JPH045710B2 - - Google Patents

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JPH045710B2
JPH045710B2 JP21911682A JP21911682A JPH045710B2 JP H045710 B2 JPH045710 B2 JP H045710B2 JP 21911682 A JP21911682 A JP 21911682A JP 21911682 A JP21911682 A JP 21911682A JP H045710 B2 JPH045710 B2 JP H045710B2
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JP
Japan
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pitch
weight
softening point
petroleum
fiber
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JP21911682A
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JPS58132079A (ja
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Aaru Sooran Uiriamu
Daburyuu Nyuuman Jon
Waado Kurifuoodo
Etsuchi Toriru Furanku
Daburyuu Hooru Nooman
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Ashland LLC
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Ashland Oil Inc
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Publication date
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Publication of JPH045710B2 publication Critical patent/JPH045710B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明はカーボンフアイバー製造用石油ピツチ
に関する。 カーボンフアイバー及びグラフアイトフアイバ
ー並びにそれからつくつたコンポジツトは軽量航
空機、宇宙構造物、自動車部品、、スポーツ用具
のような広汎な応用に於いて増大する用途を見出
しつつある。重量あたりの高強度比のために、こ
れらコンポジツトの用途はさらに増えることが将
来期待される。 代表的にはカーボンフアイバーまたはグラフア
イトフアイバーの製造に於ては、炭素質物質を溶
融し、慣用の紡糸技術によつて糸またはフイラメ
ントに紡糸し、その後、フイラメントをカーボン
フアイバーまたはグラフアイトフアイバーへ転化
させる。慣習的には、紡糸フイラメントは酸化雰
囲気中の熱処理によつて安定化、すなわち、不融
性となされ、その後、不活性雰囲気中でより高温
へ加熱しそれをカーボンフアイバーまたはグラフ
アイトフアイバーへ転化する。 在来の技術はカーボンフアイバーまたはグラフ
アイトフアイバーを製造するのに利用でず多くの
各種炭素質物質(ときにはフアイバー前駆体とよ
ぶ)を開示している。しかし、二つの最も顕著な
商業的方法はメソフエーズピツチあるいはポリア
クリロニトリルを採用している。このような物質
の使用により高強度グラフアイトフアイバーを製
造することができる。 カーボンフアイバーまたはグラフアイトフアイ
バーが商業的応用に於てより広く受け入れられる
には、改善されたより経済的なフアイバーが開発
されねばならない。三つの顕著な製造コストはフ
アイバーがつくられる供給原料の製造、フアイバ
ーの紡糸、及び、フアイバーの安定化とその後の
最終生成物への転化、のコスト、である。 比較的高価で構造的に高性能のグラフアイトフ
アイバーをメソフエーズピツチから製造する際に
は、最も著しいコストの一つはメソフエーズピツ
チの製造コストである。たいていの方法は通常は
慣用のピツチを昇温下で数時間にわたつて加熱す
ることを必要とする。例えば、ルイスらの米国特
許明細書第3967729号、シンガーの米国特許明細
書第4005183号、及びシユルツの米国特許明細書
第4014725号に於て、メソフエーズピツチの製造
ははじめの供給原料を長時間昇温へ加熱すること
を必要としている。明らかに、このような方法は
時間がかかりコストがかかる。また、メソフエー
ズピツチは粘度が迅速に上がり紡糸に不適当とな
るので、ある特定時間加熱することは注意を払わ
ねばならない。 ポリアクリロニトリルからのグラフアイトフア
イバーまたはカーボンフアイバーの製造またはそ
の工程に於て比較的高価な供給原料を使用する。
一般的には、ポリアクリロニトリルからのフアイ
バー製造の総コストはメソフエーズピツチからカ
ーボンフアイバーまたはグラフアイトフアイバー
を製造するコストにほぼ等しいと考えられてい
る。いずれの方法によつても、グラフアイトフア
イバーの最終コストは現在ポンドあたり15ドルか
ら50ドルである。 ポリアクリロニトリルまたはメソフエーズピツ
チからつくられる商業的フアイバーの大部分はあ
とでグラフアイトフアイバーへ転化されたフアイ
バーであつた。グラフアイト化温度のために、カ
ーボンフアイバー製造に要する温度よりもそれが
