JP4271246B2 - 成形品の収縮による変形量を予測する方法およびその装置 - Google Patents

成形品の収縮による変形量を予測する方法およびその装置 Download PDF

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Description

本発明は、成形品の収縮による変形量を予測する方法およびその装置に関し、特にリブ部が立設された基板部を有する成形品の収縮による変形量を予測する方法およびその装置に関する。
従来、射出成形により形成された樹脂部品等が広く用いられている。また、これらの樹脂部品が用いられる自動車製品等の寸法精度向上の要求に対応して、樹脂部品等の寸法精度の向上が求められている。
このような射出成形品は、一般に、溶融状態の成形材料が固化する際に収縮して変形する。この変形は、樹脂等の成形材料の射出時の金型内における流動方向と直交する方向に主に収縮し、射出成形品が板状の場合には、その面方向の収縮率よりも厚さ方向の収縮率の方が大きくなる。すなわち、収縮率の異方性が発現する。また、射出成形品には、その強度を向上させ、または機能を付加するために、タルクやガラス繊維等の異方性を有する充てん材が含まれる場合があり、このような異方性を有する充てん材が含まれていると、収縮率の異方性がさらに増加することが知られている。
このような射出成形により成形されたプラスチック部品等において、その収縮が寸法精度を低下させる原因となっている。
例えば、特許文献1および2には、射出成形品の製品設計等にフィードバックして、製品の品質向上、開発コストの低減を図るため、射出成形品の変形量を予測する方法が開示されている。
特許文献1には、射出成形時の冷却に伴う温度変化に起因する成形品のコーナ部の反り変形を予測する方法であって、コーナ部における板厚方向の収縮率を表面方向の収縮率よりも大きな値に設定することによって、コーナ部の反り変形を予測する方法が開示されている。
特許文献1には、図1aに示すような断面の原形(金型のキャビティ形状)を有するコーナ部16を備えた射出成形品10が、金型内に射出された後の冷却時の収縮により、図1bに示すように、自由変形した場合の倒れ角dθを予測する方法が開示されている。このdθは、コーナ部の変形による頂角の減少量であり、下記式(1)により表されることが、特許文献1に開示されている。
Figure 0004271246
ここで、αはコーナ部の変形前の頂角、εは射出成形品10の面方向の収縮率、εは射出成形品10の厚さ方向の収縮率である。
図1bには、射出成形品10が自由変形した状態が示されている。図1bでは、変形した射出成形品10の形状が実線で示されており、変形前の形状が点線で示されている。図1bでは、コーナ部16にdθの隙間が描かれているが、実際には、このような隙間が生じるとは限らず、射出成形品10が自由変形した状態では、通常、コーナ部の頂角がθーdθとなるように変形した状態が得られる。ここでは、倒れ角dθを明確に示すために、図1bに示す図を用いている。射出成形品の自由変形した状態の倒れ角を説明する後述する図では、同様の図がまた用いられている。
また、射出成形品10の剛性、またはコーナ部16が固定されている等の理由から、射出成形品には、上述したような自由変形が生じるとは限らない。この場合には、射出成形品10のコーナ部16には、図1cに示すように、成形材料の収縮による曲げモーメントMが働いて、該コーナ部16を変形させようとする内部応力が生じる。
この曲げモーメントMは、次のように求めることができる。図1bに示すような自由変形した状態から、図1cに示すような幾何学的モデルを考えると、dθと曲げモーメントMとの関係が、下記式(2)で与えられる。この式(2)は、コーナ部16の自由変形を、矩形の断面が円筒状に曲げられる場合と考えて、該円筒の曲率半径が射出成形品16の収縮後の厚さHと比べて十分に大きく、且つ倒れ角dθが十分に小さいと考えて、公知の方法で導くことができる。
Figure 0004271246
ここで、Eは成形材料のヤング率、νは成形材料のポアソン比、Lは曲げモーメントMの支点力点間距離であり、具体的には収縮後の厚さである。曲げモーメントMの支点Pは、コーナ部16の頂点となる。
また、射出成形品10には、図2aに示すように、リブ部11が立設された基板部12を有するものがある。このような射出成形品10が、収縮により自由変形した場合には、図2bに示すように、このリブ部11にも上述したコーナ部16と同様に変形が生じる。
そこで、図2aに示すような射出成形品10の変形量を予測するため、曲げモーメントMの支点Pを図2bに示す位置と考えて、上述したのと同様の手法を用いてリブ部11の変形量を予測した。図2bでは、変形した射出成形品10の形状が実線で示されており、変形前の形状が点線で示されている。
しかし、予測された変形量は、実際のリブ部11の変形量と比べて大きな値となり、正確な値が予測できなかった。そのため、リブ部11が立設された基板部12を有する射出成形品10において、リブ部の寸法を精度良く予測することができないという問題点があった。
また、特許文献2には、結晶性材料の熱的非平衡状態における結晶性材料のPVT特性を予測する方法が開示されている。
一般に、射出成形品の収縮による変形は、溶融状態の液相から固相への固化収縮による変形と、固化した成形材料がさらに結晶化して収縮する変形と、固相における高温状態から低温状態への温度変化に伴う熱収縮による変形とに大別される。このような収縮は、成形材料の流動状態や固化時の温度分布等により変化するので、通常、射出成形品内部の位置によって異なる。
