JPH054999B2 - - Google Patents

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JPH054999B2
JPH054999B2 JP59125290A JP12529084A JPH054999B2 JP H054999 B2 JPH054999 B2 JP H054999B2 JP 59125290 A JP59125290 A JP 59125290A JP 12529084 A JP12529084 A JP 12529084A JP H054999 B2 JPH054999 B2 JP H054999B2
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Goro Muroga
Yoshikazu Nakamura
Kunihiko Morya
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Mitsubishi Oil Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、炭素繊維用原料ピツチの製造法に関
する。
さらに詳しくは、石油系重質留分から紡糸性に
優れ、かつ、高強度で高弾性率の炭素繊維を製造
する炭素繊維用原料ピツチの製造法に関する。
[従来の技術] 石油系重質留分を原料とするピツチから炭素繊
維を製造する方法としては、従来、多数の方法が
開示されている。
しかし、そのいずれも、紡糸性に優れ、高強
度、高弾性率の炭素繊維を製造する原料ピツチの
性状に欠点を有している。
例えば、特開昭49−19127号は、キノリン又は
75℃のピリジンに不溶なメソ相(光学的異方性
相)を40〜90重量%含有するピツチを原料とし
て、これを非チキソトロピーになるような温度範
囲で紡糸、焼成して炭素繊維を得る方法を開示し
ているが、原料ピツチが光学的異方性相と光学的
等方性相が混合した、分子量・分子構造の不均質
なピツチであるため、紡糸が困難であつた。
また、特開昭54−55625号は、原料ピツチとし
て本質100%のメソ相からなり、1000以下の平均
分子量、ピリジン不溶分含有量60重量%以下のも
のを製造する方法を開示しているが、加熱処理の
みによつているため、製造方法が安定せず、ま
た、紡糸工程に問題があつた。
また、特開昭54−160427号は、大部分が光学的
異方性相を示し、キノリン又はピリジンに溶解す
る「ネオメソ相ピツチ」の製造方法を開示してい
るが、溶剤抽出及び溶融処理によつているため、
上記特開昭54−55625号と同様の欠点があつた。
また、特開昭58−180585号は、接触分解残渣
油、熱分解タール等を熱反応処理して得られた光
学的異方性相を部分的に含有する「中間体炭素質
ピツチ」を遠心分離し、キノリン又はピリジン溶
解成分を多く含む光学的異方性相を高濃度に含有
するピツチの製造方法を開示している。
しかし、出発原料である接触分解残渣油、熱分
解タール等は、極めて多種多様な分子の混合物で
あるため、構成分子ごとに熱反応速度が著しく異
なる。このため、単に遠心分離して光学的異方性
相を集めるだけでは、非常に幅広い分布をもつ化
合物を集めることとなる。
従つて、この開示方法では、反応性が近く、分
子量・分子構造が狭い範囲の、均質なピツチを得
ることは困難である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者らは、石油系重質留分から、紡糸性に
優れ、かつ、高強度で高弾性率の炭素繊維を製造
するための原料ピツチについて、実験と研究を重
ねた結果、炭素繊維用原料ピツチの性状として、 紡糸、焼成時において、繊維中に繊維軸に平
行な分子配列ができること。
均質であり、紡糸が円滑に行えること。
不融化に際し、融着を起こさないこと。
炭素繊維に割れ目、空孔等の欠陥を生じない
こと。
が必要であり、これらの諸条件を全て満足する炭
素繊維用原料ピツチの製造方法を完成するに至つ
