JP2003022586A - 光情報媒体の製造方法 - Google Patents

光情報媒体の製造方法

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JP2003022586A
JP2003022586A JP2001200206A JP2001200206A JP2003022586A JP 2003022586 A JP2003022586 A JP 2003022586A JP 2001200206 A JP2001200206 A JP 2001200206A JP 2001200206 A JP2001200206 A JP 2001200206A JP 2003022586 A JP2003022586 A JP 2003022586A
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resin
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Jiro Yoshinari
次郎 吉成
Takuya Tsukagoshi
拓哉 塚越
Hideki Hirata
秀樹 平田
Takeshi Komaki
壮 小巻
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂からなる透明中間層を介して複数の情報
記録層が積層され、透明中間層の表面に情報を保持する
凹凸パターンが存在する多層光情報媒体を製造するに際
し、前記透明中間層を均一な厚さに形成すると共に、ス
タンパがもつ、前記凹凸パターンの母型パターンを、透
明中間層に正確に転写する。 【解決手段】 情報記録層上に、樹脂層を形成した後、
活性エネルギー線が透過可能なスタンパを樹脂層表面に
接触させ、次いで、スタンパを通して活性エネルギー線
を樹脂層に照射し、次いでスタンパを剥離することによ
り、凹凸パターンが転写された透明中間層を形成する工
程を有し、少なくとも前記凹凸パターンが形成された表
面がポリオレフィン系樹脂またはフッ素樹脂から構成さ
れたスタンパを用い、情報記録エリア上における透明中
間層の最大厚さと最小厚さとの差が10μm以下となる
ように透明中間層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも2層の
情報記録層を有する多層光情報媒体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスクに対する高密度化およ
び大容量化の要求が著しい。現在、コンパクトディスク
の約7倍に相当する片面約4.7GBの記録容量をもつD
VD(Digital Versatile Disk)が発売されているが、
より多くの情報を記録できる技術の開発が盛んに行われ
ている。
【0003】光ディスクの記録容量を高める技術として
は、記録/再生ビームの短波長化、記録/再生ビーム照
射光学系における対物レンズの高NA(開口数)化、情
報記録層の多層化、多値記録などが挙げられる。これら
のうち情報記録層の多層化による3次元記録は、短波長
化や高NA化に比べ、低コストで飛躍的な高容量化が可
能である。3次元記録がなされる多層光情報媒体は、例
えば特開平9−161329号公報、特開平9−631
22号公報、特開平10−302315号公報に記載さ
れている。
【0004】多層光情報媒体(以下、多層媒体ともい
う)では、上記各公報に示されるように、複数の情報記
録層を、透明樹脂からなる透明中間層を挟んで積層した
構造とすることが一般的である。具体的には、基板上に
第1の情報記録層を形成し、その上に、表面に凹凸パタ
ーンを有する透明中間層を形成し、その上に第2の情報
記録層を形成することにより、前記凹凸パターンを第2
の情報記録層に転写する。前記凹凸パターンとしては、
例えば、データ、トラッキング情報、アドレス情報など
を保持するプリピットやグルーブ(案内溝)が挙げられ
る。この凹凸パターンの形成には、上記各公報に記載さ
れているように、樹脂層をスタンパによって押圧する2
P(Photo Polymerization)法を利用することが一般的
である。
【0005】多層媒体では、フォーカスサーボの安定性
を確保するために、隣り合う情報記録層間の距離の媒体
面内方向でのばらつきが小さいことが要求される。すな
わち、記録層間に設けられる透明中間層は、厚さが均一
であることが要求される。また、透明中間層の厚さむら
が大きいと、スタンパで押圧して凹凸パターンを転写す
る際に、スタンパが透明中間層を均一に押圧できにく
く、その結果、転写欠陥が生じやすい。また、透明中間
層を紫外線硬化型樹脂等の活性エネルギー線硬化型樹脂
から構成する場合において、透明中間層の厚さむらが大
きいと、透明中間層を硬化する際に硬化むらが生じやす
く、これによっても転写欠陥が生じやすくなる。
【0006】また、透明中間層形成時に、スタンパから
透明中間層への凹凸パターン転写が正確であっても、ス
タンパを透明中間層から剥離する際に剥離しにくいと、
すなわち離型性が悪いと、透明中間層の一部がスタンパ
と共に剥離してしまい、欠陥が生じる。したがって、透
明中間層を構成する樹脂に対しスタンパの離型性が良好
であることが要求される。また、透明中間層を例えば紫
外線硬化型樹脂から構成し、かつ、紫外線に対し不透明
な情報記録層上に透明中間層を形成する場合には、硬化
のための紫外線をスタンパを通して透明中間層に照射す
る必要があるため、スタンパは紫外線に対し透明な材質
から構成する必要がある。
【0007】通常のスピンコート法では、回転テーブル
に固定した基板の表面に樹脂を供給し、基板を回転させ
て、遠心力により樹脂を展延する。基板には、光ディス
クドライブに装填する際に利用する中心孔が形成されて
いるため、樹脂を回転中心(基板の中央)に供給するこ
とはできず、回転中心から等距離に環状に供給すること
になる。しかし、樹脂供給位置が回転中心から離れるほ
ど、樹脂層の厚さはディスク内周部に比べディスク外周
部で厚くなってしまう。すなわち、透明中間層の半径方
向での厚さむらが大きくなる。多層情報媒体では情報記
録層の積層数が多くなるにしたがって透明中間層の数も
増えるため、透明中間層の厚さむらが累積されてしま
う。その結果、ディスク外周部において記録/再生ビー
ムが基板に垂直に入射したとしても、情報記録層表面で
反射した記録/再生ビームは基板に垂直とはならず、そ
の結果、光ピックアップへの戻り光量が少なくなってし
まう。そのため、ディスクの内周部と外周部とで再生出
力が異なってしまうことになる。
【0008】前記特開平9−161329号公報では、
基板とスタンパとの間に液体樹脂を挟んだ状態で、基板
およびスタンパを一体的に回転させることにより、基板
とスタンパとの間に液体樹脂を展延させる工程を設ける
ことを提案している。通常のスピンコート法では、ディ
スク状基板表面に樹脂を供給した後、基板を回転させる
ことにより樹脂を展延する。その際に、基板の外周縁付
近において、表面張力により樹脂が盛り上がるため、基
板の外周縁付近で樹脂層が厚くなってしまう。これに対
し同公報記載の方法では、基板とスタンパとの間に挟ん
だ状態で樹脂を展延するため、基板の外周縁付近で樹脂
層が厚くなることを抑制できる。同公報では、スタンパ
構成材料については記載がなく、スタンパの離型性に関
しては注目していない。また、同公報では、基板を通し
て紫外線を照射している。
【0009】前記特開平9−63122号公報の実施例
1では、データを保持する位相ピットからなる第1再生
専用情報面上に、ケイ素とケイ素窒化物との混合物から
なる半透明中間層を形成し、その上に、紫外線硬化樹脂
層を設けている。この紫外線硬化樹脂層の表面は、スタ
ンパからの転写により形成した位相ピットからなる第2
再生専用情報面となっている。この実施例では、プラス
チックからなる透明スタンパを用い、スタンパを通して
紫外線を入射させている。同公報では、隣り合う情報面
間に存在する樹脂層の厚さを均一することについては注
目しておらず、また、スタンパの離型性に関しても注目
していない。
【0010】前記特開平10−302315号公報の実
施例では、透明スタンパ上に光硬化性樹脂を滴下し、そ
の上に基板を載せた後、透明スタンパを回転速度200
0rpmで回転させることにより光硬化性樹脂を展延し、
次いで、透明スタンパを通して紫外線を照射し、樹脂を
硬化している。前記透明スタンパは、厚さ5mmの透明プ
ラスチック円板と、凹凸パターンが形成されたNi製ス
タンパとの間に光硬化性樹脂を充填して紫外線ランプに
より硬化した後、Ni製スタンパを剥離することにより
形成されたものである。この実施例では、透明スタンパ
表面が光硬化性樹脂から構成され、かつ、展延対象の樹
脂が光硬化性樹脂であるため、スタンパの離型性が悪く
なる。また、同公報において、透明スタンパ表面の光硬
化性樹脂および展延対象の光硬化性樹脂は、いずれも紫
外線硬化型樹脂である。紫外線硬化型樹脂は、重合開始
剤が硬化後も残存しているため紫外線を吸収する。した
がって、同公報で用いている透明スタンパは、紫外線に
対する透明性が低く、好ましくない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、樹脂からな
る透明中間層を介して複数の情報記録層が積層され、透
明中間層の表面に情報を保持する凹凸パターンが存在す
る多層光情報媒体を製造するに際し、前記透明中間層を
均一な厚さに形成すると共に、スタンパがもつ、前記凹
凸パターンの母型パターンを、透明中間層に正確に転写
