JPH1053639A - 溶剤易溶性のフッ素含有エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた表面処理方法 - Google Patents

溶剤易溶性のフッ素含有エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた表面処理方法

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JPH1053639A
JPH1053639A JP8152366A JP15236696A JPH1053639A JP H1053639 A JPH1053639 A JP H1053639A JP 8152366 A JP8152366 A JP 8152366A JP 15236696 A JP15236696 A JP 15236696A JP H1053639 A JPH1053639 A JP H1053639A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂層を形成する面での接着性がよく、熱硬
化の場合に比較的低温でも硬化でき、撥水性に優れた樹
脂層を与える樹脂組成物、それを用いた表面処理方法を
提供する。 【解決手段】 少なくとも 成分(a)としての1分子
中に2つ以上のエポキシ基を有し、F、Siを含まない
多官能エポキシ樹脂を5〜80重量部、成分(b)とし
ての末端にパーフルオロ基を有するエポキシ化合物を5
〜40重量部、及び成分(c)としてのエポキシ基、ア
ルコール基、カルボン酸基、アミン基のいずれか又は複
数を1分子中に2つ以上有する共にF又はSiを含有す
る化合物を5〜80重量部を含有することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的な有機溶剤
に易溶であって、優れた表面性を有し、かつ撥液性及び
密着性に優れた良質の塗膜の形成を可能にするフッ素含
有エポキシ樹脂組成物に関する。本発明はまた、前記樹
脂組成物を使用して物体の被処理表面を処理して表面性
(硬さと滑らかさ)及び密着性に優れ、かつ優れた撥液
性能を有する表面を前記物体に形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】撥液剤として一般に使用されているもの
は熱的にも化学的にも安定であり、耐候性、耐水性、耐
薬品性、耐溶剤性、離型性、撥液性に優れていることが
知られている。また、これらの撥液剤はこうした利点を
有する反面、硬度及び他の部材との密着性については必
ずしも充分でないことが知られている。
【0003】このような撥液剤はさまざまな分野に用い
られている。例えば、インクジェット分野においては、
インクジェットヘッドに設けられるインクを吐出するた
めの吐出口部にインクが溜ることによるインクの吐出方
向のヨレや吐出口の目詰まりを防止すべく、撥液剤は吐
出口が設けられている面(以下、「吐出口面」とも称
す)に用いられている。
【0004】図14は吐出口面に撥液剤を用いて撥液処
理が施されたインクジェットヘッドの一例を示す模式図
である。図14において、101はガラスや、アルミ、
シリコンといった材料で構成されるインクジェットヘッ
ド用基体を示す。該基体101には液流路104となる
べき溝が設けられた天板102が接合されている。該天
板102の溝及び前記基体101によって液流路104
が形成されている。この液流路104中にはインクを吐
出するためのエネルギー発生素子3が設けられている。
そして前記液流路104に連通してインクを吐出するた
めの吐出口108が吐出口プレート107に設けられて
いる。この吐出口プレート107が、前記基体101と
天板102の接合体に接合されてインクジェットヘッド
をなしている。そして、この吐出口プレート107の吐
出口108を有する表面(以下、「吐出口面」と称す)
にはフッ素系樹脂からなる撥液層107aが設けられて
いる。該撥液層107aは吐出口周辺部とその他の部分
とで撥液性が異なるように撥液層のパターンが図14に
示すように形成されている。このように吐出口面の吐出
口周辺部に撥液性の領域を有し、かつ、この撥液性領域
の周りに親水性領域107’を有するようにする場合に
は、吐出口面全面が撥液機能を有するようにする場合に
比べ、付着したインクが有効に除去されることが知られ
ている。
【0005】即ち、インクジェットヘッドの吐出口面に
撥液層が設けられている場合であっても、インクがミス
ト状に吐出口面に付着した場合にはインクが吐出口面に
残ってしまうことがある。吐出口面に残ってしまったイ
ンクは通常クリーニングブレードによるワイピング処理
によって除去されるが、この吐出口面に残ったインクが
増粘するとクリーニングブレードによる除去が困難にな
る。そして増粘したインクが吐出口部周辺にある場合に
は吐出口周辺にインクたまりを生じ、インクの吐出方向
のよれや吐出口の目詰まりを起こす場合がある。そこで
吐出口面の吐出口周辺部に撥液性領域を有し、かつ、こ
の撥液性領域の周りに親水性の領域を有するようにする
ことで、吐出口面に残ったインクが親水性領域に移動さ
れるため、微小インクが親水性領域に集められ易くなる
ため、クリーニングブレードによる除去も容易になるも
のである。
【0006】このように、インクジェットヘッドの吐出
口面に施される撥液剤については、所望の密着性、剛性
(即ち、硬度)そして所望の耐摩耗性をもたらすもので
あることが要求される。ところが上述した撥液剤として
に使用されるフッ素系樹脂は上述した硬度及び他の部材
との密着性等の要求を十分に満足するものではない。と
ころで、特開平4-211959号公報には、主鎖に含フッ素へ
テロ環状構造を有するポリマーからなる撥液剤を使用し
て撥液処理が施された吐出口面を有するインクジェット
ヘッドが記載されている。当該ポリマーで撥液処理が施
された吐出口面は撥液性能に優れると共に比較的耐摩耗
性にも優れるものである。因に、前記主鎖に含フッ素へ
テロ環状構造を有するポリマーはインクジェットヘッド
の吐出口面の撥液剤として現在実際に使用されている。
【0007】こうしたことから、上述した主鎖に含フッ
素へテロ環状構造を有するポリマーはインクジェットヘ
ッドの吐出口面を撥液処理する撥液剤として有効なもの
である。
【0008】ところが当該ポリマーは、下述することか
ら理解されるように、いかなる場合にも要求を十分に満
足するものではない。
【0009】即ち、近年、インクジェットヘッドとして
メンテナンスの必要性をなくする観点から、カートリッ
ジタイプのものが多く市販されている。このようなカー
トリッジタイプのインクジェットヘッド(以下、「イン
クジェットヘッドカートリッジ」と称す)においては、
インクジェット装置に装着するまでは、その吐出口面が
シールテープやキャップなどの吐出口面保護部材によっ
て保護される構成を採る。そして、この吐出口面保護部
材は前記インクジェット装置に対してインクジェットヘ
ッドカートリッジが装着される際に取り外される。従っ
て、使用するプリント用インクの色や物性に応じてイン
クジェットヘッドカートリッジを交換するタイプのイン
クジェットヘッドカートリッジにおいては、吐出口面が
むき出しのままインクジェットヘッドカートリッジの交
換作業が行われる。こうしたことから、インクジェット
ヘッドカートリッジの吐出口面はこの交換作業時にユー
ザーの指やインクジェット装置、ヘッドカートリッジ用
保管容器といったものに触れてしまう場合がしばしばあ
る。このインクジェットヘッドカートリッジにおいて、
その吐出口面に上述した主鎖に含フッ素へテロ環状構造
を有するポリマーからなる撥液剤で形成された撥液層を
設けた場合、当該撥液層は従来の使用環境下では比較的
耐摩耗性に優れているということはできるが、当該撥液
層を構成する前記ポリマーは硬度が低いものであり、通
常のワイピング処理では問題ないものの、上述したよう
なものと接触した際には撥液層は摺擦され傷つく虞があ
る。その場合、撥液層に傷がつかなくても、吐出口面に
ゴミ等が付着することがしばしばあり、ワイピング処理
時にクリーニングブレードによってそうした付着ゴミが
撥液層に押しつけられ撥液層を傷つけてしまう虞があ
る。
【0010】また、別に近年、プリント画像の品位の更
なる向上を目指して、比較的小さな液滴をもって高精細
なプリントを行うインクジェット装置が提案されてい
る。このようなインクジェット装置においては、液滴が
小さいため着弾精度を上げる必要から吐出口面と紙等の
被記録媒体との距離は非常に狭くされる。このように吐
出口面と紙等の被記録媒体との距離が狭い場合には、被
記録媒体の搬送に少しでも不良が生じると、それが原因
で吐出口面が被記録媒体と摺擦して傷を有してしまう虞
がある。こうした観点から、前記インクジェット装置の
吐出口面は前記被記録媒体との摺擦があっても傷がつか
ない高い硬度を有する撥液剤で形成された撥液層を有す
ることが必要とされる。
【0011】しかしながら、撥液剤として上述した一般
に使用されるフッ素系樹脂は比較的硬度の低いものがほ
とんどである。
【0012】ところで、撥液層に上述のような傷がつい
たとしても撥液層の層厚がある程度厚くなっていれば、
まだ傷ついた部分の下に撥液層が残っているためインク
吐出方向のよれを引き起こすことは少ない。しかしなが
ら、上述した主鎖に含フッ素へテロ環状構造を有するポ
リマーからなる撥液剤は比較的密着性が低いため、撥液
層の層厚をあまり厚くすると撥液層がはがれてしまうと
いう問題がある。従って、インクジェットヘッドの吐出
口面に形成される撥液層を構成する撥液剤については、
優れた成膜性を有すると共に膜厚を所望通りに制御する
ことを可能にする性質を有することが要求される。
【0013】このように従来の撥液剤は、硬度と撥液性
能とを高い水準で両立させることはできなく、また上述
した要求を充分に満たすことはできない。
【0014】ヨーロッパ特許公開第631869号公報
には、吐出口面に吐出口周辺部が局所的に撥液機能を有
するようにする方法が記載されている。この方法は、溶
媒乾燥型の撥液剤を用いて吐出口面全面に撥液性膜を形
成した後、エキシマレーザー光を照射して吐出口面上の
前記撥液性膜を部分的に削ることにより該吐出口面の吐
出口周辺部が局所的に撥液性能を有するようにした撥液
領域と親水領域とを形成する方法である。しかしなが
ら、ここで撥液剤として使用される主鎖に含フッ素へテ
ロ環状構造を有するポリマーはエキシマレーザーのエネ
ルギー吸収効率が低いため、微細なパターニングをしに
くいという問題がある。
【0015】また、特開平5-124199号公報には、撥液剤
として撥液性を有する感光性樹脂を用い、フォトリソグ
ラフィーによってこの感光性樹脂をパターニングするこ
とによりインクジェットヘッドの吐出口面の吐出口周辺
部を局所的に撥液機能を有するようにする方法が記載さ
れている。この方法は、微細な局所的撥液パターンを形
成することができ、また、吐出口を形成した後に吐出口
面に撥液剤による処理を施しても撥液剤が吐出口内に残
ることがないといった利点を有する。
【0016】しかしながら、該特開平5-124199号公報に
記載された撥液剤(即ち、感光性樹脂)も含めて現在知
られている撥液性を有する感光性樹脂には、初期の撥液
性能は良好であっても長期にわたって十分な撥液性能を
発揮するものはない。これは、撥液剤としての感光性樹
脂の硬度が低いために当該感光性樹脂で構成された領域
が、吐出口面清掃用のクリーニングブレードによるワイ
