JP2001158818A - 含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物及びそれを用いた表面改質方法、インクジェット記録へッド、液体噴射記録装置 - Google Patents

含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物及びそれを用いた表面改質方法、インクジェット記録へッド、液体噴射記録装置

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JP2001158818A
JP2001158818A JP2000285991A JP2000285991A JP2001158818A JP 2001158818 A JP2001158818 A JP 2001158818A JP 2000285991 A JP2000285991 A JP 2000285991A JP 2000285991 A JP2000285991 A JP 2000285991A JP 2001158818 A JP2001158818 A JP 2001158818A
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Japan
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resin composition
epoxy resin
alkylsiloxane
liquid
ink
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JP2000285991A
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English (en)
Inventor
Akihiko Shimomura
明彦 下村
Hiromichi Noguchi
弘道 野口
Isao Imamura
功 今村
Kanki Sato
環樹 佐藤
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Canon Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 撥水剤の成膜性や密着性を損なう成分を含む
溶液や物質との接触機会のある場所に適用する撥水剤又
は撥水性塗料として好適な含シロキサンエポキシ樹脂組
成物の提供。該組成物で基材の表面処理を行うことで、
ノズル表面を常に同じ表面状態に維持でき、記録用液体
に長期に接触してもプリントヘッド表面におけるインク
の付着がなく、結果としてドットの着弾精度がよく、印
字品位を長く維持できるインクジェット記録へッド、液
体噴射記録装置の提供。 【解決手段】 分子中にアルキルシロキサン基及び環状
脂肪族エポキシ基を2個以上有する含アルキルシロキサ
ンエポキシ樹脂と、カチオン重合触媒とを少なくとも含
有することを特徴とする含アルキルシロキサンエポキシ
樹脂組成物、これを用いた表面改質方法、インクジェッ
ト記録へッド、液体噴射記録装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、撥水・撥インク特性を
付与する表面処理を可能とする樹脂組成物、とりわけ、
紫外線照射によってパターン状に塗膜を形成することが
可能な光硬化性のエポキシ樹脂材料に関する。即ち、本
発明は、含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物、こ
れを用いて基材表面を処理する表面改質方法、撥インク
処理された液体噴射記録へッド及びそれを用いた液体噴
射記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の分野において、耐水性や撥インク
性が要求される部材の基材表面に、撥水性塗料を適用し
てこれらの特性を得る方法が一般的に知られており、そ
れに用いる樹脂素材や塗料が開発されている。例えば、
フルオロオレフィンやパーフロロ基を有するフッ素系塗
料は、熱的にも化学的にも極めて安定であり、しかも、
耐候性、耐水性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れ、更に、
離型性、耐摩擦性、撥水性にも優れ、各種の用途に広く
利用されている。
【0003】一方、液体を吐出口から小滴として吐出し
て、紙等の被記録材に付着させて記録や画像の形成を行
う液体噴射記録へッドでは、記録特性をより高度なもの
とするために、より小さな液滴、より高い駆動周波数や
ノズル数へと性能アップが続けられている。従って、ノ
ズル表面を常に同じ表面状態に維持するための表面改質
処理がますます重要になってきている。
【0004】しかし、既存の材料を使用して、ノズル表
面を、インクが付着しないように、選択的に或いはパタ
ーン状に精密に表面処理を行うことは困難である。その
理由は、先ず、表面処理材料にパターン状の処理に適し
たフォトレジストのような特性を持たせるためには、感
光性の官能基を持った物質を主体とした材料を使用しな
ければならないが、そうした化合物が、同時に撥水・撥
インク特性を持つように分子設計するには、大きな困難
を伴うからである。
【0005】又、仮に既存のフッ素系の材料で表面処理
することができたとしても、更に、その表面の性質を長
く維持できるように塗膜構造を設計することが必要とな
る。そうした性能を有するパターン状の表面処理を可能
とする材料は、以下に説明するように、インクジェット
プリントヘッドの表面処理にとって非常に価値がある。
【0006】即ち、インクを小液滴にして飛翔させ記録
