JP2007291169A - 熱処理された有機固体粒子 - Google Patents

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Abstract

【目的】滑剤、帯電防止剤、架橋剤などの改質剤(又は添加剤)の機能が有効に付与された有機固体粒子を製造する方法および得られる粒子を提供する。
【構成】溶融可能な有機固体成分と、改質剤(滑剤、帯電防止剤など)とで構成された有機固体粒子を熱処理することにより、有機固体粒子の表面近傍に改質剤を存在させ改質効果を高める。熱処理は粒子が熱により融着する温度より低い温度で熱処理する。
前記有機固体成分(A)は、通常、樹脂成分(又は樹脂)で構成されていてもよい。

Description

本発明は、滑剤、帯電防止剤などの改質剤により改質された有機固体粒子(樹脂粒子の機能向上、機能安定化に関する。
従来、帯電防止剤、滑剤などの改質剤(又は添加剤)を含む樹脂微粒子を得る方法としては、機械的な粉砕法、例えば、改質剤と樹脂とを溶融混錬して得られる樹脂組成物を、クラッシャーなどで粗粉砕した後、ジェットミルなどを用いて微粉砕し、その後風力分級機などにより分級する方法が利用されている。
しかし、このような方法では、製造機器が高価であることに加え、得られた粒子も不定形で、粒子サイズにばらつきがある。樹脂粒子のサイズを揃えるために分級する手段もあるが、分級前の樹脂粒子のサイズのばらつきが大きい場合には分級により、利用できないサイズの樹脂粒子が大量に生成するため、経済的にも不利である。
また、粒子同士のブロッキング、分散性、流動性などの観点から、球状の粒子が好ましいものの、機械的な粉砕法では、不定形になり易く球状の微粒子を得ることは不可能である。
予め調製した樹脂粒子および改質剤を用いて、改質剤を含む樹脂粒子を得る方法も開示されている。例えば、特開昭63−125537号公報(特許文献1)には、熱可塑性合成樹脂粒子に帯電防止剤を添加し高剪断力のもとに両者を攪拌混合し、該樹脂粒子の表面層が軟化した状態で該樹脂粒子の表面に帯電防止剤を付着せしめて帯電防止剤含有合成樹脂粒子とする方法が開示されている。
また、特開2000−327791号公報(特許文献2)には、ワックスまたは樹脂の粒子の金属石鹸被覆方法であって、(a)水溶性脂肪酸石鹸を含有する、ワックスまたは樹脂の粒子の水分散体と、(b)多価金属化合物の水溶液または水分散体とを、多価金属化合物の水溶性脂肪酸石鹸に対する当量比が0.5〜1.5となるように混合する金属石鹸被覆方法が開示されている。
さらに、特公平7−17833号公報(特許文献3)には、平均粒径0.1〜30μmのポリアミド球状粒子の表面を、ドライブレンド法、ウェットブレンド法などによりポリシロキサンで被覆した後、100℃以上に加熱処理するポリアミド粒子の処理方法が開示されている。さらにまた、特開2002−220474号公報(特許文献4)には、流動パラフィンを媒体とするラクタム類のアニオン重合により得られたポリアミド微粒子懸濁液に、ポリアミドに対し、0.2重量%以上、1.0重量%未満のポリシロキサンオイルを添加して撹拌した後ポリアミド微粒子を取り出すことにより、表面がポリシロキサンオイルで被覆されたポリアミド微粒子を製造する方法が開示されている。
しかし、これらのいずれの文献に記載された方法では、樹脂粒子の表面に帯電防止剤などの改質剤を単に付着させるので、改質剤の改質効果を有効に樹脂粒子に付与することは困難である。また、改質剤は樹脂粒子の表面に存在するので、長期にわたって使用した場合や、高い剪断力が作用するなどの過酷な条件で使用すると、改質剤による改質効果が低下しやすく、樹脂粒子に安定した改質効果を付与できない。また前記特許文献1に記載されている方法では、樹脂粒子を軟化させる必要があり、粒子サイズにバラツキが生じやすい。
更に、前記特許文献2などの様に液状の媒体を使用する方法では、樹脂粒子と媒体とを固液分離する際に、粒子同士が凝集又は密着しやすく、再分散性が著しく低下する。
この他にも、樹脂の重合過程において改質剤を添加することにより改質剤を含む樹脂粒子を得る方法も知られている。例えば、特開平5−181315号公報(特許文献5)には、親水性有機液体中に該有機液体に溶解する高分子分散剤を加え、これに前記有機液体には溶解するが、生成する重合体は前記有機液体にて膨潤するか若しくはほとんどが溶解しないビニル単量体を加えて重合させ、得られた粒子表面にエマルジョンワックスを付着後、更に重合を続けて得られる2段重合樹脂粒子を染着してなる静電荷像現像用トナーが開示されている。
また、特開平6−73106号公報(特許文献6)には、(メタ)アクリル系モノマーを主成分とする重合性単量体(A)を、−SH、−S−S−、−COOH、−NO2および−OHからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有し、水に対して実質的に不溶性でかつ前記重合性単量体(A)に対して難溶性である化合物(B)の存在下に水系懸濁重合を行うことを特徴とする樹脂粒子の製造方法が開示されている。
そして、この文献には、前記懸濁重合に際して、可塑剤、重合安定剤、着色剤、蛍光増白剤、磁性粉、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などの添加剤を配合してもよいことが記載されている。
しかし、これらの方法でも、改質剤による改質効果を十分に樹脂粒子に付与することは困難である。また、これらの方法では、懸濁重合や乳化重合などにより樹脂粒子を得る必要があるため、著しく適用できる樹脂の種類が制限される。さらに、重合液中に帯電防止剤などの改質剤を安定に存在させて重合する必要があり、煩雑な重合操作を必要とし、帯電防止剤も限定される。しかも、液状の媒体を必要とするため、前記と同様に、粒子の再分散性が低下しやすい。
一方、マトリックスに分散した樹脂粒子を含む分散体から、マトリックスを除去することにより樹脂粒子を得る方法が知られている。例えば、特開平10−176065号公報(特許文献7)には、微粉末化する熱可塑性樹脂(a)に、他の1種類以上の熱可塑性樹脂(b)を溶融混練することにより、樹脂(a)が分散相を形成し、樹脂(b)が連続相を形成する樹脂組成物を生成させ、樹脂(a)は溶解せず、樹脂(b)が溶解する溶媒及び条件で前記樹脂組成物を洗浄することにより、樹脂(a)の球状微粒子を得る方法が開示されている。この文献には、樹脂(a)に対し、顔料、染料、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤などの各種添加剤を添加してよいことが記載されている。しかし、本発明者らの検討によれば、この方法を用いるだけでは、樹脂微粒子に添加剤の機能を十分に付与できない。なお、特開2004−51942号公報(特許文献8)には、樹脂成分(A)及び水溶性助剤成分(B)で構成された分散体であって、助剤成分(B)が、少なくともオリゴ糖で構成されている分散体、およびこの分散体から、助剤成分(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体を製造する方法が開示されている。 この文献には、(i)前記助剤成分(B)が、海島構造における連続相または共連続相を形成していてもよいこと、(ii)前記分散体は、樹脂成分(A)と助剤成分(B)とを混練することにより調製できることが記載されている。そして、この文献には、前記分散体に、フィラー、可塑剤又は軟化剤、滑剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤)、増粘剤、着色剤、分散剤、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を配合してもよいことが記載されている。しかしながら、これらの添加剤の機能を発揮させるための手段については全く記載されていない。
特開昭63−125537号公報(請求項1) 特開2000−327791号公報(請求項1) 特公平7−17833号公報(請求項1) 特開2002−220474号公報(請求項1) 特開平5−181315号公報(請求項1) 特開平6−73106号公報(請求項1) 特開平10−176065号公報(請求項1、段落番号[0042]) 特開2004−51942号公報(請求項1、25、段落番号[0100][0103][0107])
従って、本発明の目的は、滑剤、帯電防止剤、架橋剤などの改質剤(又は添加剤)の機能が有効に付与された有機固体粒子を製造する方法および得られる粒子を提供することにある。
本発明の他の目的は、特に有機固体粒子の表面近傍に偏在することで機能をより有効に発揮する改質剤(添加剤)を用いた際に、その機能が最大限発揮された粒子を提供することにある。
本発明の他の目的は、有機固体粒子の2次利用の過程において粒子の形状を破壊しない程度の熱処理工程を経ても、改質剤の改質効果が安定して発揮される粒子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高いレベルで凝集を抑制でき、再分散性に優れた有機固体粒子を提供することにある。
本発明の別の目的は、改質剤の機能が付与されかつ球状で小さい粒径サイズを有する有機固体粒子を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、改質剤の機能を有効に発現できる有機固体粒子を、簡便にかつ効率よく製造できる方法および得られる粒子を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意検討した結果、樹脂などの溶融可能な有機固体成分と、改質剤(滑剤、帯電防止剤など)とで構成された有機固体粒子を適切な条件で熱処理することにより、簡便にかつ効率よく、改質剤の機能を有機固体粒子(特に球状粒子)に有効に付与でき、さらには有機固体粒子の表面近傍に改質剤を存在させることにより、改質剤による改質効果を最大限高められること見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の分散体は、溶融可能な有機固体成分(A)と、この有機固体成分(A)を改質するための改質剤(B)とで構成された元粒子を、該元粒子が熱により融着する温度より低い温度で熱処理することにより得られる有機固体成分(A)からなる粒子である。
前記有機固体成分(A)は、通常、樹脂成分(又は樹脂)で構成されていてもよい。有機固体成分(A)は、改質剤(B)の機能発現を調整するなどの目的のため、極性基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基、オキシアルキレン基、エステル基、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基、およびアミド基から選択された少なくとも1種)を有する樹脂で構成してもよい。
前記改質剤(B)は、有機固体成分を改質できる成分であれば特に限定されず、例えば、滑剤、帯電防止剤および架橋剤から選択された少なくとも1種で構成されていてもよい。また、改質剤(B)は、改質剤の機能をより一層有効に発現するため、親水性基および疎水性基を有する両親媒性の改質剤であってもよい。このような両親媒性の改質剤(B)は、脂肪酸系ワックスおよび帯電防止剤から選択された少なくとも1種で構成してもよく、特に脂肪酸アミドで構成してもよい。
前記改質剤(B)の割合は、例えば、有機固体成分(A)100重量部に対して、0.001〜100重量部程度であってもよい。
なお、本発明の粒子では、従来の方法では充分に改質することが困難であった有機固体成分であっても有効に改質できる。そのため、本発明の粒子において、改質剤は有機固体成分の種類に応じて適宜選択でき、例えば、有機固体成分(A)と改質剤(B)との組合せは、(i)ポリアミド系樹脂と滑剤との組合せ、又は(ii)スチレン系樹脂と帯電防止剤との組合せであってもよい。
本発明の元粒子を得る手段として、有機固体成分(A)と、改質剤(B)とで構成された分散相が、マトリックス成分(C)で構成されたマトリックスに分散している分散体から、マトリックス成分(C)を溶出する方法を用いても良い。
本発明の粒子において、前記マトリックス成分(C)は、水溶性のマトリックス成分であってもよく、代表的には、前記分散体は、非水溶性熱可塑性樹脂(A)と改質剤(B)とで構成された粒子状の分散相が、水溶性のマトリックス成分(C)で構成されたマトリックスに分散している分散体であってもよい。前記水溶性のマトリックス成分は、例えば、少なくともオリゴ糖で構成されていてもよい。特に、マトリックス成分(C)は、オリゴ糖(C1)と、糖類及び糖アルコールから選択された少なくとも一種の水溶性可塑化成分(C2)とで構成されていてもよい。
前記分散体において、改質剤(B)を含む有機固体成分(A)(有機固体成分(A)と改質剤(B)との組成物、有機固体成分(A)と改質剤(B)との総量)と、マトリックス成分(C)との割合(重量比)は、例えば、前者/後者=55/45〜1/99程度であってもよい。
前記のように本発明の粒子は、改質剤(B)を含む有機固体成分(A)と、マトリックス成分(C)とを溶融混合することにより得られる分散体から、マトリックス成分(C)を溶出することにより得られる元粒子を、さらに前記元粒子が熱により融着する温度より低い温度で熱処理することによって得ても良い。前記改質剤(B)を含む有機固体成分(A)は、通常、有機固体成分(A)と改質剤(B)とを混合することにより得てもよく、特に、改質剤(B)を含む有機固体成分(A)は、有機固体成分(A)と改質剤(B)との溶融混合物であってもよい。
本発明の有機固体成分(A)と改質剤(B)とで構成された粒子は、平均粒子径が0.1〜100μmであっても良く、また化粧品などに用いることができる。
なお、本明細書において、「有機固体成分」とは、固体である限り、炭素系の有機化合物に限らず、ケイ素化合物(シリコーン樹脂など)なども含む意味で用いる。また、本明細書において、「両親媒性を有する」とは、水に溶解するか否かにかかわらず、疎水性基(又は親油性基)と親水性基とを有することを意味する。
本発明では、改質剤を含む有機固体成分からなる元粒子を熱処理することにより得られるので、滑剤、帯電防止剤、架橋剤などの改質剤(又は添加剤)を、有機固体粒子表面に偏在でき、このような改質剤の機能が有効に付与された有機固体粒子を得ることができる。また、本発明では、有機固体粒子の表面だけでなく内部にも改質剤を存在させることができるため、長期に亘って使用しても、改質剤の改質効果を持続可能な有機固体粒子を得ることができる。
さらに、高いレベルで凝集を抑制でき、再分散性に優れた有機固体粒子を得ることができる。しかも、前記のような改質剤の機能が付与された有機固体粒子を、球状でかつ小さい粒子サイズで得ることもできる。そして、本発明では、上記のような改質剤の機能を有効に発現できる有機固体粒子を、予め調製された改質剤を含む有機固体粒子を熱処理するという方法により、簡便にかつ効率よく製造できる。
[元粒子]
本発明の粒子は、溶融可能な有機固体成分(A)と、この有機固体成分(A)を改質するための改質剤(B)とで構成されている元粒子を、該元粒子が熱により融着する温度より低い温度で熱処理することにより得られる。本発明の熱処理前の粒子である元粒子の製造方法としては特に限定されるものではなく、公知の様々な方法が取られる。例えば前記の改質剤と樹脂とを溶融混錬して得られる樹脂組成物を、クラッシャーなどで粗粉砕した後、ジェットミルなどを用いて微粉砕し、その後風力分級機などにより分級する方法で元粒子を製造しても構わない。
