JP5204984B2 - 樹脂粒子およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、圧縮により容易に変形し、かつ永久変形しやすく、また耐熱性、耐薬品性に優れる樹脂粒子、およびこのような樹脂粒子を形成するための熱可塑塑性エラストマー(特に、ブロック共重合体高分子)であっても樹脂粒子を製造できる方法に関する。
近年、積層回路基板用の部材や、各種スペーサー、あるいは化粧品用途向けなどに、使用方法の変更や新たな接合方法の開発などにより、加重により容易に変形し、かつ加重を取り去っても変形が回復しない軟質系の粒子が要望させてきている。
従来の一般的な高分子微粒子としては、モノマーの重合が樹脂粒子の生成に関与する方法で形成されてきた。このような方法で得られた軟質樹脂粒子は加重により変形し、加重を取り去った後に変形より回復する、所謂圧縮永久歪みの小さい粒子が用いられる。この様な性質を発現するのは、応力による変形が高分子鎖の形態エントロピーの減少に起因するためである。すなわちゴム弾性を示すものは、分子鎖が引き伸ばされるとエントロピーの低い状態になるが分子鎖の熱運動により元の状態に戻ろうとして弾性力を生じる。従って、高分子鎖間の結合形成(架橋)によって架橋構造を形成した場合は、ゴム弾性を示す樹脂粒子となる。
従来のモノマーの重合が樹脂粒子の生成に関与する方法で軟質な樹脂の粒子を得た場合は、重合方法の制限により、得られた樹脂粒子を軟質とする場合は後記の通り架橋高分子とするしかなかった。このため上記の通り、架橋されている高分子であるため必然的にゴム弾性が生じる。。
一方で、近年積層回路基板用の部材や、各種スペーサー、あるいは化粧品用途向けなど加重により容易に変形し、加重を取り去った後にも一定量の永久変形が残る粒子が求められている。すなわち応力緩和が大きい高分子からなる樹脂微粒子がこのような用途には適することになる。しかしながら、このような微粒子は提供されていなかった。
この理由としては、一つには、これらの粒子の使用方法が関係している。すなわち、これらの樹脂粒子は一般的に、マトリックスを形成する他の材料をバインダーとして複合的に用いられる。詳細には例えば、接着性を有するバインダーに樹脂粒子が分散された状態で用いられるような用途である。したがってこれらバインダーに用いられる多様な化学物質、特に溶剤やモノマー(架橋性のモノマーを含む)に対する耐性を要求される。そして、このような溶媒に対する不溶性を付与するためには高分子を架橋高分子にする方法が取られているためである。高分子の種類は多様であり、溶媒に対する不溶性や耐溶剤性を満たす高分子も多種存在するが、このような微粒子は提供されていなかった。
さらに用途に応じて様々な粒子径を持つ球状の粒子が求められるが、これらを全て満たす樹脂粒子を提供する手段は存在しなかった。
従来、樹脂粒子を製造する方法としては、機械的な粉砕法が利用されている。しかし、軟質樹脂の場合には、このような機械的粉砕法で粉砕できず、球状の樹脂粒子を得ることが困難であることに加え、球状粒子を得ることは不可能であり、また粒子径制御においても多大な制限がある。
機械的な粉砕に拠らずに熱可塑性樹脂を略球状の微粒子とする方法として、例えば特開昭60−13816号公報(特許文献1)には、ポリエチレングリコールと熱可塑性樹脂とを溶融撹拌した後に、水中に投入して両ポリマーを凝固させ、その後、水を用いて、ポリエチレングリコールを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が提案されている。
また、特開昭61−9433号公報(特許文献2)には、熱可塑性樹脂とポリエチレンオキサイドとを溶融撹拌した後に冷却させ、水を用いて、ポリエチレンオキサイドを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が開示されている。また、特開平9−165457号公報(特許文献3)には、ポリビニルアルコール系樹脂、変性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどの溶融形成可能な水溶性高分子と、熱可塑性樹脂とを混合して溶融成形物を得た後、水を用いて、成形物から水溶性高分子を除去する樹脂微粒子の製造方法が開示されている。
しかし、これらの方法においても、樹脂と水溶性高分子との組み合わせであるため、軟質な樹脂を粒子化したとしても、粒子の回収が困難である。すなわち、これらの技術では連続相として熱可塑性の水溶性高分子を用いている。このような水溶性高分子は極低濃度の水溶液であっても大きな粘性を示す。(極低濃度であっても水溶液の粘度が大きくなる。)そして、このような大きな粘性を示す水溶液のろ過には大きなろ過圧力を必要とする。
このため、これらの方法で得られた樹脂粒子の製造においては、連続相を形成する水溶性高分子と樹脂微粒子との分離において、多大な濾過圧力が必要となる。更には、軟質な樹脂粒子は柔らかく、濾過工程でケーキ効果が過剰に生じ、濾過効率が著しく低下し、水溶性高分子と軟質な樹脂からなる微粒子との濾別が実質的に不可能である。また、特にポリエチレンオキサイドは耐熱性に欠ける為、粒子化に高温での加工が必要となる高融点の樹脂すなわち、高耐熱性の樹脂の粒子化は困難である。
一方、特開200451942号公報(特許文献4)、特開2005−162841号公報(特許文献5)には、オリゴ糖を必須成分とする水溶性助剤成分を熱可塑性樹脂と溶融攪拌し、熱可塑性樹脂を分散相、水溶性助剤成分を連続相とする分散体を得た後に、水溶性助剤成分を水により除去して、熱可塑性樹脂の粒子を得る方法が開示されている。この方法においては、連続相に糖成分を用いるため、糖成分と軟質樹脂との溶融混合樹脂組成物を水で処理して糖成分を水に溶解させ、樹脂微粒子を回収する場合でも、液体媒体の溶液粘度が大きくなることはなく、軟質な樹脂からなる微粒子を回収するのに有用である。
しかし、この方法では、用いるオリゴ糖を必須成分とする水溶性助剤成分の耐熱性の問題から、特に高い加工温度を要求する高融点(高耐熱性)の熱可塑性エラストマーの粒子径が均一な(すなわちDw/DnやCV値が低い)微粒子の製造は困難であった。
特開昭60−13816号公報 特開昭61−9433号公報 特開平9−165457号公報 特開2004−51942号公報 特開2005−162841号公報
従って、本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性に優れる結晶性の樹脂粒子、及び当該樹脂粒子を効率よく製造できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、溶融混練により、所定の粒径を有する球状の樹脂粒子を高い再現性で製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、オリゴ糖を必須成分とする水溶性助剤成分を熱可塑性樹脂と溶融攪拌し、熱可塑性樹脂を分散相、水溶性助剤成分を連続相とする分散体を得た後に、水溶性助剤成分を水により除去して、熱可塑性樹脂の粒子を得る方法(以下記載の簡便化のため「強制乳化法」と略する場合がある。)においては、熱可塑性エラストマーからなる分散相を水溶性助剤成分を用いて水性溶媒で抽出してろ過する場合でも、ろ過時の圧力が不必要に高くなることが無く、軟質性高分子を容易に微粒子化できることを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明は、
イ)JIS K7171に準拠する方法で得られた曲げ弾性率が、500MPa以下、ロ)JIS K6262に準拠する方法で得られた70℃で測定された圧縮永久歪みが30%以上、
ハ)DSC法により測定された融点が、150℃以上
