JPH0415274B2 - - Google Patents

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JPH0415274B2
JPH0415274B2 JP23163688A JP23163688A JPH0415274B2 JP H0415274 B2 JPH0415274 B2 JP H0415274B2 JP 23163688 A JP23163688 A JP 23163688A JP 23163688 A JP23163688 A JP 23163688A JP H0415274 B2 JPH0415274 B2 JP H0415274B2
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JP
Japan
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molecular weight
pitch
component
optically anisotropic
number average
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JP23163688A
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JPH02138388A (ja
Inventor
Takayuki Izumi
Tsutomu Naito
Masuo Shinya
Tomio Nomura
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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Publication of JPH02138388A publication Critical patent/JPH02138388A/ja
Publication of JPH0415274B2 publication Critical patent/JPH0415274B2/ja
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、高強度及び高弾性率を有する炭素繊
維及びその他の炭素材料を含む炭素材を製造する
ために適した光学的異方性炭素質ピツチ製造用原
料組成物に関するものである。更に、詳しく述べ
ると、本発明は、軽量で、高強度、高弾性率の複
合材料に使用される炭素繊維その他成形炭素材料
の製造に適した光学的異方性炭素質ピツチの製造
用原料として特定の組成、構造を有する液状炭化
水素混合物から成る光学的異方性炭素質ピツチ製
造用原料組成物に関するものである。 今後の省エネルギー、省資源時代にとつて航空
機、自動車その他に必要な軽量且つ高強度、高弾
性率の複合材料の素材を構成する低コストの高性
能炭素繊維が、又は、加圧成形して種々の用途に
使用される高強度、高密度の成形炭素材料が強く
要望されている。本発明は、このような高性能の
炭素繊維及び成形炭素材料を製造するために適し
た溶融紡糸等の成形を行うことのできる低軟化点
の均質で分子配向性の優れた光学的異方性炭素質
ピツチを製造するために適した原料組成物を提供
するものである。 本発明者らは先に出願した特開昭57−88016号
公報に記載するように、高性能炭素繊維を製造す
るために適した光学的異方性ピツチ組成物につい
て種々検討したところ、光学的異方性ピツチは縮
合多環芳香族の積層構造の発達した分子配向性の
良いピツチであるが、実際には種々のものが混在
し、そのうち、軟化点が低く、均質な炭素繊維の
製造に適したものは特定の化学構造と組成を有す
ること、すなわち、光学的異方性ピツチにおい
て、O成分即ちn−ヘプタン可溶成分、及びA成
分即ちn−ヘプタン不溶且ベンゼン可溶の成分の
組成、構造、分子量が極めて重要であることを見
出した。更に詳しく言えばO成分及びA成分を特
定量含有するピツチ組成物が光学的異方性ピツチ
として存在し得ることおよびその構成バランスを
適切に調整することが高性能炭素材料を実用的に
製造するための光学的異方性ピツチ組成物の必須
の条件であることを見出した。 更に又ピツチ組成物中の前記O成分及びA成分
以外の残余のベンゼン不溶成分であるキノリン可
溶成分(以下「B成分」という)と、キノリン不
溶成分(以下「C成分という)を特定することに
より、更に優れた高性能炭素材料を製造するため
の光学的異方性ピツチが提供されることが分つ
た。 更に、本発明者らは前記各成分の個々の特性お
よび当該特性を有する各成分の含有量とピツチ全
体の物性、均質性、配向性等との関係について詳
しく検討した結果各成分が特定量含有され、か
つ、各成分が特定の性状を有することが重要であ
ることを見出した。すなわち、高性能炭素繊維の
製造に必要な高配向性、均質性および低軟化点を
有し、低温で安定した溶融紡糸の可能な光学的異
方性ピツチの構成成分の性状としてはC/H原子
比、fa、数平均分子量、最高分子量(低分子量側
から99%積算した点の分子量)および最小分子量
(高分子量側から99%積算した点の分子量)が以
下に述べる如き範囲に特定されることが必要であ
ることを見出した。 O成分は、約1.3以上のC/H原子比、約0.80
以上のfaおよび約1000以下の数平均分子量および
約150以上の最小分子量を有するものであり、好
ましいC/H原子比は、約1.3〜1.6、faは、約
0.08〜約0.95であり、数平均分子量は、約250〜
約700、最小分子量は約150以上である。 また、A成分は、約1.4以上のC/H原子比、
約0.80以上のfa、約2000以下の数平均分子量およ
び約10000以下の最高分子量を有するものであり、
好ましいC/H原子比は約1.4〜約1.7、faは約
0.80〜約0.95、数平均分子量は約400〜約1000、
最高分子量は約5000以下である。 さらに、各成分の、好適な含有量は、O成分に
ついて約2重量%〜約20重量%であり、A成分に
ついて約15重量%〜約45重量%である。さらに最
適範囲については、O成分は、約5重量%〜約15
重量%であり、A成分は、約15重量%〜約35重量
%である。 すなわち、O成分のC/H原子比及びfaが前述
の範囲より大きい場合と含有率が前述の範囲より
大きい場合は、ピツチは全体として等方性の部分
をかなり含有する不均質のものとなりやすく、ま
た、平均分子量が700より大きいか、または含有
率が前述の範囲よりも小さい場合は、低軟化点の
ピツチを得ることができない。また、A成分の
C/H原子比またはfaが前述の範囲より小さい場
合、数平均分子量が前述の範囲より小さいか、ま
たは含有量が前述範囲を越える場合には、ピツチ
全体は、等方性と異方性部分の混合した不均質な
ピツチとなつてしまうことが多い。また数平均分
子量又は最高分子量が上述の範囲よりも大きい場
合、又はA成分の構成比率が上述の範囲よりも小
さい場合は、ピツチは均質な光学異方性であるが
低軟化点とはならない。 本発明者が更に検討したところ、前記O成分及
びA成分は光学的異方性ピツチ中において積層構
造中に取り込まれ、溶媒的または可塑剤的な作用
をし、主にピツチの溶融性、流動性に関与する
か、あるいはそれ自体単独では積層構造を発現し
にくく光学的異方性を示さない成分であるが、更
に残余成分でありそれ自体単独では溶融せず積層
容易な成分であるベンゼン不溶のB成分及びC成
分を前記O成分及びA成分に対しその構成成分が
特定の範囲内の構成比率でバランスよく含有さ
れ、さらに、各構成成分の化学構造特性分子量が
特定の範囲内に存在するならば一層、優れた均質
で低軟化点の高性能炭素繊維を製造するために必
要な光学的異方性ピツチが得られることも見出し
た。 すなわち、O成分を約2重量%〜約20重量%お
よびA成分を約15重量%〜約45重量%を含有し、
さらに、B成分(ベンゼン不溶キノリン可溶成
分)を約5重量%〜約40重量%およびC成分(ベ
ンゼン不溶キノリン不溶成分)を約20重量%〜約
70重量%含有し、その光学的異方性相の含有率が
体積で約90%以上であり、軟化点が約320℃以下
の光学的異方性炭素質ピツチは、一層安定した高
性能の炭素繊維を提供することができることが分
つた。 上記B成分及びC成分は高性能炭素繊維の製造
に必要な高配向性、均質性および低軟化点を有
し、低温で安定した溶融紡糸の可能な光学的異方
性ピツチの構成成分の性状としてはC/H原子
比、fa、数平均分子量、最高分子量(低分子量側
から99%積算した点の分子量)が以下に述べる如
き範囲に特定されたものである。 すなわち、B成分(ベンゼン不溶、キノリン可
溶分)は、約1.5以上のC/H原子比、約0.80以
上のfa、約2000以下の数平均分子量および約
10000以下の最高分子量を有するものであり、好
ましいC/H原子比は約1.5〜約1.9、faは約0.80
〜約0.95および数平均分子量は、約800〜約2000
であり、C成分(ベンゼン不溶キノリン不溶分)
は、約2.3以下のC/H原子比、約0.85以上のfa、
約3000以下の推定数平均分子量および30000以下
