JPH0525712A - カーボンフアイバーの製造方法 - Google Patents

カーボンフアイバーの製造方法

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JPH0525712A
JPH0525712A JP34147691A JP34147691A JPH0525712A JP H0525712 A JPH0525712 A JP H0525712A JP 34147691 A JP34147691 A JP 34147691A JP 34147691 A JP34147691 A JP 34147691A JP H0525712 A JPH0525712 A JP H0525712A
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fibers
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JP34147691A
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William R Sawran
ウイリアム・アール・ソーラン
John W Newman
ジヨン・ダブリユー・ニユーマン
Clifford Ward
クリフオード・ワード
Frank H Turrill
フランク・エツチ・トリル
Norman W Hall
ノーマン・ダブリユー・ホール
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 容易に安定化できかつ高強度コンポジットの
使用に適したカーボンファイバーを形成する。 【構成】 ピッチ中に存在する水素のモル数を基準とし
て約20モル%から約40モル%のアルファ水素を含む
芳香族分の多い石油ピッチからなり、少なくとも244
℃の軟化点、約15重量%から約40重量%のキシレン
不溶分、約0重量%から約5.0重量%のキノリン不溶
分、約0.1重量%から約4重量%の硫黄含有量、65
重量%から90重量%のコーキング値、及び0重量%か
ら約5重量%のメソフェーズ含量を持つ前記石油ピッチ
からファイバーをメルトブローにより形成させることか
らなる、カーボンファイバーの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカーボンファイバー製造
用石油ピッチに関する。。
【0002】
【従来の技術】カーボンファイバー及びグラファイトフ
ァイバー並びにそれらからつくったコンポジットは軽量
航空機、宇宙構造物、自動車部品、スポーツ用具のよう
な広汎な応用に於いて増大する用途を見出しつつある。
重量あたりの高強度比のために、これらコンポジットの
用途はさらに増えることが将来期待される。
【0003】代表的にはカーボンファイバーまたはグラ
ファイトファイバーの製造に於ては、炭素質物質を溶融
し、慣用の紡糸技術によって糸またはフィラメントに紡
糸し、その後、フィラメントをカーボンファイバーまた
はグラファイトファイバーへ転化させる。慣習的には、
紡糸フィラメントは酸化雰囲気中の熱処理によって安定
化、すなわち、不融性となされ、その後、不活性雰囲気
中でより高温へ加熱してそれをカーボンファイバーまた
はグラファイトファイバーへ転化する。
【0004】在来の技術はカーボンファイバーまたはグ
ラファイトファイバーを製造するのに利用でる多くの各
種炭素質物質(ときにはファイバー前駆体とよぶ)を開
示している。しかし、二つの最も顕著な商業的方法はメ
ソフェーズピッチあるいはポリアクリロニトリルを採用
している。このような物質の使用により高強度グラファ
イトファイバーを製造することができる。
【0005】カーボンファイバーまたはグラファイトフ
ァイバーが商業的応用に於てより広く受け入れられるに
は、改善されたより経済的なファイバーが開発されねば
ならない。三つの顕著な製造コストはファイバーがつく
られる供給原料の製造、ファイバーの紡糸、及び、ファ
イバーの安定化とその後の最終生成物への転化、コス
ト、である。
【0006】比較的高価で構造的に高性能のグラファイ
トファイバーをメソフェーズピッチから製造する際に
は、最も著しいコストの一つはメソフェーズピッチの製
造コストである。たいていの方法は通常は慣用のピッチ
を昇温下で数時間にわたって加熱することを必要とす
る。例えば、ルイスらの米国特許明細書第3,967,7
29号、シンガーの米国特許明細書第4,005,183
号、及びシュルツの米国特許明細書第4,014,725
号に於て、メソフェーズピッチの製造ははじめの供給原
料を長時間昇温へ加熱することを必要としている。明ら
かに、このような方法は時間がかかりコストがかかる。
また、メソフェーズピッチは粘度が迅速に上がり紡糸に
不適当となるので、ある特定時間加熱することに注意を
払わねばならない。
【0007】ポリアクリロニトリルからのグラファイト
ファイバーまたはカーボンファイバーの製造またはその
工程に於て比較的高価な供給原料を使用する。一般的に
は、ポリアクリロニトリルからのファイバー製造の総コ
ストはメソフェーズピッチからカーボンファイバーまた
はグラファイトファイバーを製造するコストにほぼ等し
いと考えられている。いずれの方法によっても、グラフ
ァイトファイバーの最終コストは現在ポンドあたり15
ドルから50ドルである。
【0008】ポリアクリロニトリルまたはメソフェーズ
ピッチからつくられる商業的ファイバーの大部分はあと
でグラファイトファイバーへ転化されたファイバーであ
った。グラファイト化温度のために、カーボンファイバ
ー製造に要する温度よりもそれが高いとしても、グラフ
ァイトファイバーはカーボンファイバーより製造コスト
がずっと高い。しかし、グラファイトファイバーのある
機械的強度は一般にはカーボンファイバーよりもすぐれ
ている。 過去に於ては、ピッチをメソフェーズ状態へ
まず転化させることなしにピッチ物質からカーボンファ
イバーを製造する試みがなされた。各種の理由で、これ
らの試みは全く成功せず、現在でも、非メソフェーズピ
ッチ材料から中間的機械性質をもつ低コストカーボンフ
ァイバーを例えばアスベスト代替市場のためにつくる商
業的に経済的な方法は、その必要性が存在している。
【0009】ファイバー前駆体の望ましい特性と望まし
くない特性は従来の技術に於て開示されている。例え
ば、フラーらの米国特許明細書第3,959,448号は
コールタールピッチの軟化点が上がると安定化時間を短
かくし得ることを示している。しかし、付随する欠点が
認められ、すなわち、200℃以上の軟化点をもつコー
ルタールピッチからファイバーを紡糸することはきわめ
て困難である。例えば、ターナーらの米国特許明細書第
3,767,741号を見られたい。同様に、ピッチからつ
くったカーボンファイバーの取扱いは比較的困難であ
る。例えば、キムラらの米国特許明細書第3,639,95
3号を見られたい。
【0010】オータニらの米国特許明細書第3,629,
379号は高真空蒸溜と組合わせた昇温下での熱処理の
使用、及び、反応活性種(パーオキサイド、ハロゲン化
金属、など)の混合物と組合わせた昇温下での加熱処理
を行なって溶融紡糸または遠心紡糸に適したピッチをつ
くることを教えている。加熱処理工程は約1時間であ
り、蒸溜工程は約3時間であり、すべての操作は連続式
でなく回分式である。オータニはまた脂肪鎖成分を減ら
して炭化中のガス放散を制限することの望ましさ、及び
上記引用の反応活性種を用いて炭化用ピッチファイバー
をつくるのに要する安定化時間を減らすことを教えてい
る。
【0011】軟化点のほかに、ピッチ材料のその他の性
