JPH0629437B2 - 炭素繊維用プリカ−サ−ピツチの製造方法 - Google Patents

炭素繊維用プリカ−サ−ピツチの製造方法

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JPH0629437B2
JPH0629437B2 JP60195486A JP19548685A JPH0629437B2 JP H0629437 B2 JPH0629437 B2 JP H0629437B2 JP 60195486 A JP60195486 A JP 60195486A JP 19548685 A JP19548685 A JP 19548685A JP H0629437 B2 JPH0629437 B2 JP H0629437B2
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幸広 大杉
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はGP(General Purpose)グレードの炭素繊維を
製造するのに用いるプリカーサーピッチの製造方法に関
し、特に石炭系の高温乾留タールを原料とし、紡糸性、
不融化性、炭化特性に優れたプリカーサーピッチを製造
する方法に関するものである。
<従来技術とその問題点> 炭素繊維を製造する方法として、大別して、ポリアクリ
ロニトリル(PAN)など合成繊維を原料とする方法
と、石油ピッチやコールタールピッチのタールピッチを
原料として製造する方法がある。これらのうち前者の方
法は、原料繊維の価格が高いということの他、炭化収率
も低いということが欠点となっている。一方、後者の方
法は、一般に紡糸性の良いものは不融化性が困難であ
り、不融化性の良いものは紡糸性が困難であるという欠
点がある。
石炭を乾留してコールタールを得るには、高温乾留(1
000〜1300℃)による方法と、低温乾留(500
〜900℃)による方法がある。低温乾留タールを出発
原料として炭素繊維用プリカーサーピッチを製造する方
法(特開昭55−1342号)があるが、本方法により
得られたプリカーサーピッチは、芳香族性が低く、かつ
また固定炭素量が低いが為に、プリカーサーピッチから
炭素繊維の収率が低く、炭素繊維の強度も充分でないと
いう欠点を有している。
一方高温乾留タールは、1000〜1300℃という非
常に高温での熱履歴を受けているが為に、タールそのも
のの芳香族性は高いものの、熱重合によって生成した高
分子成分と、熱分解によって生成した低分子成分がター
ル中に存在している。
この高温乾留タールから、炭素繊維用プリカーサーピッ
チに調製する場合、紡糸性、不融化性、炭化特性を改善
する為に、加熱処理して、高分子化しなければならない
が、高温乾留タールは低分子成分を多く含んでいる為
に、このタールを熱処理して炭素繊維用プリカーサーピ
ッチに調製しても低分子量成分が残存し、その結果とし
て、粘度の低い、紡糸性に優れたプリカーサーピッチが
得られるものの、不融化性に劣るものとなる。
不融化性を改善する為に、更に加熱処理を進め、高分子
化すると、いわゆるメソフェーズが容易に生成してしま
い、このメソフェーズは、プリカーサーピッチを繊維に
した場合、繊維の節となり糸切れの原因になったり、更
には炭化した時には、繊維強度低下の原因にもなる。
<発明の目的> 本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解決し、紡
糸性、不融化性、炭化特性に優れた炭素繊維用プリカー
サーピッチの製造方法を提供しようとするものである。
<発明の構成> 石炭系タール特に高温乾留タールの中で、タール中のキ
