JPH01268788A - 炭素繊維用メソフェースピッチの製造方法 - Google Patents

炭素繊維用メソフェースピッチの製造方法

Info

Publication number
JPH01268788A
JPH01268788A JP9742588A JP9742588A JPH01268788A JP H01268788 A JPH01268788 A JP H01268788A JP 9742588 A JP9742588 A JP 9742588A JP 9742588 A JP9742588 A JP 9742588A JP H01268788 A JPH01268788 A JP H01268788A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pitch
mesophase
mesophase pitch
component
tar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9742588A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Naito
勉 内藤
Masaru Miura
勝 三浦
Takashi Hino
日野 隆
Hiroyuki Kuroda
博之 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tonen Corp filed Critical Tonen Corp
Priority to JP9742588A priority Critical patent/JPH01268788A/ja
Publication of JPH01268788A publication Critical patent/JPH01268788A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は炭素繊維を製造するのに適したメソフェーズピ
ッチの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は高強
度、高弾性率を有する高性能の炭素繊維の〃に料として
好適なメソフェーズピッチの製造方法に関する。
〔従来技術〕
従来、自動車、航空機その他の各種産業分野にわたって
、軽量、高強度、高弾性率等を有する高性能素材の開発
が要望されており、が)る観点がら炭素繊維が注目され
ている。
現在市販の炭素繊維は依然としてポリアクリロニトリル
をDK科とするPAN系炭素炭素繊維流であるが、石炭
又は石油系ピッチ類を原料とする炭素繊維は原料が安価
で、炭化工程での歩留りが高く、弾性率の高い繊維が得
られるなどの利点から重要視され、活発な開発研究が行
なわれている。
光学的に等方性のピッチから得られる炭素繊維は強度、
弾性率ともに低いが、光学的等方性ピッチを熱処理して
得られる光学的異方性ピッチ(即ちメソフェーズピッチ
)からは高性能炭素繊維が得られる。これらの方法とし
て、例えば、単に原料ピッチを加熱処理する(特開昭4
9−19127号、同57−42924号各公報)、光
学的等方性ピッチを溶媒で抽出しその不溶分を加熱処理
する(特開昭54−160427号公報等)、不活性ガ
スを吹込みながら加熱処理する(特開昭58−1686
87号公報)1部分水添した後、加熱処理する(特開昭
57−100186号、同58−18421号各公報)
、熱分解重縮合を半ばで打切って、比重差によって沈積
分離又は遠心分離して高濃度異方性ピッチを得る(特公
昭61−38755号、同62−24036号各公報)
方法などが提案されている。
ただ、これらのメソフェーズピッチの使用により、PA
N系炭素炭素繊維べて、超高弾性率、高弾性率の繊維が
容易に得られるものの、高強度を発現させるには、未だ
不充分なものであった。
本発明者らは、高強度炭素繊維を得るためのメソフェー
ズピッチの製造について、鋭意検討した結果、炭素質り