を行うインクジェット記録方式において、吐出孔(口)
は以下のような性能を有するように設計されていること
が望ましい。 (1)液滴化したインク柱の残部のインクが、速やかに
ノズル内に再収納されること。 (2)表面に付着したインク滴は、クリーニング操作で
容易に掃き出されること。 (3)表面に付着したインク滴は、クリーニング操作、
用紙搬送における耐擦傷性に優れること。 (4)繰り返される液滴形成とインクリフィルにおい
て、ノズル表面位置にメニスカスが形成されること。 (5)メニスカスの法線方向が吐出方向になっているこ
と。 (6)低い表面張力のインクであっても、或いは低い負
圧の状態であっても、メニスカスを形成しうるだけの十
分な界面張力、即ち、接触角を持つこと。
【0007】吐出口にこれらの諸要求性能が求められる
理由は、液体噴射記録へッドでは、吐出口の周辺にイン
ク等の記録用の液体が付着していると、吐出口から吐出
される液滴の吐出(飛翔)方向にズレが生じ、高精度で
の印字ができなくなるという印字性能に直接関係するか
らである。これに対し、かかる吐出方向のズレの原因と
なる吐出口付近への液体の付着を防止するために、吐出
口が形成されている面に撥水処理を行う方法が知られて
いる。これらに関係する先行技術としては、例えば、フ
ロロアセチル基とシラザン基を有するポリマーで撥イン
ク処理を行うことを内容とする特開平2−39944号
公報等がある。
【0008】一方、液体噴射記録方式を応用したプリン
タによる画像記録への高度な要求に伴って、記録用液体
に対して要求される特性も高度なものとなりつつある。
これらの記録用液体は、溶解安定性のためにpHが7〜
11の塩基性に調節されることが多く、プリンタ部材
に、耐アルカリ性及び加水分解性に優れた構造材を採用
することも必須となってきている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、極性有
機溶剤を含む記録用液体や、上記のような高いpHの記
録用液体を用いた場合には、上述したような目的で吐出
口面の表面処理に適用した撥水剤が、記録用液体(イン
ク)に用いた溶媒成分、特に、極性有機溶剤成分と接触
することで、その撥水剤被覆の成膜性や適用部材との密
着性が損なわれ、剥離等してその撥水性が失われる場合
があった。
【0010】従って、本発明の目的は、極性有機溶剤の
ように、撥水剤の成膜性や密着性を損なう成分を含む溶
液や物質との接触機会のある場所に適用する撥水剤又は
撥水性塗料として好適な含シロキサンエポキシ樹脂組成
物を提供することにある。又、本発明の目的は、常に同
じ表面状態を持続できる表面改質処理が可能な含シロキ
サンエポキシ樹脂組成物を提供することにある。又、か
かる含シロキサンエポキシ樹脂組成物で基材の表面処理
を行うことで、ノズル表面を常に同じ表面状態に維持で
き、記録用液体に長期に接触してもプリントヘッド表面
におけるインクの付着がなく、結果として、ドットの着
弾精度がよく、印字品位を長く維持できるインクジェッ
ト記録へッド、及び、液体噴射記録装置を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本
発明によって達成される。即ち、本発明は、分子中にア
ルキルシロキサン基及び環状脂肪族エポキシ基を2個以
上有する含アルキルシロキサンエポキシ樹脂と、カチオ
ン重合触媒とを少なくとも含有することを特徴とする含
アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物、とりわけ、含
アルキルシロキサンエポキシ樹脂が、下記一般式(a)
及び(b)で表される構造単位を含む環状脂肪族エポキ
シ樹脂(A)である含アルキルシロキサンエポキシ樹脂
組成物、及びそれを用いた表面改質方法、インクジェッ
ト記録へッド、液体噴射記録装置である。
【0012】
【化4】
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形
態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明のエポキシ
樹脂組成物を構成する含アルキルシロキサンエポキシ樹
脂として用いることのできる好ましい上記高分子化合物
(A)の具体例としては、下記の(a−1)及び(b−
1)の構造単位を有する(A−1)が挙げられる。
【0014】
【化5】
【0015】上記のような高分子化合物(A)を含有す
る含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物には、必要
に応じて、更に、相溶化剤として、下記一般式(B)で
表される化合物を含有させてもよい。
【化6】
【0016】その具体例としては、例えば、2,2−ビ
ス(4−グリシジルオキフェニル)ヘキサフロロプロパ
ンや下記式(B−1)で示される化合物等を挙げること
ができる。
【化7】
【0017】又、相溶化剤として、下記一般式(C)で
表される化合物を用いることもできる。
【化8】 その具体例としては、例えば、1,4−ビス−2−グリ
シジロキシヘキサフロロイソプロピル)ベンゼン(C−
1)が挙げられる。
【0018】本発明の樹脂組成物はエポキシ樹脂系であ
るので、各種部材への接着性に優れ、比較的低温でも硬
化可能であり、構造物としての物性にも優れた硬化物を
提供できる。更に、シロキサン基を有するエポキシ化合
物が含有されていることで、水溶性有機溶剤、特に、極
性有機溶剤に対する耐性が大幅に向上している。又、上
記に挙げたような相溶化剤を添加することで、その作用
によって各成分間の共溶性を与え、材料構成の範囲を広
くすることができる。
【0019】本発明の含アルキルシロキサンエポキシ樹
