JPS6335195B2 - - Google Patents

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JPS6335195B2
JPS6335195B2 JP58071991A JP7199183A JPS6335195B2 JP S6335195 B2 JPS6335195 B2 JP S6335195B2 JP 58071991 A JP58071991 A JP 58071991A JP 7199183 A JP7199183 A JP 7199183A JP S6335195 B2 JPS6335195 B2 JP S6335195B2
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JP
Japan
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pitch
temperature
spinning
raw material
carbon
Prior art date
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Application number
JP58071991A
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JPS59196390A (ja
Inventor
Yasuhiro Yamada
Takeshi Imamura
Masao Shibata
Seiji Arita
Hidemasa Pponda
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
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Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
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Priority to US06/603,203 priority patent/US4606808A/en
Priority to EP84104574A priority patent/EP0124062B1/en
Priority to DE8484104574T priority patent/DE3465748D1/de
Publication of JPS59196390A publication Critical patent/JPS59196390A/ja
Publication of JPS6335195B2 publication Critical patent/JPS6335195B2/ja
Granted legal-status Critical Current

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Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10CWORKING-UP PITCH, ASPHALT, BITUMEN, TAR; PYROLIGNEOUS ACID
    • C10C3/00Working-up pitch, asphalt, bitumen
    • C10C3/005Working-up pitch, asphalt, bitumen by mixing several fractions (also coaltar fractions with petroleum fractions)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10CWORKING-UP PITCH, ASPHALT, BITUMEN, TAR; PYROLIGNEOUS ACID
    • C10C3/00Working-up pitch, asphalt, bitumen

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Civil Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)
  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)

