JP2006328219A - 親水性樹脂粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 長期間に亘り親水性を保持でき、吸湿性、保湿性や水に対する再分散性に優れる親水性樹脂粒子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 溶融可能な非水溶性樹脂(A)と、水溶性樹脂(B)と、樹脂(A)に対して相溶性がなく、水に対して水溶性樹脂よりも5倍以上の溶解速度を有する水溶性乳化媒体(C)とを溶融混合又は混練し、水溶性乳化媒体(C)で構成されたマトリックス中に、非水溶性樹脂(A)で構成され、かつ水溶性樹脂(B)を含む樹脂粒子が分散した分散体を生成させ、分散体の乳化媒体(C)を水で溶解し、水溶性樹脂(B)を含む球状の複合樹脂粒子を製造する。乳化媒体はオリゴ糖と水溶性可塑化成分(糖又は糖アルコール)とで構成できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水溶性樹脂を含有する親水性樹脂粒子を製造するために適した分散体、前記親水性樹脂粒子及びその製造方法に関する。
樹脂微粒子を水に分散させた水性エマルジョンは、樹脂粒子の形状が球状であるため、種々の用途、例えば、化粧品用樹脂粒子、電子写真用トナーなどに利用されている。一方、水性エマルジョンの大部分が水で構成されているため、輸送コストの低減などは困難である。そのため、乾燥状態の樹脂粒子であって、使用に際して、水系又はアルコール系溶媒などの親水性溶媒に再分散して使用できれば有用である。
親水性溶媒に対する樹脂粒子の分散性を高めるためには、樹脂粒子が親水性基を有しているのが有利である。しかし、乾燥した樹脂粒子を製造する過程で、粒子間に水素結合が形成され、樹脂粒子同士が強固に結合し、再分散性を低下させる。これに対して、疎水性樹脂で構成された粒子では、粒子間の凝集が少なくても親水性溶媒に対する再分散性が劣る。特に、ポリスチレン系樹脂粒子のように、樹脂粒子がπ−π結合による相互作用の強い樹脂で構成されていると、樹脂粒子同士の凝集力も強く、再分散が非常に困難である。
このような課題を解決するため、樹脂粒子を水溶性樹脂でコーティングすることが考えられる。例えば、保護剤成分を共存させて乳化重合し、乾燥させることにより、再分散性の高い樹脂粒子を得ることが考えられる。特開2000−53711号公報(特許文献1)には、アニオン変性ポリビニルアルコールの存在下、ビニル系単量体組成物を水性媒体中で乳化重合し、生成した水性エマルジョンを乾燥することが開示されている。しかし、得られた樹脂粒子は、使用に伴って水溶性樹脂が消失するため、長期間に亘り吸湿性及び保湿性を維持することが困難である。
一方、特開昭60−13816号公報(特許文献2)及び特開昭61−9433号公報(特許文献3)には、熱可塑性樹脂と水溶性樹脂(ポリエチレンオキサイドなど)とを溶融混練した後、水溶性樹脂を水で溶解して樹脂粒子を製造することが記載されている。また、特開平10−176065号公報(特許文献4)には、微粉末化する熱可塑性樹脂(a)に、他の1種類以上の熱可塑性樹脂(b)を溶融混練することにより、樹脂(a)が分散相を形成し、樹脂(b)が連続相を形成する樹脂組成物を生成させ、樹脂(a)は溶解せず、樹脂(b)が溶解する溶媒及び条件で前記樹脂組成物を洗浄することにより、樹脂(a)の球状微粒子を得る方法が開示されている。さらには、特許第3176925号公報(特許文献5)には、(A)不相溶性である第一の固体材料と第二の固体材料を溶融し;(B)この第一材料と第二材料の溶融混合物に剪断を適用して第一材料と第二材料の乳濁物を生成し、それによって第一材料の微細球状液粒が他方の材料の中に分散され:(C)この分散物を冷却して少なくとも第一材料を固体化し;(D)そしてこの冷却された分散物から第二材料を除去して第一材料の球状粒子を生じる;行程を含む、球状粒子の製造方法が開示され、第二材料が重合体材料(ポリエチレングリコールなど)やカラメルであること、第二材料が水溶性であり、溶剤が水であることが記載されている。これらの文献には、水溶性樹脂として、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどが記載されている。
しかし、これらの方法では、水溶性樹脂を樹脂粒子から溶出するため、親水性樹脂粒子を得ることは困難である。そのため、吸湿性、保湿性や水に対する再分散性などを樹脂粒子に付与することが困難である。
特開2004−51942号公報(特許文献6)には、熱可塑性樹脂などの樹脂成分(A)と少なくともオリゴ糖(B1)で構成された水溶性助剤成分(B)とで分散体を形成し、樹脂粒子を製造すること、助剤成分(B)はオリゴ糖(B1)と水溶性可塑化成分(B2)とで構成できることが開示されている。しかし、この文献に記載の方法でも、水溶性助剤成分を水で溶解して除去するため、親水性樹脂粒子をえることは困難である。
特開2000−53711号公報 特開昭60−13816号公報 特開昭61−9433号公報 特開平10−176065号公報 特許第3176925号公報(特許請求の範囲) 特開2004−51942号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、長期間に亘り親水性を保持できる親水性樹脂粒子及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、吸湿性、保湿性や水に対する再分散性などに優れた親水性樹脂粒子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、水不溶性樹脂(非水溶性樹脂)と水溶性樹脂とのコンパウンド(又は溶融混練体)と、水溶性乳化媒体とを溶融混合又は混練すると、水溶性樹脂がマトリックスとしての水溶性乳化媒体に分配するのを抑制しつつ、非水溶性樹脂と水溶性樹脂とで構成された分散相が、水溶性乳化媒体中に分散した分散体が得られること、この分散体を水で溶出又は溶解処理すると、非水溶性樹脂で構成され、かつ少なくとも表面に水溶性樹脂を含む球状樹脂粒子が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の分散体は、水溶性乳化媒体(C)で構成されたマトリックス中に、水溶性乳化媒体(C)に対して非相溶の非水溶性樹脂(A)で構成された分散相(又は樹脂粒子)が分散している。この分散体では、前記分散相(非水溶性樹脂粒子)が水溶性樹脂(B)を含んでいる。水溶性樹脂が樹脂粒子から溶出するのを抑制するため、水溶性乳化媒体が、水溶性樹脂よりも水に対して5倍以上の溶解速度を有する場合が多い。また、前記樹脂(A)としては、水不溶性樹脂、例えば、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂又はその水不溶性その誘導体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースエステル系樹脂などが使用できる。水溶性樹脂(B)としては、ビニルアルコール系樹脂、ポリオキシアルキレングリコール系樹脂、ポリアルキレンオキサイド系樹脂、カルボキシル基及びスルホン酸基から選択された少なくとも一種の酸性基又はその塩を有するアクリル系樹脂、前記酸性基又はその塩を有するスチレン系樹脂、ビニルピロリドン系樹脂、セルロースエーテル系樹脂、変性デンプン系樹脂などが例示できる。さらに、水溶性乳化媒体(C)としては、少なくともオリゴ糖(C1)で構成された水溶性媒体が使用できる。例えば、乳化媒体(C)は、少なくとも四糖類で構成されたオリゴ糖(C1)と、糖類及び糖アルコールから選択され、かつオリゴ糖(C1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(C2)とで構成してもよい。オリゴ糖(C1)と可塑化成分(C2)との重量割合は、オリゴ糖(C1)/可塑化成分(C2)=99/1〜50/50程度である。非水溶性樹脂と水溶性樹脂との重量割合は、前者/後者=99.5/0.5〜50/50程度の範囲から選択でき、非水溶性樹脂及び水溶性樹脂の総量と水溶性乳化媒体との重量割合は、前者/後者=1/99〜45/55程度であってもよい。