また、特公昭45−29832号公報にはラウリルラクタムをパラフィン中に加熱溶解し、アルカリ性触媒、助触媒、および更に分散剤として炭素数11以上の脂肪族モノカルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩を添加してなる系を攪拌下に130度以上ポリマの融点以下の温度で重合することによりナイロン12微細な粉末あるいは粒状物を製造する方法が記載されているが、このような方法を用いて、元粒子を得ても構わない。
しかしながら、得られる樹脂の形状、真球度、粒径分布などを考慮すると溶融可能な有機固体成分(A)と、この有機固体成分(A)を改質するための改質剤(B)とで構成された粒子状の分散相が、マトリックス成分(C)で構成されたマトリックスに分散している分散体から、マトリックス成分(C)を溶出することにより得られる方法が最も好ましい。
この方法であれば、改質剤(B)と有機固体成分(A)をマトリックス成分(C)の存在下で溶融混合し、分散体を得ることで、容易に改質剤(B)が有機固体成分(A)に含有されている元粒子を簡便に得ることができる。
以下、本発明に好適な有機固体成分(A)を改質するための改質剤(B)とで構成された粒子状の分散相が、マトリックス成分(C)で構成されたマトリックスに分散している分散体から、マトリックス成分(C)を溶出することにより元粒子を得る方法について詳細に述べる。
[分散体]
本発明に好適な元粒子の製造方法での分散体は、改質剤(B)を含む有機固体成分(A)と、マトリックス成分(C)とを溶融混合することにより得られる。
(A)溶融可能な有機固体成分溶融可能な有機固体成分(A)としては、通常、水溶性のマトリックス成分(C)に対して非相溶の成分又は疎水性の成分(非水溶性成分)が使用できる。前記有機固体成分(A)は、通常、室温(15〜25℃程度)で固体であり、低分子化合物であってもよく、高分子化合物(又は樹脂)であってもよい。低分子有機固体成分(A)の融点は、40〜280℃(好ましくは50〜270℃、さらに好ましくは70〜260℃)程度であってもよく、100〜260℃程度の比較的高い融点を有する化合物も使用できる。有機固体成分(A)は単独で又は2種以上組合わせて使用できる。
通常、有機固体成分(A)としては、樹脂成分又は高分子化合物(以下、単に樹脂ということがある)を用いる場合が多い。前記樹脂には、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂(例えば、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂など)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂(例えば、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの縮合系熱可塑性樹脂;ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有ビニル系樹脂、ビニルエステル系樹脂又はその誘導体など)などのビニル重合系熱可塑性樹脂;熱可塑性エラストマー;セルロース誘導体などの天然物由来樹脂;熱可塑性シリコーン樹脂など]、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンワニスなど)など)などが含まれる。
これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。樹脂成分(A)としては、通常、熱可塑性樹脂、非水溶性樹脂(又は疎水性樹脂、非水溶性熱可塑性樹脂など)を好適に使用できる。以下、代表的な熱可塑性樹脂を例示する。
(熱可塑性樹脂)
(1)ポリエステル系樹脂
ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分、ジオール成分、オキシカルボン酸、ラクトン類を用いた種々の樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロへキシルジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-6アルキレン−アリレート系樹脂、C2-6アルキレン−アリレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステル(例えば、共重合成分が、オキシアルキレン単位を有するポリオキシC2-4アルキレングリコールやC6-12脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などの非対称性芳香族ジカルボン酸などのコポリエステル)、ポリアリレート系樹脂、液晶性ポリエステルなどの芳香族ポリエステル系樹脂;ポリC2-6アルキレン−オギザレート、ポリC2-6アルキレン−サクシネート、ポリC2-6アルキレン−アジペートなどのポリ(C2-6アルキレングリコール−C2-10脂肪族ジカルボン酸エステル)、ポリオキシカルボン酸系樹脂(例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸、グリコール酸−乳酸共重合体など)、ポリラクトン系樹脂(例えば、ポリカプロラクトンなどのポリC3-12ラクトン系樹脂など)、これらのコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂など)などが挙げられる。ポリエステル系樹脂はウレタン結合を含んでいてもよい。さらに、ポリエステル系樹脂は生分解性を有していてもよい。
(2)ポリアミド系樹脂
ポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、通常、脂肪族ポリアミド系樹脂が使用される。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
脂肪族ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4-10アルキレンジアミン)と脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4-20アルキレンジカルボン酸など)との縮合物(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212など)、ラクタム(ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのC4-20ラクタムなど)又はアミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸などの炭素数C4-20アミノカルボン酸など)の単独又は共重合体(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6/11、ポリアミド6/12など)、これらのポリアミド成分が共重合したコポリアミド(例えば、ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など)などが挙げられる。ポリアミド系樹脂のジカルボン酸成分はダイマー酸単位を含んでいてもよい。さらに、ポリアミド系樹脂は生分解性を有していてもよい。
(3)ポリウレタン系樹脂
ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ジイソシアネート類(ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類又はその水添ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類又はその水添ジイソシアネート類など)と、ポリオール類(例えば、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなど)と、必要により鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン系樹脂が例示できる。
(4)ポリ(チオ)エーテル系樹脂
ポリ(チオ)エーテル系樹脂としては、例えば、ポリオキシアルキレン系樹脂(安定化されたポリオキシメチレングリコール又はホモ又はコポリアセタール系樹脂、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのポリオキシC2-4アルキレングリコール)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンエーテルケトン系樹脂、ポリスルフィド系樹脂(ポリフェニレンスルフィド又はその共重合体などのポリチオエーテル系樹脂)、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン系樹脂を含む)などが含まれる。
(5)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂などのビスフェノール類をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
(6)ポリスルホン系樹脂
ポリスルホン系樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリールスルホン樹脂などが例示できる。
(7)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂には、α−C2-6オレフィンの単独又は共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)などのオレフィンの単独又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(8)(メタ)アクリル系樹脂
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど)の単独又は共重合体、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。
(9)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体など;スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのブロック共重合体など;ゴム成分の存在下、少なくともスチレン系単量体をグラフト重合したグラフト重合体、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS、又はゴムグラフトポリスチレン系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、このABS樹脂のブタジエンゴムBに代えて、エチレンプロピレンゴムE、アクリルゴムA、塩素化ポリエチレンC、酢酸ビニル重合体などのゴム成分を用いたグラフト共重合体(AES樹脂,AAS樹脂,ACS樹脂などのAXS樹脂)、アクリロニトリルに代えて(メタ)アクリル系単量体(メタクリル酸メチルなど)を用いたグラフト共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体(MBS樹脂)など)などが挙げられる。
(10)ハロゲン含有ビニル系樹脂
ハロゲン含有ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系樹脂、フッ素樹脂などが例示できる。
(11)ビニルエステル系樹脂又はその誘導体
ビニルエステル系樹脂又はその誘導体としては、例えば、カルボン酸ビニルエステルの単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、これらのケン化物(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂)、ケン化物(ビニルアルコール系樹脂)からの誘導体(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂など)などが例示できる。エチレン−ビニルアルコール共重合体において、エチレン含量は5〜40重量%程度であってもよい。
(12)セルロース誘導体
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのアシルセルロース;セルロースの無機酸エステルなど)、セルロースエーテル類(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのアルキルセルロース;ベンジルセルロースなどのアラルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース;シアノエチルセルロースなど)、セルロースカーバメート類(セルロースフェニルカーバメートなど)などが挙げられる。
(13)熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーには、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性エラストマーがブロック共重合体であるとき、ブロック構造は特に制限されず、トリブロック構造、マルチブロック構造、星形ブロック構造などであってもよい。
好ましい樹脂としては、非水溶性樹脂、特に、非水溶性(又は水不溶性)熱可塑性樹脂(又は疎水性熱可塑性樹脂)などが挙げられる。特に、これらの樹脂の中でも、汎用性、コスト、環境適応性などの面から、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などを好適に用いることができる。
なお、有機固体成分は、分散体を形成するという観点で、通常、マトリックス成分に対する相溶性を有しない成分であるのが好ましいが、適度にマトリックス成分(及び改質剤)に対する親和性を有していると、マトリックス成分(例えば、水溶性のマトリックス成分)との溶融混練を容易にでき、さらには改質剤(B)の種類によっては、有機固体成分に付与する改質剤の機能をより一層向上できる場合がある。そのため、有機固体成分(特に樹脂)は、マトリックス成分に対して親和性を有する基(親和性基)を有していてもよい。
このような親和性基は、マトリックス成分(および改質剤)の種類に応じて選択でき、マトリックス成分が水溶性である場合には、極性基{例えば、酸素原子含有基[例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基、オキシアルキレン基(オキシエチレン基などのオキシC2-4アルキレン基など)、エステル基など]、窒素原子含有基(例えば、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基、アミド基など)、硫黄原子含有基(例えば、チオ基、スルホ基など)などのヘテロ原子を含有する基、これらの基が塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩など)を形成した基など}であってもよい。これらの極性基は、単独で又は2種以上組み合わせて有機固体成分が有していてもよい。なお、極性基を有する有機固体成分(樹脂)は、通常、極性基を有するものの非水溶性である。このような親和性基(極性基)は、予め有機固体成分が有していてもよく、有機固体成分に導入してもよい。
特に、有機固体成分(A)は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基、オキシアルキレン基、エステル基、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基、およびアミド基から選択された少なくとも1種の極性基を有する樹脂で構成されていてもよい。
このような極性基を有する代表的な樹脂(非水溶性樹脂)には、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などが挙げられる。
