JP2931593B2 - 炭素材料用メソフェースピッチ - Google Patents

炭素材料用メソフェースピッチ

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高性能炭素繊維およびその他の炭素材の製
造に用いられるメソフェースピッチに関する。更に詳し
くはナフタレン、アントラセン、ピレン等、及びこれら
の骨格を有する縮合多環炭化水素より得られる高品質の
メソフェースピッチに関する。
(従来の技術) 高性能の炭素繊維は、一般に工業的にPAN(ポリアク
ロニトリル)を原料として製造されている。しかしPAN
は高価であり、またその炭化収率が低いことが欠点であ
る。近年、安価なピッチを原料とした場合にも、PAN系
のものと同等、もしくはそれ以上の特性を持つ高性能炭
素繊維を製造し得ることが見出され、注目されている。
炭素材料用ピッチには、等方性ピッチと異方性ピッチ
がある。等方性ピッチから製造された安価な炭素繊維
は、分子配向性が悪いため強度が低く、高性能品が得ら
れない。これに対しメソフェースピッチと呼ばれる異方
性ピッチから製造された炭素繊維は、高度の分子配向性
を有しており、強度と弾性率の優れた機械的性質を示
す。
このため石油の接触分解油、石油タールピッチやコー
ルタールピッチから、高性能炭素繊維の原料であるメソ
フェースピッチを製造する研究が広く進められている。
このメソフェースピッチを用いて溶融紡糸法により繊維
を製造すると、発達した芳香族平面分子がノズル孔を通
過する際に加わる剪断応力により繊維軸方向に配列す
る。この配向構造は、その後の空気流通下で徐々に昇温
して表面を酸化する「不融化処理」および不活性ガス中
で1000℃以上の高温で加熱処理する「炭化処理」の際に
も乱れることなく維持されるため、配向性の良い高性能
炭素繊維が得られることが多くの実験により確認されて
いる。
光学的異方性相を有する部分(以下「メソフェース」
と称する)は、キノリン、ピリジン等の極性溶媒に不溶
であり、メソフェースと極性溶媒不溶分とは同一と以前
には考えられていたが、その後の研究により偏光顕微鏡
下に異方性を示す部分が必ずしも極性溶媒不溶分と同一
ではなく、メソフェース中には極性溶媒に不溶、可溶の
両成分があることが認められている。従って本発明にお
いて「メソフェース」とは、偏光顕微鏡で観察した際に
光学的異方性相を示す部分であり、偏光顕微鏡で観察し
た際にこの光学的異方性相の面積分率を「メソフェース
含有量」と称する。
このメソフェース含有量が少ない場合、溶融状態で異
方性相と等方性相が分離し紡糸操作を妨害するため、メ
ソフェース含有量は90%以上、できれば100%であるこ
とが望ましい。しかしこのメソフェース含有量を多くし
ようとすると、一般にピッチの軟化点と粘度が高くな
り、安定した紡糸が困難となる。即ち軟化点と粘度が高
いので高温での紡糸が必要となり、ピッチの熱分解・熱
縮合反応が起こり易く、ガスおよび不融性の高分子量物
質が生成するので、安定な紡糸を長時間継続することが
困難である。
このようなメソフェースピッチの欠点を改良する方法
が種々提案されている。例えば特公昭59−30192号に
は、メソフェースピッチを部分的に水素化してその積層
状態を適度に弱めて等方性ピッチとして紡糸する方法
が、特開昭58−18421号には、紡糸時には等方性である
が炭化処理時には異方性に転換する特異なプリメソフェ
ースを用いる方法が記載されている。また特開昭54−16
0427号には、等方性ピッチを溶媒で抽出し、その不溶分
を230〜400℃に加熱する方法が、特開昭58−136835号に
は、等方性ピッチを熱処理し、生成したメソフェースを
濾過分離除去して得たピッチを再度熱処理する方法が、
特開昭57−119984号には、ピッチを熱処理しメソフェー
ス含有量を20〜80%とした後、メソフェースを沈降し回
収する方法が記載されている。
