JP2689978B2 - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高性能ピッチ系炭素
繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高性能の炭素繊維は、工業的には一般に
PAN(ポリアクロニトリル)を原料として製造されて
いる。しかしPANは高価であり、またその炭化収率が
低いことが欠点である。近年、安価なピッチを原料とし
た場合にも、PAN系のものと同等、もしくはそれ以上
の特性を持つ高性能炭素繊維を製造し得ることが見出さ
れ注目されている。
【0003】炭素材料用ピッチには、等方性ピッチと異
方性ピッチがある。等方性ピッチから製造された炭素繊
維は安価であるが、分子配向性が悪いため強度が低く、
高性能品が得られない。これに対しメソフェースピッチ
と呼ばれる異方性ピッチから製造される炭素繊維は、高
度の分子配向性を有しており、強度と弾性率において優
れた機械的性質を示す。
【0004】このため石油の接触分解油からのピッチ、
石油タールピッチ、或いはコールタールピッチから、高
性能炭素繊維の原料であるメソフェースピッチを製造す
る研究が広く進められている。このメソフェースピッチ
を用いて溶融紡糸法により繊維を製造すると、発達した
芳香族平面分子がノズル孔を通過する際に加えられる剪
断応力により繊維軸方向に配列する。この配向構造は、
その後空気流通下で徐々に昇温して表面を酸化する「不
融化処理」および不活性ガス中で1000℃以上の高温で加
熱処理する「炭化処理」の際にも乱れることなく維持さ
れるため、配向の良い高性能炭素繊維が得られることが
多くの実験により確認されている。
【0005】光学的異方性相を有する部分 (以下「メソ
フェース」と称する) は、キノリン、ピリジン等の極性
溶媒に不溶であり、メソフェースと極性溶媒不溶分とは
同一と以前には考えられていたが、その後の研究により
偏光顕微鏡下に異方性を示す部分が必ずしも極性溶媒不
溶分と同一ではなく、メソフェース中には極性溶媒に不
溶、可溶の両成分があることが認められている。従って
本発明において「メソフェース」とは、偏光顕微鏡で観
察した際に光学的異方性を示す相部分を指し、偏光顕微
鏡で観察した際にこの光学的異方性相の面積分率を「メ
ソフェース含有量」と称する。
【0006】このメソフェース含有量が少ない場合、溶
融状態で異方性相と等方性相が分離し紡糸操作を妨害す
るため、メソフェース含有量は 90%以上、できれば100%
であることが望ましい。しかしこのメソフェース含有量
を多くしようとすると、一般にピッチの軟化点と粘度が
高くなり、安定した紡糸が困難となる。即ち軟化点と粘
度が高いので高温での紡糸が必要となり、ピッチの熱分
解・熱縮合反応が起り易く、ガスおよび不融性の高分子
量物質が生成するので、安定な紡糸を長時間継続するこ
とが困難である。
【0007】このようなメソフェースピッチの欠点を改
良する方法が種々提案されている。例えば特公昭59- 30
192 号には、メソフェースピッチを部分的に水素化して
その積層状態を適度に弱めて等方性ピッチとして紡糸す
る方法が、特開昭58-18421号には、紡糸時には等方性で
あるが炭化処理時には異方性に転換する特異なプリメソ
フェースを用いる方法が記載されている。また特開昭54
-160427 号には、等方性ピッチを溶媒で抽出し、その不
溶分を 230〜400 ℃に加熱する方法が、特開昭58-13683
5 号には等方性ピッチを熱処理し、生成したメソフェー
スを濾過分離除去して得たピッチを再度熱処理する方法
が、特開昭57-119984 号には、ピッチを熱処理しメソフ
ェース含有量を20〜80% とした後、メソフェースを沈降
し回収する方法が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述の如くメソフェー
