JPH0730333B2 - 炭素繊維用プリカ−サ−ピツチの製造方法 - Google Patents

炭素繊維用プリカ−サ−ピツチの製造方法

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JPH0730333B2
JPH0730333B2 JP61140288A JP14028886A JPH0730333B2 JP H0730333 B2 JPH0730333 B2 JP H0730333B2 JP 61140288 A JP61140288 A JP 61140288A JP 14028886 A JP14028886 A JP 14028886A JP H0730333 B2 JPH0730333 B2 JP H0730333B2
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hydrogenation
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carbon fiber
tetralin
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幸広 大杉
史洋 三好
護 神下
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Nitto Boseki Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高性能炭素繊維を製造するために用いるプリ
カーサーピッチピッチの製造方法に関し、特にコールタ
ールピッチの水素化処理条件を規定することにより溶融
紡糸に適した低粘度のプリカーサーピッチを製造するこ
とにある。
(従来の技術) 炭素繊維の製造方法としてはポリアクリロニトリル(PA
N)などの合成繊維を原料として焼成する方法と、石油
・石炭化学工業の副産物であるタールピッチを熱改質し
てプリカーサーピッチとし、これを紡糸、不融化、炭化
する方法とに大別することができる。特に、ピッチ類を
原料として高性能炭素繊維を製造するため、原料ピッチ
を水素化する方法が数多く提案されている(特公昭45−
28013号公報、特公昭49−8634号公報)。これらの特許
において採用されている水素化処理はピッチに対して良
溶剤であり、かつ水素供与能のあるテトラヒドロキノリ
ンが用いられているが、これはコールタール中の塩基性
成分を分離、精製して得られるキノリンを水素化処理し
て製造されるものであるために入手が困難で、かつ高価
であるという欠点を有している。また、コールタール中
の重油中油類を水素化処理した水素化アントラセン油を
用いたり、この重中油と水素ガスおよび触媒を組み合せ
た水素化処理も提案されている(特開昭58−41914号、
特願昭57−147037号公報)が、水素化油の水素化度合に
より水素供与能が異なるために水素化ピッチの品質が安
定しないこと、更に、触媒が異物として混入する等の問
題を有している。
一方、本発明者らは比較的安価に入手できるテトラリン
を水素化溶剤として用いて処理する方法をすでに提案し
ている(特願昭59−44817号、同59−142158号)。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、従来の方法において水素化処理に使用さ
れるテトラリンはピッチに対して良溶剤とは言えず、こ
のためテトラリン不溶成分及び、難溶成分の水素化度合
が低くなると共に、水素化処理中に不溶性成分のコーキ
ングが発生し易く、更に後の精製工程において不溶分が
不純物と共に除去されるため収率が低くなるという問題
が残されていた。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、原料ピッチの予備処理である水素化をテトラ
リンを用いて水素化する際に、補助溶剤としてタール系
中油または重油を加えることにより、効率よくピッチの
水素化を進行することによって上記問題点を解決したも
のである。
本発明の方法を達成するためには、水素化処理条件を以
下に定める範囲より選択することが必要である。
(1) ピッチ:テトラリン=1:1.5〜1:3.5 (2) ピッチ:補助溶剤=1:0.5〜1:1.5 (3) 温度=400〜450℃ (4) 滞留時間=30〜60分 次に、このような条件下で処理されたピッチは、引き続
き処理して原料ピッチ中に元来含まれるフリーカーボ
ン、灰分などの溶剤不溶性の固形分を分離除去し、更に
溶剤を除去して精製水素化ピッチを得、これを460℃以
上の温度で加熱処理してピッチをメソフェーズ化させる
ことにより紡糸性に優れた低粘度の高性能炭素繊維用プ
リカーサーピッチを製造することができる。
本発明の方法において用いる補助溶剤としては種々の芳
香族化合物で構成されるタール系中油または重油が好ま
しく、沸点範囲で180℃〜360℃のものが適している。す
なわち、ピッチに対する溶解力の強い溶剤を用いるのが
好ましい。上述する本発明における水素化処理条件の範
囲外で水素化を行うとピッチの水素化度合の不足を生
じ、本発明の目的を達成することができない。例えば、
補助溶剤比が少ないとピッチの溶解が不足するため不溶
分が生成し、多すぎると水素化溶剤の水素化効果が低く
なる。
ピッチとテトラリンの溶剤比については、混合比が1.5
以下の場合ピッチへの水素移動が十分起こらず、逆に3.
