JP2003253035A - 熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料の製造方法及び熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料 - Google Patents

熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料の製造方法及び熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料

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JP2003253035A JP2002051721A JP2002051721A JP2003253035A JP 2003253035 A JP2003253035 A JP 2003253035A JP 2002051721 A JP2002051721 A JP 2002051721A JP 2002051721 A JP2002051721 A JP 2002051721A JP 2003253035 A JP2003253035 A JP 2003253035A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表層部分に緻密なスキン層を生成させること
なく、全面が均質な網状構造からなる熱可塑性ポリウレ
タン樹脂製多孔性材料を製造する。 【解決手段】 熱可塑性ポリウレタン樹脂と、少なくと
も一個のα−1,4結合及び/又はβ−1,4結合を有
するオリゴ糖及び多糖並びにこれらの誘導体よりなる群
から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子化合物
と、分子内に酸素原子又は窒素原子を含む含酸素/窒素
有機溶媒とを含むポリマードープを、親水性有機溶媒を
含む凝固浴中に浸漬し、前記含酸素/窒素有機溶媒を抽
出除去して熱可塑性ポリウレタン樹脂を凝固せしめた
後、前記水溶性高分子化合物及び親水性有機溶媒を抽出
除去する工程を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性
材料の製造方法。ポリマードープを少なくとも一部が該
親水性有機溶媒の通液が可能となっている仕切部材内に
収容して凝固浴中に浸漬する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリウレ
タン樹脂よりなる多孔性材料の製造方法と、この方法に
より製造された熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料
に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリウレタン樹脂製の多孔性材
料はその優れた肌触りなどから、人工皮革や化粧品用パ
フを始め多くの産業で利用されている。
【0003】従来、熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性
材料は、一般に熱可塑性ポリウレタン樹脂を良溶媒であ
るジメチルホルムアミドやN−メチル−2−ピロリドン
などの極性有機溶媒に溶解し、ここへ孔形成剤を添加混
合して凝固させた後、良溶媒と孔形成剤を抽出除去す
る、所謂、湿式製膜法で製造されている。ここで、孔形
成剤としてはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコ
ール、セルロース誘導体などの水溶性高分子化合物が、
孔径の制御が容易であり、孔径分布もシャープな多孔性
材料が得られるため、広く利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶媒に
溶解した熱可塑性ポリウレタン樹脂を凝固浴中で凝固さ
せる湿式製膜法の欠点として、得られる多孔性材料の表
層部分には、内部と極端に構造ないし通気性の異なる緻
密層、所謂、スキン層が生成するという問題がある。
【0005】このスキン層は多孔性材料の通気性、即
ち、吸水性に悪影響を及ぼし、触感も非常に悪くなる要
因であるため、通常、このようなスキン層が形成された
多孔性材料は、表層部分のスキン層を研磨するか、或い
はスキン層及びその下部の多孔構造層の一部をスライス
することにより除去することが行われている。
【0006】しかしながら、スキン層の研磨やスライス
処理は、対象面が平滑な平面であれば容易に行うことが
できるが、表面が曲面となっている多孔性材料の場合に
は、スキン層の除去が困難又は不可能となる。また、た
とえ研磨やスライスが可能であったとしても、研磨面は
網状構造体のほつれや、研磨屑による汚染が確認され、
また、スライス面は刃の摩擦によって均質な切断面とは
ならず、凹凸のある表面となるという問題があった。更
に、スキン層の除去処理に要する手間と時間や、除去し
たスキン層を廃棄することで歩留まりが低下するという
問題もあった。
【0007】また、これらの処理は、多孔性材料の孔径
サイズが数十μmレベルであれば比較的容易であるもの
の、150μmを超える大きな孔径の多孔性材料の場
合、多孔性材料が刃に噛み込み、安定した研磨ないしス
ライス処理が困難である。そして、この多孔性材料の噛
み込みを防止するためには、液体窒素による凍結処理な
どの特殊な操作も必要となってくる。
【0008】本発明は上記従来の問題点を解決し、表層
部分に緻密なスキン層を生成させることなく、全面が均