スピッチを用いる方法を改良する試みが種々行われてい
るが、それぞれの方法において次のような問題点があ
り、未だ満足すべき結果が得られていない。即ち特公昭
59-30192号および特開昭58-18421号の方法においては、
いずれも配向性の弱い等方性の段階で紡糸するので、繊
維中の分子の配向性が異方性ピッチからのものより劣
り、強度および弾性率等の性能が低下する。また縮合多
環芳香族化合物の重合分子が積層した粘度の高いピッチ
を水素化する方法は煩難であり、工業的に有利な方法と
は言い難い。また特開昭54-160427 号の方法において
は、溶媒で抽出される不溶分が少ないので、メソフェー
スピッチの収率が低い。特開昭58-136835 号の方法では
熱処理した後の濾過操作が煩雑である。特開昭57-11998
4 号の方法ではメソフェースを回収するのが技術的に困
難であり、炭化収率が低い。
【0009】炭素材料に用いられるメソフェースピッチ
は、前述の如く強度および弾性率等の性能上、メソフェ
ース含有量を高くする必要がある。更に炭素繊維を製造
する場合には、ピッチの紡糸上メソフェース含有量を高
くすることが好ましく、紡糸時の熱安定性が高く、紡糸
した繊維の不融化性が高く、炭化処理時の炭化収率が高
いこと等の要件が必要である。このように炭素繊維を製
造する場合には、メソフェース含有量が高く、紡糸
時の熱安定性が高く、不融化性が高く、炭化収率が
高いことの4つの特性を同時に満足するピッチの開発が
望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者等は、上記の如き
特性を満足するメソフェースピッチの開発について更に
検討を進めた結果、ナフタレン、アントラセン、フエナ
ントレン、ピレン等、およびこれらの骨格を有する縮合
多環炭化水素を原料に用い、弗化水素・三弗化硼素の存
在下で重合させれば、実質的に100%のメソフェース含有
量で一定範囲の水素/炭素比を有し、ナフテン系炭素が
多いメソフェースピッチが得られること、このピッチは
上記の4特性を満足して、高性能炭素繊維が極めて有利
に得られることを見出し、本発明に到達した。
【0011】すなわち本発明は、弗化水素・三弗化硼素
の存在下、縮合多環炭化水素またはこれを含有する物質
を重合させて得られたメソフェーズピッチを紡糸し、酸
化性ガス中で 250〜300 ℃まで昇温して不融化処理した
後、不活性ガス中で加熱して炭化処理することを特徴と
する炭素繊維の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の方法により製造される炭
素繊維の原料には、ナフタレン、アントラセン、フエナ
ントレン、ピレン等、およびこれらの骨格を有するの縮
合多環炭化水素が用いられるが、これらの物質を含有す
る種々の石油留分、石油加工工程の残油および石炭ター
ル留分もこの原料に含まれる。本発明の炭素繊維の製造
に用いられるピッチは、重合触媒として弗化水素、三弗
素硼素を用いてこれらの原料を重合させることにより製
造される。このためこの原料はは弗化水素・三弗化硼素
と強く結合する塩基性化合物である窒素化合物、硫黄化
合物および酸素化合物の含有濃度の低いものが特に適し
ている。
【0013】重合触媒量は、ナフタレン誘導体1モルに
対し弗化水素 0.1〜20モル、三弗化硼素0.05〜1.0 モル
である。弗化水素が20モル、或いは三弗化硼素が 1.0モ
ルを越える量を使用しても反応速度の増加が無く、触媒
の循環量が多くなり、反応器も大きくなるので有利でな
い。また弗化水素が 0.1モル、或いは三弗化硼素が0.05
モル未満では、100%のメソフェースピッチを得ることが
できない。なお本発明においては、弗化水素単独または
三弗化硼素単独では重合触媒として有効でなく、両者を
組合せる必要がある。
【0014】弗化水素(HF)は、三弗化硼素(BF3) と共に
用いることにより強いプロトン酸を形成し、塩基である
