JP2003020356A - 多孔質フィルムの製造方法 - Google Patents

多孔質フィルムの製造方法

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JP2003020356A JP2001209162A JP2001209162A JP2003020356A JP 2003020356 A JP2003020356 A JP 2003020356A JP 2001209162 A JP2001209162 A JP 2001209162A JP 2001209162 A JP2001209162 A JP 2001209162A JP 2003020356 A JP2003020356 A JP 2003020356A
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film
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Toshio Nakayama
登史男 中山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合反応などの反応工程を含まず、大量の有
機溶剤を用いることなく、安全性が高く、簡易な工程に
より、効率よく多孔質フィルムを製造し得る多孔質フィ
ルムの製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリエチレン粒子などの水不溶性樹脂粒
子とポリビニルアルコール粒子、砂糖、食塩などの水可
溶性粒子とを混合し、成形型中に配置して加熱加圧して
シート状物を作成するシート形成工程と、その後、得ら
れたシート状物を水を主成分とする溶剤で処理して水可
溶性粒子を除去する水洗工程とを含むことを特徴とす
る。水洗工程の後、得られた多孔質フィルムを延伸、或
いは圧延延伸して薄層化する延伸工程を行うこともでき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質フィルムの
製造方法に関し、詳細には、食品工業、医薬品工業、電
子工業、排水処理、人工臓器、海水の淡水化等の種々の
分離プロセスにおいてタンパク、コロイド、バクテリ
ヤ、ウイルス、塩等の濾過分離の目的で使用される限外
濾過膜、逆浸透膜、精密濾過膜、気液接触用隔膜、脱気
膜、給気膜等に好適に利用しうる多孔質フィルムの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔質フィルムは、主に樹脂系素材を用
いたフィルムに連通性を有する微細な穴が多数形成され
たもので、電機・電子関連、医用関連、食品工業関連、
などの各種産業分野や、分離膜などの多くの分野にまた
がって、広く使用されている。多孔質フィルムの製造方
法としては、ポリマーを溶剤に溶かして製膜後、非溶剤
と接触させることによりポリマーを凝固させる、いわゆ
る湿式法によるもの、ポリマーにポリマーが溶解しない
溶剤で抽出可能な物質を混合してフィルム成形した後
に、該溶剤を用いて物質を抽出して微細な孔を形成する
方法、微細なフィラーを混合して製膜した後、フィラー
を物理的に除去する方法、製膜したフィルムにプラズマ
照射などを行って微細な孔を開ける方法などがあった。
【0003】これらの方法では、湿式法や溶剤除去法
は、生産速度が遅いという欠点の他に、ポリマーの溶液
を作る必要上、溶剤に可溶な非架橋性のポリマーを使用
する必要があり、強度、耐クリープ性、耐熱性、耐薬品
性の点で問題があった。また、フィラーによる方法やプ
ラズマ開孔処理法では、用いる材料に制約があり、さら
に、高価で複雑な装置を必要とするという問題もかかえ
ている。所定のフィルム強度を得る場合、架橋構造を有
するフィルムが望ましいが、これを製造する方法とし
て、例えば、特公昭56−34329号公報には、重合
可能なモノマー等を、これらのモノマーの溶剤として作
用し、かつこれらモノマーが重合して生成される重合体
を溶解させない非溶剤の存在下で重合させて架橋構造を
有する多孔質膜を製造する方法が提案されている。この
方法によれば、生産速度が速く、強度に優れた多孔質膜
が得られるものの、重合前の重合性溶液は、100cp
s以下の低粘度となりその製膜方法に大きな制約を受
け、中空糸膜の製膜や不織布などの多孔性支持体に重合
性溶液を塗布した状態で重合させ、これらの支持体に裏
打ちされた多孔質膜を製造する方法には、適用し難いと
いう問題があった。
【0004】ハンドリング性に優れた重合性溶液で容易
に多孔質膜を製造する方法として、特開平5−2745
10号には、エネルギー線の照射により重合可能なモノ
マーと、該モノマーと相溶し、該モノマーより生成した
ポリマーとは相溶せず、エネルギー線に対して不活性な
オリゴマーとを混合した均一な重合性液体にエネルギー