(発明が解決しようとする問題点) 前述の如くメソフェースピッチを用いる方法を改良す
る試みが種々行われているが、それぞれの方法において
次のような問題点があり、未だ満足すべき結果が得られ
ていない。
即ち特公昭59−30192号および特開昭58−18421号の方
法においては、いずれも配向性の弱い等方性の段階で紡
糸するので、繊維中の分子の配向性が異方性ピッチから
のものより劣り、強度および弾性率等の性能が低下す
る。また縮合多環芳香族が積層した粘度の高いピッチを
水素化する方法は煩雑であり、工業的に有利な方法とは
言い難い。
また特開昭54−160427号の方法においては、溶媒で抽
出される不溶分が少ないので、メソフェースピッチの収
率が低い。特開昭58−136835号の方法では熱処理した後
の濾過操作が煩雑である。特開昭57−119984号の方法で
はメソフェースを回収するのが技術的に困難であり、炭
化収率が低い。
炭素材料に用いられるメソフェースピッチは、前述の
如く強度および弾性率等の性能上、メソフェース含有量
を高くする必要がある。更に炭素繊維を製造する場合に
は、ピッチの紡糸上メソフェース含有量を高くすること
が好ましく、紡糸した繊維の不融化性が高く、炭化処理
時の収率が高いこと等の要件が必要である。また炭素材
を製造する場合には、炭素材となるメソフェースの炭化
収率が優れている等の要件を満足する必要である。
このように炭素材料用メソフェースピッチは、メソ
フェース含有量が高く、紡糸時の熱安定性が高く、
不融化性が高く、炭化収率が高いことの4つの特性を
同時に満足する必要があり、これらの特性を満足するメ
ソフェースピッチの開発が望まれている。
(問題点を解決するための手段) 発明者等は上記の如き特性を満足するメソフェースピ
ッチの開発について鋭意検討を進めた結果、ナフタレ
ン、アントラセン、フエナントレン、ピレン等の骨格を
有する縮合多環炭化水素を原料に用い、弗化水素・三弗
化硼素の存在下で重合させれば、実質的に100%のメソ
フェース含有量で、一定範囲の水素/炭素比を有し、ナ
フテン系炭素が多いメソフェースピッチが得られるこ
と、このピッチは上記の4特性を満足して、高性能の炭
素製品が得られ、容易に紡糸することができ、不融化性
が高く、炭化収率も高いことを見出し、本発明に到っ
た。
即ち本発明は、弗化水素・三弗化硼素の存在下、縮合
多環炭化水素またはこれを含有する物質を200〜400℃で
重合することにより得られ、炭素に対する水素の原子比
が0.5〜0.7であり、NMRにより分析された全炭素中のナ
フテン系炭素が9〜14%含まれ、光学異方性相を実質的
に100%含有するとともに、軟化点が216〜244℃である
ことを特徴とする炭素材料用メソフェースピッチであ
る。
本発明のピッチにおける炭素及び水素は、燃焼ガスの
熱伝導度による検出などの技術を応用した自動分析装置
(CHNコーダー)を用いて行われる。またナフテン系炭
素はNMRにより分析される。
本発明の炭素材料用メソフェースピッチの炭素に対す
る水素の原子比は0.5〜0.7であり、好ましくは0.6〜0.7
である。炭素に対する水素の原子比が0.5より低い場合
には、重合度に比較して脱水素が起りすぎており、軟化
点が高くなり紡糸等の操作が困難となる。炭素に対する
水素の原子比が0.7より高い場合には、十分な重合が得
られていないか、飽和環が多数存在しているため、配向
性が低く、強度および弾性率等において十分な性能を有
する炭素繊維ないし炭素材が得られない。
本発明のピッチにおける全炭素に対するナフテン系炭
素の比率が7%以上、好ましくは9%以上である。ナフ
テン系炭素の比率が7%よりも低い場合、不融化反応性
が低く、不融化処理に多くの時間を要する。
本発明のピッチの光学的異方性相(メソフェース)
は、前述の如く偏光顕微鏡で測定される。本発明のピッ
チのメソフェース含有量は90%以上、好ましくは95%以
上であり、実質上全てがメソフェースであることが更に