脂組成物は、特に、活性エネルギー線によって賦活化さ
れるルイス酸のオニウム塩を触媒として用いることによ
って、基材表面に対して、パターン状に選択的に表面処
理を施す場合に好適に利用できる。
【0020】基材表面に対してパターン状に表面処理を
施すことは、上記のような構成の本発明の樹脂組成物を
含む塗工液を当該基材に塗布・乾燥させた後、マスクを
介して、又はパターン状に活性エネルギー線を照射し、
次いで現像液を用いた現像処理を行って、活性エネルギ
ー線の非照射部分を溶解除去することによって達成され
る。上記の方法は、基本的な工程はフォトリソグラフィ
ーと同じであるが、現像液として、樹脂組成物に適した
溶剤或いは溶剤組成物を選択することが好ましい。具体
的な現像液としては、例えば、芳香族炭化水素類、ケト
ン類、エステル類、グリコールエーテル類等及びそれら
の混合物を挙げることができる。
【0021】又、上記したパターン状に表面処理を施す
方法に用いる場合には、樹脂組成物の硬化反応の完結を
期すために、現像後に、加熱或いは活性エネルギー線の
照射を更に行うことが望ましい。
【0022】以上のように、本発明の含アルキルシロキ
サンエポキシ樹脂組成物は、極性有機溶剤のような、撥
水剤の接着性を損なう成分を含む溶液や物質との接触機
会のある場所に適用する撥水剤又は撥水性塗料として、
更には、液体噴射記録へッドの吐出口面の撥水・撥イン
ク処理を好適に行う材料として、特に好ましく使用でき
る。
【0023】即ち、例えば、インクジェット記録装置に
おける本発明の含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成
物の適用の効果は、光重合性を利用した選択的な表面改
質やパターン処理の高い精度、或いは、形成された硬化
膜の固体強度や摩擦強度の高さ等によってもたらされる
デバイスとしての、耐久性或いは撥水・撥インク性の向
上は、水系インクのメニスカス保持力、クリーニング
性、液滴吐出方向の正確さ、連続吐出における持続性、
休止後の印字開始の適性等の動特性の向上に繋がる。こ
こでメニスカス保持力とは、インクがノズル先端でその
液体表面を表面張力で維持し、且つ、繰り返される液滴
吐出に際してメニスカスを所定の位置に回復し保持する
性質を指している。この保持力が低いと、インクがノズ
ル先端から滲み出す、或いは、メニスカスが後退して吐
出する液滴の体積が減少する、或いは、極端な場合に
は、インクの吐出欠損が起こる等の不具合に繋がる。
【0024】本発明の含アルキルシロキサンエポキシ樹
脂組成物を構成する分子中にアルキルシロキサン基、及
び環状脂肪族エポキシ基を2個以上有する含アルキルシ
ロキサンエポキシ樹脂としては、例えば、下記の一般式
(a)及び(b)で表される構造単位を含む高分子化合
物(A)が挙げられる。
【0025】
【化9】
【0026】上記のような構造を有する化合物は、高重
合体としてオリゴマーと併用して撥インク性の組成物に
塗布適性を高め、溶剤蒸発後の乾燥性を高める乾燥塗膜
としての作業性を向上させる機能も与える。即ち、バイ
ンダーとして機能する。バインダー性の物質を併用する
ことが、パターン状の露光作業を施す上で好ましい。
【0027】本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記のよ
うなアルキルシロキサンを有するエポキシ樹脂を主成分
とするが、必須の構成成分ではないが、下記一般構造
(B)又は(C)を有する化合物を相溶化剤として用い
ることが好ましい。
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】これらの化合物はフッ素原子を有するもの
の、その鎖長が短いために分子としての表面エネルギー
低下作用は小さく、撥水・撥インク性は大きくない。上
記の相溶化剤として用いる化合物は、いずれも当該2価
アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって常法
によって合成される。
【0031】本発明のエポキシ樹脂組成物を、先に述べ
たような基材の表面処理に用いる場合には、含アルキル
シロキサンエポキシ樹脂を硬化させるための触媒とし
て、重合開始剤を含有させることが必要となる。そのよ
うな目的に用いることのできる化合物としては、エポキ
シ樹脂の硬化剤として知られている物質から適宜に選択
すればよい。本発明の組成物はエポキシ樹脂組成物であ
るから、例えば、芳香族類及び脂肪族アミン類或いは酸
無水物類等を添加して加熱硬化することによって重合さ
せることができる。
【0032】しかし、本発明で使用する含アルキルシロ
キサンエポキシ樹脂は、特に低温硬化が可能となるとこ
ろの活性エネルギー線によって賦活化されるルイス酸の
オニウム塩に対して反応性が高くなるように設計されて
いるため、触媒としてルイス酸のオニウム塩を用いるこ
とが好ましい。このような触媒を用いることで、本発明
のエポキシ樹脂組成物を先に述べた本発明の表面改質方
法に利用することが可能となり、フォトリソグラフィー
によって基材表面に選択的に精度よくパターン状に表面
処理を行ったり、又、高温に保持することが困難な基材
に対して表面改質を行うことが可能となる。
【0033】この際に使用できる活性エネルギー線によ
って賦活化されるルイス酸のオニウム塩としては、例え
ば、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウ
ム塩、下記式で示されるオプトマーSP150、オプト
マーSP170(旭電化工業製)等が挙げられる。
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】更に、下記構造式で示される「イルガキュ