高いとしても、グラフアイトフアイバーはカーボ
ンフアイバーより製造コストがずつと高い。しか
し、グラフアイトフアイバーのある機械的強度は
一般にはカーボンフアイバーよりもすぐれてい
る。 過去に於ては、ピツチをメソフエーズ状態へま
ず転化させることなしにピツチ物質からカーボン
フアイバーを製造する試みがなされた。各種の理
由で、これらの試みは全く成功せず、現在でも、
非メソフエーズピツチ材料から中間的機械性質を
もつ低コストカーボンフアイバーを例えばアスベ
スト代替市場のためにつくる商業的に経済的な方
法は、その必要性が存在している。 フアイバー前駆体の望ましい特性と望ましくな
い特性は従来の技術に於て開示されている。例え
ば、フラーらの米国特許明細書第3959448号はコ
ールタールピツチの軟化点が上がると安定化時間
を短かくし得ることを示している。しかし、付随
する欠点が認められ、すなわち、200℃以上の軟
化点をもつコールタールピツチからフアイバーを
紡糸することはきわめて困難である。例えば、タ
ーナーらの米国特許明細書第3767741号を見られ
たい。同様に、ピツチからくつたカーボンフアイ
バーの取扱いは比較的困難である。例えば、キム
ラらの米国特許明細書第3639953号を見られたい。 オータニらの米国特許明細書第3629379号は高
真空蒸溜と組合わせた昇温下での熱処理の使用、
及び、反応活性種(パーオキサイド、ハロゲン化
金属、など)の混合物と組合わせた昇温下での加
熱処理を行なつて溶融紡糸または遠心紡糸に適し
たピツチをつくることを教えている。加熱処理工
程は約1時間であり、蒸溜工程は約3時間であ
り、すべての操作は連続式でなく回分式である。
オータニはまた脂肪鎖成分を減らして炭化中のガ
ス放散を制限することの望ましさ、及び上記引用
の反応活性種を用いて炭化用ピツチフアイバーを
つくるのに要する安定化時間を減らすことを教え
ている。 軟化点のほかに、ピツチ材料のその他の性質も
重要である。例えば、不純物及び粒状物の存在、
分子量及び分子量範囲、及び芳香族性度、であ
る。また、ピツチ材料の化学的組成は、特に炭化
前のフアイバーの安定化に関するかぎり重要であ
る。実際に、各種の添加剤及び他の技法は、迅速
かつ容易に安定化され得るピツチフアイバーを提
供するめに、ピツチ材料への添加に関して従来技
術に示されている。例えばバールらの欧州特許出
願80400136(28・01・80登録)、バールらの「カー
ボン」第16巻、439−444頁(ペンガモン プレス
社、1979年)、及びオータニの米国特許明細書第
3629379号を見られたい。 グラフアイトフアイバー製造に使用するための
メソフエーズ製造を指向した従来技術の多くのも
のの先入主と対照的に、本発明ははるかに低いコ
ストでカーボンフアイバーへ迅速に加工できかつ
アスベストが現在使用されている多くの応用に於
て使用することを可能とさせるすぐれた中間的性
質をもつ、非メソフエーズの芳香族分の多いピツ
チの製造を、本発明は指向している。 本発明の重要な目的は、容易に安定化できかつ
高強度コンポジツトの使用に適したカーボンフア
イバーを形成するよう炭化し得る高い反応をも
つ、改善された高軟化点の、すなわち、244℃
(471〓)またはそれ以上、好ましくは266℃(510
〓)またはそれ以上の軟化点の芳香族分の多い石
油誘導ピツチを提供することである。 本発明のこの目的は以下の記述と実施例から当
業熟練者にとつて明らかである。 本発明の特徴は、カーボンフアイバー製造に於
て第表に示す性質をもつ高軟化点で非メソフエ
ーズの急速安定化可能の芳香族分のピツチ材料を
調製及び利用することである。
【表】 重量%である。
本発明のもう一つの特徴は、原油蒸溜からかあ
るいは最も好ましくは石油留分の接触分解からの
芳香族性重質スラリー油の加熱分解から得られる
酸化されていない炭素質ピツチであるピツチ材料
から、上述の芳香族分の多いピツチ材料を製造す
ることである。それはさらに芳香族分の多いサー
マル石油ピツチとしてさらに特徴づけることがで
きる。本発明のピツチと必ずしも同等でない各種
ピツチの製造は既知であり、ナツシユの米国特許
明細書第2768119号、及びベルの米国特許明細書
第3140249号に示されている。これらのより慣用
的なピツチの性質は第表に於てさらによく規定
されている。 本発明のもう一つの重要な面は上述の石油ピツ
チを低分子量種の除去によつて本発明のより高い
軟化点の芳香族分の多いピツチへ転化する方法で
ある。オータニの中の前述の数多くの慣用技術を
用いることができ、例えばさきに指摘した通りの
慣用のバツチ式真空蒸溜であり、連続式の平衡フ
ラツシユ蒸溜が好ましい。このピツチをより高い
軟化点の物質へ転化する良好な方法は、モンテイ
の米国特許明細書第3348600号及びモンテイの米
国特許明細書第3349828号に於て示されるタイプ
の短滞留時間の塗布膜(wiped film)蒸発器を
使用することである。 約550以下の分子量をもつ物質の25重量%以上、
好ましくは25から50重量%、最も好ましくは45か
ら55重量%を除去することが特に好ましい。 本発明のもう一つの重要な面はケラーらの米国
特許明細書第3755525号、ハーテイングらの米国
特許明細書第3825380号、及びブンテインの米国
特許明細書第3849241号に於て開示されているメ
ルトブロー法を使用して高軟化点ピツチをフアイ
バーの連続マツトの形に加工することである。連
続フイラメントフアイバーはまた上記引用のダイ
技術を用いて製造することができる。 この技術はポリプロピレンのような重合物質へ
うまく応用されてきたが、我々は高品質のピツチ
フアイバーマツトの製造を可能とさせるメルトブ
ロー法の修正に成功したのである。 本発明はきわめて細い径、例えば約6から30ミ
