増大させることなく短時間内に有機固体成分(A)で構成された粒子を分離でき、濾過分離においては、低圧かつ短時間内に有機固体成分(A)で構成された粒子を分離できる。そのため、エネルギー的に有利であるとともに有機固体成分(A)で構成された粒子の生産性を向上できる。
このように、特性(I-1)〜(I-3)を有する水溶性助剤成分(B)は、溶融粘度が高いにも拘わらず、水に対する溶解性が高く、しかも水溶液粘度が低い。しかも、樹脂成分などの有機固体成分(A)と溶融混練して、射出成形、押出成形などの種々の方法で、溶融成形可能である。
有機固体成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、有機固体成分及び助剤成分の種類や粘度、有機固体成分と助剤成分との相溶性などに応じて選択でき、特に制限されないが、通常、成形性を損なわない量、例えば、有機固体成分(A)/助剤成分(B)=55/45〜1/99、好ましくは50/50〜5/95、さらに好ましくは45/55〜10/90程度である。
本発明において、有機固体成分(A)と助剤成分(B)とは同一又は異なる溶融粘度(せん断粘度)を有している。特に、オリゴ糖(又はオリゴ糖を含む助剤成分(B))の粘度を、有機固体成分(A)の溶融粘度に近づけると、有機固体成分(A)の分散性を向上でき、分散相(及び得られる樹脂粒子)の粒子径を小さくできるとともに、粒度分布を狭くできる。
溶融粘度の相違は、例えば、前記有機固体成分(A)のせん断粘度ηAと前記助剤成分(B)のせん断粘度ηBとの比ηA/ηBで表すことができ、このせん断粘度比を小さくすることにより、平均粒子径の変動係数を低減でき、有機固体粒子(樹脂粒子など)の粒子径をコントロールすることができる。
前記せん断粘度比ηA/ηBは、通常、20/1以下(例えば、0.05/1〜20/1程度)、好ましくは0.06/1〜15/1、さらに好ましくは0.1/1〜10/1程度であってもよい。なお、平均粒子径の変動係数は、有機固体成分(A)と助剤成分(B)との組合せや加工温度(混合温度又は混練温度など)を調整することにより、コントロールできる。
なお、前記せん断粘度比において、各成分のせん断粘度は、分散体の調製に伴う有機固体成分(A)と助剤成分(B)との溶融混練温度(代表的には180℃)において、孔径1mm、長さ40mmのキャピラリを用いて、せん断速度126sec-1で測定したときのせん断粘度を示す。
孔径1mm及び長さ40mmのキャピラリを用いて、温度180℃及びせん断速度126sec-1の条件で測定したとき、有機固体成分(A)の前記せん断粘度ηAは、助剤成分(B)のせん断粘度ηBに応じて適宜選択でき、例えば、50〜1000Pa・sec、好ましくは100〜900Pa・sec、さらに好ましくは150〜800Pa・sec程度であってもよい。なお、助剤成分(B)のせん断粘度ηBは、前記の通りであり、例えば、5〜250Pa・sec、好ましくは10〜150Pa・sec(例えば、20〜150Pa・sec)、さらに好ましくは40〜130Pa・sec程度であってもよい。
本発明において、有機固体成分(A)と助剤成分(B)とは、互いに異なる表面張力を有している。特に、助剤成分(B)は、少なくともオリゴ糖(B1)や水溶性可塑化成分(B2)を含むため、有機固体成分(A)に比べて、通常、表面張力が小さい。このように、本発明では、有機固体成分(A)と助剤成分(B)との表面張力の差又は比を大きくでき、分散相を表面張力の大きな有機固体成分で構成するため、分散相(又は有機固体粒子)の形状を球状にすることができる。
有機固体成分(A)の表面張力と、助剤成分(B)の表面張力との相違は、例えば、両者の水との接触角の比で表すことができる。25℃において、有機固体成分(A)の水との接触角θAと、助剤成分(B)の水との接触角θBとの比(θA/θB)が2以上(例えば、θA/θB=2/1〜10/1程度)、好ましくは2.5以上(例えば、θA/θB=2.5/1〜9/1程度)、さらに好ましくは3以上(例えば、θA/θB=3/1〜8/1程度)であってもよい。なお、接触角とは、室温(25℃)で有機固体成分や助剤成分の表面上に水滴を置き、水滴の広がりが停止したときの水滴の表面と有機固体成分(又は助剤成分)の表面との交点において、水滴に対する接線と有機固体成分(又は助剤成分)の表面との間に形成される角のうち、水滴側の角度を指す。
有機固体成分(A)の接触角θAは、例えば、40〜110°、好ましくは50〜105°、さらに好ましくは60〜105°程度であってもよい。また、助剤成分(B)の接触角θBは、例えば、10〜25°、好ましくは10〜20°(例えば、12〜20°)、さらに好ましくは15〜20°程度であってもよい。
