JPH058755B2 - - Google Patents

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JPH058755B2
JPH058755B2 JP59142158A JP14215884A JPH058755B2 JP H058755 B2 JPH058755 B2 JP H058755B2 JP 59142158 A JP59142158 A JP 59142158A JP 14215884 A JP14215884 A JP 14215884A JP H058755 B2 JPH058755 B2 JP H058755B2
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Japan
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pitch
hydrogenated
temperature
hydrogenation
solvent
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Kozo Yumitate
Yukihiro Oosugi
Mamoru Kamishita
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JFE Steel Corp
Nitto Boseki Co Ltd
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Nitto Boseki Co Ltd
Kawasaki Steel Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は高性能炭素繊維を製造するのに用いる
プリカーサーピツチの製造に関し、熱安定性が高
く、低粘度で、単一相からなるプリカーサーピツ
チを製造する技術に属するものである。 (従来の技術) 高性能炭素繊維の製造は原料から大別するとポ
リアクリロニトリル(PAN)と、石油ピツチや
コールタールとに分類できる。ポリアクリロニト
リルを原料とする場合には原料繊維の価格が高い
こと、および原料繊維の炭化収率が低いことが欠
点として挙げることができる。 一方、石油ピツチがコールタールピツチを原料
とする場合、高性能炭素繊維とするには、いわゆ
る光学的異方性ピツチであるメソフエーズピツチ
を出発原料としなければならない。従来、ピツチ
を原料とする繊維は汎用グレードである弾性率の
低いものであるが、この場合原料ピツチは光学的
等方性ピツチである。この等方性ピツチを用いて
高性能炭素繊維用原料に改質しようとして不活性
ガス雰囲気中で適当な温度(350〜500℃)に加熱
すれば、まず光学的に異方性の相が等方性融体中
に生成し、これから次第に合体成長してバルクの
メソフエーズピツチとなる。このメソフエーズピ
ツチを原料とすることにより高強度、高弾性を有
する高性能炭素繊維を得ることは可能である。こ
れはメソフエーズピツチを原料として溶融紡糸す
ると規則的に配列された縮合環よりなる高分子成
分が繊維軸方向に配列し、高強度、高弾性の炭素
繊維が得られるからである。しかるに、このよう
にして得られたメソフエーズピツチの粘度は等方
性ピツチの粘度よりはるかに大きく、メソフエー
ズピツチの紡糸は等方性ピツチの紡糸に比べて一
層困難であることはよく知られていることであ
る。 また、長繊維である高性能炭素繊維を経済的な
速度で製造する場合には、メソフエーズピツチの
溶融紡糸を速やかに達成することが最も重要であ
り、このために紡糸性に優れたメソフエーズピツ
チを用いる必要がある。この紡糸性に優れたメソ
フエーズピツチと云うことは、紡糸工程において
長時間にわたり糸切れが少なく、かつ繊維径が細
く、均一な繊維を与えるメソフエーズピツチであ
ることを意味し、このためにメソフエーズピツチ
の粘度は、例えば紡糸温度において数10から数
100ポイズとできるだけ低い方が好ましく、更に
組成的な面から見ると高度に均質で単一相の粗成
から成るものであり、溶融紡糸時におけるメソフ
