JPWO2003081584A1 - 多層光情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

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林  一英
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Abstract

表面に信号の案内溝あるいはピットが形成され書き換え可能な記録多層膜が成膜された厚い基板の上に、スタンパを用いて基板とスタンパの間に分離層と共にその表面にスタンパより信号の案内溝あるいはピットを転写する際、スタンパと基板の間隔が不均一なため分離層の厚みにむらが生じる。第k信号基板103の第k信号記録層100と、第(k−1)スタンパ106上の第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105がある面とが沿うような状態にして、その間に第(k−1)分離層107を形成して、第(k−1)スタンパ106を剥離する。第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105がある面と第k信号記録層100の間隔が均一になるため、第(k−1)分離層107の厚みを均一にすることができる。

Description

技術分野
本発明はn層(nは2以上)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する片面より記録及び再生を行う、多層光情報記録媒体の製造方法に関するものである。
背景技術
高密度光情報記録媒体として、片面2層再生のDVDのような厚み方向に信号記録面を複数層有する、多層光情報記録媒体が提案されている。例えば、片面2層再生のDVDは2枚の基板のうち1枚の情報記録面に金、シリコン等の透光性の反射層を、もう一枚の情報記録面に従来のアルミニウム等からなる反射層を、それぞれ成膜し、これらの情報記録面が内側になるように貼り合わせた構造となっている。さらに、1層あたりの面記録密度を向上するために、青紫色レーザ光源(波長400nm前後)と高NAのレンズを用い、厚さが0.1mmといった薄型の記録再生側透明カバー層をもつ高密度光情報記録媒体が提案されている。この高密度光情報記録媒体は、厚い信号基板の表面に信号の案内溝あるいはピットを形成して、その上に書き換え可能な記録多層膜を成膜、さらにその上に透明カバー層が形成された構造になっている。
この薄型透明カバー層タイプの高密度光情報記録媒体でも2つの信号記録面を有するものが考えられる。その作製方法の一つの例としては以下の方法が挙げられる。
(1)表面に信号の案内溝あるいはピットが形成され書き換え可能な記録多層膜が成膜された厚い基板の上に、さらに紫外線硬化樹脂を用いて分離層を形成すると共に、その分離層の表面に2層目の信号の案内溝あるいはピットを形成する。
(2)2層目の2層目の信号の案内溝あるいはピットの上に書き換え可能な透光性の記録多層膜を成膜する。
(3)厚さが0.1mmといった薄型の記録再生側透明カバー層を形成する。
具体的な作製方法として特開2002−260307号公報がある。なお、特開2002−260307号公報の文献の全ての開示は、そっくりそのまま引用する(参照する)ことにより、ここに一体化する。すなわち、特開2002−260307号公報では、上記(1)の工程のためにプラスチック製のスタンパを用いて、そのスタンパ上の信号案内溝あるいはピットに紫外線硬化樹脂を塗布し硬化した後、異なる性質を有するもう1つの紫外線硬化樹脂を用いて、1層目の記録多層膜が成膜された基板と貼り合わせ、硬化後スタンパを剥離している。このような方法を用いれば、剛性のある厚い基板をベースとして、その上に分離層を介して、もう一層、さらには複数の信号記録層を積み上げて多層光情報記録媒体を作製することができる。
しかしながら、多層光情報記録媒体の信号記録層の間に存在する分離層は均一である必要がある。分離層が均一であれば、分離層の前後にある信号記録層では記録あるいは再生の際に受ける他方からの反射光の影響が一定になる。他方の信号記録層からの反射光が変動すると、再生信号の外乱成分となり、S/Nが悪化する。逆に、分離層が均一であれば、他方の信号記録層からの外乱が一定であるため、記録あるいは再生が安定になり、良好な再生信号の品質は向上する。実際には、表面に信号の案内溝あるいはピットが形成され書き換え可能な記録多層膜が成膜された厚い基板の上に、スタンパを用いて基板とスタンパの間に分離層と共にその表面にスタンパより信号の案内溝あるいはピットを転写する際、分離層の厚みにむらが生じる。
発明の開示
本発明は、上記課題に鑑み、ある2つの信号記録層の分離層が均一となる多層光情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、n層(nは2以上の整数)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する多層光情報記録媒体の製造方法において、
記録面または再生面から第k番目(kは2以上n以下の整数のいずれか)の信号記録層を第k信号記録層(100)とし、前記第k信号記録層(100)を表面に有する基板を第k信号基板(103)とし、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット(105)を有するスタンパを第(k−1)スタンパ(106)とし、第k信号記録層(100)と前記第(k−1)信号記録層との間にある分離層を第(k−1)分離層(107)とする時、
現在のまたは過去に製造された一つまたは複数の前記k信号基板(103)の面形状を測定する測定工程と、
前記第(k−1)スタンパ(106)の前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット(105)を有する面を前記k信号基板(103)の面形状に対応するような形状にして、その第(k−1)スタンパ(106)を利用して前記第(k−1)信号記録層を形成する信号記録層形成工程と、
前記第(k−1)分離層(107)と前記第(k−1)スタンパ(106)との界面より前記第(k−1)スタンパ(106)を剥離する剥離工程とを備え、
n層の前記信号記録層のうち少なくとも1層が前記信号記録層形成工程によって作成される多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記本発明の多層光情報記録媒体の製造方法によれば、前記第(k−1)スタンパと前記第k信号基板とが互いに沿うような形になっているため、それらの間の距離は一様に均一となり、作製される第(k−1)分離層の厚みも均一になる。
また、第2の本発明は、前記第k信号基板(103)が前記第k信号記録層(100)を包むように反っている時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパ(106)を前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット(105)を有する面とは反対側の面を包むように反らせた形状にする第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、第k信号基板の反りを変えることなく、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面との距離が均一に近くなるため、作製される第(k−1)分離層の厚みは均一になる。
また、第3の本発明は、前記第k信号基板(803)が第k信号記録層(800)の反対側の面を包むように反っている時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパ(806)を前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット(805)を有する面を包むように反らせた形にする第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、第k信号基板の反りを変えることなく、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面との距離が均一に近くなるため、作製される第(k−1)分離層の厚みは均一になる。
また、第4の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板(103)の第k信号記録層(100)と、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット(105)を有する面とを実質上同じ曲率半径を有する形状にする第2または3の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、第k信号基板の反りを変えることなく、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面との距離が均一に近くなるため、作製される第(k−1)分離層の厚みは均一になる。
また、第5の本発明は、前記第(k−1)分離層(310)は、放射線硬化樹脂(301、307)である第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、均一な厚みに形成された第(k−1)分離層を放射線の照射により容易に硬化することができ、生産性を向上することができる。
また、第6の本発明は、前記放射線硬化樹脂が紫外線硬化樹脂である第5の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、CD、DVDといった従来の光情報記録媒体で用いられる紫外線硬化型の接着剤が使用できると共に、生産設備の利用も可能となる。
また、第7の本発明は、前記第(k−1)分離層(310)は、複数の層(303、308)から構成される第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、第(k−1)分離層のうち、第k信号記録層と接する材料として、第k信号記録層と接着性の良好な材料を用い、第(k−1)分離層のうち、第(k−1)スタンパ上の第(k−1)信号記録層の案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面と接する材料として、第(k−1)スタンパと剥離し易い材料を用いる等、異なる特徴を有する材料を第(k−1)分離層の厚み方向に配置でき、安定に剥離することが可能になる。
また、第8の本発明は、前記第(k−1)分離層(310)の複数の層(303、308)のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパ(106)から転写する層を転写層(303)とする時、前記第(k−1)スタンパ(106)と前記第k信号記録層(100)の間に存在する、前記第(k−1)分離層(310)を構成する各層の界面も含めた複数の界面のうち、前記転写層(303)と前記第(k−1)スタンパ(106)との界面が最も剥離し易い界面となる第7の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、前記第(k−1)分離層と前記第(k−1)スタンパの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離する工程において、複数ある界面のうち前記転写層と前記第(k−1)スタンパの界面で安定に剥離でき、剥離工程での歩留まりを向上できる。
また、第9の本発明は、前記第(k−1)分離層(310)の複数の層(303、308)のうち案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパ(106)から転写する層を転写層(303)とする時、少なくとも前記転写層(303)が放射線硬化性材料(301)である第7の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、放射線硬化性材料は放射線照射により容易に硬化するため、第(k−1)スタンパより確実に溝あるいはピットの形状を写し取ることができる。
また、第10の本発明は、前記放射線硬化性材料は、紫外線硬化樹脂である第9の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、CD、DVDといった従来の光情報記録媒体で用いられる生産設備の利用も可能となる。
また、第11の本発明は、前記紫外線硬化樹脂の粘度は、1〜1000mPa・sである第10の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、第(k−1)スタンパの溝あるいはピットに紫外線硬化樹脂が十分入り込むことができるので、溝あるいはピットの転写を向上できる。
また、第12の本発明は、前記第(k−1)分離層(909)の複数の層(901、903)のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパ(902)から転写する層を転写層(903)とする時、前記第(k−1)分離層(909)の、転写層(903)以外の層のうち少なくとも一つの層が感圧性接着剤(901)である第7の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、感圧性接着剤を第(k−1)分離層の一部として用いれば、放射線硬化等の硬化処理を行わなくとも第(k−1)分離層の一部を形成できるため、生産性を向上することができる。
また、第13の本発明は、前記第(k−1)分離層(310)の複数の層(303、308)のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパ(300)から転写する層を転写層(303)とする時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパ(300)の案内溝及び/またはピットのある面の上に、前記転写層(303)となる放射線硬化性材料をコートしたうえ硬化し、前記転写層(303)を除いた前記第(k−1)分離層(308)を形成した前記第k信号基板(306)と貼り合わせる第7の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、硬化後剥離し易い放射線硬化性材料を予め第(k−1)スタンパへ転写層として塗布し硬化した上で、第(k−1)分離層の転写層と接する側の材料を硬化した転写層と接着し易い材料にすることができ、第(k−1)スタンパの剥離の際に第(k−1)分離層を一体化して確実に剥離することが可能となる。
また、第14の本発明は、前記転写層がコートされた前記第(k−1)スタンパ(300)と、前記転写層(303)を除いた前記第(k−1)分離層(308)を形成した前記第k信号基板(306)とを貼り合わせる際、前記第(k−1)スタンパ(300)にコートされた前記転写層(303)と接する前記第(k−1)分離層の表面が放射線硬化性材料(301)である第13の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、放射線を照射することにより容易に、第(k−1)スタンパ上の転写層と第k信号基板上の第(k−1)分離層を接着することができる。
また、第15の本発明は、前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパと、前記転写層とを除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板との間に前記転写層となる放射線硬化性材料を配置した後に、前記放射線硬化性材料を硬化する第7の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、第(k−1)スタンパと、第k信号基板の上に形成された転写層を除いた第(k−1)分離層との間に放射線硬化性材料を配置すれば、毛細管現象により放射線硬化樹脂は均一に広がり、より分離層の厚み均一性が向上できる。また、その均一性を保ちつつ放射線照射により容易に転写層も形成できる。
また、第16の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板の前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した面と、前記第(k−1)スタンパの案内溝及び/またはピットのある面の少なくとも一方に、前記転写層となる放射線硬化性材料を塗布した後、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパを重ね合わせて前記放射線硬化性材料を硬化する第15の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、重ねる前に第(k−1)スタンパあるいは第k信号基板の上に放射線硬化性材料が全面に塗られるので、前記第(k−1)スタンパと第k信号基板を面で接着でき、分離層を全面で一体化できる。
また、第17の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパとを、前記第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパの少なくとも一方を保持した上で、前記放射線硬化性材料を硬化する第13の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、第k信号基板と第(k−1)スタンパの形状が互いに沿った形になっていなくとも、少なくとも一方を保持して互いに沿った形にして放射線硬化性材料を硬化するため、第k信号基板や第(k−1)スタンパの形状を制御する必要がなく、第k信号基板や第(k−1)スタンパの作製マージンが広がる。
また、第18の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパの少なくとも一方を、所望の表面形状を有する支持台上に固定した上で、前記放射線硬化材料を硬化する第17の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、支持体を用いてその表面形状を所望の形状にしておけば、第k信号基板あるいは第(k−1)スタンパの形状を容易に変え互いに沿ったようにできる。
また、第19の本発明は、前記第(k−1)スタンパはプラスチックである第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、第(k−1)スタンパが軽量になるため扱い易く、生産性も良い。
また、第20の本発明は、前記プラスチックは透明である第19の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、分離層が放射線硬化性材料の場合、第(k−1)スタンパを通して放射線を照射すれば分離層を硬化できる。
また、第21の本発明は、前記第(k−1)スタンパは、ポリカーボネート、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂のいずれかであり、金属製マスタスタンパを用いて射出成形法により作製された第20の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、スタンパを安価、かつ大量に作製できるため、多層光情報記録媒体の量産性が向上する。
また、第22の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを作製する際の射出成形法の条件により、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパを、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように制御する第21の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、第k信号基板がどのような反りをもっていようと、第(k−1)スタンパの形状を射出成形の条件だけで正確に制御できる。
また、第23の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とは反対側の面を包むように反った形にするために、前記第(k−1)スタンパを射出成形法で作製する際、一対の成形金型の一方に載せた前記金属製マスタスタンパより他方の金型鏡面温度を高くする第22の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、射出成形法で作成されるプラスチックからなる第(k−1)スタンパの表面は、成形金型から取り出された直後、案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面とは反対側の面の方が温度が高くなるため、より多く収縮が起こり、その案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面とは反対側の面を包むように反った形にすることができる。
また、第24の本発明は、前記信号記録層形成工程は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面温度より他方の金型鏡面温度を高くする第23の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、射出成形法で作成されるプラスチックからなる第(k−1)スタンパの表面は、成形金型から取り出された直後、案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面とは反対側の面の方が温度が高くなるため、より多く収縮が起こり、その案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面とは反対側の面を包むように反った形にすることができる。
また、第25の本発明は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面とは反対側の金型鏡面の裏面に、断熱材料が設置されている第23の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面とは反対側の金型鏡面は、その裏面の断熱材料により熱が逃げにくくなるため、効果的に温度を高く保つことができる。
また、第26の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を包むように反った形にするために、前記第(k−1)スタンパを射出成形法で作製する際、一対の成形金型の金型鏡面に載せた前記金属製マスタスタンパの温度を他方の金型鏡面温度より高くする第22の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、射出成形法で作成されるプラスチックからなる第(k−1)スタンパの表面は、成形金型から取り出された直後、案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面の方がその反対側の面より温度が高くなるため、より多く収縮が起こり、その案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面を包むように反った形にすることができる。
また、第27の本発明は、前記信号記録層形成工程は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面温度を他方の金型鏡面温度より高くする第26の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
これによって、容易に金属製マスタスタンパの温度を他方の金型鏡面温度より高くすることができる。
また、第28の本発明は、一対の成形金型に載せた、前記金属製マスタスタンパの裏面と前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面の裏面の少なくとも1つに断熱材料が設置されている第26の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
この方法によっても、射出された高温のプラスチックの熱が成型金型の金型鏡面へ拡散することを抑制することでき、相対的に金属製マスタスタンパの温度を相対的に他方の金型鏡面温度より高くすることができる。
また、第29の本発明は、前記第(k−1)スタンパは、金属である第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、金属は比較的硬度が高いため、第(k−1)スタンパを第k信号基板から剥離する際に生ずる第(k−1)スタンパの傷や変形を抑制でき、多層光情報記録媒体の生産性を向上できる。
また、第30の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが電鋳により作製され、電鋳浴のpH値、温度、電鋳時の電流密度から選ばれる少なくとも1つの電鋳条件により、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパとを、前記第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように制御する第29の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、第(k−1)スタンパが容易に、また低コストに作製できる。また、電鋳は技術が確立されている従来の方法であるため、安定に電鋳条件によりスタンパの形状を制御することが可能である。
また、第31の本発明は、前記剥離工程の工程の後、さらに転写された前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットの上に記録多層膜(以下、第(k−1)記録多層膜と呼ぶ)或いは反射膜を成膜することにより、第(k−1)信号記録層を完成する膜形成工程を備えた第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
また、第32の本発明は、前記第(k−1)スタンパ上の第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットの上に第(k−1)記録多層膜あるいは反射膜を成膜しておき、前記剥離工程は、前記第(k−1)記録多層膜と前記第(k−1)スタンパの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離して前記第(k−1)記録多層膜あるいは反射膜を前記第(k−1)分離層上へ移す第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
また、第33の本発明は、第1信号記録層の上に透明カバー層を形成する第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
また、第34の本発明は、第1信号記録層の上に、透明な基板を透明な接着剤で接着し前記透明カバー層とする第33の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、容易に均一な透明カバー層を形成できる。
また、第35の本発明は、前記透明カバー層を透明な放射線硬化性材料で形成する第33の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、コストを安価にすることができる。
また、第36の本発明は、前記透明カバー層の少なくとも一部を感圧性接着剤で形成することを特徴とする第33の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、容易に均一な透明カバー層を形成できる。
また、第37の本発明は、第1信号記録層上に形成されている透明カバー層の厚みが0.3mm以下であることを特徴とする第33の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
上記構成によれば、0.6以上の大きな開口数のレンズを用いて記録あるいは再生を行う際に、多層光情報記録媒体の反りによるフォーカス光の収差を抑制できるため、高密度な情報の記録あるいは再生が可能となる。
また、第38の発明は、n層(nは2以上の整数)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する多層光情報記録媒体の製造装置において、
記録面または再生面から第k番目(kは2以上n以下の整数のいずれか)の信号記録層を第k信号記録層とし、前記第k信号記録層を表面に有する基板を第k信号基板とし、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有するスタンパを第(k−1)スタンパとし、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層との間にある分離層を第(k−1)分離層とする時、
現在のまたは過去に製造された一つまたは複数の前記k信号基板の面形状を測定する測定手段と、
前記第(k−1)スタンパの前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を前記k信号基板の面形状に対応するような形状にする形状維持手段と、
その第(k−1)スタンパを利用して前記第(k−1)信号記録層を形成する信号記録層形成手段と、
前記第(k−1)分離層と前記第(k−1)スタンパとの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離する剥離手段とを備えた多層光情報記録媒体の製造装置である。本発明は、第38の発明であってもよい。
上記本発明の多層光情報記録媒体の製造方法によれば、第(k−1)スタンパと第k信号基板とが沿った形状に保持することが容易であり、かつ、それらの間に分離層の形成でき、第(k−1)スタンパと第k信号基板の剥離も可能となる。これによって、分離層の厚みが均一な多層光情報記録媒体を製造することができる。
また、第39の発明は、前記第k信号基板が反っている時、前記第k信号基板の反りに応じて、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットと、前記第k信号記録層が沿うように、前記形状維持手段が前記第(k−1)スタンパを保持する機構を有する第38の本発明の多層光情報記録媒体の製造装置である。本発明は第39の発明であってもよい。