線を照射した後、該オリゴマーを除去する製造方法が記
載されている。これらはいずれも液状のモノマーを重合
させる重合反応を伴うため、フィルム製造までに時間が
かかるという欠点があった。
【0005】また、一般にこれまで工業的に行われてい
る多孔質膜の製造方法は、超高分子量ポリエチレン(U
HMWPE)にパラフィンやステアリルアルコール等を
ブレンドし、フィルム状に成形した後、これをエタノー
ルなどの溶媒で該溶媒の沸点以下の温度で湯煎しなが
ら、パラフィンやステアリルアルコール等を抽出、除去
する工程を有する。この方法では、孔を形成するための
処理に大量の加熱した有機溶剤を用いるため、環境的に
も問題があり、使用後の有機溶剤の処理なども必要とな
る。さらに作業の安全上の観点から、クローズ環境にお
いて工程を実施しなければならず、設備的にも大掛かり
なものとなるなど、経済的観点、安全性の問題から改良
が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点を考慮して
なされた本発明の目的は、重合反応などの反応工程を含
まず、大量の有機溶剤を用いることなく、安全性が高
く、簡易な工程により、効率よく多孔質フィルムを製造
し得る製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは検討の結
果、フィルム形成材料として粒子状の固形材料を用い、
微細孔を形成するための可溶性成分として水に可溶な材
料を選択することで上記目的を達成し得ることを見出
し、本発明を完成した。即ち、本発明の多孔質フィルム
の製造方法は、水不溶性樹脂粒子と水可溶性粒子とを混
合し、成形型中に配置して加熱加圧してシート状物を作
成するシート形成工程と、その後、得られたシート状物
を水を主成分とする溶剤で処理して水可溶性粒子を除去
する水洗工程とを含むことを特徴とする。なお、シート
形成工程及び水洗工程の後、得られた多孔質フィルムを
延伸、或いは圧延延伸して薄層化する延伸工程を実施
し、フィルムの厚み及び開口径、空隙率などを制御する
こともできる。
【0008】ここで、水不溶性樹脂粒子としては、ポリ
エチレン粒子が、水可溶性粒子としては、ポリビニルア
ルコール粒子、砂糖、食塩、寒天パウダー、ゼラチンパ
ウダーより選択される粒子を用いることが好ましい。ま
た、生産性向上の観点からは、水洗工程が、80〜10
0℃程度の温水で実施されることが好ましい態様であ
る。なお、本発明において多孔質フィルムとは、合成樹
脂フィルムに連通性の微細孔を有するものを指す。この
連通性の微細孔はフィルムの両面を連通するものであれ
ば、必ずしも直線的に連通する必要はない。なお、セラ
ミックの如き無機材料系多孔質膜、独立気泡で連通して
いない孔を有する発泡スチロールなどの気泡を内包する
樹脂材料は本発明における多孔質フィルムには包含され
ない。
【0009】本発明の製造方法によれば、溶剤に可溶な
材料と不溶な材料とを混合する際に、粒子状の固形物を
用いるため、相溶性のない2種以上の液状物質を混合す
るのに比較して、特別な装置や高剪断力を付与すること
なく均一混合が容易にでき、また、材料となる粒子の形
状(粒子径)や混合比を選択することで、目的に応じた
開孔径や開孔率を有する均一な膜質のフィルムを容易に
形成できる。フィルムは樹脂粒子を成形型に入れ、加熱
加圧して形成されるので、得られるフィルムの組成は、
材料となる粒子の組成をそのまま反映しており、系中で
重合反応を行う製造方法における如き、未反応モノマー
その他の不純物の混入や所望されない副生物の存在が生
じないためフィルムの組成を高純度に保つことができ、
さらに、水可溶性粒子の除去を水を主成分とする溶剤で
行いうるため、工程の安全性が高く、装置もシート成形
工程、水性工程ともに一般的な汎用の装置ですむという
利点を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法において多孔質フィルム原料として水
不溶性樹脂粒子と水可溶性粒子とを用いる。水不溶性樹
脂粒子はフィルム原料となるものであり、加熱、加圧に
より成形可能であればどのような樹脂材料を用いてもよ
く、例えば、高密度或いは低密度ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン、
ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等のフィ
ルム形成可能な樹脂が挙げられ、なかでも、フィルム形
成性、加工性の観点からはポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレンなどが好ましく、得られたフィルムの
強度などの観点から高密度ポリエチレン、特に超高分子
量ポリエチレン(UHMWPE)が好ましい。水不溶性