Description

【図面の簡単な説明】
第1図は水素化処理したピツチから得られた炭
素繊維破断面の走査型電子顕微鏡写真であり、第
2図は本願発明の方法で得られた炭素繊維破断面
の写真である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 コールタールまたはナフタリン油、クレオソ
    ート油、吸収油、アントラセン油、ナフサの熱分
    解時に副生する軽油である芳香族系油を加えたコ
    ールタールピツチを接触分解触媒存在下、自生圧
    下、350〜500℃で10〜60分間処理し、ついで、固
    形不溶分を除去した後、常圧下または減圧下で
    430℃以上の温度で60分以内処理することを特徴
    とする炭素繊維用ピツチの製造方法。 【特許請求の範囲】 本願発明は重質歴青物であるコールタール、コ
    ールタールピツチを原料とし、これを2工程、す
    なわち、前処理を行う第1工程と前処理した原料
    ピツチを430℃以上の高温で60分以内の短時間処
    理する第2工程より成る炭素繊維用ピツチの製造
    方法に関するもので、特に第1工程の前処理方法
    として、原料ピツチを芳香族系油またはそれに接
    触分解触媒存在下で350〜500℃で処理することを
    特徴とするものである。 炭素繊維は比重が小さく、強度、弾性率が高
    く、かつ、耐熱性、耐薬品性、導電性に優れてい
    る特性を生かし、断熱材、構造部材あるいはスポ
    ーツ用品などに使用され、将来に亘つて多量の需
    要が見込まれている。 この炭素繊維の原料は、現在、主としてポリア
    クリロニトリル(以下、PAN系)とピツチ類が
    用いられている。PAN系は引張強度350Kg/mm2
    高強度品、弾性率約40t/mm2の高弾性品、更に高
    強度、高弾性品が製造され、最近は引張強度約
    500Kg/mm2、伸度約2%のものが製造されるなど、
    優れた物性を持つものである。しかし、アクリロ
    ニトリル繊維からの収率は60%以下と低く、か
    つ、値段が高いという欠点を有している。一方、
    ピツチ系は強度100Kg/mm2以下の低強度品(GP
    品)は、すでに製造されているが、PAN系に相
    当するような高強度品(HP品)はいまだ製造さ
    れていない。強度200Kg/mm2、高弾性品がわずか
    に製造されているが、この物性は必ずしも満足す
    べきものではない。 ピツチ類を原料として、HP品の炭素繊維を製
    造するためには、紡糸用ピツチは光学的に異方性
    な性質、すなわち、炭素質メソフエースであるこ
    とが必要であり、このことはすでに公知である。
    その理由はピツチ類を加熱して、熱分解、熱重合
    反応によつて炭素に変換する際、光学的等方性物
    質であるピツチ中に光学的異方性物質(メソフエ
    ース)が形成し、これがピツチ類全体に及び、つ
    いで固化して炭素となる過程、いわゆる液相炭素
    化過程を経由する。この液相炭素化過程を経由す
    るのはピツチ類がかなり多量の場合であつて、繊
    維の如き微小領域内では炭素化過程でピツチを構
    成する分子の移動が阻害され、分子の移動が生じ
    ないまま炭素化される、いわゆる固相炭素化過程
    と同様の過程を経由して炭素となる。そのため、
    紡糸した繊維状ピツチ(以下、ピツチ繊維)中の
    分子の配列の程度で、得られる炭素繊維がGP品
    となるか、HP品になるかが決まり、しかもそれ
    は紡糸用ピツチが光学的等方性であるか、あるい
    はメソフエースピツチであるかで決まる。したが
    つて、ピツチ類を原料としてHP品の炭素繊維を
    製造するためには紡糸用ピツチがメソフエースピ
    ツチである必要があるが、特定の原料ピツチ以
    外、通常のピツチ類からメソフースピツチを製造
    しても、このピツチは紡糸が不可能かあるいは非
    常に困難である。紡糸可能なメソフエースを形成
    する特定の原料ピツチとして知られているのはテ
    トラベンゾフエナジンからのピツチ、ナフサや原
    油の高温(約2000℃)分解残渣タール、あるいは
    ナフサ等のFCC法等による接触分解残渣タール
    であるが、これらのピツチ類は量的に限定された
