JPS6233330B2 - - Google Patents

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JPS6233330B2
JPS6233330B2 JP58096765A JP9676583A JPS6233330B2 JP S6233330 B2 JPS6233330 B2 JP S6233330B2 JP 58096765 A JP58096765 A JP 58096765A JP 9676583 A JP9676583 A JP 9676583A JP S6233330 B2 JPS6233330 B2 JP S6233330B2
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JP
Japan
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carbon
pitch
temperature
weight
less
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JP58096765A
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English (en)
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JPS59223316A (ja
Inventor
Seiji Arita
Hitoo Kakyama
Mikio Ooyabu
Kenji Fukuda
Keiichi Hirata
Keisuke Takei
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
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Publication date
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Priority to JP9676583A priority Critical patent/JPS59223316A/ja
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Publication of JPS6233330B2 publication Critical patent/JPS6233330B2/ja
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  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ピツチ類を原料として高強度、高弾
性炭素繊維を製造する方法に関するものである。 一般に、炭素繊維は機械的強度に基づいてGP
(General Performance)炭素繊維とHP(High
Performance)炭素繊維とに大別される。 GP炭素繊維は、70〜140Kg/mm2程度の引張強度
及びび3〜5ton/mm2程度の引張強度及び3〜
5ton/mm2程度の弾性率を有するもので、アプレー
ジヨン材、断熱材、帯電防止材、摺動材、フイル
ター類、パツキン類などの補強材としての用途に
供せられ、主として光学的に等方性のピツチ類を
原料として製造されている。 他方、HP炭素繊維は、200〜350Kg/mm2程度の
高い引張強度及び10〜40ton/mm2程度の高い弾性
率を有するもので、この高強度、高弾性を利用し
てロケツトや航空機等の特殊材料及びゴルフクラ
ブ、テニスラケツト、釣竿等のレジヤー用品に使
用されているが、ポリアクリロニトリルを原料と
するためコスト高になるのを免れず、これが一般
的な工業材料としての用途の拡大をはばむ大きな
原因となつていた。 このような事情の下で、HP炭素繊維を安価に
製造する方法についての研究がなされ、既にピツ
チ類を熱処理して得られるメソフエースピツチを
原料とする、いくつかの方法が提案されている
(特公昭49−8634号公報、特公昭53−7533号公
報、特公昭54−1810公報、特開昭54−55625号公
報、特開昭54−11330号公報)。これらの方法で
は、ピツチ類を400℃付近の比較的低い熱処理温
度で数時間ないし数十時間熱処理して、メソフエ
ースカーボン40〜100重量%を含有し、可紡性を
有するメソフエースピツチとし、それを溶融紡糸
し、メソフエースカーボンを繊維軸方向に配向さ