の条件を全て満たす結晶性の熱可塑性エラストマーと、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを溶融混練し、水溶性多糖類(A1)と水溶性可塑化成分(A2)とを溶出するものである。この方法で熱可塑性エラストマーを粒子化すると、樹脂粒子の生成にモノマーの重合及び室温で液体の液状媒体(水性又は油性液状媒体)が関与することなく、樹脂が軟質であり、かつ高耐熱性あっても(すなわち高融点であっても)、水溶性多糖類(A1)が好適に利用できる加工温度範囲で、球状の樹脂粒子が得られることを見いだし、本発明を完成した。
更に、本発明者らは、 結晶性の熱可塑性エラストマーを用いた場合には、エラストマーでありながらも応力緩和が大きくなり、圧縮永久歪みの大きい粒子となり、加重により容易に変形し、かつ加重を取り去っても変形が回復しない軟質系の粒子となることを見出し本発明を完成した。
そして本発明の樹脂粒子は、モノマーの重合(及び室温で液体の水性又は油性媒体)が粒子形成に関与することなく、少なくとも水溶性多糖類(A1)で構成された水溶性助剤のマトリックス中に樹脂が分散した分散体を水性溶媒で溶出することにより得られる。樹脂粒子の体積弾性率を20MPa以下とすることができる。この樹脂粒子は室温(15〜25℃)で固体である。樹脂粒子を構成する高分子は熱可塑性エラストマーであり、、ブロック共重合体高分子であってもよく、特には、結晶性ポリアミドエラストマーあるいは結晶性ポリエステルエラストマーであってもよい。
樹脂粒子の平均粒子径や粒度分布はコントロールできるため特に制限されず、例えば、数平均粒子径Dnが0.1〜20μmであり、かつ体積平均粒子径Dwと数平均粒子径Dnとの比Dw/Dnが2.0以下であってもよい。
本発明の樹脂粒子は、少なくとも水溶性多糖類(A1)で構成された溶融混練可能な水溶性助剤と、イ)JIS K7171に準拠する方法で得られた曲げ弾性率が、500MPa以下、JIS K6262に準拠する方法で得られた70℃で測定された圧縮永久歪みが30%以上、DSC法により測定された融点が150℃以上の、条件を全て満たす結晶性の熱可塑性エラストマー(結晶性のポリアミドエラストマーあるいは結晶性のポリエステルエラストマーなど)とを溶融混練し、軟質樹脂相が分散した分散体を生成させ、この分散体を水性溶媒で溶出することにより、前記軟質樹脂で構成された樹脂粒子を製造できる。水溶性助剤は、水溶性多糖類(A1)を可塑化可能な水溶性可塑化成分(A2)を含んでいてもよい。
また、水溶性多糖類(A1)が、オリゴ糖および少なくとも1つの環状構造を有する多糖類から選択された少なくとも一種で構成されている製造方法であってもよい。
なお、本明細書において、「高分子」「水溶性高分子」「プラスチック」「熱可塑性樹脂」という用語は「新版高分子辞典」(朝倉書店発行 高分子学会編:19988年11月25日初版)の定義による。但し、高分子微粒子、あるいは高分子微粒子の構成物質として「高分子」という用語を用いている場合は上記の「新版高分子辞典」の「プラスチック」という用語と同義であり、天然および合成樹脂を主原料に、これに充填剤、可塑剤、安定剤、顔料などの添加剤を加えたものを意味する。
「樹脂粒子」「樹脂微粒子」という用語のなかでの「樹脂」という言葉の意味は、上記の「新版高分子辞典」の「プラスチック」という用語と同義である。したがって、本発明では「高分子微粒子」という用語と「樹脂微粒子」あるいは「樹脂粒子」という用語は等しい意味を表す。
また「樹脂」という用語はJIS工業用大辞典 (財団法人 日本規格協会発行・編集:1996年10月20日発行 第3刷)の広義の意味、すなわち「プラスチック用の基盤材料であるいくつかの重合体を明示するためにも使用される。」と同一の意味である。
また「軟質樹脂」とは「新版高分子辞典」(朝倉書店発行 高分子学会編:19988年11月25日初版)で用語「エラストマー」第2項と同義である。すなわち「共有結合ではなく、物理的な結合(微結晶、イオン結合、水素結合)によって架橋された弾性体。一分子中にゴム成分である軟質ブロックと樹脂成分の硬質ブロックを適宜配置させた高分子からなる」ものである。
本発明では、水溶性多糖類(A1)と好ましくは少なくとも1つの環状構造を有する多糖類から選択された少なくとも一種を水溶性多糖類(A1)として含む溶融混練可能な水溶性助剤とを分散媒体として樹脂粒子を分散相として分散できるため、樹脂が高耐熱性かつ軟質であっても球状の樹脂粒子を効率よく製造できる。また、溶融混練により、所定の特性(粒径や粒度分布)を有する樹脂粒子を高い再現性で製造できる。
[熱可塑性エラストマー]
本発明の熱可塑性エラストマーは室温(15〜25℃)で固体であり、水溶性助剤に対して実質的に非相溶である。さらに、熱可塑性エラストマーは熱可塑性樹脂である。
熱可塑性エラストマーとしては、通常、非水溶性樹脂(又は疎水性樹脂、非水溶性熱可塑性樹脂など)が使用される。
一般的に熱可塑性エラストマーとは常温では、ゴムの特色を持っているが、高温では、熱可塑性樹脂と同様、軟化して圧縮、押し出し、射出などプラスチック加工機で、容易に成形することが可能な高分子である。TPE(thermo-plastic elastomer)と総称させている。すなわち、熱可塑性エラストマーは分子中にエントロピー弾性を有するゴム成分(ソフトセグメント)と塑性変形を防止する分子拘束成分(hard segment)の両成分を共有している。
そして、共有結合による架橋をされているものではなく、物理的な結合(微結晶、イオン結合、水素結合)によって架橋された弾性体である。したがって、弾性を発現する要因は物理的な結合(微結晶、イオン結合、水素結合)などの高次構造であり、高次構造が消滅すると弾性体としての性質を示さなくなる。熱可塑性エラストマーとしては、種類は多岐にわたりスチレン系(SBC)、オレフィン系(TPO)、塩ビ系(TPVC)、ウレタン系(PU)、エステル系(TPEE)、アミド系(TPAE)などが製造されている。熱可塑性エラストマーには、融点を示すものと示さないものがある。即ち、結晶構造を有するものと有さないものがある。
本発明における熱可塑性エラストマーは融点を有するものである。即ち、結晶構造を有するものである。即ち、熱可塑性エラストマーが結晶構造を有する場合には、接着性を有するバインダーに樹脂粒子が分散された状態で用いられるような用途で、バインダーに用いられる多様な化学物質、特に溶剤やモノマー(架橋性のモノマーを含む)に対する耐性を要求される場合であっても、耐溶剤性を具備することができる。
本発明における熱可塑性エラストマーは、イ)JIS K7171に準拠する方法で得られた曲げ弾性率が、500MPa以下。ロ)JIS K6262に準拠する方法で得られた70℃で測定された圧縮永久歪みが30%以上。ハ)DSC法により測定された融点(Tm)が、150℃以上。の3条件を満たす限りはその合成方法に特に限定はない。すなわち、ラジカル重合型樹脂、付加重合型の樹脂、開環重合型の樹脂であってもよい。
本発明に適した熱可塑性エラストマーとしてはブロック共重合体である。ブロック共重合体としてはαオレフィン系であっても構わない。例えば、エチレン-αオレフィン系のブロック共重合体でも融点を有し、上記のイからハの要件を満たすものであれば用いることができる。 このようなブロック共重合体としては、−(A−B)n型、―(A−B−A)n型であってもよい。Aセグメントはエーテル、エステル、アミド、ビニル、カーボネートで構成されるものであってよい。またAセグメントがエーテルでありかつBセグメントがエステルで構成されるものであってもよい。特に好ましいのは、エーテル-エステル、アミドで構成されるものである。
耐熱性の面から、好ましい熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント部分が、アミドセグメントや、エチレンテレフタラートセグメント、ブチレンテレフタレートセグメントなどで構成された高分子が好ましい。