ピングを繰り返すにつれて徐々に摩耗していくことが主
たる原因として考えられる。
【0017】上述したように、従来の撥液剤はいずれも
撥液機能を有し、硬度(即ち、耐摩耗性)及び密着性に
優れた局所領域の形成には適さないものである。こうし
たことから、特にインクジェットヘッドの吐出口面に吐
出口周辺部について、局所的に撥液機能を有し、硬度
(即ち、耐摩耗性)及び密着性に優れた領域を形成する
ことを可能とする撥液剤の早期の提供が望まれている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一般
的な溶剤に易溶で構成成分が均一に混じり合って可視光
レベルではそれら構成成分の存在が判別できない相溶状
態を呈し、硬度、撥液性、密着性及び成膜性に優れた各
種用途に有用なエポキシ樹脂をベースとした樹脂組成物
を提供することにある。
【0019】本発明の別の目的は、撥液性、及び密着性
に優れ、かつ優れた表面性(硬度と滑らかさ)を有する
良質の撥液性膜の形成を可能にするエポキシ樹脂をベー
スとした樹脂組成物を提供することにある。本発明の他
の目的は、各種部材の被処理表面を、撥液性及び密着性
に優れると共に表面性(硬度と滑らかさ)に優れた表面
にすることを可能にするエポキシ樹脂をベースとした樹
脂組成物を提供することにある。
【0020】本発明の他の目的は、各種部材の被処理表
面に撥液性及び密着性に優れていて、優れた表面性(硬
度と滑らかさ)を有する良質の撥液性膜を形成すること
を可能にするエポキシ樹脂をベースとした樹脂組成物を
提供することにある。
【0021】本発明の他の目的はインクジェットヘッド
の吐出口面に表面性(硬度と滑らかさ)に優れ、かつ、
撥液性及び密着性に優れた撥液性膜を形成することを可
能にするエポキシ樹脂をベースとした樹脂組成物を提供
することにある。
【0022】本発明の別の目的は、インクジェットヘッ
ドの吐出口面に表面性(硬度と滑らかさ)に優れ、か
つ、撥液性及び密着性に優れた撥液領域を所望の形態に
形成することを可能にするエポキシ樹脂をベースとした
樹脂組成物およびそれを用いた表面処理方法を提供する
ことにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】前記の目的は以下の手段
によって達成される。
【0024】すなわち、本発明は、少なくとも 成分
(a)としての1分子中に2つ以上のエポキシ基を有
し、F、Siを含まない多官能エポキシ樹脂を5〜80
重量部、成分(b)としての末端にパーフルオロ基を有
するエポキシ化合物を5〜40重量部、及び成分(c)
としてのエポキシ基、アルコール基、カルボン酸基、ア
ミン基のいずれか又は複数を1分子中に2つ以上有する
共にF又はSiを含有する化合物を5〜80重量部を含
有することを特徴とするフッ素含有エポキシ樹脂組成物
を提案するものであり、前記フッ素含有エポキシ樹脂組
成物は、更に重合触媒を含有すること、前記フッ素含有
エポキシ樹脂組成物において前記重合触媒が熱重合触媒
であること、前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物におい
て前記重合触媒が光重合触媒であること、前記フッ素含
有エポキシ樹脂組成物は、更に硬化剤を含有すること、
前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物において前記硬化剤
がシロキサン基またはパーフルオロ基を有するアミン系
化合物もしくは該アミン系化合物の酸無水物であるこ
と、前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物は、更にシラン
カップリング剤を含有すること、前記フッ素含有エポキ
シ樹脂組成物は、更に色材を含有すること、前記フッ素
含有エポキシ樹脂組成物が常温で固体であること、前記
フッ素含有エポキシ樹脂組成物が常温で液体であるこ
と、前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物において前記成
分(c)が、エポキシ基を1分子中に2つ以上有すると
共にF又はSiを含有する化合物と、アルコール基、カ
ルボン酸基、アミン基のいずれか又は複数を1分子中に
2つ以上有すると共にF又はSiを含有する化合物とか
らなること、前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物におけ
る前記成分(c)である前記エポキシ基を1分子中に2
つ以上有すると共にF又はSiを含有する化合物と、前
記アルコール基、カルボン酸基、アミン基のいずれか又
は複数を1分子中に2つ以上有すると共にF又はSiを
含有する化合物との重量割合が1としての5〜5として
の1の範囲であることを含む。また、本発明は、物質の
所定表面に撥液性膜を形成することにより表面処理を行
う方法であって該方法は以下の工程を包含するとしての
(I) 下記のフッ素含有エポキシ樹脂組成物を物質の
前記表面に塗布する工程、フッ素含有エポキシ樹脂組成
物としての少なくとも成分(a)としての1分子中に2
つ以上のエポキシ基を有し、F、Siを含まない多官能
エポキシ樹脂を5〜80重量部、 成分(b)としての
末端にパーフルオロ基を有するエポキシ化合物を5〜4
0重量部、及び 成分(c)としてのエポキシ基、ア
ルコール基、カルボン酸基、アミン基のいずれか又は複
数を1分子中に2つ以上有する共にF又はSiを含有す
る化合物を5〜80重量部を含有することを特徴とす
る、(II) 前記表面に塗布した前記フッ素含有樹脂
組成物を硬化させることにより撥液性膜を形成する工程
とからなることを特徴とする表面処理方法を提案するも
のであり、前記方法における前記フッ素含有エポキシ樹
脂組成物は、更に重合触媒を含有すること、前記方法に
おける前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物において前記
重合触媒が熱重合触媒であること、前記方法における前
記フッ素含有エポキシ樹脂組成物において前記重合触媒
が光重合触媒であること、前記方法における前記フッ素
含有エポキシ樹脂組成物は、更に硬化剤を含有するこ
と、前記方法における前記フッ素含有エポキシ樹脂組成
物において前記硬化剤がシロキサン基またはパーフルオ
ロ基を有するアミン系化合物もしくは該アミン系化合物
の酸無水物であること、前記方法における前記フッ素含
有エポキシ樹脂組成物は、更にシランカップリング剤を
含有すること、前記方法における前記フッ素含有エポキ
シ樹脂組成物は、更に色材を含有すること、前記方法に
おける前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物が常温で固体
であること、前記方法における前記フッ素含有エポキシ
樹脂組成物が常温で液体であること、前記方法における
前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物において前記成分
(c)が、エポキシ基を1分子中に2つ以上有すると共
にF又はSiを含有する化合物と、アルコール基、カル
ボン酸基、アミン基のいずれか又は複数を1分子中に2
つ以上有すると共にF又はSiを含有する化合物とから
なるものであること、前記方法における前記フッ素含有
エポキシ樹脂組成物における前記成分(c)である前記
エポキシ基を1分子中に2つ以上有すると共にF又はS
iを含有する化合物と、前記アルコール基、カルボン酸
基、アミン基のいずれか又は複数を1分子中に2つ以上
有すると共にF又はSiを含有する化合物との重量割合
が1としての5〜5としての1の範囲であること、前記
方法における前記撥液性膜の形成は前記所定表面の所定
領域に選択的に行うこと、前記方法における前記撥液性
膜の選択的形成を前記樹脂組成物をフォトリソグラフィ
ー法によってパターニングすることにより行うこと、前
記方法における前記物質の所定表面がインクジェットヘ
ッドの吐出口面であることを含む。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明者は上記目的を達成するために以下の様な
検討を行った。即ち、上述した様に、従来撥液剤単体で
は上記目的を達成するものは無いため、本発明者は上記
目的を達成するものとして樹脂組成物を用いることを考
えた。そして当該樹脂組成物としては該樹脂組成物の性
能が均一となる様に樹脂組成物を構成する各種成分が相
溶状態になっているものを考えた。この相溶状態とは、
各種成分が均一に混じり合っており、可視光レベルでは
各種成分の確認ができない状態を指す。以下で用いる
「相溶状態」はここに説明した状態を意味する。本発明
者は、該樹脂組成物のベースとなる樹脂としては、反応
性また作業性を考慮した場合、エポキシ樹脂を用いるこ
とが望ましいと考えた。本発明者はエポキシ樹脂をベー
スとすると共にこのエポキシ樹脂に撥液性を付与するこ
とにより上記目的を達成することができる樹脂組成物に
関して実験を介して検討を行った。実験において、はエ
ポキシ樹脂の特徴を生かすために硬化剤は用いず硬化触
媒を用いて用いて検討を行った。即ち、まず、エポキシ
樹脂に撥液性を付与する撥液性付与剤として一般に市販
されている撥液剤を用いて検討を行ったところ、一般に
市販されている撥液剤はエポキシ樹脂に対して相溶状態
にならないため撥液性を有する硬化物を得ることはでき
なかった。次に、エポキシ樹脂に撥液性を付与する撥液
性付与剤としてF、Siを含む化合物を用いて検討を行
ったところ、エポキシ樹脂と相溶状態となる化合物はあ
ったものの上記目的を達成する樹脂組成物は得られなか
った。この原因は、エポキシ樹脂と相溶状態となるF、
Siを含む化合物が、エポキシ基やエポキシ基と反応す
る官能基を末端に有するのでエポキシ樹脂と相溶状態と
なるものの、SiやFの基がベンゼン環やエポキシ基、
水酸基等の官能基に挟まれるものであるため、SiやF
の基の撥水特性が抑えられたためと考えられる。こうし
たことから、樹脂組成物に所望の撥液性を付与するため
には、いずれにしろ、撥液性付与剤としてSiやFの基
を末端に有する化合物を用いる必要があることが判明し
た。しかしながら、このようなSiやFの基を末端に有
する化合物は前述したようにエポキシ樹脂に対して相溶
状態とならないため、上述したエポキシ樹脂と相溶する
F、Siを含む化合物とエポキシ樹脂の組成物に対して
相溶状態になり得るSiやFの基を末端に有する化合物
を検討したところ、末端にパーフルオロ基を有するエポ
キシ化合物が、エポキシ樹脂の撥液性付与剤として好ま
しいものであるということが判明した。本願発明者はこ
れらの成分を含む樹脂組成物について実験を介して検討
を行った結果、以下に述べる構成の樹脂組成物が上記目
的を達成できるものであることを見いだすに至った。即
ち、 少なくとも(a)1分子中に2つ以上のエポキシ
基を有し、F、Siを含まない多官能エポキシ樹脂、
(b)末端にパーフルオロ基を有するエポキシ化合物、
及び(c)エポキシ基、アルコール基、カルボン酸基、
アミン基のいずれか又は複数を1分子中に2つ以上有す
ると共にF又はSiを含有する化合物とを有することを
特徴とするフッ素含有エポキシ樹脂組成物である。
【0026】当該構成のフッ素含有エポキシ樹脂組成物
はベースとなる樹脂、即ち、成分(a)がエポキシ樹脂
系であるので、各種部材への密着性に優れ、比較的低温
でも硬化可能であり、構造物としての物性にも優れた硬
化物をもたらす。更に成分(b)として、末端にパーフ
ルオロ基を有するエポキシ化合物を含有することから、