    ものである。 多量に副生する原料ピツチ、すなわち、コール
    タールピツチやナフサの熱分解残渣タールでは前
    述のように、前処理を行うことなく熱処理によつ
    てメソフエースピツチを調製しても、紡糸容易な
    ピツチを得ることはできない。そのため、前処理
    法としていくつかの方法が提案されている。その
    代表的な方法は水素化処理法である。(たとえば、
    特開昭57−88016公報等)。これらの方法は原料ピ
    ツチを芳香族系油と共に無触媒、水素加圧下で処
    理し、ついで、約400℃で長時間熱処理してメソ
    フエースを形成させるものである。本発明らも、
    先に、上記の方法と同様に水素化処理したピツチ
    類を450℃以上で減圧下または常圧下で短時間処
    理する方法を提案した(特開昭58−18421公報、
    特開昭58−196292号公報(特願昭57−80670))。
    この方法は第1工程の水素化処理と第2工程の高
    温、短時間処理の組合せによりメソフエースの前
    駆体であるプリメソフエースを形成させるもので
    あつて、紡糸用ピツチが必ずしもメソフエースで
    ある必要でない点に特徴がある。このプリメソフ
    エースは紡糸用ピツチおよびピツチ繊維の状態で
    は光学的等方性であるが、ピツチ繊維を焼成して
    炭素化したときに光学的異方性に変化するもので
    ある。 上記と同様に紡糸用ピツチの段階で必ずしもメ
    ソフエースピツチでない他の方法も提案されてい
    る(特開昭57−100186号公報)。この方法は原料
    ピツチをあらかじめ熱処理してメソフエースを形
    成させ、このピツチをエチレンジアミンとリチウ
    ムにより水素還元するもので、潜在的異方性ピツ
    チと呼ばれている。 これらのいくつかの方法にみられるように、紡
    糸容易なメソフエースピツチまたはそれに類似の
    ピツチを調製することはピツチ系炭素繊維を製造
    するために重要な問題である。 原料ピツチをあらかじめ水素化処理を行うこと
    は紡糸容易なピツチを製造するために、極めて有
    効な方法であると共に、使用可能な原料ピツチの
    種類を拡げることができるのである。しかしなが
    ら、原料ピツチがいかに安価といえども水素化処
    理を行うことは製造コストの上昇をもたらすこと
    は否定できない。そこで、本発明者らは先に、原
    料ピツチの水素化処理時の水素消費量を実質的に
    減少させるが、それから製造される紡糸用ピツチ
    の紡糸性を低下させない方法として、水素化処理
    ピツチと非水素化ピツチを混合し、この混合ピツ
    チを450℃以上で短時間処理する方法を提案した
    (特開昭59−136383号公報)。この方法によつて、
    紡糸性を低下させずに混合可能な非水素化ピツチ
    の量は水素化ピツチと等量以下であるが、単純に
    計算すると、水素消費量は50%以下になると共
    に、水素化処理を必要とするピツチの量の減少、
    すなわち、設備も小型化できる効果を持つてい
    る。しかし、この方法においても水素化処理を行
    うことは避けられない。 本願発明の目的の1つは紡糸性の優れたピツチ
    を製造するためには何らかの前処理を必要とする
    という前提に立つて、その方法として水素化処理
    以外の方法を提案するものである。 一方、ピツチ系炭素繊維の特徴として、高い弾
    性率を有することである。これはPAN系と比較
    して、繊維を構成する炭素層面が広い面を持ち、
    これが繊維軸方向に平行配列しているためと考え
    られる。高弾性率を有することは高強度か、ある
    いは低伸度であるかを意味する。強度は炭素層面
    の長さや欠陥の有無に依存すると考えられるのに
    対し、伸度は炭素層面の曲がりの程度に依存する
    と考えられる。すなわち、炭素層面が繊維軸に平
    行配列をしているのではなく、平行配列の度合が
    小さくなる程、伸度も大きくなると考えられる。 現在のピツチ系炭素繊維は原料ピツチの構成分
    子が主として縮合多環芳香族化合物であり、しか
    も紡糸用ピツチはそれを更に重縮合させたメソフ
    エースまたはその前駆体であることから、必然的
    に広い面を持つ炭素層面で構成されたものになら
