JP2005162842A - 有機固体粒子 - Google Patents

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JP2005162842A JP2003402238A JP2003402238A JP2005162842A JP 2005162842 A JP2005162842 A JP 2005162842A JP 2003402238 A JP2003402238 A JP 2003402238A JP 2003402238 A JP2003402238 A JP 2003402238A JP 2005162842 A JP2005162842 A JP 2005162842A
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Abstract

【課題】 環境的に負荷の大きい有機溶媒や水溶性成分を含まず、粒子径の分布幅が狭い有機固体粒子を提供する。
【解決手段】 溶融可能な有機固体成分(A)と、水溶性助剤成分(B)とを混練して分散体を調製し、この分散体から助剤成分(B)を溶出して、粒子全体に対して、10000ppm以下(好ましくは0〜5000ppm程度)の水溶性助剤成分(B)を含む有機固体粒子を得る。この粒子は、平均粒子径が0.1〜100μm程度で、かつ平均粒子径の変動係数が60以下であってもよい。さらに、前記粒子は、短径に対する長径の割合が、長径/短径=1.5/1〜1/1程度であってもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、農薬、医薬、化粧品、塗料、コーティング剤、インキ、トナーなどのファインケミカル分野における原料又は添加剤などとして有用な有機固体粒子に関する。
粒子形状の樹脂成形体を製造する方法としては、種々の製造方法が提案されている。例えば、特開2001−288273号公報(特許文献1)には、低温粉砕装置を用いて−50〜−180℃の低温下で粉砕して、ポリ乳酸系樹脂微粉末を製造する方法が提案されている。しかし、機械的な粉砕法では、球状の微粒子を得ることができないだけでなく、粒子径の分布幅を狭くし難い。
特開平10−176065号公報(特許文献2)には、微粉末化する熱可塑性樹脂(a)に、他の1種類以上の熱可塑性樹脂(b)を溶融混練することにより、樹脂(a)が分散相、樹脂(b)が連続相を構成する樹脂組成物を得て、樹脂(a)は溶解せず、樹脂(b)が溶解するような溶媒で前記樹脂組成物を洗浄することにより、樹脂(a)の球状微粒子を得る方法が開示されている。しかし、この方法においては、分散体を冷却する過程において、非相溶である樹脂同士は、大きな相分離を起こし易いため、粒度分布の狭い球状微粒子を得るのは困難であった。また、粒子中に環境への悪影響が懸念される溶媒が残存すると共に、廃液として溶媒が流出する。
特開昭60−13816号公報(特許文献3)には、ポリエチレングリコールと熱可塑性樹脂とを溶融撹拌した後に、水中に投入して両ポリマーを凝固させ、その後、水を用いて、ポリエチレングリコールを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が提案されている。特開昭61−9433号公報(特許文献4)には、熱可塑性樹脂とポリエチレンオキサイドとを溶融撹拌した後に冷却させ、水を用いて、ポリエチレンオキサイドを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が開示されている。特開平9−165457号公報(特許文献5)には、ポリビニルアルコール系樹脂、変性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどの溶融形成可能な水溶性高分子と、熱可塑性樹脂とを混合して溶融成形物を得た後、水を用いて、成形物から水溶性高分子を除去する樹脂微粒子の製造方法が開示されている。
しかし、これらの方法では、水溶性高分子の溶解性が低く、しかも水溶液粘度が高いため、水溶性高分子を効率よく、溶出又は除去することが困難である。そのため、樹脂微粒子との分離効率が低く、樹脂微粒子に水溶性高分子が残存し、樹脂微粒子の用途が大きく損なわれる。また、水溶性高分子を除去するためには、多量の水を必要とし、工学的に有利に樹脂微粒子を得ることが困難である。また、樹脂と水溶性高分子との非相溶性が必要であるため、選択できる樹脂の組合せが限定されるだけでなく、得られる樹脂粒子の粒子径分布の均一性は十分ではない。さらに、このような水溶性高分子は、非天然物由来である場合が多いため、得られる樹脂粒子に残存したり、廃液として環境に悪影響を及ぼす。
特開2001−288273号公報 特開平10−176065号公報 特開昭60−13816号公報 特開昭61−9433号公報 特開平9−165457号公報
従って、本発明の目的は、水溶性成分の含有量が著しく低減された有機固体粒子を提供することにある。
本発明の他の目的は、水溶性成分が残存していたとしても安全性の高い有機固体粒子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、水溶性成分で汚染されず、粒子径の分布幅が狭く、真球に近い球状の有機固体粒子を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、少なくともオリゴ糖で構成された助剤成分を、溶融可能な有機固体成分と組み合わせて分散体を形成すると、前記助剤成分の溶出又は除去効率が高く、水溶性成分で汚染することなく、有機固体粒子を得ることができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の粒子は、溶融可能な有機固体成分(A)と、少なくともオリゴ糖(B1)を含む水溶性助剤成分(B)とで構成され、前記有機固体成分(A)が粒子状に分散した分散体から、水溶性助剤成分(B)を溶出して得られた有機固体粒子であって、全体に対して、10000ppm(重量基準)以下の水溶性助剤成分(B)を含む。前記有機固体成分(A)は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース誘導体、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂で構成されていてもよい。前記オリゴ糖(B1)は、少なくとも四糖類(例えば、60重量%以上の四糖類)で構成されていてもよい。前記オリゴ糖(B1)の50重量%水溶液の粘度は、温度25℃でB型粘度計で測定したとき、1Pa・s以上であってもよい。前記助剤成分(B)は、さらに、オリゴ糖(B1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(B2)を含んでいてもよい。前記可塑化成分(B2)は、糖類、糖アルコール(エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール、マンニトールなど)などであってもよい。前記粒子の製造に用いる分散体において、有機固体成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、有機固体成分(A)/助剤成分(B)=55/45〜1/99程度であってもよく、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)との割合(重量比)は、オリゴ糖(B1)/可塑化成分(B2)=99/1〜50/50程度であってもよい。前記有機固体粒子は、粒子全体に対して、0〜5000ppm(重量基準)程度の水溶性助剤成分(B)を含んでいてもよい。前記粒子は、平均粒子径が0.05〜100μm程度で、かつ平均粒子径の変動係数が60以下であってもよい。また、短径に対する長径の割合は、長径/短径=1.5/1〜1/1程度であってもよい。
なお、本明細書において、「有機固体成分」とは、固体である限り、炭素系の有機化合物に限らず、ケイ素化合物(シリコーン樹脂など)なども含む意味で用いる。
本発明では、水溶性成分の含有量が著しく低減された有機固体粒子が得られる。また、この有機固体粒子は、水溶性成分が残存していたとしても安全性が高い。さらに、この有機固体粒子は、水溶性成分で汚染されず、粒子径の分布幅が狭く、真球に近い球状である。
本発明の有機固体粒子は、溶融可能な有機固体成分(A)と、少なくともオリゴ糖(B1)を含む水溶性助剤成分(B)とで構成され、前記有機固体成分(A)が粒子状に分散した分散体から、水溶性助剤成分(B)を溶出して得られる。
[有機固体成分(A)]
溶融可能な有機固体成分(A)としては、通常、水溶性助剤(B)に対して非相溶又は疎水性成分(非水溶性成分)が使用できる。前記有機固体成分(A)は、通常、室温(15〜25℃程度)で固体であり、低分子化合物であってもよく、高分子化合物(又は樹脂)であってもよい。低分子有機固体成分(A)の融点は、40〜280℃(好ましくは50〜270℃、さらに好ましくは70〜260℃)程度であってもよく、100〜260℃程度の比較的高い融点を有する化合物も使用できる。有機固体成分(A)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
低分子の有機固体成分(A)としては、例えば、ワックス類又は脂質類、安定化剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系などの酸化防止剤、ベンゾフェノン系、サリチル酸系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などの紫外線吸収剤など)、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、結晶核剤、加硫促進剤、老化防止剤、加硫剤などが例示できる。前記ワックス類又は脂質類としては、脂肪族炭化水素系ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィン系ワックス、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックスなど)、植物性又は動物性ワックス(カルナウバワックス、ミツロウ、セラックワックス、モンタンワックスなど)、高級脂肪酸エステル(グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなど)、脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド、エルカ酸アミドなど)、アルキレンビス脂肪酸アミド(メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドなど)、脂肪酸金属塩(ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの高級脂肪酸多価金属塩など)などが例示できる。なお、上記ワックス類又は脂質類は滑剤としても使用できる。これらの成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明では、このような低分子有機固体成分であっても、前記水溶性助剤(B)と組み合わせることにより、粒子(特に真球状の粒子)として得ることができるので、低分子有機固体成分(A)の取扱い性を向上できる。