質も重要である。例えば、不純物及び粒状物の存在、分
子量及び分子量範囲、及び芳香族性度、である。また、
ピッチ材料の化学的組成は、特に炭化前のファイバーの
安定化に関するかぎり重要である。実際に、各種の添加
剤及び他の技法は、迅速かつ容易に安定化され得るピッ
チファイバーを提供するために、ピッチ材料への添加に
関して従来技術に示されている。例えばバールらの欧州
特許出願80400136(28・01・80登録)、バ
ールらの「カーボン」第16巻、439-444頁(ペル
ガモン プレス社、1979年)、及びオータニの米国
特許明細書第3,629,379号を見られたい。
【0012】グラファイトファイバー製造に使用するた
めのメソフェーズ製造を指向した従来技術の多くのもの
の先入主と対照的に、本発明ははるかに低いコストでカ
ーボンファイバーへ迅速に加工できかつアスベストが現
在使用されている多くの応用に於て使用することを可能
とさせるすぐれた中間的性質をもつ、非メソフェーズの
芳香族分の多いピッチの製造を、本発明は指向してい
る。
【0013】本発明のひとつの重要な目的は、高価なメ
ソフェーズピッチを生成させることなく、慣用の芳香族
分の多い石油誘導ピッチからカーボンファイバーを製造
する経済的方法を提供することである。
【0014】本発明のもうひとつの重要な目的は、ピッ
チをより高温軟化点物質へきわめて短時間の蒸留時間、
好ましくは、約1〜30秒、より好ましくは、5〜25
秒、最も好ましくは、約5〜15秒の間に転化してメソ
フェーズピッチの生成を避けるようにする方法を提供す
ることである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の重要な目的
は、容易に安定化できかつ高強度コンポジットの使用に
適したカーボンファイバーを形成するよう炭化し得る高
い反応をもつ、改善された高軟化点の、すなわち、24
4℃(471°F)またはそれ以上、好ましくは266℃
(510°F)またはそれ以上の軟化点の芳香族分の多
い石油誘導ピッチを提供することである。
【0016】本発明のこの目的は以下の記述と実施例か
ら当業熟練者にとって明らかである。
【0017】本発明の特徴は、カーボンファイバー製造
に於て第I表に示す性質をもつ高軟化点で非メソフェー
ズの急速安定化可能の芳香族分のピッチ材料を調製及び
利用することである。
【0018】 第I表 性質 ASTM試験番号 軟化点℃ D-3104 少くとも244キシレン 不溶分、% D-3671 15-40コーキンク゛ 値、% D-2416 65-90 密度、g/cm3 * 約1.25-1.32に於て、硫黄 % D-1552 0.1-4.0 * ベックマンピクノメータで測定、25℃に於けるg/
cc。パーセントの数字は重量%である。
【0019】本発明のもう一つの特徴は、原油蒸溜から
かあるいは最も好ましくは石油留分の接触分解からの芳
香族性重質スラリー油の加熱分解から得られる酸化され
ていない炭素質ピッチであるピッチ材料から、上述の芳
香族分の多いピッチ材料を製造することである。それは
さらに芳香族分の多いサーマル石油ピッチとしてさらに
特徴づけることができる。本発明のピッチと必ずしも同
等でない各種ピッチの製造は既知であり、ナッシュの米
国特許明細書第2,768,119号、及びベルの米国特
許明細書第3,140,249号に示されている。これら
のより慣用的なピッチの性質は第II表に於てさらによく
規定されている。
【0020】本発明のもう一つの重要な面は上述の石油
ピッチを低分子量種の除去によって本発明のより高い軟
化点の芳香族分の多いピッチへ転化する方法である。オ
ータニの中の前述の数多くの慣用技術を用いることがで
き、例えばさきに指摘した通りの慣用のバッチ式真空蒸
溜であり、連続式の平衡フラッシュ蒸溜が好ましい。こ
のピッチをより高い軟化点の物質へ転化する良好な方法
は、モンテイの米国特許明細書第3,348,600号及
びモンテイの米国特許明細書第3,349,828号に於
て示されるタイプの短滞留時間の塗布膜(wiped film)
蒸発器を使用することである。
【0021】約550以下の分子量をもつ物質の25重
量%以上、好ましくは25から50重量%、最も好まし
くは45から55重量%を除去することが特に好まし
い。
【0022】本発明のもう一つの重要な面はケラーらの
米国特許明細書第3,755,525号、ハーティングら
の米国特許明細書第3,825,380号、及びブンティ
ンの米国特許明細書第3,849,241号に於て開示さ
れているメルトブロー法を使用して高軟化点ピッチをフ
ァイバーの連続マットの形に加工することである。連続
フィラメントファイバーはまた上記引用のダイ技術を用
いて製造することができる。
【0023】この技術はポリプロピレンのような重合物
質へうまく応用されてきたが、我々は高品質のピッチフ
ァイバーマットの製造を可能とさせるメルトブロー法の
修正に成功したのである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明はきわめて細い
径、例えば約6から30ミクロン、より可能性のあるの
は約8から20ミクロン、そして最も選択的には約10
から14ミクロンのファイバーの製造を可能とさせるも
のである。このような直径をもつファイバーはより太い
直径のファイバーが適さなかったいくつかの特殊な応用
を可能とする。
【0025】何らかの理論に束縛されたくはないが、本
発明の改良された結果は軟化点を上げ芳香族分を多くす
るための処理時間が目的的にきわめて短かく保たれる事
実に基づくものと信じられている。時間を短かく保ちピ
ッチ材料を過度に処理しない場合に、ピッチ中に存在す
るアルキル基は高軟化点ピッチ製造中の熱的脱アルキル
化によって破壊されることなくまた除かれない。全水素
のうちのアルファ水素のパーセンテージは約20から4
0、より好ましくは約25から約35、最も好ましくは
約28から約32である。全水素原子中のベーター水素
のパーセンテージは約2%から15%、より好ましくは
約4%から12%、そして最も好ましくは約6%から1
0%である。全水素原子中のガンマ水素原子のパーセン
テージは好ましくは約1%から10%、より好ましくは
約3%から9%、そして最も好ましくは約5%から8%
である。
【0026】バールらの「ピッチの温和な空気酸化中の
化学変化」[カーボン、第16巻、439−444頁
(1978年)]に於て、コールタールピッチと比べて
より大きい石油ピッチの反応性は石油ピッチ中のアルキ
ル(メチル、エチル)側鎖の高濃度に基因することを認
めている。本発明のピッチの軟化点がほんの僅かの高温
暴露によって実質的に上がる方法を利用することによっ
て、これらの望ましいアルキル側鎖は保存される。その
上、以下で認められる通り、ピッチの化学的組成は、安
定化速度の観点から、増強される。このことはピッチの
反応性を保存しかつファイバー安定化に要する時間を大
いに短縮させる。
【0027】本発明に於て含まれる基本的工程は以下の
ものを含む: 1. 高度に芳香族質であるスラリー油から石油ピッチ
を生成させ、このピッチを真空フラッシュ蒸溜または塗
布膜蒸発にかけて、好ましくは少くとも244℃(47
1°F)、より好ましくは約265℃(510°F)ま
たはそれ以上、そして最も好ましくは254℃から26
6℃(490°Fから511°F)の軟化点をもつ独得
のピッチを、ASTM法D−3104によるメトラー軟
化点装置によって測定して約77℃から122℃、好ま
しくは約122℃の軟化点をもつ変性されていないサー
マル石油ピッチを処理することによってつくり、2.