せたのち、空気中で不融化し、さらに炭化や黒鉛
化することによつてHP炭素繊維を製造してい
る。 しかしながら、これらの方法においては、ピツ
チ類を数時間ないし数十時間熱処理し、ピツチの
重縮合を促進することによつてメソフエースピツ
チを製造しているため、熱処理初期におけるメソ
フエースカーボンの縮合度が熱処理終期のものに
比べて高くなるのを避けられず、その結果、メソ
フエースカーボンの縮合度が不均一となり、均一
に溶融させることが困難となつて最終的に可紡性
の低下をもたらす。また、熱処理温度として430
℃以上の温度を用いると、熱処理初期においてメ
ソフエースカーボンの重縮合が急激に進行し、熱
処理終期にはしばしば溶融不可能な程度となるた
め、紡糸に際して、あらかじめ不溶・不融のメソ
フエースカーボンを分離、除去しなければならな
くなる。したがつて、従来の方法において優れた
物性をもつ炭素繊維を得るには、原料として用い
るメソフエースピツチの調製条件を慎重に制御す
る必要があるが、これは工業的に実施する場合の
技術上の大きな難関となる。 本発明者らは、このような従来のピツチを原料
とするHP炭素繊維の製造方法における、種々の
問題点を解決すべく鋭意研究を重ね、先に可溶性
の良いメソフエースピツチを比較的簡単に製造す
る方法を見出した。この方法によると、ピツチ類
を水素化したのち、高温、減圧下に短時間熱処理
して、HP炭素繊維の製造原料として適したメソ
フエースピツチを得ることができるが、この方法
は製造装置を大型化すると、水素化後の溶液の固
液分離がむずかしくなるという実施化上の欠点を
伴う。 そこで、本発明者らはこの欠点を克服するため
にさらに研究を重ねた結果、ピツチ類は水素化時
においては、わずかにその一部が重縮合するこ
と、該重縮合物は、慣用の固液分離手段では除去
しにくいこと、該重合物は、水素化に引き続き、
高温、減圧下で熱処理すると急激に重縮合が進行
して、より溶融温度の高いメソフエースカーボン
に転化すること、このようにして生じたメソフエ
ースカーボンは、全メソフエースピツチの均一な
溶融性及び良好な可紡性をそこなう原因となるこ
と、したがつて水素化によつて生成する重縮合物
を適当な固体に吸着させて除去すれば、熱処理条
件の制御が容易になり、均一な溶融性と優れた可
紡性を備えたメソフエースピツチが比較的簡単に
得られることを知つた。本発明はこれらの知見に
基づいてなされたものである。 すなわち、本発明は、 (イ) キノリン不溶分3.5重量%以下のピツチ類
に、炭素系固形分を該ピツチ類中のキノリン可
溶分の重量に基づき7〜100重量%の割合で加
えて水素化し、この水素化生成物から固形分を
分離したのち、これを蒸留し低沸点成分を除去
して水素化ピツチを得る工程、 (ロ) 該水素化ピツチを減圧下に熱処理して、メソ
フエースカーボン90重量%以下を含み、光学的
に異方性の組織が30重量%以上を占めるメソフ
エースピツチを生成させる工程、及び (ハ) 該メソフエースピツチを溶融紡糸後、不融化
及び炭化処理する工程 から成ることを特徴とする高強度、高弾性繊維の
製造方法を提供するものである。 本発明方法における原料としては、コールター
ル、アスフアルト、エチレンボトム油、コールタ
ールピツチ、アスフアルトピツチ、エチレンボト
ム油ピツチなどのピツチ類が用いられる。そのほ
か、石炭類を炭化水素系溶剤中において水素加圧
下で解重合し、未溶解残さを除去した液状物質又
はこれから溶剤を除去したピツチ状物質や前記し
たピツチ類を蒸留、熱処理、溶剤抽出等で処理
し、これらの縮合度を高めたピツチ類を用いるこ
とができる。 この原料ピツチ類は、キノリン不溶分が多いも
のであつても、均一に溶融し、優れた可紡性を有
し、良質のHP炭素繊維を与えるメソフエースピ
ツチとすることができるが、あまりこの量が多く
なると収率が低下するので、キノリン不溶分3.5
重量%以下のものを用いることが必要である。 本発明方法の(イ)工程においては、上記のピツチ
類に炭素系固形分を加えて水素化する。この水素
化は、通常、炭化水素系溶剤又は高い水素供与性
を備えた炭化水素系溶剤中で行われるが、縮合度
の低いピツチ類、例えばコールタール、アスフア
ルトなどを用いる場合は溶剤は必ずしも必要とし
ない。 この際に、使用される炭化水素系溶剤として
は、ピツチ類をほぼ完全に溶解しうるものであれ
ば特に制限はないが、通常は、石炭系吸収油、ク
レオソート油、タール中油、アントラセン油、石
油系のエチレンボトム油、FCC分解油の軽質留
分などの芳香族性の高い溶剤が好適に使用され
