JPH0133568B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0133568B2
JPH0133568B2 JP11747081A JP11747081A JPH0133568B2 JP H0133568 B2 JPH0133568 B2 JP H0133568B2 JP 11747081 A JP11747081 A JP 11747081A JP 11747081 A JP11747081 A JP 11747081A JP H0133568 B2 JPH0133568 B2 JP H0133568B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pitch
primesophace
spinning
minutes
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP11747081A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS5818421A (ja
Inventor
Yasuhiro Yamada
Hidemasa Pponda
Tetsuya Inoe
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP11747081A priority Critical patent/JPS5818421A/ja
Publication of JPS5818421A publication Critical patent/JPS5818421A/ja
Publication of JPH0133568B2 publication Critical patent/JPH0133568B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、ピツチ状物質から炭素繊維を製造す
るための新規な方法に関するものである。 さらに詳しくいえば、本発明は、光学的に等方
性のプリメソフエース炭素質を原料としてこれを
紡糸、不融化、炭化処理して、高強度の炭素繊維
を高収率で製造する方法に関するものである。 炭素繊維は、断熱性、耐熱性、耐薬品性、剛
性、導電性が優れているという特性を利用して断
熱材、シール材、電気機械部品、構造部材、摩擦
材料、炭素電極などに広く使用されている。 従来、炭素繊維は、アクリロニトリルやセルロ
ースなどの繊維を焼成することにより製造されて
いたが、これらの原料はコストが高い上に、炭化
収率が低いため工業的に大量生産する場合にはあ
まり適当な方法とはいえない。 他方、大量に入手しうる各種ピツチを原料とし
て炭素繊維を製造する方法が提案されているが、
軟化点、粘度などの点で紡糸が困難な上に、得ら
れる炭素繊維の品質が低いという欠点がある。こ
のような欠点を改善するため、これまで特定の縮
合多環芳香族化合物を水素化処理又は熱処理して
得たピツチ状物質を用いる方法(特公昭45−
28013号公報、特公昭49−8634号公報)、石油系タ
ールやピツチをルイス酸系触媒の存在下、第1の
熱処理を施こしたのち、触媒を除去して第2の熱
処理を施こして得たものを用いる方法(特公昭53
−7533号公報)、減圧下に所定のメソフエース含
量をもつメソフエースピツチを形成させ、これを
原料として炭素繊維を製造する方法(特開昭54−
11330号公報、特公昭54−1810号公報)、特定の組
成、特定の性質をもつメソフエースピツチを用い
る方法(特開昭54−55625号公報、米国特許第
3787541号明細書)などが提案されているが、こ
れらの方法によつてもアクリロニトリルを原料と
したものに匹敵する性質をもつ炭素繊維を得るこ
とができないため、現在に至るまで高性能グレー
ドの炭素繊維をピツチ状物質から製造する実用化
可能な方法は知られていなかつた。 本発明者らは、ピツチ状物質を原料として、ア
クリロニトリルから得られる炭素繊維に匹敵する
性質特に機械的強度を示す炭素繊維を容易に製造
する方法を開発するために鋭意研究を重ねた結
果、特定の方法により得られる全く新規なピツチ
状物質であるプリメソフエース炭素質を原料とし
て用いることにより、その目的を達成しうること
を見出し、本発明をなすに至つた。 すなわち、本発明は、光学的等方性であるが、
600℃以上の熱処理により光学的異方性に変化す
るプリメソフエース又はそれを主体とするピツチ
状物質を、その軟化点より50〜90℃高い温度に加
熱、溶融して紡糸したのち、不融化処理し、次い
で炭化処理し、光学的異方性に変化させることを