当該樹脂組成物は優れた撥液性を発揮する。そして、成
分(c)によって成分(a)と成分(b)とが所望の配
合割合で望ましい相溶状態になる。これがゆえに、撥液
性、硬度および密着性に優れた樹脂硬化物をもたらす。
即ち、前記成分(a)、(b)及び(c)からなる樹脂
組成物(即ち、フッ素含有エポキシ樹脂組成物)は、こ
のように望ましい相溶状態を呈し、この相溶状態は重合
触媒や硬化剤を添加しても維持され、撥液性、硬度及び
密着性に優れた高品質の樹脂硬化物の形成を可能にす
る。
【0027】まず本発明の骨子であるフッ素含有エポキ
シ樹脂組成物について説明する。
【0028】本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物
は、少なくとも(a)1分子中に2つ以上のエポキシ基
を有し、F、Siを含まない多官能エポキシ樹脂、
(b)末端にパーフルオロ基を有するエポキシ化合物、
及び(c)エポキシ基、アルコール基、カルボン酸基、
アミン基のいずれか又は複数を1分子中に2つ以上有す
ると共にF又はSiを含有する化合物からなるものであ
る。
【0029】本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物に
おける成分(a)は本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組
成物のベースとなるエポキシ樹脂であり、各種部材への
密着性や構造物としての機械的強度について性能を発揮
するものである。この成分(a)に用いられるエポキシ
樹脂としては、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有す
ると共にF、Siを含まない多官能エポキシ樹脂が用い
られる。当該エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェ
ノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD
型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック
型、脂環型、脂肪族型、ナフタレン骨格型、ビフェニル
型のエポキシ樹脂等を挙げることができる。また、市販
品としては、例えばエピコート828(商標名:油化シ
ェルエポキシ(株)製)、アラルダイトCY179(商
品名:日本チバガイギー(株)製)、EHPEー315
8(商品名:ダイセル化学工業(株)製)等が挙げるこ
とができる。また、本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組
成物における成分(a)の配合割合は、10〜80重量
部の範囲にすることが好ましい。ここで、成分(a)の
配合割合が10重量部より少ない場合には前述した各種
部材への密着性や構造物としての機械的強度について充
分な性能を発揮することができない。また、成分(a)
の配合割合が80重量部より多い場合には本発明のフッ
素含有エポキシ樹脂組成物に充分な撥液性能を付与する
ことができなくなる。
【0030】本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物に
おける成分(b)は本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組
成物の撥液性について性能を発揮するものであり、成分
(a)と後述の成分(c)の組成物に対して相溶状態と
なるものである。この成分(b)は、上述したように末
端にパーフロロ基を有するエポキシ化合物である。当該
エポキシ化合物としては例えば、3−(2−パーフルオ
ロヘキシル)エトキシ−1,2−エポキシプロパン、N
−プロピル−N−(2,3−エポキシプロピル)パーフ
ルオロオクタンスルホンアミド等を挙げることができ
る。また、市販品としては、例えば、MF−120、M
F−130(いずれも商品名:(株)トーケムプロダク
ト製)等を挙げることができる。本発明のフッ素含有エ
ポキシ樹脂組成物における当該成分(b)の配合割合は
10〜40重量部にすることが望ましい。ここで、成分
(b)の配合割合が10重量部より少ない場合には、本
発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物に充分な撥液性能
を付与することができなくなる。また、成分(b)の配
合割合が40重量部より多い場合には、樹脂組成物中の
単官能物質が多くなるため充分な硬度を得ることができ
なくなる。
【0031】成分(c)としては、上述したように本発
明のフッ素含有樹脂組成物中において、成分(a)と成
分(b)とを良好な相溶状態にする成分である。当該成
分(c)は、エポキシ基、アルコール基、カルボン酸
基、アミン基のいずれか又は複数を1分子中に2つ以上
有する共にF又はSiを含有する化合物である。成分
(c)としての当該化合物としては、例えば、2,2−
ビス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,4−ビス(ヘキサフロロ−2−ヒドロキシ−2−プ
ロピル)ベンゼン、1,3−ビス(グリシドキシプロピ
ル)テトラメチルジシロキサン、フロロヘキサンジオー
ル等を挙げることができる。また、市販品としては、例
えば、CHEMINOX AFEp(商品名:日本メク
トロン(株)製)、1,4−HFAB(商品名:セント
ラルガラス(株)製)、LS7970(商品名:信越化
学工業(株)製)等を挙げることができる。また、本発
明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物における成分(c)
の配合割合は10〜80重量部の範囲にすることが望ま
しい。ここで、成分(c)の配合割合が10重量部より
少ない場合には成分(b)を充分な相溶状態とすること
ができなくなるため樹脂組成物を充分に硬化させること
はできなくなる。また、成分(c)の配合割合が80重
量部より多い場合には、本発明のフッ素含有エポキシ樹
脂組成物に充分な撥液性能を付与することができなくな
るだけでなく、充分な硬度を得ることもできなくなる。
【0032】尚、このような成分(c)に挙げた樹脂の
うち、エポキシ基を1分子中に2つ以上有すると共にF
又はSiを含有する化合物と、アルコール基、カルボン
酸基、含有する化合物とを組み合わせて用いることが耐
インク性を向上させる観点で更に好ましい。そして、成
分(c)として、エポキシ基を1分子中に2つ以上有す
ると共にF又はSiを含有する化合物と、アルコール
基、カルボン酸基、アミン基のいずれか又は複数を1分
子中に2つ以上有すると共にF又はSiを含有する化合
物とを組み合わせて用いる場合のこれらの混合割合は、
重量基準で1:5〜5:1の範囲することが望ましい。
【0033】以上述べた特定の成分(a)、成分(b)
及び成分(c)をそれぞれ上述した特定の配合割合で配
合してなる本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物は、
三者の成分(a)乃至(c)が均一に混じり合って望ま
しい相溶状態になっているものである。そして、該フッ
素含有エポキシ樹脂組成物は、一般的な溶剤に易溶であ
る。更に、前記相溶状態は、重合触媒や硬化剤(以下、
これらを成分(d)と称す)を添加しても維持される。
【0034】これが故に、本発明のフッ素含有エポキシ
樹脂組成物は、各種物質の表面処理に適用することがで
き、そこにあって、それら物質の表面に硬度及び密着性
に優れた高品質の撥液性膜を所望状態に形成することが
できる。
【0035】本発明の成分(a)、(b)及び(c)か
らなるフッ素含有エポキシ樹脂組成物に添加する上記成
分(d)としての重合触媒又は硬化剤は、表面処理を行
う物質の種類、あるいは場所に応じて適宜選択使用され
る。しかし、いずれの場合にあっても添加する成分
(d)(即ち、重合触媒又は硬化剤)は、前記フッ素含
有エポキシ樹脂組成物に均一に混じり合って該樹脂組成
物の上述した相溶状態が維持されるものであることが望
ましい。成分(d)の配合割合は0.1〜5重量部の範
囲にすることが望ましい。
【0036】成分(d)として重合触媒を使用する場合
には、前記成分(a)、(b)及び(c)からなるフッ
素含有エポキシ樹脂組成物を硬化させる機能を有する重
合触媒を使用する。該重合触媒は熱硬化型でも光硬化型
であっても良い。こうした重合触媒としては、例えば、
三弗化ホウ素アミン錯体、ビス(4−t−ブチルフェニ
ル)ヨードニウム塩、Cu(CF3 SO32 等を挙げ
ることができる。また、げることができる。
【0037】成分(d)として硬化剤を使用する場合、
該硬化剤が熱硬化触媒として機能し、硬化させるいわゆ
る熱硬化触媒タイプのものを使用する。そうした熱硬化
触媒タイプの硬化剤としては、アミン系硬化剤及び酸無
水物型の硬化剤を挙げることができる。これらの中、シ
ロキサン基または、パーフルオロ基含有のアミン化合物
及びそれらアミン化合物の酸無水物が特に好ましいもの
である。具体例として、α,ω−ビス(3−アミノプロ
ピル)ポリジメチルシロキサンであるTSL9346
(商品名:東芝シリコーン(株)製)、1,3−ビス
(3−アミノプロピル):信越化学工業(株)製)、
2,2−ビス(4−アミノフェニル)−ヘキサフルオロ
プロパンであるBIS−A−AF(商品名:セントラル
硝子(株)製)等を挙げることができる。
【0038】なお、本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組
成物は、上述した成分(a)乃至(d)に加えて、必要
に応じて、シランカップリング剤やレベリング剤等を含
有することができる。そうしたシランカップリング剤、
またはレベリング剤としては公知のものを使用すること
ができる。
【0039】また、この他、必要に応じて、石英タルク
等のフィラーや顔料等を添加することもできる。
【0040】本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物
は、常温で流動性を有するものと流動性を有さないもの
を包含する。該フッ素含有エポキシ樹脂組成物が常温で
流動性を有するものである場合、そのまま成膜に付する
ことができる。しかしながら、いずれの場合にあって
も、該フッ素含有エポキシ樹脂組成物の構成成分を望ま
しい相溶状態にする観点からは、それら構成成分を溶媒
に溶解し、該溶媒を蒸発させる手法で成膜することが望
ましい。例えば、本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成
物をコーティング手法により成膜する場合には、当該樹
脂組成物の構成成分を溶媒に溶解し、得られる溶液をス
ピンコーティング手法等のソルベントコーティング法に
より被処理物質の表面に塗布し、前記溶媒を蒸発せしめ
ることにより、前記溶媒としては、本発明のフッ素含有
エポキシ樹脂組成物は、一般にエポキシ樹脂の溶媒とし
て使用されるほとんどの溶媒に溶解することから、公知
の溶媒を任意に使用することができる。そうした溶媒の
具体例としては、アセトン、メチルイソブチルケトン、
ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサ
ノン、ソルベッソ(商品名:大日本インキ化学工業
(株)製)等を挙げることができる。尚、これらの溶媒
は例示的なものであって限定的なものではない。
【0041】上述した成分からなる本発明のフッ素含有