さらに、タルクまたはガラス繊維等の異方性を有する充てん材が成形材料に添加されて分散していると、その異方性に起因して、射出成形品における収縮率の異方性が強調される。
このように、射出成形品は、収縮率の分布を有している。
しかし、特許文献2に記載のPVT特性を予測する方法は、成形材料が樹脂と充てん材とから構成されている場合には対応していない。特許文献2のPVT特性を予測する方法は、成形材料の樹脂の部分のPVT特性を精度良く求めるものであるが、異方性を有する充てん材を加味した射出成形品の収縮率の分布を精度良く予測するものではない。
また、特許文献2では、熱的非平衡状態における結晶化度を熱流動場解析により求めているため、時間と手間がかかる手法であり、射出成形品の効率的な設計および製造には向いていない。
特開2004−9511号公報 特開平9−311114号公報
従って、本発明は、上記問題点を解決することを課題とし、収縮により変形する成形品において、その変形量を簡便に精度良く予測する方法およびその装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、成形品(10)の収縮による変形量を予測する方法において、上記成形品(10)を構成する成形材料の収縮率分布から曲げモーメント(M)の支点(P)を求め、該支点(P)を用いて、上記変形量を予測することを特徴とする。
これにより、収縮により変形する上記成形品(10)において、その変形量を簡便に精度良く予測することができる。特に、上記成形品(10)が自由変形する場合の変形量であれば、その変形量を極めて簡便に予測することができる。
請求項2に記載の発明は、上記支点(P)を用いて上記曲げモーメント(M)を求め、該曲げモーメント(M)を用いて上記変形量を予測することを特徴とする。
これにより、上記成形品(10)が自由変形しない場合でも、収縮による変形量を精度良く予測することができる。
請求項3に記載の発明は、上記収縮率分布を、上記成形材料の配向方向から定めることを特徴とする。
これにより、上記成形品(10)を構成する上記成形材料の収縮率分布を容易に定めることができる。
請求項4に記載の発明は、上記成形品(10)は、溶融状態の上記成形材料が、金型内に、所定の流動方向に速度を有する状態で入れられた後、固化して形成されたものであることを特徴とする。さらに、請求項4に記載の発明は、上記成形材料の上記配向方向を、上記金型内の溶融状態における上記成形材料の上記速度の分布から求め、該分布が、上記金型内における溶融状態の上記成形材料が固化する過程における温度分布に基づいて定められる、請求項5に記載の方法に適用されることが好ましい。これにより、上記配向方向を、簡便に求めることができる。
さらにまた、請求項4または5に記載の発明は、上記成形品(10)が、リブ部(11)が立設された基板部(12)を有しており、上記リブ部(11)と略直交する、上記成形品(10)の上記リブ部(11)を含む断面(C)において、上記リブ部(11)を構成する上記成形材料の収縮率分布が不連続となる領域(13a)を、上記基板部(12)側へ向かって仮想に延長した延長方向と、上記基板部(12)を構成する上記成形材料の収縮率分布が不連続となる領域(13b)と、の交差部(14)を、上記リブ部(11)を変形させる上記曲げモーメント(M)の上記支点(P)とする方法に適用されることが好ましい。これにより、上記リブ部(11)が立設された基板部(12)を有する上記成形品(10)の該リブ部(11)の変形量を容易に精度良く求めることができる。
請求項7に記載の発明は、上記支点(P)が、上記リブ部(11)と略直交する上記成形品(10)の上記リブ部(11)を含む断面(C)における、内接円(15)の中心が描く軌跡(L1)の変曲点であることを特徴とする。これにより、上記成形品(10)の変形量の予測をさらに簡便に行うことができる。
請求項8に記載の発明は、上記支点(P)が、上記リブ部(11)と略直交する上記成形品(10)の上記リブ部(11)を含む断面(C)における、上記基板部(12)の厚さを2等分する線(L2)と、上記リブ部(11)の厚さを2等分する線(L3)との交点であることを特徴とする。これにより、上記成形品(10)の変形量の予測をさらに簡便に行うことができる。
請求項9に記載の発明は、上記支点(P)が、上記リブ部(11)と略直交する上記成形品(10)の上記リブ部(11)を含む断面(C)における、溶融状態の上記成形材料が固化する際に温度勾配がゼロである部位が描く軌跡(L4)の変曲点、であることを特徴とする。これにより、上記成形品(10)の変形量の予測をさらに簡便に行うことができる。
請求項10に記載の発明は、上記成形品(10)が、射出成形品であることを特徴とする。これにより、射出成形品の変形量の予測を簡便に精度良く行うことができる。
また、請求項11に記載の発明は、成形品(10)の収縮による変形量を予測する装置において、上記成形品(10)を形成する成形材料の収縮率分布から曲げモーメント(M)の支点(P)を求める手段と、該支点(P)を用いて上記変形量を予測する手段とを有することを特徴とする。これにより、請求項1と同様の効果が奏される。
請求項12に記載の発明は、上記支点(P)を用いて上記曲げモーメント(M)を求める手段と、該曲げモーメント(M)を用いて上記変形量を予測する手段とを有することを特徴とする。これにより、請求項2と同様の効果が奏される。