本発明において、前記組成物(又は分散体)には、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、フィラー(粉粒状フィラー、ガラス繊維などの繊維状フィラーなど)、可塑剤又は軟化剤、光分解性付与剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、滑剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候(光)安定剤など)、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物の粉末など)、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤[油溶性有機染料などの染料;無機又は有機顔料(例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属(粉末);マグネタイト、フェライトなどの強磁性合金(粉末);磁性酸化鉄などの強磁性金属酸化物(粉末)などの強磁性材料も含む)など]、電荷制御剤(ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミン系化合物などの正荷電制御剤;サリチル酸金属錯体、アゾ染料金属錯体、銅フタロシアニン染料、ニトロイミダゾール誘導体、尿素誘導体などの負電荷制御剤など)、流動化剤、ワックス類[ポリエチレンワックス、エチレン共重合体ワックス、ポリプロピレンワックスなどのオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;高級脂肪酸又はその誘導体(塩、多価アルコールエステル、アミドなど);エステル系ワックスなど]、架橋剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。なお、分散体においては、添加剤は、分散体を構成する分散相及びマトリックスのいずれに含有させてもよい。また、前記添加剤としては、通常、前記有機固体成分と異なる成分が使用できる。
前記添加剤は、粒子の用途などに応じて選択でき、例えば、化粧品(ファンデーション、白粉、頬紅など)などの用途では、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系吸収剤、ケイ皮酸系吸収剤、p−アミノ安息香酸系吸収剤、サリチル酸系吸収剤、ジベンゾイルメタン系吸収剤、ウロカニン酸又はそのエステル、β−イソプロピルフラノン、β−カロチンなど)、前記紫外線散乱剤、着色剤などを使用してもよい。トナーなどの画像記録材料用途では、例えば、電荷制御剤、流動化剤、ワックス類、着色剤などを用いてもよい。また、塗料などの用途では、例えば、架橋剤、耐候(光)安定剤、紫外線吸収剤、流動化剤、着色剤などを使用してもよい。
これらの添加剤は、それぞれ有効量であればよく、例えば、有機固体成分(樹脂など)100重量部に対して、添加剤の総量は、0〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0〜50重量部(例えば、0〜30重量部)、好ましくは0.05〜20重量部(例えば、0.1〜20重量部)程度、さらに好ましくは0.1〜10重量部(例えば、0.5〜10重量部)程度であってもよい。
[分散体]
本発明の分散体では、有機固体成分(A)で構成された粒子状の分散相が、少なくともオリゴ糖(B1)を含む水溶性助剤成分(B)で構成されたマトリックスに分散している。
本発明の分散体において、分散相の平均粒子径は、特に制限されず、用途に応じて0.05μm〜1mm程度の範囲から選択でき、0.1〜800μm、好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.2〜50μm、特に1〜40μm程度であってもよい。また、有機固体成分(A)や助剤成分(B)の種類を適宜選択することにより、有機固体粒子の平均粒子径を、例えば、0.05〜100μm、好ましくは0.05〜10μm、さらに好ましくは0.05〜5μm、特に0.1〜3μm程度にまで小さくすることもできる。
本発明では、分散相の粒子サイズを均一にして粒度分布(変動係数)を小さくできる。分散相の平均粒子径の変動係数(%)([粒子径の標準偏差/平均粒子径]×100)は、例えば、60以下(例えば5〜60程度)、好ましくは50以下(例えば、10〜50程度)、さらに好ましくは40以下(例えば、10〜40程度)であってもよい。