樹脂粒子の粒径には特に制限はないが、成形の容易性、
均一な膜質のフィルムを得るという観点から数平均粒径
で0.005μm〜100μm程度が好ましい。なお、
フィルム形成工程において、両粒子が加熱により溶融
し、海島形態を取る場合には、好ましい範囲はこれに限
られない。
【0011】水溶性粒子としては、過剰の水或いは水を
主成分とする溶媒に可溶で、且つ、粒子形状に成形可能
であれば、特に制限はなく、ポリビニルアルコール、非
架橋ポリアクリル酸系水溶性樹脂、アルギン酸、水溶性
たんぱく質、カルボキシメチルセルロース等のセルロー
ス系化合物などの水溶性高分子化合物類、砂糖、蔗糖、
オリゴ糖などの糖類、食塩、塩化カリウムなどの水溶性
無機塩などを任意に選択して用いることができる。なか
でも、入手の容易性、加工性、容易に水に溶解するとい
った観点から、ポリビニルアルコール(PVA)、食品
原料であり微粒子形状に加工されている寒天パウダー、
ゼラチンパウダー、さらには、食品調味料としても使用
しうる砂糖、食塩などが好ましい。これら水溶性粒子の
粒径、配合量、混合の条件などで多孔質膜の孔の開口
径、空隙率などが決定される。水溶性粒子の粒径として
は、目的にもよるが例えば、透水性を有するフィルムを
得ようとする場合には1〜10μmの範囲であることが
好ましく、透湿防水性フィルムを得ようとする場合には
0.1〜1μmの範囲であることが好ましい。なお、食
塩のように融点が高いもの(食塩の場合、約800℃)
は、粒子径が開口径に影響を与えるが、砂糖のように混
練時の温度が高くなると溶融状態になるものは、条件に
よっては、溶融状態で樹脂材料と混合され、樹脂の連続
層中に海島形態で存在するため、混合条件により開口径
が決定されることはあっても、必ずしも初期の粒径が開
口径に影響を与えるものではない。
【0012】これら2種の粒子を混合し、成形型内に配
置して加圧、加熱成形を行うが、両者の配合量により空
隙率が決定される。配合比は目的に応じて選択すればよ
いが、有効な空隙率を得るためには水溶性粒子が50容
量%以上であることが好ましく、得られたフィルムの強
度の観点から上限は80容量%程度であることが好まし
い。2種の粒子の混合は公知の手段により行われる。具
体的には、例えば、ニーダー、プラストミル、ボールミ
ル、乳鉢などを用いて均一になるまで十分混合すればよ
い。混合に際しては、温度や剪断力などを用いる原料の
特性に合わせて選択することが好ましい。例えば、前記
したように砂糖は融点が比較的低いので、プラストミル
などで高温(約170℃前後)で混練すると垂れ出し、
配合容量に影響を及ぼす可能性があるため、注意を要す
る。なお、このとき、成形性向上のため、本発明の効果
を損なわない限りにおいて添加剤を混合することができ
る。具体的には、樹脂粒子を構成する樹脂の熱による品
質低下を防止する酸化防止剤、得られたフィルムの劣化
を防止する紫外線吸収剤、フィルムに機能を付与するた
めの着色剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤などが挙げられ
る。
【0013】フィルムの物性を向上させる観点からは、
混合物に酸化防止剤、具体的には、フェノール系酸化防
止剤、硫黄系、リン酸系酸化防止剤などを混合物の0.
05〜1.0重量%程度混合することが好ましく、なか
でも安全性の高いモノフェノール系酸化防止剤が好まし
い。酸化防止剤は、微量の添加であっても水溶性物質に
影響を及ぼす可能性もあるため、併用される水溶性樹脂
微粒子との相互作用を考慮して選択することを要する。
得れらた混合物は適当な成形型内に配置され、加熱、加
圧成形に付され、シート状物が得られる。成形型として
は、シート成型用としてシート状物の厚さに対応するス
ペーサリングを用いた平板状の金型を用い、その中に混
合した粒子を挿入し、圧縮荷重80〜150kN程度
で、材料の樹脂に適合する温度に加熱し、加熱、加圧プ
レスしながら、所定時間保持してシート状物を得る。加
熱温度は樹脂の融点以上、且つ、樹脂が熱による変質を
起こさない温度範囲に保持される。例えば、上記UHM
WPΕ(分子量140万)については、150〜200
℃程度が好ましい。
【0014】また、加熱、加圧処理における保持時間
は、成形厚さと加圧成形温度にもよるが、一般的には2
5〜45分間の範囲が好ましい。これより短いと十分に
樹脂微粒子が溶融せず、均一で強度に優れた膜形成が困
難であり、時間が長すぎると樹脂粒子を構成する樹脂や
水溶性粒子が熱により変質し、品質が低下する懸念があ
る。所定時間保持後、得られたシート状物を成形型から
取出す。また、プラストミル等で混練する場合は、温度
にもよるが、混練時間は15〜30分間と短いほうがよ
く、混練後手早くスペーサーリングを用いた加圧成形機
内に移し加圧保持する。加圧保持時間は10〜15分間
程度の短いほうが品質の低下を防ぐという観点から好ま