5以上と多量に用いるのは経済的に不利であると共に、
補助溶剤の効果が減少するため好ましくない。
その他の反応条件については400℃以下または30分以下
の反応では水素化が十分起こらず、450℃以上または60
分以上の反応ではコーキング等の副反応が進みやすくな
り、安定した品質の水素化ピッチを得ることができな
い。
一方、従来のタールピッチや石炭等の水素化処理は高圧
の水素加圧下(150〜250kg/cm2)で行う必要があった
(特開昭59−155494号公報)が、本発明では水素供与性
の高いテトラリンを用いることにより反応条件下で溶剤
を液状に保つ程度の圧力(20〜80kg/cm2)で十分に水素
化を進行させることができる。
次に、本発明の方法により水素化処理して得られた水素
化ピッチ溶液を精製処理する。この精製処理は、原料ピ
ッチ中に元来存在するフリーカーボンや灰分、溶剤に対
して不溶性の高分子量成分を除去するために行う処理で
あり、濾過、遠心分離、静置分離等の公知の方法で行う
ことができる。従って、前工程で溶剤と共に水素化され
た水素化ピッチ溶液は溶剤に溶解したまま低粘度の状態
で処理すると操作しやすい。
次に、精製された水素化ピッチ溶液は溶剤を蒸発除去す
ることによりピッチ化した後、次工程の熱処理を加え
る。この熱処理は光学的に等方性の水素化ピッチを高性
能炭素繊維の製造用に適した光学的異方性のメソフェー
ズピッチにするために施すものである。この処理条件と
しては、不活性ガス雰囲気中において10mmHg以下の減圧
下、460℃以上の温度で処理する必要がある。この処理
を減圧下で行う理由はピッチ中の低分子量成分、昇華性
成分を除去するためであり、これを行なわないとプリカ
ーサーピッチ中に残存したこれらの物質が紡糸性、不融
化性および繊維とした場合の炭化特性に悪影響を及ぼ
す。また、処理温度を460℃以上とする理由は、高温に
することによりピッチの粘度を下げ、メソフェーズ生成
を円滑に進め、均質なメソフェーズピッチとするためで
ある。高粘度状態でのメソフェーズ化はピッチの流動性
が悪いために均質なメソ相を有するピッチを製造するた
めには適していない。しかし、熱処理を550℃以上の高
温下で行うと、ピッチのコークス化が急速に進むため、
これ以上の温度は不適当である。熱処理時間は、できる
だけ短時間で行うのが好ましいが、メソフェーズ生成速
度との関係で低温域で処理する場合は高温域で処理する
場合よりも長い時間が必要となる。しかし、いずれにし
てもピッチの均質性を考慮すると30分以内が好ましい。
以上のようにして処理されたピッチを、キノリン不溶分
を25〜45重量%含み、全面が光学的異方性組織から構成
されるメソフェーズピッチにすることができる。
(発明の効果) 上述するように、本発明はピッチの水素化処理におい
て、水素化溶剤としてテトラリンを用い、更に補助溶剤
を用いることによりピッチの水素化を容易にすることに
よってメソフェーズピッチの均質性が優れ、かつ低温で
紡糸が可能な高性能炭素繊維用のプリカーサーピッチを
製造することができる。
(実施例1) コールタールピッチA(このピッチAの分析値を表1に
示す)を出発原料として用いて水素化処理を行った。こ
の場合、ピッチとテトラリンおよび補助溶剤の比率を1:
1.8:0.5とし、430℃で45分間反応させた。反応中の圧力
を60kg/cm2とした。この時に用いた補助溶剤としては沸
点範囲250〜350℃のタール重油を使用した。反応終了
後、ピッチ溶液を濾過し、精製した後、350℃で蒸留し
て溶剤を除去して水素化ピッチBを得た。得られた水素
化ピッチの分析値を表1に示す。
(実施例2) コールタールピッチAに対しテトラリンを2.6重量倍、
タール系中油(沸点範囲180〜250℃)を0.5重量倍加
え、400℃で60分間反応させた。反応中の圧力を50kg/cm
2にした。このピッチ溶液を実施例1と同じ方法で精製
蒸留して水素化ピッチCを得た。得られた水素化ピッチ
Cの分析値を表1に示す。
(比較例1) コールタールピッチAに対しテトラリンを2.5倍量加