上記構成によれば、第k信号基板の反りに応じて、前記第(k−1)信号記録層の案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットと、前記第k信号記録層が沿うため、間に形成される第(k−1)分離層の厚みを均一にすることができる。
また、第40の発明は、前記形状維持手段は、テーブル状であり、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットと前記第k信号記録層とが沿うように、前記第(k−1)スタンパと接する表面形状を有する第39の本発明の多層光情報記録媒体の製造装置である。本発明は第40の発明であってもよい。
上記構成によれば、テーブル形状により容易に第(k−1)スタンパの形状を変えることができる。
また、第41の発明は、前記形状維持手段は、前記第(k−1)スタンパと前記第k信号基板との少なくとも一方の、前記第(k−1)分離層が形成されない面を真空吸引により支持する第38の本発明の多層光情報記録媒体の製造装置である。本発明は第41の発明であってもよい。
上記構成によれば、前記第(k−1)スタンパあるいは前記第k信号基板を確実に形状維持することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の多層光情報記録媒体の製造方法の実施の形態を図1に示す。図1は、n層(nは2以上)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する片面より記録及び再生を行う円盤型多層光情報記録媒体の、第k信号記録層100と第(k−1)信号記録層の間にある第(k−1)分離層107を形成する工程の模式図である。ここで、第k信号記録層100とは、記録再生面から第k番目(kは2以上n以下の何れか)の信号記録層、第k信号記録層100を表面に有する基板を第k信号基板103とする。また、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105を有するスタンパを第(k−1)スタンパ106とする。
なお、本実施の形態の第(k−1)分離層107を形成する工程は本発明の信号記録層形成工程の例である。
本実施の形態1の多層光情報記録媒体の製造方法は、1層あたりの面記録密度を向上するために、青紫色レーザ光源(波長400nm前後)と高NAのレンズを用い、厚さが0.3mm以下2ミクロン以上といった薄型の記録再生側透明カバー層をもつ高密度光情報記録媒体を製造の対象とする。なお、実施の形態1以外の他の実施の形態の多層光情報記録媒体の製造方法も実施の形態1と同様の高密度光情報記録媒体を製造の対象とする。なお、このような高密度光情報記録媒体でなくても、本実施の形態の多層光情報記録媒体の製造方法を適用できることは言うまでもない。
図1の第k信号基板103と第(k−1)スタンパ106は共に円盤型をなし中心に中心穴を有する。第k信号基板103は、第(k−1)分離層107の形成工程の後に続く、その他信号記録層の形成工程、或いは第1信号記録層の上への透明カバー層の形成工程といった工程で発生しうる反りを見越して反った形状にされている。また、第k信号記録層100の第k記録多層膜の成膜やその他第(k+1)〜n分離層の形成および第(k+1)〜n記録多層膜の成膜等の工程による応力により自然に反ってしまっているのが一般的である。本実施の形態1では、その一例として、第k信号基板103が第k信号記録層100を包むように反ったものである場合を示す。
まず、図1(1)に示すように第k信号基板103を準備する。第k信号基板103には表面に第k信号記録層100がある他、順に第(k+1)信号記録層101、さらに第n信号記録層102まで計(n−k−1)個の信号記録層がある。ここで、信号記録層とは、多層光情報記録媒体に記録及び再生する際に記録光及び再生光をガイドするための案内溝やアドレス情報を示すピットと、GeSbTeやAgInSbTe等の相変化膜、磁性体膜、色素膜に代表される記録膜とそれらを挟むZnS等の誘電体膜からなる記録多層膜あるいは反射膜からなる。また、各信号記録層の間には第k分離層110に代表される分離層が配置されている。なお、本実施の形態の多層光情報記録媒体は、製造後に映像音声データが書き込まれる案内溝だけから構成されるものに限らず、製造時に映像音声データが書き込まれるピットから構成されるものや、案内溝の内部あるいは外部にピットが形成されたものであってもよい。
一方、表面に第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105をもつ第(k−1)スタンパ106も準備する。第(k−1)スタンパ106は、後述する実施の形態5の図14に示される反り測定手段1401のように現在のまたは過去に製造された一つまたは複数のk信号基板103の面形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ106の第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105を有する面をk信号基板103の面形状に対応するような形状にして形成されたものである。すなわち、第(k−1)スタンパ106は、k信号基板103の形状に沿うように形成されたものである。
そして、k信号基板103の面形状の測定は、例えば、工場が稼働する朝一番に前日に製造されたk信号基板103の面形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ106の形状を決めてもよい。また、第k信号基板103が製造される毎に一枚一枚第k信号基板103の形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ106の形状を決めてもよい。また、ロット毎にk信号基板103の面形状を測定した実績を用いて、第(k−1)スタンパ106の形状を決めてもよい。
すなわち、第k信号基板103の形状を上述したように測定し、その測定結果から第(k−1)スタンパ106の形状を決めることにより、第(k−1)スタンパ106と第k信号基板103は図示のように互いが沿った形になる。つまり、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105と第k信号記録層100の互いが沿った状態になっていて、その距離が半径方向及び面内で均一になっている。すなわち、第k信号基板103の第k信号記録層100と、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット105を有する面とを実質上同じ曲率半径を有する形状にする。一般的に第k信号基板103のように、複数の信号記録層を有する基板は記録多層膜や反射膜といった膜の応力により反っている。そこで、本実施の形態の第(k−1)スタンパ106は、既に反っている第k信号基板103に沿うような形状になっており、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105と第k信号記録層100とが対向するように配置されている。
次に、図1(2)に示すように、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105と第k信号記録層100との間に第(k−1)分離層107を形成する。この時、第(k−1)分離層107の第(k−1)スタンパ側が第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105の中まで入り込むように形成される必要がある。図1(1)において、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105と第k信号記録層100の距離が半径方向及び面内で均一になっているため、第(k−1)分離層107の厚みは均一になる。第(k−1)分離層107の構成としては、1つの材料であることに限らず、異なる材料からなる複数の層から構成されていても良い。例えば、第(k−1)分離層107のうち第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105に接する層を転写層とした時、転写層として硬化性を有する液体材料を用いると第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105の中まで入り込み易く、転写が向上できる。この場合、転写層を硬化させて第(k−1)分離層107が完成となる。
次に図1(3)に示すように、第(k−1)分離層107上の転写された第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット108と第(k−1)スタンパ106の界面より剥離を行う。このように剥離を行うことにより、第(k−1)信号基板を得ることが出来る。剥離を確実に行うためには、第(k−1)分離層107と第(k−1)スタンパ106の界面が、第(k−1)スタンパ106と第k信号記録層100の間に存在する複数の界面の中で最も剥離し易いことが重要である。そのために、転写層の材料や第(k−1)スタンパ106の材料及びその表面の材料等を選択することができる。
以上のように、第(k−1)スタンパ106の第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105と第k信号基板103の上の第k信号記録層100を互いに沿った形状にして、第(k−1)分離層107を形成することにより均一な分離層を形成することができる。複数ある分離層の何れも以上の工程を用いて作製すれば、多層光情報記録媒体全体の精度を向上することができ、各信号記録層において情報の記録あるいは再生の性能を大いに向上することができる。
以下、上記図1の各工程の例について詳しく説明する。図2に第(k−1)スタンパの作製工程を示す。ここでは、第(k−1)スタンパの材料としてプラスチックを用いる。プラスチックは軽量であるため操作性に優れ、射出成形法により容易に大量に作製することができ便利である。また、成形条件を制御すれば容易に所望の形状(反り)をもたせることができるという利点もある。ここでは、第(k−1)スタンパの材料としてポリカーボネートを用いる。また、ポリカーボネート以外にも、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂等を用いることができる。
まず、図2(a)に示すように、一対の成形金型200の金型鏡面Aの上にマスタスタンパ201を設置し、成形金型200内に380℃で溶融したポリカーボネート202を射出充填する。マスタスタンパ201は例えば、ニッケル等の金属を主成分とする材料からなる。成形金型200のマスタスタンパ201と金型鏡面Bの間にできるキャビティ203は第(k−1)スタンパの所望の厚みになるように決められる。ここでは、厚み約1.1mmの第(k−1)スタンパを成形するためキャビティ203の厚みは1.1mmである。成形金型200の金型鏡面Aと金型鏡面Bは各々の温度に設定されている。
ここでは、(金型鏡面Aの温度)<(金型鏡面Bの温度)になるように金型鏡面A、Bの温度をそれぞれ115℃、125℃に設定する。これらの温度により380℃で溶融したポリカーボネート202が冷却され固化される。ポリカーボネートが射出充填される際、成形金型200には20〜30トンの型締め力を加える。型締め力により溶融したポリカーボネートはマスタスタンパ201に形成されている案内溝及びピットの間に入り込み、それらを転写することになる。
冷却(例えば、10秒間)後、図2(b)に示すように、第(k−1)スタンパ204は成形金型200より取り出される。その時、(金型鏡面Aの温度)<(金型鏡面Bの温度)とされているため、第(k−1)スタンパ204の案内溝及びピットが形成された面205よりその反対側の面206の方が温度が高くなっている。そのため、温度が室温まで下がる時の収縮量が反対側の面206の方が大きくなり、結果、第(k−1)スタンパ204は反対側の面206を包むような形状になる。図1(1)に示された第(k−1)スタンパ106はこのように作製される。
図3に第(k−1)分離層を形成する工程を示す。本実施の形態1では第(k−1)分離層が2つの材料からなり、第k信号基板および第(k−1)スタンパの外径が共に直径120mmのものの場合について一例を用いて説明する。まず図3(a)のように、第(k−1)スタンパ300をテーブル305上に第(k−1)スタンパの案内溝及びピットのある面を上にして設置する。第(k−1)スタンパ300は図2に示す方法で作製することができる。設置された第(k−1)スタンパ300は真空吸引等の方法でテーブル305上に固定される。この時、テーブル305の表面形状は図示のように第(k−1)スタンパと同じ曲率をもった形状であるのが好ましい。なぜなら、図2に示す工程で第(k−1)スタンパ300がもつ形状そのものを制御しているためである。
第(k−1)スタンパの案内溝及びピットのある面に転写層用紫外線硬化樹脂301を滴下して、テーブル305を回転することにより、余分な転写層用紫外線硬化樹脂を振りきり、均一な厚みの転写層用紫外線硬化樹脂の層を得る。紫外線硬化樹脂としては紫外線照射によりラジカル反応を起こすアクリル系樹脂が好ましい。本実施の形態では、ポリカーボネート製の第(k−1)スタンパ300と剥離のし易い、粘度200MPa・sのアクリル系紫外線硬化樹脂を用いる。粘度が1〜1000MPa・sのものであれば、スタンパ上の案内溝およびピットの凹凸に十分入り込むことができる。また、スピンの回転は4000rpmで5秒間とし、厚み約8ミクロンの転写層を得た。
次に図3(b)に示すように、紫外線ランプ302を用いて紫外線を照射する。紫外線ランプ302としてはメタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ等が良い。紫外線を照射することにより、転写層用紫外線硬化樹脂301は硬化され、転写層303が形成される。
次に、図3(c)のように転写層303が形成された第(k−1)スタンパ300と第k信号基板306を貼り合わせる。第k信号基板306は第k信号記録層の案内溝及びピットと第k記録多層膜が形成されている他、第(k+1)〜第n信号記録層を有している(図示せず)。第k信号基板306をテーブル309に真空吸引にて固定して第k信号記録層上に接着剤となる接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下し、その上から第(k−1)スタンパ300の転写層303と接着層用紫外線硬化樹脂307が接するように置く。その後、図示のようにテーブル309を回転して、余分な接着層用紫外線硬化樹脂を振り切る。本実施の形態では5000rpmで8秒間回転を行った。接着層用紫外線硬化樹脂307としては、第k記録多層膜と転写層303に対して接着強度の高い、600mPa・sのアクリル系紫外線硬化樹脂を用いた。
次に図3(d)に示すように、紫外線ランプ302により紫外線を照射して接着層用紫外線硬化樹脂307を硬化する。紫外線ランプ302としては、上記図3(b)同様メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ等を用いることができる。第(k−1)スタンパ300はポリカーボネート等の透明性を有しているため、幾分か紫外線を透過し、接着層用紫外線硬化樹脂307を硬化することができる。硬化後、接着層308の厚みの平均は22ミクロンであり、硬化により一体化された転写層303と接着層308が第(k−1)分離層310となる。
第(k−1)分離層310の厚みは図4(a)に示すようなものであった。図4(a)では、第(k−1)分離層の半径方向の厚みむらは27〜31ミクロンで4ミクロンと均一となった。一方、図4(b)は第(k−1)スタンパは従来の方法で作製した第(k−1)分離層の半径方向の厚みむらである。内周半径になるにつれ厚くなる傾向があり、23〜37ミクロンの範囲で14ミクロンとむらは大きい。なお、本実施の形態では、図4(a)に示すように、第(k−1)分離層の半径方向の厚みむらは4ミクロンで均一になっていたが、6ミクロン以下であれば、高密度光情報記録媒体の性能を維持することが出来る。
図5は、従来方法のように、射出成形法で第(k−1)スタンパを平坦な形状に作製した場合の第(k−1)分離層の作製の様子を示す図である。第(k−1)スタンパ500の形状が平坦である以外、図3に示した工程とほぼ同じである。図5(a)及び(b)は転写層503の形成工程、図5(c)及び(d)は接着層508を形成し第(k−1)分離層510を完成する工程を示す。第(k−1)スタンパ500の形状が平坦であるためテーブル505は平坦にするのが自然である。また、図5(c)に示すように第(k−1)スタンパ500が平坦であるため、第(k−1)スタンパ500の案内溝及びピットのある面と第k信号基板306の第k信号記録層の距離は内周半径になるにつれ離れる。そのため、図5(d)に示すように、接着層508の厚みは内周半径になるにつれ厚くなり、結果、接着層508と転写層503からなる第(k−1)分離層510の厚みも内周半径になるにつれ厚くなる。
図3に第(k−1)分離層を形成する工程を説明したが、代わりに以下(A)〜(C)に記す工程も有効である。
(A)図3(a)の工程により第(k−1)スタンパの上に転写層用紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線により硬化しない。一方、図3(a)と同様の方法により第k信号基板の上に接着層用紫外線硬化樹脂を塗布する。第(k−1)スタンパと第k信号基板を減圧したチャンバ内で重ねた後、図3(d)に示すように紫外線にて、転写層用紫外線硬化樹脂と接着層用紫外線硬化樹脂を硬化する。
(B)図3(a)の工程により第(k−1)スタンパの上に転写層用紫外線硬化樹脂の塗布し、図3(b)のように紫外線により硬化する。一方、図3(a)と同様の方法により第k信号基板の上に接着層用紫外線硬化樹脂を塗布する。第(k−1)スタンパと第k信号基板を減圧したチャンバ内で重ねた後、図3(d)に示すように紫外線にて、接着層用紫外線硬化樹脂を硬化する。
(C)図3(a)の工程により第(k−1)スタンパの上に転写層用紫外線硬化樹脂の塗布し、紫外線により硬化しない。一方、図3(a)と同様の方法により第k信号基板の上に接着層用紫外線硬化樹脂を塗布して、紫外線により硬化する。第(k−1)スタンパと第k信号基板を減圧したチャンバ内で重ねた後、図3(d)に示すように紫外線にて、転写層用紫外線硬化樹脂を硬化する。
また、図3(c)では、第k信号基板306をテーブル309に真空吸引にて固定して第k信号記録層上に接着剤となる接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下し、その上から第(k−1)スタンパ300の転写層303と接着層用紫外線硬化樹脂307が接するように置き、その後、テーブル309を回転して、余分な接着層用紫外線硬化樹脂を振り切るとして説明したが、これに限らない。
第(k−1)スタンパ300上に転写層用紫外線硬化樹脂301の層を形成した後、接着層用紫外線硬化樹脂307を転写層用紫外線硬化樹脂301の層が形成された第(k−1)スタンパ300の上に塗布し、その後、第(k−1)スタンパ300と第k信号基板306とを貼り合わせても構わない。また、第k信号基板306上に接着層用紫外線硬化樹脂307を塗布した後、第k信号基板306の接着層用紫外線硬化樹脂307の上に転写層用紫外線硬化樹脂301を塗布し、その後、第(k−1)スタンパ300と第k信号基板306とを貼り合わせても構わない。
図6に剥離工程を示す。図3で図示された工程で接着された第(k−1)スタンパ300と第k信号基板306とを剥離用テーブル600の上に固定する。固定の手段は図6(a)の真空吸引が挙げられるが、その他の手段として、例えば第k信号基板306の外周端面を保持する機械であっても良い。次に図6(b)のように、第(k−1)スタンパ300と第k信号基板306の中心穴にツメ610を挿入し、第(k−1)分離層310の一部である転写層303と第(k−1)スタンパ300との界面にツメ610を挿入する。ツメ610の先端は鋭くなっているので、容易に楔として転写層303と第(k−1)スタンパ300との界面に挿入することができる。
図6(c)のようにツメ610を外周に向けて開きながら、加圧されたエア615を剥離用テーブル600の中心部より導入してエア615を転写層303と第(k−1)スタンパ300との間に導く。この時、ハンドリング手段612で第(k−1)スタンパ300を引っ張りあげる。ハンドリング手段612で引っ張りあげることにより剥離が容易になる。最後は図6(d)のように第(k−1)スタンパ300は剥離される。
第(k−1)分離層の上に転写された第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットの上に第(k−1)記録多層膜を成膜する。第(k−1)記録多層膜はその材料によって成膜方法は異なるが、GeSbTeやAgInSbTe等の相変化膜、磁性体膜といった記録膜とそれらを挟むZnS等の誘電体膜、金属反射膜等はスパッタリングや蒸着によって成膜される。また、色素膜の場合はスピンコーティングが用いられる。第(k−1)記録多層膜を成膜してようやく第(k−1)信号記録層は完成される。第(k−1)信号記録層の上に図2、図3、図6に示す工程と記録多層膜の成膜を繰り返すことでn層の信号記録層を有する第1信号基板が作製される。
上記の成膜方法の他に図11に示す方法も用いることができる。第(k−1)分離層の上に転写された第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットの上に第(k−1)記録多層膜を成膜することが困難な場合に有効である。図11(a)に示すように予めターゲット1100を用いて、第(k−1)スタンパ300上に第(k−1)記録多層膜1101をスパッタリング法により成膜する。ここではターゲットは1つだけ図示しているが、実際は第(k−1)記録多層膜1101は複数の材料の膜からなるのでターゲットは複数必要となる。次に、図3の工程で転写層303及び接着層308からなる第(k−1)分離層310を形成する。
そして図11(b)に示すように、剥離用テーブル600において固定して、図11(c)に示すように、ハンドリング手段612を用いて、第(k−1)スタンパ300を剥離する。剥離するまでの手順は図6同様であるので、ここでは省略する。この時、第(k−1)スタンパ300は第(k−1)記録多層膜1101から剥離して、第(k−1)記録多層膜1101は第(k−1)分離層310上に移動する。転写層303の上には案内溝及びピットが形成される同時に第(k−1)記録多層膜1101も形成されることになる。この工程を用いると、第k信号基板上への第(k−1)分離層の形成と同時に第(k−1)記録多層膜形成も可能であり、タクトタイム短縮が期待できる。
図7に第1信号記録層の上に透明カバー層を作製する工程の例を示す。ここでは、透明カバー層の厚みは100ミクロンの場合を示す。図7(a)は90ミクロンの厚みのフィルム700を10ミクロンの厚みの接着層730を用いてテーブル720上でスピンコーティングで接着してカバー層を形成するものである。フィルム700の材料としてはポリカーボネート、オレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。接着層730としては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂のような放射線硬化材料を用いることができる。
接着手順としては、図7(a)のように第1信号基板710とフィルム700の間に接着用材料を配置してスピンで振り切る方法や、フィルム700を下にして上から第1信号基板710を重ねてスピンする方法、或いは第1信号基板710とフィルム700の少なくとも一方に予め接着用材料を全面に塗布して真空中で貼る方法等がある。何れの方法でも第1信号基板710とフィルム700を接着用材料を介して重ねた後は硬化が必要となる。
図7(b)は感圧性接着剤740を用いてフィルム700を接着してカバー層を形成する方法を示す。この場合、感圧性接着剤740の厚みは20〜30ミクロン、フィルム700は100ミクロンから感圧性接着剤740の厚みを差し引いた厚みのものを用いる。接着方法は、例えば、図7(b)に示す減圧したチャンバ745内でフィルム700と感圧性接着剤740を重ねる方法である。重ねた後で高圧の圧縮空気でフィルム面を押し接着を確実にする。この方法の他に、大気中あるいは減圧下でローラで貼る方法でも構わない。
図7(c)はカバー材料750をフィルムを用いずスピンコートで塗布するものである。カバー材料750の供給条件とスピンの回転条件を最適化することで均一な100ミクロンの透明カバー層を形成できる。以上のような図7に示す方法により透明カバー層を形成し、多層光情報記録媒体が完成する。
上記実施の形態1では、厚み1.1mmのプラスチック製の第(k−1)スタンパを用いたが、プラスチック製であれば、厚みが0.5mm以上であれば良い。厚みが0.5mm以上であれば、剛性もあるため射出成形法においても成形条件により形状を制御し易く、また扱い易いため生産性向上に適している。
また、実施の形態1では、第(k−1)分離層が2つの材料からなる場合について説明したが、3つ以上の複数の材料からなっていても構わない。また、紫外線硬化樹脂を用いて説明したが、その他熱硬化性材料をはじめとする放射線硬化性材料を用いても良い。
(実施の形態2)
本発明の多層光情報記録媒体の製造方法の実施の形態2を説明する。図8は実施の形態1とは逆の反り、つまり第k信号基板が第k信号記録層とは反対側の面を包むように反ったものである場合を示す。図1同様、図8の第k信号基板と第(k−1)スタンパは共に円盤型をなし中心に中心穴を有する。
まず、図8(1)に示すように、第k信号基板803には第k分離層810の表面に第k信号記録層800がある他、順に第(k+1)信号記録層801、さらに第n信号記録層802まで計(n−k−1)個の信号記録層がある。ここで、実施の形態1同様、信号記録層とは、多層光情報記録媒体に記録及び再生する際に記録光及び再生光をガイドするための案内溝やアドレス情報を示すピットと、GeSbTeやAgInSbTe等の相変化膜、磁性体膜、色素膜に代表される記録膜とそれらを挟むZnS等の誘電体膜からなる記録多層膜あるいは反射膜からなる。
一方、表面に第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805をもつ第(k−1)スタンパ806も準備する。第(k−1)スタンパ806は、後述する実施の形態5の図14に示される反り測定手段1401のように現在のまたは過去に製造された一つまたは複数のk信号基板803の面形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ806の第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット805を有する面をk信号基板803の面形状に対応するような形状にして形成されたものである。すなわち、第(k−1)スタンパ806は、k信号基板803の形状に沿うように形成されたものである。
従って、第(k−1)スタンパ806と第k信号基板803は図示のように互いが沿った形、第(k−1)スタンパ806は第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805を包むように反っている。つまり、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805と第k信号記録層800の互いが沿った状態になっていて、その距離が半径方向及び面内で均一になっている。すなわち、第k信号基板803の第k信号記録層800と、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット805を有する面とを実質上同じ曲率半径を有する形状にする。
次に、図8(2)に示すように、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805と第k信号記録層800の間に第(k−1)分離層807を形成する。この時、第(k−1)分離層807の第(k−1)スタンパ側が第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805の中まで入り込むように形成される必要がある。図8(1)において、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805と第k信号記録層800の距離が半径方向及び面内で均一になっているため、第(k−1)分離層の厚みは均一になる。第(k−1)分離層807の構成としては、1つの材料であることに限らず、異なる材料からなる複数の層から構成されていても良い。例えば、第(k−1)分離層807のうち第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805に接する層を転写層とした時、転写層として硬化性を有する液体材料を用いると第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805の中まで入り込み易く、転写が向上できる。この場合、転写層を硬化させて第(k−1)分離層807が完成となる。
次に図8(3)に示すように、第(k−1)分離層807上の転写された第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット808と第(k−1)スタンパ806の界面より剥離を行う。
以上のように、第k信号基板の反りが実施の形態1と異なっていても、第(k−1)スタンパに逆の反りを持たせることで、第k信号基板と第(k−1)スタンパの距離を半径方向に沿って均一にでき、第(k−1)分離層の厚みも均一にできる。例えば、第(k−1)スタンパが実施の形態1同様のプラスチックであれば、図2のような射出成形法で第(k−1)スタンパを作製できる。図2の金型鏡面Aの温度を金型鏡面Bより高く設定することで、成形金型200から取り出した後第(k−1)スタンパ204は案内溝及びピットが形成された面205を包む形となる。