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(11)の本発明により達成される。 (1) 基板上に、それぞれ情報記録エリアを有する複
数の情報記録層が、透明中間層を介して設けられた光情
報媒体を製造する方法であって、少なくとも1層の情報
記録層が形成されている基板の前記情報記録層形成面
に、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する樹脂層を形
成した後、前記活性エネルギー線が透過可能であって、
かつ表面に凹凸パターンを有するスタンパを樹脂層表面
に接触させ、次いで、スタンパを通して前記活性エネル
ギー線を樹脂層に照射し、次いでスタンパを剥離するこ
とにより、前記凹凸パターンが転写された透明中間層を
形成する工程を設け、前記スタンパとして、少なくとも
前記凹凸パターンが形成された表面がポリオレフィン系
樹脂またはフッ素樹脂から構成されたものを用い、情報
記録エリア上における透明中間層の最大厚さと最小厚さ
との差が10μm以下となるように透明中間層を形成す
る光情報媒体の製造方法。 (2) 前記基板が中心孔を有するディスク状であり、
前記基板を回転テーブル上に載置し、円板部と、この円
板部の中央に一体化された支持軸とを有する閉塞手段で
前記中心孔を塞いだ状態とし、活性エネルギー線硬化型
樹脂を含有する塗布液を前記支持軸の外周面に供給した
後、前記基板を前記閉塞手段と共に回転させることによ
り、前記塗布液を前記情報記録層上に展延して前記樹脂
層を形成する工程を設ける上記(1)の光情報媒体の製
造方法。 (3) 前記樹脂層にスタンパを接触させる前に、前記
活性エネルギー線を照射することにより前記樹脂層を不
完全に硬化する工程を設ける上記(1)または(2)の
光情報媒体の製造方法。 (4) 基板を回転させることにより、前記活性エネル
ギー線硬化型樹脂を含有する塗布液を展延して前記樹脂
層を形成した後、基板の回転速度を低下させながら前記
活性エネルギー線を照射することにより、前記樹脂層を
不完全に硬化する上記(3)の光情報媒体の製造方法。 (5) 前記樹脂層形成時に、基板の外周縁からはみ出
した前記塗布液の少なくとも一部を削ぎ取り、その後、
前記活性エネルギー線を照射することにより前記樹脂層
を不完全に硬化する上記(4)の光情報媒体の製造方
法。 (6) 減圧雰囲気中において前記スタンパを前記樹脂
層表面に接触させる上記(1)〜(5)のいずれかの光
情報媒体の製造方法。 (7) 前記情報記録エリア上における平均厚さが5〜
50μmとなるように前記透明中間層を形成する上記
(1)〜(6)のいずれかの光情報媒体の製造方法。 (8) 基板上に、それぞれ情報記録エリアを有する複
数の情報記録層が、透明中間層を介して設けられた光情
報媒体を製造する方法であって、少なくとも1層の情報
記録層が形成されている基板の前記情報記録層形成面
に、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する塗布液を供
給した後、前記活性エネルギー線が透過可能であって、
かつ表面に凹凸パターンを有するスタンパを前記塗布液
に接触させ、次いで、スタンパと共に基板を回転させる
ことにより前記塗布液を展延して樹脂層を形成し、次い
で、スタンパを通して前記活性エネルギー線を樹脂層に
照射することにより、前記凹凸パターンが転写された透
明中間層を形成する工程を設け、前記スタンパとして、
少なくとも前記凹凸パターンが形成された表面がポリオ
レフィン系樹脂またはフッ素樹脂から構成されたものを
用いる光情報媒体の製造方法。 (9) 前記スタンパの厚さが0.3〜1.8mmである
上記(8)の光情報媒体の製造方法。 (10) 減圧雰囲気中において前記スタンパを前記塗
布液に接触させる上記(8)または(9)の光情報媒体
の製造方法。 (11) 前記スタンパを使い捨てにする上記(1)〜
(10)のいずれかの光情報媒体の製造方法。
【0013】
【作用および効果】本発明では、基板上に、表面に凹凸
パターンを有する透明中間層を挟んで複数の情報記録層
を形成することにより、多層媒体を得る。前記凹凸パタ
ーンは、前述したようにプリピットやグルーブであり、
透明中間層の凹凸パターン形成面に、反射層(半透明層
を含む)や記録層などが形成されて、情報記録層とな
る。
【0014】前記透明中間層は、活性エネルギー線硬化
型樹脂を含有する樹脂層を、前記凹凸パターンの母型パ
ターンを有するスタンパで押圧することにより形成され
る。
【0015】本発明で用いるスタンパは、全体がポリオ
レフィン系樹脂またはフッ素樹脂から構成されるか、少
なくとも前記母型パターンが形成されている表面がポリ
オレフィン系樹脂またはフッ素樹脂から構成される。そ
のため、活性エネルギー線硬化型樹脂の硬化物からなる
透明中間層に対する離型性が良好である。
【0016】また、本発明で用いるスタンパは、前記活
性エネルギー線が透過可能である。そのため、スタンパ
を通して活性エネルギー線を照射することが可能であ
る。したがって、基板と透明中間層との間に存在する情
報記録層が活性エネルギー線に対し不透明である場合
に、スタンパを通して活性エネルギー線を照射すること
により樹脂層の硬化が可能である。また、スタンパを通
して活性エネルギー線を照射すれば、樹脂層の硬化がス
タンパと接する領域から始まる。そのため、スタンパの
離型性がさらに良好となる。
【0017】しかも、ポリオレフィン系樹脂およびフッ
素樹脂は、紫外線の吸収率が高いためにその透過率が低
くなる紫外線硬化型樹脂に対してはもちろん、ポリカー
ボネート等の他の樹脂に対しても、紫外線に対する透過
率がより高い。したがって本発明では、スタンパを通し
て十分な強度の紫外線を樹脂層に照射できるので、十分
に硬化された透明中間層が得られる。
【0018】射出成形により大量生産された樹脂製スタ
ンパは、著しく安価であるため、使い捨てすることがで
きる。一方、他の方法や他の材質を用いて製造されたス
タンパは高価であるため、繰り返し使用されるが、使用
するたびに、表面に付着した樹脂を洗浄する必要があ
る。これに対し使い捨てスタンパは使用後に洗浄する必
要がないので、媒体の生産性が著しく向上し、媒体生産
コストを著しく低減できる。
【0019】本発明は、以下に説明する第1の態様およ
び第2の態様を含む。
【0020】第1の態様では、活性エネルギー線硬化型
樹脂からなる樹脂層を形成した後、樹脂層表面にスタン
パを接触させ、次いで、スタンパを通して活性エネルギ
ー線を樹脂層に照射して硬化することにより、透明中間
層を形成する。
【0021】第1の態様では、前記樹脂層をスタンパで
押圧する前に、樹脂層を不完全に硬化させ、次いで、ス
タンパで押圧した状態で樹脂層をほぼ完全に硬化させて
透明中間層を形成することが好ましい。透明中間層形成
に際し不完全硬化工程を設けて2段階硬化を行うことに
より、以下の効果が実現する。
【0022】不完全硬化工程を設けることによる第1の
効果は、媒体の機械特性の向上である。不完全硬化した
樹脂層は、硬化工程において完全に硬化される。すなわ
ち、硬化が2回に分かれる。この場合、1回で完全硬化
させる場合に比べ、樹脂層の収縮量が小さくなる。その
ため、媒体の機械特性が良好となる。
【0023】次に、不完全硬化工程を設けることによる
第2の効果を説明する。不完全硬化工程を設けない場
合、樹脂層は流動性をもつため、樹脂層形成工程とスタ
ンパ押圧工程との間で樹脂層にレベリングが生じ、樹脂
層にその面内で厚さ分布が生じることがある。また、樹
脂層にスタンパを接触させる際に、スタンパの全面を同
時に樹脂層に接触させることは困難である。そのため、
スタンパはまず樹脂層の一部に接触することになる。こ
のとき樹脂層が流動性をもっていると、スタンパが最初
に接触した部分に向かって樹脂が流動するため、樹脂層
にその面内で厚さ分布が生じることがある。したがっ
て、不完全硬化工程を設けないと、均一で所定の厚さを
もつ透明中間層を安定して形成することが難しい。これ
らの問題は、不完全硬化工程を設けることにより解消で
きる。
【0024】次に、不完全硬化工程を設けることによる
第3の効果を説明する。スタンパ押圧工程は、樹脂層と
スタンパとの間に気泡が混入することを防ぐために減圧
雰囲気下で行うことが好ましい。しかし、不完全硬化工
程を設けないと、樹脂層に含有される揮発成分が減圧雰
囲気中に揮発しやすくなる。そのため、樹脂層とスタン
パとの間に前記揮発成分からなる気泡が混入しやすくな
る。不完全硬化工程を設ければ、この問題は解消され、
また、減圧度をより高くすることが可能となるので、揮
発成分以外の気体による気泡の混入をほぼ完全に防ぐこ
とが可能となる。
【0025】また、不完全硬化工程を設ける場合、樹脂
層をスピンコートにより形成する際に、基板を回転させ
ながらその表面に塗布液を展延して樹脂層を形成した
後、基板の回転速度を低下させながら活性エネルギー線
を照射することにより、前記樹脂層を不完全に硬化する
ことが好ましい。スピンコート時には、展延された樹脂
層の外周が隆起しやすいが、基板の回転速度を徐々に落
としながら活性エネルギー線を照射することにより、前
記隆起を抑制することができる。また、不完全硬化の際
に樹脂層に働く遠心力が滑らかに減少するため、樹脂層
に厚さや物性のむらが生じにくい。
【0026】また、基板の回転速度を徐々に落としなが
ら活性エネルギー線を照射することにより樹脂層を不完
全硬化する際には、活性エネルギー線照射の前に、基板
の外周縁からはみ出した塗布液の少なくとも一部を削ぎ
取ることが好ましい。これにより、基板の外周縁からは
み出した塗布液の量が、周方向全体にわたって均一化さ