    ざるを得ない。このことは高弾性率化には有利で
    あるが、高い伸度を有する炭素繊維を製造するに
    は不利である。 ピツチ類を原料として、得られる炭素繊維の物
    性を制御するための技術開発はなされていない。
    広い意味での物性制御は紡糸用ピツチとして、光
    学的等方性のピツチかあるいはメソフエースピツ
    チを用いることによつて、GP品かHP品かになる
    ことから行われているにすぎず、今の所、これ以
    外にはない。 本願発明の第2の目的はピツチ類の処理方法を
    検討することによつて、得られる炭素繊維の物性
    を変えることにある。 上記2つの目的を実現すべく鋭意研究を重ねた
    結果、原料ピツチを芳香族系油と接触分解触媒を
    加え、自生圧下、350〜500℃で処理し、ついで、
    固形不溶分を除去した後、430℃以上の温度で減
    圧下または常圧下処理することによつて、得られ
    る紡糸用ピツチ(メソフエースピツチ)がほぼ所
    期の目的を達する方法であることを見い出し、本
    願発明をなすに至つた。 以下、本願発明の方法を説明する。 用いられる原料ピツチはコールタール、コール
    タールピツチの石炭系ピツチである。石油系ピツ
    チであるナフサタールはそれ単独では本願発明の
    方法で紡糸性に優れたピツチを得ることができず
    好しくないが、石炭系ピツチと混合処理すれば使
    用できる可能性はある。 室温固体のコールタールピツチを用いる場合、
    芳香族系油を加える必要がある。これは加熱処理
    した際、芳香族系油が溶剤として作用し、ピツチ
    の過度の重縮合反応によるコークス類似物の不溶
    成分の生成を押えると共に、固体ピツチを流体と
    して取扱容易にする利点がある。当然のことなが
    ら、コールタールでは芳香族系油を加える必要は
    ない。用いられる芳香族系油はコールタールの蒸
    留油、すなわち、ナフタリン油、クレオソート
    油、吸収油、アントラセン油等であり、さらに、
    ナフサ熱分解時に副生するナフタリン等を主成分
    とする軽油である。これらの芳香族系油は原料ピ
    ツチに対して、50〜200重量%用いる。好しくは
    50〜100重量%である。50重量%以下ではピツチ
    類は室温で半固体状となり、取扱困難である。
    200重量%以上では多量の回収操作を行わなけれ
    ばならないので、経済性に問題がある。 本願発明の方法は芳香族系油存在下の原料ピツ
    チに更に接触分解触媒を加えて熱処理することで
    ある。ここで用いられる触媒はガソリン改質に用
    いられるシリカーアルミナやゼオライト触媒であ
    る。この量は原料ピツチに対して20重量%以下で
    十分である。 原料ピツチ、芳香族系油またはそれらに触媒を
    加えたものは密閉容器、通常、オートクレーヴに
    入れ、350〜500℃、好しくは350〜450℃の温度範
    囲で10〜60分間処理する。この処理において、密
    閉容器を用いる自生圧下で行うのは芳香族系油の
    系外排出を防ぐ目的であり、特に積極的な加圧を
    行う必要はない。また、処理時間は430℃以上の
    高温では過度の熱重合反応による不溶成分の生成
    を防ぐために、短時間にする必要があり、それ以
    下の温度では長くする必要があるが、350℃でも
    60分間処理すれば十分である。 熱処理物は過、遠心分離等の適当な方法によ
    つて、不溶固形分、触媒を除去する。この不溶固
    形分は原料ピツチ中に含有していたフリーカーボ
    ンと触媒であるが、過度の熱処理を行つた場合は
    メソフエースが含まれる場合がある。メソフエー
    スが生成しても、フリーカーボンと共に除去され
    るので、紡糸性の優れたピツチの製造には障害に
    なることはないが、その分だけ損失となるので、
    過度の熱処理は出来るだけ避けた方がよい。 不溶固形分を除去した処理ピツチは必要ならば
    蒸留操作によつて芳香族系油を回収する。回収し
    た芳香族系油はそのまま原料ピツチの処理に用い
    ることができる。芳香族系油を回収した処理ピツ
    チあるいは芳香族系油を含んだままの処理ピツチ
    は430℃以上の高温、短時間処理によつて紡糸用
    ピツチとする。すなわち、減圧あるいはガス吹き
