JPH1149959A - 難燃性放熱性シート用シリコーンゲル組成物および難燃性放熱性シリコーンシート - Google Patents

難燃性放熱性シート用シリコーンゲル組成物および難燃性放熱性シリコーンシート

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JPH1149959A
JPH1149959A JP9210421A JP21042197A JPH1149959A JP H1149959 A JPH1149959 A JP H1149959A JP 9210421 A JP9210421 A JP 9210421A JP 21042197 A JP21042197 A JP 21042197A JP H1149959 A JPH1149959 A JP H1149959A
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信行 西脇
Chisato Hoshino
千里 星野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気・電子部品およびこれらを搭載した回路
基板上に放熱性を有するシリコーン層を容易に成形で
き、また、硬化して得られたシートは、電気・電子部品
に対して優れた放熱性を有すると同時に、物理的ストレ
スを最小限に抑えることができる難燃性放熱性シリコー
ンゲル組成物を提供する 【解決手段】 (A) 一分子中に少なくとも1個のアルケ
ニル基を含有するポリオルガノシロキサン、特定量の
(B) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原
子を有するオルガノポリシロキサン、特定量の(C) 白金
系触媒、特定量の(D) 粉砕シリカ及び/又は酸化アルミ
ニウムを含有するシリコーンゲル組成物であって、上記
組成物を硬化させることにより硬化物が、ASTM D 1403
の試験方法にて測定される針入度(1/4 コーン、1/10m
m) として1〜50を示す難燃性放熱性シート用シリコー
ンゲル組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は電気・電子部品およびこれ
らを搭載した回路基板を使用環境から熱的保護するため
の難燃性放熱性シリコーンシート及び該難燃性放熱性シ
リコーンシートに用いられるシリコーンゲル組成物に関
する。本発明の大きな特徴は、放熱性の無機充填材をゲ
ル組成物に充填することにより、得られた放熱材がゲル
状であるため、電子部品などへの物理的なストレスを軽
減することが可能であり、更に難燃性であるために安全
性が高いことにある。このため、本発明の難燃性放熱性
シリコーンシートは、熱の蓄積されやすい小型部品や加
熱にて熱膨張および収縮にて基板にストレスの掛かりや
すい大型部品に特に好適に用いられる。
【0002】
【発明の技術的背景とその問題点】電気・電子部品およ
びこれらを搭載した回路基板を熱衝撃や高温高湿の使用
環境から保護するため、従来より様々な放熱性材料が提
案されている。例えば、特開昭55−22891 号公報では、
オルガノポリシロキサンに酸化ベリリウムや酸化アルミ
ニウムを充填する方法が提案されているが、この組成物
は非流動性のため、扱いづらくシート加工などには適当
ではない。また、特開昭63−251466号公報では、放熱性
充填材として酸化アルミニウムの粒径と形状を規定した
組成物を提案している。この組成物は、比重の高い酸化
アルミニウムを配合するため、その経時的な沈降を防ぐ
ため、粒径の異なる2種類の酸化アルミニウムを配合す
る特徴がある。しかし、この方法では、チキソ性が高く
ポッティング用途としては充分とは言えない。そのた
め、大型電子部品保護のためには、非常に作業性に乏し
い。また、この組成物は、実質的に高硬度のゴム状物に
限定しており、応力緩和に注目していない。更に、特開
平2−41362 号公報で提案されている硬化性液状ポリオ
ルガノシロキサン組成物においても、酸化アルミニウム
の沈降性と組成物の粘度に注目されているのみである。
【0003】
【発明の目的】そのため、ポッティングが容易にでき、
硬化した組成物は、放熱特性および応力緩和を兼ね備
え、更に難燃性を維持した放熱性シリコーンゲルの登場
が待ち望まれていた。即ち、本発明の目的は、電気・電
子部品およびこれらを搭載した回路基板上に放熱性を有
するシリコーン層を容易に成形でき、また、硬化して得
られたシートは、電気・電子部品に対して優れた放熱性
を有すると同時に、物理的ストレスを最小限に抑えるこ
とができる難燃性放熱性シリコーンゲル組成物および難
燃性放熱性シリコーンシートを提供することにある。
【0004】
【発明の構成】本発明者らは、上記目的を達成するため
に鋭意検討した結果、シリコーン化合物に特定の無機充
填材を併用し、さらに硬化後の針入度を所定範囲にする
と、従来問題とされていた放熱性シリコーン組成物の流
動性、放熱性、難燃性、応力緩和、硬化後表面べたつき
の低減化および内部までの充分な硬化性を容易に達成で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、