た。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、沸点430℃以上の石油系重質留分で、
硫黄含有量1.0重量%以下の性状を有する原料を、
非酸化性雰囲気下で、ガス吹き込みを行わず減圧
及び加圧することなく、還流条件下で、加熱温度
420〜460℃、加熱時間30分〜5時間の範囲で加熱
処理し、得られた加熱処理物を、非酸化性雰囲気
下で、温度250〜300℃、遠心効果200〜2000Gの
範囲の条件下で第1次の遠心分離を行つて、該加
熱処理物中の固体あるいは半固体状の物質を除去
し、該固体あるいは半固体状の物質を除去した加
熱処理物を、0.1〜1.0Torrの真空下、温度370〜
400℃、遠心効果100〜2000Gの範囲の条件下で第
2次の遠心分離を行つて、温度25℃における比重
1.290〜1.330、温度25℃における比誘電率2.9〜
3.2、トルエン不溶分含有量からキノリン不溶分
含有量を差し引いた値が65〜80重量%及びヘプタ
ン可溶分含有量1.0重量%以下の性状を有するピ
ツチを製造することを特徴とする。
(1) 炭素繊維用原料ピツチ 石油系重質留分を出発原料とする炭素繊維用原
料ピツチは、極めて多種多様の分子構造及び分子
量からなる物質である。
このため、従来、原料ピツチの性状については
様々に規定されており、一定したものはない。
即ち、開示特許出願によれば、比較的初期の段
階では、キノリン又はピリジンといつた溶剤に不
溶な光学的異方性成分を多量に含有するものと規
定していたが、次第にキノリン又はピリジン不溶
成分の少ないものへと移行し、更に、キノリン又
はピリジン不溶成分を含まないものとする例もあ
る。
本発明者らは、前記諸条件を満足する、紡糸性
に優れ、かつ、高強度・高弾性率の炭素繊維を製
造するためには、芳香族環の発達した成分を主体
としたピツチであつて、しかも分子量及び分子構
造の分布がある程度狭い範囲に限定された、即
ち、反応性が比較的近く、分子量・分子構造が比
較的狭い範囲の、均質な原料ピツチが最適である
ことを見い出した。
この結果、原料ピツチの性状としては、温度25
℃における比重1.290〜1.330、温度25℃における
比誘電率2.9〜3.2、トルエン不溶分含有量からキ
ノリン不溶分含有量を差し引いた値が65〜80重量
%及びヘプタン可溶分含有量1.0重量%以下であ
ることが必要である。
上記要件は、本発明の製造目的とする原料ピツ
チの性状特定に際して、必要・十分要件である。
以下、詳述する。
比誘電率 前記諸条件の内、第1条件である「紡糸、焼成
時において、繊維中に繊維軸に平行な分子配列が
できる」ためには、原料ピツチが比較的大きな分
子構造であることを要する。そして、紡糸等のプ
ロセス段階で配列が行われ、かつ、炭素繊維の段
階では、配列した炭素原子がそのまま黒鉛構造を
形成しやすいことを要する。
この点から、原料ピツチの性状としては、分子
量が比較的大きく、芳香族環の発達した成分を主
体とするものが好ましい。
また、第3条件である「不融化に際し、融着を
起こさない」ためには、不融化の温度において変
形を起こさないように、原料ピツチが比較的大き
な分子構造であることを要する。
このことは、炭素繊維の製造時に一般的に採用
されている酸化不融化に際し、分子量が比較的小
さく、不融化しにくい飽和炭化水素化合物の含有
量ができるだけ少ないことを要することと関連し
ている。
また、第4条件である「炭素繊維に割れ目、空
孔等の欠陥を生じない」点のうち、割れ目につい
ては、上記第1条件と共通した分子構造に関連す
る。
本発明者らは、上記第1、3、4条件を満足す
る、分子量・分子構造が比較的大きく、芳香族環
の発達した成分を主体とする種々の原料ピツチの
比誘電率を測定したところ、比誘電率はある範囲
の値を示すことを見い出した。
即ち、同一原料からピツチを製造する場合、熱
処理条件が過酷になるにしたがつて芳香族環の発
達した成分が増加し、比誘電率が高い値となる。
しかし、過度の熱処理条件では比誘電率は逆に
減少する。