ア261」(チバスペシャルティー社製)等を使用する
こともできる。
【化14】
【0036】本発明の含アルキルシロキサンエポキシ樹
脂組成物を基材の表面処理材料として利用する場合に
は、皮膜形成成分であるバインダーポリマーを樹脂組成
物中に併存させることが好ましい。この際に使用できる
バインダーポリマーとしては、例えば、側鎖にエポキシ
基を持ったアクリルモノマーを共重合したアクリル樹
脂、側鎖に環状脂肪族エポキシ基を有するビニルモノマ
ーを重合したビニルポリマー、側鎖に環状脂肪族エポキ
シ基を有するポリエーテルポリマー(例えば、EHPE
3150ダイセル化学工業の製品)等の、それ自体も架
橋反応に関与しうるエポキシポリマーを用いることが最
適である。
【0037】側鎖にエポキシ基を持ったアクリルモノマ
ーを共重合したアクリル樹脂の具体例としては、例え
ば、下記のユニット(d)、(e)及び(f)からなる
数平均分子量が2,500〜8,000程度の共重合体
(X)を挙げることができる。
【0038】
【化15】
【0039】もしも、そうしたエポキシ基を持たないポ
リマーを使用する場合には、それが適用される用途に応
じた物性調整を意図してバインダーポリマーを選択する
ことが好ましい。そうした物質としては、例えば、ビス
フェノール型エポキシ樹脂の重合体である、PKHC、
PKHJ(ユニオンカーバイド社の製品)、ポリ(エチ
レン/酢酸ビニル)、フェノール樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及び可溶性
ポリイミド樹脂等の汎用の塗料用高分子化合物が使用可
能である。
【0040】以上のように、本発明の含アルキルシロキ
サンエポキシ樹脂組成物は、基材の表面処理に用いる場
合には、バインダーポリマーに加えて、基本的に、
(1)含アルキルシロキサンエポキシ樹脂、(2)カチ
オン重合触媒、及び必要に応じて、(3)相溶化剤を含
有して構成される。しかしながら、これらの化合物同士
は相溶性が低い場合があり、又、触媒としてルイス酸の
オニウム塩を使用する場合は、特に、かかる化合物は極
性が高いので、(3)の相溶化剤を使用することが有利
な場合が多い。
【0041】これら(1)〜(3)の各物質の組成物中
における好ましい配合割合は下記の通りである。先ず、
硬化触媒である化合物(2)は、樹脂組成物の総量10
0部に対して、0.5乃至7部の範囲とすることが好ま
しい。又、相溶化剤(3)は、組成物の総量100部に
対して、0乃至80部の範囲内で使用することが好まし
い。
【0042】更に、オリゴマーを共に用いる場合には、
夫々の軟化点、ガラス転移温度に依存するのでオリゴマ
ーの配合割合の一般的な範囲はないが、概ね、オリゴマ
ー:ポリマー=10:90乃至90:10(重量比率)
である。触媒(2)は、エポキシ樹脂成分の合計量10
0部に対して、0.5部乃至7部の範囲であることが好
ましい。
【0043】以上のようにして構成される本発明の樹脂
組成物は、加熱或いは活性エネルギー線の照射によって
基材の表面処理を行う際の表面処理剤に好適に用いられ
る。そして、本発明の含アルキルシロキサエポキシ樹脂
組成物は、比較的低温でも容易に硬化し、撥水・撥油
性、接着性、耐薬品性、耐摩擦性に優れた硬化物を容易
に提供することが可能である。
【0044】表面処理を行う具体的な方法としては、先
ず、樹脂組成物を、芳香族系、脂肪族炭化水素系、エス
テル系、エーテル系及びフッ素系等の有機溶剤に溶解し
て塗工液を得、該塗工液を、ロールコーター、スピンコ
ーター、スプレイコーター、スクリーン印刷及びグラビ
ア印刷等の各種塗布/印刷法を適用して基材表面に塗布
する。この際、塗布した塗工液の膜厚が数ミクロンと小
さい場合には、ロールコーター、スピンコーター、スプ
レイコーター等の通常の精密塗布装置を用いることが好
ましい。
【0045】次に、基材表面に塗布した塗工液に、加熱
或いは活性エネルギー線の照射を行って硬化させる。使
用する活性エネルギー線源としては、波長200乃至4
80nmの範囲の輝線スペクトルを多量に含む水銀灯、
レーザー光及び電子線等が適している。この際、活性エ
ネルギー線硬化を行う場合には、触媒として、ルイス酸
を光によって放出する光カチオン触媒を用いることが好
ましい。又、加熱硬化する場合には、3フッ化硼素アミ
ン触媒等のルイス酸を添加して用いてもよい。
【0046】上記のような方法により、樹脂組成物に含
まれるバインダー成分によって固体状の皮膜が形成でき
るように樹脂組成物の成分を調製しておけば、フォトレ
ジストと同様なパターニングを行うことで選択的な表面
処理を精度よく容易に行うことができる。この場合に
は、塗工液を基材に塗布し、溶剤を乾燥して除去した
後、マスクを重ねて或いはパターン状に活性エネルギー
線を照射し、然る後、樹脂組成物を溶解し得る溶剤系で
現像処理を行えばよい。パターン状のエネルギー線の照
射が硬化に十分でない場合には、現像処理後にポストキ
ュアのための硬化処理を行うことが好ましい。そのため
のエネルギー源としては、熱やマイクロ波等の加熱処理
電子線、或いは、紫外線等の活性エネルギー照射を用い
ることができる。
【0047】上記のような本発明の表面改質方法は、基
材への接着性、表面の硬度に優れた撥水・撥油処理が行
え、しかも耐久性において優れた改質が行える点で大き
な特徴を有する。この結果、常に同じ表面状態を持続で
きる表面改質処理が可能となり、例えば、インクジェッ
ト記録へッドに適用した場合には、ノズル表面を常に同
じ表面状態に維持でき、記録用液体(インク)に長期に
接触してもプリントヘッド表面におけるインクの付着が
なく、結果としてドットの着弾精度がよく、印字品位を
長く維持できるインクジェット記録へッドを提供するこ