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の一実施形態につき、図面を参照して説明する。図3は、本発明の成形品の収縮による変形量を予測する装置20の実施形態の構成図である。本実施形態の装置20(以下、単に本装置20ともいう)は、演算部21と、記憶部22と、入力部23と、出力部24とを備えている。
本装置20は、成形品10の収縮による変形量を予測する装置であり、成形品10を形成する成形材料の収縮率分布から曲げモーメントMの支点Pを求める手段と、該支点Pを用いて成形品10の変形量を予測する手段とを有している。
本装置20について、以下に説明する。
演算部21は、記憶部22に記憶された変形量予測プログラム等に基づき、演算を行って、成形品の収縮による変形量を演算する。演算部21は、例えば、CPUを用いた公知のハードウエアにより構成することができる。
記憶部22は、メモリ等から構成される内部記憶部と、ハードディスク装置等から構成される外部記憶部と備えている。この外部記憶部には、上記変形量予測プログラム、該プログラムで用いられる成形材料の様々な収縮率を備えた収縮率データベースおよび成形品内部の曲げモーメントから変形量を求めるための構造解析プログラム等が記憶されている。内部記憶部は、外部記憶部に記憶されている各種プログラムに基づいて、演算部21が演算をする際に、ワークエリアとして用いられる。
入力部23は、演算部21が、各種プログラムに基づいて演算を行う際に必要なパラメータ等を入力するためのキーボードおよびマウス等を備えている。例えば、上記変形量予測プログラムで用いられる成形材料の様々な収縮率を、入力部23から直接入力することもできる。
出力部24は、演算部21の演算の結果等を出力するための画面およびプリンタ等を備えている。
以下、本装置20を、成形品が射出成形品である場合を例として説明するが、この説明は、他の成形品の変形量を予測する場合においても適宜適用され得る。
次に、本装置20における上記変形量予測プログラムが用いる、本発明の射出成形品の収縮による変形量を予測する方法(以下、単に本方法ともいう)について、以下に説明する。
この方法は、射出成形品を構成する成形材料の収縮率分布から曲げモーメントMの支点Pの位置を求め、該位置を用いて、上記射出成形品の変形量を予測するものである。
射出成形品は、溶融状態の成形材料が、金型内に、所定の流動方向に速度を有する状態で、射出により入れられた後、固化して形成されたものである。
射出成形品は、例えば、以下のように製造される。まず、樹脂等の成形材料が加熱されて、その溶融状態が形成される。次に、この溶融状態の成形材料が、所定の形状のキャビティを有する金型内に射出されて、保圧下で固化された後、射出成形品が金型から取り出される。
また、上記成形材料には、射出成形品の強度を向上させ、または機能を付加するために、タルクやガラス繊維等の異方性を有する充てん材を含有させる場合がある。
そして、射出成形品は、その製造過程において、収縮による変形を伴う場合がある。この収縮による変形は、一般に、溶融状態の液相から固相への固化収縮による変形と、固化した成形材料がさらに結晶化して収縮する変形と、固相における高温状態から低温状態への温度変化に伴う熱収縮による変形とに大別される。このような収縮は、成形材料の流動状態や固化時の温度分布等により変化するので、通常、射出成形品内部の位置によって異なる。
さらに、タルクまたはガラス繊維等の異方性を有する充てん材が成形材料に添加されて分散していると、その異方性に起因して、射出成形品における収縮の異方性が強調される。このように、射出成形品は、部位によって収縮率が異なるので、収縮率の分布を有している。
上述した成形材料の収縮率の分布は、樹脂を構成する高分子または異方性を有する充てん材の配向状態から主に定められる。そして、金型内に射出されて流動する成形材料の配向状態は、主に成形材料の流動により発生するせん断応力により定められる。そして、このせん断応力は、キャビティ内における成形材料の速度の分布により定められ、この速度の分布は、流動状態にある成形材料の粘度により定められる。この成形材料の粘度は、一般にせん断速度と温度に依存し、特にせん断速度が高い部分は金型壁面近傍の固化層と流動層の界面であるため、この粘度の分布はキャビティ内の温度分布に依存する。
ここで、成形材料の樹脂内に、異方性を有する充てん材が分散されている場合には、充てん材が、流動による粘性抵抗を低減するように配向する。例えば、充てん材として、タルクを用いることがある。タルクは、ふつう、略長楕円の板状の粒子である。このタルクが充てん材として用いられ、金型のキャビティが平板状の形状を有している場合には、タルクは、その長手方向が成形材料の流動方向と一致すると共に、その板状の面が、もっぱら、金型の平板状の面と平行になるように配向する。そのため、タルクの面方向且つ長手方向では、成形材料の強度が増加する。したがって、射出成形品は、成形材料の流動方向と一致するタルクの面方向には、樹脂を構成する高分子の配向状態も加わって、収縮が抑制される。しかし、タルクの板状の面と垂直な方向には、大きく収縮する。また、射出成形品は、成形材料の流動方向と垂直な方向のタルクの面方向にも収縮する。
また、針状の形状を有するガラス繊維が充てん材として用いられる場合には、ガラス繊維は、その長手方向が、成形材料の流動方向と一致するように配向し、その長手方向と垂直な方向には、大きく収縮する。