本発明は、 (A) 一分子中に少なくとも1個のアルケニル基を含有す
るポリオルガノシロキサン 100重量部 (B) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原
子を有するオルガノポリシロキサン、(A) 成分中のアル
ケニル基1モルに対して(B) 成分中のケイ素原子結合水
素原子が 0.1〜5モルとなる量 (C) 白金系触媒、(A) 成分に対して白金量で1〜100ppm (D) 粉砕シリカ及び/又は酸化アルミニウム20〜600 重
量部 を含有するシリコーンゲル組成物であって、上記組成物
を硬化させることにより硬化物が、ASTM D 1403 の試験
方法にて測定される針入度(1/4 コーン、1/10mm) とし
て1〜50を示すことを特徴とする難燃性放熱性シート用
シリコーンゲル組成物、並びに上記シリコーンゲル組成
物を硬化させてなる難燃性放熱性シリコーンシートであ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の(A) 成分は、一分子中に少なくとも1個
のアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサンであ
って、本組成物の主剤となる成分である。
【0006】(A) 成分中のアルケニル基として具体的に
は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、
ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル
基、デセニル基、ウンデセニル基、デカジエニル基が例
示される。また、アルケニル基はアルケニルオキシ基で
あってもよく、アルケニルオキシ基としては、下記式で
示される構造の官能基が挙げられる。 -(CH2)2-R1-(A-R2)z-O-R3-CH=CH2 [式中、A は、-O- 、-S- 、-CO2- を表し、R1、R3は基
1個あたり1〜7個の炭素原子を有する線状あるいは枝
分かれアルキレン基を表す。また、R2は基1個当たり2
〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基、メトキシ基、
エトキシ基またはトリメチルシロキシ基によって置換さ
れていても良い線状あるいは枝分かれアルキレン基を表
す。また、Z は、0、1または2を表す。アルキレン基
R1の例としては、-CH2- 、-(CH2)2-、 -CH(CH3)-、およ
び -(CH2)3- が挙げられる。シクロアルキレン基R1の例
としては、シクロヘキシレン基およびメチルシクロヘキ
シレン基が挙げられる。基R1としては、式-CH2- で示さ
れるものが望ましく、A は酸素であることが望ましい。
基R2の例としては、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-CH2CH(CH3)C
H2- 、-CH2CH(OH)CH2-、-CH2CH(OCH3)- 、CH2CH(OC2H5)
CH2-、-CH2CH(OSi(CH3)3CH2-が挙げられる。アルキレン
基R1の例は、完全にアルキレン基R3についてもあてはま
る。基R3の好ましい例はとしては、-(CH2)3-O-CH2-CH=C
H2、あるいは-(CH2)3-O-CH 2-CH2-O-CH2-CH=CH2が挙げら
れる。] (A) 成分中のアルケニル基の結合位置は特に限定され
ず、例えば、分子鎖末端および/または分子鎖側鎖が挙
げられる。また、アルケニル基含有ポリオルガノシロキ
サンとしては、分子中にフェニル基、トリル基、キシリ
ル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネ
チル基等のアラルキル基から選ばれる芳香族系の官能基
を含有しても問題なく、その含有量も特に限定されな
い。また、芳香族基の結合位置は特に限定されず、例え
ば、分子鎖末端および/または分子鎖側鎖が挙げられ
る。(A) 成分中のアルケニル基以外の有機基として具体
的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;
クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3 −トリ
フロロプロピル基等のハロ置換アルキル基が例示され、
好ましくはメチル基である。
【0007】このような(A) 成分のオルガノポリシロキ
サンとして具体的には、分子鎖両末端がトリメチルシロ
キシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニ
ルシロキサン.メチルビニルシロキサン共重合体、分子
鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチル
シロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖
両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖されたジメチ
ルポリシロキサン.メチルフェニルシロキサン共重合