エーズピツチの変質や揮発分の発生がないような
熱的に安定なものでなければならない。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は上述する問題点に着目して熱安定性で
かつ紡糸性に優れた高性能炭素繊維を製造するた
めにキノリン不溶分20〜40重量%を含む全面的に
光学的異方性組織の単一相からなる低粘度のメゾ
フエーズピツチから構成された新規なプリカーサ
ーピツチを得ることであり、このプリカーサーピ
ツチはコールタールピツチを水素化溶剤としてテ
トラリンを使用して水素化処理し、水素化ピツチ
を減圧下において470℃以上の高温で短時間(保
持時間が実質的に0分)熱処理して製造すること
を目的としている。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは上記の目的を達成するために、鋭
意研究の結果キノリン不溶分20〜40重量%を含む
全面的に光学的異方性組織の単一相からなる低粘
度のメソフエーズピツチで構成された高性能炭素
繊維用プリカーサーピツチを得るのに、コールタ
ール軟ピツチまたは中ピツチを水素化溶剤である
テトラリンの存在下で水素化処理し、ピツチ中の
フリーカーボンおよび高分子成分を含む溶剤不溶
解成分を過、遠心分離、静置分離などの方法に
よつて分離除去し、更に溶剤を除去してフリーカ
ーボンおよび高分子成分を含まない水素化された
ピツチを得、この水素化ピツチを0.1〜10トルの
減圧下、アルゴンや窒素の如き不活性ガス雰囲気
中で470〜530℃の温度で実質的にこの温度で保持
せずに熱処理してメソフエーズを生成する方法を
開発するに至つたものである。 すなわち、本発明は上述する新規なメソフエー
ズピツチを得るために、コールタールピツチを水
素供与性を有する溶剤であるテトラリンを使用し
て400〜450℃の温度で水素化処理して原料ピツチ
中に元来存在する1μm以下の微粒子であるフリ
ーカーボンおよび溶剤に溶解しないピツチ中の高
分子成分を分離除去し、更に溶剤を除去して非常
に分子量のそろつたヘテロ原子含有量の少ない水
素化ピツチを得、この水素化ピツチを減圧下にお
いて470〜530℃の温度で実質的にこの温度に保持
しないで比較的に短時間加熱処理し、ピツチ中の
低分子量成分や昇華性成分を除去してピツチのメ
ソフエーズ化を進め、熱安定性を高めて低粘度
で、しかも非常に均一な単一相からなる高性能炭
素繊維用プリカーサーピツチを製造することであ
る。 従つて、本発明においてはコールタールピツチ
を代表的に水素化溶剤であるテトラリンで水素化
処理し、得られた水素化ピツチを470〜500℃の温
度で加熱処理するだけで熱安定性に良く、かつ紡
糸性に優れたメソフエーズピツチを容易に製造す
ることができる。 一般に、よく知られている石炭およびタールピ
ツチの水素化溶剤としては、例えば1,2,3,
4−テトラヒドロキノリン(THQ)、石炭系の溶
剤を水添処理した水素化−アントラセン油、更に
はテトラリン、ジヒドロアンスラセンおよびジヒ
ドロフエナンスレンの如き2環もしくは3環の芳
香族系炭化水素の水素化物がある。本発明におい
ては上述する各種水素化溶剤を使用してコールタ
ールピツチの水素化処理を行ない、次いで加熱処
理してメソフエーズピツチを得、炭素繊維用プリ
カーサーピツチとしての特性を調べた結果、テト
ラリン処理のメソフエーズピツチが特に優れたピ
ツチであることを確めた(表2参照)。 従来において、石炭およびコールタールピツチ
などの重質瀝青物の水素化処理としてクレオソー
ド油、アントラセン油の如き芳香族性の溶剤を使
用し、適当な触媒の存在下で水素ガス雰囲気にお
いて高温、高圧下(150〜250Kg/cm2)で処理する
方法、すなわち、直接水添法が知られているが、
テトラリン、THQおよび水素化−アントラセン
油の如き溶剤それ自体が水素供与能を有する水素
化溶剤を使用してもコールタールピツチの水素化
処理を行うことができる(特開昭58−18421、
196292および214531号公報)。この場合、系内の
圧力は水素化溶剤の蒸気圧や分解によつて示され
る自生圧程度(10〜30Kg/cm2)でよく、水素ガス