質な網状構造からなる熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔
性材料を製造する方法と、この方法により製造された熱
可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の熱可塑性ポリウ
レタン樹脂製多孔性材料の製造方法は、熱可塑性ポリウ
レタン樹脂と、少なくとも一個のα−1,4結合及び/
又はβ−1,4結合を有するオリゴ糖及び多糖並びにこ
れらの誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上
の水溶性高分子化合物と、分子内に酸素原子又は窒素原
子を含む含酸素/窒素有機溶媒とを含むポリマードープ
を、親水性有機溶媒を含む凝固浴中に浸漬し、前記含酸
素/窒素有機溶媒を抽出除去して前記熱可塑性ポリウレ
タン樹脂を凝固せしめた後、前記水溶性高分子化合物及
び親水性有機溶媒を抽出除去する工程を含む熱可塑性ポ
リウレタン樹脂製多孔性材料の製造方法であって、前記
熱可塑性ポリウレタン樹脂の凝固に際して、前記ポリマ
ードープを、少なくとも一部が該親水性有機溶媒の通液
が可能となっている仕切部材内に収容して該凝固浴中に
浸漬することを特徴とする。
【0010】本発明においては、孔形成剤としてポリマ
ードープ中に混合分散させる水溶性高分子化合物とし
て、凝固浴の親水性有機溶媒に対する溶解性が低い水溶
性高分子化合物、即ち、少なくとも一個のα−1,4結
合及び/又はβ−1,4結合を有するオリゴ糖及び多糖
並びにこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種又は
2種以上を用いる。
【0011】このような親水性有機溶媒への溶解性の低
い水溶性高分子化合物を孔形成剤として分散させたポリ
マードープを親水性有機溶媒中に浸漬し、熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂の良溶媒である含酸素/窒素有機溶媒のみ
を選択的に抽出除去し、かつ、この良溶媒の抜けたサイ
トに親水性有機溶媒を侵入させることができるため、高
次構造が維持されたまま熱可塑性ポリウレタン樹脂を凝
固させることができる。このため、どのような平均孔径
の多孔性材料であっても、シャープな孔径分布で、ボイ
ドやピンホールなどの欠陥のない多孔性材料を製造する
ことができる。
【0012】しかして、本発明では、凝固浴中でポリマ
ードープ中の熱可塑性ポリウレタン樹脂を凝固させる際
に、ポリマードープを仕切部材内に収容し、ポリマード
ープと親水性有機溶媒との界面にこの仕切部材を介在さ
せることにより、スキン層のない多孔性材料を容易に製
造することができる。
【0013】即ち、熱可塑性ポリウレタン樹脂の凝固に
際して、凝固浴とポリマードープとの界面に仕切部材を
介在させておくと、スキン層がないか、或いは、外観上
は表面にスキン層が形成された多孔性材料が得られる。
スキン層が形成された多孔性材料が得られた場合であっ
ても、このスキン層は多孔性材料の多孔性の本体部分と
は癒着しておらず、容易に剥し取ることができる。
【0014】本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔
性材料は、このような本発明の熱可塑性ポリウレタン樹
脂製多孔性材料の製造方法により製造されたものであ
り、シャープな孔径分布で、ボイドやピンホールなどの
欠陥がなく、しかも表面にスキン層がなく、内部から表
層まで実質的に均質なものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を、本
発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料の製造手
順に従って詳細に説明する。
【0016】本発明においては、まず、熱可塑性ポリウ
レタン樹脂と、孔形成剤である水溶性高分子化合物と、
熱可塑性ポリウレタン樹脂の良溶媒である含酸素/窒素
有機溶媒とを混合してポリマードープを製造する。具体
的には、熱可塑性ポリウレタン樹脂を含酸素/窒素有機
溶媒に混合して均一溶液とした後、この溶液中に水溶性
高分子化合物を混合分散させる。
【0017】このポリマードープの組成としては、熱可
塑性ポリウレタン樹脂0.2〜90重量部、水溶性高分
子化合物0.2〜90重量部、含酸素/窒素有機溶媒
0.2〜99.6重量部の範囲とすることが好ましく
(ただし、熱可塑性ポリウレタン樹脂、水溶性高分子化
合物及び含酸素/窒素有機溶媒の合計で100重量部と
する。)、特に好ましくは、熱可塑性ポリウレタン樹脂
0.2〜50重量部、水溶性高分子化合物0.2〜50
重量部、含酸素/窒素有機溶媒0.2〜99.6重量
部、とりわけ好ましくは、熱可塑性ポリウレタン樹脂
0.2〜20重量部、水溶性高分子化合物0.2〜20
重量部、含酸素/窒素有機溶媒60〜99.6重量部で
あり、このような配合割合であれば、産業上利用しやす
い、熱可塑性ポリウレタン樹脂多孔性材料本来の優れた
触感を発現させた多孔性材料を得ることができる。
【0018】特に、熱可塑性ポリウレタン樹脂と水溶性
高分子化合物との混合割合は、熱可塑性ポリウレタン樹
脂:水溶性高分子化合物=1:0.1〜10(重量
比)、好ましくは1:0.1〜2.0であり、このよう
な組成とすることにより、本発明による、多孔性材料の
高次構造の安定化効果が有効に発揮される。
【0019】本発明において、熱可塑性ポリウレタン樹
脂の良溶媒としての含酸素/窒素有機溶媒は、分子内に
酸素原子又は窒素原子を含む有機溶媒であり、具体的に
はテトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N