体、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖さ
れたジメチルポリシロキサン、片末端がトリメチルシロ
キシ基で封鎖され、もう一方がビニルジメチルシロキシ
基で封鎖されたジメチルポリシロキサン.メチルフェニ
ルシロキサン共重合体、片末端がトリメチルシロキシ基
で封鎖され、もう一方がビニルジメチルシロキシ基で封
鎖されたジメチルポリシロキサン、片末端がトリメチル
シロキシ基で封鎖され、もう一方がビニルジメチルシロ
キシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン.ジフェニ
ルシロキサン共重合体、R4R5R6SiO1/2で示されるシロキ
サン単位とSiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオ
ルガノポリシロキサン、式:R4R5SiO2/2で示されるシロ
キサン単位と式:R4SiO3/2で示されるシロキサン単位ま
たはR6SiO3/2で示されるシロキサン単位からなるオルガ
ノポリシロキサンおよびこれらのオルガノポリシロキサ
ンの二種以上の混合物が例示される。式中、R4は、フェ
ニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリー
ル基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基など
の芳香族基、R5はビニル基、アリル、ブテニル基、ペン
テニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル
基、R6は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル
基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3 −
トリフロロプロピル基等のハロ置換アルキル基が例示さ
れる。(A) 成分の粘度は、得られた組成物に流動性を与
えるため、25℃における粘度が20〜10000 センチポイズ
の範囲内であり、さらに好ましくは 100〜50000 センチ
ポイズの範囲内である。これは、(A) 成分の25℃におけ
る粘度が20センチポイズ未満であると、得られる硬化被
膜の物理的性質、特に柔軟性と伸びが低下するためであ
り、またこれが 10000センチポイズを超えると、得られ
る組成物の粘度が高くなり、その取扱作業性が悪化する
ためである。
【0008】(B) 成分のオルガノポリシロキサンは本組
成物の架橋剤であり、一分子中に少なくとも2個のケイ
素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンで
ある。(B) 成分中のケイ素原子結合水素原子の結合位置
は特に限定されず、例えば、分子鎖末端および/または
分子鎖側鎖が挙げられる。(B) 成分中の有機基として具
体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル
基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等
のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキ
ル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3
−トリフロロプロピル基等のハロ置換アルキル基が例示
され、好ましくはメチル基、フェニル基である。また、
(B) 成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖
状、分岐状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が挙
げられ、好ましくは直鎖状である。また、本組成物にお
いて、(B) 成分として、分子鎖両末端にのみケイ素結合
水素原子を有するオルガノポリシロキサンと分子鎖両末
端がトリオルガノシロキシ基で封鎖され、分子側鎖にケ
イ素原子結合水素原子を少なくとも2個有するオルガノ
ポリシロキサンとの混合物を用いたり、あるいは、水素
基の結合したケイ素原子が、50モル%以下のオルガノポ
リシロキサンを用いると、得られた組成物の針入度が全
く同一であってもより柔軟性のあるゲル状物が得られ
る。(B) 成分の粘度は特に限定されず、好ましくは25℃
における粘度が5〜10000センチポイズの範囲内であ
り、さらに好ましくは10〜1000センチポイズの範囲内で
ある。これは、(B) 成分の25℃における粘度が5センチ
ポイズ未満であると、得られる硬化被膜の物理的性質、
特に柔軟性と伸びが低下するためであり、またこれが 1
0000センチポイズを超えると、得られる組成物の粘度が
高くなり、その取扱作業性が悪化するためである。(B)
成分の配合量は、(A) 成分のアルケニル基1モルに対し
て、 (B)成分中のケイ素原子結合水素原子が 0.1〜5モ
ルの範囲内となる量であることが必要であり、好ましく
はこれが 0.5〜3モルの範囲内となる量である。これ
は、(B) 成分の配合量が、(A) 成分中のアルケニル基1
