JPH0367123B2 - - Google Patents
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- JPH0367123B2 JPH0367123B2 JP57158538A JP15853882A JPH0367123B2 JP H0367123 B2 JPH0367123 B2 JP H0367123B2 JP 57158538 A JP57158538 A JP 57158538A JP 15853882 A JP15853882 A JP 15853882A JP H0367123 B2 JPH0367123 B2 JP H0367123B2
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- toluene
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- soluble
- mesophase
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Landscapes
- Working-Up Tar And Pitch (AREA)
- Inorganic Fibers (AREA)
Description
この発明は、コールタールピツチから高弾性炭
素繊維を製造する方法に関する。 ピツチ類から高弾性炭素繊維を製造する方法と
しては、従来液晶状態のメソフエーズを経由する
方法が知られている。この方法は、メソフエーズ
を含有するピツチ(以下メソフエーズピツチと称
する)を紡糸し、繊維軸方向に配向したピツチ繊
維を得、これを炭化あるいは黒鉛化することによ
り、高弾性炭素繊維を製造する方法である。しか
し、この方法においては、メソフエーズピツチを
溶融紡糸する工程があるため、メソフエーズピツ
チは低い溶融粘度を示すことが必要とされる。こ
のような低粘度のメソフエーズピツチを製造する
方法としては、トルエン可溶分とトルエン不溶分
の混合物である石油系ピツチを加熱重縮合して、
トルエン不溶分量を増加させ、該加熱ピツチから
トルエン不溶分を取出し、該トルエン不溶ピツチ
を熱処理してメソフエーズピツチとする方法があ
る。この方法は、本質的にトルエン不溶分が低粘
度のメソフエーズピツチの原料として適してお
り、そのトルエン不溶分の増加の手法としてピツ
チの重縮合を行なつているものと推察される。 しかしながら、この方法をコールタールピツチ
に適用した場合、低粘度のメソフエーズピツチを
高収率で得ることは不可能である。 すなわち、コールタールピツチは、石油系ピツ
チが高々5〜10重量%のトルエン不溶分しか含ま
ないのに比べ通常20重量%以上のトルエン不溶分
を含み、かつそのトルエン不溶分が比較的高分子
量で、重縮合しやすいという特性を有するため、
このトルエン不溶分を取出しても低粘度のメソフ
エーズピツチは得られず、また加熱重縮合した後
トルエン不溶分を取出し、これを熱処理しても低
粘度のメソフエーズピツチは得られない。 なお、ここで述べたコールタールピツチとは、
紡糸性を阻害するフリーカーボンを除去したコー
ルタールピツチをいう。 この発明は、コールタールピツチから低粘度で
紡糸可能なメソフエーズピツチを高収率で得ると
ともに、このピツチから高弾性炭素繊維を製造す
る方法を提案することを目的とするものである。 この発明の要旨は、コールタールピツチをベン
ゼン類溶剤で抽出処理してベンゼン類溶剤に可溶
な成分のみを取出し、ついで該可溶分ピツチ中の
トルエン不溶分が20重量%以上でニトロベンゼン
不溶分が生成しないよう350〜500℃の温度で加熱
重縮合した後、ベンゼン類溶剤で抽出処理してベ
ンゼン類溶剤に可溶な成分を除去することによつ
て、トルエン可溶分40重量%以下のピツチを得、
これを350〜500℃の温度で熱処理してメソフエー
ズ含有率50vol%以上のピツチとし、該ピツチを
溶融紡糸・不融化・焼成することを特徴とする高
弾性炭素繊維の製造法にある。 すなわち、この発明法は、コールタールピツチ
中に多量に存在するトルエン可溶分を原料として
用いこれを熱処理後溶剤不溶分を取出すことによ
り、高濃度のトルエン不溶分を含み、かつニトロ
ベンゼン不溶分を含まないピツチを得、このピツ
チを熱処理することによつて紡糸性のすぐれたメ
ソフエーズピツチの製造を可能とした点に大なる
特徴を有するものである。 この発明におけるベンゼン類溶剤とは、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の単環芳香族非極性溶
剤を主成分とする溶剤を意味する。また、トルエ
