JPS6249913B2 - - Google Patents

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JPS6249913B2
JPS6249913B2 JP56011124A JP1112481A JPS6249913B2 JP S6249913 B2 JPS6249913 B2 JP S6249913B2 JP 56011124 A JP56011124 A JP 56011124A JP 1112481 A JP1112481 A JP 1112481A JP S6249913 B2 JPS6249913 B2 JP S6249913B2
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JP
Japan
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molecular weight
optically anisotropic
pitch
component
manufacturing
Prior art date
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JP56011124A
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English (en)
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JPS57125289A (en
Inventor
Takayuki Izumi
Tsutomu Naito
Tomoo Nakamura
Toshio Tanaka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Toa Nenryo Kogyyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
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Priority to US06/338,590 priority patent/US4454019A/en
Priority to EP82300420A priority patent/EP0057108B1/en
Priority to AU79891/82A priority patent/AU550565B2/en
Priority to CA000395045A priority patent/CA1180295A/en
Priority to DE8282300420T priority patent/DE3270200D1/de
Publication of JPS57125289A publication Critical patent/JPS57125289A/ja
Publication of JPS6249913B2 publication Critical patent/JPS6249913B2/ja
Granted legal-status Critical Current

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    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01FCHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
    • D01F9/00Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments
    • D01F9/08Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments of inorganic material
    • D01F9/12Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof
    • D01F9/14Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof by decomposition of organic filaments
    • D01F9/145Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof by decomposition of organic filaments from pitch or distillation residues
    • D01F9/15Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof by decomposition of organic filaments from pitch or distillation residues from coal pitch
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10CWORKING-UP PITCH, ASPHALT, BITUMEN, TAR; PYROLIGNEOUS ACID
    • C10C3/00Working-up pitch, asphalt, bitumen
    • C10C3/002Working-up pitch, asphalt, bitumen by thermal means

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Civil Engineering (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、高強度及び高弾性率を有する炭素繊
維及びその他の炭素材料を含む炭素材を製造する
ために適した光学的異方性炭素質ピツチの製造方
法に関するものである。更に、詳しく述べると、
本発明は、軽量で、高強度、高弾性率の複合材料
に使用される炭素繊維その他成形炭素材料の製造
に適した光学的異方性炭素質ピツチの製造用原料
として特定の組成、構造を有する液状炭化水素混
合物を使用し、熱分解重縮合を行なうことによ
り、実質上、均質で、低軟化点を有する光学的異
方性炭素質ピツチの製造方法に関するものであ
る。 今後の省エネルギー、省資源時代にとつて航空
機、自動車その他に必要な軽量且つ高強度、高弾
性率の複合材料の素材を構成する低コストの高性
能炭素繊維が、又は、加圧成形して種々の用途に
使用される高強度、高密度の成形炭素材料が強く
要望されている。本発明は、このような高性能の
炭素繊維及び成形炭素材料を製造するために適し
た溶融紡糸等の成形を行なうことのできる低軟化
点の均質で分子配向性の優れた光学的異方性炭素
質ピツチの製造方法を提供するものである。 本発明者らは先に出願した特開昭57―88016号
公報に記載するように、高性能炭素繊維を製造す
るために適した光学的異方性ピツチ組成物につい
て種々検討したところ、光学的異方性ピツチは、
縮合多環芳香族の積層構造の発達した分子配向性
の良いピツチであるが、実際には種々のものが混
在し、そのうち、軟化点が低く、均質な炭素繊維
の製造に適したものは特定の化学構造と組成を有
すること、すなわち、光学的異方性ピツチにおい
て、O成分即ちn―ヘプタン可溶成分、及びA成
分即ちn―ヘプタン不溶且つベンゼン可溶の成分
の組成、構造、分子量が極めて重要であることを
見出した。更に詳しく言えばO成分及びA成分を
特定量含有するピツチ組成物が完全な光学的異方
性ピツチとして存在し得ることおよびその構成バ
ランスを適切に調整することが高性能炭素材料を
実用的に製造するための光学的異方性ピツチ組成
物の必須の条件であることを見出した。 更に又ピツチ組成物中の前記O成分及びA成分
以外の残余のベンゼン不溶成分であるキノリン可
溶成分(以下「B成分」という」と、キノリン不
溶成分(以下「C成分」という)を特定すること
により、更に優れた高性能炭素材料を製造するた
めの光学的異方性ピツチが提供されることが分つ
た。 更に、本発明者らは前記各成分の個々の特性お
よび当該特性を有する各成分の含有量とピツチ全
体の物性、均質性、配向性等との関係について詳
しく検討した結果各成分が特定量含有され、か
つ、各成分が特定の性状を有することが重要であ
ることを見出した。すなわち、高性能炭素繊維の
製造に必要な高配向性、均質性および低軟化点を
有し、低温で安定した溶融紡糸の可能な光学的異
方性ピツチの構成成分の性状としてはC/H原子
比、芳香族構造炭素分率fa、数平均分子量、最高
分子量(分子量分布を測定し低分子量側から99重
量%積算した点の分子量)および最低分子量(分
子量分布を測定し高分子量側から99重量%積算し
た点の分子量)が以下に述べる如き範囲に特定さ
れることが必要であることを見出した。 O成分は、約1.3以上のC/H原子比、約0.80
以上のfaおよび約1000以下の数平均分子量および
約150以上の最低分子量を有するものであり、好