る。また、これらの芳香族性の高い炭化水素系溶
剤を水素化して得られる高い水素供与性を有する
溶剤や本発明方法の水素化工程で回収される溶剤
も有利に使用される。 強度の際に加える炭素系固形分としては、コー
クス、活性炭、カーボンブラツク、木炭、コール
タール及び原料ピツチに含有されるフリーカーボ
ン、ピツチ類を熱処理して得られる熱処理物のキ
ノリン不溶分などが用いられる。そのほか、炭素
繊維、活性炭素繊維、分子ふるい炭素繊維、分子
ふるい炭素なども使用することができるし、本発
明方法における水素化工程に引き続いて行われる
固液分離の際に得られる残留分を用いることもで
きる。 これらの炭素系固形分は、細かく粉砕して使用
するのが有利である。このように粉砕することに
より、その表面積が広くなり、しかもピツチ類を
水素化させる際その中に均一に分散させ得るの
で、水素化により生成する重縮合物を効率よく沈
着させることができる。 また、この炭素系固形分以外のもの、例えば水
素化触媒、金属粉、その他の無機質固形分などに
もピツチ類の重縮合物を沈着させる能力がある
が、効果が小さいため、炭素系固形分の存在が必
要である。 この炭素系固形分は、ピツチ類中に含まれるキ
ノリン不溶分との合計量が、ピツチ類中のキノリ
ン可溶分に対し7〜100重量%、好ましくは10〜
70重量%の範囲になるような量でピツチ類に加え
られる。この量が7重量%未満の場合は、水素化
後に得られる水素化スラリーの固液分離に長時間
を要する上に、得られるメソフエースピツチの可
紡性を十分に向上させることができない。また、
この量が100重量%を超える場合は、固形分をピ
ツチ類中に均一に分散させるのが困難になる。 本発明方法の(イ)工程における水素化は、水素化
触媒の存在下又は不存在下で行われる。この水素
化の条件には特に制限はなく、従来ピツチ類の水
素化に通常用いられている条件の中から任意に選
ぶことができる。例えば、水素雰囲気中、温度
350〜500℃において480分以下、好ましくは不活
性ガスで30〜300Kg/cm2(ゲージ圧)に加圧しな
がら、380〜450℃において5〜120分処理するこ
とによつて行うことができる。 本発明方法においては、このようにピツチ類の
水素化をコークスなどの炭素系固形分の存在下で
行うため、水素化時に生成し、メソフエースピツ
チの可紡性の低下の原因となる重縮合物が、この
炭素系固形分の表面に効果的に沈着し、引き続い
て行われる固液分離により水素化ピツチからほぼ
完全に除去される。その結果、優れた可紡性を備
えたメソフエースピツチの原料となりうる精製水
素化ピツチを得ることができる。 このピツチ類の水素化に際し、温度を350℃未
満にすると、水素化が十分に進行しないし、また
500℃よりも高くなると、水素化時間が480分を超
る場合水素化が温度に進行し、水素消費量が著し
く増加する上に、水素化ピツチの収率が低下する
ので、いずれも好ましくない。本発明方法におい
ては、このピツチ類の水素化が不可欠な工程であ
り、これを欠いた場合は可紡性を有するメソフエ
ースピツチを得ることができない。 前記したようにして得られた水素化生成物は、
次いで固液分離し、この中から炭素系固形分、水
素化触媒などの固体を除去する。この場合、水素
化生成物中には炭素系固形分が存在し、これに
過や遠心分離などに際して固液分離を阻害するゲ
ル状物が吸着されるため、固液分離を非常に円滑
に行うことができる。例えば過において、この
固液分離に要する時間は、炭素系固形分を加えな
い場合に比べ1/4以下に短縮される。 固体を除いた水素化生成物は次いで、減圧蒸留
などで溶剤を除き、水素化ピツチを得る。この
際、溶剤は完全に除去する必要はなく、ある程度
水素化ピツチ中に残留していてもよい。 本発明方法の(ロ)工程においては、前記のように
して得た水素化ピツチを、減圧下、高温で短時間
熱処理し、メソフエースカーボン90重量%以下、
好ましくは0.3〜80重量%を含有し、光学的異方
性組織の占有率30%以上、好ましくは50%以上の
メソフエースピツチを製造する。この工程は、ピ
ツチ類を炭素系固形分の存在下で水素化する(イ)工
程とともに、本発明方法で不可欠の工程であり、
この2工程の組合せによりはじめて、優れた物性
をもつ炭素繊維を得ることができる。すなわち、
(ロ)工程の水素化ピツチの熱処理は、減圧下におい
て、高温、短時間で行われるため、メソフエース
カーボンが狭い時間帯内で集中的に形成される結
果、その縮合度のそろつたものとなる上に、メソ
フエースカーボンに転化しにくく、良質のメソフ