有機固体成分(A)としては、高分子化合物(樹脂)を用いる場合が多い。前記樹脂には、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂(例えば、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂など)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂(例えば、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの縮合系熱可塑性樹脂;ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂など)などのビニル重合系熱可塑性樹脂;セルロース誘導体などの天然物由来樹脂、熱可塑性シリコーン樹脂など]、および熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンワニスなども含む)など)などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。有機固体成分(A)としては、通常、熱可塑性樹脂、非水溶性樹脂(非水溶性熱可塑性樹脂など)が使用される。
(熱可塑性樹脂)
(1)ポリエステル系樹脂
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合により得られるホモポリエステル又はコポリエステル;オキシカルボン酸を重縮合させて得られるホモポリエステル又はコポリエステル;ラクトンを開環重合させて得られるホモポリエステル又はコポリエステルが挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸[例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸;メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸などのアルキル置換フタル酸;ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸など);4,4′−ジフェニルジカルボン酸、3,4′−ジフェニルジカルボン酸などのジフェニルジカルボン酸;4,4′−ジフェノキシエタンジカルボン酸などのジフェノキシエタンジカルボン酸;ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸などのジフェニルエーテルジカルボン酸;ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸などのジフェニルアルカンジカルボン酸;ジフェニルケトンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度の芳香族ジカルボン酸など]、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数2〜40程度の脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭素数8〜12程度の脂環族ジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、ジカルボン酸成分には、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルなどの低級アルキルエステル、酸無水物、酸クロライドなどの酸ハライドなども含まれる。
ジオール成分としては、例えば、脂肪族C2-12ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコール等)、脂環族C6-12ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族C6-20ジオール(例えば、レゾルシノール、ヒドロキノン、ナフタレンジオール、ビスフェノールA,F,ADなどのビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体など)などが挙げられる。これらのジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
オキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸などの脂肪族C2-6オキシカルボン酸;ヒドロキシ安息香酸、オキシナフトエ酸などの芳香族オキシカルボン酸などが挙げられる。これらのオキシカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ラクトンとしては、例えば、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等のC3-12ラクトンが挙げられる。これらのラクトンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのラクトンのうち、C4-10ラクトン、特にカプロラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなど)が好ましい。
ポリエステル系樹脂には、芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂などが含まれる。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度の芳香族ジカルボン酸など)と、前記脂肪族ジオール(好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどの脂肪族C2-12ジオールなど)又は前記脂環族ジオール(好ましくは、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族C6-20ジオールなど)との重縮合により得られたホモポリエステル又はコポリエステルなどが挙げられ、好ましくは、アルキレンテレフタレートやアルキレンナフタレートなどのアルキレンアリレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)とするホモポリエステル又はコポリエステルなどが例示できる。共重合成分には、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2-4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールなど]や炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)などが含まれていてもよい。
具体的には、芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリアルキレンテレフタレート[例えば、ポリ(1,4−シクロへキシルジメチレンテレフタレート)(PCT)などのポリシクロアルカンジC1-4アルキレンテレフタレート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレート]、このポリアルキレンテレフタレートに対応するポリC2-4アルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレートなど)、エチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリエチレンテレフタレートコポリエステル、ブチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリブチレンテレフタレートコポリエステルなどが例示できる。芳香族ポリエステル系樹脂は液晶性ポリエステルであってもよい。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、前記脂肪族ジカルボン酸成分(例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸などの炭素数2〜6程度の脂肪族ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸、コハク酸などの炭素数2〜4程度の脂肪族ジカルボン酸)と、前記脂肪族ジオール成分(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族C2-6ジオール、好ましくはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族C2-4ジオール)との重縮合により得られるホモポリエステル又はコポリエステルや、前記脂肪族オキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸などの脂肪族C2-6オキシカルボン酸、好ましくはグリコール酸や乳酸などの脂肪族C2-4オキシカルボン酸)のホモポリエステル又はコポリエステル、開始剤(2官能や3官能の開始剤、例えば、アルコールなどの活性水素化合物)を用いて前記ラクトン(好ましくは、カプロラクトンなどのC4-10ラクトン)を開環重合して得られるホモポリラクトン又はコポリラクトンが挙げられる。共重合成分には、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2-4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールなど]や、炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)などが含まれていてもよい。
