JP2917486B2 - 炭素材料用メソフェースピッチ - Google Patents

炭素材料用メソフェースピッチ

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高性能炭素繊維およびその他の炭素材の製
造に用いられるメソフェースピッチに関する。
(従来の技術) 高性能の炭素繊維は、工業的には一般にPAN(ポリア
クロニトリル)を原料として製造されている。しかしPA
Nは高価であり、またその炭化収率が低いことが欠点で
ある。近年、安価なピッチを原料とした場合にも、PAN
系のものと同等、もしくはそれ以上の特性を持つ高性能
炭素繊維を製造し得ることが見出され注目されている。
炭素材料用ピッチには、等方性ピッチと異方性ピッチ
がある。等方性ピッチから製造された炭素繊維は安価で
あるが、分子配向性が悪いため強度が低く、高性能品が
得られない。これに対しメソフェースピッチと呼ばれる
異方性ピッチから製造される炭素繊維は、高度の分子配
向性を有しており、強度と弾性率において優れた機械的
性質を示す。
このため石油の接触分解油からのピッチ、石油タール
ピッチ、或いはコールタールピッチから、高性能炭素繊
維の原料であるメソフェースピッチを製造する研究が広
く進められている。このメソフェースピッチを用いて溶
融紡糸法により繊維を製造すると、発達した芳香族平面
分子がノズル孔を通過する際に加えられる剪断応力によ
り繊維軸方向に配列する。この配向構造は、その後空気
流通下で徐々に昇温して表面を酸化する「不融化処理」
および不活性ガス中で1000℃以上の高温で加熱処理する
「炭化処理」の際にも乱れることなく維持されるため、
配向の良い高性能炭素繊維が得られることが多くの実験
により確認されている。
光学的異方性相を有する部分(以下「メソフェース」
と称する)は、キノリン、ピリジン等の極性溶媒に不溶
であり、メソフェースと極性溶媒不溶分とは同一と以前
には考えられていたが、その後の研究により偏光顕微鏡
下に異方性を示す部分が必ずしも極性溶媒不溶分と同一
ではなく、メソフェース中には極性溶媒に不溶、可溶の
両成分があることが認められている。従って本発明にお
いて「メソフェース」とは、偏光顕微鏡で観察した際に
光学的異方性を示す相部分を指し、偏光顕微鏡で観察し
た際にこの光学的異方性相の面積分率を「メソフェース
含有量」と称する。
このメソフェース含有量が少ない場合、溶融状態で異
方性相と等方性相が分離し紡糸操作を妨害するため、メ
ソフェース含有量は90%以上、できれば100%であるこ
とが望ましい。しかしこのメソフェース含有量を多くし
ようとすると、一般にピッチの軟化点と粘度が高くな
り、安定した紡糸が困難となる。即ち軟化点と粘度が高
いので高温での紡糸が必要となり、ピッチの熱分解・熱
縮合反応が起り易く、ガスおよび不融性の高分子量物質
が生成するので、安定な紡糸を長時間継続することが困
難である。
このようなメソフェースピッチの欠点を改良する方法
が種々提案されている。例えば特公昭59−30192号に
は、メソフェースピッチを部分的に水素化してその積層
状態を適度に弱めて等方性ピッチとして紡糸する方法
が、特開昭58−18421号には、紡糸時には等方性である
が炭化処理時には異方性に転換する特異なプリメソフェ
ースを用いる方法が記載されている。また特開昭54−16
0427号には、等方性ピッチを溶媒で抽出し、その不溶分
を230〜400℃に加熱する方法が、特開昭58−136835号に
は等方性ピッチを熱処理し、生成したメソフェースを濾
過分離除去して得たピッチを再度熱処理する方法が、特
開昭57−119984号には、ピッチを熱処理しメソフェース
含有量を20〜80%とした後、メソフェースを沈降し回収
する方法が記載されている。
(発明が解決しようとする問題点) 前述の如くメソフェースピッチを用いる方法を改良す
る試みが種々行われているが、それぞれの方法において
次のような問題点があり、未だ満足すべき結果が得られ
ていない。
即ち特公昭59−30192号および特開昭58−18421号の方
法においては、いずれも配向性の弱い等方性の段階で紡
糸するので、繊維中の分子の配向性が異方性ピッチから
のものより劣り、強度および弾性率等の性能が低下す
る。また縮合多環芳香族化合物の重合分子が積層した粘
度の高いピッチを水素化する方法は煩難であり、工業的