ましいC/H原子比は、約1.3〜1.6、faは、約
0.80〜約0.95であり、数平均分子量は、約250〜
約700、最小分子量は約150以上である。 また、A成分は、約1.4以上のC/H原子比、
約0.80以上のfa、約2000以下の数平均分子量およ
び約10000以下の最高分子量を有するものであ
り、好ましいC/H原子比は約1.4〜約1.7、faは
約0.80〜約0.95、数平均分子量は約400〜約
1000、最高分子量は約5000以下である。 さらに、各成分の、好適な含有量は、O成分に
ついて約2重量%〜約20重量%であり、A成分に
ついて約15重量%〜約45重量%である。さらに最
適範囲については、O成分は、約5重量%〜約15
重量%であり、A成分は、約15重量%〜約35重量
%である。 すなわち、O成分のC/H原子比及びfaが前述
の範囲より小さい場合と含有率が前述の範囲より
大きい場合は、ピツチは全体として等方性の部分
をかなり含有する不均質なものとなりやすく、ま
た、平均分子量が700より大きいか、または含有
率が前述の範囲よりも小さい場合は、低軟化点の
ピツチを得ることができない。また、A成分の
C/H原子比またはfaが前述の範囲より小さい場
合、数平均分子量が前述の範囲より小さいか、ま
たは含有率が前述の範囲を越える場合には、ピツ
チ全体は、等方性と異方性部分の混合した不均質
なピツチとなつてしまうことが多い。また数平均
分子量又は最高分子量が上述の範囲よりも大きい
場合、又はA成分の構成比率が上述の範囲よりも
小さい場合は、ピツチは均質な光学的異方性であ
るが低軟化点とはならない。 本発明者が更に検討したところ、前記O成分及
びA成分は光学的異方性相ピツチ中において積層
構造中に取り込まれ、溶媒的または可塑剤的な作
用をし、主にピツチの溶融性、流動性に関与する
か、あるいはそれ自体単独では積層構造を発現し
にくく光学的異方性を示さない成分であるが、更
に残余成分でありそれ自体単独では溶融せず積層
容易な成分であるベンゼン不溶のB成分及びC成
分を前記O成分及びA成分に対しその構成成分が
特定の範囲内の構成比率でバランスよく含有さ
れ、さらに、各構成成分の化学構造特性分子量が
特定の範囲内に存在するならば一層、優れた均質
で低軟化点の高性能炭素繊維を製造するために必
要な光学的異方性相ピツチが得られることも見出
した。 すなわち、O成分を約2重量%〜約20重量%お
よびA成分を約15重量%〜約45重量%を含有し、
さらに、B成分(ベンゼン不溶キノリン可溶成
分)を約5重量%〜約40重量%およびC成分(ベ
ンゼン不溶キノリン不溶成分)を約20重量%〜約
70重量%含有し、その光学的異方性相の含有率が
体積で約90%以上であり、軟化点が約320℃以下
の光学的異方性炭素質ピツチは、一層安定した高
性能の炭素繊維を提供することができることが分
つた。 上記B成分及びC成分は高性能炭素繊維の製造
に必要な高配向性、均質性および低軟化点を有
し、低温で安定した溶融紡糸の可能な光学的異方
性ピツチの構成成分の性状としてはC/H原子
比、fa、数平均分子量、最高分子量が以下に述べ
る如き範囲に特定されたものである。 B成分(ベンゼン不溶でキノリン可溶分)は、
約1.5以上のC/H原子比、約0.80以上のfa、約
2000以下の数平均分子量および約10000以下の最
高分子量を有するものであり、好ましいC/H原
子比は約1.5〜約1.9、faは約0.80〜約0.95および
数平均分子量は、約800〜約2000であり、C成分
(ベンゼン不溶且つキノリン不溶の成分)は、約
2.3以下のC/H原子比、約0.85以上のfa、約
3000以下の推定数平均分子量および30000以下の
最高分子量を有するものであり、好ましいC/H
原子比は、約1.8〜約2.3であり、faは、約0.85〜
約0.95であり、数平均分子量は約1500〜約3000の
ものである。 両成分の含有量については、B成分は約5重量
%〜約55重量%であり、好ましい含有量は、約5
重量%〜約40重量%である。C成分の含有量は、
約20重量%〜約70重量%であり、好ましい含有量
は、約25重量%〜約65重量%である。 従来、高性能炭素繊維の製造のために必要な光
学的異方性炭素質ピツチの製造方法に関していく
つかの方法が提案されているが、いずれの方法に
あつても、上記説明した特定の組成、構造及び分
子量を持つたO成分、A成分、更にはB成分、C
成分を含有した高強度、高弾性率の炭素材の製造
に適した光学的異方性炭素質ピツチを提供するこ
とは出来ず、更に又これら従来の方法は、(1)原料
が工業的に入手困難である;(2)長時間の反応を必
要とするか、又は複雑な工程を必要とし、プロセ
スのコストが高い;(3)光学的異方性相を100%に
近づけると軟化点が上昇し、紡糸が困難となり、
一方、軟化点を抑えると不均質で紡糸が困難にな
るという種々の難点を包蔵している。更に、詳し
く説明すると、特公昭49―8634号公報に記載され
ている方法は、クリセン、アンスラセン、テトラ
ベンゾフエナジン等の安価に且つ大量に入手する
ことが困難な原料を使用するか、又は高温原油分
解タールを乾留等、高温で不融物を別するとい
う煩雑な製造工程を必要とし、しかも紡糸温度は
420℃〜440℃の如き高温を必要とするものであ
る。特開昭50―118028号公報に記載の方法は、高
温原油分解タールを原料とする撹拌下熱重質化に
関するものであるが、低軟化点ピツチを得るには
長時間の反応と不融物の除去を必要とする。ま
た、特公昭53―7533号公報に記載の方法は、石油
系タール、ピツチを塩化アルミニウムの如きルイ
ス酸系触媒を使用して重縮合させる方法を開示し
ているが、触媒の除去およびその除去工程の前後
で熱処理工程を必要としているから、複雑で、且
つ、運転コストが大となるものである。特開昭50
―89635号公報に記載の方法は、光学的等方性ピ
ツチを原料として熱重合する際に減圧下又は不活
性ガスを液相へ吹き込みつつ光学的異方性相含有
量が40%〜90%になるまで反応させるものであ
り、特開昭54―55625号公報は、光学的異方性相
が実質上100%である光学的異方性相炭素質ピツ
チを開示するものであるが、軟化点、紡糸温度が
かなり高いものであり、更にその原料については
或る市販の石油ピツチを用いること以外に特定さ
れておらず多くの種類の原料、例えばコールター
ル、石油蒸溜残油などからこの製法でピツチを製
造した場合は分子量が大きくなりすぎ、不融物の
生成又は軟化点及び紡糸温度の上昇により紡糸が
困難となつてしまう。このように、従来、提案さ
れている光学的異方性炭素質ピツチの製造法のな
かには原料の組成又は構造を特定しているものは
なく、従つて、所定の高品質炭素質ピツチを安定
して提供することができないのが実態である。 従つて、本発明の主たる目的は高強度、高弾性
率の炭素繊維を製造するために適した光学的異方
性炭素質ピツチを効率よく製造する方法を提供す
ることである。 本発明の他の目的は特定の組成、構造及び分子
量を持つたO成分、A成分、更にはB成分、C成
分から成る高強度、高弾性率の炭素材の製造に適
した光学的異方性炭素質ピツチの製造法を提供す
ることである。 本発明の更に他の目的は十分低温度で安定した
溶融紡糸を行ない得る低軟化点の、均質で分子配
向性の優れた光学的異方性炭素質ピツチの製造方
法を提供することである。 触媒を用いる方法は別として、前述のように先
行技術では十分に軟化点の低い均質な安定に紡糸
できる光学的異方性ピツチを製造することは困難
である。 即ち、本質的には1段の工程で400℃前後の温
度で長時間かけて重質炭化水素の熱分解重縮合を
進めていくので、光学的異方性含有量は次第に増
大するがそれに応じてピツチ全体の軟化点、従つ
て溶融紡糸温度も上昇し、紡糸温度の適当なとこ
ろで反応を打切ると、光学的異方性相と光学的等
方性相の不均質なピツチにとどまり、よい紡糸が
できないことが多い。 更に反応を進めて光学的異方性相含有量を実質
的に100%にすることができるが、そのときは出
発原料を厳選しないかぎり軟化点が非常に大きく
なることが多く(反応に長時間を要するとか再現
性よく良いピツチが得られないなどの問題もあ
り)工業的に安定した紡糸がし難く、結果として
良い性能の炭素繊維が得られない。 これら、先行技術の問題の原因は、優れたピツ
チを製造するには、出発原料を選定することが極
めて重要であるにもかかわらずその技術が不十分
であり、熱分解重縮合反応において、縮合多環芳
香族の平面構造性の発達と分子の巨大化のバラン
スがとれるような原料の選択がなされていないこ
と、即ち分子の巨大さがあまり大きくならず、従
つてこの現象は軟化点が十分低い間に分子の平面
構造性が十分発達し実質的に均質な光学的異方性
ピツチになるような原料の選択がなされていない
ことによるものである。そこで本発明者らは、実
質的に均質な光学的異方性相で且つ十分軟化点の
低いピツチ、即ち、上記説明したような特定の組
成、構造及び分子量を持つたO成分、A成分、更
にはB成分、C成分を有した高強度、高弾性率の
炭素材の製造に適した光学的異方性炭素質ピツチ
を得るために原料の特性と、ピツチの特性との関