れる。そのため、樹脂層を完全に硬化して透明中間層と
した後に、削り取る必要がなくなる。また、削ぎ取りを
行わない場合、基板の外周縁からはみ出した塗布液が、
回転停止後に表面張力によって基板側に戻る結果、樹脂
層の外周縁付近に環状凸部が形成され、その内側には環
状凹部が形成される。この状態の樹脂層にスタンパを重
ねて樹脂層を硬化すると、前記環状凹部に起因する空間
が透明中間層に形成されてしまう。
【0027】第1の態様では、樹脂層を形成するに際
し、以下に説明する閉塞手段を用いることが好ましい。
この閉塞手段は、円板部と、この円板部の中央に一体化
された支持軸とを有する。第1の態様では、中心孔を有
するディスク状の基板を回転テーブル上に載置し、閉塞
手段で基板の中心孔を塞いだ状態とし、活性エネルギー
線硬化型樹脂を含有する塗布液を閉塞手段の支持軸表面
に供給した後、基板と閉塞手段とを一体的に回転させる
ことにより塗布液を展延して樹脂層を形成する。
【0028】通常のスピンコート法では、回転テーブル
に固定した基板の表面に樹脂を供給し、基板を回転させ
て、遠心力により樹脂を展延する。基板には、光ディス
クドライブに装填する際に利用する中心孔が形成されて
いるため、樹脂を回転中心(基板の中央)に供給するこ
とはできず、回転中心から等距離に環状に供給すること
になる。しかし、樹脂供給位置が回転中心から離れるほ
ど、ディスク内周部に比べディスク外周部が厚くなって
しまう。すなわち、透明中間層の半径方向での厚さむら
が大きくなる。多層情報媒体では情報記録層の積層数が
多くなるにしたがって透明中間層の数も増えるため、透
明中間層の厚さむらが累積されてしまう。その結果、デ
ィスク外周部において記録/再生ビームが基板に垂直に
入射したとしても、情報記録層表面で反射した記録/再
生ビームは基板に垂直とはならず、その結果、光ピック
アップへの戻り光量が少なくなってしまう。そのため、
ディスクの内周部と外周部とで再生出力が異なってしま
うことになる。
【0029】これに対し、前記閉塞手段を利用し、その
中央付近、すなわち回転中心付近に樹脂を供給すれば、
透明中間層の外周部における厚さ増大を軽減できる。
【0030】ところで、多層媒体ではないが、ディスク
基板の中心孔を、板状部材、円板部、閉塞板、キャップ
等の閉塞手段により塞ぎ、この閉塞手段の中央付近、す
なわち回転中心付近に樹脂を供給してスピンコートを行
うことは知られている(特開平10−320850号公
報、同10−249264号公報、同10−28948
9号公報、同11−195250号公報、同11−19
5251号公報)。
【0031】しかし、これら各公報に記載された閉塞手
段には、以下に説明する問題点がある。
【0032】上記特開平10−320850号公報、特
開平10−249264号公報、特開平11−1952
50号公報には、閉塞手段である板状部材ないしキャッ
プをスピンコート後に取り外す方法が記載されておら
ず、工業的に利用することが困難である。
【0033】上記特開平10−289489号公報に
は、スピンコート後、閉塞手段である円板部を打ち抜き
または電磁石による吸着により取り外した後、ディスク
基板を回転させながら樹脂層を硬化することが記載され
ている。しかし、打ち抜きおよび電磁石により閉塞手段
を取り外す際には、閉塞手段に大きな加速度が加わるた
め、樹脂塗膜に乱れが生じやすい。
【0034】上記特開平11−195251号公報に
は、円形状のキャップの中央に支持体を一体化した構造
の閉塞手段が記載されている。同公報には、この支持体
を設けることにより、閉塞手段の着脱や位置合わせが容
易になる旨が記載されている。この支持体は、少なくと
も1つの孔を有する中空筒状のものであるか、複数の棒
状体である。中空筒の内部または複数の棒状体で包囲さ
れた領域に樹脂を注入した後、ディスク基板と閉塞手段
とを一体的に回転させることにより、ディスク基板上に
樹脂層が形成される。この閉塞手段を用いれば、閉塞手
段の取り外しは容易となる。同公報では、閉塞手段をデ
ィスク基板から離間した後、ディスク基板を静止させた
状態で樹脂層を硬化することが記載されている。
【0035】同公報では、閉塞手段の中空筒に設けられ
た孔または隣り合う棒状体の間から樹脂を流出させてス
ピンコートを行う。したがって、支持体の壁(孔以外の
領域)または棒状体に樹脂が堰き止められてしまう。ま
た、堰き止められた樹脂が、予測できないタイミングで
一挙にディスク基板上に流出することがある。そのた
め、塗膜にむらが生じやすい。また、この閉塞手段は、
樹脂と接触する面の形状が複雑であり、かつ、樹脂と接
触する面積が大きいため、閉塞手段の洗浄が困難であ
る。閉塞手段表面に樹脂が残存すると、塗膜にむらが生
じやすい。また、同公報の表1には、中空筒の外径が4
〜16mmの場合について塗膜の厚さ変動を調べている
が、この結果から、塗膜の厚さむらは中空筒の外径に依
存し、外径が大きいほど厚さむらが大きくなることがわ
かる。すなわち、中空筒の内部に樹脂を供給しても、塗
布開始位置は回転中心とは一致せず、中空筒の外周位置
が塗布開始位置となると考えられる。なお、樹脂は粘度
が比較的高いことを考慮すると、中空筒の外径を4mm未
満とすることは困難であるため、同公報記載の方法で
は、樹脂塗膜の厚さむらを著しく小さくすることは難し
い。
【0036】このような従来の閉塞手段に対し、図2に
示すように本発明で用いる閉塞手段300は、円板部3
01に支持軸302を設けるため、媒体製造工程におけ
る閉塞手段300の取り扱いが容易となり、特に、スピ
ンコート後に閉塞手段300を取り外すことが容易とな
る。
【0037】前記特開平11−195251号公報で
は、支持体の壁または棒状体により樹脂が堰き止められ
てしまうため、前述したように塗膜にむらが生じやす
い。これに対し図2に示す閉塞手段では、支持軸の外周
面に塗布液を供給してスピンコートを行うため、塗膜に
むらが生じにくい。また、図2に示す閉塞手段では、樹
脂が付着するのは支持軸の外周面であるため、前記特開
平11−195251号公報に比べ閉塞手段の洗浄が容
易である。また、前記特開平11−195251号公報
では、中空筒状の支持体の内部に塗布液を供給するの
で、粘度の比較的高い塗布液の流動性を確保するために
支持体の外径を小さくすることができず、そのため、塗
布開始位置が回転中心から比較的遠くなってしまう。こ
れに対し図2に示す閉塞手段では、同公報に比べ支持軸
の外径を著しく小さくできるので、塗膜の厚さむらを著
しく低減できる。
【0038】次に、本発明の第2の態様について説明す
る。第2の態様では、基板上に活性エネルギー線硬化型
樹脂を含有する塗布液を供給した後、この塗布液にスタ
ンパを接触させ、次いで、スタンパと基板とを一体的に
回転させることにより塗布液を展延して樹脂層を形成
し、次いで、スタンパを通して活性エネルギー線を樹脂
層に照射することにより透明中間層を形成する。第2の
態様では、基板とスタンパとの間に挟んだ状態で塗布液
を展延するため、比較的均一な厚さの樹脂層を形成する
ことができる。
【0039】なお、本発明の第2の態様と同様に、前記
特開平9−161329号公報および前記特開平10−
302315号公報には、基板とスタンパとの間に挟ん
だ状態で樹脂を展延する方法が開示されている。しか
し、前述したように、前記特開平9−161329号公
報では、スタンパ構成材料については開示がなく、スタ
ンパの離型性に関しては注目していない。また、同公報
では、基板を通して紫外線を照射しており、透明材質か
らスタンパを構成することについては記載がない。一
方、前記特開平10−302315号公報の実施例で
は、透明スタンパ表面が光硬化性樹脂から構成され、か
つ、展延対象の樹脂が光硬化性樹脂であるため、スタン
パの離型性が悪くなり、また、スタンパの紫外線透過率
が低い。したがって、前記特開平9−161329号公
報および前記特開平10−302315号公報にそれぞ
れ記載された方法では、本発明の第2の態様と同等の効
果を得ることはできない。
【0040】特開平1−285040号公報には、スタ
ンパの表面に放射線硬化型樹脂を吐出し、その上に光デ
ィスク用基板を圧接した後、放射線を照射し、次いでス
タンパと光ディスク用基板とを剥離することにより、ス
タンパ表面のパターンを光ディスク表面に転写する方法
が記載されている。同公報記載の発明は、スタンパをオ
レフィン樹脂から構成している点で本発明と同様であ
る。しかし、同公報には、多層媒体は記載されていな
い。また、同公報では、パターンが転写される放射線硬
化型樹脂層の厚さの均一性については着目していない。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0042】光情報媒体 本発明が適用される光情報媒体は、情報記録層が少なく
とも2層積層された構造をもつ。本明細書における情報
記録層には、少なくとも再生専用層または記録層が含ま
れる。再生専用層とは、記録情報を保持するプリピット
などの凹凸パターンが存在し、再生ビームの少なくとも
一部を反射する層であり、記録層とは、相変化材料や有
機色素などの記録材料を含有し、記録マークの書き換え
や追記が可能な層である。記録層には、プリフォーマッ
ト情報の保持やトラッキングサーボなどのために、グル
ーブやプリピット等の凹凸パターンが設けられる。
【0043】また、本明細書における多層媒体とは、複
数の情報記録層を有し、かつ、他の情報記録層を透過し
た記録/再生ビームにより記録または再生が行われる情
報記録層が存在する媒体である。隣り合う情報記録層間
には、記録/再生ビームが透過可能な透明中間層が存在
する。
【0044】図1に、本発明により製造される多層媒体