、f料を熱処理してメソフェーズピッチを製造する方法
において、 (イ)石油又は石炭から得られた炭′M質1jl料を減
圧蒸留し、低沸点留分を除去して沸点が400℃以」;
の成分を少くとも含有するタール状物質を得る蒸留工程
、 (ロ)前記蒸留工程(イ)で得られたタール状物質を、
芳香族分抽出用の有機溶剤を用いて抽出処理する溶剤抽
出工程、 (ハ)前記溶剤抽出工程(ロ)で得られた溶剤抽出成分
を熱処理して、メソフェーズ含有量が約20〜約80%
のメソフェーズ含有ピッチを生成させる熱処理工程、 (ニ)前記熱処理工程(ハ)で得られたメソフェーズ含
有ピッチを溶融状態で比重差分離操作にかけ、メソフェ
ーズピッチ成分と非メソフェーズピッチ成分とに分離し
てメソフェーズピッチを得るメソフェーズピッチ分離工
程、 からなるメソフェーズピッチの製造方法によって。
炭素繊維製造時に高い強度を発現し得るメソフェーズピ
ッチが得られることを見出し1本発明を完成した。
〔目  的〕
本発明の目的は、高強度を発現し得る。ピッチ系炭素繊
維の製造に適した、軟化点が低く且つ極めて均質なメソ
フェーズピッチを安定的に製造する方法を提供すること
にある。
〔構  成〕
本発明によれば、炭素質原料を熱処理してメソフェーズ
ピッチを製造する方法において、(イ)石油又は石炭か
ら得られた炭素質原料を減圧蒸留し、低沸点留分を除去
・して沸点が400℃以上の成分を少くとも含有するタ
ール状物質を得る蒸留工程。
(ロ)前記蒸留工程(イ)で得られたタール状物質を、
芳香族分抽出用の有機溶剤を用いて抽出処理する溶剤抽
出工程、 (ハ)前記溶剤抽出工程(ロ)で得られた溶剤抽出成分
を熱処理して、メンフェース含有量が約20−約80%
のメソフェーズ含有ピッチを生成させる熱処理工程、 (ニ)前記熱処理工程(ハ)で得られたメソフェーズ含
有ピッチを溶融状態で比重差分離操作にかけ、メソフェ
ーズピッチ成分と非メソフェーズピッチ成分とに分離し
てメソフェーズピッチを得るメソフェーズピッチ分離工
程、 からなることを特徴とする炭素繊維用メソフェーズピッ
チの製造方法が提供される。
即ち、本発明のメソフェーズピッチの製造方法は、石油
又は石炭から得られた炭素質原料を減圧蒸留して得られ
る沸点が400℃以上の成分を少くとも含有するタール
状物質を、該タール状物質中の芳香族分を選択的に抽出
する溶剤抽出処理に付した後、その抽出成分を熱処理工
程に供給することにより、軟化点が低く且つ分子是分布
の狭い均質なメソフェーズピッチを安定的に容易に得る
ことができる。
なお、本発明で言うメソフェーズピッチ(即ち光学的異
方性ピッチ)とは、常温で固化したピッチ塊の断面を研
摩し、反射型偏光顕微鏡で直交ニコルを回転して光輝が
認められるピッチ、即ち実質的に光学的異方性であるピ
ッチが大部分であるピッチを意味し、光輝が認められず
光学的等方性であるピッチにつしては、本明細書では非
メソフェーズピッチ(光学的等方性ピッチ)と呼称する
従って、本明細書におけるメソフェーズピッチには、純
粋な光学的異方性ピッチのみならず、光学的異方性相の
中に光学的等方性相が球状又は不定形の島状に包含され
ている場合も含まれる。これとは逆に、非メソフェーズ
ピッチとは、光学的等方性ピッチ中に、少量の光学的異
方性相を包含するものも含まれる。またメンフェースに
はキノリン又はピリジンに不溶なものとキノリン又はピ
リジンに可溶な成分を多く含むものとの二種類があり1
本明細書で言うメソフェーズは主として、後者のメンフ
ェースである。
また、本発明でいうメソフェーズ含有量とは、試料を偏
光顕微鏡で直交ニコル下で観察写真撮影して、試料中の
メソフェーズ部分の占める面積割合を測定することによ
り求めたものである。なお本発明でいうピッチの軟化点
とは、ピッチの同−液転移温度をいうが、差動走査型熱
量計を用い、ピッチの融解又は凝固する潜熱の吸、放出
ピーク温度から求めたものである。この温度はピッチ試
料について他のリングアンドボール法、微量融点法など
でK11l定したものと±10℃の範囲で一致する。