次に図8(2)で示した第(k−1)分離層の形成方法の具体例について説明する。図9は厚み30ミクロンの第(k−1)分離層を感圧性接着剤と転写層を用いて形成する一例を示す。図9は第(k−1)分離層の一部として感圧性接着剤を用いる方法である。感圧性接着剤は半固体状のフィルム状をなしているため厚み精度に優れている。その一方、粘度が非常に高いため、第(k−1)スタンパの案内溝及びピットを転写することは困難である。この形成方法では粘度の低い転写層を別に用いる。
まず、図9(a)に示すように、第k信号基板900と厚み25ミクロンの感圧性接着剤901をチャンバ905内に入れ、チャンバ905内を真空引きする。例えば、真空度としては1〜100hPaの範囲が適している。その後、感圧性接着剤901を第k信号基板900の第k信号記録層の面に重ね合わせる。この時、感圧性接着剤901の中心部より徐々に外側へ重ねるのが良い。こうすれば、感圧性接着剤901を重ねたことによる第k信号基板900内の応力の増大を少なくできる。また、感圧性接着剤901は直径D1の中心穴を有する。D1は第k信号基板の中心穴の直径D0より大きい。重ねた後、第k信号基板と感圧性接着剤は大気中に取り出され、高圧の圧縮空気で感圧性接着剤を押し接着を確実にしても良い。
図9(a)に並行して、第(k−1)スタンパ902は図9(b)に示すようにテーブル904上に固定され、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットのある面に転写層用紫外線硬化樹脂903がコートされる。ここでは、スピンコートによる塗布を一例として示す。転写層用紫外線硬化樹脂903としては、実施の形態1同様紫外線照射によりラジカル反応を起こすアクリル系樹脂が好ましい。プラスチック製(例えば、ポリカーボネート、オレフィン樹脂等)の第(k−1)スタンパ902と剥離のし易い、粘度200MPa・sのアクリル系紫外線硬化樹脂を用いる。粘度が1〜1000MPa・sのものであれば、スタンパ上の案内溝およびピットの凹凸に十分入り込むことができる。また、スピンの回転は4000rpmで5秒間とし、厚み約8ミクロンの転写層を得た。また、コートされた転写層用紫外線硬化樹脂903の内径は第(k−1)スタンパ902の中心穴の直径D0より小さいD2である。
次に、図9(c)に示すように、転写層用紫外線硬化樹脂903をコートされた第(k−1)スタンパ902と、感圧性接着剤901が第k信号基板900とを、チャンバ908内で重ねる。この時、チャンバ908内の真空度は1〜100hPaとする。D2<D1であるため、感圧性接着剤901と第(k−1)スタンパ902とは接触することはない。これは、第(k−1)分離層形成後、第(k−1)スタンパ902を剥離する工程において、感圧性接着剤901が第(k−1)スタンパ902に直接接触して第(k−1)スタンパ902を剥離できなくなることを防ぐためである。
転写層用紫外線硬化樹脂903は粘度が低いため、重ねた時広がることになり、転写層用紫外線硬化樹脂903と感圧性接着剤901との合計の厚みの平均値は30ミクロンとなった。重ねた後、第k信号基板と第(k−1)スタンパを大気中に取り出し、高圧の圧縮空気により、第k信号基板と第(k−1)スタンパを押し重ねた時の気泡をつぶしたり、接着を確実にしても良い。
最後に図9(d)に示すように、未硬化である転写層用紫外線硬化樹脂903へ紫外線ランプ910による紫外線により硬化する。硬化により感圧性接着剤901と転写層用紫外線硬化樹脂903からなる第(k−1)分離層909ができる。紫外線は第(k−1)スタンパ902が透明であれば、幾らかは透過するため十分に転写層用紫外線硬化樹脂903を硬化することができる。紫外線ランプとしてはメタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ等が用いることができる。
以上図9に示す工程で重要なことは、感圧性接着剤と転写性紫外線硬化樹脂の材料選定である。感圧性接着剤は、第k信号記録層と硬化後の転写性紫外線硬化樹脂とに接着強度をもつものである必要がある。一方、転写性紫外線硬化樹脂は、硬化後第(k−1)スタンパと剥離し易いものであることが重要であるのは言うまでもない。このような図9に示す工程の後、実施の形態1同様図6に示す剥離工程を行うことができる。
なお、図9では転写層用紫外線硬化樹脂903を第(k−1)スタンパ902上に塗布したが、第k信号基板900の上に重ね合わされた感圧性接着剤901の上に転写層用紫外線硬化樹脂903を塗布しても良い。また、図9では、第k信号基板900上に感圧性接着剤901を重ね合わせたが、これに限らず、転写層用紫外線硬化樹脂903を第(k−1)スタンパ902上に塗布した後、転写層用紫外線硬化樹脂903が塗布された第(k−1)スタンパ902上に感圧性接着剤901を重ね合わせ、その後第k信号基板900と第(k−1)スタンパ902とを張り合わてもよい。また、図3(c)の工程を用いて、接着層用紫外線硬化樹脂307の代わりに転写性紫外線硬化樹脂903を用い、第(k−1)スタンパ902と感圧性接着剤901の付加された第k信号基板900を共に回転することで貼り合わせても良い。また、感圧性接着剤901が硬化後の転写層用紫外線硬化樹脂903との接着強度が不足する場合は、感圧性接着剤901の上にさらに、硬化後の転写層用紫外線硬化樹脂903と十分な接着強度を得られる別の接着剤を配置しても良い。
図10(a)に図8と図9の方法で形成された第(k−1)分離層909の厚みの分布を示す。内周から外周にかけて29.5〜30.5ミクロンの1ミクロンの分布がある。これは、スピンコートによる転写層用紫外線硬化樹脂903の厚みむらによるものである。図4(a)に示す実施の形態1の第(k−1)分離層より均一である。実施の形態2では厚み精度の高い感圧性接着剤を使用するためである。
図10(b)は、図5に示したような従来のような平坦な第(k−1)スタンパ500を用いて図9の方法で第(k−1)分離層を形成した場合のものである。第k信号基板と第(k−1)スタンパの距離は内周では近く外周では離れるため、内周から外周にかけて第(k−1)分離層の厚みが厚くなる傾向が見られ、27〜33ミクロンの6ミクロンの分布が発生している。このように、図8と図9は第(k−1)分離層の厚み均一性には有効である。
本実施の形態2での第k信号基板への感圧性接着剤の接着方法(図9(a))の他に、大気中あるいは減圧下でローラで貼る方法も可能である。
また、実施の形態2においても、感圧性接着剤の代わりに実施の形態1で示した接着層用紫外線硬化樹脂を用いて図3の方法でも厚みの均一な第(k−1)分離層を作製できる。また、逆に、実施の形態1のように第k信号基板が第k信号記録層を包むように反っている場合にも、図9に示す感圧性接着剤を用いる方法を適用できる。
上記実施の形態2では、厚み1.1mmのプラスチック製の第(k−1)スタンパを用いたが、プラスチック製であれば、厚みが0.5mm以上であれば良い。厚みが0.5mm以上であれば、剛性もあるため射出成形法においても成形条件により形状を制御し易く、また扱い易いため生産性向上に適している。
また、実施の形態2では、第(k−1)分離層が2つの材料からなる場合について説明したが、3つ以上の複数の材料からなっていても構わない。また、紫外線硬化樹脂を用いて説明したが、その他熱硬化性材料をはじめとする放射線硬化性材料を用いても良い。
(実施の形態3)
ここでは、図2に示した第(k−1)スタンパの作製方法の代替となる方法について説明する。図12に断熱材料を備える成形金型の模式図である。第(k−1)スタンパを案内溝及びピットのある面とは反対側の面を包むように反らせるためのものである。
図12(a)はマスタスタンパ201と金型鏡面Aとの間に断熱板1200を配置した場合である。冷却水路Aと冷却水路Bには、成形金型200のキャビティ203内に導入される溶融したポリカーボネート202を冷却するために、冷却水が流される。断熱板1200を挿入することで、冷却水路Bに流される冷却水の温度に応じて金型鏡面B側は冷却されるが、マスタスタンパ201側は溶融されたポリカーボネート202の温度が冷却されづらくなるため、図2に示した成形金型で成形した第(k−1)スタンパより反ったものができる。冷却水路Aには断熱板1200が熱で破壊されないために必要十分な温度の冷却水を流せば良い。図12(b)は断熱材1203を金型鏡面Aの後ろに組み込んだ成形金型である。この構成でも同様の効果が得られる。
また、図12の以外にも、金型鏡面Bの後ろに断熱材を組み込んでも良い。この場合、金型鏡面Bの表面の温度はマスタスタンパ側より高くなる傾向がある。そのため、成形された第(k−1)スタンパは案内溝及びピットのある面とは反対側の面を包むように反ることになる。
さらには、上記のように一対の成形金型の片側金型鏡面にだけではなく、両面の金型鏡面に断熱材を組み込んでも良い。
上記実施の形態3では、厚み1.1mmのプラスチック製の第(k−1)スタンパを用いたが、プラスチック製であれば、厚みが0.5mm以上であれば良い。厚みが0.5mm以上であれば、剛性もあるため射出成形法においても成形条件により形状を制御し易く、また扱い易いため生産性向上に適している。
(実施の形態4)
実施の形態4では、金属製の第(k−1)スタンパの作製方法について説明する。金属は比較的硬度が高いため、第(k−1)スタンパを第k信号基板から剥離する際に生ずる第(k−1)スタンパの傷や変形を抑制できるため、効果的である。図2、図12でも示したマスタスタンパ201と第(k−1)スタンパは案内溝あるいはピットの凹凸が反転している必要がある。従って、マスタスタンパ201を用いて金属製の第(k−1)スタンパを作製することができる。
一般的にマスタスタンパは、マスタスタンパ上の案内溝やピットとは凹凸が反転した形状を有するガラスマスタ原盤を用いて作られる。ガラスマスタ原盤には、ガラスの表面にフォトレジストで形成された案内溝やピットといった凹凸が形成されている。まずガラス板の表面にフォトレジストを均一に塗布し、フォトレジスト上を紫外〜遠紫外の波長域の集光されたレーザ、さらには電子線を用いて案内溝やピットの形状に露光する。露光されたフォトレジスト部分は現像工程により取り除かれ、ガラスマスタ原盤には案内溝やピットといった凹凸が形成される。
次に、ガラスマスタ原盤の案内溝やピットの面にニッケル薄膜を蒸着やスパッタリングで形成し、ニッケル薄膜を電極として電鋳によりニッケルを堆積させる。一般的には0.3mmの厚さになるまでニッケルを堆積させガラスマスタ原盤の表面にニッケル板をつくる。ニッケル板をガラスマスタ原盤から剥離すれば、ニッケル板上にはガラスマスタ原盤上の凹凸(案内溝とピット)と反転した凹凸(案内溝とピット)をもつマスタスタンパとなる。
ニッケル製マスタスタンパからニッケル製第(k−1)スタンパを作製する方法を以下に示す。
(1)マスタスタンパの凹凸(案内溝・ピット)面の表面酸化処理
水酸化ナトリウム水溶液の中へマスタスタンパを浸漬しアノードとして、60秒間電流20アンペア流す。これにより、マスタスタンパの凹凸面は酸化処理され酸化膜が形成される。
(2)マスタスタンパの凹凸面上に電鋳によりニッケル製第(k−1)スタンパを形成
マスタスタンパ全体を電鋳浴に浸し、負電極として電鋳を行う。サルファミン酸ニッケル濃度550グラム/リットル、ホウ酸濃度31グラム/リットルの電鋳浴を用いる。電鋳浴のpH値や温度、また電鋳時の電流密度は必要に応じて調整する。電鋳により厚み0.3mmになるまでニッケルをマスタスタンパ上に形成して、0.3mmのニッケル製の第(k−1)スタンパを得る。
(3)ニッケル製の第(k−1)スタンパの剥離及び打ち抜き加工
マスタスタンパからニッケル製の第(k−1)スタンパを剥離し、必要な外径と内径に打ち抜く。
以上、第(k−1)スタンパの作製方法を簡単に示したが、金属製第(k−1)スタンパの反りを第k信号基板の形状に沿うように制御するには、上記(2)の電鋳浴のpH値や温度、また電鋳時の電流密度を制御すれば良い。図13は電鋳時の電流密度と電鋳浴の温度、pH値を変えて第(k−1)スタンパを作製した時の各パラメータに対する第(k−1)スタンパの反りの変化を示している。ここで、反りの方向が+とは第(k−1)スタンパの凹凸面とは反対側の面に反っていることを意味し、逆に反りの方向が−とは第(k−1)スタンパの凹凸面に反っていることを意味する。反りの大きさは、第(k−1)スタンパの半径方向と第(k−1)スタンパの接線とがなす角度で示す。
図13(a)に示すように、電流密度では20アンペア/dm^2を境に+反りと−反りが変わっている。図13(b)では電鋳浴の温度が45℃より低い温度では+反りに、高い温度では−反りになる。図13(c)の電鋳浴のpHではpH4.5で最小値、つまり第(k−1)スタンパがフラットになり、それから離れるに従い+側の反りを有することになる。以上のように、第(k−1)スタンパを電鋳により作製する場合、電鋳時の電流密度、電鋳浴の温度、pH値の少なくとも一つを制御して電鋳を行えば、第(k−1)スタンパの反りを制御することができる。これらのパラメータにより第k信号基板に沿う形の第(k−1)スタンパの作製が可能である。
以上の工程で作製された金属製の第(k−1)スタンパは図3や図9に示した方法で第k信号基板との間に分離層を形成することができる。但し、分離層を形成する際、金属製の第(k−1)スタンパは不透明で紫外線透過性がないため、接着層用紫外線硬化樹脂307や転写層用紫外線硬化樹脂903の代わりに熱硬化性材料等の放射線硬化材料を用いて、遠赤外線等の放射線を硬化に使用することが必要となる。また、接着層用紫外線硬化樹脂307の代わりには、感圧性接着剤も使用可能である。分離層形成後には図6に示す方法で第k信号基板との剥離が可能である。
また、実施の形態4では、金属としてニッケルの用いたが、材質としては電鋳が可能なその他の金属でも構わない。
(実施の形態5)
実施の形態5として、多層光情報媒体の製造装置を説明する。製造装置は、第k信号基板と第(k−1)スタンパを、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットを有する面を対向させて配置し、第(k−1)スタンパと第k信号基板とが互いに沿うような形状に保持する形状維持手段と、第(k−1)スタンパと第k信号基板との少なくとも一方が前記形状維持手段によって互いに沿うような形状に保持されている状態において、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットの間に第(k−1)分離層を形成する分離層形成手段と、第(k−1)分離層と第(k−1)スタンパの界面より第(k−1)スタンパを剥離する剥離手段を有している。図14、図15に形状維持手段と分離層形成手段の例を示す。
なお、本実施の形態の分離層形成手段は本発明の信号記録層形成手段の例である。
図14は形状維持手段がアームである場合の例である。図14(a)に示す案内溝及びピット上に転写層503が形成された、フラットな第(k−1)スタンパ500を用いる。転写層は図5(a)、(b)に示す方法で形成される。第k信号基板306は第k信号記録層を包むように反っている。反り測定手段1401は測定光1402を第k信号基板306上の第k信号記録層に入射させて、反射した測定光1402の位置を検知することにより、第k信号基板上の第k信号記録層の傾き角を計算する。
形状維持アーム1400は図14(b)に示すように、第(k−1)スタンパ500の、転写層503が形成されている面とは反対側の面を内周側と外周側を保持する。この時、形状維持アーム1400は、反り測定手段1401から得た第k信号記録層の傾き角に応じて、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットが第k信号記録層に沿うように、第(k−1)スタンパ500を反らした状態に保持する。すなわち、反り測定手段1401は、現在のまたは過去に製造された一つまたは複数のk信号基板306の第k信号記録層の面形状を測定し、形状維持アーム1400は、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ500の第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面をk信号基板306の面形状に対応するような形状にして形成する。すなわち、形状維持アーム1400は、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ500をk信号基板306の形状に沿うように形成する。
そして、k信号基板306の形状の測定は、例えば、工場が稼働する朝一番に前日に製造されたk信号基板306の形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ500の形状を決めてもよい。また、第k信号基板306が製造される毎に一枚一枚第k信号基板306の形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ500の形状を決めてもよい。また、ロット毎にk信号基板306の形状を測定した実績を用いて、第(k−1)スタンパ500の形状を決めてもよい。
第(k−1)スタンパ500の形状を変えるために、形状維持アーム1400のスタンパを保持する部材にはエアシリンダやステッピングモータ、アクチュエータ等の駆動手段をもっている。また、保持方法としては真空吸引、外周側であれば爪のような機械的な保持方法もある。
次に、図14(c)に示すように、第(k−1)スタンパ500の形状が維持された状態で第k信号基板306との間に第(k−1)分離層の一部となる接着層用紫外線硬化樹脂307を塗布する。ノズル1403を第(k−1)スタンパ500と第k信号基板306の間に挿入して、第k信号基板306の内周部に接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下する。この時、第k信号基板306はテーブル309上で保持され、テーブル309を回転することで接着層用紫外線硬化樹脂307はリング状に滴下される。第(k−1)スタンパ500は形状維持アーム1400で保持されているため、第k信号基板306との間隔は半径方向に均一にすることができる。
次に、第(k−1)スタンパ500を形状維持アーム1400で形状維持しながら、第k信号基板306を保持したテーブル309を回転する。この時、形状維持アーム1400も第(k−1)スタンパ500を保持しながらテーブル309に同期して回転する。この回転により、接着層用紫外線硬化樹脂307は半径方向に広がり、第(k−1)スタンパ500と第k信号基板306の間に均一な接着層を形成する。形状維持アーム1400で第(k−1)スタンパ500を形状維持したまま、紫外線により接着層を硬化して、図6に示すように剥離を行う。図6のツメ610とハンドリング手段612が剥離手段の一部となる。
また、第k信号基板が第k信号記録層のある面とは反対側の面を包むように反っている場合、図14(d)のように形状維持アーム1400は第(k−1)スタンパ500を保持することになる。
図15には形状維持手段がテーブル状である場合を示す。図15(a)に示す案内溝及びピット上に転写層503が形成された、フラットな第(k−1)スタンパ500を用いる。転写層は図5(a)、(b)に示す方法で形成される。第k信号基板306は第k信号記録層を包むように反っている。反り測定手段1401は測定光1402を第k信号基板306上の第k信号記録層に入射させて、反射した測定光1402の位置を検知することにより、第k信号基板上の第k信号記録層の傾き角を計算する。
形状維持テーブル1500は図15(b)に示すように、第(k−1)スタンパ500の、転写層503が形成されている面を保持する。この時、形状維持テーブル1500は、反り測定手段1401から得た第k信号記録層の傾き角に応じて、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットが第k信号記録層に沿うように、第(k−1)スタンパ500を反らした状態に保持する。つまり、第k信号記録層の傾き角に応じて、図15(b)に示したような第(k−1)スタンパ500を案内溝及びピットのある面とは反対側の面を包むような形状にする凸状の形状維持テーブル1500と、図15(d)に示すような第(k−1)スタンパ500を案内溝及びピットのある面を包むような形状にする凹形状維持テーブル1501との、何れかを選択し、第(k−1)スタンパ500を保持する。また、保持方法としては真空吸引、外周側であれば爪のような機械的な保持方法もある。
次に、図15(c)に示すように、第(k−1)スタンパ500の形状が維持された状態で第k信号基板306との間に第(k−1)分離層の一部となる接着層用紫外線硬化樹脂307を塗布する。ノズル1403を第(k−1)スタンパ500と第k信号基板306の間に挿入して、第k信号基板306の内周部に接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下する。この時、第k信号基板306はテーブル309上で保持され、テーブル309を回転することではリング状に滴下される。第(k−1)スタンパ500は形状維持テーブル1500で保持されているため、第k信号基板306との間隔は半径方向に均一にすることができる。
次に、第(k−1)スタンパ500を形状維持テーブル1500で形状維持しながら回転する。この回転により、接着層用紫外線硬化樹脂307は半径方向に広がり、第(k−1)スタンパ500と第k信号基板306の間に均一な接着層を形成する。その後、形状維持テーブル1500で第(k−1)スタンパを形状維持したまま、紫外線により接着層を硬化して、図6に示すように剥離を行う。図6のツメ610とハンドリング手段612が剥離手段の一部となる。
なお、図15(c)には第k信号基板306と第(k−1)スタンパ500の間にノズル1403を挿入して接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下する方法を示したが、第(k−1)スタンパ上へ直接ノズルで接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下して、そのあと第k信号基板を上から落としても良い。これら2種類の滴下方法は、図3(c)の工程でも用いることができる。
実施の形態5では、転写層と紫外線硬化樹脂を用いた接着層の2種類から材料から第(k−1)分離層を形成する方法を挙げたが、第k信号基板上に転写層以外の第(k−1)分離層がある場合でも実施の形態5を適用できる。例えば、第k信号基板上に感圧性接着剤があり、感圧性接着剤の上に転写層となる材料を滴下するという方法においても、本実施の形態を適用できる。
また、実施の形態5では、複数の信号記録層を有する第k信号基板の形状(反り)に応じて、第(k−1)スタンパの形状を形状維持手段で変える方法を示したが、第k信号基板の形状を変えても良い。一般的には、形状を変えることにより、複数の信号記録層が歪むことになるので、第(k−1)スタンパの形状を変えるほうが好ましいと考えられる。
上記実施の形態5では、厚み1.1mmのプラスチック製の第(k−1)スタンパを用いたが、プラスチック製であれば、厚みが0.5mm以上であれば良い。厚みが0.5mm以上であれば、剛性もあるため射出成形法においても成形条件により形状を制御し易く、また扱い易いため生産性向上に適している。また、プラスチック製の第(k−1)スタンパでなくとも、実施の形態4に示した金属製のものでも構わない。
また、実施の形態5では、第(k−1)分離層が2つの材料からなる場合について説明したが、3つ以上の複数の材料からなっていても構わない。また、紫外線硬化樹脂を用いて説明したが、その他熱硬化性材料をはじめとする放射線硬化性材料を用いても良い。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明の多層光情報記録媒体の製造方法は、第k信号基板の第k信号記録層と、第(k−1)スタンパの案内溝あるいはピット、案内溝及びピットを有する面とが互いに沿うような状態にして第(k−1)分離層を形成するため、第k信号基板の第k信号記録層と、第(k−1)スタンパの案内溝あるいはピット、案内溝及びピットを有する面との間隔が一定にすることが可能であり、形成される第(k−1)分離層の厚みを均一することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、
(1)本発明の実施の形態1における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第k信号基板と第(k−1)スタンパを準備する工程を示す模式図
(2)本発明の実施の形態1における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第(k−1)信号記録層と第k信号記録層との間に分離層を形成する工程を示す図
(3)本発明の実施の形態1における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第(k−1)分離層上の転写された第(k−1)信号記録層と第(k−1)スタンパとの界面より剥離を行う工程を示す図
図2は、
(a)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの作成方法のうち、成形金型に溶融したポリカーボネートを射出充填する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの作成方法のうち、第(k−1)スタンパを成形金型から取り出す工程を示す図
図3は、
(a)本発明の実施の形態1における第(k−1)分離層の形成方法の一例のうち、第(k−1)スタンパ上に転写層用紫外線硬化樹脂を形成する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態1における第(k−1)分離層の形成方法の一例のうち、紫外線を照射することにより転写層用紫外線硬化樹脂を硬化する工程を示す図
(c)本発明の実施の形態1における第(k−1)分離層の形成方法の一例のうち、転写層が形成された第(k−1)スタンパと第k信号基板とを貼り合わせる工程を示す図
(d)本発明の実施の形態1における第(k−1)分離層形成方法の一例のうち、紫外線を照射することにより接着用紫外線硬化樹脂を硬化する構成を示す図 図4は、
本発明の多層光情報記録媒体の製造方法により形成した分離層の厚み分布の一例を示す図
(a)本発明の実施の形態1における多層光情報記録媒体の製造方法により形成した分離層の厚み分布の一例を示す図
(b)従来の方法で形成した分離層の厚み分布の一例を示す図
図5は、
(a)従来の多層光情報記録媒体の製造方法の一例のうち、転写層の形成工程を示す図
(b)従来の多層光情報記録媒体の製造方法の一例のうち、転写層を硬化する工程を示す図
(c)従来の多層光情報記録媒体の製造方法の一例のうち、接着層を形成する工程を示す図
(d)従来の多層光情報記録媒体の製造方法の一例のうち、第(k−1)分離層を完成する工程を示す図
図6は、
(a)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの剥離方法の一例のうち、真空吸引する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの剥離方法の一例のうち、転写層と第(k−1)スタンパの界面にツメを挿入する工程を示す図
(c)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの剥離方法の一例のうち、ハンドリング手段で第(k−1)スタンパを引っ張りあげる工程を示す図
(d)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの剥離方法の一例のうち、第(k−1)スタンパが剥離された工程を示す図
図7は、
(a)本発明の実施の形態1における透明カバー層の形成方法であって、第1信号基板とフィルムとの間に接着用材料を配置してスピンで振り切る方法を示す図
(b)本発明の実施の形態1における透明カバー層の形成方法であって、感圧接着剤を用いてフィルムを接着してカバー層を形成する方法を示す図
(c)本発明の実施の形態1における透明カバー層の形成方法であって、カバー材料をフィルムを用いずスピンコートで塗布する方法を示す図
図8は、
(1)本発明の実施の形態2における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第k信号基板と第(k−1)スタンパを準備する工程を示す模式図
(2)本発明の実施の形態2における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第(k−1)信号記録層と第k信号記録層との間に分離層を形成する工程を示す図
(3)本発明の実施の形態2における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第(k−1)分離層上の転写された第(k−1)信号記録層と第(k−1)スタンパとの界面より剥離を行う工程を示す図
図9は、
(a)本発明の実施の形態2における分離層の形成方法のうち、第k信号基板と感圧性接着剤をチャンバ内に入れ、チャンバ内を真空引きする工程を示す図
(b)本発明の実施の形態2における分離層の形成方法のうち、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットのある面に転写層用紫外線硬化樹脂をコートする工程を示す図
(c)本発明の実施の形態2における分離層の形成方法のうち、第(k−1)スタンパと第k信号基板とを重ねる工程を示す図
(d)本発明の実施の形態2における分離層の形成方法のうち、紫外線を照射して未硬化である転写層用紫外線硬化樹脂を硬化する工程を示す図
図10は、
(a)本発明の実施の形態2における分離層の形成方法により形成した分離層の厚み分布を示す図
(b)従来の分離層の形成方法により形成した分離層の厚み分布を示す図
図11は、
(a)本発明の実施の形態1における記録多層膜形成方法の一例のうち、ターゲットを用いて第(k−1)スタンパ上に第(k−1)記録多層膜をスパッタリング法により成膜する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態1における記録多層膜形成方法の一例のうち、剥離用テーブルに固定する工程を示す図