本発明の方法では、前記分散体の乳化媒体(C)を、樹脂(A)を溶解せず乳化媒体(C)を溶解する溶媒で溶解し、樹脂(A)で構成され、かつ水溶性樹脂(B)を含む複合樹脂粒子を製造する。この方法において、前記分散体は、溶融可能な非水溶性樹脂(A)と水溶性樹脂(B)と樹脂(A)に対して相溶性を有さない水溶性乳化媒体(C)とを溶融混合又は混練して調製できる。分散体は、非水溶性樹脂(A)及び水溶性樹脂(B)のコンパウンド(例えば、溶融混合又は混練体)と水溶性乳化媒体(C)とを溶融混合又は混練して生成させてもよい。また、複合樹脂粒子は、少なくとも分散体の乳化媒体(C)を水で溶解することにより調製してもよく、複合樹脂粒子は、水溶性樹脂(B)を含む球状の複合樹脂粒子である場合が多い。
本発明の複合樹脂粒子は、樹脂(A)で構成され、かつ水溶性樹脂(B)を含んでいる。複合樹脂粒子は、通常、粒子の少なくとも表面に水溶性樹脂(B)が存在している。
本発明では、水溶性樹脂を含む樹脂粒子を分散相とし、水溶性乳化媒体をマトリックスとする分散体を形成できるので、分散体の溶媒での溶出により、水溶性樹脂を含む樹脂粒子(親水性樹脂粒子)を得ることができる。そのため、親水性樹脂粒子は、長期間に亘り親水性を保持できる。また、樹脂粒子に含有される水溶性樹脂により、樹脂粒子の吸湿性、保湿性や水に対する再分散性などを改善できる。
本発明の分散体は、主に、水溶性乳化媒体(C)で構成されたマトリックスと、このマトリックス中に分散した分散相とで構成された海島構造を有しており、分散相は、非水溶性樹脂と水溶性樹脂とで構成されている。すなわち、分散相は、水溶性乳化媒体(C)に対して非相溶の非水溶性樹脂(A)で構成され、樹脂粒子を形成している。また、非水溶性樹脂(A)で構成された分散相は水溶性樹脂(B)を含んでいる。この水溶性樹脂(B)は、その一部がマトリックス(乳化媒体(C))に分配していてもよいが、通常、少なくとも分散相(樹脂粒子)の表面(樹脂粒子とマトリックスとの界面であってもよい)又は分散相(樹脂粒子)内に含まれている。
[非水溶性樹脂(A)]
非水溶性樹脂(A)としては、乳化媒体(C)に対して非相溶の種々の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂(特に溶融可能な樹脂)が使用でき、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂は組み合わせて使用してもよい。代表的な熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニル重合系熱可塑性樹脂(スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂又はその誘導体など)、縮合系熱可塑性樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂など)、天然物由来樹脂(セルロースエステル系樹脂など)などが例示できる。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体など;スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのブロック共重合体など;ゴム成分の存在下、少なくともスチレン系単量体をグラフト重合したグラフト重合体、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS、又はゴムグラフトポリスチレン系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、このABS樹脂のブタジエンゴムBに代えて、エチレンプロピレンゴムE、アクリルゴムA、塩素化ポリエチレンC、酢酸ビニル重合体などのゴム成分を用いたグラフト共重合体(AES樹脂,AAS樹脂,ACS樹脂などのAXS樹脂)、アクリロニトリルに代えて(メタ)アクリル系単量体(メタクリル酸メチルなど)を用いたグラフト共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体(MBS樹脂)など)などが挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、α−C2-6オレフィンの単独又は共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)などのオレフィンの単独又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど)の単独又は共重合体、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。
ハロゲン含有樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系樹脂、フッ素樹脂などが例示できる。ビニルエステル系樹脂又はその水不溶性誘導体としては、例えば、カルボン酸ビニルエステルの単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、これらのケン化物(ケン化度50%以下のポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂)、ケン化物(ビニルアルコール系樹脂)からの誘導体(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂など)などが例示できる。エチレン−ビニルアルコール共重合体において、エチレン含量は10〜40重量%程度であってもよい。
ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分、ジオール成分、オキシカルボン酸、ラクトン類を用いた種々の樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロへキシルジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-6アルキレン−アリレート系樹脂、C2-6アルキレン−アリレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステル(例えば、共重合成分が、オキシアルキレン単位を有するポリオキシC2-4アルキレンジオールやC6-12の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などの非対称性芳香族ジカルボン酸などのコポリエステル)、ポリアリレート系樹脂、液晶性ポリエステルなどの芳香族ポリエステル系樹脂;ポリC2-6アルキレン−オギザレート、ポリC2-6アルキレン−サクシネート、ポリC2-6アルキレン−アジペートなどのポリ(C2-6アルキレングリコール−C2-10脂肪族ジカルボン酸エステル)、ポリオキシカルボン酸系樹脂(例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸、グリコール酸−乳酸共重合体など)、ポリラクトン系樹脂(例えば、ポリカプロラクトンなどのポリC3-12ラクトン系樹脂など)、これらのコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂など)などが挙げられる。ポリエステル系樹脂はウレタン結合を含んでいてもよい。さらに、ポリエステル系樹脂は生分解性を有していてもよい。