特徴とする炭素繊維の製造方法を提供するもので
ある。 本発明において原料として使用するプリメソフ
エース炭素質は、光学的に等方性であり、これを
紡糸し、不融化処理したのち、600℃以上に加熱
すると光学的に異方性のメソフエース炭素質に変
わるという特徴を有するものである。 本発明においては、必ずしも純粋なプリメソフ
エースを用いる必要はなく、これを主体とするピ
ツチ状物質を用いることもできる。ここでプリメ
ソフエースを主体とするピツチ状物質としては、
例えばプリメソフエースとメソフエースとの混合
物で、その中のメソフエース量が60重量%以下の
ものを挙げることができる。 ところで、ピツチ系炭素繊維の場合、その光学
的性質は紡糸用ピツチのそれで決まるとされてい
る。すなわち、光学的異方性(メソフエース)の
繊維を製造するためには、ほとんどメソフエース
で構成されるピツチを用いる必要があつた(例え
ば、特開昭54−11330号公報)。このピツチではメ
ソフエース相と非メソフエース相の2つの相から
構成されており、それぞれの相には性状の違いが
あるため、紡糸の困難さと繊維の不均質性に問題
があつた。この点、プリメソフエース炭素質は等
方性であつても、前述のように容易にメソフエー
スに変換するものであり、また、プリメソフエー
ス炭素質がメソフエースと混合されている場合
も、プリメソフエース炭素質が容易にメソフエー
スに変換しうる程メソフエースに近似しているも
のであるから、単一体と同様の挙動を示すため、
紡糸の容易さと共に繊維が均質である利点を有す
る。さらに、最近外力を加えると光学的異方性に
変わる等方性ピツチとして、いわゆるドーマント
メソフエースが提案されている。しかしながら、
本発明で用いるプリメソフエース炭素質は、外力
を加えただけでは変化せず、加熱によつてはじめ
て異方性に変わるという点で、このドーマントメ
ソフエースピツチとは明らかに異なるものであ
る。 本発明方法において原料として用いるプリメソ
フエースは、原料ピツチを、テトラヒドロキノリ
ン単独による処理、触媒の存在下キノリンと水素
による処理あるいはナフタリンのような芳香族炭
化水素と水素による処理などから成る第1段処理
を施した後、減圧熱処理から成る第2段処理を施
すことによつて製造される。 この際の原料ピツチとしてはコールタール、コ
ールタールピツチ、石炭液化物などの石炭系重質
油、石油の常圧蒸留残油、減圧蒸留残油及びこれ
らの残油の熱処理によつて副生するタールやピツ
チ、オイルサンドビチユーメンなどの石油系重質
油を用いることができるが、後続の紡糸が容易で
あるという点で若干石炭系のものが有利である。 この原料ピツチをテトラヒドロキノリンで処理
するには、例えば原料ピツチ100重量部当りテト
ラヒドロキノリン30〜100重量部を加え300〜500
℃、好ましくは340〜450℃で加熱する。この際テ
トラヒドロキノリンの代りにテトラヒドロキノリ
ンとキノリンとの混合物を用いてもよい。 また、テトラヒドロキノリンによる処理の代り
に触媒の存在下、キノリンと水素で処理する場合
には、例えば原料ピツチ100重量部当りキノリン
30〜100重量部及び触媒5〜10重量部を加え、水
素ガス雰囲気中、圧力50〜200Kg/cm2、温度400℃
以上の条件下に10分間以上維持することによつて
行われる。この際の触媒としては、コバルト−モ
リブデン系、酸化鉄系のものが好適である。ま
た、前記したキノリン単独に代えてキノリンとテ
トラヒドロキノリンの混合物を用いることもでき
る。 このようにして処理して得た生成物は、ろ過し
たのち、第2段処理に付される。 次に芳香族炭化水素と水素ガスで処理する場合
には、原料ピツチ100重量部当り芳香族炭化水素
50重量部以上を混合し、水素ガス雰囲気中、圧力
50Kg/cm2以上、温度430℃以上の条件下に約60分
間維持することによつて行われる。この際の芳香
族炭化水素としては、ナフタリン、アントラセ
ン、フエナントレン、ピレンなどが好適である。
この場合、芳香族炭化水素100重量部当りキノリ
ン1重量部以上を混合したものを用いるとさらに
有利である。 以上のようにして第1段処理された原料ピツチ
は、次いで減圧下、高温処理される。この処理は
圧力50mmHg以下、温度450℃以上の条件下に60分
間以内維持することによつて行われる。この処理
はできるだけ高温の下で、短時間好ましくは15分
以内行うのがよく、あまり長時間の加熱を行うと
可紡性が失われる。 このように、プリメソフエース炭素質を形成さ
せるには、2段階の処理が必要であるが、それは
第1段処理で原料ピツチ中の高分子量分を低分子
