JPS6257679B2 - - Google Patents

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JPS6257679B2
JPS6257679B2 JP58011048A JP1104883A JPS6257679B2 JP S6257679 B2 JPS6257679 B2 JP S6257679B2 JP 58011048 A JP58011048 A JP 58011048A JP 1104883 A JP1104883 A JP 1104883A JP S6257679 B2 JPS6257679 B2 JP S6257679B2
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JP
Japan
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pitch
hydrogenated
bituminous material
heavy bituminous
carbon fibers
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JP58011048A
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JPS59136383A (ja
Inventor
Yasuhiro Yamada
Takeshi Imamura
Hidemasa Pponda
Masatoshi Furuyama
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Nippon Steel Corp
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Nippon Steel Corp
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Publication date
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  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、炭素繊維製造用原料として好適なピ
ツチの調製方法、さらに詳しくいえば軽度に水素
化処理した重質歴青物に水素化処理していない重
質歴青物を加えて所定の条件下で熱処理し、炭素
質メソフエースを形成させることにより、紡糸し
やすい原料ピツチを調製する方法に関するもので
ある。 従来、炭素繊維は、耐熱性、断熱性、耐薬品
性、剛性、導電性が優れている上に、軽量である
という特性を利用して、断熱材、シール材、電機
材料部品、構造部材、摩擦材料、炭素電極などに
広く使用されている。 炭素繊維は主としてアクリロニトリルやセルロ
ースなどの繊維を焼成することにより製造されて
いるが、これらの原料はコストが高い上に炭化収
率が低いという欠点がある。他方石炭、石油工業
の副産物として多量に入手し得る各種ピツチを原
料として炭素繊維を製造する方法が提案されてい
るが軟化点、粘度などの点で紡糸が困難な上に、
得られる炭素繊維の品質が低いという欠点があ
り、工業的に実施するには未だ解決すべき問題点
が多く残されているのが実状である。 これらの問題を解決するために、これまで特定
の縮合多環芳香族化合物を水素化処理又は熱処理
して得たピツチ状物質を用いる方法(特公昭45−
28013号公報、特公昭49−8634号公報)、石油系タ
ールやピツチをルイス酸系触媒の存在下に第1の
熱処理を施したのち、触媒を除去して第2の熱処
理を施して得たものを用いる方法(特公昭53−
7533号公報)、減圧下に所定のメソフエース含量
をもつメソフエースピツチを形成させ、これを原
料として炭素繊維を製造する方法(特開昭54−
11330号公報、特公昭54−1810号公報)、特定の組
成、特定の性質をもつメソフエースピツチを用い
る方法(特開昭54−55625号公報、米国特許第
3787541号明細書)などが提案されているが、こ