ノリン不溶分含有量が5重量%以下のタールには、低分
子成分が少なく、ベンゼン、トルエン、キシレン、石炭
系軽油の如き芳香族系軽油を用いて、タール中の高分子
成分を分離除去すれば、後の熱処理において、メソフェ
ーズの生成が充分に抑制されるという知見を得て本発明
に至った。
すなわち、本発明は軟化点が200℃以上、ベンゼン不
溶分が45〜65重量%、キノリン不溶分が0.5重量%
以下で、光学的に等方性組織よりなる炭素繊維用プリカ
ーサーピッチを製造するに際し、 キノリン不溶分含有量が5重量%以下の石炭系高温乾留
タール、ベンゼン、トルエン、キシレンおよび石炭系軽
油より選ばれた少なくとも1種を主成分とする芳香族系
溶剤を添加してタール中のフリーカーボンを分離除去し
た後、溶剤及びタール中の軽質分を蒸留により除去して
フリーカーボンを実質的に含まないピッチを得、このピ
ッチを減圧下または不活性ガスの吹込みの条件下で50
0℃以下の温度で加熱処理することを特徴とする炭素繊
維用プリカーサーピッチの製造方法を提供するものであ
る。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本願発明者等は、石炭系のタールを原料として、紡糸
性、不融化性、炭化特性に優れた炭素繊維用プリカーサ
ーピッチを以下の方法で得ることができることを見い出
した。
石炭系タールとしては高温乾留タールが好適である。特
に、石炭の高温乾留で得られたタールの中で、フリーカ
ーボン含有量(キノリン不溶分量と同じ)が5重量%以
下のタールを出発原料とするのがよく、このタールに、
ベンゼン、トルエン、キシレン、石炭系軽油などの芳香
族系溶剤をタールの1〜5倍量添加し、遠心分離、静置
分離、減圧濾過、加圧濾過などの方法によって、タール
中のフリーカーボン及び高分子成分を分離除去した後、
蒸留により、溶剤及びタール中の軽質分を除去して、フ
リーカーボンを実質的に含まないピッチ(フリーカーボ
ン含有量が0.01重量%以下)を得、このピッチを減圧下
又は不活性ガスの吹き込みの条件下で、500℃以下に
加熱処理することにより、熱安定性が良く、紡糸性と不
融化性に優れ、炭化収率が高く、炭化特性に優れたGP
(General Purpose)炭素繊維用プリカーサーピッチを容
易に製造することができる。
石炭を1000〜1300℃という高温で乾留して得ら
れたタール中には、フリーカーボンと呼ばれる固体粒子
が1〜20重量%程度含有されている。このフリーカー
ボンは、乾留工程において、タール蒸気のコークス炉内
における気相熱分解によって生成したもので、直径1μ
m以下の球状をしている固体粒子である。
このフリーカーボンは、いかなる有機溶剤にも溶解しな
い事が知られていて、通常タール中のキノリン不溶分と
言えば、このフリーカーボンの事である。このフリーカ
ーボンは、炭素繊維プリカーサーピッチとしては、好ま
しくない成分である。というのは、このフリーカーボン
は、溶融紡糸においてノズルを閉塞させたり、更には、
ピッチを繊維にした場合繊維の節になってしまい、糸切
れの原因や、繊維の強度低下の原因にもなる。タール中
のフリーカーボン含有量は、用いる石炭の種類、コーク
ス炉の温度、コークス炉の型、コークス炉内における石
炭のカサ密度等、多くの要因によって大きく、変動する
が、一般にフリーカーボン含有量の少ないタール程、タ
ール中に高分子成分、及び低分子成分の含有量が少な
い。
タール中にフリーカーボン含有量が多いという事は、コ
ークス炉内において、タール蒸気が多くの熱履歴を受け
る事を意味しており、多くの熱履歴を受ければ受ける
程、熱重合によるタールの高分子化、重質比と、熱分解
によるタールの低分子化、軽質化が同時に起こりやすく
なる。