ナフタレン誘導体との錯体を形成する。重合反応によっ
てメソフェースを得るための温度は 180〜400 ℃であ
り、好ましくは 250〜320 ℃である。温度が 400℃を越
えると重合が過度に進行するため、得られるピッチの軟
化点が高くなる。また 180℃より低い温度では、メソフ
ェース含有量90% 以上のピッチが得られない。
【0015】重合に要する時間は、原料の種類、温度お
よび触媒量によって変化するが、通常 5〜300 分であ
り、好ましくは30〜240 分である。また重合反応の圧力
は 5〜100 気圧、好ましくは20〜50気圧である。重合反
応は、撹拌機を備えた耐蝕性の反応器中に原料および触
媒を供給し、撹拌混合下で行う。反応操作は、回分操作
でも連続操作でも良い。
【0016】原料の縮合多環炭化水素(Ar)は、触媒と混
合することにより錯体を形成し、速やかに重合し、重合
物の錯体を形成する。 HF + BF3 + (Ar)n = H+ (Ar)n BF4 (1) この重合物の錯体は (1)式に示される平衡関係を保って
いるので、揮発成分であるHF,BF3は、重合終了後その温
度で留去され、触媒として回収される。この時に若干の
低沸油が回収されると同時に、重合ピッチを分離するこ
とができる。
【0017】ピッチからの触媒の分離回収は、具体的に
は以下の方法で実施できる。回分的に触媒を分離する方
法としては、重合反応終了後、温度をそのままに保ち、
適当な圧力下でHF,BF3を気相として反応器から抜出し、
重合体は溶融ピッチとして回収する。このための加熱方
法は外部よりジャケット等を通して間接加熱するか、触
媒に対して比較的不活性な希釈剤、例えばベンゼン、ト
ルエン、ハロゲン化炭化水素の過熱蒸気を直接導入し加
熱しても良い。連続的に触媒を分離する方法では、蒸留
塔を用い、その中に導入した前述の不活性な希釈剤中に
重合反応液を連続的に供給し、塔頂から気化したHF,BF3
を抜出し、塔底からピッチを希釈剤中の溶液として回収
する。どちらの方法においても、触媒を回収するのに必
要な温度は重合温度と同じであり、回収時の圧力は 0〜
30気圧、好ましくは 1〜5 気圧である。
【0018】このようにして得られるピッチは、メソフ
ェース含有量が高く、H/C 原子比が0.5〜1.0 程度であ
り、ナフテン系水素の比率が7%以上であることが特徴で
あり、また高い炭化収率が得られる。炭素および水素量
は、燃焼ガスの熱電導度による検出などの技術を応用し
た自動分析装置(CHNコーダー) を用いて測定される。ま
たナフテン系水素はNMRにより測定される。
【0019】本発明の炭素繊維製造に用いられるピッチ
における全炭素に対するナフテン系炭素の比率が 7% 以
上、好ましくは 9% 以上である。ナフテン系炭素の比率
が 7% より低い場合、不融化反応率が低く、不融化処理
に多くの時間を要する。また該ピッチの炭素に対する水
素の原子比は 0.5〜1.0 が好ましく、更に好ましくは
0.6〜1.0 である。炭素に対する水素の原子比が 0.5よ
りも低い場合には、重合度に比較して脱水素が起り過ぎ
ており、そのため軟化点が高くなり紡糸等の操作が困難
となる。炭素に対する水素の原子比が 1.0より高い場合
には、十分な重合が得られていないため、配向性が低
く、強度および弾性率等において十分な性能を有する炭
素繊維が得られない。
【0020】本発明の炭素繊維製造に用いられるピッチ
の光学的異方性相(メソフェース)は、前述の如く偏光
顕微鏡で測定される。該ピッチのメソフェース含有量は
90%以上、好ましくは 95%以上であり、実質上全てがメ
ソフェースであることが更に好ましい。メソフェース含
有量が 90%未満のものでは、炭素繊維ないし炭素材とし
た場合の強度、弾性率等の性能が低くなる。また前述の
如く紡糸上の観点からもメソフェース含有量を高くする
必要がある。
【0021】以上の如き方法で製造されたピッチは実質
100%異方性のメソフェースピッチであり、 280〜340 ℃