以下、本発明のメソフェーズピッチの製造方法について
詳細に説明する。
〔炭素質原料〕
本発明で用いるメソフェーズピッチ製造用の炭素質原料
としては、種々の、いわゆる重質炭化水素油、タール又
はピッチを使用することができる。
これらの原料の例としては、例えば1石油系の種々の重
質油、アスファルト(例えばストレートアスファルト、
ブローンアスファルト等)、熱分解タール、又は接触分
解タール、或いは石炭の乾留などで得られる重質油、タ
ール、ピッチ又は1石炭液化工程から製造される重質液
化石炭等を挙げることができ、特に好適なものとして石
油の接触分解残渣油が挙げられる。
〔蒸留工程〕 本発明においては、メソフェーズピッチ製造用の炭素質
原料を先ず減圧蒸留して低沸点留分を除去し、沸点が常
圧に換算して400℃以上の成分を少くとも含有するタ
ール状物質を得る。
この沸点範囲400℃以上のものを少くとも含有すると
いう留分は、一般に石油工業で用いられる大規模な蒸留
装置で容易に実施できる減圧蒸留操作によって得られる
。特に石油の接触分解で副生ずる重質残油は芳香族性が
高く且つ比較的に不純物が少なく、比較的低分子量の炭
素水素化合物を主成分とするものである。
石油及び石炭から得られる種々の油状物質又はタール状
物質は、炭素と水素以外5こ硫黄、窒素、酸素などを含
有するが、これらの元素を多量に含有する原料の場合、
熱分解重縮合反応においてこれらの元素が架橋や粘度増
加の要因となり、縮合多環芳香族平面の積層化を阻害し
、結果として低軟化点の均質なメソフェーズピッチを得
ることが困難となる。従って、原料タール状物質として
は、硫黄、窒素、酸素等の含有量が全体で10重ff1
%以下であることが好ましく、特に硫黄は2重量%以下
であることが好ましい。通常の接触分解で副生ずる重質
油から得られるタール状物質は、この範囲内に入る。
〔溶剤抽出工程〕
前記蒸留工程で得られたタール状物質は、次に該タール
状物質中の芳香族分を選択的に抽出するため、溶剤抽出
工程に送られる。
タール状物質は、ローへブタン不溶成分であるアスファ
ルテン分とn−へブタン可溶成分である飽和成分、芳香
族油分及びレジン分との4成分に分別されるが、本溶剤
抽出工程において、該4成分中の非飽和成分である芳香
族油分、レジン分及びアスファルテン分の3成分(本明
細書では、該3成分を芳香族分と定義する)を選択的に
抽出し、飽和成分が実質的に除去される。即ち、前記タ
ール状物質中には、メソフェーズ形成に関与しないか或
いは阻害となる飽和成分が、通常30〜50重量%含重
筋るが、本溶剤抽出処理により、その含址は20重M%
以下、好ましくは10重量2以下まで減少する。
なお1本明細書でいう、タール状物質の前記4成分(即
ち、飽和成分、芳香族油分、レジン分及びアスファルテ
ン分)の分離は、飯島の方法〔飯島博2石油学会誌、互
、8.559(1962))によって行なった。即ち、
試料2gをn−へブタン60−に溶解し。
n−へブタン不溶分をアスファルテン分として分別し、
n−へブタン可溶分を活性アルミナ75gを充填した内
径2cm、長さ70cmの温水ジャケット付クロマトカ
ラム管(カラム温度50℃)に注入し流下させ、n−へ
ブタン300−で飽和成分を、次いでベンゼン300 
m12で芳香族油分を、最後にメタノール−ベンゼンで
充分溶出してレジン分を分離することを内容とするもの
である。
本工程で用いる溶剤抽出用の有機溶剤としては、石油工
業における潤滑油精製に使用されるフェノール、フルフ
ラール、クレゾール及びN−メチル−2−ピロリドン等
が好ましいものとして挙げられ、これらの溶剤は単独で
用いてもよいし、また混合して用いることもできろ。溶
剤抽出処理の条件は、溶剤対油比が1−5:1、温度5
0−200℃、圧力は大気圧〜5.0Kg/a#−Gの
範囲である。
溶剤抽出後、蒸発によって溶剤を回収し、溶剤抽出分(
エキストラクト)を得る。
〔熱処理工程〕
この工程は、前記溶剤抽出工程で得られた飽和成分が減