−ジメチルホルムアミド、ピリジン及びこれらの単純置
換体を使用することが可能である。これらの含酸素/窒
素有機溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を
混合して用いても良い。なお、単純置換体とは、例え
ば、2−メチルピリジン、2−メチルテトラヒドロフラ
ン、2−ピロリドンのように複素環にアルカン原子が導
入されたものや、その逆に水素原子が導入されたものを
指す。
【0020】また、孔形成剤としての水溶性高分子化合
物は、少なくとも一個のα−1,4結合及び/又はβ−
1,4結合を有するオリゴ糖及び多糖並びにこれらの誘
導体の1種又は2種以上であり、好ましくはカルボキシ
メチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロースエス
テルが挙げられるが、熱可塑性ポリウレタン樹脂と均質
に分散し、親水性有機溶媒中へフリーに溶解しないもの
であればこの限りではない。
【0021】熱可塑性ポリウレタン樹脂、含酸素/窒素
有機溶媒及び水溶性高分子化合物より製造されたポリマ
ードープは、少なくとも一部が、凝固浴の親水性有機溶
媒の通液可能とされた仕切部材内に収容して、親水性有
機溶媒を含む凝固液中に浸漬し、含酸素/窒素有機溶媒
を抽出除去して熱可塑性ポリウレタン樹脂を凝固浴させ
る。
【0022】この含酸素/窒素有機溶媒を抽出する親水
性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパ
ノール及びアセトン並びにこれらの誘導体が例示できる
が、この限りではない。これらの親水性有機溶媒は1種
を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良
い。
【0023】熱可塑性ポリウレタン樹脂の凝固の際に、
ポリマードープと凝固浴との界面に存在させる仕切部材
としては、金属材料、高分子材料又は無機材料等で構成
される構造体を用いることができ、例えば、ポリオレフ
ィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、
フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂及び多糖等の
高分子材料の1種又は2種以上で構成される構造体が使
用可能であるが、この限りではない。なお、多糖として
は、紙、布、木等が含まれる。
【0024】この界面に介在させる仕切部材としては、
特に多孔性材料で構成されるものが好ましく、これによ
りスキン層のない内部から表層まで均質な熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂製多孔性材料が得ることができる。
【0025】本発明において、このような仕切部材とし
ては、具体的には、凝固浴の親水性有機溶媒が流通し得
る流出入口を有する容器、例えば管状、球状、円錐形
状、人手形状、放射(星)状、瓢箪状、シート状、棒状
などいかなる形状であっても良く、研磨やスライス処理
が不可能な複雑な形状の容器等が挙げられ、このような
開口付き容器にポリマードープを充填し、凝固浴中に浸
漬する方法が挙げられる。
【0026】凝固浴の親水性有機溶媒の温度としては1
0℃以上であることが好ましい。これは孔形成剤である
少なくとも一個のα−1,4結合及び/又はβ−1,4
結合を有するオリゴ糖及び多糖並びにこれらの誘導体の
溶解度を考慮して設定された温度であり、低温度にて溶
解性が発現され易いこれらをポリマードープ中に保持さ
せるために必要な温度である。従って、凝固浴の親水性
有機溶媒の温度はより高い温度、例えば40℃以上であ
ることがより好ましく、該親水性有機溶媒の0.1MP
a(760mmHg)での沸点温度以上であること、即
ち、還流状態で凝固を行うことも好ましい。
【0027】この含酸素/窒素有機溶媒の抽出除去に当
たり、ポリマードープ及び凝固浴を減圧状態にすること
も可能である。これにより、凝固浴の親水性有機溶媒だ
けでなく熱可塑性ポリウレタン樹脂の良溶媒の沸点も下
がり、該良溶媒の凝固浴への拡散を助長させる効果が得
られる。
【0028】このようにして、含酸素/窒素有機溶媒を
抽出除去して熱可塑性ポリウレタン樹脂を凝固させた後
は、孔形成剤の水溶性高分子化合物を抽出除去すること
により、熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料を得る
ことができる。この水溶性高分子化合物の抽出除去は、
水を用いて容易に行うことができる。
【0029】このような本発明の熱可塑性ポリウレタン
樹脂製多孔性材料により製造される熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂製多孔性材料は、平均孔径0.1〜500μm、
好ましくは0.1〜200μmの幅広い平均粒径におい
て、孔径分布がシャープでボイドやピンホール等の欠陥
のない均質な高次構造材料であり、しかも、表面に緻密
なスキン層がなく、内部から表層まで均質な多孔質構造
が形成された高品質の熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔
性材料である。
【0030】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0031】実施例1 熱可塑性ポリウレタン樹脂(日本ミラクトラン社製,ミ
ラクトランE980PNAT)をN−メチル−2−ピロ
リドン(関東化学社製,試薬,ペプチド合成用,NM
