JPH0534393B2 - - Google Patents

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JPH0534393B2
JPH0534393B2 JP61191400A JP19140086A JPH0534393B2 JP H0534393 B2 JPH0534393 B2 JP H0534393B2 JP 61191400 A JP61191400 A JP 61191400A JP 19140086 A JP19140086 A JP 19140086A JP H0534393 B2 JPH0534393 B2 JP H0534393B2
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JP
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pitch
molecular weight
optically anisotropic
carbon
polycondensation
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JP61191400A
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JPS62161888A (ja
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Takayuki Izumi
Tsutomu Naito
Masuo Shinya
Tomio Nomura
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、高強度及び高弾性率を有する炭素繊
維及びその他の炭素材料を含む炭素材を製造する
ために適した光学的異方性炭素質ピツチの製造方
法に関するものである。更に、詳しく述べると、
本発明は、石炭又は石油からの重質のタール状又
はピツチ状物質を熱分解重縮合して炭素材用の光
学的異方性炭素質ピツチを製造する方法におい
て、少なくとも前記熱分解重縮合工程時に不活性
ガスを付与することにより、軽量で、高強度、高
弾性率の複合材料に使用される炭素繊維その他成
形炭素材料の製造に適した光学的異方性炭素質ピ
ツチを製造する製造方法に関するものである。
又、本発明に従えば、実質上、均質で、低軟化点
を有する光学的異方性炭素質ピツチが製造され
る。
今後の省エネルギー、省資源時代にとつて航空
機、自動車その他に必要な軽量且つ高強度、高弾
性率の複合材料の素材を構成する低コストの高性
能炭素繊維が、又は、加圧成形して種々の用途に
使用される高強度、高密度の成形炭素材料が強く
要望されている。
従来斬る高強度、高密度の成形炭素材料は一般
にはPAN系炭素材(炭素化されたポリアクリロ
ニトリル繊維)を使用することにより製造されて
いるが、高価であり、且つ収率が悪いという問題
を有している。最近該問題を解決するべく、石炭
又は石油からの重質のタール状又はピツチ状物質
を熱分解重縮合して炭素材用の光学的異方性炭素
質ピツチを製造する方法が提案され、多くの研究
がなされている。しかしながら未だ十分の高強
度、高密度の成形炭素材料を得るには至つていな
い。
本発明者等は、石炭又は石油からの重質のター
ル状又はピツチ状物質を熱分解重縮合して炭素材
用の光学的異方性炭素質ピツチを製造する方法を
研究する過程において、特に石炭又は石油からの
重質のタール状又はピツチ状物質等の出発原料を
熱分解重縮合する工程において重縮合物中に低分
子量物質が生成分解され、生成される炭素質ピツ
チを性状を著しく損ねることとなること、及び該
低分子量物質は少なくとも熱分解重縮合工程時に
不活性ガス特に炭素数2以上の低分子量炭化水素
を付与することにより、より少ないガス流量で且
つ短時間にて除去(脱揮)することができ、その
結果、軽量で、高強度、高弾性率の複合材料に使
用される炭素繊維その他成形炭素材料の製造に適
した光学的異方性炭素質ピツチを製造し得ること
を見出した。
本発明は斬る新規な知見に基ずくものである。
本発明の目的は、高性能の炭素繊維及び成形炭