一般的に、熱可塑性エラストマーは、耐熱性が低いが、ハードセグメントとして融点が高いこれらの成分が含まれる高分子を用いることにより耐熱性を兼備することが出来る。
これらの具体的な製品としては、ポリアミドエラストマーとしてダイセルデグサ株式会社株式会社製のVESTAMELT(商標)エラストマーなどが上げられ、ポリエステルエラストマーとして東洋紡株式会社製のペルプレン(商標)シリーズなどが上げられる。
上記の通り、本発明の熱可塑性エラストマーは結晶構造を有する。示差走査熱量計(DSC)による熱可塑性エラストマーの融点は、150℃以上であり、例えば、150〜230℃、好ましくは155〜220℃、さらに好ましくは170〜215℃(例えば、173〜215℃)程度であってもよい。融点のピークが複数示される場合には、最も大きな融解ピークのピークトップ値を以って融点とすることができる。
ブロック共重合体の熱可塑性エラストマーでは、結晶構造を有するセグメントの融点が熱可塑性エラストマーの融点を決定する。そして、結晶構造を有するセグメントはハードセグメントであってもよい。ハードセグメントの融点を150℃以上とするためには、ハードセグメントが剛直な構造を有する高分子であればよく、例えばポリカーボネートをハードセグメントとして有する熱可塑性エラストマーは融点が205℃の融点を示すことが知られており、ブチレンテレフタレートセグメントを持つ熱可塑性エラストマーは融点が200℃を超えることが知られている。
なお、ハードセグメントの分子量も融点に影響を与える。同一のハードセグメントでは分子量が大きい方がハードセグメントのホモポリマーの融点に近づく、すなわち、ハードセグメントの分子量が大きい方が融点を高くすることができる。当然、結晶性も高くなる。
尚、融点が150℃に近い領域のものを得るためには、ハードセグメントがランダム共重合体のものを選択すればよい。例えば、ブチレンテレフタレートセグメントにおいてテレフタル酸とイソフタル酸の二種類のジカルボン酸を用いればハードセグメントの融点は広い範囲で調整が可能であり、イソフタル酸成分を多くすれば融点を低くすることができる。ハードセグメントがアミドセグメントである熱可塑性エラストマーの場合は、アミドセグメントのアミド基濃度を低くすれば、(すなわち、アミド基間の炭素数を多くすれば)融点を低くすることができ、逆の操作をすれば融点が高いアミド系の熱可塑性エラストマーが得られる。また上記の通り、ハードセグメントの分子量を下げることにより融点を低くすることができる。
上記の通り、本発明で記載した範囲の融点の熱可塑性エラストマーを得るためには、ハードセグメントの種類、その中での共重合比率、分子量を調整することにより得ることができる。
これらの結晶構造を有する熱可塑性エラストマーとしては、上記の通りブロック共重合体であり、その製造方法としては一般的には、ハードセグメントとソフトセグメントを予め重合しておき、これらのセグメントを縮重合させる方法などを用いることができる。例えば−(A−B)n型でアミドでセグメントが構成されるもの(アミド−アミドブロック共重合体)は各々のアミドセグメントを重合した後、溶融重合によるアミド交換反応により作ることができる。またエーテル−エステルブロック共重合体は例えばポエチレンオキサイドの存在下にテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールを錫、マグネシウム系触媒を用いて溶融縮重合させて得ることができる。
一般に、複数種類のモノマーの混合物から一段階でブロック共重合体を得るためには、重合時の鎖延長反応で可也の選択性が必要となる。すなわち、選択性が少ない場合にはランダム共重合体となる。このような選択性が高い反応が得られるモノマーの組み合わせは限られるので、一般的には何れかのセグメントを作りこれをプレポリマーとして重合するか、全てのセグメントをプレポリマーとして用意しておき重合する方法が常用技術として用いられる。
このため、モノマーの重合(及び室温で液体の水性又は油性媒体)が粒子形成に関与する方法で粒子を得る場合には、本発明のように多様な高分子を粒子とすることは困難であり、ブロック共重合体を得る場合には更に困難になる、本発明では強制乳化法を用いることにより、このようなブロック共重合体であっても微粒子化できる。
熱可塑性エラストマーの、JIS K7171に準拠する方法で測定される曲げ弾性率は500MPa以下(例えば10〜450MPa程度)であり、好ましくは400MPa以下(例えば20〜380MPa程度)、さらに好ましくは300MPa以下(例えば50〜250MPa程度)、最も好ましくは200MPa以下(例えば70〜150MPa程度)である。
すなわち、上記の曲げ弾性率が500MPa以下の熱可塑性エラストマーであれば、エントロピー弾性の性質が少なく、応力緩和が大きくなり、圧縮永久歪みの大きい粒子となり、加重により容易に変形し、かつ加重を取り去っても変形が回復しない軟質系の粒子となる。曲げ弾性率が小さいということは、エントロピー弾性が強く、エラストマーとしての性質が強くなり、圧縮永久歪みが小さくなるように思われるが、本発明者らの実験によれば、曲げ弾性率が小さい熱可塑性エラストマーの方が、より小さい応力であっても圧縮永久歪みが発生することが見出された。
これは本発明で用いている結晶性の熱可塑性エラストマーに固有の性質のようであり、結晶性であるが故の特性である。すなわち、本発明の結晶性の熱可塑性エラストマーでは、ハードセグメントが形成する結晶領域がソフトセグメントの形成する非結晶領域に分散している構造を取るため、ソフトセグメントの非結晶領域がずれを生じることにより塑性変形が生じるものと思われる。このため、曲げ弾性が小さいことが塑性変形の目安となり、本発明における永久圧縮歪みの大きい微粒子を得るための重要な要件となるものである。すなわち、曲げ弾性率が小さい熱可塑エラストマーから形成された微粒子は小さい応力であっても、塑性変形を生じる。
上記の曲げ弾性率が500MPa以下の熱可塑性エラストマーを得るためには、ソフトセグメントの比率とハードセグメントの比率を調整することにより得られる。すなわち、ソフトセグメントのハードセグメントに対する比率を大きくすることにより、上記の曲げ弾性が小さい結晶性の熱可塑性エラストマーは容易に得ることができる。
上記の融点の要件と併せて考慮する場合には、剛直なハードセグメントを有し、ハードセグメントの平均分子量が大きく、かつハードセグメントのソフトセグメントに対する比率が小さい熱可塑性エラストマーが好適であることになる。すなわち、ハードセグメントが形成する結晶径は大きいものの、結晶領域自体は少ない(すなわち結晶の数が少ない)熱可塑性エラストマーが好適である。
上記の論点をソフトセグメントから論じれば、ソフトセグメントの平均分子量が大きく、かつソフトセグメントのハードセグメントに対する比率が大きい熱可塑性エラストマーが好適である。このような熱可塑性エラストマーは従来の公知の結晶性の熱可塑性エラストマーから任意に選択することで得ることができる。
また本発明の熱可塑性エラストマーの、JIS K6262に準拠する方法で測定される圧縮永久歪みは、70℃で、30%以上(例えば32〜100%)あり、好ましくは40%以上(例えば42〜100%)、さらに好ましくは45%以上(例えば47〜100%)、最も好ましくは50%以上(例えば55〜100%)である。
熱可塑性エラストマーの永久圧縮歪みが大きいことにより、形成された微粒子の永久歪みが大きくすることができる。そして、本発明の樹脂粒子に用いた場合に好適となる。永久圧縮歪みが大きい熱可塑性エラストマーはソフトセグメントの平均分子量が大きく、かつソフトセグメントのハードセグメントに対する比率が大きい熱可塑性エラストマーが好適である。またこのような熱可塑性エラストマーを選択すればよい。永久圧縮歪みが小さい場合はエラストマーとしての特性が強く、微粒子とした場合でも永久圧縮歪みを確保できなくなる。