具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合から得られるポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンオギザレート、ポリブチレンオギザレート、ポリネオペンチレンオギザレートなどのポリC2-6アルキレンオギザレート;ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリネオペンチレンサクシネートなどのポリC2-6アルキレンサクシネート;ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチレンアジペートなどのポリC2-6アルキレンアジペートなど)、ポリオキシカルボン酸系樹脂(例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸など)、ポリラクトン系樹脂[例えば、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製,PCLH7、PCLH4、PCLH1など)などのポリC3-12ラクトン系樹脂など]などが挙げられる。コポリエステルの具体例としては、例えば、2種類のジカルボン酸成分を用いたコポリエステル(例えば、ポリエチレンサクシネート−アジペート共重合樹脂、ポリブチレンサクシネート−アジペート共重合樹脂などのポリC2-4アルキレンサクシネート−アジペート共重合樹脂など)、ジカルボン酸成分とジオール成分とラクトンとから得られるコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂など)などが例示できる。
本発明で使用するポリエステル系樹脂は、ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂(例えば、ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル系樹脂)であってもよい。ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂は、前記ポリエステル系樹脂(低分子量ポリエステルジオールなど)をジイソシアネート(例えば、脂肪族ジイソシアネート)で高分子量化した樹脂が好ましい。
ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど)等が挙げられる。これらのジイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジイソシアネートのうち、脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートが使用できる。
ウレタン結合を含むポリエステル系樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂)としては、昭和高分子(株)製の「ビオノーレ♯1000」、「ビオノーレ♯3000」、「ビオノーレ♯6000」のシリーズなどが挙げられる。
(2)ポリアミド系樹脂
ポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、通常、脂肪族ポリアミド系樹脂が使用される。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
脂肪族ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4-10アルキレンジアミン)と脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4-20アルキレンジカルボン酸など)との縮合物(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212など)、ラクタム(ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのC4-20ラクタムなど)又はアミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸などの炭素数C4-20アミノカルボン酸など)の単独又は共重合体(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12など)、これらのポリアミド成分が共重合したコポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など)などが挙げられる。
さらに、ポリアミド系樹脂は生分解性を有していてもよい。生分解性ポリアミド系樹脂としては、前記脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4-10アルキレンジアミン)と前記脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC4-20アルキレンジカルボン酸など)、前記脂肪族ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのC2-12アルカンンジオールなど)との縮合物であるポリエステルアミドが挙げられる。
(3)ポリウレタン系樹脂
ポリウレタン系樹脂は、ジイソシアネート類とポリオール類(例えばジオール類)と必要により鎖伸長剤との反応により得ることができる。ジイソシアネート類としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類などが例示できる。
ポリオール類としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。ポリオール類の中でも特にジオール類(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなど)が好ましい。これらのポリオール成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジオール類としては、ポリエステルジオール(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸などのC4-12脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2-12脂肪族ジオール成分とから得られるポリエステルジオール、ε−カプロラクトンなどのC4-12ラクトン成分から得られるポリエステルジオール、前記脂肪族ジカルボン酸成分及び/又は前記脂肪族ジオール成分と、前記ラクトン成分から得られるポリエステルジオールなど)、ポリエーテルジオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)、ポリエステルエーテルジオール(ジオール成分の一部として上記ポリエーテルジオールを用いたポリエステルジオール)などが利用できる。
さらに、鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2-10アルキレングリコールの他、ジアミン類[脂肪族ジアミン類(エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなど直鎖又は分岐鎖状アルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミンなどの直鎖又は分岐鎖状ポリアルキレンポリアミンなど)、脂環族ジアミン類(イソホロンジアミンなど)、芳香族ジアミン類(フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなど)など]も使用できる。これらのポリウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(4)ポリ(チオ)エーテル系樹脂
ポリ(チオ)エーテル系樹脂には、ポリオキシアルキレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフィド系樹脂(ポリチオエーテル系樹脂)が含まれる。ポリオキシアルキレン系樹脂としては、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのアルキレングリコールの単独又は共重合体(ポリC2-4アルキレングリコールなど)などが含まれる。これらのポリ(チオ)エーテル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(5)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。これらのポリカーボネート系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(6)ポリスルホン系樹脂
ポリスルホン系樹脂には、ジハロゲノジフェニルスルホン(ジクロロジフェニルスルホンなど)とビスフェノール類(ビスフェノールA又はその金属塩など)との重縮合により得られるポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂(商品名:RADEL)などが例示できる。これらのポリスルホン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(7)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂には、α−C2-6オレフィンの単独又は共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)などのオレフィンの単独又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(8)(メタ)アクリル系樹脂
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど)の単独又は共重合体、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂には、ポリ(メタ)アクリル酸C1-5アルキル、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが含まれる。これらの(メタ)アクリル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(9)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などの共重合体など;アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS樹脂)、アクリロニトリル−酢酸ビニル−スチレン共重合体(AXS樹脂)などのスチレン系グラフト共重合体;ゴム成分の存在下、少なくともスチレン系単量体をグラフト重合したグラフト重合体、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS、又はゴムグラフトポリスチレン系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)など)などが挙げられる。これらのスチレン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(10)ビニル系樹脂