とができる。
【0048】即ち、本発明の表面改質方法をインクジェ
ット記録ヘッドに応用し、ノズル表面を、本発明の樹脂
組成物を用いて表面処理すると、インクの強固な付着が
起きず、クリーニング処理によって容易に拭き取れる離
型性のよい表面が形成される。即ち、インクジェット記
録ヘッドに搭載されているクリーニング機構の多くは、
例えば、ゴムのブレードで拭き取る、ポンプで吸引す
る、記録紙外の位置で空吐出を行う等の方法であるが、
これらのいずれの方法であれ、吐出圧によって引き出さ
れたインク柱が液滴化する時に、すべてのインクが液滴
にはならないので余分のインクの微少液滴がノズルの周
辺に付着することを皆無にはできない。これに対し、上
記のようにして表面改質が行われたインクジェット記録
ヘッドの場合は、離型性に優れた表面となっているの
で、自発的にインクが落下、或いは、ノズル内部に再吸
引される、或いは、容易に排除されるので、インク吐出
への影響がなくなる。
【0049】図1及び2に本発明の含アルキルシロキサ
ンエポキシ樹脂組成物を適用し得る液体噴射記録ヘッド
の構成の一例の主要部を示す。図1は、流路に沿った断
面図であり、図2は、吐出口面を表す図である。
【0050】この記録ヘッド13は、吐出エネルギー発
生組成等が配置された基板15上に、熱硬化性樹脂組成
物及び/又は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化
物等を所定のパターンに成形して少なくとも流路を形成
するようにした部材14を積層接合した構成を有する。
基板15は、アルミナ等の放熱性のよい材料からなる基
体20の表面に、畜熱層19、金属で形成される発熱抵
抗体層18、アルミニウム等からなる電極17−1及び
17−2、及び保護層をこの順に積層した構成を有し、
電極17−1及び17−2に通電することによって、発
熱抵抗体層18の電極が積層されていない部分(nで示
す領域内にある部分)に形成された吐出エネルギー発生
素子が発熱し、その上方に位置する記録用液体に熱エネ
ルギーが作用するようになっている。
【0051】記録に際して、記録用液体21は、溝14
端部の微細開口である吐出口(オリフィス)22まで充
填され、その状態で、記録信号に対応して電極17−1
及び17−2に通電されると、nで示される領域が急激
に発熱し、ここに接している記録用液体21に膜沸騰に
よる気泡が発生し、その圧力で記録用液体21が吐出口
22より小液滴24となって吐出され、記録媒体25に
向かって飛翔する。
【0052】本発明で使用する液体噴射記録ヘッドで
は、吐出面となる少なくともと吐出口22の開孔部に含
アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物の硬化物が撥水
・撥インク剤として適用されており、この面に液滴が付
着して液滴の吐出方向にずれが生じるのが防止される。
しかも、含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物の硬
化物は接着性に優れるだけでなく、記録用液体に有機溶
剤、特に極性有機溶剤が含有されていても、それによっ
て撥水性や密着性が損なわれることがない。
【0053】図3は、図2に示したようなマルチヘッド
を組み込んだ液体噴射記録装置の一例を示すものであ
る。図3において、61はワイピング部材としてのブレ
ードであり、その一端はブレード保持部材によって保持
されて固定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレ
ード61は、記録ヘッドより記録領域に隣接した位置に
配設され、又、本例の場合、記録ヘッドの移動経路中に
突出した形態で保持される。62はキャップであり、ブ
レード61に隣接するホームポジションに配設され、記
録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して吐出口と当
接し、キャッピングを行う構成を備える。更に63はブ
レード61に隣接して設けられたインク吸収体であり、
ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出し
た形態で保持される。上記ブレード61、キャップ6
2、インク吸収体63によって吐出回復部64が構成さ
れ、ブレード61及びインク吸収体63によってインク
吐出口面からの水分、塵埃等の除去が行われる。
【0054】65は液体噴射方式により記録を行う記録
ヘッドで、例えば、図1及び2で示したような熱エネル
ギーによってインク等の記録用の液体を吐出する構成を
有する。66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド6
5の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ6
6はガイド67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の
一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接
続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガ
イド軸67に沿った移動、即ち、記録ヘッド65による
記録領域及びその隣接した領域へ移動が可能となる。
【0055】51は、記録媒体を挿入するための給紙
部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りロ
ーラーである。これらの構成によって記録ヘッドの吐出
口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録が進行