少し芳香族分が増加したタール状物質(エキストラクト
)を熱処理し、熱分解重縮合反応によりメソ化反応(メ
ンフェースを生成させる反応と定義する)を行ない、メ
ソフェーズ含有ピッチを生成させる工程である。なお熱
分解重縮合反応とは、重質炭化水素の熱分解反応と重縮
合反応とが、ともに主反応として併列的に起ることによ
り、ピッチ成分分子の化学構造を変化させる反応を意味
し、この反応の結果、パラフィン鎖橘造の切断、脱水素
、閉環、重縮合による多環縮合芳香族の平面構造の発達
等が進行するものである。
この反応のために、溶剤抽出処理されたタール状物質は
約380〜約460、好ましくは400〜430℃で熱
処理される。反応温度が約460℃を超過すると、原料
未反応物の揮発が増大し、メソフェーズの軟化点も高く
なり且つコーキングを発生し易くなるので不適当であり
、逆に約380℃未満では、反応に長時間を要し好まし
くない。
熱処理工程では、外周部からの加熱による局部過熱を防
ぎ、均一に反応させるために、撹拌が行なわれるが、更
に、熱分解の結果、生成した低分子基の物質を速やかに
除くため、減圧下において。
あるいは常圧〜20Kg10J−G下において、不活性
ガスを反応器中へ吹き込みながら行なうことができる。
この場合、不活性ガスとしては、窒素、水蒸気。
炭酸ガス、軽質炭化水素ガス、又はこれらの混合ガス等
、反応温度でピッチとの化学反応性が充分小さいものを
使用することができる。これらの不活性ガスは、吹込み
前に予熱しておくことが、反応温度を下げることなく好
ましい。
分解油及び分解ガスを含んだ該不活性ガスは、反応器上
部より抜き出され、コンデンサー、スクラバー、分離槽
等を経て、分解油及び分解ガスが除去される。その後、
該不活性ガスを再循環使用することも可能である。
熱処理反応器としては液相熱分解装置であれば任意の型
式のものが使用されるが、通常円筒状容器からなるもの
が用いられ、原料供給口1分解油、分解ガス、不活性ガ
ス等の排出口、ピッチ抜出口、後記するメソフェーズピ
ッチ分離工程から得られた非メソフェーズピッチを循環
注入する導入口等が設けられ、反応器内部には撹拌装置
等が、また外周部には原料加熱用ヒーター等が配設され
ている。なお反応操作はバッチ、セミパッチ及び連続式
等の何れの方法でもよい。
本発明の熱処理工程では、低分子量分解生成物や未反応
物を実質上瞼いた生成ピッチ中にメソフェーズ成分が約
30〜約80%、好ましくは約380〜約70%含有さ
れるような状態になったとき、熱処理を中止し、熱処理
生成物は次のメソフェーズピッチ分離工程へ移送される
。と3うのは、メソフェーズピッチ分離工程で低軟化点
の均質なメソフェーズピッチを高収率で得るためには、
熱分解重縮合反応後のピッチ収率が高く且つメンフェー
ス含有景が約20〜約80%、軟化点が260℃以下で
あるものが好ましいためである。熱分解重縮合反応後の
ピッチ中のメソフェーズ成分が20%未満のものでは、
次の分離工程でのメソフェーズピッチの収率が極めて小
さく、逆にメソフェーズ成分を80%より大きいものに
したり、軟化点が260℃より■いものにしたりすると
1分離工程での分離性が悪くなって高濃度のメソフェー
ズピッチが得られず、取得メソフェーズピッチの軟化点
が高いものとなる。
この工程で得られるメソフェーズ含有ピッチとしては、
メソフェーズの大部分又は実質的に全てが直径500μ
m以下、好ましくは300μm以下の球状の状態である
ものが適切である。
本発明においては、後記するメソフェーズピッチ分離工
程で得られた非メソフェーズピッチを、熱処理工程に循
環注入することが好ましく、特に熱処理工程において反
応中の原料より生成したピッチにメンフェース(球晶)
が発生し始めた時点又は反応中の原料より生成したピッ
チのキノリンネ溶成分濃度が前記非メソフェーズピッチ
のキノリンネ溶成分濃度とほぼ同一になった時点の何れ
かで、前記非メソフェーズピッチを熱処理工程に循環注
入することが好ましい、と言うのは、メンフェースが発