ポリアミド系樹脂、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212など)、コポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など);脂環式ポリアミド系樹脂;芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられる。ポリアミド系樹脂のジカルボン酸成分はダイマー酸単位を含んでいてもよい。さらに、ポリアミド系樹脂は生分解性を有していてもよい。
ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ジイソシアネート類(ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類又はその水添ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類又はその水添ジイソシアネート類など)と、ポリオール類(例えば、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなど)と、必要により鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン系樹脂が例示できる。
ポリ(チオ)エーテル系樹脂としては、例えば、ポリオキシアルキレン系樹脂(安定化されたポリオキシメチレングリコール又はホモ又はコポリアセタール系樹脂、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリオキシC1-4アルキレンジオール)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンエーテルケトン系樹脂、ポリスルフィド系樹脂(ポリフェニレンスルフィド又はその共重合体などのポリチオエーテル系樹脂)、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン系樹脂を含む)などが含まれる。
ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂などのビスフェノール類をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
ポリスルホン系樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリールスルホン樹脂などが例示できる。ポリイミド系樹脂としては、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリベンズイミダゾール系樹脂などが例示できる。
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのアシルセルロース;セルロースの無機酸エステルなど)、セルロースカーバメート類(セルロースフェニルカーバメートなど)などが挙げられる。なお、必要であれば、水不溶性セルロースエーテル類として、例えば、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのアルキルセルロース;ベンジルセルロースなどのアラルキルセルロース;シアノエチルセルロースなどを用いてもよい。
熱可塑性樹脂には、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなど)、熱可塑性シリコーン樹脂、天然樹脂又はその誘導体なども含まれる。
これらの熱可塑性樹脂のうち、例えば、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂又はその誘導体(ポリビニルアセタール系樹脂など)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びセルロースエステル系樹脂(酢酸セルロース系樹脂など)が好ましい。また、生分解性樹脂、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(例えば、ポリ乳酸系樹脂やポリC3-12ラクトン系樹脂など)、ポリエステルアミドなどの生分解性ポリエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、前記セルロース誘導体も好ましい。
樹脂成分の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)は、60〜300℃の範囲から選択でき、例えば、80〜260℃、好ましくは100〜240℃(例えば110〜240℃)、さらに好ましくは120〜230℃(例えば130〜220℃)程度である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる熱可塑性樹脂の数平均分子量は、例えば、ポリスチレン換算で5,000〜500,000、好ましくは10,000〜300,000、さらに好ましくは20,000〜150,000程度である。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量の測定が困難なセルロース誘導体などの熱可塑性樹脂については、粘度平均分子量を採用できる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など)、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンワニスなど)などが含まれる。さらに、樹脂として、種々のゴムも使用可能である。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
樹脂(A)としては、通常、熱可塑性樹脂が使用される。樹脂(A)は、水不溶性樹脂である限り、親水性樹脂であってもよいが、通常、非親水性樹脂又は疎水性樹脂である場合が多い。さらに、樹脂は、混練性などの観点から、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基、オキシアルキレン基、エステル基、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基、アミド基、およびフェニル基から選択された少なくとも1種(特に、アミノ基、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの極性基)を有していてもよい。
[水溶性樹脂(B)]
水溶性樹脂又は親水性樹脂(B)としては、熱硬化性樹脂も使用できるが、通常、熱可塑性樹脂を用いる場合が多い。また、水溶性樹脂又は親水性樹脂(B)としては、通常、水溶性乳化媒体(C)よりも樹脂(A)に対して親和性の高い樹脂を使用する場合が多い。