の最高分子量を有するものであり、好ましいC/
H原子比は、約1.8〜約2.3であり、faは、約0.85
〜約0.95であり、数平均分子量は約1500〜約3000
のものである。 両成分の含有量については、B成分は約5重量
%〜約55重量%であり、好ましい含有量は、約5
重量%〜約40重量%である。C成分の含有量は、
約20重量%〜約70重量%であり、好ましい含有量
は、約25重量%〜約65重量%である。 本発明者等は上記の如き特定のO成分、A成
分、B成分及びC成分の組成及び特性を有する光
学的異方性炭素質ピツチにいて更に研究、実験を
重ねた結果、このような光学的異方性炭素質ピツ
チの中でも特に、光学的異方性相を80%〜100%
の範囲内で含有し、軟化点が230℃〜320℃の範囲
内にあり、数平均分子量が約900〜約1200の範囲
にあつて分子量が600以下の分子を30モル%〜60
モル%の範囲内で含有し、分子量が1500以上の分
子を15モル%〜35モル%の範囲内で含有し、分子
量が600から1500までの範囲の分子を20モル%〜
50モル%の範囲内で含有し、最高分子量が30000
以下である場合に極めて優れた特性を有すること
を見出した。 本発明に係る原料組成物より製造された光学的
異方性炭素質ピツチは光学的異方性相の含有率も
大きく、均質で軟化点も十分低く、良好なピツチ
の流動性成形性を有するものである。 従来、高性能炭素繊維の製造のために必要な光
学的異方性炭素質ピツチの製造方法に関していく
つかの方法が提案されているが、いずれの方法に
あつても、上記説明した特定の組成、構造及び分
子量を持つたO成分、A成分、更にはB成分、C
成分を含有し且つ特異の分子量分布を有した高強
度、高弾性率の炭素材の製造に適した光学的異方
性炭素質ピツチを提供することは出来ず、更に又
これら従来の方法は、(1)原料が工業的に入手困難
である;(2)長時間の反応を必要とするか、又は複
雑な工程を必要とし、プロセスのコストが高い;
(3)光学的異方性相を100%に近づけると軟化点が
上昇し、紡糸が困難となり、一方、軟化点を抑え
ると不均質で紡糸が困難になるという種々の難点
を包蔵している。更に、詳しく説明すると、特公
昭49−8634号公報に記載されている方法は、クリ
セン、アンスラセン、テトラベンゾフエナジン等
の安価に且つ大量に入手することのできない原料
を使用するか、又は高温原油分解タールを乾留
後、高温で不融物を別するという煩雑な製造工
程を必要とし、しかも紡糸温度は420℃〜440℃の
如き高温を必要とするものである。特開昭50−
118028号公報に記載の方法は、高温原油分解ター
ルを原料とする撹拌下熱重質化に関するものであ
るが、低軟化点ピツチを得るには長時間の反応と
ピツチ中の不融物の高温における過除去を必要
とする。また、特公昭53−7533号公報に記載の方
法は、石油系タール、ピツチを塩化アルミニウム
の如きルイス酸系触媒を使用して重縮合させる方
法を開示しているが、触媒の除去およびその除去
工程の前後で熱処理工程を必要としているから、
複雑で、且つ、運転コストが大となるものであ
る。特開昭50−89635号公報に記載の方法は、光
学的等方性ピツチを原料として熱重合する際に減
圧下又は不活性ガスを液相中へ吹き込みつつ光学
的異方性相含有量が40%〜90%になるまで反応さ
せるものであり、このときキノリン不溶分および
ピリジン不溶分が光学的異方性相の含有量と等し
いピツチとなる。特開昭54−55625号公報は、光
学的異方性相が完全に100%である光学的異方性
相炭素質ピツチを開示するものであるが、軟化
点、紡糸温度がかなり高いものであり、更にその
原料については或る市販の石油ピツチを用いるこ
と以外に開示されておらず多くの種類の原料、例
えばコールタール、石油蒸留残油などからこの製
法でピツチを製造した場合は分子量が大きくなり
すぎ、不融物の生成又は軟化点及び紡糸温度の上
昇により紡糸が不可能となつてしまう。このよう
に、従来、提案されている光学的異方性炭素質ピ
ツチの製造法のなかには原料の組成又は構造を特
定しているものはなく、従つて、所定の高品質炭
素質ピツチを安定して提供することができないの
が実態である。 本発明者らは、これら先行技術の問題点に対し
て、先に出願した特開昭57−125289号公報に記載
するように、主成分の沸点が250℃から540℃の範
囲内の油状物質について、その分子量および芳香
族炭素分率faが特定のものを用いるとき、その熱
分解重縮合及びその他必要な操作を加えて安定的
に、均質な低軟化点の光学的異方性ピツチを得る
ことがでかきる新しい技術を提供した。本発明
は、この技術を更に展開し、沸点が540℃以上の
成分を少なくとも含み、好ましくは360℃〜540℃
の沸点を有した成分も含有するような、より重質
ないわゆるタール状物質を出発原料とするもので
あり、このタール状物質の非飽和成分(詳しくは
後述する)の分子量及びfaが特定のものを使用す
るとき、より収率良く、安定的に均質な低軟化点
の光学的異方性ピツチを得ることができることを
見出し、完成したものである。 前述の成分の沸点範囲の区分で360℃以上で、
540℃以上のものを含有するという区分は、一般
に石油又は石炭工業で用いられる大規模な蒸溜装
置で容易に実施できる蒸溜操作で得られる重質油
の蒸溜釜底油の沸点範囲を意味しているほか、熱
反応で収率よくピツチに変換する有効な成分の沸
点範囲を意味している。 又、従来技術のうち、特開昭54−160427、同55
−58287、同55−144087、同56−2388、及び同56
−57881号公報の開示技術は、光学的等方性ピツ
チ、又は光学的異方性相をわずかに含むピツチを
溶剤抽出によつて、光学的異方性相を形成しやす
い成分のみを濃縮する方法であるが、いずれも、
どのような出発原料を用いるかが不明である。光
学的等方性ピツチ又は光学的異方性相を含むピツ
チは、極めて多種のものがあり、これらのピツチ
の場合も出発原料の重質油の分子量分布、及び芳
香族含有率によつてその特性が支配され、ある場
合には所望のピツチを得ることができ、又ある場
合には得ることができず反覆性がない。 又、特開昭56−57881号公報に開示されている
ように、これらの方法で製造した光学的異方性ピ
ツチは、分子量分布が比較的狭いにもかかわら
ず、一般にその軟化点が多くは320℃以上と高く、
従つてそのピツチを紡糸する際の最適温度は、ピ
ツチの熱分解重縮合反応が起りうる380℃近傍又
はそれ以上となることが多く、工業的に大量にピ
ツチ繊維を生産する場合、操作上又は品質管理上
困難が生じる可能性がある。この科学的理由は、
溶剤抽出によつて分子量噴布及び芳香族構造の分
布を調整された光学的異方性ピツチは、確かに高
分子量の成分が少く含有されるように調製しうる
けれども、低分子量の成分を溶剤で除去しすぎて
しまうことによつて、生成する光学的異方性相の
中の流動性に寄与する成分が減少し、結果とし
て、光学的異方性ピツチの軟化点、紡糸温度が高
なるからである。 又、溶剤抽出を用いない熱分解重縮合のみで光
学的異方性ピツチを製造する場合において、特公
昭54−1810公報に開示されている方法などは、そ
の出発原料の分子量、構造特性は不明であるが、
大量の不活性ガスの流通で脱揮を強く促進しつつ
且つ長時間熱分解、重縮合を行なうために、生成
する光学的異方性相中の低分子量芳香族炭化水素
の含有量が少くなるために、生成する光学的異方
性相は本質上キノリン又はピリジンに不溶性とな
り、且つその軟化点及び紡糸温度は比較的高いも
のとなると考えられる。 これに対して、本発明の原料、特に、特定範囲
の分子量分布及び芳香族構造特性を有する出発原
料を用いた場合には、上述の従来技術の欠点が除
かれ、従つて、より優れた品質の炭素繊維及び黒
鉛繊維などの炭素材料が得られる特異な光学的異
方性ピツチを、安定して、収率く、低コストで製
造することができる。 即ち、本発明の主たる目的は高強度、高弾性率
の炭素繊維を製造するために適した光学的異方性
炭素質ピツチの製造用原料組成物を提供すること
である。 本発明の他の目的は十分低温度で安定した溶融
紡糸を行い得る低軟化点の、均質で分子配向性の
優れた光学的異方性炭素質ピツチの製造用原料組
成物を提供することである。 以下、本発明について詳細に説明する。 前述の通り先行技述の問題の原因のひとつは、
優れたピツチを製造するには、出発原料を選定す
ることが極めて重要であるにもかかわらずその技
術が不十分であり、熱分解重縮合反応において、
縮合多環芳香族の平面構造性の発達と分子の巨大
化のバランスがとれるような原料の選択がなされ
ていないこと、即ち分子の巨大さがあまり大きく
ならず、従つてその物理現象としては軟化点が十
分低い間に分子の平面構造性が十分発達し実質的
に均質な光学的異方性ピツチになるような原料の
選択がなされていないことによるものである。 そこで本発明者らは、実質的に均質な光学的異
方性相で且つ十分軟化点の低いピツチ、即ち、前
記説明したような特定の組成、構造及び分子量を
有するO成分、A成分、更にはB成分、C成分を
有した高強度、高弾性率の炭素材の製造に適した