しい。
【0015】つぎに、このシート状物を水洗工程に付
す。プレス成形されたシート状物を水を主成分とする溶
剤、具体的には、水、或いは、界面活性剤、無機塩類な
どを含有した水を溶剤とし、洗浄することでシート状物
に含まれる水溶性粒子を溶解除去する。このとき、除去
効率からは溶剤を加熱することが好ましく、好ましくは
80℃以上の温水を用いて洗浄する。また、シート状物
を沸騰水中に投入し、攪拌しながら洗浄することも好ま
しい態様である。水溶性粒子を有効に除去し得る水洗条
件を確定するための予備試験を行ってもよい。即ち、シ
ート状物の質量を測定しながら、水洗、乾燥を繰り返
し、質量が変化しなくなった時点を洗浄工程の終点とし
て画定し、その後の実施において確定した条件を適用す
ることで、安定した品質の多孔質フィルムが効率よく得
られる。一般的には、水溶性粒子の混合比が多くなるほ
どその除去も容易になる傾向があり、例えば、樹脂粒子
に対して水溶性粒子が70容量%以上であれば、ほぼ一
回の水洗により水溶性粒子が除去されるが、水溶性粒子
が50容量%未満の場合、同一の水系溶剤で5回の水
洗、乾燥工程が必要となる。
【0016】かくして得られた多孔質フィルムはそのま
ま実際の使用に供してもよく、また、膜厚や微細孔の条
件を目的に応じて制御するための延伸工程を実施するこ
ともできる。延伸工程は、目的に応じて行い、単なる延
伸でもよく、圧延延伸でもよい。圧延延伸工程に付する
と空隙が潰され、空隙率が低下して、水透過性なども減
少する。この方法と、水溶性粒子のブレンド量、成形温
度などを制御することで水透過性および水透過性係数を
制御することができる。また、圧延を行わず、単なる延
伸工程に付すると、開口部が引き伸ばされて空隙が大き
くなるため、延伸の方向及び程度により水透過性を大き
くすることも可能である。
【0017】本発明の製造方法によれば、種々の開口
径、空隙率を有する多孔質フィルムを汎用の装置で効率
よく製造することができ、その用途はひろい。また、有
機溶剤を用いることなく多孔質フィルムを製造すること
ができ、製造工程の安全性は高い。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに制限されるものではない。 (実施例1)水不溶性樹脂粒子として、粒径140〜2
00μmのUHMWPE粒子(分子量約140万)を、
水溶性粒子として粒径100〜180μmの砂糖粒子を
用いた。それぞれを乳鉢にてすりつぶすと同時に撹拌混
合する。これらの混合比を容量比で30:70とした混
合物を作成し、100容量部に対して、0.5容量部の
酸化防止剤(モノフェノール系酸化防止剤:スミライザ
ーWX−R、住友化学製)を配合した。成形は、単純な
プレス成型法を用いて行った。シート状物の厚さを1m
mに設定するため、スペーサリングを用いその中に前記
粒子を乳鉢で十分混合した混合物を挿入し、圧縮荷重1
00kNで加圧プレス、時間保持し板材成形を行った。
プレス温度145℃、保持時間は30分であった。プレ
ス成形された混合シートを熱湯500ml、約98℃で
30分煮沸し、砂糖粒子の除去処理を行い、乾燥計量
し、その間新しい水で同様なことを繰り返し、重さの変
化を調べたところ、1回の処理で砂糖粒子が除去されて
いることが確認された。
【0019】(多孔質膜の特性評価)こうして得られた
多孔質フィルムの特性を調べるために、常にヘッドを一
定(800mm)にした水槽から流れ出る水を、作成さ
れた膜を通しての水量の時間と重さの変化を調べ、そこ
から水透過性係数と空隙率とを算出した。その結果、空
隙率(σ)は71.09、水透過性係数(α)は9.0
6であった。このフィルムを圧延機にかけ、圧下率約
0.5の条件で圧延延伸した。その後、測定した水透過
性係数(α)は7.88であり、圧延延伸により水透過
性が低下していることがわかった。
【0020】(実施例2〜6)実施例1において、UH
MWPE粒子と砂糖粒子との比率及び/又はプレス温度
を下記表1に示すように代えた他は実施例1と同様にし
て多孔質フィルムを製造した。水洗工程において、UH
MWPE粒子:砂糖粒子の比が20:80及30:70
の実施例2、3、5及び6は、1回で砂糖粒子の除去が
完了したが、50:50の実施例4の場合は、砂糖粒子
の除去に水洗処理が5回必要であった。得られたフィル
ムの空隙率と水透過性係数とを実施例1と同様にして測
定した。結果を表1に併記する。
【0021】
【表1】
【0022】表1に明らかなように、本発明の製造方法
によればさまざまな空隙率と水透過性とを有する多孔質
フィルムを容易に得ることができる。また、得られた多
孔質フィルムを圧延延伸することで、水透過性係数を制
御できることがわかった。表1の評価結果より、フィル
ムのプレス成形時の加熱温度が高いほど水透過性が大き
くなり、砂糖粒子の配合比率が大きくなるに従って水透