水溶性樹脂又は親水性樹脂(B)としては、例えば、ビニルアルコール系樹脂[ポリビニルアルコール(ケン化度60〜100%程度のポリビニルアルコールなど)、ポリオキシアルキレングリコール系樹脂(ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体などのポリエチレングリコール系樹脂など)、ポリアルキレンオキサイド系樹脂(ポリエチレンオキサイドなどのポリエチレンオキサイド系樹脂など)、カルボキシル基及びスルホン酸基から選択された少なくとも一種の酸性基又はその塩を有するアクリル系樹脂(ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル−ジアルキルアミノ(メタ)アクリレート共重合体又はそれらの塩など)、前記酸性基又はその塩を有するスチレン系樹脂(ポリスチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体又はそれらの塩など)、ビニルピロリドン系樹脂(ポリビニルピロリドンなど)、セルロースエーテル系樹脂(メチルセルロース、エチルメチルセルロースなどのアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はその塩など)、変性デンプン系樹脂(グラフトデンプンなど)などが例示できる。なお、ビニルアルコール系樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含量が1〜20モル%程度であり、かつケン化度が60〜100%程度のエチレン−ビニルアルコール共重合体など)、ポリビニルアセタール系樹脂(アセタール化度が1〜25%程度のポリビニルホルマールなど)などの水溶性樹脂を用いてもよい。さらに、水溶性樹脂として、多糖類又は天然高分子、例えば、ペクチン、マンナン、ガム類(グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガムなど)、カラギーナン、アルギン酸又はその塩、デキストラン、プルラン、カードラン、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などを使用してもよい。これらの水溶性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
アクリル系樹脂及びスチレン系樹脂は、塩(例えば、アンモニウム塩、アミン塩、アルカリ金属塩など)の形態で使用してもよく、水溶性乳化媒体の溶出又は溶解に際して、前記塩基を含む水溶液を用いることにより、塩を形成してもよい。アクリル系樹脂及びスチレン系樹脂の酸価は、例えば、50〜500mgKOH/g程度であってもよい。
これらの水溶性樹脂(B)のうち、通常、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール)、ポリエチレングリコール系樹脂(ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体など)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニルピロリドン系樹脂(ポリビニルピロリドンなど)、セルロースエーテル系樹脂(メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はその塩など)などが汎用される。
水溶性樹脂の分子量は、乳化媒体よりも高い溶解性を付与するため、乳化媒体に比べて高分子量であるのが有利である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる水溶性樹脂の数平均分子量は、例えば、ポリスチレン換算で5,000〜500,000、好ましくは10,000〜300,000、さらに好ましくは20,000〜150,000程度である。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量の測定が困難なセルロース誘導体などの熱可塑性樹脂については、粘度平均分子量を採用できる。
非水溶性樹脂と水溶性樹脂との重量割合は、保湿性などを付与できる範囲で非水溶性樹脂粒子に水溶性樹脂が含有可能であればよく、例えば、前者/後者=99.5/0.5〜50/50(例えば、99/1〜60/40)、好ましくは95/5〜70/30(例えば、90/10〜80/20)程度であってもよい。
[水溶性乳化媒体(C)]
水溶性乳化媒体としては、水溶性樹脂の種類に応じて、樹脂(A)に対して非相溶であり、前記水溶性樹脂と異なる種々の水溶性成分(特に樹脂(A)及び(B)と溶融混合又は混練可能な水溶性成分)が使用できる。溶融混合又は混練可能な水溶性成分は、樹脂(A)及び(B)との溶融混合又は混練により、水溶性乳化媒体で構成されたマトリックスに、樹脂(A)及び(B)で構成された分散相が分散した分散体を形成する。
水溶性乳化媒体としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル系樹脂、水溶性スチレン系樹脂、ポリビニルピロリドン、セルロースエーテル系樹脂などの水溶性樹脂であってもよいが、溶媒(水)に対する溶解性、樹脂粒子のコントロール性及び製造効率、広範な樹脂(A)に対する適用性などの観点から、少なくともオリゴ糖(C1)を含む水溶性糖組成物が好ましい。
また、水溶性乳化媒体は、溶媒による溶出工程で水溶性樹脂を樹脂粒子に有効に残存させるため、溶出溶媒(水)に対して高い溶解速度を有するのが好ましい。水に対する水溶性乳化媒体の溶解速度は、水溶性樹脂の溶解速度よりも、2倍以上(例えば、3〜100倍)であり、通常、5倍以上(例えば、5〜75倍)、好ましくは7倍以上(例えば、8〜50倍)、さらに好ましくは10倍以上(例えば、12〜30倍)である。なお、溶解速度は、必要により加温されたプレス機で水溶性成分を所定の圧力(20MPa)で所定のサイズ(25mm×25mm×3mm)に圧縮成形し、圧縮成形体を25℃の蒸留水に10分間沈め、この10分間での圧縮成形体の重量減少率を溶解速度とすることができる。
水溶性糖組成物は、少なくともオリゴ糖(C1)を含んでいればよいが、溶解性及びオリゴ糖の熱溶融特性を調整するため、水溶性糖組成物は、さらに前記オリゴ糖を可塑化するための水溶性可塑化成分(C2)を含んでいてもよい。オリゴ糖(C1)と水溶性可塑化成分(C2)とを組み合わせると、充填剤複合樹脂組成物との混練において、水溶性糖組成物(C)の溶融粘度を調整できる。なお、水溶性糖組成物については、特開2004−51942号公報を参照できる。
(C1)オリゴ糖
オリゴ糖(C1)は、ホモオリゴ糖であってもよくヘテロオリゴ糖であってもよい。オリゴ糖(C1)としては、例えば、二糖類〜十糖類が挙げられ、通常、二糖類〜六糖類のオリゴ糖が使用される。なお、オリゴ糖(C1)は無水物でもよい。また、オリゴ糖(C1)において、単糖類と糖アルコールとが結合していてもよい。さらに、オリゴ糖(C1)は複数の糖成分で構成されたオリゴ糖組成物であってもよく、多糖類の分解により生成するオリゴ糖組成物であってもよい。このようなオリゴ糖組成物であっても単にオリゴ糖(C1)という場合がある。オリゴ糖(C1)は、通常、常温で固体である。オリゴ糖(C1)(又はオリゴ糖組成物)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、前記オリゴ糖(C1)は、一般的に天然物由来であるため、環境への負荷を低減できるとともに、水に対する溶解速度が速いため、前記分散体から樹脂粒子を効率よく生成できる。
二糖類としては、例えば、トレハロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオースなどのホモオリゴ糖;ラクトース、スクロース、パラチノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。三糖類としては、例えば、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオースなどのホモオリゴ糖;マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトスクロース、ラフィノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