このことから、本発明によつて製造される原料
ピツチは、温度25℃における比誘電率が2.9〜3.2
の範囲内のものに限定される。
なお、比誘電率は、ASTM D150に規定され
た方法によつて測定する。
比重 前記諸条件の内、第2条件である「均質であ
り、紡糸が円滑に行える」ためには、原料ピツチ
中にきよう雑物の含有量が少なく、分子量分布が
比較的狭く、しかも分子量があまり大きくないこ
とを要する。
また、第4条件である「炭素繊維に割れ目、空
孔等の欠陥を生じない」点のうち、空孔等の欠陥
については、上記第2条件と共通した分子構造に
関連する。
原料ピツチの分子量・分子構造分布の範囲設定
には、上記の比誘電率の他に、比重も重要なフア
クターである。
本発明者らは、上記条件をも満足する種々の原
料ピツチの比重を測定したところ、本発明によつ
て製造される原料ピツチは、温度25℃における比
重が1.290〜1.330の範囲内のものに限定されるこ
とを見い出した。。
なお、比重はJIS K2425のハーバード比重ビン
比重測定方法によつて測定する。
ヘプタン可溶分 前記諸条件の内、第3条件の不融化に問題を起
こさないためには、分子量が比較的小さい飽和炭
化水素化合物の含有量が少ないほど好ましい。
この点から、ヘプタン可溶分は、1.0重量%以
下が好ましい。
ヘプタン可溶分の含有量が増加すると、不融化
しにくいばかりでなく、炭素繊維としたときの強
度が低下する原因となる。
なお、ヘプタン可溶分は、粉砕したピツチ5g
を平均孔径1μの円筒フイルターに入れ、ソツク
スレー抽出器を用いて、n−ヘプタンで20時間熱
抽出し、得られた可溶性成分を溶剤除去した後、
秤量することによつて測定する。
トルエン不溶分、キノリン不溶分 また、前記諸条件の内、第2条件の均質性及び
第3条件の不融化の観点から、原料ピツチは、芳
香族環の発達した成分を主体とし、しかも、分子
量・分子構造が比較的狭い範囲にあることが好ま
しい。
一般に、加熱処理しただけのピツチの分子量・
分子構造は、非常に幅広い範囲に分布する。
トルエン不溶分及びキノリン不溶分は、ヘプタ
ン可溶分よりも芳香族環が発達した、即ち、分子
量・分子構造が大きい範囲に分布する。また、キ
ノリン不溶分には分子量・分子構造の巨大なもの
まで含有されている。
トルエン不溶分を少なくすると、飽和炭化水素
化合物の含有量あるいは分子量の小さい成分が増
加する。一方、キノリン不溶分が増加すると、ピ
ツチの分子量・分子構造が大きくなりすぎる。
原料ピツチの成分を好ましい芳香族環が発達し
たものを主体とするためには、即ち、原料ピツチ
の分子量・分子構造を比較的狭い範囲に限定する
ためには、トルエン不溶分からキノリン不溶分を
差し引いた値が65〜80重量%の範囲にあることが
好ましい。
トルエン不溶分からキノリン不溶分を差し引い
た値が上記範囲外では、紡糸、不融化に支障を来
たし、炭素繊維の強度低下の原因となる。
なお、トルエン不溶分及びキノリン不溶分は、
JIS K2425に規定された方法によつて測定する。
(2) 出発原料 本発明は、出発原料として、沸点430℃以上の
石油系重質留分で、硫黄含有量1.0重量%以下の
性状を有するものを用いることを特徴とする。
本発明の炭素繊維用原料ピツチの収率を向上さ
せるためには、石油系重質留分の沸点は430℃以
上のものが好ましい。
沸点が上記温度未満の留分が存在しても、目標
とする原料ピツチの性状に与える影響は少ない
が、収率が低下する。
また、硫黄分の存在は、熱処理段階において好
ましい芳香族環の成長を妨げる。このため、硫黄
分は、できるだけ少ないことが好ましく、1.0重
量%以下が好ましい。
(3) 製造方法 本発明は、上記石油系重質留分を出発原料とし
て、上記性状を有する炭素繊維用原料ピツチを製
造するために、下記のとおり、加熱処理、第1次
遠心分離処理による反応性が高く、過度に重縮合
が進ん物質の除去、そして、更に、第2次遠心分
離処理による均質な炭素繊維用原料ピツチの採取
という3工程よりなる製造方法であることを特徴
とする。
以下、説明する。