係について研究した。該研究において、石油及び
石炭から得られた主成分の沸点が約250℃〜約540
℃の範囲の種々の原料重質油のうち、実質的にク
ロロホルム不溶分を含有しないものはそのまま用
い、クロロホルム不溶分を含有するものはクロロ
ホルムによつて可溶な成分のみを取り出した。次
いでこれをn―ヘプタンによつてn―ヘプタン不
溶成分即ちアスフアルテン分と、n―ヘプタン可
溶成分とに分別し、更にn―ヘプタン可溶成分は
カラムクロマト分離によつて飽和成分、芳香族油
分及びレジン分に分別した。分別方法としては、
飯島の方法(飯島博、石油学会誌、(8)、559
(1962))を採用した。この分別方法は、試料をn
―ヘプタンに溶解し、n―ヘプタン不溶分をアス
フアルテン分として分別し、n―ヘプタン可溶分
を活性アルミナを充填したクロマトカラム管に注
入流下させ、n―ヘプタンで飽和成分を、次いで
ベンゼンで芳香族油分を最後にメタノール―ベン
ゼンで溶出してレジン分を分離することを内容と
するものである。上記飽和成分、芳香族油分及び
レジン分並びにアスフアルテン分から成る原料油
構成成分の各々の特性とそのような特性を有する
原料から製造したピツチの物性、均質性、配向性
などとの関係について詳しく研究した結果、高性
能炭素繊維製造のための高配向性で均質な低い軟
化点を有し、低温で安定した紡糸のできる光学的
異方性ピツチの原料としては、原料油の上記構成
成分の中の3成分、即ち、芳香族油分、レジン分
及びアスフアルテン分(以後該3成分を「非飽和
成分(原料油構成成分のうちパラフイン系炭化水
素の如き飽和成分を除いた成分)」と呼ぶ)の芳
香族構造炭素分率fa(赤外線吸収法で測定した芳
香族構造の炭素原子の全炭素原子に対する比率)
が十分に大きく、数平均分子量(蒸気圧平衡法で
測定)及びゲルパーミエーシヨンクロマトグラフ
イーで測定した最高分子量(低分子量側から99重
量%積算した点の分子量)が十分小さいことが重
要であることを見出した。又、種々研究した結
果、原料油の主成分としては特に上記3成分のう
ち芳香族油分及びレジン分の存在が重要であり、
又各成分の含有比率は、特に、重要でないことが
分つた。上記3成分のうちアスフアルテン分の存
在は必須ではないがアスフアルテン分の存在によ
り、より高強度、高弾性率の炭素材を製造するに
適した均質な光学的異方性炭素質ピツチを製造し
得ることが分つた。 更に又、光学的異方性炭素質ピツチを得るため
の原料油の熱分解重縮合反応は、原料重質油の熱
分解と重縮合を主反応として、ピツチ成分分子の
化学構造を変化させる反応であり、大略の反応の
方向としては、パラフイン鎖構造の切断、脱水
素、閉環、重縮合による縮合多環芳香族の平面構
造の発達であると推定され、より平面構造が発達
した分子が分子会合し、凝集して1つの相を成す
までに成長したものが光学的異方性ピツチと考え
られる。一方、原料油中の飽和成分は、分子構造
的にも特徴が少なく熱分解重縮合反応中に熱分解
が熱重縮合よりも優勢的に起り系外に除去される
ことが多い成分であることから本発明での原料の
特定化においてこの成分はあまり重要でないこと
が分つた。すなわち全く含有していなくてもよい
し、50%程度含有されていてもよいが極めて多い
とピツチの収率が低下するか、又は光学的異方性
相の生成がおそく反応に長時間を要するという問
題があり好ましくない。 石油および石炭から得られる種々の油状物質又
は、タール状物質は、炭素と水素以外に硫黄、窒
素、酸素などを含有するが、これらの元素を多量
に含有する原料の場合、熱分解重縮合反応におい
てこれらの元素が架橋や粘度増加の要因となり、
縮合多環芳香族平面の積層化を阻害し結果として
低軟化点の均質な光学的異方性ピツチは得難い。
従つて目的とする光学的異方性ピツチを得るため
の原料としては、炭素と水素を主成分元素とする
油状物質で、硫黄、窒素、酸素等の含有量が全体
で10%以下であることが好ましい。又、原料油中
に、無機質やクロロホルムに不溶なカーボンなど
固形微粒子を含む場合、これらの物質は熱分解重
縮合反応において生成ピツチ中に残留し、このピ
ツチを溶融紡糸するとき、紡糸性を阻害すること
はいうまでもなく、紡糸したピツチ繊維に固形異
物を含有し欠陥の原因となる。従つて原料中にク
ロロホルム不溶分を実質上含まないことが必要で
ある。 更に本発明者らは研究した結果、上記のように
主成分の沸点が250〜540℃で実質上クロロホルム
不溶分を含有せず、更にn―ヘプタン不溶分も含
有せず前記非飽和の2成分、即ち、芳香族油分及
びレジン分のfaがいずれも0.6以上、好ましくは
0.7以上であり、該非飽和成分の2成分の数平均
分子量がいずれも1000以下、好ましくは750以下
であり、最高分子量がいずれも2000以下、好まし
くは1500以下である石油又は石炭から得られる油
状物質を原料とするか、又は前記非飽和の3成
分、即ち、芳香族油分、レジン分及びアスフアル
テン分のfaがいずれも0.6以上、好ましくは0.7以
上であり、該非飽和成分の3成分の数平均分子量
がいずれも1000以下、好ましくは750以下であ
り、最高分子量がいずれも2000以下、好ましくは
1500以下である石油又は石炭から得られる油状物
質を原料として熱分解重縮合すると光学的異方性
相を約90%〜約100%含有する実質上均質な光学
的異方性ピツチでありながら従来技術では得難か
つた極めて低い軟化点約230℃〜約320℃を有し、
従つて十分に低い溶融紡糸温度約290℃〜約380℃
で紡糸できる光学的異方性ピツチが得られること
を確認した。又、上記非飽和成分、つまり芳香族
油分、レジン分及びアスフアルテン分を主成分と
した出発原料の場合にはアスフアルテン分が例え
ば1重量%以下の場合のように少ない場合には該
アスフアルテン分の存在自体が有効であつてその
時の該アスフアルテン分のfa、数平均分子量、及
び最高分子量は必ずしも上記の如き条件を満たす
必要はないことが分つた。 上記の如き2成分又は3成分を主成分とした出
発原料から光学的異方性炭素質ピツチを製造する
際の熱分解重縮合等の工程としては、後述の種々
の方法が適用できる。 この光学的異方性ピツチは、熱分解重縮合の顕
著な温度より十分に低い温度で紡糸できるので紡
糸中の分解ガスの発生が少なく、紡糸中の重質化
も少なく、且つ均質のピツチであることから高速
での紡糸が可能である。又この光学的異方性ピツ
チを常法に従つて炭素繊維に調製すると極めて高
性能の炭素繊維が得られることがわかつた。 本発明によつて得られる光学的異方性ピツチの
特徴は、高性能炭素繊維製造用ピツチの必要条件
である(1)高配向性(光学的異方性)、(2)均質性、
(3)低い軟化点(低い溶融紡糸温度)の3つの条件
をいずれも満していることである。 本発明で使用される光学的異方性相という語句
の意味は、必ずしも学界又は種々の技術文献にお
いて統一して用いられているとは言い難いので、
本明細書では、光学的異方性相とは、ピツチ構成
成分の一つであり、常温近くで固化したピツチ塊
の断面を研摩し、反射型偏向顕微鏡で直交ニコル
下において観察したとき、試料又は直交ニコルを
回転して光輝が認められる、すなわち光学的異方
性である部分を意味し、光輝が認められない、す
なわち光学的等方性である部分を光学的等方性相
と呼ぶ。 光学的異方性相は、光学的等方性相に比べて多
環芳香族の縮合環の平面性がより発達した化学構
造の分子が主成分で、平面に積層したかたちで凝
集、会合しており、溶融温度では一種の液晶状態
であると考えられる。従つてこれを細い口金から
押し出して紡糸するときは分子の平面が繊維軸の
方向に平行に近い配列をするために、この光学的
異方性ピツチから作つた炭素繊維は高い強度と弾
性率を示すことになる。又、光学的異方性相の定
量は、偏光顕微鏡直交ニコル下で観察、写真撮影
して光学的異方性相部分の占める面積率を測定し
て行うので、これは実質的に体積%を表わす。 ピツチの均質性に関して、本発明では上述の光
学的異方性相の測定結果が約90〜約100%の間に
あり、ピツチ断面の顕微鏡観察で、不純物粒子
(粒径1μm以上)を実質上検出せず、溶融紡糸
温度で揮発物による発泡が実質上ないものが、実
際の溶融紡糸において良好な均質性を示すのでこ
のようなものを実質上均質な光学的異方性ピツチ
と呼ぶ。 光学的等方性相を10%以上含有する実質的に不
均質な光学的異方性ピツチの場合、高粘度の光学
的異方性相と低粘度の光学的等方性相との明らか
な混合物であるため、粘度の著るしく異なるピツ
チ混合物を紡糸することになり糸切れ頻度が多く
高速紡糸がし難く、十分細い繊維太さのものが得
られず、繊維太さにもバラツキがあり結果として
高性能の炭素繊維が得られない。又、溶融紡糸の
とき、ピツチ中に不融性の固体微粒子や低分子量
の揮発性物質を含有すると、紡糸性が阻害される
ことはいうまでもなく、紡糸したピツチ繊維に気
泡や固形異物を含有し欠陥の原因となる。 本明細書でいう、ピツチの軟化点とは、ピツチ
が固体から液体の間を転移する温度をいうが、差
動走査型熱量計を用いてピツチの融解または凝固
する潜熱の吸放出のピーク温度で測定した。この
温度はピツチ試料について、他のリングアンドボ