モルに対して、(B) 成分中のケイ素原子結合水素原子が
0.1モル未満であると、残存する(A) 成分中のアルケニ
ル基が耐熱性悪化の原因となり得るためである。またこ
れが5モルを超えると、得られる硬化被膜の硬度が経時
的に変化しやすくなり、また熱衝撃を受けた場合や高温
下で該硬化被膜にクラックや膨れを生じてしまい、電気
・電子部品およびこれを搭載した回路基板の信頼性を著
しく低下するためである。
【0009】(C) 成分の白金系触媒は本組成物の硬化を
促進するための触媒であり、具体的には、白金微粉末、
白金黒、塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸とオレフ
ィンとの錯体、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金
酸とジビニルテトラメチルジシロキサン等のアルケニル
シロキサンとの錯体、およびこれらの白金系触媒を、ポ
リスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹
脂、メタクリル樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性有機
樹脂中に分散もしくは包含した有機樹脂粉体が例示され
る。(C) 成分の配合量は触媒量であり特に限定されず、
具体的には、(A) 成分 100重量部に対して、(C) 成分中
の白金金属元素として1〜100ppmの範囲内となる量であ
ることが好ましく、さらにこれが2〜50ppm の範囲内で
あることが好ましい。これは、(C) 成分の配合量が、
(A) 成分 100重量部に対して、(C) 成分中の白金金属と
して1ppm 未満となる量である場合には、得られる組成
物の硬化速度が遅くなり、硬化阻害物の影響を受けやす
くなる。また、これが100ppmを超えると不経済であると
同時に白金触媒の配位子の絶対量が多くなり、硬化物の
針入度変化も大きくなる。
【0010】(D) 成分は、組成物に放熱性を与える成分
である。(D) 成分の放熱性を有する無機充填材として
は、粉砕シリカ及び/又は酸化アルミニウムが選択的に
使用される。粉砕シリカにおいては、流動性を維持する
ため、平均粒子径が 2.0μm以上のシリカ粉が好まし
い。このシリカ粉は、一般的に市販されており、容易に
入手する事が可能である。また、酸化アルミニウムにつ
いても、組成物の流動性を維持するため、平均粒子径が
5.0μm以上の酸化アルミニウムが良く、難燃性を維持
するために、用いる酸化アルミニウムのpHが9以下
(測定法はJIS Z8802 に準拠)であることが好ましい。
また、球状でない酸化アルミニウムが好ましい。この酸
化アルミニウムも、一般的に市販されており、容易に入
手する事が可能である。尚、pHが9以下の酸化アルミ
ニウムは市販品として入手する事が可能であり、またp
Hが9を越えるものであっても水洗等により容易にpH
を9以下とすることが可能であり、このように調製した
ものを用いても良い。pHが9を越える酸化アルミニウ
ムを充填したものは、シリコーンのクラツキングに起因
すると考えられる難燃性の著しい低下が観察されること
がある。尚、上記無機充填材の粒径の上限は特に制限さ
れないが、一般的には50μm 以下が好ましい。50μm を
越えると、無機充填材が沈降しやすくなったり、硬化さ
せたシリコーンゲル中で異物となり、応力を加えた時に
そこから裂けたりすることがある。これら2種類の無機
充填材は、それぞれ単独あるいは、併用でも構わない。
これらの2種類を併用した場合、無機充填材の含有量を
大幅に変化させることなく、容易に熱伝導率を変えるこ
とが可能である。つまり、放熱性の無機充填材の減量に
て大幅に粘度の低下した組成物では、無機充填材が容易
に沈降してしまうが、このような系にては、流動性を維
持しながら無機充填材の沈降も防ぐことが可能である。
【0011】本発明では、これら(A) 〜(D) の構成成分
からなる組成物を硬化させた際、ASTM D 1403 で規定さ
れる針入度(1/4コーン、1/10mm) が、1〜50にする必要
がある。これは、(B) 成分の添加量を変化させることに
て容易にコントロールできるが、これは、組成物をゲル
状にすることにて適用される電気電子部品への応力緩和
に必要なためである。組成物の耐熱安定性及び硬化性を
考えると、好ましくは、5〜45の範囲が好ましい。針入
度(1/4 コーン、1/10mm)が1未満の場合、硬く応力緩
和に乏しく、50を超える場合、耐熱安定性および内部硬
化性が著しく低下し、硬化したシリコーンシートの表面
のべたつき感も高くなり、放熱シートの使い勝手も悪く
なるためである。
【0012】本発明の難燃性放熱性シリコーンゲルは、
上記 (A)〜(D) 成分を均一に混合することにより調製で
きる。本発明の難燃性放熱性シリコーンゲルには、その
流動性を調節したり、得られる硬化被膜の物理的特性を
向上させるため、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリ
カ、ヒュームド酸化チタン等の補強性充填剤;ケイ藻