(c)本発明の実施の形態1における記録多層膜形成方法の一例のうち、ハンドリング手段を用いて第(k−1)スタンパを剥離する工程を示す図
図12は、
(a)本発明の実施の形態3における射出成形法により第(k−1)スタンパを作成する際の一例のうち、マスタスタンパと金型鏡面Aとの間に断熱板を配置した場合を示す図
(b)本発明の実施の形態3における射出成形法により第(k−1)スタンパを作成する際の一例のうち、断熱材を金型鏡面Aの後ろに組み込んだ成形金型を示す図
図13は、
(a)本発明の実施の形態4における金属製第(k−1)スタンパを電鋳条件により形状制御する時の条件のうち、カソード電流密度と第(k−1)スタンパの反りの程度との関係を示す図
(b)本発明の実施の形態4における金属製第(k−1)スタンパを電鋳条件により形状制御する時の条件のうち、電鋳浴の温度と第(k−1)スタンパの反りの程度との関係を示す図
(c)本発明の実施の形態4における金属製第(k−1)スタンパを電鋳条件により形状制御する時の条件のうち、電鋳浴のpHと第(k−1)スタンパの反りの程度との関係を示す図
図14は、
(a)本発明の実施の形態5における第k信号基板の形状を測定する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態5における形状維持手段で第(k−1)スタンパを保持することを示す図
(c)本発明の実施の形態5における第(k−1)スタンパの形状が維持された状態で第k信号基板との間に第(k−1)分離層の一部となる接着層用紫外線硬化樹脂を塗布することを示す図
(d)本発明の実施の形態5における第k信号基板が第k信号記録層のある面とは反対側の面を包むように反っている場合に、形状維持手段が第(k−1)スタンパを保持することを示す図
図15は、
(a)本発明の実施の形態5における形状維持手段と分離層形成手段の第2の例であって、第k信号基板の形状を測定する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態5における形状維持手段と分離層形成手段の第2の例であって、第(k−1)スタンパを形状維持する工程を示す図
(c)本発明の実施の形態5における形状維持手段と分離層形成手段の第2の例であって、分離層の一部となる接着層用紫外線硬化樹脂を塗布する工程を示す図
(d)本発明の実施の形態5における形状維持手段と分離層形成手段の第2の例であって、凹形状維持テーブルにより第(k−1)スタンパを保持する工程を示す図
(符号の説明)
103,306,803,900 第k信号基板
100,800 第k信号記録層
101,801 第(k+1)信号記録層
102,802 第n信号記録層
110 第k分離層
105,805 第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット
106,204,300,500,806,902 第(k−1)スタンパ
107,310,510,807,909 第(k−1)分離層
108,808 転写された第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット
200 成形金型
201 マスタスタンパ
202 ポリカーボネート
203 キャビティ
205 案内溝及びピットが形成された面
206 反対側の面
305,309,509,720,904 テーブル
301,903 転写層用紫外線硬化樹脂
302,910 紫外線ランプ
303,503 転写層
307 接着層用紫外線硬化樹脂
308,508,730 接着層
600 剥離用テーブル
610 ツメ
615 エア
612 ハンドリング手段
700 フィルム
710 第1信号基板
740,901 感圧性接着剤
745,905 チャンバ
750 カバー材料
1100 ターゲット
1101 第(k−1)記録多層膜
1200 断熱板
1400 形状維持アーム
1401 反り測定手段
1402 測定光
1403 ノズル
1500 形状維持テーブル
1501 凹形状維持テーブル
D1 感圧性接着剤の中心穴の直径
D0 第k信号基板の中心穴と第(k−1)スタンパの中心穴の直径
D2 転写層用紫外線硬化樹脂の内径
【書類名】 明細書
【特許請求の範囲】
【請求項1】 n層(nは2以上の整数)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する多層光情報記録媒体の製造方法において、
記録面または再生面から第k番目(kは2以上n以下の整数のいずれか)の信号記録層を第k信号記録層とし、前記第k信号記録層を表面に有する基板を第k信号基板とし、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有するスタンパを第(k−1)スタンパとし、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層との間にある分離層を第(k−1)分離層とする時、
現在のまたは過去に製造された一つまたは複数の前記k信号基板の面形状を測定する測定工程と、
前記第(k−1)スタンパの前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を前記k信号基板の面形状に対応するような形状にして、その第(k−1)スタンパを利用して前記第(k−1)信号記録層を形成する信号記録層形成工程と、
前記第(k−1)分離層と前記第(k−1)スタンパとの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離する剥離工程とを備え、
n層の前記信号記録層のうち少なくとも1層が前記信号記録層形成工程によって作成される多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項2】 前記第k信号基板が前記第k信号記録層を包むように反っている時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とは反対側の面を包むように反らせた形状にする請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項3】 前記第k信号基板が第k信号記録層の反対側の面を包むように反っている時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を包むように反らせた形にする請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項4】 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板の第k信号記録層と、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とを実質上同じ曲率半径を有する形状にする請求項2または3に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項5】 前記第(k−1)分離層は、放射線硬化樹脂である請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項6】 前記放射線硬化樹脂が紫外線硬化樹脂である請求項5に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項7】 前記第(k−1)分離層は、複数の層から構成される請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項8】 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記第(k−1)スタンパと前記第k信号記録層の間に存在する、前記第(k−1)分離層を構成する各層の界面も含めた複数の界面のうち、前記転写層と前記第(k−1)スタンパとの界面が最も剥離し易い界面となる請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項9】 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、少なくとも前記転写層が放射線硬化性材料である請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項10】 前記放射線硬化性材料は、紫外線硬化樹脂である請求項9に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項11】 前記紫外線硬化樹脂の粘度は、1〜1000mPa・sである請求項10に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項12】 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記第(k−1)分離層の、転写層以外の層のうち少なくとも一つの層が感圧性接着剤である請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項13】 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパの案内溝及び/またはピットのある面の上に、前記転写層となる放射線硬化性材料をコートしたうえ硬化し、前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板と貼り合わせる請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項14】 前記転写層がコートされた前記第(k−1)スタンパと、前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板とを貼り合わせる際、前記第(k−1)スタンパにコートされた前記転写層と接する前記第(k−1)分離層の表面が放射線硬化性材料である請求項13に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項15】 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパと、前記転写層とを除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板との間に前記転写層となる放射線硬化性材料を配置した後に、前記放射線硬化性材料を硬化する請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項16】 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板の前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した面と、前記第(k−1)スタンパの案内溝及び/またはピットのある面の少なくとも一方に、前記転写層となる放射線硬化性材料を塗布した後、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパを重ね合わせて前記放射線硬化性材料を硬化する請求項15に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項17】 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパとを、前記第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパの少なくとも一方を保持した上で、前記放射線硬化性材料を硬化する請求項13に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項18】 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパの少なくとも一方を、所望の表面形状を有する支持台上に固定した上で、前記放射線硬化材料を硬化する請求項17に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項19】 前記第(k−1)スタンパはプラスチックである請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。

【請求項20】 前記プラスチックは透明である請求項19記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項21】 前記第(k−1)スタンパは、ポリカーボネート、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂のいずれかであり、金属製マスタスタンパを用いて射出成形法により作製された請求項20に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項22】 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを作製する際の射出成形法の条件により、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパを、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように制御する請求項21に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項23】 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とは反対側の面を包むように反った形にするために、前記第(k−1)スタンパを射出成形法で作製する際、一対の成形金型の一方に載せた前記金属製マスタスタンパより他方の金型鏡面温度を高くする請求項22に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項24】 前記信号記録層形成工程は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面温度より他方の金型鏡面温度を高くする請求項23に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項25】 一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面とは反対側の金型鏡面の裏面に、断熱材料が設置されている請求項23に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項26】 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を包むように反った形にするために、前記第(k−1)スタンパを射出成形法で作製する際、一対の成形金型の金型鏡面に載せた前記金属製マスタスタンパの温度を他方の金型鏡面温度より高くする請求項22記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項27】 前記信号記録層形成工程は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面温度を他方の金型鏡面温度より高くする請求項26に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項28】 一対の成形金型に載せた、前記金属製マスタスタンパの裏面と前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面の裏面の少なくとも1つに断熱材料が設置されている請求項26に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項29】 前記第(k−1)スタンパは、金属である請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項30】 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが電鋳により作製され、電鋳浴のpH値、温度、電鋳時の電流密度から選ばれる少なくとも1つの電鋳条件により、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパとを、前記第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように制御する請求項29に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項31】 前記剥離工程の工程の後、さらに転写された前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットの上に記録多層膜(以下、第(k−1)記録多層膜と呼ぶ)或いは反射膜を成膜することにより、第(k−1)信号記録層を完成する膜形成工程を備えた請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項32】 前記第(k−1)スタンパ上の第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットの上に第(k−1)記録多層膜あるいは反射膜を成膜しておき、前記剥離工程は、前記第(k−1)記録多層膜と前記第(k−1)スタンパの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離して前記第(k−1)記録多層膜あるいは反射膜を前記第(k−1)分離層上へ移す請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項33】 第1信号記録層の上に透明カバー層を形成する請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項34】 第1信号記録層の上に、透明な基板を透明な接着剤で接着し前記透明カバー層とする請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項35】 前記透明カバー層を透明な放射線硬化性材料で形成する請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項36】 前記透明カバー層の少なくとも一部を感圧性接着剤で形成することを特徴とする請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項37】 第1信号記録層上に形成されている透明カバー層の厚みが0.3mm以下であることを特徴とする請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はn層(nは2以上)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する片面より記録及び再生を行う、多層光情報記録媒体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高密度光情報記録媒体として、片面2層再生のDVDのような厚み方向に信号記録面を複数層有する、多層光情報記録媒体が提案されている。例えば、片面2層再生のDVDは2枚の基板のうち1枚の情報記録面に金、シリコン等の透光性の反射層を、もう一枚の情報記録面に従来のアルミニウム等からなる反射層を、それぞれ成膜し、これらの情報記録面が内側になるように貼り合わせた構造となっている。さらに、1層あたりの面記録密度を向上するために、青紫色レーザ光源(波長400nm前後)と高NAのレンズを用い、厚さが0.1mmといった薄型の記録再生側透明カバー層をもつ高密度光情報記録媒体が提案されている。この高密度光情報記録媒体は、厚い信号基板の表面に信号の案内溝あるいはピットを形成して、その上に書き換え可能な記録多層膜を成膜、さらにその上に透明カバー層が形成された構造になっている。
【0003】
この薄型透明カバー層タイプの高密度光情報記録媒体でも2つの信号記録面を有するものが考えられる。その作製方法の一つの例としては以下の方法が挙げられる。
【0004】
(1)表面に信号の案内溝あるいはピットが形成され書き換え可能な記録多層膜が成膜された厚い基板の上に、さらに紫外線硬化樹脂を用いて分離層を形成すると共に、その分離層の表面に2層目の信号の案内溝あるいはピットを形成する。
【0005】
(2)2層目の2層目の信号の案内溝あるいはピットの上に書き換え可能な透光性の記録多層膜を成膜する。
【0006】
(3)厚さが0.1mmといった薄型の記録再生側透明カバー層を形成する。
【0007】
具体的な作製方法として特許文献1がある。なお、特許文献1の文献の全ての開示は、そっくりそのまま引用する(参照する)ことにより、ここに一体化する。すなわち、特許文献1では、上記(1)の工程のためにプラスチック製のスタンパを用いて、そのスタンパ上の信号案内溝あるいはピットに紫外線硬化樹脂を塗布し硬化した後、異なる性質を有するもう1つの紫外線硬化樹脂を用いて、1層目の記録多層膜が成膜された基板と貼り合わせ、硬化後スタンパを剥離している。このような方法を用いれば、剛性のある厚い基板をベースとして、その上に分離層を介して、もう一層、さらには複数の信号記録層を積み上げて多層光情報記録媒体を作製することができる。
【特許文献1】特開2002−260307号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多層光情報記録媒体の信号記録層の間に存在する分離層は均一である必要がある。分離層が均一であれば、分離層の前後にある信号記録層では記録あるいは再生の際に受ける他方からの反射光の影響が一定になる。他方の信号記録層からの反射光が変動すると、再生信号の外乱成分となり、S/Nが悪化する。逆に、分離層が均一であれば、他方の信号記録層からの外乱が一定であるため、記録あるいは再生が安定になり、良好な再生信号の品質は向上する。実際には、表面に信号の案内溝あるいはピットが形成され書き換え可能な記録多層膜が成膜された厚い基板の上に、スタンパを用いて基板とスタンパの間に分離層と共にその表面にスタンパより信号の案内溝あるいはピットを転写する際、分離層の厚みにむらが生じる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、ある2つの信号記録層の分離層が均一となる多層光情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、n層(nは2以上の整数)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する多層光情報記録媒体の製造方法において、
記録面または再生面から第k番目(kは2以上n以下の整数のいずれか)の信号記録層を第k信号記録層(100)とし、前記第k信号記録層(100)を表面に有する基板を第k信号基板(103)とし、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット(105)を有するスタンパを第(k−1)スタンパ(106)とし、第k信号記録層(100)と前記第(k−1)信号記録層との間にある分離層を第(k−1)分離層(107)とする時、
現在のまたは過去に製造された一つまたは複数の前記k信号基板(103)の面形状を測定する測定工程と、
前記第(k−1)スタンパ(106)の前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット(105)を有する面を前記k信号基板(103)の面形状に対応するような形状にして、その第(k−1)スタンパ(106)を利用して前記第(k−1)信号記録層を形成する信号記録層形成工程と、
前記第(k−1)分離層(107)と前記第(k−1)スタンパ(106)との界面より前記第(k−1)スタンパ(106)を剥離する剥離工程とを備え、
n層の前記信号記録層のうち少なくとも1層が前記信号記録層形成工程によって作成される多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0011】
上記本発明の多層光情報記録媒体の製造方法によれば、前記第(k−1)スタンパと前記第k信号基板とが互いに沿うような形になっているため、それらの間の距離は一様に均一となり、作製される第(k−1)分離層の厚みも均一になる。
【0012】
また、第2の本発明は、前記第k信号基板(103)が前記第k信号記録層(100)を包むように反っている時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパ(106)を前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット(105)を有する面とは反対側の面を包むように反らせた形状にする第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0013】
上記構成によれば、第k信号基板の反りを変えることなく、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面との距離が均一に近くなるため、作製される第(k−1)分離層の厚みは均一になる。
【0014】
また、第3の本発明は、前記第k信号基板(803)が第k信号記録層(800)の反対側の面を包むように反っている時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパ(806)を前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット(805)を有する面を包むように反らせた形にする第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0015】
上記構成によれば、第k信号基板の反りを変えることなく、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面との距離が均一に近くなるため、作製される第(k−1)分離層の厚みは均一になる。
【0016】
また、第4の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板(103)の第k信号記録層(100)と、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット(105)を有する面とを実質上同じ曲率半径を有する形状にする第2または3の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0017】
上記構成によれば、第k信号基板の反りを変えることなく、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面との距離が均一に近くなるため、作製される第(k−1)分離層の厚みは均一になる。
【0018】
また、第5の本発明は、前記第(k−1)分離層(310)は、放射線硬化樹脂(301、307)である第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0019】
上記構成によれば、均一な厚みに形成された第(k−1)分離層を放射線の照射により容易に硬化することができ、生産性を向上することができる。
【0020】
また、第6の本発明は、前記放射線硬化樹脂が紫外線硬化樹脂である第5の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0021】
上記構成によれば、CD、DVDといった従来の光情報記録媒体で用いられる紫外線硬化型の接着剤が使用できると共に、生産設備の利用も可能となる。
【0022】
また、第7の本発明は、前記第(k−1)分離層(310)は、複数の層(303、308)から構成される第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0023】
上記構成によれば、第(k−1)分離層のうち、第k信号記録層と接する材料として、第k信号記録層と接着性の良好な材料を用い、第(k−1)分離層のうち、第(k−1)スタンパ上の第(k−1)信号記録層の案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面と接する材料として、第(k−1)スタンパと剥離し易い材料を用いる等、異なる特徴を有する材料を第(k−1)分離層の厚み方向に配置でき、安定に剥離することが可能になる。
【0024】
また、第8の本発明は、前記第(k−1)分離層(310)の複数の層(303、308)のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパ(106)から転写する層を転写層(303)とする時、前記第(k−1)スタンパ(106)と前記第k信号記録層(100)の間に存在する、前記第(k−1)分離層(310)を構成する各層の界面も含めた複数の界面のうち、前記転写層(303)と前記第(k−1)スタンパ(106)との界面が最も剥離し易い界面となる第7の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0025】
上記構成によれば、前記第(k−1)分離層と前記第(k−1)スタンパの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離する工程において、複数ある界面のうち前記転写層と前記第(k−1)スタンパの界面で安定に剥離でき、剥離工程での歩留まりを向上できる。
【0026】
また、第9の本発明は、前記第(k−1)分離層(310)の複数の層(303、308)のうち案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパ(106)から転写する層を転写層(303)とする時、少なくとも前記転写層(303)が放射線硬化性材料(301)である第7の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0027】
上記構成によれば、放射線硬化性材料は放射線照射により容易に硬化するため、第(k−1)スタンパより確実に溝あるいはピットの形状を写し取ることができる。
【0028】
また、第10の本発明は、前記放射線硬化性材料は、紫外線硬化樹脂である第9の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0029】