加熱処理 上記出発原料を、非酸化性雰囲気下で、ガス吹
き込みを行わず減圧及び加圧することなく、還流
条件下で、加熱温度420〜460℃、加熱時間30分〜
5時間の範囲で加熱処理する。
加熱処理は、好ましい芳香族環が発達するに足
る温度、時間条件として上記範囲に設定される。
加熱時間が5時間を超えると、キノリン不溶分
が増加し、本発明の製造目的とする炭素繊維用原
料ピツチのトルエン不溶分含有量からキノリン不
溶分含有量を差し引いた値が小さくなる結果を生
じるため、好ましくない。
減圧下で軽質分を除去すると重縮合反応が過度
に進み、また、加圧下で加熱処理すると重縮合反
応を抑制し、反応収率が低下するため、いずれも
好ましくない。
また、加熱処理の際に生成する低沸点留分が系
外に出ることを抑制するために、還流を施すこと
が好ましい。
これにより、炭素繊維用原料ピツチの収率が向
上する。
第1次遠心分離処理 上記の加熱処理によつて得られた加熱処理物
を、非酸化性雰囲気下で、温度250〜300℃、遠心
効果200〜2000Gの範囲の条件下で遠心分離して
該加熱処理物中の固体あるいは半固体状の物質を
除去する。
上記「固体あるいは半固体状の物質」は、加熱処
理によつて生成した、反応性が高く、過度に重縮
合が進んだ物質である。
本発明の製造目的とする性状の炭素繊維用原料
ピツチを得るためには、原料ピツチは、反応性が
比較的近く、分子量・分子構造が比較的狭い範囲
のものであることを要する。
このため、第1次の遠心分離処理によつて、過
度に重縮合が進んだ物質を除去する。
第1次遠心分離処理は、固体あるいは半固体状
物質を十分かつ効率よく除去できる最適条件とし
て、温度250〜300℃、遠心効果200〜2000Gの範
囲が好ましい。
温度が上記範囲を超えると機械設計上好ましく
ない。また、温度が低すぎると、粘度が上昇し、
分離性が悪化するばかりでなく、所要の成分まで
除去する結果となるため、収率が低下する。
なお、出発原料に含まれているNi、V等の金
属成分や巨大分子であるアスフアルテン分は、原
料ピツチの均質性を阻害するため、上記第1次遠
心分離処理によつて、固体あるいは半固体状の物
質と共に除去される。
第2次遠心分離処理 上記の第1次遠心分離処理によつて固体あるい
は半固体状の物質を除去した加熱処理物を、更
に、0.1〜1.0Torrの真空下、温度370〜400℃、遠
心効果100〜2000Gの範囲の条件下で遠心分離し、
重液を採取して、本発明の炭素繊維用原料ピツチ
とする。
本発明の目標とする原料ピツチは、前述したと
おり、反応性が比較的近く、分子量・分子構造が
比較的狭い範囲の、均質であることを要する。
このため、第2次の遠心分離処理によつて、軽
質分を十分除去することが必要である。
第2次遠心分離処理の最適条件は、0.1〜
1.0Torrの高真空下、温度370〜400℃、遠心効果
100〜2000Gの範囲に設定される。
温度、圧力が上記範囲以外では、軽質分の除去が
十分に行われない。また、遠心効果が100G未満
では必要な重液だけを得ることができず、2000G
を超えると機械設計上経済性が劣る。
このようにして、第2次遠心分離処理を行うこ
とによつて初めて、反応性が比較的近く、分子
量・分子構造が比較的狭い範囲の、均質な、即
ち、前記諸条件を満足する性状を有する炭素繊維
用原料ピツチを製造することが可能となる。
[実施例] 以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例 1 中東系原油の常圧蒸留残油を減圧蒸留し、沸点
300〜550℃の留分を採取した常圧蒸留留分を、コ
バルトーモリブデン系触媒の存在下で、温度370
℃、圧力60Kg/cm2G、液空間速度毎時1.9、水
素・油比360Nm3/Klの条件で水素化処理し、更
に、ゼオライト系触媒を用いて、温度500℃、圧
力1.5Kg/cm2G、触媒・油比9で接触分解反応を
行つた。
接触分解反応後に残留した重質油分を蒸留し、
沸点430℃以上の重質留分を採取した。
この重質留分は、硫黄含有量0.95重量%、Ni含