好ましい。メソフェース含有量が90%未満のものでは、
炭素繊維ないし炭素材とした場合の強度、弾性率等の性
能が低くなる。また前述の如く紡糸上もメソフェース含
有量を高くする必要がある。
本発明の炭素材料用メソフェースピッチの原料には、
ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、アセナフ
テン、アスナフチレン、ピレン等の縮合多環炭化水素お
よびこれらの混合物ないしこれらを含有する物質を用い
る。即ちこれらの物質を含有する種々の石油留分、石油
加工工程の残油および石炭タール留分等もこの原料に含
まれる。
本発明のメソフェースピッチは、重合触媒として弗化
水素・三弗化硼素を用いてこれらの原料を重合すること
により製造される。このためこの原料は弗化水素・三弗
化硼素と強く結合する塩基性化合物である窒素化合物、
硫黄化合物および酸素化合物の含有濃度が低いものが特
に適している。重合触媒量は、縮合多環炭化水素1モル
に対し弗化水素を0.1〜20モル、三弗化硼素を0.05〜1.0
モルである。弗化水素を20モル、ないし三弗化硼素を1.
0モルを越える量を使用しても反応速度の増加が無く、
触媒の循環量が多くなり、反応器も大きくなるので有利
でない。弗化水素0.1モル、ないし三弗化硼素0.05モル
未満では、100%のメソフェースピッチを得ることがで
きない。なお本発明においては、弗化水素単独または三
弗化硼素単独では重合触媒として有効でなく、両者を組
合せる必要がある。
弗化水素(HF)は、三弗化硼素(BF3)と共に用いる
ことにより強いプロトン酸を形成し、塩基である縮合多
環炭化水素との錯体を形成する。
重合反応によってメソフェースを得るための温度は20
0〜400℃であり、好ましくは250〜320℃である。温度が
400℃を越えると重合が過度に進行するため、得られる
ピッチの軟化点が高くなる。また200℃より低い温度で
は、100%のメソフェースピッチが得られない。
重合に要する時間は、原料の種類、温度および触媒量
によって変化するが、通常5〜300分であり、好ましく
は30〜240分である。また重合反応の圧力は、5〜100気
圧、好ましくは20〜50気圧である。
重合反応は、撹拌機を備えた耐蝕性の反応器中に原料
および触媒を供給し、撹拌混合下で行う。反応操作は、
回分操作でも連続操作でも良い。
原料の縮合多環炭化水素(Ar)は、触媒と混合するこ
とにより錯体を形成し、速やかに重合し、重合物の錯体
を形成する。
HF+BF3+(Ar)H+(Ar)nBF (1) この重合物の錯体は(1)式に示される平衡関係を保
っているので、揮発成分であるHF,BF3は、重合終了後そ
の温度で留去され、触媒として回収される。この時に若
干の重合油が回収されると同時に、重合ピッチを分離す
ることができる。
ピッチからの触媒の分離回収は、具体的に以下の方法
で実施できる。
回分的に触媒を分離する方法としては、重合反応終了
後、温度をそのまま保ち、適当な圧力下でHF,BF3を気相
として反応器から抜出し、重合体は溶融ピッチとして回
収する。このための加熱方法は外部よりジャケット等を
通して間接加熱するか、触媒に対して比較的不活性な助
剤、例えばベンゼン、トルエン、ハロゲン化炭化水素の
加熱蒸気を直接加熱しても良い。
連続的に触媒を分離する方法では、蒸留塔を用い、前
述の不活性な助剤中に重合反応液を連続的に供給し、塔
頂から気化したHF,BF3を抜出し、塔底からピッチを助剤
溶液として回収する。
どちらの方法においても、触媒を回収するのに必要な
温度は重合温度と同じであり、回収時の圧力は0〜30気
圧、好ましくは1〜5気圧である。
このようにして得られるピッチは、メソフェース含有
量が高く、H/C原子比が0.5〜0.7程度であり、ナフテン
系水素の比率が7%以上であることが特徴であり、また
高い炭化収率が得られる。
即ちこのピッチは実質100%異方性のメソフェースピ
