JP4085503B2 - 多層光ディスク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持基板の一主面上に記録再生可能な情報記録層、光を透過する中間層、もうひとつの情報記録層、光入射側最表面に位置する光透過層の順に順次積層され、最表面光透過層側からレーザー光を照射して情報の記録再生を行う多層光ディスクに関する。
【0002】
詳しくは、光入射側の記録再生光に対する第1記録層の光透過率変化を、第1記録層に情報を記録する前後で少なくすることにより第2記録層の情報記録再生を安定に行なうようにし、さらに第1記録層、第2記録層への情報の同時記録再生を行なえるようにした多層光ディスクに関する。
【0003】
【従来の技術】
情報通信機器の発達とともに光ディスクにおいてもより多くの情報量を有する光ディスクの開発が求められている。現時点では二層タイプのDVDにより情報量8.5Gbyteを有する光ディスクが実現されているが、ホームビデオの光ディスクへの置き換えやハイビジョン放送の録画などより多くの情報を光ディスクで記録再生することが求められている。
【0004】
再生のみの光ディスクでは、情報量8.5GbyteがDVD二層ディスクで達成されているが、記録可能な光ディスクでは5.2Gbyteまでが製品レベルで達成されている。ここで記録再生可能な光ディスクは情報記録層を1層のみ有するいわゆる単層光ディスクである。
【0005】
例えば、光ディスクをホームビデオへ置き換える場合、現行のNTSCによる放送を4時間録画するためには、8Gbyteの情報量が必要になり、ハイビジョン放送を2時間録画するためには、やはり24Gbyteの情報量を必要とする。またデジタル情報通信社会の発達に伴い、記録再生可能な光ディスクに求められる情報記憶量は今後ますます増えていくものと思われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
光ディスクにおいて記録容量を向上する手段として、記録再生波長をより短波長化する方法、記録再生に用いる光を集光するレンズの集光力(NA)を上げる、記録層の層数を増やすなどの方法がある。追記型若くは書き換え型光ディスクでは記録再生波長の短波長化、対物レンズの高NA化が主流であり、記録層の多層化は1998年10月に漸く学会発表が行なわれたところである。
【0007】
この報告は、二つの相変化記録層の二層とも記録再生可能であるというものであったが、光入射側の記録層(第1記録層)が情報記録されている場合、未記録の場合、未記録領域と記録領域が混在する場合に、他方の記録層(第2記録層)が安定に記録できるものか懸念されている。実際、相変化記録材料は記録材料が未記録の状態即ち結晶状態の場合より記録された状態即ちアモルファス状態において第1記録層の光透過率が増加することがわかっている。報告内容では第1記録層の結晶時の光透過率は40%、アモルファス時は70%であった。
【0008】
第1記録層の光透過率がこの層の記録前後で大きく変動する場合には、一方の記録層、特に第1記録層全面に情報を記録した後に第2記録層の情報を記録するようにしなければならない。しかしこの場合、第1記録層、第2記録層各層に自由に信号の記録および再生を行なうことができないため、メディアとの情報のやり取りに大きな制限を加えることになり、多層光ディスクとしてのメリットを生かしきれない。更に、光ディスクに記録再生する情報の転送レートも近年益々高速化が望まれており、多層光ディスクの複数の記録層に同時に記録再生を行なうことによって転送レートを記録層の枚数分倍増する要求が高まっている。
【0009】
本発明は、この状況に鑑み、記録可能な多層光ディスクの各記録層に安定に記録再生できるようにし、且つ複数の記録層に対する同時記録再生を実現することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の多層光ディスクは、厚みが0.3〜1.2mmとなされた基板上に、2層の情報記録層が透明層を介して積層されることで記録部が形成されるとともに、当該記録部上に厚みが10〜177μmとなされた光透過保護層が形成されてなり、当該光透過保護層側から光が照射されて情報信号の記録及び/又は再生が行われる多層光ディスクにおいて、上記各情報記録層が、相変化材料を記録材料とするとともに、光透過保護層から離れた第2記録層に記録再生光を集光している場合で、光透過保護層側の第1記録層における記録再生光通過領域内に情報の記録されたトラックと未記録のトラックが混在する場合に、第1記録層の相変化記録材料が結晶時の第1記録層の光透過率(T1c)及び相変化記録材料に吸収される光吸収率(A1c)と、アモルファス時の光透過率(T1a)及び光吸収率(A1a)が以下の式を満たすことを特徴とするものである。