ール法、微量融点法などで測定したものと±10℃
の範囲で一致する。 本明細書でいう低軟化点とは、約230℃〜約320
℃の範囲の軟化点を意味する。軟化点はピツチの
溶融紡糸温度と密接な関係があり通常の紡糸法で
紡糸する場合、一般に約60℃〜約100℃高い温度
が紡糸に適した粘度を示す温度である。したがつ
て約320℃より高い軟化点の場合、熱分解重縮合
が起る約380℃より高い温度で紡糸するため、分
解ガスの発生及び不融物の生成により紡糸性が阻
害されることはいうまでもなく、紡糸したピツチ
繊維に気泡や固形異物を含有し欠陥の原因とな
る。又、230℃以下の低い軟化点の場合、不融化
処理温度が、200℃というような低温で長時間処
理が必要になるとか複雑で高価な処理が必要とな
り好ましくない。 ここで、本明細書にて使用する芳香族構造炭素
分率「fa」、「数平均分子量」及び「最高分子量」
の語句の意味について更に詳しく説明する。 本明細書でいうfaは炭素と水素の含有率分析と
赤外線吸収法とから測定した芳香族構造の炭素原
子の全炭素原子に対する比率を表わす。分子の平
面構造性は縮合多環芳香族の大きさ、ナフテン環
の数、側鎖の数と長さなどにより決まるから、分
子の平面構造性はfaを指標として考察することが
できる。即ち縮合多環芳香族が大きいほど、ナフ
テン環の数が少ないほどパラフイン側鎖の数が少
ないほど、側鎖の長さが短かいほどfaは大きくな
る。従つてfaが大きいほど分子の平面構造性が大
きいことを意味する。faの測定計算方法は加藤の
方法(加藤ら、燃料協会誌55,244(1976))によ
つて行なつた。又本明細書でいう数平均分子量は
クロロホルムを溶媒として蒸気圧平衡法で測定し
た値を表わす。分子量分布は試料をクロロホルム
を溶媒としたゲルパーミエーシヨンクロマトグラ
フイーで10個に分取し、分取したそれぞれの数平
均分子量を蒸気圧平衡法で測定し、これを標準物
質の分子量として検量線を作成し分子量分布を測
定した。最高分子量はゲルパーミエーシヨンクロ
マトグラフにより測定した分子量分布の低分子量
側から99重量%積算した点の分子量を表わす。 非飽和成分の3成分、芳香族油分、レジン分、
アスフアルテン分ではその特性値であるfa、数平
均分子量および最高分子量は、いずれも芳香族油
分<レジン分<アスフアルテン分の順に大きくな
るのが一般的である。即ち一般的な原料油では、
芳香族油分は非飽和成分の3成分中、一分子の平
面構造性と分子の巨大さ(数平均分子量、最高分
子量)の最も小さい成分で、レジン分は芳香族油
分とアスフアルテンの間の分子の平面構造性と分
子の巨大さを有する成分で、アスフアルテン分は
非飽和成分の3成分中、分子の平面構造性と分子
の巨大さの最も大きい成分であるが、場合によつ
て上述の序列が逆になるものもある。 高性能炭素繊維製造用ピツチの配向性、均質性
(あるいは相溶性)および軟化点とピツチの分子
構造との関係について次に説明する。 ピツチの配向性は、分子の平面構造性およびあ
る温度での液体流動性に関係がある。即ち、ピツ
チ分子の平面構造性が十分大きく且つ溶融紡糸の
とき繊維軸の方向に分子の平面が再配列するため
に必要な十分大きい液体流動性をもつことが高配
向性ピツチの必要条件である。 この分子の平面構造性は、縮合多環芳香族が大
きいほど、ナフテン環が少ないほど、パラフイン
側鎖の数が少ないほど、側鎖の長さが短かいほど
大きいから、faを指標として考察することができ
る。faが大きいほどピツチ分子の平面構造性が大
きくなると考えられる。 ある温度での液体流動性は、分子間、原子間の
相互運動の自由度により決まることから、分子の
巨大さすなわち数平均分子量及び分子量分布(特
に最高分子量の影響が大であると考えられる)を
指標として評価することができる。即ちfaが同じ
ならば、分子量、分子量分布が小さいほどある温
度での液体流動性は大きくなると考えることがで
きる。従つて高配向性ピツチとしてはfaが十分大
きく、数平均分子量、最高分子量が十分小さいこ
とが重要である。 ピツチの均質性(あるいはピツチ成分の相溶
性)はピツチ分子の化学構造の類似性およびある
温度での液体流動性と関係がある。従つて配向性
の場合と同じく化学構造の類似性は分子の平面構
造性で代表させfaを指標として、また、液体流動
性は数平均分子量および最高分子量を指標として
評価することができる。即ち、均質なピツチとし
ては、ピツチ構成分子間のfaの差が十分小さく、
且つ数平均分子量、最高分子量が十分小さいこと
が重要である。 軟化点は、ピツチの固体から液体の間を転移す
る温度を意味することから、ある温度での液体流
動性を支配する分子間の相互運動の自由度と関係
があり、分子の巨大さ即ち数平均分子量、分子量
分布(特に最高分子量の影響が大であると考えら
れる)を指標として評価することができる。即
ち、低い軟化点、従つて低い溶融紡糸温度を有す
るピツチとしては、数平均分子量、最高分子量が
十分小さいことが重要である。 次に、原料の分子構造の特性とピツチの配向
性、均質性(あるいは相溶性)及び軟化点との関
係について説明すると、原料物質の熱分解重縮合
により、目的とする光学的異方性ピツチを製造す
る際、最も重要なことは、縮合多環芳香族の分子
の平面構造性と分子の巨大さのバランスが反応中
保たれていることである。即ち熱分解重縮合反応
が進行し、光学的異方性相が生成し、これが更に
成長し、均質な光学的異方性ピツチになる過程に
おいて生成ピツチ全体の平面構造性と液体流動性
が十分保たれていることである。即ち、熱反応が
進んで芳香族平面構造が十分発達した時点で数平
均分子量も最高分子量もまだあまり大きくなつて
いないことが必要である。従つてこのためには出
発原料の非飽和成分の分子の平面構造性すなわち
faが十分大きく、それと相対的に数平均分子量、
最高分子量が十分小さいことが重要であることが
推定される。このような考察に基づいて本発明者
等はまず540℃以下の沸点を有する種々の油状物
質についてその組成構造と熱分解重縮合反応条件
と生成ピツチの特性について鋭意研究した結果、
原料の非飽和成分、つまり芳香族油分、レジン分
及びアスフアルテン分は、原料油が芳香族油分及
びレジン分から成る2成分系であろうと、更にア
スフアルテン分を含んだ3成分系であろうと、原
料の非飽和成分の3成分、即ち、芳香族油分、レ
ジン分、アスフアルテン分のfaがいずれも0.6以
上好ましくは0.7以上で非飽和成分の3成分の数
平均分子量がいずれも1000以下好ましくは750以
下で非飽和成分の3成分の最高分子量がいずれも
2000以下好ましくは1500以下である場合、非飽和
構成成分のそれぞれのfaが大きく、且つ、非飽和
構成成分のそれぞれの数平均分子量と最高分子量
が十分小さく、従つて分子の平面構造性と分子の
液体流動性がバランスしているため、熱分解重縮
合反応によつて均質な低軟化点の光学的異方性ピ
ツチが得られることを発見し本発明を完成した。 特に非飽和成分の中の芳香族油分及びレジン分
は、該2成分の数平均分子量がいずれも750以下
で、最高分子量がいずれも2000以下であつても、
3成分の全部或はいずれかの成分のfaが0.6以下
である場合、分子の平面構造性と分子の液体流動
性がバランスを失しているため、熱分解重縮合反
応によつて分子の平面構造性が十分発達し実質的
に均質な光学的異方性ピツチになる前に分子の巨
大化が進み生成ピツチが高分子量になり、さらに
反応を進めて実質的に均質な光学的異方性ピツチ
になつた時には、高軟化点(320℃以上)とな
り、従つて均質な低軟化点の光学的異方性ピツチ
は得られない。 又原料の非飽和成分の前記2成分、つまり芳香
族油分及びレジン分のfaが0.6以上であつても該
2成分の全部或はいずれか1つの成分の数平均分
子量が1000以上、或いは最高分子量が2000以上の
場合、熱分解重縮合反応によつて高分子量の成分
を容易に生成し、生成ピツチの液体流動性を小さ
くするため、実質的に均質な光学的異方性ピツチ
ができたとしても高軟化点(320℃以上)とな
り、従つて均質な低軟化点のピツチは得られな
い。 又、同様に非飽和成分である、芳香族油分、レ
ジン分及びアスフアルテン分を有した3成分系の
出発原料油の場合にも前述のようにアスフアルテ
ン分が極めて少量である場合を除いて、非飽和成
分の3成分の数平均分子量がいずれも750以下、
非飽和成分の3成分の最高分子量がいずれも2000
以下であつても、非飽和成分の3成分の全部ある
いはいずれか1つの成分のfaが0.6以下である場
合、分子の平面構造性と分子の液体流動性がバラ
ンスを失しているため、熱分解重縮合反応によつ
て分子の平面構造性が十分発達し実質的に均質な
光学的異方性ピツチになる前に分子の巨大化が進
み生成ピツチが高分子量になり、さらに反応を進
めて実質的に均質な光学的異方性ピツチになつた
時には、高軟化点(320℃以上)となり、従つて
均質な低軟化点の光学的異方性ピツチは得られな
い。又原料の非飽和成分の3成分のfaが0.6以上
であつても、非飽和成分の3成分の全部或いはい
ずれか1つの成分の数平均分子量が1000以上、あ
るいは最高分子量が2000以上の場合、熱分解重縮