また、有機固体成分は、比較的強い分子間相互作用を有する成分(樹脂など)であってもよい。通常、強固な分子間相互作用を有する有機固体成分は、滑剤などの改質剤を表面に有効に付着できないなどの理由により、十分に改質機能(滑り性など)が付与されないことが多い。本発明では、水素結合などの分子間相互作用が強固な成分であっても有効に改質できる。このような分子間相互作用を有する有機固体成分としては、例えば、極性基(前記例示の極性基など)、ファンデルワールス結合を形成しうる基[例えば、芳香族性を有する基(又は芳香族性基)(例えば、フェニル基、ナフチル基などの置換基を有していてもよいC6-20アリール基、好ましくはC6-15アリール基、さらに好ましくはC6-10アリール基、特にフェニル基など)など]などが挙げられる。これらの基は、単独で又は2種以上組み合わせて有機固体成分が有していてもよい。なお、このような有機固体成分(特に、樹脂)は、通常、強い分子間相互作用を有するものの非水溶性である。
特に、分子間相互作用を有する有機固体成分(A)は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基、オキシアルキレン基、エステル基、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基、アミド基、およびアリール基(特にフェニル基)から選択された少なくとも1種を有する樹脂で構成されていてもよい。
このような分子間相互作用を有する代表的な樹脂(非水溶性樹脂)には、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などが挙げられる。
樹脂成分の熱変形温度(例えば、JISK7206で規定されるビカット軟化点)は、60〜300℃の範囲から選択でき、例えば、80〜260℃、好ましくは100〜240℃(例えば110〜240℃)、さらに好ましくは120〜230℃(例えば130〜220℃)程度である。
樹脂成分(熱可塑性樹脂など)の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量で、例えば、5,000〜500,000、好ましくは10,000〜300,000、さらに好ましくは20,000〜150,000程度であってもよい。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量の測定が困難なセルロース誘導体などの熱可塑性樹脂については、粘度平均分子量を採用できる。なお、樹脂成分の重量平均分子量は、樹脂成分の混練時間や混練温度などによっても調節できる。
(B)改質剤
本発明では、有機固体成分と改質剤とを組み合わせて、後述する特定の方法により分散体を調製する。改質剤(B)は、有機固体成分に何らかの機能(又は特性)を付与して、有機固体成分を改質できる成分であれば特に限定されず、分散体からマトリックス成分を除去して得られる粒子(有機固体粒子)の用途に応じて適宜選択できる。本発明では、後述するように、有機固体成分で構成された分散相に確実に改質剤を分配させる(さらには有機固体成分の表面に改質剤を存在させる)ことができるため、改質剤の機能を有効に有機固体成分(又は有機固体粒子)に付与できる。
改質剤(B)としては、慣用の改質剤(又は添加剤)、例えば、可塑剤(又は軟化剤)、充填剤(粉粒状フィラーなど)、光分解性付与剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、滑剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候(光)安定剤、加工安定剤など)、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物の粉末など)、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤[例えば、染料又は顔料[油溶性染料(ソルベント染料など)、分散染料、バット染料、硫化染料、アゾイック染料(ナフトール染料)、無機顔料(二酸化チタンなどの白色顔料;炭酸カルシウムなどの体質顔料;カーボンブラックなどの黒色顔料;カドミウムレッドなどの赤色顔料;カドミウムイエローなどの黄色顔料;群青などの青色顔料;ニッケル、フェライトなどの強磁性金属粉末など)、有機顔料(アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリノン・ペリレン系顔料、スレン系顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン系顔料、インジゴ又はチオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン化合物など)、蛍光顔料又は染料、蓄光顔料など]、電荷制御剤(ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミン系化合物などの正電荷制御剤;サリチル酸金属錯体、アゾ染料金属錯体、銅フタロシアニン染料、ニトロイミダゾール誘導体、尿素誘導体などの負電荷制御剤など)、離型剤、光沢剤、濡れ性改良剤、流動化剤、架橋剤、抗菌剤、防腐剤、反応性基を有する化合物[例えば、エポキシ基を有する化合物、酸基を有する化合物(例えば、アクリル酸基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物、スルホン酸基を有する化合物、無水マレイン酸などの酸無水物基を有する化合物など)などが例示できる。分散相(又は有機固体成分)は、これらの改質剤を単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
これら改質剤の中でも、特に粒子の表面近傍に偏在することにより発揮される機能有している改質剤を選択できる。このような機能としては例えば、滑剤の類により付与される滑り性、帯電防止剤により付与される帯電防止性、粒子を構成する有機成分(A)の融着温度より高い融点温度を有する改質剤の結晶膜の形成による樹脂の融着による互着を抑制する機能、電化制御剤により付与される制御された表面帯電特性、親水性を有する改質剤により付与される水系媒体への親和性、新油性を有する改質剤により付与される油系媒体への親和性、粒子を構成する有機成分(A)と異なる親和性を有する改質剤の結晶膜の形成による粒子内部の各種成分の溶出防止、カルボキシル基、エポキシ基、ウレタン基、アクリル基などの反応性基を有する改質剤により付与される粒子表面の反応性などが挙げられる。
特に、改質剤(B)は、最終製品である有機固体粒子の用途などに応じて選択でき、例えば、化粧品(ファンデーション、白粉、頬紅など)などの用途では、着色剤、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系吸収剤、ケイ皮酸系吸収剤、p−アミノ安息香酸系吸収剤、サリチル酸系吸収剤、ジベンゾイルメタン系吸収剤、ウロカニン酸又はそのエステル、β−イソプロピルフラノン、β−カロチンなど)、紫外線散乱剤などで構成してもよい。また、トナーなどの画像記録材料用途では、例えば、電荷制御剤、流動化剤、ワックス類などで改質剤を構成してもよい。さらに、塗料などの用途では、例えば、架橋剤、耐候(光)安定剤、紫外線吸収剤、流動化剤などを改質剤としてもよい。
改質剤は、常温(例えば、25℃)で液体状の改質剤であってもよく、固体状の改質剤であってもよい。固体状の改質剤において、改質剤の融点(又は軟化点)は、25℃以上(例えば、30〜400℃程度)の範囲から選択でき、例えば、35℃以上(例えば、40〜350℃程度)、好ましくは45℃以上(例えば、50〜300℃程度)、さらに好ましくは50〜250℃(例えば、60〜200℃)程度であってもよい。なお、改質剤が、複数の改質剤で構成された混合物である場合、混合物の融点が、上記範囲であってもよい。
また、改質剤(例えば、滑剤など)は、結晶性を有していてもよく、非結晶性であってもよい。結晶性を有する改質剤(結晶性改質剤)の分子量(又は平均分子量)は、例えば、100〜5000、好ましくは150〜3000、さらに好ましくは200〜2000(例えば、230〜1500)、特に250〜1000程度であってもよい。
改質剤(B)と有機固体成分(A)との融点の関係について言えば、有機固体成分(A)が結晶性樹脂か非晶性樹脂かで異なる。そして改質剤(B)が結晶性の物質であるか、否かでも異なる。そして改質剤(B)が結晶性の改質剤を用いる場合は、その融点は、有機固体成分(A)の融着温度より低くても良く、例えば有機個体成分(A)が結晶性樹脂である場合は、改質剤の融点は有機固体成分(A)の融点より1℃以上、好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上、特に15℃以上低くても良く、また有機個体成分(A)が非晶性樹脂である場合は、改質剤の融点は有機固体成分(A)のガラス転移点より1℃以上、好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上、特に20℃以上低くても良い。このように、改質剤(B)の融点を有機固体成分(A)の融点(結晶性樹脂の場合)またはガラス転移点(非晶性樹脂の場合)よりも低くすることで、改質剤(B)の融点以上でかつ有機固体成分(A)の融着温度以下の温度で熱処理をすることができる。
改質剤は、有機固体成分(およびマトリックス成分)の種類(親水性、疎水性など)に応じて、疎水性化合物(疎水性基を有する化合物、疎水性改質剤)であってもよく、親水性化合物(親水性基を有する化合物、親水性改質剤)であってもよく、両親媒性化合物(又は疎水性と親水性基とを有する化合物、両親媒性改質剤)であってもよい。親水性基(又は極性基)としては、前記例示の極性基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキシアルキレン基、エステル基、アミノ基、アミド基、スルホ基など)などが挙げられる。また、疎水性基(又は親油基)としては、例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、ヘキシル基、オクチル基、ラウリル基などのC6-30アルキル基などの長鎖アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのアルキル基が置換していていてもよいC6-20シクロアルキル基)などの飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;アリール基(例えば、フェニル基などのアルキル基が置換していてもよいC6-30アリール基など)などの芳香族炭化水素基など]などが挙げられる。
例えば、非水溶性の有機固体成分(前記熱可塑性樹脂など)と両親媒性化合物と(さらには水溶性のマトリックス成分と)を組み合わせると、より一層効率よく分散相(有機固体成分)の表面に改質剤を移行(分配)させることができる。特に、結晶性を有する両親媒性改質剤(詳細には結晶性を有する固体状の両親媒性改質剤)を改質剤として用いると、改質剤の機能をより有効に発現できる。この理由は定かではないが、結晶性の両親媒性改質剤が、分散相(有機固体粒子)の表面に沿って(又は粒子の接線方向に沿って)平行又はほぼ平行に板状の結晶(又は層状結晶又はラメラ結晶構造)を形成し、この板状の結晶が劈開することにより、効率よく改質剤の改質機能を発現できるものと考えられる。代表的な結晶性を有する両親媒性改質剤には、滑剤[例えば、脂肪酸系ワックス(例えば、脂肪酸、脂肪酸アミドなどの脂肪酸誘導体など)など]、帯電防止剤などが挙げられる。
なお、固体状の改質剤の形状は、例えば、粉粒状であってもよい。固体状の改質剤を使用する場合、改質剤を分散相に含有させるため、通常、改質剤(B)の粒子サイズは、所望の有機固体粒子の粒子サイズより小さくする必要がある。有機固体粒子中における固体状改質剤(B)の平均粒子径は、例えば、有機固体粒子の平均粒子径の50%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下であってもよい。具体的には、有機固体粒子中における固体状改質剤の平均粒子径は、例えば、2nm〜10μm(例えば、3nm〜1μm)、好ましくは5〜500nm、さらに好ましくは10〜300nm程度であってもよい。
粒子中において、改質剤(B)の割合は、有機固体成分(A)100重量部に対して、0.001〜200重量部(例えば、0.001〜100重量部)程度の広い範囲から選択でき、例えば、0.003〜70重量部(例えば、0.005〜50重量部)、好ましくは0.01〜40重量部(例えば、0.02〜30重量部)、さらに好ましくは0.05〜20重量部(例えば、0.1〜10重量部)、特に0.5〜8重量部(例えば、1〜5重量部)程度であってもよい。
以下、代表的な改質剤として、滑剤、帯電防止剤、架橋剤を例示する。
(滑剤)
滑剤は、滑り性(又は潤滑性)を付与できる改質剤であり、固体状の滑剤(ワックス)、液体状の滑剤(オイル)などが挙げられる。なお、滑剤は、帯電防止性を有していてもよい。すなわち、滑剤は、滑り性を付与できる改質剤であるが、種類によっては、滑り性および帯電防止性を付与できる場合がある。例えば、後述する脂肪酸系ワックス(例えば、脂肪酸アミドなど)は、両親媒性を有しているためか、滑り性だけでなく、帯電防止性も有しているようである。
ワックスは、常温で固体状(半固体状を含む)であればよく、例えば、オレフィン系重合体(又はオレフィン系ワックス、例えば、ポリエチレンワックス、エチレン共重合体ワックス、ポリプロピレンワックスなど)、脂肪酸系ワックス(例えば、脂肪酸又はその誘導体など)、高級アルコール類[例えば、ステアリルアルコールなどの炭素数6以上のアルコール類(好ましくは脂肪族C8-40アルコール類、さらに好ましくは脂肪族C10-36アルコール類など)など]、石油ワックス(例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなど)、シリコーンワックス、天然ワックス[例えば、動植物ワックス(例えば、蜜蝋、鯨蝋、セラック蝋などの動物由来のワックス;カルナウバ蝋、木蝋、ライスワックス、キャンデリラワックスなどの植物由来のワックス)、鉱物ワックス(モンタンワックスなど)など]、フィッシャー・トロプシュワックス、これらのワックスを加工した加工ワックス(水素化ワックス、酸化ポリエチレンワックスなどの酸化ワックスなど)などが挙げられる。ワックスは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。特に、脂肪酸系ワックスは、前記のように両親媒性を有しているためか、有機固体粒子に優れた滑り性(又は潤滑性)を付与できる。
脂肪酸系ワックス(脂肪酸系滑剤)としては、脂肪酸、脂肪酸誘導体などが挙げられる。脂肪酸および脂肪酸誘導体において、脂肪酸としては、飽和脂肪酸[例えば、高級飽和脂肪酸(例えば、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、カルナウバ酸、セロチン酸、モンタン酸、ノナコサノイック酸、メリシン酸、ラクセロン酸、ゲータ酸、セプラスチン酸などの炭素数6以上の飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、C8-40飽和脂肪族モノカルボン酸、好ましくはC12-36飽和脂肪族モノカルボン酸、さらに好ましくは16-34飽和脂肪族モノカルボン酸、特にC18-32アルカンモノカルボン酸)など]、不飽和脂肪酸[例えば、高級不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、エルカ酸、エルシン酸、リノール酸、リシノレイン酸、エレオステアリン酸などの炭素数12以上の不飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、C14-40不飽和脂肪族モノカルボン酸、好ましくはC16-36不飽和脂肪族モノカルボン酸、さらに好ましくはC18-32不飽和脂肪族モノカルボン酸)など]などが挙げられる。好ましい脂肪酸には、高級飽和脂肪酸(例えば、ステアリン酸などのC18-30アルカンモノカルボン酸など)が含まれる。