の構成例を示す。図1に示す媒体は、ディスク状の基板
SB上に、第1の情報記録層IL−1を設け、この情報
記録層IL−1の上に、透明中間層TLを介して第2の
情報記録層IL−2を積層したものである。第1の情報
記録層IL−1および第2の情報記録層IL−2には、
グルーブやプリピットからなる凹凸パターンがそれぞれ
形成されている。第2の情報記録層IL−2上には、保
護層PLが形成されている。以下、この媒体の各部の構
成について説明する。
【0045】基板SB、保護層PL 図1に示す媒体では、記録/再生ビームは基板SB側か
らでなく保護層PL側から入射する。したがって、基板
SBは記録/再生ビームに対して透明である必要はな
い。基板SBの厚さは、通常、0.2〜1.8mm、好ま
しくは0.4〜1.2mmとすればよい。基板SBは、通
常の光情報媒体の基板と同様に樹脂から構成すればよ
い。その場合、第1の情報記録層IL−1のために必要
な基板SB表面の凹凸パターンは、射出成形により形成
できる。ただし、ガラス板や樹脂板、金属板等の剛性基
板の表面に2P法により前記凹凸パターンを形成して、
基板SBとしてもよい。
【0046】保護層PLは、記録/再生ビームを透過す
るために透光性を有する。保護層PLには、基板SBと
同程度の厚さの樹脂板やガラス板を用いてもよい。ただ
し、記録/再生ビーム照射光学系を高NA化して高記録
密度に対応させるためには、保護層PLを薄型化するこ
とが好ましい。この場合の保護層PLの厚さは、30〜
300μmの範囲から選択することが好ましい。保護層
PLが薄すぎると、保護層PL表面に付着した塵埃によ
る光学的な影響が大きくなる。一方、保護層PLが厚す
ぎると、高NA化が難しくなる。
【0047】保護層PLを薄型化するに際しては、例え
ば、透光性樹脂からなるシートを各種接着剤や粘着剤に
よりに貼り付けて保護層PLとしたり、透光性樹脂を塗
布して保護層PLとしたりすればよい。
【0048】なお、図1に示す構造の媒体において、基
板SBを通して記録/再生ビームを情報記録層IL−
1、IL−2に入射させる構成としてもよい。
【0049】情報記録層 情報記録層IL−1、IL−2には、プリピットやグル
ーブなどの凹凸パターンが形成されている。この凹凸パ
ターンは、透明中間層TL表面に形成した凹凸パターン
を転写することにより形成される。ただし、記録/再生
ビーム入射側から見て最も奥に存在する情報記録層IL
−1は、基板SBに設けた凹凸パターンの転写により形
成される。情報記録層は、再生専用層または記録層を少
なくとも含む。
【0050】再生専用層は、再生ビームの一部を反射
(情報記録層IL−2)または大部分を反射(情報記録
層IL−1)する必要があるので、金属(合金を含む)
膜または誘電体多層膜からなる反射層とされる。再生専
用媒体における情報記録層は、通常、反射層だけから構
成される。
【0051】記録層は、相変化型記録材料を用いた書き
換え可能型のものまたは追記型のもの、光磁気記録材料
を用いた書き換え可能型のもの、有機色素を記録材料と
して用いた追記型のものなどのいずれであってもよく、
このほかの記録材料を利用するものであってもよい。た
だし、他の記録材料に比べ光透過率が高く、そのため記
録層の積層数を多くできることから、相変化型記録材料
を用いることが好ましい。記録媒体では、情報記録層を
記録層だけから構成してもよいが、必要に応じ、反射層
や誘電体層などの他の層も設ける。
【0052】例えば相変化型記録媒体における情報記録
層は、通常、記録層の両側に誘電体層を設けた構造とす
る。また、記録/再生ビーム入射側から見て最も奥に存
在する情報記録層IL−1は、通常、図1において下側
から反射層、誘電体層、相変化型記録層、誘電体層の順
に積層した構造とする。情報記録層IL−2には、記録
/再生ビームを透過させる必要があることから、通常、
反射層は設けないが、必要に応じ、記録/再生ビームに
対し半透明な反射層を設けて、IL−1と同様な構造と
することもある。
【0053】本発明で用いる相変化型記録材料の組成は
特に限定されないが、少なくともSbおよびTeを含有
するものが好ましい。SbおよびTeだけからなる記録
層は、結晶化温度が130℃程度と低く、保存信頼性が
不十分なので、他の元素を添加することが好ましい。こ
の場合の添加元素としては、元素M(元素Mは、In、
Ag、Au、Bi、Se、Al、P、Ge、H、Si、
C、V、W、Ta、Zn、Ti、Ce、Tb、Sn、P
b、PdおよびYから選択される少なくとも1種の元素
である)が好ましい。これらのうちでは、保存信頼性向
上効果が高いことから、特にGeが好ましい。
【0054】記録層構成元素の原子比を 式I SbaTebc で表し、 a+b+c=1 としたとき、好ましくは a=0.2〜0.85、 b=0.1〜0.6、 c=0〜0.25 であり、より好ましくは c=0.01〜0.25 である。Sb含有量が少なすぎると、結晶化速度が十分
に速くならないため、オーバーライトが困難となる。一
方、Sb含有量が多すぎると、結晶化速度が速くなりす
ぎて、非晶質記録マークを形成することが難しくなる。
M含有量が少なすぎると、M添加による効果が不十分と
なり、M含有量が多すぎると、相変化に伴なう反射率変
化が小さくなって十分な変調度が得られにくい。Te含
有量が少なすぎると、非晶質化が困難となって記録マー
クを形成することが難しくなる。一方、Te含有量が多
すぎると、結晶化速度が遅くなってオーバーライトが困
難となる。
【0055】多層媒体では上述したように記録層を複数
重ねるため、記録/再生ビームの光量損失が大きくな
る。そのため、記録層としての機能が損なわれない範囲
において、記録層はできるだけ薄いことが好ましい。た
だし、薄すぎると記録層としての機能が損なわれる。そ
のため、記録層の厚さは、好ましくは2〜50nm、より
好ましくは4〜20nmとする。
【0056】相変化型の記録層を用いる場合、情報記録
層は、前述したように記録層を一対の誘電体層で挟んだ
構造とすることが好ましい。この構造において、記録層
および各誘電体層はスパッタ法により形成することが好
ましい。誘電体層に用いる誘電体としては、例えば、S
i、Ge、Zn、Al、希土類元素等から選択される少
なくとも1種の金属成分を含む各種化合物が好ましい。
化合物としては、酸化物、窒化物、硫化物またはフッ化
物が好ましく、これらの化合物の2種以上を含有する混
合物を用いることもできる。各誘電体層の厚さは10〜
500nmであることが好ましい。
【0057】透明中間層 透明中間層TLは、紫外線硬化型樹脂等の活性エネルギ
ー線硬化型樹脂の硬化物であって、かつ、記録/再生ビ
ームに対し透過率の高い材料から構成される。
【0058】透明中間層の厚さは特に限定されず、隣り
合う情報記録層間でのクロストークが許容範囲に収まる
ように設定すればよいが、好ましくは5〜50μm、よ
り好ましくは10〜50μmである。透明中間層が薄す
ぎると、クロストークが大きくなりすぎる。一方、透明
中間層が厚すぎると、厚さむらが大きくなりやすく、ま
た、内部応力が大きくなりやすく、また、媒体の全厚が
大きくなってしまう。なお、上記平均厚さとは、情報記
録エリア上における最大厚さと最小厚さとの相加平均を
意味する。本明細書において情報記録エリアとは、再生
専用の情報記録層や追記または書き換えが可能な情報記
録層のうち、プリピットやグルーブが形成され、かつ情
報が保持(記録)可能な領域である。すなわち、記録可
能トラック存在領域である。上記記録可能トラックに
は、データが記録されるトラック(通常の記録トラッ
ク)に加え、試し書き用トラックも含まれる。
【0059】前述したように、透明中間層を通常のスピ
ンコート法により形成した場合、透明中間層の半径方向
での厚さむらが大きくなるため、内周部と外周部とで再
生出力が異なるものとなりやすく、また、スタンパから
パターンを転写する際に転写むらも生じやすい。情報記
録エリア上において、透明中間層の最大厚さと最小厚さ
との差は、好ましくは10μm以下であり、より好まし
くは6μm以下であり、さらに好ましくは3μm以下であ
る。透明中間層の厚さ分布をこのように小さくすること
により、再生出力変動を抑制することができる。また、
第1の態様では、樹脂層をスピンコート法により形成し
た後、樹脂層をスタンパで押圧して凹凸パターンを転写
する。したがって、第1の態様において透明中間層の厚
さむらが大きいと、硬化前の透明中間層(樹脂層)をス
タンパで均一に押圧することができなくなるので、転写
欠陥が生じやすい。そのため第1の態様では特に、透明
中間層の最大厚さと最小厚さとの差が上記範囲内にある
ことが好ましい。
【0060】透明中間層の最大厚さと最小厚さとの差は
小さいほど好ましいが、スピンコート法を用いる場合に
は、上記差をゼロにすることは困難である。また、上記
差が十分に小さければ、再生出力変動に与える影響は小
さい。したがって、上記差を1μm未満まで小さくする
必要はない。
【0061】製造方法(第1の態様) 次に、本発明の第1の態様における製造方法を、図1に
示す媒体の製造に適用する場合について説明する。第1
の態様では、透明中間層の厚さ分布を小さくするため
に、前記閉塞手段を用いて透明中間層を形成することが
好ましい。本発明の製造方法では、以下に説明する塗布
工程、硬化工程、剥離工程および積層工程を設ける。
【0062】なお、以下では、活性エネルギー線硬化型
樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合を例に挙げて
説明するが、このほか、電子線など他の活性エネルギー