クロン、より可能性のあるのは約8から20ミクロ
ン、そして最も選択的には約10から14ミクロンの
フアイバーの製造を可能とさせるものである。こ
のような直径をもつフアイバーはより太い直径の
フアイバーが適さなかつたいくつかの特殊な応用
を可能とする。 何らかの理論は束縛されたくはないが、本発明
の改良された結果は軟化点を上げ芳香族分を多く
するための処理時間が目的的にきわめて短かく保
たれる事実に基づくものと信じられている。時間
を短かく保ちピツチ材料を過度に処理しない場合
に、ピツチ中に存在するアルキル基は高軟化点ピ
ツチ製造中の熱的脱アルキル化によつて破壊され
ることなくまた除かれない。全水素のうちのアル
フア水素のパーセンテージは約20から40、より好
ましくは約25から約35、最も好ましくは約28から
約32である。全水素原子中のベーター水素のパー
センテージは約2%から15%、より好ましくは約
4%から12%、そして最も好ましくは約6%から
10%である。全水素原子中のガンマ水素原子のパ
ーセンテージは好ましくは約1%から10%、より
好ましくは約3%から9%、そして最も好ましく
は約5%から8%である。 バールらの「ピツチの温和な空気酸化中の化学
変化」[カーボン、第16巻、439−444頁(1978
年)]に於て、コールタールピツチと比べて大き
い石油ピツチの反応性は石油ピツチ中のアルキル
(メチル、エチル)側鎖の高濃度に基因すること
を認めている。本発明のピツチの軟化点がほんの
僅かの高温暴露によつて実質的に上がる方法を利
用することによつて、これらの望ましいアルキル
側鎖は保存される。その上、以下で認められる通
り、ピツチの化学的組成は、安定化速度の観点か
ら、増強される。このことはピツチの反応性を保
存しかつフアイバー安定化に要する時間を大いに
短縮させる。 本発明に於て含まれる基本的工程は以下のもの
を含む: 1 高度に芳香族質であるスラリー油から石油ピ
ツチを生成させ、このピツチを真空をフラツシ
ユ蒸溜または塗布膜蒸発にかけて、好ましくは
少くとも244℃(471〓)、より好ましくは約265
℃(510〓)またはそれ以上、そして最も好ま
しくは254℃から266℃(490〓から511〓)の軟
化点をもつ独得のピツチを、ASTM法D−
3104によるメトラー軟化点装置によつて測定し
て約77℃から122℃、好ましくは約122℃の軟化
点をもつ変性されていないサーマル石油ピツチ
を処理することによつてつくり、 2 工程1の高軟化点の芳香族成分の多いピツチ
を、好ましくは上述諸特許に記載のメルトブロ
ー法を使用することによつてピツチフアイバー
のロービングまたはマツトへ変換させ、 3 ピツチへ反応性種を添加することなく200分
以内で、より好ましくは100分以内、最も好ま
しくは約50−90分以内に、工程2に於て生成し
たピツチフアイバーのロービングまたはマツト
生成物を約180℃(356〓)から310℃(590〓)
の間の温度の酸化雰囲気中に於て、好ましくは
酸化条件下の連続式多段熱処理装置の中で安定
化させ、 4 工程3の得られた不融性ロービングまたはマ
ツトの生成物を約1000℃(1832〓)から3000℃
(5500〓)、より好ましくは約900℃から1500℃、
最も好ましくは約1000℃から1200℃の温度へ、
それらを炭化またはグラフアイト化するめにさ
らに加熱する。 出発ピツチ材料: 本発明の方法に於て用いられる出発石油ピツチ
は石油留分の接触分解に於て生成する重質スラリ
ー油から製造された芳香族ベースの酸化されてい
ない炭素質ピツチである。それはまた芳香族を高
度に含有する酸化されていないサーマル石油ピツ
チして特徴づけることができる。これらのピツチ
はその融点にきわめて近い温度に於て剛性のまま
である。この酸化されていない出発石油ピツチの
好ましい製造方法は、出発物質として、実質上す
べてのパラフインを流動接触分解に於て除去した
清澄スラリー油またはサイクル油を使用する。流
動接触分解がスラリー油またはサイクル油から実
質上すべてのパラフインを除去するほどに十分き
びしくない場合には、パラフインはフルフラール
で似て抽出せねばならない。いずれの場合に於て
も、得られる出発物質は約315℃から540℃の沸点
の高芳香族質油である。この油は約38.7℃から約
126.7℃の軟化点をもつ熱分解石油ピツチを生ず
るのに十分な時間の間、昇温昇圧下で熱分解され
る。いくつかのその他の酸化されていない石油ピ
ツチ生成物の製造は、アツシユランド石油ピツチ
240のように必ずしも使用に適しているとは考え
られないが、ナツシユの米国特許明細書第
2768119号及びベルらの米国特許明細書第3140249
号に記載されている。第表は本発明で使用する
出発物質としての用途に適した四つの酸化されて
いない市販の石油ピツチ(A(ソヒオ社製造)、B
(ソヒオ社製)、C(モービル石油製)、及びD(モ
ービル石油製))の比較性質を示している。 ピツチのアルフア及びベータ−水素: 本明細書の他の個所に於て述べる通り、アルフ
ア水素及びベータ−水素(すなわち、アルキル側
鎖)の保存は本発明の一つの特定的特色である。
上述のアルフア及びベータ−水素のパーセンテー
ジはすべての処理が完了してピツチフアイバーが
形成する後に於てもピツチ中に保存される。 アルフア及びベータ−水素の含有量は核磁気共
鳴(NMR)法によつて分析的に決定することが
できる。この方法はまた他の水素のタイプ(芳香
族的、など)の濃度も決定する。 ピツチ軟化点: 本発明の軟化点は当工業に周知の方法、好まし
くは、本発明のピツチのもつ高軟化点の見地から
ステンレス鋼製ボールとカツプ及び高温炉を使用
するよう変形したASTMNo.D−3104によつて測
定する。軟化点は好ましくは少くとも244℃、よ