化させ、次いで第2段処理で低分子量分を除去す
るためである。 このようにして得られたプリメソフエース炭素
質は、通常軟化点300℃以下、固定炭素量87%以
上で、キノリンには可溶である。 また、このプリメソフエース炭素質を反射偏光
顕微鏡により、直交ニコル下で観察した場合、従
来の炭素繊維の原料ピツチとして慣用されていた
メソフエースはニコルを回転させると、45゜を周
期として暗黒色と白色の状態が繰り返されるのに
対し、このものは常に暗黒色であつて変化しな
い。このことから、前記のプリメソフエース炭素
質は光学的に等方性であることが分る。 本発明方法においては、原料ピツチとしてプリ
メソフエース炭素質を用いるが、これは必ずしも
純粋なものである必要はなく、前記したようなメ
ソフエースとの混合物であつてもよい。この場合
は、粘度のほぼ等しいメソフエースとプリメソフ
エースを用い、かつメソフエースの混合割合を60
重量%以下にするのが好ましい。これよりもメソ
フエースの量が多くなると可紡性が低下し、90重
量%以上では糸切れが激しく、50m/分という低
速を用いても連続的な紡糸はほとんど不可能にな
るし、また紡糸できたとしても得られた繊維は強
度が著しく低いものとなり実用に供することがで
きない。 本発明方法におけるプリメソフエース炭素質の
紡糸は、溶融押出紡糸、遠心紡糸、吹込紡糸等こ
れまで炭素繊維の紡糸法として周知の方法に従つ
て行うことができる。例えば、プリメソフエース
炭素質を、口径0.1〜0.8mmのノズルをもつ紡糸器
に入れ、外部加熱によりその軟化点よりも50〜90
℃高い温度に加熱し、窒素ガスのような不活性ガ
スを用い0.2〜2Kg/cm2の圧力で押出し、ノズル
より紡出してくるフイラメントを巻取速度50〜
1000m/分で巻き取ることにより行うことができ
る。 この際の可紡性は、プリメソフエース炭素質の
純度に関係し、その中のメソフエース量が60重量
%以下の場合は、1000m/分程度の高速で巻き取
ることができるが、それよりも多く含むものは低
速にしないと連続的な紡糸ができず、しばしば糸
切れを生じる上に、生じた繊維が不均一となる。
この紡糸に際し、生成したフイラメント中のメソ
フエース量は、紡糸の前後において実質的に変化
しない。 次に、本発明方法の不融化処理は、前記のよう
にして得たフイラメントを、例えば電気炉中に入
れ空気気流中、0.5〜3℃/分の昇温速度で250〜
350℃まで加熱し、5〜30分間維持することによ
つて行われる。 このようにして不融化されたフイラメントは、
次いでその中のプリメソフエース炭素質をメソフ
エースに変えるために炭化処理に付せられる。こ
の炭化処理は、例えば窒素ガスのような不活性ガ
ス気流中、2〜5℃/分の昇温速度で900〜1200
℃の範囲内の温度まで加熱し、この温度に10〜30
分間維持することによつて行われる。この処理に
よつて、光学的に等方性のプリメソフエース炭素
質の実質的に全てが、光学的に異方性のメソフエ
ースに変換する。このようにして、繊維径20μ以
下、引張強度150〜320Kg/mm2、伸び率1.2〜1.6%
の炭素繊維が原料に基づき88%もしくはそれ以上
の収率で得られる。 本発明方法によると、従来のピツチやメソフエ
ースを原料として炭素繊維を製造する方法に比べ
大きい紡糸速度で、また高い炭素変換効率で、ポ
リアクリロニトリルから得られるものに匹敵する
強度をもつ炭素繊維を得ることができる。 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明す
る。 各実施例中の炭素繊維の繊維径は走査型電子顕
微鏡による観察で測定した。また引張強度、伸び
率は、JIS R7601「炭素繊維試験方法」に従つて
測定した。 参考例 1 コールタールピツチ200gと1,2,3,4−
テトラヒドロキノリンとキノリンとの混合物(テ
トラヒドロキノリン濃度86.7%)500gを2容
−オートクレーブに入れ、内部空気を窒素ガスで
置換したのち密封し、平均昇温速度3℃/分で
450℃まで加熱し、この温度に10分間保持した。
次いで室温まで冷却後、ガラスフイルター
(No.4)を通して減圧にろ過し、ろ液を圧力10mm
Hgのもとで、液温が200℃に達するまで蒸留する
ことによりテトラヒドロキノリンとキノリンを除
去しピツチAを得た。 また、前記の450℃で10分間の熱処理の代りに
400℃で30分間処理する以外は前記と全く同様に
処理してピツチBを得た。 このようにして得たピツチA、ピツチBの性状
を原料コールタールピツチのそれと共に第1表に
示す。
【表】 このピツチA又はピツチBの約100gを、内容