線によって硬化する樹脂も使用可能である。
【0063】塗布工程 まず、図2および図3に示すように、回転テーブル20
0上に、中心孔CHを有する基板SBを載置する。基板
SB上には、既に第1の情報記録層IL−1が形成され
ている。基板SBは、中心孔CHが回転テーブル200
の環状の突起201に填め込まれて固定される。なお、
これらの図は断面図であるが、断面に現れる端面だけを
表示し、奥行き方向の図示は省略してある。これ以降の
断面図においても同様である。
【0064】次いで、閉塞手段300により中心孔CH
を塞ぐ。この閉塞手段300は、中心孔CHを塞ぐため
の円板部301と、その中央に一体化された支持軸30
2と、中心孔CHに対向する側において円板部301に
一体化された凸部303とを有する。凸部303を、突
起201の内周部に嵌合することにより、閉塞手段30
0は回転テーブル200に固定されると共に、基板SB
と閉塞手段300との位置決めを行うことができる。た
だし、基板SBおよび閉塞手段300の回転テーブル2
00への固定方法は特に限定されず、例えば、基板SB
と閉塞手段300とが嵌合した状態で、閉塞手段300
を回転テーブル200に嵌合させるものであってもよ
い。
【0065】次に、図4に示すように、樹脂または樹脂
溶液からなる塗布液500を、吐出手段であるノズル4
00から吐出し、支持軸302の外周面に塗布液500
を供給する。このとき、回転テーブル200を比較的低
速、好ましくは20〜100rpmで回転させ、円板部3
01上に一様に塗布液が行き渡るようにする。
【0066】次いで、図5に示すように、回転テーブル
200を比較的高速で回転させることにより塗布液50
0を展延する。これにより、基板SB上に樹脂層RLが
形成される。
【0067】塗布液の展延条件は特に限定されない。ス
ピンコート法において塗布液の粘度以外の条件を同一と
した場合、理論的には、塗膜の厚さは塗布液の粘度の平
方根に比例することが知られている。一方、回転速度が
大きいほど、また、回転時間が長いほど塗膜は薄くな
る。したがって、スピンコート時の回転速度および回転
時間は、樹脂層RLが所定の厚さとなるように、塗布液
の粘度に応じて適宜決定すればよい。
【0068】塗布工程では、前述したように紫外線を照
射して樹脂層RLを不完全に硬化することが好ましい。
不完全硬化工程を設けることにより、前述した効果が実
現する。
【0069】この不完全硬化に際しては、樹脂層RLを
形成した後、閉塞手段300を基板SBから取り外して
から紫外線を照射してもよい。ただし本発明では、図5
において樹脂層RLを形成した後、図6に示すように、
スピンコートにおける基板SBの回転速度減速過程にお
いて紫外線を照射することが好ましい。紫外線照射は、
減速開始時から減速時間の30%が経過するまでの間に
開始し、かつ、減速時間の80%が経過するまで少なく
とも続けることが好ましい。照射開始が遅れると、樹脂
層が外周側において盛り上がりやすくなる。また、照射
開始が遅れると、比較的低い回転域まで樹脂が硬化せ
ず、その結果、硬化しない状態で遠心力が弱くなってし
まうので、外周部の隆起が大きくなりやすい。紫外線照
射を停止するタイミングが早すぎると、樹脂層にむらが
生じやすい。基板SBの回転速度の低下プロファイルは
特に限定されず、初期から停止までの間において、単位
時間当たりの回転速度低下量(減速率)が一定または滑
らかに変化するものであればよい。すなわち、減速率は
一定であってもよく、漸減または漸増してもよいが、通
常、一定に設定することが好ましい。
【0070】この不完全硬化工程における樹脂層RLの
硬化の程度は、樹脂層RLに粘着性が残存する程度であ
る。粘着性が残存する程度に不完全硬化された樹脂層
は、スタンパ押圧によるパターン転写が可能であり、か
つ、流動性を実質的にもたない。不完全硬化のために必
要な紫外線照射量は、樹脂層構成材料によっても異なる
が、好ましくは10〜200mJ/cm2、より好ましくは3
0〜100mJ/cm2である。
【0071】回転速度を減速しながら樹脂層を硬化する
方法では、閉塞手段300が基板SBに填め込まれた状
態で紫外線を照射することになる。このとき、閉塞手段
300表面の塗布液にも紫外線が照射されると、硬化後
に閉塞手段300を基板SBから取り外す際に、樹脂層
の内周縁にバリが生じたり、バリの破片が飛び散ったり
することがあり、好ましくない。このようなバリの発生
を防ぐためには、閉塞手段300付近を除いて紫外線を
照射することが好ましい。すなわち、紫外線照射領域の
内径が、閉塞手段300の円板部301の外径よりもや
や大きくなるように照射範囲を制御することが好まし
い。また、塗布液展延時には、基板SBの外周縁から塗
布液が放射状に飛散するが、そこにも紫外線が照射され
ると、飛散した塗布液が基板外周縁から放射状に延びた
状態で硬化しやすい。これを防ぐためには、紫外線照射
領域の外周縁が基板SBの外周縁とほぼ一致するよう
に、照射範囲を制御することが好ましい。
【0072】照射範囲は、例えば、紫外線源と基板SB
との間に、所定形状のマスクを配置して紫外線を遮断す
ることにより制御できる。また、精密なパターン照射が
可能な投影露光機を用いても制御できる。また、投影露
光機以外であっても、特定の領域を選択的に照射できる
タイプの紫外線照射装置であればよい。このような装置
としては、例えばいずれもウシオ電気(株)製のスポッ
トUV照射装置やマルチライトが挙げられる。スポット
UV照射装置では、光ファイバユニットの先端にレンズ
を取り付けて、照射領域の形状を調整することが可能で
ある。例えば、照射領域を長方形とし、基板SBを回転
させながら照射すれば、樹脂層表面を環状に照射するこ
とができる。なお、上記マルチライトを用いる場合、好
ましくは上記マスクを併用する。
【0073】樹脂層の不完全硬化を行う際には、前述し
たように、樹脂層形成時に、基板SBの外周縁からはみ
出した塗布液の少なくとも一部を削ぎ取ることが好まし
い。具体的には、ナイフの刃のように薄板状である部位
をもつ削ぎ取り手段を用い、これを基板SBの外周側面
に接近させて塗布液を削ぎ取ることが好ましい。
【0074】次に、閉塞手段300を基板SBから離間
して、図7に示す状態とした後、図8に示すように、樹
脂層RL上面にスタンパ100を接触させる。スタンパ
100の下面には、グルーブの母型パターンが形成され
ているため、その転写により、樹脂層RLの上面にはグ
ルーブパターンが形成される。このとき、スタンパ10
0の自重によって樹脂層RLを押圧してもよく、スタン
パ100に外部から荷重を加えることにより樹脂層RL
を押圧してもよい。スタンパによる押圧力および押圧時
間は、スタンパ100表面の母型パターンが樹脂層RL
に正確に転写できるように適宜決定すればよいが、通
常、0.5×105〜5×105Paで0.1〜5秒間押圧
することが好ましい。
【0075】スタンパ100と樹脂層RLとの接触は、
減圧雰囲気中で行うことが好ましい。前記減圧雰囲気の
圧力は、好ましくは30kPa以下、より好ましくは10k
Pa以下である。減圧雰囲気中でスタンパと樹脂層とを接
触させることにより、両者の間に気泡が混入することを
防ぐことができる。なお、押圧を減圧雰囲気中で行う必
要はない。したがって、雰囲気圧力を高くすることによ
って押圧してもよい。
【0076】硬化工程、剥離工程、積層工程 硬化工程では、図9に示すように、スタンパ100を通
して紫外線を照射することにより、樹脂層RLを硬化し
て透明中間層TLとする。なお、基板SBを回転させな
がら紫外線を照射してもよい。硬化後、図10に剥離工
程において、透明中間層TLからスタンパ100を剥離
する。次いで、図11に示す積層工程において、透明中
間層TL上に、第2の情報記録層IL−2をスパッタ法
や塗布法などにより形成する。
【0077】閉塞手段 第1の態様で用いる閉塞手段は、図2に示す構成に限ら
ず、円板部と支持軸とを有するものであればよい。図2
に示す閉塞手段300は、円錐台状の円板部301と、
円柱状の支持軸302とを有するものであるが、このほ
か、例えば図12(A)〜図12(D)にそれぞれ示す
構成の閉塞手段も使用可能である。
【0078】図12(A)に示す閉塞手段は、下面をく
り抜いた円錐台状の円板部301と、逆円錐台状の支持
軸302とを有する。支持軸を逆円錐台状とすれば、塗
布液の塗布開始位置を円板部301の中央により近づけ
ることができるので、塗膜の厚さむらをさらに低減でき
る。しかも、支持軸302の全体を細くする場合と異な
り、支持軸302の機械的強度の低下を抑えることがで
きる。また、支持軸302をチャック等により把持する
場合に、落下しにくくなるので、閉塞手段の着脱および
搬送の際に有利である。なお、支持軸302の全体が逆
円錐台状である必要はない。すなわち、支持軸302の
少なくとも一部が円板部301に向かって直径が漸減す
る円錐台状であって、かつ、それより円板部に近い領域
において支持軸の直径が大きくならなければよい。
【0079】図12(B)に示す閉塞手段は、円板部3
01の断面形状が図12(A)とは異なる。円板部30
1上に塗布液をむらなく展延するためには、外周部に向
かって円板部301の厚さが漸減することが好ましい。
その場合、円板部301の断面において、塗布液が展延
される上縁の形状は、図12(A)に示すように直線状
であってもよく、図12(B)に示すように曲線状であ
ってもよい。また、図12(C)に示すように、円板部
301の外周が垂直面であってもよい。ただし、図12
(C)において円板部301の外周における厚さtは、
好ましくは0.4mm以下である。厚さtが大きすぎる