素材料を製造するために適した溶融紡糸等の成形
を行なうことのできる低軟化点の均質で分子配向
性の優れた光学的異方性炭素質ピツチの製造方法
を提供することである。
次に、本発明に係る光学的異方性炭素質ピツチ
の製造方法について更に詳しく説明する。
本発明にて使用される出発原料は、石油および
石炭から得られる種々の油状物質又はタール状
(ピツチ状)物質とされ、炭素と水素以外に硫黄、
窒素、酸素などを含有するが、これらの元素を多
量に含有する原料の場合、熱分解重縮合反応にお
いてこれらの元素が架橋や粘度増加の要因とな
り、縮合多環芳香族平面の積層化を阻害し結果と
して低軟化点の均質な光学的異方性ピツチは得難
い。従つて目的とする光学的異方性ピツチを得る
ための原料としては、炭素と水素を主成分元素と
するタール状物質で、硫黄、窒素、酸素等の含有
量が全体で10重量%以下であることが好ましく、
特に硫黄は2重量%以下であることが好ましい。
又、原料油中に、無機質やクロロホルムに不溶な
カーボンなど固形微粒子を含む場合、これらの物
質は熱反応において生成ピツチ中に残留し、この
ピツチを溶融紡糸するとき、紡糸を阻害すること
はいうまでもなく、紡糸したピツチ繊維に固形異
物を含有し欠陥の原因となる。従つて原料中にク
ロロホルム不溶分を実質上含まないことが必要で
ある。クロロホルム不溶分を0.1重量%以上含む
ようなタール状物質は、その軟化点より50℃〜
100℃高い温度で、濾過をするとクロロホルム不
溶分は実質上含まれないものが得られる。通常こ
の濾別は、特に溶剤を用いず100℃〜200℃の温度
で容易に行なうことができる。更に本発明者らが
研究した結果、上記のように主成分の沸点が360
℃以上540℃以上のものも含有するもので実質上
クロロホルム不溶分を含有せず、更にn−ヘプタ
ン不溶分も含有せず不飽和の2成分、即ち、芳香
族油分及びレジン分のfaがいずれも0.7以上、好
ましくは0.75以上であり、該不飽和成分の2成分
の数平均分子量がいずれも1000以下、好ましくは
900以下であり、最高分子量がいずれも2000以下、
好ましくは1500以下である石油又は石炭から得ら
れるタール状物質を原料とするか、又は前記不飽
和の3成分、即ち、芳香族油分及びレジン分のfa
がいずれも0.7以上、好ましくは0.75以上であり、
数平均分子量がいずれも1000以下、好ましくは
900以下であり、且つ最高分子量がいずれも2000
以下、好ましくは1500以下であつて、アスフアル
テン分のfaが0.7以上、好ましくは0.75以上であ
り、数平均分子量が1500以下、好ましくは1000以
下、更に好ましくは900以下であり、且つ最高分
子量が4000以下、好ましくは3000以下である石油
又は石炭から得られるタール状物質を原料として
熱分解重縮合すると光学的異方性相を約80%〜約
100%更に好ましくは90%〜100%含有する実質上
均質な光学的異方性ピツチでありながら従来技術
では得難かつた極めて低い軟化点を有し、従つて
十分に低い溶融紡糸温度で紡糸できる光学的異方
性ピツチが得られることが分かつた。又、上記不
飽和成分、つまり芳香族油分、レジン分及びアス
フアルテン分を成分とした出発原料の場合でアス
フアルテン分が例えば約1重量%以下の場合のよ
うに少ない場合には特に異質なアスフアルテン分
を添加したのでなければ該アスフアルテン分の存
在自体が有効であつてその時の該アスフアルテン
分のfa、数平均分子量、及び最高分子量は必ずし
も上記の如き条件を満たす必要はないことが分か
つた。
又、上記不飽和成分の数平均分子量の下限は通
常約250であり、これより小さい数平均分子量の
芳香族油分を含有する原料も、使用しうるが、こ
のようなものは熱分解重縮合反応の際留出分が多
くなりピツチの収率が低下するから好ましくな
い。又、低軟化点で均質な光学的異方性ピツチを
得るためには不飽和3成分の数平均分子量がいず
れも上述の範囲の中に入つていることに加えて3
成分のそれぞれの数平均分子量が近接しているこ
とが好ましく、実験的に見出した法則では、芳香
族油分の数平均分子量の2倍をレジン分の数平均
分子量の値が越えないこと、およびアスフアルテ
ン分が有意に存在するときは、レジン分の数平均