工程1の高軟化点の芳香族成分の多いピッチを、好まし
くは上述諸特許に記載のメルトブロー法を使用すること
によってピッチファイバーのロービングまたはマットへ
変換させ、3. ピッチへ反応性種を添加することなく
200分以内で、より好ましくは100分以内、最も好ま
しくは約50−90分以内に、工程2に於て生成したピ
ッチファイバーのロービングまたはマット生成物を約1
80℃(356°F)から310℃(590°F)の間
の温度の酸化雰囲気中に於て、好ましくは酸化条件下の
連続式多段熱処理装置の中で安定化させ、4. 工程3
の得られた不融性ロービングまたはマットの生成物を約
1000℃(1832°F)から3000℃(5500
°F)、より好ましくは約900℃から1500℃、最
も好ましくは約1000℃から1200℃の温度へ、そ
れらを炭化またはグラファイト化するためにさらに加熱
する。
【0028】出発ピッチ材料:本発明の方法に於て用い
られる出発石油ピッチは石油留分の接触分解に於て生成
する重質スラリー油から製造された芳香族ベースの酸化
されていない炭素質ピッチである。それはまた芳香族を
高度に含有する酸化されていないサーマル石油ピッチと
して特徴づけることができる。これらのピッチはその融
点にきわめて近い温度に於て剛性のままである。この酸
化されていない出発石油ピッチの好ましい製造方法は、
出発物質として、実質上すべてのパラフィンを流動接触
分解に於て除去した清澄スラリー油またはサイクル油を
使用する。流動接触分解がスラリー油またはサイクル油
から実質上すべてのパラフィンを除去するほどに十分き
びしくない場合には、パラフィンはフルフラールで似て
抽出せねばならない。いずれの場合に於ても、得られる
出発物質は約315℃から540℃の沸点の高芳香族質
油である。この油は約38.7℃から約126.7℃の軟化
点をもつ熱分解石油ピッチを生ずるのに十分な時間の
間、昇温昇圧下で熱分解される。いくつかのその他の酸
化されていない石油ピッチ生成物の製造は、アッシュラ
ンド石油ピッチ240のように必ずしも使用に適してい
るとは考えられないが、ナッシュの米国特許明細書第
2,768,119号及びベルらの米国特許明細書第3,
140,249号に記載されている。第II表は本発明で
使用する出発物質としての用途に適した四つの酸化され
ていない市販の石油ピッチ(A(ソヒオ社製造)、B
(ソヒオ社製)、C(モービル石油製)、及びD(モー
ビル石油製))の比較性質を示している。
【0029】ピッチのアルファ及びベーター水素:本明
細書の他の個所に於て述べる通り、アルファ水素及びベ
ーター水素(すなわち、アルキル側鎖)の保存は本発明
の一つの特定的特色である。上述のアルファ及びベータ
ー水素のパーセンテージはすべての処理が完了してピッ
チファイバーが形成する後に於てもピッチ中に保存され
る。
【0030】アルファ及びベーター水素の含有量は核磁
気共鳴(NMR)法によって分析的に決定することがで
きる。この方法はまた他の水素のタイプ(芳香族的、な
ど)の濃度も決定する。
【0031】ピッチ軟化点:本発明の軟化点は当工業に
周知の方法、好ましくは、本発明のピッチのもつ高軟化
点の見地からステンレス鋼製ボールとカップ及び高温炉
を使用するよう変形したASTM No.D−3104
によって測定する。軟化点は好ましくは少くとも244
℃、より好ましくは約265℃から274℃、最も好ま
しくは約254℃から約266℃の範囲にある。
【0032】ピッチのキシレン不溶分:本発明の物質の
キシレン不溶分含量は約0から約40重量%、より好ま
しくは約0から約35重量%、最も好ましくは約0から
32重量%の範囲にあるべきである。キシレン不溶分は
ASTMNo.D−3671を含めた当工業周知の方法
によって測定する。
【0033】ピッチのキノリン不溶分:本発明のピッチ
のキノリン不溶分は約0から約5重量%、より好ましく
は約0から約1重量%、最も好ましくは約0から約0.
25重量%である。キノリン不溶分は一般には触媒また
は遊離カーボンあるいはメソフェーズカーボンのいずれ
かを示し、できるだけキノリン不溶分含量が低いことが
好ましい。
【0034】ピッチの硫黄含量:本発明のピッチの硫黄
含量は供給原料物質の含量によって決定されるが、でき
るだけ低いことが好ましい。約0.1から約4重量%、
より好ましくは約0.1から約3重量%、及び最も好ま
しくは約0.1から約1.5重量%、の硫黄含有量を本発
明の場合使用できる。環境的考慮及びピッチからの硫黄
のガス化によっておこるファイバー品質の崩壊から低硫
黄含量が望まれる。硫黄含量はASTMNo.D−15
51,D−1552またはその他の当工業周知の他の方
法によって容易に測定される。
【0035】ピッチのコーキング値:本発明のピッチの
コーキング値は一般的にはASTMD No.D−24
16によって測定され、好ましくは、ピッチ全重量を基
準として約65から約90重量%、より好ましくは約7
0から85重量%、最も好ましくは約75から約85重
量%の範囲にある。より高いコーキング値ももちろんあ
り、コーキング値は最終のカーボンファイバー中に安定
化及びすべての他の工程が完了したのちに残るカーボン
のパーセントを大いに表わすものであるからである。
【0036】ピッチのメソフェーズ含量:本発明のピッ
チのメソフェーズ含量は5%程度のあるいはそれ以上に
多い量も特殊の場合には許容されるかもしれないができ
るだけ少ない方が好ましい。一般的には、経済的考慮の
ために、約0%から約5重量%、より好ましくは0から
約1重量量%、最も好ましくは約0から約0.25重量
%の量のメソフェーズが本発明の場合有用である。ピッ
チのメソフェーズ含量%はキノリン不溶分により、ある
いは、直交偏光フィルタを使用して偏光下の顕微鏡下に
存在するメソフェーズの面積を測定(次いで容積及び重
量として計算)することによる光学顕微鏡法により測定
できる。
【0037】 ブルックフィールド粘度(No.2スピンドル使用) 温度 °F(℃) 粘度、センチポイズ 350 (177) 40 395 515 2000 325 (163) 60 - - - 300 (149) 140 - - - 本発明に於て使用する好ましい酸化されていない成分増
強石油ピッチは、他の元素を除外して考えて、約93重
量%から約95重量%の炭素と約5重量%から約7重量
%の水素を含有している。酸素、硫黄、及び窒素のよう
な炭素及び水素以外の元素は望ましくなく、約4重量%
より多く存在すべきではなく、好ましくは4%以下であ
る。ピッチは加工処理の結果低濃度の硬い粒子を含有す
るかもしれない。粒状物質の存在または非存在は分析的
に決定でき、これもまた全く望ましくないものである。
好ましくは粒状物質は0.1%以下、より好ましくは0.