四糖類としては、例えば、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなどのホモオリゴ糖;スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。これらの四糖類のうち、パノースの還元末端に単糖類又は糖アルコールが結合したテトラオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなどの単糖類や、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが結合したテトラオースが例示できる。
五糖類としては、例えば、マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどのホモオリゴ糖;パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、スクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類が結合したペンタオースが例示できる。六糖類としては、例えば、マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどのホモオリゴ糖などが挙げられる。
これらのオリゴ糖(又はオリゴ糖組成物)のうち、少なくとも四糖類で構成されたオリゴ糖は、溶融粘度特性、樹脂成分との溶融混合又は混練性の観点から好ましい。
このようなオリゴ糖又はオリゴ糖組成物としては、例えば、デンプン糖(デンプン糖化物)、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などが挙げられ、これらの成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。例えば、デンプン糖は、デンプンに酸又はグルコアミラーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、複数個のグルコースが結合したオリゴ糖の混合物であってもよい。デンプン糖としては、例えば、東和化成工業(株)製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の含有量90重量%以上)などが挙げられる。ガラクトオリゴ糖は、ラクトースにβ−ガラクトシダーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、ガラクトシルラクトースとガラクトース−(グルコース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。カップリングシュガーは、デンプンとスクロースにシクロデキストリン合成酵素(CGTase)を作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、(グルコース)n−スクロースの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。フルクトオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)は、砂糖にフルクトフラノシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、スクロース−(フルクトース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
これらのオリゴ糖(C1)において、溶融混合又は混練での急激な粘度低下を防止するため、オリゴ糖組成物中の三糖類及び四糖類(特に四糖類)の含有量は、例えば、60重量%以上(例えば、60〜100重量%程度)、好ましくは70重量%以上(例えば、70〜100重量%程度)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、80〜100重量%程度)、特に90重量%以上(例えば、90〜100重量%程度)であってもよい。
オリゴ糖(C1)は非還元型(トレハロース型)であってもよいが、還元型(マルトース型)のオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。還元型のオリゴ糖としては、遊離のアルデヒド基又はケトン基を有し、還元性を示す糖、例えば、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどの二糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオースなどの三糖類;マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、セロテトラオース、リキノースなどの四糖類;マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどの五糖類;マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどの六糖類などが挙げられる。
混合又は混練により樹脂成分(A)を分散させるためには、オリゴ糖の粘度は高いのが望ましい。具体的には、B型粘度計を用いて温度25℃で測定したとき、オリゴ糖の50重量%水溶液の粘度は、例えば、1〜500Pa・s、好ましくは2〜250Pa・s(例えば、3〜100Pa・s)、さらに好ましくは4〜50Pa・s(例えば、6〜50Pa・s)程度である。
オリゴ糖の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)より高いのが好ましい。なお、融点又は軟化点を示さず、熱分解するオリゴ糖[例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など]では、分解温度をオリゴ糖の「融点又は軟化点」としてもよい。明瞭な融点や軟化点を示さない熱分解性オリゴ糖であっても、水溶性可塑化成分(A2)で可塑化できるため、有効に使用できる。オリゴ糖の融点又は軟化点は、樹脂(A)の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。なお、一般にオリゴ糖の無水物は、高い融点又は軟化点を示す。オリゴ糖の融点又は軟化点と、樹脂(A)の熱変形温度との温度差は、例えば、1〜80℃、好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは15〜60℃程度である。
(C2)水溶性可塑化成分
水溶性可塑化成分(C2)としては、オリゴ糖(C1)が可塑化して水飴状態となる現象を発現できればよく、例えば、糖類、糖アルコールなどが使用できる。これらの水溶性可塑化成分(C2)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(a)糖類
糖類としては、通常、単糖類及び/又は二糖類が使用される。単糖類としては、例えば、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコースなどが挙げられる。これらの化合物は、アルドースやケトースであってもよく、ジアルドース(糖の誘導体であって炭素鎖両末端がアルデヒド基である化合物、例えば、テトラアセチルガラクトヘキソジアルドース、イドヘキソジアルドース、キシロペントドアルドースなど)、複数のカルボニル基を有する単糖類(オソン、オノース等のアルドアルコケトースなど)、メチル基を有する単糖類(アルトロメチロースなどのメチル糖など)、アシル基(特にアセチル基などのC2-4アシル基など)を有する単糖類(前記アルドースのアセチル体、例えば、アルデヒドグルコースペンタアセチル化合物などのアセチル体など)、カルボキシル基が導入された糖類(糖酸またはウロン酸など)、チオ糖、アミノ糖、デオキシ糖などであってもよい。