れらの方法によつてもアクリロニトリルを原料と
したものに匹敵する性質をもつ炭素繊維を得るこ
とができないため、現在に至るまで高性能グレー
ドの炭素繊維をピツチ状物質から得る実用可能な
方法は知られていなかつた。 本発明者らは、メソフエースピツチから高品質
のピツチ系炭素繊維を製造するためには紡糸性の
優れたピツチの製造が不可欠であると考えてい
る。その理由は、ピツチではポリアクリロニトリ
ルからの炭素繊維と異なり、紡糸時にピツチを構
成する分子を繊維軸方向に平行に配列させなけれ
ばならず、それ以降の不融化、炭化、あるいは黒
鉛化処理時においての不整な分子の配列きよう正
はかなり困難で、分子の配列は紡糸時にほとんど
決定されるとの考えによるものである。この考え
のもとに、紡糸性の優れたピツチの製造方法とし
て、先に、プリメソフエース炭素質を原料とした
ピツチ系炭素繊維の製造方法を提案した(特開昭
58−18421号公報、特願昭56−117470)。この中
で、プリメソフエースというのはメソフエースの
前駆体であり、キノリンに可溶な成分で光学的等
方性であるが、これを紡糸して繊維状になした
後、炭化処理によつて初めて光学的異方性に変化
するものを意味している。そして、このプリメソ
フエースの製造方法として重質歴青物をテトラヒ
ドロキノリンと380〜500℃で処理するか、あるい
は、ナフタリン等の芳香族炭化水素と、水素加圧
下で430℃以上で処理する第1工程とその処理物
を減圧下、又は不活性ガスを吹込みつつ450℃以
上で処理する第2工程よりなる方法を提案した
(特開昭58−18421号公報、特願昭56−117470、特
開昭58−196292号公報、同57−80670、特開昭59
−88923号公報、同57−197450)。これらの方法に
おいて、第1工程は重質歴青物中の高分子量成分
の熱分解反応と、それによつて生じるラジカルの
水添による安定化を行い、実質的に低分子量化さ
せることである。そのためには重質歴青物に対し
て良溶媒を使い、かつ、水素供与反応が生じるこ
とが必要である。第2工程においては重質歴青物
中に含有するか、第1工程で生成した低分子量物
の除去と重質歴青物の重質化を行わせてプリメソ
フエース及びメソフエースを含むプリメソフエー
スピツチとする。第1工程と第2工程を組み合わ
せることによつて、初めて紡糸性に優れ、かつ高
強度、高弾性な炭素繊維を与えるピツチが得られ
る。 上述の如く、第1工程と第2工程の組合せによ
つて得られる炭素繊維製造用ピツチは優れたもの
であるが、このピツチの収率は必然的に低下す
る。例えば、市販の中ピツチと呼ばれるコールタ
ールピツチを原料とした場合、得られる炭素繊維
製造用ピツチの収率は約30〜40重量%程度とな
る。原料重質歴青物中の60〜70重量%は無駄とな
る。換言すれば、中ピツチを第1工程によつて水
素化処理したものの60〜70重量%は本来水素化処
理を必要としない成分であるといえる。仮に、あ
らかじめこれらの成分を原料重質歴青物の段階で
除去することが可能ならば、水素化処理量、およ
び水素消費量の低減を図ることができる。しかし
ながら、炭素繊維製造用ピツチにならない、除去
されるべき成分の大部分は第2工程のような厳し
い条件で初めて除去し得る程度の高沸点成分であ
るので、その方法は限られたものとなる。その方
法で容易に考えられるのは次の2方法である。す
なわち、第1の方法は原料重質歴青物を熱処理す
ることである。この場合、熱処理方法なり、条件
設定が重要となるが、通常の熱処理方法、例えば
3℃/分の昇温速度で400〜430℃で中ピツチを熱
処理しても、除去できる成分量は約20重量%程度
である。保持時間を長くしても、その量は多くな
らず、むしろ、重質歴青物全体を重質化し、場合
によつてはメソフエースが生成する。この生成し
たメソフエースは第1工程の水素化処理では全て
を可溶化することはできないので、未溶解メソフ
エースは固形物として存在し可紡性を阻害するで
あろう。したがつて、可能性を有するのは前述の
第2工程の方法を適用することである。この方法
であれば約50重量%は除去可能である。ただ高温
であるため厳密な条件設定を必要とする。第2の