上記構成によれば、CD、DVDといった従来の光情報記録媒体で用いられる生産設備の利用も可能となる。
【0030】
また、第11の本発明は、前記紫外線硬化樹脂の粘度は、1〜1000mPa・sである第10の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0031】
上記構成によれば、第(k−1)スタンパの溝あるいはピットに紫外線硬化樹脂が十分入り込むことができるので、溝あるいはピットの転写を向上できる。
【0032】
また、第12の本発明は、前記第(k−1)分離層(909)の複数の層(901、903)のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパ(902)から転写する層を転写層(903)とする時、前記第(k−1)分離層(909)の、転写層(903)以外の層のうち少なくとも一つの層が感圧性接着剤(901)である第7の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0033】
上記構成によれば、感圧性接着剤を第(k−1)分離層の一部として用いれば、放射線硬化等の硬化処理を行わなくとも第(k−1)分離層の一部を形成できるため、生産性を向上することができる。
【0034】
また、第13の本発明は、前記第(k−1)分離層(310)の複数の層(303、308)のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパ(300)から転写する層を転写層(303)とする時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパ(300)の案内溝及び/またはピットのある面の上に、前記転写層(303)となる放射線硬化性材料をコートしたうえ硬化し、前記転写層(303)を除いた前記第(k−1)分離層(308)を形成した前記第k信号基板(306)と貼り合わせる第7の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0035】
上記構成によれば、硬化後剥離し易い放射線硬化性材料を予め第(k−1)スタンパへ転写層として塗布し硬化した上で、第(k−1)分離層の転写層と接する側の材料を硬化した転写層と接着し易い材料にすることができ、第(k−1)スタンパの剥離の際に第(k−1)分離層を一体化して確実に剥離することが可能となる。
【0036】
また、第14の本発明は、前記転写層がコートされた前記第(k−1)スタンパ(300)と、前記転写層(303)を除いた前記第(k−1)分離層(308)を形成した前記第k信号基板(306)とを貼り合わせる際、前記第(k−1)スタンパ(300)にコートされた前記転写層(303)と接する前記第(k−1)分離層の表面が放射線硬化性材料(301)である第13の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0037】
上記構成によれば、放射線を照射することにより容易に、第(k−1)スタンパ上の転写層と第k信号基板上の第(k−1)分離層を接着することができる。
【0038】
また、第15の本発明は、前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパと、前記転写層とを除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板との間に前記転写層となる放射線硬化性材料を配置した後に、前記放射線硬化性材料を硬化する第7の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0039】
上記構成によれば、第(k−1)スタンパと、第k信号基板の上に形成された転写層を除いた第(k−1)分離層との間に放射線硬化性材料を配置すれば、毛細管現象により放射線硬化樹脂は均一に広がり、より分離層の厚み均一性が向上できる。また、その均一性を保ちつつ放射線照射により容易に転写層も形成できる。
【0040】
また、第16の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板の前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した面と、前記第(k−1)スタンパの案内溝及び/またはピットのある面の少なくとも一方に、前記転写層となる放射線硬化性材料を塗布した後、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパを重ね合わせて前記放射線硬化性材料を硬化する第15の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0041】
上記構成によれば、重ねる前に第(k−1)スタンパあるいは第k信号基板の上に放射線硬化性材料が全面に塗られるので、前記第(k−1)スタンパと第k信号基板を面で接着でき、分離層を全面で一体化できる。
【0042】
また、第17の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパとを、前記第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパの少なくとも一方を保持した上で、前記放射線硬化性材料を硬化する第13の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0043】
上記構成によれば、第k信号基板と第(k−1)スタンパの形状が互いに沿った形になっていなくとも、少なくとも一方を保持して互いに沿った形にして放射線硬化性材料を硬化するため、第k信号基板や第(k−1)スタンパの形状を制御する必要がなく、第k信号基板や第(k−1)スタンパの作製マージンが広がる。
【0044】
また、第18の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパの少なくとも一方を、所望の表面形状を有する支持台上に固定した上で、前記放射線硬化材料を硬化する第17の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0045】
上記構成によれば、支持体を用いてその表面形状を所望の形状にしておけば、第k信号基板あるいは第(k−1)スタンパの形状を容易に変え互いに沿ったようにできる。
【0046】
また、第19の本発明は、前記第(k−1)スタンパはプラスチックである第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0047】
上記構成によれば、第(k−1)スタンパが軽量になるため扱い易く、生産性も良い。
【0048】
また、第20の本発明は、前記プラスチックは透明である第19の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0049】
上記構成によれば、分離層が放射線硬化性材料の場合、第(k−1)スタンパを通して放射線を照射すれば分離層を硬化できる。
【0050】
また、第21の本発明は、前記第(k−1)スタンパは、ポリカーボネート、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂のいずれかであり、金属製マスタスタンパを用いて射出成形法により作製された第20の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0051】
上記構成によれば、スタンパを安価、かつ大量に作製できるため、多層光情報記録媒体の量産性が向上する。
【0052】
また、第22の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを作製する際の射出成形法の条件により、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパを、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように制御する第21の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0053】
上記構成によれば、第k信号基板がどのような反りをもっていようと、第(k−1)スタンパの形状を射出成形の条件だけで正確に制御できる。
【0054】
また、第23の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とは反対側の面を包むように反った形にするために、前記第(k−1)スタンパを射出成形法で作製する際、一対の成形金型の一方に載せた前記金属製マスタスタンパより他方の金型鏡面温度を高くする第22の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0055】
上記構成によれば、射出成形法で作成されるプラスチックからなる第(k−1)スタンパの表面は、成形金型から取り出された直後、案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面とは反対側の面の方が温度が高くなるため、より多く収縮が起こり、その案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面とは反対側の面を包むように反った形にすることができる。
【0056】
また、第24の本発明は、前記信号記録層形成工程は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面温度より他方の金型鏡面温度を高くする第23の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0057】
上記構成によれば、射出成形法で作成されるプラスチックからなる第(k−1)スタンパの表面は、成形金型から取り出された直後、案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面とは反対側の面の方が温度が高くなるため、より多く収縮が起こり、その案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面とは反対側の面を包むように反った形にすることができる。
【0058】
また、第25の本発明は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面とは反対側の金型鏡面の裏面に、断熱材料が設置されている第23の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0059】
上記構成によれば、前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面とは反対側の金型鏡面は、その裏面の断熱材料により熱が逃げにくくなるため、効果的に温度を高く保つことができる。
【0060】
また、第26の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を包むように反った形にするために、前記第(k−1)スタンパを射出成形法で作製する際、一対の成形金型の金型鏡面に載せた前記金属製マスタスタンパの温度を他方の金型鏡面温度より高くする第22の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0061】
上記構成によれば、射出成形法で作成されるプラスチックからなる第(k−1)スタンパの表面は、成形金型から取り出された直後、案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面の方がその反対側の面より温度が高くなるため、より多く収縮が起こり、その案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットを有する面を包むように反った形にすることができる。
【0062】
また、第27の本発明は、前記信号記録層形成工程は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面温度を他方の金型鏡面温度より高くする第26の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0063】
これによって、容易に金属製マスタスタンパの温度を他方の金型鏡面温度より高くすることができる。
【0064】
また、第28の本発明は、一対の成形金型に載せた、前記金属製マスタスタンパの裏面と前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面の裏面の少なくとも1つに断熱材料が設置されている第26の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0065】
この方法によっても、射出された高温のプラスチックの熱が成型金型の金型鏡面へ拡散することを抑制することでき、相対的に金属製マスタスタンパの温度を相対的に他方の金型鏡面温度より高くすることができる。
【0066】
また、第29の本発明は、前記第(k−1)スタンパは、金属である第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0067】
上記構成によれば、金属は比較的硬度が高いため、第(k−1)スタンパを第k信号基板から剥離する際に生ずる第(k−1)スタンパの傷や変形を抑制でき、多層光情報記録媒体の生産性を向上できる。
【0068】
また、第30の本発明は、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが電鋳により作製され、電鋳浴のpH値、温度、電鋳時の電流密度から選ばれる少なくとも1つの電鋳条件により、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパとを、前記第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように制御する第29の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0069】
上記構成によれば、第(k−1)スタンパが容易に、また低コストに作製できる。また、電鋳は技術が確立されている従来の方法であるため、安定に電鋳条件によりスタンパの形状を制御することが可能である。
【0070】
また、第31の本発明は、前記剥離工程の工程の後、さらに転写された前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットの上に記録多層膜(以下、第(k−1)記録多層膜と呼ぶ)或いは反射膜を成膜することにより、第(k−1)信号記録層を完成する膜形成工程を備えた第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0071】
また、第32の本発明は、前記第(k−1)スタンパ上の第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットの上に第(k−1)記録多層膜あるいは反射膜を成膜しておき、前記剥離工程は、前記第(k−1)記録多層膜と前記第(k−1)スタンパの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離して前記第(k−1)記録多層膜あるいは反射膜を前記第(k−1)分離層上へ移す第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0072】
また、第33の本発明は、第1信号記録層の上に透明カバー層を形成する第1の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0073】
また、第34の本発明は、第1信号記録層の上に、透明な基板を透明な接着剤で接着し前記透明カバー層とする第33の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0074】
上記構成によれば、容易に均一な透明カバー層を形成できる。
【0075】
また、第35の本発明は、前記透明カバー層を透明な放射線硬化性材料で形成する第33の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0076】
上記構成によれば、コストを安価にすることができる。
【0077】
また、第36の本発明は、前記透明カバー層の少なくとも一部を感圧性接着剤で形成することを特徴とする第33の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0078】
上記構成によれば、容易に均一な透明カバー層を形成できる。
【0079】
また、第37の本発明は、第1信号記録層上に形成されている透明カバー層の厚みが0.3mm以下であることを特徴とする第33の本発明の多層光情報記録媒体の製造方法である。
【0080】
上記構成によれば、0.6以上の大きな開口数のレンズを用いて記録あるいは再生を行う際に、多層光情報記録媒体の反りによるフォーカス光の収差を抑制できるため、高密度な情報の記録あるいは再生が可能となる。
【0081】
また、第38の発明は、n層(nは2以上の整数)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する多層光情報記録媒体の製造装置において、
記録面または再生面から第k番目(kは2以上n以下の整数のいずれか)の信号記録層を第k信号記録層とし、前記第k信号記録層を表面に有する基板を第k信号基板とし、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有するスタンパを第(k−1)スタンパとし、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層との間にある分離層を第(k−1)分離層とする時、
現在のまたは過去に製造された一つまたは複数の前記k信号基板の面形状を測定する測定手段と、
前記第(k−1)スタンパの前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を前記k信号基板の面形状に対応するような形状にする形状維持手段と、
その第(k−1)スタンパを利用して前記第(k−1)信号記録層を形成する信号記録層形成手段と、
前記第(k−1)分離層と前記第(k−1)スタンパとの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離する剥離手段とを備えた多層光情報記録媒体の製造装置である。本発明は、第38の発明であってもよい。
【0082】
上記本発明の多層光情報記録媒体の製造方法によれば、第(k−1)スタンパと第k信号基板とが沿った形状に保持することが容易であり、かつ、それらの間に分離層の形成でき、第(k−1)スタンパと第k信号基板の剥離も可能となる。これによって、分離層の厚みが均一な多層光情報記録媒体を製造することができる。
【0083】
また、第39の発明は、前記第k信号基板が反っている時、前記第k信号基板の反りに応じて、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットと、前記第k信号記録層が沿うように、前記形状維持手段が前記第(k−1)スタンパを保持する機構を有する第38の本発明の多層光情報記録媒体の製造装置である。本発明は第39の発明であってもよい。
【0084】
上記構成によれば、第k信号基板の反りに応じて、前記第(k−1)信号記録層の案内溝、或いはピット、或いは案内溝及びピットと、前記第k信号記録層が沿うため、間に形成される第(k−1)分離層の厚みを均一にすることができる。
【0085】
また、第40の発明は、前記形状維持手段は、テーブル状であり、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットと前記第k信号記録層とが沿うように、前記第(k−1)スタンパと接する表面形状を有する第39の本発明の多層光情報記録媒体の製造装置である。本発明は第40の発明であってもよい。
【0086】
上記構成によれば、テーブル形状により容易に第(k−1)スタンパの形状を変えることができる。
【0087】
また、第41の発明は、前記形状維持手段は、前記第(k−1)スタンパと前記第k信号基板との少なくとも一方の、前記第(k−1)分離層が形成されない面を真空吸引により支持する第38の本発明の多層光情報記録媒体の製造装置である。本発明は第41の発明であってもよい。
【0088】
上記構成によれば、前記第(k−1)スタンパあるいは前記第k信号基板を確実に形状維持することができる。
【0089】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0090】
(実施の形態1)
本発明の多層光情報記録媒体の製造方法の実施の形態を図1に示す。図1は、n層(nは2以上)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する片面より記録及び再生を行う円盤型多層光情報記録媒体の、第k信号記録層100と第(k−1)信号記録層の間にある第(k−1)分離層107を形成する工程の模式図である。ここで、第k信号記録層100とは、記録再生面から第k番目(kは2以上n以下の何れか)の信号記録層、第k信号記録層100を表面に有する基板を第k信号基板103とする。また、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105を有するスタンパを第(k−1)スタンパ106とする。
【0091】
なお、本実施の形態の第(k−1)分離層107を形成する工程は本発明の信号記録層形成工程の例である。
【0092】
本実施の形態1の多層光情報記録媒体の製造方法は、1層あたりの面記録密度を向上するために、青紫色レーザ光源(波長400nm前後)と高NAのレンズを用い、厚さが0.3mm以下2ミクロン以上といった薄型の記録再生側透明カバー層をもつ高密度光情報記録媒体を製造の対象とする。なお、実施の形態1以外の他の実施の形態の多層光情報記録媒体の製造方法も実施の形態1と同様の高密度光情報記録媒体を製造の対象とする。なお、このような高密度光情報記録媒体でなくても、本実施の形態の多層光情報記録媒体の製造方法を適用できることは言うまでもない。
【0093】
図1の第k信号基板103と第(k−1)スタンパ106は共に円盤型をなし中心に中心穴を有する。第k信号基板103は、第(k−1)分離層107の形成工程の後に続く、その他信号記録層の形成工程、或いは第1信号記録層の上への透明カバー層の形成工程といった工程で発生しうる反りを見越して反った形状にされている。また、第k信号記録層100の第k記録多層膜の成膜やその他第(k+1)〜n分離層の形成および第(k+1)〜n記録多層膜の成膜等の工程による応力により自然に反ってしまっているのが一般的である。本実施の形態1では、その一例として、第k信号基板103が第k信号記録層100を包むように反ったものである場合を示す。
【0094】
まず、図1(1)に示すように第k信号基板103を準備する。第k信号基板103には表面に第k信号記録層100がある他、順に第(k+1)信号記録層101、さらに第n信号記録層102まで計(n−k−1)個の信号記録層がある。ここで、信号記録層とは、多層光情報記録媒体に記録及び再生する際に記録光及び再生光をガイドするための案内溝やアドレス情報を示すピットと、GeSbTeやAgInSbTe等の相変化膜、磁性体膜、色素膜に代表される記録膜とそれらを挟むZnS等の誘電体膜からなる記録多層膜あるいは反射膜からなる。また、各信号記録層の間には第k分離層110に代表される分離層が配置されている。なお、本実施の形態の多層光情報記録媒体は、製造後に映像音声データが書き込まれる案内溝だけから構成されるものに限らず、製造時に映像音声データが書き込まれるピットから構成されるものや、案内溝の内部あるいは外部にピットが形成されたものであってもよい。
【0095】
一方、表面に第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105をもつ第(k−1)スタンパ106も準備する。第(k−1)スタンパ106は、後述する実施の形態5の図14に示される反り測定手段1401のように現在のまたは過去に製造された一つまたは複数のk信号基板103の面形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ106の第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105を有する面をk信号基板103の面形状に対応するような形状にして形成されたものである。すなわち、第(k−1)スタンパ106は、k信号基板103の形状に沿うように形成されたものである。
【0096】
そして、k信号基板103の面形状の測定は、例えば、工場が稼働する朝一番に前日に製造されたk信号基板103の面形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ106の形状を決めてもよい。また、第k信号基板103が製造される毎に一枚一枚第k信号基板103の形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ106の形状を決めてもよい。また、ロット毎にk信号基板103の面形状を測定した実績を用いて、第(k−1)スタンパ106の形状を決めてもよい。
【0097】
すなわち、第k信号基板103の形状を上述したように測定し、その測定結果から第(k−1)スタンパ106の形状を決めることにより、第(k−1)スタンパ106と第k信号基板103は図示のように互いが沿った形になる。つまり、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105と第k信号記録層100の互いが沿った状態になっていて、その距離が半径方向及び面内で均一になっている。すなわち、第k信号基板103の第k信号記録層100と、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット105を有する面とを実質上同じ曲率半径を有する形状にする。一般的に第k信号基板103のように、複数の信号記録層を有する基板は記録多層膜や反射膜といった膜の応力により反っている。そこで、本実施の形態の第(k−1)スタンパ106は、既に反っている第k信号基板103に沿うような形状になっており、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105と第k信号記録層100とが対向するように配置されている。
【0098】
次に、図1(2)に示すように、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105と第k信号記録層100との間に第(k−1)分離層107を形成する。この時、第(k−1)分離層107の第(k−1)スタンパ側が第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105の中まで入り込むように形成される必要がある。図1(1)において、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105と第k信号記録層100の距離が半径方向及び面内で均一になっているため、第(k−1)分離層107の厚みは均一になる。第(k−1)分離層107の構成としては、1つの材料であることに限らず、異なる材料からなる複数の層から構成されていても良い。例えば、第(k−1)分離層107のうち第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105に接する層を転写層とした時、転写層として硬化性を有する液体材料を用いると第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105の中まで入り込み易く、転写が向上できる。この場合、転写層を硬化させて第(k−1)分離層107が完成となる。
【0099】
次に図1(3)に示すように、第(k−1)分離層107上の転写された第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット108と第(k−1)スタンパ106の界面より剥離を行う。このように剥離を行うことにより、第(k−1)信号基板を得ることが出来る。剥離を確実に行うためには、第(k−1)分離層107と第(k−1)スタンパ106の界面が、第(k−1)スタンパ106と第k信号記録層100の間に存在する複数の界面の中で最も剥離し易いことが重要である。そのために、転写層の材料や第(k−1)スタンパ106の材料及びその表面の材料等を選択することができる。
【0100】
以上のように、第(k−1)スタンパ106の第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット105と第k信号基板103の上の第k信号記録層100を互いに沿った形状にして、第(k−1)分離層107を形成することにより均一な分離層を形成することができる。複数ある分離層の何れも以上の工程を用いて作製すれば、多層光情報記録媒体全体の精度を向上することができ、各信号記録層において情報の記録あるいは再生の性能を大いに向上することができる。
【0101】
以下、上記図1の各工程の例について詳しく説明する。図2に第(k−1)スタンパの作製工程を示す。ここでは、第(k−1)スタンパの材料としてプラスチックを用いる。プラスチックは軽量であるため操作性に優れ、射出成形法により容易に大量に作製することができ便利である。また、成形条件を制御すれば容易に所望の形状(反り)をもたせることができるという利点もある。ここでは、第(k−1)スタンパの材料としてポリカーボネートを用いる。また、ポリカーボネート以外にも、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂等を用いることができる。
【0102】