生し始めた時点における生成ピッチと少量のメソフェー
ズを含有する非メソフェーズピッチとはその性状が非常
に接近しており、この時点で生成ピッチと非メソフェー
ズピッチとを混合することにより、熱分解重縮合反応中
メソフェーズの滞留時間分布(即ち分子量分布)を広げ
ることなしに、メソフェーズピッチの収量を向上させる
ことができるからである。またこのことは、ツノx料よ
り生成したピッチのキノリンネ溶成分濃度が前記非メソ
フェーズピッチのキノリンネ溶成分濃度とほぼ同一にな
った時点で、両者を混合することによっても速成できる
ことが容易に理解されるであろう、なお、キノリンネ溶
成分濃度は粉末ピッチをキノリンを溶剤としてJIS−
に−2425に基いて遠心分離法で不溶分を測定するこ
とによって求められる。
前記非メソフェーズピッチの循環注入が遅すぎると、等
方性相のメソ化反応が充分進まず、メソフェーズの収量
向上に殆んど寄与しなくなるし、逆に前記非メソフェー
ズピッチの注入が早すぎると、該非メソフェーズピッチ
成分のメソ化反応が進みすぎて、メソフェーズ含有ピッ
チ中のメソフェーズの分子量分布が広がり、製品ピッチ
の品質低下をもたらす危険性がある。従って、熱処理工
程におけるピッチの性状が前記非メソフェーズピッチの
性状とほぼ同一になった時点で、両者を混合するのが好
ましい。なお生成ピッチの均質性の向上と反応を促進す
る目的で、熱処理反応器への前記非メソフェーズピッチ
の循環注入後、インジェクションガス量を増加する場合
もある。
〔メソフェーズピッチ分離工程〕
本発明においては、前記熱処理工程で生成したメンフェ
ース含有ピッチは、次のメソフェーズピッチ分離工程に
送られ、ここでメソフェーズピッチ成分と非メソフェー
ズピッチ成分とに分離される。このメソフェーズピッチ
と非メソフェーズピッチを分離するための方法として、
本発明においては比重差を利用する分離法が採用される
。比重差を利用する分離法としては1例えば特公昭61
−38755号公報や特公昭62−24036号公報な
どに記載の方法が挙げられるが、特に工業的大規模生産
においては、遠心分離法を採用するのが好ましい。
遠心分離法は、熱処理工程で生成したメソフェーズ含有
ピッチに、その溶融状悪で、遠心分離操作を加えること
により、メソフェーズ成分は等方性成分よりも比重が大
きいために迅速に沈降し、合体成長しつつ下層(遠心力
方向の層)へ集積し。
メンフェースが約80%以上で連続相を形成し、その中
にわずかに等方性相を島状または微小な球状体の形で包
含するメソフェーズピッチが下層となり、一方上層は等
方性相が大部分で、その中にメンフェースが微小な球状
体で分散している形態の非メソフェーズピッチとなり、
しかもこの上層と下層との界面が明瞭であって、しかも
上層と下層の溶融状態での比重が大きく異ることを利用
して、下層を上層より分離して取出し、メソフェーズピ
ッチと非メソフェーズピッチとを分離する方法である。
なお、遠心分離操作とは、流体に高速回転作用を与え、
流体中のより比重の大きい相を下層(遠心力の方向)へ
集め、これを分離する処理操作であり、その実施態様の
一つとしていわゆる遠心分離機による操作、特に連続的
に重相と軽相を分離排出する連続型遠心分離機などが有
利に使用される。
本工程における温度は遠心力の大きさにもよるが、メン
フェース含有ピッチの軟化点以上好ましくは280℃−
400℃、さらに好ましくは320℃−380℃の範囲
である。この範囲内の所定の一定温度でもよく、また必
らずしも一定温度でなくてもよい。
この工程では、メソフェーズの多くの部分を遠心力方向
へ沈積させ合体せしめることが主目的であり、熱分解お
よび重縮合反応はできるだけ避ける必要がある。従って
400℃以上の温度は好ましくないし、また必要以上の
温度は遠心分離装置の長時間の連続運転を難しくするが
、上述の温度では、その問題もない、また上述の範囲よ
りも低温ではピッチ系全体の、特にメソフェーズ成分の
粘度が大きいため下層メソフェーズ中に共沈した等方性