方法は溶剤処理を行うことである。重質歴青物に
対して適当な溶解力を持つ溶剤で処理して、溶剤
可溶分として低分子量成分を除去し、不溶分を用
いる。しかし、この方法は溶剤の選択、溶剤の回
収など多くの問題がある。 上記のいずれも可能性はあるが、前述の第1及
び第2工程以外に更に1つの工程を加えることに
なり、製造コストの低減に必ずしも寄与するとは
いえない。 本発明者らは上記の点を考慮し、製造工程を増
加させることなく、第1工程の水素化処理量と水
素消費量の低減を図るべく研究を重ねた結果、第
1工程によつて水素化処理した重質歴青物に水素
化処理していない重質歴青物を混合し、第2工程
で450℃以上の高温で短時間処理することによつ
て、第1工程の水素化処理した重質歴青物のみを
用いて製造した炭素繊維用ピツチと同等の紡糸性
を有するピツチが製造され得ることを見い出し、
本発明をなすに至つた。 以下本発明の詳細について記す。 水素化処理した重質歴青物と、水素化処理して
いない重質歴青物の原料として、コールタールピ
ツチ、ナフサタールピツチ、流動接触分解ピツチ
が用いることができるが、コールタールピツチが
最もよい。この重質歴青物の水素化処理(第1工
程)の方法には制限はないが、特に水素供与性溶
剤を用いる方法がよい。水素供与性溶剤として
は、原料の重質歴青物を溶解し、かつ水素化しう
るものであれば差しつかえなく、例えばキノリ
ン、ナフタレン、アントラセン、アントラセン
油、クレオソート油、ウオツシユオイルなどを水
素化したものが用いられる。また、触媒(コバル
ト−モリブデン系、酸化鉄系)の存在下で水素と
ともにキノリンを使用することもできナフタレン
油、アントラセン油、クレオソート油、吸収油を
水素ガスと共に使用することも可能である。水素
化溶媒としてテトラヒドロキノリンを用いる場合
は、原料重質歴青物100重量部当りテトラヒドロ
キノリン30〜100重量部を加えて、400〜500℃、
好ましくは400〜450℃で10〜60分間加熱する。次
いでろ過や遠心分離法などによつてフリーカーボ
ンなどの固形物を除去し、さらに溶剤を蒸留など
で除くことによつて行われる。また水素化処理後
の歴青物を加熱溶融し、フリーカーボン等の固形
物を除去してもよい。この水素化反応時の水素消
費量は原料重質歴青物に対して0.8重量%以上で
あり、水素化処理温度上昇とともに増加する。水
素化処理していない重質歴青物としては、前記の
原料ピツチ類の外に、これらのピツチを350〜500
℃で熱処理したものを用いることもできる。この
場合、あらかじめ熱処理することによつて低沸点
成分を除くことができ、かつピツチ中の固形物を
容易に除去できる利点がある。これらの原料ピツ
チ中に含まれるフリーカーボンや夾雑物のような
固形物は除去しておく必要がある。この除去は原
料ピツチ類を加熱溶融し、遠心分離、ろ過する
か、粘度が高い場合にはキノリン、アントラセン
油等で溶解させた後、遠心分離、ろ過してもよ
い。さらに、第1工程での水素化処理後のもの
に、水素化処理していない原料ピツチを所定量加
えた後、溶解し遠心分離ろ過してもよい。 次に水素化処理した重質歴青物と水素化処理し
ていない重質歴青物を混合するが加える水素化処
理していない重質歴青物の量は第2工程、すなわ
ち、450℃以上で処理して得られる炭素繊維製造
用ピツチ中に占める水素化処理していない重質歴
青物の量が80重量%以下、好ましくは60重量%以
下になるようにする。この比率は水素化処理した
重質歴青物と水素化処理していない重質歴青物を
混合する段階では決められるものではない。それ
は第2工程での収率が異なるためである。炭素繊
維製造用ピツチ中に占めるこれらの量は水素化処
理した重質歴青物、あるいは水素化処理していな
い重質歴青物を単独で第2工程の処理を行い炭素
繊維製造用ピツチを製造したときのそれぞれの収
率をもとにして既略決めることができる。これは
水素化処理した重質歴青物と水素化処理していな
い重質歴青物を混合したものに第2工程の処理を
行つたときの収率の実測値が、それぞれ単独に第
2工程の処理を行つたときの収率と構成比率から
求めた収率の計算値にほぼ一致するからである。