01%最も好ましくは0.001%以下である。例えば、問
題とするピッチの試料はベンゼン、キシレンあるいはキ
ノリンのような芳香族溶剤中に溶かして濾過することが
できる。
【0038】400℃までの昇温下で軟化しないフィル
ター媒体上の何らかの残渣の存在(標準の毛細管融点装
置によって測定)は硬い粒子物質の存在を示す。適性に
ついての別の試験に於ては、問題とするピッチを特定寸
法のオリフィス中に強制的に入れる。オリフィスの閉塞
は許容できない大粒子の存在を示す。灰分も硬い粒子不
純物を確認するのに使用できる。
【0039】アシュランドオイル社により記号A−24
0として供給されているピッチは上述の諸要請を満たす
市販の酸化されていない石油ピッチである。本明細書に
於て引用しているスミスらの「石油ピッチの特性づけと
再生性」に於てより詳細に記述されている。それは以下
の特性をもっている: 本発明の高軟化点をもつ芳香族分の多い好ましいピッチ
材料をつくるために、第III表のピッチを軟化点を24
2℃(471°F)またはそれ以上へ上げ第I表に示し
た特性を付与するように処理する。このようにしてつく
ったピッチは非メソフェーズのピッチである。非メソフ
ェーズが約5重量%より少ないピッチを意味する。この
ようなピッチは一般には当業に於て等方性ピッチとよば
れ、例えばあるゆる方向の軸に沿って測定するときに同
じ値の光線透過のような物理的性質を示すピッチであ
る。
【0040】このようなピッチ材料を製造する努力に於
て、各種の方法が試みられてきた。その結果、好ましい
技法は塗布膜蒸発器を使用することを含むことが発見さ
れた。この技法は生成物の熱的露出時間を減らし、従っ
てよ良好なファイバー前駆体を提供する。適当な塗布膜
蒸発器はマサチューセッツ州ウオルサムのアーチザンイ
ンダストリー社により製造され、ロートサームの商標で
販売されている。これは乱流フィルム(turbulant fil
m)原理で作動する側面の真直ぐな機械的に助けられた薄
膜処理機である。この装置の中に入る供給原料例えばピ
ッチ材料は遠心力によって加熱された蒸発器の壁へ向け
て投げ出されて壁とローターの羽根先端との間に乱流フ
ィルムを形成する。この乱流的に流動するフィルムは蒸
発速度と無関係に全壁面を蔽う。材料は僅か数秒間高温
へ露出される。ロートサーム塗布膜蒸発器は一般には本
明細書に於て引用しているモンテイの米国特許第3,3
48,600号及びモンテイの米国特許第3,349,8
28号に於て示されている。その’600の特許に於て
認められるように、入口と出口の位置を各種に変えるこ
とができる。事実、ロートサーム塗布膜蒸発器の実際の
操作に於ては、供給原料入口(その特許に於てNo.1
8)は生成物出口であり得ることが決定された。以下は
本発明の高軟化点ピッチがいかにして生成するかの例と
して役立つであろう。
【0041】1平方フィート(0.09m2)の蒸発面をも
ちローターの羽根が壁から1/16"(1.6mm)はなれたアーチ
ザンロートサーム塗布膜蒸発器を使用して、多数の実験
を行なった。使用蒸発器は向流式の水平型であり、すな
わち、液体と蒸気は反対方向に移動する。使用凝縮器は
装置の外にあり、実験には機械的真空ポンプの前に一個
のトラップを設けて2基使用した。使用した装置は必要
とする温度の達成及び維持のためにガラス繊維断熱材で
以て厳重に断熱する。使用した系の模型を第1図に示
す。
【0042】
【実施例】アシュランド社製のピッチ、Ashland A-240
を0.0624〜1.25標準空気m3/kgに通すことによ
って酸化し、酸化反応器から取り出されたサンプルの軟
化点が255〜265℃に達するまで、このピッチを5
00°F(260℃)の温度に維持する。酸化反応器か
ら取り出された酸化された物質を真空蒸留又はフラッシ
ュ蒸留して最終のファイバー前駆体ピッチを得た。この
ピッチはASTM D−346.1による軟化点が49
5°F(257℃)であり、ASTM D−4312に
よるトルエン不溶分が19.1%である。その他の性質
としては、次の範囲内であることが判明した。
【0043】 キシレン不溶分(ASTM D−3671) 15〜40重量% キノリン不溶分(ASTM D−2318) 0〜5 重量% メソフェーズ含量 0〜5 重量% 硫黄含量(ASTM D−1552) 0.1〜4 重量% コーキング値(ASTM D−2416) 65〜90重量% この酸化されたA−240ピッチ材料を溶融タンク1に
於て溶融する。それに先立ち、触媒微粉を含む不純物を
濾過して除く。配管2を通り背圧バルブ4を経てゼニス
ポンプ3によって塗布膜蒸発器5の中にポンプで移送す
る。塗布膜蒸発器5を貯槽6に入れた熱油によって加熱
し、これは配管7を通して薄膜蒸発器へポンプで移送す
る。ピッチ材料を薄膜蒸発器5の中で処理するとき、蒸
気は配管8を経て逃げ第一凝縮器及び配管10でつない
だ第二凝縮器の中で凝縮される。蒸気は次に配管12を
通ってコールドトラップ13の中に入り配管14を通っ
て出る。この系には真空ポンプ15から真空を付与す
る。補助真空ポンプ16が主真空ポンプ故障の場合に準
備されている。 1時間あたり15から20ポンド
(6.75から9.0kg)のピッチ供給速度を使用し、こ
れにより高軟化点のピッチが毎時約10ポンド(4.5k
g)生成する。軟化点をあげるのに要する時間は僅かに5
秒から15秒である。用いる絶対圧力は約0.1トール
から0.5トールである。装置の温度は約377℃(71
0°F)で安定化される。第IV表は実験記号1008、1
009、及び1010の本発明の三つの実験結果を示
す。これらの実験は塗布膜蒸発によるものである。
【0044】 第IV表 実験 軟化点 キシレン不溶分 コーキンク゛値 ヘリウム密度 硫黄記号 % % g/cc % 1008 245 15.2 78.1 1.260 2.6 91009 244 17.6 78.4 1.280 2.791010 261 29.1 81.3 1.260 2.61ASTM D-3104 D-3671 D-2416 * D-155 1 番号 * ベックマンピクノメーターにより25℃で測定 (g/cc) 実験記号1010の他のデータは次の通りであった。
【0045】 α水素 35.33モル% β水素 8.58モル% 安定化時間 100分 キノリン不溶分 0〜5重量%内 メソフェーズ 1〜5重量%内 比較の目的で、ピッチ材料を次の方法でつくり、実験記
号は5521[A−410−VR(アシュランド社内コ
ード番号)]とした。すべての生成物は約210℃(4
10°F)の軟化点をもっていた。前述の慣用的製品A
−240ピッチを1ミクロンのガラスファイバー織りフ
ィルターを通して濾過する。約250ポンド(112k
g)のこのピッチを慣用の真空蒸溜器の中に入れ、次い
で343−371℃(650−700°F)へ加熱し、
1トールから2トールの間へ真空とした。第V表(A)
及び(B)はピッチ製造方法に関する追加情報と得られ
た性質を提供する。実験番号5521,5522,56
93及び5855は比較例である。
【0046】 第V表(A) 実験番号 5521 5522 5693 5855蒸溜器への装填量、kg 114 114 114 114 塔頂、% 30 29.6 28.2 32.0 塔底、% 68.8 70.4 72.0 69.4真空、mmHg(絶対値) 1 1 1 1 最終ホ゜ット温度、℃ 364 364 335 342 蒸溜時間、時間 17.0 13.6 27.7 19.0 第V表(B) 試 験 方法 5521 5522 5693 5855 軟化点、℃ D-3104 208 212 212 212キシレン 不溶分(%) D-3671 19.6 19.1 21.6 16.3コーキンク゛ 値(%) D-2416 - - - - 密度(g/cc) * 1.260 1.289 1.275 1.268硫黄(%) D-1552 1.1 - 1.14 1.19 1.33 1.25 灰分(%) D-2415 0.04 0.04 0.03 0.05 * ベックマンピクノメーターによって25℃で測定 (g/cc) 実験番号5522と5855(共にバッチ真空蒸溜であ