本発明の分散体において、分散相の形状は、粒子状であればよく、例えば、球状、楕円体状、多角体状、角柱状、円柱状、棒状、不定形状などであってもよい。なお、球状分散体(又は球状粒子)には、真球状に限らず、例えば、長径と短径との長さ比が、例えば、長径/短径=1.5/1〜1/1程度である形状も含まれる。長径と短径との長さ比は、好ましくは長径/短径=1.3/1〜1/1(例えば、1.2/1〜1/1)、さらに好ましくは1.1/1〜1/1程度であってもよい。
[有機固体粒子の製造方法]
本発明では、粒状分散相を構成する有機固体成分(A)と、少なくともオリゴ糖(B1)を含み、かつマトリックスを構成する水溶性助剤成分(B)とを混練(溶融混練)し、生成した分散体から、水溶性助剤成分(B)を溶出し、有機固体成分(A)で構成された粒子を製造する。
混練は、慣用の混練機(例えば、単軸もしくは二軸スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロールなど)を用いて行なうことができる。また混練に先立ち、各成分は、予め凍結粉砕機などで粉体状に予備加工したり、ヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、ボールミルなどで予備混練してもよい。
水溶性助剤成分は、混練物(溶融混練物)から溶出させてもよく、混練した組成物を、成形し、得られた予備成形体から溶出させてもよい。予備成形体の成形法としては、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などが挙げられ、通常、生産性や加工の容易さの点から、押出成形又は射出成形が使用される。
予備成形体(又は分散体)の形状は、特に制限されず、0次元的形状(粒状、ペレット状など)、1次元的形状(ストランド状、棒状など)、2次元的形状(板状、シート状、フィルム状など)、3次元的形状(管状、ブロック状など)などであってもよい。助剤成分の溶出性を考慮すると、ストランド状、棒状、シート状、又はフィルム状に加工することが望ましい。
なお、混練温度や成形加工温度は、使用される原材料(例えば、有機固体成分及び助剤成分)に応じて適宜設定することが可能であり、例えば、90〜300℃、好ましくは110〜260℃(例えば、170〜250℃)、さらに好ましくは140〜240℃(例えば、170〜240℃)、特に170〜230℃(例えば、180〜220℃)程度である。助剤成分(オリゴ糖および可塑化成分)の熱分解を避けるため、混練温度や成形加工温度を230℃以下にしてもよい。また、混練時間は、例えば、10秒〜1時間の範囲から選択してもよく、通常30秒〜45分、好ましくは1〜30分(例えば、1〜10分)程度である。
混練及び/又は成形加工により得られた溶融物(例えば、混練物、予備成形体)は、必要により適宜冷却してもよい。このように、溶融物を冷却することにより、溶融状態において、有機固体成分(A)と、助剤成分(B)とが相溶であっても、冷却に伴って、表面張力、結晶化などの固化速度の相違などにより分散相を形成でき、分散体を得ることもできる。
冷却温度は、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度、又は助剤成分(B)の融点若しくは軟化点よりも少なくとも10℃程度低い温度であればよく、例えば、上記温度(有機固体成分(樹脂成分など)の熱変形温度、又は助剤成分の融点若しくは軟化点)より10〜100℃程度低い温度、好ましくは前記温度より15〜80℃程度低い温度、さらに好ましくは前記温度より20〜60℃程度低い温度であってもよい。具体的には、例えば、冷却温度は、有機固体成分又は助剤成分の種類に応じて5〜150℃の範囲から選択でき、例えば、10〜120℃(例えば、10〜60℃)、好ましくは15〜100℃(例えば、15〜50℃)、さらに好ましくは20〜80℃(例えば、20〜40℃)程度であってもよい。冷却時間は、有機固体成分や助剤成分の種類、冷却温度等に応じて適宜設定でき、例えば、30秒〜20時間の広い範囲から選択してもよく、例えば、45秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間(例えば、1分〜1時間)、さらに好ましくは1.5〜30分程度であってもよい。
また、混練条件(例えば、混練時間、混練温度など)や冷却条件(例えば、冷却時間、冷却温度など)を調整することにより、分散相(又は有機固体粒子)の平均粒子径を変化させたり、粒度分布幅をさらに狭めることもできる。
このようにして得られた分散体は、助剤成分(B)が、海島構造における連続相を形成すると共に、有機固体成分(A)で構成された分散相が独立した分散相を形成した相分離構造を有しており、助剤成分を速やかに溶出又は抽出でき、前記分散相(樹脂相などの有機固体相)を粒子として得ることができる。