に有利な方法とは言い難い。
また特開昭54−160427号の方法においては、溶媒で抽
出される不溶分が少ないので、メソフェースピッチの収
率が低い。特開昭58−136835号の方法では熱処理した後
の濾過操作が煩雑である。特開昭57−119984号の方法で
はメソフェースを回収するのが技術的に困難であり、炭
化収率が低い。
炭素材料に用いられるメソフェースピッチは、前述の
如く強度および弾性率等の性能上、メソフェース含有量
を高くする必要がある。更に炭素繊維を製造する場合に
は、ピッチの紡糸上メソフェース含有量を高くすること
が好ましく、紡糸時の熱安定性が高く、紡糸した繊維の
不融化性が高く、炭化処理時の炭化収率が高いこと等の
要件が必要である。また炭素材を製造する場合には、炭
素材となるメソフェースの炭化収率が優れている等の要
点を満足することが必要である。
このように炭素材料用メソフェースピッチは、メソ
フェース含有量が高く、紡糸時の熱安定性が高く、
不融化性が高く、炭化収率が高いことの4つの特性を
同時に満足する必要があり、これらの特性を満足するメ
ソフェースピッチの開発が望まれている。
(問題点を解決するための手段) 発明者等は、上記の如き特性を満足するメソフェース
ピッチの開発について更に検討を進めた結果、適度の重
合度を有しつつ、全炭素原子に対するメチル基と芳香環
構造の割合が大きいメソフェースピッチが極めて優れた
性能を有すること、すなわちこのピッチは上記の4特性
を満足して高性能の炭素製品をもたらし、容易に且つ安
定して紡糸することができ、不融化性が高く、炭化収率
も高いことを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、少なくとも1個のメチル基を有す
るナフタレン誘導体より製造された、軟化点が200〜250
℃で、平均分子量が1000以上、炭素に対する水素の原子
比が0.5〜1.0、芳香族炭素比率(fa)が0.7以上であ
り、全炭素原子に対するメチル基炭素の割合が4%以上
であり、光学的異方性相を90%以上の割合で含有してい
ることを特徴とする炭素材料用メソフェーズピッチであ
る。
発明者等は、先に上記の如き特性を満足するメソフェ
ースピッチの一つとして、縮合多環炭化水素から得ら
れ、ナフテン系炭素が7%以上含まれるメソフェースピ
ッチを見出し、特許出願を行った(特開平1−25479
6)。本発明者等はメチルナフタレンのような少なくと
も1個のメチル基を有するナフタレン誘導体を原料に用
いて重合する場合にナフテン系炭素が7%より少ない場
合でも優れた性能を有し、特に上記先願と比較して不融
化反応性が高いことを発見した。
本発明におけるピッチの平均分子量は、クロロホルム
を溶媒とした蒸気圧オスモメーターで測定される。すな
わちピッチ中で溶剤に可溶な部分はクロロホルム溶媒に
溶解してその分子量を蒸気圧オスモメーターで測定し、
不溶部分は金属リチウムとエチレンジアミンを用いた温
和な水添反応によって可溶化した後、その分子量をの蒸
気圧オスモメーターで測定して、これらの測定値より平
均分子量を求める。本発明のメソフェースピッチの平均
分子量は1000以上、好ましくは1000〜1700の範囲であ
る。平均分子量が1000より低い場合には、重合度が低い
ため安定してメソフェース含量の高いピッチが得られな
い。
炭素および水素量は、燃焼ガスの熱電導度による検出
などの技術を応用した自動分析装置(CHNコーダー)を
用いて測定される。また芳香族炭素比率(fa)は赤外線
吸収法により、メチル基の炭素量はNMRにより測定され
る。
本発明ピッチの炭素に対する水素の原子比は0.5〜1.0
であり、好ましくは0.6〜1.0である。炭素に対する水素
の原子比が0.5よりも低い場合には、重合度に比較して
脱水素が起り過ぎており、そのため軟化点が高くなり紡
糸等の操作が困難となる。炭素に対する水素の原子比が
1.0より高い場合には、十分な重合が得られていないた
め、配向性が低く、強度および弾性率等において十分な
性能を有する炭素繊維ないし炭素材が得られない。
芳香族炭素比率(fa)は全炭素原子に対する芳香環構
造の炭素原子の比率であり、本発明ピッチにおけるfaは
0.7以上、好ましくは0.75〜0.87である。faが0.7より低
い場合には、メソフェースを構成する分子の平面構造性
が低く、また光学的異方性相を高い含有量で有するピッ
チを安定して得ることができない。