光学的異方性炭素質ピツチを得るために原料の特
性と、ピツチの特性との関係について研究した。 該研究において、石油及び石炭から得られた成
分の沸点が360℃以上で且つ約540℃以上の成分も
含む種々の原料タール状物のうち、実質的にクロ
ロホルム不溶分を含有しないものはそのまま用
い、クロロホルム不溶分を含有するものはクロロ
ホルムによつて可溶な成分のみを取り出した。 次いでこれをn−ヘプタンによつてn−ヘプタ
ン不溶成分即ちアスフアルテン分と、n−ヘプタ
ン可溶成分とに分別し、更にn−ヘプタン可溶成
分はカラムクロマト分離によつて飽和成分、芳香
族油分及びレジン分に分別した。分別方法として
は、飯島の方法(飯島博、石油学会誌、(8)、
559(1962))を採用した。この分別方法は、試料
をn−ヘプタンに溶解し、n−ヘプタン不溶分を
アスフアルテン分として分別し、n−ヘプタン可
溶分を活性アルミナを充填したクロマトカラム管
に注入流下させ、n−ヘプタンで飽和成分を、次
いでベンゼンで芳香族油分を最後にメタノール−
ベンゼンで溶出してレジン分を分離することを内
容とするものである。上記飽和成分、芳香族油分
及びレジン分並びにアスフアルテン分から成る原
料油構成成分の各々の特性とそのような特性を有
する原料から製造したピツチの物性、均質性、配
向性などとの関係について詳しく研究した結果、
高性能炭素繊維製造のための高配向性で均質な低
い軟化点を有し、低温で安定した紡糸のできる光
学的異方性ピツチの原料としては、原料油の上記
構成成分の中の3成分、即ち、芳香族油分、レジ
ン分及びアスフアルテン分(以後該3成分を「非
飽和成分(原料油構成成分のうちパラフイン系炭
化水素の如き飽和成分を除いた成分)」と呼ぶ)
のfa(赤外線吸収法で測定した芳香族構造の炭素
原子の全炭素原子に対する比率)が十分に大き
く、数平均分子量(蒸気圧平衡法で測定)及びゲ
ルパーミエーシヨンクロマトグラフイーで測定し
た最高分子量(低分子量側から99wt%積算した
点の分子量)が十分小さいことが重要であること
を見出した。又、種々研究した結果、原料油の主
成分としては特に上記3成分のうち芳香族油分及
びレジン分の存在が重要であり、又各成分の含有
比率は、特に、重要でないことが分つた。上記3
成分のうちアスフアルテン分の存在は必須ではな
いが適切な特性を有するアスフアルテン分の存在
により、より高強度、高弾性率の炭素材を製造す
るに適した均質な光学的異方性炭素質ピツチを収
率よく製造し得ることも分つた。 更に又、光学的異方性炭素質ピツチを得るため
の原料油の熱分解重縮合反応は、原料重質油の熱
分解と重縮合を主反応として、ピツチ成分分子の
以学構造を変化させる反応であり、大略の反応の
方向としては、パラフイン鎖構造の切断、脱水
素、閉環、重縮合による縮合多環芳香族の平面構
造の発達であると推定され、より平面構造が発達
した分子が分子会合し、凝集して1の相を成すま
でに成長したものが光学的異方性ピツチと考えら
れる。ところが原料油中の飽和成分は、分子構造
的にも特徴が少なく熱分解重縮合反応中に熱分解
が熱重縮合よりも優勢的に起り系外に除去される
ことが多い成分であることから本発明での原料の
特定化においてこの成分はあまり重要でないこと
が分つた。すなわち全くなくてもよいし、50%程
度含有されていてもよいが極めて多いとピツチの
収率が低くなるとか、光学的異方性相の生成がお
そく反応に長時間を要するとかいつた問題があり
好ましくない。 石油および石炭から得られる種々の油状物質又
は、タール状物質は、炭素と水素以外に硫黄、窒
素、酸素などを含有するが、これらの元素を多量
に含有する原料の場合、熱反応においてこれらの
元素が架橋や粘度増加の要因となり、縮合多環芳
香族平面の積層化を阻害し結果として低軟化点の
均質な光学的異方性ピツチは得難い。従つて目的
とする光学的異方性ピツチを得るための原料とし
ては、炭素と水素を主成分元素とするタール状物
質で、硫黄、窒素、酸素等の含有量が全体で10重
量%以下であることが好ましく、特に硫黄は2重
量%以下であることが好ましい。又、原料油中
に、無機質やクロロホルムい不溶なカーボンなど
固形微粒子を含む場合、これらの物質は熱反応に
おいて生成ピツチ中に残留し、このピツチを溶融
紡糸するとき、紡糸性を阻害することはいうまで
もなく、紡糸したピツチ繊維に固形異物を含有し
欠陥の原因となる。従つて原料中にクロロホルム
不溶分を実質上含まないことが必要である。クロ
ロホルム不溶分を0.1重量%以上含むようなター
ル状物質は、その軟化点より50℃〜100℃高い温
度で、過をするとクロロホルム不溶分は実質上
含まれないものが得られる。通常この別は、特
に溶剤を用いず100℃〜200℃の温度で容易に行な
うことができることが特徴である。 更に本発明者らが研究した結果、上記のように
沸点が540℃以上の成分を少なくとも含有するも
ので実質上クロロホルム不溶分を含有せず、更に
n−ヘプタン不溶分も含有せず前記非飽和の2成
分、即ち、芳香族油分及びレジン分のfaがいずれ
も0.7以上、好ましくは0.75以上であり、該非飽
和成分の2成分の数平均分子量がいずれも1000以
下、好ましくは900以下であり、最高分子量がい
ずれも2000以下、好ましくは1500以下である石油
又は石炭から得られるタール状物質を原料とする
か、又は前記非飽和の3成分、即ち、芳香族油分
及びレジン分のfaがいずれも0.7以上、好ましく
は0.75以上であり、数平均分子量がいずれも1000
以下、好ましくは900以下であり、且つ最高分子
量がいずれも2000以下、好ましくは1500以下であ
つて、アスフアルテン分のfaが0.7以上、好まし
くは0.75以上であり、数平均分子量が1500以下、
好ましくは1000以下、更に好ましくは900以下で
あり、且つ最高分子量が4000以下、好ましくは
3000以下である石油又は石炭から得られるタール
状物質を原料として熱分解重縮合すると光学的異
方性相を約80%〜約100%更に好ましくは90%〜
100%含有する実質上均質な光学的異方性ピツチ
でありながら従来技術では得難かつた極めて低い
軟化点約230℃〜約320℃を有し、従つて十分に低
い溶融紡糸温度約290℃〜約370℃で紡糸できる光
学的異方性ピツチが得られることを確認した。 又、上記非飽和成分、つまり芳香族油分、レジ
ン分及びアスフアルテン分を成分とした出発原料
の場合でアスフアルテン分が例えば約1重量%以
下の場合のように少ない場合には特に異質なアス
フアルテン分を添加したのでなければ該アスフア
ルテン分の存在自体が有効であつてその時の該ア
スフアルテン分のfa、数平均分子量、及び最高分
子量は必ずしも上記の如き条件を満たす必要はな
い。 又、上記非飽和成分の数平均分子量の下限は通
常約250であり、これより小さい数平均分子量の
芳香族油分を含有する原料も、使用しうるが、こ
のようなものは熱反応の際留出が多くなりピツチ
の収率が低下するから好ましくない。又、低軟化
点で均質な光学的異方性ピツチを得るためには非
飽和3成分の数平均分子量がいずれも上述の範囲
の中に入つていることに加えて3成分のそれぞれ
の数平均分子量が近接していることが好ましく、
実験的に見出した法則では、芳香族油分の数平均
分子量の2倍をレジン分の数平均分子量の値が越
えないこと、およびアスフアルテン分が有意に存
在するときは、レジン分の数平均分子量の2倍を
アスフアルテン分の数平均分子量が越えないこと
が好ましい。即ち、各成分中での分子量分布の広
がりが十分小さくても、成分間の数平均分子量に
大きな差があるときは、一部の成分の重縮合によ
る分子量の増大巨大化がアンバランスに進みす
ぎ、不均質ピツチ部分を生じるか、又光学的異方
性均質部分を濃縮して取り出したとしても、その
部分の数平均分子量および最高分子量が大きくな
りすぎて結果としてその軟化点は高くなつてしま
う傾向がある。 上記の如き2成分又は3成分を主成分とした出
発原料から光学的異方性炭素質ピツチを製造する
際の熱分解重縮合等の工程としては、後述の種々
の方法が適用できる。 本発明の原料組成物から製造された光学的異方
性ピツチは、熱分解重縮合の顕著な温度より十分
に低い温度で紡糸できるので紡糸中の分解ガスの
発生が少なく、紡糸中の重質化も少なく、且つ均
質のピツチであることから高速での紡糸が可能で
ある。又この光学的異方性ピツチを常法に従つて
炭素繊維に調整すると極めて高性能の炭素繊維が
得られることがわかつた。 本発明の原料組成物から得られる光学的異方性
ピツチの特徴は、高性能炭素繊維製造用ピツチの
必要条件である(1)高配向性(光学的異方性)、(2)
均質性、(3)低い軟化点(低い溶融紡糸温度)の3
つの条件をいずれも満していることである。 本発明で使用される光学的異方性相という語句
の意味は、必ずしも学界又は種々の技術文献にお
いて統一して用いられているとは言い難いので、
本明細書では、光学的異方性相とは、ピツチ構成
成分の一つであり、常温近くで固化したピツチ塊
の断面を研摩し、反射型偏光顕微鏡で直交ニコル
下において観察したとき、試料又は直交ニコルを
回転して光揮が認められる、すなわち光学的異方