ン不溶分は、JISK−2425のタールピツチ等のト
ルエン不溶分定量方法により測定され、ニトロベ
ンゼン不溶分は、JISK−2425のタールピツチの
キノリン不溶分定量方法(遠心法)において溶媒
としてキノリンのかわりにニトロベンゼンを用い
ることにより測定される。なお、ニトロベンゼン
は、キノリンとトルエンの中間の抽出力を有す
る。 この発明者らは、コールタール中のトルエン不
溶分から製造したメソフエーズピツチの粘度が高
く、紡糸性が悪い原因について調べた。その結
果、コールタール中のトルエン不溶分中に高分子
量成分、具体的にはニトロベンゼン不溶分で示さ
れる分子量2000以上の成分が多量に存在するため
であることが判明し、さらに、メソフエーズピツ
チ用原料としては、ニトロベンゼン不溶分は存在
しないことが望ましいことを見い出した。かかる
知見により、この発明では、コールタールピツチ
をベンゼン、トルエン、粗ベンゼンのようなベン
ゼン類溶剤で抽出処理してベンゼン不溶分を除去
することによりニトロベンゼン不溶分も除去する
という方法をとつたのである。なお、この方法に
より、コールタールピツチ中に存在するフリーカ
ーボンも同時に分離可能となる。 ところで、この発明者らの研究によれば、熱処
理により低粘度のメソフエーズピツチを形成し得
るのは、トルエン可溶分40重量%以下、ニトロベ
ンゼン不溶分10重量%以下のピツチである。従つ
て、このベンゼン類溶剤可溶ピツチは、そのまま
ではメソフエーズピツチ用原料としては適さな
い。このため、該可溶分を350〜500℃の温度で加
熱重縮合しピツチ中のトルエン不溶分を増加させ
る方法をとつたのである。この場合、重縮合はピ
ツチ中にニトロベンゼン不溶分が生成する以前に
停止しなければならない。ここで、加熱温度を
350〜500℃に限定したのは、350℃以下では重縮
合反応が起こらず、500℃以上では不融性のコー
キング物の発生が認められるためである。 次に、この発明では、上記加熱ピツチを再度ベ
ンゼン類溶剤で抽出処理してベンゼン類溶剤に可
溶な成分を除去することによつてトルエン可溶分
量40重量%以下のピツチを得、このピツチを350
〜500℃の温度で熱処理してメソフエーズ含有率
50vol%以上のピツチを得ることを特徴とする。
ここで、ピツチの熱処理温度を350〜500℃とした
理由は、350℃以下では重縮合反応が起こらず、
500℃以上では逆に重縮合反応が活発となりメソ
フエーズが不融化するためである。また、メソフ
エーズ量を50vol%以上に限定したのは、50vol%
以下ではピツチがスラリー状となり紡糸が困難な
ためである。 この発明法で製造されたメソフエーズピツチは
良好な紡糸性を示し、400℃以下の温度で通常の
溶融紡糸法により紡糸可能で直径15μ以下の長繊
維が得られる。得られたピツチ糸は通常の不融化
法、例えば空気中での加熱により容易に不融化で
きる。この不融糸は、緊張処理を施さなくても炭
化黒鉛することにより30Ton/mm2以上の高い弾性
率と200Kg/mm2以上の高強度を示す。なお、実施
例中の%は特に指定のない限りは重量%である。 以下に、この発明の実施例を示す。 〔実施例〕 粗タールを常圧換算カツトポイント450℃で蒸
留して得たピツチを5倍量のベンゼン、ピリジン
により80℃の温度で抽出し、冷却後0.5μの孔径を
有するフイルターで過し、不溶分を除去後、蒸
留により溶剤を回収し、第1表に示す性状を有す
る2種のピツチを得た。この2種のピツチを430
℃の温度で重縮合したところ、第2表の熱処理ピ
ツチが得られた。 第2表の結果より、Aのトルエン可溶ピツチの
場合、トルエン不溶分を40%以上に増加させても
ニトロベンゼン不溶分がほとんど生成しないのに
対し、Bのトルエン不溶分を含むピリジン可溶ピ
ツチの場合、トルエン不溶分の増加に伴ないニト
ロベンゼン不溶分も増加し、高濃度のトルエン不
溶分を含みながらニトロベンゼン不溶分を含まな
いピツチを製造することは困難で、トルエン不溶
分を含まない本発明の原料がトルエン不溶でニト
ロベンゼン可溶な成分を収率よく製造するのに好
ましい原料であることがわかる。 次に、第2表中の試料No.2とNo.4のピツチを5
倍量のベンゼン、ヘプタンで80℃で抽出し、孔径
0.5μのフイルターで過して不溶分を取出し、こ
れらの不溶分を430℃の温度で熱処理して、メソ
フエーズ含有率75VOl%のメソフエーズピツチと
し、紡糸テストを行なつた結果を第3表に示す。
なお、試験No.は抽出を2回繰返した。 第3表の結果より、熱処理生成物中にニトロベ
ンゼン不溶分が存在する試験No.、、メソフエ
ーズ生成のための熱処理前に原料中のトルエン可
溶分が40%以上存在する試験No.の場合は、紡糸