相が脱けにくく、長時間の且つ非常に大きい遠心力加速
度を与えても分離が難しくなる。
また、該遠心分離操作の遠心力加速度は、如何なる値で
あってもよいが、メソフェーズ成分(重相)と非メソフ
ェーズ成分(軽相)とを、滞留時間を短かくして、効率
的に短時間で分離するために、好ましくは1 、0OO
G以上、特に10,000〜40,0OOGの範囲を採
用することができる。なお、50,0OOG以上では装
置面の制約がある。
本工程で分離されたメソフェーズピッチは系外へ取出さ
れ、液状のままあるいは固化され製品となる。本工程か
らメソフェーズ含有量が80%以上の高濃度メソフェー
ズピッチを容易に得ることができ、特にメソフェーズ含
有量が95%以上のものを短時間に、経済的に、得るこ
とができ、しかもその軟化点は充分に低く、230℃〜
320℃の範囲にある。そして、このメソフェーズ含有
量の高い、特に95フ以上のメソフェーズ含有量の且つ
軟化点が230℃−320℃の範囲のメソフェーズピッ
チは。
溶融紡糸加工特性において優れ、その均質性と高い分子
配向性のために、これから製造した炭素繊維及び黒鉛繊
維は特に引張り強度、弾性率に優れたものとなる。
また、本工程で分離された非メソフェーズピッチは、再
度の熱処理を加えることによって、メンフェース含有ピ
ッチに転化することができるので、好ましい態様におい
ては、この非メソフェーズピッチは前記したように特定
時点で前記熱処理工程に循環され、再度熱処理を受けて
、最終的なピッチの収率を向上させる。
なお、本発明においては、メソフェーズピッチ分離工程
の後に、仕上げ熱処理工程を加えることも可能である。
即ち5分離工程で特に短い滞留時間を用いて、軟化点は
充分低いが、メソフェーズ含有量が約80%〜90%と
、やや不充分なメソフェーズピッチを製造し、次にこれ
を300℃〜430℃の温度で熱重質化反応処理を加え
て、最終ピッチ製品の特性が狭い品質管理限界内に入る
ように調節する方法である。
メソフェーズを80〜90%含有するメソフェーズピッ
チは光学的等方性成分を10〜20%含有しているが、
この等方性成分はさらに熱重質化反応処理を少し加える
ことによって減少し、また軟化点も次第に上昇すること
が判っているので、適度に調節された温度と処理時間で
、比重差分離後のメソフェーズピッチを熱重質化するこ
とによって、メソフェーズの含有量を95%以上、軟化
点を230℃〜320℃に調節することができ、この方
法によってその後の炭素繊維製造工程すなわち溶融紡糸
、不融化、炭化の工程条件がほぼ一定で管理でき、また
製品の炭素繊維の品質も安定するという効果がある。
この仕上げ熱処理工程においても、前記熱処理工程と同
様に、局部加熱を防ぎ、均一に反応させるために撹拌が
行なわれ、また生成した低分子量物質を速やかに除くた
め、減圧下において又は不活性ガスを反応器中に吹き込
みながら行なうのが好ましい。この場合の不活性ガスと
しては前記熱処理工程において例示されたものと同様の
ものが挙げられる。
以上のようにして得られたメソフェーズピッチを、公知
の方法に従って、溶融紡糸し、得られたピッチ繊維を不
融化し、炭化し、場合により更に黒鉛化することにより
、高い強度のピッチ系炭素繊維及び黒鉛繊維を得ること
ができる。
〔効  果〕
本発明によれば、石油又は石炭から得られた炭素質原料
から得られるタール状物質を、溶剤抽出処理に付した後
、その抽出成分を熱処理工程に供することにより、炭素
繊維にしたときに、高い強度を発現し得、且つ低軟化点
で均質な、紡糸時の紡糸性が良好なピッチが安定的に得
られる。また、溶剤抽出により、飽和成分の少ない、芳
香族分の多いエキストラクトを得、これを熱処理に用い
るので、熱処理ピッチ(メソフェーズピッチ)の収率を
高くすることができる。更に、黒鉛化まで進めることに
よって、高強度、超高弾性率のピッチ系!5(、〜鉛織
繊維製造できる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、も