り好ましくは約265℃から274℃、最も好ましくは
約254℃から266℃の範囲にある。 ピツチのキシレン不溶分: 本発明の物質のキシレン不溶分含量は約0から
約40重量%、より好ましくは約0から約35重量
%、最も好ましくは約0から32重量%の範囲にあ
らるべきである。キシレン不溶分はASTMNo.D
−3671を含めた当工業周知の方法によつて測定す
る。 ピツチのキノリン不溶分: 本発明のピツチのキノリン不溶分は約0から約
5重量%、より好ましくは約0から約1重量%、
最も好ましくは約0から約0.25重量%である。キ
ノリン不溶分は一般には触媒または遊離カーボン
あるいはメソフエーズカーボンのいずれかを示
し、できるだけキノリン不溶分含量が低いことが
好ましい。 ピツチの硫黄含量: 本発明のピツチの硫黄含量は供給原料物質の含
量によつて決定されるが、できるだけ低いことが
好ましい。約0.1から約4重量%、より好ましく
は約0.1から約3重量%、及び最も好ましくは約
0.1から約1.5重量%、の硫黄含有量を本発明の場
合使用できる。環境的考慮及びピツチからの硫黄
のガス化によつておこるフアイバー品質の崩壊か
ら低硫黄含量が望まれる。硫黄含量はASTMNo.
D−1551,D−1552またはその他の当工業周知の
他の方法によつて容易に測定される。 ピツチのコーキング値: 本発明のピツチのコーキング値は一般的には
ASTMDNo.D−2416によつて測定され、好まし
くは、ピツチ全重量を基準として約65から約90重
量%、より好ましくは約70から85重量%、最も好
ましくは約75から約85重量%の範囲にある。より
高いコーキング値ももちろんあり、コーキング値
は最終のカーボンフアイバー中に安定化及びすべ
ての他の工程が完了したのちに残るカーボンのパ
ーセントを大いに表わすものであるからである。 ピツチのメソフエーズ含量: 本発明のピツチのメソフエーズ含量は5%程度
のあるいはそれ以上に多い量も特殊の場合には許
容されるかもしれないができるだけ少ない方が好
ましい。一般的には、経済的考慮のために、約0
%から約5重量%、より好ましくは0から約1重
量量%、最も好ましくは約0から約0.25重量%の
量のメソフエーズが本発明の場合有用である。ピ
ツチのメソフエーズ含量%はキノリン不溶分によ
り、あるいは、直交偏光フイルタを使用して偏光
下の顕微鏡下に存在するメソフエーズの面積を測
定(次いで容積及び重量として計算)することに
よる光学顕微鏡法により測定できる。
【表】 本発明に於て使用する好ましい酸化されていな
い成分増強石油ピツチは、他の元素を除外して考
えて、約93重量%から約95重量%の炭素と約5重
量%から約7重量%の水素を含有している。酸
素、硫黄、及び窒素のような炭素及び水素以外の
元素は望ましくなく、約4重量%より多く存在す
べきではなく、好ましくは4%以下である。ピツ
チは加工処理の結果低濃度の硬い粒子を含有する
かもしれない。粒状物質の存在または非存在は分
析的に決定でき、これもまた全く望ましくないも
のである。好ましくは粒状物質は0.1%以下、よ
り好ましくは0.01%最も好ましくは0.001%以下
である。例えば、問題とするピツチの試料はベン
ゼン、キシレンあるいはキノリンのような芳香族
溶媒中に溶かして過することができる。400℃
までの昇温下で軟化しないフイルター媒体上の何
らかの残渣の存在(標準の毛細管融点装置によつ
て測定)は硬い粒子物質の存在を示す。適性につ
いての別の試験に於ては、問題とするピツチを特
定寸法のオリフイス中に強制的に入れる。オリフ
イスの閉塞は許容できない大粒子の存在を示す。
灰分も硬い粒子不純物を確認するのに使用でき
る。 アシユランドオイル社により記号A−240とし
て供給されているピツチは上述に諸要請を満たす
市販の酸化されていない石油ピツチである。本明
細書に於て引用しているスミスらの「石油ピツチ
の特性づけと再生性」に於てより詳細に記述され
ている。それ以下の特性をもつている。
【表】
【表】 本発明の高軟化点をもつ芳香族分の多い好まし
いピツチ材料をつくるために、第表のピツチを
軟化点を242℃(471〓)またはそれ以上へ上げ第
表に示した特性を付与するように処理する。こ
のようにしてつくつたピツチは非メソフエーズの
ピツチである。非メソフエーズが約5重量%より
少ないピツチを意味する。このようなピツチは一
般には当業に於て等方性ピツチとよばれ、例えば
あるゆる方向の軸に沿つて測定するときに同じ値
の光線透過のような物理的性質を示すピツチであ
る。 このようなピツチ材料を製造する努力に於て、
各種の方法が試みられてきた。その結果、好まし
い技法は塗布膜蒸発器を使用することを含むこと
が発見された。この技法は生成物の熱的露出時間
を減らし、従つてよ良好なフアイバー前駆体を提
供する。適当な塗布膜蒸発器はマサチユーセツツ
州ウオルサムのアーチザンインダストリー社によ
り製造され、ロートサームの商標で販売されてい
る。これは乱流フイルム(turbulant film)原理
で作動する側面の真直ぐな機械的に助けられた薄
膜処理機である。この装置の中に入る供給原料例
えばピツチ材料は遠心力によつて加熱された蒸発
器の壁へ向けて投げ出されて壁とローターの羽根
先端との間に乱流フイルムを形成する。この乱流
的に流動するフイルムは蒸発速度と無関係に全壁
面を蔽う。材料は僅か数秒間高温へ露出される。
ロートサーム塗布膜蒸発器は一般には本明細書に
於て引用しているモンテイの米国特許第3348600
号及びモンテイの米国特許第3349828号に於て示
されている。その′600も特許に於て認められるよ
うに、入口と出口の位置を各種に変えることがで
きる。事実、ロートサーム塗布膜蒸発器の実際の
操作に於ては、供給原料入口(その特許に於てNo.