するにつれて排紙ローラ53を介して排紙される。
【0056】上記構成において、記録ヘッド65が記録
終了時でホームポジションに戻る際、へッド回復部64
のキャップ65は記録ヘッドの移動経路から対比してい
るが、ブレード61は移動経路中の突出している。この
結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。
又、キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当接し
てキャッピングを行う際には、キャップ62は記録ヘッ
ドの移動経路中に突出するように移動する。
【0057】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出面はワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポ
ジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時なばかり
でなく、記録ヘッドが記録のための記録領域を移動する
間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジション
へ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われ
る。
【0058】インクジェット記録装置では、カラー記録
の場合は、1ヘッド中に、シアン用、マゼンタ用、イエ
ロー用及びブラック用の吐出口を並列した記録ヘッドを
用いて行うことができる。又、各色の記録ヘッドを独立
して並列して配設して用いてもよい。これらの場合、各
色の吐出は、1つの吐出口から行ってもよいし、各色に
ついて同時に複数の吐出口から吐出を行って、2以上の
同一色の液滴が記録媒体に同時に付着するようにしても
よい。
【0059】本発明のインクジェット記録へッドは、上
記で説明した材料構成を有する撥インク処理材料として
有用な本発明の含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成
物によって表面処理がなされているので、その表面が後
述する実施例のような化学的な性質を有し、インクジェ
ット用インクの付着が少ない、或いは、付着したインク
が極めて容易にクリーニング用ワイパーブレードで除去
が可能な、印字の品位の持続性が飛躍的に向上したもと
なる。
【0060】以下、インクジェット記録へッドの吐出口
を構成する基材表面にパターン状に表面処理を施す具体
的な方法について説明する。先ず、パターン状に表面処
理を施す第1の方法としては、本発明の含アルキルシロ
キサンエポキシ樹脂組成物を含有する塗工液を当該基材
に塗布した後、マスクを用いて、或いはパターン状の照
射を行って活性エネルギー線の選択的な照射を行い、次
いで、現像液を用いた現像処理を行うことが挙げられ
る。この場合の基本的な工程はフォトリソグラフィーと
同じであるが、現像液としては、使用する樹脂組成物に
適した溶剤或いは溶剤組成物を選択することが好まし
い。現像液としては、芳香族炭化水素類、ケトン類、エ
ステル類、グリコールエーテル類等、及びそれらの混合
物を使用するとよい。更に、樹脂組成物の反応の完結を
期すために、現像後に加熱、或いは活性エネルギー線の
照射を更に行うことが望ましい。
【0061】パターン状に表面処理を施す第2の方法と
しては、基材に、本発明のエポキシ樹脂組成物を含有す
る塗工液を塗布する工程(1)、重合を促す熱或いは活
性エネルギー線によって全面照射して硬化を行う工程
(2)、硬化部の所望の部位を選択的に除去するよう
に、崩壊性の活性エネルギー線を照射する工程(3)
を、この順序に施すことによって行うことが挙げられ
る。重合を促す活性エネルギー線としては、波長が25
0〜480ミリミクロン(nm)の光を豊富に含む紫外
線源が用いられる。又、崩壊性の活性エネルギー線とし
ては、波長が210ミリミクロン以下の光、エキシマー
レーザー等を用いる。第2の方法においても、反応を完
結させるためには、いずれかの段階で、熱処理や重合性
の活性エネルギー線の照射を行うことが望ましい。
【0062】以上のように、本発明の含アルキルシロキ
サンエポキシ樹脂組成物は、極性有機溶剤のような撥水
剤の接着性を損なう成分を含む溶液や物質との接触機会
のある場所に適用する撥水剤又は撥水性塗料として、更
には、液体噴射記録へッドの吐出口面の撥水・撥インク
処埋を好適に行うための材料として好適に用いることが
できる。
【0063】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に詳しく説明する。 (実施例1〜4)先ず、下記に示した夫々の式で表され
る各化合物を、下記の組成を含む実施例1〜4の4種類
の含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物を調製した
(組成物例1〜4)。尚、以下の比率は、各成分の固形
分の重量比率を示す。 (組成物例1)A−1:触媒1=96:4 (組成物例2)A−1:触媒2=94:6 (組成物例3)A−1:触媒2:B−1=95:5:2
5 (組成物例4)A−1:触媒2:B−1:C−1=8
0:5:25:25
【0064】
【化16】
【0065】<評価>先ず、上記実施例1〜4で得られ
た樹脂組成物例1〜4を用い、これらの組成物を、夫々
ジエチレングリコールジメチルエーテル/トルエン混合
溶媒(1:1)中へ加えて、樹脂組成物の濃度が30乃
至40重量%となるようにして塗工液を作成した。次
に、得られた塗工液を用いて、5μmの厚さの熱酸化膜
を有するシリコーンウエハー基板上に、ウェットで1μ