エースピツチの生成に邪魔になる成分が留出除去
され、均質なメソフエースピツチを得ることが可
能になる。 この(ロ)工程における熱処理条件は、90重量%以
下のメソフエースカーボンを含有し、かつ光学的
異方性組織が30%以上のメソフエースピツチが得
られるような条件であればよいが、通常は、圧力
40mmHg(絶対圧)以下、好ましくは3〜20mmHg
(絶対圧)において、480℃以上、好ましくは500
〜550℃の温度に、30分以下、好ましくは2〜5
分間保持することによつて行われる。この処理に
より得られるメソフエースピツチのメソフエース
カーボン含有量が90重量%を超える場合は可紡性
が著しく低いものとなるし、また光学的異方性組
織が30%未満の場合は、二相分離状態の可紡性を
有しないものとなる。 さらに、熱処理温度を480℃未満にすると処理
時間が30分を超えるため、不均一な組成のものと
なる傾向があるし、圧力を40mmHg(絶対圧)よ
りも高くすると、優れた可紡性を備えたメソフエ
ースピツチを得ることができない。 このようにして得られるメソフエースピツチ
は、70%未満の光学的等方性組織を有するが、均
一に溶融させることができ、しかもメソフエース
カーボンは溶融したのち紡糸すると繊維軸方向に
配向する。この配向は、光学的顕微鏡、電子顕微
鏡により確認することができる。 本発明方法の(ハ)工程においては、前記の(ロ)工程
で得たメソフエースピツチを先ず溶融紡糸する
が、これは、ピツチ類から炭素繊維を製造する場
合に常用されている方法によつて行なうことがで
きる。このメソフエースピツチは、300〜420℃の
温度範囲で紡糸が可能であり、また紡糸ノズルか
らの流出量の制御を容易に行うことができる。 次に、紡糸した原料繊維を不融化するが、これ
は、空気中において、昇温速度3.3℃/分以下、
好ましくは0.5〜2.0℃/分で、200〜360℃好まし
くは240〜320℃の温度まで加熱し、この温度に
360分以下、好ましくは5〜30分間保持すること
によつて行われる。この場合、オゾン、窒素酸化
物のような酸化性雰囲気を用いることもできる。
この不融化温度が200℃未満では、原料繊維の不
融化が十分に進行せず、引き続いて行う炭化の際
に繊維の溶融や融着が起り、HP炭素繊維を得る
ことができない。また、不融化温度が360℃より
も高くなつたり、加熱時間が360分よりも長くな
ると繊維が過酸化状態になり、高強度の炭素繊維
を得ることができない。他方、不融化時の昇温速
度が3.3℃/分よりも速くなると繊維同士の融着
を生じ、得られる炭素繊維は強度の低いものとな
る。 不融化処理した繊維は次に、不活性ガス雰囲気
中で炭化処理される。この炭化は、通常、昇温速
度10℃/分以下、好ましくは2〜5℃/分で800
℃以上好ましくは1000〜1500℃まで加熱し、この
温度に5分以上、好ましくは10〜30分間保持する
ことによつて行われる。この炭化温度が800℃未
満の場合や炭化時間が5分未満の場合は、繊維の
炭化が十分に進行せず、機械的強度の高い炭素繊
維を得ることができない。また昇温速度が10℃/
分よりも速くなると、繊維の一部が融着し、強度
の低下をもたらすので好ましくない。 本発明方法においては、このようにして炭化処
理して得た炭素繊維に対し、さらに所望に応じ、
弾性率を向上させるために、黒鉛化処理を施すこ
ともできる。 この黒鉛化は、不活性ガス雰囲気中、2000〜
3000℃に加熱することによつて行われる。 本発明方法により得られる炭素繊維は、ポリア
クリル系のHP炭素繊維に匹敵する物性、すなわ
ち200〜350Kg/mm2の引張強度及び10〜40ton/mm2
の弾性率を有している。 本発明方法の好適な実施態様においては、35重
量%以下のキノリン不溶分を含有するピツチ類又
はその熱処理物に、コークス、活性炭、フリーカ
ーボンのような炭素系固形分をピツチ類中のキノ
リン可溶分に基づき7〜100重量%の割合で添加
し、そのままであるいは溶剤中で、触媒の存在下
又は不存在下、350〜500℃において480分以下の
時間水素化する。 次いで水素化生成物から固体を分離除去したの
ち、液体部分から減圧蒸留により溶剤を除去す
る。この際の減圧蒸留は、圧力5〜20mmHg(絶
対圧)、ボトム温度200〜300℃の条件で行う。 このようにして得られた水素化ピツチを、次い
で圧力40mmHg(絶対圧)以下、温度480℃以上の
条件下で熱処理し、メソフエースカーボン90重量
%以下を含有し、かつ光学顕微鏡下の視野内での