り、共に比較例)の他のデータは次の通りであった。
【0047】5522 α水素 33.80モル% β及びγ水素 5.14モル% 安定化時間 約36時間5855 α水素 34.73モル% β及びγ水素 5.47モル% 安定化時間 約36時間 この二つの比較例ではβ水素の比率が小さいので安定化
時間が大きい。
【0048】ファイバーの処理:さらに処理することな
く、この軟化点の上がったピッチ(AR−510−TF
(アシュランド社内コード番号;第IV表の実験記号10
09)及び第IV表の実験記号1010)をブンティンら
の米国特許明細書第3,615,995号及びブンティ
ンらの米国特許明細書第3,684,415号に記載の
タイプのメルトブロー押出機へ供給する。これらの特許
は熱可塑性物質のメルトブローの技法を述べており、こ
の方法においては、溶融状のファイバー形成性熱可塑樹
脂を適当な径の複数個のオリフィスから動いている不活
性熱ガス流の中に押出し、このガスはこの溶融物質をフ
ァイバーとして細くするようにオリフィスをとりかこん
でいるかその近傍にある出口から吹き出し、これらのフ
ァイバーが一つのファイバー流を形成する。不活性熱ガ
ス流はオリフィスから出るフィラメントと同じかあるい
はそれより高い線速度で流れ、従ってフィラメントがこ
のガス流によって引き出されるようになる。ファイバー
はそれの流れの通路の中の受器上に集められて不織マッ
トを形成する。
【0049】ファイバーはA−410−VR(実験番号
5521)を用いて同様につくられる。
【0050】安定化及び炭化 ファイバーを次に以下のように安定化する。
【0051】(AR−510−TF(アシュランド社内
コード番号);実験記号1009)及び実験記号1010
のピッチからつくったファイバーが特に適していること
がわかった特殊な加熱サイクルによって空気中でうまく
安定化される。より具体的にいえば、第2図に示す安定
化サイクルは100分以下の時間でファイバーを安定化
するのに効果的で採用できることが実験的に決定された
が、この時間は商業的基準と調和する時間である。さら
に具体的にいえば、この100分サイクルはこのピッチ
ファイバーを前駆体ピッチのガラス転移点(Tg)(す
なわち約180℃[356°F])より約11℃(20
°F)低く約50分間保持することから成り立ってい
る。続いて約200℃(392°F)へ温度を上げ、3
0分間その温度に保つ。温度を次に約265℃(509
°F)へ上げ、ファイバーを10分間保持する。最後
に、ファイバーを約305℃(581°F)へ加熱し、
この温度で10分間保持する。これらのファイバーを約
1100℃(2000°F)へ窒素雰囲気中で2時間加
熱してカーボンファイバーへ転化させたのちにこれらの
ファイバーの物理的性質は第VI表に示されている。
【0052】「酸化」環境とは、酸化雰囲気またはファ
イバー表面内部または表面上に含浸された酸化性物質の
いずれかを意味する。酸化雰囲気は空気、酸素補強空
気、酸素、オゾン、窒素酸化物、硫黄酸化物、などのよ
うなガスから成り立ち得る。含浸された酸化性物質は硫
黄、窒素酸化物、硫黄酸化物、過酸化物、過硫酸塩、な
どのような多数の酸化剤のいずれでもあり得る。
【0053】 A−410−VR(実験記号5521)からつくったフ
ァイバーを安定化するためには、36時間にわたる加熱
サイクルを必要とする。より具体的にいえば、これらの
ファイバーは約152℃(306°F)の温度で24時
間保持し、次いで301℃(574°F)へ温度を上
げ、そこで12時間保持することによって安定化され
る。温度が上がりすぎるか時間が短かいと、ファイバー
は溶融しはじめ、あとの工程中で融着する。適切に処理
されたときのファイバーはそれを1200℃(2192
°F)へ窒素雰囲気中で加熱することによって炭化され
る。A−410−VRからつくったカーボンファイバー
の物理的性質は第VI表に示され、第VI表に示す通りAR
−510−TFからつくったファイバーの性質とほぼ等
しいかあるいはやや劣っている。
【0054】上記の通り、AR−510−TFあるいは
他の高軟化点のピッチ材料からつくったファイバーの空
気安定化に於ては、ファイバーがまずピッチ前駆体のガ
ラス転移点より約6から11℃(10から20°F)低い
温度へ加熱されその後約50分の時間の後に次に299
-316℃(570−600°F)へファイバーが安定化
されるまで加熱する場合に、空気安定化がはるかに効果
的であることが発見されたのである。ここでいう「ガラ
ス転移点」はガラス状物質が膨張係数の変化を受ける温
度であり、ときにはそれは応力緩和と関連する。Tgを
測定するには器械的分析が適切な分析法である。用いる
手順はピッチファイバーの小部分を磨砕しそれを0.2
5”直径×0.125”(6.3mm直径×3.2mm)の
カップの中に詰めることから成る。円錐形のプローブを
その表面と接触させ、10gの荷重をかける。プローブ
の侵入を、試料を10℃/分で窒素雰囲気中で加熱する
ときの温度の関数として測定する。ガラス転移温度より
6−11℃(10−20°F)低い温度に於ては、ファ
イバーはその硬さを保ち一方同時にその温度は満足すべ
き安定化がおこることを許容する最高温度を示す。この
温度はファイバー−ファイバーの融着がおこり得る温度
より低い温度である。ファイバーをこの温度でスキンを
形成するのに十分な時間の間加熱したのち、次に、上げ
た温度が酸化されたファイバーのガラス転移温度より低
くなるような速度で温度を上げることができる。カーボ
ンファイバーの酸化中にガラス転移温度が上がり、熱上
げ中にその温度をガラス転移温度より6から11℃(1
0から20°F)低く保つことによって、ファイバーの
望ましくない溶融がおこらないことが発見された。温度
が上がると酸化速度が増し、逆に安定化時間が短かくな
る。
【0055】上記の諸表に於て認められるように、AR
−510−TFピッチファイバーはA−410−VRフ
ァイバーよりもずっと短かい時間で安定化できる。実際
に、安定化に要する時間はA−410−VRピッチから
つくったファイバーよりもほぼ25倍長い。この安定化
時間の短縮は一部にはピッチファイバーの軟化点上昇に
基因しており、これはファイバーがずっと高い初期安定
化温度へ加熱されることを可能にするものである。また
実質的部分としてはより低い軟化点のピッチ材料からの
場合と比べた前駆体ピッチ材料物質の反応性増加に基因
している。
【0056】上記の通り、塗布膜蒸発器の使用は現在好
ましい方法であり、なぜならば高い熱効率が高温への生
成物の露出を減らすことが連がり、従って粘度がより高
い分散相すなわちメソフェーズの形成を最小化すること
からなるからであり、このメソフェーズはファイバー形
成作業に於て困難をもたらしかつ最終製品ファイバー中
に組成的不連続領域を生じさせることになるものであ
る。
【0057】安定化サイクルの短縮が大部分がピッチ材
料の異なる化学的組成に起因することを示すために、次
の試験を実施する。二つのピッチ、AR−510−TF
(実験1009)及びA−438−VR(実験505