    込み可能な容器に処理ピツチを入れ、これをあら
    かじめピツチの温度が430℃以上の所定温度にな
    るように加熱した炉中に入れて急速に加熱する。
    所定温度での保持時間は60分以内であり、この時
    間は当然のことながら、温度が高いと短時間とな
    り、低温では長時間となる。 ここでの処理条件の選定は紡糸性の優れたピツ
    チを製造するために重要である。すなわち、この
    処理によつて、低沸点成分の除去と熱重合反応に
    よつてメソフエースを形成させるのである。低沸
    点成分の除去が不十分であると、紡糸時にこの成
    分が遊離し、相分離を起こして紡糸が非常に困難
    となるか、場合によつては不可能となる。さらに
    過度の処理によつてメソフエースを形成させ過ぎ
    るとピツチの軟化点が上昇し、紡糸温度を高くす
    るため、紡糸時にピツチの変質を生ずる。また、
    急速に所定温度まで加熱することはメソフエース
    の生成に時間的な差異を生じさせることを防ぎ、
    それによつてメソフエースの性質を同一にして紡
    糸時に均質相を形成させる。 紡糸性に優れた一般的な紡糸用ピツチの性状は
    軟化点240〜300℃、ベンゼン不溶分量85〜95重量
    %のものである。ベンゼン不溶分量が80重量%以
    下になると紡糸時に相分離を起こしやすくなる。
    キノリン不溶分量は約10重量%以上であり、この
    量が約60重量%以下であると、特にこの量によつ
    て紡糸性は影響されない。固定炭素量は約90重量
    %である。なお、これらの値はJISK−2425の規
    定にしたがつて測定したものである。 上記の性状を持つピツチは、減圧度あるいはガ
    ス吹き込量、温度と時間を選定することによつて
    得ることが出来る。なお、前述のように、430℃
    以上の温度で所定時間保持する。いわゆる、1段
    の処理方法の他に、あらかじめ、450℃以上で加
    熱し、この温度に達した後、直ちに、400〜430℃
    まで降温し、この温度で所定時間保持する2段の
    処理方法でもよい。この方法では所望の性状のピ
    ツチを製造する保持時間が低い温度で処理するた
    めに長くなり、選択できる範囲が広くなると共
    に、低沸点成分の除去がほぼ完全に行える利点が
    ある。 このようにして得られた紡糸用ピツチは通常の
    熔融紡糸法によつて紡糸可能である。すなわち、
    0.3〜0.5mmの口径を持つノズルを付けた紡糸筒に
    紡糸用ピツチを入れ、加熱により熔融させ、上部
    よりガス圧またはシリンダーにより押出し、これ
    を所定速度で回転するドラムに巻取ることによつ
    て連続なピツチ繊維とする。ドラムの表面速度は
    300m/min以上で紡糸可能であり、ピツチ繊維
    の径は約10μmであり、約7μmのものまで製造可
    能である。紡糸可能なピツチ温度は40〜80℃の範
    囲にある。ピツチ繊維は空気中で約300℃まで加
    熱して不融化処理し、ついで、不活性ガス中で炭
    素化して炭素繊維とする。また、必要に応じて
    2000℃以上で焼成して黒鉛化繊維とする。 上述のように、本願発明の方法によつて、水素
    化処理を行なわずに、紡糸容易なピツチが製造出
    来るが、その理由は明らかでない。ただ、原料ピ
    ツチと芳香族系油と触媒存在下での処理後のガス
    成分の分析の結果、水素とメタンの生成がかなり
    の量認められることから、この水素による水素化
    と芳香核側銷の切断が生じていることが推定され
    る。なお、ガスの生成量は当然ながら触媒存在下
    の方が多い。同一処理条件で無触媒の場合と比較
    すると、触媒存在下の方が約1.5倍量であり、そ
    の約80%は水素とメタンで占められている。 更に特徴的なことは得られた炭素繊維の構造と
    それを反映する物性である。水素化処理した原料
    ピツチから得られる炭素繊維は、前述のように、
    広い面を持つ炭素層面が繊維軸方向に平行配列し
    たものである。この配列は繊維軸に対して垂直方
    向の破断面を走査型電子顕鏡で観察することによ
    つて容易に認めることができる。なお、観察を容
    易にするためには、2000℃以上で黒鉛化処理する
    とよい。その1例を第1図に示した。この繊維は