土、アスベスト、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、
炭酸カルシウム等の非補強性充填剤;これらの充填剤を
オルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オル
ガノシラザン、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素
化合物で処理してなる充填剤を配合することができる。
更に、難燃性の効果をより向上させるために、リン酸エ
ステル、亜リン酸エステル、カーボン、炭素化合物、金
属水酸化物等の難燃化剤を添加しても良い。
【0013】また、本発明の難燃性放熱性シリコーンゲ
ルには、その貯蔵安定性および取扱作業性を向上するた
め、例えば、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、
3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5 −ジメチル
−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール等の
アセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−
イン、3,5 −ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエ
ンイン化合物;1,3,5,7 −テトラメチル−1,3,5,7 −テ
トラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-
1,3,5,7 −テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、
ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、フォスフィン
類、メルカプタン類、ヒドラジン類等の硬化抑制剤を配
合することができる。これらの硬化抑制剤の配合量は、
本発明の難燃性放熱性シリコーンゲルの使用条件により
適宜選択すべきであり、例えば、(A) 成分 100重量部に
対して、上記硬化抑制剤が 0.001〜5重量部の範囲内で
あることが好ましい。
【0014】また、本発明の難燃性放熱性シリコーンゲ
ルには、得られる硬化被膜の電気・電子部品およびこれ
らを搭載した回路基板に対する密着性を向上させるた
め、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリ
メトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、3,4 −エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキ
シシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、メチルセロソルブオルソシリケート、一分子中にエ
ポキシ基含有有機基とケイ素原子結合アルコキシ基を有
するシロキサンオリゴマー、一分子中にエポキシ基含有
有機基とケイ素原子結合アルコキシ基とアルケニル基を
有するシロキサンオリゴマー、一分子中にエポキシ基含
有有機基とケイ素原子結合アルコキシ基とケイ素原子結
合水素原子を有するシロキサンオリゴマー等の密着促進
剤を配合することができ、また、上記シランカップリン
グ剤の加水分解を促進させる、つまり、基材への接着性
を促進させるアルミニウムキレート化合物やチタン化合
物を必要に応じて添加しても全く問題ない。必要に応じ
て有機溶剤、顔料、耐熱性付与剤等を配合することがで
きる。
【0015】本発明の難燃性放熱性シリコーンゲルは、
ディスペンサー塗布、デップコーティング等により電気
・電子部品およびこれらを搭載した回路基板上に塗布す
ることができる。また、この組成物は、流動性に富むた
め、プレス硬化にて容易に電気・電子部品用放熱ゲルシ
ートを調製することが可能である。本発明の難燃性放熱
性シリコーンゲルを加熱により硬化する温度は、特に限
定されず、好ましくは40〜200 ℃以下であり、さらに好
ましくは40〜150 ℃の範囲である。
【0016】
【実施例】本発明の難燃性放熱性シリコーンゲルを実施
例により詳細に説明する。なお、実施例中の粘度は25℃
において測定した値である。また、実施例中、難燃性放
熱性シリコーンゲル剤の評価は次のようにして行った。 硬化前 ・粘度 回転粘度計 ・流動性 ガラス板に試料を1g乗せ、25℃で30分放置後の拡がり性を 測定 ・性状 シリコーンゲルをレンジに入れ、内径1mmの管から押し出し 時のシリコーンゲル表面の状態(滑らかか押し出したスジが つくか)を観察した。 硬化後 ・針入度 ASTM D 1403 1/4コーン、1/10mm(150℃/1h) ・放熱性 昭和電工製 QUICKTHERM ・内部硬化性および表面のべたつきは、指で定性評価(針入度を測定し たビーカーの底部の状態観察) ・ 150℃での針入度変化(硬化直後と 150℃/1000h後の針入度差) ・ALワイヤーへの応力試験 田中電子工業製のAL−SI 1%ワイヤー(50μφ)を長さ30mmになる ように金属板に固定し、50mlのパイレックスビーカーにおき、その上か ら40mlの放熱性シリコーンゲルを充填した。 150℃/1h 加熱硬化後、以 下の条件でヒートサイクルをかけた。 −40℃/1h 〜150 ℃/1h を1000サイクルかけ、AL−SI 1%ワイヤー の状態を確認した。