単糖類の具体例としては、例えば、テトロース(エリトロース、トレオロース等)、ペントース(アラビノース、リボース、リキソース、デオキシリボース、キシロース等)、ヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、フコース、ラムノース、タロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン等)などが例示できる。
また、単糖類は、ヘミアセタール結合により環状構造を形成した環状異性体であってもよい。単糖類は、旋光性を有している必要はないが、D形、L形、DL形のいずれであってもよい。
二糖類としては、例えば、前記二糖類のうち、低融点または低軟化点を有する二糖類(例えば、ゲンチビオース、メリビオース、トレハロース(二水化物)など)、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類に相当する二糖類(例えば、グルクロン酸とグルコースとがα−1,6グリコシド結合したグルクロノグルコースなどのアルドビオウロン酸など)が例示できる。
糖類は、熱安定性の点から還元糖が好ましく、そのような糖類としては、遊離の単糖類の他、前記二糖類のうち、低融点又は低軟化点の還元糖(例えば、ゲンチビオース、メリビオースなど)が挙げられる。これらの糖類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(b)糖アルコール
糖アルコールとしては、イノシットなどの環式糖アルコールであってもよいが、通常、アルジトール(グリシトール)などの鎖状糖アルコールが使用される。これらの糖アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状糖アルコールとしては、例えば、テトリトール(トレイトール、エリスリトールなど)、ペンチトール[ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール、リキシトールなど]、ヘキシトール[ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、アロズルシトール(アリトール)、アルスリトールなど]、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、ドデキトールなどが挙げられる。
これらの糖アルコールのうち、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールから選択された少なくとも一種が好ましい。糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトールから選択された少なくとも1つの糖アルコールを含む場合が多い。
水溶性可塑化成分(C2)は、常温(例えば、15〜20℃程度)で液体(シロップ状)であってもよいが、取扱い性などの点から、通常、固体である場合が多い。オリゴ糖(C1)を水溶性可塑化成分(C2)で可塑化できるため、明瞭な融点や軟化点を示さない熱分解性オリゴ糖であっても、有効に可塑化又は軟化して使用できる。
可塑化成分の融点又は軟化点は、通常、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)以下である。なお、可塑化成分の中には、ペンタエリスリトールなどのように、樹脂成分の熱変形温度よりも高い高融点(例えば200℃以上)を有するにも拘わらず、オリゴ糖と共存すると、実際の融点よりも低い温度で融解し、オリゴ糖を有効に可塑化する物質が存在する。このような可塑化成分では、オリゴ糖に対して可塑化効果を発揮する温度を、可塑化成分の「融点又は軟化点」としてもよい。
オリゴ糖の融点又は軟化点(若しくは分解温度)よりも低い融点を有する可塑化成分を用いると、冷却に伴って、可塑化成分が凝固することにより、樹脂成分又はマトリックスを効率よく固定できる。そのため、樹脂成分との組合せにおいて、前記樹脂成分の固化温度に達しなくても、分散相の形状を、例えば、球状などに固定することができる。特に、可塑化成分が低分子であり、明瞭な凝固点を示すので、瞬時に樹脂成分(分散相)の形状を固定できる。
乳化媒体(B)又は水溶性糖組成物において、オリゴ糖と可塑化成分との重量割合は、例えば、前者/後者=99/1〜50/50、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは90/10〜65/35(例えば、85/15〜70/30)程度である。
乳化媒体の融点又は軟化点は、樹脂の熱変形温度と同等又は低くてもよく高くてもよい。例えば、乳化媒体の融点又は軟化点と、樹脂成分の熱変形温度との温度差は、0〜100℃程度の範囲から選択でき、例えば、3〜80℃(例えば5〜60℃)、好ましくは7〜50℃、さらに好ましくは10〜40℃(例えば、15〜35℃)程度であってもよい。
乳化媒体のメルトフローレートは、例えば、樹脂成分の熱変形温度(例えば、前記ビカット軟化点)より30℃高い温度でJIS K 7210に従って測定したとき、1〜40、好ましくは5〜30、さらに好ましくは10〜20程度であってもよい。
このような水溶性糖組成物を用いると、水溶性樹脂に対して大きな溶解速度差を有するため、溶媒による溶出又は溶解操作に伴って、分散相の非水溶性樹脂粒子から水溶性樹脂が溶出するのを抑制しつつ、水溶性樹脂を含有する樹脂粒子を効率よく得ることができる。
水溶性乳化媒体の使用量は、分散相を形成できる限り特に制限されず、非水溶性樹脂及び水溶性樹脂の総量と水溶性乳化媒体との重量割合は、前者/後者=1/99〜45/55、好ましくは5/95〜50/50、さらに好ましくは10/90〜45/55程度である。
なお、必要であれば、分散相(すなわち、少なくとも非水溶性樹脂及び水溶性樹脂で構成された粒子状分散相)は、種々の添加剤(溶融混練温度で融解してもよい添加剤など)、例えば、可塑剤又は軟化剤、滑剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候(光)安定剤など)、着色剤[水不溶性(又は難溶性)染料(油溶性染料(ソルベント染料)、分散染料、バット染料、硫化染料、アゾイック染料(ナフトール染料)など]、分散剤、有機又は無機充填剤(有機又は無機着色剤も含む)、難燃剤、帯電防止剤、電荷制御剤(ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミン系化合物などの正荷電制御剤;サリチル酸金属錯体、アゾ染料金属錯体、銅フタロシアニン染料、ニトロイミダゾール誘導体、尿素誘導体などの負電荷制御剤など)、流動化剤、ワックス類[ポリエチレンワックス、エチレン共重合体ワックス、ポリプロピレンワックスなどのオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;高級脂肪酸又はその誘導体(塩、多価アルコールエステル、アミド(高級脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどのアルキレンビス高級脂肪酸アミド、ステアロアミドエチルステアレートなどのN−(C2-6アルキル−C16-34アルカンカルボン酸エステル)C16-34アルカンカルボン酸アミドなどのエステルアミド類など)など);エステル系ワックスなど]、架橋剤、結晶核剤、抗菌剤、防腐剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、非水溶性樹脂又は非水溶性樹脂と水溶性樹脂とで構成された樹脂組成物に、予め含有させていてもよく、非水溶性樹脂、水溶性樹脂及び水溶性乳化媒体の溶融混合又は混連過程で含有させてもよい。なお、前記添加剤を含有する非水溶性樹脂又はその樹脂組成物を用いると、添加剤がマトリックス(乳化媒体)中に分散するのを抑制でき、添加剤を含有する複合樹脂粒子を得ることができる。