の紡糸温度で容易に紡糸できる。またこのピッチ繊維の
不融化性が高く、例えば空気流通下 5℃/minの昇温速度
で 270℃まで昇温することにより不融化が完了する。こ
のように不融化が容易なことは、ピッチ中のナフテン系
炭素の含有量が高いことに起因している。
【0022】このようなピッチからの炭素繊維の製造
は、例えば該ピッチを先ず0.25μ程度のノズルを用い 1
〜3kg/cm2 G の窒素圧下 280〜340 ℃で約500m/minの速
度で巻き取ることにより紡糸し、次に空気等の酸化性ガ
ス中で 250〜300 ℃まで 1〜5℃/minで昇温することに
より不融化処理し、更に不活性気流中、約10℃/minで10
00℃以上に昇温することにより炭化ないし黒鉛化処理が
行われる。
【0023】
【実施例】次に実施例により本発明を更に具体的に説明
する。もちろん本発明はこれらの実施例により制限され
るものでは無い。なお各実施例および比較例において、
軟化点は微量融点測定法、ナフテン系炭素はNMRスペ
クトルにより測定値したものである。
【0024】実施例1 ナフタレン1モル、HF 0.5モル, BF3 0.2 モルを500mリ
ットルの耐酸オートクレーブに仕込み、反応圧力を 25k
g/cm2 に保ちながら 270℃に昇温後 2時間反応した。そ
の後オートクレーブの放出弁を開け、常圧において実質
的に全量のHF,BF3 をガス状で回収した後、窒素を吹き
込むことによって、低沸点成分を除去し、ピッチを得
た。得られたピッチの収率は原料ナフタレンに対する重
量比で76%であった。またこのピッチは偏光顕微鏡によ
り100%の異方性相を有するメソフェースであることが確
認された。このピッチの軟化点は 216℃、 H/C原子比は
0.67、ナフテン系炭素の比率は 14%であった。このメソ
フェースピッチは 280℃、500m/minの巻取速度で糸切れ
無く紡糸することができ、また 5℃/minの速度で 270℃
まで昇温することにより容易に不融化できた。この不融
化した繊維を不活性ガス中10℃/minの昇温速度で1000℃
まで昇温し、糸径12μの炭素繊維を得た。この炭化処理
する際の炭化収率は 90%であり、炭素繊維の引張強度は
230kgf/mm2 、弾性率は 20tf/mm2 であった。
【0025】実施例2 ナフタレン 7モル、HF 3モル、BF3 1.4 モルを 3リット
ルの耐酸オートクレーブに仕込み 260℃に昇温し 2時間
反応を行った。次いで実施例1と同様の操作により、ナ
フタレンに対して 76%の重量収率でピッチを得た。この
ピッチは偏光顕微鏡により100%の異方性相を有するメソ
フェースピッチであることが確認され、軟化点は 229
℃、 H/C原子比は0.66、ナフテン系炭素の比率は 13%で
あった。このメソフェースピッチは 310℃、500m/minの
巻取速度で糸切れ無く紡糸することができ、また 5℃/m
inの速度で 280℃まで昇温することで容易に不融化でき
た。この不融化した繊維を不活性ガス中10℃/minの昇温
速度で1000℃まで昇温し、糸径11μの炭素繊維を得た。
この炭化処理する際の炭化収率は 90%であり、炭素繊維
の引張強度は 220kgf/mm2 、弾性率は 18tf/mm2 であっ
た。
【0026】実施例3 ナフタレン 7モル、HF 3.5モル、BF3 1.4 モルを 3リッ
トルの耐酸オートクレーブに仕込み、 260℃に昇温し 2
時間反応を行った。次いで実施例1と同様の操作によ
り、ナフタレンに対して 68%の重量収率でピッチを得
た。このピッチは偏光顕微鏡により異方性相100%のメソ
フェースピッチであることが確認された。軟化点は 244
℃、H/C 原子比は0.65、ナフテン系炭素は 12%であっ
た。このメソフェースピッチは 310℃、500m/minの巻取
速度で糸切れ無く紡糸することができ、また 5℃/minの
速度で 260℃まで昇温することで容易に不融化できた。