キャビティ内の上記温度分布は、流動状態にある成形材料から、金型への熱の伝導により時間と共に変化する。すなわち、流動状態にある成形材料は、冷却されると共に粘度が増加して、やがて固化する。成形材料を構成する高分子の配向状態、または、異方性を有する充てん材の配向状態は、この成形材料が固化された状態で維持される。このように、上記温度分布は、成形材料の配向状態を定める因子となる。
したがって、本方法では、成形材料の配向方向を、金型内の溶融状態における成形材料の速度の分布から求め、該分布を、金型内における溶融状態の成形材料が固化する過程における温度分布に基づいて定める。
そこで、射出成形品の収縮率分布を、成形材料の配向方向から定めるために、成形材料の配向状態を調べた所、図4に示す結果が得られた。
図4は、リブ部11が立設された基板部12を有する射出成形品10を、該リブ部11と略直交する射出成形品10のリブ部11を含む断面Cで観察した結果を示している。この断面Cは、成形材料の流動方向と略直交している。なお、「略直交する」には、正確に直交する場合も含まれる。
この射出成形品10は、逆T字状の断面形状を有しており、平板状の基板部12の上面に、同じく平板状のリブ部11が90度の角度で立設されている。リブ部11は、図4の紙面の表側から裏側に向かって縦長の形状を有している。つまり、リブ部11は、その長手方向と略直交する断面Cにより切断されている。
この射出成形品10は、溶融状態の成形材料が、図4の紙面の表側から裏側へ向かって射出して製造されたものである。また、この射出成形品10の成形材料は、充てん材としてタルク粒子を分散した樹脂から構成されている。
さらに説明すると、図4は、射出成形品10を上述した断面Cで切り出した後、バフ研磨を実施後、断面Cを光学顕微鏡により観察して、充てん材の配向状態を模式的に示したものである。断面Cの観察は、光学顕微鏡の代わりに、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてもよい。
リブ部11では、図4に示すように、タルク10aの面の向きが、厚さ方向の中央部と、該中央部の両側とでは異なっている。該中央部の両側では、タルク10aの面の向きが、リブ部11の立設方向と略一致しており、リブ部11の形成材料は、リブ部11を形成した金型の両壁面と略平行に配向していることが分かる。一方、リブ部11の厚さ方向の中央部では、タルク10aの面の向きが、リブ部11の立設方向と略垂直な方向を向いている。このように、リブ部11の厚さ方向の中央部には、タルク10aの配向方向が不連続となる領域13aが存在する。
基板部12でも、図4に示すように、タルク10aの面の向きが、基板部12の厚さ方向の中央部と、該中央部の両側とでは異なっている。該中央部の両側では、タルク10aの面の向きが、基板部12の面方向と略一致しており、基板部12の形成材料は、基板部12を形成した金型の両壁面と略平行に配向していることが分かる。一方、基板部12の厚さ方向の中央部では、タルク10aの面の向きが、基板部12の面方向と略垂直な方向を向いている。このように、基板部12の厚さ方向の中央部には、タルク10aの配向方向が不連続となる領域13bが存在する。
また、基板部12におけるリブ部11が立設されている部分では、リブ部11の上記領域13aが、基板部12の上記領域13bまで、基板部12側へ向かって延びている。つまり、リブ部11を基板部12側へ向かって仮想に延長した延長方向の基板部12の部分では、つまり図4において点線で示す部分では、タルク10aが、リブ部11のタルク10aに近い配向状態を有している。
本方法では、射出成形品10成形材料の収縮率分布を、この成形材料であるタルク10aの配向方向から定める。そして、断面Cにおいて、リブ部11を構成する成形材料の収縮率分布が不連続となる領域13aを、基板部12側へ向かって仮想に延長した延長方向と、基板部12を構成する成形材料の収縮率分布が不連続となる領域13bと、の交差部14を、リブ部11を変形させる曲げモーメントMの支点Pとする。なお、リブ部11を変形させるとは、リブ部11のみを変形させる場合と共に、リブ部11近傍の基板部12も変形させる場合が含まれる。
図4に示すタルク10aの配向状態から、射出成形品10の基板部12の収縮による変形は、基板部12の上記領域13bからリブ部11側で生じると考えられる。
本装置20は、射出成形品10を形成する成形材料の収縮率分布から、上記曲げモーメントMの支点Pを求める手段を3つ備えている。射出成形品10の収縮による変形量を予測する際には、射出成形品の製造条件または射出成形品に対して要求される寸法精度に対応して、3つの手段から、用いる手段を適宜選択することが好ましい。
以下、各手段について説明する。
まず、曲げモーメントMの支点Pを求める第1の手段は、図5に示すように、支点Pが、リブ部11と略直交する射出成形品10のリブ部11を含む断面Cにおける、内接円15の中心が描く軌跡L1の変曲点であることを用いるものである。
この第1の手段を使用するための条件は、射出成形品10の製造に用いる金型の冷却能力が十分に大きく、溶融状態にある成形材料の固化過程において、該金型のキャビティ表面の温度が一定とみなせることである。射出成形では、金型内に射出された溶融状態にある成形材料から、金型に熱が伝導する。例えば、リブ部11と基板部12との結合部分近傍では、成形材料の金型接触面積に対して金型の熱容量が他の部分よりも小さいので、成形材料から、金型の単位体積当たりに伝わる熱量が大きくなり、上記結合部分近傍の金型温度が他の部分に対して高くなる傾向がある。しかし、第1の手段では、金型のキャビティ表面の温度は、金型の形状によらず、一定であるとみなす。