積300mlのパイレツクス製容器に入れ、あらかじ
め500〜530℃に加熱しておいた塩浴に浸した。真
空ポンプに連結し、徐々に減圧し、最終的に10mm
Hgの圧力とした。この条件下に第2表に示す時
間保持したのち、室温まで冷却し、プリメソフエ
ース炭素質を製造した。表中の保持時間は、浴中
に容器を浸したときからの時間である。また、ピ
ツチの実際の温度は、塩浴温度よりも約20℃低か
つた。 このようにして得たプリメソフエース炭素質の
収率及び性能を第2表に示した。
【表】
【表】 参考例 2 カフジ原油の減圧蒸留残油を窒素ガス気流中、
420℃において60分間熱処理した。残留ピツチの
収率は58重量%であり、キノリン不溶分6.8重量
%含んでいた。 次にこの残留ピツチをキノリンに溶解し、過
して不溶分を除き、液を蒸留しキノリンを除く
ことによつてピツチを得た。 このピツチ200gを2容−オートクレーブに
入れ、テトラヒドロキノリンとキノリンの混合物
(テトラヒドロキノリン濃度87.6%)500gを加
え、水素圧50Kg/cm2(ゲージ圧)、温度450℃にお
いて3時間処理した。次いで、減圧蒸留によつて
テトラヒドロキノリンとキノリンを除去したの
ち、参考例1と同様にして10mmHgの圧力下、490
℃で10分間処理し、45.2%の収率でプリメソフエ
ース炭素質を得た。 このプリメソフエース炭素質は軟化点341℃、
キノリン不溶分64.3%、固定炭素量87.6%であつ
た。 参考例 3 ナフサタールピツチ350gを2容−オートク
レーブに入れ、参考例2で回収したテトラヒドロ
キノリンとキノリンの混合物(テトラヒドロキノ
リン濃度38.1%)350gを加え、これに触媒とし
て赤泥35g加えたのち、水素圧75Kg/cm2、温度
450℃で60分間加熱処理した。次いでこの処理物
を過して赤泥を除去し、その液を減圧蒸留し
てテトラヒドロキノリンとキノリンとを除去し
た。 このようにして得たピツチを参考例1と同様に
して、10mmHgの圧力下、480℃において10分間処
理することにより38.9%の収率でプリメソフエー
ス炭素質を得た。 このプリメソフエース炭素質は、軟化点341℃、
キノリン不溶分53.6%、固定炭素量88.6%であつ
た。 実施例 1 参考例1で得た種々のプリメソフエース炭素質
20gを、口径0.5mmのノズルをもつ内径20mm、長
さ150mmの真ちゆう製紡糸器に入れ、外部加熱に
よりそれぞれのピツチをその軟化点よりも約70℃
高い温度になるように加熱し、窒素ガスで1Kg/
cm2(ゲージ圧)に加圧して押出し、ノズルから紡
出したフイラメントを1000m/分で巻き取つた。 このようにして調整したフイラメントを電気炉
中に入れ、空気を約200ml/分の割合で通じなが
ら、1℃/分の昇温速度で260℃又は300℃に加熱
し、この温度に15分間保持することにより不融化
処理した。 次いでこのようにして得た処理フイラメント
を、窒素ガス気流中、5℃/分の昇温速度で1000
℃まで加熱し、15分間保持して炭化を行つた。 このようにして得た炭素繊維の調製条件及び物
性を第3表に示す。 なお、表中のピツチNo.は参考例1におけるピ
ツチNo.と同じである。
【表】 比較例 1 参考例1で用いた原料コールタールピツチをキ
ノリンに溶解し、フレーカーボンを過により除
いた。このようにして得たフリーカーボンを含ま
ないピツチを参考例1と同様にして減圧下、500
℃で15分間熱処理したところ、全体がコーキング
し、加熱しても軟化、溶融させることができなか
つた。 次に減圧下における熱処理を500℃で5分間と
したところ、キノリン不溶分(メソフエース)を
72.0重量%含むピツチを得た。この際の収率は
53.0重量%であり、ピツチの軟化点は370℃であ
つた。このピツチを紡糸温度430℃で紡糸を試み
たが、フイラメントを得ることはできなかつた。 比較例 2 参考例1で示したピツチAを450℃で10分間処
理し、その生成物を減圧することなく500℃で60
分間処理した。このようにして収率58.2重量%
で、軟化点379℃、キノリン不溶分72.9重量%の
ピツチを得た。 このピツチを約430℃で紡糸を試みが、フイラ
メントはほとんど得られなかつた。 次に、上記のピツチを10mmHgに減圧した条件
下、420℃で18時間熱処理することにより、軟化
点323℃、キノリン不溶分73.2重量%、固定炭素
量82.9重量%のピツチを得た。このものを380〜
420℃の範囲の紡糸温度で紡糸を試みたが、紡糸
開始初期にわずかにノズルから紡糸しただけで、
ほとんどフイラメントを形成することはできなか