性である部分を意味し、光揮が認められない、す
なわち光学的等方性である部分を光学的等方性相
と呼ぶ。 「メソ相」にはキノリン又はピリジンに不溶な
ものとキノリン又はピリジンに可溶な成分を多く
含むものの二種類があり、本明細書の光学的異方
性相とは、主として後者の「メソ相」を意味す
る。 光学的異方性相は、光学的等方性相に比べて多
環芳香族の縮合環の平面性がより発達した化学構
造の分子が主成分で、平面に積層したかたちで凝
集、会合しており、溶融温度では一種の液晶状態
であると考えられる。従つてこれを細い口金から
押し出して紡糸するときは分子の平面が繊維軸の
方向に平行に近い配列をするために、この光学的
異方性ピツチから作つた炭素繊維は高い強度と弾
性率を示すことになる。又、光学的異方性相の定
量は、偏光顕微鏡直交ニコル下で観察、写真撮影
して光学的異方性相部分の占める面積率を測定し
て行うので、これは実質的に体積%を表わす。 ピツチの均質性に関して、本発明では前述の光
学的異方性相の測定結果が約80%〜約100%の間
にあり、ピツチ断面の顕微鏡観察で、不純物微粒
子(粒径1μ以上)を実質上検出せず、溶融紡糸
温度で揮発物にる発泡が実質上ないものが、実際
の溶融紡糸においてほとんど完全な均質性を示す
のでこのようなものを実質上均質な光学的異方性
ピツチと呼ぶ。また、光学的異方性相が70%〜80
%のものも、溶融紡糸時に実用的に十分な均質性
を持つものもあるが光学的異方性相を約30%以上
含有する実質的に不均質な光学的異方性ピツチの
場合、高粘度の光学的異方性相と低粘度の光学的
等方性相との明らかな混合物であるため、粘度の
著るしく異なるピツチ二相の混合物を紡糸するこ
とになり糸切れ頻度が多く高速紡糸がし難く、十
分細い繊維太さのものが得られず、繊維太さにも
バラツキがあり結果としての高性能の炭素繊維が
得られない。又、溶融紡糸のとき、ピツチ中に不
融性の固体微粒子や低分子量の揮発性物質を含有
すると、紡糸性が阻害されることはいうまでもな
く、紡糸したピツチ繊維に気泡や固形異物を含有
し欠陥の原因となる。 本明細書でいう、ピツチの軟化点とは、ピツチ
が固体から液体の間を転移する温度をいうが、差
動走査型熱量計を用いてピツチの融解または凝固
する潜熱の吸放出のピーク温度で測定した。この
温度はピツチ試料について、他のリングアンドボ
ール法、微量融点法などで測定したものと±10℃
の範囲で一致する。 本明細書でいう低軟化点とは、約230℃〜約320
℃の範囲の軟化点を意味する。軟化点はピツチの
溶融紡糸温度(溶融紡糸装置内でピツチを溶融流
動させる最高温度)と密接な関係があり通常の紡
糸法で紡糸する場合、一般に約60℃〜約100℃高
い温度が紡糸に適した粘度を示す温度(必らずし
も紡糸口の温度ではない)である。したがつて約
320℃より高い軟化点の場合、熱分解重縮合が起
る約380℃より高い温度で溶融紡糸するため、分
解ガスの発生及び不融物の生成により紡糸性が阻
害されることはいうまでもなく、紡糸したピツチ
繊維に気泡や固形異物を含有し欠陥の原因とな
る。又、一方230℃以下の低い軟化点の場合、不
融化処理温度が、200℃以下というような低温で
長時間処理が必要になるとか複雑で高価な処理が
必要となり好ましくない。 ここで、本明細書にて使用する「fa」、「数平均
分子量」及び「最高分子量」の語句の意味につい
て更に詳しく説明する。 本明細書でいうfaは炭素と水素の含有率分析と
赤外線吸収法とから測定した芳香族構造の炭素原
子の全炭素原子に対する比率を表わす。分子の平
面構造性は縮合多環芳香族の大きさ、ナフテン環
の数、側鎖の数と長さなどにより決まるから、分
子の平面構造性はfaを指標として考察することが
できる。即ち縮合多環芳香族が大きいほど、ナフ
テン環の数が少ないほどパラフイン側鎖の数が少
ないほど、側鎖の長さが短かいほどfaは大きくな
る。従つてfaが大きいほど分子の平面構造性が大
きいことを意味する。faの測定計算方法は加藤の
方法(加藤ら、燃料協会誌55,244(1976))によ
つて行なつた。又本明細書でいう数平均分子量は
クロロホルムを溶媒として蒸気圧平衡法で測定し
た値を表わす。分子量分布は同一系統の試料をク
ロロホルムを溶媒としたゲルパーミエーシヨンク
ロマトグラフイーで10個に分取し、分取したそれ
ぞれの数平均分子量を蒸気圧平衡法で測定し、こ
れを標準物質の分子量として検量線を作成し分子
量分布を測定した。最高分子量はゲルパーミエー
シヨンクロマトグラフにより測定した分子量分布
の低分子量側から99重量%積算した点の分子量を
表わす。 ピツチ成分の分子量測定は、ピツチにはクロロ
ホルム不溶分を含むので、このままでは、前述の
分子量測定は不可能である。ピツチ試料の分子量
測定は、まず前述のO成分、A成分、B成分及び
C成分について溶剤分別分析を行ないO成分及び
A成分についてはそのままクロロホルム溶媒に溶
解し、B成分及びC成分については、予め、金属
リチウムとエチレンジアミンを用いて温和な水添
反応を加え、分子量をほとんど変えずにクロロホ
ルムに可溶な物質に変化させる(この方法は、文
献フユーエル(Fuel)41,67〜69(1962)の記載
に従つた)。これをクロロホルム溶媒に溶解して、
前述の蒸気圧平衡法による数平均分子量の測定、
その系統のピツチのゲルパーミエーシヨンクロマ
トグラフ検量線の作成、分子量分布図の測定を行
なう。 ピツチ全体の総合的な分子量分布および数平均
分子量の計算は、上述のO成分、A成分、B成
分、C成分の各成分の含有率と、それぞれの分子
量分布データから計算することが容易である。 非飽和成分の3成分、芳香族油分、レジン分、
アスフアルテン分ではその特性値であるfa、数平
均分子量および最高分子量は、いずれも芳香族油
分<レジン分<アスフアルテン分の順に大きくな
るのが一般的である。即ち一般的な原料油では、
芳香族油分は非飽和成分の3成分中、分子の平面
構造性と分子の巨大さ(数平均分子量、最高分子
量)の最も小さい成分で、レジン分は芳香族油分
とアスフアルテンの間の分子の平面構造性と分子
の巨大さを有する成分で、アスフアルテン分は非
飽和成分の3成分中、分子の平面構造性と分子の
巨大さの最も大きい成分であるが、場合によつて
上述の序列が逆になるものもある。 高性能炭素繊維製造用ピツチの配向性、均質性
(あるいは相溶性)および軟化点とピツチの分子
構造との関係について次に説明する。 ピツチの配向性は、分子の平面構造性およびあ
る温度での液体流動性に関係がある。即ち、ピツ
チ分子の平面構造性が十分大きく且つ溶融紡糸の
とき繊維軸の方向に分子の平面が再配列するため
に必要な十分大きい液体流動性をもつことが高配
向性ピツチの必要条件である。 この分子の平面構造性は、縮合多環芳香族が大
きいほど、ナフテン環が少ないほど、パラフイン
側鎖の数が少ないほど、側鎖の長さが短かいほど
大きいから、faを指標として考察することができ
る。faが大きいほどピツチ分子の平面構造性が大
きくなると考えられる。 ある温度での液体流動性は、分子間、原子間の
相互運動の自由度により決まることから、分子の
巨大さすなわち数平均分子量及び分子量分布(特
に最高分子量の影響が大であると考えられる)を
指標として評価することができる。即ちfaが同じ
ならば、分子量、最高分子量が小さいほどある温
度での液体流動性は大きくなると考えることがで
きる。従つて高配向性ピツチとしてはfaが十分大
きく、数平均分子量、最高分子量が十分小さく、
且つ比較的低分子量の分布が十分に存在すること
が重要である。 ピツチの均質性(あるいはピツチ成分の相溶
性)はピツチ分子の化学構造の類似性およびある
温度での液体流動性と関係がある。従つて配向性
の場合と同じく化学構造の類似性は分子の平面構
造性で代表させfaが指標として、また、液体流動
性は数平均分子量および最高分子量を指標として
評価することができる。即ち、均質なピツチとし
ては、ピツチ構成分子間のfaの差が十分小さく、
且つ数平均分子量、最高分子量が十分小さいこと
が重要であり、光学的異方性相と等方性相の組成
構造が、十分に類似していることが重要である。 軟化点は、ピツチの固体から液体の間を転移す
る温度を意味することから、ある温度での液体流
動性を支配する分子間の相互運動の自由度と関係
があり、分子の巨大さ即ち数平均分子量、分子量
分布(特に最高分子量の影響が大であると考えら
れる)を指標として評価することができる。即
ち、低い軟化点、従つて低い溶融紡糸温度を有す
るピツチとしては、数平均分子量、最高分子量が
十分小さいことおよび、比較的低分子量の分布が
十分に存在することが重要である。 次に、原料の分子構造の特性とピツチの配向
性、均質性(あるいは相溶性)及び軟化点との関
係について説明すると、原料物質の熱分解重縮合
により、目的とする光学的異方性ピツチを製造す
る際、最も重要なことは、縮合多環芳香族の分子
の平面構造性と分子の巨大さのバランスが反応中
保たれていることである。即ち熱反応が進行し、
光学的異方性相が生成し、これが更に成長し、均
質な光学的異方性ピツチになる過程において生成
ピツチ全体の平面構造性と液体流動性が十分保た