上述した条件のもとでは、溶融状態から固化する過程における成形材料において、温度勾配がゼロとなる部分の断面Cにおける軌跡が、内接円15の中心が描く軌跡L1として得られる。このような温度分布に基づいた成形材料の配向状態から、成形材料の収縮率の分布が定まる。そして、断面Cにおける、内接円15の中心が描く軌跡L1の変曲点を、支点Pと考える。
図6aに、図5に示す断面の金型のキャビティ形状を有する射出成形品10が、収縮により変形した場合の幾何学モデルを示す。図6aは、射出成形品10のリブ部11を自由変形させる曲げモーメントMと、その時の倒れ角dθおよびdθの関係を説明する図である。図6aでは、変形した射出成形品1の形状が点線で示されており、変形前の形状が実線で示されている。図6aには、リブ部11および基板部12それぞれが、収縮により自由変形したために、リブ部11と基板部12との結合部近傍において、隙間が生じた状態が示されている。実際には、上述したように、このような隙間が生じるとは限らない。ここでは、倒れ角dθおよびdθを明確に示すために、図6aに示す図を用いている。このことは、図8aおよび図10aにおいても同じである。
なお、図6aでは、射出成形品10の収縮による変形について、リブ部11の一方の側のみを示している。
図6bには、図6aの要部を示している。具体的には、図6bには、リブ部11と基板部12との結合部近傍を拡大した図が示されているが、他方についても同様である。
基板部12は、その厚さ方向にεt1の収縮率で収縮しており、成形材料の流動方向と直交する方向である面方向にはεp1の収縮率で収縮している。また、リブ部11は、その厚さ方向にεt2の収縮率で収縮しており、成形材料の流動方向と直交する方向である面方向にはεp2の収縮率で収縮している。
図6bでは、リブ部11を基板部12側へ向かって仮想に延長した延長方向の基板部12の部分も、εt2およびεp2の収縮率で収縮した状態が示されている。これは、図4に示す結果から、この部分が、リブ部11と同様の収縮率を有していると判断したためである。
このような射出成形品10の収縮による自由変形によって、上記結合部近傍では、基板部12側が、倒れ角dθの角度を有して変形しており、リブ部11側が、倒れ角dθの角度を有して変形している。
基板部12側およびリブ部11側共に、それらの変形は、曲げモーメントMの支点Pを起点として生じている。この支点Pは、図2bとは異なり、基板部12の内部に位置している。
ここで、図6bに示すように、基板部12側における変形前の頂角をα、リブ部11側における変形前の頂角をα、基板部12の変形前の厚さをH、リブ部11の変形前の厚さをLとすると、頂角αおよびα、倒れ角dθおよびdθは、下記式(3)から(6)で表される。なお、上記H、L、αおよびαは、射出成形品10が収縮せず、変形しない場合の寸法であり、金型のキャビティ形状に対応する。
Figure 0004271246
上記式(5)および(6)におけるTは、支点Pの基板部12の厚さ方向の位置を表しており、Tは、上記結合部近傍における内接円の幾何学モデルから、下記式(7)で表される。
Figure 0004271246
また、支点Pを軸として、基板部12側に作用する曲げモーメントM、および、支点Pを軸として、リブ部11側に作用する曲げモーメントMは、上記式(5)および(6)を用いて、下記式(8)および(9)で表される。
Figure 0004271246
ここで、Eは基板部12側のヤング率、Eはリブ部11側のヤング率である。また、νは基板部12側のポアソン比、νはリブ部11側のポアソン比である。
上記式(8)は、曲げモーメントの支点の位置が、厳密には内接円15の中心が描く軌跡L1の変曲点ではない。上記式(8)における支点は、図6bにおいて、基板部12側の厚さH(1ーεt1)/2の半分の位置にある。
そこで、次に、この支点の位置を補正して、曲げモーメントの式を修正する。
曲げモーメントの式を修正は、例えば、次ぎのように行える。
正確な曲げモーメントMの支点Pの位置と、上記式(8)における支点の位置との距離をSとし、断面2次モーメントをI、断面の面積をAとすると、修正された断面2次モーメントI’が、下記式(10)で表される。
Figure 0004271246
ここで、Iは、一方の辺の長さがH(1ーεt1)/2であり、他方の辺の長さが単位長さである矩形形状の断面2次モーメントであり、Aはこの矩形形状の面積である。上記式(9)についても同様に補正することができる。
なお、求められる変形量の予測精度によっては、上述した曲げモーメントの修正をしなくてもよい。
また、εp1およびεp2は、一般に射出成形品の面方向においても、面の位置によって異なる場合があり、射出成形品は、面方向内に収縮率の分布を有している。しかし、収縮率の変化量が小さい場合には、εp1およびεp2を面方向において一様とみなしても良いので、本装置20ではこれらを一様と考える。同様に、εt1およびεt2についても厚さ方向において一様と考えた。また、一般に、これらの収縮率は、リブ部11または基板部12の厚さにも依存して変化する。
本装置20では、εp1、εp2、εt1およびεt2の値を、データベースとして備えている。各種の充てん材および樹脂からなる成形材料を用いて、基板部、またはリブ部の厚さを変化させた射出成形品を作成し、それらの収縮率の値が調べられて、上記収縮率データベースが作成されている。本装置20では、この収縮率データベースから必要な収縮率のデータを選択し、そのデータが上記変形量予測プログラムで使用される。