と、樹脂層をむらなく塗布することが難しくなる。ま
た、図12(D)に示すように円板部301の厚さを均
一としてもよい。
【0080】閉塞手段において、円板部301近傍にお
ける支持軸302の最小直径は、好ましくは4mm未満、
より好ましくは2mm以下である。円板部301近傍にお
ける支持軸302の直径が大きすぎると、塗布開始位置
が円板部301の中央から離れることになり、樹脂層R
Lの径方向における厚さむらが大きくなってしまう。た
だし、円板部301近傍における支持軸302の直径が
小さすぎると、支持軸302の機械的強度が不十分とな
るので、上記最小直径は好ましくは0.5mm以上、より
好ましくは0.7mm以上である。支持軸302の長さは
特に限定されず、その外周面への塗布液の供給が容易と
なるように、また、把持する際の取り扱いの容易さなど
を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜10
0mm、より好ましくは10〜30mmとする。支持軸30
2が短すぎると、外周面への塗布液の供給がしにくくな
り、また、把持もしにくくなる。一方、支持軸302が
長すぎると、取り扱いが面倒になる。
【0081】円板部301の直径は、基板SBの中心孔
CHの直径よりも大きく、かつ、第1の情報記録層IL
−1の内径よりも小さければよい。ただし、塗布液50
0が円板部301の下面に回り込んで基板SBの内周面
を汚染することがあるので、円板部301の直径は中心
孔CHの直径よりも4mm以上、特に8mm以上大きいこと
が好ましい。また、円板部301を取り外す際に、その
近傍の樹脂層の形状に乱れが生じやすいので、円板部3
01の直径は第1の情報記録層IL−1の内径よりも3
mm以上、特に5mm以上小さいことが好ましい。具体的な
寸法は、中心孔の直径および情報記録層の内径によって
も異なるが、通常、直径60〜130mm程度の光ディス
クの製造に適用する場合には、円板部301の直径は2
0〜40mm、特に25〜38mmの範囲内とすることが好
ましい。
【0082】閉塞手段の構成材料は特に限定されず、金
属、樹脂、セラミック等のいずれであってもよく、これ
らの2種以上を用いた複合材料であってもよい。また、
円板部301と支持軸302とを相異なる材料から構成
してもよい。ただし、機械的強度、耐久性、寸法精度が
良好であることから、閉塞手段は金属から構成すること
が好ましい。金属としては、例えばステンレス合金、ア
ルミニウム、アルミニウム合金が好ましい。
【0083】閉塞手段300の表面、特に円板部301
の全表面は、塗布液よりも表面張力が低いことが好まし
い。閉塞手段300の表面が塗布液に対し濡れにくけれ
ば、閉塞手段の表面に付着した塗布液の洗浄が容易とな
る。表面張力の制御は、閉塞手段の構成材料を適宜選択
することによっても可能であるが、表面張力を低くした
い領域にテフロン(登録商標)加工等の撥水・撥油処理
を施すことが好ましい。
【0084】製造方法(第2の態様) 次に、本発明の第2の態様について説明する。第2の態
様では、塗布工程だけが第1の態様と異なる。
【0085】第2の態様における塗布工程では、図13
に示すように、樹脂または樹脂溶液からなる塗布液50
0を、吐出手段であるノズル400から吐出して、基板
SBの第1の情報記録層IL−1形成面の内周部付近に
供給する。このとき、回転テーブル200を比較的低速
で少なくとも1回転させることにより、塗布液500の
環状の溜まりを形成する。
【0086】次いで、図14に示すように、スタンパ1
00を塗布液500に接触させる。このとき、スタンパ
100の自重によって塗布液500を押圧してもよく、
スタンパ100に外部から荷重を加えて塗布液500を
押圧してもよいが、スタンパ100の変形を防ぐために
は、スタンパ100の自重によって押圧することが好ま
しい。なお、この方法に限らず、例えば、基板SBおよ
び/またはスタンパ100にあらかじめ樹脂を塗布して
おいてもよい。
【0087】次いで、図15に示すように、基板SBを
スタンパ100と一体的に比較的高速で回転させること
により、基板SBとスタンパ100との間で塗布液50
0を展延して樹脂層RLを形成する。樹脂層RLの厚さ
およびその均一性は、塗布液の粘度、展延時の回転速度
および回転時間に依存するため、目的とする厚さの樹脂
層RLが得られ、かつ、その厚さの均一性が高くなるよ
うに、これらを適宜設定する。具体的には、塗布液の粘
度は50〜1000cPとし、回転速度は500〜600
0rpmとし、回転時間は1〜10秒間とすることがそれ
ぞれ好ましい。
【0088】スタンパ100と塗布液500との接触
は、減圧雰囲気中で行うことが好ましい。前記減圧雰囲
気の圧力は、好ましくは30kPa以下、より好ましくは
10kPa以下である。これにより、樹脂層RL中に気泡
が混入することを防ぐことができる。なお、塗布液50
0の展延も減圧雰囲気下で行ってよい。
【0089】この後は第1の態様と同様に、樹脂層RL
の硬化、樹脂層RLからのスタンパ100の剥離、およ
び、第2の情報層IL−2の形成を行う。
【0090】第1の態様と第2の態様とに共通する事項 次に、第1の態様と第2の態様とに共通する事項につい
て説明する。
【0091】本発明では、スタンパ100の少なくとも
樹脂層RLと接する表面を、ポリオレフィン系樹脂また
はフッ素樹脂から構成する。用いる樹脂は、樹脂層RL
の硬化に用いる紫外線に対し透明性の高いものであれば
よい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンから適宜選
択すればよい。また、フッ素樹脂としては、例えばポリ
テトラフルオロエチレン、ポリ(クロロトリフルオロエ
チレン)、ポリパーフルオロアルケニルビニルエーテル
から適宜選択すればよい。
【0092】スタンパ100の製造方法は特に限定され
ないが、スタンパをポリオレフィン系樹脂から構成する
場合、好ましくは射出成形法により製造する。また、ス
タンパをフッ素樹脂から構成する場合、フッ素樹脂の種
類に応じ、加圧成形焼成法、押出し成形法、圧縮成形
法、射出成形法などから適宜製造方法を選択すればよ
い。スタンパ100の表面に設ける前記母型パターン
は、成形時に同時に形成することができる。ただし、活
性エネルギー線に対する透過性が高い材質(樹脂やガラ
スなど)からなる比較的剛性の高い基板上に、前記母型
パターンをもつポリオレフィン系樹脂層やフッ素樹脂層
を2P法により形成して、スタンパ100を製造しても
よい。
【0093】スタンパの形状および寸法は特に限定され
ないが、通常、樹脂層RLと同様に環状とし、その外径
および内径は、樹脂層RLの外径および内径とそれぞれ
ほぼ同じとすればよい。ただし、スタンパ100の外径
を基板SBの外径よりやや大きく設定すれば、剥離工程
において透明中間層TLからのスタンパ100の剥離が
容易となる。また、スタンパ100の厚さは、通常、
0.3〜3mmの範囲内とすることが好ましい。スタンパ
100が薄すぎると、スタンパの成形が困難となるの
で、スタンパ全面にわたって均一な凹凸パターンを形成
することが難しくなる。一方、スタンパ100が厚すぎ
ると、スタンパの剛性が高くなりすぎる。反り等の変形
が全くないスタンパを製造することは困難であるため、
スタンパには変形が存在する。軽度の変形はスタンパを
押圧する際に矯正されるが、スタンパの剛性が高いと矯
正されにくい。そのため、スタンパが厚すぎると、スタ
ンパの変形が透明中間層にそのまま転写されてしまい、
透明中間層の厚さむらが大きくなってしまう。
【0094】第2の態様では、基板とスタンパとの間に
樹脂を挟んだ状態で両者を回転させることにより樹脂を
展延する。このときの回転で生じる遠心力は、スタンパ
の反りを矯正するように働く。この働きを有効に利用す
るためには、スタンパを比較的薄くすることが好まし
く、具体的にはスタンパ厚さを0.3〜1.8mm、特に
0.3〜1.4mmとすることが好ましい。
【0095】透明中間層の厚さむら、転写欠陥およびス
タンパ離型性には、紫外線照射のタイミング、照射時間
および照射強度も影響を与える。そのため、本発明で
は、紫外線照射に関する条件を以下に説明するように制
御することが好ましい。第1の態様では、スタンパと樹
脂層との間の気泡が抜けて両者が完全に接触した後に、
紫外線を照射する。第2の態様では、展延した樹脂が基
板外縁およびスタンパ外縁を越えて流れ出さないよう
に、展延が終了した直後に紫外線を照射する。第1の態
様および第2の態様において、硬化後の透明中間層から
スタンパを容易に剥離するためには、透明中間層をほぼ
完全に硬化させる必要がある。硬化が不十分であると、
透明中間層に粘着性が残っているため、スタンパを剥離
しにくい。また、硬化が不十分であると、透明中間層の
機械的強度が不十分となるため、スタンパを剥離する際
に透明中間層が破損することがある。透明中間層を十分
に硬化するためには、紫外線照射量を1J/cm2以上とす
ることが好ましい。なお、第1の態様において前記不完
全硬化工程を設ける場合、不完全硬化工程における紫外
線照射量とスタンパ押圧後の紫外線照射量との合計を1
J/cm2以上とすることが好ましい。
【0096】
【実施例】実施例1(第2の態様) 表面にグルーブパターンを設けた外径120mm、内径
(中心孔の直径)15mm、厚さ1.2mmのディスク状基
板SB(ポリカーボネート製)を、射出成形により作製
した。また、表面にグルーブの母型パターンを設けた直
径120mm、厚さ0.6mmの透明なスタンパ100(ポ
リメチルペンテン製)を射出成形により作製した。基板
およびスタンパにおいて、グルーブの配列ピッチは0.