水素化処理していない重質歴青物の比率が80重量
%を超えると得られる炭素繊維製造用ピツチの紡
糸性は急激に悪くなるので好ましくない。 水素化処理した重質歴青物に所定量の水素化処
理していない重質歴青物を加えた混合物は以下に
記載する第2工程で炭素繊維製造用ピツチとす
る。この第2工程は減圧下、例えば50mmHg以
下、又は常圧下窒素ガスなどの不活性ガスを吹き
こんだ実質的減圧状態で450℃以上、好ましくは
450〜550℃の温度で60分間以内保持する。この場
合、上記の温度に到達させる時間はできるだけ短
い方がよい。それは本発明の炭素繊維製造用ピツ
チはメソフエースを含むもの、すなわち、メソフ
エースピツチであるが、メソフエースの生成速度
は水素化処理していない重質歴青物の方が水素化
処理した重質歴青物より速いため、450℃以上に
到達する時間が長い場合には、その間に水素化処
理していない重質歴青物からメソフエースが先に
生成し、水素化処理した重質歴青物からのメソフ
エースの生成が遅れることが考えられ、見かけ上
の加熱時間が異なり、均質に加熱溶融する炭素繊
維製造用ピツチが得られなくなるおそれがあるた
めである。また、450℃以上の温度と保持時間の
選択が重要となる。この温度と保持時間の選択は
水素化処理した重質歴青物、水素化処理していな
い重質歴青物の性状、及びそれらの混合比率で異
なるので実験的に求める必要がある。一般的には
水素化処理していない重質歴青物の量が多くなる
に従つて、温度を高くし、かつ、短時間で処理し
た方がよい。温度が低く、保持時間を長くするこ
とは紡糸性を低下させる。この最低の温度は、
450℃であり、かつ保持時間は60分間以内であ
る。 以上のようにして得られた炭素繊維製造用ピツ
チは軟化点が200〜350℃、好ましくは240〜300
℃、ベンゼン不溶分量83〜96重量%、固定炭素量
80〜92重量%ものものである。ベンゼン不溶分量
が80重量%以下となると、紡糸時に均質に溶融せ
ず、2層分離する。 本発明における炭素繊維製造用ピツチの紡糸は
溶融紡糸(押出し紡糸や吹出し紡糸)が用いられ
る。押出し紡糸を行うときは0.1〜0.7mmのノズル
口径をもつ紡糸器にピツチを入れピツチの軟化点
よりも30〜150℃程度高い温度に加熱し、ピツチ
上部より圧力を加えて押出す。この際、紡糸可能
な温度範囲は水素化処理していない重質歴青物の
配合比で異なり、50重量%以下では60〜80℃で水
素化処理した重質歴青物単独のものより調製した
炭素繊維製造用ピツチの温度範囲と大差ないが、
80重量%と多くなると約30℃位に狭くなる。 また生産性の点から高速紡糸が好ましく、さら
に炭素繊維の強度を確保するためにピツチ繊維の
径を細くする必要がある。本発明の炭素繊維製造
用ピツチにおいては紡糸速度、すなわち巻取速度
は300〜1000m/分が可能であり、またピツチ繊
維径は10μm以下にすることができる。 このように紡糸した繊維状ピツチは、例えば空
気中において0.5〜10℃/分の昇温速度で200〜
400℃に昇温して酸化、不融化処理した後、不活
性ガス中において3〜20℃/分の昇温速度で1000
〜1500℃まで加熱して炭化し、所望に応じさらに
不活性ガス雰囲気で2000〜3000℃に加熱して黒鉛
化する。 本発明方法により得られる炭素繊維製造用ピツ
チから得られる炭素繊維は、このような炭化処理
によつて繊維全体が光学的異方性となる。そして
引張強度200Kg/mm2以上、弾性率10t/mm2以上の高
強度、高弾性品であり、水素化処理した重質歴青
物単独から得られた炭素繊維製造用ピツチを原料
とした炭素繊維の物性と同等である。 このように本発明の方法によると、水素化処理
した重質歴青物の使用量を大巾に少なくすること
ができ、製造工程を増加させることなく原料であ
る重質歴青物の水素化処理量及び水素消費量を実
質的に低減させることができる。 以下、実施例を挙げて本発明の方法を更に詳細
に説明する。 参考例 1 原料としてコールタールピツチ2種類(A,
B)を使用した。その性状は第1表に示すもので
ある。
【表】 原料ピツチの水素化処理(第1工程) 2容のオートクレーブに原料ピツチ約500g