【0011】
0.8≦T1c/T1a≦1.2
70%≧T1c≧40%
70%≧T1a≧40%
A1c/A1a≧1.0
以上のように構成された本発明に係る多層光ディスクは、情報記録層が多層構造となされているので、情報記録層の厚み方向である3次元方向においても記録密度の増大が図られて、更なる大容量化が図られる。
【0012】
しかも、本発明に係る多層光ディスクは、光学的に最適化されているため、各記録層に安定に記録再生できる、且つ複数の記録層に対する同時記録再生が実現可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
相変化型光ディスクは、記録材料の結晶時の複素屈折率とアモルファス時の複素屈折率が大きくことなることを利用したものである。情報の未記録領域を結晶状態、記録領域をアモルファス状態にすることにより、これらの領域の記録再生光に対する反射率の差を作り出し、この反射率差をもって記録した情報の有無を判別するものである。また結晶状態は相変化材料を比較的ゆっくりと冷却することにより作り出すことができ、この原理を用いたものが相変化光ディスク業界で用いられる初期化装置である。アモルファス状態は比較的急激に冷却することにより作り出すことができ、情報の記録再生に用いるドライブはこの原理を用いている。
【0014】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施例においては二層の記録再生可能な相変化記録材料からなる記録層を有する多層光ディスクを扱う。
【0015】
図1は二層光ディスクの基本構成およびディスクへの記録再生光の入射方法を示す。
【0016】
この多層光ディスクは、熱可塑性樹脂からなる0.3〜1.2mmの厚みを有する支持基板上1に円周方向に連なる案内溝2があり、案内溝2上に2層の記録層のうち第2記録層3がスパッタリング法により成膜されており、第2記録層3の上に30μm程度の厚みで透明な中間層4を介して、案内溝構造を有する第1記録層5が形成されており、その上に100μm程度の厚みを持つ透明な光透過層6が形成されている。また記録再生に用いるレーザーの波長は650nm程度若くは400nm程度を用い、レーザー集光に用いる対物レンズ7の集光力を表すNAは0.85を用いる。このとき記録層上に集光される光の直径は波長650nmの場合0.9μm程度、波長400nmの場合は0.6μm程度になる。また情報記録は光入射側からみて凸となる案内溝(グルーブ)と凹となる案内溝(ランド)の両方に行なうものとする(ランド/グルーブ記録)。
【0017】
記録再生光の記録層への集光であるが、記録再生に使用するレーザー光は、この光を集光する目的で用いられる対物レンズを透過し集光される。集光された光は二層光ディスクの光透過層6に入射し、かつこの光透過層6を透過して第1記録層5に焦点を結ぶ。または、さらに第1記録層5を透過し中間層4も透過して第2記録層3に焦点を結ぶ。第1記録層5、第2記録層3の各々に焦点を結ぶ方法には、ひとつの対物レンズを用い、対物レンズの位置を光軸方向に移動することにより達成する方法と、二つの異なる対物レンズと対物レンズと対になるレーザー光を用いて各々の記録層に焦点を結ぶ方法がある。
【0018】
次に、光ディスク内における第1、第2記録層における光反射率、光透過率、光吸収率定義について説明する。
【0019】
図2は本実施例において用いる多層光ディスク内部における入射光の各記録層での反射率、透過率の定義を示す。R1cは第1記録層5の記録材料が結晶状態の場合の第1記録層5に入射した光の反射率を示し、T1cはこのときの第1記録層5における透過率を示す。R1aは第1記録層5の記録材料がアモルファス状態の場合の第1記録層5に入射した光の反射率を示し、T1aはこのときの第1記録層5における透過率を示す。第1記録層5に入射した光のうち記録材料に吸収された光の割合をA1c,A1aとする。
【0020】
R2cは第2記録層3の記録材料が結晶状態の場合の第2記録層3に入射した光の反射率を示し、R2aは第2記録層3の記録材料がアモルファスの場合の第2記録層3に入射した光の反射率を示す。第2記録層3に入射した光のうち記録材料に吸収された光の割合をA2c,A2aとする。