前記添加剤は、最終製品である複合樹脂粒子の用途などに応じて選択でき、例えば、化粧品(ファンデーション、白粉、頬紅など)などの用途では、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系吸収剤、ケイ皮酸系吸収剤、p−アミノ安息香酸系吸収剤、サリチル酸系吸収剤、ジベンゾイルメタン系吸収剤、ウロカニン酸又はそのエステル、β−イソプロピルフラノン、β−カロチン、酸化チタン、酸化亜鉛など)、紫外線散乱剤などを使用してもよい。トナーなどの画像記録材料用途では、例えば、電荷制御剤、流動化剤、ワックス類などを用いてもよい。また、塗料やコーティング剤などの用途では、例えば、架橋剤、耐候(光)安定剤、紫外線吸収剤、流動化剤などを使用してもよい。
これらの添加剤は、それぞれ有効量であればよく、例えば、樹脂(A)100重量部に対して、添加剤の総量は、0〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0〜50重量部(例えば、0〜30重量部)、好ましくは0.05〜20重量部(例えば、0.1〜20重量部)程度、さらに好ましくは0.1〜10重量部(例えば、0.5〜10重量部)程度であってもよい。
分散体において、水溶性樹脂(B)は、その一部がマトリックス(乳化媒体(C))に分配していてもよいが、通常、非水溶性樹脂に対して水溶性乳化媒体よりも水溶性樹脂の方が親水性が高いため、水溶性樹脂は、少なくとも分散相(樹脂粒子)の表面(樹脂粒子とマトリックスとの界面であってもよい)又は分散相(樹脂粒子)内に含まれている。なお、分散体において、分散相の表面には少なくとも水溶性樹脂が存在しているようであり、分散相は、非水溶性樹脂がコアを構成し、水溶性樹脂がシェルを構成したコア−シェル構造を有しているようである。
[複合樹脂粒子の製造方法]
前記分散体は、溶融可能な非水溶性樹脂(A)と、水溶性樹脂(B)と、樹脂(A)に対して相溶性を有さない水溶性乳化媒体(C)とを溶融混合又は混練することにより調製できる。溶融混合又は混練は、通常、非水溶性樹脂(A)、水溶性樹脂(B)及び乳化媒体(C)が溶融可能な温度で行う場合が多い。分散体の調製においては、非水溶性樹脂(A)、水溶性樹脂(B)及び乳化媒体(C)の3成分をそれぞれ溶融混合又は混練機に供給して溶融混合又は混練してもよいが、非水溶性樹脂(A)及び水溶性樹脂(B)のコンパウンドと水溶性乳化媒体(C)とを溶融混合又は混練するのが好ましい。すなわち、非水溶性樹脂(A)と水溶性樹脂(B)とを予め溶融混合又は混練した溶融混練体(コンパウンド)を用いると、水溶性樹脂が水溶性乳化媒体に分散又は分配するのを抑制しつつ、水溶性樹脂を含有する分散相を効率よく生成できる。
前記溶融混合又は混練は、慣用の混練機(例えば、単軸もしくは二軸スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロール、バンバリーミキサー、など)を用いて行なうことができる。また、混練に先だって、各成分は、予め凍結粉砕機などで粉体状に予備加工したり、ヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、ボールミル、リボンミキサーなどで予備混合又は混練してもよい。混練温度は、例えば、90〜300℃程度の範囲から選択でき、通常、110〜260℃、好ましくは150〜240℃(例えば、170〜230℃)、特に180〜220℃程度であってもよい。また、熱分解を避けるため、混練温度を230℃以下にしてもよい。混練時間は、例えば、10秒〜1時間程度の範囲から選択できる。
分散体は、通常、冷却され、分散相が固定化される。そして、分散体の乳化媒体を、常圧、減圧又は加圧下で溶出することにより、充填剤を含む複合樹脂粒子を生成できる。
乳化媒体の溶出又は溶解には、非水溶性樹脂(A)を溶解せず乳化媒体(C)を溶解する種々の溶媒、例えば、水、水溶性溶媒(例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、エーテル類(セロソルブ、ブチルセロソルブなど)など)が使用できる。好ましい溶媒は水である。溶出は、慣用の方法、例えば、前記分散体を、前記水性媒体中に浸漬、分散して、マトリックスを溶出・溶解又は洗浄(水性溶媒に移行)することに行うことができる。なお、水溶性助剤の分散及び溶出を促進するため、超音波を作用させたり、撹拌してもよい。乳化媒体の溶出温度は、例えば、10〜100℃程度の範囲から選択できる。生成した複合樹脂粒子は、濾過、遠心分離などの固液分離方法を用いて分離し、必要により乾燥することにより回収できる。なお、水溶性乳化媒体の溶出又は溶解率は、通常、95重量%以上(95〜100重量%)、特に98重量%以上(98〜100重量%)である。
前記水溶性乳化媒体の溶出又は溶解過程において、溶媒(特に水)に対する溶解性は、水溶性樹脂よりも水溶性乳化媒体の方が高い。そのため、溶媒による溶出又は溶解操作に伴って、水溶性樹脂よりも水溶性乳化媒体の方が優先的に溶出又は溶解し、水溶性樹脂を含む非水溶性樹脂の樹脂粒子(複合樹脂粒子)が生成する。
[複合樹脂粒子の形態]
生成した複合樹脂粒子は水溶性樹脂を含んでいればよく、水溶性樹脂の存在形態は特に制限されない。例えば、水溶性樹脂は、非水溶性樹脂で構成された樹脂粒子に均一に分散又は分布していてもよく、樹脂粒子の表面に偏在していてもよい。複合樹脂粒子の少なくとも表面には水溶性樹脂が均一に又は分散した形態で存在している。なお、非水溶性樹脂粒子の表面は、少なくとも水溶性樹脂が存在しているようであり、非水溶性樹脂がコアを構成し、水溶性樹脂がシェルを構成したコア−シェル構造を有していてもよい。非水溶性樹脂の種類にもよるが、水溶性樹脂が乳化媒体に対して親和性が高い場合、水溶性樹脂が表面に偏在した複合樹脂粒子が生成しやすくなるようである。
生成した複合樹脂粒子の形状は、粒子状であればよく、例えば、球状、異形(楕円体状、多角体状、角柱状、円柱状、棒状、不定形状など)であってもよい。また、複合樹脂粒子は多孔粒子であってもよい。好ましい粒子の形状は、球状である。球状粒子には、真球状に限らず、例えば、長径と短径との長さ比が、例えば、長径/短径=1.5/1〜1/1程度である形状も含まれる。長径と短径との長さ比は、好ましくは長径/短径=1.3/1〜1/1(例えば、1.2/1〜1/1)、さらに好ましくは1.1/1〜1/1程度であってもよい。
複合樹脂粒子において、水溶性樹脂の割合は、樹脂粒子全体に対して、0.5〜50重量%程度の範囲から選択でき、通常、0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは3〜25重量%(例えば、5〜20重量%)程度である。
複合粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)は、特に制限されず、用途に応じて、0.1μm〜1mm(例えば、0.1〜800μm)程度の範囲から選択でき、例えば、0.2〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは0.7〜30μm、特に1〜20μm程度であってもよい。