樹脂粒子は粒子状の形態を保持可能であればよく、表面が平滑な形態(球状、楕円体状)、特に球状であるのが好ましい。
上記のような熱可塑性エラストマーを用いることにより、これを強制乳化法で微粒子とすることで、微粒子の体積弾性率が低い樹脂粒子を得ることができる。本発明の樹脂粒子の体積弾性率は、20MPa以下、例えば、0.5〜18MPa、好ましくは1〜15MPa、さらに好ましくは1.5〜13MPa(例えば、2〜12MPa)程度である。なお、樹脂粒子の体積弾性率は、樹脂粒子を圧力60MPaで圧縮成形してタブレット(厚み3mm×25mmφ)を成型し、このタブレットを圧縮してせん断変形させ、荷重と圧縮量との関係に基づいて弾性変形領域での体積弾性率を算出することにより求めることができる。
樹脂粒子の数平均粒子径Dnは、特に制限されず、用途に応じて0.05〜100μm程度の範囲から選択でき、0.1〜20μm、好ましくは0.3〜15μm(例えば、0.5〜10μm)、さらに好ましくは1〜10μm(例えば、1.5〜8μm)程度であってもよく、通常、2〜10μm(例えば、2〜6μm)程度である。
また、本発明の樹脂粒子は、粒径分布は、例えば、体積平均粒子径Dwと数平均粒子径Dnとの比Dw/Dnで表される分布で2.0以下(例えば、1〜1.9、好ましくは1〜1.8、さらに好ましくは1〜1.5、特に1〜1.3程度)であっても良い。あるいは、粒径分布としてCV値(測定された粒子径の標準偏差を平均粒子径(この場合、数平均粒子径)で除し100倍した値)を用いる場合、CV値は60%以下(例えば0〜50%、好ましくは0〜40%、さらに好ましくは0〜25%、最も好ましくは0〜15%)であっても良い。なお、樹脂粒子の粒子径は、走査型電子顕微鏡写真に基づいて200〜300個程度の粒子について粒子径を測定することにより得られる。あるいは、レーザー散乱方式(溶媒分散式、気相式など)など既知の粒子径測定装置、方式を用いても良い。
なお、球状の樹脂粒子には、真球状に限らず、例えば、長径と短径との長さ比が、例えば、長径/短径=1.5/1〜1/1程度である形状も含まれる。長径と短径との長さ比は、好ましくは長径/短径=1.3/1〜1/1(例えば、1.2/1〜1/1)、さらに好ましくは1.1/1〜1/1程度であってもよい。
[樹脂粒子の製造方法]
本発明の方法では、乳化重合及び懸濁重合(モノマーの重合を伴う重合方法)や油性媒体と水性媒体とを用いる転相乳化を経ることなく樹脂粒子を製造する。すなわち、溶融混練可能な水溶性助剤と前記軟質樹脂とを溶融混練する工程と、混練により生成し、熱可塑性エラストマー相が分散した分散体を水性溶媒で溶出する工程とを経ることにより、前記樹脂粒子を製造できる。前記水溶性助剤は、水溶性多糖類(A1)単独で構成してもよいが、通常、水溶性多糖類(A1)と、この水溶性多糖類(A1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(A2)とで構成する場合が多い。
[水溶性多糖類(A1)]
水溶性多糖類(A1)は、オリゴ糖および少なくとも1つの環状構造を有する多糖類(環状構造を有する水溶性多糖類)から選択された少なくとも一種で構成でき、両者を組み合わせて使用してもよい。オリゴ糖と環状構造を有する多糖類とを組み合わせると、溶融粘度を調整でき、樹脂との組み合わせにより樹脂粒子の粒子径などを幅広くコントロールできる。
[オリゴ糖]
オリゴ糖は、ホモオリゴ糖とヘテロオリゴ糖とに大別され、これらのオリゴ糖は無水物でもよい。また、オリゴ糖において、単糖類と糖アルコールとが結合していてもよい。また、オリゴ糖は複数の糖成分で構成されたオリゴ糖組成物であってもよい。このようなオリゴ糖組成物であっても単にオリゴ糖という場合がある。オリゴ糖(又はオリゴ糖組成物)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。オリゴ糖には、二糖類〜十糖類などが含まれる。
二糖類としては、トレハロース、マルトース、イソマルトース、セロビオースなどのホモオリゴ糖;ラクトース、スクロース、パラチノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
三糖類としては、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオースなどのホモオリゴ糖;マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトスクロース、ラフィノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
四糖類としては、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなどのホモオリゴ糖;スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
これらの四糖類のうち、パノースの還元末端に単糖類又は糖アルコールが結合したテトラオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなどの単糖類や、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが結合したテトラオースが例示できる。
五糖類としては、マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどのホモオリゴ糖;パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、スクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類が結合したペンタオースが例示できる。
六糖類としては、マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどのホモオリゴ糖などが挙げられる。
オリゴ糖は、多糖類の分解により生成するオリゴ糖組成物であってもよい。オリゴ糖組成物としては、例えば、デンプン糖(デンプン糖化物)、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などが挙げられ、これらの成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。例えば、デンプン糖は、複数個のグルコースが結合したオリゴ糖の混合物であってもよい。デンプン糖としては、例えば、東和化成工業株式会社製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の含有量90重量%以上)などが挙げられる。
これらのオリゴ糖組成物において、オリゴ糖組成物中の三糖類、四糖類(特に四糖類)の含有量は、例えば、60重量%以上(例えば、60〜100重量%程度)、好ましくは70重量%以上(例えば、70〜100重量%程度)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、80〜100重量%程度)、特に90重量%以上(例えば、90〜100重量%程度)であってもよい。
オリゴ糖は、非還元型(トレハロース型)であってもよいが、還元型(マルトース型)のオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。還元型のオリゴ糖としては、遊離のアルデヒド基又はケトン基を有し、還元性を示す糖(二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類など)であれば、特に限定されない。
なお、オリゴ糖の種類(例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など)によっては、融点又は軟化点を示さず、分解(熱分解)する場合がある。このような場合、分解温度をオリゴ糖の「融点又は軟化点」としてもよい。