3)の試料を粉砕して−100メッシュ+200メッシ
ュ(即ち、−150メッシュ+75ミクロン)で篩にか
け、次に160℃(320°F)、182℃(360°
F)、及び190℃(375°F)で循環する熱空気中
で加熱する。試料を16時間と165時間の間の種々の
時間で取り出す。試料を重量減とキシレン不溶分の両方
について分析する。キシレン不溶分対時間を一次関数と
してプロットすることによって速度恒数を見いだす。こ
の評価からAR−510−TF(実験1009)はA−
430−VR(実験5053)より実質的に速く酸化す
ることが決定される。計算した速度恒数は約25倍早
く、実際の試験結果と合理的によく相関する。15秒以
下でつくった本発明の高軟化点ピッチは従来のピッチよ
りも実質的により高い反応性をもっている。
【0058】塗布膜蒸発以外の各種方法を活性に悪い影
響を及ぼすことなくピッチの軟化点を増すのに使用して
よい。溶剤抽出、酸化、窒素による追い出し、及びフラ
ッシュ蒸溜、を用いてよい。各々の簡単な説明をここで
行なう。
【0059】高軟化点ピッチ材料をつくるのに使える一
つの方法は溶剤抽出である。三つの抽出方法が使用でき
る。それらは(1)超臨界(supercritical)抽出、
(2)慣用的抽出、(7)反溶剤抽出である。これらの
方法はピッチが受ける温度を大いに下げ、従ってより良
好なファイバー前駆体を提供する。抽出は低分子量物質
を除去し従って高軟化点高分子量のファイバー前駆体を
残留させる一つの方法である。
【0060】超臨界抽出に於ては、ピッチを圧力容器の
中にポンプで送り込みそこで溶剤の臨界圧以上の圧力で
溶剤で連続的に抽出する。この目的に使用する普通の溶
剤はノルマル炭化水素であるが、それに限定されること
はない。可溶化されるピッチの部分と一緒の溶剤を一連
の圧力段階降下容器へ除去しそこで溶剤をフラッシュさ
せる。ピッチの不溶部分を反応器の底からとり出す。こ
の不溶部分をファイバーの前駆体として使用する。この
不溶部の軟化点は抽出を行なう温度を変えることによっ
て調節する。
【0061】超臨界抽出の一つの利点はファイバー前駆
体ピッチを精製するのに使用できることである。ピッチ
が無機質不純物及び粒状物を含むことは前に述べた。少
くとも95%のピッチを抽出する溶剤を用いることによ
り無機質不純物及び粒状物はピッチの5%以下を構成す
る不溶部の中に残り得る。この第一の抽出から得られる
ピッチの少くとも95%を次に上述の通り超臨界的に抽
出して無機質不純物及び粒状物を含まない高軟化点ピッ
チ前駆体を生じさせる。
【0062】使用できる抽出のもう一つの方法は反溶剤
抽出である。この抽出方法も無機質不純物及び粒状物を
含まないファイバー前駆体ピッチをつくるのに使用でき
る。出発ピッチをクロロホルムのような溶剤に溶解し、
これはピッチの少くとも95%を溶解する。このピッチ
/クロロホルム溶液を次に小孔のフィルターを通して濾
過する。この濾過段階は無機質不純物と粒状物を除去す
る。ピッチ/クロロホルム溶液を次に、ピッチに対して
限定された溶解性をもつノルマル炭化水素のような溶剤
で以て希釈する。ノルマル炭化水素を添加すると、不溶
のピッチが沈澱しはじめる。ノルマル炭化水素の添加完
了後、溶液を濾過する。濾過によって除かれる不溶部分
は無機質不純物及び粒状物を含まない高軟化点フィルタ
ー前駆体ピッチである。この不溶部分の軟化点はピッチ
/クロロホルム溶液へのノルマル炭化水素の添加量によ
って調節する。
【0063】高軟化点ファイバー前駆体ピッチをつくる
のに用い得るもう一つの抽出方法は石油精製業者の溶剤
脱アスファルトに於て使用されるような慣用的溶剤抽出
である。ピッチを抽出容器中で抽出溶剤を用いて与えら
れた温度及び圧力に於て抽出する。この目的のための通
常の溶剤はノルマル炭化水素であるが、それに限定され
るものではない。可溶化されたピッチの部分と一緒の溶
剤をフラッシュ蒸溜室へとり出しそこで溶剤を除く。ピ
ッチの不溶部分を抽出器の底からとり出す。この不溶部
分の軟化点は抽出条件のきびしさを変えることによって
調節する。
【0064】高軟化点ピッチファイバー前駆体をつくる
のに使用することができるもう一つの方法は酸化であ
る。酸化は接触的であっても非接触的であってもよい。
ピッチを高温にかける時間はきわめて長くそれ故酸化剤
の温度が高くなりすぎないよう注意が必要である。注意
をよくすればメソフェーズを含まないピッチをつくるこ
とが可能である。酸化は蒸溜によって低分子量分子を除
き、そして(または)それらを反応させてより大きい分
子を形成させることによって除く両者を含む方法であ
る。酸化は回分式反応か連続式反応のいずれであること
もできる。
【0065】ピッチは250−300℃の温度に於て回
分式か連続式の酸化器中で酸化される。酸化用ガスは空
気、酸素を増した空気、NO2及びSO2のようなガスの
どれでもよい。望ましくないメソフェーズの形成を避け
るために酸化器の温度が約300℃をこえないように注
意せねばならない。この方法は望ましさの最も小さい技
法の一つであり、ピッチがかなりの高温度へさらす時間
が大でメソフェーズ形成の危険があるからである。酸化
は任意の数の酸化触媒の添加によって接触的に実施する
ことができる。これらの触媒はFeCl3,P25,パ
ーオキサイド、Na2CO3,などを含む。触媒はまたフ
ァイバー安定化用触媒として作用し得るという点で別の
機能も果たし得る。安定化は単純には一つの酸化工程で
ある。
【0066】高軟化点ファイバー前駆体を製造するのに
使用できるもう一つの方法はピッチと硫黄との反応であ
る。硫黄はピッチの分子を脱水素し交差結合する点に於
て酸素と全く同じ機能を果たす。硫黄はたいていは小分
子をそれを反応させることによって除く。硫黄はピッチ
が250−300℃へ加熱されたのちゆっくりピッチへ
添加する。硫黄を添加するとH2Sの発生があり、従っ
て注意が必要である。また、温度はメソフェーズの形成
を避けるために300℃以下に調節せねばならない。こ
の方法は望ましさの最も小さい方法の一つであり、それ
はまた、ピッチが長時間高温にさらされかつ硫黄がまた
最終生成物中に入り込むからである。もう一つの方法は
ピッチを約300℃の温度に保ちながら窒素で以てスト
リッピングを行なうことから成る。例えば、ピッチの軟
化点は次の手順に従って窒素で以てストリッピングを行
なうことによって上げることができる。300回/分の
撹拌機を備えた反応器に商業的のA−240ピッチを半
分充填する。反応器及びその内容物の温度を電気加熱マ
ントルを使って300℃へ上げる。窒素を撹拌されてい
るピッチの中に5立方フィート/時/ポンド・ピッチ
(63l/時/kg・ピッチ)の割合で通す。塔頂物質
を反応器頂部にある配管を通して排気し、燃焼させる。
6時間後、ピッチを反応器からとり出し、メトラー軟化
点装置(ASTM D−3104)を使って軟化点が約2
50℃であることが測定され、変性したコンラドソンカ
ーボン(ASTM 2416)が81.0であることが測
定される。ストリッピング用ガスとして過熱スチームで
以てこの同じ方法を繰返すことができる。
【0067】高軟化点ピッチは平衡フラッシュ蒸溜がま
を使用することによってつくることができる。このよう
な装置に於ては、液状のA−240ピッチを予熱帯の中
にポンプで移送し、そこで供給原料をフラッシュ温度へ
加熱する。加熱直後、供給原料をフラッシュ帯の中に入
れる。この帯域は真空下の大きくて十分加熱された容器
であり、ここで揮発分は液相から逃がされる。蒸気を凝
縮させ、塔頂配管を経て回収し、一方、液状塔底物は底