エポキシ樹脂組成物は、比較的低温でも硬化して、密着
性、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性及
び撥液性に優れた良質の硬化物をもたらす。
【0042】本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物は
各種部材また各種デバイスの所定の表面を撥液機能を有
するように表面処理するについて好適に使用できる。ま
た、本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物は、部材を
接着するについても使用できる。また、本発明のフッ素
含有エポキシ樹脂組成物に色材を分散させることにより
塗料としても使用できる。
【0043】本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物
は、インクジェットヘッドの吐出口面に形成する撥液層
の形成材料として特に好適である。
【0044】以下、本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組
成物を用いて撥液処理された吐出口面を有するインクジ
ェットヘッドの態様例を説明する。
【0045】以下、図面を参照しつつ本発明のインクジ
ェットヘッドの製造例を説明する。図1〜図12は、イ
ンクジェットヘッドの基本的製造工程を示す図である。
尚、図面では、2つの吐出口を有するインクジェットヘ
ッドが示されているが、これは簡略のためのものであ
る。従って、これ以上の吐出口を有する高密度マルチア
レイタイプのインクジェットヘッドの場合や吐出口が1
つだけのインクジェットヘッドの場合も包含することは
言うまでもない。
【0046】図1は、本実施態様例において使用するイ
ンクジェットヘッド用基板1の模式的斜視図である。
【0047】まず、図1に示されるような、シリコン、
ガラス、セラミック、プラスチックあるいは金属などか
らなるインクジェットヘッド用基板1を用意する。この
インクジェットヘッド用基板1は、インク流路構成部材
の一部として機能し、また後述の被覆樹脂層の支持体と
して機能し得るものであればよく、その形状、材質等に
ついては特に制限はない。
【0048】該インクジェットヘッド用基板1には、電
気熱変換素子あるいは圧電素子などの吐出エネルギー発
生素子2が所望の個数配置される(図1には簡略化のた
めに2個配置されている)。この吐出エネルギー発生素
子2によりプリント液小滴を吐出するための吐出エネル
ギーがインクに与えられてインク吐出がなされ、プリン
トが行われる。例えば、上記吐出エネルギー発生素子2
として電気熱変換素子を用いる場合、該電気熱変換素子
により、該素子近傍のインクを加熱することにより、吐
出エネルギーが発生し、インク吐出がなされる。
【0049】なお、これら吐出エネルギー発生素子2に
は、これら素子を動作させるための制御信号入力用電極
(図示せず)が接続されている。また、一般に、これら
吐出エネルギー発生素子の耐久性の向上を目的として、
吐出エネルギー発生素子2上に保護層などの各種機能層
が設けられるが、本発明においてもこのような機能層を
設けることができる。
【0050】更に、上述のインクジェットヘッド用基板
1にはインク流路中にインクを供給するためのインク供
給口3が、該インクジェットヘッド用基板1上のエネル
ギー発生素子2の存在しない箇所に貫通口を形成するこ
とによって設けられている。
【0051】次いで、図2に示すように、上記インクジ
ェットヘッド用基板1上に感光性樹脂層4を該基板1上
の前記吐出エネルギー発生素子を覆うように形成する。
この感光性樹脂層の材料としては、パターニング特性や
易溶性の観点から、ポジ型の感光性樹脂を用いることが
望ましい。この感光性樹脂層4の形成は、当該感光性樹
脂を溶剤に溶解してPETフィルム等のフィルム上に一
旦コーティングし、ドライフィルム化した後に、ラミネ
ーターにてインクジェットヘッド用基板1上に転写する
方法により行うことができる。
【0052】この他、インクジェットヘッド用基板1上
に被覆樹脂層6まで設けた状態でインク供給口3を異方
性エッチングにて形成することにより、インクジェット
ヘッド基板1上にスピンコート法、ロールコート法等の
ソルベントコート法で被膜を形成する方法により行うこ
ともできる。
【0053】次いで、図3に示すように感光性樹脂層4
に対して、パターニングマスク5を用いることによりイ
ンク流路となる部分を除いて紫外線や電離放射線等の活
性エネルギー線を照射して可溶化し、可溶化した部分を
溶剤により溶出して、図4示すようなインク流路パター
ン4aを形成する。該インク流路パターン4aは、イン
ク供給口3とエネルギー発生素子2とを備えるインク流
路を確保するものであり、インク流路となるところに感
光性樹脂層のパターンが残存する(図4参照)。
【0054】次いで、図5に示すようにインク流路パタ
ーン4a上に当該パターン4aを被覆するように被覆樹
脂層6を形成する。該被覆樹脂層6はインクジェットヘ
ッドの構造材料となるため、高い機械的強度、耐熱性、
インクジェットヘッド用基板1に対する密着性、インク
に対する耐性などの特性が要求される。このような特性
を満足させる被覆樹脂層6の構成材料としては、エポキ
シ樹脂,アクリル樹脂、ジグリコールジアルキルカーボ
ネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリーールフ
タレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メ
ラミン樹脂、フノール樹脂、尿素樹脂などの硬化性樹脂
を挙げることができる。勿論、これら硬化性樹脂には、
一般的に使用される硬化剤を併用し、必要に応じて光お
よび熱エネルギーを付与して硬化反応を起こさせる。
【0055】該被覆樹脂層6の形成は、上述した硬化性
樹脂を所望の溶剤に溶解してソルベントコートで形成す
る方法か、または、上述した硬化性樹脂を加熱溶融して
トランスファー成型にて形成する方法により行うことが
できる。
【0056】次いで、被覆樹脂層6上にインク吐出口を
形成する。インク吐出口の形成はフォトリソグラフィー
法により行うことができる。以下、フォトリソグラフィ
ー法によるインク吐出口の形成は、例えば、以下に述べ
るような手法で行うことができる。
【0057】即ち、インク吐出口をフォトリソグラフィ
ー法により形成する場合には、前述した被覆樹脂層をネ
ガ型の感光特性を有する被覆樹脂層材料を用いて形成す
る。そして、図6に示すように、ネガ型の感光特性を有
する被覆樹脂層6上に吐出口部分が遮蔽された吐出口形
成用のパターニングマスク7を介して露光する。これに
より被覆樹脂層6の露光部分は硬化され、インク吐出口
形成部分が消耗状態にパターニングできるようになる。
そして、図7に示すように被覆樹脂層6の未露光部分を
溶剤により溶出することにより被覆樹脂層6にインク吐
出口9を形成する。
【0058】尚、本実施態様例においては吐出口の形成
は感光性樹脂層4のインク流路形成部分の可溶化工程の
前に行うものである。これは、被覆樹脂層6としてネガ
型の感光性樹脂を用いるため、先にインク流路部分に電
離放射線を照射すると被覆樹脂層6のインク吐出口形成
部分が硬化してしまい、インク吐出口の形成ができなく
なってしまうためである。
【0059】また、ここではフォトリソグラフィー法に
よるインク吐出口9の形成方法としてを挙げたが、この
他に被覆樹脂層上にインク吐出口パターンを有するパタ
ーニングマスクを設けエキシマレーザーを照射する方法
や、酸素プラズマによってドライエッチングする方法に
よってもインク吐出口を形成することができる。尚、酸
素プラズマやエキシマレーザーで吐出口を形成した場合
には被覆樹脂層の硬化処理を行う。
【0060】次いで、図8に示すように、吐出口面に撥
液層を形成するために吐出口が設けられた被覆樹脂層6
上(吐出口面)に本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成
物からなる撥液剤をスピンコート法等のソルベントコー
ト法によって塗布して撥液層10を形成する。
【0061】次いで、吐出口周辺部に局所的に撥液処理
を施すために撥液層10のパターニングを行う。撥液層
10のパターニングは前記フッ素含有エポキシ樹脂組成
物の成分(d)として光重合触媒を用いてフォトリソグ
ラフィー法によって行うことができる。当該フォトリソ
グラフィー法による撥液層のパターニングは、例えば、
まず、図9に示すように、ネガ型の感光特性を有する撥
液層上に吐出口周辺部のみ活性エネルギー線が透過する
ようなパターンを有するパターニングマスク11を介し
て露光する。これにより撥液層10の露光部分は硬化さ
れ、吐出口周辺部以外の部分が所望の状態にパターニン
グできるようにする。そして、図10に示すように撥液
層10の未露光部分を溶剤により溶出することによりそ
れぞれの吐出口周辺部が局所的に撥液パターン10aを
有するようになる。
【0062】次いで、図11に示すように撥液パターン
10a、被覆樹脂層6を介してインク流路パターン4a
に電離放射線を照射してインク流路パターン4aを可溶
化させる。
【0063】最後に、可溶化されたインク流路パターン
4aを溶剤により溶出してインク流路8を形成する。こ
のようにしてインクジェットヘッドが得られる(図12
参照)。
【0064】なお、上述の説明ではサイドシューター型
のインクジェットヘッドの製造例を説明したが、本発明
は吐出エネルギー発生素子が設けられている面に沿った
方向にインクを吐出する、いわゆるエッヂシューター型
のインクジェットヘッドの製造にも適用できることは言
うまでもない。本発明をエッヂシューター型のインクジ
ェットヘッドの製造に適用する場合には、吐出口が被覆
樹脂層が設けられたインクジェットヘッド用基板の端面
に設けられるため、上述の吐出口形成工程は必要としな
い。
【0065】本実施態様例のインクジェットヘッドで
は、吐出口面の少なくともそれぞれの吐出口周辺部に局
所的にフッ素含有エポキシ樹脂組成物の硬化物(撥液パ
ターン)が設けられていて、それぞれの吐出口周辺部に
は撥液性能が付与されているため、吐出口面に液滴(イ
ンク滴)が付着してインクの吐出方向にズレが生じるの
が防止される。しかも、該硬化物層は密着性に優れるも
のである。また、本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成
物を用いて吐出口面の吐出口周辺部に局所的に微細な撥
液パターンを形成することもできる。
【0066】図13は図12に示したような構成のイン
クジェットヘッドを組み込んだインクジェット装置の一
例を示すものである。図13において、61はワイピン
グ部材としてのブレードであり、その一端はブレード保
持部材によって保持されて固定端となり、カンチレバー
の形態をなす。ブレード61はインクジェットヘッド6
5よりプリント領域に隣接した位置に配設され、また、
本例の場合、インクジェットヘッドの移動経路中に突出
した形態で保持される。
【0067】62はキャップであり、ブレード61に隣
接するホームポジションに配設され、インクジェットヘ
ッド65の移動方向と垂直な方向に移動して吐出口面と
当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に63は
ブレード61に隣接して設けられたインク吸収体であ
り、ブレード61と同様、インクジェットヘッドの移動