【0017】 ・難燃性 UL94に準拠 厚さ1/8インチ 実施例1 粘度が 600センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビ
ニルシロキシ基封鎖のジメチルポリオルガノシロキサン
(ビニル基含有両=0.12mmol/g) 100重量部、平均粒子
径5μm、pHが8.5 の粉砕酸化アルミニウム 550重量
部、粘度が5センチポイズである分子鎖両末端トリメチ
ルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロ
ジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含
有量=10mmol/g) 0.4重量部、塩化白金酸とジビニルテ
トラメチルジシロキサンとの錯体(白金含有量=0.5 重
量%) 0.4重量部および 3,5−ジメチル−1−ヘキシン
−3−オール 0.2 重量部を均一に混合して、本発明の
難燃性放熱性シリコーンゲルを調製した。この評価結果
を表1に示した。
【0018】実施例2 粘度が 600センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビ
ニルシロキシ基封鎖のジメチルポリオルガノシロキサン
(ビニル基含有量=0.12mmol/g) 100重量部、平均粒子
径5μm、pHが8.5 の粉砕酸化アルミニウム 550重量
部、粘度が5センチポイズである分子鎖両末端トリメチ
ルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロ
ジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含
有量=10mmol/g) 0.5重量部、塩化白金酸とジビニルテ
トラメチルジシロキサンとの錯体(白金含有量=0.5 重
量%) 0.4重量部および 3,5−ジメチル−1−ヘキシン
−3−オール 0.2 重量部を均一に混合して、本発明の
難燃性放熱性シリコーンゲルを調製した。この評価結果
を表1に示した。
【0019】実施例3 粘度が 600センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビ
ニルシロキシ基封鎖のジメチルポリオルガノシロキサン
(ビニル基含有量=0.12mmol/g) 100重量部、平均粒子
径15μm、pHが7.7 の粒状酸化アルミニウム 300重量
部および平均粒子径5μmの粉砕シリカ 300重量部、粘
度が5センチポイズである分子鎖両末端トリメチルシロ
キシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェン
シロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=
10mmol/g) 0.7重量部、塩化白金酸とジビニルテトラメ
チルジシロキサンとの錯体(白金含有量= 0.5重量%)
0.4重量部および 3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−
オール 0.2重量部を均一に混合して、本発明の難燃性放
熱性シリコーンゲルを調製した。この評価結果を表1に
示した。
【0020】実施例4 粘度が 600センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビ
ニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基
含有量=0.12mmol/g)80重量部、式:(CH3)3SiO1/2単位
42モル%、式:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6モル%およ
び式:SiO4/2単位52モル%からなるオルガノポリシロキ
サンレジン(ビニル基含有量=0.85mmol/g)20重量部、
平均粒子径5μmの粉砕シリカ 200重量部、粘度が5セ
ンチポイズである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封
鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサ
ン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=10mmol/
g)1.06重量部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジ
シロキサンとの錯体(白金含有量=0.4 重量%)0.4 重
量部および3,5 −ジメチル−1−ヘキシン−3−オール
0.2重量部を均一に混合して、本発明の難燃性放熱性シ
リコーンゲルを調製した。この評価結果を表1に示し
た。