合反応によつて更に最高分子量の成分を容易に生
成し、生成ピツチの液体流動性を小さくするた
め、実質的に均質な光学的異方性ピツチができた
としても高軟化点(320℃以上)となり、従つて
均質な低軟化点のピツチは得られない。 以上詳述した、従来開示されていない独特の特
性を有する本願発明に係る油状物質を出発原料と
すれば、種々の方法にて炭素材用の光学的異方性
ピツチを製造することができ、このことも又本発
明の特徴の一つである。即ち、光学的異方性ピツ
チを製造するための熱分解重縮合工程において
380℃〜460℃、好ましくは、400℃〜440℃の温度
領域で、常圧下で不活性ガスの流通下(あるいは
バブリング下)で低分子量の物質を除去しつつ熱
分解重縮合を行なう方法、常圧下で不活性ガスを
流通せずに熱分解重縮合し、その後減圧蒸留又は
不活性ガスで脱揮しつつ加熱処理で低分子量の物
質を除去する方法、或は加圧下で熱分解重縮合
し、その後減圧蒸留又は不活性ガスにより脱揮し
つつ加熱処理する方法等いずれの方法も本発明の
目的に適する。即ち本発明の出発原料を用いると
熱分解重縮合反応の条件(温度、時間、脱揮割合
等)を広い範囲で選択することが容易であり、適
確な均質な低軟化点の光学的異方性ピツチを得る
ことが可能である。特に本発明の油状物質原料を
用いる場合に好ましい方法は、2〜50Kg/mm2の加
圧下で熱分解重縮合した後、不活性ガスで脱揮し
つつ加熱処理を行なう方法である。 又上述の熱分解重縮合反応工程のみで光学的異
方性ピツチを製造する方法の他に、熱分解重縮合
反応工程の途中で光学的異方性相を分離する方法
が本発明の目的に適する方法である。 即ち、前述の熱分解重縮合反応工程のみで行う
方法は、実質的に1つの反応工程で熱分解重縮合
を進めていくので初期に生成した光学的異方性相
までもが反応終了まで高温に保持され続けるので
光学的異方性相の分子量が必要以上に巨大化する
という傾向があり、ピツチの軟化点が比較的高目
になる傾向があるが、熱分解重縮合の途中で光学
的異方性ピツチを分離する方法では、この分子の
必要以上に巨大化することを防ぐことができ、実
質的に均質な低軟化点の光学的異方性ピツチを得
るためにより好ましい方法である。即ち、出発原
料として本発明の特性を有する油状物質を熱分解
重縮合反応槽に導入し、380℃〜460℃の温度で熱
分解重縮合を行ない、生成ピツチ(低分子量分解
生成物や未反応物質を実質上除いた)の中に光学
的異方性相が20%〜80%含有している状態になつ
たとき、この重縮合ピツチを熱分解重縮合は起り
にくく且つピツチの流体としての流動性は十分保
たれている温度領域例えば350〜400℃で静置し、
下層に密度の大きい光学的異方性相部分を1つの
連続相として成長熟成しつつ沈積し、これを上層
のより密度の小さな相である光学的等方性ピツチ
から分離して取出す製造方法を用いるとより効果
的である。この場合においても、熱分解重縮合反
応は2〜50Kg/cm2の加圧下で行ない、その後分解
生成物を脱気して、次いで光学的異方性相を下層
に沈積せしめる方法が特に好ましいものである。 又、本発明に係る上記特性を有する油状物質を
出発原料として、該油状物質の熱分解重縮合によ
り、部分的に光学的異方性相を生成せしめた後、
光学的異方性相をそれ以上分子量を増大させるこ
との少ない温度で沈積せしめて分離し、光学的異
方性相が濃縮されたピツチを得て、その後これを
短時間熱処理して光学的異方性相を90%以上含有
するピツチを製造する方法が好適である。 すなわち、出発原料として、本発明の特性を有
する油状物質を使用し、これを約380℃以上の温
度、好ましくは400℃〜440℃で熱分解重縮合反応
に供し、重縮合物中の光学的異方性相が、20%〜
80%、好ましくは30%〜60%生成したとき、当該
重合物を、約400℃以下、好ましくは360℃〜380
℃に保持しつつ5分間〜1時間程度静置し、又は
極めてゆつくり撹拌しつつ下層に密度の大きい光
学的異方性相ピツチ部分を濃度高く沈積せしめ、
しかる後、光学的異方性相の濃度の大きい下層を
光学的異方性相の濃度の小さい上層とおよそ分離
して抜き出し、分離された下層の光学的異方性相
含有率が70%〜90%であるピツチを、次に約380
℃以上、好ましくは390℃〜440℃でさらに短時間
熱処理し、光学的異方性相含有率が90%以上の所
望のピツチとする方法が好適である。 以上の如き緒々の本発明に係る方法によつて製
造される光学的異方性炭素質ピツチは、前述した
如き原料を使用することによつて、光学的異方性
相を90%〜100%含有する実質的に均質な光学的
異方性ピツチでありながら低い軟化点を有し、従
来技術では得られなかつた次の利点を得ることが
できる。すなわち、不融物の高温過、溶剤抽
出又は触媒の除去等の複雑でコストの高い工程を
必要とすることなく、短時間(例えば、全反応3
時間)で実質上、均質な光学的異方性相から成
り、且つ低軟化点(例えば、260℃)を有する光
学的異方性炭素質ピツチを得ることができるこ
と、従つて炭素繊維を製造する場合には低い最適
紡糸温度290℃〜380℃を採用することができるこ
と、本発明の方法により製造される光学的異方
性炭素質ピツチは、均質性が優れ、熱分解重縮合
が顕著に発生する約400℃よりはるかに低い温度
で平滑な平面を持つた太さのほとんど変らない繊
維を連続して紡糸することができるから、ピツチ
の紡糸性(糸切れ頻度、糸の細さ、糸のバラツ
キ)が良好であり、又、紡糸中の変質が生じない
ため製品炭素繊維の品質が安定していること、
実質上、紡糸中の分解ガスの発生及び不融物の生
成が生じないから、高速紡糸が可能で且つ紡糸さ
れたピツチ繊維の欠陥が少なく、従つて、炭素繊
維の強度が強くなること、及び実質上、ほとん
ど全体が液晶状の光学的異方性ピツチを紡糸して
炭素繊維を製造することができるから繊維軸方向
の黒鉛構造の配向性がよく発達し、弾性率の高い
炭素繊維を得ることができること、等の予期せざ
る効果を奏することができる。実際に本発明に従
つて製造された光学的異方性ピツチを用いて常法
に従つて炭素繊維に調製すると極めて高強度、高
弾性の炭素繊維が安定性よく得られることがわか
つた。即ち、本発明の方法で得た実質的に均質な
光学的異方性ピツチ(光学的異方性相90%〜100
%含有)は380℃以下の温度で通常の溶融紡糸が
容易であり、糸切れ頻度が少なく、高速で引取り
可能で繊維直径が5μm〜10μmのものも得られ
る。 又本発明によつて生成された実質上均質な光学
的異方性ピツチから得られたピツチ繊維は酸素雰
囲気中220℃以上の温度で10分〜1時間程度にて
不融化され、この不融化処理済のピツチ繊維を
1300℃まで昇温し、炭化焼成して得た炭素繊維の
特性は、繊維直径に依存するが引張り強度2.0〜
3.7×109Ra、引張り弾性率1.5〜3.0×1011Paのも
のが得られ、1500℃まで炭化焼成すると引張り強
度2.0〜4.0×109Pa、引張り弾性率2.0〜4.0×
1011Paのものが得られる。 実施例 1 石油の接触分解で副生するタール状物質を減圧
蒸留して得た常圧に換算して480℃〜540℃の留出
油を原料とした。 本明細書でいう、原料油成分の4成分の分離
は、飯島の方法(飯島博、石油学会誌、(8)、
559(1962))によつて行つた。すなわち試料2g
をn―ヘプタン60mlに溶解し、n―ヘプタン不溶
分をアスフアルテン分として分別し、n―ヘプタ
ン可溶分を活性アルミナ75grを充填した内径2
cm、長さ70cmの温水ジヤケツト付クロマトカラム
管(カラム温度50℃)に注入し流下させn―ヘプ
タン300mlで飽和成分を、次いでベンゼン300mlで
芳香族油分を、最後にメタノール―ベンゼンで十
分溶出してレジン分を分離した。 原料油の特性値はクロロホルム及びn―ヘプタ
ン不溶分を含まず、炭素含有量89.5wt%、水素含
有量9.3wt%、硫黄含有量0.94wt%、クロマトカ
ラムで分離した芳香族油分の含有量は26.9wt%で
そのfaは0.75、数平均分子量379、最高分子量
650、レジン分の含有量は28.2wt%でそのfaは
0.88、数平均分子量375、最高分子量820で飽和成
分の含有量は41.9wt%であつた。この原料油1000
grを熱処理装置に張込み、窒素ガス気流下で十
分撹拌しながら、430℃で1.5時間熱処理し、軟化
点228℃、比重1.32、キノリン不溶分15wt%で偏
光顕微鏡で観察すると、光学的等方性の母相中に
直径が200μ以下の光学的異方性相小球体を45%
含むピツチが原料油に対し14.2wt%の収率で得ら
れた。 このピツチを下部に抜き出し用のコツクを備え
た内径4cm、長さ20cmの円筒形の反応器にとり、
窒素雰囲気下で毎分30回転で撹拌しつつ、380℃
で1時間保ち、次に窒素加圧下100mmHgで反応
容器の下部コツクを開き静かにやゝ粘稠な下層ピ
ツチを張込み量に対し30.5wt%抜き出し、次にピ
ツチの粘度が著るしく低下するまで抜き出し二層
の境界ピツチとし、更に61wt%の低粘度の上層
ピツチを抜き出した。 上層ピツチは、直径が20μ以下の光学的異方性
相小球体約20%含む光学的等方性相のピツチで軟
化点214℃、比重1.31、キノリン不溶分3wt%、炭