経路中に突出した状態で保持される。上記ブレード6
1、キャップ62、インク吸収体63によってインク吐
出口面からの水分、塵埃等の除去が行われる。
【0068】インクジェットヘッド65は、熱エネルギ
ーによって記録用液体(インク)を吐出する構成を有す
る。66はインクジェットヘッド65を搭載してインク
ジェットヘッド65の移動を行うためのキャリッジであ
る。キャリッジ66は、ガイド軸67に沿って移動し、
インクジェットヘッド65によるプリント領域及びその
隣接した領域への移動が可能である。
【0069】51はプリント媒体を挿入するための給紙
部、52は不図示のモータにより駆動される紙送りロー
ラである。これらの構成のよってインクジェットヘッド
65の吐出口面と対向する位置へプリント媒体が給紙さ
れ、プリントが進行するにつれて排紙ローラ53を介し
て排紙される。
【0070】上記構成において、インクジェットヘッド
65がプリント終了時等でホームポジションに戻る際ヘ
ッド回復部64のキャップ62はインクジェットヘッド
65の移動経路から退避しているがブレード61は移動
経路中に突出している。これにより、インクジェットヘ
ッド65の吐出口面がワイピングされる。また、キャッ
プ62がインクジェットヘッド65の吐出口面に当接し
てキャッピングを行う際には、キャップ62はインクジ
ェットヘッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0071】インクジェットヘッド65がホームポジシ
ョンからプリント開始位置へと移動する場合、キャップ
62及びブレード61は上述したワイピング時に位置と
同一の位置にある。この結果、この移動においてもイン
クジェットヘッド65の吐出口面はワイピングされる。
【0072】上述のインクジェットヘッドのホームポジ
ションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでな
く、インクジェットヘッドがプリントのためのプリント
領域を移動する間に所定の間隔でプリント領域に隣接し
たホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワ
イピングが行われる。
【0073】カラープリントの場合は、1ヘッド中にシ
アン用、マゼンダ用、イエロー用及びブラック用の吐出
口を並列したインクジェットヘッドを、あるいはシアン
用インクジェットヘッド、マゼンダ用インクジェットヘ
ッド、イエロー用インクジェットヘッド及びブラック用
インクジェットヘッドを並列に用いて行うことができ
る。この場合、各色の吐出は、1つの吐出口から行って
も良いし、各色について同時に複数の吐出口からの吐出
を行って2以上の同一色の液滴がプリント媒体に同時に
付着するようにしても良い。
【0074】実験 以下に本発明者が上述した本発明のフッ素含有エポキシ
樹脂組成物を見いだす過程で行った実験の中の主だった
ものを記載する。以下の実験1乃至20のそれぞれにお
いて被験試料を作成し、当該試料について、硬さ、撥液
性、密着性、成膜性、そして硬化前の試料の状態を調べ
当該試料の有用性を検証した。
【0075】なお、以下の実験1乃至20において作成
される被験試料(試料1乃至20)については、それぞ
れ複数作成した。
【0076】実験1 成分(a)としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂
エピコート828(商標名:油化シェルエポキシ(株)
製)を50重量部、成分(b)としての3−(2−パー
フルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポキシプロパ
ンであるMF−120(商品名:(株)トーケムプロダ
クト社製)を20重量部、成分(c)としての1,3−
ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサ
ンであるLS7970(商品名:信越化学工業(株)
製)を30重量部、成分(d)としての光重合開始剤
SP−170(商品名:旭電化工業(株)製)を1.5
重量部をメチルイソブチルケトン中に溶解し、濃度50
wt.%のメチルイソブチルケトン溶液を作成した。次
いで、直径5インチの丸型Siウエハ上に前記メチルイ
ソブチルケトン溶液を2cc滴下し600rpmで80
秒の条件でスピンコートすることにより、前記メチルイ
ソブチルケトン溶液を前記Siウエハ上に塗布した。次
いで、80℃で15分間乾燥処理した後、8J/cm2
の露光条件で紫外線を照射した。最後に180℃で1時
間の熱キュアを行った。かくして試料1を得た。尚、該
試料の乾燥処理直後の状態を観察したところ流動性を有
していた。
【0077】実験2 実験1において、成分(a)として脂環型エポキシ樹脂
CY179(商品名:日本チバガイギー(株)製)を
55重量部使用し、成分(b)として3−(2−パーフ
ルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポキシプロパン
であるMF−120(商品名:(株)トーケムプロダク
ト社製)を16重量部使用し、成分(c)として1,4
−ビス(ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシル−2−プロ
ピル)ベンゼンである1,4−HFAB(商品名:セン
トラル硝子(株)製)を21重量部使用した以外は実験
例1におけると同様にして試料2を作成した。尚、該試
料の乾燥処理直後の状態を観察したところ流動性を有し
ていた。
【0078】実験3 実験1において、成分(a)として脂環型エポキシ樹脂
CY179(商品名:日本チバガイギー(株)製)を
70重量部使用し、成分(b)として3−(2−パーフ
ルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポキシプロパン
であるMF−120(商品名:(株)トーケムプロダク
ト社製)を10重量部使用し、成分(c)として2,2
−ビス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニ
ル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ンであるCHEMINOX AFEp(日本メクトロン
(株)製)を20重量部使用した以外は実験1における
と同様にして試料3を作成した。尚、該試料の乾燥処理
直後の状態を観察したところ流動性を有していた。
【0079】実験4 実験1において、成分(a)として脂環型エポキシ樹脂
EHPE−3158(商品名:ダイセル化学工業
(株)製)を34重量部使用し、成分(b)として3−
(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポ
キシプロパンであるMF−120(商品名:(株)トー
ケムプロダクト社製)を16重量部使用し、成分(c)
として2,2−ビス[p−(2,3−エポキシプロポキ
シ)フェニル]AFEp(日本メクトロン(株)製)を
25重量部と1,4−ビス(ヘキサフロロ−2−ヒドロ
キシル−2−プロピル)ベンゼンである1,4−HFA
B(商品名:セントラル硝子(株)製)を25重量部使
用した以外は実験1におけると同様にして試料4を作成
した。尚、該試料の乾燥処理直後の状態を観察したとこ
ろ流動性を失っていた。
【0080】実験5 成分(a)としての脂環型エポキシ樹脂 EHPE−3
158(商品名:ダイセル化学工業(株)製)を34重
量部、成分(b)としてのN−プロピル−N−(2,3
−エポキシプロピル)パーフルオロオクタンスルホンア
ミドであるMF−130(商品名:(株)トーケムプロ
ダクト社製)を16重量部、成分(c)としての1,4
−ビス(ヘキサフロロ−2−ヒドロキシル−2−プロピ
ル)ベンゼンである1,4−HFAB(商品名:セント
ラル硝子(株)製)を25重量部と1,3−ビス(グリ
シドキシプロピル)テトラメチルジシロキサンであるL
S7970(商品名:信越化学工業(株)製)を25重
量部、成分(d)としての熱硬化触媒 Cu(CF3
32 を1重量部をメチルイソブチルケトン中に溶解
し、濃度50wt.%のメチルイソブチルケトン溶液を
作成した。次いで、直径5インチの丸型Siウエハ上に
前記メチルイソブチルケトン溶液を2cc滴下し600
rpmで80秒の条件でスピンコートすることにより、
前記メチルイソブチルケトン溶液を前記Siウエハ上に
塗布した。次いで、80℃で15分間乾燥処理した後、
180℃で1時間熱キュアを行うことにより試料5を作
成した。尚、該試料の乾燥処理直後の条体を観察したと
ころ、流動性を有していた。
【0081】実験6 成分(d)として熱硬化触媒 Cu(CF3 SO32
を1重量部を使用するとともに試料への露光工程を行わ
ない以外は実験4と同様にして試料6を作成した。尚、
該試料の乾燥処理直後の状態を観察したところ流動性を
失っていた。
【0082】実験7 実験4において、成分(c)として、2,2−ビス[p
−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンであるC
HEMINOX AFEp(日本メクトロン(株)製)
を20重量部とフロロヘキサンジオールを30重量部使
用した以外は実験4におけると同様にして試料7を作成
した。尚、該試料の乾燥処理直後の状態を観察したとこ
ろ流動性を失わっていた。
【0083】実験8 実験1において、成分(a)としてビスフェノールA型
エポキシ樹脂 エピコート828(商標名:油化シェル
エポキシ(株)製)を40重量部使用し、成分(c)と
して2,2−ビス[p−(2,3−エポキシプロポキ
シ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパンであるCHEMINOX AFEp(日本
メクトロン(株)製)を20重量部と1,3−ビス(グ
リシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサンである
LS7970(商品名:信越化学工業(株)製)を20
重量部使用した以外は実験1におけると同様にして試料
8を作成した。尚、該試料の乾燥処理直後の状態を観察
したところ流動性を有していた。
【0084】実験9 成分(a)及び成分(b)は使用せずに、成分(c)と
しての2,2−ビス[p−(2,3−エポキシプロポキ
シ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパンであるCHEMINOX AFEp(日本
メクトロン(株)100重量部に成分(d)としての光
開始剤SP−170(商品名:旭電化工業(株)製)
1.5重量部を加えたものをメチルイソブチルケトン中
に溶解し、濃度50wt.%のメチルイソブチルケトン
溶液を作成した。次いで、このメチルイソブチルケトン
溶液を用いて実験1におけると同様の塗布条件、硬化条
件にて試料9を作成した。尚、該試料の乾燥処理直後の
状態を観察したところ流動性を有していた。
【0085】実験10 成分(a)及び成分(c)は使用せずに、成分(b)と
しての3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−
1,2−エポキシプロパンであるMF−120(商品
名:(株)トーケムプロダクト社製)100重量部に、
成分(d)としての光重合開始剤 SP−170(商品
名:旭電化工業(株)製)1.5重量部とを加えたもの
をメチルイソブチルケトン中に溶解し、濃度50wt.