ちろん本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
実施例1 石油の接触分解で副生するタールを、常圧に換算して4
15℃まで減圧蒸留し、更に得られたタールを100℃
において10,0OOGで遠心分離し、更に静電集塵装
置にかけて、タール中の固形分を除去して得たタールを
出発原料とした。このタール中の飽和成分は29重重筋
であり、芳香族分は71重重筋であった。
固形分除去後の原料タールを、フェノールを溶剤として
、溶剤対油比(容11)3.o:t、温度110’C1
圧力0.2Kg/d−Gの条件で、溶剤抽出処理した。
抽出成分(エキストラクト)の収率は65%であり、そ
の中の飽和成分は5%であった。
抽出成分(エキストラクト)を、内容量20Qの撹拌機
付熱処理反応器に13蹟張込み、反応器の上部から窒素
ガスを吹込みながら、415℃に3.5時間保って熱処
理し、メンフェース含有ピッチを得た。
このメソフェーズ含有ピッチのメソフェーズ含有量は3
7%であり、ピッチの収率は49重重筋であった。
反応器での熱処理反応終了後1反応器の底部からメンフ
ェース含有ピッチを抜出し、メソフェーズ分離用の連続
遠心分離機に導入し、連続的に350℃において、 l
(1,0OOGの遠心力で遠心分層を行ない、メソフェ
ーズ成分と非メソフェーズ成分とに分離した。メソフェ
ーズピッチ成分中のメソフェーズ含有量は98%であり
、そのピッチの軟化点は280℃であった。
このピッチを直径0.3閣φのノズルを有する紡糸機に
入れ、330℃で溶融して、200+mHgの窒素ガス
圧で押し出し、500a+/分の速度で30分間巻取っ
た。この紡糸の間の紡糸性は良好で、糸切れはなかった
得られたピッチ繊維の1部を、酸素雰囲気中で、230
℃で2時間保持して不融化を行ない、次いで窒素ガス中
で、30℃7分の速度で1,500℃まで昇温して、炭
素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度は4 、0
GPaであり、その引張弾性率は270GPaであった
実施例2 実施例1における固形分除去後の原料タールを、N−メ
チル−2−ピロリドンを溶剤として、溶剤対油比(容量
)2.0:1、温度65℃、圧力0.2KE/cd−G
(7)条件で溶剤抽出処理した。抽出成分の収率は63
%であり、その中の飽和成分は5%であった。
その他は実施例1と同様に処理した。
得られたメソフェーズ含有ピッチの収率、得られたメソ
フェーズピッチの性状及びピッチを紡糸したときの紡糸
性も、実施例1の場合と同様であった・ 得られた炭素m維の引張強度は3.9GPa、引tAG
’n性率は270GPaであり、実施例1の場合とほぼ
同様であった。
比較例 原料タールをフェノールで抽出しなかった以外は、実施
例1と同様に処理した。
この場合、紡糸性は良好であった。
得られたピッチ繊維をt 、 soo℃まで昇温して得
た炭素繊維の引張強度は2.9GPaであり、また引張
弾性率は260GPaであって、実施例1の場合と比べ
、引張強度が劣っていた。
特許出願人 東亜燃料工業株式会社

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)炭素質原料を熱処理してメソフェーズピッチを製
    造する方法において、 (イ)石油又は石炭から得られた炭素質原料を減圧蒸留
    し、低沸点留分を除去して沸点が400℃以上の成分を
    少くとも含有するタール状物質を得る蒸留工程、 (ロ)前記蒸留工程(イ)で得られたタール状物質を、
    芳香族分抽出用の有機溶剤を用いて抽出処理する溶剤抽
    出工程、 (ハ)前記溶剤抽出工程(ロ)で得られた溶剤抽出成分
    を熱処理して、メソフェーズ含有量が約20〜約80%
    のメソフェーズ含有ピッチを生成させる熱処理工程、 (ニ)前記熱処理工程(ハ)で得られたメソフェーズ含
    有ピッチを溶融状態で比重差分離操作にかけ、メソフェ