この不融化した繊維を不活性ガス中10℃/minの昇温速度
で1000℃まで昇温し、糸径13μの炭素繊維を得た。この
炭化処理する際の炭化収率は 90%であり、炭素繊維の引
張強度は 230kgf/mm2 、弾性率は26t/mm2 であった。
【0027】比較例1 ナフタレン 1モル、HF 3モル、BF3 0.5 モルを 3リット
ルの耐酸オートクレーブに仕込み、80℃に昇温し 3時間
反応を行った。その後オートクレーブの放出弁を開け、
常圧で 180〜200 ℃まで徐々に加熱し、実質的に全量の
HF, BF3 をガス状で回収後、溶融状態でピッチを抜き出
した。このピッチの軟化点は72℃であり、メソフェース
含有量は 0% であった。このピッチを常圧下 475℃で50
分間、10Torrの減圧下 420℃で30分間熱処理してメソフ
ェース含有量100%、軟化点 250℃のピッチをナフタレン
基準 50%の収率で得た。このピッチの H/C原子比は0.5
1、ナフテン系炭素の比率は4%であった。このピッチを
360℃で紡糸したところ300m/minの巻取速度での紡糸は
可能であったが、500m/minの高速紡糸は不可能であっ
た。300m/minの巻取速度での紡糸で得られたピッチ繊維
を 5℃/minの昇温速度で 270℃まで昇温したが不融化で
きなかった。この比較例において、 HF,BF3 触媒を用い
てナフタレンを重合し、熱処理してメソフェースピッチ
を得たが、ナフテン系炭素の比率が低い場合には高速紡
糸および不融化処理ができないことが分かる。
【0028】
【発明の効果】本発明の炭素繊維の製造方法は、次の如
き利点を有している。 (1)本発明で用いるメソフェースピッチは、不融化する
に際して不融物の高温濾過、溶剤抽出等の複雑で多くの
費用を要する工程が不要である。また該ピッチは、実質
上均質なメソフェースからなり、従来よりも著しく低い
280〜340 ℃で紡糸することができる。 (2)本発明の方法では、熱分解或いは縮合が顕著に進行
する温度 (約 400℃) よりはるかに低い温度で紡糸する
ので、ピッチの紡糸性が良好であり、紡糸中の変質が生
じないため、製品の炭素繊維の品質が安定している。 (3)ピッチを紡糸するに際しては、分解ガスの発生およ
び不融物の生成が無いため、高速紡糸が可能であり、且
つ紡糸されたピッチ繊維の欠陥が少なく、炭素繊維の強
度が高い。
【0029】(4) 90%以上の高異方性相含有量のメソフ
ェースピッチを紡糸するため、繊維軸方向の配向性が良
く発達した高弾性率の炭素繊維が得られる。 (5)本発明で用いるピッチは 90%以上の高異方性相含有
量のメソフェースであるにもかかわらず H/C原子比が高
く、全炭素に対するナフテン系炭素の割合が高いので、
不融化性に富んでおり、融着性の全く無い繊維が短時間
で得られる。 (6)本発明で用いるメソフェースピッチは炭化処理する
際、重合度が高いので炭化収率が高い。従って炭素繊維
が高収率で得られる。 以上より本発明の方法によって高性能のピッチ系炭素繊
維が工業的に極めて有利に製造される。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弗化水素・三弗化硼素の存在下、縮合多
    環炭化水素またはこれを含有する物質を重合させて得ら
    れたメソフェーズピッチを紡糸し、酸化性ガス中で 250
    〜300 ℃まで昇温して不融化処理した後、不活性ガス中
    で加熱して炭化処理することを特徴とする炭素繊維の製
    造方法
  2. 【請求項2】 炭素に対する水素の原子比が 0.5〜1.0
    であり、全炭素中のナフテン系炭素が7%以上含まれ、光
    学的異方性相を 90%以上含有するメソフェーズピッチを
    紡糸する請求項1の炭素繊維の製造方法
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