光学的異方性組織30%以上を占めるメソフエース
ピツチを製造する。 次に、このようにして得られたメソフエースピ
ツチを300〜420℃で溶融紡糸したのち、空気中に
おいて3.3℃/分以下の昇温速度で200〜360℃ま
で加熱し、この温度に360分以下保持することに
より不融化する。この不融化処理した炭素繊維
を、さらに不活性ガス雰囲気中において昇温速度
10℃/分以下で800℃以上まで加熱し、この温度
に5分以上保持することにより炭化する。また、
必要に応じ、さらに不活性ガス雰囲気中、2000〜
3000℃で黒鉛化する。 このようにして得られる炭素繊維は、従来の
HP炭素繊維を同様に、ロケツトや航空機などの
特殊材料、ゴルフクラブ、テニスラケツト、釣竿
などのレジヤー用品の材料として好適に使用され
る。次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。 実施例 1 石炭の乾留物であるコールタール(キノリン不
溶分3.2重量%)に対し、60メツシユ以下に粉砕
したコークスをコークスとコールタール中のキノ
リン不溶分の和がコールタールのキノリン可溶分
に対して10重量%になる如く添加し、水素化温度
420℃、その温度における保持時間60分、水素圧
力100Kg/cm2(ゲージ圧)で水素化した後、フイ
ルターで固液分離した。固液分離速度は80ml/分
であつた。得られた液をボトム温度200℃、圧
力10mmHg(絶対圧)で蒸留し、水素化ピツチを
得た。 次に、水素化ピツチを520℃に加熱溶融した塩
浴に浸せき後、ただちに10mmHg(絶対圧)に減
圧し、その温度に5分間保持した。得られたメソ
フエースピツチのメソフエースカーボン含有量は
52.4重量%、光学的異方性組織の占有率は95%で
あつた。 このメソフエースピツチを紡糸温度368℃、巻
取速度1000m/分で紡糸した結果、40分以上糸切
れすることなく紡糸できた。また、溶融メソフエ
ースピツチの紡糸機ノズルからの流出量は極めて
厳密に制御できた。得られた原料繊維を空気中、
室温から320℃まで2.0℃/分の昇温速度で昇温
し、その温度に10分間保持し、不融化した。不融
化繊維はアルゴンガス雰囲気中、1000℃まで5
℃/分の昇温速度で昇温し、その温度に15分間保
持し、炭素繊維を得た。炭素繊維の収率は91.1重
量%であり、その平均直径は9.4μ、引張強度は
300Kg/mm2、弾性率は23.8ton/mm2であつた。 比較例 1 実施例1におけるコールタールの水素化を何ら
添加物を加えることなく行い、そのほかは実施例
1と全く同様の条件で行つた。水素化後の溶液を
フイルターで固液分離した。固液分離速度は20
ml/分であつた。得られた液はボトム温度200
℃、圧力10mmHg(絶対圧)で蒸留し、水素化ピ
ツチを得た。 この水素化ピツチを実施例1と全く同様にして
熱処理し、メソフエースピツチを得た。メソフー
スピツチのメソフエースカーボン含有量は59.4重
量%、光学的異方性組織の占有率は95%であつ
た。 このメソフエースピツチを紡糸温度375℃、巻
取速度1000m/分で紡糸した結果、20分以上糸切
れすることなく紡糸できた。得られた原料繊維は
実施例1と全く同様にして不融化、炭化し、炭素
繊維を得た。炭素繊維の収率は91.6重量%であ
り、この平均直径は10.0μm、引張強度は280
Kg/mm2、弾性率は20.4ton/mm2であつた。 実施例1及び比較例1の比較から、炭素系固形
分であるコークスを水素化時に添加することによ
り、水素化溶液の固液分離に要する時間は1/4以
下に、メソフエースピツチの糸切れ頻度は約半分
に、また、炭素繊維の機械的強度も向上すること
がわかる。 参考例 1 吸収油に3重量%のコバルト−モリブデン触媒
を加え、水素化温度400℃、その温度における保
持時間60分、水素圧力100Kg/cm2(ゲージ圧)で
水素化した後、フイルターで固液分離し、高い水
素供与性を有する水素化吸収油を得た。 参考例 2 60メツシユ以下に粉砕したオーストラリア産リ
グナイトを4倍量のタール中油中、水素圧力50
Kg/cm2(ゲージ圧)、410℃で60分加熱し、石炭類
の溶剤可溶分を十分に溶解した後、フイルターで
未溶解残さを除去し、液はボトム温度350℃、
圧力10mmHg(絶対圧)で蒸留し、石炭解重合物
を得た。石炭解重合物のキノリン不溶分は0.1重
量%以下であつた。 実施例 2 参考例2で得た石炭解重合物に対し、60メツシ
ユ以下に粉砕した活性炭を石炭解重合物のキノリ
ン可溶分に対して15重量%、参考例1で得た水素