6μmとし、グルーブ深さは40nmとした。上記基板の
グルーブパターン形成面に、反射層、誘電体層、相変化
型記録層および誘電体層をこの順でスパッタ法により形
成し、第1の情報記録層IL−1とした。
【0097】次いで、基板を回転テーブル上に載置し、
低速で回転させながら、紫外線硬化型樹脂を基板SBの
内周付近に約1周にわたって滴下した。次いで、回転を
いったん停止させた後、滴下された紫外線硬化型樹脂上
にスタンパ100を載せ、ほぼ同時に基板SBとスタン
パ100とを一体的に回転させ、回転速度2000rpm
に約2秒間保持することにより紫外線硬化型樹脂を展延
して樹脂層RLを形成した後、回転を停止させた。
【0098】次に、スタンパ100を通して紫外線を樹
脂層RLに照射することにより硬化して、透明中間層T
Lとした。紫外線照射量は1J/cm2とした。次いで、透
明中間層TLからスタンパ100を剥離した。剥離した
スタンパ100には紫外線硬化型樹脂は付着しておら
ず、スタンパ100の離型性が良好であることが確認さ
れた。
【0099】次いで、透明中間層TL上に、第2の情報
記録層IL−2として厚さ60nmのAu薄膜をスパッタ
法により形成し、評価用サンプルとした。
【0100】この評価用サンプルのAu薄膜表面の走査
型電子顕微鏡写真を撮影した。この写真を図16に示
す。図16から、転写欠陥が存在せず、グルーブパター
ンが正確に転写されていることがわかる。
【0101】また、透明中間層TL表面に粘着テープを
貼って引き剥がすことにより透明中間層TLをサンプル
から剥離し、剥離した透明中間層TLについて、半径方
向における厚さ変動を接触式段差測定装置(DEKTA
K社製のDEKTAK3)により測定した。結果を図1
7に示す。図17に示すグラフにおいて、横軸は透明中
間層の中心からの距離である。図17から、この透明中
間層は、半径方向における厚さ変動が小さいことがわか
る。具体的には、情報記録エリア(半径25〜55mmの
範囲)上における透明中間層の最大厚さと最小厚さとの
差が6μm以下となっている。
【0102】実施例2(第1の態様) 実施例1で用いた基板SB上に、実施例1と同様にして
第1の情報記録層IL−1を形成した。
【0103】次いで、図2〜図8に示すように閉塞手段
300を用いる方法を利用して、以下の手順で透明中間
層TLを形成した。用いた閉塞手段300は、ステンレ
ス合金から構成され、図2に示す形状を有するものであ
り、円板部301は直径38mm、支持軸32は直径1m
m、長さ20mmである。まず、基板SBを回転テーブル
上に載置し、閉塞手段300を基板SBの中心孔CHに
填め込んだ後、回転テーブルを60rpmで回転させなが
ら紫外線硬化型樹脂(日本化薬社製のMPZ203、2
5℃における粘度90mPas)を支持軸302の外周面に
供給し、次いで、回転テーブルを2000rpmで3秒間
回転させることにより樹脂を展延して樹脂層RLを形成
した。閉塞手段300を基板SBから離間した後、実施
例1で用いたスタンパ100を樹脂層RL上に載置し、
オートクレーブによりスタンパ100全面を均一に押圧
した。圧力を解放した後、スタンパ100を通して紫外
線を照射することにより樹脂層RLを硬化して、透明中
間層TLとした。紫外線照射量は実施例1と同じとし
た。次いで、透明中間層TLからスタンパ100を剥離
した。剥離したスタンパ100には紫外線硬化型樹脂は
付着しておらず、スタンパ100の離型性が良好である
ことが確認された。
【0104】次いで、透明中間層TL上に、実施例1と
同様にして第2の情報記録層IL−2を形成し、評価用
サンプルとした。この評価用サンプルの第2の情報記録
層IL−2表面を走査型電子顕微鏡により観察したとこ
ろ、転写欠陥は存在せず、グルーブパターンが正確に転
写されていることが確認できた。
【0105】また、透明中間層の半径方向における厚さ
変動を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示
す。なお、表1において、△Tは情報記録エリア(半径
25〜55mmの範囲)上における透明中間層の最大厚さ
と最小厚さとの差であり、T Mは透明中間層の平均厚さ
である。
【0106】
【表1】
【0107】表1に示されるように、この透明中間層は
△Tが2.4μmであり、厚さの均一性が良好である。
【0108】比較例1 実施例1で用いた基板上に、実施例1と同様にして第1
の情報記録層IL−1を形成した。
【0109】次いで、基板SBを回転テーブル上に載置
し、低速で回転させながら、紫外線硬化型樹脂を基板S
Bの内周付近に約1周にわたって滴下した。次いで、回
転速度を上げ、回転速度2000rpmに約2秒間保持す
ることにより紫外線硬化型樹脂を展延した後、回転を停
止させた。基板の全面にわたって樹脂層RLが形成され
ていることを確認した後、実施例1で用いたスタンパ1
00を樹脂層RL上に載置し、オートクレーブによりス
タンパ100の全面を均一に押圧した。圧力を解放した
後、スタンパ100を通して紫外線を照射することによ
り樹脂層RLを硬化して、透明中間層TLとした。紫外
線照射量は実施例1と同じとした。次いで、透明中間層
TLからスタンパ100を剥離した。剥離したスタンパ
100には紫外線硬化型樹脂は付着しておらず、スタン
パ100の離型性が良好であることが確認された。
【0110】次いで、透明中間層TL上に、実施例1と
同様にして第2の情報記録層IL−2を形成し、評価用
サンプルとした。この評価用サンプルの第2の情報記録
層IL−2表面を走査型電子顕微鏡により観察したとこ
ろ、所々に転写欠陥が認められた。
【0111】また、透明中間層TLの半径方向における
厚さ変動を、実施例1と同様にして測定した。結果を図
17に示す。図17から、この透明中間層TLは、半径
方向における厚さ変動が大きいことがわかる。具体的に
は、情報記録エリア(半径25〜55mmの範囲)上にお
ける透明中間層TLの最大厚さと最小厚さとの差が10
μmを超えている。透明中間層の厚さむらがこのように
大きい場合、硬化前の樹脂層RLにもこれと同等以上の
厚さむらが存在するため、スタンパ100で均一に押圧
することができず、その結果、転写欠陥が生じたものと
考えられる。
【0112】この比較例1と、上記実施例1および実施
例2との比較から、第2の態様による効果および第1の
態様において前記閉塞手段を用いることによる効果が明
らかである。
【0113】実施例3(第1の態様) 圧力5kPaの雰囲気中においてスタンパ100を樹脂層
RL上に載置したほかは実施例2と同様にして、透明中
間層TLを形成した。この透明中間層TLは、全面にわ
たって気泡の混入は全く認められなかった。
【0114】この透明中間層TLの厚さむらを、実施例
1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
【0115】
【表2】
【0116】表2に示されるように、この透明中間層T
Lは△Tが2.7μmであり、厚さの均一性が良好であ
る。
【0117】実施例4(第1の態様) 実施例1で用いた基板SB上に、実施例1と同様にし
て、第1の情報記録層IL−1を形成した。
【0118】次いで、実施例2で使用した閉塞手段30
0を用い、以下の手順で透明中間層TLを形成した。ま
ず、基板SBを回転テーブル上に載置し、閉塞手段30
0を基板SBの中心孔CHに填め込んだ後、回転テーブ
ルを60rpmで回転させながら、実施例2で用いた紫外
線硬化型樹脂を支持軸302の外周面に供給し、次い
で、回転テーブルを2000rpmで3秒間回転させるこ
とにより樹脂を展延した。
【0119】この樹脂展延の際には、展延がほぼ完了し
た2秒経過の時点で、薄板状の削ぎ取り手段を基板SB
の外周側面に接近させ、基板SB外周縁からはみ出して
いた樹脂を1秒間削ぎ取った。次いで、削ぎ取り手段を
基板SBから遠ざけると共に回転テーブルの減速を開始
し、減速開始から0.3秒後に、強度160mW/cm2の紫
外線を0.5秒間照射した。このときの紫外線照射量は
80mJ/cm2であり、これにより、不完全硬化状態の樹脂
層RLが形成された。なお、減速開始から回転停止まで
の時間は1秒間とした。紫外線照射手段には、目白プレ
シジョン(株)製UV Spot Cure BHG-250を用い、基板S
Bの全面に紫外線が照射されるように照射範囲を直径1
20mmの円形に設定した。ただし、閉塞手段300上に
は、紫外線が照射されないように直径40mmのマスクを
配置した。
【0120】次に、圧力5kPaの雰囲気中において、実
施例1で用いたスタンパ100を樹脂層RL上に載置
し、2×105Paの圧力で0.5秒間プレスした後、圧
力を解放し、次いで、スタンパ100を通して紫外線を
照射することにより樹脂層RLを完全に硬化し、透明中
間層TLとした。紫外線照射手段にはウシオ電機(株)
の高圧水銀灯(4kW)を用い、基板SBの全面に照射し
た。このときの紫外線照射量は、上記した不完全硬化時
の照射量80mJ/cm2とあわせて1J/cm2となるように設
定した。この透明中間層TLは、全面にわたって気泡の
混入は全く認められなかった。
【0121】次いで、透明中間層TLからスタンパ10
0を剥離した。剥離したスタンパ100には紫外線硬化
型樹脂は付着しておらず、スタンパ100の離型性が良
好であることが確認された。
【0122】次いで、透明中間層TL上に実施例1と同
様にして第2の情報記録層IL−2を形成し、評価用サ
ンプルとした。この評価用サンプルの第2の情報記録層
IL−2表面を走査型電子顕微鏡により観察したとこ
ろ、転写欠陥は存在せず、グルーブパターンが正確に転
写されていることが確認できた。
【0123】また、透明中間層TLの半径方向における
厚さ変動を、(株)キーエンス製のレーザーフォーカス
変位計LT8010より測定した。結果を表3に示す。なお、
このサンプルにおける情報記録エリアは、半径23〜5
8mmの範囲である。
【0124】
【表3】
【0125】表3では、△Tが2.1μmと極めて小さ
い。この結果から、スタンパで押圧する前に樹脂層を不
完全に硬化することによる効果が明らかである。
【0126】また、このサンプルでは、透明中間層TL