%のメチルイソブチルケトン溶液を作成した。次いで、
このメチルイソブチルケトン溶液を用いて実験1におけ
ると同様の塗布条件、硬化条件にて試料10を作成し
た。尚、該試料の乾燥処理直後の状態を観察したところ
流動性を有していた。
【0086】実験11 成分(a)は使用せずに、成分(b)としての3−(2
−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポキシ
プロパンであるMF−120(商品名:(株)トーケム
プロダクト社製)20重量部に成分(c)としての1,
3−ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロ
キサンであるLS7970(商品名:信越化学工業
(株)製)80重量部と、成分(d)としての光重合開
始剤 SP−170(商品名:旭電化工業(株)製)
1.5重量部とを加えたものをメチルイソブチルケトン
中に溶解し、濃度50wt.%のメチルイソブチルケト
ン溶液を作成した。次いで、このメチルイソブチルケト
ン溶液を用いて実験1におけると同様の塗布条件、硬化
条件にて試料11を作成した。尚、該試料の乾燥処理直
後の状態を観察したところ流動性を有していた。
【0087】実験12 成分(c)は使用せずに、成分(a)としての脂環型エ
ポキシ樹脂 EHPE−3158(商品名:ダイセル化
学工業(株)製)84重量部に成分(b)としての3−
(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポ
キシプロパンであるMF−120(商品名:(株)トー
ケムプロダクト社製)16重量部と、成分(d)として
の光重合開始剤 SP−170(商品名:旭電化工業
(株)製)1.5重量部とを加えたものをメチルイソブ
チルケトン中に溶解し、濃度50wt.%のメチルイソ
ブチルケトン溶液を作成した。次いで、このメチルイソ
ブチルケトン溶液を用いて実験1におけると同様の塗布
条件、硬化条件にて試料12を作成した。尚、該試料の
乾燥処理直後の状態を観察したところ流動性を有してい
た。
【0088】実験13 光ラジカル重合型撥液剤DEFENSA7710(商標
名:大日本インキ化学社製)のみを用いて実験1におけ
ると同様の塗布条件、硬化条件にて試料13を作成し
た。尚、該試料の乾燥処理直後の状態を観察したところ
流動性を失っていた。
【0089】実験14 主鎖に含フッ素へテロ環状構造を有するポリマーである
溶剤乾燥型撥液剤CTX−805A(商標名:旭硝子
(株)製)のみを用いて実験1におけると同様の塗布条
件、硬化条件にて試料14を作成した。尚、該試料の乾
燥処理直後の状態を観察したところ流動性を失ってい
た。
【0090】実験15 実験4において光ラジカル重合成分(b)としての3−
(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポ
キシプロパンであるMF−120(商品名:(株)トー
ケムプロダクト社製)の量を5重量部とし、成分(c)
としての2,2−ビス[p−(2,3−エポキシプロポ
キシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロパプパンであるCHEMINOX AFEp(日
本メクトロン(株)製)の量を31重量部とし、また
1,4−ビス(ヘキサフロロ−2−ヒドロキシル−2−
プロピル)ベンゼンである1,4−HFAB(商品名:
セントラル硝子(株)製)の量を30重量部とした以外
は実験4と同様の方法で試料15を作成した。尚、該試
料の乾燥処理直後の状態を観察したところ流動性を失っ
ていた。
【0091】実験16 実験4において成分(a)としての脂環型エポキシ樹脂
EHPE−3158(商品名:ダイセル化学工業
(株)製)の量を5重量部とし、成分(c)としての
2,2−ビス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フ
ェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプ
ロパンであるCHEMINOX AFEp(日3−ヘキ
サフルオロプロパンであるCHEMINOX AFEp
(日本メクト製)本メクトロン(株)製)の量を54重
量部とした以外は実験4におけると同様の方法で試料1
6を作成した。尚、該試料の乾燥処理直後の状態を観察
したところ流動性を有していた。
【0092】実験17 実験4において成分(a)としての脂環型エポキシ樹脂
EHPE−3158(商品名:ダイセル化学工業
(株)製)の量を15重量部とし、成分(c)としての
2,2−ビス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フ
ェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプ
ロパンであるCHEMINOX AFEp(日本メクト
ロン(株)製)の量を44重量部とした以外は実験4に
おけると同様の方法で試料17を作成した。尚、該試料
の乾燥処理直後の状態を観察したところ流動性を有して
いた。
【0093】実験18 実験1において成分(a)としての脂環型エポキシ樹脂
CY179(商品名:日本チバガイギー(株)製)を
44重量部使用し、成分(b)としての3−(2−パー
フルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポキシプロパ
ンであるMF−120(商品名:(株)トーケムプロダ
クト社製)の量を46重量部とし、成分(c)としての
1,3−ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジ
シロキサンであるLS7970(商品名:信越化学工業
(株)製)の量を10重量部とした以外は実験1におけ
ると同様にして試料18を作成した。尚、該試料の乾燥
処理直後の状態を観察したところ流動性を有していた。
【0094】実験19 実験4における成分(b)としての3−(2−パーフル
オロヘキシル)エトキシ−1,2−エポキシプロパンで
あるMF−120(商品名:(株)トーケムプロダクト
社製)16重量部を2−パーフルオロオクチルエチルア
クリレートであるCHNIMOX FAAC(日本メク
トロン(株)製) 16重量部に替えた以外は実験4に
おけると同様にして試料19を作成した。尚、該試料の
乾燥処理直後の状態を観察したところ流動性を有してい
た。
【0095】実験20 実験1における成分(b)としての3−(2−パーフル
オロヘキシル)エトキシ−1,2−エポキシプロパンで
あるMF−120(商品名:(株)トーケムプロダクト
社製)をセフラルコート A−101B(商品名:セン
トラル硝子(株)に替え、その重量20重量部とした以
外は実験1におけると同様にして試料20を作成した。
尚、該試料の乾燥処理直後の状態を観察したところ流動
性を有していた。
【0096】評価 実験1乃至20において得られた資料1乃至20のそれ
ぞれについて、硬さ、撥液性、密着性、成膜性について
調べるために、以下の述べる評価方法にて評価を行っ
た。得られた結果を表1及び表2にまとめて示した。
【0097】硬さの評価:各試料にキヤノン(株)製P
PCコピー用紙をのせ、そのコピー用紙に500gf/
cm2 の加重をかけた状態で10往復して該用紙を試料
に擦り付けた後、試料の表面状態を顕微鏡で観察するこ
とで硬さを調べた。評価結果は以下の基準に基づいて表
1に記す。◎:傷がまったく見受けられない場合、○:
目視できるほどではないが微小な傷が多少見受けられる
場合、△:目視できる傷がある場合、×:試料が基板か
ら剥れてしまっている場合。
【0098】撥液性の評価:各試料上にキヤノン製BJ
C4000用の黒インク0.1ccを滴下し試料基板を
垂直に立て、そのとき該試料上にインクが残存するか否
かを目視にて観察することで撥液性を調べた。評価結果
は以下の基準に基づいて表1に記す。◎:インクが即座
に落ちた場合、○:インクが即座には落ちないがその後
に全て落ちた場合、×:インクが試料上に残存した場
合。
【0099】密着性の評価:各試料をキヤノン製BJC
4000用の黒インクを用いて121℃、2気圧、10
時間の条件でインク浸漬(PCT)試験に付した。各処
理した試料を水洗、乾燥した後、顕微鏡を使用して当該
試料の膜のSiウエハーとの密着状態を観察することで
密着性を調べた。評価結果は以下の基準に基づいて表1
及び表2に記す。○:膜が良好な状態で基板に密着して
いる場合、△:膜に多少の微小な剥れや膨れが見受けら
れる場合を、×:膜に明らかな剥れや膨れが見受けられ
る場合。
【0100】成膜性の評価:前記各試料についてSiウ
エハー上に形成された膜の表面状態(表面平滑性)を顕
微鏡を介して観察することにより、成膜性を調べた。評
価結果は以下の基準に基づいて表1及び表2に記す。
○:膜の表面においてうねり、スジムラ、凝集が全く見
受けられない場合、×:膜の表面においてうねり、スジ
ムラ、凝集が見受けられる場合。
【0101】以上の評価とは別に各試料を構成する樹脂
組成物の溶剤適性(溶剤溶解性)について調べた。その
結果も表1及び表2に示してある。表1及び表2に示し
た該溶剤適性の評価結果は以下の基準に基づいたもので
ある。○:前記樹脂組成物がアセトン、メチルイソブチ
ルケトン等の通常の塗料において使用される一般的な溶
剤に溶けるものである場合、×:前記樹脂組成物画前述
した一般的な溶剤に溶けないものである場合。ここで、
溶剤適性が○のものは塗布面の材質や形状により溶剤を
適正なものを選択することができ、更に塗料に一般的に
添加されているレベリング剤や消泡剤といった添加剤も
配合することができるため塗料としての汎用性が高いも
のであるということができる。
【0102】表1及び表2には上述した各評価項目につ
いての評価結果に基づいて総合評価をし、その結果を示
した。当該総合評価の結果は以下の基準に基づいてい
る。◎:全ての評価項目についてそれらの評価結果が○
と◎だけである場合、○:全ての評価項目についてそれ
らの評価結果が○だけである場合、△:評価結果に×は
ないが1つの評価項目でも△がある場合、×:1つの評
価項目でも×がある場合。
【0103】ここで試料1乃至8及び17は本発明に属
するものである。
【0104】表1及び表2に示した結果から明らかなよ
うに本発明の樹脂組成物からなる試料1乃至8及び17
は、硬さ、撥液性、密着性、成膜性及び溶剤適性につい
て優れたものであり、インクジェットヘッドの吐出口面
に撥液処理を施すための撥液剤として好適であることが
わかる。
【0105】特に、試料1乃至8は従来の撥液剤に比べ
硬さにおいて格段に優れており、それらの試料の樹脂組
成物を交換型のインクジェットヘッドカートリッジにお
ける吐出口面に撥水機能を付与するについて使用する撥
液剤として用いる場合、信頼性と印字品位に優れたイン
クジェットヘッドカートリッジを提供することができ
る。
【0106】表1に示した結果から明らかなように試料
9は撥液性及び密着性の点で所望の性能を有するもので
はないことがわかる。当該試料9が撥液性に劣る点の理
由については、成分(c)として使用した2,2−ビス
[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンであ
るCHEMINOX AFEp(日本メクトロン(株)
製)において撥液性能を有するパーフルオロ基がベンゼ
ン環の間に挟まれているため、その特性を発揮できない
ためと思われる。
【0107】表1及び表2に示した結果から明らかなよ
うに試料10乃至12、19及び20はそれらの成膜材
料自体が硬化しなかったため、硬さ、撥液性、密着性及
び成膜性の各評価はいずれも行うことができなかった。
尚、試料12、19及び20に関しては使用成分が相溶
状態とならなかったために試料の白濁が見受けられた。
【0108】表1に示した結果から明らかなように試料
13、14は、撥液性については優れるものの、硬さ、
密着性及び溶剤適性については不十分であることが理解
される。
【0109】表2に示した結果から明らかなように試料
15は、撥液性が劣るものであることが理解される。こ
の点の理由は、撥液性能を付与する成分(b)の配合割
合が低いためである。
【0110】表2に示した結果から明らかなように試料
16は密着性、成膜性について劣り、硬さについては不
十分であることが理解される。この点の理由は成分
(d)の配合割合が少ないためエポキシ樹脂本来の性能
が発揮できなかったためである。
【0111】表2に示した結果から明らかなように試料
18は、試料16と同様で、密着性、成膜性について劣
り、硬さについては不十分であることが理解される。こ
の理由は成分(b)の配合割合が多いため試料中の単官