脂肪酸の誘導体としては、脂肪酸の金属塩、エステル、アミドなどが挙げられる。脂肪酸金属塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウムなど)、遷移金属(例えば、亜鉛、カドミウムなどの周期表第2B族金属など)、周期表第3B族金属(例えば、アルミニウムなど)、周期表第4B族金属(例えば、スズ、鉛など)などの金属と脂肪酸(前記例示の脂肪酸など)との塩[例えば、高級飽和脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸鉛、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛など)、高級不飽和脂肪酸金属塩(例えば、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、エルカ酸亜鉛など)など]などが挙げられる。
脂肪酸エステルは、脂肪酸(前記例示の脂肪酸など)とアルコールとのエステルである。アルコールとしては、モノオール[脂肪族モノオール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコールなどのC1-30アルカノール、好ましくはC1-18アルキルアルコール、さらに好ましくはC2-10アルカノールなど)など]、ポリオール(又は多価アルコール){例えば、脂肪族ポリオール[例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2-10アルキレングリコール、好ましくはC2-6アルキレングリコールなど)、アルカンポリオール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのC2-10アルカンポリオール、好ましくはC2-6アルカンポリオールなど)、ポリオールのオリゴマー(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコールなど)など]などが挙げられる。
脂肪酸アミドは、アミン又はアンモニアの水素原子を脂肪酸(前記例示の脂肪酸など)に対応する酸基で置換した化合物である。アミンは、第1級アミン(又はN−モノ置換アミン)又は第2級アミン(又はN,N−二置換アミン)であってもよく、モノアミン又はポリアミンであってもよい。具体的な脂肪酸アミドには、脂肪酸モノアミド類、脂肪酸ポリアミド(ポリ脂肪酸アミド)類などが含まれる。
脂肪酸モノアミド類としては、飽和脂肪酸モノアミド類、不飽和脂肪酸モノアミド類などが挙げられる。飽和脂肪酸モノアミド類としては、例えば、アルカンカルボン酸モノアミド類などが挙げられる。アルカンカルボン酸モノアミド類には、例えば、アルカンカルボン酸モノアミド[例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、モンタン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドなどのC8-40アルカンカルボン酸モノアミド(好ましくはC12-36アルカンカルボン酸モノアミド、さらに好ましくはC16-34アルカンカルボン酸モノアミド、特にC18-32アルカンカルボン酸モノアミドなど)など]、N−置換アルカンカルボン酸モノアミド[例えば、N−メチルパルミチン酸アミド、N−パルミチルパルミチン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、N,N−ジメチルステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、N−パルミチルステアリン酸アミド、N−ヒドロキシエチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアロアミドエチルステアレート、ステアリン酸アニリドなどのN−置換C8-40アルカンカルボン酸モノアミド(好ましくはN−置換C12-36アルカンカルボン酸モノアミド、さらに好ましくはN−置換C16-34アルカンカルボン酸モノアミド、特にN−置換C18-32アルカンカルボン酸モノアミドなど)など]などが挙げられる。
不飽和脂肪酸モノアミド類としては、不飽和脂肪酸モノアミド[例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノレイン酸アミドなどのC8-40不飽和脂肪酸モノアミド、好ましくはC12-36不飽和脂肪酸モノアミド、さらに好ましくはC16-34不飽和脂肪酸モノアミド、特にC18-32不飽和脂肪酸モノアミド]、N−置換不飽和脂肪酸モノアミド(例えば、N−ステアリルエルカ酸アミドなどの置換基を有していてもよいN−置換C8-40不飽和脂肪酸モノアミドなど)などが挙げられる。
脂肪酸ポリアミド類としては、ビス脂肪酸アミド類、例えば、飽和脂肪酸ビスアミド類、不飽和脂肪酸ビスアミド類などが含まれる。
飽和脂肪酸ビスアミド類としては、アルキレン(又はアルキリデン)ビス(飽和脂肪酸アミド)などが挙げられる。アルキレン(又はアルキリデン)ビス(飽和脂肪酸アミド)としては、例えば、アルキレン(又はアルキリデン)ビス(アルカンカルボン酸アミド)[例えば、N,N'−メチレンビス(ステアリン酸アミド)、N,N'−エチレンビス(パルミチン酸アミド)、N,N'−エチレンビス(ステアリン酸アミド)、N,N'−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸アミド)、N,N'−エチレンビス(ベヘン酸アミド)、N,N'−エチレンビス(モンタン酸アミド)、N,N'−ヘキサメチレンビス(ステアリン酸アミド)、N,N'−ヘキサメチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸アミド)などのN,N'−C1-12アルキレン(又はアルキリデン)ビス(C8-40アルカンカルボン酸モノアミド)、好ましくはN,N'−C1-10アルキレンビス(C12-36アルカンカルボン酸モノアミド)、さらに好ましくはN,N'−C1-8アルキレンビス(C16-34アルカンカルボン酸モノアミド)、特にN,N'−C1-6アルキレンビス(C18-32アルカンカルボン酸モノアミド)など]などが挙げられる。
不飽和脂肪酸ビスアミド類としては、アルキレン(又はアルキリデン)ビス(不飽和脂肪酸アミド)[例えば、N,N'−エチレンビス(オレイン酸アミド)、N,N'−エチレンビス(エルカ酸アミド)、N,N'−エチレンビス(オクタデカジエニルアミド)、N,N'−エチレンビス(リシノレイルアミド)、N,N'−ヘキサメチレンビス(リシノレイルアミド)などのN,N'−C1-12アルキレン(又はアルキリデン)ビス(C8-40不飽和脂肪酸モノアミド)、好ましくはN,N'−C1-10アルキレンビス(C12-36不飽和脂肪酸モノアミド)、さらに好ましくはN,N'−C1-8アルキレンビス(C16-34不飽和脂肪酸モノアミド)、特にN,N'−C1-6アルキレンビス(C18-32不飽和脂肪酸モノアミド)など]などの他、エチレンジアミン−(ステアリン酸アミド)オレイン酸アミドなどの混酸アミドなども含まれる。
これらの脂肪酸系ワックスのうち、特に、脂肪酸アミドは、前記のように両親媒性および結晶性を有しているためか、分散相表面に有効に滑り性を付与でき、好適に用いることができる。特に、脂肪酸アミドの中でも、長鎖(又は高級)脂肪酸アミド(例えば、アミド基の水素原子(アミド基を構成する水素原子)が置換されていてもよいC12-36飽和又は不飽和脂肪酸アミド)、例えば、長鎖飽和脂肪酸モノアミド(例えば、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミドなどのC12-36アルカンカルボン酸モノアミド)、長鎖不飽和脂肪酸モノアミド(例えば、エルカ酸アミドなどのC12-36不飽和脂肪酸モノアミドなど)、長鎖脂肪族基が置換した長鎖脂肪酸モノアミド{例えば、N−長鎖アルキル−長鎖脂肪酸モノアミド(例えば、N−ステアリルステアリン酸アミドなどのN−C12-36アルキル−C12-36アルカンカルボン酸モノアミドなどのN−長鎖アルキル−長鎖アルカンカルボン酸モノアミドなど);長鎖脂肪族アシル基が置換した長鎖脂肪酸モノアミド(エステルアミド化合物)[例えば、ステアロアミドエチルステアレートなどのN−(C8-40アシルオキシ−アルキル)C12-36アルカンカルボン酸モノアミド、好ましくはN−(C12-36アシルオキシ−アルキル)C14-34アルカンカルボン酸モノアミド、さらに好ましくはN−(C16-32アシルオキシ−C2-4アルキル)C16-32アルカンカルボン酸モノアミドなどの長鎖脂肪族アシル基が置換した長鎖アルカンカルボン酸モノアミド]などの長鎖脂肪族アシル基が置換した長鎖飽和脂肪酸モノアミド]などの長鎖脂肪族基が置換した長鎖脂肪酸モノアミドなど}、長鎖飽和脂肪酸ビスアミド[例えば、N,N'−エチレンビス(ステアリン酸アミド)などのN,N'−C1-12アルキレン(又はアルキリデン)ビス(C12-36アルカンカルボン酸モノアミド)など]、長鎖不飽和脂肪酸ビスアミド[例えば、N,N'−エチレンビス(オレイン酸アミド)などの,N'−C1-12アルキレン(又はアルキリデン)ビス(C12-36不飽和脂肪酸モノアミド)など]などが好ましい。
脂肪酸系ワックス(例えば、脂肪酸アミド)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、脂肪酸系ワックスは、液状又は固体状であってもよく、通常、固体状であってもよい。また、脂肪酸系ワックスは、通常、非結晶性又は結晶性であってもよく、結晶性を有する脂肪酸系ワックスを好適に使用できる。このような結晶性を有する脂肪酸系ワックス(分子性結晶を有する脂肪酸系ワックス)の融点は、30℃以上(例えば、30〜400℃程度)、好ましくは35〜350℃、さらに好ましくは40〜300℃程度であってもよい。
特に、脂肪酸アミドの融点は、350℃以下(例えば、30〜300℃程度)の範囲から選択でき、例えば、40〜250℃、好ましくは50〜230℃(例えば、60〜200℃)、さらに好ましくは70〜180℃、特に75〜160℃(例えば、80〜150℃)程度であってもよい。なお、脂肪酸アミドが、2種以上の混合物である場合、脂肪酸アミド全体の融点が、上記範囲であってもよい。
オイル(又は液状のワックス)としては、用途に応じて、例えば、炭化水素油又は鉱物油[例えば、パラフィン系油(流動パラフィンなど)、ナフテン系油など]、シリコーンオイルなどが挙げられる。オイルは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。特に、シリコーンオイル(ポリシロキサンオイル、ポリオルガノシロキサンオイル)は、化粧品用途などにおいて汎用されており、有機固体粒子にしっとり感やぬめり感といった触感を付与するのに有用である。
シリコーンオイルは、ポリオルガノシロキサン単位を有しており、このようなポリオルガノシロキサンとしては、例えば、ポリジアルキルシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサンなどのポリジC1-10アルキルシロキサン、好ましくはポリジC1-4アルキルシロキサン)、ポリアルキルアルケニルシロキサン(例えば、ポリメチルビニルシロキサンなどのポリC1-10アルキルC2-10アルケニルシロキサン)、ポリアルキルアリールシロキサン(例えば、ポリメチルフェニルシロキサンなどのポリC1-10アルキルC6-20アリールシロキサン、好ましくはポリC1-4アルキルC6-10アリールシロキサン)、ポリジアリールシロキサン(例えば、ポリジフェニルシロキサンなどのポリジC6-20アリールシロキサン)、ポリアルキルハイドロジェンシロキサン(例えば、ポリメチルハイドロジェンシロキサンなどのポリC1-10アルキルハイドロジェンシロキサン)、オルガノシロキサン共重合体(例えば、ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体など)、変性ポリオルガノシロキサン(又は変性シリコーンオイル)[前記ポリオルガノシロキサンに対応する変性ポリオルガノシロキサン、例えば、ヒドロキシル変性ポリオルガノシロキサン(例えば、末端シラノールポリジメチルシロキサン、末端シラノールポリメチルフェニルシロキサン、末端ヒドロキシプロピルポリジメチルシロキサン、ポリジメチルヒドロキシアルキレンオキシドメチルシロキサンなど)、アミノ変性ポリオルガノシロキサン(例えば、末端ジメチルアミノポリジメチルシロキサン、末端アミノプロピルポリジメチルシロキサンなど)、カルボキシル変性ポリオルガノシロキサン(例えば、末端カルボキシプロピルポリジメチルシロキサンなど)など]などが挙げられる。
これらのうち、好ましいポリオルガノシロキサン(シリコーンオイル)には、ポリジメチルシロキサン(又はジメチルシリコーンオイル)などのポリジアルキルシロキサン(又はジアルキルシリコーンオイル)、ポリメチルフェニルシロキサン(又はメチルフェニルシリコーンオイル)などのポリアルキルアリールシロキサン(又はアルキルアリールシリコーンオイル)などが含まれる。
オイル(例えば、シリコーンオイル)の粘度は、25℃において、例えば、0.5〜1000000cSt(センチストークス)、好ましくは5〜500000cSt、さらに好ましくは10〜2000000cSt、特に50〜100000cSt(例えば、100〜50000cSt)程度であってもよい。
滑剤の割合は、有機固体成分(A)100重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜30重量部(例えば、0.5〜25重量部)、さらに好ましくは0.8〜20重量部(例えば、1〜15重量部)、特に1〜10重量部程度であってもよい。
なお、本発明では、前記背景技術の項で記載した方法などを適用しても、滑り性(潤滑性、しっとり感など)を十分に付与することが困難な有機固体成分であっても、有効に滑り性を付与できる。そのため、特に、分散相は、滑り性が良好でない有機固体成分(例えば、ポリアミド系樹脂など)と滑剤とで構成してもよい。
(帯電防止剤)
帯電防止剤(又は界面活性剤)としては、アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯電防止剤、ノニオン性帯電防止剤、両性帯電防止剤などの低分子型帯電防止剤や、高分子型帯電防止剤などが含まれる。帯電防止剤は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