    ーズピッチ成分と非メソフェーズピッチ成分とに分離し
    てメソフェーズピッチを得るメソフェーズピッチ分離工
    程。 からなることを特徴とするメソフェーズピッチの製造方
    法。
JP9742588A 1988-04-20 1988-04-20 炭素繊維用メソフェースピッチの製造方法 Pending JPH01268788A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9742588A JPH01268788A (ja) 1988-04-20 1988-04-20 炭素繊維用メソフェースピッチの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9742588A JPH01268788A (ja) 1988-04-20 1988-04-20 炭素繊維用メソフェースピッチの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH01268788A true JPH01268788A (ja) 1989-10-26

Family

ID=14192073

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9742588A Pending JPH01268788A (ja) 1988-04-20 1988-04-20 炭素繊維用メソフェースピッチの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH01268788A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0044714B1 (en) Process for producing mesophase pitch
JPS62270685A (ja) メソフェ−ズピッチの製造法
JPS6249913B2 (ja)
US4601813A (en) Process for producing optically anisotropic carbonaceous pitch
JPH0336869B2 (ja)
US4597853A (en) Pitch as a raw material for making carbon fibers and process for producing the same
US4655902A (en) Optically anisotropic carbonaceous pitch
US4810437A (en) Process for manufacturing carbon fiber and graphite fiber
JPH01247487A (ja) メソフェースピッチの製造方法
JPH01268788A (ja) 炭素繊維用メソフェースピッチの製造方法
JPS6224036B2 (ja)
EP0089840A1 (en) Process for producing an optically anisotropic carbonaceous pitch
JPH01249887A (ja) メソフェースピッチの製造方法
JPH03167291A (ja) 光学的異方性ピッチ及びその製造方法
JPH01254797A (ja) メソフェースピッチの製造方法
JPH0415274B2 (ja)
JPH01207385A (ja) メソフェースピッチの連続的製造方法
JP3016089B2 (ja) 超低軟化点、低粘度のメソフェーズピッチ及びその製造方法並びに高強度、高弾性率炭素繊維の製造方法
JPH03227396A (ja) 光学的異方性ピッチの製造方法
JPH0455237B2 (ja)
JPH0534393B2 (ja)
JPS6250516B2 (ja)
JPS61287961A (ja) 炭素繊維用前駆体ピツチ
JPH03168296A (ja) 光学的異方性ピッチ及びその製造方法
JPS6257678B2 (ja)