分子量の2倍をアスフアルテン分の数平均分子量
が越えないことが好ましい。即ち、各成分中での
分子量分布の広がりが十分小さくても、成分間の
数平均分子量に大きな差があるときは、一部の成
分の重縮合による分子量の増大巨大化がアンバラ
ンスに進みすぎ、不均質ピツチ部分を生じるか、
又は光学的異方性均質部分を濃縮して取り出した
としても、その部分の数平均分子量および最高分
子量が大きくなりすぎて結果としてその軟化点は
高くなつてしまう傾向がある。
本発明は、限定されるものではないが、好まし
くは上記の如き2成分又は3成分を主成分とした
物質が出発原料として使用され、熱分解重縮合工
程に供せられる。
本発明に従えば、少なくとも熱分解重縮合工程
において公知の反応温度例えば350℃〜460℃、好
ましくは、380〜440℃の温度領域で炭素数2以上
の低分子量炭化水素とされる不活性ガスが付与さ
れ、生成分解された低分子量物質を除去しつつ熱
分解重縮合が行なわれる。熱分解重縮合反応の条
件(温度、時間、脱揮割合等)は広い範囲で選択
することが可能であるが、好ましくは常圧下にて
不活性ガスを流通させながら熱分解重縮合が行な
われる。
又、上述の熱分解重縮合反応工程のみで光学的
異方性ピツチを製造することもできるが、熱分解
重縮合反応工程の途中で光学的異方性相を分離す
ることも可能である。即ち、前述の熱分解重縮合
反応工程のみで行なう方法は、実質的に1つの反
応工程で熱分解重縮合だけで液晶ピツチを得るの
で初期に生成した光学的異方性相までもが反応終
了まで高温に保持され続けるので光学的異方性相
の分子量が必要以上に巨大化するという傾向があ
るが、熱分解重縮合の途中で光学的異方性ピツチ
を分離する方法では、この分子の必要以上に巨大
化することを防ぐことができ、実質的な均質な低
軟化点の光学的異方性ピツチを得るためにより好
ましい方法である。つまり、出発原料であるター
ル状物質を熱分解重縮合反応槽に導入し、350℃
〜460℃の温度で熱分解重縮合を行ない、不活性
ガスを流通して生成ピツチから低分子量分解生成
物や未反応物質を実質上除きながら、該ピツチ中
に光学的異方性相が20%〜80%含有している状態
になつたとき、この重縮合ピツチを熱分解重縮合
は起りにくく且つピツチの流体としての流動性は
十分保たれている温度領域で静置し、下層に密度
の大きい光学的異方性相部分を1つの連続相とし
て成長熟成しつつ沈積し、これを上層のより密度
の小さな相である光学的等方性ピツチから分離し
て取出す製造方法を用いるとより効果的である。
この場合において、本発明に従えば熱分解重縮合
反応は2Kg/cm2〜200Kg/cm2の加圧下で行ない、
同時に分解生成物を脱揮して、次いで光学的異方
性相が下層に沈積せしめられる。
更に詳しく説明すると、出発原料として、例え
ば上述した特性を有するタール状物質を使用し、
これを約350℃以上の温度、好ましくは、380〜
440℃で熱分解重縮合反応に供し、重縮合物中の
光学的異方性相が、20%〜80%、好ましくは30%
〜50%生成したとき、当該重合物を、約400℃以
下に保持しつつ比較的短時間静置し、又は極めて
ゆつくり流動又は撹拌しつつ下層に密度の大きい
光学的異方性相ピツチ部分を濃度高く沈積せし
め、しかる後に、光学的異方性相の濃度の大きい
下層を光学的異方性相の濃度の小さい上層とおよ
そ分離して抜き出し、分離された下層の光学的異
方性相含有率が70%〜90%であるピツチを、次に
約350℃以上、好ましくは380℃〜440℃でさらに
短時間熱処理し、光学的異方性相含有率が90%以
上更に実質上100%の一定の所望の軟化点を有す
るピツチとする方法が好適である。
前述の方法において、本発明に従えば、出発原
料としてタール状物質を熱分解重縮合反応に供す
る工程では、一般に分解生成した低分子量物質
を、液相ピツチ系外へ除去するべく、上述の如く
炭素数2以上の低分子量炭化水素とされる不活性
ガスを流通せしめることにより脱揮を伴なうが、
特に、熱分解重縮合工程のみで、80%以上の光学
的異方性相を含有するピツチを製造する場合、あ
まり高度な減圧で長時間又はあまり大きな流量の
不活性ガスの長時間流通ストリツピングを加える
と、生成ピツチの収率を低くし、且つその軟化点