18)は生成物出口であり得ることが決定された。
以下は本発明の高軟化点ピツチがいかにして生成
するかの例として役立つであろう。 一平方フイート(0.09m2)に蒸発面をもちロー
ターの羽根が壁から1/16″(1.6mm)はなれたア
ーチザンロートサーム塗布膜蒸発器を使用して、
多数の実験を行なつた。使用蒸発器は向流式の水
平型であり、すなわち、液体と蒸気は反対方向に
移動する。使用凝縮器は装置の外にあり、実験に
は機械的真空ポンプの前に一個のトラツプを設け
て2基使用した。使用した装置は必要とする温度
の達成及び維持のためにガラス繊維断熱材で以て
厳重に断熱する。使用した糸の模型を第1図に示
す。 簡単に説明すると、A−240ピツチ材料を溶融
タンク1に於て溶融する。それに先立ち、触媒微
粉を含む不純物を過して除く。配管2を通り背
圧バルブ4を経てゼニスポンプ3によつて塗布膜
蒸発器5の中にポンプで移送する。塗布膜蒸発器
5を貯槽6に入れた熱油によつて加熱し、これは
配管7を通して薄膜蒸発器へポンプで移送する。
ピツチ材料を薄膜蒸発器5の中で処理するとき、
蒸気は配管8を経て逃げ第一凝縮器及び配管10
でつないだ第二凝縮器の中で凝縮される。蒸気は
次に配管12を通つてコールドトラツプ13の中
に入り配管14を通つて出る。この系には真空ポ
ンプ15から真空を付与する。補助真空ポンプ1
6が主真空ポンプ故障の場合に準備されている。 1時間あたり15から20ポンド(6.75から9.0Kg)
のピツチ供給速度を使用し、これにより高軟化点
のピツチが毎時約10ポンド(4.5Kg)生成する。
軟化点をあげるのに要する時間は僅かに5秒から
15秒であり、用いる絶対圧力は約0.1トールから
0.5トールである。装置の温度は約377℃(710〓)
で安定化される。第表は実験記号1008、1009、
及び1010の本発明の三つの実験結果を示す。これ
らの実験は塗布膜蒸発によるものである。
【表】 実験記号1010の他のデータは次の通りであつ
た。 α水素 35.33モル% β水素 8.58モル% 安定化時間 100分 キノリン不溶分 0.5重量%内 メソフエーズ 1〜5重量%内 比較の目的で、ピツチ材料を次の方法でつく
り、実験記号は5521[A−410−VR(アシユラン
ド社内コード番号)]とした。すべての生成物は
約210℃(410〓)の軟化点をもつていた。前述の
慣用的製品A−240ピツチを1ミクロンのガラス
フアイバー織りフイルターを通して過する。約
250ポンド(112Kg)のこのピツチを慣用の真空蒸
溜器の中に入れ、次いで343−371℃(650−700
〓)へ加熱し、1トールから2トールの間へ真空
とした。第表(A)及び(B)はピツチ製造方法に関す
る追加情報と得られた性質を提供する。実験番号
5521,5522,5693及び5855は比較例である。
【表】
【表】 実験番号5522と5855(共にバツチ真空蒸溜であ
り、共に比較例)の他のデータは次の通りであつ
た。 5522 α水素 33.80モル% β及びγ水素 5.14モル% 安定化時間 約36時間 5855 α水素 34.73モル% β及びγ水素 5.47モル% 安定化時間 約36時間 この二つの比較例ではβ水素の比率が小さいの
で安定化時間が大きい。 フアイバーの処理: さらに処理することなく、この軟化点の上がつ
たピツチ(AR−510−TF(アシユランド社内コ
ード番号;第表の実験記号1009)及び第表の
実験記号1010)ブンテインらの米国特許明細書第
3615995号及びブンテインらの米国特許明細書第
3684415号に記載のタイプのメルトブロー押出機
へ供給する。これらの特許は熱可塑性物質のメル
トブローの技法を述べており、この方法において
は、溶融状のフアイバー形成性熱可塑樹脂を適当
な径の複数個のオリフイスから動いている不活性
熱ガス流の中に押出し、このガスはこの溶融物質
をフアイバーとして細くするようにオリフイスを
とりかこんでいるかその近傍にある出口から吹き
出し、これらのフアイバーが一つのフアイバー流
を形成する。不活性熱ガス流はオリフイスから出
るフイラメントと同じかあるいはそれより高い線
速度で流れ、従つてフイラメントがこのガス流に
よつて引き出されるようになる。フアイバーはそ
れの流れの通路の中の受器上に集められて不織マ
ツトを形成する。 フアイバーはA−410−VR(実験番号5521)を
用いて同様につくられる。 安定化及び炭化 フアイバーを次に以下のように安定化する。
(AR−510−TF(アシユランド社内コード番
号);実験記号1009)及び実験記号1010のピツチ
からつくつたフアイバーが特に適していることが
わかつた特殊な加熱サイクルによつて空気中でう