上述した倒れ角dθおよびdθは、リブ部11が自由変形した場合の変形量に対応した値である。すなわち、リブ部11が、射出成形品10の収縮により、その収縮力が妨げられることなく作用した結果の状態を表している。一方、実際の射出成形品は、剛性を有しており、リブ部11の長手方向の一端または両端が固定されていたりするので、リブ部11の自由な変形が許されるとは限らない。
このように、自由変形が許されない場合には、射出成形品10は、その収縮力から内部応力が生じて、この内部応力に基づいた変形が起きる。この内部応力による変形量は、支点Pの位置を用いて曲げモーメントMを求め、該曲げモーメントMを用いて予測することができる。
具体的には、曲げモーメントMの式(8)および(9)を用いて、構造解析計算を行うことにより、射出成形品10の収縮による変形量を求めることができる。この構造解析計算は、例えば公知の構造解析プログラムを用いて行うことができる。
本装置20では、記憶部22の外部記憶部に上記構造解析プログラムが記憶されている。そして、本装置20は、射出成形品10のリブ部11が自由変形できない場合には、演算部21が、倒れ角dθおよびdθを用いて曲げモーメントMを求め、構造解析プログラムに基づき、該曲げモーメントMを用いて演算を行って、射出成形品10のリブ部11の変形量が計算される。
このように本装置20は、支点Pの位置を用いて曲げモーメントMを求める手段と、該曲げモーメントMを用いて射出成形品10の変形量を予測する手段とを有している。
そして、本装置20では、射出成形品10の変形量が演算部21により計算された後、出力部24から、計算された変形量が、画面またはプリンタから出力される。
また、本装置20では、上述した曲げモーメントMの支点Pを求める第1の手段を用いる場合には、入力部23から、演算部12に対して、上記第1の手段を選択する指示を与える。
次に、本装置20における曲げモーメントMの支点Pを求める第2の手段について、図7から図8bを参照して、以下に説明する。
この第2の手段は、支点Pが、リブ部11と略直交する成形品10のリブ部11を含む断面Cにおける、基板部12の厚さを2等分する線L2と、リブ部11の厚さを2等分する線L3との交点であることを用いるものである。
以下、上述した第1の手段との相違点を説明する。
第2の手段は、支点Pを近似的に得るための手法であり、この第2の手段を使用するには、上記第1の手段で述べた条件に加えて、下記の条件が満たされる必要がある。
第2の手段に求められる条件は、金型のキャビティ形状の厚さが薄いことである。具体的には、平板状のリブ部11の厚さおよび平板状の基板部12の厚さが薄いことである。
上記2つの条件が満たされる場合には、成形材料としての樹脂を構成する高分子および充てん材が、金型内で主に壁面に沿って配向する。そして、曲げモーメントMの支点Pを、図7に示すように、断面Cにおける、基板部12の厚さを2等分する線L2と、リブ部11の厚さを2等分する線L3との交点とすることができる。すなわち、この交点を、上記交差部14とみなすことができる。
この第2の手段は、上記2つの条件に加えて、リブ部11の厚さLと基板部12の厚さHとが、L/H≦0.66なる関係を満たす場合に用いられることが特に好ましい。
図8aおよび図8bに、図7に示す断面の金型のキャビティ形状を有する射出成形品10が、収縮により変形した場合の幾何学モデルを示す。
ここで、図8bに示す頂角αおよびα、倒れ角dθおよびdθは、下記式(11)から(14)で表される。
Figure 0004271246
また、支点Pを軸として、基板部12側に作用する曲げモーメントM1、および、支点Pを軸として、リブ部11側に作用する曲げモーメントM2は、上記式(13)および(14)を用いて、下記式(15)および(16)で表される。
Figure 0004271246
次に、上述した第1の手段と同様にして、支点の位置を補正して、曲げモーメントの式を修正する。なお、求められる変形量の予測精度によっては、この曲げモーメントの修正をしなくてもよい。
なお、金型のキャビティ形状の厚さが薄い場合には、第2の手段による支点Pの位置と、第1の手段による支点Pの位置との差が小さくなり、第2の手段を用いた結果が、第1の手段と同じになる。
最後に、本装置20における曲げモーメントMの支点Pを求める第3の手段について、図9から図10cを参照して、以下に説明する。
この第3の手段は、図10aに示すように、支点Pが、リブ部11と略直交する成形品10のリブ部11を含む断面Cにおける、溶融状態の成形材料が固化する際に温度勾配がゼロである部位が描く軌跡L4の変曲点であることを用いるものである。
以下、上述した第1の手段との相違点を説明する。
第3の手段は、射出成形品10の形成に用いる金型17のキャビティ表面の温度が、図9に示すように、溶融状態にある成形材料の固化過程において、一定ではない場合に用いられる。この第3の手段は、上記第2の手段とは異なり、成形材料から伝わる熱により金型が蓄熱して、温度分布を有する場合に用いられることが好ましい。
図9には、金型17を、射出成形品10の断面Cで切断した場合の温度分布の一例が示されている。具体的には、図9には、金型17から射出成形品10を取り出す直前の状態の温度分布が示されている。金型17は、上下に分割可能に形成されており、複数の冷却管が配置されていて、該冷却管の中には、冷却水が循環している。