本発明者らは数多くのタールを調べた結果、タール中の
フリーカーボン含有量は、5重量%以下のタールであれ
ば、特に低分子成分の含有量が少ない事を見い出し、こ
のタールを出発原料とすることによって、最終的に優れ
たプリカーサーピッチに成り得ることができることを見
い出した。
石炭を乾留してコールタールを得る方法としては、大別
して高温乾留(1000〜1300℃)による方法と、
低温乾留(500〜900℃)による方法があるが、高
温乾留で得られたコールタールの方が、はるかに芳香族
性が高く、この芳香族性の高いコールタールを出発原料
とする事により、芳香族性の高い炭素繊維用プリカーサ
ーピッチが得られ、これらの特性が、炭素繊維とした場
合、炭化収率の増大と、炭素繊維の強度発現に大きく寄
与する。
タール中のフリーカーボンは、炭素繊維用プリカーサー
ピッチとして、好ましくない成分であるので、このフリ
ーカーボンを分離除去しなければならないが、この分離
除去の操作において、ベンゼン、トルエン、キシレン、
石炭系軽質油(ベンゼン、トルエン、キシレンの混合
物)などの芳香族系溶剤を用いることに、本発明の特徴
がある。
つまり、フリーカーボン含有量5重量%以下のタール
に、上記の芳香族系溶剤をタールの1〜5倍量添加し、
遠心分離、静置分離、濾過方法で、フリーカーボンを分
離除去する方法である。この時のフリーカーボン含有量
は0.01重量%以下にするのがよい。これが0.01重量%を
こえると、このフリーカーボンがノズルを閉塞させた
り、繊維の節となり、繊維の引張強度を著しく低下させ
るためである。
コールタールに芳香族系溶剤を添加する事は、溶液に粘
度を下げて、分離操作を容易にするという事の他に、タ
ール中に存在する高分子成分(芳香族系溶剤に溶解しな
い成分)をフリーカーボンと一縮に分離除去するという
2つの働きが考えられる。
フリーカーボンを除去したタールを出発原料と、炭素繊
維用プリカーサピッチを調製するにあたり、低分子成分
を除去し、高分子化を進める為に熱処理を施すが、ター
ル中に存在する高分子成分は、この熱処理においてメソ
フェーズ成分となり得るものである。
このメソフェーズ成分は、いわゆるキノリン不溶分で不
溶不融の固体粒子であり、フリーカーボンと同時に、等
方性組織から成る汎用炭素繊維用プリカーサーピッチと
しては、好ましくないものである。つまり溶融紡糸時に
おいて、ノズルを閉塞させたり繊維にした場合、繊維の
節をつくる原因になり、繊維強度を著しく低下させる。
この様に、熱処理において、容易にメソフェーズ成分と
なるタール中の高分子成分を、芳香族系溶剤を用いて分
離除去することに、本発明の特徴がある。ピリジン、キ
ノリン、石炭系中油、重油の如き溶解力の大きい溶剤を
用いると、タール中の高分子成分が溶解してしまい、後
の熱処理の過程で容易にメソフェーズが生成しやすくな
る。
n−ヘキサン、シクロヘキサン、等の脂肪族系溶剤を用
いる場合は、高温乾留タールの芳香族性が非常に高い為
に、タールと脂肪族系溶剤とのなじみが薄く、タール中
の高分子成分ばかりでなく、炭素繊維プリカーサーピッ
チとなる有効成分までも除去されてしまい、極端にプリ
カーサーピッチの収率が低下する。
高温乾留タールに芳香族系軽質油を、添加し、タール中
のフリーカーボン、高分子成分を分離除去するには上記
芳香族系溶剤の沸点以下の温度で充分であり、通常40
〜70℃という比較的低温で操作できる。又溶剤比に関
しては、1〜5倍量が最適で、溶剤比1未満であると、
溶液の粘度が充分に低下せずフリーカーボン、タール中
の高分子成分の分離除去が著しく困難となる。更に溶剤
比が5をこえると、タール中の高分子成分のみならず、
炭素繊維プリカーサーピッチとなる有効成分までも除去