まく安定化される。より具体的にいえば、第2図
に示す安定化サイクルは100分以下の時間でフア
イバーを安定化するのに効果的で採用できること
が実験的に決定されたが、この時間は商業的基準
と調和する時間である。さらに具体的にいえば、
この100分サイクルはこのピツチフアイバーを前
駆体ピツチのガラス転移点(Tg)(すなわち約
180℃[356〓])より約11℃(20〓)低く約50分
間保持することから成り立つている。続いて約
200℃(392〓)へ温度を上げ、30分間その温度に
保つ。温度を次に約265℃(509〓)へ上げ、フア
イバーを10分間保持する。最後に、フアイバーを
約305℃(581〓)へ加熱し、この温度で10分間保
持する。これらのフアイバーを約1100℃(2000
〓)へ窒素雰囲気中で2時間加熱してカーボンフ
アイバーへ転化させたのちにこれらのフアイバー
の物理的性質は第表に示されている。 「酸化」環境とは、酸化雰囲気またはフアイバ
ー表面内部または表面上に含浸された酸化性物質
のいずれかを意味する。酸化雰囲気は空気、酸素
補強空気、酸素、オゾン、窒素酸化物、硫黄酸化
物、などのようなガスから成り立ち得る。含浸さ
れた酸化性物質は硫黄、窒素酸化物、硫黄酸化
物、過酸化物、過硫酸塩、などのような多数の酸
化剤のいずれでもあり得る。
【表】 A−410−VR(実験記号5521)からつくつたフ
アイバーを安定化するためには、36時間にわたる
加熱サイクルを必要とする。より具体的にいえ
ば、これらのフアイバーは約152℃(306〓)の温
度で24時間保持し、次いで301℃(574〓)へ温度
を上げ、そこで12時間保持することによつて安定
化される。温度が上がりすぎるか時間が短かい
と、フアイバーは溶融しはじめ、あとの工程中で
融着する。適切に処理されたときのフアイバーは
それを1200℃(2192〓)へ窒素雰囲気中で加熱す
ることによつて炭化される。A−410−VRから
つくつたカーボンフアイバーの物理的性質は第
表に示され、第表に示す通りAR−510−TFか
らつくつたフアイバーの性質とほぼ等しいかある
いはやや劣つている。 上記の通り、AR−510−TFあるいは他の高軟
化点のピツチ材料からつくつたフアイバーの空気
安定化に於ては、フアイバーがまずピツチ前駆体
のガラス転移点より約6から11℃(10から20〓)
低い温度へ加熱されその後約50分の時間の後に次
に299−316℃(570−600〓)へフアイバーが安定
化されるまで加熱する場合に、空気安定化がはる
かに効果的であることが発見されたのである。こ
こでいう「ガラス転移点」はガラス状物質が膨張
係数の変化を受ける温度であり、ときにはそれは
応力緩和と関連する。Tgを測定するには器械的
分析が適切な分析法である。用いる手順はピツチ
フアイバーの小部分を磨砕しそれを0.25″直径×
0.125″(6.3mm直径×3.2mm)のカツプの中に詰める
ことから成る。円錐形のプローブをその表面と接
触させ、10gの荷重をかける。プローブの侵入
を、試料を10℃/分で窒素雰囲気中で加熱すると
きの温度の関数として測定する。ガラス転移温度
より6−11℃(10−20〓)低い温度に於ては、フ
アイバーはその硬さを保ち一方同時にその温度は
満足すべき安定化がおこることを許容する最高温
度を示す。この温度はフアイバー−フアイバーの
融着がおこり得る温度より低い温度である。フア
イバーをこの温度でスキンを形成するのに十分な
時間の間加熱したのち、次に、上げた温度が酸化
されたフアイバーのガラス転移温度より低くなる
ような速度で温度を上げることができる。カーボ
ンフアイバーの酸化中にガラス転移温度が上が
り、熱上げ中にその温度をガラス転移温度より6
から11℃(10から20〓)低く保つことによつて、
フアイバーの望ましくない溶融がおこらないこと
が発見された。温度が上がると酸化速度が増し、
逆に安定化時間が短かくなる。 上記の諸表に於て認められるように、AR−
510−TFピツチフアイバーはA−410−VRフア
イバーよりもずつと短かい時間で安定化できる。
実際に、安定化に要する時間はA−410−VRピ
ツチからくつたフアイバーよりもほぼ25倍長い。
この安定化時間の短縮は一部にはピツチフアイバ
ーの軟化点上昇に基因しており、これはフアイバ
ーがずつと高い初期安定化温度へ加熱されること
を可能にするものである。また実質的部分として
はより低い軟化点のピツチ材料からの場合と比べ
て前駆体ピツチ材料物質の反応性増加に基因して
いる。 上記の通り、塗布膜蒸発器の使用は現在好まし
い方法であり、なぜならば高い熱効率が高温への
生成物の露出を減らすことが連がり、従つて粘度