ッチであり、280〜340℃の紡糸温度で容易に紡糸でき
る。またこのピッチ繊維の不融化性が高く、例えば空気
流通下5℃/minの270℃まで昇温することにより不融化
が完了する。このように不融化が容易なことは、ピッチ
中のナフテン系炭素の含有量が高いことに起因してい
る。
なお得られたピッチより炭素繊維を製造するには、ま
ず0.25μ程度のノズルを用い1〜3kg/cm2Gの窒素圧下28
0〜340℃で約500m/minの速度で巻き取ることにより紡糸
を行い、次に空気流通下、常温より250〜300℃まで1〜
5℃/minで昇温することにより不融化処理し、更に不活
性気流中、約10℃/minで1000℃以上に昇温することによ
り炭化処理が行われる。
(効果) 本発明のメソフェーズピッチは、次の如き利点を有し
ている。
(1)本発明のメソフェーズピッチを不融化するに際し
ては、不融物の高温濾過、溶剤抽出等の複雑で多くの費
用を要する工程が不要である。また本発明のピッチは、
実質上均質なメソフェースからなり、炭素繊維を製造す
る場合に従来よりも著しく低い280〜340℃の紡糸温度を
採用することができる。
(2)本発明のメソフェーズピッチは、熱分解或いは縮
合が顕著に進行する温度(約400℃)よりはるかに低い
温度で紡糸できるので、ピッチの紡糸性が良好であり、
紡糸中の変質が生じないため、製品の炭素繊維の品質が
安定している。
(3)本発明のピッチを紡糸するに際しては、分解ガス
の発生および不融物の生成が無いため、高速紡糸が可能
であり、且つ紡糸されたピッチ繊維の欠陥が少なく、炭
素繊維の強度が高い。
(4)実質上100%のメソフェーズピッチを紡糸するた
め、本発明のピッチより得られる炭素繊維は、繊維軸方
向の配向性が良く発達した高弾性率の炭素繊維が得られ
る。
(5)本発明のピッチは実質上100%のメソフェーズで
あるにもかかわらず、H/C原子比が高く、また全炭素に
対するナフテン系炭素の割合が高いので、不融化性に富
んでいる。
(6)本発明のメソフェースピッチを炭化処理する際重
合度が高いので炭化収率が高い。
以上による本発明の工業的意義が大きい。
(実施例) 次に実施例により本発明を更に具体的に説明する。も
ちろん本発明はこれらの実施例により制限されるもので
は無い。
実施例1 ナフタレン1モル、HF 0.5モル、BF3 0.5モルを500ml
の耐酸オートクレーブに仕込み、反応圧力を25kg/cm2G
に保ちながら260℃に昇温後、2時間反応した。その後
オートクレーブの放出弁を開け、常圧において実質的に
全量のHF,BF3をガス状で回収した後、窒素を吹き込み、
低沸点成分を除去したピッチを得た。得られたピッチの
収率は原料ナフタレンに対する重量比で76%であった。
またこのピッチは偏光顕微鏡により100%の異方性を有
するメソフェーズであることが確認された。このピッチ
の軟化点が216℃、H/C原子比は0.67、ナフテン系炭素の
比率は14%であった。
このメソフェーズピッチは280℃、500m/minの巻取速
度で糸切れ無く紡糸することができ、また5℃/minの速
度で270℃まで昇温することで容易に不融化できた。
この不融化した糸を不活性ガス中10℃/minの昇温速度
で1000℃まで昇温し、糸径12μの炭素繊維を得た。この
炭化処理する際の炭化収率は90%であり、炭素繊維の引
張強度は230kgf/mm2、弾性率は20tf/mm2であった。
実施例2 ナフタレン7モル、HF 3モル、BF3 1.4モルを3の
耐酸オートクレーブに仕込み、260℃に昇温し、2時間
反応を行った。次いで実施例1と同様の操作により、ナ
フタレンに対して76%の重量収率でピッチを得た。この
ピッチは偏光顕微鏡により100%の異方性を有するメソ
フェーズであることが確認され、軟化点は229℃、H/C原
子比は0.66、ナフテン系炭素の比率は13%であった。
このメソフェーズピッチは310℃、500m/minの巻取速