されてしまう上に、設備上、コスト上に不利な面がでて
くる。以上の結果より、溶剤比は1〜5倍量が最適とな
る。
この様に、高温乾留タールに芳香族系溶剤を添加し、遠
心分離、静置分離、濾過方法によってタール中のフリー
カーボン、高分子成分を分離除去した後、上記の溶剤及
びタール中の軽質分を除去して、フリーカーボンを含ま
ないピッチ(フリーカーボン含有量が0.01重量%以下)
を得る。
次にこのピッチを減圧下または不活性ガスの吹き込み条
件下において、500℃以下に加熱処理することによ
り、低分子成分を除去し、芳香族化、高分子化を進め
て、炭素繊維用プリカーサーピッチを得る。
減圧の程度は、30mmHg以下の範囲が好ましい。その理
由は減圧度が30mmHgをこえると、ピッチ中の低分子分
が充分に除去されないからである。また、窒素、アルゴ
ン、ヘリウムなどの不活性ガスを吹き込みつつ熱処理す
るのもよい。このように不活性ガスの吹込により低分子
分が不活性ガスとともに糸外へ留去されるためである。
加熱処理は500℃以下で行う。500℃をこえると高
分子化が進みすぎてメソフェーズが生成する。
特に、石炭系の高温乾留タールのうち、タール中のフリ
ーカーボン含有量が5重量%以下の高温乾留タールを出
発原料とし、芳香族系溶剤を用いてタール中のフリーカ
ーボン、高分子成分を分離除去し、更に溶剤及びタール
中の軽質分を蒸留により除去して得られたフリーカーボ
ン含有量が0.01重量%以下であるピッチは、引き続く5
00℃以下の加熱処理においても、メソフェーズの生成
が充分に抑制され、かつベンゼン不溶分で代表される高
分子成分が容易に得られる。
得られるプリカーサーピッチは、軟化点が200℃以
上、ベンゼン不溶分が45〜65重量%、キノリン不溶
分が0.5重量%以下で、光学的に等方性の繊維よりなる
ピッチで、紡糸性、不融化性、炭化特性に優れている。
軟化点が200℃未満であると、不融化が充分に進まな
い。ベンゼン不溶分が45重量%以下であれば、溶融紡
糸性は優れているのの、不融化性に問題があり、不融化
処理において、繊維の融着、融解がおこりやすい。ベン
ゼン不溶分が65重量%以上であれば、粘度が著しく高
くなり、溶融紡糸が困難となる。キノリン不溶分が0.5
重量%をこえると、このキノリン不溶分がノズルを閉塞
させたり、繊維の節となり、繊維の引張強度が低下す
る。
<実施例> 次に本発明を実施例および比較例を挙げて具体的に説明
する。
<実施例1> 石炭を高温乾留して得られたタール(キノリン不溶分=
フリーカーボン含有量=2.6重量%)1重量部に対し
て、トルエンを3重量部添加し、60℃にて撹拌混合し
た後、60℃で30分間静置した。その後、上澄液の7
0%を取り出し、この上澄液を290℃で蒸留し、トル
エン、及びタール中の軽質油分を留去した。得られたピ
ッチは、軟化点=80℃、ベンゼン不溶分=12.0重量
%、ピリジン不溶分=3.2重量%、キノリン不溶分=0.0
1重量%以下であった。
このフリーカーボンを実質的に含まないピッチを、50
0mlスラスコを用いて、真空度6mmHgabsで420℃で
熱処理し、軟化点220℃、ベンゼン不溶分50.2重量
%、キノリン不溶分=0.01重量%以下の光学的に等方性
組織より成る炭素繊維用プリカーサーピッチを得た。
このプリカーサーピッチを280℃で溶融紡糸し、下記
の条件で不融化処理した後、引き続きアルゴン中にて1
000℃で炭化処理し、炭素繊維を得た。この繊維は、
繊維径8.2μm、引張強度93Kg/m2、弾性率4.1/mm2であ
った。
・不融化条件 室温〜150℃で30min 150〜310℃で3Hr 310℃で1Hr保持 空気流量=600ml/min <実施例2> 実施例1で用いた高温乾留タール(キノリン不溶分=2.