過量が大きくなり、その傾きαは、配合量の大きい方が
著しく増加する。また、圧延前後の水透過性を比較する
と(圧延延伸)することで空隙は潰され水透過性が減少
する傾向にあることがわかった。
【0023】(実施例7〜12)実施例1において水溶
性粒子として用いた砂糖粒子に代えて、粒径200〜3
00μmのPVA粒子を用いた他は実施例1と同様にし
て実施例7の多孔質フィルムを得た。また、実施例7に
おいて、UHMWPE粒子とPVA粒子との比率及び/
又はプレス温度を下記表2に示すように代えた他は実施
例7と同様にして多孔質フィルムを製造した。水洗工程
において、UHMWPE粒子:PVA粒子の比が20:
80及30:70の実施例7〜9、11及び12は、2
〜3回でPVA粒子の除去が完了したが、50:50の
実施例10の場合は、PVA粒子の除去に水洗処理が5
回必要であった。得られたフィルムの空隙率と水透過性
係数とを実施例1と同様にして測定した。結果を表2に
併記する。
【0024】
【表2】
【0025】表2に明らかなように、本発明の製造方法
によればさまざまな、水溶性粒子としてPVA粒子を用
いた場合にも、砂糖粒子を用いた場合と同様に空隙率と
水透過性とを有する多孔質フィルムを容易に得ることが
できる。また、得られた多孔質フィルムを圧延延伸する
ことで、水透過性係数を制御できることがわかった。フ
ィルムのプレス成形時の加熱温度及びPVA粒子の配合
比率については、砂糖粒子とほぼ同様の傾向が見られた
が、PVA粒子を用いた場合には、とくに配合比が5
0:50の場合、圧延延伸することで空隙は潰され、水
透過性が殆どなくなることがわかった。しかしながら、
ここで行った水透過性の試験は水位を一定(具体的には
800mm)の高さから自由落下させたときのデータで
あり、また、圧延延伸により完全に空隙が潰されるわけ
ではないため、空気やガスなどの気体によりある程度加
圧することで水透過性が得られる。即ち、さらに微細な
空隙となるため、透湿防水シートやより微細な領域での
分離膜への適用などの用途が期待される。本発明の製造
方法においては、使用する水可溶性粒子の種類によって
は、例えば、食塩等は回収し再利用することが可能であ
るため、このような再利用可能な材料を選択すること
で、経済性や、環境に与える影響について、さらなる改
良が可能となる。
【0026】
【発明の効果】本発明の多孔質フィルムの製造方法によ
れば、重合反応などの反応工程を含まず、大量の有機溶
剤を用いることなく、安全性が高く、簡易な工程によ
り、効率よく多孔質フィルムを製造し得るという効果を
奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F074 AA17 AA97 AA98 AB01 AE01 AG04 CB03 CB13 CB17 CB18 CB22 CB27 CC02Z CC03X CC04X CC04Y CC22X DA02 DA24 DA43 4F210 AA04 AB01 AC01 AG01 AG20 AR06 QA04 QG01 QG11 QG18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不溶性樹脂粒子と水可溶性粒子とを混
    合し、成形型中に配置して加熱加圧してシート状物を作
    成するシート形成工程と、その後、得られたシート状物
    を水を主成分とする溶剤で処理して水可溶性粒子を除去
    する水洗工程とを含む、多孔質フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記シート形成工程、水洗工程の後、得
    られた多孔質フィルムを延伸、或いは圧延延伸して薄層
    化する延伸工程を行うことを特徴とする請求項1に記載
    の多孔質フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記水不溶性樹脂粒子が、ポリエチレン
    粒子である請求項1又は請求項2に記載の多孔質フィル
    ムの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記水可溶性粒子が、ポリビニルアルコ
    ール粒子、砂糖、食塩、寒天パウダー、ゼラチンパウダ
    ーより選択される1種以上である請求項1乃至請求項3
    のいずれか1項に記載の多孔質フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記水洗工程が、80℃以上の温水で実
    施される請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の
    多孔質フィルムの製造方法。
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