れていることである。即ち、熱反応が進んで芳香
族平面構造が十分発達した時点で数平均分子量も
最高分子量もまだあまり大きくなつていないこと
が必要である。従つてこのためには出発原料の非
飽和成分の分子の平面構造性すなわちfaが十分大
きく、それと相対的に数平均分子量、最高分子量
が十分小さいことが重要であることが推定され
る。このような考察に基づいて我々は540℃以上
の沸点を有する成分を少なくとも含有するような
種々のタール状物質についてその組成構造と熱反
応条件と生成ピツチの特性について鋭意研究した
結果、原料の非飽和成分、つまり原料の非飽和成
分の3成分、即ち、芳香族油分及びレジン分のfa
がいずれも0.7以上好ましくは0.75以上であり数
平均分子量がいづれも1000以下、好ましくは900
以下であり、且つ最高分子量がいづれも2000以
下、好ましくは1500以下であつて、アスフアルテ
ン分のfaが0.7以上、好ましくは0.75以上であり、
数平均分子量が1500以下、好ましくは1000以下、
更に好ましくは900以下であり、且つ最高分子量
が4000以下好ましくは3000以下である場合、非飽
和構成成分のそれぞれのfaが大きく、且つ、非飽
和構成成分のそれぞれの数平均分子量と最高分子
量が十分小さく、従つて分子の平面構造性と分子
の液体流動性がバランスしているため、熱反応に
よつて均質な低軟化点の光学的異方性ピツチが得
られることを発見し本発明を完成した。 更に詳しく説明すると、非飽和成分の中の芳香
族油分及びレジン分は、該2成分の数平均分子量
がいずれも1000以下で、最高分子量がいずれも
2000以下であつても、2成分の全部或はいずれか
の成分のfaが0.7未満である場合、分子の平面構
造性と分子の液体流動性がバランスを失している
ため、熱反応によつて分子の平面構造性が十分発
達し実質的に均質な光学的異方性ピツチになる前
に分子の巨大化が進み生成ピツチが高分子量にな
り、さらに反応を進めて実質的に均質な光学的異
方性ピツチになつた時には、高軟化点(320℃以
上)となり、従つて均質な低軟化点の光学的異方
性ピツチは得られない。 又原料の非飽和成分の前記2成分、つまり芳香
族油分及びレジン分のfaが0.7以上であつても該
2成分の全部或はいずれか1つの成分の数平均分
子量が1000以上、或いは最高分子量が2000以上の
場合、熱反応によつて非常に高分子量の成分を容
易に生成し、著しく不均質なピツチとなるか、又
は生成ピツチの液体流動性を小さくするため、実
質的に均質な光学的異方性ピツチができたとして
も高軟化点(320℃以上)となり、従つて均質な
低軟化点のピツチは得られない。 又、同様に非飽和成分である、芳香族油分、レ
ジン分及びアスフアルテン分を有した3成分系の
出発原料油の場合にも前述のようにアスフアルテ
ン分が極めて少量である場合を除いて、非飽和成
分の前述の2成分の数平均分子量がいずれも1000
以下、最高分子量が2000以下であり、アスフアル
テン分の数平均分子量が1500以下、最高分子量が
4000以下であつても、非飽和成分の3成分の全部
あるいはいずれか1つの成分のfaが0.7未満であ
る場合、分子の平面構造性と分子の液体流動性が
バランスを失しているため、熱反応によつて分子
の平面構造性が十分発達し実質的に均質な光学的
異方性ピツチになる前に分子の巨大化が進み生成
ピツチが高分子量になり、さらに反応を進めて実
質的に均質な光学的異方性ピツチになつた時に
は、高軟化点(320℃以上)となり、従つて均質
な低軟化点の光学的異方性ピツチは得られない。
又、原料の非飽和成分の3成分のfaが0.7以上で
あつても、非飽和成分の芳香族油分及びレジン分
の2成分の全部或いはいずれか1つの成分の数平
均分子量が1000を超え、あるいは最高分子量が
2000を超え又、アスフアルテン数平均分子量が
2000を、最高分子量が4000を超える場合、特に
5000以上の場合、熱反応によつて更に高分子量の
成分を容易に生成し、生成ピツチの液体流動性を
小さくするため、実質的に均質な光学的異方性ピ
ツチができたとしても高軟化点(320℃以上)と
なり、従つて均質な低軟化点のピツチは得られな
い。 以上を詳述した、従来開示されていない独特の
特性を有する本願発明に係るタール状物質を出発
原料とすれば、種々の方法にて炭素材用の光学的
異方性ピツチを製造することができる。即ち、光
学的異方性ピツチを製造するための熱分解重縮合
工程において380℃〜460℃、好ましくは、400〜
440℃の温度領域で、常圧下で不活性ガスの流通
下(あるいはパブリング下)で低分子量の物質を
除去しつつ熱分解重縮合を行う方法、常圧下で不
活性ガスを流通せずに熱分解重縮合し、その後減
圧蒸溜又は不活性ガスで脱揮しつつ加熱処理で低
分子量の物質を除去する方法、或は加圧下で熱分
解重縮合し、その後減圧蒸溜又は不活性ガスによ
り脱揮しつつ加熱処理する方法等いずれの方法も
本発明の目的に適する。即ち本発明の出発原料を
用いると熱分解重縮合反応の条件(温度、時間、
脱揮割合等)を広い範囲で選択することが容易で
あり、適確に均質な低軟化点の光学的異方性ピツ
チを得ることが可能である。しかし、上記のうち
最も好ましい方法は、常圧下で不活性ガスを流通
させながら熱分解重縮合を、行なう方法である。 又上述の熱分解重縮合反応工程のみで光学的異
方性ピツチを製造する方法の他に、熱分解重縮合
反応工程の途中で光学的異方性相を分離する方法
が本発明の目的に適する方法である。 即ち、前述の熱分解重縮合反応工程のみで行う
方法は、実質的に1つの反応工程で熱分解重縮合
だけで液晶ピツチを得るので初期に生成した光学
的異方性相までもが反応終了まで高温に保持され
続けるので光学的異方性相の分子量が必要以上に
巨大化するという傾向があり、本発明の原料系を
用いてもピツチの軟化点が比較的高目になる傾向
があるが、熱分解重縮合の途中で光学的異方性ピ
ツチを分離する方法では、この分子の必要以上に
巨大化することを防ぐことができ、実質的に均質
な低軟化点の光学的異方性ピツチを得るためによ
り好ましい方法である。即ち、出発原料として本
発明の特性を有するタール状物質を熱分解重縮合
反応槽に導入し、380℃〜460℃の温度で熱分解重
縮合を行ない、生成ピツチ(低分子量分解生成物
や未反応物質を実質上除いた)の中に光学的異方
性相が20%〜70%含有している状態になつたと
き、この重縮合ピツチを熱分解重縮合は起りにく
く且つピツチの流体としての流動性は十分保たれ
ている温度領域350〜400℃で30分から2時間静置
し、下層に密度の大きい光学的異方性相部分を1
つの連続相として成長熟成しつつ沈積し、これを
上層のより密度の小さな相である光学的等方性ピ
ツチから分離して取出す製造方法を用いるとより
効果的である。この場合においても、熱分解重縮
合反応は2Kg/cm2〜200Kg/cm2の加圧下で行ない、
その後分解生成物を脱揮して、次いで光学的異方
性相を下層に沈積せしめる方法が好ましいもので
ある。 又、本発明に係る上記特性を有するタール状物
質を出発原料として、該タール状物質の熱分解重
縮合により、部分的に光学的異方性相を生成せし
めた後、光学的異方性相をそれ以上分子量を増大
させることの少ない温度でおよそ沈積せしめて分
離し、光学的異方性相が濃縮されたピツチを得
て、その後これを短時間熱処理して光学的異方性
相を90%以上含有し、所望の軟化点を有するピツ
チに仕上げて製造する方法がさらに好適である。 すなわち、出発原料として、本発明の特性を有
するタール状物質を使用し、これを約380℃以上
の温度、好ましくは400℃〜440℃で熱分解重縮合
反応に供し、重縮合物中の光学的異方性相が、20
%〜70%、好ましくは30%〜50%生成したとき、
当該重合物を、約400℃以下、好ましくは360℃〜
380℃に保持しつつ比較的短時間5分間〜1時間
程度静置し、又は極めてゆつくり流動又は撹拌し
つつ下層に密度の大きい光学的異方性相ピツチ部
分を濃度高く沈積せしめ、しかる後、光学的異方
性相の濃度の大きい下層を光学的異方性相の濃度
の小さい上層とおよそ分離して抜き出し、分離さ
れた下層の光学的異方性相含有率が70%〜90%で
あるピツチを、次に約380℃以上、好ましくは390
℃〜440℃でさらに短時間熱処理し、光学的異方
性相含有率が90%以上更には実質上100%の一定
の所望の軟化点を有するピツチとする方法が好適
である。 前述の方法において、出発原料としてタール状
物質を熱分解重縮合反応に供する工程では、一般
に分解生成した低分子量物質を、液相ピツチ系外
へ除去する脱揮を伴なうが、特に、熱分解重縮合
工程のみで、80%以上の光学的異方性相を含有す
るピツチを製造する場合、あまり高度な減圧で長
時間又はあまり大きな流量の不活性ガスの長時間
流通ストリツピングを加えると、生成ピツチの収
率を低くし、且つその軟化点を高くする傾向にな
る。このことは脱揮が強すぎると、光学的異方性
相の低分子量成分が少くなりすぎることによる。 又、一方、あまりにも少ない減圧度、又はあま
りにも小さい流量の不活性ガスによるストリツピ
ングを用いると分解生成物が反応系内に長く滞留
し、光学的異方性相の生成濃縮に長時間を要し、