本発明のピッチにおける全炭素原子に対するメチル基
の炭素の割合は4%以上、好ましくは5%以上である。
メチル基の炭素が4%よりも低い場合には不融化反応性
が低く、そのため不融化処理に多くの時間を要し、且つ
不融化繊維に融着が起り易い。
本発明ピッチの光学的異方性相(メソフェース)は、
前述の如く偏光顕微鏡で測定される。本発明ピッチのメ
ソフェース含有量は90%以上、好ましくは95%以上であ
り、実質上全てがメソフェースであることが更に好まし
い。メソフェース含有量が90%未満のものでは、炭素繊
維ないし炭素材とした場合の強度、弾性率等の性能が低
くなる。また前述の如く紡糸上の観点からもメソフェー
ス含有量を高くする必要がある。
本発明のメソフェースピッチは、弗化水素、三弗素硼
素の存在下、少なくとも1個以上のメチル基を有するナ
フタレン誘導体を重合させることにより製造される。
この原料のナフタレン誘導体としては、メチルナフタ
レンやジメチルナフタレン等、及びそれらの混合物が挙
げられる。またこのようなナフタレン誘導体類を含有す
る物質、即ちこれらの物質を含有する種々の石油留分、
石油加工工程の残油および石炭タール留分等を用いるこ
ともできる。なおこのナフタレン誘導体の重合に際して
は前記のように触媒として弗化水素・三弗化硼素が用い
られるので、原料ナフタレン誘導体は弗化水素・三弗化
硼素と強く結合する塩基性化合物である窒素化合物、硫
黄化合物および酸素化合物の含有濃度の低いものが特に
適している。
重合触媒量は、ナフタレン誘導体1モルに対し弗化水
素0.1〜20モル、三弗化硼素0.05〜1.0モルである。弗化
水素が20モル、或いは三弗化硼素が1.0モルを越える量
を使用しても反応速度の増加が無く、触媒の循環量が多
くなり、反応器も大きくなるので有利ではない。また弗
化水素が0.1モル、或いは三弗化硼素が0.05モル未満で
は、メソフェース含有量90%以上のピッチを得ることが
できない。なお本発明においては、弗化水素単独または
三弗化硼素単独では重合触媒として有効でなく、両者を
組合せる必要がある。弗化水素(HF)は、三弗化硼素
(BF3)と共に用いることにより強いプロトン酸を形成
し、塩基であるナフタレン誘導体との錯体を形成する。
重合反応によってメソフェースを得るための温度は18
0〜400℃であり、好ましくは250〜320℃である。温度が
400℃を越えると重合が過度に進行するため、得られる
ピッチの軟化点が高くなる。また180℃より低い温度で
は、メソフェース含有量90%以上のピッチが得られな
い。
重合に要する時間は、原料の種類、温度および触媒量
によって変化するが、通常5〜300分であり、好ましく
は30〜240分である。また重合反応の圧力は5〜100気
圧、好ましくは20〜50気圧である。
重合反応は、撹拌機を備えた耐蝕性の反応器中に原料
および触媒を供給し、撹拌混合下で行う。反応操作は、
回分操作でも連続操作でも良い。
原料のナフタレン誘導体(Nd)は、触媒と混合するこ
とにより錯体を形成し、速やかに重合し、重合物の錯体
を形成する。
HF+BF3+(Nd)nH+(Nd)nBF (1) この重合物の錯体は(1)式に示される平衡関係を保
っているので、揮発成分であるHF,BF3は、重合終了後そ
の温度で留去され、触媒として回収される。この時に若
干の低沸油が回収されると同時に、重合ピッチを分離す
ることができる。
ピッチからの触媒の分離回収は、具体的には以下の方
法で実施できる。
回分的に触媒を分離する方法としては、重合反応終了
後、温度をそのままに保ち、適当な圧力下でHF,BF3を気
相として反応器から抜出し、重合体は溶融ピッチとして
回収する。このための加熱方法は外部よりジャケット等
を通して間接加熱するか、触媒に対して比較的不活性な
希釈剤、例えばベンゼン、トルエン、ハロゲン化炭化水
素の過熱蒸気を直接導入し加熱しても良い。
連続的に触媒を分離する方法では、蒸留塔を用い、そ
の中に導入した前述の不活性な希釈剤中に重合反応液を
連続的に供給し、塔頂から気化したHF,BF3を抜出し、塔
底からピッチを希釈剤中の溶液として回収する。
どちらの方法においても、触媒を回収するのに必要な
温度は重合温度と同じであり、回収時の圧力は0〜30気
圧、好ましくは1〜5気圧である。
このようにして得られるピッチは、メソフェース含有
量が高く、芳香環構造の炭素原子やメチル基の炭素原子