本発明の複合樹脂粒子は、水溶性樹脂を含んでいるため、長期間に亘り親水性を保持でき、吸湿性や保湿性が高い。そのため、親水性や保湿性などが要求される分野、例えば、化粧品用樹脂粒子などとして有効に利用できる。また、紫外線吸収剤などの紫外線吸収能を有する化合物又は着色剤を用いた複合樹脂粒子は、保湿性に加えて紫外線遮断性を付与できるため、化粧品用樹脂粒子として利用できる。さらに、複合樹脂粒子は、水やアルコールなどの親水性溶媒に対する再分散性が高い。そのため、例えば、再分散性エマルジョンなどとして利用できる他、顔料、染料などの着色剤などを含有する粒子は、湿式インク用着色粒子、水性分散媒を用いた化粧品用着色粒子として利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1及び比較例1
表1に示す組成、混練温度で、非水溶性樹脂と水溶性樹脂とを、ブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)により回転速度50rpm、温度190℃で5分間溶融混練した後、冷却して樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物と乳化媒体とを、表1に示す組成、混練温度でブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)により回転速度50rpm、温度200℃で10分間溶融混練して、分散体を得た。得られた分散体を20倍の容量の純水中に浸漬し、25℃で1時間攪拌し、複合樹脂粒子の懸濁液を得た。メンブレン膜(孔径0.45μm,ポリビニリデンフルオライド製)を用いて、前記懸濁液から不溶分を濾別し、複合樹脂の微粒子を回収した。回収した複合樹脂粒子を熱風乾燥機(温度45℃)内で8時間乾燥し、乾燥ケーキを得た。
なお、実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
(A)非水溶性樹脂
樹脂1:ナイロン12樹脂(ダイセル・デグサ(株)製、ダイアミドL1640)
(B)水溶性樹脂
水溶性樹脂1:ポリエチレンオキサイド(アルドリッチ社製、分子量200,000)
(C)乳化媒体
(C1)オリゴ糖:デンプン糖(東和化成工業(株)製、還元デンプン糖化物PO−10、25℃においてB型粘度計で測定した50重量%水溶液の粘度:6.5Pa・s)
(C2)水溶性可塑化成分:糖アルコール ソルビトール(東和化成工業(株)製、ソルビット)。
樹脂、樹脂組成物や複合樹脂粒子などの特性は次のようにして測定した。
[水に対する水溶性成分(水溶性樹脂及び乳化媒体)の溶解速度]
必要により加温されたプレス機で水溶性成分を所定の圧力(20MPa)で所定のサイズ(25mm×25mm×3mm)に圧縮成形し、初期重量W1を測定する。圧縮成形体を25℃の純水500mlに10分間沈め、取り出して乾燥した圧縮成形体の重量W2を測定し、下記式により10分間での重量減少率を溶解速度とした。
[(W1−W2)/W1]×100
[粒子の外観]
得られた粒子を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、FE−SEM,JSM−6700F)により観察し、表面形状及び全体形状の写真を得た。
[粒子の体積平均粒子径]
前記走査型電子顕微鏡写真を用い、写真上に少なくとも200個の粒子が含まれるように任意のサイズの長方形を描き、その長方形内に存在する全粒子について真球換算の粒子径を算出した。得られた少なくとも200個の粒子径より、体積平均粒子径を得た。
[粒子に存在する水溶性成分の定性及び定量分析]
得られた複合粒子を、10重量倍の純水中に入れ、60℃で30分間に亘り超音波処理した。メンブレン膜(孔径0.45μm,ポリビニリデンフルオライド製)を用いて、生成した懸濁液から粒子成分を除去し、濾液を蒸発乾固させることにより、濾液中に溶解した水溶性成分を回収した。回収成分をフーリエ変換赤外分光光度計(堀場製作所(株)製、FT−IR,FT−720)を用いて定性分析するとともに、回収成分の重量を測定し、複合樹脂粒子当たりの溶出した水溶性成分量を定量した。
[粒子の再分散性]
得られた乾燥ケーキを、粗粉砕することなく、重量比で10倍量の純水中に入れ、25℃で30分間に亘り超音波処理した。得られた懸濁液を、開孔径115μmのナイロン製不織布を用いて吸引濾過した。濾過した後、不織布上に凝集粒子が存在するか否かを目視で観察し、凝集粒子が存在する場合には再分散性が不良、凝集粒子が存在しない場合には再分散性が良好と判断した。
結果を表1に示す。
Figure 2006328219
表から明らかなように、実施例1の球状の複合樹脂粒子は水溶性樹脂を含有しており、水に対する再分散性が高い。さらに、赤外線吸収スペクトルによると、溶出後の水溶性成分からはポリエチレンオキサイドのピークだけが観察された。また、水に対する再分散性は極めて良好であった。これに対して、比較例1で得られた樹脂粒子の再分散性は不良であった。

Claims (10)

  1. 水溶性乳化媒体(C)で構成されたマトリックス中に、水溶性乳化媒体(C)に対して非相溶の非水溶性樹脂(A)で構成された分散相が分散した分散体であって、前記分散相が水溶性樹脂(B)を含んでいる分散体。
  2. 水溶性乳化媒体が、水溶性樹脂よりも水に対して5倍以上の溶解速度を有する請求項1記載の分散体。
  3. 樹脂(A)が、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂又はその水不溶性誘導体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びセルロースエステル系樹脂から選択された少なくとも一種で構成され、水溶性樹脂(B)が、ビニルアルコール系樹脂、ポリオキシアルキレングリコール系樹脂、ポリアルキレンオキサイド系樹脂、カルボキシル基及びスルホン酸基から選択された少なくとも一種の酸性基又はその塩を有するアクリル系樹脂、前記酸性基又はその塩を有するスチレン系樹脂、ビニルピロリドン系樹脂、セルロースエーテル系樹脂および変性デンプン系樹脂から選択された少なくとも一種で構成され、水溶性乳化媒体(C)が少なくともオリゴ糖(C1)で構成されている請求項1記載の分散体。
  4. 乳化媒体(C)が、少なくとも四糖類で構成されたオリゴ糖(C1)と、糖類及び糖アルコールから選択され、かつオリゴ糖(C1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(C2)とで構成されている請求項1〜3のいずれかに記載の分散体。
  5. オリゴ糖(C1)と可塑化成分(C2)との重量割合が、オリゴ糖(C1)/可塑化成分(C2)=99/1〜50/50である請求項4記載の分散体。
  6. 非水溶性樹脂と水溶性樹脂との重量割合が、前者/後者=99.5/0.5〜50/50であり、非水溶性樹脂及び水溶性樹脂の総量と水溶性乳化媒体との重量割合が、前者/後者=1/99〜45/55である請求項1記載の分散体。
  7. 請求項1記載の分散体の乳化媒体(C)を、樹脂(A)を溶解せず乳化媒体(C)を溶解する溶媒で溶解し、樹脂(A)で構成され、かつ水溶性樹脂(B)を含む複合樹脂粒子を製造する方法。
  8. 溶融可能な非水溶性樹脂(A)と水溶性樹脂(B)と樹脂(A)に対して相溶性を有さない水溶性乳化媒体(C)とを溶融混合又は混練して分散体を生成させ、少なくとも分散体の乳化媒体(C)を水で溶解し、水溶性樹脂(B)を含む球状の複合樹脂粒子を製造する請求項7記載の方法。
  9. 非水溶性樹脂(A)及び水溶性樹脂(B)のコンパウンドと水溶性乳化媒体(C)とを溶融混合又は混練し、分散体を生成させる請求項7記載の製造方法。
  10. 非水溶性樹脂(A)で構成された粒子の少なくとも表面に水溶性樹脂(B)が存在する複合樹脂粒子。
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