を用いる直接水添の場合よりも一層低い圧力での
水素化処理が可能であり、設備上非常に大きいメ
リツトがある。更に、水素ガスよりも水素化溶剤
中の水素の方がはるかに活性であり、水素供与能
力という点において格段に優れている。 上述するように本発明の新規なプリカーサーピ
ツチを得るのに用いるテトラリンは水素供与性と
いう点で非常に優れているが、タールピツチのよ
うに芳香族性に富んだ重質瀝青物に対して貧溶剤
であり、溶解力が小さいことが知られている。し
かし、本発明者らはこのようなテトラリンの特性
を利用することによつて優れた炭素繊維用プリカ
ーサーピツチを製造する方法を開発することがで
きた。 本発明のプリカーサーピツチを得るのに実施す
る水素化処理はコールタール軟ピツチまたは中ピ
ツチをテトラリンの存在下で400〜450℃の加熱温
度で行うが、この場合ピツチとテトラリンとの混
合比は1:1〜1:5、好ましくは1:2〜1:
3で良く、圧力はテトラリンおよびピツチの自生
圧下で充分であり、本体10〜30Kg/cm2程度の圧力
である。上記水素化処理の加熱温度が400℃以下
では、ピツチの水素化が充分おこなわれないため
に、引き続いて、加熱処理しても、低粘度のプリ
カーサーピツチにならないため望ましくなく、ま
た450℃以上では、ピツチの水素化が進みすぎて、
ピツチの低分子化がおこるために、引き続く加熱
処理で、プリカーサーピツチの収率が極端に低下
するため望ましくない。このようにして得られた
水素化ピツチは、その純度を上げるために原料ピ
ツチ中に元来存在する1μm以下の微粒子である
フリーカーボンを分離除去する必要がある。 しかるに、上述するようにテトラリンはタール
ピツチに対して貧溶剤であり、溶解力が小さいた
めに、水素化処理後溶液の温度を下げると、溶剤
に溶解しないピツチ中の高分子成分を分離するが
かりか、フリーカーボンをも一緒に抱き込んで
0.1〜1mm程度のスラツジとなつて分離すること
ができるという大きい効果を発揮する。このスラ
ツジの分離除去は遠心分離、過または静置分離
によつて行うが、フリーカーボンのみの分離と比
較して分離除去が非常に簡単に行うことができ
る。更に、コールタールピツチをテトラリンと共
に400〜450℃で熱処理すればコールタールピツチ
中の高分子成分は水素化および解重合されて低分
子成分になるが、三次元的に高度に架橋された高
分子成分はこの程度の水素化条件では解重合され
ず、溶剤不溶解成分として残存するためにかかる
不溶解成分は分離工程で分離除去することができ
る。通常、この溶剤不溶解成分として分離除去さ
れる高分子成分は酸素、窒素および硫黄の如きヘ
テロ原子を介して三次元的に高度に架橋された高
分子成分である。フリーカーボンおよびピツチ中
の高分子成分を含む溶剤不溶解成分を分離除去
し、更に溶剤を除去した水素化ピツチはヘテロ原
子含有量の少ない均質なピツチであると共に、高
分子成分が除去されるために分子量分布上からも
非常に分子量のそろつた均質なピツチにすること
ができる。よつてテトラリンは水素化処理により
ピツチの水添と、均質化との二つの効果を同時に
発揮することができる。 上述するようにして得られた水素化ピツチの熱
処理としては、例えば減圧法および常圧法があ
る。常圧法では熱処理して得られたメソフエーズ
ピツチは減圧法に比較してピツチ中の低分子量成
分および昇華性成分の除去が充分でなくプリカー
サーピツチ中にこれらの成分が残存してしまう。
この結果、メソフエーズピツチは光学的に異方性
組織の相と光学的に等方性組織の相とが混在し易
く、メソフエーズピツチ全体として不均一な相に
なりやすい。その上、紡糸過程において揮発分の
発生が多く、熱安定性に劣るようになる。このよ
うな理由から、本発明においては熱処理に減圧法
を適用することが好ましい。この場合、低分子量
成分および昇華性成分を充分に除去できるので好
ましいが、工業的規模での実施を考慮して減圧度
を0.1〜10トルの範囲にする。この程度の減圧度
であれば充分に低分子量成分および昇華性成分を
除去することができる。 次に、上記熱処理を実施するのに用いる加熱温
度について、通常350℃付近より光学的に異方性
組織である、いわゆるメソフエーズが生成し始め