つた。 実施例 2 参考例2で得たプリメソフエース炭素質を実施
例1と同様にして、約410℃おいて紡糸した。 次いで得られたフイラメントを、電気炉中、空
気を吹き込みながら、昇温速度1℃/分で300℃
まで加熱し、30分間この温度に保持して不融化し
た。この際の重量増加率は3.5%であつた。 次に、この不融化したフイラメントを、平均昇
温速度3.3℃/分で1000℃まで加熱し、この温度
に15分間保持して炭化させ、炭素繊維を得た。 この際の収率は、プリメソフエース炭素質に対
して87.4%であつた。また、得られた炭素繊維の
引張強度は186Kg/mm2、伸び率は1.2%、繊維径は
18μmであつた。 実施例 3 参考例3で得たプリメソフエース炭素質を、実
施例1と同様にして紡糸温度400〜420℃で紡糸し
たのち、空気中260℃で15分間不融化処理した。 次に不融化処理したフイラメントを窒素ガス気
流中、昇温速度2℃/分で1000℃まで加熱し、こ
の温度に15分間保持して炭化させることにより
87.3%の収率で、引張強度216Kg/mm2、伸び率1.1
%、繊維径16μmの炭素繊維を得た。 参考例 4 紡糸用ピツチ中の光学的に等方性はキノリン可
溶分が紡糸とその不融化処理では光学的等方性で
あり、その紡糸した繊維を炭化することによつて
メソフエースに全面的に転換することは次の実験
によつて証明した。 コールタールピツチとテトラヒドロキノリンを
密閉容器中、450℃で10分間処理した後、遠心沈
澱法によつて、コールタールピツチ中のフリーカ
ーボンを除去し、ついで、減圧蒸留を行つてテト
ラヒドロキノリンとキノリンを除去した。得られ
たピツチ100gを300mlの重合フラスコに入れ、あ
らかじめ500℃に加熱した塩浴中に投入した。投
入後ただちに減圧系に接続し、徐々に減圧させな
がら、留出する油分をトラツプに導いた。投入後
約4分間でピツチの温度が480℃に達し、この温
度で5分間保持した。なお、最終の減圧は10mm
Hgである。時間経過後、ただちにフラスコに塩
浴から取出し、室温まで冷却した。 フラスコ残として得られた紡糸用ピツチは36.8
gであつた。このピツチの軟化点は171℃、固定
炭素量86.6%、キノリン不溶分0.8%であつた。
反対偏光顕微鏡で組織を観察したところ、約1μ
mの球径を持つメソフエース小球体が散在してい
るのが認められ、それ以外の部分は光学的等方性
であつた。 0.5mmの孔径を持つノズルをつけた紡糸器にピ
ツチを入れ、約250℃に加熱した後、窒素ガスに
よつて、約0.5Kg/cm2加圧して紡糸した。紡糸は
かなり容易で、巻取速度約300m/minで数分間、
糸切れなく巻取ることができた。 紡糸した繊維の不融化はピツチの軟化点が低い
ため、かなり困難であり、空気酸化だけでは完全
な不融化処理ができなかつた。とくに、約20μm
の太い繊維は不融化処理によつて溶融するよう
で、繊維形状は保持しているが、かたくてもろい
ものであつた。 不融化処理後の繊維を窒素ガス気流中、5Kg/
minの昇温速度で100℃で加熱し、15分保持して
炭化した。 このようにして炭化した繊維、紡糸および不融
化処理した繊維を樹脂に埋込み、研摩した後、反
射偏光顕微鏡によつて直交ニコル下で組織を観察
した。その組織写真を第1図に示す。第1図a,
bは紡糸した繊維であり、同図c,dは炭化処理
した繊維である。aとcは偏光板(ニコル)の振
動方向に対して、繊維軸が平行または垂直(直交
ニコルであるため)方向であり、bとdは45゜の
対角位である。aの紡糸した繊維は暗黒色であ
り、その中に数個の輝く小球体(球径1μm位)
が存在する。これを45゜右方向に回転させ、対角
位にしてもこの状態は変らない(b)。これに石こう
検板(入板)をそう入して観察しても、小球体は
右方向45゜に回転させると色の変化が認められる
が、暗黒色は赤色であり、変化しない。すなわ
ち、繊維中にわずかに存在する小球体は光学的異
方性であり、その他の大部分は光学的等方性であ
つてメソフエースではない。この状態はメソフエ
ース小球体を含む紡糸用ピツチと同様であり、か
つ、不融化処理繊維でも同様であつた。しかし、
炭化した繊維はcでは暗黒色であるが、45゜右回
転(対角比)では繊維全体が白色に輝く。さらに
45゜右回転(全体で90゜回転)で暗黒色、さらに45゜
回転(全体で135゜回転)で白色と、45゜毎に暗黒
色と白色をくり返す。さらに石こう検板をそう入
して観察すると、cで赤色、dでは青色となる。
この青色の流れの方向は繊維軸方向と一致してい
る。この観察結果から、炭化した繊維内の炭素層
面はほとんど繊維軸方向と一致していることがわ