【0021】
R’2cは第2記録層3の記録材料が結晶状態の場合の光透過層に入射した光が第1記録層5を透過し第2記録層3で反射しもう一度第1記録層5を透過して光透過層に戻った光量の入射光に対する比率を示す。R’2aは第2記録層3の記録材料がアモルファス状態の場合の光透過層に入射した光が第1記録層5を透過し第2記録層3で反射しもう一度第1記録層5を透過して光透過層に戻った光量の入射光に対する比率を示す。
【0022】
書き換え型の相変化光ディスクに於いて、Ac/Aa≧1.0が良いとされる。この値は情報の書き換え特性に影響を与えるものであり、値が高いほどよいとされる。既に記録マークの存在する上に情報を記録する場合この値が高いほど既存のマークを先行結晶化と呼ばれる原理で消す、即ち結晶化してくれる。
【0023】
一方、記録再生に用いるレーザーの光強度は波長660nmにて半導体レーザー単体でDCパワー50mW、パルスで70mW出力可能なものが存在する。これを用いることにより対物レンズ出射後でパルスにて最大18mWが実現できている。
【0024】
本例では、第2記録層3は、図3に示す構成で第2記録層単体としてのレーザー波長650nmに対し反射率は33.5%、記録パワーは7mWで実現できている。また記録パワーの変動に対する許容度即ちパワーマージンは中心パワーに対し±20%程度を実現している。
【0025】
第1記録層5の透過率範囲であるが、第2記録層3の記録再生に充分な光を第2記録層3に到達させるためには、現在得られる記録パワーと第2記録層3の記録パワーを考慮すると、第1記録層5の透過率は最低40%必要である。また第1記録層5の透過率の上限は第1記録層5が記録可能である必要から決まり、現在得られる記録パワーを考慮すると第1記録層5の光透過率70%、光吸収率20%、光反射率10%程度が得られており、この70%透過率の上限になっている。以上より第1記録層5の透過率範囲は
70%≧T1c≧40%
70%≧T1a≧40%
である。
【0026】
情報記録条件として、レーザー波長650nmでは、記録線速6m/sec以上、記録線密度0.23μm/bit以下を用い、2層での情報容量が17Gbyte以上、転送レート26Mbps(raw data)以上である。
【0027】
レーザー波長400nmでは、記録線速6m/sec以上、記録線密度0.14μm/bit以下を用い、2層での情報容量が34Gbyte以上、転送レート42Mbps(raw data)以上である。
【0028】
DVDのようなNA0.6、光透過層0.6mm程度を有する光ディスクにおいても同様の議論をすることができることは言うまでもない。
【0029】
第1記録層が書き換え可能な相変化記録材料からなり、予めメーカー側で情報記録領域全面に情報としてのいみを持たない信号を記録しておくことにより、ユーザーが使用する時にはユーザーによる第1記録層記録の前後で第1記録層内の結晶領域とアモルファス領域の面積比が変らず、常に第2記録層を安定に記録再生することが可能になる。
【0030】
第1記録層を実現する記録層構成の1例として図4に示す。ここではランドグルーブ記録を前提としているので、情報記録後の第1記録層内の結晶領域とアモルファス領域の比率が等しい。よって第2記録層に記録再生光の焦点を結んでいるときの第1記録層での光透過率は59.8%になる。
【0031】
図5、6に、第1記録層の他の構成例を示す。記録再生波長は650nnmを前提としている。図5は記録前後の反射率変化がいわゆるHigh to Lowのタイプ(以下、H−Lと称する。)の例であり、図6はLow to Highタイプ(以下、L−Hと称する。)の例である。H−LタイプとL−Hタイプにおける光エネルギー配分を図7に示す。この例では以下の関係式を満たす。
【0032】
図5の膜構成
0.8≦Tc/Ta=0.80≦1.2
70%≧T1c=63.3%≧40%
70%≧T1a=79.1%≧40%
Ac/Aa=1.69≧1.0
図6の膜構成
0.8≦Tc/Ta=0.81≦1.2
70%≧T1c=54.9%≧40%
70%≧T1a=68.1%≧40%
Ac/Aa=1.70≧1.0
本発明で規定する光学特性を満たすにあたり、第1記録層に入射した光の透過率が40%以上であるには記録材料により吸収される光エネルギーが60%以下でなければならないことは明白である。光に対する吸収係数を有する材料中を通過する場合の光エネルギーの変化を図8に示す。光が一度だけ記録材料膜を通過したときの、記録膜に入射した光に対する光透過率は記録膜の吸収係数をkとすると