ビニル系樹脂には、ビニル系単量体の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能なモノマーとの共重合体などが含まれる。ビニル系単量体としては、例えば、ハロゲン含有ビニル単量体[例えば、塩素含有ビニル単量体(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレンなど)、フッ素含有ビニル単量体(例えば、フルオロエチレンなど)など]、カルボン酸ビニルエステル[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステルなど]などが挙げられる。これらのビニル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体など)、フッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体など)、ビニルエステル系樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)などが挙げられる。
前記ビニルエステル系樹脂の誘導体[例えば、ビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、前記酢酸ビニル系共重合体のケン化物、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)など]も使用できる。これらのビニルアルコール系樹脂のうち、酢酸ビニル系共重合体のケン化物、特に、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。酢酸ビニル系共重合体のケン化物において、疎水性コモノマーユニット(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体におけるエチレンユニットなど)の割合を調整することにより、親水性の程度を調整してもよい。酢酸ビニル系共重合体のケン化物を親水性樹脂として用いる場合には、助剤成分(B)に対する親和性の点から、疎水性コモノマーユニットの割合を、例えば、10〜40重量%程度に調整してもよい。
(11)セルロース誘導体
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(セルロースアセテート、セルロースフタレートなど)、セルロースカーバメート類(セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(シアノエチルセルロースなど)が挙げられる。これらのセルロース誘導体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
セルロースエステルとしては、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の有機酸エステル(又はアシルセルロース);硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル等が挙げられる。
セルロースエーテルとしては、例えば、アルキルセルロース(例えば、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのC2-6アルキルセルロース)、アラルキルセルロース(例えば、ベンジルセルロースなど)、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
生分解性の点からは、セルロース誘導体の置換度は低いのが好ましく、例えば、平均置換度2.5以下、好ましくは2以下(例えば、0.1〜2)、さらに好ましくは1.5以下(例えば、0.1〜1.5)程度である。
(12)熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーには、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性エラストマーがブロック共重合体であるとき、ブロック構造は特に制限されず、トリブロック構造、マルチブロック構造、星形ブロック構造などであってもよい。
有機固体成分(樹脂成分など)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)は、60〜300℃の範囲から選択でき、例えば、80〜260℃、好ましくは100〜240℃(例えば110〜240℃)、さらに好ましくは120〜230℃(例えば130〜220℃)程度である。好ましい樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂など)、生分解性樹脂[例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(例えば、ポリ乳酸系樹脂やポリC3-12ラクトン系樹脂など)、ポリエステルアミドなどの生分解性ポリエステル系樹脂、前記セルロース誘導体]などが挙げられる。なお、助剤成分(B)との溶融混練を容易にするために、アミノ基、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有する樹脂を使用してもよい。
有機固体成分(A)(熱可塑性樹脂など)の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量、又は粘度平均分子量で、例えば、500,000以下(例えば、10,000〜500,000程度)、好ましくは50,000〜400,000程度、さらに好ましくは10,000〜350,000程度であってもよい。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量の測定が困難なセルロース誘導体などの熱可塑性樹脂については、粘度平均分子量を採用できる。なお、有機固体成分(A)の重量平均分子量は、有機固体成分(A)の混練時間や混練温度などによっても調節できる。
[水溶性助剤]
水溶性助剤は、少なくともオリゴ糖(B1)で構成された水溶性助剤成分(B)で構成され、有機固体成分と組み合わせて分散体を形成する。さらに、オリゴ糖の熱溶融特性を調整するために、水溶性助剤は可塑化成分(B2)をさらに含むのが好ましい。
(B1)オリゴ糖
オリゴ糖(B1)は、2〜10分子の単糖類が、グリコシド結合を介して脱水縮合したホモオリゴ糖と、少なくとも2種類以上の単糖類及び/又は糖アルコールが、2〜10分子グリコシド結合を介して脱水縮合したヘテロオリゴ糖とに大別される。オリゴ糖(B1)としては、例えば、二糖類〜十糖類が挙げられ、通常、二糖類〜六糖類のオリゴ糖が使用される。オリゴ糖は、通常、常温で固体である。なお、これらのオリゴ糖は、無水物でもよい。また、オリゴ糖において、単糖類と糖アルコールとが結合していてもよい。これらのオリゴ糖は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、オリゴ糖は複数の糖成分で構成されたオリゴ糖組成物であってもよい。このようなオリゴ糖組成物であっても単にオリゴ糖という場合がある。
二糖類としては、トレハロース(例えば、α,α−トレハロース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロースなど)、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオースなどのホモオリゴ糖;ラクトース、スクロース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
三糖類としては、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオースなどのホモオリゴ糖;マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトスクロース、ラフィノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
四糖類としては、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなどのホモオリゴ糖;スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
これらの四糖類のうち、パノースの還元末端に単糖類又は糖アルコールが結合したテトラオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなどの単糖類や、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが結合したテトラオースが例示できる。
五糖類としては、マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどのホモオリゴ糖;パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースも、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、スクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類が結合したペンタオースが例示できる。
六糖類としては、マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどのホモオリゴ糖などが挙げられる。
オリゴ糖は、有機固体成分との溶融混練性の観点から、少なくとも四糖類で構成されているのが好ましい。
オリゴ糖は、多糖類の分解により生成するオリゴ糖組成物であってもよい。オリゴ糖組成物は、通常、四糖類を含んでいる。オリゴ糖組成物としては、例えば、デンプン糖(デンプン糖化物)、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などが挙げられる。これらのオリゴ糖組成物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
例えば、デンプン糖は、デンプンに酸又はグルコアミラーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、複数個のグルコースが結合したオリゴ糖の混合物であってもよい。デンプン糖としては、例えば、東和化成工業(株)製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の含有量90重量%以上)などが挙げられる。