図9では、等温度の部分が、等温線で結ばれている。隣接する等温線の間では、温度が6℃異なっている。図9の例では、射出成形品10の中心部の温度は、約80℃であり、冷却水の温度は約20℃である。金型17のキャビティ表面が点線で示されており、金型17の表面温度が、場所によって異なっていることが分かる。
このような温度分布に基づいた成形材料の配向状態から、成形材料の収縮率の分布が定まる。そして、断面Cにおける、軌跡L4の変曲点を、支点Pと考える。
図10aには、金型17内における成形材料の温度勾配Dが、図9に基づいて示されている。この温度勾配Dは、金型17の壁面側ほど、急な勾配を有しており、一方キャビティの中央側ほど、緩やかな勾配を有している。この温度勾配がゼロとなる部位Zを結んで軌跡L4が形成されている。
上記軌跡L4は、溶融状態から固化する過程における成形材料において、温度勾配がゼロとなる部位の断面Cにおける軌跡である。この軌跡L4は、熱流動場解析計算等の公知の方法を用いて求めることができる。本装置20では、記憶部22の外部記憶部に、上記熱流動場解析計算のためのプログラムが記憶されており、上記第3の手段が選択されると、演算部21は、まず、この熱流動場解析プログラムに基づいて演算を行って、軌跡L4を求める。次に、演算部21は、軌跡L4から支点Pの位置を得た後、この位置を用いて、上記変形量予測プログラムに基づいた演算を行って、傾き角を求める。なお、上記熱流動場解析計算は、本装置20とは別の装置を用いて行ってもよい。
図10bに、図10aに示す断面の金型のキャビティ形状を有する射出成形品10が、収縮により変形した場合の幾何学モデルを示す。
ここで、図10cに示す頂角αおよびα、倒れ角dθおよびdθは、下記式(17)から(20)で表される。
Figure 0004271246
また、支点Pを軸として、基板部12側に作用する曲げモーメントM1、および、支点Pを軸として、リブ部11側に作用する曲げモーメントM2は、上記式(19)および(20)を用いて、下記式(21)および(22)で表される。
Figure 0004271246
次に、上述した第1の手段と同様にして、支点の位置を補正して、曲げモーメントの式を修正する。なお、求められる変形量の予測精度に応じて、この曲げモーメントの修正をしなくてもよい。
なお、第3の手段を、金型の表面の温度が一定の場合に用いれば、上記第2の手段と同じ結果が得られる。
上述した本装置20によれば、収縮による変形量を簡便に精度良く予測することができる。したがって、収縮による変形量を予測した後に、射出成形品およびその金型の設計を行えるので、射出成形品の寸法精度の向上が図れる。
また、本装置20は、曲げモーメントMの支点Pを求める手段を3つ備えているので、要求される寸法精度に対応した射出成形品の設計を行なえるため、設計時間の最適化が計れる。
さらに、本装置20は、あらかじめ変形量の少ない射出成形品の形状を設計できるので、試作回数を低減して、製造コストを低減できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されない。
例えば、本発明は、射出成形品を例にして説明されたが、本発明の適用範囲は、流動する成形材料が、例えば溶融状態の樹脂が、所定の速度を有して成形される場合に適用され得る。流動する成形材料は、例えば樹脂または充てん材は、その流動方向に配向するので、その配向状態を有したまま冷却されると、その配向状態に起因した収縮が生じる。本発明は、このような収縮に起因した成形品の変形量を、収縮率分布から曲げモーメントの支点を求め、この支点の位置を用いて予測する方法およびその装置を提供するものである。該成形品の変形箇所は、リブ部が立設された基板部の部分ではなくてもよい。
上記成形材料としては、樹脂の他にセラミックスが挙げられる。
また、上記成形品には、射出成形品以外にも、射出圧縮成形による射出圧縮成形品または押出し成形による押出し成形品が含まれる。また、成形材料に発泡させるための化学発泡剤やNやCOなどを溶融させる、あるいはそれらを結合させたもので、射出後に型内で発泡させるいわゆる射出発泡成形品も含まれる。
また、上述した実施形態では、成形材料に異方性を有する充てん材が含まれる場合について説明したが、異方性を有する充てん材が含まれない場合には、成形材料を構成する樹脂等の収縮率から曲げモーメントMの支点Pを求め、該支点Pの位置を用いて、成形材料の変形量を予測することができる。具体的には、例えば成形材料の樹脂を構成する高分子の配向状態により、成形材料の収縮率が定められる。
また、成形材料として熱硬化性の材料が、例えば熱硬化性樹脂が、用いられる場合には、常温で流動状態の成形材料が金型内に射出されて、金型と共に成形材料を加熱することにより、該成形材料を硬化させた後、射出成形品が冷却されて金型から取り出される。この場合にも、成形材料を構成する樹脂または異方性を有する充てん材の配向状態によって、射出成形品の収縮率が変化する。したがって、熱硬化性の材料の収縮による変形量を予測する場合にも、上述した説明が適宜適用される。
また、上述した実施形態では、リブ部11が90度の角度で基板部12に立設されていたが、リブ部11は、90度よりも小さい角度で基板部12に立設されていてもよい。
また、上述した実施形態では、曲げモーメントMの支点Pを求める手段を3つ備えていたが、支点Pを求める他の手段を装置20に追加してもよい。