が多く存在していることが特徴であり、また軟化点が低
く、微量融点測定法による軟化点が200〜250℃である。
このピッチは実質的にHF,BF3を含有しない、異方性相
が少なくとも90%のメソフェースピッチであり、特別の
処理を施す必要なしに炭素繊維、その他の炭素材の原料
として用いることができる。例えば、このメソフェース
ピッチは280〜340℃の紡糸温度で容易に紡糸できる。紡
糸されたピッチ繊維の不融化性が高く、例えば空気流通
下7℃/minの昇温速度で300℃まで昇温することにより
不融化が完了する。このように不融化が容易なことは、
ピッチ中のメチル基由来の炭素の含有量が高いことに起
因している。
なお得られたピッチより炭素繊維を製造するには、ま
ず0.25μ程度のノズルを用い1〜3kg/cm2Gの窒素圧下2
80〜340℃で約500m/minの速度で巻き取ることにより紡
糸を行い、次に空気流通下、常温より200〜350℃まで1
〜7℃/minで昇温することにより不融化処理し、更に例
えば窒素などの不活性気流中、約10℃/minで1000℃以上
の温度に昇温することにより炭化ないし黒鉛化処理が行
われる。
(発明の効果) 本発明のメソフェースピッチは、次の如き利点を有し
ている。
(1)本発明のメソフェースピッチは不融化するに際し
て、不融物の高温濾過、溶剤抽出等の複雑で多くの費用
を要する工程が不要である。また本発明のピッチは、実
質上均質なメソフェースからなり、炭素繊維を製造する
場合に従来よりも著しく低い280〜340℃の紡糸温度を採
用することができる。
(2)本発明のメソフェースピッチは、熱分解或いは縮
合が顕著に進行する温度(約400℃)よりはるかに低い
温度で紡糸できるので、ピッチの紡糸性が良好であり、
紡糸中の変質が生じないため、製品の炭素繊維の品質が
安定している。
(3)本発明のピッチを紡糸するに際しては、分解ガス
の発生および不融物の生成が無いため、高速紡糸が可能
であり、且つ紡糸されたピッチ繊維の欠陥が少なく、炭
素繊維の強度が高い。
(4)90%以上の高異方性相含有量のメソフェースピッ
チを紡糸するため、本発明のピッチより得られる炭素繊
維は、繊維軸方向の配向性が良く発達した高弾性率の炭
素繊維である。
(5)本発明のピッチは90%以上の高異方性相含有量の
メソフェースであるにもかかわらず、H/C原子比が高
い。また全炭素に対するメチル基の炭素の割合が高いの
で、不融化性に富んでおり、融着性の全く無い不融化繊
維が短時間で得られる。
(6)本発明のメソフェースピッチは炭化処理する際、
重合度が高いので炭化収率が高い。
以上による本発明の工業的意義が大きい。
(実施例) 次に実施例により本発明を更に具体的に説明する。も
ちろん本発明はこれらの実施例により制限されるもので
は無い。
実施例1 α−メチルナフタレン1モル、HF 0.5モル,BF3 0.2
モルを0.5lの耐酸オートクレーブに仕込み270℃に昇温
後、4時間反応した。
その後オートクレーブの放出弁を開け、常圧において
実質的に全量のHF,BF3をガス状で回収した後、窒素を吹
き込むことによって、低沸点成分を除去し、ピッチを得
た。得られたピッチの収率は原料のα−メチルナフタレ
ンに対する重量比で76%であった。またこのピッチは偏
光顕微鏡により異方性相100%のメソフェースピッチで
あることが確認された。
このピッチの軟化点が240℃、平均分子量は1360、H/C
原子比は0.65であり、芳香族炭素比率(fa)は0.82、全
炭素原子中のメチル基の炭素は6%、ナフテン系炭素は
3%であった。
なお上記の測定項目中、軟化点は微量融点測定法、ナ
フテン系炭素はNMRスペクトルによる測定値であり、そ
の他の測定項目は前述の方法によるものである。
このメソフェースピッチは310℃、500m/minの巻取速
度で糸切れ無く紡糸することができ、また7℃/minの速
度で300℃まで昇温することにより容易に不融化でき、
得られた不融化繊維の融着は全く無かった。
この不融化した繊維を不活性ガス中10℃/minの昇温速
度で1000℃まで昇温し、糸径10μの炭素繊維を得た。こ
の炭化処理する際の炭化収率は90%であり、炭素繊維の
引張強度は280kgf/mm2、弾性率は22tf/mm2であった。
実施例2 混合メチルナフタレン(α−メチルナフタレン60%,
β−メチルナフタレン40%)7モル、HF 3モル、BF3 1.