能基が多くなりエポキシ樹脂本来の性能が発揮できなか
ったためである。
【0112】以上述べた実験を介して得られた結果から
容易に理解できるように、本発明の樹脂組成物(即ち、
フッ素含有エポキシ樹脂組成物)は、表面性(硬度と滑
らかさ)に優れかつ撥液性及び密着性の双方について充
分である良質の撥液性膜を基板上に形成することを可能
にするものである。この点は、上記実験においては、基
板としてSiウエハーを使用して確認したが、その他の
基板、即ち、樹脂基板及び金属基板の場合においても、
本発明の樹脂組成物は上述した良質の撥液性膜の形成を
可能にすることを実験を介して確認した。本発明の樹脂
組成物(即ち、フッ素含有エポキシ樹脂組成物)は、特
にインクジェットヘッドの製造に使用する場合に顕著な
効果をもたらす。即ち、インクジェットヘッドの吐出口
面に、表面性(硬度と滑らかさ)に優れかつ撥液性及び
密着性の双方について充分である撥液領域を所望の形態
に形成することを可能にするものである。
【0113】因に、例えば、本発明に属する試料1乃至
8及び17のフッ素含有エポキシ樹脂組成物をヨーロッ
パ特許公開第631869号に記載の方法における撥液
剤として用いてインクジェットヘッドの吐出口面の吐出
口周辺部に局所的に撥液性を付与する場合には、該樹脂
組成物がエキシマレーザーのエネルギーを吸収しやすい
共役二重結合を有するベンゼン環をその樹脂組成物中に
含んでいるため、該樹脂組成物はエキシマレーザーによ
って分解し易く優れたパターニング精度を達成すること
ができる。従って、インクジェットヘッドの吐出口面の
吐出口周辺部に優れた表面性(硬度及び滑らかさ)を有
し、かつ、撥液性、および密着性について十分である微
細な所望形態の撥液パターンの形成を達成でき、これに
より、インク吐出を高精度に行う、信頼性の高いインク
ジェットヘッドを達成することができるものである。
【0114】また、本発明に属する試料1乃至4、7、
8及び17のフッ素含有エポキシ樹脂組成物を特開平5
−124199号公報に記載の方法における撥液剤とし
て用いれば、インクジェットヘッドの吐出口面の吐出口
周辺部に、優れた表面性(硬度及び滑らかさ)を有し、
かつ、撥液性、および密着性について十分である微細な
所望形態の撥液パターンの形成を達成でき、これによ
り、インク吐出を高精度に行う、信頼性の高いインクジ
ェットヘッドを達成することができるものである。
【0115】以下に、本発明のフッ素含有エポキシ樹脂
組成物の有用性を実施例により説明する。これら実施例
は例示であり、本発明はこれら実施例により何ら限定さ
れるものではない。
【0116】
【実施例】本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物をイ
ンクジェットヘッドの製造に使用した例を実施例1及び
2に示す。
【0117】実施例1及び2においては、インクジェッ
トヘッドを上述した図1乃至12に基づいたインクジェ
ットへッドの製造方法により製造した。
【0118】実施例1 液体吐出エネルギー発生素子2として電気熱変換素子及
びインク供給口を有するシリコン基板を用意した。つい
で、メチルイソプロペニルケトン/メタクリル酸=85
/15共重合体(重量平均分子量約20万)をシクロヘ
キサノンに溶解し18wt.%の濃度のシクロヘキサノ
ン溶液を調整した。該シクロヘキサノン溶液を回転数7
00rpmで前記基板1上にスピンコートした後、11
0℃で3分間ホットプレート上で乾燥することにより感
光性樹脂層4を形成した。次いで、インク流路パターン
を作成するために感光性樹脂層4にキヤノン製マスクア
ライナーPLA−520FA(コールドミラーCM29
0使用)にてパターニングマスクを介して電離放射線を
2分間照射した。その後、感光性樹脂層4の露光された
部分をメチルイソブチルケトンを用いて溶出し、キシレ
ンにてリンスして、インク流路パターン4aを形成し
た。このインク流路パターン4aは、インク供給口3と
電気熱変換素子2の間のインク流路を確保するものであ
り、該インク流路となる箇所にレジストパターン(即
ち、インク流路パターン4a)を残存させた。なお、溶
出工程後のレジストパターンの膜厚は、11μmであっ
た。
【0119】次いで、インク流路パターン4a上に被覆
樹脂層6として、エポキシ樹脂 EHPE3150(商
品名:ダイセル化学社製) 100重量部と、エポキシ
樹脂エピコート1002(商標名:油化シェルエポキシ
社製) 20重量部と、シランカップリング剤 A18
7(商品名:日本ユニカー社製) 5重量部と、カチオ
ン重合開始剤SP170(商品名:旭電化工業(株)
製) 2重量部とからなる樹脂組成物を50wt.%の
濃度でシクロヘキサノンに溶解させて得たシクロヘキサ
ノン溶液を乾燥後の膜厚が12μmとなるようにスピナ
ーにて塗布し、ホットプレート上で90℃、5分間乾燥
させた。その後、前記樹脂組成物は、ネガ型(光が照射
された部分が反応硬化する)の感光特性を有しているた
め、図6に示すようなパターニングマスク7を介してパ
ターン露光を行った。この際、露光はキヤノン製マスク
アライナーMPA600を用い、露光量3J/cm2
行った。なお、MPA600の主発光輝線は366nm
以上の波長域であり、インク流路パターン4aとしての
感光性樹脂層は実質的に分解しない。次いで、90℃で
5分間加熱し、その後、メチルイソブチルケトンを用い
て被覆樹脂層の未露光部分を溶出し吐出口9を形成し
た。
【0120】次いで、成分(a)としての脂環型エポキ
シ樹脂 EHPE−3158(商品名:ダイセル化学工
業(株)製)を34重量部、成分(b)としての3−
(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポ
キシプロパンであるMF−120(商品名:(株)トー
ケムプロダクト社製)を16重量部、成分(c)として
の2,2−ビス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)
フェニル]−1,1,1,本メクトロン(株)製)を2
5重量部と1,4−ビス(ヘキサフロロ−2−ヒドロキ
シル−2−プロピル)ベンゼンである1,4−HFAB
(商品名:セントラル硝子(株)製)を25重量部、そ
して、成分(d)としての光重合開始剤SP−170
(商品名:旭電化工業(株)製)を1.5重量部をメチ
ルイソブチルケトン中に溶解し、濃度50wt.%のメ
チルイソブチルケトン溶液を作成した。該メチルイソブ
チルケトン溶液にシランカップリング剤としてのA18
7(商品名:日本ユニカー社製)を4重量部及びレベリ
ング剤としてのEF−802(商品名:トーケムプロダ
クト社製)を0.6重量部添加し、溶解したものを回転
数600rpmで被覆樹脂層上にスピンコートした後、
オーブンで80℃で15分加熱した。これにより、図8
に示すような2.3μm厚の撥液樹脂組成物層(以下、
単に「撥液層」と称す)10を被覆樹脂層6上に形成し
た。
【0121】次いで、図9に示すように、撥液層10上
に吐出口周辺部のみ活性エネルギー線が透過するような
パターンを有するパターニングマスク11を介してパタ
ーン露光を行った。この際、露光はキヤノン製マスクア
ライナーMPA600を用い、露光量4J/cm2 の条
件で行った。これにより撥液層10の露光部分は硬化さ
れ、吐出口周辺部以外の部分のパターニングが所望状態
になされるようになった。次いで、オーブンで90℃で
45分間加熱した後、メチルイソブチルケトンを用いて
撥液層10の未露光を溶出し吐出口周辺部のみに撥液パ
ターン10aを局所的に作成した(図10参照)。この
局所的な撥液パターン10aはまだ完全に硬化されてい
ないため、後に述べる固体層の溶出工程時にパターンが
崩れないようにする目的で更に100℃1時間の加熱処
理を行った。
【0122】次いで、前記インク流路パターン4aを分
解させるために、マスクアライナーPLA−520(コ
ールドミラーCM290使用)にて撥液パターン10
a、被覆樹脂層6を介してインク流路パターン4aに電
離放射線を2分間照射した(図11参照)。
【0123】かくして得られたものを、メチルイソブチ
ルケトン中に超音波を付与しながら15秒間浸漬し、イ
ンク流路パターン4aを溶出した。ここにおいて、イン
ク流路パターン4aは、すでに分解されているため容易
に溶出できた。なお、被覆樹脂層6に用いている共重合
体は電離放射線分解型であるが、CM290を用いた場
合には分解反応は実質上無視できる。このようにしてイ
ンク流路8を形成し、図12に示すようなインクジェッ
トヘッドを得た。
【0124】実施例2 実施例1における、撥液層10の形成に使用する撥液剤
の成分(c)を2,2−ビス[p−(2,3−エポキシ
プロポキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパンであるCHEMINOX AFE
p(日本メクトロン(株)製)20重量部とフロロヘキ
サンジオール30重量部に替えた以外は実施例1と同様
にしてインクジェットヘッドを作成した。
【0125】評価 実施例1及び2で作成したインクジェットヘッドのそれ
ぞれについてプリンティング性能を以下の手法で調べ
た。即ち、それぞれのインクジェットヘッドを図13に
示すようなインクジェット装置に装着し、キヤノン製B
JC4000用の黒インクを用いて30枚のA4版のテ
ストプリントを行った。その結果、実施例1及び2で作
製したインクジェットヘッドのいずれにおいても高品質
の印字が得られ、安定したプリントを行えるものである
ことがわかった。
【0126】実施例3 本実施例は本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物を船
体の塗料として用いた。
【0127】塗料としては、成分(a)としてのビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂 エピコート828(商標
名:油化シェルエポキシ(株)製)60重量部、成分
(b)としての3−(2−パーフルオロヘキシル)エト
キシ−1,2−エポキシプロパンであるMF−120
(商品名:(株)トーケムプロダクト社製)を10重量
部、成分(c)としての1,3−ビス(グリシドキシプ
ロピル)テトラメチルジシロキサンであるLS7970
(商品名:信越化学工業(株)製)30重量部とからな
り、これらの成分が均一に混じり合った相溶状態にある
樹脂組成物を用意し、該樹脂組成物中にシロキサン結合
含有アミン硬化剤 TSL9346(商品名:東芝シリ
コーン(株)製)60重量部とシランカップリング剤
A−187(商品名:日本ユニカー社製)3重量部を添
加しこれらの成分を均一に混じり合わせて相溶状態にさ
せたものに、更に色材としての酸化チタンを10重量部
添加し分散させたものを用いた。
【0128】該塗料を船体の塗装部分にハケで塗布した
後、室温で24時間放置した後、赤外線ランプを用いて
硬化を行った。このように塗装した船体を海に20日間
つけたあと引きあげて調べたところ、塗装部分は望まし
い状態を保ち、船体の該塗装部分におけるフジツボや
苔、海草などの付着が大幅に低減されていた。
【0129】実施例4 本実施例では、アルマイト製のやかんの蓋と木製の柄の
部分との接着に本発明のフッ素含有エポキシ樹脂組成物
を用いた。
【0130】接着剤として、成分(a)としてのビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂 エピコート828(商標
名:油化シェルエポキシ(株)製)60重量部、成分
(b)としての3−(2−パーフルオロヘキシル)エト
キシ−1,2−エポキシプロパンであるMF−120
(商品名:(株)トーケムプロダクト社製)を10重量
部、成分(c)としての1,3−ビス(グリシドキシプ
ロピル)テトラメチルジシロキサンであるLS7970
(商品名:信越化学工業(株)製)30重量部とからな
り、これらの成分が均一に混じり合った相溶状態にある
樹脂組成物を用意し、該樹脂組成物中にシロキサン結合
含有アミン硬化剤 LS7430(商品名:信越化学工
業(株)製)30重量部とシランカップリング剤 A−
187(商品名:日本ユニカー社製)3重量部を添加し
たものを用いた。該接着剤においては、シロキサン結合
含有アミン硬化剤及びシランカップリング剤は、該樹脂
組成物と均一に混じり合って良好な相溶状態を保つもの
であった。
【0131】この接着剤を前記柄の前記やかんの蓋と接
合する部分にハケで塗布し、前記柄と前記蓋とを接合し
た。この状態で室温中に24時間放置した。更にその後
80℃で2時間の熱キュアーを行うことにより前記接着
剤を硬化させて柄と蓋との接合を完了した。このやかん
を用いて5回お湯を沸かしたが、前記柄と前記蓋は分離