とテトラヒドロキノリン(THQ)とキノリンの
混合物(THQ濃度34.8wt%)200gを入れ、触媒
としてFe2O312gを加えた。これを75Kg/cm2Gの
水素加圧下、平均昇温速度10℃/分で410℃また
は450℃迄加熱し、10分間保持した。所定時間経
過後直ちにオートクレーブを炉から取り出し室温
迄冷却した。内容物はキノリンで洗い出し、約90
℃に加熱後遠心分離機にかけ固形物を沈降させ
た。上澄は定性紙で過した。固形物はキノリ
ンで数回洗浄をくり返し、次いでアセトンで洗浄
後乾燥して秤量した。この固形物量から触媒量を
控除した値をキノリン不溶分量とした。上澄は全
量をまとめ2容の丸底フラスコで減圧下(10mm
Hg)内容物が290℃(常圧換算沸点450℃)まで
蒸留し、キノリン及び低沸点成分を回収した。こ
のようにして得られた蒸留残留分を水素化処理ピ
ツチとした。これの収率、水素消費量、及びその
性状を第2表に示した。なお、水素消費量は水素
化処理前後の水素ガス量とTHQ量の差から求め
たものである。
【表】 参考例 2 水素化処理していないピツチの調製 第1表の原料ピツチA1Kgにキノリン2を加
え、約90℃で加熱溶解させた。これをNo.4ガラス
フイルターで減圧過し、液は減圧蒸留してキ
ノリンを除いた。この残留ピツチを水素化処理し
ていないピツチとした。これの軟化点は76℃、ベ
ンゼン不溶分量は36.4wt%であつた。 実施例 1 原料ピツチAを用い参考例1に準じて450℃で
10分間処理した水素化処理したピツチ72.9gと水
素化処理していないピツチ33.0gを300mlの円筒
状ガラス容器に入れ3ツ口カバーを取り付けた。
中央口はガラス管を底部に達する迄挿入し、これ
を流量計を介して窒素ガスボンベに接続した。側
管の一方は測温用熱電対を取り付け、他管は留出
油トラツプに接続した。このようにした容器をあ
らかじめ500℃に加熱した塩浴上部に置いてピツ
チを加熱し300℃に達したのち窒素ガスを5/
分流しながら容器を塩浴中に投入した。ピツチの
温度が470℃に達したら15分間保持し、ただちに
容器を取り出して冷却した。なお300℃から470℃
に達する迄の時間は3.5分間であつた。このよう
に処理して得たピツチを炭素繊維製造用ピツチと
した。これの収率は43.1wt%であつた。 上記と同様にして水素化処理していないピツチ
の量、水素化処理したピツチの種類、製造条件を
変え第3表に示すいくつかの炭素繊維製造用ピツ
チを調製した。なお、この調製ピツチ中の水素化
処理していないピツチの占める比率を求めるため
に水素化処理したピツチ、水素化処理していない
ピツチを単独で同一条件で第2工程に準じた処理
を行つた結果も併せて示した。
【表】 この第3表の結果から、炭素繊維製造用ピツチ
の収率(実測値は水素化処理したピツチと水素化
処理していないピツチの収率から計算で求めた値
(計算値)とよく一致することがわかる。したが
つて計算で求めた炭素繊維製造用ピツチ中の水素
化処理したピツチと水素化処理していないピツチ
の割合が実際に得られた炭素繊維製造用ピツチ中
の割合とみなせる。 上記のようにして調製した炭素繊維製造用ピツ
チの性状をまとめて第3表に示した。 次に第3表炭素繊維製造用ピツチの紡糸は内径
20mm、長さ150mmの真ちゆう製容器に0.5mmの口径
をもつノズルをつけた紡糸器で行つた。加熱は容
器外部を囲むヒーターで行い炭素繊維製造用ピツ
チの軟化点より約70℃以上高い温度(ピツチの温
度)になるようにした。次いで容器の上部より窒
素ガスで加圧し、ノズルより押出された繊維状ピ
ツチをドラムに巻取つた。このときの巻取速度は
300m/分以上とした。そして、少なくとも300
m/分でほとんど糸切れすることなく巻き取るこ
とが可能な炭素繊維製造用ピツチの温度範囲を求
めた。 このようにして巻き取つたピツチ繊維を空気
中、室温から3℃/分の昇温速度で300℃まで加
熱し30分間保持して不融化した。次いで窒素ガス
気流中1000℃に30分間加熱して炭素繊維とした。
得られた炭素繊維はJIS R−7601「炭素繊維試験
方法」の規定に従つて単繊維の強度を測定した。 さらに炭素繊維をタンマン炉によりアルゴン気