化吸収油を4倍量加え、水素化温度430℃、その
温度における保持時間60分、水素圧力50Kg/cm2
(ゲージ圧)で水素化し、フイルターで固液分離
した。固液分離速度は57ml/分であつた。得られ
た液をボトム温度200℃、圧力10mmHg(絶対
圧)で蒸留し、水素化ピツチを得た。 次に、この水素化ピツチを520℃に加熱溶融し
た塩浴に浸せきした後、ただちに10mmHg(絶対
圧)に減圧し、その温度に5分間保持した。得ら
れたメソフエースピツチのメソフエースカーボン
含有量は14.2重量%、光学的異方性組織の占有率
は80%であつた。 このメソフエースピツチを紡糸温度355℃、巻
取速度1400m/分で紡糸した結果、糸切れ頻度は
1回/50分間程度であつた。得られた原料繊維を
空気中、280℃まで1.0℃/分の昇温速度で昇温
し、その温度に15分間保持し、不融化した。不融
化繊維はアルゴンガス雰囲気中、1000℃まで5
℃/分の昇温速度で昇温し、その温度に15分間保
持し、炭素繊維を得た。炭素繊維の収率は原料繊
維基準で87.4重量%であり、この平均直径は9.6
μm、引張強度は265Kg/mm2、弾性率は21.6ton/
mm2であつた。 比較例 2 参考例2で得られた石炭解重合物を参考例1で
得られた4倍量の水素化吸収油中、実施例2と全
く同様の条件で水素化した後、フイルターで固液
分離した。固液分離速度は13.3ml/分であつた。
液は実施例2と全く同様にして蒸留し、水素化
ピツチを得た。 この水素化ピツチを実施例2と全く同様にして
熱処理し、メソフエースピツチを得た。メソフエ
ースピツチのメソフエースカーボン含有量は17.2
重量%であり、光学的異方性組織の占有率は85%
であつた。 このメソフエースピツチを紡糸温度360℃、巻
取速度1400m/分で紡糸した結果、糸切れ頻度は
15分間に1回程度であつた。得られた原料繊維を
実施例2と全く同様して不融化、炭化し、炭素繊
維を得た。炭素繊維の収率は原料繊維基準で88.8
重量%であり、この平均直径は10.4μm、強度は
240Kg/mm2、弾性率は17.4ton/mm2であつた。 実施例 3 エチレンボトム油ピツチ(キノリン不溶分0.5
重量%)に参考例1で得られた水素化吸収油を加
え、さらに、カーボンブラツクをエチレンボトム
油ピツチのキノリン可溶分に対して0、7、10、
20、50重量%加え、水素化温度410℃、その温度
における保持時間30分、水素圧力100Kg/cm2(ゲ
ージ圧)で水素化し、フイルターで固液分離後、
液はボトム温度200℃、圧力10mmHg(絶対圧)
で蒸留し、水素化ピツチを得た。 水素化ピツチを520℃に加熱溶融した塩浴に浸
せき後、ただちに10mmHg(絶対圧)に減圧し、
4分間保持し、メソフエースピツチを得た。次表
に、各カーボンブラツク添加量時における水素化
溶液の過時間及びメソフエースピツチの連続紡
糸時間を示した。 この表から、カーボンブラツク添加量の増加と
共に水素化溶液の過時間は減少し、メソフエー
スピツチの糸切れ頻度は小さくなることがわか
る。 【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (イ) キノリン不溶分3.5重量%以下のピツチ
    類に、炭素系固形分を該ピツチ類中のキノリン
    可溶分の重量に基づき7〜100重量%の割合で
    加えて水素化し、この水素化生成物から固形分
    を分離したのち、これを蒸留し低沸点成分を除
    去して水素化ピツチを得る工程、 (ロ) 該水素化ピツチを減圧下に熱処理して、メソ
    フエースカーボン90重量%以下を含み、光学的
    異方性組織の占有率30%以上のメソフエースピ
    ツチを生成させる工程、及び (ハ) 該メソフエースピツチを溶融紡糸後、不融化
    及び炭化処理する工程 から成ることを特徴とする高強度、高弾性繊維の
    製造方法。 2 (イ)工程におけるピツチ類の水素化を、350〜
    500℃の温度に480分以内保持して行う特許請求の
    範囲第1項記載の方法。 3 (ロ)工程における熱処理を、圧力40mgHg以
    下、温度480℃以上に30分以内保持して行う特許
    請求の範囲第1項記載の方法。
JP9676583A 1983-05-31 1983-05-31 高強度、高弾性炭素繊維の製造方法 Granted JPS59223316A (ja)

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