まず、図2(a)に示すように、一対の成形金型200の金型鏡面Aの上にマスタスタンパ201を設置し、成形金型200内に380℃で溶融したポリカーボネート202を射出充填する。マスタスタンパ201は例えば、ニッケル等の金属を主成分とする材料からなる。成形金型200のマスタスタンパ201と金型鏡面Bの間にできるキャビティ203は第(k−1)スタンパの所望の厚みになるように決められる。ここでは、厚み約1.1mmの第(k−1)スタンパを成形するためキャビティ203の厚みは1.1mmである。成形金型200の金型鏡面Aと金型鏡面Bは各々の温度に設定されている。
【0103】
ここでは、(金型鏡面Aの温度)<(金型鏡面Bの温度)になるように金型鏡面A、Bの温度をそれぞれ115℃、125℃に設定する。これらの温度により380℃で溶融したポリカーボネート202が冷却され固化される。ポリカーボネートが射出充填される際、成形金型200には20〜30トンの型締め力を加える。型締め力により溶融したポリカーボネートはマスタスタンパ201に形成されている案内溝及びピットの間に入り込み、それらを転写することになる。
【0104】
冷却(例えば、10秒間)後、図2(b)に示すように、第(k−1)スタンパ204は成形金型200より取り出される。その時、(金型鏡面Aの温度)<(金型鏡面Bの温度)とされているため、第(k−1)スタンパ204の案内溝及びピットが形成された面205よりその反対側の面206の方が温度が高くなっている。そのため、温度が室温まで下がる時の収縮量が反対側の面206の方が大きくなり、結果、第(k−1)スタンパ204は反対側の面206を包むような形状になる。図1(1)に示された第(k−1)スタンパ106はこのように作製される。
【0105】
図3に第(k−1)分離層を形成する工程を示す。本実施の形態1では第(k−1)分離層が2つの材料からなり、第k信号基板および第(k−1)スタンパの外径が共に直径120mmのものの場合について一例を用いて説明する。まず図3(a)のように、第(k−1)スタンパ300をテーブル305上に第(k−1)スタンパの案内溝及びピットのある面を上にして設置する。第(k−1)スタンパ300は図2に示す方法で作製することができる。設置された第(k−1)スタンパ300は真空吸引等の方法でテーブル305上に固定される。この時、テーブル305の表面形状は図示のように第(k−1)スタンパと同じ曲率をもった形状であるのが好ましい。なぜなら、図2に示す工程で第(k−1)スタンパ300がもつ形状そのものを制御しているためである。
【0106】
第(k−1)スタンパの案内溝及びピットのある面に転写層用紫外線硬化樹脂301を滴下して、テーブル305を回転することにより、余分な転写層用紫外線硬化樹脂を振りきり、均一な厚みの転写層用紫外線硬化樹脂の層を得る。紫外線硬化樹脂としては紫外線照射によりラジカル反応を起こすアクリル系樹脂が好ましい。本実施の形態では、ポリカーボネート製の第(k−1)スタンパ300と剥離のし易い、粘度200MPa・sのアクリル系紫外線硬化樹脂を用いる。粘度が1〜1000MPa・sのものであれば、スタンパ上の案内溝およびピットの凹凸に十分入り込むことができる。また、スピンの回転は4000rpmで5秒間とし、厚み約8ミクロンの転写層を得た。
【0107】
次に図3(b)に示すように、紫外線ランプ302を用いて紫外線を照射する。紫外線ランプ302としてはメタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ等が良い。紫外線を照射することにより、転写層用紫外線硬化樹脂301は硬化され、転写層303が形成される。
【0108】
次に、図3(c)のように転写層303が形成された第(k−1)スタンパ300と第k信号基板306を貼り合わせる。第k信号基板306は第k信号記録層の案内溝及びピットと第k記録多層膜が形成されている他、第(k+1)〜第n信号記録層を有している(図示せず)。第k信号基板306をテーブル309に真空吸引にて固定して第k信号記録層上に接着剤となる接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下し、その上から第(k−1)スタンパ300の転写層303と接着層用紫外線硬化樹脂307が接するように置く。その後、図示のようにテーブル309を回転して、余分な接着層用紫外線硬化樹脂を振り切る。本実施の形態では5000rpmで8秒間回転を行った。接着層用紫外線硬化樹脂307としては、第k記録多層膜と転写層303に対して接着強度の高い、600mPa・sのアクリル系紫外線硬化樹脂を用いた。
【0109】
次に図3(d)に示すように、紫外線ランプ302により紫外線を照射して接着層用紫外線硬化樹脂307を硬化する。紫外線ランプ302としては、上記図3(b)同様メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ等を用いることができる。第(k−1)スタンパ300はポリカーボネート等の透明性を有しているため、幾分か紫外線を透過し、接着層用紫外線硬化樹脂307を硬化することができる。硬化後、接着層308の厚みの平均は22ミクロンであり、硬化により一体化された転写層303と接着層308が第(k−1)分離層310となる。
【0110】
第(k−1)分離層310の厚みは図4(a)に示すようなものであった。図4(a)では、第(k−1)分離層の半径方向の厚みむらは27〜31ミクロンで4ミクロンと均一となった。一方、図4(b)は第(k−1)スタンパは従来の方法で作製した第(k−1)分離層の半径方向の厚みむらである。内周半径になるにつれ厚くなる傾向があり、23〜37ミクロンの範囲で14ミクロンとむらは大きい。なお、本実施の形態では、図4(a)に示すように、第(k−1)分離層の半径方向の厚みむらは4ミクロンで均一になっていたが、6ミクロン以下であれば、高密度光情報記録媒体の性能を維持することが出来る。
【0111】
図5は、従来方法のように、射出成形法で第(k−1)スタンパを平坦な形状に作製した場合の第(k−1)分離層の作製の様子を示す図である。第(k−1)スタンパ500の形状が平坦である以外、図3に示した工程とほぼ同じである。図5(a)及び(b)は転写層503の形成工程、図5(c)及び(d)は接着層508を形成し第(k−1)分離層510を完成する工程を示す。第(k−1)スタンパ500の形状が平坦であるためテーブル505は平坦にするのが自然である。また、図5(c)に示すように第(k−1)スタンパ500が平坦であるため、第(k−1)スタンパ500の案内溝及びピットのある面と第k信号基板306の第k信号記録層の距離は内周半径になるにつれ離れる。そのため、図5(d)に示すように、接着層508の厚みは内周半径になるにつれ厚くなり、結果、接着層508と転写層503からなる第(k−1)分離層510の厚みも内周半径になるにつれ厚くなる。
【0112】
図3に第(k−1)分離層を形成する工程を説明したが、代わりに以下(A)〜(C)に記す工程も有効である。
【0113】
(A)図3(a)の工程により第(k−1)スタンパの上に転写層用紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線により硬化しない。一方、図3(a)と同様の方法により第k信号基板の上に接着層用紫外線硬化樹脂を塗布する。第(k−1)スタンパと第k信号基板を減圧したチャンバ内で重ねた後、図3(d)に示すように紫外線にて、転写層用紫外線硬化樹脂と接着層用紫外線硬化樹脂を硬化する。
【0114】
(B)図3(a)の工程により第(k−1)スタンパの上に転写層用紫外線硬化樹脂の塗布し、図3(b)のように紫外線により硬化する。一方、図3(a)と同様の方法により第k信号基板の上に接着層用紫外線硬化樹脂を塗布する。第(k−1)スタンパと第k信号基板を減圧したチャンバ内で重ねた後、図3(d)に示すように紫外線にて、接着層用紫外線硬化樹脂を硬化する。
【0115】
(C)図3(a)の工程により第(k−1)スタンパの上に転写層用紫外線硬化樹脂の塗布し、紫外線により硬化しない。一方、図3(a)と同様の方法により第k信号基板の上に接着層用紫外線硬化樹脂を塗布して、紫外線により硬化する。第(k−1)スタンパと第k信号基板を減圧したチャンバ内で重ねた後、図3(d)に示すように紫外線にて、転写層用紫外線硬化樹脂を硬化する。
【0116】
また、図3(c)では、第k信号基板306をテーブル309に真空吸引にて固定して第k信号記録層上に接着剤となる接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下し、その上から第(k−1)スタンパ300の転写層303と接着層用紫外線硬化樹脂307が接するように置き、その後、テーブル309を回転して、余分な接着層用紫外線硬化樹脂を振り切るとして説明したが、これに限らない。
第(k−1)スタンパ300上に転写層用紫外線硬化樹脂301の層を形成した後、接着層用紫外線硬化樹脂307を転写層用紫外線硬化樹脂301の層が形成された第(k−1)スタンパ300の上に塗布し、その後、第(k−1)スタンパ300と第k信号基板306とを貼り合わせても構わない。また、第k信号基板306上に接着層用紫外線硬化樹脂307を塗布した後、第k信号基板306の接着層用紫外線硬化樹脂307の上に転写層用紫外線硬化樹脂301を塗布し、その後、第(k−1)スタンパ300と第k信号基板306とを貼り合わせても構わない。
【0117】
図6に剥離工程を示す。図3で図示された工程で接着された第(k−1)スタンパ300と第k信号基板306とを剥離用テーブル600の上に固定する。固定の手段は図6(a)の真空吸引が挙げられるが、その他の手段として、例えば第k信号基板306の外周端面を保持する機械であっても良い。次に図6(b)のように、第(k−1)スタンパ300と第k信号基板306の中心穴にツメ610を挿入し、第(k−1)分離層310の一部である転写層303と第(k−1)スタンパ300との界面にツメ610を挿入する。ツメ610の先端は鋭くなっているので、容易に楔として転写層303と第(k−1)スタンパ300との界面に挿入することができる。
【0118】
図6(c)のようにツメ610を外周に向けて開きながら、加圧されたエア615を剥離用テーブル600の中心部より導入してエア615を転写層303と第(k−1)スタンパ300との間に導く。この時、ハンドリング手段612で第(k−1)スタンパ300を引っ張りあげる。ハンドリング手段612で引っ張りあげることにより剥離が容易になる。最後は図6(d)のように第(k−1)スタンパ300は剥離される。
【0119】
第(k−1)分離層の上に転写された第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットの上に第(k−1)記録多層膜を成膜する。第(k−1)記録多層膜はその材料によって成膜方法は異なるが、GeSbTeやAgInSbTe等の相変化膜、磁性体膜といった記録膜とそれらを挟むZnS等の誘電体膜、金属反射膜等はスパッタリングや蒸着によって成膜される。また、色素膜の場合はスピンコーティングが用いられる。第(k−1)記録多層膜を成膜してようやく第(k−1)信号記録層は完成される。第(k−1)信号記録層の上に図2、図3、図6に示す工程と記録多層膜の成膜を繰り返すことでn層の信号記録層を有する第1信号基板が作製される。
【0120】
上記の成膜方法の他に図11に示す方法も用いることができる。第(k−1)分離層の上に転写された第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットの上に第(k−1)記録多層膜を成膜することが困難な場合に有効である。図11(a)に示すように予めターゲット1100を用いて、第(k−1)スタンパ300上に第(k−1)記録多層膜1101をスパッタリング法により成膜する。ここではターゲットは1つだけ図示しているが、実際は第(k−1)記録多層膜1101は複数の材料の膜からなるのでターゲットは複数必要となる。次に、図3の工程で転写層303及び接着層308からなる第(k−1)分離層310を形成する。
【0121】
そして図11(b)に示すように、剥離用テーブル600において固定して、図11(c)に示すように、ハンドリング手段612を用いて、第(k−1)スタンパ300を剥離する。剥離するまでの手順は図6同様であるので、ここでは省略する。この時、第(k−1)スタンパ300は第(k−1)記録多層膜1101から剥離して、第(k−1)記録多層膜1101は第(k−1)分離層310上に移動する。転写層303の上には案内溝及びピットが形成される同時に第(k−1)記録多層膜1101も形成されることになる。この工程を用いると、第k信号基板上への第(k−1)分離層の形成と同時に第(k−1)記録多層膜形成も可能であり、タクトタイム短縮が期待できる。
【0122】
図7に第1信号記録層の上に透明カバー層を作製する工程の例を示す。ここでは、透明カバー層の厚みは100ミクロンの場合を示す。図7(a)は90ミクロンの厚みのフィルム700を10ミクロンの厚みの接着層730を用いてテーブル720上でスピンコーティングで接着してカバー層を形成するものである。フィルム700の材料としてはポリカーボネート、オレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。接着層730としては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂のような放射線硬化材料を用いることができる。
【0123】
接着手順としては、図7(a)のように第1信号基板710とフィルム700の間に接着用材料を配置してスピンで振り切る方法や、フィルム700を下にして上から第1信号基板710を重ねてスピンする方法、或いは第1信号基板710とフィルム700の少なくとも一方に予め接着用材料を全面に塗布して真空中で貼る方法等がある。何れの方法でも第1信号基板710とフィルム700を接着用材料を介して重ねた後は硬化が必要となる。
【0124】
図7(b)は感圧性接着剤740を用いてフィルム700を接着してカバー層を形成する方法を示す。この場合、感圧性接着剤740の厚みは20〜30ミクロン、フィルム700は100ミクロンから感圧性接着剤740の厚みを差し引いた厚みのものを用いる。接着方法は、例えば、図7(b)に示す減圧したチャンバ745内でフィルム700と感圧性接着剤740を重ねる方法である。重ねた後で高圧の圧縮空気でフィルム面を押し接着を確実にする。この方法の他に、大気中あるいは減圧下でローラで貼る方法でも構わない。
【0125】
図7(c)はカバー材料750をフィルムを用いずスピンコートで塗布するものである。カバー材料750の供給条件とスピンの回転条件を最適化することで均一な100ミクロンの透明カバー層を形成できる。以上のような図7に示す方法により透明カバー層を形成し、多層光情報記録媒体が完成する。
【0126】
上記実施の形態1では、厚み1.1mmのプラスチック製の第(k−1)スタンパを用いたが、プラスチック製であれば、厚みが0.5mm以上であれば良い。厚みが0.5mm以上であれば、剛性もあるため射出成形法においても成形条件により形状を制御し易く、また扱い易いため生産性向上に適している。
【0127】
また、実施の形態1では、第(k−1)分離層が2つの材料からなる場合について説明したが、3つ以上の複数の材料からなっていても構わない。また、紫外線硬化樹脂を用いて説明したが、その他熱硬化性材料をはじめとする放射線硬化性材料を用いても良い。
【0128】
(実施の形態2)
本発明の多層光情報記録媒体の製造方法の実施の形態2を説明する。図8は実施の形態1とは逆の反り、つまり第k信号基板が第k信号記録層とは反対側の面を包むように反ったものである場合を示す。図1同様、図8の第k信号基板と第(k−1)スタンパは共に円盤型をなし中心に中心穴を有する。
【0129】
まず、図8(1)に示すように、第k信号基板803には第k分離層810の表面に第k信号記録層800がある他、順に第(k+1)信号記録層801、さらに第n信号記録層802まで計(n−k−1)個の信号記録層がある。ここで、実施の形態1同様、信号記録層とは、多層光情報記録媒体に記録及び再生する際に記録光及び再生光をガイドするための案内溝やアドレス情報を示すピットと、GeSbTeやAgInSbTe等の相変化膜、磁性体膜、色素膜に代表される記録膜とそれらを挟むZnS等の誘電体膜からなる記録多層膜あるいは反射膜からなる。
【0130】
一方、表面に第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805をもつ第(k−1)スタンパ806も準備する。第(k−1)スタンパ806は、後述する実施の形態5の図14に示される反り測定手段1401のように現在のまたは過去に製造された一つまたは複数のk信号基板803の面形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ806の第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット805を有する面をk信号基板803の面形状に対応するような形状にして形成されたものである。すなわち、第(k−1)スタンパ806は、k信号基板803の形状に沿うように形成されたものである。
【0131】
従って、第(k−1)スタンパ806と第k信号基板803は図示のように互いが沿った形、第(k−1)スタンパ806は第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805を包むように反っている。つまり、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805と第k信号記録層800の互いが沿った状態になっていて、その距離が半径方向及び面内で均一になっている。すなわち、第k信号基板803の第k信号記録層800と、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピット805を有する面とを実質上同じ曲率半径を有する形状にする。
【0132】
次に、図8(2)に示すように、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805と第k信号記録層800の間に第(k−1)分離層807を形成する。この時、第(k−1)分離層807の第(k−1)スタンパ側が第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805の中まで入り込むように形成される必要がある。図8(1)において、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805と第k信号記録層800の距離が半径方向及び面内で均一になっているため、第(k−1)分離層の厚みは均一になる。第(k−1)分離層807の構成としては、1つの材料であることに限らず、異なる材料からなる複数の層から構成されていても良い。例えば、第(k−1)分離層807のうち第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805に接する層を転写層とした時、転写層として硬化性を有する液体材料を用いると第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット805の中まで入り込み易く、転写が向上できる。この場合、転写層を硬化させて第(k−1)分離層807が完成となる。
【0133】
次に図8(3)に示すように、第(k−1)分離層807上の転写された第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット808と第(k−1)スタンパ806の界面より剥離を行う。
【0134】
以上のように、第k信号基板の反りが実施の形態1と異なっていても、第(k−1)スタンパに逆の反りを持たせることで、第k信号基板と第(k−1)スタンパの距離を半径方向に沿って均一にでき、第(k−1)分離層の厚みも均一にできる。例えば、第(k−1)スタンパが実施の形態1同様のプラスチックであれば、図2のような射出成形法で第(k−1)スタンパを作製できる。図2の金型鏡面Aの温度を金型鏡面Bより高く設定することで、成形金型200から取り出した後第(k−1)スタンパ204は案内溝及びピットが形成された面205を包む形となる。
【0135】
次に図8(2)で示した第(k−1)分離層の形成方法の具体例について説明する。図9は厚み30ミクロンの第(k−1)分離層を感圧性接着剤と転写層を用いて形成する一例を示す。図9は第(k−1)分離層の一部として感圧性接着剤を用いる方法である。感圧性接着剤は半固体状のフィルム状をなしているため厚み精度に優れている。その一方、粘度が非常に高いため、第(k−1)スタンパの案内溝及びピットを転写することは困難である。この形成方法では粘度の低い転写層を別に用いる。
【0136】
まず、図9(a)に示すように、第k信号基板900と厚み25ミクロンの感圧性接着剤901をチャンバ905内に入れ、チャンバ905内を真空引きする。例えば、真空度としては1〜100hPaの範囲が適している。その後、感圧性接着剤901を第k信号基板900の第k信号記録層の面に重ね合わせる。この時、感圧性接着剤901の中心部より徐々に外側へ重ねるのが良い。こうすれば、感圧性接着剤901を重ねたことによる第k信号基板900内の応力の増大を少なくできる。また、感圧性接着剤901は直径D1の中心穴を有する。D1は第k信号基板の中心穴の直径D0より大きい。重ねた後、第k信号基板と感圧性接着剤は大気中に取り出され、高圧の圧縮空気で感圧性接着剤を押し接着を確実にしても良い。
【0137】
図9(a)に並行して、第(k−1)スタンパ902は図9(b)に示すようにテーブル904上に固定され、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットのある面に転写層用紫外線硬化樹脂903がコートされる。ここでは、スピンコートによる塗布を一例として示す。転写層用紫外線硬化樹脂903としては、実施の形態1同様紫外線照射によりラジカル反応を起こすアクリル系樹脂が好ましい。プラスチック製(例えば、ポリカーボネート、オレフィン樹脂等)の第(k−1)スタンパ902と剥離のし易い、粘度200MPa・sのアクリル系紫外線硬化樹脂を用いる。粘度が1〜1000MPa・sのものであれば、スタンパ上の案内溝およびピットの凹凸に十分入り込むことができる。また、スピンの回転は4000rpmで5秒間とし、厚み約8ミクロンの転写層を得た。また、コートされた転写層用紫外線硬化樹脂903の内径は第(k−1)スタンパ902の中心穴の直径D0より小さいD2である。
【0138】
次に、図9(c)に示すように、転写層用紫外線硬化樹脂903をコートされた第(k−1)スタンパ902と、感圧性接着剤901が第k信号基板900とを、チャンバ908内で重ねる。この時、チャンバ908内の真空度は1〜100hPaとする。D2<D1であるため、感圧性接着剤901と第(k−1)スタンパ902とは接触することはない。これは、第(k−1)分離層形成後、第(k−1)スタンパ902を剥離する工程において、感圧性接着剤901が第(k−1)スタンパ902に直接接触して第(k−1)スタンパ902を剥離できなくなることを防ぐためである。
【0139】
転写層用紫外線硬化樹脂903は粘度が低いため、重ねた時広がることになり、転写層用紫外線硬化樹脂903と感圧性接着剤901との合計の厚みの平均値は30ミクロンとなった。重ねた後、第k信号基板と第(k−1)スタンパを大気中に取り出し、高圧の圧縮空気により、第k信号基板と第(k−1)スタンパを押し重ねた時の気泡をつぶしたり、接着を確実にしても良い。
【0140】
最後に図9(d)に示すように、未硬化である転写層用紫外線硬化樹脂903へ紫外線ランプ910による紫外線により硬化する。硬化により感圧性接着剤901と転写層用紫外線硬化樹脂903からなる第(k−1)分離層909ができる。紫外線は第(k−1)スタンパ902が透明であれば、幾らかは透過するため十分に転写層用紫外線硬化樹脂903を硬化することができる。紫外線ランプとしてはメタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ等が用いることができる。
【0141】
以上図9に示す工程で重要なことは、感圧性接着剤と転写性紫外線硬化樹脂の材料選定である。感圧性接着剤は、第k信号記録層と硬化後の転写性紫外線硬化樹脂とに接着強度をもつものである必要がある。一方、転写性紫外線硬化樹脂は、硬化後第(k−1)スタンパと剥離し易いものであることが重要であるのは言うまでもない。このような図9に示す工程の後、実施の形態1同様図6に示す剥離工程を行うことができる。
【0142】
なお、図9では転写層用紫外線硬化樹脂903を第(k−1)スタンパ902上に塗布したが、第k信号基板900の上に重ね合わされた感圧性接着剤901の上に転写層用紫外線硬化樹脂903を塗布しても良い。また、図9では、第k信号基板900上に感圧性接着剤901を重ね合わせたが、これに限らず、転写層用紫外線硬化樹脂903を第(k−1)スタンパ902上に塗布した後、転写層用紫外線硬化樹脂903が塗布された第(k−1)スタンパ902上に感圧性接着剤901を重ね合わせ、その後第k信号基板900と第(k−1)スタンパ902とを張り合わてもよい。また、図3(c)の工程を用いて、接着層用紫外線硬化樹脂307の代わりに転写性紫外線硬化樹脂903を用い、第(k−1)スタンパ902と感圧性接着剤901の付加された第k信号基板900を共に回転することで貼り合わせても良い。また、感圧性接着剤901が硬化後の転写層用紫外線硬化樹脂903との接着強度が不足する場合は、感圧性接着剤901の上にさらに、硬化後の転写層用紫外線硬化樹脂903と十分な接着強度を得られる別の接着剤を配置しても良い。
【0143】
図10(a)に図8と図9の方法で形成された第(k−1)分離層909の厚みの分布を示す。内周から外周にかけて29.5〜30.5ミクロンの1ミクロンの分布がある。これは、スピンコートによる転写層用紫外線硬化樹脂903の厚みむらによるものである。図4(a)に示す実施の形態1の第(k−1)分離層より均一である。実施の形態2では厚み精度の高い感圧性接着剤を使用するためである。
【0144】
図10(b)は、図5に示したような従来のような平坦な第(k−1)スタンパ500を用いて図9の方法で第(k−1)分離層を形成した場合のものである。第k信号基板と第(k−1)スタンパの距離は内周では近く外周では離れるため、内周から外周にかけて第(k−1)分離層の厚みが厚くなる傾向が見られ、27〜33ミクロンの6ミクロンの分布が発生している。このように、図8と図9は第(k−1)分離層の厚み均一性には有効である。
【0145】
本実施の形態2での第k信号基板への感圧性接着剤の接着方法(図9(a))の他に、大気中あるいは減圧下でローラで貼る方法も可能である。
【0146】
また、実施の形態2においても、感圧性接着剤の代わりに実施の形態1で示した接着層用紫外線硬化樹脂を用いて図3の方法でも厚みの均一な第(k−1)分離層を作製できる。また、逆に、実施の形態1のように第k信号基板が第k信号記録層を包むように反っている場合にも、図9に示す感圧性接着剤を用いる方法を適用できる。
【0147】
上記実施の形態2では、厚み1.1mmのプラスチック製の第(k−1)スタンパを用いたが、プラスチック製であれば、厚みが0.5mm以上であれば良い。厚みが0.5mm以上であれば、剛性もあるため射出成形法においても成形条件により形状を制御し易く、また扱い易いため生産性向上に適している。
【0148】
また、実施の形態2では、第(k−1)分離層が2つの材料からなる場合について説明したが、3つ以上の複数の材料からなっていても構わない。また、紫外線硬化樹脂を用いて説明したが、その他熱硬化性材料をはじめとする放射線硬化性材料を用いても良い。
【0149】
(実施の形態3)
ここでは、図2に示した第(k−1)スタンパの作製方法の代替となる方法について説明する。図12に断熱材料を備える成形金型の模式図である。第(k−1)スタンパを案内溝及びピットのある面とは反対側の面を包むように反らせるためのものである。
【0150】
図12(a)はマスタスタンパ201と金型鏡面Aとの間に断熱板1200を配置した場合である。冷却水路Aと冷却水路Bには、成形金型200のキャビティ203内に導入される溶融したポリカーボネート202を冷却するために、冷却水が流される。断熱板1200を挿入することで、冷却水路Bに流される冷却水の温度に応じて金型鏡面B側は冷却されるが、マスタスタンパ201側は溶融されたポリカーボネート202の温度が冷却されづらくなるため、図2に示した成形金型で成形した第(k−1)スタンパより反ったものができる。冷却水路Aには断熱板1200が熱で破壊されないために必要十分な温度の冷却水を流せば良い。図12(b)は断熱材1203を金型鏡面Aの後ろに組み込んだ成形金型である。この構成でも同様の効果が得られる。
【0151】
また、図12の以外にも、金型鏡面Bの後ろに断熱材を組み込んでも良い。この場合、金型鏡面Bの表面の温度はマスタスタンパ側より高くなる傾向がある。そのため、成形された第(k−1)スタンパは案内溝及びピットのある面とは反対側の面を包むように反ることになる。
【0152】
さらには、上記のように一対の成形金型の片側金型鏡面にだけではなく、両面の金型鏡面に断熱材を組み込んでも良い。
【0153】
上記実施の形態3では、厚み1.1mmのプラスチック製の第(k−1)スタンパを用いたが、プラスチック製であれば、厚みが0.5mm以上であれば良い。厚みが0.5mm以上であれば、剛性もあるため射出成形法においても成形条件により形状を制御し易く、また扱い易いため生産性向上に適している。
【0154】
(実施の形態4)
実施の形態4では、金属製の第(k−1)スタンパの作製方法について説明する。金属は比較的硬度が高いため、第(k−1)スタンパを第k信号基板から剥離する際に生ずる第(k−1)スタンパの傷や変形を抑制できるため、効果的である。図2、図12でも示したマスタスタンパ201と第(k−1)スタンパは案内溝あるいはピットの凹凸が反転している必要がある。従って、マスタスタンパ201を用いて金属製の第(k−1)スタンパを作製することができる。
【0155】
一般的にマスタスタンパは、マスタスタンパ上の案内溝やピットとは凹凸が反転した形状を有するガラスマスタ原盤を用いて作られる。ガラスマスタ原盤には、ガラスの表面にフォトレジストで形成された案内溝やピットといった凹凸が形成されている。まずガラス板の表面にフォトレジストを均一に塗布し、フォトレジスト上を紫外〜遠紫外の波長域の集光されたレーザ、さらには電子線を用いて案内溝やピットの形状に露光する。露光されたフォトレジスト部分は現像工程により取り除かれ、ガラスマスタ原盤には案内溝やピットといった凹凸が形成される。