る。しかるに、本発明の方法においてテトラリン
で水素化処理して得た水素化ピツチは上述するよ
うにヘテロ原子含有量の少ないクリーンなピツチ
で、しかも高分子成分が除去された非常に分子量
のそろつた均質なピツチであるので、この水素化
ピツチは水素化されないピツチ、更にはテトラリ
ン以外の水素化処理された水素化ピツチと比較し
て熱処理に際してメソフエーズの生成により高温
で処理する必要がある。すなわち、テトラリンで
水素化処理した水素化ピツチは400℃付近よりメ
ソフエーズが生成し始めることを確認した。この
温度付近でも長時間(10時間〜数日)にわたり熱
処理すればかかるメソフエーズが成長−合体して
バルクのメソフエーズピツチにすることができ
る。また、更に高温度での熱処理においてもバル
クのメソフエーズピツチとすることができるが、
この場合熱処理温度と保持時間とは当然に関連
し、高温にすればする程、保持時間と短くしてバ
ルク メソフエーズピツチにすることができる。 このような事から、本発明において上記熱処理
条件について検討した結果、バルク メソフエー
ズピツチのキノリン不溶分ができるだけ少なく、
ピツチ全体としてより粘度が低くて非常に均質な
単一相よりなる光学的異方性組織にするために
は、水素化ピツチの熱処理をより高温で処理する
ことが非常に効果的であり、実質的に保持時間を
必要としないような上限の熱処理温度で処理すれ
ば得られるメソフエーズピツチは非常に優れたプ
リカーサーピツチとなることを確めた。従つて、
本発明においてはテトラリン処理の水素化ピツチ
についての熱処理温度を470〜530℃の範囲にす
る。この温度で、実質的に保持することなく比較
的短時間、不活性ガス雰囲気下、0.1〜10トルの
減圧で熱処理することによつて、メソフエーズピ
ツチ中の大きい分子量(数100〜数10000)の縮合
芳香環より構成されるキノリン不溶分の含有量を
できるだけ少なくし、またキノリン不溶分とキノ
リン可溶分との組成をかなりよく似かよつたもの
にして系全体の粘度を有効に低下でき、かつ非常
に均質な単一相のメソフエーズピツチにすること
ができる。 上述するように、本発明により得られた炭素繊
維用プリカーサーピツチはキノリン不溶分を20〜
40重量%含む全面的に光学的異方性組織の単一相
からなる低粘度のメソフエーズピツチから構成さ
れている。この場合、キノリン不溶分が20重量%
以下であるとピツチの組織は光学的異方性部分と
等方性部分とが混在して不均一な相となり、また
キノリン不溶分が40重量%以上であると全面的に
異方性組織であり系全体としては単一相である
が、しかし粘度が著しく高くなり、炭素繊維用プ
リカーサーピツチとして適さなくなる。更に、本
発明におけるプリカーサーピツチは上述するよう
にキノリン不溶分とキノリン不溶分との組成がか
なり似かよつたものとなり、つまり分子量分布の
面からはプリカーサーピツチの溶剤分割分析にお
いて最も高分子成分であるキノリン不溶分の含有
量が少なく、更に最も低分子成分であるベンゼン
可溶分の含有量が少ないピツチとなり、化学構造
の面からは芳香族性などで代表されるピツチの特
性値がキノリン不溶分とキノリン不可分において
似かよつたピツチとなり、また紡糸過程において
メソフエーズピツチの変質、分解および揮発分の
生成が生じないような熱安定性の良いピツチとな
る。 (発明の効果) 上述するように、本発明においては石炭系ター
ルピツチのテトラリンによる水素化処理、これに
引き続いて減圧下470〜530℃の高温における熱処
理によつてキノリン不溶分として20〜40重量%
で、しかも偏光顕微鏡下での観察により全面的に
光学的異方性組織の単一相からなる熱安定性が高
く、かつ低粘度の高性能炭素繊維の製造に用いる
ことのできるプリカーサーピツチを得ることがで
きた。 実施例 次に、本発明の実施例について説明する。 実施例 1 石炭系タールピツチ(軟化点sp=90.1℃、ベン
ゼン不溶分BI=27.8重量%、キノリン不溶分QI
=8.9重量%)1重量部に水素化溶剤であるテト
ラリン2重量部を加え、この混合物を20オート
クレーブ中で430℃で30分間にわたり水素化処理
した。水素化処理後、系内の圧力は35Kg/cm2であ