可能なメソフエーズピツチは得られず、一方試験
No.、の場合が良好なことから本発明法が紡糸
性のすぐれたメソフエーズピツチの製造に有効な
ことがわかる。 次に、第3表の試験No.のメソフエーズピツチ
を370℃の温度で溶融紡糸し、直径15μのピツチ
糸を得た。このピツチ糸を空気中昇温速度0.5℃
で280℃まで昇温後30分保持して不融化した。つ
いで、得られた不融化糸をAr雰囲気中で昇温速
度10℃/分で1000℃まで加熱後5分間保持し、炭
化した。続いて、この炭化糸をAr雰囲気中で昇
温速度20℃/分で2000℃まで昇温後5分間保持
し、黒鉛化して得られた炭素繊維の性状を第4表
に示す。 第4表より、本発明法により製造した炭素繊維
は、高弾性率および高強度を示すことがわかる。
素繊維を製造する方法に関する。 ピツチ類から高弾性炭素繊維を製造する方法と
しては、従来液晶状態のメソフエーズを経由する
方法が知られている。この方法は、メソフエーズ
を含有するピツチ(以下メソフエーズピツチと称
する)を紡糸し、繊維軸方向に配向したピツチ繊
維を得、これを炭化あるいは黒鉛化することによ
り、高弾性炭素繊維を製造する方法である。しか
し、この方法においては、メソフエーズピツチを
溶融紡糸する工程があるため、メソフエーズピツ
チは低い溶融粘度を示すことが必要とされる。こ
のような低粘度のメソフエーズピツチを製造する
方法としては、トルエン可溶分とトルエン不溶分
の混合物である石油系ピツチを加熱重縮合して、
トルエン不溶分量を増加させ、該加熱ピツチから
トルエン不溶分を取出し、該トルエン不溶ピツチ
を熱処理してメソフエーズピツチとする方法があ
る。この方法は、本質的にトルエン不溶分が低粘
度のメソフエーズピツチの原料として適してお
り、そのトルエン不溶分の増加の手法としてピツ
チの重縮合を行なつているものと推察される。 しかしながら、この方法をコールタールピツチ
に適用した場合、低粘度のメソフエーズピツチを
高収率で得ることは不可能である。 すなわち、コールタールピツチは、石油系ピツ
チが高々5〜10重量%のトルエン不溶分しか含ま
ないのに比べ通常20重量%以上のトルエン不溶分
を含み、かつそのトルエン不溶分が比較的高分子
量で、重縮合しやすいという特性を有するため、
このトルエン不溶分を取出しても低粘度のメソフ
エーズピツチは得られず、また加熱重縮合した後
トルエン不溶分を取出し、これを熱処理しても低
粘度のメソフエーズピツチは得られない。 なお、ここで述べたコールタールピツチとは、
紡糸性を阻害するフリーカーボンを除去したコー
ルタールピツチをいう。 この発明は、コールタールピツチから低粘度で
紡糸可能なメソフエーズピツチを高収率で得ると
ともに、このピツチから高弾性炭素繊維を製造す
る方法を提案することを目的とするものである。 この発明の要旨は、コールタールピツチをベン
ゼン類溶剤で抽出処理してベンゼン類溶剤に可溶
な成分のみを取出し、ついで該可溶分ピツチ中の
トルエン不溶分が20重量%以上でニトロベンゼン
不溶分が生成しないよう350〜500℃の温度で加熱
重縮合した後、ベンゼン類溶剤で抽出処理してベ
ンゼン類溶剤に可溶な成分を除去することによつ
て、トルエン可溶分40重量%以下のピツチを得、
これを350〜500℃の温度で熱処理してメソフエー
ズ含有率50vol%以上のピツチとし、該ピツチを
溶融紡糸・不融化・焼成することを特徴とする高
弾性炭素繊維の製造法にある。 すなわち、この発明法は、コールタールピツチ
中に多量に存在するトルエン可溶分を原料として
用いこれを熱処理後溶剤不溶分を取出すことによ
り、高濃度のトルエン不溶分を含み、かつニトロ
ベンゼン不溶分を含まないピツチを得、このピツ
チを熱処理することによつて紡糸性のすぐれたメ
ソフエーズピツチの製造を可能とした点に大なる
特徴を有するものである。 この発明におけるベンゼン類溶剤とは、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の単環芳香族非極性溶
剤を主成分とする溶剤を意味する。また、トルエ
ン不溶分は、JISK−2425のタールピツチ等のト
ルエン不溶分定量方法により測定され、ニトロベ
ンゼン不溶分は、JISK−2425のタールピツチの
キノリン不溶分定量方法(遠心法)において溶媒
としてキノリンのかわりにニトロベンゼンを用い
ることにより測定される。なお、ニトロベンゼン
は、キノリンとトルエンの中間の抽出力を有す
る。 この発明者らは、コールタール中のトルエン不
溶分から製造したメソフエーズピツチの粘度が高
く、紡糸性が悪い原因について調べた。その結
果、コールタール中のトルエン不溶分中に高分子
量成分、具体的にはニトロベンゼン不溶分で示さ