【0156】
次に、ガラスマスタ原盤の案内溝やピットの面にニッケル薄膜を蒸着やスパッタリングで形成し、ニッケル薄膜を電極として電鋳によりニッケルを堆積させる。一般的には0.3mmの厚さになるまでニッケルを堆積させガラスマスタ原盤の表面にニッケル板をつくる。ニッケル板をガラスマスタ原盤から剥離すれば、ニッケル板上にはガラスマスタ原盤上の凹凸(案内溝とピット)と反転した凹凸(案内溝とピット)をもつマスタスタンパとなる。
【0157】
ニッケル製マスタスタンパからニッケル製第(k−1)スタンパを作製する方法を以下に示す。
【0158】
(1)マスタスタンパの凹凸(案内溝・ピット)面の表面酸化処理
水酸化ナトリウム水溶液の中へマスタスタンパを浸漬しアノードとして、60秒間電流20アンペア流す。これにより、マスタスタンパの凹凸面は酸化処理され酸化膜が形成される。
【0159】
(2)マスタスタンパの凹凸面上に電鋳によりニッケル製第(k−1)スタンパを形成
マスタスタンパ全体を電鋳浴に浸し、負電極として電鋳を行う。サルファミン酸ニッケル濃度550グラム/リットル、ホウ酸濃度31グラム/リットルの電鋳浴を用いる。電鋳浴のpH値や温度、また電鋳時の電流密度は必要に応じて調整する。電鋳により厚み0.3mmになるまでニッケルをマスタスタンパ上に形成して、0.3mmのニッケル製の第(k−1)スタンパを得る。
【0160】
(3)ニッケル製の第(k−1)スタンパの剥離及び打ち抜き加工
マスタスタンパからニッケル製の第(k−1)スタンパを剥離し、必要な外径と内径に打ち抜く。
【0161】
以上、第(k−1)スタンパの作製方法を簡単に示したが、金属製第(k−1)スタンパの反りを第k信号基板の形状に沿うように制御するには、上記(2)の電鋳浴のpH値や温度、また電鋳時の電流密度を制御すれば良い。図13は電鋳時の電流密度と電鋳浴の温度、pH値を変えて第(k−1)スタンパを作製した時の各パラメータに対する第(k−1)スタンパの反りの変化を示している。ここで、反りの方向が+とは第(k−1)スタンパの凹凸面とは反対側の面に反っていることを意味し、逆に反りの方向が−とは第(k−1)スタンパの凹凸面に反っていることを意味する。反りの大きさは、第(k−1)スタンパの半径方向と第(k−1)スタンパの接線とがなす角度で示す。
【0162】
図13(a)に示すように、電流密度では20アンペア/dm^2を境に+反りと−反りが変わっている。図13(b)では電鋳浴の温度が45℃より低い温度では+反りに、高い温度では−反りになる。図13(c)の電鋳浴のpHではpH4.5で最小値、つまり第(k−1)スタンパがフラットになり、それから離れるに従い+側の反りを有することになる。以上のように、第(k−1)スタンパを電鋳により作製する場合、電鋳時の電流密度、電鋳浴の温度、pH値の少なくとも一つを制御して電鋳を行えば、第(k−1)スタンパの反りを制御することができる。これらのパラメータにより第k信号基板に沿う形の第(k−1)スタンパの作製が可能である。
【0163】
以上の工程で作製された金属製の第(k−1)スタンパは図3や図9に示した方法で第k信号基板との間に分離層を形成することができる。但し、分離層を形成する際、金属製の第(k−1)スタンパは不透明で紫外線透過性がないため、接着層用紫外線硬化樹脂307や転写層用紫外線硬化樹脂903の代わりに熱硬化性材料等の放射線硬化材料を用いて、遠赤外線等の放射線を硬化に使用することが必要となる。また、接着層用紫外線硬化樹脂307の代わりには、感圧性接着剤も使用可能である。分離層形成後には図6に示す方法で第k信号基板との剥離が可能である。
【0164】
また、実施の形態4では、金属としてニッケルの用いたが、材質としては電鋳が可能なその他の金属でも構わない。
【0165】
(実施の形態5)
実施の形態5として、多層光情報媒体の製造装置を説明する。製造装置は、第k信号基板と第(k−1)スタンパを、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットを有する面を対向させて配置し、第(k−1)スタンパと第k信号基板とが互いに沿うような形状に保持する形状維持手段と、第(k−1)スタンパと第k信号基板との少なくとも一方が前記形状維持手段によって互いに沿うような形状に保持されている状態において、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットの間に第(k−1)分離層を形成する分離層形成手段と、第(k−1)分離層と第(k−1)スタンパの界面より第(k−1)スタンパを剥離する剥離手段を有している。図14、図15に形状維持手段と分離層形成手段の例を示す。
【0166】
なお、本実施の形態の分離層形成手段は本発明の信号記録層形成手段の例である。
【0167】
図14は形状維持手段がアームである場合の例である。図14(a)に示す案内溝及びピット上に転写層503が形成された、フラットな第(k−1)スタンパ500を用いる。転写層は図5(a)、(b)に示す方法で形成される。第k信号基板306は第k信号記録層を包むように反っている。反り測定手段1401は測定光1402を第k信号基板306上の第k信号記録層に入射させて、反射した測定光1402の位置を検知することにより、第k信号基板上の第k信号記録層の傾き角を計算する。
【0168】
形状維持アーム1400は図14(b)に示すように、第(k−1)スタンパ500の、転写層503が形成されている面とは反対側の面を内周側と外周側を保持する。この時、形状維持アーム1400は、反り測定手段1401から得た第k信号記録層の傾き角に応じて、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットが第k信号記録層に沿うように、第(k−1)スタンパ500を反らした状態に保持する。すなわち、反り測定手段1401は、現在のまたは過去に製造された一つまたは複数のk信号基板306の第k信号記録層の面形状を測定し、形状維持アーム1400は、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ500の第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面をk信号基板306の面形状に対応するような形状にして形成する。すなわち、形状維持アーム1400は、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ500をk信号基板306の形状に沿うように形成する。
【0169】
そして、k信号基板306の形状の測定は、例えば、工場が稼働する朝一番に前日に製造されたk信号基板306の形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ500の形状を決めてもよい。また、第k信号基板306が製造される毎に一枚一枚第k信号基板306の形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ500の形状を決めてもよい。また、ロット毎にk信号基板306の形状を測定した実績を用いて、第(k−1)スタンパ500の形状を決めてもよい。
【0170】
第(k−1)スタンパ500の形状を変えるために、形状維持アーム1400のスタンパを保持する部材にはエアシリンダやステッピングモータ、アクチュエータ等の駆動手段をもっている。また、保持方法としては真空吸引、外周側であれば爪のような機械的な保持方法もある。
【0171】
次に、図14(c)に示すように、第(k−1)スタンパ500の形状が維持された状態で第k信号基板306との間に第(k−1)分離層の一部となる接着層用紫外線硬化樹脂307を塗布する。ノズル1403を第(k−1)スタンパ500と第k信号基板306の間に挿入して、第k信号基板306の内周部に接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下する。この時、第k信号基板306はテーブル309上で保持され、テーブル309を回転することで接着層用紫外線硬化樹脂307はリング状に滴下される。第(k−1)スタンパ500は形状維持アーム1400で保持されているため、第k信号基板306との間隔は半径方向に均一にすることができる。
【0172】
次に、第(k−1)スタンパ500を形状維持アーム1400で形状維持しながら、第k信号基板306を保持したテーブル309を回転する。この時、形状維持アーム1400も第(k−1)スタンパ500を保持しながらテーブル309に同期して回転する。この回転により、接着層用紫外線硬化樹脂307は半径方向に広がり、第(k−1)スタンパ500と第k信号基板306の間に均一な接着層を形成する。形状維持アーム1400で第(k−1)スタンパ500を形状維持したまま、紫外線により接着層を硬化して、図6に示すように剥離を行う。図6のツメ610とハンドリング手段612が剥離手段の一部となる。
【0173】
また、第k信号基板が第k信号記録層のある面とは反対側の面を包むように反っている場合、図14(d)のように形状維持アーム1400は第(k−1)スタンパ500を保持することになる。
【0174】
図15には形状維持手段がテーブル状である場合を示す。図15(a)に示す案内溝及びピット上に転写層503が形成された、フラットな第(k−1)スタンパ500を用いる。転写層は図5(a)、(b)に示す方法で形成される。第k信号基板306は第k信号記録層を包むように反っている。反り測定手段1401は測定光1402を第k信号基板306上の第k信号記録層に入射させて、反射した測定光1402の位置を検知することにより、第k信号基板上の第k信号記録層の傾き角を計算する。
【0175】
形状維持テーブル1500は図15(b)に示すように、第(k−1)スタンパ500の、転写層503が形成されている面を保持する。この時、形状維持テーブル1500は、反り測定手段1401から得た第k信号記録層の傾き角に応じて、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットが第k信号記録層に沿うように、第(k−1)スタンパ500を反らした状態に保持する。つまり、第k信号記録層の傾き角に応じて、図15(b)に示したような第(k−1)スタンパ500を案内溝及びピットのある面とは反対側の面を包むような形状にする凸状の形状維持テーブル1500と、図15(d)に示すような第(k−1)スタンパ500を案内溝及びピットのある面を包むような形状にする凹形状維持テーブル1501との、何れかを選択し、第(k−1)スタンパ500を保持する。また、保持方法としては真空吸引、外周側であれば爪のような機械的な保持方法もある。
【0176】
次に、図15(c)に示すように、第(k−1)スタンパ500の形状が維持された状態で第k信号基板306との間に第(k−1)分離層の一部となる接着層用紫外線硬化樹脂307を塗布する。ノズル1403を第(k−1)スタンパ500と第k信号基板306の間に挿入して、第k信号基板306の内周部に接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下する。この時、第k信号基板306はテーブル309上で保持され、テーブル309を回転することではリング状に滴下される。第(k−1)スタンパ500は形状維持テーブル1500で保持されているため、第k信号基板306との間隔は半径方向に均一にすることができる。
【0177】
次に、第(k−1)スタンパ500を形状維持テーブル1500で形状維持しながら回転する。この回転により、接着層用紫外線硬化樹脂307は半径方向に広がり、第(k−1)スタンパ500と第k信号基板306の間に均一な接着層を形成する。その後、形状維持テーブル1500で第(k−1)スタンパを形状維持したまま、紫外線により接着層を硬化して、図6に示すように剥離を行う。図6のツメ610とハンドリング手段612が剥離手段の一部となる。
【0178】
なお、図15(c)には第k信号基板306と第(k−1)スタンパ500の間にノズル1403を挿入して接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下する方法を示したが、第(k−1)スタンパ上へ直接ノズルで接着層用紫外線硬化樹脂307を滴下して、そのあと第k信号基板を上から落としても良い。これら2種類の滴下方法は、図3(c)の工程でも用いることができる。
【0179】
実施の形態5では、転写層と紫外線硬化樹脂を用いた接着層の2種類から材料から第(k−1)分離層を形成する方法を挙げたが、第k信号基板上に転写層以外の第(k−1)分離層がある場合でも実施の形態5を適用できる。例えば、第k信号基板上に感圧性接着剤があり、感圧性接着剤の上に転写層となる材料を滴下するという方法においても、本実施の形態を適用できる。
【0180】
また、実施の形態5では、複数の信号記録層を有する第k信号基板の形状(反り)に応じて、第(k−1)スタンパの形状を形状維持手段で変える方法を示したが、第k信号基板の形状を変えても良い。一般的には、形状を変えることにより、複数の信号記録層が歪むことになるので、第(k−1)スタンパの形状を変えるほうが好ましいと考えられる。
【0181】
上記実施の形態5では、厚み1.1mmのプラスチック製の第(k−1)スタンパを用いたが、プラスチック製であれば、厚みが0.5mm以上であれば良い。厚みが0.5mm以上であれば、剛性もあるため射出成形法においても成形条件により形状を制御し易く、また扱い易いため生産性向上に適している。また、プラスチック製の第(k−1)スタンパでなくとも、実施の形態4に示した金属製のものでも構わない。
【0182】
また、実施の形態5では、第(k−1)分離層が2つの材料からなる場合について説明したが、3つ以上の複数の材料からなっていても構わない。また、紫外線硬化樹脂を用いて説明したが、その他熱硬化性材料をはじめとする放射線硬化性材料を用いても良い。
【0183】
【発明の効果】
以上のように、本発明の多層光情報記録媒体の製造方法は、第k信号基板の第k信号記録層と、第(k−1)スタンパの案内溝あるいはピット、案内溝及びピットを有する面とが互いに沿うような状態にして第(k−1)分離層を形成するため、第k信号基板の第k信号記録層と、第(k−1)スタンパの案内溝あるいはピット、案内溝及びピットを有する面との間隔が一定にすることが可能であり、形成される第(k−1)分離層の厚みを均一することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
(1)本発明の実施の形態1における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第k信号基板と第(k−1)スタンパを準備する工程を示す模式図
(2)本発明の実施の形態1における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第(k−1)信号記録層と第k信号記録層との間に分離層を形成する工程を示す図
(3)本発明の実施の形態1における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第(k−1)分離層上の転写された第(k−1)信号記録層と第(k−1)スタンパとの界面より剥離を行う工程を示す図
【図2】
(a)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの作成方法のうち、成形金型に溶融したポリカーボネートを射出充填する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの作成方法のうち、第(k−1)スタンパを成形金型から取り出す工程を示す図
【図3】
(a)本発明の実施の形態1における第(k−1)分離層の形成方法の一例のうち、第(k−1)スタンパ上に転写層用紫外線硬化樹脂を形成する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態1における第(k−1)分離層の形成方法の一例のうち、紫外線を照射することにより転写層用紫外線硬化樹脂を硬化する工程を示す図
(c)本発明の実施の形態1における第(k−1)分離層の形成方法の一例のうち、転写層が形成された第(k−1)スタンパと第k信号基板とを貼り合わせる工程を示す図
(d)本発明の実施の形態1における第(k−1)分離層形成方法の一例のうち、紫外線を照射することにより接着用紫外線硬化樹脂を硬化する構成を示す図
【図4】
本発明の多層光情報記録媒体の製造方法により形成した分離層の厚み分布の一例を示す図
(a)本発明の実施の形態1における多層光情報記録媒体の製造方法により形成した分離層の厚み分布の一例を示す図
(b)従来の方法で形成した分離層の厚み分布の一例を示す図
【図5】
(a)従来の多層光情報記録媒体の製造方法の一例のうち、転写層の形成工程を示す図
(b)従来の多層光情報記録媒体の製造方法の一例のうち、転写層を硬化する工程を示す図
(c)従来の多層光情報記録媒体の製造方法の一例のうち、接着層を形成する工程を示す図
(d)従来の多層光情報記録媒体の製造方法の一例のうち、第(k−1)分離層を完成する工程を示す図
【図6】
(a)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの剥離方法の一例のうち、真空吸引する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの剥離方法の一例のうち、転写層と第(k−1)スタンパの界面にツメを挿入する工程を示す図
(c)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの剥離方法の一例のうち、ハンドリング手段で第(k−1)スタンパを引っ張りあげる工程を示す図
(d)本発明の実施の形態1における第(k−1)スタンパの剥離方法の一例のうち、第(k−1)スタンパが剥離された工程を示す図
【図7】
(a)本発明の実施の形態1における透明カバー層の形成方法であって、第1信号基板とフィルムとの間に接着用材料を配置してスピンで振り切る方法を示す図
(b)本発明の実施の形態1における透明カバー層の形成方法であって、感圧接着剤を用いてフィルムを接着してカバー層を形成する方法を示す図
(c)本発明の実施の形態1における透明カバー層の形成方法であって、カバー材料をフィルムを用いずスピンコートで塗布する方法を示す図
【図8】
(1)本発明の実施の形態2における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第k信号基板と第(k−1)スタンパを準備する工程を示す模式図
(2)本発明の実施の形態2における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第(k−1)信号記録層と第k信号記録層との間に分離層を形成する工程を示す図
(3)本発明の実施の形態2における多層光情報記録媒体の製造方法のうち、第(k−1)分離層上の転写された第(k−1)信号記録層と第(k−1)スタンパとの界面より剥離を行う工程を示す図
【図9】
(a)本発明の実施の形態2における分離層の形成方法のうち、第k信号基板と感圧性接着剤をチャンバ内に入れ、チャンバ内を真空引きする工程を示す図
(b)本発明の実施の形態2における分離層の形成方法のうち、第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットのある面に転写層用紫外線硬化樹脂をコートする工程を示す図
(c)本発明の実施の形態2における分離層の形成方法のうち、第(k−1)スタンパと第k信号基板とを重ねる工程を示す図
(d)本発明の実施の形態2における分離層の形成方法のうち、紫外線を照射して未硬化である転写層用紫外線硬化樹脂を硬化する工程を示す図
【図10】
(a)本発明の実施の形態2における分離層の形成方法により形成した分離層の厚み分布を示す図
(b)従来の分離層の形成方法により形成した分離層の厚み分布を示す図
【図11】
(a)本発明の実施の形態1における記録多層膜形成方法の一例のうち、ターゲットを用いて第(k−1)スタンパ上に第(k−1)記録多層膜をスパッタリング法により成膜する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態1における記録多層膜形成方法の一例のうち、剥離用テーブルに固定する工程を示す図
(c)本発明の実施の形態1における記録多層膜形成方法の一例のうち、ハンドリング手段を用いて第(k−1)スタンパを剥離する工程を示す図
【図12】
(a)本発明の実施の形態3における射出成形法により第(k−1)スタンパを作成する際の一例のうち、マスタスタンパと金型鏡面Aとの間に断熱板を配置した場合を示す図
(b)本発明の実施の形態3における射出成形法により第(k−1)スタンパを作成する際の一例のうち、断熱材を金型鏡面Aの後ろに組み込んだ成形金型を示す図
【図13】
(a)本発明の実施の形態4における金属製第(k−1)スタンパを電鋳条件により形状制御する時の条件のうち、カソード電流密度と第(k−1)スタンパの反りの程度との関係を示す図
(b)本発明の実施の形態4における金属製第(k−1)スタンパを電鋳条件により形状制御する時の条件のうち、電鋳浴の温度と第(k−1)スタンパの反りの程度との関係を示す図
(c)本発明の実施の形態4における金属製第(k−1)スタンパを電鋳条件により形状制御する時の条件のうち、電鋳浴のpHと第(k−1)スタンパの反りの程度との関係を示す図
【図14】
(a)本発明の実施の形態5における第k信号基板の形状を測定する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態5における形状維持手段で第(k−1)スタンパを保持することを示す図
(c)本発明の実施の形態5における第(k−1)スタンパの形状が維持された状態で第k信号基板との間に第(k−1)分離層の一部となる接着層用紫外線硬化樹脂を塗布することを示す図
(d)本発明の実施の形態5における第k信号基板が第k信号記録層のある面とは反対側の面を包むように反っている場合に、形状維持手段が第(k−1)スタンパを保持することを示す図
【図15】
(a)本発明の実施の形態5における形状維持手段と分離層形成手段の第2の例であって、第k信号基板の形状を測定する工程を示す図
(b)本発明の実施の形態5における形状維持手段と分離層形成手段の第2の例であって、第(k−1)スタンパを形状維持する工程を示す図
(c)本発明の実施の形態5における形状維持手段と分離層形成手段の第2の例であって、分離層の一部となる接着層用紫外線硬化樹脂を塗布する工程を示す図
(d)本発明の実施の形態5における形状維持手段と分離層形成手段の第2の例であって、凹形状維持テーブルにより第(k−1)スタンパを保持する工程を示す図
【符号の説明】
103,306,803,900 第k信号基板
100,800 第k信号記録層
101,801 第(k+1)信号記録層
102,802 第n信号記録層
110 第k分離層
105,805 第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット
106,204,300,500,806,902 第(k−1)スタンパ
107,310,510,807,909 第(k−1)分離層
108,808 転写された第(k−1)信号記録層の案内溝及びピット
200 成形金型
201 マスタスタンパ
202 ポリカーボネート
203 キャビティ
205 案内溝及びピットが形成された面
206 反対側の面
305,309,509,720,904 テーブル
301,903 転写層用紫外線硬化樹脂
302,910 紫外線ランプ
303,503 転写層
307 接着層用紫外線硬化樹脂
308,508,730 接着層
600 剥離用テーブル
610 ツメ
615 エア
612 ハンドリング手段
700 フィルム
710 第1信号基板
740,901 感圧性接着剤
745,905 チャンバ
750 カバー材料
1100 ターゲット
1101 第(k−1)記録多層膜
1200 断熱板
1400 形状維持アーム
1401 反り測定手段
1402 測定光
1403 ノズル
1500 形状維持テーブル
1501 凹形状維持テーブル
D1 感圧性接着剤の中心穴の直径
D0 第k信号基板の中心穴と第(k−1)スタンパの中心穴の直径
D2 転写層用紫外線硬化樹脂の内径
【特許請求の範囲】
【請求項1】 n層(nは2以上の整数)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する多層光情報記録媒体の製造方法において、
記録面または再生面から第k番目(kは2以上n以下の整数のいずれか)の信号記録層を第k信号記録層とし、前記第k信号記録層を表面に有する基板を第k信号基板とし、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有するスタンパを第(k−1)スタンパとし、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層との間にある分離層を第(k−1)分離層とする時、
現在のまたは過去に製造された一つまたは複数の前記k信号基板の面形状を測定する測定工程と、
前記第(k−1)スタンパの前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を前記k信号基板の面形状に対応するような形状にして、その第(k−1)スタンパを利用して前記第(k−1)信号記録層を形成する信号記録層形成工程と、
前記第(k−1)分離層と前記第(k−1)スタンパとの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離する剥離工程とを備え、