え、430℃で45分間反応させた。この時の圧力は60kg/cm
2を示した。反応後、実施例1と同じ方法で濾過したと
ころ、コークス状の固形分が処理したピッチの5%の割
合で生成した。更に、この濾液を350℃で蒸留し水素化
ピッチDを得た。得られた水素化ピッチDの分析値を表
1に示す。
(実施例3) 上記実施例1〜2および比較例1において得た表1に示
す水素化ピッチB,CおよびDを、それぞれ表2に示す熱
処理条件で処理してメソフェーズピッチE,FおよびGを
得た。得られたこれらのメソフェーズピッチE,Fおよび
Gの分析値を表2に示す。比較例1において得たメソフ
ェーズピッチGを本発明の方法により調製したメソフェ
ーズピッチEおよびFと比較すると、メソフェーズピッ
チEおよびFはいずれも低粘度を示し、水素化が十分進
んでいることがわかる。
(実施例4) 実施例3において得たメソフェーズピッチE,FおよびG
のそれぞれを、各ピッチの粘度が200ポイズを示す温度
で溶融紡糸してピッチ繊維を得、更にこれらのピッチ繊
維を空気中310℃で1時間、不融化した後、アルゴンガ
ス雰囲気中で1000℃で1時間にわたり炭化処理して炭素
繊維を得た。得られた各繊維の特性を表3に示す。
表3から、本発明の方法により得られたメソフェーズピ
ッチから物性の優れた高性能炭素繊維が得られることが
わかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神下 護 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭60−190492(JP,A) 特開 昭61−23686(JP,A) 特開 昭61−159487(JP,A) 特開 昭57−210019(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】石炭系タールピッチを水素化処理して水素
    化ピッチを得、しかる後、これを精製してフリーカーボ
    ンおよび高分子量成分を除去し、更に加熱処理を施して
    炭素繊維用プリカーサーピッチを得る方法において、上
    記水素化処理を軟ピッチまたは中ピッチに対し水素化溶
    剤としてテトラリンを用い、更に補助溶剤としてタール
    系中油または重油を用いて行うことを特徴とする炭素繊
    維用プリカーサーピッチの製造方法。
  2. 【請求項2】水素化処理条件を (1)ピッチ:テトラリン=1:1.5〜1:3.5 (2)ピッチ:補助溶剤=1:0.5〜1:1.5 (3)温度=400〜450℃ (4)滞留時間=30〜60分 の範囲とする特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】水素化ピッチを10mmHg以下の減圧下におい
    て、不活性ガスの雰囲気中、460℃以上の温度で熱処理
    を行う特許請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】熱処理して得られるプリカーサーピッチは
    キノリン不溶分を25〜45重量%含み、全面が光学的異方
    性組織からなるメソフェーズピッチで構成される特許請
    求の範囲第1項記載の方法。
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JPS60190492A (ja) * 1984-03-10 1985-09-27 Kawasaki Steel Corp 炭素繊維用プリカ−サピツチの製造方法
JPS6123686A (ja) * 1984-07-11 1986-02-01 Kawasaki Steel Corp 炭素繊維用プリカーサーピッチの製造方法
JPS61159487A (ja) * 1984-12-29 1986-07-19 Kawasaki Steel Corp 光学的異方性小球体の製造方法

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