アニオン性帯電防止剤としては、スルホン酸系界面活性剤{例えば、飽和又は不飽和脂肪族スルホン酸又はその塩[例えば、アルカンスルホン酸塩(例えば、ドデカンスルホン酸ナトリウムなどのC6-20アルカンスルホン酸アルカリ金属塩、ドデカンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩などのC4-20アルカンスルホン酸ホスホニウム塩など)、オレフィンスルホン酸塩など]、芳香族スルホン酸又はその塩[例えば、アレーンスルホン酸塩(ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのC6-20アレーンスルホン酸アルカリ金属塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド重縮合物などのC6-20アレーンスルホン酸重縮合物又はその金属塩など)、アルキルアレーンスルホン酸塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのC4-20アルキルC6-20アレーンスルホン酸アルカリ金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムなどのC4-20アルキルC6-20アレーンスルホン酸ホスホニウム塩など)など]、ジアルキルスルホコハク酸塩などのスルホン酸又はその塩}、硫酸エステル系界面活性剤(例えば、アルキル硫酸エステル塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などの硫酸エステル又はその塩)、リン酸エステル系界面活性剤[例えば、飽和又は不飽和脂肪族リン酸又はその塩(例えば、ドデシルリン酸ナトリウム、ドデシルリン酸カリウム、モノセチルリン酸エステルナトリウム・亜鉛塩などのC4-20アルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンドデシルリン酸カリウムなどのポリオキシエチレンC4-20アルキルエーテルリン酸塩など)、芳香族リン酸又はその塩(例えば、ポリオキシエチレンドデシルフェニルリン酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンC4-20アルキルフェニルエーテルリン酸塩など)、リン脂質(レシチンなど)などのリン酸(リン酸エステル)又はその塩など]、アシル−N−メチルタウリン塩、硫酸化油(ロート油など)などが含まれる。
カチオン性帯電防止剤としては、アミン系界面活性剤[例えば、アルキルアミンカルボン酸塩(例えば、アルキルアミン酢酸塩など)、イミダゾリン誘導体などの第1乃至第3級アミン又はその塩など]、第4級アンモニウム塩[例えば、テトラアルキルアンモニウム塩(ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドなどのC4-20アルキルメチルアンモニウム塩など)、トリアルキルベンジルアンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム塩など)、塩化ベンゼトニウムなど]などが挙げられる。
ノニオン性帯電防止剤としては、ポリアルキレンオキシド型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、アルカノールアミド類、アルカノールアミン類などが挙げられる。ポリアルキレンオキシド型界面活性剤としては、(ポリ)オキシアルキレン(例えば、ポリオキシC2-4アルキレン)単位(又は鎖)を有する界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン単位を有するポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーなど)、ポリアルキレンオキシド誘導体[ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどのポリオキシエチレンC4-20アルキルエーテル)、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンC4-20アルキルフェニルエーテルなど)、ポリオキシアルキレンアルキルアミン(例えば、ポリオキシエチレンミリスチルアミン、ポリオキシエチレンパルミチルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンパルミチルアミンモノ又はジステアレート、ポリオキシエチレンステアリルアミンモノ又はジパルミテート、ポリオキシエチレンステアリルアミンモノ又はジステアレートなどのポリオキシエチレンC4-20アルキルアミン又はそのエステルなど)、ポリオキシアルキレン単位を有する多価アルコールの脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレングリセリンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステルなどのポリオキシエチレン鎖を有するジ乃至オクタオールのC4-20脂肪酸エステル)など]などが挙げられる。多価アルコール型界面活性剤には、多価アルコール誘導体、例えば、多価アルコール脂肪酸エステル[例えば、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステルなどのグリセリンC4-20脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールモノステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールモノオレイン酸エステルなどのペンタエリスリトールC4-20脂肪酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステルなどのショ糖C4-20脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステルなどのソルビタンC4-20脂肪酸エステルなどのジ乃至オクタオールC4-20脂肪酸エステルなど]などが挙げられる。アルカノールアミド類としては、脂肪酸ジアルカノールアミド類、例えば、パルミチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、アラキン酸ジエタノールアミド、ベヘン酸ジエタノールアミド、リグノセリン酸ジエタノールアミドなどのC8-40脂肪酸ジアルカノールアミド(好ましくはC12-36脂肪酸ジエタノールアミド、さらに好ましくはC16-34脂肪酸ジエタノールアミド)およびそのアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。アルカノールアミン類としては、例えば、アルカノールアミン(例えば、ラウリルエタノールアミンなどのC4-20アルキルエタノールアミンなど)などが挙げられる。
両性帯電防止剤としては、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤[例えば、アミノ酸又はその誘導体(例えば、アラニン系界面活性剤など)など]、ベタイン型両性界面活性剤[例えば、アルキルベタイン(ジメチルドデシルカルボキシベタインなど)、スルホベタイン誘導体など]、タウリン及びその塩、リジン及びその塩、レシチンなどが挙げられる。
高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリアルキレンオキシド−(メタ)アクリレート共重合体(ポリエチレンオキシド−メタクリレート共重合体など)、ポリアルキレンオキシド共重合体(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド共重合体など)、ポリアルキレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体(ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体など)、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルエステルなど)などが挙げられる。
なお、帯電防止剤は、液状又は固体状であってもよく、非結晶性又は結晶性であってもよい。帯電防止剤(結晶性を有する帯電防止剤)が、融点又は軟化点を有する場合、融点又は軟化点は、50℃以上(例えば、60〜300℃程度)、好ましくは70〜250℃、さらに好ましくは80〜230℃程度であってもよい。
帯電防止剤の割合は、有機固体成分(A)100重量部に対して、0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜20重量部(例えば、0.2〜15重量部)、さらに好ましくは0.3〜10重量部(例えば、0.5〜8重量部)、特に0.5〜5重量部(例えば、0.7〜3重量部)程度であってもよい。
(架橋剤)
架橋剤としては、重合性化合物、硬化剤(例えば、ポリアミン類など)、開始剤[例えば、ラジカル発生剤(有機過酸化物、アゾ化合物など)、光重合開始剤(アセトフェノン類などのケトン系化合物、ホスフィンオキシド類などのホスフィン系化合物、スルフィド系化合物など)などの重合開始剤]などが含まれる。
重合性化合物としては、熱、電磁波(光線、γ線、マイクロ波など)などにより架橋性(又は重合性)を示す化合物、例えば、熱硬化性樹脂[ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、アミン系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂(又はエポキシ化合物);不飽和ポリエステル樹脂など]、光硬化性(又は光重合性)樹脂[光硬化性ポリエステル系樹脂、光硬化性アクリル系樹脂、光硬化性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、光硬化性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂など]、多官能重合性化合物[例えば、多官能性(メタ)アクリル系化合物(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのポリオールポリ(メタ)アクリレートなど)]などが挙げられる。
架橋剤の分子量(又は平均分子量)は、架橋剤の種類(例えば、重合性化合物)にもよるが、例えば、100〜10000、好ましくは150〜8000、さらに好ましくは200〜5000程度であってもよい。
架橋剤の割合は、有機固体成分(A)100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.2〜25重量部(例えば、0.3〜20重量部)、さらに好ましくは0.5〜15重量部(例えば、1〜10重量部)程度であってもよい。
(C)マトリックス成分
本発明の粒子を得る際の分散体において、マトリックスを構成するマトリックス成分は、有機固体成分(A)[および改質剤(B)]を分散可能な成分であればよい。すなわち、前記マトリックス成分(C)は、有機固体成分(A)および改質剤(B)に対して、通常、相溶性を有しない(又は非相溶性の)成分であればよい。なお、マトリックス(又はマトリックス成分)は、通常、固体(常温で固体)である。このような固体マトリックス成分は、固体であれば、液体のマトリックス成分を含んでいてもよい。
なお、水溶性マトリックス成分と、有機固体成分及び改質剤とを組み合わせて分散体を形成した後、後述するように、適宜溶出又は洗浄するなどの方法により、改質剤により改質された有機固体粒子(樹脂粒子など)を形成できる。
マトリックス成分としては、有機固体成分(A)と相溶性を有さない成分であって、有機固体成分(A)との溶融混練が可能であれば特に限定されず、非水溶性(又は疎水性)の成分であってもよいが、工業的な観点あるいは環境負荷の観点から、水溶性であることが好ましい。すなわち、マトリックス成分を水溶性のマトリックス成分とすることにより、分散体から、水によりマトリックスを除去できるため、経済的および環境的に有利である。
このような水溶性のマトリックス成分としては、有機固体成分や改質剤の種類にもよるが、例えば、水溶性樹脂[例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体など)、ビニルアルコール系重合体(例えば、ポリビニルアルコールなど)水溶性アクリル系樹脂、水溶性スチレン系樹脂、ポリビニルピロリドンなどの水溶性合成樹脂;セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル−ヒドロキシアルキルセルロースなどのヒドロキシル基を有するセルロース誘導体、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース、エチルセルロースなどのアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類など)など]、糖類又はその誘導体[例えば、単糖類(例えば、グルコースなど)、オリゴ糖、多糖類(例えば、デンプンなど)、糖アルコールなど]などが挙げられる。これらのマトリックス成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
特に、有機固体粒子のコントロール性及び製造効率、広範な有機固体粒子(例えば、樹脂)に対する適用性などの観点から、マトリックス成分は、少なくともオリゴ糖(C1)で構成していてもよい。すなわち、オリゴ糖は、糖類でありながら、樹脂成分などと均一に混練可能である場合が多く、幅広い種類の有機固体成分(樹脂)との組み合わせであっても、効率よくマトリックスを形成できる。また、オリゴ糖は、糖類であるので、前記水溶性樹脂などに比べて、分散体から溶出により除去しやすく、後述する有機固体粒子の生産性を高めることができる。オリゴ糖で構成されたマトリックス成分については、特開2004−51942号公報を参照することもできる。
(C1)オリゴ糖
オリゴ糖(C1)は、2〜10分子の単糖類が、グリコシド結合を介して脱水縮合したホモオリゴ糖と、少なくとも2種類以上の単糖類及び/又は糖アルコールが、2〜10分子グリコシド結合を介して脱水縮合したヘテロオリゴ糖とに大別される。オリゴ糖(C1)としては、例えば、二糖類乃至十糖類が挙げられ、通常、二糖類乃至六糖類のオリゴ糖が使用される。オリゴ糖は、通常、常温で固体である。なお、これらのオリゴ糖は、無水物でもよい。また、オリゴ糖において、単糖類と糖アルコールとが結合していてもよい。なお、オリゴ糖は複数の糖成分で構成されたオリゴ糖組成物であってもよい。このようなオリゴ糖組成物であっても単にオリゴ糖という場合がある。オリゴ糖(又はオリゴ糖組成物)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
二糖類としては、トレハロース(例えば、α,α−トレハロース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロースなど)、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオースなどのホモオリゴ糖;ラクトース、スクロース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
三糖類としては、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオースなどのホモオリゴ糖;マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトスクロース、ラフィノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
四糖類としては、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなどのホモオリゴ糖;スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
これらの四糖類のうち、パノースの還元末端に単糖類又は糖アルコールが結合したテトラオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなどの単糖類や、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが結合したテトラオースが例示できる。