n層の前記信号記録層のうち少なくとも1層が前記信号記録層形成工程によって作成される多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項2】 前記第k信号基板が前記第k信号記録層を包むように反っている時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とは反対側の面を包むように反らせた形状にする請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項3】 前記第k信号基板が第k信号記録層の反対側の面を包むように反っている時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を包むように反らせた形にする請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項4】 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板の第k信号記録層と、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とを実質上同じ曲率半径を有する形状にする請求項2または3に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項5】 前記第(k−1)分離層は、放射線硬化樹脂である請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項6】 前記放射線硬化樹脂が紫外線硬化樹脂である請求項5に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項7】 前記第(k−1)分離層は、複数の層から構成される請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項8】 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記第(k−1)スタンパと前記第k信号記録層の間に存在する、前記第(k−1)分離層を構成する各層の界面も含めた複数の界面のうち、前記転写層と前記第(k−1)スタンパとの界面が最も剥離し易い界面となる請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項9】 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、少なくとも前記転写層が放射線硬化性材料である請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項10】 前記放射線硬化性材料は、紫外線硬化樹脂である請求項9に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項11】 前記紫外線硬化樹脂の粘度は、1〜1000mPa・sである請求項10に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項12】 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記第(k−1)分離層の、転写層以外の層のうち少なくとも一つの層が感圧性接着剤である請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項13】 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパの案内溝及び/またはピットのある面の上に、前記転写層となる放射線硬化性材料をコートしたうえ硬化し、前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板と貼り合わせる請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項14】 前記転写層がコートされた前記第(k−1)スタンパと、前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板とを貼り合わせる際、前記第(k−1)スタンパにコートされた前記転写層と接する前記第(k−1)分離層の表面が放射線硬化性材料である請求項13に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項15】 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパと、前記転写層とを除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板との間に前記転写層となる放射線硬化性材料を配置した後に、前記放射線硬化性材料を硬化する請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項16】 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板の前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した面と、前記第(k−1)スタンパの案内溝及び/またはピットのある面の少なくとも一方に、前記転写層となる放射線硬化性材料を塗布した後、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパを重ね合わせて前記放射線硬化性材料を硬化する請求項15に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項17】 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパとを、前記第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパの少なくとも一方を保持した上で、前記放射線硬化性材料を硬化する請求項13に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項18】 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパの少なくとも一方を、所望の表面形状を有する支持台上に固定した上で、前記放射線硬化材料を硬化する請求項17に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項19】 前記第(k−1)スタンパはプラスチックである請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項20】 前記プラスチックは透明である請求項19記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項21】 前記第(k−1)スタンパは、ポリカーボネート、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂のいずれかであり、金属製マスタスタンパを用いて射出成形法により作製された請求項20に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項22】 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを作製する際の射出成形法の条件により、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパを、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように制御する請求項21に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項23】 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とは反対側の面を包むように反った形にするために、前記第(k−1)スタンパを射出成形法で作製する際、一対の成形金型の一方に載せた前記金属製マスタスタンパより他方の金型鏡面温度を高くする請求項22に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項24】 前記信号記録層形成工程は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面温度より他方の金型鏡面温度を高くする請求項23に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項25】 一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面とは反対側の金型鏡面の裏面に、断熱材料が設置されている請求項23に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項26】 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を包むように反った形にするために、前記第(k−1)スタンパを射出成形法で作製する際、一対の成形金型の金型鏡面に載せた前記金属製マスタスタンパの温度を他方の金型鏡面温度より高くする請求項22記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項27】 前記信号記録層形成工程は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面温度を他方の金型鏡面温度より高くする請求項26に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項28】 一対の成形金型に載せた、前記金属製マスタスタンパの裏面と前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面の裏面の少なくとも1つに断熱材料が設置されている請求項26に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項29】 前記第(k−1)スタンパは、金属である請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項30】 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが電鋳により作製され、電鋳浴のpH値、温度、電鋳時の電流密度から選ばれる少なくとも1つの電鋳条件により、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパとを、前記第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように制御する請求項29に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項31】 前記剥離工程の工程の後、さらに転写された前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットの上に記録多層膜(以下、第(k−1)記録多層膜と呼ぶ)或いは反射膜を成膜することにより、第(k−1)信号記録層を完成する膜形成工程を備えた請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項32】 前記第(k−1)スタンパ上の第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットの上に第(k−1)記録多層膜あるいは反射膜を成膜しておき、前記剥離工程は、前記第(k−1)記録多層膜と前記第(k−1)スタンパの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離して前記第(k−1)記録多層膜あるいは反射膜を前記第(k−1)分離層上へ移す請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項33】 第1信号記録層の上に透明カバー層を形成する請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項34】 第1信号記録層の上に、透明な基板を透明な接着剤で接着し前記透明カバー層とする請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項35】 前記透明カバー層を透明な放射線硬化性材料で形成する請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項36】 前記透明カバー層の少なくとも一部を感圧性接着剤で形成することを特徴とする請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項37】 第1信号記録層上に形成されている透明カバー層の厚みが0.3mm以下であることを特徴とする請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
【請求項38】 n層(nは2以上の整数)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する多層光情報記録媒体の製造装置において、
記録面または再生面から第k番目(kは2以上n以下の整数のいずれか)の信号記録層を第k信号記録層とし、前記第k信号記録層を表面に有する基板を第k信号基板とし、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有するスタンパを第(k−1)スタンパとし、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層との間にある分離層を第(k−1)分離層とする時、
現在のまたは過去に製造された一つまたは複数の前記k信号基板の面形状を測定する測定手段と、
前記第(k−1)スタンパの前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を前記k信号基板の面形状に対応するような形状にする形状維持手段と、
その第(k−1)スタンパを利用して前記第(k−1)信号記録層を形成する信号記録層形成手段と、
前記第(k−1)分離層と前記第(k−1)スタンパとの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離する剥離手段とを備えた多層光情報記録媒体の製造装置。
【請求項39】 前記第k信号基板が反っている時、前記第k信号基板の反りに応じて、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットと、前記第k信号記録層が沿うように、前記形状維持手段が前記第(k−1)スタンパを保持する機構を有する請求項38記載の多層光情報記録媒体の製造装置。
【請求項40】 前記形状維持手段は、テーブル状であり、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットと前記第k信号記録層とが沿うように、前記第(k−1)スタンパと接する表面形状を有する請求項39記載の多層光情報記録媒体の製造装置。
【請求項41】 前記形状維持手段は、前記第(k−1)スタンパと前記第k信号基板との少なくとも一方の、前記第(k−1)分離層が形成されない面を真空吸引により支持する請求項38記載の多層光情報記録媒体の製造装置。
(2)層目の信号の案内溝あるいはピットの上に書き換え可能な透光性の記録多層膜を成膜する。
また、第38の発明は、n層(nは2以上の整数)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する多層光情報記録媒体の製造装置において、
記録面または再生面から第k番目(kは2以上n以下の整数のいずれか)の信号記録層を第k信号記録層とし、前記第k信号記録層を表面に有する基板を第k信号基板とし、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有するスタンパを第(k−1)スタンパとし、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層との間にある分離層を第(k−1)分離層とする時、
現在のまたは過去に製造された一つまたは複数の前記k信号基板の面形状を測定する測定手段と、
前記第(k−1)スタンパの前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を前記k信号基板の面形状に対応するような形状にする形状維持手段と、
その第(k−1)スタンパを利用して前記第(k−1)信号記録層を形成する信号記録層形成手段と、前記第(k−1)分離層と前記第(k−1)スタンパとの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離する剥離手段とを備えた多層光情報記録媒体の製造装置である。
また、第39の発明は、前記第k信号基板が反っている時、前記第k信号基板の反りに応じて、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットと、前記第k信号記録層が沿うように、前記形状維持手段が前記第(k−1)スタンパを保持する機構を有する第38の本発明の多層光情報記録媒体の製造装置である。
また、第40の発明は、前記形状維持手段は、テーブル状であり、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットと前記第k信号記録層とが沿うように、前記第(k−1)スタンパと接する表面形状を有する第39の本発明の多層光情報記録媒体の製造装置である。
また、第41の発明は、前記形状維持手段は、前記第(k−1)スタンパと前記第k信号基板との少なくとも一方の、前記第(k−1)分離層が形成されない面を真空吸引により支持する第38の本発明の多層光情報記録媒体の製造装置である。
次に、図9(c)に示すように、転写層用紫外線硬化樹脂903をコートされた第(k−1)スタンパ902と、感圧性接着剤901が重ねられた第k信号基板900とを、チャンバ908内で重ねる。この時、チャンバ908内の真空度は1〜100hPaとする。D2<D1であるため、感圧性接着剤901と第(k−1)スタンパ902とは接触することはない。これは、第(k−1)分離層形成後、第(k−1)スタンパ902を剥離する工程において、感圧性接着剤901が第(k−1)スタンパ902に直接接触して第(k−1)スタンパ902を剥離できなくなることを防ぐためである。
以上図9に示す工程で重要なことは、感圧性接着剤と転写層用紫外線硬化樹脂の材料選定である。感圧性接着剤は、第k信号記録層と硬化後の転写層用紫外線硬化樹脂とに接着強度をもつものである必要がある。一方、転写層用紫外線硬化樹脂は、硬化後第(k−1)スタンパと剥離し易いものであることが重要であるのは言うまでもない。このような図9に示す工程の後、実施の形態1同様図6に示す剥離工程を行うことができる。
(実施の形態5)
実施の形態5として、多層光情報記録媒体の製造装置を説明する。製造装置は、第k信号基板と第(k−1)スタンパを、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットを有する面を対向させて配置し、第(k−1)スタンパと第k信号基板とが互いに沿うような形状に保持する形状維持手段と、第(k−1)スタンパと第k信号基板との少なくとも一方が前記形状維持手段によって互いに沿うような形状に保持されている状態において、第k信号記録層と第(k−1)信号記録層の案内溝及びピットの間に第(k−1)分離層を形成する分離層形成手段と、第(k−1)分離層と第(k−1)スタンパの界面より第(k−1)スタンパを剥離する剥離手段を有している。図14、図15に形状維持手段と分離層形成手段の例を示す。
そして、k信号基板306の形状の測定は、例えば、工場が稼働する朝一番に前日に製造されたk信号基板306の形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ500の形状を決めてもよい。また、第k信号基板306が製造される毎に一枚一枚第k信号基板306の形状を測定し、その測定結果に基づいて第(k−1)スタンパ500の形状を決めてもよい。また、ロット毎にk信号基板306の形状を測定した実績を用いて、第(k−1)スタンパ500の形状を決めてもよい。

Claims (37)

  1. n層(nは2以上の整数)の信号記録層を有し、各信号記録層の間に分離層を有する多層光情報記録媒体の製造方法において、
    記録面または再生面から第k番目(kは2以上n以下の整数のいずれか)の信号記録層を第k信号記録層とし、前記第k信号記録層を表面に有する基板を第k信号基板とし、第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有するスタンパを第(k−1)スタンパとし、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層との間にある分離層を第(k−1)分離層とする時、
    現在のまたは過去に製造された一つまたは複数の前記k信号基板の面形状を測定する測定工程と、
    前記第(k−1)スタンパの前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を前記k信号基板の面形状に対応するような形状にして、その第(k−1)スタンパを利用して前記第(k−1)信号記録層を形成する信号記録層形成工程と、
    前記第(k−1)分離層と前記第(k−1)スタンパとの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離する剥離工程とを備え、
    n層の前記信号記録層のうち少なくとも1層が前記信号記録層形成工程によって作成される多層光情報記録媒体の製造方法。
  2. 前記第k信号基板が前記第k信号記録層を包むように反っている時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とは反対側の面を包むように反らせた形状にする請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  3. 前記第k信号基板が第k信号記録層の反対側の面を包むように反っている時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を包むように反らせた形にする請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  4. 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板の第k信号記録層と、前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とを実質上同じ曲率半径を有する形状にする請求項2または3に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  5. 前記第(k−1)分離層は、放射線硬化樹脂である請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  6. 前記放射線硬化樹脂が紫外線硬化樹脂である請求項5に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  7. 前記第(k−1)分離層は、複数の層から構成される請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  8. 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記第(k−1)スタンパと前記第k信号記録層の間に存在する、前記第(k−1)分離層を構成する各層の界面も含めた複数の界面のうち、前記転写層と前記第(k−1)スタンパとの界面が最も剥離し易い界面となる請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  9. 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、少なくとも前記転写層が放射線硬化性材料である請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  10. 前記放射線硬化性材料は、紫外線硬化樹脂である請求項9に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  11. 前記紫外線硬化樹脂の粘度は、1〜1000mPa・sである請求項10に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  12. 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記第(k−1)分離層の、転写層以外の層のうち少なくとも一つの層が感圧性接着剤である請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  13. 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパの案内溝及び/またはピットのある面の上に、前記転写層となる放射線硬化性材料をコートしたうえ硬化し、前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板と貼り合わせる請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  14. 前記転写層がコートされた前記第(k−1)スタンパと、前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板とを貼り合わせる際、前記第(k−1)スタンパにコートされた前記転写層と接する前記第(k−1)分離層の表面が放射線硬化性材料である請求項13に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  15. 前記第(k−1)分離層の複数の層のうち、案内溝及び/またはピットを前記第(k−1)スタンパから転写する層を転写層とする時、前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパと、前記転写層とを除いた前記第(k−1)分離層を形成した前記第k信号基板との間に前記転写層となる放射線硬化性材料を配置した後に、前記放射線硬化性材料を硬化する請求項7に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  16. 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板の前記転写層を除いた前記第(k−1)分離層を形成した面と、前記第(k−1)スタンパの案内溝及び/またはピットのある面の少なくとも一方に、前記転写層となる放射線硬化性材料を塗布した後、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパを重ね合わせて前記放射線硬化性材料を硬化する請求項15に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  17. 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパとを、前記第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパの少なくとも一方を保持した上で、前記放射線硬化性材料を硬化する請求項13に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  18. 前記信号記録層形成工程は、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパの少なくとも一方を、所望の表面形状を有する支持台上に固定した上で、前記放射線硬化材料を硬化する請求項17に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  19. 前記第(k−1)スタンパはプラスチックである請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  20. 前記プラスチックは透明である請求項19記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  21. 前記第(k−1)スタンパは、ポリカーボネート、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂のいずれかであり、金属製マスタスタンパを用いて射出成形法により作製された請求項20に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  22. 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパを作製する際の射出成形法の条件により、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパを、第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように制御する請求項21に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  23. 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面とは反対側の面を包むように反った形にするために、前記第(k−1)スタンパを射出成形法で作製する際、一対の成形金型の一方に載せた前記金属製マスタスタンパより他方の金型鏡面温度を高くする請求項22に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  24. 前記信号記録層形成工程は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面温度より他方の金型鏡面温度を高くする請求項23に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  25. 一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面とは反対側の金型鏡面の裏面に、断熱材料が設置されている請求項23に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  26. 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を包むように反った形にするために、前記第(k−1)スタンパを射出成形法で作製する際、一対の成形金型の金型鏡面に載せた前記金属製マスタスタンパの温度を他方の金型鏡面温度より高くする請求項22記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  27. 前記信号記録層形成工程は、一対の成形金型の前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面温度を他方の金型鏡面温度より高くする請求項26に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  28. 一対の成形金型に載せた、前記金属製マスタスタンパの裏面と前記金属製マスタスタンパを設置した金型鏡面の裏面の少なくとも1つに断熱材料が設置されている請求項26に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  29. 前記第(k−1)スタンパは、金属である請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  30. 前記信号記録層形成工程は、前記第(k−1)スタンパが電鋳により作製され、電鋳浴のpH値、温度、電鋳時の電流密度から選ばれる少なくとも1つの電鋳条件により、前記第k信号基板と前記第(k−1)スタンパとを、前記第k信号記録層と前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットを有する面を対向させて配置した時、前記第(k−1)スタンパが前記第k信号基板に沿うような形になるように制御する請求項29に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  31. 前記剥離工程の工程の後、さらに転写された前記第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットの上に記録多層膜(以下、第(k−1)記録多層膜と呼ぶ)或いは反射膜を成膜することにより、第(k−1)信号記録層を完成する膜形成工程を備えた請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  32. 前記第(k−1)スタンパ上の第(k−1)信号記録層の案内溝及び/またはピットの上に第(k−1)記録多層膜あるいは反射膜を成膜しておき、前記剥離工程は、前記第(k−1)記録多層膜と前記第(k−1)スタンパの界面より前記第(k−1)スタンパを剥離して前記第(k−1)記録多層膜あるいは反射膜を前記第(k−1)分離層上へ移す請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  33. 第1信号記録層の上に透明カバー層を形成する請求項1に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  34. 第1信号記録層の上に、透明な基板を透明な接着剤で接着し前記透明カバー層とする請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  35. 前記透明カバー層を透明な放射線硬化性材料で形成する請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  36. 前記透明カバー層の少なくとも一部を感圧性接着剤で形成することを特徴とする請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
  37. 第1信号記録層上に形成されている透明カバー層の厚みが0.3mm以下であることを特徴とする請求項33に記載の多層光情報記録媒体の製造方法。
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