さらに、本発明の方法または装置を用いて設計された成形品は、寸法精度が高いので、本発明の方法または装置を用いた成形品の製造方法を、成形品の製造において好ましく用いることができる。
図1aは、従来技術の例によるコーナ部の変形を説明する図であり、コーナ部の変形前の状態を示している。 図1bは、図1aのコーナ部が収縮により自由変形した状態を示している。 図1cは、図1bの幾何学的モデル図である。 図2aは、リブ部の変形を説明する図であり、リブ部の変形前の状態を示している。 図2bは、図2aのリブ部が収縮により自由変形した状態を示している。 図3は、本発明の一実施形態である成形品の収縮による変形量を予測する装置の構成を示す図である。 図4は、リブ部が立設された基板部を有する成形品の成形材料の配向状態を示す模式図である。 図5は、曲げモーメントの支点を求める第1の手段における支点を示す図である。 図6aは、図5の幾何学的モデル図である。 図6bは、図6aの要部の拡大図である。 図7は、曲げモーメントの支点を求める第2の手段における支点を示す図である。 図8aは、図7の幾何学的モデル図である。 図8bは、図8aの要部の拡大図である。 図9は、射出成形品を製造する金型の温度分布を示す図である。 図10aは、曲げモーメントの支点を求める第3の手段における支点を示す図である。 図10bは、図10aの幾何学的モデル図である。 図10cは、図10bの要部の拡大図である。
符号の説明
10 射出成形品
11 リブ部
12 基板部
13a、13b 領域
14 交差部
15 内接円
16 コーナ部
17 金型
18 冷却管
20 装置
21 演算部
22 記憶部
23 入力部
24 出力部
P 曲げモーメントの支点

Claims (12)

  1. 成形品(10)の収縮による変形量を予測する方法において、
    前記成形品(10)を構成する成形材料の収縮率分布から曲げモーメント(M)の支点(P)を求め、該支点(P)を用いて、前記変形量を予測することを特徴とする方法。
  2. 前記支点(P)を用いて前記曲げモーメント(M)を求め、該曲げモーメント(M)を用いて前記変形量を予測することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記収縮率分布を、前記成形材料の配向方向から定めることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記成形品(10)は、溶融状態の前記成形材料が、金型内に、所定の流動方向に速度を有する状態で入れられた後、固化して形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記成形材料の前記配向方向を、前記金型内の溶融状態における前記成形材料の前記速度の分布から求め、該分布が、前記金型内における溶融状態の前記成形材料が固化する過程における温度分布に基づいて定められることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記成形品(10)が、リブ部(11)が立設された基板部(12)を有しており、
    前記リブ部(11)と略直交する、前記成形品(10)の前記リブ部(11)を含む断面(C)において、前記リブ部(11)を構成する前記成形材料の収縮率分布が不連続となる領域(13a)を、前記基板部(12)側へ向かって仮想に延長した延長方向と、前記基板部(12)を構成する前記成形材料の収縮率分布が不連続となる領域(13b)と、の交差部(14)を、前記リブ部(11)を変形させる前記曲げモーメント(M)の前記支点(P)とすることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記支点(P)が、前記リブ部(11)と略直交する前記成形品(10)の前記リブ部(11)を含む断面(C)における、内接円(15)の中心が描く軌跡(L1)の変曲点であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記支点(P)が、前記リブ部(11)と略直交する前記成形品(10)の前記リブ部(11)を含む断面(C)における、前記基板部(12)の厚さを2等分する線(L2)と、前記リブ部(11)の厚さを2等分する線(L3)との交点であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 前記支点(P)が、前記リブ部(11)と略直交する前記成形品(10)の前記リブ部(11)を含む断面(C)における、溶融状態の前記成形材料が固化する際に温度勾配がゼロである部位が描く軌跡(L4)の変曲点、であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  10. 前記成形品(10)が、射出成形品であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 成形品(10)の収縮による変形量を予測する装置において、
    前記成形品(10)を形成する成形材料の収縮率分布から曲げモーメント(M)の支点(P)を求める手段と、該支点(P)を用いて前記変形量を予測する手段とを有することを特徴とする装置。
  12. 前記支点(P)を用いて前記曲げモーメント(M)を求める手段と、該曲げモーメント(M)を用いて前記変形量を予測する手段とを有することを特徴とする請求項11に記載の装置。
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