exp(−4π・k・dr/λ)
で表される。記録層は一般に光多重干渉膜であるが、高い透過率を得るためには記録材料膜内を光が一度だけ透過することが望ましいが、このときに既に記録材料膜による光吸収率が60%以上あると透過率を稼ぐことができず、多層光ディスクを実現することができない。以下の式により記録材料膜の厚さの上限が決まってしまう。
【0033】
exp(−4π・k・dr/λ)≧40%
また記録材料膜厚の下限も存在する。記録材料膜をスパッタリング法により成膜する場合5nm以下の厚みでは薄膜を形成することができず、材料が島状に点在することが知られている。よって記録材料膜厚は5nm以上であることが望ましい。
【0034】
以上より記録材料膜厚は以下の式を満たす必要がある。
【0035】
exp(−4π・k1c・dr/λ)≧40%
exp(−4π・k1a・dr/λ)≧40%
dr ≧5nm
図4、5、6および後述する図9に示す第1記録層の層構成例では先の膜厚条件を全て満たしている。
【0036】
図9に記録再生波長400nmの場合の第1記録層構成を示す。第1記録層で現在広く使用されている相変化記録材料:Ge2Sb2Te5 は波長400nmにおいて屈折率および結晶、アモルファス間の吸収率比が小さくなりH−Lタイプの記録層構成で以下の条件を満たすことが難しく、実際に層構成を見つけられずにいる。L−Hタイプの記録層構成で条件を満たす層構成を得ることができた。その一例を図9に示している。図9の構成例では以下の条件を満たす。
【0037】
0.8≦Tc/Ta=1.04≦1.2
70%≧T1c=53.5%≧40%
70%≧T1a=51.1%≧40%
Ac/Aa=1.10≧1.0
よって記録再生波長400nmにおいては、情報記録タイプをL−Hタイプにすることが高性能な書き換え型多層光ディスクを実現する上で望ましい。
【0038】
図9に示した層構成例からわかるように記録前即ち記録層が結晶状態における反射率は3%以下である。多層ディスクの光入射側最表面は一般にポリカーボネートや紫外線硬化樹脂等が用いられ、この表面での光反射率は5%程度になる。一方ここで扱う光透過層は100μm程度で従来の光ディスク例えばDVDに比べ1/6以下と薄く中間層厚に近い膜厚になっている。第1記録層や第2記録層に入射光の焦点を結ぶときには各記録層からの反射光や反射光を元に演算を行なって得られるフォーカスサーボ用エラー信号を検出して各記録層に焦点を結ぶタイミングをはかるが、光透過層が薄いとこれらの各記録層からの情報と光透過層表面からの反射光による同様の信号の分離が難しくなる。結果として各記録層からの反射光と光透過層からの反射光のうちより反射率の高いところに焦点を結びやすくなる。よって光透過層表面の反射率は記録層反射率より低いことが望ましい。第1記録層や第2記録層に焦点を結ぶ場合各層の反射率はフォーカスサーボをかけるためには2%以上あることが望ましい。よって光透過層表面の反射率は2%以下が望ましい。
【0039】
上記L−Hタイプの多層光ディスクとする場合、表面の反射を防止するための光干渉膜を設けることが好ましい。以下、これについて説明する。
【0040】
図10は多層光ディスク内部における入射光の各記録層での反射率、透過率の定義を示す。Rsは光透過層表面の反射率を示しTsはこの透過率を示す。
【0041】
R1は第一記録層に入射した光の反射率を示し、T1第一記録層における透過率を示す。R2は第二記録層に入射した光の反射率を示す。R2’は光透過層に入射した光が第一記録層を透過し第二記録層で反射しもう一度第一記録層を透過して光透過層に戻った光量の入射光に対する比率を示す。
【0042】
表1に、光透過層表面に後述する図12に示す反射率低減の為の光干渉膜がある場合とない場合の、光透過層表面、第1記録層、第2記録層の反射率を示す。図11に光干渉膜がない場合の状態おけるフォーカスサーチ時のフォーカスエラー信号を示す。フォーカスサーチとは図1において対物レンズを上下方向に動かし、光の焦点位置に第1記録層、第2記録層を横切らせる動作のことをいう。
【0043】
【表1】
【0044】
このとき焦点位置は光透過層表面をもよぎる。また今回はフォーカスエラー検出方式に非点収差法を用いている。図11では、フォーカスサーチに伴うエラー信号が3つ現われており、それぞれ光透過層6表面、第1記録層5、第2記録層3より発生したものである。これらの信号振幅が皆同等レベルであるので、図11の信号を用いてフォーカスサーボの引き込み動作を行なうと、光透過層6表面、第1記録層5、第2記録層からのエラー信号振幅が皆同等レベルであるので、誤って光透過層表面に光の焦点を結ぶ確率が高くなる。