つた。次いで、反応物を過して元来タールピツ
チ中に存在しているキノリン不溶分と、溶剤に溶
解しないピツチ中の高分子成分と分離除去し、し
かる後溶剤を回収して水素化ピツチを得た。この
水素化ピツチは分析の結果9.0重量%のベンゼン
不溶分および痕跡量のキノリン不溶分を有してい
た。かようにして得た水素化ピツチを8トルの減
圧下でN2ガス雰囲気下において所定の温度まで
の昇温速度3℃/分で昇温し、次の方法により熱
処理した: () 420℃ 180分間保持 () 470℃ 10分間保持 () 495℃ 0分間保持 上述するようにして得たメソフエーズピツチの
分析値を表1に示す。
【表】 上記表1から、()の方法で得たメソフエー
ズピツチと比較して、()および()の方法
で得た本発明におけるメソフエーズピツチはキノ
リン不溶分が少なく、しかもベンゼン不溶分が多
く、偏光顕微鏡観察により全面的に異方性組織よ
りなる非常に均質なピツチであり、揮発分も少な
く、更に紡糸性試験でも長時間にわたり均一な繊
維を紡糸できることがわかる。 上述するように()および()の方法によ
り得たメソフエーズピツチから紡糸した繊維を空
気中において310℃で1時間にわたり不融化処理
した後、Ar中で1000℃で炭化処理した。かよう
にして得た炭素繊維は繊維径11〜12μm、引張強
度200Kg/mm2および弾性率13.8t/mm2の特性を有し
ていた。更に、これらの繊維を2600℃で黒鉛化処
理すると繊維10〜11μm、引張強度300Kg/mm2
よび弾性率42t/mm2の高性能炭素繊維を得た。 これに対して420℃で熱処理して得た()の
方法で得たメソフエーズピツチから溶融紡糸して
得た繊維は、繊維径が14〜17μmと繊維径が太
く、ばらついていた。この繊維を空気中で310℃
で1時間、不融化処理した後、Ar中で1000℃で
炭化処理した。この炭素繊維は、繊維径13〜16μ
m、引張強度163Kg/mm2、弾性率12.2t/mm2で、特
性的に()、()の方法で得たメソフエーズピ
ツチからの炭素繊維と比較して劣るものであつ
た。 実施例 2 コールタールピツチ(ベンゼン不溶分13.0重量
%、キノリン不溶分0.3重量%)1重量部に水素
化溶剤であるテトラリン2重量部を混合し、この
混合物を430℃で30分間にわたり水素化処理した。
水素化処理終了後、系内の圧力は35Kg/cm2であつ
た。次いで、水素化処理ピツチ中で原料ピツチ中
の微量のキノリン不溶分および水素化処理後溶剤
に溶解しないピツチ中の高分子成分を過により
分離除去し、しかる後溶剤を回収して水素化ピツ
チを得た。この水素化ピツチは分析の結果9.6重
量%のベンゼン不溶分および痕跡量のキノリン不
溶分を有していた。 かようにして得た水素化ピツチをN2雰囲気下、
7トルの減圧下で490℃において保持しないで熱
処理してメソフエーズピツチを得た。このメソフ
エーズピツチはベンゼン不溶分が94.5重量%およ
びキノリン不溶分が25.6重量%で、偏光顕微鏡下
での観察において全面的に異方性組織であり、し
かも粘度は340℃において100ポイズであつた。 かようにして得たメソフエーズピツチを溶融紡
糸したところ、60分間以上にわたつて紡糸でき、
しかも繊維径は11〜12μmと非常に均一であつ
た。この繊維を空気中で1時間にわたり不融化処
理した後、Ar中で1000℃で炭化処理した。得ら
れた炭素繊維は繊維径10〜11μm、引張強度202
Kg/mm2および弾性率14.8t/mm2の特性を有してい
た。更に、この繊維を2600℃で黒鉛化処理したと
ころ繊維径9〜10μm、引張強度310Kg/mm2およ
び弾性率42t/mm2の高性能炭素繊維を得た。 実施例 3 実施例1に用いた石炭系タールピツチ1重量部
に水素化溶剤であるテトラリン2重量部を混合
し、この混合物を20オートクレーブ中430℃で
30分間にわたり水素化処理した。水素化処理後、
系内の圧力は30Kg/cm2であつた。次いで、反応物
を過して元来タールピツチ中に存在しているキ
ノリン不溶分を分離除去し、しかる後溶剤を回収
して水素化ピツチを得た。この水素化ピツチは分
析の結果15.0重量%のベンゼン不溶分および痕跡