流中、2500℃まで加熱し、黒鉛化処理した。黒鉛
化処理した繊維は走査型電子顕微鏡によりその破
断面を観察し、炭素層面の配列を調べた。得られ
た結果をまとめて第4表及び第1図、第2図に示
した。 第1図は第3表中、実験番号6の炭素繊維製造
用ピツチの偏光顕微鏡写真である。このピツチは
明るく輝いている部分(メソフエース)と暗い部
分(光学的等方性)よりなりたつており、光学的
等方性部分のかなり多いものであることがわか
る。
【表】
【表】 このような組織をもつピツチを408℃で紡糸し
2500℃で黒鉛化処理した繊維は、その破断面の走
査型電子顕微鏡写真(第2図)からわかるよう
に、炭素層面が顕著に発達している。 比較例 1 第3表中、実験番号9の水素化処理したピツチ
のみから調製した炭素繊維製造用ピツチを実施例
1と同様にして紡糸した。このピツチの紡糸可能
温度範囲は330〜410℃であり、300m/分以上で
連続的に巻取り可能な温度は350〜410℃であつ
た。得られたピツチ繊維の径は8〜11μmであ
り、これを不融化後1000℃で炭素処理して得た炭
素繊維の引張強度は254Kg/mm2、伸び率1.5%、弾
性率15t/mm2であつた。 また第3表中、実験番号14の水素化処理してい
ないピツチのみから調製した炭素繊維製造用ピツ
チについても同様にして紡糸した。紡糸可能な温
度範囲は410〜435℃であつたが巻取りが困難で、
糸切れが多く、巻取速度30m/分で420〜435℃に
おいて巻き取ることができたが、300m/分で連
続的に巻き取ることはできなかつた。得られたピ
ツチ繊維を3℃/分で空気中300℃まで加熱し、
30分間保持して不融化処理した。次いで窒素ガス
中1000℃に30分間保持して炭素繊維を得た。この
繊維は径25μm、引張強度185Kg/mm2、伸び率1.5
%、弾性率12t/mm2であつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は炭素繊維製造用ピツチの組織を示す偏
光顕微鏡写真であり、第2図はこのピツチから製
造した炭素繊維破断面の走査型電子顕微鏡写真で
ある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 水素化処理した重質歴青物に水素化処理して
    いない重質歴青物を、調製後のピツチ中の水素化
    処理していない重質歴青物が80重量%以下になる
    ような割合で加え、次いで減圧下、もしくは実質
    的減圧下、450〜550℃で60分以内熱処理すること
    を特徴とする炭素繊維製造用ピツチの調製方法。 2 水素化処理した重質歴青物が、コールタール
    ピツチ、ナフサ分解ピツチ又は流動接触分解ピツ
    チを、水素化した二環以上の縮合多環芳香族化合
    物又はその混合物あるいはテトラヒドロキノリン
    を用い自生圧下で、あるいは触媒と共に50〜200
    Kg/cm2Gの水素圧下、400〜500℃で水素化処理し
    たものである特許請求の範囲第1項記載の調製方
    法。 3 水素化処理した歴青物が、コールタールピツ
    チ、ナフサ分解ピツチ又は流動接触分解ピツチ
    を、二環以上の縮合多環芳香族化合物又はその混
    合物又はそれらに少なくとも1重量%のキノリン
    を加えたもの、あるいはキノリンの存在のもと
    で、触媒と共に50〜200Kg/cm2Gの水素圧下、400
    〜500℃で水素化処理したものである特許請求の
    範囲第1項記載の調製方法。 4 水素化処理していない重質歴青物がコールタ
    ールピツチ、ナフサ分解ピツチ又は流動接触分解
    ピツチあるいはこれらのピツチをあらかじめ350
    〜500℃で熱処理したものから固形物を除去した
    ものである特許請求の範囲第1項記載の調製方
    法。
JP1104883A 1983-01-26 1983-01-26 炭素繊維製造用ピツチの調製方法 Granted JPS59136383A (ja)

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