を高くする傾向になる。このことは脱揮が強すぎ
ると、光学的異方性相の低分子量成分が少なくな
りすぎることによる。
又、あまりにも小さい流量の不活性ガスによる
ストリツピングを用いると分解生成物が反応系内
に長く渟留し、光学的異方性相の生成濃縮に長時
間を要し、その間に重縮合も進むので、分子量分
布が拡がりすぎて、最終的なピツチの均質性と軟
化点が悪化する傾向をもたらす。
前述の熱分解重縮合工程における不活性ガスの
流量は、原料の種類、反応容器の形状、温度、反
応時間によつて選択すべきで限定は難しいが、上
述の特性を有した原料を用いる場合、一般に380
℃〜430℃の温度では、不活性ガスの流量は試料
1Kg当り、0.5〜5l/minの範囲が適当である。
更に詳しく述べれば、350℃〜400℃の比較的低
温域で、10時間以上の反応を要するときは、不活
性ガス流通を行なうときは0.5〜3l/min/Kgが好
ましく、また410℃〜430℃の温度を用いて反応を
数時間で終るときは、不活性ガス流量は2〜5l/
min/Kgが好ましい。
又、前述の不活性ガスの流通は、ピツチ中に吹
込んでバツブリングさせてもよいが、単に液面上
を通過するように流してもよい。反応系液相を冷
却しないように、流通する不活性ガスを予備ヒー
ターで加熱することが望ましい。
又、反応液相を均一に反応せしめるために十分
な流動攪拌を行なうことが必要であることはいう
までもない。この反応液相の流動又は攪拌は、加
熱された不活性ガスの吹込み流通で行なうことも
できる。これら、上述の如く炭素数2以上の低分
子量炭化水素とされる不活性ガスは、使用する温
度において、化学反応の極めて小さいもので、且
つ蒸気圧が十分大きいものであればよく、一般的
にはエタンが使用されるがその他の低分子量炭化
水素をも使用できる。更に説明すれば、本発明に
て不活性ガスとして使用されるエタン等の有機系
の炭素数2以上の低分子量炭化水素と、従来使用
されている窒素等の無機系の不活性ガスとは、そ
れらの化学構造上の相違から異なる性能を有す
る。本発明者等は不活性ガスとして、斬るエタン
等の有機系の炭素数2以上の低分子量炭化水素を
使用することに着目したものであり、このような
不活性ガスを使用することにより、より少ないガ
ス流量で且つ短時間で低軟化点の光学的異方性ピ
ツチを高い収率で得ることができた。尚、メタン
は無機系ガスと同等の作用効果を奏するものであ
り、本発明の目的を達成するためにはエタン等の
炭素数2以上の低分子量炭化水素が好ましい。
前述の方法において、光学的異方性相が70%〜
90%に濃縮された軟化点が十分低いピツチを、更
に熱処理調整を加えて、光学的異方性相の濃度を
90%以上とし軟化点をやや上昇させ所望の軟化点
に調整する処理においては、必ずしも不活性ガス
を流通しなくてもよいが、上述の熱分解重縮合工
程と同様に不活性ガスを流通して脱揮しつつ行な
うこともできることはいうまでもない。
前述した本発明の方法に従つて、特に特定の出
発原料タール物質、すなわち不飽和成分の分子量
が十分小さく、分布が狭いもので、分子の芳香族
構造が十分発達したものを用いて製造した光学的
異方性ピツチは、必ずしも100%完全に光学的異
方性相でなくとも、紡糸工程などで実質上均質の
ピツチとして挙動し、又、光学的異方性相を80%
以上、一般に90%以上含有するにもかかわらず、
極めて低い軟化点を有し従つて、実用上、十分に
低い溶融紡糸温度が適用できるという特徴を有す
る。
本発明の方法で製造した多くの光学的異方性ピ
ツチを分析した結果、その数平均分子量は約900
〜約1500の範囲にあつて、出発原料と製法の幅で
変化するが、ほとんどは、約1000〜1100の範囲内
にあり、このようなものが光学的異方性相の含有
率も大きく、均質で軟化点も十分低いものである
ことがわかつた。
更に驚くべきことは、光学的異方性相が90%以
上更には、実質上100%の場合においても、分子
量が600以下の低分子量の物が30モル%〜60モル
%も含有されることであり、これが大きな特徴で
ある。この事実は本発明の出発原料および製法を
用いる場合に導かれる結果と考えられ、その結
果、光学的異方性相の軟化点を低くし、ピツチの
流動性成形性を向上させているものと推定され
る。