れる分子量2000以上の成分が多量に存在するため
であることが判明し、さらに、メソフエーズピツ
チ用原料としては、ニトロベンゼン不溶分は存在
しないことが望ましいことを見い出した。かかる
知見により、この発明では、コールタールピツチ
をベンゼン、トルエン、粗ベンゼンのようなベン
ゼン類溶剤で抽出処理してベンゼン不溶分を除去
することによりニトロベンゼン不溶分も除去する
という方法をとつたのである。なお、この方法に
より、コールタールピツチ中に存在するフリーカ
ーボンも同時に分離可能となる。 ところで、この発明者らの研究によれば、熱処
理により低粘度のメソフエーズピツチを形成し得
るのは、トルエン可溶分40重量%以下、ニトロベ
ンゼン不溶分10重量%以下のピツチである。従つ
て、このベンゼン類溶剤可溶ピツチは、そのまま
ではメソフエーズピツチ用原料としては適さな
い。このため、該可溶分を350〜500℃の温度で加
熱重縮合しピツチ中のトルエン不溶分を増加させ
る方法をとつたのである。この場合、重縮合はピ
ツチ中にニトロベンゼン不溶分が生成する以前に
停止しなければならない。ここで、加熱温度を
350〜500℃に限定したのは、350℃以下では重縮
合反応が起こらず、500℃以上では不融性のコー
キング物の発生が認められるためである。 次に、この発明では、上記加熱ピツチを再度ベ
ンゼン類溶剤で抽出処理してベンゼン類溶剤に可
溶な成分を除去することによつてトルエン可溶分
量40重量%以下のピツチを得、このピツチを350
〜500℃の温度で熱処理してメソフエーズ含有率
50vol%以上のピツチを得ることを特徴とする。
ここで、ピツチの熱処理温度を350〜500℃とした
理由は、350℃以下では重縮合反応が起こらず、
500℃以上では逆に重縮合反応が活発となりメソ
フエーズが不融化するためである。また、メソフ
エーズ量を50vol%以上に限定したのは、50vol%
以下ではピツチがスラリー状となり紡糸が困難な
ためである。 この発明法で製造されたメソフエーズピツチは
良好な紡糸性を示し、400℃以下の温度で通常の
溶融紡糸法により紡糸可能で直径15μ以下の長繊
維が得られる。得られたピツチ糸は通常の不融化
法、例えば空気中での加熱により容易に不融化で
きる。この不融糸は、緊張処理を施さなくても炭
化黒鉛することにより30Ton/mm2以上の高い弾性
率と200Kg/mm2以上の高強度を示す。なお、実施
例中の%は特に指定のない限りは重量%である。 以下に、この発明の実施例を示す。 〔実施例〕 粗タールを常圧換算カツトポイント450℃で蒸
留して得たピツチを5倍量のベンゼン、ピリジン
により80℃の温度で抽出し、冷却後0.5μの孔径を
有するフイルターで過し、不溶分を除去後、蒸
留により溶剤を回収し、第1表に示す性状を有す
る2種のピツチを得た。この2種のピツチを430
℃の温度で重縮合したところ、第2表の熱処理ピ
ツチが得られた。 第2表の結果より、Aのトルエン可溶ピツチの
場合、トルエン不溶分を40%以上に増加させても
ニトロベンゼン不溶分がほとんど生成しないのに
対し、Bのトルエン不溶分を含むピリジン可溶ピ
ツチの場合、トルエン不溶分の増加に伴ないニト
ロベンゼン不溶分も増加し、高濃度のトルエン不
溶分を含みながらニトロベンゼン不溶分を含まな
いピツチを製造することは困難で、トルエン不溶
分を含まない本発明の原料がトルエン不溶でニト
ロベンゼン可溶な成分を収率よく製造するのに好
ましい原料であることがわかる。 次に、第2表中の試料No.2とNo.4のピツチを5
倍量のベンゼン、ヘプタンで80℃で抽出し、孔径
0.5μのフイルターで過して不溶分を取出し、こ
れらの不溶分を430℃の温度で熱処理して、メソ
フエーズ含有率75VOl%のメソフエーズピツチと
し、紡糸テストを行なつた結果を第3表に示す。
なお、試験No.は抽出を2回繰返した。 第3表の結果より、熱処理生成物中にニトロベ
ンゼン不溶分が存在する試験No.、、メソフエ
ーズ生成のための熱処理前に原料中のトルエン可
溶分が40%以上存在する試験No.の場合は、紡糸
可能なメソフエーズピツチは得られず、一方試験
No.、の場合が良好なことから本発明法が紡糸
性のすぐれたメソフエーズピツチの製造に有効な
ことがわかる。 次に、第3表の試験No.のメソフエーズピツチ
を370℃の温度で溶融紡糸し、直径15μのピツチ
糸を得た。このピツチ糸を空気中昇温速度0.5℃
で280℃まで昇温後30分保持して不融化した。つ
いで、得られた不融化糸をAr雰囲気中で昇温速
度10℃/分で1000℃まで加熱後5分間保持し、炭
化した。続いて、この炭化糸をAr雰囲気中で昇
温速度20℃/分で2000℃まで昇温後5分間保持