度で糸切れ無く紡糸することができ、また5℃/minの速
度で280℃まで昇温することで容易に不融化できた。
この不溶化した糸を不活性ガス中10℃/minの昇温速度
で1000℃まで昇温し、糸径11μの炭素繊維を得た。この
炭化処理する際の炭化収率は90%で、炭素繊維の引張強
度は220kgf/mm2、弾性率は18tf/mm2であった。
実施例3 ナフタレン7モル、HF 3.5モル、BF3 1.4モルを3
の耐酸オートクレーブに仕込み、260℃に昇温し2時間
反応を行った。次いで実施例1と同様の操作により、ナ
フタレンに対して68%の重量収率でピッチを得た。この
ピッチは偏光顕微鏡により100%の異方性を有するメソ
フェーズであることが確認され、軟化点は244℃、H/C原
子比は0.65、ナフテン系炭素の比率は12%であった。
このメソフェーズピッチは310℃、500m/minの巻取速
度で糸切れ無く紡糸することができ、また5℃/minの速
度で260℃まで昇温することで容易に不融化できた。
この不融化した糸を不活性ガス中10℃/minの昇温速度
で1000℃まで昇温し、糸径13μの炭素繊維を得た。この
炭化処理する際の炭化収率は90%で、炭素繊維の引張強
度は230kgf/mm2、弾性率は26tf/mm2であった。
比較例1 ナフタレン1モル、HF 3モル、BF3 0.5モルを3の
耐酸オートクレーブに仕込み、80℃に昇温し3時間反応
を行った。その後オートクレーブの放出弁を開け、常圧
において180〜200℃まで徐々に加熱し、実質的に全量の
HF,BF3をガス状で回収後、溶融状態でピッチを抜き出し
た。このピッチの軟化点は72℃であり、メソフェース含
有量は0%であった。
このピッチを常圧下475℃で50分間、100Torrの減圧下
420℃で30分間熱処理してメソフェース含有量100%、軟
化点250℃のピッチをナフタレン基準50%の収率で得
た。
このピッチのH/C原子比は0.51、ナフテン系炭素の比
率は4%であった。このピッチを360℃で紡糸したとこ
ろ、300m/minの巻取速度での紡糸は可能であったが、50
0m/minの高速紡糸は不可能であった。300m/minの巻取速
度での紡糸で得られたピッチ繊維を5℃/minの速度で27
0℃まで昇温したが不融化できなかった。
この比較例においては、HF,BF3触媒を用いてナフタレ
ンを重合し、熱処理してメソフェースピッチを得たが、
ナフテン系炭素の比率が低い場合には高速紡糸および不
融化処理ができないことが分かる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−146920(JP,A) 特開 平1−139621(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10C 3/02 D01F 9/14 C08G 61/02,61/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弗化水素・三弗化硼素の存在下、縮合多環
    炭化水素またはこれを含有する物質を200〜400℃で重合
    することにより得られ、炭素に対する水素の原子比が0.
    5〜0.7であり、NMRにより分析された全炭素中のナフテ
    ン系炭素が9〜14%含まれ、光学卵異方性相を実質的に
    100%含有するとともに、軟化点が216〜244℃であるこ
    とを特徴とする炭素材料用メソフェースピッチ。
  2. 【請求項2】0.25μのノズルで1〜3kg/cm2Gの窒素圧下
    340℃以下の温度、500m/minで紡糸することができ、常
    温より250〜300℃まで5℃/minで昇温することにより不
    融化処理される請求項1の炭素材料用メソフェースピッ
    チ。
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