素含有量93.4wt%、水素含有量4.9wt%であつ
た。境界ピツチは母相中に直径が20μm以下の光
学的異方性相小球体を含む光学的等方性相と塊状
の光学的異方性相が複雑に入り込んで混在する不
均質なピツチであつた。 下層ピツチは大きな流れ構造をもつた90%以
上、光学的異方性相で軟化点256℃、比重1.34、
n―ヘプタン可溶分(O成分)6wt%、n―ヘプ
タン不溶・ベンゼン可溶分(A成分)32wt%、
ベンゼン不溶・キノリン可溶分(B成分)28wt
%、キノリン不溶分(C成分)34wt%、炭素含
有量94.9wt%、水素含有量4.6wt%であつた。こ
のピツチを試料1―1とした。 これを、次の操作により紡糸し炭素繊維特性を
評価した。すなわち、試料を直径0.5mmのノズル
をもつ紡糸器で340℃の温度に保持し、ゆつくり
撹拌しつつ200mmHg以下の窒素圧下でノズルよ
り押出して下のボビンに巻取りながら紡糸したと
ころ500m/分の速さで糸切れ頻度も少なく、ま
た紡糸中のピツチの変性も少なく、繊維太さの細
いピツチ繊維を長時間にわたり得られた。紡糸し
て得たピツチ繊維を酸素雰囲気中230℃で30分間
不融化処理を施し、次に不活性ガス中で30℃/分
の速度で1500℃まで昇温後放冷して炭素繊維を得
た。 また、同一の原料油を前述の熱処理装置で、熱
重縮合時間を十分に長くし、430℃で3時間熱処
理したところ光学的異方性相を95%以上含有する
ピツチが収率5.6%で得られた。このピツチの軟
化点は302℃であり、比重1.36、O成分2wt%、A
成分18wt%、B成分21wt%、C成分59wt%炭素
含有量95.2wt%、水素含有量4.4wt%であつた。
このピツチを試料1―2とする。 このピツチを上述の紡糸器で375℃で紡糸し、
同様の方法で炭素繊維とした。 これらの紡糸および炭素繊維の特性評価結果を
まとめ第1表に示した。 比較例 1 ナフサの熱分解で副生する重質油をフイルター
で過したものを原料とした。 この原料油の特性は、その沸点範囲が常圧に換
算して250℃から540℃までの成分がほとんどであ
り、クロロホルム不溶分を含有せず炭素含有量
90.6wt%、水素含有量8.8wt%、硫黄含有量
0.77wt%であり、n―ヘプタン不溶分すなわちア
スフアルテン分に相当するものは12.1wt%でその
数平均分子量は1140その最高分子量は4600、その
faは0.70、クロマト分離した芳香族油分は53.7wt
%で、その数平均分子量は260、その最高分子量
は550そのfaは0.69、レジン分は15.2wt%でその
数平均分子量は720、その最高分子量は2800、そ
のfaは0.66であつた。また飽和炭化水素成分は
18.5wt%であつた。この原料油1000grを実施例
1と同じ熱処理装置に張り込み、窒素ガス気流下
で十分撹拌しながら、415℃で3時間熱処理して
108grの残留ピツチを得た。このピツチはO成
分19wt%、A成分22wt%、B成分45wt%及びC
成分14wt%であり偏光顕微鏡で観察すると、光
学的異方性部分が全体の50%に満たなかつたが、
その軟化点はすでに335℃にも達しており、この
ピツチを用いていかなる温度でも実施例1のよう
に光学的異方性部分を下層として分離することは
不可能であつた。このピツチ試料を試料2とし、
実施例8で使用した。 実施例 2 石油の精製工程で副生する沸点範囲約300℃〜
450℃の軽油を原料とした。原料油の特性値は炭
素含有量87.7wt%、水素含有量10.0wt%、硫黄含
有量2.1wt%、n―ヘプタン不溶分0%でクロマ
トカラムで分離した芳香族油分の含有量は44.4wt
%でその特性値はfa0.79、数平均分子量263、最
高分子量700、レジン分の含有量は20.3wt%でそ
の特性値はfa0.83、数平均分子量353、最高分子
量950で飽和成分の含有量は34wt%であり、この
原料油600grを容量1のオートクレーブに張
込み、窒素ガス置換後昇温し、低分子量の分解生
成物による昇圧をリークバルブで抜きながら5
Kg/cm2の加圧下に保ちつつ十分撹拌しながら430
℃で3時間熱処理し、このピツチを常圧下380℃
で1時間窒素ストリツピングし、軟化点210℃、
キノリン不溶分12%で偏光顕微鏡で観察すると光
学的等方性の母相に直径200μ以下の光学的異方
性相小球体を60%含むピツチが原料油に対し
1.5wt%の収率で得られた。 このピツチを実施例1と同じ反応容器を用い、
380℃で2時間保ち窒素加圧下100mmHgで反応容
器の下部コツクより粘稠な下層ピツチを張込量に
対し35wt%の収率で得た。 この下層ピツチは大きな流れ構造をもつた約95
%が光学的異方性相で軟化点285℃、比重1.35、
O成分3wt%、A成分28wt%、B成分27wt%、C
成分42wt%、炭素含有量93.8wt%、水素含有量
4.7wt%であつた。このピツチを試料3とし実施
例8で使用した。 実施例 3 石油精製工程で副生する沸点250〜540℃を主成
分とする重質油を80℃でフイルターで過しクロ
ロホルム不溶分を除去したものを原料とした。原
料油の特性値は炭素含有量89.27wt%、水素含有
量8.72wt%、硫黄含有量2.2wt%でn―ヘプタン
不溶のアスフアルテン分の含有量は1.4wt%でそ
のfaは0.75、数平均分子量705、最高分子量1320
で、クロマトカラムで分離した芳香族油分の含有
量は40.0wt%で、そのfaは0.83、数平均分子量
335、最高分子量910、レジン分の含有量は7.8wt
%でそのfaは0.83、数平均分子量は508、最高分
子量は1270であつた。飽和成分の含有量は47.3wt
%であつた。この原料油1000grを実施例1と同
じ方法で415℃で3時間熱処理し、軟化点236℃、
比重1.32、キノリン不溶分11.9wt%で、偏光顕微
鏡で観察すると光学的等方性の母相中に直径が
200μ以下で真球状の光学的異方性小球体を約50
%含むピツチが原料に対し9.3wt%の収率で得ら
れた。 このピツチを実施例1と同じ方法で370℃で1
時間保ち反応容器の下部コツクより粘稠な下層ピ
ツチを張込量に対し45wt%抜き出した。この下
層ピツチは大きな流れ構造をもつた95%以上が光
学的異方性のピツチで軟化点268℃、比重1.35、
O成分12wt%、A成分29wt%、B成分25wt%、
C成分34wt%であつた。この下層ピツチを試料
4とし実施例8で使用した。 比較例 2 比較のため、石油から潤滑油を製造する工程で
副生する常圧換算沸点450〜540℃の成分を主成分
とするフエノール抽出油を原料とした。原料油の
特性値は、クロロホルム不溶分を含まず炭素含有
量85.42wt%、水素含有量10.27wt%、硫黄含有量
4.3wt%、n―ヘプタン不溶分0%で、クロマト
カラムで分離した芳香族油分の含有量は76wt%
でそのfaは0.4以下で、数平均分子量は428、最高
分子量960、レジンの含有量は9wt%で、そのfa
は0.5以下で、数平均分子量403、最高分子量1250
であつた。 この原料油を実施例1と同じ方法で430℃で1.5
時間熱処理した。得られたピツチは、軟化点273
℃、キノリン不溶分13%で偏光顕微鏡で観察する
と光学的等方性の母相に20μm以下の微小の光学
的異方性相を約20%含むピツチで、その収率は原
料油に対し9.7wt%であつた。 このピツチは実施例1のような光学的異方性相
の沈積分離ができなかつた。 又同じく430℃で3時間熱処理して得られたピ
ツチは、偏光顕微鏡で観察すると光学的等方性相
と光学的異方性相とがほぼ等量で複雑に入り組ん
で混在する不均質なピツチで、キノリン不溶分O
成分18wt%、A成分23wt%、B成分12wt%、C
成分47wt%、軟化点は355℃であり、その収率は
7.8wt%であつた。 このピツチは実施例1のように光学的異方性相
の沈積分離ができなかつた。 このピツチを試料5とし実施例8で使用した。 実施例 4 石油の接触分解で副生するタール状物質を常圧
に換算して540℃まで減圧蒸留して得た釜底ター
ルを、実施例1と同じ方法で480℃で3時間熱処
理したとき熱処理装置の系外へ留出した沸点範囲
480〜540℃を主成分とする油状物質を原料とし
た。この原料の特性値は、クロロホルム不溶分を
含まず、炭素含有量93.0wt%、水素含有量6.0wt
%、硫黄含有量0.99wt%、n―ヘプタン不溶分
7.2%で、そのfaは0.91、数平均分子量520、最高
分子量950、クロマトカラムで分離した芳香族油
分の含有量は59.6wt%でそのfaは0.87、数平均分
子量341、最高分子量780、レジン分の含有量は
30.4wt%で、そのfaは0.91、数平均分子量430、
最高分子量810で、飽和成分の含有量は1.1wt%で
あつた。 この原料油600gを実施例2と同じ方法で、加
圧下で420℃で3時間熱処理し、その後このピツ
チを常圧下380℃で2時間ストリツピングし、軟
化点212℃、比重1.33、キノリン不溶分2%で、
偏光顕微鏡で観察すると、光学的等方性の母相中
に直径が200μm以下の真球状の光学的異方性小
球体を約40%含むピツチが原料油に対し22.0wt%