がより高い分散相すなわちメソフエーズの形成を
最小化することからなるからである。このメソフ
エーズはフアイバー形成作業に於て因難をもたら
しかつ最終製品フアイバー中に組成的不連続領域
を生じさせることになるものである。 塗布膜蒸発以外の各種方法を活性の悪い影響を
及ぼすことなくピツチの軟化点を増すのに使用し
てよい。溶剤抽出、酸化、窒素により追い出し、
及びフラツシユ蒸溜、を用いてもよい。各々の簡
単ら説明をここで行なう。 高軟化点ピツチ材料をつくるのに使える一つの
方法は溶剤抽出である。三つの抽出方法が使用で
きる。それらは(1)超臨界(supercritical)抽出、
(2)慣用的抽出、(7)反溶剤抽出である。これらの方
法はピツチが受ける温度を大いに下げ、従つてよ
り良好なフアイバー前駆体を提供する。抽出は低
分子量物質を除去し従つて高軟化点高分子量のフ
アイバー前駆体を残留させる一つの方法である。 超臨界抽出に於ては、ピツチを圧力容器の中に
ポンプで送り込みそこで溶剤の臨界圧以上の圧力
で溶剤で連続的に抽出する。この目的に使用する
普通の溶剤はノルマル炭化水素であるが、それに
限定されることはない。可溶化されるピツチの部
分と一緒の溶剤を一連の圧力段階降下容器へ除去
しそこで溶剤をフラツシユさせる。ピツチの不溶
部分を反応器の底からとり出す。この不溶部分を
フアイバーの前駆体として使用する。この不溶部
の軟化点は抽出を行なう温度を変えることによつ
て調節する。 超臨界抽出の一つの利点はフアイバー前駆体ピ
ツチを精製するのに使用できることである。ピツ
チが無機質不純物及び粒状物を含むことは前に述
べた。少くとも95%のピツチを抽出する溶剤を用
いることにより無機質不純物及び粒状物はピツチ
の5%以下を構成する不溶部の中に残り得る。こ
の第一の抽出から得られるピツチの少くとも95%
を次に上述の通り超臨界的に抽出して無機質不純
物及び粒状物を含まない高軟化点ピツチ前駆体を
生じさせる。 使用できる抽出のもう一つの方法は反溶剤抽出
である。この抽出方法も無機質不純物及び粒状物
を含まないフアイバー前駆体ピツチをつくるのに
使用できる。出発ピツチをクロロホルムのような
溶剤に溶解し、これはピツチの少くとも95%を溶
解する。このピツチ/クロロホルム溶液を次に小
孔のフイルターを通して過する。この過段階
は無機質不純物と粒状物を除去する。ピツチ/ク
ロロホルム溶液を次に、ピツチに対して限定され
た溶解性をもつノルマル炭化水素のような溶剤で
以て希釈する。ノルマル炭化水素を添加すると、
不溶のピツチが沈澱しはじめる。ノルマル炭化水
素の添加完了後、溶液を過する。過によつて
除かれる不溶部分は無機質不純物及び粒状物を含
まない高軟化点フイルター前駆体ピツチである。
この不溶部分の軟化点はピツチ/クロロホルム溶
液へのノルマル炭化水素の添加量によつて調節す
る。 高軟化点フアイバー前駆体ピツチをつくるのに
用い得るもう一つの抽出方法は石油精製業者の溶
剤脱アスフアルトに於て使用されるような慣用的
溶剤抽出である。ピツチを抽出容器中で抽出溶剤
を用いて与えられた温度及び圧力に於て抽出す
る。この目的のための通常の溶剤はノルマル炭化
水素であるが、それに限定されるものではない。
可溶化されたピツチの部分と一緒の溶剤をフラツ
シユ蒸溜室へとり出しそこで溶剤を除く。ピツチ
の不溶部分を抽出器の底からとり出す。この不溶
部分の軟化点は抽出条件のきびしさを変えること
によつて調節する。 高軟化点ピツチフアイバー前駆体をつくるのに
使用することができるもう一つの方法は酸化であ
る。酸化は接触的であつても非接触的であつても
よい。ピツチを高温にかける時間はきわめて長く
それ故酸化剤の温度が高くなりすぎないよう注意
が必要である。注意をよくすればメソフエーズを
含まないピツチをつくることが可能である。酸化
は蒸溜によつて低分子量分子を除き、そして(ま
たは)それを反応させてより大きい分子を形成さ
せることによつて除く両者を含む方法である。酸
化は回分式反応か連続式反応のいずれであること
もできる。 ピツチは250−300℃の温度に於て回分式か連続
式の酸化器中で酸化される。酸化用ガスは空気、
酸素を増した空気、NO2及びSO2のようなガスの
どれでもよい。望ましくないメソフエーズの形成
を避けるために酸化器の温度が約300℃をこえな
いように注意せねばならない。この方法は望まし
さの最も小さい技法の一つであり、ピツチがかな
りの高温度へさらす時間が大でメソフエーズ形成
の危険があるからである。酸化は任意の数の酸化
触媒の添加によつて接触的に実施することができ
る。これらの触媒はFeCl3,P2O5,パーオキサイ
ド、Na2CO3,などを含む。触媒はまたフアイバ