0モルを3lの耐酸オートクレーブに仕込み、265℃に昇温
し5時間反応を行った。次いで実施例1と同様の操作に
より、混合メチルナフタレンに対して76%の重量収率で
ピッチを得た。このピッチは偏光顕微鏡により異方性相
100%のメソフェースピッチであることが確認された。
また実施例1と同様の方法で測定した結果、軟化点は21
2℃、平均分子量は1220、H/C原子比は0.68、faは0.81で
あり、全炭素原子中のメチル基の炭素は7%、ナフテン
系炭素の比率は4%であった。
このメソフェースピッチは280℃、500m/minの巻取速
度で糸切れ無く紡糸することができ、また7℃/minの速
度で280℃まで昇温することで容易に不融化でき、得ら
れた不融化繊維の融着は全く無かった。
この不融化した繊維を不活性ガス中10℃/minの昇温速
度で1000℃まで昇温し、糸径8μの炭素繊維を得た。こ
の炭化処理する際の炭化収率は90%であり、炭素繊維の
引張強度は320kgf/mm2、弾性率は20t/mm2であった。
実施例3 混合ジメチルナフタレン(2,6−ジメチルナフタレン6
0%、1,4−ジメチルナフタレン40%)7モル、HF 3.5モ
ル、BF3 1.4モルを3lの耐酸オートクレーブに仕込み、2
75℃に昇温し4時間反応を行った。次いで実施例1と同
様の操作により、混合ジメチルナフタレンに対して68%
の重量収率でピッチを得た。このピッチは偏光顕微鏡に
より異方性相100%のメソフェースピッチであることが
確認された。軟化点は230℃、平均分子量は1330、H/C原
子比は0.70、faは0.80であり、全炭素中のメチル基の炭
素は9%、ナフテン系炭素は3%であった。
このメソフェースピッチは310℃、500m/minの巻取速
度で糸切れ無く紡糸することができ、また7℃/minの速
度で270℃まで昇温することで容易に不融化でき、得ら
れた不融化繊維の融着は全く無かった。
この不融化した繊維を不活性ガス中10℃/minの昇温速
度で1000℃まで昇温し、糸径10μの炭素繊維を得た。こ
の炭化処理する際の炭化収率は90%であり、炭素繊維の
引張強度は290kgf/mm2、弾性率は23t/mm2であった。
比較例1 α−メチルナフタレン1モル、HF 3モル、BF3 0.5モ
ルを3lの耐酸オートクレーブに仕込み、80℃に昇温し3
時間反応を行った。その後オートクレーブの放出弁を開
け、常圧で180〜200℃まで徐々に加熱し、実質的に全量
のHF,BF3をガス状で回収後、溶融状態でピッチを抜き出
した。このピッチの軟化点は72℃であり、メソフェース
含有量は0%であった。
このピッチを常圧下475℃で50分間、10Torrの減圧下4
20℃で30分間熱処理してメソフェース含有量100%、軟
化点250℃のピッチをα−メチルナフタレン基準50%の
収率で得た。
このピッチの平均分子量は900、H/C原子比は0.51、fa
は0.93、H/C原子比は0.70であり、全炭素中のメチル基
の炭素は2%、ナフテン系炭素は6%であった。このピ
ッチを360℃で紡糸したところ300m/minの巻取速度での
紡糸は可能であったが、500m/minの高速紡糸は不可能で
あった。300m/minの巻取速度での紡糸で得られたピッチ
繊維を5℃/minの昇温速度で270℃まで昇温したが不融
化できなかった。
この比較例において、HF,BF3触媒を用いてα−メチル
ナフタレンを重合し、熱処理してメソフェースピッチを
得たが、平均分子量やメチル基炭素の含有量が低い場合
には高速紡糸および不融化処理ができないことが分か
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10C 3/02 D01F 9/145

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1個のメチル基を有するナフタ
    レン誘導体より製造された、軟化点が200〜250℃で、平
    均分子量が1000以上、炭素に対する水素の原子比が0.5
    〜1.0、芳香族炭素比率(fa)が0.7以上であり、全炭素
    原子に対するメチル基炭素の割合が4%以上であり、光
    学的異方性相を90%以上の割合で含有していることを特
    徴とする炭素材料用メソフェーズピッチ。
JP27230090A 1989-11-29 1990-10-12 炭素材料用メソフェースピッチ Expired - Fee Related JP2917486B2 (ja)

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