かる。 上述のように、紡糸用ピツチは繊維の形にする
だけでは光学的等方性である、これを炭化処理に
よつて、初めて光学的異方性(メソフエース)に
転換できるものであることがわかる。紡糸用ピツ
チを繊維の形にせず、そのまま加熱すれば、当然
のことながら、ピツチ全体がメソフエースに転換
する。しかし、約10〜20μmの非常に狭い繊維内
において、メソフエースの生成、生長がスムース
に進展しないことはよく知られている。繊維の炭
化は液相反応でなく、むしろ固相反応に近いため
である。したがつて、従来はメソフエースを含む
ピツチを紡糸しない限り、光学的に異方性の炭素
繊維は得られないと考えられていたので、本発明
のように光学的に等方性のフイラメントの炭化に
より光学的に異方性の炭素繊維が得られたことは
全く予想外のことというべきである。
【図面の簡単な説明】
第1図aとbは、紡糸したプリメソフエース炭
素質の偏光顕微鏡写真図、第1図cとdはそれを
炭化処理した後の偏光顕微鏡写真図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 光学的等方性であるが600℃以上の熱処理に
    より光学的異方性に変化するプリメソフエース炭
    素質又はそれを主体とするピツチ状物質を、その
    軟化点より50〜90℃高い温度に加熱し、溶融して
    紡糸したのち、不融化処理し、次いで炭化処理
    し、光学的異方性に変化させることを特徴とする
    炭素繊維の製造方法。
JP11747081A 1981-07-27 1981-07-27 炭素繊維の製造方法 Granted JPS5818421A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11747081A JPS5818421A (ja) 1981-07-27 1981-07-27 炭素繊維の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11747081A JPS5818421A (ja) 1981-07-27 1981-07-27 炭素繊維の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS5818421A JPS5818421A (ja) 1983-02-03
JPH0133568B2 true JPH0133568B2 (ja) 1989-07-13

Family

ID=14712475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11747081A Granted JPS5818421A (ja) 1981-07-27 1981-07-27 炭素繊維の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS5818421A (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58144127A (ja) * 1982-02-10 1983-08-27 Dainippon Ink & Chem Inc 炭素系繊維の製造方法
JPS58144126A (ja) * 1982-02-10 1983-08-27 Dainippon Ink & Chem Inc 炭素系繊維の製造法
JPS5953717A (ja) * 1982-09-16 1984-03-28 Agency Of Ind Science & Technol 高強度,高モジュラスピッチ系炭素繊維の製造方法
FR2532322B1 (fr) * 1982-08-24 1985-08-23 Agency Ind Science Techn Compositions de brai, procedes de preparation desdites compositions, filament de brai, procede de preparation dudit filament, fibre de carbone a base de brai et procede de preparation de ladite fibre de carbone
JPS5988923A (ja) * 1982-11-12 1984-05-23 Agency Of Ind Science & Technol 炭素繊維の製造方法
JPS59155493A (ja) * 1983-02-23 1984-09-04 Mitsubishi Petrochem Co Ltd メソフエ−ズピツチの製造方法