その間に重縮合も進むので、分子量分布が拡がり
すぎて、最終的なピツチの均質性と軟化点が悪化
する傾向をもたらす。 前述の熱分解重縮合工程における減圧度又は、
不活性ガスの流量は、原料の種類、反応容器の形
状、温度、反応時間によつて選択すべきで限定は
難しいが、本発明の原料を用いる場合、380℃〜
430℃の温度では、減圧で行なうときには、最終
真空度1〜50mmHgが適当であり、不活性ガス流
通を用いるときは、試料1Kg当り、0.5〜5/
minの範囲が適当である。 更に詳しく述べれば、380℃〜400℃の比較的低
温域で、10時間以上の反応を要するときは、減圧
で行なう場合、最終真空度3〜50mmHg、また不
活性ガス流通を行なうときは0.5〜3/min/
Kgが好ましく、また410℃〜430℃の温度を用いて
反応を数時間で終るときは、減圧法では、最終真
空度が1〜20mmHg、不活性ガス流通法では2〜
5/min/Kgの流量が好ましい。 又、前述の不活性ガスの流通は、ピツチ中に吹
込んでバツブリングさせてもよいが、単に液面上
を通過するように流してもよい。反応系液相を冷
却しないように、流通する不活性ガスを予備ヒー
ターで加熱することが望ましい。 又、反応液相を均一に反応せしめるために十分
な流動撹拌を行なうことが必要であることはいう
までもない。この反応液相の流動又は撹拌は、加
熱された不活性ガスの吹込み流通で行なうことも
できる。これら不活性ガスは、使用する温度にお
いて、化学反応性の極めて小さいもので、且つ蒸
気圧で十分大きいものであればよく、一般的なア
ルゴン、窒素などの他スチーム、炭酸ガス、メタ
ン、エタンあるいはその他の低分子量炭化水素な
どが使用できる。 前述の方法において、光学的異方性相が70%〜
90%に濃縮された軟化点が十分低いピツチを、更
に熱処理調整を加えて、光学的異方性相の濃度を
90%以上として軟化点をやゝ上昇させ所望の軟化
点に調整する処理においては、必らずしも不活性
ガスを流通しなくてもよいが、上の熱分解重縮合
工程と同様に不活性ガスを流通して脱揮しつつ行
なうこともできることはいうまでもない。 前述した本発明の特定の出発原料タール物質、
すなわち非飽和成分の分子量が十分小さく、分布
が狭いもので、分子の芳香族構造が十分発達した
ものを用いて製造した光学的異方性ピツチは必ず
しも100%完全に光学的異方性相でなくとも、紡
糸工程などで実質上均質のピツチとして挙動し、
又、光学的異方性相を80%以上、一般に90%以上
含有するにもかかわらず、極めて低い軟化点を有
し、従つて、実用上、十分に低い溶融紡糸温度が
適用できるという特徴を有する。この本発明の特
定の出発原料から製造した光学的異方性ピツチ
は、先に出願した特開昭57−88016号公報に記載
したピツチ物質のO成分、A成分、B成分及びC
成分の組成、特性を有するものであり、又その特
異な分子量分布が認められた。 即ち、本発明の出発原料から製造した多くの光
学的異方性ピツチを分析した結果、その数平均分
子量は約900〜約1500の範囲にあつて、出発原料
と製法の巾で変化するが、ほとんどは、約1000〜
1100の範囲内にあり、このようなものが光学的異
方性相の含有率も大きく、均質で軟化点も十分低
いものであることがわかつた。 更に驚くべきことは、光学的異方性相が90%以
上更には、実質上100%の場合合においても、分
子量が600以下の低分子量の物が30モル%〜60モ
ル%も含有されることであり、これが大きな特徴
である。この事実は本発明の出発原料を用いる場
合に導かれる結果と考えられ、その結果、光学的
異方性相の軟化点を低くし、ピツチの流動性成形
性を向上させているものと推定される。 又、更に、より高分子量の成分の分布について
みると分子量が1500以上の分子が15モル%〜35モ
ル%も含有されていることが第2の特徴である。
しかし最高分子量(高分子量側1重量%のフラク
シヨンの数平均分子量)は約30000を越えていな
いものであつて、これらも本発明の出発原料を用
いる場合の特異な結果と考えられ、これらの高分
子量物はピツチ中にあつて、光学的異方性相の配
向性ならびに成形強度に寄与する骨格成分となつ
ていて、細く丈夫なピツチ繊維の紡糸を可能にし
ているものと考えられる。 また、残余の中間の分子量成分すなわち分子量
が600〜1500に分布するものは、本発明の出発原
料から製造されるピツチの場合は20モル%〜50モ
ル%の範囲内に存在する。 以上の如き諸々の本発明に係る出発原料から製
造される光学的異方性炭素質ピツチは、前述した
如き原料を使用することによつて、光学的異方性
相を80%〜100%含有する十分に均質な光学的異
方性ピツチでありながら低い軟化点を有し、従来
技術では得られなかつた次の利点を得ることがで
きる。すなわち、不融物の高温濾過、溶剤抽出
又は触媒の除去等の複雑でコストの高い工程を必
要とすることなく、短時間(例えば、全反応3時
間)で実質上、均質な光学的異方性相から成り、
且つ低軟化点(例えば、260℃)を有する光学的
異方性炭素質ピツチを得ることができること、従
つて炭素繊維を製造する場合には低い最適紡糸温
度(溶融紡糸装置内でピツチを溶融流動移送する
のに適した最高温度)290℃〜370℃、好ましく
は、300℃〜360℃を採用することができること、
本発明の原料により製造される光学的異方性炭
素質ピツチは、均質性が優れ、熱分解重縮合が顕
著に発生する約400℃よりはるかに低い温度で平
滑な表面を持つた太さのほとんど変らない繊維を
連続して紡糸することができるから、ピツチの紡
糸性(糸切れ頻度、糸の細さ、糸のバラツキ)が
良好であり、又、紡糸中の変質が生じないため製
品炭素繊維の品質が安定していること、実質
上、紡糸中の分解ガスの発生及び不融物の生成が
生じないから、高速紡糸が可能で且つ紡糸された
ピツチ繊維の欠陥が少なく、従つて、炭素繊維の
強度が強くなること、及び実質上、ほとんど全
体が液晶状の光学的異方性ピツチを紡糸して炭素
繊維を製造することができるから繊維軸方向の黒
鉛構造の配向性がよく発達し、弾性率の高い炭素
繊維を得ることができること、等の予期せざる効
果を奏することができる。実際に本発明に従つて
製造された光学的異方性ピツチを用いて常法に従
つて炭素繊維に調整すると極めて高強度、高弾性
の炭素繊維が安定性よく得られることがわかつ
た。即ち、本発明の原料から得た十分に均質な光
学的異方性ピツチ(光学的異方性相80%〜100%
含有)は370℃以下の温度で通常の溶融紡糸が容
易であり、糸切れ頻度が少なく、高速で引取り可
能で繊維直径が5〜10μのものも得られる。 又本発明の原料から生成された光学的異方性ピ
ツチから得られたピツチ繊維は酸素雰囲気中200
℃以上の温度で10分〜2時間程度にて不融化さ
れ、この不融化処理済のピツチ繊維を1300℃まで
昇温し、炭化焼成して得た炭素繊維の特性は、繊
維直径に依存するが、引張り強度2.0〜3.7×
109Pa、引張り弾性率1.5〜3.0×1011Paのものが
得られ、1500℃まで炭化焼成すると引張り強度
2.0〜4.0×109Pa、引張り弾性率2.0〜4.0×1011Pa
のものが得られる。 実施例 1 石油の接触分解工程で副生する重質残油を減圧
蒸溜して得た常圧に換算して沸点が約400℃以上
の釜底タール状物質を出発原料とした。 このタール状物質は、常圧に換算して沸点が
540℃以上のものも約20容量%含み、クロロホル
ム不溶分は0.05重量%以下であり、炭素89.5重量
%、水素8.9重量%、硫黄1.5重量%から成り、組
成及び性状は表1−1(a)の如きものであつた。 本明細書でいう、原料油成分の4成分の分離
は、飯島の方法(飯島博、石油学会誌、,(8),
559(1962))によつて行つた。即ち誌料2gをn
−ヘプタン60mlに溶解し、n−ヘプタン不溶分を
アスフアルテン分として分別し、n−ヘプタン可
溶分を活性アルミナ75grを充填した内径2cm、長
さ70cmの温水ジヤケツト付クロマトカラム管(カ
ラム温度50℃)に注入し流下させn−ヘプタン
300mlで飽和成分を、次いでベンゼン300mlで芳香
族油分を、最後にメタノール−ベンゼンで十分溶
出してレジン分を分離した。 このタール状物質を内容積1.45のステンレス
製反応器に1000gr.充填し、毎分5の窒素ガス
を流通しながら(試料液相には吹込まず、液面上
へ流す)常圧で430℃で2時間熱分解重縮合反応
させた。 昇温は15℃/分、冷却は430℃から250℃まで約
10分間であり、昇温開始から250℃まで冷却する
間、反応系液相が均一の温度になるよう撹拌し
た。 この反応の結果の残留ピツチを調べると、収率
は19.5重量%であり、光学的異方性相の球晶を約
45%含有する軟化点197℃のピツチであつた。 次にこのピツチ100gr.を200mlの円筒形ガラス
容器にとり、窒素雰囲気下で380℃で2時間静置
し、室温へ放冷後、ガラス容器を破壊してピツチ
を取り出した。 このピツチは肉眼でも上層と下層とに分離して
いることが、ピツチの光沢のちがいから認めら
れ、上層のピツチ塊と下層のピツチ塊をはく離し
て分別することができ、下層ピツチは、約35gr.