m乃至3μmの厚さにスピンナーを用いて塗工液を塗布
した。次いで、この基板を110℃のホットプレート上
で5分間乾燥して溶剤を除去した。更に、この基板に高
圧水銀灯を用いた紫外線照射装置にて2J/cm2の積
算量の紫外線を照射した。次に、150℃の炉で15分
間加熱して硬化反応を完結させた。
【0066】上記のようにして表面処理した基板を用い
て以下の測定を実施して、表面の改質状態を調べて、下
記の基準で評価した。 (T1:接触角の測定)各基板の静的接触角T1の測定
を、純水、オレイン酸の10%水溶液、グリセリン20
%水溶液及び界面活性剤1%水溶液(ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル:HLB=10)の各液体を
用いて常温にて行い、得られた値を表2に示した。
【0067】(T2:染科水溶液への浸漬後のインクの
接触角の測定)水溶性染科ダイレクトブラック168の
3%水溶液(pH=10.3)をインクとし、これに対
する接触角(T2)を測定した。更に、撥インク処理し
た基板を、上記のインク中に60℃で7日間浸漬した。
その後、この基板を純水にて洗浄・乾燥し、再度、イン
クに対する接触角(T2)を測定し、得られた夫々の値
を表2に示した。
【0068】(T3:長期印字耐久試験)図4(a)に
示すように、予め吐出エネルギー発生素子等が設けられ
た被処理基板1上に、ポジ型フォトレジストPMERA
R−900(商品名:東京応化工業製)を30μmにな
るようにスピンコートし、オーブン中で90℃、40分
のプリベイクを行いレジスト層を形成した。次に、この
レジストパターン上に、図4(d)に示すように、流路
形成用材料として、下記の主剤に硬化剤(フジキュアー
FXK830:変性脂肪族アミン、富士化成工業
(株)社製)を主剤/硬化剤=100/50(重量比)
で配合して得られた混合物を用い、該混合物を100μ
mの層厚で積層した。この際に使用した主剤の組成を表
1に示した。
【0069】
【表1】
【0070】上記のようにして流路形成用材料層5を積
層後、25℃で24時間放置した後、更に、100℃、
2時間の熱硬化処理を行った。次に、こうして得られた
積層体を3重量%の水酸化ナトリウム水溶液に、浸漬
し、レジストパターンを溶解除去し、洗浄・乾燥させて
液体噴射記録ヘッドを得た。以上のようにして得られた
液体噴射記録ヘッドの吐出孔面に、実施例1〜4の含ア
ルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物を個々に塗布し、
これを8J/cm2の紫外線露光及び150℃で1時間
の加熱によって硬化させた。
【0071】更に、上記のようにして表面処理を施した
液体噴射記録ヘッドについて、所定の電気配線を行って
プリンタに組み込み、純水/グリセリン/フードブラッ
ク2(水溶性黒色染料)/N−メチルピロリドン=70
/15/3/12(重量部)からなるインクジェット用
インクを用いて長期印字耐久試験を行った。この際、印
字耐久試験は、文書と着弾精度を評価するパターンを1
00枚印字することによって行った。そして、最終の印
字サンプルを用いてドットの乱れを観察し、下記の基準
で評価した。この結果をT3−1とし、得られた値を表
2し示した。
【0072】 評価A:ドット位置の乱れがなく、文字は鮮明である。 評価B:ドット位置の乱れが少々あるが、文字の品位へ
の影響は軽微である。 評価C:ドット位置の乱れがかなりあり、文字も鮮明さ
が低下している。 評価D:ドットの欠け、文字品位の大幅な低下が発生し
ている。
【0073】又、上記の長期印字耐久試験に使用したプ
リントヘッドについて、使用後の表面を観察し、インク
の付着状態を下記の基準で評価した。この結果をT3−
2とし、得られた値を表2し示した。 評価A:ノズル表面にインク滴が殆どない。 評価B:ノズル表面に小さいインク滴が見られる。 評価C:ノズルの吐出口近傍に大きなインク滴がある。 これらの結果を表1に整理して示した。
【0074】(比較例1)実施例で使用した含アルキル
シロキサンエポキシ樹脂組成物に代えて、フロラード
(FlioradTM)FC−722(フロロコーティン
グ剤 住友スリーエム製)を記録ヘッドの吐出口面に塗
布し、100℃30分の乾燥を行って表面処理を行っ
た。この硬化条件にて基板を作成して、実施例と同様
に、T1〜T3の測定を行い評価を実施し、得られた値
を表2に示した。
【0075】(比較例2)含フッ素エポキシ樹脂である
ビスフェノールF(下記構造)を用いた下記組成物を実
施例と同様にしてT1〜T3の各評価を行ない、得られ
た値を表2に示した。
【0076】
【化17】
【0077】
【表2】
【0078】以上の表2からも明らかなように、本発明
の含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物は接触角が
高く、且つ、その持続性においても良好であることがわ
かった。又、インクに長期に接触してもプリントヘッド
表面におけるインクの付着がなく、結果として、ドット
の着弾精度が良く、印字品位を長く維持できるようにな
ることがわかる。
【0079】(実施例5)実施例1及び3の各組成物
を、ポリエーテルサルフオンの成形板にスピンナーにて
溶剤蒸発後の膜厚で約2μmに塗布した。この基板に高
圧水銀灯から合計10J/cm2の光を照射し、重合を
行った。次いで、この基板に、ビーム径5μmに収斂さ
せた波長195ミリミクロンのエキシマーレーザー光を
塗膜の上方から照射して、ノズル穴開け加工を行った。
穴開けは良好に行われ、エッジ部にも分解残渣は少ない
加工状態であった。この結果、本発明のエポキシ樹脂組
成物は、紫外線レーザーによる加工にも優れた適性を有