6重量%)1重量部に対して、石炭系軽油(ベンゼン=
85重量%、トルエン=10重量%、キシレン=5重量
%の混合物)を2重量部添加し、更に、この混合溶液に
対して、3重量%の濾過助剤であるケイソウ土を添加
し、75℃の温度にて3.0Kg/cm2の加圧下で濾過した。
得られた濾液を290℃で蒸留し、石炭系軽油及び、軽
質油分を留出した。得られたピッチは軟化点=85℃、
ベンゼン不溶分=16.0重量%、ピリジン不溶分=5.0重
量%、キノリン不溶分=0.01重量%以下であった。
このフリーカーボンを実質的に含まないピッチを500
mlフラスコを用いて、真空度8mmHgabsで、430℃で
熱処理し、軟化点240℃、ベンゼン不溶分=54.2重量
%、キノリン不溶分=0.02重量%の光学的に等方性組織
よりなる炭素繊維用プリカーサーピッチを得た。
このプリカーサーピッチを295℃で溶融紡糸し、実施
例1と同様の条件で不融化処理し、引き続いてアルゴン
中にて1000℃で炭化処理し、炭素繊維を得た。この
繊維は繊維径9.0μm、引張強度102Kg/mm2、弾性率4.
0t/mm2であった。
<実施例3> 石炭を高温乾留して得られたタール(キノリン不溶分=
4.6重量%)1重量部に対して、ベンゼンを2.5重量部添
加し、50℃にて遠心分離でフリーカーボン及びタール
中の高分子成分を重液として分離除去した。得られた軽
液300℃で蒸留し、ベンゼン及びタール中の軽質油分
を留去した。得られたピッチは軟化点=85℃、ベンゼ
ン不溶分=14.0重量%、ピリジン不溶分=5.0重量%、
キノリン不溶分=0.01重量%以下であった。
このフリーカーボンを含まないピッチを500mlフラス
コを用いて真空度6mHgabsで430℃で熱処理し、軟化
点230℃、ベンゼン不溶分=51.1重量%、キノリン不
溶分=0.01重量%の光学的に等方性組織よりなる炭素繊
維プリカーサーピッチを得た。
このフリカーサーピッチを285℃で溶融紡糸し、実施
例1と同一条件で不融化処理した後、引き続きアルゴン
中にて1000℃で炭化処理して炭素繊維を得た。この
繊維は繊維径8.4μm、引張強度98Kg/mm2、弾性率4.0
t/mm2であった。
<実施例4> 実施例3で示したフリーカーボンを含まないピッチ(軟
化点=85℃、ベンゼン不溶分=14.0重量%、ピリジン
不溶分=5.0重量%、キノリン不溶分=0.01重量%以
下)300gを500mlフラスコに入れ、窒素ガス流通
下(5l/min)において450℃で熱処理し、軟化点2
40℃、ベンゼン不溶分=54.2重量%、キノリン不溶分
=0.2重量%の光学的に等方性組織より成る炭素繊維プ
リカーサーピッチを得た。
このプリカーサーピッチを291℃で溶融紡糸し、実施
例1と同一条件で不融化処理した後、引き続きアルゴン
中にて1000℃で炭化処理して炭素繊維を得た。この
繊維は繊維径8.8μm、引張強度110kg/mm2、弾性率4.
5t/mm2であった。
<比較例1> 石炭を高温乾留して得られたタール(キノリン不溶分=
9.5重量%)1重量部に対して、ベンゼンを3重量部添
加し、60℃にて遠心分離で、フリーカーボン及びター
ル中の高分子成分を重液として分離除去した。。得られ
た軽液を300℃で蒸留し、ベンゼン及びタール中の軽
質油分を留去した。得られたピッチは軟化点=80℃、
ベンゼン不溶分=15重量%、ピリジン不溶分=5.2重
量%、キノリン不溶分=0.01重量であった。
このフリーカーボンを含まないピッチを500mlフラス
コを用いて真空度6mmHgabsで、430℃で熱処理した
結果、軟化点が190℃、ベンゼン不溶分=48.3重量
%、キノリン不溶分=0.5重量%の光学的に等方性組織
よりなるピッチを得た。このピッチを250℃で溶融紡糸
し、実施例1と同様な条件下で不融化処理した後、アル
ゴン中で1000℃で炭化処理すると、繊維は融着して
おり、満足な炭素繊維は得られなかった。
<比較例2> 実施例1で用いた高温乾留タール(キノリン不溶分=2.