水溶性助剤成分(B)の溶出(又は洗浄)は、水性溶媒、例えば、水、水溶性溶媒(例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エーテル類(セロソルブ、ブチルセロソルブなど)など)などを用いることにより行うことができる。これらの水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。環境への負荷が少なく、工業コストを低減できるため、溶出溶媒として水を用いるのが好ましい。
助剤成分(B)の溶出は、慣用の方法、例えば、前記分散体(又は予備成形体)を、前記水性媒体中に浸漬、分散して、助剤成分を溶出または洗浄(水性溶媒に移行)することに行うことができる。前記分散体(又は予備成形体)を水性媒体中に浸漬すると、分散体のマトリックスを形成する水溶性助剤成分が徐々に溶出し、分散相(粒子)が、溶出液中に分散される。助剤成分の分散及び溶出を促進するため、適宜、撹拌などを行ってもよい。
助剤成分は、例えば、加圧下において、溶出させてもよいが、通常、常圧下(例えば、10万Pa程度)又は減圧下において溶出できる。また、助剤成分の溶出温度は、有機固体成分及び助剤成分に応じて、適宜設定することができ、通常、有機固体成分の融点又は軟化点未満の温度、例えば10〜100℃、好ましくは25〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃(例えば、40〜80℃)程度である。前記水溶性助剤成分は、水に易溶であるため、大量の水を必要としない。
有機固体粒子は、慣用の分離(回収)方法、例えば、濾過、遠心分離などを用いて前記粒子が分散された分散液から回収できる。
特に、助剤成分の溶出により得られる溶出液の粘度が低いため、溶出液と有機固体粒子とを容易に分離でき、有機固体粒子の回収も容易である。溶出液の粘度が高すぎると、例えば、遠心分離により有機固体粒子を分離する場合、高速回転させたり、回転時間を長くする必要が生じる虞がある。また、ろ過による分離では、高圧でろ過する必要が生じたり、ろ過時間が長くなる虞があり、エネルギー負荷、生産速度の点で不利となる虞がある。溶出液の粘度を低下させるためには、大量の水を用いて溶出する必要が生じる。
得られた有機固体粒子中には、助剤成分が実質的に残留していないことが望ましいが、例えば、洗浄過程のコスト削減などの点から、助剤成分が有機固体粒子に少量残存していても、助剤成分が天然物由来の化合物(食品又は食品添加物なども含む)であるため、得られた粒子に与える悪影響は小さく、安全性も高い。なお、有機固体粒子における助剤成分(B)の割合は、例えば、3重量%以下(例えば0〜3重量%程度)、好ましくは1重量%以下(例えば、0〜1重量%程度)、さらに好ましくは0.5重量%以下(例えば、0.001〜0.5重量%程度)であってもよい。分散体のマトリックスを溶出性の高い水溶性助剤成分で構成するとともに、有機固体成分に対して親和性の低い助剤成分を用いると、有機固体粒子における助剤成分(B)の含有量を低減できる。例えば、有機固体粒子における助剤成分(B)の割合は、例えば、粒子全体に対して0.1重量%以下(例えば、0.001〜0.1重量%程度)、好ましくは0.05重量%以下(例えば、0.001〜0.05重量%程度)、さらに好ましくは0.01重量%以下(例えば、0.001〜0.1重量%程度)であってもよく、通常、検出限界以下の濃度である場合が多い。
また、有機固体粒子における助剤成分(B)の含有量は、有機固体粒子を、水性媒体(水など)により洗浄することにより低減させることもできる。例えば、前記助剤成分(B)の含有量は、重量基準で、10,000ppm以下(例えば、0.1〜10,000ppm程度)、好ましくは3,000ppm以下(例えば、0.5〜3,000ppm程度)、さらに好ましくは1,000ppm以下(例えば、1〜1,000ppm程度)、さらに好ましくは300ppm以下(例えば、1〜300ppm程度)に低減させることもできる。
なお、溶媒で溶出又は抽出された助剤成分は、慣用の分離手段(例えば、蒸留、濃縮、再結晶、乾燥(フリーズドライ)など)を用いて回収できる。
本発明には、前記製造方法により得られる有機固体粒子も含まれる。有機固体粒子の形状、平均粒子径、平均粒子径の変動係数は、前記分散相と同様の範囲から選択できる。また、有機固体粒子の長径と短径との比も前記分散相と同様の範囲から選択できる。なお、有機固体粒子の形状やサイズは、前記溶出溶媒(水性溶媒)に有機固体成分(A)が溶出しない限り、前記分散相の形状やサイズがそのまま維持される。なお、有機固体粒子は、必要に応じて、分級などの手段により、粒子サイズを揃えてもよい。