又、更に、より高分子量の成分の分布について
みると分子量が1500以上の分子が15モル%〜35モ
ル%も含有さらていることが第2の特徴である。
しかし最高分子量(高分子量側1重量%のフラク
シヨンの数平均分子量)は約30000を越えていな
いものであつて、これらも本発明の出発原料およ
び製法を用いる場合の得意な結果と考えられ、こ
れらの高分子量物はピツチ中にあつて、光学的異
方性相の配向性ならびに成形強度に寄与する骨格
成形となつていて、細く丈夫なピツチ繊維の紡糸
を可能にしているものと考えられる。
又、残余の中間の分子量成分すなわち分子量が
600〜1500に分布するものは、本発明のピツチの
場合は20モル%〜50モル%の範囲内に存在する。
以上の如き諸々の本発明に係る方法によつて製
造される光学的異方性炭素質ピツチは、前述した
方法を使用することによつて、光学的異方性相を
80%〜100%含有する十分に均質な光学的異方性
ピツチでありながら低い軟化点を有し、従来技術
では得られなかつた次の利点を得ることができ
る。すなわち、不融物の高温濾過、溶剤抽出又
は触媒の除去等の複雑でコストの高い工程を必要
とすることなく、短時間(例えば、全反応3時
間)で実質上、均質な光学的異方性相から成り、
且つ低軟化点(例えば、260℃)を有する光学的
異方性炭素質ピツチを得ることができること、従
つて炭素繊維を製造する場合には低い最適紡糸温
度(溶融紡糸装置内でピツチを溶融流動移送する
のに適した最高温度)290℃〜370℃、好ましく
は、300℃〜360℃を採用することができること、
本発明の方法により製造される光学的異方性炭
素質ピツチは、均質性が優れ、熱分解重縮合が顕
著に発生する約400℃よりはるかに低い温度で平
滑な表面を持つた太さのほとんど変らない繊維を
連続して紡糸することができるから、ピツチの紡
糸性(糸切れ頻度、糸の細さ、糸のバラツキ)が
良好であり、又、紡糸中の変質が生じないため製
品炭素繊維の品質が安定していること、実質
上、紡糸中の分解ガスの発生及び不融物の生成が
生じないから、高速紡糸が可能で且つ紡糸された
ピツチ繊維の欠陥が少なく、従つて、炭素繊維の
強度が強くなること、及び実質上、ほとんど全
体が液晶状の光学的異方性ピツチを紡糸して炭素
繊維を製造することができるから繊維軸方向の黒
鉛構造の配向性がよく発達し、弾性率の高い炭素
繊維を得ることができること、等の予期せざる効
果を奏することができる。実際に本発明に従つて
製造された光学的異方性ピツチを用いて常法に従
つて炭素繊維に調製すると極めて高強度、高弾性
の炭素繊維が安定性よく得られることがわかつ
た。即ち、本発明の方法で得た十分に均質な光学
的異方性ピツチ(光学的異方性相80%〜100%含
有)は370℃以下の温度で通常の溶融紡糸が容易
であり、糸切れ頻度が少なく、高速で引取り可能
で繊維直径が5〜10μのものも得られる。
又本発明によつて生成された光学的異方性ピツ
チから得られたピツチ繊維は酸素雰囲気中200℃
以上の温度で10分〜2時間程度にて不融化され、
この不融化処理済のピツチ繊維を1300℃まで昇温
し、炭化焼成して得た炭素繊維の特性は、繊維直
径に依存するが引張り強度2.0〜3.7×109Pa、引
張り弾性率1.5〜3.0×1011Paのものが得られ、
1500℃まで炭化焼成すると引張り強度2.0〜4.0×
109Pa、引張り弾性率2.0〜4.0×1011Paのものが
得られる。
実施例 1 石油の接触分解工程で副生する重質残油を減圧
蒸留して得た常圧に換算して沸点が約400℃以上
の釜底タール状物質を出発原料とした。
このタール状物質は、常圧に換算して沸点が約
540℃以上のものも約20容量%含み、クロロホル
ム不溶分は0.05重量%以下であり、炭素89.5重量
%、水素8.9重量%、硫黄1.5重量%から成り、組
成及び性状は表1−1(a)の如きものであつた。
本明細書でいう、原料油成分の4成分の分離
は、飯島の方法(飯島博、石油学会誌、
(8)、559(1962)によつて行つた。即ち試料2g
をn−ヘプタン60mlに溶解し、n−ヘプタン不溶
分をアスフアルテン分として分別しn−ヘプタン
可溶分を活性アルミナ75grを充填した内径2cm、
長さ70cmの温水ジヤツケト付クロマトカラム管