五糖類としては、マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどのホモオリゴ糖;パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、スクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類が結合したペンタオースが例示できる。
六糖類としては、マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどのホモオリゴ糖などが挙げられる。
オリゴ糖は、有機固体成分との溶融混練性の観点から、少なくとも四糖類で構成されているのが好ましい。
オリゴ糖は、多糖類の分解により生成するオリゴ糖組成物であってもよい。オリゴ糖組成物は、通常、四糖類を含んでいる。オリゴ糖組成物としては、例えば、デンプン糖(デンプン糖化物)、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などが挙げられる。
例えば、デンプン糖は、デンプンに酸又はグルコアミラーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、複数個のグルコースが結合したオリゴ糖の混合物であってもよい。デンプン糖としては、例えば、東和化成工業(株)製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の含有量90重量%以上)などが挙げられる。
ガラクトオリゴ糖は、ラクトースにβ−ガラクトシダーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、ガラクトシルラクトースとガラクトース−(グルコース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
カップリングシュガーは、デンプンとスクロースにシクロデキストリン合成酵素(CGTase)を作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、(グルコース)n−スクロースの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
フルクトオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)は、砂糖にフルクトフラノシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、スクロース−(フルクトース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
これらのオリゴ糖組成物において、溶融混練での急激な粘度低下を防止するため、オリゴ糖組成物中の三糖類、四糖類(特に四糖類)の含有量は、例えば、60重量%以上(60〜100重量%)、好ましくは70重量%以上(70〜100重量%)、さらに好ましくは80重量%以上(80〜100重量%)、特に90重量%以上(90〜100重量%)であってもよい。
オリゴ糖は還元型(マルトース型)であってもよく、非還元型(トレハロース型)であってもよいが、還元型のオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。
還元型のオリゴ糖としては、遊離のアルデヒド基又はケトン基を有し、還元性を示す糖であれば、特に限定されず、例えば、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどの二糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオースなどの三糖類;マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、セロテトラオース、リキノースなどの四糖類;マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどの五糖類;マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどの六糖類などが挙げられる。
一般的に、前記オリゴ糖は、天然物である多糖類の誘導体あるいはそれらの還元によって製造される天然物由来の製造物であるため、環境への負荷を低減できる。
混練により、効果的に有機固体成分と助剤成分とを分散させるためには、オリゴ糖の粘度は高いのが望ましい。具体的には、B型粘度計を用いて温度25℃で測定したとき、オリゴ糖の50重量%水溶液の粘度は、例えば、1〜500Pa・s、好ましくは2〜250Pa・s(例えば、3〜100Pa・s)、さらに好ましくは4〜50Pa・s(例えば、6〜50Pa・s)程度である。
また、オリゴ糖(C1)の融点又は軟化点は、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度(例えば、有機固体成分(A)の融点又は軟化点、JISK7206で規定されるビカット軟化点)より高いのが好ましい。なお、融点又は軟化点を示さず、熱分解するオリゴ糖[例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など]では、分解温度をオリゴ糖の「融点又は軟化点」としてもよい。
オリゴ糖の融点又は軟化点は、有機固体成分(A)の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。なお、一般にオリゴ糖の無水物は、高い融点又は軟化点を示す。オリゴ糖の融点又は軟化点と、有機固体成分(A)の熱変形温度との温度差は、例えば、1〜80℃、好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは15〜60℃程度である。
また、水溶性マトリックス成分は、さらに前記オリゴ糖を可塑化するための水溶性可塑化成分(C2)を含んでいてもよい。オリゴ糖(C1)と水溶性可塑化成分(C2)とを組み合わせると、有機固体成分(A)との混練において、水溶性マトリックス成分(C)の粘度を調整できる。
(C2)水溶性可塑化成分
水溶性可塑化成分(C2)としては、オリゴ糖(C1)が水和して水飴状態となる現象を発現できるものであればよく、例えば、糖類、糖アルコールなどが使用できる。これらの可塑化成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(a)糖類糖類としては、オリゴ糖(C1)を有効に可塑化するために、通常、単糖類及び/又は二糖類が使用される。これらの糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
単糖類としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコースなどが挙げられる。これらの化合物は、アルドースやケトースであってもよく、ジアルドース(糖の誘導体であって炭素鎖両末端がアルデヒド基である化合物、例えば、テトラアセチルガラクトヘキソジアルドース、イドヘキソジアルドース、キシロペントジアルドース等)、複数のカルボニル基を有する単糖類(オソン、オノース等のアルドアルコケトース等)、メチル基を有する単糖類(アルトロメチロースなどのメチル糖等)、アシル基(特にアセチル基などのC2-4アシル基等)を有する単糖類(前記アルドースのアセチル体、例えば、アルデヒドグルコースペンタアセチル化合物などのアセチル体など)、カルボキシル基が導入された糖類(糖酸またはウロン酸等)、チオ糖、アミノ糖、デオキシ糖などであってもよい。
このような単糖類の具体例としては、例えば、テトロース(エリトロース、トレオロース等)、ペントース(アラビノース、リボース、リキソース、デオキシリボース、キシロース等)、ヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、フコース、ラムノース、タロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン等)などが例示できる。
また、単糖類は、ヘミアセタール結合により環状構造を形成した環状異性体であってもよい。単糖類は、旋光性を有している必要はないが、D形、L形、DL形のいずれであってもよい。これらの単糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
二糖類としては、オリゴ糖(C1)を可塑化できるものであれば、特に制限されず、例えば、前記二糖類のうち、低融点または低軟化点を有する二糖類(例えば、ゲンチオビオース、メリビオース、トレハロース(二水化物)など)、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類に相当する二糖類(例えば、グルクロン酸とグルコースとがα−1,6グリコシド結合したグルクロノグルコースなどのアルドビオウロン酸など)が例示できる。
糖類は、熱安定性に優れるため、還元糖が好ましく、そのような糖類としては、遊離の単糖類の他、前記二糖類のうち、低融点又は低軟化点の還元糖(例えば、ゲンチオビオース、メリビオースなど)が挙げられる。
(b)糖アルコール
糖アルコールとしては、アルジトール(グリシトール)などの鎖状糖アルコールであってもよく、イノシットなどの環式糖アルコールであってもよいが、通常は、鎖状糖アルコールが使用される。これらの糖アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状糖アルコールとしては、テトリトール(トレイトール、エリスリトールなど)、ペンチトール[ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール、リキシトールなど]、ヘキシトール[ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、アロズルシトール(アリトール)、アルスリトール]、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、及びドデキトールなどが挙げられる。
これらの糖アルコールのうち、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール、マンニトールなどが好ましい。糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、およびソルビトールから選択された少なくとも1つの糖アルコールを含む場合が多い。
可塑化成分(C2)は、常温(例えば、15〜20℃程度)で液体(シロップ状)であってもよいが、取扱い性などの点から、通常、固体である場合が多い。マトリックス成分(C)をオリゴ糖(C1)と可塑化成分(C2)とで構成すると、オリゴ糖(C1)が明瞭な融点や軟化点を示さない熱分解性オリゴ糖であっても、有効に可塑化又は軟化できる。
可塑化成分(C2)の融点又は軟化点は、通常、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度(例えば、有機固体成分(A)の融点又は軟化点、JISK7206で規定されるビカット軟化点)以下である。なお、可塑化成分の中には、高融点(例えば200℃以上)を有するにも拘わらず、オリゴ糖と共存すると、実際の融点よりも低い温度で融解する物質が存在する。例えば、ペンタエリスリトールは、実際の融点(260℃)より低温(例えば160〜180℃程度)でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮するとともに、自身も融解状態となる。このような高融点の可塑化成分は、単独では有機固体成分(樹脂成分など)の熱変形温度において融解しないため利用できないが、オリゴ糖と組み合わせることによって有効に利用できる。
なお、実際の融点より低温でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮する可塑化成分(例えば、ペンタエリスリトールなど)においては、オリゴ糖に対して可塑化効果を発揮する温度を、可塑化成分(C2)の「融点又は軟化点」としてもよい。
マトリックス成分(C)の融点又は軟化点は、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度以上であってもよく、熱変形温度以下であってもよい。有機固体成分(A)及びマトリックス成分(C)は、少なくとも混練温度(又は成形加工温度)において溶融又は軟化すればよい。例えば、マトリックス成分(C)の融点又は軟化点と、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度との温度差は、0〜100℃の範囲で選択してもよく、例えば、3〜80℃(例えば3〜55℃)、好ましくは5〜60℃(例えば、5〜45℃)、さらに好ましくは5〜40℃(例えば、10〜35℃)程度であってもよい。なお、マトリックス成分(C)の融点又は軟化点と、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度との温度差が小さい場合(例えば前記温度差が0〜20℃程度である場合)、固化速度の高いマトリックス成分(C)(例えば、糖成分)により短時間で分散形態を固定化できるという利点がある。
さらに、マトリックス成分(C)(例えば、オリゴ糖(C1)と可塑化成分(C2)とを含む成分)のメルトフローレートは、例えば、有機固体成分(樹脂成分など)(A)の熱変形温度(例えば、有機固体成分(A)の融点又は軟化点、前記ビカット軟化点)より30℃高い温度でJISK7210で規定されるメルトフローレートを測定したとき、1以上(例えば、1〜40程度)、好ましくは5以上(例えば、5〜30程度)、さらに好ましくは10以上(例えば、10〜20程度)であってもよい。
マトリックス成分(C)において、可塑化成分(C2)の割合(重量比)は、溶融混練に伴って、可塑化成分が凝集などにより局在化せず、オリゴ糖(C1)を効率的に可塑化できる量、例えば、オリゴ糖(C1)/可塑化成分(C2)=99/1〜50/50から選択でき、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは90/10〜70/30程度である。
改質剤(B)を含む有機固体成分(A)(又は前記組成物)とマトリックス成分(C)との割合(重量比)は、有機固体成分及びマトリックス成分の種類や粘度などに応じて選択でき、特に制限されないが、通常、成形性を損なわない量、例えば、改質剤(B)を含む有機固体成分(A)/マトリックス成分(C)=55/45〜1/99、好ましくは50/50〜5/95、さらに好ましくは45/55〜10/90程度である。
[有機固体粒子の製造方法]
本発明の粒子は、前記のように、好適には改質剤(B)を含む有機固体成分(A)と、マトリックス成分(C)とを溶融混合することにより得られる分散体から、マトリックス成分(C)を溶出することにより得られる元粒子を、さらに適切な温度で熱処理することにより得られる。以下、具体的に本発明の元粒子を製造する方法を記載する。
すなわち、有機固体成分(A)と、改質剤(B)と、マトリックス成分(C)とを単に使用しても、本発明の粒子を(効率よく)得ることができない。例えば、有機固体成分と改質剤とを単に混合(ドライブレンドなど)すると、有機固体成分に対して高い密着力又は結合力で改質剤を付着させることができない。また、代表的な方法として、有機固体成分(A)と改質剤(B)とマトリックス成分(C)とを混合(例えば、溶融混合)すると、(i)有機固体成分(A)とマトリックス成分(C)との両方に改質剤(B)が分配された分散体、(ii)改質剤(B)が分散相を形成した分散体、(iii)改質剤(B)を含まない分散相が形成された分散体などが得られる。しかも、前記(A)〜(C)成分を単に溶融混合しても、有機固体成分(A)の表面に改質剤を移行又は分配させることができなかったり、逆に有機固体成分の内部に完全に改質剤が取り込まれたりして、改質剤の機能(又は改質効果)を有機固体成分又は有機固体粒子に十分に付与できない場合がある。