の収率で得られた。 このピツチを実施例と同じ方法で380℃で1時
間保ち、反応容器の下部コツクよりやゝ粘稠な下
層のピツチを張込量に対し10wt%抜き出した。
この下層ピツチは大きな流れ構造をもつたほとん
ど100%光学的異方性ピツチで軟化点264℃、比重
1.35、O成分4wt%、A成分24wt%、B成分34wt
%、C成分38wt%であつた。このピツチを試料
6とし実施例8で使用した。 実施例 5 石炭を分解液化したタール状物質を減圧蒸留し
て得た常圧に換算して250〜540℃の留出油を原料
とした。原料油の特性値は炭素含有量89.7wt%、
水素含有量7.5wt%、n―ヘプタン不溶分は含ま
ず、クロマトカラムで分離した芳香族油分の含有
量は51wt%で、その特性値はfa0.74、数平均分子
量254、最高分子量560、レジン分の含有量は
23wt%でその特性値はfa0.76、数平均分子量
347、最高分子量840であつた。この原料油1000g
rを実施例1と同じ方法で430℃で2時間熱処理
し、軟化点205℃、比重1.04、キノリン不溶分
18wt%で偏光顕微鏡で観察すると、光学的等方
性の母相に直径が200μ以下で真球状の光学的異
方性相小球体を約60%含むピツチが原料油に対し
9.5wt%の収率で得られた。 このピツチを実施例1と同じ方法で380℃で1
時間保ち、反応容器の下部コツクよりやゝ粘稠な
下層ピツチを張込量に対し39.0wt%抜き出した。
この下層ピツチは大きな流れ構造をもつた100%
光学的異方性ピツチで、軟化点272℃、比重
1.36、O成分6wt%、A成分26wt%、B成分20wt
%、C成分48wt%であつた。 この下層ピツチを試料7とし実施例8を使用し
た。 実施例 6 石油の接触分解で副生するタール状物質を減圧
蒸留して得た常圧に換算して480℃〜540℃の留出
油を原料とした。原料油の特性値は、n―ヘプタ
ン不溶分を含有せず炭素含有量89.5wt%、水素含
有量9.3wt%、硫黄含有量0.94wt%、クロマトグ
ラムで分離した芳香族油分の含有量は26.9wt%で
そのfaは0.75、数平均分子量379、最高分子量
650、レジン分の含有量は28.2wt%でそのfaは
0.88、数平均分子量375最高分子量820で、飽和成
分の含有量は41.9wt%であつた。 この原料1000grを内容積1.45のステンレス
製反応装置に張込み、窒素ガス気流下で十分撹拌
しながら430℃に保つて1.5時間熱分解重縮合反応
に供し、残留ピツチとして軟化点228℃、比重
1.32、キノリン不溶分15wt%で、偏光顕微鏡で観
察すると光学的等方性の母相中に直径が100μm
以下の真球状の光学的異方性球体を約45%含むピ
ツチが、原料に対して14.2wt%の収率で得られ
た。次にこのピツチ1000grを約300mlの円筒型
ガラス製容器にとり、窒素雰囲気下360℃で30分
間、撹拌せずに保持し、次にこれを放冷し、ガラ
ス製容器を破壊してピツチをとり出した。このピ
ツチは肉眼でも上層と下層が分離していること
が、その光沢のちがいから認められ、上層のピツ
チ塊と下層のピツチ塊をはく離して分別すること
ができ、下層ピツチは約35gr得られた。偏光顕
微鏡で観察すると上層ピツチは直径が50μm以下
の光学的異方性球を約25%含む大部分が光学的等
方性のピツチであり、下層ピツチは、50μm程度
の直径の光学的等方性の球を約20%含む大部分が
光学的異方性のピツチ、すなわち約80%の光学的
異方性相の含有率を示すピツチであつた。次にこ
の下層ピツチを50mlのガラス製容器に入れ撹拌し
つつ400℃で30分間熱処理して約34grのピツチ
を得た。このピツチの軟化点を測定すると、258
℃であり、そのO成分4wt%、A成分32wt%、B
成分28wt%、C成分36wt%、光学的異方性相の
含有率は約95%以上であつた。 次に、このピツチを、直径0.5mmのノズルを有
する紡糸器に充填し、340℃で溶融し、100mmHg
の窒素圧で押出し、高速で回転するボビンに巻取
つて紡糸したところ500m/分の引取り速度でほ
とんど糸切れなく、繊維径8〜12μmのピツチ繊
維が得られた。このピツチ繊維の一部を、酸素雰
囲気中230℃で1時間保持し、次に窒素ガス中で
30℃/分の昇温速度で1500℃迄加熱して、すぐ放
冷し、炭素繊維を得たところこの炭素繊維の引張
り強度は約3GPa、引張り弾性率は約2.2×102GPa
を示した。 実施例 7 石油の精製工程で副生する沸点250〜540℃を主
成分とする重質油を80℃でフイルターで過して
クロロホルム不溶分を除いた炭素含有率89.3wt
%、水素含有率8.7wt%、硫黄含有率2.2wt%、比
重1.04の実施例3と同じ重質油を出発原料とし
た。原料1000grを内容積1.45のステンレス製
反応装置に張込み、窒素ガス気流下で、十分撹拌
しながら、415℃に保つて3時間熱分解重縮合反
応に供し、残留ピツチとして、軟化点236℃、比
重1.32、キノリン不溶分(C成分)12wt%で、偏
光顕微鏡で観察すると、光学的等方性の母相中
に、直径が200μm以下の真球状の光学的異方性
球体を約50%含むピツチが、原料に対して9.1wt
%の収率で得られた。次にこのピツチを下部に抜
き出し用バルブを備えた内径4cm、長さ70cmの円
筒形容器にとり、窒素雰囲気下で毎分15回転で撹
拌しつつ、360℃で30分間保持した後、窒素加圧
下100mmHgで容器の下部バルブを開き、やゝ粘
稠な下層のピツチを、静かに流下させ、窒素ガス
を流通してある容器に捕集した。このようにして
流下するピツチの粘度が顕著に低下するまで抜き
取つたピツチを下層ピツチと呼びその収率は張込
量に対し約48wt%であつた。さらに容器に残つ
た上層のピツチを流出させ別に捕集したピツチを
上層ピツチと呼びその収率は、張込量に対し約
51wt%であつた。上層ピツチは主として直径が
20μm以下の真球状の光学的異方性相小球体を約
20%含む大部分は光学的等方性相のピツチであ
り、一方下層ピツチは、等方性相を15〜20%包含
する大部分は大きな流れ模様をもつた光学的異方
性相から成るピツチであつた。次にこの下層ピツ
チをさらに50mlの反応容器中で窒素雰囲気下で十
分撹拌しつつ390℃で約30分間熱処理して得られ
たピツチを試料9、約50分間熱処理して得られた
ピツチを試料10とすると、試料10は偏光顕微鏡の
観察によつて、全て光学的異方性相であり、約
259℃の軟化点、試料9はまだ約5%の光学的等
方性相を微小球状に包含する大部分が光学異方性
相のピツチで、軟化点は255℃であつた。 次に試料9および10のピツチを、直径0.5mmの
ノズルを有する紡糸器に充填し、350℃近傍の温
度で溶融し、200mmHg以下の窒素圧で押出し、
高速で回転するボビンに巻取つて紡糸したところ
いずれのピツチも500m/分の高速で、糸切れも
少く繊維径の8〜10μmのピツチ繊維を長時間に
わたつて紡糸することができた。試料9と10から
のピツチ繊維を実施例1と同様の方法にて不融化
と炭化を行ない、その特性を評価するといずれも
その平均引張強度は約3GPa、その平均引張弾性
率は約3×102GPaであつた。 実施例 8 前述の試料2〜7のピツチを、直径0.5mmのノ
ズルを有する紡糸器につめ、昇温し、ゆつくり撹
拌しつつ窒素ガス200mmHg以下で押し出して、
最適溶融紡糸温度を確かめながら、下部にあるボ
ビンに引取つて紡糸し、ピツチ繊維を製造した。
その後このピツチ繊維を酸素気流中で240℃で30
分間保持して不融化し、これを30℃/分の昇温速
度で不活性ガス雰囲気で1500℃まで加熱し、放冷
して炭素繊維を得た。各試料の紡糸時の性能、お
よび炭素繊維としての性能評価結果について第1
表にまとめて示した。 本発明の方法による試料1,3,4,6,7に
ついては優れた結果であつたが、本発明によらな
い試料5についてはいかなる温度でも全く紡糸が
できず、また試料2については380℃以下では紡
糸ができず、405℃で300m/分の速度で少量の紡
糸が可能であつたが、生成した炭素繊維は性能の
劣るものであつた。
【表】
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 石油の接触分解又は石炭の分解液化により得
    られ、沸点が250℃〜540℃の範囲内の主として炭
    素と水素から成る化合物の混合物であつて、クロ
    ロホルム不溶分を実質的に含有せず、該混合物の
    主成分が芳香族油分及びレジン分であり、該芳香
    族油分及びレジン分の各々の芳香族構造炭素分率
    (fa)が0.6以上、数平均分子量が250〜1000で、
    且つ最高分子量が2000以下とされた油状又はター
    ル状物質を出発原料として使用し、該出発原料を
    熱分解重縮合反応に供し、これにより光学的異方
    性相部分を20%〜80%生成させた後、より比重の
    大きい光学的異方性相を多く含む部分を、より比
    重の小さい光学的等方性相の多い部分から分離し
    て取り出すことを特徴とする炭素材用の低軟化点
    光学的異方性炭素質ピツチの製造方法。 2 芳香族油分及びレジン分の各々のfaが0.7以