得られた。この下層ピツチを調べると軟化点は
263℃で、光学的等方性相をほとんど含まない。
99%以上光学的異方性相から成る炭素質ピツチで
あつた。ここに得られた光学的異方性ピツチを、
直径0.5mmのノズルを有する紡糸器に充填しピツ
チ温度340℃で溶融保持し、100mmHgの窒素圧で
押圧し、高速で回転するボビンに巻き取つて紡糸
したところ、500m/分の引取り速度で、長時間
にわたつて糸切れなく、繊維径が平均約8μmのピ
ツチ繊維が得られた。このピツチ繊維を常法に従
つて酸化不融化し、次いで、不活性ガス中で1500
℃迄昇温して炭化し、炭素繊維を得た。 その炭素繊維の直径は6.6μmであり、平均の引
張強度は3.5GPa、引張弾性率は320GPaを示し
た。 この光学的異方性ピツチを前述の方法で分子量
分布を調べると表1−1(b)の特性を示した。
【表】
【表】 実施例 2 実施例1のタール状物質を調製したもとの重質
残油を、蒸溜操作を加えず、そのまま用いて出発
原料とした。 この重質残油は、常圧に換算して、沸点が360
℃以下の留分を約10容量%、540℃以上の留分を
10容量%含むが、主成分は360℃以上の沸点を有
する炭化水素であり、炭素88.8重量%、水素9.6
重量%、硫黄1.6重量%から成るタール状物質で
あり、クロロホルム不溶分含有量は0.05%以下、
組成及び性状は表1−2(a)に示すものであつた。 このタール物質を、実施例1と同じ方法で、但
し窒素ガスは毎分2流通し、430℃で5時間、
熱分解重縮合反応させ、釜底ピツチを取り出し
た。 ピツチの収率は約12重量%であり、その光学的
異方性相の含有率は約95%であり、軟化点は307
℃を示した。このピツチの分子量分布は表1−2
(b)に示すものであつた。 このピツチを実施例1と同様の方法で紡糸する
と紡糸温度370℃で紡糸が可能であり、そのピツ
チ繊維を不融化し、1300℃迄昇温して炭化した炭
素繊維は、平均直径が9.6μ、平均強度2.4GPa平
均弾性率175GPaであつた。
【表】
【表】 比較例 1 石油の接触分解工程で副生するタール状物質を
減圧蒸溜して得た常圧に換算して沸点が約400℃
以上の釜底タール状物質を出発原料とした。 このタール状物質はクロロホルム不溶分含有は
0.1重量%以下であり、炭素92.2重量%、水素6.8
重量%、硫黄0.8重量%から成り、その組成、及
び性状は表2−1(a)に示すものであつた。 このタール状物質を、実施例1と全く同じ方法
及び同じ条件で熱分解重縮合したところ、残留ピ
ツチは397gr.得られ、その軟化点は190℃で、光
学的異方性相の含有率は約35%であつた。このピ
ツチ100gr.を実施例1と全く同じ方法、及び条件
で、光学的異方性相の沈積分離を行なつたとこ
ろ、下層ピツチとして、光学的等方性相をほとん
ど包含しない、即ち、光学的異方性相99%以上か
ら成るピツチを、少くとも25gr.得たが、このピ
ツチの軟化点は338℃を示した。このピツチの分
子量分布は表2−1(b)に示したようなものであつ
た。 この同じ出発原料タール物質を実施例2と全く
同じ方法、同じ条件で熱分解重縮合反応のみで光
学的異方性ピツチに至らしめたところ、光学的異
方性相の包含が約95%である軟化点が341℃のピ
ツチとなつた。 このピツチの分子量分布は表2−1(c)に示すも
のであることがわかつた。 これらの軟化点が比較的高いピツチは、実施例
1と同じ方法で、380℃以下の溶融保持温度では
紡糸が不可能であつた。
【表】
【表】
【表】 比較例 2 ナフサのスチーム分解で副生するタール状物質
を減圧蒸溜して得た常圧に換算して沸点が約400
℃以上の釜底タール状物質を出発原料とした。 このタール状物質はクロロホルム不溶分を0.1
重量%以上含まず、炭素92.5重量%、水素7.5重
量%、硫黄0.1重量%から成るもので、その組成
および性状は表2−2(a)に示す特性のものであつ
た。 このタール状物質を、実施例1と同じ方法で温
度390℃で3時間熱分解重縮合反応したところ、
残留ピツチとして軟化点263℃のピツチを得たが、
ピツチは全く等方性であつた。また同じ方法で
415℃で3時間熱分解重縮合反応したところ、残
留ピツチは、軟化点335℃を示したが、光学的異
方性相は、直径が50μ以下の微小な球状で全体で
約20%程度包含されるピツチであつた。 このようなピツチはいずれも光学的異方性相を
沈積することも不可能であつた。
【表】 比較例 3 原油を常圧蒸溜した釜底油を出発原料とした。 このタール状物質は、およそ360℃以上の沸点
を有する炭化水素を主成分とし、炭素86.8重量
%、水素13.0重量%、硫黄0.2重量%から成り、
その組成および性状は表2−3(a)に示すものであ
り、クロロホルム不溶分を含まない。 この原料タールを実施例1と同じ方法で、430
℃で2時間熱分解重縮合反応せしめたところ、残
留ピツチは約18%の収率であつたが、反応器内で
約40%の上層と約60%の下層に分離しており、上
層は軟化点176℃で、光学的異方性相の微小球を
約10%含むピツチであり、下層は、軟化点396℃
で光学的異方性相が約70%複雑な形状で含まれる
ピツチであつた。 同じ原料を430℃で3時間熱反応せしめると残
留ピツチは約15%の収率で、反応器内で約25%の
上層と75%の下層に分離しており、上層は光学的
異方性相が5〜10%で軟化点232℃、下層は光学
的異方性相が約80%で、軟化点が400℃以上のピ
ツチとなつた。
【表】 比較例 4 石油精製工程から副生する、沸点540℃以上の
炭化水素を主成分とするタール状物質を出発原料
とした。 このタール状物質は、クロロホルム不溶分を含
まず、炭素85.4重量%、水素11.4重量%、硫黄3.2
重量%から成り、その組成と性状は表2−4に示
すものであつた。 この原料タールを、実施例1と全く同じ方法で
415℃で2時間、3時間、4時間と反応時間を変
えて熱分解重縮合反応を行ない、残留ピツチを調
べたところ、2時間では収率25.2%、軟化点79
℃、光学的異方性相0%、3時間では収率18.9
%、軟化点165℃、光学的異方性相約10%、4時
間では収率18.0%、軟化点400℃以上、光学的異
方性相約40%であつた。 このようなピツチは、いずれも光学的異方性相
を更に処理し沈積濃縮することも、不可能であつ
た。
【表】 実施例 3 実施例1と同じタール状物質を出発原料に用い
た。このタール状物質700gr.を内容積1のステ
ンレス製オートクレーブに封入し、430℃に保つ
て、撹拌しつつ5時間熱分解重縮合させた。この
間にオートクレーブ内の圧力は173Kg/cm2まで上
昇した。反応後200℃まで放冷して、内容物を取
出し、その400grを内容積500mlのステンレス反応
容器に移し、窒素ガスを毎分5流通しながら
380℃で3時間、主として分解生成物を脱揮し、
残留ピツチが153gr得られた。次にこのピツチ
100grを200mlのガラス製円筒容器に入れ、窒素雰
囲気中で380℃に2時間静置し、室温へ放冷後ガ
ラス容器を破壊してピツチ塊を取り出した。 このピツチ塊は上層と下層に分離していること
がピツチの光沢のちがいから認められ、上層のピ
ツチ塊と下層のピツチ塊とはく離して分離するこ
とができ、この下層ピツチは17.4gr得られた。こ
こに得られたピツチは軟化点256℃であり、光学
的等方性相を約2%含む、大部分が光学的異方性
相のピツチであり、その分子量分布は表1−3に
示すものであつた。 表1−3 (実施例−3) 光学的異方性ピツチの分子量分布 数平均分子量 1090 最高分子量 13000 分子量600以下モル% 42.7 600〜1500モル% 35.4 1500以上モル% 21.9 実施例 4 石油の接触分解工程だ副生する重質残油を減圧
蒸溜して得た常圧に換算して沸点が約420℃以上
の釜底タール状物質を出発原料とした。 このタール状物質は常圧に換算して沸点が540
℃以上のものも約20容量%含むものであり、クロ
ロホルム不溶分は0.1重量%以下であり、炭素
91.0重量%、水素7.7重量%、硫黄1.3重量%から
成り、その組成及び性状は表1−3(a)に示すもの
であつた。 このタール状物質を、内容積40のステンレス
製反応容器に24.9Kg充填し、415℃で、4時間熱
分解重縮合せしめた。この間窒素ガスを毎分75
流通すると共に、プロペラ式撹拌で反応液相を均
一温度に保つた。 この反応後、直ちに残留ピツチを内容積7の
ステンレス製分離槽へ移送し、約375℃で2時間