することなく良好な接着状態を保つものであった。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
【発明の効果】以上説明したように本発明によリ、樹脂
層を形成する面での接着性がよく、熱硬化の場合に比較
的低温でも硬化でき、撥水性に優れた樹脂層を与える樹
脂組成物が得られ、それを適用して信頼性の高い液体噴
射ヘッドおよびそれを搭載した高信頼性の記録装置を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様例のインクジェットヘッドの
基本的製造工程を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施態様例のインクジェットヘッドの
基本的製造工程を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施態様例のインクジェットヘッドの
基本的製造工程を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施態様例のインクジェットヘッドの
基本的製造工程を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施態様例のインクジェットヘッドの
基本的製造工程を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施態様例のインクジェットヘッドの
基本的製造工程を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施態様例のインクジェットヘッドの
基本的製造工程を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施態様例のインクジェットヘッドの
基本的製造工程を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施態様例のインクジェットヘッドの
基本的製造工程を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施態様例のインクジェットヘッド
の基本的製造工程を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施態様例のインクジェットヘッド
の基本的製造工程を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施態様例のインクジェットヘッド
の基本的製造工程を示す斜視図である。
【図13】図12に示したような構成のインクジェット
ヘッドを組み込んだインクジェット装置一例を示す斜視
図である。
【図14】吐出口面に撥液剤を用いて撥液処理が施され
たインクジェットヘッドの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド用基板 2 吐出エネルギー発生素子 3 インク供給口 4 感光性樹脂層 4a インク流路パターン 5 パターニングマスク 6 被覆樹脂層 7 パターニングマスク 8 インク流路 9 インク吐出口 10 撥液層 10a 撥液パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/09 C08K 5/54 5/15 NLA C08L 63/00 NJW 5/17 NLB NKL 5/54 NLC C08L 63/00 NJW C09D 163/00 PJR NKL G03F 7/038 503 NLC B41J 3/04 101Z C09D 163/00 PJR 103B G03F 7/038 503 103H

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも 成分(a)としての1分子
    中に2つ以上のエポキシ基を有し、F、Siを含まない
    多官能エポキシ樹脂を5〜80重量部、 成分(b)としての末端にパーフルオロ基を有するエポ
    キシ化合物を5〜40重量部、及び成分(c)としての
    エポキシ基、アルコール基、カルボン酸基、アミン基の
    いずれか又は複数を1分子中に2つ以上有する共にF又
    はSiを含有する化合物を5〜80重量部を含有するこ
    とを特徴とするフッ素含有エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物は、
    更に重合触媒を含有する請求項1に記載のフッ素含有エ
    ポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物にお
    いて前記重合触媒が熱重合触媒である請求項1に記載の
    フッ素含有エポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物にお
    いて前記重合触媒が光重合触媒である請求項1に記載の
    フッ素含有エポキシ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物は、
    更に硬化剤を含有する請求項1に記載のフッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物にお
    いて前記硬化剤がシロキサン基またはパーフルオロ基を
    有するアミン系化合物もしくは該アミン系化合物の酸無
    水物である請求項1に記載のフッ素含有エポキシ樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物は、
    更にシランカップリング剤を含有する請求項1に記載の
    フッ素含有エポキシ樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物は、
    更に色材を含有する請求項1に記載のフッ素含有エポキ
    シ樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物が常
    温で固体である請求項1に記載のフッ素含有エポキシ樹
    脂組成物。
  10. 【請求項10】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物が
    常温で液体である請求項1に記載のフッ素含有エポキシ
    樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物に
    おいて前記成分(c)が、エポキシ基を1分子中に2つ
    以上有すると共にF又はSiを含有する化合物と、アル
    コール基、カルボン酸基、アミン基のいずれか又は複数
    を1分子中に2つ以上有すると共にF又はSiを含有す
    る化合物とからなる請求項1に記載のフッ素含有エポキ
    シ樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物に
    おける前記成分(c)である前記エポキシ基を1分子中
    に2つ以上有すると共にF又はSiを含有する化合物
    と、前記アルコール基、カルボン酸基、アミン基のいず
    れか又は複数を1分子中に2つ以上有すると共にF又は
    Siを含有する化合物との重量割合が1としての5〜5
    としての1の範囲である請求項11に記載のフッ素含有
    エポキシ樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 物質の所定表面に撥液性膜を形成する
    ことにより表面処理を行う方法であって、該方法は以下
    の工程を包含するとしての(I) 下記のフッ素含有エ
    ポキシ樹脂組成物を物質の前記表面に塗布する工程、フ
    ッ素含有エポキシ樹脂組成物としての少なくとも成分
    (a)としての1分子中に2つ以上のエポキシ基を有
    し、F、成分(b)としての末端にパーフルオロ基を有
    するエポキシ化合物を5〜40重量部、及び 成分
    (c)としてのエポキシ基、アルコール基、カルボン酸
    基、アミン基のいずれか又は複数を1分子中に2つ以上
    有する共にF又はSiを含有する化合物を5〜80重量
    部を含有することを特徴とする、(II) 前記表面に
    塗布した前記フッ素含有樹脂組成物を硬化させることに
    より撥液性膜を形成する工程とからなることを特徴とす
    る表面処理方法。
  14. 【請求項14】 前記方法における前記フッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物は、更に重合触媒を含有する請求項13
    に記載の表面処理方法。
  15. 【請求項15】 前記方法における前記フッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物において前記重合触媒が熱重合触媒であ
    る請求項13に記載の表面処理方法。
  16. 【請求項16】 前記方法における前記フッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物において前記重合触媒が光重合触媒であ
    る請求項13に記載の表面処理方法。
  17. 【請求項17】 前記方法における前記フッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物は、更に硬化剤を含有する請求項13に
    記載の表面処理方法。
  18. 【請求項18】 前記方法における前記フッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物において前記硬化剤がシロキサン基また
    はパーフルオロ基を有するアミン系化合物もしくは該ア
    ミン系化合物の酸無水物である請求項13に記載の表面
    処理方法。
  19. 【請求項19】 前記方法における前記フッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物は、更にシランカップリング剤を含有す
    る請求項13に記載の表面処理方法。
  20. 【請求項20】 前記方法における前記フッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物は、更に色材を含有する請求項13に記
    載の表面処理方法。
  21. 【請求項21】 前記方法における前記フッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物が常温で固体である請求項13に記載の
    表面処理方法。
  22. 【請求項22】 前記方法における前記フッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物が常温で液体である請求項13に記載の
    表面処理方法。
  23. 【請求項23】 前記方法における前記フッ素含有エポ
    キシ樹脂組成物において前記成分(c)が、エポキシ基
    を1分子中に2つ以上有すると共にF又はSiを含有す
    る化合物と、アルコール基、カルボン酸基、アミン基の
    いずれか又は複数を1分子中に2つ以上有すると共にF
    又はSiを含有する化合物とからなるものである請求項
    13に記載の表面処理方法。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載の前記方法における
    前記フッ素含有エポキシ樹脂組成物における前記成分
    (c)である前記エポキシ基を1分子中に2つ以上有す
    ると共にF又はSiを含有する化合物と、前記アルコー
    ル基、カルボン酸基、アミン基のいずれか又は複数を1
    分子中に2つ以上有すると共にF又はSiを含有する化
    合物との重量割合が1としての5〜5としての1の範囲
    である請求項23に記載の表面処理方法。
  25. 【請求項25】 前記方法における前記撥液性膜の形成
    は前記所定表面の所定領域に選択的に行う請求項17に
    記載の表面処理方法。
  26. 【請求項26】 前記方法における前記撥液性膜の選択
    的形成を前記樹脂組成物をフォトリソグラフィー法によ
    ってパターニングすることにより行う請求項25に記載
    の表面処理方法。
  27. 【請求項27】 前記方法における前記物質の所定表面
    がインクジェットヘッドの吐出口面である請求項13に
    記載の表面処理方法。
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