オリゴ糖の融点又は軟化点と、樹脂成分の熱変形温度との温度差は、例えば、1℃以上(例えば、1〜80℃程度)、好ましくは10℃以上(例えば、10〜70℃程度)、さらに好ましくは15℃以上(例えば、15〜60℃程度)である。オリゴ糖の融点又は軟化点は、樹脂成分の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。
水溶性助剤(又は水溶性媒体)はオリゴ糖で構成してもよいが、溶融粘度を高めるには、環状構造を有する多糖類(水溶性多糖類)を単独で又はオリゴ糖と組み合わせて使用するのが有利である。
[環状多糖類]
環状構造を有する水溶性多糖類(単に環状多糖類という場合がある)において、環状構造(環状骨格、環状ユニット、環状部位)は、多糖類を構成する複数のグリコース単位[通常、グルコース単位(特にD−グルコース)]がグルコシド結合(又はグルコシル化)して形成された環であればよい。すなわち、本明細書において、環状構造とは、複数のグリコース単位(およびグルコシド結合)で形成された環を意味し、グルコース環などの単糖類の環を意味するものではない。
このような環状多糖類は、オリゴ糖などに比べて比較的高分子量であり溶融粘度が高く、しかも、その環状構造によるためか、水溶性を示す。環状多糖類を使用すると、溶融混練において高い剪断粘度を保持できるため、溶融混練性を損なうことなく溶融混練でき、しかも水溶性であるため、水などにより容易に除去可能である。
前記多糖類において、環状構造は、複数のグルコシド結合で構成されていればよく、α−グルコシド結合又はβ−グルコシド結合で構成されていてもよく、通常、α−グルコシド結合で構成されていてもよい。
環状構造(1つの環状構造あたり)の平均重合度(数平均重合度、環状構造を形成する平均グルコシド結合数、環状構造を形成するグリコース単位の平均重合度)は、例えば、10以上(例えば、10〜500程度)、好ましくは12以上(例えば、12〜300程度)、さらに好ましくは14以上(例えば、14〜100程度)であってもよい。
また、環状構造を構成するグルコシド結合は、通常、少なくとも1,4−グルコシド結合(特に、α−1,4−グルコシド結合)で形成された環であればよく、1,4−グルコシド結合(特に、α−1,4−グルコシド結合)と1,6−グルコシド結合(特に、α−1,6−グルコシド結合)とで形成された環であってもよい。
このような1,6−グルコシド結合を含む環において、環状構造(1つの環状構造あたり)における1,6−グルコシド結合の平均数は、1以上(例えば、1〜700程度)であればよく、例えば、1〜300(例えば、1〜200)、好ましくは1〜100(例えば、1〜50)、さらに好ましくは1〜20(例えば、1〜10)であってもよい。
また、環状多糖類は、少なくとも1つの環状構造(環状ユニット)を有していればよく、複数の環状構造を有していてもよい。
なお、環状多糖類の平均重合度(数平均重合度、総平均重合度、多糖類全体の平均重合度)は、例えば、14以上(例えば、14〜15000)、好ましくは17以上(例えば、17〜10000)、さらに好ましくは20以上(例えば、20〜8000)程度であってもよい。
なお、環状多糖類は、誘導体化(又は変性)されていてもよい。例えば、環状多糖類は、ヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)が誘導体化[例えば、エーテル化(例えば、メチルエーテル化などのアルキルエーテル化;ヒドロキシエチルエーテル化、ヒドロキシプロピルエーテル化などのヒドロキシアルキルエーテル化;グリセリル化など)、エステル化、グラフト化、架橋化など]された誘導体であってもよい。
これらの環状多糖類は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
代表的な環状構造を有する水溶性多糖類には、(1)環状構造(又は環状ユニット)とこの環状構造に結合した非環状構造(非環状骨格、非環状ユニット非環状部位)とを有し、かつ平均重合度50以上である多糖類、(2)14以上のα−1,4−グルコシド結合で形成された環状構造を分子内に一つ有する多糖類などが挙げられる。
(環状多糖類(1))
前記多糖類(1)において、環状構造は、通常、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成された環であってもよい。また、環状構造(1つの環状構造あたり)の平均重合度(数平均重合度)は、例えば、10〜500、好ましくは12〜300、さらに好ましくは14〜100程度であってもよい。環状構造がα−1,6−グルコシド結合を有する場合、環状構造(1つの環状構造あたり)におけるα−1,6−グルコシド結合の平均数は、例えば、1以上(例えば、1〜200)、好ましくは1〜100、さらに好ましくは1〜50程度であってもよい。
なお、多糖類(1)の平均重合度(数平均重合度)は、50以上であればよく、例えば、50〜10000、好ましくは60〜7000、さらに好ましくは70〜5000程度であってもよい。
なお、多糖類(1)は、1又は複数の非環状構造を有していてもよく、通常、複数(例えば、2〜1000、好ましくは3〜500程度)の非環状構造を有していてもよい。このような非環状部位(又は多糖類(1)の環状構造以外の部位)1つあたりの平均重合度(数平均重合度)は、例えば、10以上(例えば、10〜30程度)、好ましくは10〜20程度であってもよい。
また、非環状部位全体の平均重合度(数平均重合度)は、10以上であればよく、例えば、40以上(例えば、50〜5000程度)、好ましくは100〜3000程度であってもよい。なお、非環状部位は、特に、α−1,6−グルコシド結合のグリコース(特にグルコース)単位から分岐している場合が多い。
なお、多糖類(1)において、ヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)は、誘導体化(例えば、エーテル化、エステル化、グラフト化など)されていてもよい。
このような多糖類(1)には、いわゆる「クラスターデキストリン」と称される多糖類が含まれる。このような多糖類(1)は、例えば、糖類(例えば、澱粉、澱粉の部分分解物、アミロペクチン、グリコーゲン、ワキシー澱粉、ハイアミロース澱粉、可溶性澱粉、デキストリン、澱粉加水分解物、およびホスホリラーゼによる酵素合成アミロペクチンから選択された少なくとも1種の基質など)に、糖類に作用して環状構造を形成可能な酵素(枝作り酵素、D酵素、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼなど)を反応させることにより得てもよい。このようなクラスターデキ BR>Xトリンおよびその製造方法についての詳細は、特開平8−134104号公報などを参照できる。
(環状多糖類(2))
前記多糖類(2)において、環状構造は、少なくともα−1,4−グルコシド結合で形成された環であればよく、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成された環であってもよい。また、多糖類(2)において、環状構造の平均重合度(数平均重合度)は、14以上であればよく、例えば、14〜5000、好ましくは15以上(例えば、15〜3000程度)、さらに好ましくは17以上(例えば、17〜1000程度)であってもよい。環状構造がα−1,6−グルコシド結合を有する場合、環状構造におけるα−1,6−グルコシド結合の平均数は、例えば、1〜500、好ましくは1〜300、さらに好ましくは1〜100程度であってもよい。
多糖類(2)は、前記環状構造を有している限り、非環状構造(例えば、直鎖状構造)を有していてもよいが、通常、前記環状構造だけで構成(又は形成)された環状多糖類であってもよい。