量のキノリン不溶分を有していた。かようにして
得た水素化ピツチを8トルの減圧下でN2ガス雰
囲気下において所定の温度まで昇温速度3℃/分
で昇温し、480℃で保持しないで熱処理して本発
明におけるメソフエーズピツチを得た。 上述するようにテトラリン水素化溶剤により得
たメソフエーズピツチと比較の目的のために、水
素化溶剤として水素化アントラセン油を用いて上
述すると同様にして比較試験を行い、比較メソフ
エーズピツチを得た。 上記両メソフエーズピツチについての分析値を
表2に示す。
【表】
【表】 上記表2から、テトラリン処理の水素化ピツチ
は水素化アントラセン油処理の水素化ピツチと比
較して収率が3.3%低く、高分子成分が除去され
ていることがわかる。また、テトラリン処理の原
料ピツチに対するメソフエーズピツチ収率は水素
化アントラセン油処理のそれに比較して殆んど差
のないことがわかる。更に、テトラリン処理のメ
ソフエーズピツチはキノリン不溶分およびベンゼ
ン可溶分が少なく、偏光顕微鏡下で観察して100
%異方性よりなる非常に均質なピツチであり、ま
た紡糸試験においても長時間にわたり糸切れする
ことなく紡糸できることがわかる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 石炭系のタールピツチを水素化処理してフリ
    ーカーボンおよび高分子成分を含まない水素化ピ
    ツチを得た後、この水素化ピツチを熱処理してプ
    リカーサーピツチを製造する方法において、軟ピ
    ツチまたは中ピツチを水素化溶剤としてテトラリ
    ンを用いて400〜450℃の温度で水素化処理し、次
    いで溶剤不溶解成分および溶剤を除去した後、得
    られた水素化ピツチを不活性ガス雰囲気中470〜
    530℃の温度で熱処理してキノリン不溶分20〜40
    重量%を含む全面的に光学的異方性組織の単一相
    からなる低粘度のメンフエーズピツチを生成する
    ことを特徴とする炭素繊維用プリカーサーピツチ
    の製造方法。 2 前記水素化ピツチの熱処理において、0.1〜
    10トルの減圧下、不活性ガス雰囲気中で470〜530
    ℃の温度に到達せしめるが、実質的にこの温度で
    保持しないで熱処理する特許請求の範囲第1項記
    載の方法。
JP14215884A 1984-07-11 1984-07-11 炭素繊維用プリカーサーピッチの製造方法 Granted JPS6123686A (ja)

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JPS6123686A JPS6123686A (ja) 1986-02-01
JPH058755B2 true JPH058755B2 (ja) 1993-02-03

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ID=15308708

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JP14215884A Granted JPS6123686A (ja) 1984-07-11 1984-07-11 炭素繊維用プリカーサーピッチの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0730333B2 (ja) * 1986-06-18 1995-04-05 川崎製鉄株式会社 炭素繊維用プリカ−サ−ピツチの製造方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59164386A (ja) * 1983-03-10 1984-09-17 Kawasaki Steel Corp 炭素繊維用プリカーサーピッチの製造方法

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JPS6123686A (ja) 1986-02-01

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