し、黒鉛化して得られた炭素繊維の性状を第4表
に示す。 第4表より、本発明法により製造した炭素繊維
は、高弾性率および高強度を示すことがわかる。
【表】
【表】
【表】
【表】
以上の実施例からも明らかなごとく、この発明
法によれば、コールタールピツチから低粘度で紡
糸可能なメソフエーズピツチを高収率で得ること
ができるので、高弾性炭素繊維を安価なコストで
製造することができる。
法によれば、コールタールピツチから低粘度で紡
糸可能なメソフエーズピツチを高収率で得ること
ができるので、高弾性炭素繊維を安価なコストで
製造することができる。
Claims (1)
- 1 コールタールピツチをベンゼン類溶剤で抽出
処理してベンゼン類溶剤に可溶な成分のみを取出
し、ついで該可溶分ピツチ中のトルエン不溶分が
20重量%以上でニトロベンゼン不溶分が生成しな
いよう350〜500℃の温度で加熱重縮合した後、ベ
ンゼン類溶剤で抽出処理してベンゼン類溶剤に可
溶な成分を除去することによつて、トルエン可溶
分40重量%以下のピツチを得、これを350〜500℃
の温度で熱処理してメソフエーズ含有率50VOl%
以上のピツチとし、該ピツチを溶融紡糸・不融
化・焼成することを特徴とする高弾性炭素繊維の
製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15853882A JPS5947426A (ja) | 1982-09-10 | 1982-09-10 | 高弾性炭素繊維の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15853882A JPS5947426A (ja) | 1982-09-10 | 1982-09-10 | 高弾性炭素繊維の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5947426A JPS5947426A (ja) | 1984-03-17 |
JPH0367123B2 true JPH0367123B2 (ja) | 1991-10-21 |
Family
ID=15673898
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15853882A Granted JPS5947426A (ja) | 1982-09-10 | 1982-09-10 | 高弾性炭素繊維の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5947426A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61108725A (ja) * | 1984-10-30 | 1986-05-27 | Teijin Ltd | 新規構造を有するピツチ系炭素繊維の製造法 |
JPS61162586A (ja) * | 1985-01-08 | 1986-07-23 | Kawasaki Steel Corp | 炭素繊維用プリカ−サ−ピツチの製造方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5558287A (en) * | 1978-05-05 | 1980-04-30 | Exxon Research Engineering Co | Improvement in forming neomesophase |
JPS5747384A (en) * | 1980-09-03 | 1982-03-18 | Nippon Steel Chem Co Ltd | Preparation of pitch |
-
1982
- 1982-09-10 JP JP15853882A patent/JPS5947426A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5558287A (en) * | 1978-05-05 | 1980-04-30 | Exxon Research Engineering Co | Improvement in forming neomesophase |
JPS5747384A (en) * | 1980-09-03 | 1982-03-18 | Nippon Steel Chem Co Ltd | Preparation of pitch |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5947426A (ja) | 1984-03-17 |
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