US4840762A (en) * 1984-01-24 1989-06-20 Teijin Ltd. Process for preparation of high-performance grade carbon fibers
JPS60190492A (ja) * 1984-03-10 1985-09-27 Kawasaki Steel Corp 炭素繊維用プリカ−サピツチの製造方法
DE3584693D1 (de) * 1984-06-26 1992-01-02 Mitsubishi Chem Ind Verfahren zur herstellung von kohlenstoffasern des pechtyps.
JPH0633530B2 (ja) * 1984-09-14 1994-05-02 呉羽化学工業株式会社 炭素繊維及びその製造方法
JPH0633529B2 (ja) * 1984-09-14 1994-05-02 呉羽化学工業株式会社 炭素繊維の製造方法
JPH0633528B2 (ja) * 1984-09-14 1994-05-02 呉羽化学工業株式会社 炭素繊維及びその製造方法
JPS62276021A (ja) * 1986-05-23 1987-11-30 Nitto Boseki Co Ltd 炭素繊維の製造方法
JP2648711B2 (ja) * 1986-11-07 1997-09-03 株式会社 ペトカ ピッチ系炭素繊維三次元織物の製造法
JPH0258596A (ja) * 1988-08-25 1990-02-27 Maruzen Petrochem Co Ltd 高性能炭素繊維製造用ピッチと汎用炭素繊維製造用ピッチの併産方法
US5182010A (en) * 1989-11-29 1993-01-26 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Mesophase pitch for use in the making of carbon materials
US5356574A (en) * 1992-09-22 1994-10-18 Petoca, Ltd. Process for producing pitch based activated carbon fibers and carbon fibers

Also Published As

Publication number Publication date
JPS5818421A (ja) 1983-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4590055A (en) Pitch-based carbon fibers and pitch compositions and precursor fibers therefor
JPH0133568B2 (ja)
US4016247A (en) Production of carbon shaped articles having high anisotropy
JPS58185612A (ja) 楕円体状分子を有するメソフエ−スピツチとその製造法
JPS635433B2 (ja)
CN111718740A (zh) 溶剂协同氢化制备的可纺中间相沥青、制备方法及应用
KR910005574B1 (ko) 탄소 재료용 피치의 제조방법
JPS59196390A (ja) 炭素繊維用ピツチの製造方法
JPS602352B2 (ja) プリメソフエ−ス炭素質の製造方法
JPS60190492A (ja) 炭素繊維用プリカ−サピツチの製造方法
JPS6256198B2 (ja)
JPS58101191A (ja) メソ相ピツチおよび該ピツチ系炭素繊維の製造方法
JPS59136383A (ja) 炭素繊維製造用ピツチの調製方法
JPH0455237B2 (ja)
JPH01247487A (ja) メソフェースピッチの製造方法
JPS5834569B2 (ja) 炭素繊維の製造法
JPS5988923A (ja) 炭素繊維の製造方法
JPS6223084B2 (ja)
JPH03167291A (ja) 光学的異方性ピッチ及びその製造方法
JPH03227396A (ja) 光学的異方性ピッチの製造方法
JPS61138721A (ja) 炭素繊維の製造方法
JPH0623312B2 (ja) 炭素繊維用原料ピツチ
JPS61190587A (ja) 炭素繊維用プリカ−サ−ピツチの製造方法
JPH059476B2 (ja)
JPS62124190A (ja) 炭素材原料の製造方法