の開口から流出させて捕集し、カーボンファイバー前駆
体として使用する。
【0068】変 形:諸実施例は単に説明用であり、本
発明が各種の変形及び変更を受け易く、それらは当業熟
練者にとっては本願を一読することによって明らかとな
ることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図はアーチザンロートサーム式塗布膜蒸発
器を使用する系の模型図であり、ピッチ材料の軟化点を
上げるための短時間高温処理を行うものである。
【図2】第2図はピッチファイバーの安定化操作の温度
と時間の関係を示す一例である。 1 溶融タンク 10 配管 3 ゼニスポンプ 12 配管 5 塗布膜蒸発器 14 配管 6 貯槽 15 真空ポンプ 8 配管 16 補助真空ポンプ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年1月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】 キシレン不溶分(ASTM D−3671) 15〜40 重量% キノリン不溶分(ASTM D−2318) 0〜5 重量% メソフェーズ含量 0〜5 重量% 硫黄含量(ASTM D−1552) 0.1〜4 重量% コーキング値(ASTM D−2416) 65〜90 重量% この酸化されたA−240ピッチ材料を溶融タンク1に
於て溶融する。それに先立ち、触媒微粉を含む不純物を
濾過して除く。配管2を通り背圧バルブ4を経てゼニス
ポンプ3によって塗布膜蒸発器5の中にポンプで移送す
る。塗布膜蒸発器5を貯槽6に入れた熱油によって加熱
し、これは配管7を通して薄膜蒸発器へポンプで移送す
る。ピッチ材料を薄膜蒸発器5の中で処理するとき、蒸
気は配管8を経て逃げ第一凝縮器及び配管10でつない
だ第二凝縮器の中で凝縮される。蒸気は次に配管12を
通ってコールドトラップ13の中に入り配管14を通っ
て出る。この系には真空ポンプ15から真空を付与す
る。補助真空ポンプ16が主真空ポンプ故障の場合に準
備されている。1時間あたり15から20ポンド(6.
75から9.0kg)のピッチ供給速度を使用し、これによ
り高軟化点のピッチが毎時約10ポンド(4.5kg)生成
する。軟化点をあげるのに要する時間は僅かに5秒から
15秒である。用いる絶対圧力は約0.1トールから0.
5トールである。装置の温度は約377℃(710°F)
で安定化される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】比較の目的で、ピッチ材料を次の方法でつ
くり、実験記号は5521[A−410−VR(アシュ
ランド社内コード番号)]とした。すべての生成物は約
210℃(410°F)の軟化点をもっていた。前述の
慣用的製品A−240ピッチを1ミクロンのガラスファ
イバー織りフィルターを通して濾過する。約250ポン
ド(112kg)のこのピッチを慣用の真空蒸溜器の中
に入れ、次いで343−371℃(650−700°
F)へ加熱し、1トールから2トールの間へ真空とし
た。第V表(A)及び(B)はピッチ製造方法に関する
追加情報と得られた性質を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】実験番号5521,5522,5693及
び5855は比較例である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】 * ベックマンピクノメーターによって25℃で測定
(g/cc) 実験番号5522と5855(共にバッチ真空蒸溜であ
り、共に比較例)の他のデータは次の通りであった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】ファイバーの処理:さらに処理することな
く、この軟化点の上がった本発明のピッチをブンティン
らの米国特許明細書第3,615,995号及びブンテ
ィンらの米国特許明細書第3,684,415号に記載
のタイプのメルトブロー押出機へ供給する。これらの特
許は熱可塑性物質のメルトブローの技法を述べており、
この方法においては、溶融状のファイバー形成性熱可塑
樹脂を適当な径の複数個のオリフィスから動いている不
活性熱ガス流の中に押出し、このガスはこの溶融物質を
ファイバーとして細くするようにオリフィスをとりかこ
んでいるかその近傍にある出口から吹き出し、これらの
ファイバーが一つのファイバー流を形成する。不活性熱
ガス流はオリフィスから出るフィラメントと同じかある
いはそれより高い線速度で流れ、従ってフィラメントが
このガス流によって引き出されるようになる。ファイバ
ーはそれの流れの通路の中の受器上に集められて不織マ
ットを形成する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】本発明のピッチからつくったファイバーが
特に適していることがわかった特殊な加熱サイクルによ
って空気中でうまく安定化される。より具体的にいえ
ば、第2図に示す安定化サイクルは100分以下の時間
でファイバーを安定化するのに効果的で採用できること
が実験的に決定されたが、この時間は商業的基準と調和
する時間である。さらに具体的にいえば、この100分
サイクルはこのピッチファイバーを前駆体ピッチのガラ
ス転移点(Tg)(すなわち約180℃[356°
F])より約11℃(20°F)低く約50分間保持す
ることから成り立っている。続いて約200℃(392
°F)へ温度を上げ、30分間その温度に保つ。温度を
次に約265℃(509°F)へ上げ、ファイバーを1
0分間保持する。最後に、ファイバーを約305℃(5
81°F)へ加熱し、この温度で10分間保持する。こ
れらのファイバーを約1100℃(2000°F)へ窒
素雰囲気中で2時間加熱してカーボンファイバーへ転化
させたのちにこれらのファイバーの物理的性質は第VI表
に示されている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】 A−410−VR(実験記号5521)からつくったフ
ァイバーを安定化するためには、36時間にわたる加熱
サイクルを必要とする。より具体的にいえば、これらの
ファイバーは約152℃(306°F)の温度で24時
間保持し、次いで301℃(574°F)へ温度を上
げ、そこで12時間保持することによって安定化され
る。温度が上がりすぎるか時間が短かいと、ファイバー
は溶融しはじめ、あとの工程中で融着する。適切に処理
されたときのファイバーはそれを1200℃(2192
°F)へ窒素雰囲気中で加熱することによって炭化され
る。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】上記の通り、高軟化点のピッチ材料からつ
くったファイバーの空気安定化に於ては、ファイバーが
まずピッチ前駆体のガラス転移点より約6から11℃
(10から20°F)低い温度へ加熱されその後約50分
の時間の後に次に299-316℃(570−600°
F)へファイバーが安定化されるまで加熱する場合に、
空気安定化がはるかに効果的であることが発見されたの
である。ここでいう「ガラス転移点」はガラス状物質が
膨張係数の変化を受ける温度であり、ときにはそれは応
力緩和と関連する。Tgを測定するには器械的分析が適
切な分析法である。用いる手順はピッチファイバーの小
部分を磨砕しそれを0.25”直径×0.125”(6.3
mm直径×3.2mm)のカップの中に詰めることから
成る。円錐形のプローブをその表面と接触させ、10g