6重量%)1重量部にして、石炭系中油(沸点範囲18
0〜250℃)を2重量部添加し、更にこの混合溶液に
対して3重量%の濾過助剤であるケイソウ土を添加し、
80℃の温度にて3.0Kg/cm2の加圧下で濾過し、フリー
カーボンを分離除去した。得られたピッチは、軟化点=
90℃、ベンゼン不溶分=18.2重量%、ピリジン不溶分
8.2重量%、キノリン不溶分=0.01重量%あった。
このフリーカーボンを含まないピッチを500mlフラス
コを用いて真空度6mmHgabsで、420℃で熱処理し、
軟化点220℃、ベンゼン不溶分=48.2重量%、キノリ
ン不溶分=6.2重量%で、偏光顕微鏡下に観察すると、
微妙なメソフェーズ小球体(5〜20μm)が多く観察
された。
このピッチを溶融紡糸をしたが、ノズルが閉塞、紡糸で
きなかった。
<発明の効果> 本発明によれば、特にキノリン不溶分含有量が5重量%
以下の石炭系高温乾留タールを芳香族系溶剤で溶解して
フリーカーボン、低分子成分および高分子成分を適当に
除去したピッチを得、これを500℃以下の温度で加熱
処理することにより、紡糸性、不融化性、炭化特性に優
れた炭素繊維用のプリカーサーピッチを製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三好 史洋 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 神下 護 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭59−38280(JP,A) 特開 昭59−164386(JP,A) 特開 昭60−18573(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軟化点が200℃以上、ベンゼン不溶分が
    45〜65重量%、キノリン不溶分が0.5重量%以下
    で、光学的に等方性組織よりなる炭素繊維用プリカーサ
    ピッチを製造するに際し、 キノリン不溶分含有量が5重量%以下の石炭系高温乾留
    タールに、ベンゼン、トルエン、キシレンおよび石炭系
    軽油より選ばれた少なくとも1種を主成分とする芳香族
    系溶剤を添加してタール中のフリーカーボンを分離除去
    した後、溶剤及びタール中の軽質分を蒸留により除去し
    てフリーカーボンを実質的に含まないピッチを得、この
    ピッチを減圧下で500℃以下の温度で加熱処理するこ
    とを特徴とする炭素繊維用プリカーサピッチの製造方
    法。
  2. 【請求項2】軟化点が200℃以上、ベンゼン不溶分が
    45〜65重量%、キノリン不溶分が0.5重量%以下
    で、光学的に等方性組織よりなる炭素繊維用プリカーサ
    ピッチを製造するに際し、 キノリン不溶分含有量が5重量%以下の石炭系高温乾留
    タールに、ベンゼン、トルエン、キシレンおよび石炭系
    軽油より選ばれた少なくとも1種を主成分とする芳香族
    系溶剤を添加してタール中のフリーカーボンを分離除去
    した後、溶剤及びタール中の軽質分を蒸留により除去し
    てフリーカーボンを実質的に含まないピッチを得、この
    ピッチを不活性ガスの吹込みの条件下で500℃以下の
    温度で加熱処理することを特徴とする炭素繊維用プリカ
    ーサピッチの製造方法。
JP60195486A 1985-09-04 1985-09-04 炭素繊維用プリカ−サ−ピツチの製造方法 Expired - Lifetime JPH0629437B2 (ja)

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