中に空間は存在しなかった。しかし、樹脂層形成時に基
板SB外周縁からはみ出していた樹脂を削ぎ取らなかっ
たほかはこのサンプルと同様にして作製した比較サンプ
ルでは、情報記録エリア外周縁付近において、透明中間
層TL中に空間が存在していた。
【0127】比較例2 実施例1で用いた基板SB上に、実施例1と同様にし
て、第1の情報記録層IL−1を形成した。
【0128】次いで、基板SBを回転テーブル上に載置
し、60rpmで回転させながら、実施例4で用いた紫外
線硬化型樹脂を基板SBの中心から20mmの位置に約1
周にわたって滴下した。次いで、回転速度を上げ、回転
速度2000rpmに3秒間保持することにより紫外線硬
化型樹脂を展延した後、回転を停止させた。基板SBの
全面にわたって樹脂層RLが形成されていることを確認
した後、実施例4と同条件で、スタンパ100による樹
脂層RLの押圧および紫外線照射(照射量1J/cm2)を
行って、透明中間層TLを形成した。
【0129】次に、実施例4と同様にして透明中間層T
L上に第2の情報記録層IL−2を形成して評価用サン
プルを作製し、この評価用サンプルについて実施例4と
同様な測定を行った。結果を表4に示す。
【0130】
【表4】
【0131】光ディスクサンプルの機械特性評価 実施例4および比較例2でそれぞれ作製した評価用サン
プルの第2の情報記録層IL−2の上に、紫外線硬化型
樹脂(25℃における粘度5,000cP)をスピンコー
ト(2000rpmで10秒間振り切り)により塗布し、
紫外線を照射することにより硬化して保護層PLを形成
し、光ディスクサンプルとした。スピンコートの際に
は、透明中間層TL形成時と同様に閉塞手段300を用
いて保護層厚さの均一化をはかった。
【0132】これらの光ディスクサンプルの機械特性
を、(株)コアーズの機械精度測定機DC-1010Cにより測
定した。結果を表5に示す。なお、表5において、R-Sk
ewは半径方向におけるスキューであり、T-Skewは周方向
におけるスキューである。
【0133】
【表5】
【0134】表5から、透明中間層形成の際に不完全硬
化工程を設けることにより、光ディスクの機械特性が向
上することがわかる。
【0135】なお、上記スタンパに替えて、ポリパーフ
ルオロアルケニルビニルエーテル(旭硝子株式会社製の
サイトップ(登録商標))の射出成形により製造したス
タンパ100を用いたほかは上記各実施例と同様にして
実験を行ったところ、上記各実施例と同等の結果が得ら
れた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造される光情報媒体の構成例を
示す部分断面図である。
【図2】第1の態様における塗布工程の一部を説明する
断面図である。
【図3】第1の態様における塗布工程の一部を説明する
断面図である。
【図4】第1の態様における塗布工程の一部を説明する
断面図である。
【図5】第1の態様における塗布工程の一部を説明する
断面図である。
【図6】第1の態様における塗布工程の一部を説明する
断面図である。
【図7】第1の態様における塗布工程の一部を説明する
断面図である。
【図8】第1の態様における塗布工程の一部を説明する
断面図である。
【図9】硬化工程を説明する断面図である。
【図10】剥離工程を説明する断面図である。
【図11】積層工程を説明する断面図である。
【図12】(A)〜(D)は、第1の態様で用いる閉塞
手段の構成例を示す断面図である。
【図13】第2の態様における塗布工程の一部を説明す
る断面図である。
【図14】第2の態様における塗布工程の一部を説明す
る断面図である。
【図15】第2の態様における塗布工程の一部を説明す
る断面図である。
【図16】基板上に形成された微細なパターンを示す図
面代用写真であって、透明中間層の表面に形成したグル
ーブパターンを示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図17】ディスクの半径方向位置と、その位置におけ
る透明中間層の厚さとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
CH 中心孔 IL−1、IL−2 情報記録層 PL 保護層 RL 樹脂層 SB 基板 TL 透明中間層 100 スタンパ 200 回転テーブル 201 突起 300 閉塞手段 301 円板部 302 支持軸 303 凸部 400 ノズル 500 塗布液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 秀樹 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 小巻 壮 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5D121 AA01 CA03 CA06 CA10 EE22 EE23 GG02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、それぞれ情報記録エリアを有
    する複数の情報記録層が、透明中間層を介して設けられ
    た光情報媒体を製造する方法であって、 少なくとも1層の情報記録層が形成されている基板の前
    記情報記録層形成面に、活性エネルギー線硬化型樹脂を
    含有する樹脂層を形成した後、前記活性エネルギー線が
    透過可能であって、かつ表面に凹凸パターンを有するス
    タンパを樹脂層表面に接触させ、次いで、スタンパを通
    して前記活性エネルギー線を樹脂層に照射し、次いでス
    タンパを剥離することにより、前記凹凸パターンが転写
    された透明中間層を形成する工程を設け、 前記スタンパとして、少なくとも前記凹凸パターンが形
    成された表面がポリオレフィン系樹脂またはフッ素樹脂
    から構成されたものを用い、 情報記録エリア上における透明中間層の最大厚さと最小
    厚さとの差が10μm以下となるように透明中間層を形
    成する光情報媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基板が中心孔を有するディスク状で
    あり、 前記基板を回転テーブル上に載置し、 円板部と、この円板部の中央に一体化された支持軸とを
    有する閉塞手段で前記中心孔を塞いだ状態とし、 活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する塗布液を前記支
    持軸の外周面に供給した後、前記基板を前記閉塞手段と
    共に回転させることにより、前記塗布液を前記情報記録
    層上に展延して前記樹脂層を形成する工程を設ける請求
    項1の光情報媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記樹脂層にスタンパを接触させる前
    に、前記活性エネルギー線を照射することにより前記樹
    脂層を不完全に硬化する工程を設ける請求項1または2
    の光情報媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板を回転させることにより、前記活性
    エネルギー線硬化型樹脂を含有する塗布液を展延して前
    記樹脂層を形成した後、基板の回転速度を低下させなが
    ら前記活性エネルギー線を照射することにより、前記樹
    脂層を不完全に硬化する請求項3の光情報媒体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記樹脂層形成時に、基板の外周縁から
    はみ出した前記塗布液の少なくとも一部を削ぎ取り、そ
    の後、前記活性エネルギー線を照射することにより前記
    樹脂層を不完全に硬化する請求項4の光情報媒体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 減圧雰囲気中において前記スタンパを前
    記樹脂層表面に接触させる請求項1〜5のいずれかの光
    情報媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記情報記録エリア上における平均厚さ
    が5〜50μmとなるように前記透明中間層を形成する
    請求項1〜6のいずれかの光情報媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 基板上に、それぞれ情報記録エリアを有
    する複数の情報記録層が、透明中間層を介して設けられ
    た光情報媒体を製造する方法であって、 少なくとも1層の情報記録層が形成されている基板の前
    記情報記録層形成面に、活性エネルギー線硬化型樹脂を
    含有する塗布液を供給した後、前記活性エネルギー線が
    透過可能であって、かつ表面に凹凸パターンを有するス
    タンパを前記塗布液に接触させ、次いで、スタンパと共
    に基板を回転させることにより前記塗布液を展延して樹
    脂層を形成し、次いで、スタンパを通して前記活性エネ
    ルギー線を樹脂層に照射することにより、前記凹凸パタ
    ーンが転写された透明中間層を形成する工程を設け、 前記スタンパとして、少なくとも前記凹凸パターンが形
    成された表面がポリオレフィン系樹脂またはフッ素樹脂
    から構成されたものを用いる光情報媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記スタンパの厚さが0.3〜1.8mm
    である請求項8の光情報媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 減圧雰囲気中において前記スタンパを
    前記塗布液に接触させる請求項8または9の光情報媒体
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記スタンパを使い捨てにする請求項
    1〜10のいずれかの光情報媒体の製造方法。
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