の荷重をかける。プローブの侵入を、試料を10℃/分
で窒素雰囲気中で加熱するときの温度の関数として測定
する。ガラス転移温度より6−11℃(10−20°
F)低い温度に於ては、ファイバーはその硬さを保ち一
方同時にその温度は満足すべき安定化がおこることを許
容する最高温度を示す。この温度はファイバー−ファイ
バーの融着がおこり得る温度より低い温度である。ファ
イバーをこの温度でスキンを形成するのに十分な時間の
間加熱したのち、次に、上げた温度が酸化されたファイ
バーのガラス転移温度より低くなるような速度で温度を
上げることができる。カーボンファイバーの酸化中にガ
ラス転移温度が上がり、熱上げ中にその温度をガラス転
移温度より6から11℃(10から20°F)低く保つ
ことによって、ファイバーの望ましくない溶融がおこら
ないことが発見された。温度が上がると酸化速度が増
し、逆に安定化時間が短かくなる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】この安定化時間の短縮は一部にはピッチフ
ァイバーの軟化点上昇に基因しており、これはファイバ
ーがずっと高い初期安定化温度へ加熱されることを可能
にするものである。また実質的部分としてはより低い軟
化点のピッチ材料からの場合と比べた前駆体ピッチ材料
物質の反応性増加に基因している。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】塗布膜蒸発以外の各種方法を活性に悪い影
響を及ぼすことなくピッチの軟化点を増すのに使用して
よい。溶剤抽出、酸化、窒素による追い出し、及びフラ
ッシュ蒸溜、を用いてよい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】各々の簡単な説明をここで行なう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジヨン・ダブリユー・ニユーマン アメリカ合衆国ケンタツキー州41101,ア シユランド,ジヤクソン・アベニユー 2740 (72)発明者 クリフオード・ワード アメリカ合衆国ケンタツキー州41230,ル イザ,ウエスト・メイン 321 (72)発明者 フランク・エツチ・トリル アメリカ合衆国ウエスト・バージニア州, 25705,ハンチントン,ロランド・パー ト・ドライブ 70 (72)発明者 ノーマン・ダブリユー・ホール アメリカ合衆国ケンタツキー州41101,ア シユランド,ブエナ・ビスタ 202

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油留分の接触分解で製造される重質ス
    ラリー油から得られる酸化されていない芳香族性炭素質
    ピッチを注意深く制御して酸化してメソフェーズ生成物
    を約5%未満に減少させて、真空フラッシュ蒸留又は塗
    布膜蒸発にかけて製造した、安定化時間が短い石油ピッ
    チであって、ピッチ中に存在する水素のモル数を基準と
    して約20モル%から約40モル%のアルファ水素を含
    む芳香族分の多い石油ピッチからなり、少なくとも24
    4℃の軟化点、約15重量%から約40重量%のキシレ
    ン不溶分、約0重量%から約5.0重量%のキノリン不
    溶分、約0.1重量%から約4重量%の硫黄含有量、6
    5重量%から90重量%のコーキング値、及び0重量%
    から約5重量%のメソフェーズ含量を持つ前記石油ピッ
    チからファイバーをメルトブローにより形成させ、この
    ファイバーをそのガラス転移温度より6℃から11℃低
    い第一の温度へ酸化環境中で加熱し、次いで温度をより
    高温へ上げてファイバーを不融とさせ、そしてその後フ
    ァイバーを炭化させることからなる、カーボンファイバ
    ーの製造方法。
  2. 【請求項2】 ファイバーの直径が1ミクロン又はそれ
    より大きい、請求項1記載のカーボンファイバーの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 ピッチの軟化点が少なくとも265℃で
    ある、請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ピッチの軟化点が少なくとも290℃で
    ある、請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 第一の温度が約175℃であり、最高の
    温度が285℃を超える、請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 第一の温度が約175℃であり、前記の
    「より高温」の温度が300℃を超える、請求項1記載
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 ファイバーを不活性雰囲気中で約120
    0℃の温度へ加熱することによってあとで炭化させる、
    請求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 ファイバーを不活性雰囲気中で約300
    0℃の温度へ加熱することによってあとで黒鉛化させ
    る、請求項1記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 (a)デカント油、スラリー油または他
    の残油から誘導される石油ピッチを得て、このピッチが
    その中の水素の全重量を基準として約20%から40%
    のアルファ水素と2%から約15%のベータ水素原子と
    を含み、このピッチが少なくとも244℃の軟化点、約
    15重量%から約40重量%のキシレン不溶分、約0重
    量%から約5.0重量%のキノリン不溶分、約0.1重量
    %から約4重量%の硫黄含有量、約65重量%から90
    重量%のコーキング値、及び約0重量%から約5重量%
    のメソフェーズ含量を持ち、 (b)このピッチをメルトブローによりファイバーを形
    成し、及び (c)このファイバーを約100分より短い時間、約2
    85℃を超える温度で空気又はその他の酸化体と接触さ
    せることによって安定化させる、 各段階の組み合わせからなる、カーボンファイバー及び
    /又はグラファイトファイバーへ容易に転化しうる前駆
    体であるピッチファイバーの製造方法において、前記ピ
    ッチが、 (1)実質的にすべてのパラフィンを流動接触分解工程
    において及び/又は抽出によって除去した清澄なスラリ
    ー油又はサイクル油を熱的に処理して沸点が約315℃
    から540℃の芳香族炭化水素分の多い油を製造し、 (2)約38.7℃から約126.7℃の軟化点を有する
    熱的に分解した石油ピッチをつくるのに十分な温度と圧
    力においてかつ、十分な時間、この高芳香族質油を熱的
    に分解し、 (3)前記工程の生成物を酸化後、約0.1から約0.5
    トールで約710°F(377℃)の温度において約5
    秒から約15秒の範囲の時間の間、真空蒸留にかける、 各工程の組み合わせからなる方法によって製造される方
    法。
JP34147691A 1981-12-14 1991-12-24 カーボンフアイバーの製造方法 Pending JPH0525712A (ja)

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