ガラクトオリゴ糖は、ラクトースにβ−ガラクトシダーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、ガラクトシルラクトースとガラクトース−(グルコース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
カップリングシュガーは、デンプンとスクロースにシクロデキストリン合成酵素(CGTase)を作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、(グルコース)n−スクロースの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
フルクトオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)は、砂糖にフルクトフラノシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、スクロース−(フルクトース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
これらのオリゴ糖組成物において、溶融混練での急激な粘度低下を防止するため、オリゴ糖組成物中の三糖類、四糖類(特に四糖類)の含有量は、例えば、60重量%以上(60〜100重量%)、好ましくは70重量%以上(70〜100重量%)、さらに好ましくは80重量%以上(80〜100重量%)、特に90重量%以上(90〜100重量%)である。
オリゴ糖は還元型(マルトース型)であってもよく、非還元型(トレハロース型)であってもよいが、還元型のオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。
還元型のオリゴ糖としては、遊離のアルデヒド基又はケトン基を有し、還元性を示す糖であれば、特に限定されず、例えば、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどの二糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオースなどの三糖類;マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、セロテトラオース、リキノースなどの四糖類;マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどの五糖類;マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどの六糖類などが挙げられる。
一般的に、前記オリゴ糖は、天然物である多糖類の誘導体あるいはそれらの還元によって製造される天然物由来の製造物であるため、環境への負荷を低減できる。
混練により、効果的に有機固体成分と助剤成分とを分散させるためには、オリゴ糖の粘度は高いのが望ましい。具体的には、B型粘度計を用いて温度25℃で測定したとき、オリゴ糖の50重量%水溶液の粘度は、1Pa・s以上(例えば、1〜500Pa・s程度)、好ましくは2Pa・s以上(例えば、2〜250Pa・s、特に3〜100Pa・s程度)、さらに好ましくは4Pa・s以上(例えば、4〜50Pa・s程度)、特に6Pa・s以上(例えば、6〜50Pa・s程度)であり、高粘度オリゴ糖を用いることが望ましい。
また、オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点は、有機固体成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)より高いのが好ましい。なお、オリゴ糖の種類[例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など]によっては、融点又は軟化点を示さず、熱分解する場合がある。このような場合、分解温度をオリゴ糖(B1)の「融点又は軟化点」としてもよい。
オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点と、有機固体成分(A)の熱変形温度との温度差は、例えば、1℃以上(例えば、1〜80℃程度)、好ましくは10℃以上(例えば、10〜70℃程度)、さらに好ましくは15℃以上(例えば、15〜60℃程度)である。オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点は、有機固体成分(A)の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。なお、一般にオリゴ糖の無水物は、高い融点又は軟化点を示す。例えば、トレハロースの場合、二水化物の融点は97℃であるが、無水物の融点は203℃である。オリゴ糖の融点又は軟化点が有機固体成分(A)の熱変形温度より高いと、溶融混練でのオリゴ糖の急激な粘度低下を防止できるだけでなく、オリゴ糖の熱劣化も抑制できる。
更に、本発明では、水溶性助剤成分(B)において、オリゴ糖(B1)と、オリゴ糖(B1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(B2)とを組み合わせることにより、有機固体成分(A)との混練において、水溶性助剤成分(B)の粘度を調整できる。
(B2)可塑化成分
可塑化成分(B2)としては、オリゴ糖(B1)が水和して水飴状態となる現象を発現できるものであればよく、例えば、糖類、糖アルコールなどが挙げられる。これらの可塑化成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(糖類)
糖類としては、オリゴ糖(B1)を有効に可塑化するために、通常、単糖類及び/又は二糖類が使用される。これらの糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
単糖類としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコースなどが挙げられる。これらの化合物は、アルドースやケトースであってもよく、ジアルドース(糖の誘導体であって炭素鎖両末端がアルデヒド基である化合物、例えば、テトラアセチルガラクトヘキソジアルドース、イドヘキソジアルドース、キシロペントドアルドース等)、複数のカルボニル基を有する単糖類(オソン、オノース等のアルドアルコケトース等)、メチル基を有する単糖類(アルトロメチロースなどのメチル糖等)、アシル基(特にアセチル基などのC2-4アシル基等)を有する単糖類(前記アルドースのアセチル体、例えば、アルデヒドグルコースペンタアセチル化合物などのアセチル体など)、カルボキシル基が導入された糖類(糖酸またはウロン酸等)、チオ糖、アミノ糖、デオキシ糖などであってもよい。
このような単糖類の具体例としては、例えば、テトロース(エリトロース、トレオロース等)、ペントース(アラビノース、リボース、リキソース、デオキシリボース、キシロース等)、ヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、フコース、ラムノース、タロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン等)などが例示できる。
また、単糖類は、ヘミアセタール結合により環状構造を形成した環状異性体であってもよい。単糖類は、旋光性を有している必要はないが、D形、L形、DL形のいずれであってもよい。これらの単糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
二糖類としては、オリゴ糖(B1)を可塑化できるものであれば、特に制限されず、例えば、前記二糖類のうち、低融点または低軟化点を有する二糖類(例えば、ゲンチビオース、メリビオース、トレハロース(二水化物)など)、前記単糖類のホモ及びヘテロ二糖類に相当する二糖類(例えば、グルクロン酸とグルコースとがα−1,6グリコシド結合したグルクロノグルコースなどのアルドビオウロン酸など)が例示できる。
糖類は、熱安定性に優れるため、還元糖が好ましく、そのような糖類としては、遊離の単糖類の他、前記二糖類のうち、低融点又は低軟化点の還元糖(例えば、ゲンチビオース、メリビオースなど)が挙げられる。
(糖アルコール)
糖アルコール(又は水溶性多価アルコール)としては、アルジトール(グリシトール)などの鎖状糖アルコールであってもよく、イノシットなどの環式糖アルコールであってもよいが、通常は、鎖状糖アルコールが使用される。これらの糖アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状糖アルコールとしては、テトリトール(トレイトール、エリスリトールなど)、ペンチトール[ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール、リキシトールなど]、ヘキシトール[ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、アロズルシトール(アリトール)、アルスリトールなど]、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、及びドデキトールなどが挙げられる。
これらの糖アルコールのうち、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールが好ましい。糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトールから選択された少なくとも1つの糖アルコールを含む場合が多い。
可塑化成分(B2)は、常温(例えば、15〜20℃程度)で液体(シロップ状)であってもよいが、取扱い性などの点から、通常、固体である場合が多い。助剤成分(B)をオリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とで構成すると、オリゴ糖(B1)が明瞭な融点や軟化点を示さない熱分解性オリゴ糖であっても、有効に可塑化又は軟化できる。