そこで、本発明では、予め改質剤(B)を含む有機固体成分(A)を調製し、この有機固体成分(A)と改質剤(B)とを含む組成物(例えば、樹脂組成物)と、マトリックス成分(C)とを混合することにより、改質剤(B)を有機固体成分(A)で構成された分散相(特に分散相のみ)に効率よく分配させる。このような方法により、分散相において、効率よくかつ確実に有機固体成分の少なくとも表面に改質剤を存在させることができ、有機固体成分又は有機固体粒子に、改質剤の機能を有効に付与でき、かつ、この有機固体粒子を適切な温度で熱処理したときの効果を最大限得ることが出来る。
(改質剤(B)を含む有機固体成分(A))
改質剤(B)を含む有機固体成分(A)(又は組成物、以下、単に組成物ということがある)は、有機固体成分(A)に改質剤を含有させることができれば特に限定されず、有機固体成分(A)が樹脂などである場合には、有機固体成分の合成過程(例えば、重合過程)において改質剤(B)を添加する方法などにより調製してもよいが、通常、有機固体成分(A)の少なくとも表面に改質剤を移行させるという観点から、有機固体成分(A)と改質剤(B)とを混合して調製する場合が多い。
混合方法としては、慣用の方法、例えば、両成分(成分(A)および成分(B))をドライブレンドする方法、両成分を溶融混合(溶融ブレンド)する方法、両成分を溶媒に溶解(又は分散)して溶媒を除去する方法などを利用できる。特に、有機固体成分(A)と改質剤(B)との溶融混合物(又は溶融混練物)は、有機固体成分と改質剤とを効率よく均一に混合しやすく、また、有機固体成分の内部に存在する改質剤を熱処理などによりブリードアウトさせるという観点からも好適に使用できる。
有機固体成分(A)と改質剤(B)との溶融混合(溶融混練)は、改質剤の種類などに応じて、有機固体成分および改質剤のうち、少なくとも一方を溶融させることにより行うことができ、通常、少なくとも有機固体成分(特に有機固体成分(A)および改質剤(B))を溶融させて行うことが多い。溶融混練は、慣用の混練機(例えば、単軸もしくは二軸スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロール、バンバリーミキサーなど)を用いて行なうことができる。溶融混練は、これらの混練機(又は混合機又は分散機)を、単独で又は2種以上組み合わせて行ってもよい。
溶融混練において、混練温度は、有機固体成分の融点又は軟化点などに応じて調整でき、例えば、120〜300℃、好ましくは130〜280℃、さらに好ましくは150〜260℃(例えば、160〜240℃)程度であってもよい。なお、架橋剤などを改質剤として用いる場合には、改質剤が変質(反応)しない温度で混練してもよい。混練時間や攪拌速度(回転速度)は、溶融混練に供する両成分の形状や混練機の種類などに応じて適宜選択でき、例えば、混練時間は、例えば、10秒〜2時間、通常30秒〜1時間、好ましくは1〜40分(例えば、3〜20分)程度であってもよい。
なお、混練効率を高めるため、溶融混練に先だって、有機固体成分(A)と改質剤(B)とを、混練機又は混合機(例えば、ヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、リボンミキサーなどのミキサー、ボールミルなど)などを用いて、予備混合又は予備混練してもよい。また、溶融混練に供する有機固体成分(A)及び/又は改質剤(B)の形状は、粉粒状、ペレット状などであってもよく、例えば、凍結粉砕機などを用いて粉粒状に加工した粉粒状物であってもよい。また、溶融混練に供する改質剤(B)は、有機固体成分(A)を含むマスターバッチであってもよい。
なお、前記溶融混練物は、少なくとも改質剤(B)の全てが有機固体成分(A)と溶融混練されていればよく、全ての有機固体成分(A)と全ての改質剤(B)とを含む溶融混練物であってもよく、改質剤(B)を含む有機固体成分(A)のマスターバッチと残りの有機固体成分(A)とで構成された混合物であってもよい。特に、有機固体成分(A)の少なくとも表面に改質剤を存在させるという観点から、予め全ての有機固体成分と全ての改質剤とを溶融混合した溶融混合物を調製するのが好ましい。前記組成物(マトリックス成分との溶融混合に供する組成物)の形状は、特に限定されず、粉粒状、ペレット状などであってもよく、特に粉粒状であってもよい。粉粒状の組成物において、組成物の平均粒子径は、例えば、例えば、0.1μm〜5mm(例えば、0.3μm〜1mm、好ましくは0.5〜300μm(例えば、1〜200μm)、さらに好ましくは2〜100μm程度であってもよい。
(マトリックス成分(C)との溶融混合)
そして、本発明では、上記のようにして調製した組成物(改質剤(B)を含む有機固体成分(A))とマトリックス成分(C)とを溶融混合(溶融混練)することにより分散体を調製できる。なお、組成物とマトリックス成分との溶融混合(溶融混練)は、改質剤の種類などに応じて、少なくとも一方を溶融させることにより行うことができ、特に組成物およびマトリックス成分を溶融させて行うことが多い。また、前記のように、改質剤(B)を含む有機固体成分(A)のマスターバッチと、残りの有機固体成分(A)と、マトリックス成分(C)とを溶融混合してもよい。溶融混合は、前記組成物の調製と同様に行うことができ、慣用の混練機(例えば、単軸もしくは二軸スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロール、オープンロール混練機など)を用いて行なうことができる。また、前記と同様に、混練に先立ち、各成分を、予め凍結粉砕機などで粉体状に予備加工したり、前記組成物とマトリックス成分とをヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、ボールミルなどで予備混練してもよい。
溶融混練した組成物(分散体)は、塊状などであってもよいが、マトリックス成分を除去するという観点から、通常、成形(予備成形)に供されて、予備成形体を形成する場合が多い。溶融混練物(組成物、分散体)の成形法としては、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などが挙げられ、通常、生産性や加工の容易さの点から、押出成形又は射出成形が使用される。予備成形体(又は分散体)の形状は、特に制限されず、0次元的形状(粒状、ペレット状など)、1次元的形状(ストランド状、棒状など)、2次元的形状(板状、シート状、フィルム状など)、3次元的形状(管状、ブロック状など)などであってもよい。マトリックス成分の溶出性を考慮すると、ストランド状、棒状、シート状、フィルム状などに加工(成形)することが望ましい。
なお、混練温度や成形加工温度は、使用される原材料(例えば、有機固体成分、マトリックス成分)に応じて適宜設定することが可能であり、例えば、90〜300℃、好ましくは110〜260℃(例えば、130〜250℃)、さらに好ましくは140〜240℃(例えば、150〜240℃)、特に170〜230℃(例えば、180〜220℃)程度である。マトリックス成分(例えば、オリゴ糖および可塑化成分)の熱分解を避けるため、混練温度や成形加工温度を230℃以下(例えば、160〜220℃程度)にしてもよい。また、混練時間は、例えば、10秒〜1時間の範囲から選択してもよく、通常30秒〜45分、好ましくは1〜30分(例えば、3〜20分)程度である。
混練及び/又は成形加工により得られた溶融物(例えば、予備成形体)は、必要により適宜冷却してもよい。溶融物を冷却すると、分散相と連続相とを効率よく形成できる。また、冷却すると、溶融状態において、有機固体成分(A)及び改質剤(B)と、マトリックス成分(C)とが相溶していても、冷却に伴って、表面張力、結晶化などの固化速度の相違などにより分散相を形成できる。
冷却温度は、有機固体成分(A)の熱変形温度、又はマトリックス成分(C)の融点若しくは軟化点よりも少なくとも10℃程度低い温度であればよく、例えば、上記温度(有機固体成分の熱変形温度、又はマトリックス成分の融点若しくは軟化点)より10〜100℃程度低い温度、好ましくは前記温度より15〜80℃程度低い温度、さらに好ましくは前記温度より20〜60℃程度低い温度であってもよい。具体的には、冷却温度は、有機固体成分又は助剤成分の種類に応じて5〜150℃の範囲から選択でき、例えば、10〜120℃(例えば、10〜60℃)、好ましくは15〜100℃(例えば、15〜50℃)、さらに好ましくは20〜80℃(例えば、20〜40℃)程度であってもよい。冷却時間は、有機固体成分やマトリックス成分の種類、冷却温度等に応じて適宜設定でき、例えば、30秒〜20時間の広い範囲から選択してもよく、例えば、45秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間(例えば、1分〜1時間)、さらに好ましくは1.5〜30分程度であってもよい。
また、有機固体成分とマトリックス成分との相溶性、混練条件(例えば、混練時間、混練温度など)、成形加工温度、冷却条件(例えば、冷却時間、冷却温度など)などを調整することにより、分散相(又は粒子)の平均粒子径を変化させたり、粒度分布幅をさらに狭めることもできる。
このようにして得られた分散体は、マトリックス成分(C)が、海島構造における連続相を形成すると共に、有機固体成分(A)と改質剤(B)とで構成された分散相が独立して分散相を形成した相分離構造を有している。
前記分散体(又は有機固体粒子)において、分散相(又は有機固体粒子)の平均粒子径(例えば、数平均粒子径)は、特に制限されず、用途に応じて0.1μm〜1mm(例えば、0.1〜800μm)程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜500μm、好ましくは0.1〜100μm(例えば、0.2〜80μm)、さらに好ましくは0.3〜70μm(例えば、0.5〜50μm)、特に0.7〜30μm、通常1〜40μm(例えば、1〜20μm)程度であってもよい。また、分散相(又は有機固体粒子)の平均粒子径は、用途に応じて、例えば、0.1〜15μm(例えば、0.2〜12μm)、好ましくは0.5〜10μm(例えば、1〜8μm)程度であってもよい。
本発明では、分散相(又は有機固体粒子)の粒子サイズを均一にして最終的に得られる熱処理された有機固体粒子の粒度分布を小さくできる。分散相(又は有機固体粒子)の平均粒子径の変動係数(%)([粒子径の標準偏差/平均粒子径]×100)は、例えば、60以下(例えば5〜60程度)、好ましくは55以下(例えば、5〜55程度)、さらに好ましくは50以下(例えば、10〜50程度)であってもよい。
また、本発明の粒子の形状は、粒子状であればよく、例えば、球状、楕円体状、多角体状、角柱状、円柱状、棒状、不定形状などであってもよい。好ましい粒子の形状は、球状である。球状粒子には、真球状に限らず、例えば、長径と短径との長さ比が、例えば、長径/短径=1.5/1〜1/1程度である形状も含まれる。長径と短径との長さ比は、好ましくは長径/短径=1.3/1〜1/1(例えば、1.2/1〜1/1)、さらに好ましくは1.1/1〜1/1程度であってもよい。
そして、このような粒子は、熱処理する前の元粒子として、分散体からマトリックス成分を速やかに溶出又は抽出することにより、前記分散相(有機固体成分と改質剤とを含む分散相)から得ることができる。
[元粒子の分離方法]
本発明では、前記分散体(例えば、予備成形体)から、マトリックス成分(C)を除去し、有機固体成分(A)と改質剤(B)とで構成された元粒子(有機固体粒子)を製造し、この元粒子を適切な温度で熱処理することにより粒子を製造する。
マトリックス成分の除去方法は、マトリックス成分を除去できる限り限定されないが、通常、前記分散体から、マトリックス成分を溶出する場合が多い。マトリックス成分(C)の溶出(又は洗浄)に用いる溶媒は、分散相を溶解せず、かつマトリックス成分を溶解可能な溶媒であればよく、マトリックス成分の種類に応じて適宜選択できる。特に、マトリックス成分が、水溶性である場合には、溶出のための溶媒として、水性溶媒(又は水性媒体)、例えば、水、水溶性溶媒[例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エーテル類(セロソルブ、ブチルセロソルブなど)など]などを用いることができる。これらの水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。環境への負荷が少なく、工業コストを低減できるため、溶出溶媒として水(特に水単独)を用いるのが好ましい。
マトリックス成分(C)の溶出は、慣用の方法、例えば、前記分散体(又は予備成形体)を、前記溶媒(特に、水性溶媒)中に浸漬、分散して、マトリックス成分を溶出または洗浄(溶媒に移行)することにより行うことができる。前記分散体(又は予備成形体)を溶媒中に浸漬すると、分散体のマトリックスを形成するマトリックス成分が徐々に溶出し、分散相(又は粒子又はケーク)が、溶出液中に分散される。マトリックス成分の分散及び溶出を促進するため、適宜、撹拌などを行ってもよい。
なお、改質剤(B)は、通常、マトリックス成分(C)(特に、水溶性のマトリックス成分)に比べて有機固体成分(A)(特に、疎水性有機固体成分)に対する親和性が高いため、マトリックス相(マトリックス成分(C)及び溶媒)側に実質的に分配されずに、分散相(分散粒子)に分配することができ、改質剤の利用効率を高めることができるため、工業的にも有利である。特に、改質剤として、有機固体成分(A)に対する親和性の度合いが大きい改質剤を用いると、分散相への改質剤の分配率をより一層高めることもでき、溶出液中の改質剤含量を大幅に(実質的に0にまで)低減することもでき、環境負荷も低減できる。
マトリックス成分は、例えば、加圧下において、溶出させてもよいが、通常、常圧下(例えば、10万Pa程度)又は減圧下において溶出できる。また、マトリックス成分の溶出温度は、有機固体成分及びマトリックス成分の種類に応じて、適宜設定することができ、通常、有機固体成分の融点又は軟化点未満の温度、例えば10〜100℃、好ましくは25〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃(例えば、40〜80℃)程度である。特に、マトリックス成分としてのオリゴ糖(又は少なくともオリゴ糖で構成されたマトリックス成分)は、水性溶媒(特に水)に易溶であるため、大量の水性溶媒を必要としない。また、オリゴ糖は、低分子量であるため、得られる溶出液の粘度も低く、容易に回収できる。
有機固体粒子は、慣用の分離(回収)方法、例えば、濾過、遠心分離などを用いて前記粒子が分散された分散液から回収できる。得られた有機固体粒子中には、マトリックス成分が実質的に残留していないことが望ましいが、例えば、洗浄過程のコスト削減などの点から、マトリックス成分が粒子に少量残存していても、得られた粒子に与える悪影響は小さく、特に、オリゴ糖で構成されたマトリックス成分は天然物由来の化合物(食品又は食品添加物なども含む)であるため、安全性も高い。なお、有機固体粒子におけるマトリックス成分(C)の割合は、例えば、3重量%以下であってもよい。
なお、溶媒で溶出又は抽出されたマトリックス成分は、慣用の分離手段(例えば、蒸留、濃縮、再結晶、乾燥(フリーズドライ)など)を用いて回収できる。
(熱処理)