P)にディゾルバーを使用して室温下で溶解して、3.
5%溶液(重量/重量)を得た。このNMP溶液約1.
0kgをプラネタリーミキサー(井上製作所製,2.0
L仕込み)に入れ、ポリウレタン樹脂と同重量のメチル
セルロース(関東化学社製,試薬,25cp)を40℃
で20分間混合し、その後、10分間20mmHg
(2.7kPa)まで減圧して脱泡し、ポリマードープ
を得た。
【0032】このポリマードープを内径5mmφ、長さ
40mmのポリプロピレン製の筒体中へ充填し、両末端
を脱脂綿で封をして還流状態にあるメタノール(関東化
学社,試薬特級)中へ投入し、96時間還流を続けた。
【0033】還流操作中、筒体の両末端からメタノール
が脱脂綿を透過浸透し、内部からポリマードープ中のN
MPが拡散してくるのが確認され、約24時間で筒体の
側周面が40mmの全面にわたって白色化するのが確認
された。
【0034】96時間の還流後、両末端の脱脂綿を取り
外し、凝固したポリマーを筒体から引き抜き、流水中で
24時間洗浄して熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材
料を得た。
【0035】得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔
性材料の表層部の実体顕微鏡(キーエンス社、VH−6
300)写真(35倍)を図1に示す。この実体顕微鏡
像より、この熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料
は、外観上はスキン層が生成しているが、このスキン層
は多孔性材料本体とは癒着しておらず、隙間を確認する
ことができる。このスキン層はピンセットで引くことに
より、図2の実体顕微鏡写真(35倍)に示す如く、全
面にわたって容易に剥離除去することができた。
【0036】なお、この熱可塑性ポリウレタン樹脂製多
孔性材料は平均孔径39μmで、ピンホールやボイドの
ない、均質な3次元網状構造の多孔性材料であることが
確認された。
【0037】実施例2 実施例1と同様にして調製したポリマードープを濾紙
(東洋濾紙社製,定性分析用,2番)で作成した5mm
φの紙管に注入し、両末端を脱脂綿で封をして還流状態
にあるメタノール(関東化学社,試薬特級)中へ投入
し、48時間還流を続けた。その後取り出して冷却した
後、紙管を除去し、流水中で17時間洗浄して、熱可塑
性ポリウレタン樹脂製多孔性材料を得た。
【0038】得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔
性材料の表層部のSEM(走査電子顕微鏡、JEOL社
製 JMS−5800LV)写真(500倍)を図3に
示す。このSEM像より、この熱可塑性ポリウレタン樹
脂製多孔性材料は、表層から内部まで均質で相似な構造
の、スキン層のない3次元網状構造の多孔性材料である
ことが確認された。なお、この熱可塑性ポリウレタン樹
脂製多孔性材料は平均孔径169μmで、ピンホールや
ボイドは存在しなかった。
【0039】比較例1 実施例1と同様にして調製したポリマードープを、紙皿
に入れ、この状態でメタノール中に投入したこと以外は
同様にして熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料を得
た。
【0040】得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔
性材料は、内部は多孔質であったが、その表面(紙皿当
接面と反対側の面)に厚さ10μmの緻密なスキン層が
生成していた。このスキン層をダイアモンド刃を装着し
た精密グラインダーで研磨することにより除去すること
を試みたが、完全に除去することはできず、研磨の削り
むらなど不均質な部分が発生した。
【0041】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の方法によれ
ば、様々な孔径において良好な高次構造を有し、シャー
プな孔径分布で、ボイドやピンホールなどの欠陥もな
く、しかも内部から表層まで実質的に均質な熱可塑性ポ
リウレタン樹脂製多孔性材料を、安定かつ効率的に製造
することが可能となり、これにより高品質の熱可塑性ポ
リウレタン樹脂製多孔性材料が安価に提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造された熱可塑性ポリウレタン樹
脂製多孔性材料の表層部の実体顕微鏡写真である。
【図2】実施例1で製造された熱可塑性ポリウレタン樹
脂製多孔性材料のスキン層を剥離した後の表層部の実体
顕微鏡写真である。
【図3】実施例2で製造された熱可塑性ポリウレタン樹
脂製多孔性材料の表層部のSEM写真である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリウレタン樹脂と、 少なくとも一個のα−1,4結合及び/又はβ−1,4
    結合を有するオリゴ糖及び多糖並びにこれらの誘導体よ
    りなる群から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子
    化合物と、 分子内に酸素原子又は窒素原子を含む含酸素/窒素有機
    溶媒とを含むポリマードープを、親水性有機溶媒を含む
    凝固浴中に浸漬し、前記含酸素/窒素有機溶媒を抽出除
    去して前記熱可塑性ポリウレタン樹脂を凝固せしめた
    後、前記水溶性高分子化合物及び親水性有機溶媒を抽出
    除去する工程を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性