なお、多糖類(2)において、ヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)は、誘導体化(例えば、エーテル化、エステル化、グラフト化、架橋化など)されていてもよい。
このような多糖類(2)には、いわゆる「シクロアミロース(又はサイクロアミロース)」と称される多糖類が含まれる。このような多糖類(2)は、例えば、直鎖状のα−1,4−グルカン又はこのグルカンを含む糖類(例えば、マルトオリゴ糖、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、澱粉、ワキシー澱粉、ハイアミロース澱粉、可溶性澱粉、デキストリン、澱粉枝切り物、澱粉部分加水分解物、ホルホリラーゼによる酵素合成アミロース、およびこれらの誘導体から選択された少なくとも1種など)と、多糖類(2)を形成可能な酵素(例えば、D酵素など)とを、必要に応じて、ホスホリラーゼおよびグルコース1−リン酸の存在下で反応させることにより得ることができる。また、前記反応は、基質としてα−1,6−グルコシド結合を有する基質を用いる場合には、α−1,6−グルコシド結合を切断可能な酵素(例えば、イソアミラーゼ、プルラナーゼなど)の存在下で行ってもよい。このようなサイクロアミロースおよびその製造方法についての詳細は、特開平8−311103号公報などを参照できる。
これらの多糖類は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。例えば、前記多糖類(1)と多糖類(2)とを組み合わせて使用でき、特に、少なくとも前記環状多糖類(1)(又はクラスターデキストリン)を好適に用いることができる。
前記環状多糖類とオリゴ糖との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜5/95、好ましくは95/5〜10/90、さらに好ましくは90/10〜20/80(例えば、85/15〜25/75)、特に80/20〜30/70(例えば、70/30〜40/60)程度であってもよく、通常99/1〜50/50程度であってもよい。
水溶性多糖類(A1)の50重量%水溶液の粘度は、温度25℃において、例えば、5Pa・sec以下(例えば、1〜5Pa・sec)、好ましくは(例えば、2〜4Pa・sec)程度である。このように水溶液粘度が低いため、水溶性多糖類(A1)を用いると、水に対する溶解性が高いことと相まって、水による溶出効率を高めることができる。
[水溶性可塑化成分(A2)]
水溶性可塑化成分としては、前記多糖類を可塑化(すなわち、オリゴ糖が水和して水飴状態となる現象を発現)する成分であれば特に限定されず、例えば、糖類、糖アルコールなどが使用できる。これらの可塑化成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(a)糖類
糖類としては、通常、単糖類及び/又は二糖類が使用される。なお、二糖類は、オリゴ糖に分類されるが、オリゴ糖と組み合わせる場合には、三糖類以上のオリゴ糖と組み合わせる限り使用することができる。これらの糖類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
単糖類としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコースなどが挙げられる。これらの化合物は、アルドースやケトースであってもよく、ジアルドース、複数のカルボニル基を有する単糖類、メチル基を有する単糖類、アシル基を有する単糖類、カルボキシル基が導入された糖類、チオ糖、アミノ糖、デオキシ糖などであってもよい。
このような単糖類の具体例としては、例えば、テトロース(エリトロース、トレオロース等)、ペントース(アラビノース、リボース、リキソース、デオキシリボース、キシロース等)、ヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、フコース、ラムノース、タロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン等)などが例示できる。
また、単糖類は、ヘミアセタール結合により環状構造を形成した環状異性体であってもよい。単糖類は、旋光性を有している必要はないが、D形、L形、DL形のいずれであってもよい。これらの単糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
二糖類としては、例えば、前記二糖類のうち、低融点または低軟化点を有する二糖類(例えば、ゲンチオビオース、メリビオース、トレハロース(二水化物)など)、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類に相当する二糖類(例えば、グルクロン酸とグルコースとがα−1,6グリコシド結合したグルクロノグルコースなどのアルドビオウロン酸など)が例示できる。
糖類は、熱安定性に優れるため、還元糖が好ましく、そのような糖類としては、遊離の単糖類の他、前記二糖類のうち、低融点又は低軟化点の還元糖(例えば、ゲンチオビオース、メリビオースなど)が挙げられる。
(b)糖アルコール
糖アルコールは、アルジトール(グリシトール)などの鎖状糖アルコールであってもよく、イノシットなどの環式糖アルコールであってもよいが、通常は、鎖状糖アルコールが使用される。これらの糖アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状糖アルコールとしては、テトリトール(トレイトール、エリスリトールなど)、ペンチトール[ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール、リキシトールなど]、ヘキシトール[ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、アロズルシトール(アリトール)、アルスリトールなど]、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、及びドデキトールなどが挙げられる。
これらの糖アルコールのうち、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールが好ましい。糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトールから選択された少なくとも1つの糖アルコールを含む場合が多い。
水溶性可塑化成分(A2)の融点は、通常、140℃以下(例えば、50〜135℃、好ましくは70〜130℃、さらに好ましくは80〜125℃程度)である。
水溶性助剤又は水溶性媒体において、多糖類(A1)と可塑化成分(A2)との割合(重量比)は、多糖類が効率的に可塑化できる範囲であれば特に限定されず、例えば、(A1)/(A2)=99/1〜50/50、好ましくは90/10〜60/40(例えば、85/15〜65/35)、さらに好ましくは80/20〜65/35(例えば、80/20〜70/30)程度であり、通常、85/15〜75/25程度である。
また、水溶性可塑化成分とオリゴ糖とを併用する場合、オリゴ糖と水溶性可塑化成分との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜60/40、好ましくは90/10〜65/35、さらに好ましくは80/20〜70/30程度であってもよい。
さらに、環状多糖類とオリゴ糖とを併用する場合、多糖類及びオリゴ糖の総量と水溶性可塑化成分との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜50/50、好ましくは90/10〜55/45、さらに好ましくは85/15〜60/40(例えば、80/20〜65/35)程度であってもよい。