本発明では、このようにして得られた有機固体粒子を熱処理することにより粒子を製造する。熱処理は、有機固体粒子同士が融着する温度より低い温度で行えば良いが、有機固体粒子を構成する有機固体成分(A)が結晶性樹脂であるか、非晶性樹脂であるか、また有機固体成分(A)の融点やガラス転移点温度、さらに改質剤(B)の融点などを勘案し、適切な温度を選定することが出来る。例えば、有機固体粒子を構成する有機固体成分(A)が結晶性樹脂である場合、熱処理温度は、好ましくは有機固体成分(A)のガラス転移点温度以上で、かつ有機固体成分の融点未満であり、さらに好ましくは有機固体成分(A)のガラス転移点温度以上で、かつ有機固体成分の融点より5℃以上低い温度、より好ましくは有機固体成分(A)のガラス転移点温度以上で、かつ有機固体成分の融点より10℃以上低い温度である。有機固体粒子を構成する有機固体成分(A)がガラス転移点温度を有する非晶性樹脂である場合、熱処理温度は、好ましくは有機固体成分(A)のガラス転移点温度未満、さらに好ましくは有機固体成分のガラス転移点温度(A)より5℃以上低い温度、より好ましくは有機固体成分(A)のガラス転移点温度より10℃以上低い温度である。
また改質剤(B)が融点を有する成分の場合、熱処理温度は、好ましくは改質剤(B)の融点以上、さらに好ましくは改質剤(B)の融点より2℃以上高い温度、より好ましくは改質剤(B)の融点より5℃以上高い温度である。
熱処理を行う時間は、熱処理温度と同様に有機固体成分(A)、改質剤(B)の諸物性や、あるいは粒子の製造効率などを考慮して任意に選択することが出来るが、発明の効果を十分に発揮させることを勘案すると、好ましくは30分以上、さらに好ましくは60分以上、より好ましくは90分以上である。
なお、熱処理工程は、粒子の乾燥工程を兼ねることが出来る。
本発明の粒子は、有機固体成分の表面に確実に改質剤が存在しているためか、粒子同士の凝集力が著しく小さい。そのため、粒子として再分散させて用いる場合における分散性(再分散性)に優れている。なお、本発明粒子は、必要に応じて、分級などの手段により、粒子サイズを揃えてもよい。分級は、熱処理を行う前の元粒子に対して行っても、熱処理を施した後の粒子に対して行っても良い。
[ガラス転移点温度]
本発明のおいて結晶性樹脂成分(A)のガラス転移点温度と称されているものは熱示差走査熱量計(DSC)にてJIS K 7121で規定される測定方法を用いた場合に測定されるガラス転移点温度を示す。測定装置としては入力補償型装置であってもよく、また熱流束型であってもよい。
測定においては、予想される融点以上に昇温する操作を行い2回目の昇温時に観測された結晶融解の吸熱ピークより低い温度領域に現れるベースラインの吸熱側への変曲点(オンセット温度)を以って樹脂成分のガラス転移点温度とした。昇温速度としては20℃/分で測定を行うのが望ましい。測定に際しては、窒素でパージし、窒素流量としては40ml/分程度で測定するのが望ましい。
[融点]
本発明のおいて結晶性樹脂成分(A)の融点と称されているものは熱示差走査熱量計(DSC)にてJIS K 7121で規定される測定方法を用いた場合に測定される融解温度を示す。測定装置としては入力補償型装置であってもよく、また熱流束型であってもよい。
測定においては、予想される融点以上に昇温する操作を行い2回目の昇温時に観測吸熱ピークのピークトップ温度を、樹脂成分の融点とした。樹脂の種類や状態によっては微結晶の存在に起因して主たる融解ピークより低い温度に吸熱量の小さいピークが現れる場合があるが、この場合は、主融解ピークのピークトップ温度を融点とした。昇温速度としては20℃/分で測定を行うのが望ましい。測定に際しては、窒素でパージし、窒素流量としては40ml/分程度で測定するのが望ましい。
本発明では、改質剤の機能に応じて、種々の機能を有効に有機固体粒子(分散相、分散相粒子)に付与できる。
例えば、改質剤を滑剤で構成すると有機固体粒子(又は分散相又は有機固体成分)に優れた滑り性、伸展性、さらには触感などの機能を有効に付与できる。特に、高級脂肪酸やその誘導体(例えば、金属塩、エステル、アミドなど)などで改質剤(通常、固体状の滑剤)を構成すると、有機固体粒子に高い滑り性や伸展性を付与できるとともに、有機固体粒子におけるこれらの機能を持続させることができる。また、オイル(ポリシロキサンオイルなど)などの滑剤(通常、液状の滑剤)で改質剤を構成すると、有機固体粒子(特に樹脂粒子)に、しっとり感、ぬめり感といった触感を長期に亘って付与できる。そして、 このような滑剤を含む有機固体粒子は、滑剤を効率よく有機固体粒子表面に存在させることができるためか、粒子の凝集や密着を高いレベルで抑制又は防止でき、溶媒などに対する再分散性が高い。
また、改質剤を帯電防止剤で構成すると、有機固体粒子に帯電防止性を有効に付与できるため、ハンドリング性(取扱性)に優れた有機固体粒子を得ることができる。しかも、このような有機固体粒子は、付与された帯電防止性を持続できるとともに、小さい粒子径であっても、静電気などによる粉塵爆発を防止できる。
さらに、架橋剤で改質剤を構成すると、有機固体粒子表面に有効に架橋剤(例えば、エポキシ化合物)を存在させることができ、有機固体粒子に効率よく反応性を付与でき、表面改質性(又は表面反応性)に優れた有機固体粒子を得ることができる。また、分散相(又は有機固体粒子)の表面だけでなく内部にも架橋剤を存在させることができるため、有機固体粒子を架橋する場合には、架橋部位を偏在させることなく有効に架橋できる。
このような本発明の有機固体粒子は、改質剤の種類などに応じて、あらゆる分野又は用途に使用でき、例えば、化粧品、インクジェットプリントなどに使用されるインク(ポリマーインクも含む)や着色トナーなどの画像記録材料、塗料やコート剤(粉体塗装又はスラリー塗装用塗料など)、印刷インキの着色剤、選択的レーザー焼結(SLS)による3次元造形用の原料粉末などに有用である。また、有機固体粒子は、他の微粒子(例えば、無機微粒子など)との混合適性を改良するために使用してもよく、ブロッキング防止剤(例えば、成形体のブロッキング防止剤)、スペーサー(液晶スペーサーなど)、シート又はフィルム用添加剤、半導体のケミカルメカニカルポリッシング(CMP)用の研磨剤などとしても使用できる。
また、農薬、医薬、塗料(例えば、粉体塗料、船底用塗料など)、コーティング剤、接着剤などのファインケミカル分野における原料又は添加剤などとしても有用である。さらに、農林水産業用、土木用及び建設用フィルムやシートなどに対する添加剤、使い捨てオムツなどの衛生用品材料、生体内分解吸収性を必要とする医用素材、徐放性を必要とする徐放性材料などとしても利用できる。
特に、顔料、染料などの着色剤、電荷制御剤、帯電防止剤などを含有した粒子は、耐オフセット性に優れたトナー用の粒子などに利用できる。また、改質剤として化粧品に使用可能な物質を用いた粒子は、ファンデーション、口紅、白粉、頬紅、アイシャドー、マスカラ、毛髪用スプレーなどの化粧品用途に好適に用いることができる。化粧品用途に用いる場合は、例えば、紫外線吸収能を有する化合物や着色剤を含んだ他の粒子を用い、複合化した用途も提案できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜7
ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製、「FM型20L」)を用いて、表1に示す組成で、樹脂(A)と改質剤(B)とを予備混合した後、ブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)を用いて、表1に示す混練温度および回転速度50rpmで10分間溶融混合(溶融混練)し、冷却して塊状の樹脂組成物(溶融混合物)を得たのち、約5mm角に裁断した。
続いて、表1に示す組成で、得られた樹脂組成物(裁断物)及びマトリックス成分(C)をブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)を用いて、表1に示す混練温度および回転速度50rpmで10分間溶融混合(溶融混練)し、冷却して塊状の分散体を得たのち、約5mm角に裁断した。
得られた分散体(裁断物)を、25℃の純水中に浸漬し、樹脂粒子の懸濁溶液を得た。メンブレン膜(孔径0.45μm,ポリビニリデンフルオライド製)を用いて、前記懸濁液から不溶分を濾別し樹脂の微粒子を回収した。回収した微粒子を微粒子に対して重量比で20倍の蒸留水中に分散し、超音波槽において5分間超音波処理して懸濁液を得た。その後、再びメンブレン膜(孔径0.45μm,ポリビニリデンフルオライド製)を用いて、前記懸濁液から不溶分を濾別し、樹脂粒子を回収した。
回収した樹脂粒子を、熱風乾燥機中に放置して、35℃で24時間乾燥し、その後、メノウ乳鉢とすり棒とを用いて、目視で凝集した部分がなくなるまで粉砕した。
続いて、得られた樹脂粒子を、表1に示す条件で乾燥機中にて、アニール処理を行った。 得られた樹脂粒子の各特性を表1に示す。なお、各特性は、下記に示す方法で評価又は測定した。
比較例1〜3
得られた樹脂粒子の熱処理(アニール処理)を行わないこと以外は、実施例1〜7と同様の方法にて樹脂粒子を得た。したがって、熱処理する以外は比較例1は実施例1および2と同様であり、また比較例2は実施例3〜7と同一である。なお、各特性は、下記に示す方法で評価又は測定した。
(樹脂成分の融点及びガラス転移点温度)
樹脂成分4〜8mgをアルミニウム製のパンに取り、アルミニウム製の蓋をして示差走査熱量計(DSC)測定に供した。以下の測定条件にて測定を行い2回目の昇温時に観測された吸熱ピークのピークトップ温度を、樹脂成分の融点とした。樹脂の種類や状態によっては微結晶の存在に起因して主たる融解ピークより低い温度に吸熱量の小さいピークが現れる場合があるが、この場合は、主融解ピークのピークトップ温度を融点とした。
また、結晶融解の吸熱ピークより低い温度に現れる吸熱側への変曲点(オンセット温度)を以って樹脂成分のガラス転移点温度とした。
使用機器:セイコーインスツル(株)製DSC6200R
昇温速度:20℃/分
降温速度:20℃/分
測定温度域:23〜220℃
窒素還流:40ml/分
(粒子の外観および平均粒子径)
得られた粒子を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、FE−SEM、JSM−6700F)により観察し、表面形状及び全体形状の写真を得た。得られた走査型電子顕微鏡写真を用い、写真上に少なくとも200個の粒子が含まれるように任意のサイズの長方形を描き、その長方形内に存在する全粒子の真球換算時の粒子径を採寸した。得られた少なくとも200個の粒子径より、体積平均粒子径および数平均粒子径を得た。
(粒子の凝集力及び伸展性)
得られた樹脂粒子1gを、直径20mmの円状の型枠を用いて円柱状のタブレット(直径20mm、高さ3〜5mm)に成形した。成形は23℃で行い、油圧式の手動ポンプを用い、圧力60MPaまで加圧後2分間静置することによりタブレットを得た。
得られたタブレットを用い、引張圧縮試験機(テンシロンUCT−5、東洋精機(株)製)を用い、圧縮試験時の歪み−応力曲線を得た。圧縮試験は、直径250mmのステンレス製の台座上にタブレットを置き、圧縮冶具として直径250mmのアルミニウム製の円盤、最大荷重500kgf(500×9.8N)のロードセルを用い、圧縮速度1mm/分、サンプリングレート1μmの条件で測定を行った。
上記測定により採取した歪み−応力曲線より下記数値を算出し、粒子の凝集力及び伸展性の指標とした。
粒子の凝集力:歪み−応力曲線上で、応力が上昇から下降に移行する最初の点を上降伏点とし、このときの応力(上降伏点応力)をタブレットの降伏点、すなわち凝集が崩れ粒子の流動が始まる点として、粒子の凝集力の指標の一つとして用いた。また、上降伏点に至るまでの、歪み応力曲線の直線部分の傾き(見かけの弾性率)より、下記に示す式を用いて体積弾性率を算出し、粒子の凝集力の別の指標とした。
体積弾性率K=E(*)×L0/A
(式中、E(*)は見かけの弾性率、L0はタブレットの厚み(mm)、Aはタブレットの底面積(mm2)を示す。)
粒子の伸展性:上記の上降伏点以降において、応力が最も小さくなる点を下降伏点とし、このときの応力(下降伏点応力)を、粒子を流動させるときに要する初期応力として、粒子の伸展性の指標として用いた。
なお、表1に記号で記載されている成分は下記の通りのものを用いた。
(A)樹脂
樹脂1:ナイロン12樹脂(ダイセル・デグサ(株)製、ダイアミドL1640)
樹脂2:ポリスチレン樹脂(東洋スチレン(株)製、GPPSG100C)
(B)改質剤
B1−1:エチレンビスステアリン酸アミド(花王(株)製、KAO−WAXEB−P)B1−2:ステアロミドエチルステアレート(富岡化学(株)製、SAS、白色粉末)
(C)マトリックス成分
(C1)オリゴ糖
C1−1:デンプン糖(東和化成工業(株)製、還元デンプン糖化物PO−10、50%水溶液粘度0.55Pa・sec)
(C2)水溶性可塑化成分
C2−1:糖アルコールソルビトール(東和化成工業(株)製、ソルビット、融点103℃)。
結果を表1に示す。
Figure 2007291169
実施例1、2と比較例1の比較、及び実施例3〜6と比較例2の比較、及び実施例7と比較例3の比較から、いずれも熱処理を行うことにより粒子機能の向上が達成できることが明らかである。

Claims (13)

  1. 溶融可能な有機固体成分(A)と、この有機固体成分(A)を改質するための改質剤(B)とで構成されている元粒子を、該元粒子が熱により融着する温度より低い温度で熱処理することにより得られる有機固体成分(A)からなる粒子。
  2. 有機固体成分(A)が樹脂成分で構成されている請求項1記載の粒子。
  3. 有機固体成分(A)が結晶性樹脂であり、熱処理する温度が、有機固体成分(A)のガラス転移点温度以上かつ、融点未満である請求項2記載の粒子。
  4. 有機固体成分(A)が非晶性樹脂であり、熱処理する温度が、有機固体成分(A)のガラス転移点温度未満である請求項2記載の粒子。
  5. 熱処理する温度が、元粒子が熱により融着する温度より低く、かつ改質剤(B)の融点以上である請求項1記載の粒子。
  6. 有機固体成分(A)が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基、オキシアルキレン基、エステル基、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基、およびアミド基から選択された少なくとも1種の極性基を有する樹脂で構成されている請求項1記載の粒子。
  7. 改質剤(B)が、滑剤、帯電防止剤および架橋剤から選択された少なくとも1種で構成されている請求項1記載の粒子。
  8. 改質剤(B)が、親水性基および疎水性基を有する両親媒性の改質剤である請求項1記載の粒子。
  9. 改質剤(B)が、脂肪酸系ワックスおよび帯電防止剤から選択された少なくとも1種で構成されている請求項1記載の粒子。
  10. 改質剤(B)が、脂肪酸アミドで構成されている請求項1記載の粒子。
  11. 改質剤(B)の割合が、有機固体成分(A)100重量部に対して、0.001〜100重量部である請求項1記載の粒子。
  12. 元粒子が溶融可能な有機固体成分(A)と、この有機固体成分(A)を改質するための改質剤(B)とで構成された分散相が、マトリックス成分(C)で構成されたマトリックスに分散している分散体から、マトリックス成分(C)を溶出することにより得られる粒子であり、改質剤(B)を含む有機固体成分(A)と、マトリックス成分(C)との割合(重量比)が、前者/後者=55/45〜1/99である請求項1記載の粒子。
  13. 改質剤(B)を含む有機固体成分(A)からなる分散相が、有機固体成分(A)と改質剤(B)とを予め溶融混合物したものである請求項12記載の粒子。
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