【0021】比較例1 粘度が 600センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビ
ニルシロキシ基封鎖のジメチルポリシロキサン(ビニル
基含有量=0.12mmol/g) 100 重量部、平均粒子径5μ
m、pHが9.5 の球状酸化アルミニウム55重量部、平均
粒子径2μm、pHが9.2 の非球状酸化アルミニウム 5
00重量部、粘度が5センチポイズである分子鎖両末端ト
リメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハ
イドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素
原子含有量=10mmol/g) 0.2 重量部、塩化白金酸とジビ
ニルテトラメチルジシロキサンとの錯体(白金含有量=
0.5重量%) 0.4重量部および3,5 −ジメチル−1−ヘ
キシン−3−オール 0.2重量部を均一に混合して、比較
用のシリコーンゲルを調製した。この評価結果を表1に
示した。
【0022】比較例2 粘度が 600センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビ
ニルシロキシ基封鎖のジメチルポリシロキサン(ビニル
基含有量=0.12mmol/g) 100 重量部、平均粒子径10μ
m、pHが9.5 の球状酸化アルミニウム55重量部、平均
粒子径2μm、pHが9.2 の非球状酸化アルミニウム 5
00重量部、粘度が5センチポイズである分子鎖両末端ト
リメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハ
イドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素
原子含有量=10mmol/g) 0.8 重量部、塩化白金酸とジビ
ニルテトラメチルジシロキサンとの錯体(白金含有量=
0.5重量%) 0.4重量部および3,5 −ジメチル−1−ヘ
キシン−3−オール 0.2重量部を均一に混合して、比較
用のシリコーンゲルを調製した。この評価結果を表1に
示した。
【0023】比較例3 粘度が 600センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビ
ニルシロキシ基封鎖のジメチルポリシロキサン(ビニル
基含有量=0.12mmol/g) 100 重量部、平均粒子径2μ
m、pHが9.2 の非球状酸化アルミニウム 600重量部、
粘度が5センチポイズである分子鎖両末端トリメチルシ
ロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェ
ンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量
=10mmol/g) 6.6 重量部、塩化白金酸とジビニルテトラ
メチルジシロキサンとの錯体(白金含有量=0.5 重量
%) 0.4重量部および3,5 −ジメチル−1−ヘキシン−
3−オール 0.2重量部を均一に混合して、比較用のシリ
コーンゲルを調製した。この評価結果を表1に示した。
【0024】
【表1】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 一分子中に少なくとも1個のアルケニ
    ル基を含有するポリオルガノシロキサン 100重量部 (B) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原
    子を有するオルガノポリシロキサン、(A) 成分中のアル
    ケニル基1モルに対して(B) 成分中のケイ素原子結合水
    素原子が 0.1〜5モルとなる量 (C) 白金系触媒、(A) 成分に対して白金量で1〜100ppm (D) 粉砕シリカ及び/又は酸化アルミニウム20〜600 重
    量部 を含有するシリコーンゲル組成物であって、上記組成物
    を硬化させることにより硬化物が、ASTM D 1403 の試験
    方法にて測定される針入度(1/4 コーン、1/10mm) とし
    て1〜50を示すことを特徴とする難燃性放熱性シート用
    シリコーンゲル組成物。
  2. 【請求項2】(D) 成分の酸化アルミニウムのpHが9以
    下である請求項1記載の難燃性放熱性シート用シリコー
    ンゲル組成物。
  3. 【請求項3】(D) 成分の酸化アルミニウムが、平均粒子
    径 5.0μm以上の酸化アルミニウムである請求項1又は
    2記載の難燃性放熱性シート用シリコーンゲル組成物。
  4. 【請求項4】(D) 成分の酸化アルミニウムが、平均粒子
    径が 5.0μm以上の非球状の酸化アルミニウムである請
    求項3記載の難燃性放熱性シート用シリコーンゲル組成
    物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4の何れか1項記載のシリコー
    ンゲル組成物を硬化させてなる難燃性放熱性シリコーン
    シート。
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