【0045】
次に光透過層表面に反射率低減の為の光干渉膜を設けた場合について考える。図12に光透過層表面に設けた光干渉膜の構成を示す。図13に光干渉膜8を設けた状態おけるフォーカスサーチ時のフォーカスエラー信号を示す。図11に比べ図13では光透過層表面によるフォーカスエラー信号振幅が低減しており、記録層と明確に区別できることがわかる。
【0046】
図12に示す光干渉膜構成にて各透明層の膜厚と屈折率をパラメータとしたときの反射光量を数式化したものを以下に示す。薄膜の境界面における接線成分として、入射光振幅をEi、反射光振幅をEr、透過光振幅をEtとし光学薄膜の反射率計算に用いられる特性マトリクスによって関係式を記述すると下記の数1で表される。
【0047】
【数1】
【0048】
エネルギー反射率は
|Er/Ei|2 ・・・数2
で示されるので前述の特性マトリクスを用いた関係式より計算することができる。
【0049】
光透過層単体の表面反射率が4%程度であるので、第1記録層、第2記録層の反射率R1’,R2’(=5%)と反射光量は、ディスク表面反射率を区別するには、ディスク表面反射率は2%以下であることが望ましい。よって数1、数22は以下の関係式3(数3)を示すことが望まれる。
【0050】
|Er/Ei|2≦2% ・・・数3
数2を満たし反射率低減光干渉膜として機能するn1,n2,d1,d1の組み合わせは無数にあるので幾つかの事例を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
さらに光透過層表面における反射率を極力低減するには、数1、数2にて
n1×d1=n2×d2= λ/4(但しλは入射光の真空中の波長)・・・数4
且つ
(n2/n1)2 =ns ・・・数5
且つ
n1<n2>ns ・・・数6
を満たすことが望ましい。この時反射率は理論的には0%になる。実際には薄膜製造誤差により多少のずれが生じるが、反射率を0.2%程度まで低減することは可能である。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、例えば上述の膜構成に限られるものではない。
【0054】
図14〜図18に第1記録層としての能力を有する層構成のタイプを記述しておく。
【0055】
図19〜図22に第2記録層としての能力を有する層構成のタイプを記述しておく。
【0056】
また、第1記録層の記録再生鳩長400nmに対する具体的な実験結果について、表3〜表7に記載した。これらの例で用いた材料の光学特性は表8に示す通りである。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
いずれの場合にも、H−LタイプよりもL−Hタイプの方がAc/Aaが大きい。
【0064】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、第1記録層の透過率を40%以上確保し、かつ第2記録層を記録再生するときの第1記録層の透過率変動が小さくなるようにしておくことで、第1記録層、第2記録層共に記録再生を可能にしている。
【0065】
第1記録層が書き換え可能な相変化記録材料を用いている場合には、製造者側であらかじめ第1記録層の情報記録領域全面に信号を記録しておくことで、ユーザーが使用するときの第1記録層の透過率は常に一定になり、安定した記録再生が行なえるようになる。
【0066】
また、第1記録層に情報記録を行なう前後で第1記録層の透過率変動を第2記録層のパワーマージン内に抑えることにより、第2記録層への情報記録が第1記録層の記録状態によらず常に安定して行なうことができるようになる。この場合、製造者側であらかじめ情報を記録しておく必要がなくなり、製造コストを抑えることができ、メディアの価格も下げることができ、メディアの価格競争力が上がる。
【0067】
さらに、第1記録層と第2記録層に対する記録順序に規制を加える必要がなくなり、二つの記録層に対する同時記録再生を行なうことができるようになり、記録再生情報の転送レートが記録層を一層のみ有する光ディスクに比べて少なくとも2倍にすることができる。これにより、高転送レート相変化光ディスクによるハイビジョン放送のリアルタイムレコーディングが可能になる。
【0068】