水溶性助剤は、樹脂と組み合わせて混練することにより、水溶性助剤の媒体(マトリックス)中に熱可塑性エラストマーが粒子状の形態で成形されて分散した分散体、又は樹脂粒子を得るための助剤として有用である。そのため、本発明は、前記水溶性助剤と溶融可能な熱可塑性エラストマーとを含む溶融成形可能な組成物(又は溶融成形性組成物)も含む。また、前記水溶性助剤で構成されたマトリックス(溶融可能な媒体)と、このマトリックス中に分散した、かつ溶融可能な熱可塑性エラストマーで構成された分散相(粒子状分散相)とで構成されている分散体も含む。
水溶性助剤と熱可塑性エラストマーとの割合(重量比)は、水溶性助剤/熱可塑性エラストマー=99/1〜45/55、好ましくは95/5〜50/50、さらに好ましくは90/10〜55/45程度であってもよい。
[改質剤]
本発明において、前記混練系(又は分散体)は、必要に応じて、さらに改質剤(又は添加剤)を含んでいてもよい。改質剤(又は添加剤)としては、前記樹脂を改質可能な成分、例えば、可塑剤(又は軟化剤)、充填剤(粉粒状フィラーなど)、光分解性付与剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、滑剤[高級脂肪酸又はその誘導体(脂肪酸塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、アルキレンビス(飽和脂肪酸アミド)など)、オレフィン系ワックスなどのワックス類、炭化水素油又は鉱物油、シリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン(又はジメチルシリコーンオイル)などのポリジアルキルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなどのポリアルキルアリールシロキサンなど)など]、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候(光)安定剤、加工安定剤など)、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物の粉末など)、分散剤、難燃剤、帯電防止剤(アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯電防止剤、ノニオン性帯電防止剤、両性帯電防止剤などの低分子型帯電防止剤、高分子型帯電防止剤など)、着色剤[例えば、染料又は顔料[油溶性染料(ソルベント染料など)、分散染料、バット染料、硫化染料、アゾイック染料(ナフトール染料)、無機顔料(二酸化チタンなどの白色顔料;炭酸カルシウムなどの体質顔料;カーボンブラックなどの黒色顔料;カドミウムレッドなどの赤色顔料;カドミウムイエローなどの黄色顔料;群青などの青色顔料;ニッケル、フェライトなどの強磁性金属粉末など)、有機顔料(アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリノン・ペリレン系顔料、スレン系顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン系顔料、インジゴ又はチオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン化合物など)、蛍光顔料又は染料、蓄光顔料など]、電荷制御剤(ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミン系化合物などの正電荷制御剤;サリチル酸金属錯体、アゾ染料金属錯体、銅フタロシアニン染料、ニトロイミダゾール誘導体、尿素誘導体などの負電荷制御剤など)、離型剤、光沢剤、濡れ性改良剤、流動化剤、架橋剤[重合性化合物、硬化剤、重合開始剤(例えば、有機過酸化物、アゾ化合物など)、光重合開始剤など]、抗菌剤、防腐剤、反応性基を有する化合物[例えば、エポキシ基を有する化合物、酸基を有する化合物(例えば、カルボキシル基を有する化合物、スルホン酸基を有する化合物、無水マレイン酸などの酸無水物基を有する化合物など)などが例示できる。前記混練系(又は分散体)は、これらの改質剤を単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
添加剤の総量は、例えば、樹脂100重量部に対して、0〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.01〜50重量部(例えば、0.03〜30重量部)、好ましくは0.05〜20重量部(例えば、0.1〜20重量部)程度、さらに好ましくは0.2〜10重量部(例えば、0.5〜10重量部)程度であってもよい。
なお、改質剤(添加剤)は、混練系に存在していればよく、分散体の分散相(熱可塑性エラストマー相)及びマトリックス(連続相)のいずれに含有させてもよい。特に、樹脂と改質剤とで構成された分散相を有する分散体は、予め改質剤を含む樹脂と、水溶性助剤とを混合(特に、溶融混合又は溶融混練)することにより効率よくかつ確実に得ることができる。
前記分散体は、通常、溶融成形可能な組成物(水溶性助剤と樹脂と必要により改質剤などを含んでいてもよい組成物)を混練することにより調製できる。溶融混練温度Tは、例えば、100〜300℃程度であり、通常、170〜230℃(例えば、180〜220℃)程度である。また、混練時間は、例えば、10秒〜1時間の範囲から選択できる。混練は、慣用の混練機(例えば、スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロールなど)を用いて行うことができる。また、混練に先立ち、各成分は、ヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、ボールミルなどで予備混合してもよい。混練した組成物は、例えば、押出成形、射出成形、カレンダー成形などにより予備的に成形してもよい。予備成形体(又は分散体)の形状は、特に制限されず、粒状、ペレット状、ストランド状、棒状、板状、シート状、フィルム状、管状、ブロック状などであってもよい。
混練及び/又は成形加工により得られた溶融物(例えば、混練物、予備成形体)を冷却することにより、表面張力、結晶化などの固化速度の相違などにより分散相を形成でき、分散体を得ることもできる。冷却温度は、樹脂の熱変形温度、又は水溶性助剤の融点若しくは軟化点よりも少なくとも10℃程度低い温度(例えば、10〜100℃程度低い温度、好ましくは15〜80℃程度低い温度、さらに好ましくは20〜60℃程度低い温度)であってもよい。具体的には、冷却温度は、例えば、10〜120℃程度から選択でき、15〜60℃(例えば、20〜50℃)程度であってもよい。冷却時間は、30秒〜20時間の広い範囲から選択できる。
このようにして得られた分散体から水溶性助剤を溶出すると、前記樹脂で構成された粒子状成形体を製造できる。特に、水溶性助剤が、水に対する溶解性が高いため、水溶性助剤を速やかに溶出又は抽出でき、前記樹脂粒子を効率よく得ることができる。
水溶性助剤(水溶性助剤)の溶出(又は洗浄)は、水性溶媒、例えば、水、水溶性溶媒(例えば、アルコール類(エタノール、イソプロパノールなど)、エーテル類(セロソルブなど)など)などを用いて行うことができる。これらの水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。溶出溶媒として水を用いるのが好ましい。
水溶性助剤の溶出は、慣用の方法、例えば、前記分散体(又は予備成形体)を、前記水性媒体中に浸漬、分散して、水溶性助剤を溶出または洗浄(水性溶媒に移行)することに行うことができる。なお、水溶性助剤の分散及び溶出を促進するため、撹拌してもよい。水溶性助剤は、例えば、加圧下で溶出させてもよいが、通常、常圧下(例えば、10万Pa程度)又は減圧下で溶出できる。また、水溶性助剤の溶出温度は、通常、樹脂成分の融点又は軟化点未満の温度、例えば、10〜100℃、25〜80℃(例えば、40〜80℃)程度である。樹脂で構成された成形体は、慣用の分離(回収)方法、例えば、濾過、遠心分離などを用いて回収できる。