    実施例1で用いた原料ピツチAを特開昭58−
    18421公報に記載した方法に基づいて、テトラヒ
    ドロキノリンで水素化処理したものから得られた
    もので、炭素層面は放射状、同心円状に配列して
    いるのがわかる。これに対して、本願発明の方法
    にしたがつて、同一原料ピツチを処理したものか
    ら得られた炭素繊維の構造は第2図に示すよう
    に、特に炭素層面の配列は認められないのであ
    る。この構造の違いは炭素繊維の物性の違いとな
    つて表われる。この物性のうち、引張強度は1000
    ℃で焼成したもので200Kg/mm2以上と特に違いは
    認められないが、伸度は水素化処理した場合、
    1000℃焼成の繊維で1.5〜1.8%、2800℃処理繊維
    で0.4〜0.5%であるのに対し、本願発明の場合は
    1000℃焼成で2.0〜2.5%、2800℃処理繊維では0.7
    〜1.0%と大きくなる。更に、構造に敏感な電気
    比抵抗は2000℃以上の黒鉛化繊維で顕著な差が認
    められる。すなわち、水素化処理した場合2800℃
    の黒鉛化繊維で2〜3×10-4Ω・cmであるのに対
    し、本願発明の場合は4〜8×10-4Ω・cmと大き
    くなる。しかも、この値は実施例で示すように紡
    糸時のピツチ温度で変化する。更に、この値を、
    現在市販されているメソフエースピツチ系および
    PAN系の2800℃黒鉛化繊維で比較すると、前者
    が3〜4×10-4Ω・cm、後者は9〜10×10-4Ω・
    cmであり、メソフエースピツチ系とPAN系の中
    間の値を持つ繊維であることがわかる。 このように、本願発明によつて得られる炭素繊
    維は構造と物性において、従来知られていない新
    しいものといえる。 以下、実施例を挙げて本願発明の方法を更に詳
    細に説明する。 実施例 1 第1表に示した性状のコールタールピツチA,
    Bの2種類を原料ピツチとした。芳香族系油はア 【表】 ントラセン油の減圧蒸留により得た、200℃(10
    mmHg)の沸点以下の留分を用いた。 ピツチ、アントラセン油および触媒の所定量を
    2オートクレーヴに入れ、内部の空気をアルゴ
    ンで置換し、内圧を0Kg/cm2Gとした。ついで撹
    拌しながら、平均昇温速度2.5℃/minで350〜
    490℃まで加熱し、それぞれの温度で所定時間保
    持した。時間経過後、直ちにオートクレーヴを炉
    から取出し、室温まで冷却した。内容物は全量ア
    ントラセン油で洗い出し、約90℃に加熱した後、
    遠心沈殿機により不溶分を沈降させた。上澄液は
    定性ろ紙による減圧ろ過を行い、不溶分は新しい
    アントラセン油を加え、遠心沈澱機にかけ、上澄
    液は減圧ろ過した。この操作を3回くり返して不
    溶分を洗浄し、ついで、ベンゼンで洗浄してアン
    トラセン油を除き、乾燥させた。これをアントラ
    セン油不溶分とした。上澄液は全量減圧蒸留し、
    10mmHg下、250℃以下の留分を回収し、残渣とし
    て処理ピツチを得た。 このようにして得た処理ピツチを3ツ口の付い
    たガラス製円筒容器に約100g入れ、あらかじめ
    505℃に加熱した炉の上部に設置し、加熱熔融さ
    せた。3ツ口の中央孔より、ガラス管を容器底部
    に達するまで差し込み、窒素ガスボンベにつない
    だ。側管からは側温用熱電対、他端は留出用トラ
    ツプに接続した。ピツチの温度が300℃に達した
    後、容器全体を炉の中に入れると共に、窒素ガス
    を5/minで流した。ピツチの温度が470℃に
    達した後所定時間保持し、時間経過後直ちに容器
    を炉から取出し、室温まで冷却した。このように
    して得た残渣ピツチを紡糸用ピツチとした。 第2表に原料ピツチ、アントラセン油と触媒の
    量、処理条件およびアントラセン油不溶分量を、
    第3表に紡糸用ピツチの処理条件、収率およびそ
    の性状をまとめて示した。 【表】 【表】 【表】 第3表の紡糸用ピツチの紡糸は次のようにして
    行つた。紡糸用ピツチ約10gを口径0.5mmのノズ
    ルを付けた内径20mm、長さ150mmの真ちゆう製紡
    糸器に入れ、外部加熱した後、紡糸器上部より窒