可塑化成分(B2)の融点又は軟化点は、通常、有機固体成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)以下である。なお、可塑化成分の中には、高融点(例えば200℃以上)を有するにも拘わらず、オリゴ糖と共存すると、実際の融点よりも低い温度で融解する物質が存在する。例えば、ペンタエリスリトールは、実際の融点(260℃)より低温(例えば160〜180℃程度)でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮するとともに、自身も融解状態となる。このような高融点の可塑化成分は、単独では有機固体成分の熱変形温度において融解しないため利用できないが、オリゴ糖と組み合わせることによって有効に利用できる。なお、実際の融点より低温でオリゴ糖に対する可塑化効果を発揮する可塑化成分(例えば、ペンタエリスリトールなど)においては、オリゴ糖に対して可塑化効果を発揮する温度を、可塑化成分(B2)の「融点又は軟化点」としてもよい。
また、オリゴ糖(B1)は、可塑化成分(B2)の融点又は軟化点より高い温度で融点又は軟化点を示すか、若しくは分解してもよい。オリゴ糖(B1)の融点又は軟化点(若しくは分解温度)よりも、可塑化成分(B2)の融点又は軟化点を低くすると、分散体の冷却に伴って、可塑化成分(B2)が凝固することにより、オリゴ糖(B1)も凝固し、マトリックスを効率よく固定できるため、有機固体成分の固化温度に達しなくても、分散相の形状を、例えば、球状などに固定することができる。特に、可塑化成分が低分子であるため、明瞭な凝固点を示し(凝固点の幅が狭く)、瞬時に可塑化成分を凝固することができる。
助剤成分(B)の融点又は軟化点は、有機固体成分(A)の熱変形温度以上であってもよく、以下であってもよい。有機固体成分(A)及び助剤成分(B)は、少なくとも混練温度(又は成形加工温度)において溶融又は軟化すればよい。例えば、助剤成分(B)の融点又は軟化点と、有機固体成分(A)の熱変形温度との温度差は、0〜100℃の範囲で選択してもよく、例えば、3〜80℃(例えば3〜55℃)、好ましくは5〜60℃(例えば、5〜45℃)、さらに好ましくは5〜40℃(例えば、10〜35℃)程度であってもよい。なお、助剤成分(B)の融点又は軟化点と、有機固体成分(A)の熱変形温度との温度差が小さい場合(例えば前記温度差が0〜20℃程度である場合)、固化速度の高い助剤成分(B)(例えば、糖成分)により短時間で分散形態を固定化できるという利点がある。
さらに、助剤成分(B)(例えば、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)とを含む助剤成分)のメルトフローレートは、例えば、有機固体成分(A)の熱変形温度(例えば、前記ビカット軟化点)より30℃高い温度でJIS K 7210で規定されるメルトフローレートを測定したとき、1以上(例えば、1〜40程度)、好ましくは5以上(例えば、5〜30程度)、さらに好ましくは10以上(例えば、10〜20程度)であってもよい。
助剤成分(B)において、可塑化成分(B2)の割合(重量比)は、溶融混練に伴って、可塑化成分が凝集などにより局在化せず、オリゴ糖(B1)を効率的に可塑化できる量、例えば、オリゴ糖(B1)/可塑化成分(B2)=99/1〜50/50から選択でき、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは90/10〜70/30程度である。なお、溶融混練温度(加工温度)に応じて、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)との割合を適宜調整することにより、有機固体成分(A)と助剤成分(B)との混練の効率をコントロールしてもよい。例えば、比較的低温(例えば、90〜180℃程度)で溶融混練する場合などには、可塑化成分の割合を大きくすると、成分(A)及び(B)を効率よく混練することもできる。
有機固体成分(A)と助剤成分(B)との相溶性は、特に制限されず、非相溶性であってもよく、相溶性であってもよい。有機固体成分と助剤成分とが相溶する場合、有機固体成分と助剤成分とが混練温度において均一な単一相を形成しても、混練後の放置時間や、冷却過程における両者の表面張力、結晶化などの固化速度の相違などにより、有機固体成分と助剤成分とを相分離でき、有機固体成分と助剤成分とで分散系を形成できる。有機固体成分と助剤成分とが相溶する系においても、有機固体成分と助剤成分とを相分離できる理由としては、前記助剤成分が、低い表面張力を有するとともに、有機固体成分との混練温度においても比較的高粘度を保持でき、さらに低分子量であるために冷却時の固化速度が有機固体成分に比して極端に速いという特異な物性を有していることが挙げられる。
有機固体成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)は、有機固体成分及び助剤成分の種類や粘度、有機固体成分と助剤成分との相溶性などに応じて選択でき、特に制限されないが、通常、成形性を損なわない量、例えば、有機固体成分(A)/助剤成分(B)=55/45〜1/99、好ましくは50/50〜5/95、さらに好ましくは45/55〜10/90程度である。
本発明において、有機固体成分(A)と助剤成分(B)とは同一又は異なる溶融粘度(せん断粘度)を有している。特に、オリゴ糖(又はオリゴ糖を含む助剤成分(B))の粘度を、有機固体成分(A)の溶融粘度に近づけると、有機固体成分(A)の分散性を向上でき、分散相(及び得られる有機固体粒子)の粒子径を小さくできるとともに、粒度分布を狭くできる。
孔径1mm及び長さ40mmのキャピラリーを用いて、温度180℃及び剪断速度126sec-1で測定したとき、水溶性助剤(B)の剪断粘度は、例えば、5Pa・s以上(例えば、5〜250Pa・s)程度の範囲から選択でき、通常、8Pa・s以上(例えば、8〜200Pa・s)、好ましくは10Pa・s以上(例えば、10〜150Pa・s)、さらに好ましくは12Pa・s以上(例えば、15〜150Pa・s)であり、20〜150Pa・s(例えば、40〜130Pa・s)程度であってもよい。このような溶融粘度特性を有する水溶性助剤(B)を用いると、水溶性助剤(B)の分離を防止しつつ樹脂成分などの有機固体成分(A)との組成物を均一に溶融混練可能であり、前記有機固体成分(A)粒子状に形成できる。さらに、成形装置において、ベント部やフィードブロック、ダイスなどの継ぎ目部から水溶性助剤又は加工助剤(B)が流出することがなく、スクリューの空転を防止しつつ、混練力を前記組成物に有効に作用させることができる。なお、樹脂などの成形加工温度は、通常、140〜240℃であり、押出機などの代表的な加工機の剪断速度は、通常、50〜200sec-1程度であると思われる。そのため、本発明では、代表的な条件として、前記温度180℃及び剪断速度126sec-1を採用している。
なお、有機固体成分(A)の前記せん断粘度ηAは、助剤成分(B)のせん断粘度ηBに応じて適宜選択でき、例えば、50〜1000Pa・sec、好ましくは100〜900Pa・sec、さらに好ましくは150〜800Pa・sec程度であってもよい。
例えば、分散体の調製に伴う有機固体成分(A)と助剤成分(B)との溶融混練温度において、有機固体成分(A)のせん断粘度ηAと前記助剤成分(B)のせん断粘度ηBとの比ηA/ηBを小さくすることにより、平均粒子径の変動係数を低減でき、粒子径をコントロールすることができる。前記せん断粘度比ηA/ηB は、通常、20/1以下(例えば、0.05/1〜20/1程度)、好ましくは0.06/1〜15/1、さらに好ましくは0.1/1〜10/1程度であってもよい。なお、平均粒子径の変動係数は、有機固体成分(A)と助剤成分(B)との組合せや加工温度(混合温度又は混練温度など)を調整することにより、コントロールできる。
本発明において、有機固体成分(A)と助剤成分(B)とは、互いに異なる表面張力を有している。特に、助剤成分(B)は、少なくともオリゴ糖(B1)や水溶性可塑化成分(B2)を含むため、有機固体成分(A)に比べて、通常、表面張力が非常に小さい。このように、本発明では、有機固体成分(A)と助剤成分(B)との表面張力の差又は比を大きくでき、分散相を表面張力の大きな有機固体成分で構成するため、分散相(又は有機固体粒子)の形状を球状にすることができる。
有機固体成分(A)の表面張力と、助剤成分(B)の表面張力との相違は、例えば、両者の水との接触角の比で表すことができる。25℃において、有機固体成分(A)の水との接触角θAと、助剤成分(B)の水との接触角θBとの比(θA/θB)が2以上(例えば、θA/θB=2/1〜10/1程度)、好ましくは2.5以上(例えば、θA/θB=2.5/1〜9/1程度)、さらに好ましくは3以上(例えば、θA/θB=3/1〜8/1程度)であってもよい。なお、接触角とは、室温(25℃)で有機固体成分や助剤成分の表面上に水滴を置き、水滴の広がりが停止したときの水滴の表面と有機固体成分(又は助剤成分)の表面との交点において、水滴に対する接線と有機固体成分(又は助剤成分)の表面との間に形成される角のうち、水滴側の角度を指す。
有機固体成分(A)の接触角θAは、例えば、40〜110°、好ましくは50〜105°、さらに好ましくは60〜105°程度であってもよい。また、助剤成分(B)の接触角θBは、例えば、10〜25°、好ましくは10〜20°(例えば、12〜20°)、さらに好ましくは15〜20°程度であってもよい。
本発明では、前記有機固体成分(A)及び助剤成分(B)を用いて、樹脂などの有機固体が粒子状に分散した分散体を調製する。分散体の調製方法は、特に制限されないが、通常、有機固体成分(A)と助剤成分(B)とを混練する。有機固体成分(A)と助剤成分(B)との混練は、慣用の混練機(例えば、単軸もしくは二軸スクリュー押出機、ニーダー、カレンダーロールなど)を用いて行なうことができる。混練時間は、例えば、10秒〜1時間の範囲から選択してもよく、通常30秒〜45分、好ましくは1〜30分(例えば、1〜10分)程度である。また、混練に先立ち、有機固体成分および助剤成分は、予め凍結粉砕機などで粉体状に予備加工したり、ヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、ボールミルなどで予備混練してもよい。
このようにして得られた混練物から水溶性助剤成分を溶出させてもよいが、通常、混練後に成形して助剤成分を溶出する。成形法としては、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などが挙げられ、通常、生産性や加工の容易さの点から、押出成形又は射出成形が使用される。予備成形体の形状は、特に制限されず、0次元的形状(粒状、ペレット状など)、1次元的形状(ストランド状、棒状など)、2次元的形状(板状、シート状、フィルム状など)、3次元的形状(管状、ブロック状など)などであってもよい。助剤成分の溶出性を考慮すると、ストランド状、棒状、シート状、又はフィルム状に加工することが望ましい。また、予備成形体は、成形過程において、他の基材を積層して加工してもよい。