本発明の結晶性樹脂粒子は、プリント基板用の部材や、各種スペーサー、あるいは化粧品用途向けなどに好適に用いることが出来る。各種の熱硬化性樹脂(エポキシ類など)、光硬化性樹脂(アクリル系やウレタン系など)あるいはワニスなどに添加し、機械強度の改質剤として用いることも出来る。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例において、以下の材料を使用した。
[マトリックス成分]
(A1−1)水溶性多糖類 オリゴ糖 デンプン糖(東和化成工業株式会社製、還元デンプン糖化物PO−10、50%水溶液粘度0.55Pa・sec)
(A1−2)水溶性多糖類 環状構造を有する多糖類(日本食品化工株式会社製、クラスターデキストリン)
(A2)水溶性可塑化成分 糖アルコール ソルビトール(東和化成工業株式会社製、ソルビット、融点103℃)。
[結晶性熱可塑性エラストマー]
(B1)ポリアミドエラストマー:VESTAMELT(商標) E62、
ダイセルデグサ株式会社製、
曲げ弾性率(JIS K7171)370MPa、
融点(DSC)173℃、
圧縮永久歪み(JIS K6262、70℃)48%
(B2)ポリアミドエラストマー:VESTAMELT(商標) E47、
ダイセルデグサ株式会社製、
曲げ弾性率(JIS K7171)120MPa、
融点(DSC)158℃、
圧縮永久歪み(JIS K6262、70℃)48%
(B3)ポリエステルエラストマー:ペルプレンS(商標)1002、
東洋紡株式会社製、
曲げ弾性率(JIS K7171)125MPa、
融点(DSC)200℃、
圧縮永久歪み(JIS K6262、70℃)60%
(B4)ポリエステルポリエーテルエラストマー:ペルプレンP(商標)150B、
東洋紡株式会社製、
曲げ弾性率(JIS K7171)289MPa、
融点(DSC)212℃、
圧縮永久歪み(JIS K6262、70℃)60%
(B5)ポリエステルポリエーテルエラストマー:ペルプレンP(商標)150M、
東洋紡株式会社製、
曲げ弾性率(JIS K7171)118MPa、
融点(DSC)170℃、
圧縮永久歪み(JIS K6262、70℃)60%
(B6)ポリエステルポリエーテルエラストマー:ペルプレンP(商標)40H、
東洋紡株式会社製、
曲げ弾性率(JIS K7171)51MPa、
融点(DSC)172℃、
圧縮永久歪み(JIS K6262、70℃)50%
(B7)ポリエステルポリエーテルエラストマー:ペルプレンP(商標)70B、
東洋紡株式会社製、
曲げ弾性率(JIS K7171)108MPa、
融点(DSC)200℃、
圧縮永久歪み(JIS K6262、70℃)55%
[樹脂の融点の測定法]
上記の樹脂に対して、DSC(熱走査熱量計;熱流束型)セイコー電子社製 1200R型測定装置を用いて昇温速度20℃/minで昇温させ、260℃で1分間ホールドさせた後、20℃/minで降温させ、−50℃で1分間ホールドした後、20℃/minで260℃まで測定し、この2回目の昇温時に観測吸熱ピークのピークトップ温度を、樹脂成分の融点とした。
[粒子の体積弾性率測定法]
樹脂粒子を圧力60MPaで圧縮成形してタブレット(厚み3mm×25mmφ)を成型する。このタブレットを万能引張試験機で圧縮速度1mm/分で圧縮試験を行う。弾性変形領域での荷重と変形量(圧縮量)のグラムの傾きを持って体積弾性率(MPa)とする。
実施例1〜及び参考例〜7
ラボプラストミルを用いて、表1に示す比率で構成されたマトリックス成分と熱可塑性エラストマーとを表1に示す比率で混合し、表1に示す温度、時間、回転数で混練することにより混練物を得た。
Figure 0005204984
混練物を取り出し後、冷却し、10倍(重量)の純水に浸漬することにより、マトリックス成分を溶解した。生成した粒子分散水溶液を、孔径0.45μmの酢酸セルロース製メンブレンフィルターにてろ過し、メンブレンフィルターにより回収された粒子を、再度10倍量の純水に分散させ、30分程度攪拌下で洗浄後、再びろ過した。このような洗浄操作は二回繰り返した。2回洗浄した試料を45℃のオーブン中で一昼夜乾燥させ、微粒子を得た。
得られた樹脂粒子の走査型電子顕微鏡(高倍率FE−SEM)写真をデジタル画像化し、200〜300個の粒子について粒子径を測定し、数(個数)平均粒子径(Dn)、体積平均粒子径(Dw)、粒子径分布(Dw/Dn)及び、CV値(粒子径の標準偏差/数平均粒子径×100)を計算式により算出した。
結果を表2に示す。さらに、熱可塑性エラストマー樹脂粒子の体積弾性率は、樹脂粒子を圧力60MPaで圧縮成形してタブレット(厚み3mm×25mmφ)を成型し、このタブレットを圧縮速度1mm/分で圧縮してせん断変形させ、荷重と圧縮量との関係に基づいて弾性変形領域での体積弾性率を算出した。なお、圧縮試験の測定データのサンプリングレート(データの取り込み速度)は1μmで測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005204984
実施例8〜11及び参考例12〜13
混練方法としてラボプラストミルではなく、連続式ニーダー(株式会社栗本鐵工所製KRC S−1ニーダー)を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。各成分の混合比率及び連続式ニーダーの運転条件(ニーダーのバレル温度、パドル回転速度、原料フィード速度)を表3に、得られた樹脂粒子の評価結果を表1にそれぞれ示す。
Figure 0005204984
表2から明らかな通り、本発明の樹脂粒子はDw/Dnが小さく、CV値も小さい。それでありながら、粒子の体積弾性率も小さい。また参考例12と参考例13との対比から明らかな通り環状構造を有する多糖類を水溶性助剤として用いた場合には粒子の粒径の分布が小さくなりDw/Dnが小さく、CV値も小さくなる。

Claims (4)

  1. 下記に示す条件を全て満たす結晶性ポリアミドエラストマーからなる樹脂粒子であって、下記の体積弾性率測定法で測定された樹脂粒子の体積弾性率が20MPa以下である樹脂粒子。
    イ)JIS K7171に準拠する方法で得られた曲げ弾性率が、500MPa以下。
    ロ)JIS K6262に準拠する方法で得られた70℃で測定された圧縮永久歪みが30%以上。
    ハ)DSC法により測定された融点(Tm)が、150℃以上。
    [粒子の体積弾性率測定法]
    樹脂粒子を圧力60MPaで圧縮成形してタブレット(厚み3mm×25mmφ)を成型する。このタブレットを万能引張試験機で圧縮速度1mm/分で圧縮試験を行う。弾性変形領域での荷重と変形量(圧縮量)のグラムの傾きを持って体積弾性率(MPa)とする。
  2. 数平均粒子径Dnが0.1〜20μmであり、かつ体積平均粒子径Dwと数平均粒子径Dnとの比Dw/Dnが2.0以下である請求項1記載の樹脂粒子。
  3. 少なくとも水溶性多糖類(A1)で構成された溶融混練可能な水溶性助剤と、下記に示す条件を全て満たす結晶性ポリアミドエラストマーとを溶融混練し、結晶性ポリアミドエラストマーが分散した分散体を生成させ、この分散体を水性溶媒で溶出し、体積弾性率20MPa以下の結晶性ポリアミドエラストマーを製造する方法。
    イ)JIS K7171に準拠する方法で得られた曲げ弾性率が、500MPa以下。
    ロ)JIS K6262に準拠する方法で得られた70℃で測定された圧縮永久歪みが30%以上。
    ハ)DSC法により測定された融点(Tm)が、150℃以上。
  4. 水溶性多糖類(A1)が、オリゴ糖および少なくとも1つの環状構造を有する多糖類から選択された少なくとも一種で構成されている請求項記載の方法。
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