することがわかった。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
撥水剤の成膜性や密着性を損なう成分を含む溶液や物質
との接触機会のある場所に適用する撥水剤又は撥水性塗
料として好適な含シロキサンエポキシ樹脂組成物が提供
される。又、本発明によれば、常に同じ表面状態を持続
できる表面改質処理が可能な含シロキサンエポキシ樹脂
組成物が提供される。更に、本発明によれば、かかる含
シロキサンエポキシ樹脂組成物で基材の表面処理を行う
ことで、ノズル表面を常に同じ表面状態に維持でき、記
録用液体(インク)に長期に接触してもプリントヘッド
表面におけるインクの付着がなく、結果としてドットの
着弾精度がよく、印字品位を長く維持できるインクジェ
ット記録へッド、及び、液体噴射記録装置が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの流路に沿っ
た縦断面図である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッドの横断面図で
ある。
【図3】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図4】本発明の表面改質方法の手順を示す概念図であ
る。
【符号の説明】
13:ヘッド 14:インク溝 15:基板 16:保護膜 17:電極 18:発熱抵抗体層 19:蓄熱層 20:基体 21:記録用液体(インク) 22:吐出オリフィス(微細孔) 23:メニスカス 24:インク小滴 25:被記録材 51:給紙部 52:紙送りローラー 53:排紙ローラー 61:ブレード 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:記録ヘッド 66:キャリッジ 67:ガイド軸 68:モーター 69:ベルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今村 功 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 佐藤 環樹 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中にアルキルシロキサン基及び環状
    脂肪族エポキシ基を2個以上有する含アルキルシロキサ
    ンエポキシ樹脂と、カチオン重合触媒とを少なくとも含
    有することを特徴とする含アルキルシロキサンエポキシ
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 含アルキルシロキサンエポキシ樹脂が、
    下記一般式(a)及び(b)で表される構造単位を含む
    高分子化合物(A)である請求項1に記載の含アルキル
    シロキサンエポキシ樹脂組成物。 【化1】
  3. 【請求項3】 更に、下記一般構造(B)又は(C)を
    有する化合物が相溶化剤として含有されている請求項1
    又は2に記載の含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成
    物。 【化2】 【化3】
  4. 【請求項4】 基材表面に樹脂組成物を含む塗工液を塗
    布、乾燥する第1の工程(1)、マスクを介して或いは
    パターン状に活性エネルギー線を照射する第2の工程
    (2)、上記樹脂組成物を溶解しうる液体にて活性エネ
    ルギー線の非照射部分を溶解除去する第3の工程
    (3)、必要に応じてポストキュアを施す第4の工程
    (4)の順序にて選択的に基材表面の処理を行う表面改
    質方法において、上記樹脂組成物に、請求項1乃至3の
    いずれか1項に記載の含アルキルシロキサンエポキシ樹
    脂組成物を用いることを特徴とする表面改質方法。
  5. 【請求項5】 基材表面に樹脂組成物を含む塗工液を塗
    布、乾燥する第1の工程(1)、熱或いは紫外線照射に
    よって重合硬化を行なう工程(2)、エキシマーレーザ
    ーによって選択的な除去を行う工程(3)、必要に応じ
    てポストキュアを施す工程の順序にて選択的に基材表面
    の処理を行う表面改質方法において、上記樹脂組成物
    に、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の含アルキル
    シロキサンエポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とす
    る表面改質方法。
  6. 【請求項6】 記録用の液体を吐出する吐出口を有する
    インクジェット記録へッドにおいて、少なくとも該吐出
    口の開口部が請求項1乃至3のいずれか1項に記載の含
    アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物からなる硬化膜
    で被覆されていることを特徴とするインクジェット記録
    へッド。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の液体噴射記録へッドを
    有することを特徴とする液体噴射記録装置。
JP2000285991A 1999-09-20 2000-09-20 含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物及びそれを用いた表面改質方法、インクジェット記録へッド、液体噴射記録装置 Pending JP2001158818A (ja)

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