有量0.02ppm、V含有量0.05ppm、アスフアルテ
ン含有量0.02重量%の性状であつた。
次いで、この重質留分を、空気の侵入がない状
態で、常圧下、加熱温度435℃、加熱時間2.5時間
加熱処理した。
なお、この際、反応器頂部を冷却し、加熱温度
が保持可能な範囲において低沸点留分が系外に出
ることを抑制するように還流を施した。
この加熱処理物をポリエステル樹脂に埋め込ん
で研摩し、反射偏光顕微鏡により直交ニコル、倍
率200倍で観察したところ、光学的異方性相の存
在は認められなかつた。
このようにして得られた加熱処理物を、温度
280℃、遠心効果1200Gの条件で遠心分離処理を
行つて、この温度における固体状物質を除去し
た。
このようにして得られた加熱処理物を、さらに
第二段目の遠心分離機において、0.2Torrの真空
下、温度390℃、遠心効果1000Gで2相遠心分離
し、重液を採取し、炭素繊維用原料ピツチを得
た。
この炭素繊維用原料ピツチの性状は、25℃にお
ける比重1.314、25℃における比誘電率3.0、トル
エン不溶分の値よりキノリン不溶分の値を差し引
いた値が70重量%、ヘプタン可溶分0.5重量%で
あつた。
この炭素繊維用原料ピツチをノズル孔径0.5mm
φの紡糸ノズルを用いて、紡糸温度365℃、巻取
り速度500m/min、繊維直径13μで紡糸し、20分
間以上糸切れなく紡糸が可能であつた。
このピツチ繊維を、空気雰囲気中300℃で不融
化した後、不活性ガス雰囲気中で1000℃まで昇温
して炭化し、炭素繊維を得た。
この炭素繊維について、JIS R7601に規定され
た炭素繊維引張り試験方法に準拠し、ゲージ長さ
25mmで引張り試験を行つたところ、試料数20本の
平均として、直径10.2μ、引張り強度22.2Ton/
cm2、弾性率1230Ton/cm2、破断伸度1.8%の値を
得た。
比較例 1 実施例1で用いたのと同じ重質留分を、空気の
侵入がない状態で、常圧下、加熱温度435℃、加
熱時間2.5時間の条件で加熱処理した。
この加熱処理物を、圧力1.2Torrの真空下、温
度410℃で真空蒸留し、ピツチを得た。
このピツチの性状は、25℃における比重1.321、
25℃における比誘電率2.8、トルエン不溶分の値
よりキノリン不溶分の値を差し引いた値が52重量
%、ヘプタン可溶分2.0重量%であつた。
このピツチを実施例1と同一の紡糸ノズルを用
いて、紡糸温度267℃で紡糸したところ、繊維直
径15μにおいて糸切れが甚だしく、紡糸は困難で
あつた。
このピツチ繊維を、実施例1と同一条件で焼成
し、引張り試験を行つたところ、直径12.0μ、引
張り強度12.2Ton/cm2、弾性率980Ton/cm2、破
断伸度1.2%であつた。
比較例 2 実施例1で用いたのと同じ重質留分を、空気の
侵入がない状態で、常圧下、加熱温度420℃、加
熱時間6時間の条件で加熱処理した。
この加熱処理物を、圧力1.2Torrの真空下、温
度410℃で真空蒸留し、ピツチを得た。
このピツチの性状は、25℃における比重1.301、
25℃における比誘電率2.8、トルエン不溶分の値
よりキノリン不溶分の値を差し引いた値が82重量
%、ヘプタン可溶分2.6重量%であつた。
このピツチを実施例1と同一の紡糸ノズルを用
いて、紡糸温度360℃で紡糸したところ、繊維直
径13μにおいて3分に1回程度の糸切れで紡糸が
可能であつた。
このピツチ繊維を、実施例1と同一条件で焼成
し、引張り試験を行つたところ、直径10.5μ、引
張り強度11.4Ton/cm2、弾性率970Ton/cm2、破
断伸度1.2%であつた。
[評価] 実施例1の炭素繊維は、2度の遠心分離処理を
行つて得られた原料ピツチから製造されたもので
ある。これに対して、比較例1、2の炭素繊維
は、遠心分離処理を行わずに得られたピツチから
製造されたものである。
実施例1の原料ピツチは、比較例1、2のピツチ
に比べて、紡糸工程が円滑である。また、実施例
1の原料ピツチによつて製造した炭素繊維は、比
較例1、2のものよりも、強度、弾性率ともはる