    材料の製造方法であって、 前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の凝固に際して、前記ポ
    リマードープを、少なくとも一部が該親水性有機溶媒の
    通液が可能となっている仕切部材内に収容して該凝固浴
    中に浸漬することを特徴とする熱可塑性ポリウレタン樹
    脂製多孔性材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、該ポリマードープ
    が、熱可塑性ポリウレタン樹脂0.2〜90重量部と、
    前記水溶性高分子化合物0.2〜90重量部と、前記含
    酸素/窒素有機溶媒0.2〜99.6重量部とを合計で
    100重量部含むことを特徴とする熱可塑性ポリウレタ
    ン樹脂製多孔性材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、該ポリマードープが
    熱可塑性ポリウレタン樹脂0.2〜50重量部と、前記
    水溶性高分子化合物0.2〜50重量部と、前記含酸素
    /窒素有機溶媒0.2〜99.6重量部とを含むことを
    特徴とする熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
    て、前記親水性有機溶媒がメタノール、エタノール、プ
    ロパノール及びアセトン並びにこれらの誘導体よりなる
    群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とす
    る熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項におい
    て、前記含酸素/窒素有機溶媒がテトラヒドロフラン、
    N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミ
    ド、ピリジン及びそれらの単純置換体よりなる群から選
    ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする熱可塑
    性ポリウレタン樹脂製多孔性材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
    て、前記仕切部材が金属材料、高分子材料及び無機材料
    よりなる群から選ばれる1種又は2種以上で構成される
    ことを特徴とする熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材
    料の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記高分子材料がポ
    リオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネー
    ト樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、
    ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂及び
    多糖よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であるこ
    とを特徴とする熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項におい
    て、前記仕切部材が多孔性材料で構成されることを特徴
    とする熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項におい
    て、前記水溶性高分子化合物がセルロースエステルであ
    ることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性
    材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記水溶性高分子
    化合物がカルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
    ス、エチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロ
    ースよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であるこ
    とを特徴とする熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれか1項に
    記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性材料の製造方
    法により製造された熱可塑性ポリウレタン樹脂製多孔性
    材料。
  12. 【請求項12】 請求項11において、表層まで実質的
    に均質であることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン樹
    脂製多孔性材料。
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WO2009151104A1 (ja) * 2008-06-11 2009-12-17 日本発條株式会社 シート用クッション材およびその製造方法

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