(カラム温度50℃)に注入し流下させn−ヘプタ
ン300mlで飽和成分を、次いでベンゼン300mlで芳
香族油分を、最後にメタノール−ベンゼンで十分
溶出してレジン分を分離した。
このタール状物質を内容積1.45lのステンレス
製反応器に1000gr.充填し、毎分2.5のエタンを
流通しながら(試料液相には吹込まず液面上へ流
す)常圧で430℃で2時間熱分解重縮合反応させ
た。
昇温は15℃/分、冷却は430℃から250℃まで約
10分間であり、昇温開始から250℃まで冷却する
間、反応系液相が均一の温度になるよう攪拌し
た。
この反応の結果の残留ピツチを調べると、収率
は24.1重量%であり、軟化点184℃のピツチであ
つた。
次にこのピツチ100gr.を200mlの円筒形ガラス
容器にとり、窒素雰囲気下で380℃で2時間静置
し、室温へ放冷後、ガラス容器を破壊してピツチ
を取り出した。
このピツチは肉眼でも上層と下層とに分離して
いることが、ピツチの光沢のちがいから認めら
れ、上層のピツチ塊と下層のピツチ塊をはく離し
て分別することができ、下層ピツチは、約27gr.
得られた。この下層ピツチを調べると軟化点は
268℃で、100%の光学的異方性相から成る炭素質
ピツチであつた。
表1−1 (実施例−1) (a) タール組成及び性状 構成 fa 数平均 最高 wt% 分子量分子量 飽和成分 31.1 − 404 − 芳香族油分 53.5 0.82 290 590 レジン分 11.4 0.83 330 800 アスフアルテン分 4.0 0.82 650 2500 比較例 1、2 実施例1と同じタール状物質を出発原料として
用い、窒素ガスを5/分流通させたこと以外す
べて実施例1と同一の条件で熱分解重縮合反応を
行なわせたところ、残留ピツチの収率は19.5重量
%であり、光学的異方性相の球晶を約45%含有す
る軟化点197℃のピツチであつた。次にこのピツ
チを実施例1と同一の条件で静置した。下層ピツ
チは、残留ピツチに対し35重量%得られ、その軟
化点は263℃で、光学的等方性相をほとんど含ま
ない。99%以上の光学的異方性相から成る炭素質
ピツチであつた(比較例1)。
又、実施例1と同じタール状物質を出発原料と
して用い、窒素ガスを2.5/分流通させたこと
以外すべて実施例1と同一の条件で熱分解重縮合
反応を行なわせたところ、残留ピツチが収率57.0
重量%で得られ、その軟化点は90℃であつた。次
にこのピツチを実施例1と同一の条件で静置し
た。下層ピツチは、残留ピツチに対し4重量%得
られ、軟化点は320℃で光学的異方性相を95%含
有するものであつた(比較例2)。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重質のタール状又はピツチ状物質を熱分解重
    縮合して炭素材用の光学的異方性炭素質ピツチを
    製造する方法において、少なくとも前記熱分解重
    縮合工程時に炭素数2以上の低分子量炭化水素を
    付与することを特徴とする炭素材を製造するため
    の光学的異方性炭素質ピツチの製造方法。 2 炭素数2以上の低分子量炭化水素は熱分解重
    縮合工程にて生成されたピツチを更に加熱調整す
    る工程にて更に付与されて成る特許請求の範囲第
    1項記載の製造方法。 3 炭素数2以上の低分子量炭化水素はピツチ中
    に吸込まれて成る特許請求の範囲第1項又は第2
    項記載の製造方法。 4 炭素数2以上の低分子量炭化水素はピツチの
    上面を通過する態様で付与されて成る特許請求の
    範囲第1項又は第2項記載の製造方法。 5 炭素数2以上の低分子量炭化水素は予備加熱
    されて成る特許請求の範囲第1項から第4項のい
    ずれかの項に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US4303631A (en) * 1980-06-26 1981-12-01 Union Carbide Corporation Process for producing carbon fibers

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