    上である特許請求の範囲第1項記載の製造方法。 3 芳香族油分及びレジン分の各々の数平均分子
    量が750以下であり、且つ各々の最高分子量が
    1500以下である特許請求の範囲第1項記載の製造
    方法。 4 出発原料が熱分解重縮合反応の分解留出油か
    ら得られる沸点250℃〜540℃の範囲内の主として
    炭素と水素から成る化合物の混合物である特許請
    求の範囲第1項記載の製造方法。 5 熱分解重縮合反応は380℃以上の温度で行な
    う特許請求の範囲第1項記載の製造方法。 6 熱分解重縮合反応は400℃〜440℃の範囲の温
    度で行なう特許請求の範囲第5項記載の製造方
    法。 7 熱分解重縮合反応は、加圧下で熱分解重縮合
    を行なう第一工程と、脱揮しながら加熱処理を行
    なう第二工程とから成る特許請求の範囲第1項記
    載の製造方法。 8 光学的異方性炭素質ピツチの軟化点は230℃
    〜320℃の範囲内にあり、且つ光学的異方性相部
    分が90%〜100%である特許請求の範囲第1項記
    載の製造方法。 9 石油の接触分解又は石炭の分解液化により得
    られ、沸点が250℃〜540℃の範囲内の主として炭
    素と水素から成る化合物の混合物であつて、クロ
    ロホルム不溶分を実質的に含有せず、該混合物の
    主成分が芳香族油分及びレジン分であり、該芳香
    族油分及びレジン分の各々の芳香族構造炭素分率
    (fa)が0.6以上、数平均分子量が250〜1000で、
    且つ最高分子量が2000以下とされた油状又はター
    ル状物質を出発原料として使用し、該出発原料を
    熱分解重縮合反応に供し、これにより光学的異方
    性相部分を20%〜80%生成させた後、より比重の
    大きい光学的異方性相を多く含む部分を、より比
    重の小さい光学的等方性相の多い部分から分離し
    て取り出し、更に取り出された該光学的異方性相
    を多く含む部分を熱処理することを特徴とする炭
    素材用の低軟化点光学的異方性炭素質ピツチの製
    造方法。 10 芳香族油分及びレジン分の各々のfaが0.7
    以上である特許請求の範囲第9項記載の製造方
    法。 11 芳香族油分及びレジン分の各々の数平均分
    子量が750以下であり、且つ各々の最高分子量が
    1500以下である特許請求の範囲第9項記載の製造
    方法。 12 出発原料が熱分解重縮合反応の分解留出油
    から得られる沸点250℃〜540℃の範囲内の主とし
    て炭素と水素から成る化合物の混合物である特許
    請求の範囲第9項記載の製造方法。 13 熱分解重縮合反応は380℃以上の温度で行
    ない、熱処理は380℃以上の温度で行なう特許請
    求の範囲第9項記載の製造方法。 14 熱分解重縮合反応は400℃〜440℃の範囲の
    温度で行なう特許請求の範囲第13項記載の製造
    方法。 15 熱分解重縮合反応は、加圧下で熱分解重縮
    合を行なう第一工程と、脱揮しながら加熱処理を
    行なう第二工程とから成る特許請求の範囲第9項
    記載の製造方法。 16 360℃〜380℃の温度範囲に保持しつつ分離
    した下層の光学的異方性相の含有量が約70%〜約
    90%である特許請求の範囲第9項記載の製造方
    法。 17 熱処理は390℃〜440℃の範囲の温度で行な
    う特許請求の範囲第13項記載の製造方法。 18 光学的異方性炭素質ピツチの軟化点は230
    ℃〜320℃の範囲内にあり、且つ光学的異方性相
    部分が90%〜100%である特許請求の範囲第9項
    記載の製造方法。 19 石油の接触分解又は石炭の分解液化により
    得られ、沸点が250℃〜540℃の範囲内の主として
    炭素と水素から成る化合物の混合物であつて、ク
    ロロホルム不溶分を実質的に含有せず、該混合物
    の主成分が芳香族油分、レジン分及びアスフアル
    テン分であり、該芳香族油分及びレジン分の各々
    の芳香族構造炭素分率(fa)が0.6以上、数平均
    分子量が250〜1000、最高分子量が2000以下で、
    該アスフアルテン分の芳香族構造炭素分率(fa)
    が0.6以上、数平均分子量が250〜1000、最高分子
    量が2000以下とされた油状又はタール状物質を出
    発原料として使用し、該出発原料を熱分解重縮合
    反応に供し、これにより光学的異方性相部分を20
    %〜80%生成させた後、より比重の大きい光学的
    異方性相を多く含む部分を、より比重の小さい光
    学的等方性相の多い部分から分離して取り出すこ
    とを特徴とする炭素材用の低軟化点光学的異方性
    炭素質ピツチの製造方法。 20 芳香族油分、レジン分及びアスフアルテン
    分の各々のfaが0.7以上である特許請求の範囲第
    19項記載の製造方法。 21 芳香族油分、レジン分及びアスフアルテン
    分の各々の数平均分子量が750以下であり、且つ
    各々の最高分子量が1500以下である特許請求の範
    囲第19項記載の製造方法。 22 出発原料が熱分解重縮合反応の分解留出油
    から得られる沸点250℃〜540℃の範囲内の主とし
    て炭素と水素から成る化合物の混合物である特許
    請求の範囲第19項記載の製造方法。 23 熱分解重縮合反応は380℃以上の温度で行
    なう特許請求の範囲第19項記載の製造方法。 24 熱分解重縮合反応は400℃〜440℃の範囲の
    温度で行なう特許請求の範囲第23項記載の製造
    方法。 25 熱分解重縮合反応は、加圧下で熱分解重縮
    合を行なう第一工程と、脱揮しながら加熱処理を
    行なう第二工程とから成る特許請求の範囲第19
    項記載の製造方法。 26 光学的異方性炭素質ピツチの軟化点は230
    ℃〜320℃の範囲内にあり、且つ光学的異方性相
    部分が90%〜100%である特許請求の範囲第19
    項記載の製造方法。 27 石油の接触分解又は石炭の分解液化により
    得られ、沸点が250℃〜540℃の範囲内の主として
    炭素と水素から成る化合物の混合物であつて、ク
    ロロホルム不溶分を実質的に含有せず、該混合物
    の主成分が芳香族油分、レジン分及びアスフアル
    テン分であり、該芳香族油分及びレジン分の各々
    の芳香族構造炭素分率(fa)が0.6以上、数平均
    分子量が250〜1000、最高分子量が2000以下で、
    該アスフアルテン分の芳香族構造炭素分率(fa)
    が0.6以上、数平均分子量が250〜1000、最高分子
    量が2000以下とされた油状又はタール状物質を出
    発原料として使用し、該出発原料を熱分解重縮合
    反応に供し、これにより光学的異方性相部分を20
    %〜80%生成させた後、より比重の大きい光学的
    異方性相を多く含む部分を、より比重の小さい光
    学的等方性相の多い部分から分離して取り出し、
    更に取り出された該光学的異方性相を多く含む部
    分を熱処理することを特徴とする炭素材用の低軟
    化点光学的異方性炭素質ピツチの製造方法。 28 芳香族油分、レジン分及びアスフアルテン
    分の各々のfaが0.7以上である特許請求の範囲第
    27項記載の製造方法。 29 芳香族油分、レジン分及びアスフアルテン
    分の各々の数平均分子量が750以下であり、且つ
    各々の最高分子量が1500以下である特許請求の範
    囲第27項記載の製造方法。 30 出発原料が熱分解重縮合反応の分解留出油
    から得られる沸点250℃〜540℃の範囲内の主とし
    て炭素と水素から成る化合物の混合物である特許
    請求の範囲第27項記載の製造方法。 31 熱分解重縮合反応は380℃以上の温度で行
    ない、熱処理は380℃以上の温度で行なう特許請
    求の範囲第27項記載の製造方法。 32 熱分解重縮合反応は400℃〜440℃の範囲の
    温度で行なう特許請求の範囲第31項記載の製造
    方法。 33 熱分解重縮合反応は、加圧下で熱分解重縮
    合を行なう第一工程と、脱揮しながら加熱処理を
    行なう第二工程とから成る特許請求の範囲第27
    項記載の製造方法。 34 360℃〜380℃の温度範囲に保持しつつ分離
    した下層の光学的異方性相の含有量が約70%〜約
    90%である特許請求の範囲第27項記載の製造方
    法。 35 熱処理は390℃〜440℃の範囲の温度で行な
    う特許請求の範囲第31項記載の製造方法。 36 光学的異方性炭素質ピツチの軟化点は230
    ℃〜320℃の範囲内にあり、且つ光学的異方性相
    部分が90%〜100%である特許請求の範囲第27
    項記載の製造方法。
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