かに高い。
[効果] 本発明の炭素繊維用原料ピツチの製造法は、特
定の性状を有する石油系重質留分を出発原料とす
る。そして、加熱処理によつて反応性が高く、過
度に重縮合が進んだ固体あるいは半固体状の物質
を、特定条件で第1次遠心分離除去し、該固体あ
るいは半固体状の物質を除去した加熱処理物を、
特定条件下で更に第2次遠心分離処理して、特定
性状の原料ピツチを得ることを特徴とする。
このため、本発明の製造法によれば、反応性が比
較的近く、分子量・分子構造が比較的狭い範囲
の、均質な炭素繊維用原料ピツチを、安定して、
しかも容易に製造することができる。
本発明によつて製造した炭素繊維用原料ピツチ
を用いると、炭素繊維の紡糸工程において糸切れ
等が起こらないため、円滑に紡糸ができ、しかも
繊維に割れ目、空孔等の欠陥を生じない高強度・
高弾性率の炭素繊維を製造することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 沸点430℃以上の石油系重質留分で、硫黄含
    有量1.0重量%以下の性状を有する原料を、非酸
    化性雰囲気下で、ガス吹き込みを行わず減圧及び
    加圧することなく、還流条件下で、加熱温度420
    〜460℃、加熱時間30〜5時間の範囲で加熱処理
    し、得られた加熱処理物を、非酸化性雰囲気下
    で、温度250〜300℃、遠心効果200〜2000Gの範
    囲の条件下で第1次の遠心分離を行つて、該加熱
    処理物中の固体あるいは半固体状の物質を除去
    し、該固体あるいは半固体状の物質を除去した加
    熱処理物を、0.1〜1.0Torrの真空下、温度370〜
    400℃、遠心効果100〜2000Gの範囲の条件下で第
    2次の遠心分離を行つて、温度25℃における比重
    1.290〜1.330、温度25℃における比誘電率2.9〜
    3.2、トルエン不溶分含有量からキノリン不溶分
    含有量を差し引いた値が65〜80重量%及びヘプタ
    ン可溶分含有量1.0重量%以下の性状を有するピ
    ツチを製造することを特徴とする、炭素繊維用原
    料ピツチの製造法。
JP12529084A 1984-06-20 1984-06-20 炭素繊維用原料ピッチの製造法 Granted JPS617386A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12529084A JPS617386A (ja) 1984-06-20 1984-06-20 炭素繊維用原料ピッチの製造法

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JP12529084A JPS617386A (ja) 1984-06-20 1984-06-20 炭素繊維用原料ピッチの製造法

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JPS617386A JPS617386A (ja) 1986-01-14
JPH054999B2 true JPH054999B2 (ja) 1993-01-21

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ID=14906416

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JP12529084A Granted JPS617386A (ja) 1984-06-20 1984-06-20 炭素繊維用原料ピッチの製造法

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JPS5941387A (ja) * 1982-08-30 1984-03-07 Osaka Gas Co Ltd ピッチの製造方法

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