ー安定化用触媒として作用し得るという点で別の
機能も果たし得る。安定化は単純には一つの酸化
工程である。 高軟化点フアイバー前駆体を製造するのに使用
できるもう一つの方法はピツチと硫黄との反応で
ある。硫黄はピツチの分子の脱水素し交差結合す
る点に於て酸素と全く同じ機能を果たす。硫黄は
たいていは小分子をそれを反応させることによつ
て除く。硫黄はピツチが250〜300℃へ加熱された
のちゆつくりピツチへ添加する。硫黄が添加する
とH2Sの発生があり、従つて注意が必要である。
また、温度はメソフエーズの形成を避けるために
300℃以下に調節せねばならない。この方法は望
ましさの最も小さい方法の一つであり、それはま
た、ピツチが長時間高温にさらされかつ硫黄がま
た最終生成物中に入に込むからである。 もう一つの方法はピツチを約300℃の温度に保
ちながら窒素で以てストリツピングを行なうこと
から成る。例えば、ピツチの軟化点は次の手順に
従つて窒素で以てストリツピングを行なうことに
よつて上げることができる。300回/分の攪拌機
を備えた反応器に商業的のA−240ピツチを半分
充填する。反応器及びその内容物の温度を電気加
熱マントルを使つて300℃へ上げる。窒素を攪拌
されているピツチの中に5立方フイート/時/ポ
ンド・ピツチ(631/時/Kg・ピツチ)の割合で
通す。塔頂物質を反応器頂部にある配管を通して
排気し、燃焼させる。6時間後、ピツチを反応器
からとり出し、メトラー軟化点装置(ASTM D
−3104)を使つて軟化点が約250℃であることが
測定され、変性したコンラドソンカーボン
(ASTM2416)が81.0であることが測定される。
ストリツピング用ガスとして過熱スチームで以て
この同じ方法を繰返すことができる。 高軟化点ピツチは平衡フラツシユ蒸溜がまを使
用することによつてつくることができる。このよ
うな装置に於ては、液状のA−240ピツチを予熱
帯の中にポンプで移送し、そこで供給原料をフラ
ツシユ温度へ加熱する。加熱直後、供給原料をフ
ラツシユ帯の中に入れる。この帯域は真空下の大
きくて十分加熱された容器であり、ここで揮発分
は液相から逃がされる。蒸気を凝縮させ、塔頂配
管を経て回収し、一方、液状塔底物は底の開口か
ら流出させて捕集し、カーボンフアイバー前駆体
として使用する。 変 形: 諸実施例は単に説明用であり、本発明が各種の
変形及び変更を受け易く、それらは当業熟練者に
とつては本願を一読することによつて明らかとな
ることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
第1図はアーチザンロートサーム式塗布膜蒸発
器を使用する系の模型図であり、ピツチ材料の軟
化点を上げるための短時間高温処理を行うもので
ある。第2図はピツチフアイバーの安定化操作の
温度と時間の関係を示す一例である。 1……溶融タンク、3……ゼニスポンプ、5…
…塗布膜蒸発器、6……貯槽、8……配管、10
……配管、12……配管、14……配管、15…
…真空ポンプ、16……補助真空ポンプ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 石油留分の接触分野で製造される重質スラリ
    ー油から得られる芳香族化合物に富んだ酸化され
    ていない炭素質ピツチを真空フラツシユ蒸溜また
    は塗布膜蒸発にかけて製造した石油ピツチであつ
    て、ピツチ中に存在する水素のモル数を基準とし
    て約20〜40モル%のアルフア水素及び少なくとも
    約6モル%のベータ水素を含む芳香族分の多い石
    油ピツチからなり、少なくとも244℃の軟化点、
    約15〜40重量%のキシレン不溶分、約0〜5.0重
    量%のキノリン不溶分、約0.1〜4重量%の硫黄
    含有量、65〜90重量%のコーキング値、および約
    0〜5重量%のメソフエーズを持つことからな
    る、安定化時間が短い、カーボンフアイバー製造
    用の前記石油ピツチ。 2 軟化点が少なくとも265℃であり、全水素原
    子のうちのベータ水素原子のパーセンテージが6
    〜15%、または約6〜10%である、特許請求の範
    囲第1項記載の石油ピツチ。 3 キシレン不溶分が18〜35%であり、コーキン
    グ値が75〜85重量%であり、硫黄含有量が1.6〜
    2.8%であり、キノリン不溶分が1.0%より少な
    い、特許請求の範囲第2項記載の石油ピツチ。 4 軟化点が少なくとも290℃である、特許請求
    の範囲第3項記載の石油ピツチ。
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