また光透過層表面に反射防止膜を形成することにより、記録再生ドライブに記録層と光透過層表面を判別する機構を付加することなく安定に記録層に記録再生光の焦点を結ぶことができるようになり、ドライブを安価に製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二層光ディスクの基本構成及び光入射方法を示す模式図である。
【図2】二層ディスクにおける第1記録層、第2記録層の反射率、透過率の定義を説明するための模式図である。
【図3】第2記録層の層構成の一例を示す模式図である。
【図4】第1記録層の層構成の一例を示す模式図である。
【図5】第1記録層の層構成の他の例を示す模式図である。
【図6】第1記録層の層構成のさらに他の例を示す模式図である。
【図7】H−LタイプとL−Hタイプにおける光エネルギー配分を示す模式図である。
【図8】吸収を持つ媒質中を進行する光の様子を示す模式図である。
【図9】第1記録層の層構成のさらに他の例を示す模式図である。
【図10】二層ディスクにおける第1記録層、第2記録層、光透過保護層の反射率、透過率の定義を説明するための模式図である。
【図11】光透過保護層表面に光干渉膜がない場合のフォーカスサーボ時のフォーカスエラー信号を示す模式図である。
【図12】光干渉膜の膜構成の一例を示す模式図である。
【図13】光透過保護層表面に光干渉膜が有る場合のフォーカスサーボ時のフォーカスエラー信号を示す模式図である。
【図14】第1記録層としての能力を有する層構成の一例を示す模式図である。
【図15】第1記録層としての能力を有する層構成の他の例を示す模式図である。
【図16】第1記録層としての能力を有する層構成のさらに他の例を示す模式図である。
【図17】第1記録層としての能力を有する層構成のさらに他の例を示す模式図である。
【図18】第1記録層としての能力を有する層構成のさらに他の例を示す模式図である。
【図19】第2記録層としての能力を有する層構成の一例を示す模式図である。
【図20】第2記録層としての能力を有する層構成の他の例を示す模式図である。
【図21】第2記録層としての能力を有する層構成のさらに他の例を示す模式図である。
【図22】第2記録層としての能力を有する層構成のさらに他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 支持基板、3 第2記録層、4 中間層、5 第1記録層、6 光透過保護層

Claims (5)

  1. 厚みが0.3〜1.2mmとなされた基板上に、2層の情報記録層が透明層を介して積層されることで記録部が形成されるとともに、当該記録部上に厚みが10〜177μmとなされた光透過保護層が形成されてなり、当該光透過保護層側から光が照射されて情報信号の記録及び/又は再生が行われる多層光ディスクにおいて、
    上記各情報記録層が、相変化材料を記録材料とするとともに、
    光透過保護層から離れた第2記録層に記録再生光を集光している場合で、光透過保護層側の第1記録層における記録再生光通過領域内に情報の記録されたトラックと未記録のトラックが混在する場合に、第1記録層の相変化記録材料が結晶時の第1記録層の光透過率(T1c)及び相変化記録材料に吸収される光吸収率(A1c)と、アモルファス時の光透過率(T1a)及び光吸収率(A1a)が以下の式を満たすことを特徴とする多層光ディスク。
    0.8≦T1c/T1a≦1.2
    70%≧T1c≧40%
    70%≧T1a≧40%
    A1c/A1a≧1.0
  2. 第1記録層の相変化記録材料の厚さ(dr)が以下の式を満たすことを特徴とする請求項1記載の多層光ディスク。
    dr≧5nm
    exp(−4π・k1c・dr/λ)≧40%
    exp(−4π・k1a・dr/λ)≧40%
    (但し、式中のλは記録再生に用いるレーザー波長である。)
  3. 記録再生波長が385nm〜450nmの場合に、第1記録層の相変化記録材料が結晶状態よりもアモルファス状態の方が第1記録層の反射率が高い記録モードを有することを特徴とする請求項1記載の多層光ディスク。
  4. ディスクの最表面の光透過層における記録再生光に対する反射率が2%以下になるように反射防止膜を形成するようにしたことを特徴とする請求項3記載の多層光ディスク。
  5. 反射防止膜は、記録再生波長に対して透明で且つ異なる屈折率を有する誘電体薄膜からなることを特徴とする請求項4記載の多層光ディスク。
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