なお、混練温度や成形加工温度は、使用される原材料(例えば、有機固体成分及び助剤成分)に応じて適宜設定することが可能であり、例えば、90〜300℃、好ましくは110〜260℃(例えば、170〜250℃)、さらに好ましくは140〜240℃(例えば、170〜240℃)、特に170〜230℃(例えば、180〜220℃)程度である。助剤成分(オリゴ糖および可塑化成分)の熱分解を避けるため、混練温度や成形加工温度を230℃以下にしてもよい。
分散系(有機固体成分と助剤成分とが分散した形態)は、混練及び/又は成形加工後、溶融物(例えば、混練物、予備成形体)を、適宜冷却することにより形成してもよい。例えば、冷却温度は、有機固体成分の熱変形温度、又は助剤成分の融点若しくは軟化点よりも少なくとも10℃程度低い温度であればよく、例えば、上記温度(有機固体成分の熱変形温度、又は助剤成分の融点若しくは軟化点)より10〜100℃程度低い温度、好ましくは前記温度より15〜80℃程度低い温度、さらに好ましくは前記温度より20〜60℃程度低い温度であってもよい。具体的には、例えば、冷却温度は、有機固体成分又は助剤成分の種類に応じて5〜150℃の範囲から選択でき、例えば、10〜120℃(例えば、10〜60℃)、好ましくは15〜100℃(例えば、15〜50℃)、さらに好ましくは20〜80℃(例えば、20〜40℃)程度であってもよい。冷却時間は、有機固体成分や助剤成分の種類、冷却温度等に応じて適宜設定でき、例えば、30秒〜20時間の広い範囲から選択してもよく、例えば、45秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間(例えば、1分〜1時間)、さらに好ましくは1.5〜30分程度であってもよい。冷却によって、有機固体成分と助剤成分とが相溶であっても、冷却工程において、表面張力、結晶化などの固化速度の相違などによって、分散系を形成でき、分散体を得られる。
粒子形状や粒子サイズは、有機固体成分と助剤成分との相溶性、有機固体成分及び助剤成分の溶融粘度、混練条件(例えば、混練時間、混練温度など)、成形加工温度、並びに冷却条件(例えば、冷却時間、冷却温度など)などによりコントロールできる。
上記のようにして得られた予備成形体(又は分散体)では、海島構造における連続相(樹脂相が独立した相分離構造)を形成しているため、助剤成分を速やかに溶出できる。
本発明において、前記水溶性助剤成分(B)は、水性媒体(水など)への溶出性に優れている。水性媒体への溶出速度が遅いと、生産速度が遅くなり、生産性を低下させたり、溶出に大量の水が必要となる虞がある。また、溶出速度が遅いと、激しい攪拌が必要となり、エネルギー負荷が増す虞もある。
助剤成分(B)の水への溶解性は、例えば、重量半減時間を指標として表すことができる。水中での重量半減時間は、25mm×25mm×3mmの板状成形体を25℃の蒸留水500mL中に600秒間浸漬したとき、下記式
1/(W1−W2)×600×0.5
(式中、W1は浸漬前の板状成形体の重量、W2は板状成形体を600秒間浸漬した後、乾燥により水分を除去した後の重量を示す)
で表される。助剤成分(B)の重量半減時間は、1500秒以下(例えば、10〜1500秒)、好ましくは1200秒以下(例えば、20〜1200秒)、さらに好ましくは1000秒以下(例えば、30〜1000秒)であってもよい。好ましい態様において、水溶性助剤(B)の重量半減時間は、800秒以下(例えば、10〜800秒)、好ましくは780秒以下(例えば、10〜750秒)、特に720秒以下(例えば、10〜720秒)である。このような特性を有するため、水溶性助剤(B)は、水に対する溶解速度が大きく、溶解性または溶出性が高い。そのため、水溶性高分子を溶出する方法と異なり、多量の水を用いることなく、撹拌のためのエネルギー負荷を低減しつつ、必要最小限の水で水溶性助剤(B)を溶出でき、有機固体成分(A)で構成された成形体(粒子や多孔体など)の生産性を大きく向上できる。
助剤成分の溶出または洗浄は、溶媒[水、水溶性溶媒(例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エーテル類(セロソルブ、ブチルセロソルブなど)など)など]中に分散体を浸漬するなどの方法により行うことができ、分散体からの助剤成分を溶出によって有機固体粒子を得ることができる。環境への負荷が少なく、工業コストを低減できるため、溶媒は水が好ましい。助剤成分の溶出は、慣用の方法を用いて、例えば、常圧下(例えば、1atm又は10万Pa程度)、減圧下、又は加圧下でできる。助剤成分の溶出温度は、有機固体成分及び助剤成分に応じて、適宜設定することができ、例えば有機固体成分の融点又は軟化点未満の温度、例えば、10〜100℃、好ましくは25〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃(例えば、40〜80℃)程度である。水溶性助剤成分は、水に易溶であるため、大量の水を必要としない。また、助剤成分は、低分子量であるため、得られる溶出液の粘度も低く、容易に回収できる。
有機固体粒子は、濾過、遠心分離などの回収方法を用いて回収できる。得られた有機固体粒子中には、微量の助剤成分が残留しているが、助剤成分が天然物由来の化合物であるため、有機固体粒子に与える悪影響は少ない。
なお、溶媒で抽出された助剤成分は、慣用の分離手段(例えば、蒸留、濃縮、再結晶、乾燥(フリーズドライ)など)を用いて回収できる。
さらに、水溶性助剤(B)は、B型粘度計で測定した10重量%水溶液の粘度が25℃で10cps(mPa・s)以下(例えば、2〜10cps)、好ましくは7cps以下(例えば、2〜7cps)、さらに好ましくは5cps以下(例えば、2〜5cps)であり、通常、3〜7cps程度である。このように水溶性助剤成分(B)の水溶液粘度が小さいため、水による溶出操作により、有機固体成分(A)で構成された成形体(粒子や多孔体など)との分離効率(又は濾過効率)を大きく向上できる。そのため、水溶性高分子を溶出する方法と異なり、水溶液の粘度を低減でき、遠心分離においては、回転数を増大させることなく短時間内に有機固体成分(A)で構成された成形体を分離でき、濾過分離においては、低圧かつ短時間内に有機固体成分(A)で構成された成形体を分離できる。そのため、エネルギー的に有利であるとともに有機固体成分(A)で構成された成形体の生産性を向上できる。
このような特性を有する水溶性助剤成分(B)は、溶融粘度が高いにも拘わらず、水に対する溶解性が高く、しかも水溶液粘度が低い。しかも、樹脂成分などの有機固体成分(A)と溶融混練して、射出成形、押出成形などの種々の方法で、溶融成形可能である。そのため、水溶性助剤成分(B)は溶融可能な有機固体成分(A)と組み合わせて用い、混練により生成した有機固体成分(A)の成形体を得るのに好適である。すなわち、水溶性助剤成分(B)は溶融混練して前記有機固体粒子を生成するための助剤として有用である。
[有機固体粒子]
このようにして得られた有機固体粒子の形状は、粒子状であれば特に限定されず、例えば、球状、楕円体状、多角体状、角柱状、円柱状、棒状、不定形状などであってもよい。前記製造方法によると、球状、特に真球状の粒子が簡便に製造できる。なお、球状とは、真球に限られず、例えば、短径に対する長径の割合が長径/短径=1.5/1〜1/1程度である形状を包含し、好ましくは1.3/1〜1/1、さらに好ましくは1.1/1〜1/1程度である。
有機固体粒子の平均粒子径は、特に制限されず、用途に応じて0.05μm〜1mm程度の範囲から選択でき、0.1〜800μm、好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.2〜50μm、特に1〜40μm程度であってもよい。また、有機固体成分(A)や水溶性助剤(B)の種類を適宜選択することにより、有機固体粒子の平均粒子径を、例えば、0.05〜100μm、好ましくは0.05〜10μm、さらに好ましくは0.05〜5μm、特に0.1〜3μm程度にまで小さくすることもできる。
また、本発明の有機固体粒子は、前記製造方法によって製造されるため、粒子径の分布範囲が狭い。粒子径の変動係数([粒子径の標準偏差/平均粒子径]×100)は、例えば、60以下(例えば、5〜60程度)、さらに好ましくは50以下(例えば、10〜50程度)である。
本発明の有機固体粒子は、実質的に水溶性助剤成分(B)を含まないか、含んでいても微量である。また、この水溶性助剤成分は製造工程で残存したとしても、水溶性助剤成分の多くは食品または食品添加物であるため、安全性が高い。さらに、水溶性助剤成分(B)を水で溶出できるため、本発明の有機固体粒子は、環境負荷の大きい有機溶媒を実質的に含んでない。また、溶出が困難な水溶性高分子(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール系樹脂、澱粉類など)も実質的に含んでいない。
有機固体粒子中の水溶性助剤成分の含有量(重量基準)は、粒子全体に対して、例えば、50,000ppm以下(例えば、0〜50,000ppm程度)であり、有機固体粒子を水性媒体(水など)で洗浄することにより、用途に応じて、前記水溶性助剤成分の含有量を簡単に調整(低減)することもできる。水溶性助剤成分の含有量は、通常、全体に対して、10,000ppm以下(例えば、0〜10,000ppm程度)、好ましくは5,000ppm以下(例えば、0〜5,000ppm程度)、さらに好ましくは3,000ppm以下(例えば、0〜3,000)程度である。水溶性助剤成分は、水性媒体で容易に溶出又は洗浄できるため、一度の洗浄によって、前記範囲で水溶性助剤成分を含有する粒子を得ることができる。また、洗浄を繰返すことにより、前記含有量を、1,000ppm以下(例えば、0〜1,000ppm程度)、好ましくは300ppm以下(例えば、0〜300ppm程度)程度に低減することも容易である。有機固体粒子は、通常、助剤成分を実質的に含まないか、もしくは分析による検出限界以下である場合が多い。本発明では、水溶性助剤成分による汚染を抑制でき、有機固体粒子の用途を拡大できる。
水性媒体による洗浄方法としては、常温(例えば、15〜35℃)で攪拌後、ろ過する方法が使用できる。攪拌時間は、10分〜5時間、好ましくは20分〜3時間、さらに好ましくは30分〜2時間程度である。固形分濃度は、例えば、1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%程度であってもよい。
有機固体粒子中の助剤成分(B)の含有量は、慣用の方法で測定することができ、例えば、フェノール硫酸法によって、比色分析で直接的に助剤成分(糖成分)を測定してもよいし、水などの水性媒体に溶出した助剤成分の全有機炭素(TOC)を測定して、間接的に助剤成分を測定してもよい。