    素ガスで加圧し、熔融したピツチを押出した。こ
    れを直径300mmのドラムに巻取つた。ピツチの温
    度とガス圧を変えて、少なくとも300mで巻き取
    ることが出来る条件を求めた。この条件を満足す
    るピツチを紡糸性の優れたピツチと判定した。 紡糸したピツチ繊維は空気中、3℃/minの昇
    温速度で300℃まで加熱し、この温度で20〜30分
    保持して不融化処理した。これを窒素ガス中、20
    ℃/minの昇温速度で1000℃まで加熱し、30分間
    保持して炭素化し、炭素繊維を得た。炭素繊維の
    機械的物性はJISR7601「炭素繊維試験方法」にし
    たがつて行つた。得られた結果をまとめて第4表
    に示した。 【表】 【表】 参考例 実施例1で得られた炭素繊維の構造と電気比抵
    抗を調べるために、タンマン炉によりアルゴンガ
    ス中で2800℃まで焼成した。また、比較のために
    同一の原料ピツチをテトラヒドロキノリンで水素
    化処理して得た炭素繊維についても同様にして黒
    鉛化処理した。なお、テトラヒドロキノリンによ
    る水素化処理方法は特開昭58−18421公報に詳細
    に記載されている。 黒鉛化処理した繊維の繊維軸垂直方向の破断面
    を走査型電子顕微鏡で観察すると、第1図および
    第2図に示したように、明らかに差異が認められ
    る。それは第1図は水素化処理したピツチから得
    られたもので、広い面を持つ炭素層面が繊維軸に
    平行配列をなしているもので、そのため、繊維中
    心に対して炭素層面が放射状、ランダム状、同心
    円状と種々の配列を示す。これに対して第2図に
    示した実施例1、第4表の実験番号5の繊維では
    広い面を持つ炭素層面の存在は認められず、その
    ため特定の配列を取らず、ランダム状となるが、
    紡糸時のピツチの温度が高いときには層面の拡が
    りをもつような傾向が認められる。 これらの黒鉛化繊維の電気比抵抗を第5表に示
    した。 水素化処理して得た繊維の場合、ピツチの温度
    にらず、3〜4×10-4Ω・cmであるのに対し、本
    願発明の場合はピツチの温度によつて変わり、約
    4〜8×10-4Ω・cmであり、水素化処理した場合
    と比較して高い値となる。このことは上述の構造
    を反映した結果とみることができ、明確な炭素層
    面配列を示さないPAN系に近づいているといえ
    る。 【表】 比較例 実施例1、第1表に示した原料ピツチB、300
    gとアントラセン油の蒸留油150gを500mlの3ツ
    口ガラス製円筒容器に入れ、あらかじめ250℃に
    加熱した炉中に入れてピツチを熔融した。ついで
    撹拌しながら、3℃/minの昇温速度で420℃ま
    で加熱し、120分間保持した。時間経過後直ちに
    炉から取り出し、室温まで冷却した。この処理ピ
    ツチに約3倍量のアントラセン油を加え、約90℃
    で溶解した後、遠心機にかけ不溶分を分離した。
    上澄液は定性紙で減圧過した。これを減圧蒸
    留によりアントラセン油を回収し、残渣として処
    理ピツチを得た。このピツチを実施例1と同様に
    して470℃まで加熱し、この温度に達したら直ち
    に室温まで冷却した。得られた残渣ピツチは細か
    い気泡を無数に含むもので軟化点は350℃以上で
    あり、紡糸することはできなかつた。そこで、上
    記と同様にして、430℃で30分処理して紡糸用ピ
    ツチを得た。このピツチの軟化点は293℃、固定
    炭素量89.2wt%、ベンゼン不溶分量87.6wt%、キ
    ノリン不溶分量48.8wt%であつた。これを紡糸器
    に入れ、ピツチの温度を350〜420℃まで変えて紡
    糸を試みたが、いずれの場合もノズルから出るピ
    ツチは不均質であり、そのため糸切れが多く、か
    つ、ドラムに巻き取ることは出来なかつた。 更に、上記と同様のピツチとアントラセン油に
    シリカーアルミナ触媒27.8g加え、以下、同様の
    操作を行つて、種々の条件で紡糸用ピツチを調製
    したが、いずれの場合も、紡糸することはできな
    かつた。
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