撹拌せずに保持し、次に分離槽下部にある抜出し
ラインのバルブを開放して、ピツチを流出させそ
の粘度が急に低下し、流出が早くなる迄に1.96Kg
のピツチを受器に補集した。 このピツチを分析すると、光学的異方性相を約
93%含有する、軟化点255℃の光学的異方性ピツ
チであり、その分子量分布は表1−3(b)に示すも
のであつた。 このピツチは、実施例1と全く同じ方法、及び
条件で溶融紡糸が容易であり、平均直径9μmのピ
ツチ繊維が得られた。そしてこれを酸化不融化
後、1300℃まで昇温炭化して、平均直径7.4μm、
平均強度3.1GPa、平均弾性率210GPaの炭素繊維
が得られた。又、同じ不融化繊維を1500℃まで昇
温炭化して平均直径7.2μm、平均強度3.4GPa、平
均弾性率290GPaの炭素繊維が得られた。
【表】
【表】 実施例 5 実施例4と同じ出発原料タールを用い同じ実験
装置、同じ条件で熱分解重縮合反応を行なつた
後、実施例4と同様にピツチを分離槽へ移送し約
400℃で30分静置し、抜出しラインより、相対的
に粘度の大きい下層ピツチ部分を2.23Kg捕集し
た。このピツチは、光学的等方性相を20%〜30%
含有するピツチであり、軟化点は248℃であつた。
このピツチは実施例1の溶融紡糸法で紡糸すると
糸切れが多く紡糸が困難であつた。 次にこのピツチを内容積500mlステンレス容器
に400gr充填し、400℃に保つて、窒素ガスを毎分
2流通しながら、熱処理を追加した。 その結果得られたピツチは、光学的異方性相を
95%以上含み、軟化点が274℃のピツチであつた。
このように光学的異方性相と軟化点を調整したピ
ツチは、実施例1と同様の方法で紡糸温度350℃
で長時間の紡糸が可能であつた。又、この光学的
異方性ピツチの分子量分布は表1−5に示すもの
であつた。 表1−5 (実施例−5) 光学的異方性ピツチの分子量分布 数平均分子量 1130 最高分子量 24000 分子量600以下モル% 48.3 600〜1500モル% 26.6 1500以上モル% 25.1 実施例 6 石油の精製工程で副生する重質残油を減圧蒸溜
して得た常圧に換算して沸点が約540℃以上の釜
底タール状物質を出発原料とした。このタール状
物質はクロロホルム不溶分含有は0.1重量%以下
であり、炭素92.5重量%、水素6.6重量%、硫黄
0.9重量%から成り、組成及び性状は表1−6(a)
の如きものであつた。 このタール状物質1000gr.を実施例1と同じ方
法で、430℃で2.5時間熱分解重縮合反応させた。
生成残留ピツチは346gr.得られ、光学的異方性球
体を約65%含む軟化点251℃のピツチであつた。 次にこのピツチ100gr.を200mlの円筒形ガラス
容器にとり、窒素ガス雰囲気で380℃で2時間静
置し、室温へ放冷後、ガラス容器を破壊してピツ
チを取出し、実施例1と同様に上層ピツチと下層
ピツチに分離した。下層ピツチは約68gr.得られ、
その軟化点は272℃、光学的異方性相の含有率は
約92%、またその分子量分布を調べると、表1−
6(b)に示すものであつた。
【表】
【表】 実施例 7 石油の精製工程で副生する重質残油を、蒸溜し
て得た常圧に換算した沸点が約360℃以上の釜底
タール状物質を出発原料とした。 このタール状物質はクロロホルム不溶分含有は
0.1重量%以下であり、炭素88.4重量%、水素9.9
重量%、硫黄1.5重量%から成り、組成及び分子
量分布は表1−7(a)に示すものであつた。 このタール状物質400gr.を500mlのステンレス
製反応容器に入れ、窒素ガスを毎分2反応物液
面上へ流しながら430℃で2.25時間熱分解重縮合
反応を行つた。その結果、生成残留ピツチは約
49gr.得られ、これは光学的異方性相を約60%含
む、軟化点260℃のピツチであつた。 次にこのピツチ40gr.を100mlのガラス容器中で
窒素雰囲気下で380℃で2時間静置し、冷却後ガ
ラス容器を破壊してピツチを取出し、実施例1と
同様に上層と下層に分離した。下層のピツチは、
約23gr.であつた。 このピツチは光学的等方性相をほとんど含まな
いもので、軟化点は273℃を示し、その分子量分
布は表1−7(b)のとおりであつた。
【表】
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 石油の接触分解で副生する重質残油を減圧蒸
    留することにより得られ、沸点が約540℃以上の
    成分を少なくとも含有する主として炭素と水素か
    ら成る化合物の混合物であつて、実質的にクロロ
    ホルム不溶成分を含有せず、n−ヘプタン不溶成
    分の含有量が1重量%以下であり、他のすべてが
    n−ヘプタン可溶成分で、その主成分が芳香族油
    分及びレジン分であり、且つ当該芳香族油分及び
    レジン分の各々の芳香族炭素分率faが0.7以上、
    数平均分子量が1000以下、最高分子量が2000以下
    であり、レジン分の数平均分子量が芳香族油分の
    それの2倍を越えないものとされたタール状の物
    質から成る炭素材用光学的異方性炭素質ピツチ製
    造用原料組成物。 2 主として炭素と水素から成る化合物の混合物
    には沸点が360℃〜540℃の成分が含有されて成る
    特許請求の範囲第1項記載の炭素材用光学的異方
    性炭素質ピツチ製造用原料組成物。 3 芳香族油分及びレジン分の各々のfaが0.75以
    上である特許請求の範囲第2項記載の炭素材用光
    学的異方性炭素質ピツチ製造用原料組成物。 4 芳香族油分及びレジン分の各々の数平均分子
    量が900以下であり且つ各々の最高分子量が1500
    以下である特許請求の範囲第2項又は第3項記載
    の炭素材用光学的異方性炭素質ピツチ製造用原料
    組成物。 5 石油の接触分解で副生する重質残油を減圧蒸
    留することにより得られ、沸点が約540℃以上の
    成分を少なくとも含有する主として炭素と水素か
    ら成る化合物の混合物であつて、実質的にクロロ
    ホルム不溶成分を含有せず、n−ヘプタン可溶成
    分として芳香族油分及びレジン分を、又、n−ヘ
    プタン不溶成分としてアスフアルテン分を主成分
    として含有し、当該芳香族油分及びレジン分の
    各々の芳香族炭素分率faが0.7以上、数平均分子
    量が1000以下、最高分子量が2000以下であり、当
    該アスフアルテン分の芳香族炭素分率faが0.7以
    上、数平均分子量が1500以下、最高分子量が4000
    以下であり、レジン分の数平均分子量が芳香族油
    分のそれの2倍を越えず、アスフアルテン分の数
    平均分子量がレジン分のそれの2倍を越えないも
    のとされたタール状物質から成る炭素材用光学的
    異方性炭素質ピツチ製造用原料組成物。 6 主として炭素と水素から成る化合物の混合物
    には沸点が360℃〜540℃の成分が含有されて成る
    特許請求の範囲第5項記載の炭素材用光学的異方
    性炭素質ピツチ製造用原料組成物。 7 芳香族油分、レジン分及びアスフアルテン分
    の各々のfaがいずれも0.75以上である特許請求の
    範囲第6項記載の炭素材用光学的異方性炭素質ピ
    ツチ製造用原料組成物。 8 芳香族油分及びレジン分の各々の数平均分子
    量が900以下であり且つ各々の最高分子量が1500
    以下である特許請求の範囲第6項又は第7項記載
    の炭素材用光学的異方性炭素質ピツチ製造用原料
    組成物。 9 芳香族油分、レジン分及びアスフアルテン分
    の各々の数平均分子量がいずれも250〜900の範囲
    内にある特許請求の範囲第8項記載の炭素材用光
    学的異方性炭素質ピツチ製造用原料組成物。
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JP4092344B2 (ja) 2005-06-21 2008-05-28 新日本石油株式会社 電気二重層キャパシタ電極用炭素材の原料油組成物

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JPH02138388A (ja) 1990-05-28

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