有機固体粒子には、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、フィラー[例えば、粉粒状フィラー又は補強剤(マイカ、クレー、タルク、ケイ酸類、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、フェライトなど)、繊維状フィラー又は補強剤(レーヨン、ナイロン、ビニロン、アラミドなどの有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホイスカーなどの無機繊維)など]、可塑剤又は軟化剤、光分解性付与剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、滑剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候(光)安定剤など)、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物の粉末など)、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤[油溶性有機染料などの染料;無機又は有機顔料(例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属(粉末);マグネタイト、フェライトなどの強磁性合金(粉末);磁性酸化鉄などの強磁性金属酸化物(粉末)などの強磁性材料も含む)など]、電荷制御剤(ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミン系化合物などの正荷電制御剤;サリチル酸金属錯体、アゾ染料金属錯体、銅フタロシアニン染料、ニトロイミダゾール誘導体、尿素誘導体などの負電荷制御剤など)、流動化剤、ワックス類[ポリエチレンワックス、エチレン共重合体ワックス、ポリプロピレンワックスなどのオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;高級脂肪酸又はその誘導体(塩、多価アルコールエステル、アミドなど);エステル系ワックスなど]、架橋剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。なお、添加剤は、分散体を構成する分散相(樹脂成分などの有機固体成分(A)を構成する各樹脂など)及びマトリックスのいずれに含有させてもよい。
前記添加剤は、樹脂粒子の用途などに応じて選択でき、例えば、化粧品(ファンデーション、白粉、頬紅など)などの用途では、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系吸収剤、ケイ皮酸系吸収剤、p−アミノ安息香酸系吸収剤、サリチル酸系吸収剤、ジベンゾイルメタン系吸収剤、ウロカニン酸又はそのエステル、β−イソプロピルフラノン、β−カロチンなど)、前記紫外線散乱剤、着色剤などを使用してもよい。トナーなどの画像記録材料用途では、例えば、電荷制御剤、流動化剤、ワックス類、着色剤などを用いてもよい。また、塗料などの用途では、例えば、架橋剤、耐候(光)安定剤、紫外線吸収剤、流動化剤、着色剤などを使用してもよい。
これらの添加剤は、それぞれ有効量であればよく、例えば、有機固体成分100重量部に対して、添加剤の総量は、0〜50重量部程度、好ましくは0.1〜20重量部程度、さらに好ましくは0.5〜10重量部程度であってもよい。また、有機固体成分100重量部に対して、各添加剤は、0〜30重量部程度、好ましくは0.05〜20重量部程度、さらに好ましくは0.1〜10重量部程度であってもよい。
本発明の有機固体粒子は、有害物質を含まず、粒子サイズが均一であるので、化粧品(例えば、ファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドーなど)、インクジェットプリントなどに使用されるインク(ポリマーインクも含む)や着色トナーなどの画像記録材料、塗料やコート剤(粉体塗装又はスラリー塗装用塗料など)、印刷インキの着色剤などに有用である。また、有機固体粒子は、他の微粒子(例えば、無機微粒子など)との混合適性を改良するために使用してもよく、ブロッキング防止剤(例えば、成形体のブロッキング防止剤)、スペーサー(液晶スペーサーなど)、シート又はフィルム用添加剤、半導体のケミカルメカニカルポリッシング(CMP)用の研磨剤などとしても使用できる。
また、生分解性の有機固体成分を用いて得られる有機固体粒子は、生分解性に優れるため、農薬、医薬、塗料(例えば、粉体塗料、船底用塗料など)、コーティング剤、接着剤などのファインケミカル分野における原料又は添加剤などとしても有用である。さらに、農林水産業用、土木用及び建設用フィルムやシートなどへの添加剤、使い捨てオムツなどの衛生用品材料、生体内分解吸収性を必要とする医用素材や徐放性を必要とする徐放性材料などとしても利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜3
表1に示す組成の樹脂成分と水溶性助剤成分とで構成された樹脂組成物を、ブラベンダー(東洋精機(株)製、ラボプラストミル)により表1に示す加工温度にて50rpmで5分間溶融混練した後、固形分濃度10重量%となるように60℃の純水中に浸漬し、室温で1時間攪拌することにより樹脂粒子の懸濁液を得た。孔径0.45μmのポリビニリデンフルオライド製のメンブレン膜を用いて、この懸濁液より不溶分を分離することにより樹脂粒子を回収した。得られた樹脂粒子の助剤成分の含有量を下記の方法により測定した。さらに、得られた樹脂粒子を、固形分濃度10重量%となるように純水中に投入し、室温で1時間攪拌した後、ろ過して樹脂粒子を回収した。得られた樹脂粒子の助剤成分の含有量(洗浄後)を同様に測定した。
なお、実施例は、下記の成分を用いるとともに、樹脂及び助剤成分のせん断粘度、樹脂粒子の平均粒子径及び粒径分布、並びに樹脂及び助剤成分の接触角は下記の方法により測定した。
これらの結果を表1に示す。
(樹脂成分)
樹脂1:ポリアミド12樹脂(ダイセル・デグサ(株)製、ダイアミドL1600)
樹脂2:ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂(ダイセル化学工業(株)製、セルグリーン CBS178)
樹脂3:ポリスチレン樹脂(東洋スチレン(株)製、GPPS HRM63C)
(水溶性助剤成分)
(B1)オリゴ糖
(B1-1):デンプン糖(日本食品化工(株)製、デンプン糖化物フジオリゴ450P)
(B1-2):デンプン糖(東和化成工業(株)製、還元デンプン糖化物PO−10)
(B2)可塑化成分
糖アルコール:ソルビトール(東和化成工業(株)製、ソルビット)。
(せん断粘度)
樹脂成分(A)及び助剤成分(B)のそれぞれについて、キャピログラフ(東洋精機(株)製,キャピラリーの孔径(D)1mm,長さ(L)40mm)を用いて表1に示す加工温度にて、せん断速度126sec-1の条件でせん断粘度ηA及びηBを測定した。なお、各成分が複数の成分で構成されている場合には、必要により、適宜予備混練を行ってサンプルを調製した。
(樹脂粒子の平均粒径及び粒径分布)
樹脂粒子を乾燥した後、走査型電子顕微鏡を用いて粒子形状を観察した。
電子顕微鏡写真より無作為に選択した100個の粒子の粒径を測定し、数平均粒子径及び標準偏差を求めた。さらに、変動係数を下記式に従って算出した。
変動係数(%)=標準偏差/数平均粒子径×100
(水溶性助剤成分の含有量の測定方法)
樹脂粒子を固形分濃度で10重量%となるように純水中に分散させ、超音波槽で30分間処理した後、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで粒子粉末を除去した。ろ過液中に含まれる成分(溶出成分)を、全有機炭素計(TOC−V、島津製作所(株)製)を用いて、以下の分析条件で溶出した助剤成分の量を測定した。
TC炉温度:680℃
IC反応炉:25重量%リン酸水溶液
キャリア:高純度エア(流量150ml/分)
Figure 2005162842
実施例1〜3では、微量の助剤成分を有し、かつ粒径の揃った球状の樹脂粒子が得られた。

Claims (13)

  1. 溶融可能な有機固体成分(A)と、少なくともオリゴ糖(B1)を含む水溶性助剤成分(B)とで構成され、前記有機固体成分(A)が粒子状に分散した分散体から、水溶性助剤成分(B)を溶出して得られた有機固体粒子であって、全体に対して、10000ppm(重量基準)以下の水溶性助剤成分(B)を含む有機固体粒子。
  2. 有機固体成分(A)が熱可塑性樹脂で構成されている請求項1記載の有機固体粒子。
  3. 有機固体成分(A)が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース誘導体、及び熱可塑性エラストマーから選択された少なくとも一種で構成されている請求項1記載の有機固体粒子。
  4. オリゴ糖(B1)が、少なくとも四糖類で構成されている請求項1記載の有機固体粒子。
  5. オリゴ糖(B1)の50重量%水溶液の粘度が、温度25℃でB型粘度計で測定したとき、1Pa・s以上である請求項1記載の有機固体粒子。
  6. 助剤成分(B)が、さらに、オリゴ糖(B1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(B2)を含む請求項1記載の有機固体粒子。
  7. 可塑化成分(B2)が、糖類及び糖アルコールから選択された少なくとも一種で構成されている請求項6記載の有機固体粒子。
  8. 糖アルコールが、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールから選択された少なくとも一種で構成されている請求項7記載の有機固体粒子。
  9. 分散体において、有機固体成分(A)と助剤成分(B)との割合(重量比)が、有機固体成分(A)/助剤成分(B)=55/45〜1/99である請求項1記載の有機固体粒子。
  10. 分散体において、オリゴ糖(B1)と可塑化成分(B2)との割合(重量比)が、オリゴ糖(B1)/可塑化成分(B2)=99/1〜50/50である請求項6記載の有機固体粒子。
  11. 全体に対して、0〜5000ppm(重量基準)の水溶性助剤成分(B)を含む請求項1記載の有機固体粒子。
  12. 平均粒子径が0.05〜100μmで、かつ平均粒子径の変動係数が60以下である請求項1記載の有機固体粒子。
  13. 短径に対する長径の割合が、長径/短径=1.5/1〜1/1である請求項1記載の有機固体粒子。
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